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Principles of Sports Training p.35 ~ p.49 1. 意識的な関わりの原則 コーチは選手のトレーニング段階や年齢によって選手を交えてトレーニングの評 価や計画を行なう必要がある. 2. 感覚性の原則 運動課題の学習において視覚的援助は有効であるが,一方でスローモーションのみ の映像による視覚的支援といった援助は技術習得を妨げる可能性がある. 選手は習得した技術に対して「暗号化」したイメージを構築しており,それは技術 的に外的フォームと一致する必要はない. 3. 個別性とアクセサビリティー(影響の受けやすさ)の原則 身体的性質が異なっている選手では同じ運動や負荷に対して異なる反応を示すの で,均一な負荷をもって同じ運動を行なわせることは個別性の原理に反している. トレーニングにおいて実施される運動は選手の能力とかけ離れたものは望ましく ない.しかし選手の能力は常に変化しているので,ある運動が選手にとって不適切 な運動でも後に適切な運動となりうる場合がある. 4. 負荷の一般的増加の原則 外的な負荷が常に一定の場合,選手のパフォーマンスははじめのうちは向上するが 後にプラトーとなりついには低下する. 選手のパフォーマンスを高めるためには,長期的な傾向としてトレーニングの量と 強度を増加させる必要がある.これは技術の発達にもあてはめることができ,常に 技術的課題の難易度を高める必要がある. トレーニングがまれに行なわれる場合やトレーニング強度と量が低いときは一時 的に直線法を用いて負荷を増加させることが可能である. 負荷を増加させる方法は以下の 3 つの方法が存在する. I. 直線法:負荷は規則正しく増加する. II. 段階法:ミクロサイクル中に負荷が急激に増加し,その後一定を保つ.直線 法に比べて選手への負荷は大きい.

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Page 1: Principles of Sports Training HPアップ用tanisato.com/labo/wp-content/uploads/2012/12/c1992bcfccd...Principles of Sports Training p.35 ~ p.49 1. 意識的な関わりの原則 !

Principles of Sports Training p.35 ~ p.49

1. 意識的な関わりの原則 l コーチは選手のトレーニング段階や年齢によって選手を交えてトレーニングの評価や計画を行なう必要がある.

2. 感覚性の原則 l 運動課題の学習において視覚的援助は有効であるが,一方でスローモーションのみの映像による視覚的支援といった援助は技術習得を妨げる可能性がある.

l 選手は習得した技術に対して「暗号化」したイメージを構築しており,それは技術的に外的フォームと一致する必要はない.

3. 個別性とアクセサビリティー(影響の受けやすさ)の原則 l 身体的性質が異なっている選手では同じ運動や負荷に対して異なる反応を示すので,均一な負荷をもって同じ運動を行なわせることは個別性の原理に反している.

l トレーニングにおいて実施される運動は選手の能力とかけ離れたものは望ましくない.しかし選手の能力は常に変化しているので,ある運動が選手にとって不適切

な運動でも後に適切な運動となりうる場合がある.

4. 負荷の一般的増加の原則 l 外的な負荷が常に一定の場合,選手のパフォーマンスははじめのうちは向上するが

後にプラトーとなりついには低下する. l 選手のパフォーマンスを高めるためには,長期的な傾向としてトレーニングの量と強度を増加させる必要がある.これは技術の発達にもあてはめることができ,常に

技術的課題の難易度を高める必要がある. l トレーニングがまれに行なわれる場合やトレーニング強度と量が低いときは一時的に直線法を用いて負荷を増加させることが可能である.

l 負荷を増加させる方法は以下の 3つの方法が存在する. I. 直線法:負荷は規則正しく増加する. II. 段階法:ミクロサイクル中に負荷が急激に増加し,その後一定を保つ.直線法に比べて選手への負荷は大きい.

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III. 波形法:メゾサイクル中の初めのミクロサイクルでは負荷を徐々に増加させ,次のミクロサイクルでは負荷が小さくなる.波形法は身体の組織やシス

テムの適応的におけるリズムにあわせることができるので,最も合理的であ

る. 5. 専門性の原則

l 選手の競技的フォームが発達していくにつれてすべての能力を最大にしようとする試みは不適切であり,最も優先的な能力を最大化させることが求められる.

l スポーツにおいて専門的な適応を発達させるために,ある運動におけるイベントや

その一部を繰り返すだけでは不十分であり,その運動に必要な身体的な能力を細分

化し個別に発達させる必要もある.

6. 将来的な専門性のための一般的で多面的な基盤を用意することの原則 l 競技的なトレーニングにおける「専門性」は,できるかぎり一般的発達の広い基礎の上に築かれるべきであり,一般的発達の欠如は専門性における可能性を制限する.

l スプリンターにおける競技的フォームの変動のうち 37%が有酸素的な能力によって説明されるとも言われている.

l 専門的運動はシステム,組織あるいは筋のすべてを発達させることはなく,専門的

運動だけを行なっている選手は身体の一部が弱点となり進歩の制限要因となりう

る.そのため,専門的運動に先立って一般的運動が行なわれる必要がある. l 専門的な運動中においても,ミクロサイクルやトレーニングの中で一般的な運動を

行なう必要がある. l 選手が技術を習得したにも関わらず,基本的で単純な運動だけを行なっていると技術が消失される可能性がある.

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負荷増大法の概念図

注;本文 p.39より抜粋

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l 選手が彼らの競技人生において,早期から一般的な運動を犠牲にして専門的な運動を行なうと,はじめのうちは技術の発達は早いが,一般的能力の発達の基礎に基づ

いていないのでその後すぐにプラトーを迎える可能性がある.

7. 一般的準備の専門性の原則 l 選手の競技人生において徐々にトレーニングが専門化されていくように,一般的準備は「専門性」を得るのに不可欠である.

l あるスポーツにおいて専門的な運動は他のスポーツにとっては一般的な運動にな

ることがある.(例:スクワットは,パワーリフターにとっては専門的な運動であ

るが,柔道選手にとっては一般的な運動である.) 8. トレーニング過程の継続性と体系性の原則

l トレーニング過程は以下の原則に従う. I. 体系的であるということ II. コントロールテストの結果に従って管理・計画されること III. 以前に行なったことのある運動に基づいて新たな運動を選択すること IV. リズミカルで散発的でないトレーニングプロセスであるということ

9. トレーニング過程の循環的な特徴の原則

l トレーニングの主要な要素は体系的な反復であるが,後のサイクルにおいて選手が必要とする能力が変化するのに従ってトレーニング課題も変化する必要もある.

l トレーニングサイクルのそれぞれの局面では適切に選択されたトレーニング方法の使用が求められるが,間違った比率や期間で行なわれるとその効果は消失される.

10. 効果の経済性の原則

l ある能力を発達・維持させる場合,必要最低限の負荷を用いるべきである.低い負荷を用いることで怪我やオーバートレーニングを防ぐことができる.