pmiフォーラム2014...
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プロジェクト型演習における最適なチーム構成とは?学びの過程はどのようなものか? - 早稲田大学情報理工学科の4年間の実践から - 7月13日(日) 16:20~16:45 早稲田大学理工学術院准教授 早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長 鷲崎弘宜 氏 講演概要 本講演では、大学の情報系教育におけるプロジェクト型演習講座の実施にあたり、個人特性の観点から教育効果に優れた学生チームを構成する方法を紹介する。講演者らは早稲田大学情報理工学科における4年間のプロジェクト型演習講座の実施にあたり、個人特性や演習中の発言、獲得知識等のデータを記録・測定し分析することで、チームにおける個人特性の偏りやばらつきが演習や知識獲得に与える影響を明らかとした。さらに、演習の実施における学生やチームの知識・技術獲得の過程をグランデッドセオリーを用いて明らかとした結果を合わせて報告する。TRANSCRIPT
プロジェクト型演習における最適なチーム構成とは?学びの過程はどのようなも
のか?~ 早稲田大学情報理工学科の実践 ~
鷲崎 弘宜早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所
所長協力 : 山田 佑輔 伊永 祥太 筧 捷彦 深澤 良彰(早稲田大学)
山戸 昭三(筑波大学) 大久保 雅司( NEC マネジメントパートナー)
Yusuke Yamada, Shota Inaga, Hironori Washizaki, Katsuhiko Kakehi, Yoshiaki Fukazawa, Shoso Yamato, Masashi Okubo, Teruhiko Kume, Manabu Tamaki, “The Impacts of Personal Characteristic on Educational Effectiveness in controlled-Project Based Learning on Software Intensive Systems Development,” 27th IEEE-CS Conference on Software Engineering Education and Training (CSEE&T 2014)
PMI フォーラム 2014 7 月 13 日
IT システム開発のプロジェクト型演習
• 学生が自律的に実問題を特定および解決• 大抵、チームで実践
3
問題発生
学生の体験 : 3 年次の PBL
4
学生の体験 : 何が問題であったか?
偏った個人特性 不適切なプロセスガイドなし
……
5
リーダ
マネジメント
学生の体験 : どうあるべきであったか?
補完的な個人特性 適切なプロセスガイド
……
6
リーダ
マネジメント
研究課題 Research Questions
• RQ1: 学習効果の高いチームにおいて個人特性はどのような傾向にあるか?
• RQ2: 学生は学習プロセスをどのように認知しているのか?
• RQ3: 学習効果の高いチームの学習プロセスはどのような傾向にあるか?
学習プロセス
チームの決定 コントロールされたPBL コースの実施 コースの終了
1st アンケート
2nd アンケート
1st 学習ジャーナル
2nd 学習ジャーナル
FFS 理論
Q1, ………….Q2, ………….Q3, ………….
Q1, ………….Q2, ………….Q3, ………….
個人特性
Receptive Condensable
Preservative
Diffusible
X
Y
20
-20
-20
20
M-GTA定性的分析
定量的分析
定量的分析
研究方法
7
学習効果
アンケート – 学習効果
• 同一アンケートを事前、事後で利用– 40 質問項目 (5 段階 )
• 事前から事後への知識・スキルの質問項目回答の「のび」で学習効果を定量化– 学習効果 (Kdif) = 事後の合計 (Kaft) – 事前の合計 (Kbef)
Knowledge and skills Evaluation
Q1. Planning 1. I do not know ~ 3. I know ~ 5. I can perform
Q2. Presentation 1. I do not know ~ 3. I know ~ 5. I can perform
… …
Q39. Requirement analysis 1. I do not know ~ 3. I know ~ 5. I can perform
Q40. Risk management 1. I do not know ~ 3. I know ~ 5. I can perform
9
FFS 理論 – 個人特性• 様々なモデル
– FFS ( Five Factors & Stress ) [ 小林 01]: 特徴定量化– ハーマンモデル [Herrman00]– Five Factor Model
• FFS 理論– 30 問アンケートによる傾向特定 : 可変、内外– 例 : 嫌なことがあると黙ってしまう( 4 段階回答)
[Herrman00] Ned Herrman, “ ハーマンモデル-個人と組織の価値想像力開発-” , 2000
変化
安定
外部情報吸収
内部情報・経験凝集
リーダ
アンカー
タグボート
マネージャ
[ 小林 01] 小林恵知 , “ チームマネージメント” , 2001
学習ジャーナル : 学習プロセス
学習プロセスチームの決定 コントロールされたPBL コースの実施
コースの終了
1st 学習ジャーナル
2nd 学習ジャーナル
Learning Journal
Learning Journal
修正グランディッドセオ
リー
12
気づき/振り返り ・演習を通じて気づいたことや改善を要する事項について所感を記してください。
他の班の発表で自分が気が付かないような項目に関して、言及していたので参考になった。人を惹きつけるようなプレゼンのやり方を学んだ。システム開発において、何が重要なことなのかを理解することができた。
プロセスプロセス
修正グランディッドセオリー (M-GTA)[2]
• 定性的分析手法• 記録やデータから概念への変換
学習ジャーナ
ル 1
……………
活動 1 活動 2 活動 3
………活動 4 活動 5
学習プロセス学習プロセス
学習ジャーナ
ル 2
学習ジャーナ
ル N13 [2] Y. Nagayama, M. Hasegawa, “Nursing care process for releasing psychiatric inpatients from long-term seclusion in Japan:
Modified grounded theory approach”, Nursing and Health Sciences, Blackwell Publishing Asia Pty Ltd, Yamaguchi, 2012.
