redd+を解析する...redd+を解析する 課題と選択肢 アリルド・アンジェルセン...
TRANSCRIPT
REDD+を解析する課題と選択肢
アリルド・アンジェルセン 編著
藤間 剛 監訳
共編者 マリア・ブロックハウス
ウイリアム・D・サンダーリン
ルイ・V・ベルショ
編集協力 テレサ・ドッケン
日本語版編集協力 林 敦子、江原 誠
日本語版言語編集、進行管理 森林総合研究所REDD研究開発センター
日本語版レイアウト CIFOR
© 2012 by the Center for International Forestry Research.All rights reserved.
Angelsen, A., Brockhaus, M., Sunderlin, W.D. and Verchot, L.V. (eds) 2012 Analysing REDD+: Challenges and choices. CIFOR, Bogor, Indonesia.
アンジェルセン、A.、ブロックハウス、M.、サンダーリン、W.D.、ベルショ、L.V.(編).藤間剛(監訳). 2015. REDD+を解析する 課題と選択肢.国際林業研究センター(CIFOR)、ボゴール、インドネシア
ISBN 978-602-1504-63-5
写真表紙© Cyril Ruoso/Minden Pictures第1部. Habtemariam Kassa, 第2部. Manuel Boissière, 第3部. Douglas Sheil1章 10章 Yayan Indriatmoko、 2章 Neil Palmer/CIAT、 3章 12章 Yves Laumonier、 4章 Brian Belcher、 5章 Tony Cunningham、 6章 16章Agung Prasetyo、 7章 Michael Padmanaba、 8章 Anne M. Larson、 9章 Amy Duchelle、 11章 Meyrisia Lidwina、 13章 Jolien Schure、 14章 César Sabogal、 15章 Ryan Woo、 17章 Edith Abilogo、 18章 Ramadian Bachtiar
デザイン:CIFOR情報サービスグループ、マルチメディアチーム日本語版言語編集、進行管理 :森林総合研究所REDD研究開発センター日本語版レイアウト:CIFOR
CIFORJl. CIFOR, Situ GedeBogor Barat 16115Indonesia
T +62 (251) 8622-622F +62 (251) 8622-100E [email protected]
cifor.orgForestsClimateChange.org
本書で示される考えは執筆者のもので、必ずしもCIFOR、編集者、執筆者の所属機関、資金提供者もしくは査読者の考えを示すものではありません。
本書(日本語版)はCIFORと森林総合研究所の研究協力の一環として作成されました。
国際林業研究センター(CIFOR)CIFORは、発展途上国の森林に影響を与える政策や実務に情報を提供する研究を通じ、人類の福祉、環境保全、平等に貢献します。CIFORは国際農業研究協議グループ(CGIAR)コンソーシアムの研究機関です。インドネシア共和国ボゴール市に本部があり、アジア、アフリカ、南アメリカ各地に地域、プロジェクト事務所があります。
Appendix(付録)
CIFORによるREDD+に関する国際比較研究
(Global Comparative Study on REDD+: GCS)
ルイ・V・べルショ、マリア・ブロックハウス、ウィリアム・D・サンダーリン、
アリルド・アンジェルセン
CIFORが実施中の、森林減少および森林劣化からの排出削減(REDD+)に関する
国際比較研究(Global Comparative Study on REDD+: GCS)には、3つの構成課題か
らなる研究と、研究成果を共有するための普及啓発活動が含まれる。GCSの主な目的
は、REDD+の政策立案者と実践者の集団が、貧困の低減、地域の生計の保護、人権と
所有権、炭素の他の生態系サービスの強化などの共通便益(co-benefits)と、公平なイ
ンパクトを、効果的・効率的な炭素の排出削減と共に達成するための、情報、分析およ
び手段を提供することである。我々はこれを「3E+の枠組み」と呼び、前書「Realizing
REDD+」において詳述した(Angelsen et al. 2009)。
Appendix(付録)334 |
GCSの研究活動は次の三つの構成課題によって実施されつつある。
1. 国家によるREDD+の取組み
2. 準国(地方行政区)レベルのプロジェクト
3. モニタリングと参照レベル
構成課題1の主な目的は、REDD+の国家戦略と政策による「3E+」の成果の達成を
支援することである。この目的は、REDD+の国家戦略と政策のために設計され、多様な
利害関係者の興味を考慮し、情報、分析、手法を提供することで実現しつつある(本書
の第5、8、9、17章)。また第一世代のREDD+国家戦略・政策の詳細な分析により、
第二世代のREDD+国家政策をより良いものとすることを目指している。
構成課題2の主な目的は、第一世代の準国レベルREDD+プロジェクトに対し、その
設計と実施状況の分析により情報を提供することである。分析結果と開発中の手法に
より、REDD+プロジェクトによりどのように、「3E+」の成果を達成するかの教訓を増や
表A1 国際比較研究対象国
国名 構成課題1 構成課題2 構成課題3
ブラジル X X
ペルー X X X
カメルーン X X X
タンザニア X X
インドネシア X X X
ベトナム X X X
ボリビア X X
コンゴ民主共和国(DRC) X
ネパール X
ブルキナファソ X
モザンビーク X
パプアニューギニア (PNG)
X
注: 行の色の違いはGCS研究の実施度合い(上ほど重点的に実施)を示す。
Appendix(付録) | 335
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Appendix(付録) | 339
すことができる。第一世代のREDD+実施活動の詳細な分析から引き出される最良の
実践例と教訓は、第二世代のREDD+実施活動に対して情報を提供し、より良いものと
する。
構成課題3の主な目的は、REDD+プロジェクトと国家のREDD+枠組みのため、より
良くかつ費用対効果の高い測定・報告・評価(MRV)システムの構築を支援する。その
ため、MRV実施機関と制度の能力向上、国・準国レベルの参照排出レベル(RELs/RLs)
を計算するための方法、IPPC-Tier 2レベルのインベントリ手法(定義については、第
15章およびBox 16.3を参照)のよりよい実践のための排出係数、共同体のMRVへの
