我が国のグローバル化を支える要素 3 - meti€¦ ·...

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新たな世界に対応した我が国の将来像 第1節 通商白書 2010 253 3 第 3-1-1-55 図  製造業・非製造業別の海外売上高 比率推移 14 21 28 10 13 16 1990 2000 2009 0 10 20 30 (%) 製造業 非製造業 資料:国際経済交流財団「今後の多角的通商ルールのあり方に関する調査 研究」から作成。 我が国経済において、対外関係がますます重要に なってきていることを確認した。では、我が国はグ ローバル化に対応する素地を形成できているのだろう か。例えば、グローバル社会においては英語力が必須 となるが、TOEFL スコアの世界ランキングで、我が 国はアジアの中国や韓国よりも下の 137 位となってお り、英語力が未熟であると言わざるを得ない(第 3-1- 2-1 表)。 ここでは、我が国のグローバル化を支える要素を 様々な観点から分析し、我が国が世界の経済成長の活 力を取り込んでいくための道筋を確認する。 (1)海外人材から見る、グローバル化を支える要素 我が国のグローバル化のためには人流の活発化、す なわち海外人材が国内に流入し、また我が国からも邦 人が積極的に海外進出を行う、双方向の流れが重要で ある。 労働力人口総数に占める外国人の割合をみると我が 国は 1.1%と、欧米先進国と比較しても海外人材の国 内における活用が進んでいない(第 3-1-2-2 図)。米国、 ドイツ、英国と移民の受け入れ数が多い国が高い比率 を示しているが、これらの国では移民の持つ個人消費 力等の活力の取り込みが成長の一因となってきたもの と考えられる。 海外人材の中でも、高度人材の人流を創出すること は非常に重要である。イノベーションによる生産性の 向上等が期待でき、また海外との人的ネットワーク構 築等においても大きな力を発揮する。大学卒業以上の 学歴を持つ海外人材の移入者の対人口比を確認する と、我が国は相対的に見てまだ高度人材の移入が少な く、今後、より受入れを図っていく余地があるといえ 2 我が国のグローバル化を支える要素 第 3-1-2-1 表  TOEFL スコアの世界ランキング (2008 年) 順位 国名 スコア 1 デンマーク 102 2 オランダ 102 3 オーストリア 100 4 シンガポール 100 5 ベルギー 98 6 スロベニア 98 7 南アフリカ 98 8 フィンランド 97 9 ドイツ 97 10 ポルトガル 97 93 韓国 78 99 中国 76 137 日本 66 資料:ETS レポートから作成。 第 3-1-1-54 表 非製造業 業種別現地法人分布 (単位:社) 02 年度 07 年度 農林漁業 116 90 鉱業 125 153 建設業 252 276 情報通信業 運輸業に一部含む 463 運輸業 994 1,032 卸売業 3,484 4,290 小売業 卸売業に含む 400 サービス業 733 778 その他の非製造業 700 932 非製造業 合計 6,404 8,414 資料:経済産業省「第38回 我が国企業の海外事業活動-平成20年海外事 業活動基本調査(平成19年度実績)」から作成。 第 3-1-2-2 図  外国人労働力の労働力人口に占める 割合 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 日本 米国 英国 ドイツ フランス 韓国 (%) 米国 16.3% ドイツ 9.4% 英国 6.6% フランス 5.4% 日本 1.1% 韓国 1.0% 資料:労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2010」から 作成。

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Page 1: 我が国のグローバル化を支える要素 3 - METI€¦ · となるが、toeflスコアの世界ランキングで、我が 国はアジアの中国や韓国よりも下の137位となってお

危機後の我が国の現状と進むべき方向性 新たな世界に対応した我が国の将来像 第1節

通商白書 2010 253

第3章

第3-1-1-55図 �製造業・非製造業別の海外売上高比率推移

14

21

28

10

13

16

1990 2000 20090

10

20

30(%)

製造業

非製造業

資料:国際経済交流財団「今後の多角的通商ルールのあり方に関する調査研究」から作成。

我が国経済において、対外関係がますます重要になってきていることを確認した。では、我が国はグローバル化に対応する素地を形成できているのだろうか。例えば、グローバル社会においては英語力が必須となるが、TOEFLスコアの世界ランキングで、我が国はアジアの中国や韓国よりも下の137位となっており、英語力が未熟であると言わざるを得ない(第3-1-

2-1表)。ここでは、我が国のグローバル化を支える要素を

様々な観点から分析し、我が国が世界の経済成長の活力を取り込んでいくための道筋を確認する。

(1)海外人材から見る、グローバル化を支える要素我が国のグローバル化のためには人流の活発化、すなわち海外人材が国内に流入し、また我が国からも邦人が積極的に海外進出を行う、双方向の流れが重要である。労働力人口総数に占める外国人の割合をみると我が国は1.1%と、欧米先進国と比較しても海外人材の国内における活用が進んでいない(第3-1-2-2図)。米国、ドイツ、英国と移民の受け入れ数が多い国が高い比率を示しているが、これらの国では移民の持つ個人消費力等の活力の取り込みが成長の一因となってきたものと考えられる。海外人材の中でも、高度人材の人流を創出することは非常に重要である。イノベーションによる生産性の向上等が期待でき、また海外との人的ネットワーク構築等においても大きな力を発揮する。大学卒業以上の

