急性心筋梗塞(st上昇型)の診療に関するガイドライン · circulation journal...

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1347 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006 - 2007 年度合同研究班報告) 急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン Guidelines for the management of patients with ST-elevation myocardial infarction (JCS 2008) 目  次 Ⅰ.緒 言………………………………………………………1348 1.ガイドライン作成の経緯と目的 …………………1348 2.ガイドラインの対象と構成 ………………………1349 3.クラス分類とエビデンスレベル …………………1349 4.本ガイドラインで使用した略語 …………………1350 Ⅱ.成 因………………………………………………………1350 1ACS の概念 …………………………………………1350 2.急性粥腫変化の役割 ………………………………1350 合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本冠疾患学会,日本救急医学会,日本胸部外科学会,日本集中治療医学会, 日本心血管インターベンション学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会, 日本心臓リハビリテーション学会,日本心電学会,日本動脈硬化学会 班 長 日本医科大学 班 員 川   慶應義塾大学呼吸循環器内科 貫   早稲田大学理工学術院 横浜市立大学附属市民総合医療セン ター心臓血管センター 国立循環器病センター心臓血管内科 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記 念病院循環器内科 順天堂大学循環器内科学 日本医科大学付属病院集中治療室 尾   駿河台日本大学病院循環器科,心肺 蘇生・救急心血管治療 日本大学内科学講座循環器内科部門 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科 口   虎の門病院 科   東京医科大学病院第二内科 杏林大学第二内科 協力員 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記 念病院循環器内科 協力員 綿 虎の門病院循環器センター内科 順天堂大学医学部附属順天堂医院循 環器内科 横浜市立大学附属市民総合医療セン ター心臓血管センター 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科 慶應義塾大学呼吸循環器内科 木   東京女子医科大学心臓病センター循 環器内科 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記 念病院循環器内科 川口市立医療センター循環器科 東京医科大学病院健診予防医学センター 九州大学病院循環器内科 大阪大学循環器内科学 日本医科大学内科学循環器部門 杏林大学保健学部臨床工学科 外部評価委員 自治医科大学附属さいたま医療セン ター心臓血管外科 帝京大学内科 村   京都大学大学院医学研究科内科系専 攻内科学講座 循環器内科学 兵庫県立尼崎病院 堀   大阪府立成人病センター (構成員の所属は 2008 年 8 月現在)

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1347Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007年度合同研究班報告)

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドラインGuidelines for the management of patients with ST-elevation myocardial infarction (JCS 2008)

目  次

Ⅰ.緒 言………………………………………………………13481.ガイドライン作成の経緯と目的 …………………13482.ガイドラインの対象と構成 ………………………13493.クラス分類とエビデンスレベル …………………1349

4.本ガイドラインで使用した略語 …………………1350Ⅱ.成 因………………………………………………………1350

1.ACSの概念 …………………………………………13502.急性粥腫変化の役割 ………………………………1350

合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本冠疾患学会,日本救急医学会,日本胸部外科学会,日本集中治療医学会,          日本心血管インターベンション学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会,          日本心臓リハビリテーション学会,日本心電学会,日本動脈硬化学会

班 長 髙 野 照 夫 日本医科大学

班 員 小 川   聡 慶應義塾大学呼吸循環器内科

笠 貫   宏 早稲田大学理工学術院

木 村 一 雄 横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター

後 藤 葉 一 国立循環器病センター心臓血管内科

住 吉 徹 哉 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科

代 田 浩 之 順天堂大学循環器内科学

田 中 啓 治 日本医科大学付属病院集中治療室

長 尾   建 駿河台日本大学病院循環器科,心肺蘇生・救急心血管治療

平 山 篤 志 日本大学内科学講座循環器内科部門

幕 内 晴 朗 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科

山 口   徹 虎の門病院

山 科   章 東京医科大学病院第二内科

吉 野 秀 朗 杏林大学第二内科

協力員 浅 野 竜 太 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科

協力員 石 綿 清 雄 虎の門病院循環器センター内科

大 村 寛 敏 順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科

小 菅 雅 美 横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター

小 林 俊 也 聖マリアンナ医科大学心臓血管外科

佐 藤 俊 明 慶應義塾大学呼吸循環器内科

髙 木   厚 東京女子医科大学心臓病センター循環器内科

高 山 守 正 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科

立 花 栄 三 川口市立医療センター循環器科

寺 岡 邦 彦 東京医科大学病院健診予防医学センター

肥 後 太 基 九州大学病院循環器内科

水 野 裕 八 大阪大学循環器内科学

安 武 正 弘 日本医科大学内科学循環器部門

四 倉 正 之 杏林大学保健学部臨床工学科

外部評価委員

安 達 秀 雄 自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科

一 色 高 明 帝京大学内科

木 村   剛 京都大学大学院医学研究科内科系専攻内科学講座 循環器内科学

藤 原 久 義 兵庫県立尼崎病院

堀   正 二 大阪府立成人病センター

(構成員の所属は2008年8月現在)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

Ⅰ 緒言

1 ガイドライン作成の経緯と目的

 急性冠症候群は冠動脈粥腫破綻,血栓形成を共通基盤として急性心筋虚血を呈する臨床症候群であり,急性心筋梗塞,不安定狭心症,心臓性突然死までを包括する疾患概念である.急性冠症候群が発症すると,冠動脈内血栓のでき方や側副血行の有無などによって様々な程度の心筋虚血が生じる.冠動脈の完全閉塞により貫壁性心筋虚血が生じればST上昇型急性冠症候群,しからざる場合は非ST上昇型と二分され,治療指針が異なる(図1). 日本循環器学会は,1998年から心臓血管系疾患の診断,治療に関するガイドライン作成に取り組み,その一

環として2000年に「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」作成班が発足した.同時期に,平成11年度厚生科学研究費補助金による医療技術評価総合研究事業(主任研究者:上松瀬勝男)として「急性心筋梗塞の診療エビデンス集─EBM より作成したガイドライン」が作成され,ST上昇型急性冠症候群の治療指針として発表された.そのため,「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」では不安定狭心症および持続性ST上昇を伴わない急性心筋梗塞(非ST上昇型)のみを扱うようになった経緯がある.本ガイドラインは日本循環器学会として初めてのST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドラインであり,上松瀬班のガイドラインを参考にしつつ最新のエビデンスを追加したものである. 本ガイドラインの目的は,本疾患群の診断,治療,管理に関して一般に容認された方法をまとめ,医師が臨床上の決定を行うのに役立つ診療指針を作成し,根拠に基づく医療(EBM:Evidence-Based Medicine)を推進することにある.本ガイドラインは多くの状況下で,種々

3.疫学 …………………………………………………13514.病態生理 ……………………………………………13515.他の原因で起こる心筋梗塞 ………………………1352

Ⅲ.発症から病院まで…………………………………………13521.患者による症状の認識 ……………………………13522.病院到着前心停止 …………………………………13523.救急医療体制 ………………………………………13534.医師による救急現場での胸痛対応 ………………13545.救急車(ドクターカーを含む)での搬送プロトコール 1355

Ⅳ.初期診断・治療・管理……………………………………13551.トリアージ …………………………………………13552.患者の初期評価 ……………………………………13563.標準的初期治療 ……………………………………1361

Ⅴ.再灌流治療…………………………………………………13631.血栓溶解療法 ………………………………………13642.経皮的冠インターベンション(PCI) ……………13653.緊急手術による再灌流ならびに合併症修復術 …13674.再灌流の評価 ………………………………………13675.再灌流治療の補助療法としての抗血栓薬 ………13686.再灌流補助薬 ………………………………………13697.造影剤腎症について ………………………………1369

Ⅵ.入院後早期の管理…………………………………………13691.CCUの重要性 ………………………………………13692.早期の一般的処置 …………………………………13703.CCUの新たな役割 …………………………………13714.心筋梗塞後の不整脈 ………………………………13725.血行動態の障害または異常 ………………………1378

6.機械的合併症 ………………………………………13847.STEMI後の再発する胸痛への対応 ………………13868.その他の合併症 ……………………………………13889.梗塞サイズの評価 …………………………………138910.冠動脈バイパス術(CABG) ………………………1392

Ⅶ.回復期および退院後の患者管理…………………………13941.退院時のリスクの層別化 …………………………13942.心臓リハビリテーション …………………………13963.退院後管理 …………………………………………1401

Ⅷ.二次予防……………………………………………………14031.退院前の患者教育と包括的  心臓リハビリテーションプログラム ………………14032.禁煙 …………………………………………………14043.血圧管理 ……………………………………………14054.脂質管理 ……………………………………………14055.糖尿病管理 …………………………………………14056.体重管理 ……………………………………………14067.身体活動 ……………………………………………14068.抗血小板治療 ………………………………………14069.β遮断薬 ……………………………………………140710.カルシウム拮抗薬 …………………………………140811.硝酸薬(ニコランジルを含む) ……………………140812.レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬 140813.ワルファリン治療 …………………………………140914.一次予防について …………………………………1410

文 献……………………………………………………………1411

(無断転載を禁ずる)

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

の患者に対応しうる普遍的な診療指針を作成することを目指している.しかし,個々の患者における最終判断は,当該患者の状況をもっともよく知る担当医師と患者の双方により総合的に下されるべきもので,本診療ガイドラインはそれを支援するものである.

2 ガイドラインの対象と構成

 本ガイドラインでは,心電図STの持続的上昇を認めるST上昇型急性冠症候群の成人患者,あるいはその疑いのあるものを対象とする.ST上昇急性冠症候群の90%以上は心筋マーカーの上昇を伴い,急性心筋梗塞(ST

上昇型)と診断される.ガイドラインのタイトルは「急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン」であるが,ST上昇型急性冠症候群のうち,治療や自然経過により急性心筋梗塞に至らない場合も含む.また,急性冠症候群のうち左脚ブロックを呈するもの,純後壁梗塞,冠攣縮が主因と判定される急性心筋梗塞も本ガイドラインで扱う.持続性のST上昇を認めない非ST上昇型急性冠症候群は対象外である.従って,不安定狭心症・急性心筋梗塞(非ST上昇型)に関しては「急性冠症候群の診療に関するガイドライン(2007年改訂版)」を参照されたい. 本ガイドラインは,発症から入院まで,救急外来またはCCUでの初期治療,入院回復期あるいは退院後の患者管理と,時間軸を基に構成した.項目の中で,ガイド

ラインが別途策定されているものに関しても,最低限の内容は可能な限り網羅し,1つのガイドラインとして完結したものを目指した.

3 クラス分類とエビデンスレベル

クラスⅠ :手技・治療が有効,有用であるというエビデンスがあるか,あるいは見解が広く一致している

クラスⅡ :手技,治療の有効性,有用性に関するエビデンスあるいは見解が一致していない.