参加、について、新しい知識を提供しつつある。現在は、ほとんどの発展途上国が、国
家の温室効果ガスインベントリ算出にTier 1レベルの手法を用いている。炭素インベ
ントリにおいてIPPC-Tier 2レベルの手法の適用を進めるため、炭素蓄積量の推定と
サンプリング設計について、より良い知識の提供を目指している。これにより、より正確
な排出削減量の推定が可能となる。
GCSの普及啓発活動は、上述の3つの構成課題から得られる研究成果を、すべて
の行政レベルにいるREDD+の政策立案者や実践者に普及することを目指している。こ
の活動は、インターネットのウェブサイトを通じたものが主であるが、本書の出版のよ
うな伝統的な方法でも、情報の普及をおこなっている。
GCSのそれぞれの構成課題は、異なる目的と対象範囲をもって12のREDD+実施国
で進行中である (表A1)。
GCSには多くの協力者が参画している(表A2)。国内組織として、インドネシアのア
チェ地方政府、カメルーン林業省などの政府機関、ブラジル発展・教育・社会ネットワ
ーク(REDES)やインドネシア環境法センター(ICEL)のようなNGOが参画している。国
際的には、国連機関(FAO、UNDP、UNEP、UNFCCC)と大規模国際NGO(CARE、The
Nature Conservancy、WWF)などと協力している。さらに、いくつかの民間企業(例え
ば、Starling Resources)、先進国の大学(ノース・カロライナ州立大学、ノルウェー生命
科学大学、メルボルン大学)などとも協力している。
構成課題1:国家REDD+政策過程GCSの構成課題1では、国家REDD+戦略の形成と実施に繋がる政策過程を分析
する。研究はボリビア、ブラジル、カメルーン、コンゴ民主共和国 (DRC)、インドネシア、
ネパール、ペルー、タンザニア、ベトナムの9カ国で研究が実施されている。またブルキ
Appendix(付録)340 |
国別
事例
研究
多国
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事例
研究
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実施のための提案と、国際・国内制度構造が必要とする案の提供
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国別
事例
全体
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)目
的:提案された政策措置の評価、R
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+を理解するための障害と機会の特定、3
E+の成果と共通便益の保障、より良い国内政策形
成と実施のための政策提案
方法:
既存の
RED
D+の国家戦略(アクター、メカニズム、構造)の政策内容・内容分析
RED
D+政
策内
容分
析目
的:3E
+の結果と共通便益を守るために提言された政策措置の特定および分析
方法:
RED
D+の国家戦略上の既存の文書の政策内容分析
政策
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ク分
析目
的: アクターとその関係者、政策の場における構造的状態
(活動家、視点、権力、立場)の分析
方
法:調査、詳細なインタビュー
国別
概要
目的:背景的状況の明確化
(森林減少の促進要因、制度、政治経済、
議論されている
RED
D+の構造
) 方
法:文献レビュー、専門家へのインタビュー
可変的要素: 新しく発生するもしくはある国固有の課題や疑問を捉えるための特定の政策に関する研究で、政治経済学的研
究に焦点を置く
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言説
分析
目的:
どの種類のアクターが公共の議論を
形作り、政策過程に影響するかを決定する
方法:メディアに基づく分析
図A1
GC
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課題
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研究
項目
Appendix(付録) | 341
表A3
構成
課題
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分析
手法
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目的
と概
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方法
目的
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副部
門上
の詳
細な
ガイ
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開イ
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D+と
関係
する
国家
の背
景、議
論さ
れて
いる
RED
D+の
選択
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内の
主要
な問
題と
課題
の列
挙に
よる
国家
政策
を左
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る力
関係
につ
いて
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説の
提供
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林減
少の
促進
要因
、一般
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林産
業の
統治
、天然
資源
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素の
所有
権、関
連部
門の
政策
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MRV
に関
する
RED
D+の
選択
肢の
解説
;資
金調
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利益
・費
用配
分;
制度
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策の
配置
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重要