学歴を持つ海外人材の移入者の対人口比を確認すると、我が国は相対的に見てまだ高度人材の移入が少なく、今後、より受入れを図っていく余地があるといえ

2 我が国のグローバル化を支える要素

第3-1-2-1表 �TOEFLスコアの世界ランキング�(2008年)

順位 国名 スコア1 デンマーク 1022 オランダ 1023 オーストリア 1004 シンガポール 1005 ベルギー 986 スロベニア 987 南アフリカ 988 フィンランド 979 ドイツ 9710 ポルトガル 9793 韓国 7899 中国 76137 日本 66

資料:ETSレポートから作成。

第3-1-1-54表 非製造業 業種別現地法人分布(単位:社)

02年度 07年度農林漁業 116 90鉱業 125 153建設業 252 276情報通信業 運輸業に一部含む 463運輸業 994 1,032卸売業 3,484 4,290小売業 卸売業に含む 400サービス業 733 778その他の非製造業 700 932非製造業 合計 6,404 8,414

資料:経済産業省「第38回 我が国企業の海外事業活動-平成20年海外事業活動基本調査(平成19年度実績)」から作成。

第3-1-2-2図 �外国人労働力の労働力人口に占める割合

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

日本米国英国ドイツフランス韓国

(%)

米国16.3%

ドイツ9.4%英国6.6%フランス5.4%日本1.1%韓国1.0%

資料:労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2010」から作成。

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性

2010 White Paper on International Economy and Trade254

第 3章 新たな世界に対応した我が国の将来像

る(第3-1-2-3図)。

(2)留学生から見る、グローバル化を支える要素高度人材の人流を考えた時、将来の高度人材である留学生はグローバル化を支える重要な要素である。留学生は多様な学問的背景を持つだけでなく、複数国での生活を経験する国際感覚の持ち主であり、同時に留学先と母国をつなぐ貴重なパイプ役を果たす。世界各国の留学生の留学先をみると、欧米先進国が割合として大きくなっている(第3-1-2-4図)。我が国

も先進国の一つとして、より多くの者に志望される留学先となることが期待される。我が国の海外留学生数も、グローバル化の進展状況と大きく関係してくる。韓国や欧州各国等では国境を越えて多くの学生が様々な環境で学んでおり、我が国の学生も積極的に国際舞台に羽ばたくことが重要であるが、1万人当たりの留学生数は韓国の5分の1にとどまっている(第3-1-2-5図)。在米留学生の内訳を見ても、我が国からの留学生は中国や韓国よりもシェアが低くなっているだけでな

第3-1-2-3図 �大卒以上の外国人移入者が人口に占める割合(2007年)

3.3

2.1 2.11.9

1.1 1.1 1.1 1.0 0.9 0.9 0.90.7 0.7 0.7 0.7

0.5 0.4 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.2 0.1 0.0

資料:IMF「World Economic Outlook」、OECD Stat.から作成。

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5(%)

ルクセンブルグ

スイス

スペイン

アイルランド

ノルウェー

オーストリア

ニュージーランドチェ

スウェーデン 英国

ベルギー豪州 カナ

ダドイツ 韓国

オランダ

イタリア

ポルトガル

フィンランド米国

スロバキア 日本トル

ハンガリー

フランス

ポーランド

メキシコ

第3-1-2-4図 �世界の留学生の留学先割合�(2007年)

米国、19.7

英国、11.6

ドイツ、8.6

フランス、8.2オーストラリア、7.0

カナダ、4.4

日本、4.2

ニュージーランド、2.2ロシア、2.0

スペイン、2.0イタリア、1.9

南アフリカ、1.8オーストリア、1.4スウェーデン、1.4

中国、1.4ベルギー、1.4スイス、1.4オランダ、1.3

韓国、1.1

他OECD加盟国、6.0

非OECD加盟国、11.3(%)

資料:OECD「Education At a glance 2009」から作成。

第3-1-2-5図 �世界の留学生総数と人口1万人当たりの留学生数(2007年)

45.7

16.2

10.7 8.6 6.3 5.9 5.6 5.2 5.1 5.1 4.9 4.4 4.1 4.1 4.0 3.8 3.8 3.4 3.4 3.4 3.2 3.1 3.0 2.8 2.7 2.7 2.6 2.6 2.6