   Ⅱa :エビデンス,見解から有効,有用である可能性がたかい

   Ⅱa´ :エビデンスは不十分であるが,手技治療が有効,有用であることに本邦の専門家の意見が一致している

   Ⅱb :エビデンス,見解から有効性,有用性がそれほど確立されていない

クラスⅢ :手技,治療が有効でなく,ときに有害であるというエビデンスがあるか,あるいは見解が広く一致している

レベルA :400例以上の症例を対象とした複数の多施設無作為介入試験で実証された,あるいはメタ解析で実証されたもの

レベルB :400例以下の症例を対象とした多施設無作

図1 急性冠症候群の初期診断と最終診断

(本ガイドラインで扱う範囲を青で示す,*治療・自然経過で心筋梗塞に至らない場合)

発症

胸痛+心電図 ST低下,冠性 Tなど 持続性 ST上昇,CLBBB

急性冠症候群(ACS)

初期診断 非 ST上昇型 ACS ST上昇型 ACS

リスク層別・抗虚血治療 可及的早期再灌流療法治療方針決定(12時間以内)

冠インターベンション・冠動脈バイパス術・各種薬物治療

最終診断(24時間~)

不安定狭心症

非Q波梗塞 Q波梗塞

非 ST上昇型急性心筋梗塞

ST上昇型急性心筋梗塞

心筋マーカー(CPK,トロポニンなど)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

為介入臨床試験,良くデザインされた比較検討試験,大規模コホート試験などで実証されたもの

レベルC :無作為介入試験はないが,専門医の意見が一致したもの

本邦では未承認の手技,治療法,治療薬で,海外では有効性,有用性について十分なエビデンスがあるか,専門家の見解が広く一致しているものについても,適宜記載した.また本邦の保険医療で認められていない適応や用法,用量についても必要に応じ言及した.本邦で認可されている薬剤はカタカナで,認可されていない薬剤は英語で表記した.

4 本ガイドラインで使用した略語

ACS(acute coronary syndrome)急性冠症候群

STEMI(ST-elevation myocardial infarction)ST上昇型心筋梗塞

PCI(percutaneous coronary intervention)経皮的冠インターベンション

CABG(coronary artery bypass grafting)冠動脈バイパス術

CCU(coronary care unit)冠疾患集中治療室

Ⅱ 成 因

1 ACSの概念

 急性心筋梗塞の発症に血栓が関与することは,病理解剖所見から示されていたが,原因か結果かについては不明であった.結果とされる根拠は,①急性心筋梗塞の責任病変に血栓の認められる頻度が,病理解剖の報告で差異があり決して高くないこと,②動脈血流の下で,管腔を閉塞するような血栓が形成される機序が明らかでなかったことによる.しかし,1979年ストレプトキナーゼを用いた冠動脈再疎通により,冠動脈閉塞の原因が血栓であることが明らかにされた 1).さらに1980年にはDeWoodら 2)により急性心筋梗塞発症早期に完全閉塞し

ていた血管が時間経過とともに再開通することが明らかにされ,病理解剖での血栓の頻度の差が線溶による血栓の経時的な消失に伴うものによることが示された.さらに冠動脈造影だけでなく,血管内視鏡で責任病変を直接観察することにより,92%に赤色および混合血栓が存在することが明らかにされた 3).これらの臨床的データが蓄積されてくると血栓のある急性心筋梗塞の病変の多くは 4),薄い線維性被膜で覆われた多量の脂質を含み,その内部に活性化されたマクロファージやTリンパ球が多数存在するプラークであることが明らかにされた 5).このようなプラークは不安定プラーク(vulnerable

plaque)とよばれ,破綻と同時にマクロファージが多量に産生する組織因子が管腔内に放出され,血流下でも急激に血栓性閉塞をきたす機序が示された.これらの事実からDaviesら 6)やFusterら 7)により“冠動脈粥腫の破裂・崩壊とそれに伴う血栓形成から冠閉塞や高度の冠狭窄をきたす症候群”としてACSの病態概念が提唱されるにいたった.最近では,プラークの破綻だけでなく血管内膜のびらんによっても血栓性閉塞を生じる事も明らかにされている.

2 急性粥腫変化の役割

 動脈硬化の進行に伴い粥腫が形成され成長しても,図2の3に示すように血管内腔は一定に保たれる(positive

remodeling).しかし,さらに粥腫が成長して血管拡張の代償機序が破綻すると,プラークは血管内腔に出現し冠動脈造影では軽度の狭窄病変として認められるようになる.このような多量の脂質コアを含むプラークには活性化されたマクロファージやTリンパ球が存在する.脂

図2 プラークの進展と破綻

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

質コアは比較的柔らかく,遊離コレステロール結晶よりもむしろコレステロールエステルを多量に含む.こうした,プラークの形態学的な特徴に加えて,マクロファージやT リンパ球が蛋白分解酵素(エラスターゼ,コラゲナーゼ,メタロプロテイナーゼなど)を放出し,これによって細胞外基質が分解され線維性被膜が菲薄化する 8).わが国の厚生省の班研究をはじめとして 9),多くの臨床研究から心筋梗塞を来たす病変が軽度狭窄病変であることが示され 4),このような不安定プラークを冠動脈造影で同定することは不可能であった.しかし,血管内エコーや血管内視鏡などの血管内イメージング法の進歩により,病理学でしか明らかにできなかった病変を可視化することができるようになった.結果,不安定プラークは血管内エコーで,外膜より低輝度のソフトプラークを有し線維性被膜が薄いものとして 10),あるいは血管内視鏡で濃黄色を呈するプラークとして 11)捉えることが可能となってきた.このような不安定プラークにプラークを破裂させる促進力即ち“トリガー”が作用し,破綻を来たすとともに急速に血栓形成が進行する(図2).しかし,必ずしも心筋梗塞にいたらず,無症候性の場合もある.心筋梗塞既往の患者では,責任血管以外に多くの破綻したプラークがあることが報告されている 12).無症候性の破綻したプラークだけでなく,不安定プラークと考えられる黄色プラークも数多く認めることから,心筋梗塞は責任病変だけでなく総ての冠動脈に不安定プラークが多数存在していることが判明し 13),Vulnerable

Patientという概念が生まれた 14).さらに最近,破綻している無症候性プラークの数とCRPが相関することから,炎症とACSの関連が注目されている 15). 急性心筋梗塞の責任血管を病理的に検討するとその約40%にプラークの破綻を認めず,比較的厚い線維性被膜の上に形成された血栓を認めることがあり,Erosive

Thrombosisとされている 16).この血栓形成機序については明らかにされていないが,①メタロプロテイナーゼにより内皮や線維性皮膜を含めた剥離が起こり皮膜内にある平滑筋の組織因子が作用して血栓が形成される,②マクロファージの集積により形成された小さなプラークが破綻して血栓が形成される,③冠攣縮による血管内皮障害に引き続く血栓形成,などいくつかの機序が考えられている 17).女性や糖尿病患者に多いことが報告されているが 16),原因や機序については明らかでない.

3 疫学

 わが国における虚血性心疾患の死亡率は,人口10万

に当たり男性で63.4,女性で50.0であり(平成16年),欧米諸国の約1/2から1/3ときわめて低い.全国から無作為抽出された30歳以上の成人を対象として質問表から心筋梗塞と推定された有病率は,30歳以上の男子では千人当たり23.9人,女性では10.8人であった 18).急性心筋梗塞の発生については,CCUを有する施設を対象にした調査では,人口10万人に対して東京都は30.4人,13政令指定都市では27.4人,地方都市では17.7人と相違はあるが,これは救急システムに関連する要素が多いと考えられる 19).MONICA調査から推定される我が国の心筋梗塞罹患率は10万当たり男性で平均38(20~50)人 /年,女性で平均12人(10~30)人 /年であり,また中村らの滋賀県における調査では粗罹患率49人であった 20). わが国における冠動脈疾患の罹患率の推移は,久山町研究 21),広島,長崎での追跡調査によれば低下しているか,ないしは1980年以降は大きな変化を示していない 22).しかし,糖尿病,高血圧,高コレステロール血症など動脈硬化を促進する疾患の罹患率が急速に増加していることを考えれば,今後増加する可能性が考えられる.

4 病態生理

 急性心筋梗塞の病態生理の本質は心臓,特に左室の機能不全である.冠動脈閉塞により酸素・エネルギー源を遮断された心筋は速やかに収縮能を消失する.障害心筋の範囲・程度に応じて壁運動はhypokinesisからakinesis,dyskinesisの異常を呈する 23).側副血行路の状況などによっては梗塞責任血管の灌流域以外にも壁運動異常を生じることがある.また,障害心筋の範囲が大きければ全体としてのポンプ機能に影響を与え,心拍出量,血圧,dP/dtなどが低下する.高度の血圧低下は冠動脈圧すなわち心筋灌流圧をも低下させ,心筋の虚血をより助長する結果となる.一方,左室充満圧は上昇し,特に収縮末期圧の上昇の程度は予後の有用な予測因子であることが報告されている 24).壊死心筋は浮腫・細胞浸潤を経て線維組織に置換されるが,正常な構築を保てなくなる結果,梗塞部位は菲薄化する.一方で梗塞によって生じた血行動態の変化は非梗塞領域にも影響し,1回拍出量を維持するための代償機転としてFrank-Starlingの法則に従い非梗塞領域の拡大が生じる.このように,特に梗塞後に生じた左室のサイズ・形態・壁厚の一連の変化を左室リモデリングと総称し 25),梗塞後の心不全あるいは生命予後の規定因子として重要である.また,梗塞周辺領域においては壊死部分と正常部分とが混在し,電気

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

的興奮伝播が不均一化すること,さらに伝導遅延が起こるために局所でのリエントリーを生じやすく,致死性不整脈の基質となる.リモデリングの程度は梗塞の大きさ・梗塞責任血管の開存・神経体液性因子などによって規定され,アンジオテンシン変換酵素阻害薬はリモデリングを抑制することが報告されている 26). 左室機能不全・充満圧上昇に伴う血行動態の変化は二次性に全身へ波及し,肺においてはうっ血・間質への水分貯留・低酸素血症が生じる.また,代謝内分泌系においてはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の亢進,ナトリウム利尿ペプチドの分泌が生じる一方,膵血流の低下によるインスリン分泌不全・交感神経活性化に伴う高血糖や遊離脂肪酸の上昇などを認める 27).