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よび
政策
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3E+の
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にお
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簡潔
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価が
含ま
れて
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言説
分析
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づい
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分析
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関す
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説の
、頻度
、枠組
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項目
、項目
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説が
国家
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範な
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言説
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政策
ネッ
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RED
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意に
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DD
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形成
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長期
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り返
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評価
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きる
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課題
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究の
結果
から
、効果
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関す
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果を
評価
する
こと
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きる
。
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D+の
政策
内容
分析
既存
の国
家の
戦略
文書
を特
定し
、3Eの
結果
と共
通便
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守る
ため
に提
言さ
れた
政策
措置
の詳
細な
内容
分析
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供す
る。
次ペ
ージ
に続
く
Appendix(付録)342 |
方法
目的
と概
要
政策
研究
;適
切な
形で
継続
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実施
され
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題・
選択
肢を
対象
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適用
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価上
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の成
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政策
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比較
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比較
分析
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議論
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題に
対処
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ガイ
ドラ
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準、統
治要
素、国
の背
景変
化な
ど、様
々な
分析
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点が
適用
され
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記の
すべ
ての
手法
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派生
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基に
、国際
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比較
分析
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例研
究間
、手法
間の
比較
研究
を実
施す
る。
表A3
前
ペー
ジよ
り続
く
Appendix(付録) | 343
ナファソ、モザンビーク、パプアニューギニアの3カ国で追加的に部分的な分析が行わ
れている。さらにノルウェーにおけるメディア言説の解析も進行中である。
構成課題1の研究目的は、国家政策立案者に対し、適切な政策設計により効果的
な政策立案の制約にどのように対処できるかを伝えることである。効果的・効率的・公
平的なREDD+政策戦略の達成のために、証拠に基づいた選択肢を提示することに焦
点をあてている。政策提言には、それぞれの国に特有の背景に応じた制度設計の的な
構築の要素を含んでいる。
構成課題1では、REDD+国家戦略とその形成および実施による「3E+」の結果が、
政策過程に参画するアクターや統治機構や統治構造にどのように依存しているかを
調べている。より広くいえば、ある国の制度的文脈、言説的実践、マクロ経済状況が、国
家政策にどのように影響するかを解析している。政策設計と実施の成功度を説明する
ため、政治的約束の度合い、国内権力の動態、政策学習過程の有無等を、解析する。さ
らに、適切な制度機構の欠落により、森林減少の低減のための経済的動機付けの効
果的な目標設定、幅広い共通便益の達成、それらに対する障害物を乗り越える選択肢
などが、どのように制限されるかを精査する。
比較分析は、個別の詳細な事例研究を補完し、国家REDD+戦略の「3E+」の結果の
国による変動を説明する社会的、政治経済的、制度的要因を評価する。
CIFORの研究者は、国家REDD+戦略を解析するために、国別概要、メディア分析、
政策ネットワーク分析、REDD+政策内容分析、それぞれの国に必要な特有の研究対象
についての柔軟な方法という、5つの研究手法を開発した。これらの詳細は、表A3と
図A1で説明している
構成課題2:準国レベルのプロジェクト構成課題2は、REDD+プロジェクトは「3E+」共通便益を満たすためどのように設計
されうるのか、という包括的な問いに答えるための、堅実な経験的基礎を提供すること
を目的とする。また、次の付随的な問いに答えることも目指している。REDD+プロジェク
トは「3E+」共通便益の基準をみたすのか。できるとすれば、その方法はなにか。できな
いならば、その理由はなにか。これらの知見により、現在実施中そして将来実施される
プロジェクトの設計と実施をどのように改善するかを検討する。
Appendix(付録)344 |
構成課題2では上記の疑問に答えるため、事前事後/介入有無比較(Before-
after/control-intervention: BACI)とよばれる手法を用いる。条件付きの成果に応じ
たREDD+インセンティブ(生態系サービスに対する支払い、PES)導入の前後に収集さ
れた、社会経済的および自然科学的データが、BACIのBAの部分に該当する。REDD+
プロジェクト実施対象地内(介入)と対象地外(対象)の村別に集められたデータが、CI
の部分である。Jagger et al. (2010)はBACI手法を詳細に記述している。Sunderlin et
al.(2010)は、構成課題2を実施するためのガイドラインを示している。
収集されたデータはプロジェクトが今後どのように機能するかの予測(事前アプ
ローチ)に使用され、またREDD+プロジェクトの介入実施後に収集されたデータは
REDD+による介入の影響の遡及的評価(事後アプローチ)に用いられる。
構成課題2の現地調査はGCS対象7ヶ国の24件のプロジェクト実施対象地で実施
されつつある。国(プロジェクト数)は、ブラジル (7)、ペルー (2)、カメルーン (2)、タン
ザニア (6)、インドネシア (6)、ベトナム (1)である1。表A4に現地調査を実施中のプロ
ジェクト一覧を示す。現地調査実施前に、REDD+による条件付きのインセンティブの導
1 ブラジルでは残り2つのプロジェクトの選定が終わっていなかった。
図A2 構成課題2のBACI(事前事後/介入有無)比較対象
比較(対象)
プロジェクト実施場所(介入)
事前
対象前 対象後
介入後介入前
事後
影響
Appendix(付録) | 345
表A4
構成
課題
2が
対象
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Appendix(付録)346 |
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Appendix(付録) | 347
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Appendix(付録) | 349
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Appendix(付録) | 351
表A5
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Appendix(付録) | 353
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Appendix(付録)354 |
入がすでにはじまっていたブラジルのボルサ・フロレスタ・プロジェクトを除く、全てのプロ
ジェクトでBACIの手法を適用してい る。
分析単位は、プロジェクト実施対象地、プロジェクト対象地内にある村および村内の
世帯(世帯分析はすべてのプロジェクト実施場所では行われていない)、である。16件の
重点調査対象プロジェクトでは、プロジェクト全体で8つの村 (4つの介入村、4つの対象
村)と約240 世帯(それぞれの村で30世帯)を対象に、分析を実施している。5件の広域調
査プロジェクトでは、プロジェクトと4つの介入村で調査を実施したが、対象村および世帯
調査は実施していない。本書執筆時(2012年5月)現在、20件のプロジェクト(うち19件が
BACI手法による)、170村、3905世帯のデータが収集されている(表A5参照)。
当初の計画では、GSCの第一期(2009-2013年)に、事前および事後アプローチによ
る研究の両方を実施する計画であった。しかし、ほとんど全ての調査対象プロジェクトで
REDD+の条件付きインセンティブの導入が遅れていたこと(第10章参照)により、不可能
となった。そのためGCS第一期の構成課題2は、ベースラインとなるデータの収集に重点
をおき、介入後のデータ収集およびREDD+プロジェクトの実施過程や早期の結果に関す
る事後アプローチによる分析は、2013年以降に実施することにした。
構成課題2の調査では、目的、分析単位、目的とする人口に応じた、さまざまな調査手