3.5 1.4

22.1

10.5 10.2 8.6

4.4

1.7

16.4

3.6

18.2

13.5

7.0

26.1

14.9

10.0

34.2

49.0

7.3

1.5

4.4 3.6 1.9 2.6

36.2

6.0

12.2

4.3 3.9

0

10

20

30

40

50

60

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

タイ

英国

ルーマニア

スペイン

ブルガリア

メキシコ

パキスタン

ベトナム

イラン

インドネシア

ウクライナ

香港

ギリシャ

ポーランド

ウズベキスタン

カザフスタン

イタリア

カナダ

マレーシア

ロシア

モロッコ

米国

日本

トルコ

フランス

ドイツ

韓国

インド

中国

資料:OECD「Education At a glance 2009」から作成。

(万人) (人)

留学生総数1万人当たりの留学生数(右軸)

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性 新たな世界に対応した我が国の将来像 第1節

通商白書 2010 255

第3章

く、前年と比べて激減していることがわかる(第3-1-

2-6図)。また、論文における国際共著や海外の発明者との特許の共同出願の動向が研究開発活動の国際化を示す指標となり得る。我が国では国際共著割合、海外との共同出願特許の割合がいずれも他の先進国と比べて低くなっている(第3-1-2-7図、第3-1-2-8図)。より多くのチャネルで知的ネットワークを構築することで、研究開発における世界の潮流を創出できる可能性が高まり、また研究開発レベルの向上も期待される。研究の

水準が上がっていけば、例えば論文の質を示すとされる、被引用度等にも表れると考えられる(第3-1-2-9

図)。

(3)海外志向から見る、グローバル化を支える要素将来のグローバル人材としての活躍が期待される若者の海外志向は、低下傾向にある。我が国からの出国者数は横ばい傾向を示しているものの、我が国経済の将来を担う20代若者の出国率が低迷している(第3-1-

2-10表)。また、新入社員の海外勤務に対する受容性も低下傾向にあり、国内就労を志向する比率が上昇している(第3-1-2-11図)。また、我が国の小学生から高校生までを対象とした調査によると、自分の将来像として、「世界で活躍している」「有名になっている」「お金持ちになっている」と考えている者の割合が相対的に低い(第3-1-2-12図)。身近で現実的な将来をイメージする風潮が浸透していると考えられる。

第3-1-2-6図 �在米留学生の出身国上位25か国のシェアと増減率(2008年)

15.4 14.6

11.2

4.4 4.4 4.22.2 2.0 1.9 1.9 1.7 1.4 1.3 1.3 1.3

1.2 1.1 1.1 1.0 0.9 0.9 0.9 0.8 0.7 0.7

9.2

21.1

8.6

2.2

-13.9

-3.20.1

10.2

46.2

28.2

29.6

8.7

15.7

-3.0

4.0

0.5

-2.4

5.3 5.3

0.5

9.5

0.7 -0.9 0.0

5.2

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0(%)

留学生数シェア前年比増減率

資料:INSTITUTE OF INTERNATIONAL EDUCATION「opendoors 2009 fast facts」から作成。

インド

中国

韓国

カナダ

日本

台湾

メキシコ

トルコ

ベトナム

サウジサラビア

ネパール

ドイツ

ブラジル

タイ

英国

香港

インドネシア

コロンビア

ナイジェリア

マレーシア

ケニア

パキスタン

ロシア

ベネズエラ

-20.0

-10.0

第3-1-2-7図 �各国の科学論文における国際共著割合(2007年)

49.548.4

46.1

29.527.5

23.921.8

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

フランス ドイツ 英国 米国 韓国 日本 中国

(%)

資料:文部科学省科学技術政策研究所「科学技術指標2009」から作成。

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性

2010 White Paper on International Economy and Trade256

第 3章 新たな世界に対応した我が国の将来像

(4)研究開発から見る、グローバル化を支える要素経済活動に大きな影響をもたらすのが技術革新であり、その鍵となるのが研究開発である。今後も変化を続ける世界経済の中で、我が国が存在感を維持、拡大していくためには、研究開発による生産性向上が必須である。研究開発費の世界シェアをみると、我が国の特徴と

第3-1-2-8図 �海外の発明者との特許の共同出願の割合

52.2

44.443.9

34.533.833.531.630.430.1

28.026.426.0

24.724.323.623.121.3

19.819.419.318.918.618.618.617.916.015.715.515.013.813.712.6

11.210.810.8

4.83.2

0

10

20

30

40

50

60(%)

資料:OECD「Science, Technology and Industry Scoreboard 2009」から作成。

日本韓国EU米国

南アフリカ

トルコ

イタリア中国

オーストラリア

フィンランド

イスラエル

ドイツ

ブラジル

スウェーデン

ニージーランド

オランダ

ノルウェー

スロベニア

スペイン

デンマーク

フランス

メキシコ

ロシア英国

インド

オーストリア

ギリシャカナダ

ハンガリー

シンガポールチェ

アイルランド

ポルトガル

ポーランド

スイス

ベルギー台湾

第3-1-2-9図 �各国の論文の相対被引用度の推移

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6 米国1.51英国1.41ドイツ1.28フランス1.15日本0.95