5 他の原因で起こる心筋梗塞

 STEMIを発症したにもかかわらず,冠動脈造影およびautopsyで冠動脈硬化を認めない症例が全体の約6%に存在したという報告がなされている 2).特に,35歳以下の梗塞発症例の24%がこのような症例に該当したとされており,動脈硬化の程度が比較的軽い若年者においてはそれ以外の原因を念頭に置く必要がある.動脈硬化以外の発症機序としては,動脈炎(高安病・川崎病・梅毒・脊椎炎など),外因性(外傷・医原性・放射線治療など),代謝性疾患または内膜肥厚性疾患に伴う冠動脈壁肥厚(Hurler病・ホモシステイン尿症・Fabry病・アミロイドーシスなど)・その他の原因に伴う冠動脈狭小化(急性大動脈解離・冠動脈攣縮など),冠動脈塞栓症(感染性心内膜炎・僧帽弁逸脱・粘液腫・壁在血栓など),先天性の冠動脈奇形(起始異常・動静脈吻合・冠動脈瘤など),心筋における酸素需給のアンバランス(大動脈弁狭窄・CO中毒・甲状腺中毒症・低血圧遷延など),凝固異常(真性多血症・DICなど)など多彩な原因が挙げられる 28).このうち,本邦においては冠攣縮性狭心症の頻度が高く 17),29),30),高血圧患者が多いことから冠動脈攣縮および急性大動脈解離に合併した心筋梗塞の頻度が高いと推測される.

Ⅲ 発症から病院まで

 STEMIの院内死亡率は,CCUの管理と冠再灌流療法の普及により7%前後となった 31).しかし,これは真の死亡率ではない.病院到着前,すなわちSTEMI発症早

期に心停止に陥る患者は含まれていない.この病院前心停止に陥る患者は総STEMI患者の14%以上にも達する 32)-34).したがって,STEMIの発症超早期の患者教育と病院前救護対策が重要な課題となる.

1 患者による症状の認識

クラスⅠ1.虚血による胸部症状が出現した患者は,直ちに119番通報し救急車を要請する(レベルB).

2.医師は,硝酸薬(舌下投与または舌下噴霧)を処方する際,硝酸薬の効果判定と無効時の対応を教育する(レベルB).

 STEMIの主訴(CCU収容時)は,84%が胸痛,6%が呼吸困難,2%が意識障害である 35).高リスクの胸痛とは,安静でも20分以上持続する胸痛または,今回の胸痛出現前2日以内にも胸痛発作が出現し,その頻度や程度が増加する梗塞前狭心症を有する胸痛である 34),36). ACC/AHA2004ガイドラインでは,硝酸薬の舌下は1回で,5分後にその効果が不充分(胸痛が改善しない,または増悪)な場合,救急車を要請すべきとした.以前は救急車要請までに5分間隔で3回までの使用が容認されたが,収容施設での治療までの時間短縮が死亡率や合併症率を有意に低下させることが示され 37)-40)修正された(クラスⅠ,レベルA).

2 病院到着前心停止

クラスⅠ1.あらゆる地域において,chain of survival(迅速な119番通報,迅速な心肺蘇生法,迅速な電気的除細動,迅速な二次救命処置)の4つの命の鎖を構築(レベルC).

2.心疾患を有する患者とその家族に,chain of survival

の最初の3つの鎖を習得してもらう市民向け講習会を,各々の地域で開催(レベルB).

 STEMI総患者の14%以上が,発症超早期に致死性不整脈〔大多数が心室細動(ventricular fibrillation; VF)〕を併発し死亡している.このVF出現率は心臓性院外心停止例の60%を占める 33).しかし,消防隊員,救急隊員が患者に接触し,自動体外式除細動器(automated

external defibrillator ; AED)を装着するまでに虚脱を目撃してから14分前後を要する.より迅速なAEDによる

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1353Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

電気的除細動は生存率を有意に改善させることより(除細動が1分遅れると生存率は7~10%ずつ減少する),市民による迅速なAEDの運用が必要である 34).近年,我が国でも公共の場にAEDが設置され始めた.AEDが届くまでに,市民による迅速な119番通報と迅速な心肺蘇生法(cardiopulmonary resuscitation ; CPR)を実施する.2005年AHACPRガイドラインでは,この市民によるCPRでは絶え間ない胸骨圧迫の重要性が確認された.最近我が国の大規模観察研究では,胸骨圧迫のみのCPRが従来の口対口人工呼吸+胸骨圧迫CPRより優れているかまたは同程度であることが報告されている 41),

42).AEDが届くまでまたは救急隊が来るまでの市民による救助活動を図3に,救急車を呼ぶ手順を図4に示す.

3 救急医療体制

クラスⅠ1.胸痛を有する患者や心停止が疑われる患者に対応する医療従事者は,胸痛のトリアージとCPR(AED

と標準的救命処置を含む)の知識と技能を備える(レベルA).

2.119番通報に対応する救急隊員は,医学的訓練を受け,各々の地域の活動マニュアルに従い,迅速かつ的確な助言を行う(レベルC).

3.循環器専門施設は各々の地域の消防署・庁と連絡を密にし,迅速に患者を受け入れる体制を構築する(レベルA).

 STEMIでは,正しい治療を受けるまでの時間を短縮すれば,死亡率と合併症発生率を有意に低下させることが出来る 37)-40),43).したがって,救急医療従事者(救急隊員〔本邦では,救急救命士,救急隊員(旧Ⅰ及び旧Ⅱ課程),消防ポンプ隊員〕)や救急情報センターの救急隊員は,正しい病院選択の知識を習得するとともに,循環器専門施設の循環器専門医と交流を密にし,迅速な患者受け入れ体制を検証し構築していくことが必要である.総務省消防庁や東京消防庁が毎年報告している救急活動の現況または実態では,119番通報から病院収容までの平均活動時間は約30分(119番から救急車現場到着までの時間が6分,救急隊の現場活動時間が15分,救急隊の現場から病院到着までの時間が9分)である 44),45). なお,我が国の救急救命士は,心肺停止傷病者に対してのみ,器具を用いた気道確保(一部の救急救命士には気管挿管も可能)とAEDを用いた電気的除細動,および末梢静脈路確保と細胞外液製剤の投与(一部の救急救命士にアドレナリン1mg/回の静脈投与)が許可されている.しかし,12誘導心電図記録は標準化(4点誘導の心電図モニターが標準化)されていない 44),45).したが

図3 市民の命を救う救急対応

●胸骨圧迫(100回 /分) 強く・早く・絶え間なく

●助けを呼ぶ●119番と AED要請●気道の確保

いいえ

いいえ

いいえ

●AEDの音声に従う

はい

意識の有無?

突然倒れた

充分な呼吸?

AED・救急隊?

図4 救急車を呼ぶ手順

救急車が着くまで周囲の人と協力して応急手当,救急隊の案内

119番通報

消防所 通報者

わかりました.救急車向かいます

火事ですか?救急ですか? 救急です

どうしましたか? 見たまま,事故の状況,傷病者の状態を説明

そこは何区,何町,何丁目,何番,何号

ですか?通報している住所

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1354 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

って,心肺停止以外の傷病者に救急隊員(救急救命士を含め)が提供できる救急医療行為は,バイタルサイン・身体所見の観察・酸素投与・体位管理・心電図モニターとパルスオキシメータの観察などに限られる 44),45).

4 医師による救急現場での胸痛対応

クラスⅠ1.第一線の医療施設,往診時または外出先で虚血性胸痛が疑われる患者に対し,迅速な119番通報を要請し,バイタルサインと身体所見をチェックし可能であれば12誘導心電図を記録(レベルB).

2.STEMIと診断したならば,救急車内でMONA(塩酸モルヒネ,酸素,硝酸薬,アスピリン)を考慮し,同時に末梢静脈路を確保(レベルB).

3.STEMIと診断したならば,救急隊員に病院選定の助言(緊急再灌流療法が即座に実施可能な病院).同時に選定先の循環器医師に直接,現在の臨床像を報告(電話またはFAX)(レベルC).

クラスⅡa

1.経静脈的血栓溶解療法を考慮(レベルB).

 医師は可能であれば12誘導心電図を記録評価し,Ⅳ章の初期診断・治療・管理のプライマリケアを開始する.

引き続き,経静脈的血栓溶解療法の適応の有無を表1のチェックリストを用いて評価する.欧米の大規模多施設無作為試験およびメタアナリシスは,STEMI患者に対する可及的早期の血栓溶解療法が,死亡率を有意に減少させることを明らかにした 46)-48).病院到着前に血栓溶解療法を開始すれば,病院到着後に開始した場合に比し,死亡率は有意に低下(オッズ比0.83,95% .C.I 0.70 -0.98)し,その時間差は60分であった 49).このことより,ACC/AHA2004ガイドラインでは,病院到着までの時間が60分以上要する例は,病院到着前の血栓溶解療法は妥当であるとした. しかし,救急搬送時間が4分(中央値)と短いスイスのある都市では,病院到着後の血栓溶解療法の症状出現から開始までに要する時間は,病院到着前投与に比し,100分遅延していたと報告している 50).我が国の渡辺らの報告では,TIMI 3 flow達成までの時間が78分以上遅延すると有意に梗塞サイズが大になったと報告した 51).中尾らの報告でも発症2時間以内の血栓溶解薬先行投与による facilitated PCIはTIMI 3 flow 達成率が高く梗塞サイズを縮小したとしている 52).また,木村らの報告でも,救命救急センターと地域病院との比較では,血栓溶解薬先行投与群がprimary PCI群より早い冠動脈再灌流を得ていた.そして地域病院では,入院後90分のTIMI 3 flow達成率は血栓溶解薬投与例が68%で,primary PCI

例の43%より有意に高値で,再灌流までの時間短縮が

表1 経静脈的血栓溶解療法のチェックリスト

Step 1. 虚血性胸痛(不快感)の持続時間は,15分以上かつ12時間以内?         ○ はい   ○ いいえ 適応なし

    12誘導心電図所見の隣接する2誘導以上でST上昇,または新規に出現した脚ブロック?         ○ はい   ○ いいえ 適応なし

Step 2. 以下の10項目すべて「はい」であれば血栓溶解療法を実施

①収縮期血圧 180mmHg 以下②収縮期血圧の左右差 15mmHg 以内③拡張期血圧 110mmHg 以下④頭蓋内疾患の既往症 なし⑤3ヶ月以内の明らかな非開放性頭部または顔面外傷 なし⑥6週間以内の明らかな外傷,手術,消化管出血 なし⑦出血・凝固系異常 なし⑧心停止時のCPRは10分以内⑨妊娠していない⑩進行性または末期の悪性腫瘍,重篤な肝または腎疾患 なし

○ はい○ はい○ はい○ はい○ はい○ はい○ はい○ はい○ はい○ はい

○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ

Step 3. 以下の1項目以上を満たす高リスク例は緊急PCIが直ちに開始できる施設へ救急車で搬送

①心拍数 ≧ 100回/分 かつ 収縮期血圧 < 100mmHg②湿性ラ音を聴取(Killip 分類Ⅱ以上)③ショック徴候・症状あり④血栓溶解療法が禁忌(Step 2 の①~⑩の1項目以上「いいえ」)

○ はい○ はい○ はい○ はい

○ いいえ○ いいえ○ いいえ○ いいえ

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

顕著であったと報告している 53).守内らは facilitated

PCI時の血栓溶解療法の先行投与量を検討し,先行投与の血栓溶解薬は通常量が望ましいとしている 54).我が国の救急活動時間は30分要することを考慮すると,第一線の医療施設での血栓溶解療法の開始は妥当と考える(クラスⅡa).