法を用いている。表A6では調査手法を、目的ごとに区分してそれぞれの利用方法を示し
ている。そのうちのいくつかの手法はGCSのウェブサイトで閲覧できる。(www.cifor.org/
nc/online-library/browse/view-publication/publication/3286.html)
構成課題3:モニタリング・参照レベル構成課題3は、政策立案者とREDD+実施者に、よりよい温室効果ガスインベントリと
国および準国レベルの参照レベルを確立するための情報と手法を提供する。研究活動は
現在、ペルー、カメルーン、インドネシア、ベトナムで進行中である。また部分的な分析がボ
リビアとケニアで行われた。
構成課題3では、REDD+がどのように効果的・効率的に実施されうるかを精査する。
この構成課題に取り組むことは、影響属性(誰が何を行ったか)と精密性の改善を通じて、
公平性に対する疑問にも対応する。公平性は、参照レベルの設定上の一つの問題として
も議論されている。気候変動対策におけるコミュニティ及び生物多様性への配慮に関す
る企業・NGO連合(CCBA)の、社会的・環境的な配慮を持つ炭素基準についての分析も実
施している。表A7に構成課題3の研究手法を要約して示す。
Appendix(付録) | 355
この研究は、能力と能力の欠落を特定することを通して、制度レベルでのMRVの
効果性・効率性を調査している。それぞれの国は、国家MRVシステムを実施するため
に、森林面積変化と炭素密度変化を評価できなければならない。国によって自然科学
的状態が変化することは、MRVの課題が多様であることを意味する。この分析では欠
落を特定するための能力における課題を比較する。能力向上の取組みを評価するた
め、直近2回の世界森林資源評価の比較により能力向上の進捗を分析した。
長年にわたるCIFORの森林減少の経済的原因に関する研究を基礎として、参照排
出レベル(RELs)/参照レベル(RLs)を決めるステップワイズ・アプローチを開発した(第
16章)。UNFCCCにおける決定は、歴史的なデータの利用、国家状況に応じた調整とど
の炭素プールとガスが含まれるか除外されるかについての透明性により、RELs/RLs
を構築するためのデータを基礎とする手法の重要性を示した。それぞれの国で使用
可能なデータと収集されるデータの質は、森林のRELs/RLsの構築を支える主な課題
である。回帰モデルの有効性を試すために、異なる集合レベルをもつ行政区画のデー
タを用いる。このことはそれぞれの国に、将来の森林減少率の予測と説得力のある将
来の排出量シナリオの分析を可能とする。この分析的な手法により、既知の森林破壊
表A7 国家REDD+戦略の分析手法;概要と主な目的
手法 目的と概要
制度的能力 非附属書I国(全99ヶ国)におけるベースライン能力レベルの評価。なぜ能力が低くありつづけるのか、またその対策として何ができるか、を理解することを目的とする発展途上国での能力評価のための事例研究
参照排出レベル 多変量回帰モデルを用いたステップワイズ・アプローチの開発と試行温室効果ガス排出量の将来傾向を予測する統計モデルを利用した国内事例研究の実施
排出係数 気候変動枠組条約における温室効果ガス排出量報告のため国家データの評価熱帯湿地およびCO2以外の温室効果ガスに関する排出係数を改善するための学術論文の精査実施国の技術部門の協力による排出係数決定のための野外調査
住民共同体の参画による森林炭素モニタリング
住民共同体および専門の森林技術者による森林炭素蓄積量測定の費用と正確さを比較検証するための野外調査。森林炭素モニタリング測定手法の提供など、共同体からの要求を含む参加型森林モニタリングの設計共同体による森林モニタリングに対する態度とその変化に関する社会学的調査
Appendix(付録)356 |
の原因に関する透明性のある仮定から、将来的起こりうる排出量の範囲の推定を可能
とする。
国家の温室効果ガス推定をIPCC手法に基づいて実施するために必要な排出係数
は、多くの発展途上国においてMRVを実施するうえでの重要な制約である。調査対象
の国および重要な森林生態系において、排出係数の現状を評価し、追加的に収集す
べきデータの優先順位を示した。研究チームは対象国の技術部門と協力して、インベ
ントリ改善のためのデータを収集している。特にデータが不足している、熱帯湿地とア
フリカの森林における土地利用変化に焦点を当てている。新しいバイオマスの推定式
を開発し、ルート/シュート比を推定するために、根系の掘りとり調査を実施した。土地
利用変化が土壌呼吸とN2OとCH4のフラックスに与える影響を調べるために、チャンバ
ー法によるガスフラックス測定を多数実施した。また、泥炭の分解に対する肥料の効果
を測定した。アフリカ、アジア、中南米の現地研究者は、この活動に参加することで、経
験的・数量的手法による測定能力を向上させつつある。
最後に、地域の利害関係者のMRVへの参画を進めるため住民共同体の参加によ
る適切な測定手法の開発を進めている。共同体は国家MRVシステムに対して検証可
能なデータを提供することができ、いくつかの場所で方法論の設計と試行を実施して
いる。また共同体および林業専門家が実施した森林インベントリの正確さと費用に関
する比較を実施している。共同体の参加は、REDD+研究の透明性を高め、共同体によ
るREDD+に対する所有者意識を進めると期待している。この仮説を、社会学的研究に
より、経験的に確認する。
統合本書はCIFORによる国際比較研究(GCS)の最初の統合的な研究結果を示
す。CIFORによるこれまでのREDD+に関する書籍とは異なり、本書はREDD+の政策開
発・実施を支援するために設計された新しい研究の成果を示している。GCSの三つの
構成課題は、REDD+第一世代の国々における、REDD+の開発を観測するための異な
る視点を提供する。最初の二つの構成課題は、分析対象とする規模が(国とプロジェ
クトと)異なっているが、現実的にはこの二つの規模は国の中で繋がっている。同様
に、GCSでは規模と規模の間につながりがあり、構成課題間のつながりの中で、さらに
興味深い学際的な研究が発展している。MRVは、対象とする規模と統治レベルをまた
いで情報が収集・伝達されることで、規模とレベルの間の情報の移動経路を形成する。
このことは、排出削減のために、誰が何をしたかを決定する公平性評価の基礎となる。
Appendix(付録) | 357
Box A1 REDD+の調査における課題フランシス・セイモア
REDD+はいくつかの課題を研究者に提示する。2005年の気候変動枠組条約第
11回締約国会議(UNDCCC-COP11)で、途上国の森林減少を議論の対象とすること
が決まって以来、森林減少からの排出削減(Reduced Emissions from Deforestation :