韓国0.68中国0.60

2008

2007

2006

2005

2004

2003

2002

2001

2000

1999

1998

1997

1996

1995

1994

1993

1992

1991

1990

1989

1988

1987

1986

1985

備考:相対被引用度=(国別の1論文当たりの被引用回数)/(全世界の1論文当たりの被引用回数)各年の値は、5年間累積値。例えば、08年の値は、04年~ 08年の5年間の累積値。人文・社会科学分野を除く。

資料:The Thomson Corporation「National Science Indicators, 1981-2008 (Standard version)」から作成。

第3-1-2-11図 �我が国の新入社員のグローバル意識(海外勤務について)

20042007

24.2

47.1

28.7

37.1

38.7

21.8

2.8

18.0

45.8

36.2

29.3

36.5

30.5

3.6

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

どんな所でも働きたい

国、地域によっては働きたい

海外では働きたくない

喜んで従う

命令ならば仕方なく従う

できるだけ拒否する

退職しても拒否する

Q.もし貴方が海外赴任を命じられたら、どうしますか?

Q.貴方は海外で働きたいと思いますか?

(%)

原出所:学校法人産業能率大学「第3回新入社員のグローバル意識調査」。資料:経済産業省「産学人材育成パートナーシップグローバル人材育成

委員会資料」から作成。第3-1-2-10表 我が国の年代別出国率の推移

1997 2002 200710代以下 5.0% 5.3% 5.9%20代 24.1% 19.9% 19.4%30代 20.4% 20.2% 19.9%40代以上 12.2% 12.5% 13.5%

資料:総務省「人口推計」、法務省「出入国管理統計表」から作成。

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性 新たな世界に対応した我が国の将来像 第1節

通商白書 2010 257

第3章

してシェアを保ちつつも低下傾向にあることが読み取れる(第3-1-2-13図)。少子高齢化が続く我が国は、研究開発の重要性を更に認識すべきだろう。我が国は、自国の経済規模から考えると多額の研究開発費をかけている(第3-1-2-14図)が、「新成長戦略(基本方針)」(平成21年12月30日閣議決定)で示された「2020年度までに、官民合わせた研究開発投資をGDP比4%以上にする」との目標を達成するためにも、引き続き投資の増加に取り組んでいくことが期待される。また、我が国は企業支出の研究開発費の割合が大きく(第3-1-2-15図)、国際競争力を確保するために

第3-1-2-12図 �我が国子どもの描く自分の将来像

82.9 76.5

64.0 59.8

30.824.2

17.216.2

74.9 75.2

62.068.7

27.521.5

14.212.3

79.2 81.175.8

60.5

38.5

26.4

12.313.0

0102030405060708090

小学生中学生高校生

(%)

世界で活躍している

有名になっている

お金持ちになっている

多くの人の役に立っている

自由にのんびり暮らしている

子どもを育てている

幸せになっている

親を大切にしている

備考:「とてもそう思う」、「まあそう思う」の合計。資料:Benesse 教育研究開発センター「第2回子ども生活実態基本調査」

から作成。

第3-1-2-13図 �主要国の研究開発費の世界シェア推移

30.4%

19.1%

13.2%

6.5%

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

資料:世銀「World Development Indicators」から作成。

(%)

米国ユーロ圏日本ドイツフランス英国中国韓国スウェーデンブラジルインドシンガポール

第3-1-2-14図 �主要国の研究開発費の対GDP比推移

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008

日本 韓国米国 ドイツフランス 英国EU 中国スウェーデン

(%)

資料:総務省「科学技術研究調査」、内閣府「国民経済計算」、OECD「Main Science and Technology Indicators」から作成。

日本3.8(2008)

韓国 3.2(2007)米国 2.8(2008)ドイツ 2.5(2007)フランス 2.0(2008)英国 1.9(2008)

中国 1.4(2007)EU1.8(2007)

スウェーデン 3.8(2008)

第3-1-2-15図 �主要国の研究開発費に占める政府の負担割合

0

10

20

30

40

50

60

70

80(%)

フランス39.4(2008)

英国29.5(2008)

米国27.0(2008)ドイツ27.7(2007)

韓国24.8(2007)中国24.6(2007)

日本17.8(2008)

ロシア64.7(2008)

インド75.3(2004)

スウェーデン22.2(2007)

資料:総務省「科学技術研究調査」、OECD「Main Science and Technology Indicators 」、UNESCO「UNESCO Institute for Stasitics S&T database」から作成。