5 救急車(ドクターカーを含む)での搬送プロトコール

クラスⅠ1.心原性ショックを併発した75歳未満のSTEMI患者は,直近の緊急PCIまたは緊急CABGが可能な病院に搬送する(レベルA).

2.血栓溶解療法が禁忌であるSTEMI患者は,直近の緊急PCIが可能な病院に搬送する(レベルB).

3.STEMIが疑われる,もしくは確認された患者の病院選定は,救急隊の活動規準に明記する(レベルC).

クラスⅡa

1.高リスク患者(表1,Step3参照)は,直近の緊急PCIが可能な病院に搬送する(レベルB).

 地域の消防,循環器認定医療施設と第一線の医療機関は定期的に人的交流と情報交換を行い,STEMIに対するトリアージ,病院選定規準,病院前救護,病院収容後救急医療体制(緊急PCI,緊急CABGを含む)を検証し,絶えず構築していくことが必要である.そして,STEMI

患者に対し,発症から充分な再灌流(TIMI 3)達成までの時間を120分以内に保つ努力をしていくことが妥当である.我が国は欧米に比べ,各々の地域に緊急PCIを

実施できる病院が多い.したがって,各々の地域で,よりよい救急医療体制を構築して行く必要がある.

Ⅳ 初期診断・治療・管理

1 トリアージ

STEMI診断の指針 55)

クラスⅠ1.患者到着後10分以内に再灌流療法の適応を判断し治療を行うための診断手順の作成・活用(レベルB)

 STEMI発症早期の再灌流療法は予後を改善する確立された治療法であり,早期診断,早期治療が重要である.あらかじめ定められた手順により,患者の病態を評価し,直ちに初期治療を開始する.患者到着後10分以内 56),57)

に,バイタルサインのチェック,連続心電図モニターを行い,簡潔かつ的確な病歴聴取とともに12誘導心電図を記録し,血液生化学検査を行う.STEMIの場合,再灌流療法として血栓溶解療法を選択した場合には患者到着後30分以内に血栓溶解薬の投与,冠インターベンションを選択した場合には到着後90分以内に初回バルーンを拡張することが目標である 57)-60).(図5)

図5 STEMIの診断アルゴリズム

Door-to-needle time: 病院到着から血栓溶解療法開始までの時間,Door-to-balloon time: 病院到着から初回バルーン拡張までの時間

1)急性下壁梗塞の場合,右側胸部誘導(V4R)も記録する.2)診断確定のために採血結果を待つことで再灌流療法が  遅れてはならない3)重症度評価や他の疾患との鑑別に有用であるが必須ではなく  再灌流療法が遅れることのないよう短時間で行う

■心電図モニタリング■酸素投与■静脈ライン確保

■アスピリンの咀嚼服用■塩酸モルヒネ投与■硝酸薬(ニトログリセリン)投与

Door-to-needle time : 30分以内Door-to-balloon time : 90分以内

第 3段階

第 2段階

第 1段階 身体所見

再灌流療法の適応の決定,実行

採血 2)

心エコー,胸部 X線写真 3)

10分以内

12誘導心電図 1)

問診

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

2 患者の初期評価(表2)

1 病歴クラスⅠ1.患者到着後10分以内の簡潔かつ的確な病歴聴取(レベルC)

 病歴はSTEMIの診断や治療に極めて重要であり,治療が遅れることのないよう迅速かつ詳細な聴取が必要である.病歴による評価は,胸部症状,関連する徴候と症状,冠危険因子,急性肺血栓塞栓症や急性大動脈解離の可能性,出血性リスク,脳血管障害および狭心症,心筋梗塞,冠血行再建の既往の有無に重点を置く.症状としては前胸部の不快感を自覚することが多いが,顎,頚部,肩,心窩部,背部,腕へ放散することや時に胸部症状を認めずにこれらの部位にのみ症状が限局することもあり注意が必要である.一般的に,顎,頚部,肩,背部,腕への放散は女性で多く認められる 61)-64).症状は少なく

とも20分以上で数時間に及び,性状は痛みというよりも局在がはっきりしないある程度の範囲をもって示される重苦しい,締め付けられる,圧迫される,絞られる,焼け付くような感じなどと表現されることが多い.しかし,時にズキズキ,ヒリヒリした感じ,刺されたような感じなどの症状を訴えることもあり,このような非典型的な症状はとくに高齢者,糖尿病および女性の患者でしばしばみられる 63)-65).さらに高齢者では心筋虚血による症状として息切れを訴えることがあり 66),全身倦怠感,食欲不振や意識レベルの低下などが唯一の症状のこともある.塩酸モルヒネを必要とする強い痛みは約半数の例で認められるが,症状の強さと重症度とは必ずしも一致しない.また随伴症状として,男性では冷汗が,女性では嘔気,嘔吐,呼吸困難感が多いとされている 63)-64). 胸痛の鑑別疾患は,頻度としては消化管疾患が多く,逆流性食道炎の痛みは胸焼けのような灼熱感で,食後の仰臥位で増強し制酸薬で軽減する.食道痙攣は,痛みが胸骨裏面に生じ頚部や背部に放散する.労作とは無関係で持続時間も一定せず,飲食によって誘発され,しばしば飲水により寛解を認める.硝酸薬・カルシウム拮抗薬

表2 初期評価項目のチェックリスト

問診 •簡潔かつ的確な病歴聴取  … 胸部症状,関連する徴候と症状,冠危険因子,急性大動脈解離・急性肺血栓塞栓症の可能性,出血性リスク,

脳血管障害・狭心症・心筋梗塞・冠血行再建の既往

身体所見 •バイタルサイン,(大動脈解離を疑う場合は四肢の血圧も)•聴診… 心音,心雑音,呼吸音(湿性ラ音の有無とその聴取範囲),心膜摩擦音    血管雑音(頸動脈,腹部大動脈,大腿動脈)•眼瞼所見…貧血•頚部所見…頚静脈怒張•腹部所見…圧痛,腹部大動脈瘤,肝腫大•下腿所見…浮腫•神経学的所見

心電図 •12誘導心電図…T波の先鋭・増高(Hyperacute T),T波の陰転化,          R波の減高,ST上昇 / 低下,異常Q波•右側胸部誘導 (V4R誘導)…右室梗塞の合併

採血 •血液生化学検査  …心筋傷害マーカー :心筋トロポニン,CK,CK-MB,ミオグロビン,心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)   血算,生化学,電解質,凝固

心エコー •局所壁運動異常(左室壁運動,下壁梗塞の場合は右室壁運動も)•左室機能•機械的合併症… 左室自由壁破裂(心膜液貯留,右室拡張期の虚脱),心室中隔穿孔(シャント血流),乳頭筋断裂(僧

帽弁逆流)•左室壁在血栓•他の疾患との鑑別… 急性大動脈解離(上行大動脈や腹部大動脈の intimal flap,大動脈弁逆流,心膜液貯留),急

性肺血栓塞栓症(右房および右室の拡大,左室の圧排像),急性心膜炎(局所壁運動異常のない心膜液貯留)など

胸部X線写真 •心陰影…拡大•肺野…肺うっ血,肺水腫,胸水•肋骨,胸膜,縦隔陰影

注)下線をひいた項目は特に優先度の高いもの

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

が有効とされるが,診断の根拠となる特異的検査に乏しい.消化性潰瘍や胆石胆嚢炎の痛みは食事摂取と関連がある上腹部痛で圧痛を伴う.また,急性心膜炎の痛みは,深呼吸,咳嗽,体動,臥位で増強し,胸膝位で軽減するのが特徴である. 致死的疾患の鑑別として,急性肺血栓塞栓症と急性大動脈解離がある.急性肺血栓塞栓症ではしばしば急性心筋梗塞と類似した前胸部症状や背部症状を認めるが,呼吸困難や頻呼吸を伴い,重症例ではショックを呈することや一過性に意識消失を認めることもある 67).術後の安静臥床後の初めての歩行,深部静脈血栓症や凝固異常,悪性腫瘍などの臨床背景をもつ患者で起こしやすい.急性大動脈解離は,心筋梗塞と比べ痛みの程度が強く,激烈なことが多い.通常,前駆症状を伴わず突然引き裂かれるような背部へ放散する鋭い痛みが出現し,呼吸困難や意識消失を伴うこともあり,解離の進行とともに腰部,稀に下肢にまで痛みが移動する.

2 身体所見クラスⅠ1.患者到着後10分以内の身体所見および簡潔な神経学的所見の診察(レベルC)

 身体所見の注意深い診察は診断のみならず合併症の有無や胸痛を起こす他の疾患との鑑別に役立つ.また,特に血栓溶解薬投与前には脳卒中の既往や認知症の有無を簡潔な神経学的所見の診察から判断する. 症状の程度は個人差があり,症状が強い場合は苦悶様表情を呈し,痛みで動けずに耐えていることが多い.肺水腫を合併例は,呼吸困難や起坐呼吸,咳嗽や泡沫状血痰を認める.ショック例では,顔面蒼白で皮膚は冷たく湿潤で青いまだら状の斑点を認め,口唇や爪床にはチアノーゼを認める.また,心拍出量低下に起因する脳循環障害により錯乱状態など意識レベルの低下がみられる.1.バイタルサイン 合併症のないものは正常血圧のことが多い.一方,不安感が強い場合や興奮状態では交感神経亢進により一過性に血圧上昇をきたすことがある.一般的に,下壁梗塞

ではBezold-Jarisch反射による徐脈などの副交感神経過緊張を示唆する所見が,前壁梗塞では頻脈などの交感神経過緊張を反映する所見が見られ,90mmHg以下の低血圧はショック状態で認められる.2.聴診所見(1)心音,心雑音: 救急外来でⅢ音の有無を確認する.Ⅲ音は左室充満圧上昇を伴った重症左室機能不全を反映する所見であり,Killip分類 68)の評価に用いられる.(表3)経過中に出現する収縮期雑音は,左室拡大や乳頭筋不全および腱索や乳頭筋断裂による僧帽弁逆流あるいは心室中隔穿孔の合併を考える.腱索や乳頭筋断裂による僧帽弁逆流は,心尖部に最強点を有し時に振戦(thrill)を伴う顕著な全収縮期雑音として聴取し,血行動態の悪化を伴う.心室中隔穿孔による心雑音も同様の性状を有するが,心尖部よりむしろ第4肋間胸骨左縁で最強点を有することが多い.心膜摩擦音は,発症直後は稀で,梗塞範囲の大きい貫壁性心筋梗塞で発症2~3日後に主に吸気時に聴取されるが,一過性のことが多い.(2)呼吸音:左室コンプライアンスの低下した状態で体液が肺胞や気道に漏出することにより湿性ラ音が生じる.肺野の聴診では,この湿性ラ音の有無とその聴取範囲が重要で,前述のⅢ音とともにKillip分類 68)としてポンプ失調の重症度を評価する.3.鑑別診断 胸痛をきたす他の疾患との鑑別には,四肢血圧の差,大動脈弁逆流性雑音(急性大動脈解離),心膜摩擦音(急性心膜炎),左右肺野での呼吸音の比較(気胸),圧痛の確認(腹壁・腹腔内臓器由来の症状)が重要である.急性大動脈解離では解離が冠動脈入口部にまで及びSTEMIを合併することがある(Stanford A型でこの合併率は5%前後,特に右冠動脈入口部を巻き込むことが多い).身体所見の特徴から疾患を推測することは重要であるが,必ずしも診断を確定できないことに留意する.4.その他 右室梗塞を合併した急性下壁梗塞例では,頚静脈怒張,肝腫大,下腿浮腫などの右心不全徴候を認める場合がある.また,頸動脈や腹部大動脈や大腿動脈などの血管雑音,貧血,腹部大動脈瘤などの有無から心臓カテーテル

表3 Killip分類:身体所見に基づいた重症度分類

クラスⅠ ポンプ失調なし 肺野にラ音なく,Ⅲ音を聴取しない

クラスⅡ 軽度~中等度の心不全 全肺野の50%未満の範囲でラ音を聴取あるいはⅢ音を聴取する

クラスⅢ 重症心不全,肺水腫 全肺野の50%以上の範囲でラ音を聴取する

クラスⅣ 心原性ショック 血圧90mmHg未満,尿量減少,チアノーゼ,冷たく湿った皮膚,意識障害を伴う

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

検査のアプローチを含む再灌流療法の妨げとなる所見があるか否かを確認する.