RED)には、二番目の「D」として森林劣化(forest Degradation)が、そして「+」として、森
林炭素蓄積の保全、持続的森林管理、森林炭素蓄積の強化が付け加えられた。第3
章で詳述したように、当初REDD+は国から現場レベルにまたがる生態系サービスに
対する支払い(PES)の仕組みとして概念化された。その考えはその後、生物多様性保
全や貧困の軽減といった共通便益を含めるように拡張されるとともに、成果に応じた
支払いから引き離されてきた。「REDD+」という語は、一つの目的として、またUNFCCC
に提案中のシステムとして、様々な捉え方をされ、その名の下に進められる一連の政
策・事業・プロジェクトとして理解される。このため研究者は、REDD+をどう限定的に定
義するかという問いを突きつけられている。
REDD+の実践はゆっくりと進んでいる。COP13において、バリ行動計画に含まれ
たこと、大きな資金供与の公約がなされたことにより、多くの人々はREDD+の実施が
素早く進むことを期待した。一部には2010年のCOP15で気候変動対策に対する全
体的な合意がなされなかったことにより、またそれに連動して市場を基礎とする資金
が近未来に使えなさそうなことにより、全てのレベルでREDD+の進捗はゆっくりして
いる。REDD+活動の影響を介入の前後で比較しようとした研究者は、ベースラインと
なる事前データを集めた後、REDD+による介入の実施を待っている。REDD+が効果
的・効率的・公平的になるための必要・十分条件の分析の大半は、予測的なものに留
まっている。例えば、第5章で示した効果的な国レベルの政策に必要な四つの条件
は、調査した国のいずれにも存在しなかった。
REDD+は複数のレベルをもつ。本書で認められるように、それぞれの統治レベ
ルで行われるREDD+の努力は、他の統治レベルのREDD+と切り離せないほど強く
繋がっている。REDD+に関する国際比較研究(GCS)の当初計画は、準国(もしくは行
政区画)レベルの取り組みを重視していなかった。しかし、準国レベルは、土地利用
計画事業の実施そして政策形成に重要なレベルとなっている(州知事気候・森林タ
スクフォース)はその好例である。
次ページに続く
Appendix(付録)358 |
REDD+は論争を引き起こす。REDD+は、推進者と反対者が、国際交渉、国家メデ
ィア上、学会などで意見や考えをぶつけ合う対象である。研究者は事実と表現にバ
イアスがかかるのを避け、主義主張のぶつかりあいの場を誘導しなければならな
い。
REDD+には感受性が高い側面がある。REDDD+に関連するデータには、正当な
事業計画、違法な土地転換を示す地図、土地所有権に関する暴力的対立に関する
供述書など、感受性が高い情報を含んでいる。REDD+に関連する情報を集約する研
究者は、主な情報提供者からの信頼を得るための困難さを持ち、内密の協力に特別
な注意を払う必要がある。
現地調査が困難である。森林が残存する僻地での情報収集は、それ自体が危険
を伴っている。GCSの現地要員は、トラの密猟者との遭遇、自動車の故障、悪路、スズ
メバチの攻撃、粗野な宿泊施設、火炎、煙、その他の熱帯での野外調査に付随して起
きる問題を抱えている。ほとんどの場所では、医療施設は初歩的なもので、救急組織
は存在しない。
記事A1 前ページより続く
三つの構成課題の相互作用と、異なる研究分野の境界面は、重要な学びが起きる場
所である。さまざまな規模とレベルを繋ぐ研究、効果的で包括的な研究に必要な学際
性もまた課題を提示する。
REDD+は進行中の目的であるが、その動きは予想よりも遅いという事実のために、
追加的な課題に直面している。実証プロジェクトに関する情報を取り扱う場合、データ
の共有・利用における機密性と感受性の課題にも直面している。REDD+に関する研究
は、数多くの問題に直面し、GCS-REDD+の研究も例外ではない。 Box A1はこれらの課
題を要約する。
REDD+は環境的統合性と実際の排出削減を確実にするための複雑なメカニズム
であり、能力に制約のある国々で実施される。REDD+が効果的になるためには、それ
ぞれの国の現実を考慮に入れることが必要である。REDD+は熱帯林に本質的な変化
をもたらす可能性のある取組みであるが、成功が保証されているわけでは無い。GCS
により実施中の努力を通じて、主な落とし穴と過程全体を台無しにする間違いを避け
るために十分な初期の教訓を提供することを熱望している。アルバート・アインシュタ
Appendix(付録) | 359
インの言葉を言いかえれば、「REDD+は可能な限り簡潔であるべきだが、単純化され
てはならない!」ということである。
謝辞
構成課題1本研究で用いられた手法とガイドラインはMaria Brockhaus, Monica Di Gregorio
and Sheila Wertz-Kanounnikoffによって設計された。CONPON2のもとでのメディア分
析と政策ネットワーク分析に用いられた手法は、Jeffrey Broadbentにより主導され、全
米科学財団によって資金的支援を受けた。Monica Di GregorioとMaria Brockhausは
CONPONによる「メディア分析のためのプロトコル」および「政策ネットワーク分析のた
めのプロトコル」の手法を適用した。多くの人々が、メディア分析、政策ネットワーク分
析、国家概要といった国別事例研究に貢献し、データ・分析・支援を提供した。
国別事例研究の責任者達、Peter Cronkleton (ボリビア)、Sven WunderとPeter
May (ブラジル)、Suwadu Sakho-Jimbira (ブルキナファソ)、 Samuel Assembe とJolien
Schure (カメルーン)、Samuel Assembe (コンゴ民主共和国)、Daju Resosudarmoと
Moira Moeliono (インドネシア)、Sheila Wertz-Kanounnikoff (モザンビーク)、 Thuy
Thu Pham (ネパール)、Arild Angelsen (ノルウェイ); Andrea Babon (パプアニューギ
ニア); Mary Menton (ペルー)、Salla Rantala (タンザニア); Thuy Thu Phamと Moira
Moeliono (ベトナム)、による科学的な指導と調整の努力がなければ、この比較研究は
不可能であった。
国内の協力研究機関および研究チームは、国別事例研究の責任者とともに、デ
ータ収集と分析に貢献した。特に、次の方々に感謝する。Walter Arteaga、Bernado
Peredo、Jesinka Pastor (ボリビア)。Maria Fernanda Gebara、Brent Millikan、Bruno
Calixto、 Shaozeng Zhang(ブラジル)。Mathurin Zida, Michael Balinga、Houria Djoudi