評価対象• 情報理工学科 3-4 年生• 90 分 ×3 コマ ×5 日間• 産学連携 IT システム開発教育
– 協力 : NEC, NEC ラーニング , 筑波大学 , IPA
年 学生数 チーム数2011 26 62012 17 42013 39 8
15
学習プロセス
チームの決定 コントロールされたPBL コースの実施 コースの終了
1st アンケート
2nd アンケート
1st 学習ジャーナル
2nd 学習ジャーナル
FFS 理論
Q1, ………….Q2, ………….Q3, ………….
Q1, ………….Q2, ………….Q3, ………….
個人特性
Receptive Condensable
Preservative
Diffusible
X
Y
20
-20
-20
20
M-GTA定性的分析
定量的分析
定量的分析
研究方法
学習効果
個人特性と学習効果の分析結果
p-value: 0.03 (<0.05) (t-test)
個人特性がばらついたチームほど、偏ったチームよりも学習効果が高い。
偏ったチーム
ばらついたチーム
学習効果
チーム内の個人特性の標準偏差
高い
低い
学習プロセス
チームの決定 コントロールされたPBL コースの実施 コースの終了
1st アンケート
2nd アンケート
1st 学習ジャーナル
2nd 学習ジャーナル
FFS 理論
Q1, ………….Q2, ………….Q3, ………….
Q1, ………….Q2, ………….Q3, ………….
個人特性
Receptive Condensable
Preservative
Diffusible
X
Y
20
-20
-20
20
M-GTA定性的分析
定量的分析
定量的分析
研究方法
7
学習効果
学習ジャーナルの定性的分析結果
- 学習プロセスの全体Have learning motivation
Introduction of the tasks
Teamwork
Accomplishment of given tasks
Introspection
Before the course
During the course
Acquire skill and knowledge
・ discussion・ role sharing・ helping each
other・ information
sharing
Determine learning goals
Find weakness and how to overcome it
20
学習効果の高い・低いチーム比較
21
学習効果の高いチームほど、限られた数の活動を学習ジャーナルで指摘していた。
ある学習効果の高かったチーム ある学習効果の低かったチームHave learning
motivation
Introduction of the tasks
Teamwork
Accomplishment of given tasks
Introspection
Acquire skill and knowledge
Determine learning goals
Find weakness and how to overcome it
Have learning motivation
Introduction of the tasks
Teamwork
Accomplishment of given tasks
Introspection
Acquire skill and knowledge
Determine learning goals
Find weakness and how to overcome it
まとめ• 関連研究
– Five Factor Model による個人特性識別とペアプログラミングの関係分析 [3]
– プロジェクト上のリスクと個人特性の偏りの関係の指摘 [4]
• 結論– RQ1: 個人特性が多様な補完的チームほど、学習効果が
高い。– RQ2: 学習ジャーナルへの修正グランディッドセオリー
の適用により学習プロセスを識別した。– RQ3: 学習効果の高いチームほど、少数の活動を指摘し
ていた。• 展望
– ハーマンモデルや Five Factor Model の活用– 学習プロセスと個人特性および学習効果の関係精査
[3] N. Salleh, E. Mendes, and J. Grundy. 2009. An Empirical Study of Effects of Personality in Pair Programming using the Five-Factor Model. Empirical Software Engineering and Measurement, ESEM 2009. pp. 214-225. [4] Gary Klein, et al., “Wanted: Project teams with a blend of IS professionals orientation,” Communications of the ACM, Vol.45, No.6, 2002.