3 心電図クラスⅠ1.胸部症状を訴える患者や他の症状でもACSが疑われる患者に対する到着後10分以内の12誘導心電図の記録(レベルC)

2.初回心電図で診断できない場合でも症状が持続しACSが強く疑われる患者に対する5-10分ごとの12誘導心電図の記録(レベルC)

3.急性下壁梗塞患者に対する12誘導とV4R誘導の心電図記録(レベルB)

 本ガイドラインでは典型的な持続性ST上昇(2つ以上の隣接した誘導での0.1mV以上のST上昇)を呈するもの以外に,胸部症状を有する左脚ブロック,純後壁梗塞もSTEMIとして扱う. STEMIの早期診断において,心電図は最も簡便で診断的価値の高い検査である 69).しかし,心筋虚血の程度が軽度な例や心筋虚血の範囲の狭い例の他,心筋梗塞の既往があり発症前から異常心電図を呈する例などでは心電図診断が困難なことも多く注意を要する 70),71). 心筋逸脱酵素が未だ上昇していない心筋梗塞超急性期においても,心電図ではT波の先鋭・増高(hyperacute T)を認めることが多く,これが診断の鍵となる.Hyperacute Tが出現する時期には,明らかなR波の減高,ST上昇および異常Q波など典型的なSTEMIの所見を認めないことも多いが,これは心筋傷害が可逆性である可能性を意味し,この時期の再灌流による心筋救済効果は大きい 72).初回心電図で心電図所見が乏しい場合でも,症状が持続しACSが強く疑われる場合には5-10分ごとに繰り返し心電図を記録し診断する. 急性下壁梗塞では右側胸部誘導(V4R)も記録し右室梗塞の合併の有無を診断する.V4Rの1mm以上のST上昇は右室梗塞の診断に有用であり,この所見を認めた場合にはニトログリセリンなど血管拡張薬の投与は顕著な血圧低下を招くことがあり原則として投与を避ける.しかし,通常,右室梗塞に伴うST上昇は早期に消失しやすく,右室虚血合併例の約半数で10時間以内に右側胸部誘導のST上昇が消失したと報告されている 73). 心電図はSTEMIの診断のみならず,梗塞責任血管や閉塞部位,心筋傷害の程度や範囲など多くの情報が得られる.特にST上昇の存在は再灌流療法施行を決定する重要な所見であり,純後壁梗塞を除きST上昇を認めな

い例での血栓溶解療法はむしろ有害とされている 74),75).純後壁梗塞では後壁のST上昇の対側性変化としてV1-

V4誘導でST低下のみを認めることがあり,この場合背側部誘導(V7-V9誘導)の記録が診断に有用である.心筋梗塞症例の中でST上昇を示す例は50%程度に過ぎず,約40%はST低下,陰性T波,脚ブロックなどの非特異的な心電図異常を,残る10%は正常心電図を呈するとされている 76)-79).一方,ST上昇は必ずしも心筋虚血を反映しているとは限らず注意が必要である 80).左室肥大例ではしばしばV1-V3誘導でST上昇,QSパターンを認め前壁梗塞に類似することがある.他にST上昇を高率に認める疾患として急性心膜炎があげられるが,心膜炎によるST上昇は冠動脈の支配領域とは一致せず対側性変化は認められない.aVR誘導を除く誘導で広範囲に上に凹型のST上昇とPR部の下降,aVR誘導でST

低下とPR部の上昇を認める.また,心室ペーシング例,WPW症候群や脚ブロック合併例では2次性ST-T変化のため心電図診断は困難なことが多いが,左脚ブロック例でも上向きQRSを示す誘導で1mm以上のST上昇,V1-V3誘導で1mm以上のST低下,下向きQRSを示す誘導で5mm以上のST上昇を認めた場合はSTEMIの可能性が高いとされる 81).右脚ブロック例では,QRS波形がV1誘導からV3またはV4誘導でqRパターンでこの誘導でのST上昇は左前下行枝近位部病変を,また,QRS

波形がV1誘導で rRあるいはRパターンの場合は左主幹部病変を疑う所見である 82).また,Yamajiら 83)は,aVR

誘導のST上昇度がV1誘導のST上昇度よりも高度な場合に左主幹部病変が疑われることを報告している.

4 臨床検査クラスⅠ1.患者到着後10分以内の血液生化学検査(レベルC)

 診断確定のために生化学的マーカーの結果を待つことで再灌流療法が遅れてはならない. STEMIで,貧血や腎機能障害の存在,高度な白血球数増多や高血糖を認める例の予後は不良であることが報告されている 84)-88). 急性心筋梗塞の臨床診断において心筋壊死を示す生化学マーカーの一過性上昇を認めることは必須であり,これに加え虚血の存在を示唆する遷延する胸痛や心電図所見のいずれかの存在が必要となる.しかし発症早期には心筋傷害の生化学的マーカーは未だ上昇していないことも多く,早期再灌流の重要性から症状と心電図所見を中心に診断,治療を進めていく.

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

 虚血により心筋壊死に至る過程では,まず心筋細胞膜が障害され,細胞質可溶性分画マーカー(クレアチンキナーゼ:CK,クレアチンキナーゼMB:CK-MB,ミオグロビン,心臓型脂肪酸結合蛋白:H-FABP)が循環血中に遊出する.さらに虚血が高度で長時間に及ぶと筋原線維が分解され,心筋筋原線維の構造蛋白である心筋トロポニンT,I,ミオシン軽鎖が流出する.心筋トロポニンTは一部(約6%)が細胞質に可溶性分画として存在し,STEMIでは虚血早期の細胞質からの遊出(発症12~18時間後の第1ピーク)と筋原繊維壊死(発症90~120時間後の第2ピーク)の2峰性の遊出動態を示し,1峰性の遊出動態を示す心筋トロポニン Iとは異なる 89). CKは最も一般的な心筋壊死のマーカーであり 90),91),現在でも広く心筋梗塞の診断,予後の予測に用いられている 92).STEMIでは発症後3~8時間で上昇し,10~24時間で最大となり,3~6日後に正常化する.血中CKの最高値は心筋壊死量を反映するが,早期再灌流療法施行例ではピーク到達時間が早くなり最高値も高くなる.CKは健常人でも検出され心筋特異性が低いのに対し,心筋トロポニンは心筋特異性が高く,健常人で上昇することはない(基準値<0.01ng/ml).心筋トロポニンの上昇は健常人の99%値を越える場合と定義され,CK

が上昇しない程度の微小心筋傷害も確実に検出される.しかしながら,このマーカーは発症早期には上昇していないことが多く 93),超急性期の診断には有用性が低い.しかし,確定診断に有用であり,ESC/ACCガイドライン2000では急性心筋梗塞の最終診断は心筋トロポニンの上昇と定義した 94).また,主に非ST上昇型ACSでの診断やリスク層別において臨床的有用性が高い 95)-99).しかし,心筋トロポニンは心不全,心筋炎,急性肺血栓塞栓症など虚血以外の原因による心筋傷害でも上昇することに注意が必要である.H-FABPは,心筋細胞質に比較的豊富に存在する低分子可溶性蛋白であり,低分子で

あるために軽度の心筋傷害のレベルで循環血中に逸脱しやすく,ミオグロビンと同様に鋭敏な遊出動態を示す.H-FABP全血迅速診断法は心筋トロポニンT全血迅速診断法では診断できない発症2時間以内の超急性期の急性心筋梗塞の診断が可能となるが,心筋特異性が低く,大動脈解離,骨格筋障害,腎機能障害例などでも陽性となること報告されている 100).(表4)101)

5 画像診断胸部X線写真クラスⅠ1.重症度の評価(レベルC)2.急性大動脈解離や他の肺・胸膜疾患,縦隔疾患との鑑別診断(レベルC)

 胸部X線写真は鑑別診断と重症度評価の上で重要な検査である.心陰影の拡大,肺うっ血,肺水腫,胸水の有無を客観的に評価できる.胸部X線写真のみで胸痛の鑑別が可能となる疾患は限られているが,肋骨疾患,気道疾患,肺・胸膜疾患,縦隔疾患,心臓および心膜疾患,肺・体血管疾患の形態的診断には有用である.緊急に診断治療が必要となる急性大動脈解離と急性肺血栓塞栓症では,胸部X線写真で上縦隔陰影の拡大,二重陰影,大動脈壁内膜石灰化の偏位を認める場合には前者を,肺動脈の途切れ,遮断,区域性乏血が認められた場合には後者を疑い検査を進めるが,このような所見は必ずしも見られないことに注意する.また,留意点として,仰臥位の正面胸部X線像は立位正面胸部X線像と異なることがあげられる.