2008

2007

2006

2005

2004

2003

2002

2001

2000

1999

1998

1997

1996

1995

1994

1993

1992

1991

1990

1989

1988

1987

1986

1985

1984

1983

1982

1981

1980

インドフランスドイツ韓国日本

ロシア英国米国中国スウェーデン

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性

2010 White Paper on International Economy and Trade258

第 3章 新たな世界に対応した我が国の将来像

は、政府支出の研究開発費を増やしていくことが必要である。

(5)事業立地環境から見る、グローバル化を支える要素企業の進出や受入れも、我が国のグローバル化を支える要素として重要な動向である。我が国企業の海外進出については、本節においても前述した通り、近年非常に活発化してきているところであるが、海外企業の我が国への進出はさほど進んではいないのが現状と言わざるを得ない。また、日本未進出の企業を中心に調査したところ、我が国は、2年前の調査と比べ、すべての機能でアジアの中核地点としての競争力を喪失しており、特に、従来は競争力を有していたアジア地域統括拠点やR & D拠点においても首位から転落し、アジアの中での地位が低下している状況にある(第3-1-2-16表)。企業が海外に進出する際、その国の市場規模等は当然重視される点だが、事業立地環境もまた大きな決め手となる。各国政府が採る制度の相違が企業行動に影響を及ぼすことになるため、慎重な制度設計が重要である。企業にとって立地環境を評価する上での要素の一つとして、法人所得課税がある。表面上の法人税率に地方税等も調整して算出した、法人所得課税の実効税率を比較すると、我が国は国際的にみて高くなっている(第3-1-2-17図)。英国では2008年に30%から28%へ、中国では2008年に33%から25%へ引き下げており、韓国も今後引き下げるとしている。また、投資優遇のため、各国は様々な制度整備を

行っている。本節で前述した通り、海外から投資を呼び込むことが、税収増加だけでなく国内経済の活性化につながる事実が認識されているからである。特に最近行われている立地環境競争に対する各国の支援策を確認することにする(第3-1-2-18表)。米国では次世代自動車や蓄電池等への支援を強化している。電気自動車用バッテリーや部品製造の工場立地に対する費用の50%を補助し、立地促進を図っている。また、エネルギー独立・安全保障法に基づき、環境対応車やその部品製造にかかる設備投資に対して、計画額の80%まで融資を行う。フランスでは特定地域を対象とした助成として助成区域が設定されており、大企業は投資総額の10~15%、中小企業は投資総額の20~35%の範囲で、地域によって補助が受けられる。経済発展が遅れている地域、産業転換中の地域における設備投資や雇用創出を促進させるもので、この公的支援制度では税金や社会保障負担の減免の他、国土整備助成金等を組み合わ

第3-1-2-17図 �法人所得課税の実効税率

40.69 40.75

28.0029.41

33.33

25.00 24.20

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

日本(東京都)

米国(カリフォルニア州)

英国 ドイツ(全ドイツ平均(2008年))

フランス 中国 韓国(ソウル)

資料:財務省資料から作成。

(%)

第3-1-2-16表 �各拠点機能ごとにアジア地域で最も魅力を感じる国・地域

2007年度調査

日本 中国 インド シンガポール 韓国 香港

アジア地域統括拠点 ①23% 18% 8% 16% 4% ②20%製造拠点 3% ①62% ②12% 2% 5% 5%R&D拠点 ①30% ②25% 16% 9% 4% 6%バックオフィス ②15% ①24% ②15% 12% 5% ②15%物流拠点 11% ①41% 8% 9% 7% ②13%金融拠点 ― ― ― ― ― ―販売拠点 ― ― ― ― ― ―

*各拠点ごとに国・地域を1つ選択*回答企業209社(日本進出済51社含む)から無回答企業を除く百分率(欧州78社、北米74社、アジア57社)

2009年度調査

日本 中国 インド シンガポール 韓国 香港

アジア地域統括拠点 10% ①42% 10% ②16% 2% 13%製造拠点 1% ①64% ②14% 2% 2% 2%R&D拠点 ②21% ①33% 20% 8% 4% 2%バックオフィス 8% ①39% ②19% 15% 2% 9%物流拠点 3% ①63% 8% ②11% 2% 6%金融拠点 10% ①30% 9% 21% 4% ②23%販売拠点 7% ①50% 7% 11% 4% ②13%

*各拠点ごとに国・地域を1つ選択*回答企業180社(日本進出済30社含む)から無回答(該当国なし含む)企業を除

く百分率(欧州60社、北米60社、アジア60社)

備考:主要6か国の数値のみ抽出、各拠点機能の1位、2位にマーカーを付している。資料:経済産業省「欧米アジアの外国企業の対日投資関心度調査(2009年度、2007年度)」。

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性 新たな世界に対応した我が国の将来像 第1節

通商白書 2010 259

第3章

せて利用することができる。国土整備助成金は、新規設置に限らず、事業拡大や変更、買収や事業譲渡が対象となり、雇用創出数に基づいて助成額が決定される。ドイツでは Joint Agreement for the Improvement of

Regional Economic Structuresを実施し、国内外企業いずれもドイツ国内での設備投資に要する経費、また当該工場で雇用する労働者の2年分の賃金を、上限50