(ブルキナファソ)。Guy Patrice Dkamela、 Felicien Kengoum (カメルーン) 。 Guy Patrice
Dkamela、Felicien Kengoum (コンゴ民主共和国)。Levania Santoso、Tim Cronin、
Giorgio Indrarto、Prayekti Murharjanti、Josi Khatarina、 Irvan Pulungan、Feby
Ivalerina, Justitia Rahman、Muhar Nala Prana(インドネシア)。Almeida Sitoe、 Alda
Salomão(モザンビーク)。Dil Badhur、Bryan Bushley、Rahul Karki、Naya Sharma
Paudel (ネパール)。Laila Borge (ノルウェー)。Daniel McIntyre、Gae Gowae、Nidatha
2 http://compon.org
Appendix(付録)360 |
Martin、Nalau Bingeding、Ronald Sofe、Abel Simon (パプアニューギニア)。Hugo
Piu、Javier Perla、Daniela Freundt、Eduardo Burga Barrantes、Talía Postigo
Takahashi(ペルー)。Rehema Tukai、George Jambiya、Riziki Shemdoe、Demetrius
Kweka、Therese Dokken (タンザニア)。Nguyen Thi Hien、Nguyen Huu Tho、Vu Thi
Hien、Bui Thi Minh Nguyet、Nguyen Tuan Viet and Huynh Thu Ba (ベトナム)。その
ほかの多くの国の研究チームの支援者達にも謝意を表する。
Efrian Muharrom、Sofi Mardiah、Christine Wairata、Ria Widjaja-Adhiはとても価
値のある調査支援を提供した。
我々はさらに、Jan Börner、Martin Herold、Markku Kanninen、Kaisa Korhonen-
Kurki、Anne Larson、Cecilia Luttrell、Pablo Pacheco、Elena Petkova、Frances
Seymour、他の多くの人々からの投入と支援に感謝したい。
構成課題2この課題の研究手法の指針3はPamela Jagger、 Erin Sills、 Kathleen Lawlor,
William Sunderlin によって執筆された。また、技術的指針4は William Sunderlin、
Anne Larson、Amy Duchelle、Erin Sills、Cecilia Luttrell、Pamela Jagger、Subhrendu
Pattanayak、Peter Cronkleton、Andini Desita Ekaputriによって執筆された。
さらに、2009 年後半の事前テストの過程で、洞察力に富んだコメントや批評を与
えた人、また2010 年 1 月の研究デザインの最終決定会議に参加した次の人達にも謝
辞を送る。Arild Angelsen、 Andre Aquino、Stibniati Atmadja、Abdon Awono、Huynh
Thu Ba、Riyong Kim Bakkegaard、Simone Bauch、Rizaldi Boer、Jan Börner、Miguel
Calmon、Mariano Cenamo、Peter Cronkleton、Therese Dokken、Paul Ferraro、Maria
Fernanda Gebara、Raissa Guerra、Dian Intarini、Markus Kaiser、Alain
Karsenty、Anirudh Krishna、Erin Myers Madeira、Peter May、Steve Panfil、Ida
Aju Pradnja Resosudarmo、Mustofa Agung Sardjono、Galia Selaya、Frances
Seymour、Denis Sonwa、Satyawan Sunito、Peter Vaughan、Sven Wunder。
構成課題2の現地調査は22のプロジェクトを対象に実施された(表A4参照)。これ
らの研究対象地域の協力組織による支援と我々の要求に対する忍耐に深く感謝して
いる。
3 www.cifor.org/nc/online-library/browse/view-publication/publication/3283.html
4 www.cifor.org/publications/pdf_files/Books/BSunderlin1001.pdf
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6カ国の研究対象国の現地調査チームは次の人々により構成されていた。
ブラジル:Amy Duchelle (国別研究代表)。Riyong Kim Bakkegaard、Marina
Cromberg、Maria Fernanda Gebara、Raissa Guerra、Tadeu Melo (現地調査指導)。
Carolle Utrera Alarcon、Marileide Gonçalves、Leonela Guimarães、Thiago Machado
Greco、Giselle Monteiro、José Roberio Rodrigues、Kaline Rossi (データ入力)。
カメルーン: Abdon Awono (国別研究代表、現地調査指導)。Henri Owona(データ
入力)。
インドネシア: Ida Aju Pradnja Resosudarmo (国別研究代表)。Pangestuti
Astri、Stibniati Atmadja、Yayan Indriatmoko、Dian Intarini、Augusta Mindry (現地
調査指導)。Merlinta Anggilia、Mella Komalasari、Jhon Roy Sirait、Tina Taufiqoh
(データ入力)。
ペルー: Amy Duchelle、Peter Cronkleton(国別研究代表)。Mary Menton(研究
員)、Valerie Garrish、Galia Selaya (現地調査指導)。
タンザニア: Therese Dokken (国別研究代表、野外調査指導)。Eliakimu Zahabu
(前国別研究代表)。Demetrius Kweka、Susan Caplow (現地調査指導)。Johannes