心エコー法クラスⅠ1.標準的診断法で確定できないが急性心筋梗塞が疑わ

表4 発症からの経過時間別に見た各心筋傷害マーカーの診断精度

<2h 2~4h 4~6h 6~12h 12~24h 24~72h >72h

ミオグロビン* ○ ○ ○ ○ ○ △ ×

心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)* ○ ○ ○ ○ ○ △ ×

心筋トロポニン* × △ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

CK-MB × △ ◎ ◎ ◎ △ ×

CK × △ ○ ○ ○ △ ×

ミオシン軽鎖 × △ ○ ○ ○ ○ ○

◎ 感度,特異度ともに高く診断に有用である○ 感度は高いが,特異度に限界がある△ 感度,特異度ともに限界がある

× 診断に有用でない* 全血迅速診断が可能である

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

れる患者の診断(レベルC)2.心筋虚血に曝されている領域の評価(レベルC)3.梗塞急性期における左心機能の評価(レベルC)4.下壁梗塞で右室梗塞の合併の可能性がある患者の診断(レベルC)

5.機械的合併症の診断(レベルC)6.左室壁在血栓の診断(レベルC)クラスⅡa

1.再灌流療法後の心機能の評価(レベルC)クラスⅡb

1.標準的診断法で確定した急性心筋梗塞の診断(レベルC)

 心エコーは,局所壁運動異常による急性心筋梗塞の診断,左室収縮機能・拡張機能の評価のみならず外科的治療の適応となることが多い機械的合併症の診断や大動脈解離との鑑別に有用である.局所壁運動異常による急性心筋梗塞の診断率は90%を超え,心電図診断が困難な場合にも有用である 102),103).壁運動異常部位の範囲から虚血範囲や責任冠動脈を推測することができる.梗塞発症早期に低血圧を呈する最も多い原因は急性下壁梗塞例でみられる迷走神経過緊張である.このような例は心エコー図で前側壁領域の壁運動が良好であり,広範な右室梗塞や後述の機械的合併症を認めなければ左室心筋原性ショックは否定される.機械的合併症の中で,左室自由壁破裂は最も重篤で急速に死に至ることも多い.心膜液の貯留(echo free space)を認めるが,貯留量が少ない場合でも右室拡張早期の虚脱(diastolic collapse)は心タンポナーデの指標となる.心室中隔穿孔はカラードプラー法でシャント血流の存在より穿孔部位を確認できる.乳頭筋が心筋虚血に陥り,機能不全あるいは断裂が起こると僧帽弁逆流を生じる.特に乳頭筋断裂では僧帽弁逆流により急激に重篤な心不全を生じる.断層像では断裂した乳頭筋が腱索に付着し可動性の塊状エコーとしてみられる.胸痛を認める心血管疾患で,急性大動脈解離(上行大動脈や腹部大動脈の intimal flap,大動脈弁逆流,心膜液貯留),急性肺血栓塞栓症(右房および右室の拡大,左室の圧排像),急性心膜炎(局所壁運動異常のない心膜液貯留)などの疾患との鑑別にも心エコーは有用である.

6 包括的リスク評価法クラスⅠ1.患者背景,身体所見,心電図所見に基づいたリスク評価(レベルC)

 STEMIではすみやかに重症度を評価し迅速かつ的確な治療を行うことが予後の改善に重要である.このため病歴,身体所見,12誘導心電図,臨床検査所見など来院時に得られる情報を駆使してリスクの層別化を行う.予後に影響する因子としては,年齢,性別,収縮期血圧,心拍数,低体重,発症から治療までの時間,梗塞部位,高血圧,糖尿病,心筋梗塞の既往などがあげられる 104)-

107).Killip分類(表3)は主に聴診所見により重症度を評価でき予後の予測にも有用である 68).KillipⅣの心原性ショック例の死亡率は未だ40-70%と高く,院内死亡の最大原因である.しかし,ショック合併例においても早期の再灌流療法を中心とした治療法の進歩により生存率が向上することが示されている 108)-110).心筋梗塞による心原性ショックは,一般的に左室充満が十分な状況で末梢循環不全の徴候を合併した30分以上持続する低血圧(<90mmHg)と定義されるが,血圧が90mmHg

以上でも組織低灌流状態が見られる場合にはプレショックと考えショックと同様の対応をする必要がある.多数の心原性ショック例を検討したSHOCK registryのなかで,来院時にショック状態を呈した例は9%と少ないにもかかわらず,心筋梗塞発症6時間以内には47%,24時間以内には74%の例でショック状態となっている.この理由として,来院時点で重症心不全やプレショックの診断が十分になされていないか,ようやく代償されている患者に血圧低下作用のある薬剤を投与するなどの要素も考えられる.このような重症例を見逃さずに診断し,ショックになる前に必要に応じて再灌流療法を含む的確な治療を行うことで,ショックを予防することが重要である. 重症度は複数の因子から総合的に判断することでより包括的な評価が可能となる.このため様々なリスク層別化の指標が考案されている.TIMIリスクスコアでは8つの因子の合計ポイント数が大きいほど予後は不良とされている 111).また,〔心拍数×(年齢 /10)2〕÷収縮期血圧〕で算出される simple risk indexも予後を予測する簡便な指標であり,数値が大きいほど早期死亡は高率である 112).CADILACリスクスコアは冠インターベンション施行例を対象に,従来から提唱されてきた臨床因子に冠動脈造影所見と左室機能を加味して予後を予測する指標であり,年齢,Killip分類,貧血,腎不全,3枝病変,左室駆出分画率,冠インターベンション後のTIMI分類の7つの各項目にポイントで重みをつけ合計ポイント数が大きいほど予後が不良とされている 113). STEMI患者の予後には多くの因子が複雑に関与する.個々の症例ごとに患者背景,身体所見などからリスクを

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1361Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

評価し,再灌流療法を中心として予想されるリスクと利益とあわせ総合的に判断することが治療法を決定する上で重要である.

3 標準的初期治療

1 酸素クラスⅠ1.肺うっ血や動脈血酸素飽和度低下(90%未満)を認める患者に対する酸素投与(レベルB)

クラスⅡa

1.全ての患者に対する来院後6時間の酸素投与(レベルC)

 酸素投与により虚血心筋傷害が軽減される可能性が報告されており 114),また合併症のない心筋梗塞患者でも初期には換気血流不均衡や肺の液体貯留などが原因で軽度の低酸素状態にある場合があることから 115),緊急治療開始から最初の6時間は全例で酸素投与が勧められる.通常は経鼻カニュレまたはフェイスマスクにより100%酸素を2~5 l/分で開始する.重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者では,酸素投与により炭酸ガスナルコーシスをきたす可能性があり,低濃度から慎重に投与する.また,高度の肺うっ血や肺水腫,機械的合併症により低酸素血症が高度な場合は気管挿管を行い人工呼吸管理とする.

2 硝酸薬クラスⅠ1.虚血による胸部症状のある場合に,舌下またはスプレーの口腔内噴霧で,痛みが消失するか血圧低下のため使用できなくなるまで3~5分ごとの計3回までの投与(レベルC)

2.虚血による胸部症状の緩解,血圧のコントロール,肺うっ血の治療目的としての静脈内投与(レベルC)

クラスⅢ1.収縮期血圧90mmHg未満あるいは通常の血圧に比べ30mmHg以上の血圧低下,高度徐脈(<50bpm),頻脈(>100bpm)を認める場合,下壁梗塞で右室梗塞合併が疑われる場合の投与(レベルC)

2.勃起不全治療薬(バイアグラⓇなど)服用後24時間以内の投与(レベルB)

 ニトログリセリンは冠動脈や末梢の動静脈の拡張作用

がある.末梢静脈の拡張は左室前負荷や左室容量を軽減し,また末梢動脈の拡張は血圧を低下し後負荷を軽減することで心筋酸素消費量を減少する.さらに冠攣縮の解除や予防に加え,側副路の血流を増加することで虚血心筋の血流を改善するため広く用いられている.この結果として虚血による胸部症状に対し鎮痛効果を有する.再灌流療法以前のいくつかの臨床試験では硝酸薬の早期静脈内投与による梗塞サイズ縮小や死亡率減少効果が示されたが 116),経皮吸収製剤 117)や経口薬 118)を用いた無作為大規模試験では硝酸薬による死亡率の有意な改善は認めなかった.虚血による胸部症状のある場合には,舌下またはスプレーの口腔内噴霧で,痛みが治まるか血圧低下のため使用できなくなるまで,3~5分ごとに合計3回まで投与する.経静脈的投与は確実で用量調節が容易で,副作用を認めた場合に直ちに中止できるという利点があり,胸部症状が持続する場合,高血圧や肺うっ血を認める場合に適応がある.しかし,収縮期血圧90mmHg未満あるいは通常の血圧に比べ30mmHg以上の血圧低下,高度徐脈(<50bpm),頻脈(>100bpm)を認める場合,下壁梗塞で右室梗塞合併が疑われる場合には投与を避ける(クラスⅢ).また,高齢者や脱水を伴っている場合にも硝酸薬投与により過度の血圧低下をきたすことがあるので注意する必要がある.勃起不全治療薬(バイアグラⓇなど)服用後24時間以内の硝酸薬使用は過度な血圧低下から心筋虚血やショックを誘発する可能性があり禁忌である 119).

3 鎮痛薬クラスⅠ1.硝酸薬使用後にも胸部症状が持続する場合の塩酸モルヒネ投与(レベルC)

 胸痛の持続は心筋酸素消費量を増加させ梗塞巣の拡大や不整脈を誘発するため,鎮痛,鎮静は速やかに行わなければならない.再灌流療法により早期に良好な再灌流が得られれば,胸痛は速やかに軽減消失する.硝酸薬で改善のみられない持続する疼痛には塩酸モルヒネが有効である.また塩酸モルヒネは血管拡張薬であり,肺うっ血にも有効であるが,循環血液量が減少している可能性のある患者には投与すべきでない.もし血圧低下をきたした場合には,下肢を挙上し輸液負荷を行うが,肺うっ血の増悪に注意する.塩酸モルヒネは2~4mgを静脈内投与し,効果不十分であれば5~15分ごとに2~8mgずつ追加投与していく.しばらくは呼吸状態や血圧変動や嘔吐などの副作用に注意する.胸部症状には塩酸ブプレ

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ノルフィン(0.1~0.2mg)や鎮静目的でジアゼパム(2.5~5mg)の静脈内投与も有用であるが,呼吸抑制に注意する.

4 アスピリンクラスⅠ1.アスピリン160(レベルA)~325mg(レベルC)(バファリンⓇ81mg 2~4錠またはバイアスピリンⓇ

100mg 2~3錠)の咀嚼服用

 アスピリンは単独投与でも死亡率や再梗塞率を減少させることがいくつかの臨床研究から明らかにされており,早期に投与するほど死亡率が低下することが示されている 120)-127).このため,アスピリンアレルギーの既往がある患者を除き,STEMIが疑われる患者全例に,できるだけ早くアスピリンを投与する.病院外でも救急外来でも,早急に効果を得るためにアスピリン160~325mg(バファリンⓇ81mg 2~4錠またはバイアスピリンⓇ100mg 2~3錠)を噛み砕いて服用させる.アスピリン坐薬の投与は安全であり,嘔気,嘔吐症状が強い患者や,上部消化管疾患のある患者に対しては適応である.アスピリンアレルギーがある場合にはチエノピリジン系薬剤で代用するが,効果発現には時間を要する.