万ユーロで最大50%補助している。補助を受けた設備は、最低5年間、投資対象地に留まること等が要件である。また、特に東部ドイツを対象にした同様の投資助成制度もあり、補助率は異なるが、併用可能となっている。中国では工業団地誘致策として経済技術開発区、ハイテク開発区、各種産業基地の整備を実施した。業種を問わず補助金、増値税の減免、企業所得税の減免、通信費の優遇、製品の価格補助等の優遇措置が採られた。また、国産技術や国産製品の育成や優遇のため、電気通信機器等について、中国での知的財産権や商標を有していること等を条件に国家自主創新製品を認定し、政府調達の際に優遇を行っている。韓国では、グリーン技術産業、先端融合産業、高付加価値サービス産業といった新成長動力産業分野の研究開発費及び国家科学技術委員会で定義した基礎固有技術分野の研究開発費について、その20%(中小企業は30%)を税額控除する制度を2010年から新設する。企業が海外進出する際、例えば物流のハブ化の度合いも大きな意味を持ってくる。物流拠点の付近に企業立地することは、コスト削減につながる。港湾別のコンテナ取扱個数順位を確認すると、船舶を利用した物流面で我が国の港湾があまり拠点化していない状況がうかがえる(第3-1-2-19表)。また、我が国の航空関連の物流並びに人流の拡大

は、我が国経済を更にグローバル化できる可能性を持っている。新興国の空港の物流拠点としての成長ぶりは目覚ましく、地理的に近い諸国の発展は我が国に多くの示唆を与える。人流の点からも、我が国の国際空港の地位向上がより一層期待されている(第3-1-2-

20図、第3-1-2-21図)。また、国際便の就航都市数を比較した場合、成田空港が2010年4月時点で95都市であるのに対し、仁川空港は2008年末時点で170都市と様々な都市を結び、

インフラとして空路を多様化している。

第3-1-2-18表 �各国の企業優遇措置例

米国 ○工場立地補助(電気自動車用バッテリー・部品):50%○設備投資融資(環境対応車やその部品関連):最大80%

ドイツ ○設備投資補助、当該工場賃金補助:50万ユーロまで50%上限、2年間分

フランス ○地域別投資補助:大企業10~15%、中小企業20~35%

中国 ○経済技術開発区等:補助金、優遇税制、通信費優遇、価格補助○政府調達優遇:国内で認定を受けている国家自主創新製品

韓国 ○研究開発投資税制(税額控除):20%(中小企業は30%)

資料:経済産業省作成。

第3-1-2-19表 �世界の港湾別コンテナ取扱個数ランキング

(単位:TEU)2006年 2007年

順位 港湾名 取扱量 港湾名 取扱量1 シンガポール ・24,792,400 シンガポール 27,932,0002 ホンコン(中国) 23,538,580 上海(中国) 26,150,0003 上海(中国) 21,710,000 ホンコン(中国) 23,998,4494 深圳(中国) 18,468,900 深圳(中国) 21,099,0005 釜山(韓国) 12,038,786 釜山(韓国) 13,270,0006 高雄(台湾) 9,774,670 ロッテルダム(オランダ) 10,790,6047 ロッテルダム(オランダ) 9,654,508 ドバイ(アラブ首長国連邦) 10,653,0268 ドバイ(アラブ首長国連邦) 8,923,465 高雄(台湾) 10,256,8299 ハンブルグ(ドイツ) 8,861,545 ハンブルグ(ドイツ) 9,900,00010 ロサンゼルス(米国) 8,469,853 青島(中国) 9,462,00011 青島(中国) 7,702,000 寧波 9,360,00012 ロングビーチ(米国) 7,290,365 広州 9,200,00013 寧波 7,068,000 ロサンゼルス(米国) 8,355,03914 アントワープ(ベルギー) 7,018,899 アントワープ(ベルギー) 8,175,95215 広州 6,600,000 ロングビーチ(米国) 7,312,465

・ ・ ・ ・東京(23位) 3,969,015 東京(24位) 4,123,920・ ・ ・ ・横浜(28位) 3,799,883 横浜(28位) 3,428,112・ ・ ・ ・名古屋(33位) 2,751,677 名古屋(35位) 2,896,221・ ・ ・ ・神戸(38位) 2,412,767 神戸(44位) 2,472,808・ ・ ・ ・大阪(44位) 2,231,516 大阪(46位) 2,309,820

原出所:Informa UK Ltd「CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEAR BOOK 2009」。

資料:国土交通省「世界の港湾別コンテナ取扱個数ランキング」から作成。

第3-1-2-20図 �各国の空港における航空貨物取扱量

263

210

3560

187159 161 168

147 153

370 366

260 242 234 228211 210 197 188

0

50

100

150

200

250

300

350

400(万トン)

20012008

資料:AIRPORTS COUNCIL INTERNATIONAL「Annual Traffic Data」から作成。

シンガポール

ルイビル(米国)

成田(日本)

フランクフルト(ドイツ)

パリ(フランス)

アンカレッジ(米国)

仁川(韓国)

上海(中国)

香港(中国)

メンフィス(米国)