Dill (データ入力)。
ベトナム: Huynh Thu Ba (国別研究代表、現地調査指導)。Nguyen Tien Dat
(データ入力)。
80名を超える人々がインタビューとデータ収集を行った。
インドネシア、ボゴールにある CIFOR本部では、次の人々が研究の推進を支援し
た。Made Agustavia(データベース管理者)。Made Dwi Astuti(秘書); Andini Desita
Ekaputri(研究担当)。Andini Desita Ekaputri(助手)。Andini Desita Ekaputri(ポスド
ク研究員)。Mrigesh Kshatriya (データアナリスト)。Oktarita Satria(プロジェクトアシ
スタント)。Oktarita Satria(インドネシア国別研究代表)。William D. Sunderlin( 構成
課題代表)。Ria Widjaja-Adhi(プロジェクトアシスタント)。
本研究に参画し、ペルーとインドネシアにおいて、REDD+と生物多様性に関する研
究を行った博士課程学生のJosil Murrayの貢献を評価する。
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構成課題3この研究課題に使われた手法と指針は、Louis V. Verchot、Arild Angelsen、Martin
Herold、Markku Kanninen、Kristell Hergoualc’h、Daniel Murdiyarsoによって設計さ
れた。排出係数を決める研究の野外調査手法は、研究に参画した博士および修士課
程の学生達(Jenny Farmer、Fitri Aini、Sebastian Persch Margaret Thiong’o,)によっ
て設計された。この活動は、地球環境ファシリティにより部分的な資金援助を受けた。
学生達はまた、Jo Smith(アバディーン大学)、Robin Matthews(マコーレー土地利用研
究所)、Dirk Hölscher (ゲオルク・アウグスト大学、ゲッティンゲン) ら、教員による支援
を受けた。漏出に関する研究手法はStibniati Atmadja と Peter Vaydaによってつくら
れた。参照レベル(参照排出レベル)を決める手法は、Arild Angelsen、Simone Bauch,
John Herbert Ainembabazi、Martin Herold、Arief Widjayaによって開発された。組織
能力評価手法は、Martin HeroldとErika Romijnによって開発された。プロジェクトレ
ベルでのMRV評価方法はShijo Joseph、William D. Sunderlin、Louis V. Verchotによ
り開発された。
事例研究には多くの人々が貢献した。Zulma Villegas、Bonifacio Mostacedo (ボリ
ビア)。Denis Sonwa、Pascal Cuny、Maden Le Crom and Adeline Giraud (カメルーン)。
Rizaldi Boer、Titiek Setyawati, Tania June、Doddy Yuli Irawan(インドネシア)。Vu
Tan Phuong、Vu Tien Dien、Pham Manh Cuong、Nguyen Thuy My Linh、Nguyen
Viet Xuan、Vo Dai Hai(ベトナム)。国別の現地データは、Margaret Thiong’o、Edith
Anyango、Paul Mutuo、Sheila Abwanda、Denis Sonwa、Victor Kemeuze(ケニア)に
よっても収集された。Oktarita SatriaとLevania Santosoはとても価値のある調査支援
を提供した。
構成課題4この知識共有活動はJohn Colmeyと Daniel Cooneyによって主導された。構成
課題4のための主要な提案を行いながらも、その実施前にCIFORを去ったSandra
McGuireに、深く感謝する。この構成課題は、気候変動メディアパートナーシップ、イ
ンターニュース、インドネシア環境ジャーナリストの会、グリーンインク、PANOS・ロン
ドン、トランスペアレンシー・インターナショナル、国際自然保護連合(IUCN)、インド
ネシア林業省研究開発省、メキシコ、ポーランド、南アフリカ共和国の政府など、多数
の協力機関との共同で行われた。能力の高い普及啓発チームには、次の人々が参
画した。Leony Aurora、James Maiden、Michelle Kovacevic、Catriona Moss、Karin
Holzknecht、Gabriela Ramirez、Kamal Prawiranegara、Gugi Ginanjar、Andrea
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Booth、Kate Evans、Mokhamad Edliadi、Aris Sanjaya、Budhy Kristanty、Nia
Sabarniati、Mohammad Agus Salim、Atie Puntodewo、Yahya Sampurna、
Gusdiyanto、Dodi Iriyanto、Wigid Triyadi、Gideon Suharyanto、Eko Prianto、Catur
Wahyu、Vidya Fitrian、Erisa、Sufiet Erlita、 Yuan Oktafian、Rizka Taranita、Wiwit
Siswarini、Sekar Palupi、Dina Satrio、Santi Darmokusumo、Widya Sutiyo、Imogen
Badgery Parker、Romy Serfaty。また、本書出版以前の協力者として、次の人々が
いる。Nita Murjani、Edith Abilogo、James Clarke、Neil Palmer、Tim Cronin、Edith
Johnson、Angela Dewan、Jeff Walker、Ramadian Bachtiar、Yani Saloh。
国際比較研究(GCS)に対する支援価値ある管理部門の支援が、Rosita Go、Ria Widjaja-Adhi、Rina、Made Dwi
Astuti、Christine Wairata、Anna Luntungan、Susan Kabiling、Anastasia Elisa、Feby
Litamahuputty、Oktarita Satriaにより提供された。
資金提供本研究の実施に対する、オーストラリア、フィンランド、ノルウェー、英国、欧州委員
会からの財政的支援に深く感謝する。
(訳 藤間 剛)