5 未分画ヘパリンクラスⅠ1.PCI施行時のACTモニタリング下での使用(レベルC)

クラスⅡa

1.tPA,pro-UK,mutant tPAなど血栓親和性のある血栓溶解薬を使用した場合のaPTTモニタリング下での静脈内投与(レベルC)

クラスⅢ1.ウロキナーゼなどの血栓親和性のない血栓溶解薬を使用した場合の使用(レベルC)

 ヘパリンが有効であるという知見の多くは再灌流療法が施行される以前の大規模試験から得られたものである 128).再灌流療法が施行される患者では,再灌流療法の種類や使用薬剤によりヘパリンの使用法が異なる.PCIが施行される場合にはヘパリンの一回静注投与が推奨されている.一般的にはACT(activated clotting time)が250秒を超えるようモニタリングしながら使用する.入院直後にヘパリンを投与することにより,特に発症2時間以内の症例では,冠動脈造影の時点でTIMI 2以上

の血流が得られている率が高いことが報告されている 129).tPAにヘパリン投与を併用することで再疎通率が向上することが報告されており 130),131),tPAを使用した血栓溶解療法においてはヘパリンを48時間静脈内投与を行い(クラスⅡa),aPTT(activated partial thromboplastin

time)を測定し目標を50~70秒に維持するのが望ましい.ヘパリンは抗凝固活性が一定ではなく薬物動態も不安定なため,投与量を調節する必要がある.ウロキナーゼなどの血栓親和性のない血栓溶解薬を使用した血栓溶解療法ではヘパリンの使用は避ける.

6 β遮断薬クラスⅠ1.STEMI発症後早期のβ遮断薬に対する禁忌のない場合の使用(レベルA)

クラスⅢ1.中等度-高度の左室機能不全患者,心原性ショック(レベルC)2.収縮期血圧100mmHg未満の低血圧(レベルC)3.心拍数60 / 分未満の徐脈(レベルC)4.房室ブロック(Ⅱ,Ⅲ度)(レベルC)5.重症閉塞性動脈硬化症(レベルC)6.重症慢性閉塞性肺疾患または気管支喘息等(レベル

C)

 再灌流療法が施行される以前は,発症早期のβ遮断薬の投与により梗塞サイズの縮小および死亡,再梗塞,心破裂,心室細動,上室性不整脈のいずれも減少することが示されている 132)-136).血栓溶解療法施行例でもβ遮断薬の投与により再梗塞,虚血再発率が減少し,特に早期(2時間以内)に静脈内投与した場合には死亡率も低下し得ることが示されている 137).発症数時間以内にβ遮断薬を投与すると心拍数,血圧,心筋収縮性が減少し,心筋酸素需要が低下する.また心拍数の減少により拡張期時間が延長し,主に心内膜下における傷害心筋への灌流が改善する可能性がある.このような機序により発症直後にβ遮断薬の投与を開始することは梗塞サイズを縮小させ,慢性期の合併症および再梗塞の発生率を減少させると考えられる.しかし,PCI施行例ではβ遮断薬の有効性について大規模無作為試験では検討されていない.後ろ向き検討ではβ遮断薬の静脈内投与により死亡率が低下したが,このような予後改善効果は全例でみられたわけではなく低心機能例や多枝病変例,発症前にβ遮断薬の治療歴がない例において認められたと報告されている 138),139).しかし,救急外来で低心機能例に対する

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

β遮断薬の投与は慎重に考慮することが必要である.このように再灌流療法施行例でのβ遮断薬の有効性を検討した試験は少ないが,非再灌流療法時代の成績やこの薬剤の特性を考慮するとβ遮断薬は,再灌流療法の有無にかかわらずβ遮断薬に対する禁忌のない患者には使用する.(慢性期のβ遮断薬投与についてはⅧ.二次予防の項を参照のこと)

Ⅴ 再灌流治療

 STEMIでは,血栓溶解療法,PCIを問わず,いかに早期にTIMI 3の再灌流を得るかが,短期および長期の予後を改善する.重要なことは,血栓溶解療法においてはdoor-

to-needle timeを30分以内に,PCIで はdoor-to-balloon

timeを90分以内にすることである(図6). AHAと ILCORでは3時間以内のPCIと血栓溶解療法

に明らかな優劣をつけていない.無作為臨床試験の解析結果ではPCIの死亡率減少における有効性は発症60分以内にPCIが可能な場合に得られ,その後15分間遅れるごとに死亡率が上昇することが示された 60).また,早期のTIMI 3回復は短期,および1年の長期予後を有意に改善する事も示されている 43). 本邦では,現在PCIがSTEMI治療の主体として多く行われている.欧米においてPCIが血栓溶解療法に勝る成績が多く報告されているが,明らかなPCIの有用性を示す無作為臨床試験の結果では発症後平均44分という短時間でTIMI 3が得られている 140)-144). 一方,病院間の患者移送でPCI治療が60分以上遅れるような場合には,血栓溶解療法に対する死亡率減少効果の優位性は損なわれる 60).しかし,血栓溶解療法の禁忌,不成功の患者,心原性ショックの患者,60分以内で治療可能な患者,症状が改善しない発症2から3時間以内の患者は直ちにPCI施行可能な施設に搬送するべきである 144),145)(図7).

図6 緊急PCIが施行可能な施設におけるSTEMIへの対応アルゴリズム

心原性ショック(または進行した左心不全)の場合,発症36時間以内かつショック発現18時間以内はPCI・外科手術を検討する.

早期冠動脈造影を考慮(24-72時間)さらに残存虚血・心筋生存性を評価し治療方針を決定

緊急冠動脈造影, 適応があれば PCI(到着‐バルーン時間 90以内を目標)あるいは CABG

STEMI患者

到着 -バルーン時間を90分以内にできるか?

到着 -バルーン時間を90分以内にできるか?

虚血性胸痛とST上昇>1mm持続

原則として緊急 PCIを選択(長い待期時間,広い梗塞範囲等では血栓溶解療法+facilitated PCIを考慮)

血栓溶解療法とfacilitated PCIを考慮

発症からの時間は?12時間以上 3時間以内

3~12時間はい

はい はいいいえ

いいえ

いいえ

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

1 血栓溶解療法

 STEMIの急性期治療は欧米においては簡便な経静脈的血栓溶解療法が主流を占めてきた.しかし,本邦での上松瀬らのアンケート調査によると,平成10年から平成11年の1年間におけるSTEMI患者の第一選択肢となる治療法は,48%が経皮的冠動脈形成術(PCI)であり,血栓溶解療法の11%に比べ約5倍の頻度で施行されていた.その院内死亡率はそれぞれ4.7%と 9.9%であった.2000年に行われた東京都CCUネットワークの活動実績報告によると,参加施設の62%でdirect PCIが行われていた.よって,本邦ではSTEMI初期治療としてPCIが最も多く選択され,治療成績も良好であることが示されている.

1 血栓溶解療法の適応クラスⅠ1.発症12時間以内で,0.1mV以上のST上昇が2つ以上の隣接した誘導で認められる75歳未満の患者(レベルA)

2.発症12時間以内で,新規左脚ブロックが認められる75歳未満の患者(レベルA)

クラスⅡa

1.発症12時間以内の純後壁梗塞(レベルC)2.発症12時間から24時間以内で虚血症状およびST

上昇が持続する場合(レベルB)クラスⅢ1.症状が消失し,治療までに24時間以上経過した患者(レベルC)

2.後壁梗塞が除外された非ST上昇型ACSの場合(レベルA)

2 血栓溶解療法の禁忌(A)絶対的禁忌1 出血性脳梗塞の既往(時期を問わず),1年以内の脳梗塞,脳出血

2 既知の頭蓋内新生物3 活動性出血4 大動脈解離およびその疑い

(B)相対的禁忌

図7 緊急PCIが施行できない施設におけるSTEMIへの対応アルゴリズム

心原性ショック(または進行した左心不全)の場合,発症36時間以内かつショック発現18時間以内はPCI・外科手術施行可能施設へ搬送する.(再灌流徴候*:胸痛の消失,ST上昇の軽減,T波の陰転化など)

あり 再灌流徴候* なし

STEMI患者

虚血性胸痛とST上昇>1mm持続 発症からの時間は?

12時間以上 3時間以内

3~12時間はい

はい はいいいえ

いいえ

いいえ搬送時間を考慮し

90分以内にバルーン拡張可能か?

24時間以内に PCIが可能な施設へ搬送

搬送時間を考慮し90分以内かつ発症 12時間以内に

バルーン拡張可能か?

搬送先と相談し,血栓溶解療法を考慮

直ちに PCIが可能な施設へ搬送

原則は緊急 PCI施設へ搬送長時間要するなら搬送先と相談し血栓溶解療法実施を考慮

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

1 診察時,コントロール不良の重症高血圧(180/110 mmHg以上)

2 禁忌に属さない脳血管障害の既往3 出血性素因,抗凝固療法中4 頭部外傷,長時間(10分以上)の心肺蘇生法,または大手術(3週間未満)などの最近の外傷既往(2~4週間以内)

5 圧迫困難な血管穿刺6 最近(2~4週以内)の内出血7 線溶薬に対する過敏反応8 妊娠9 活動性消化管出血10 慢性重症高血圧の既往

 年齢が75歳以上の場合や発症後12時間を超過している場合でも状況に応じて適応となるが,高度の高血圧を認めるものや,発症後24時間以上を経過して症状のない場合や,ST低下のみの場合にはクラスⅢである.特に高齢者や,発症後時間の経過した状況では脳出血,心破裂(自由壁破裂,心室中隔穿孔)の発症頻度が高くなり,使用にあたっては血栓溶解療法の絶対及び相対的禁忌を十分認識しておく必要がある.本邦では,圧倒的にPCIが普及し,血栓溶解療法の使用頻度は減少しているが,非専門施設から搬送に時間がかかることが予測される場合や医療過疎地などでは十分考慮されるべき治療である.

2 経皮的冠インターベンション(PCI)

 PCIは,熟練した術者が適切な施設環境において行うことを原則とする.熟練した術者とは,PCIに関する学会指導医,認定医等の一定の基準に達した医師であり,PCIの実施は熟練者によるか,またはその監督の下に行われるべきである.適切な施設環境とは,厚生労働省の定める施設基準に準じるものである.