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性

2010 White Paper on International Economy and Trade260

第 3章 新たな世界に対応した我が国の将来像

(6)株式投資から見る、グローバル化を支える要素事業立地環境だけでなく、資本や資金の流れも企業の進出先に深く関係してくる。魅力的な金融資本市場がある国には海外からも企業が集まり、その国のグローバル化も進む。こうした経済の好循環を生むことは重要といえる。各国の金融資本市場、すなわち証券取引所における外国企業の新規上場数を確認すると、我が国が金融資

本市場として魅力に欠けていることがわかる(第3-1-

2-22図)。企業が他国で上場する狙いの1つとして、その国での知名度を上げてビジネスチャンスにつなげるという点があるため、我が国のビジネスフィールドとしての魅力が低下していることが指摘される。そうした動向と関連して、主要国の時価総額推移を見ると、他の先進国と比較して我が国は低調な推移をしている(第3-1-2-23図)。一方で新興国の伸びは顕著であり、投資先としての我が国の魅力増大が期待されるところである。

第3-1-2-22図 �各国金融資本市場における外国企業上場数の推移

343

466

32

381

76

321

451

25

343

247274

500

14

601

312

0

100

200

300

400

500

600

700

ナスダック市場 ニューヨーク市場 東京市場 ロンドン市場 シンガポール市場

2003年末時点2006年末時点2009年3月末時点

資料:WFE「Year-To-Date monthly statistics」から作成。

第3-1-2-23図 �各国の時価総額指数の推移(2000年1月=100)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

上海総合指数香港ハンセン指数韓国総合株価指数シンガポールST指数NYダウ工業株30種日経平均英国FT100

資料:Bloombergから作成。

第3-1-2-21図 �各国の空港における乗降客数

7,586

6,745 6,074 5,869

4,800

6,1615,515

2,418

4,856

3,609

9,004

6,9356,706 6,675

6,087 5,950 5,7095,594 5,347 5,125

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,00010,000(万人)

デンバー(米国)

フランクフルト(ドイツ)

北京(中国)

ダラス(米国)

ロサンゼルス(米国)

パリ(フランス)

羽田(日本)

ロンドン(英国)

シカゴ(米国)

アトランタ(米国)

資料:AIRPORTS COUNCIL INTERNATIONAL「Annual Traffic Data」から作成。

20012008

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性 新たな世界に対応した我が国の将来像 第1節

通商白書 2010 261

第3章

クロスボーダーM&Aの額を見ると、我が国は買収も被買収も、新興国を上回る規模となっているが、他の先進国と比べると小さい(第3-1-2-24図)。多様な背景や人材、販路等を持つことは国際競争力の向上につながる可能性を秘めており、企業の合従連衡による我が国の更なるグローバル化が重要といえる。

(7)サービス業や中小企業から見る、グローバル化を支える要素2000年代以降のグローバル経済化進展の中、我が

国の景気回復は主に製造業あるいは大企業が外需中心にけん引し、サービス業や中小企業は厳しい業況にあった。我が国の就業者の過半はサービス業や中小企業の労働者である。今後の我が国経済にとって、サービス業や中小企業がグローバル経済への対応力を強化し、より多くの就業者が経済成長の恩恵にあずかれるような産業構造を創出していくことが重要である。サービス業が現地のニーズを効率的に把握していく上で、海外に子会社等を構えることが大きな意味を持つ。我が国の産業構造において、サービス業は製造業をGDPシェアで上回るが、対外直接投資を業種別に見た際にシェアは逆転し、我が国のサービス業が国内展開中心である可能性を裏付ける(第3-1-2-25図)。産業構造でみてサービス業のシェアが同程度の他の先進国と比較しても、我が国サービス業の対外直接投資は今後一層の活発化が期待される。また、医療において IT導入が進むことは、産業と

しての医療の国際競争力を高め、外国人患者等の国内医療機関への受入れの推進等の発展にも大きく寄与する。我が国で普及率の低い電子カルテの導入等を推進していくことが重要である(第3-1-2-26図)。一方、我が国企業421万社のうちの99.7%、就業者

数4,013万人のうちの69%を占める中小企業における海外の活力取り込みは、我が国の安定的な景気回復と維持にとって更に重要になってくる。従業員数の規模別に、輸出や直接投資を行っている企業をみると、従業員数が少ない企業ほど対外的な関わりを持つ割合が少なくなっている(第3-1-2-27図)。また、製造業において大企業と中小企業で確認すると、売上高ベースで算出した海外生産比率は圧倒的に中小企業が低くなっている(第3-1-2-28図)。グローバル経済下で景気を回復し、成長を実現していく上で様々な要素があり、各国の状況と比較して、

第3-1-2-24図 �各国のクロスボーダーM&A額�(2004〜2007年合計額)

9,400

6,968

2,8581,868

450 361 573 150 409 126

9,663

6,189

2,233 2,989

921 588 362 429 316 169

被買収

買収

-10000

-8000

-6000

-4000

-2000

0

2000

4000

6000

8000

10000(億ドル)

資料:UNCTAD「World Investment Report 2009」から作成。

米国 英国

シンガポール 中国ドイ

ツ 韓国日本 インド香港

フランス

第3-1-2-25図 �各国のサービス業のGDPに占める割合及び対外直接投資残高に占める割合

30

40

50

60

70

80

90

30 40 50 60 70 80 90

日本

韓国

中国

英国

フランス

米国

ドイツ

名目GDPに占めるシェア

対外直接投資残高に占めるシェア

(%)

(%)

備考:円の大きさは対外直接投資残高を表わす。資料:世銀「World Development Indicators」、UNCTAD「World

Investment Report」、国際貿易投資研究所「世界主要国の直接投資統計集」から作成。

第3-1-2-26図 �電子カルテの導入率

9892 90

79

42

28 23

2.50102030405060708090100(%)

資料:Commonwealth Fund「International Health Policy Survey of Primary Care Physicians」から作成。

日本

カナダ

米国

ドイツ

豪州

英国

ニュージーランド

オランダ

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危機後の我が国の現状と進むべき方向性

2010 White Paper on International Economy and Trade262

第 3章 新たな世界に対応した我が国の将来像

「産業界からみた東アジアにおける国際競争力指標」に見る我が国の技術水準

社団法人日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が

作成している「産業界からみた東アジアにおける国際

競争力指標」(JAPIC版 国際競争力指標「JADEX2009」)

における日本の位置づけを確認すると、我が国は総合

順位で第3位となっており、東アジアにおける我が国

の競争優位性は、依然、高水準にあることが分かる。

しかしながら、中国が第2位となっており 24、競争力

向上が急務であると言える(コラム第24-1表)。

JADEX指標は、競争優位性(アウェイ)、魅力

(ホーム)、パートナーシップ、基礎体力の4つの大項

目から指標化がなされている。このうち、我が国の偏

差値が相対的に高い競争優位性及びパートナーシップ

についてその内訳を確認すると、競争優位性では、国内人材の活力及び企業活動の効率性等に不足が見られる

(コラム第24-2表)。また、パートナーシップでは、規格基準の共通性において低い位置づけにあり、改善の余地

がある(コラム第24-3表)。

我が国は、技術力を中心にした強みやポテンシャルを有しながらも、新たな競争力の源泉となる人材の活力

向上や、企業活動の効率性及び規格基準の共通性といったビジネスモデル構築に対する取組に遅れが見られ、

我が国産業が国際競争力を発展させていくための基盤づくりが改めて必要となっている。

コラム24

コラム第24-1表 �JADEX指標 国際競争力指数ランキング

対象国 2009年版 2008年順位 ポイント 順位 ポイント

アメリカ 1 (→) 63.7(↑) 1 63.3中国 2 (↑) 56.5(↑) 3 54.9日本 3 (↓) 56.1(↓) 2 56.4イギリス 4 (→) 53.6(↓) 4 53.9

オーストラリア 5 (↑) 53.6(↑) 6 53.3ドイツ 6 (↑) 53.4(↑) 7 53.0

シンガポール 7 (↓) 52.9(↓) 5 53.9韓国 8 (↑) 52.5(↓) 9 52.5香港 9 (↓) 51.4(↓) 8 52.8スイス 10 (↑) 51.3(↑) 16 50.6

資料:社団法人日本プロジェクト産業協議会 「産業界からみた東アジアにおける国際競争力指標(JADEX 2009)」 から作成。

我が国にもグローバル化して海外の活力を取り込むために多くの可能性が存在していることを見た。世界の

情勢を把握しながら、方向性を見出していくことが必要である。

第3-1-2-28図 �企業規模別の海外生産比率の推移

18.2 18.4 19.1

22.423.6 23.3

24.225.5

27.4 27.5

1.0 0.9 0.8 1.0 1.1 1.6 2.0 1.7 2.3 2.5

0

5

10

15

20

25

30

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

製造業(大企業)製造業(中小企業)

(%)

(年度)

原出所:経済産業省「海外事業活動基本調査」、財務省「法人企業統計年報」。資料:中小企業庁「中小企業白書(2010年版)」から作成。

第3-1-2-27図 �従業員数規模別の輸出・直接投資企業の割合

0.3 0.6 1.3 1.7 2.6 3.7 5.0 7.112.1

18.4 20.6

27.1

34.5

55.3

0.1 0.3 0.4 0.5 0.8 1.2 1.7 3.1 6.3

10.7 13.5

17.9 21.7

36.1

0

10

20

30

40

50

60

輸出企業割合直接投資企業割合

(%)

1000人超

501~1000人

401 ~500人

301 ~400人

201 ~300人

101 ~200人

51~100人

41~50人

31~40人

21~30人

16~20人

11~15人

6~10人

0~5人

備考:工業統計表再編加工。資料:中小企業庁「中小企業白書(2010年版)」から作成。

24 各国の総合評価の偏差値は、第1位米国(63.7)、第2位中国(56.5)、第3位日本(56.1)、第4位英国(53.6)と続いている。