1 primary PCIの指針 110),145)-170)(図6,図7)

クラスⅠ1.発症12時間以内で,来院後90分以内に病変をバルーン拡張できる場合にprimary PCI(ステント留置を含む)を考慮.(レベルA)

2.primary PCIは病院に到着してから責任病変をバルーン拡張するまでの時間が90分以内を原則.(レベルB)

a.症状の持続時間が3時間以内であり,カテーテル検査の穿刺からPCIまでをⅰ)1時間以内に行うことができる場合の

primary PCI.(レベルB)ⅱ)1時間以上要する場合には血栓溶解療法を考慮.(レベルB)

b.症状が3時間以上持続する場合のprimary PCI.(レベルB)

c.重症うっ血性心不全,またはKillipⅢ度以上の肺水腫を伴う場合のprimary PCI.(レベルB)

クラスⅡa

1.発症12から24時間前で,次の項目のどれか一つ以上を満たす場合.a.重症うっ血性心不全(レベルC)b.不安定な血行動態または心電図所見(レベルC)c.持続する虚血徴候(レベルC)

クラスⅢ1.血行動態が不安定な患者で,虚血がないと判断される非梗塞領域を灌流する冠動脈へのprimary PCI.(レベルC)2.発症後12時間以上経過しており,血行動態や心電図所見が安定していて症状が消失している患者へのprimary PCI.(レベルC)

3.厚生労働省の定める施設基準を満たさない施設や,PCIに熟練していない術者が行うprimary PCI

 2007年12月現在,STEMIのprimary PCIにおけるベアメタルステント使用に関してはすでに十分なエビデンスがあるが,薬剤溶出ステントに関するエビデンスはまだ不十分である.血栓溶解療法に比してprimary PCIは①高い再灌流率,②梗塞後の狭心症などの心事故の減少と予後の改善,③早期退院が得られ,④心原性ショック症例にも有効と報告されている 110),145)-166).但し責任冠動脈の開存率,左室駆出分画率,心筋残存量,副作用,再梗塞率,死亡率などにおいて両者に差がないという報告も一部にある 167)-170).STEMIの急性期治療における治療選択の決定において欧米の事情と異なることを考慮する必要がある.実際,欧米ではPCIを行える施設が日本ほど多くなく,患者が各地域に分散し,PCI治療による再灌流療法が可能な施設に搬送できないことがあり,必然的に血栓溶解療法の需要が多い.本邦ではほとんどの患者はPCI施行施設に収容可能である.ただし専門医療施設から遠隔な農林漁業地域や離島もあり,さらに諸事情によるPCI実施の遅れに対しては,発症3時間以内であれば血栓溶解療法は十分考慮されるべきである.さ

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らに,その後PCIを行える施設の搬送が推奨され,再灌流の所見がなければ rescue PCIを考慮すべきである.

2 血栓溶解療法禁忌の患者に対するprimary PCI171)-175)

クラスⅠ1.血栓溶解療法禁忌で,発症12時間以内のSTEMI患者に対するprimary PCI.(レベルC)

3 緊急心臓外科手術体制が整っていない状況でのprimary PCI176)

クラスⅡb

1.近隣病院の心臓外科手術室に安全かつ迅速に転送できる場合に限り,primary PCIを考慮.ただし患者到着後90分以内にバルーン拡張できる場合に限る.(レベルB)

クラスⅢ1.緊急心臓外科体制が整っていないだけでなく,かつ近隣病院の心臓外科手術室に安全かつ迅速に転送することができない施設におけるprimary PCI.(レベルC)

4 facilitated PCI(血栓溶解療法後のPCI)177)

クラスⅡa′1.症状持続時間が3時間以内で,来院90分以内にPCI

によるバルーン拡張術が困難と予測される症例に行う.(レベルB)

 facilitated PCIとは薬物療法(血栓溶解療法,抗血小板療法,両者の併用)に続いて予定として行われるPCI

治療を言う.facilitated PCIが心筋梗塞領域を縮小させたり,患者の予後を改善させるという証拠はない.直ちにPCIを施行することができない,ハイリスク患者においては facilitated PCIは有用である可能性がある.ただし出血性合併症の増加(特に高齢者において)や高コストであることを留意する必要がある.

5rescue PCI(血栓溶解療法後も,心筋虚血が持続または繰り返す患者に行うPCI)178)-180)

クラスⅠ1.ショック状態が進行している75歳未満の患者に行う.(レベルB)

クラスⅡa

1.ショック発症後18時間以内に血行再建可能な75歳以上の患者に行う.(レベルB)

2.下記の項目のうちいずれか一つ以上に該当する患者に行う.a.不安定な血行動態または心電図所見(レベルC)b.持続する虚血徴候.(レベルC)

 原則発症後36時間以内の rescue PCIは狭窄・閉塞病変枝数を減らすことによって,虚血心筋の再灌流をもたらし,再閉塞の危険性を減らし,予後を改善する 178)-180).

6 心原性ショック患者に対するPCI 109),110),181)-183)

クラスⅠ1.発症後36時間以内に心原性ショックとなりショック発症後18時間以内にPCIが実行可能な75歳未満の患者に行う.(レベルA)

クラスⅡa

1.発症後36時間以内に心原性ショックとなりショック発症後18時間以内にPCIが実施可能な75歳以上の患者に行う.(レベルB)

 ショックを伴うSTEMI患者に緊急血行再建術を施行すると,6ヶ月後,1年後の死亡率は有意に低下し,特に75歳未満の患者において有効である 110).但し75歳以上であっても患者の機能状態が良好であれば血行再建術により生存率は高まることが報告されている 109),181)-

183).

7血栓溶解療法の成功例,または初期再灌流療法の未施行例に対するPCI 184)-192)

クラスⅠ1.心筋梗塞を繰り返しているという客観的な証拠があり,かつ冠動脈の解剖学的構造がPCIに適している患者に行う.(レベルC)

2.回復期において,中等度から重度の心筋虚血が認め

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られ,かつ冠動脈の解剖学的構造がPCIに適している患者に行う.(レベルB)

3.心原性ショックまたは血行動態が不安定で,かつ冠動脈の解剖学的構造がPCIに適している患者に行う.(レベルB)

クラスⅡa

1.左室駆出分画率が40%以下,心不全または重篤な心室性不整脈を認める患者に行う.(レベルC)

2.急性期に心不全の臨床徴候が認められる患者に行う(レベルC)

クラスⅡb

1.血栓溶解療法に続けて行う.(レベルC)

8 血栓吸引療法クラスⅡa

STEMIのPCIでは,血栓吸引療法の先行を考慮する(レベルB)

 STEMIのPCI時に血栓吸引療法を先行させることは,末梢へ飛散する粥腫破片や血栓の量を減らし,no reflow

現象の軽減や心機能の改善に寄与する可能性がある.これまで多量の血栓の存在が予測される場合に経験的に用いられてきたが,最近の大規模研究より 193),194),閉塞部位・TIMI血流グレード・血栓量を問わず,より良好な再灌流と予後改善が得られることが示唆された.

3 緊急手術による再灌流ならびに合併症修復術

クラスⅠ1.PCIが不成功に終わり,持続する胸痛または不安定な血行動態を伴い,冠動脈が解剖学的に手術に適している場合(レベルB)

2.薬物治療に抵抗性の持続的あるいは繰り返す虚血所見を認め,責任病変により広範な心筋虚血を来すと予測され,PCIや血栓溶解療法の適応がない場合.(レベルB)3.梗塞後の心室中隔破裂または自由壁破裂,急性重症僧帽弁閉鎖不全を伴う乳頭筋断裂に対して修復手術を要する場合.(レベルB)

4.STEMI発症後36時間以内にショック状態が進行しており,ST上昇,左脚ブロック,後壁梗塞のいずれかを認め,重症多枝病変・左主幹部病変のいずれかを伴う75歳未満の患者.ショック状態となってから18時間以内に手術可能な場合に限る.(レベル

A)5.左主幹部に狭窄度50%以上の病変を有するか,3枝病変を有し,致死的不整脈を伴っている患者.(レベルB)

クラスⅡa

1.STEMI発症後6時間から12時間以内の患者で,血栓溶解療法やPCIの適応が無く,特に多枝病変または左主幹部病変を有する場合.(レベルB)

2.75歳以上の心筋梗塞発症後36時間以内にショックが進行しており,重症3枝病変または左主幹部病変を有する場合.ただしショック状態となってから18時間以内に血行再建が可能な場合の緊急CABG.(レベルB)

クラスⅢ1.持続する胸痛を伴うも,血行動態が安定している場合の緊急CABG.(レベルC)

2.主要な冠動脈の血行再建に成功したが,微小血管レベルの再灌流が不十分な患者に対する緊急CABG.(レベルC)

 STEMI発症後6時間以内に施行されるCABG症例には心原性ショック症例など重症例が多く含まれるため,手術死亡率が高くなる場合がある 195),196).また虚血発生から再灌流までの時間はCABGよりもPCIの方がはるかに短い.それゆえSTEMI治療においては緊急CABG

よりPCIによる血行再建術が選択されることが一般的である.但し急性の重症僧帽弁閉鎖不全を伴う乳頭筋断裂,梗塞後の心室中隔穿孔,自由壁破裂の場合は内科的治療での救命率は極めて不良であるため,外科的修復術による治療が推奨される 197).左冠動脈主幹部病変を責任病変とするショック症例では内科治療の成績は特に不良であり,緊急血行再建術が必要となる 198)-200).ただし,近年のPCIの手技の向上と器具の改良に伴い,緊急のPCIも状況により考慮すべき血行再建術となりうる.

4 再灌流の評価

 再灌流の徴候として,症状の軽減,血行動態または電気生理的安定化があげられる.再灌流が成功すれば,治療後60-90分の心電図監視にて,初期のST上昇の少なくとも50%の減高がみられる.これらが達成されない場合は再灌流されていない可能性が高いので,rescue

PCIを検討すべきである. 再灌流後の心機能,心筋梗塞量,予後の評価としてTIMIグレードやblushグレードが有用である.TIMIグ

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レードは冠動脈造影に基づく再灌流の指標であるが,例えグレード3が達成されても微小循環が障害されていれば予後は悪い 201).これを補うものとしてblush グレードがある 202)-205).これは心筋内の微小循環に主眼をおいた評価法で,心筋梗塞量や予後の推定に有用である.通常では,冠動脈造影時の心筋濃染の程度を指標にするが,心エコー法による評価の有効性も報告されつつある 206).前述のST上昇の50%以上の減高は,心筋再灌流のみならず,心機能回復,梗塞領域の減少,予後良好の指標でもある 207)-211).

5 再灌流治療の補助療法としての抗血栓薬

 不安定プラークが破裂した後,その内容物は血中に流出する.プラーク内の脂質,コラーゲン,組織因子が放出されると凝固系が活性化されフィブリンが沈着し,血小板が活性化し凝集する.トロンビンはフィブリン凝集と血小板活性化の最重要分子である.それゆえにこの凝固カスケードを阻害することはSTEMI患者において重要なことである.

1 未分画ヘパリンクラスⅠ(レベルC)1.PCIにより再灌流治療を行う患者での使用2.ヘパリン起因性血小板減少症の発生を予知するための血小板数測定

クラスⅡa(レベルC)1.血栓溶解療法との併用(tPA,pro-UK,mutant tPA

など血栓親和性の高い薬剤使用時)

 STEMIの緊急PCI中の未分画ヘパリンの投与法は,待期的PCIに準じる 212),213).血栓溶解療法時の併用投与に関してACC/AHA2004ガイドラインでは,「60U/kg(最大4000U)をボーラス静注し,その後aPTTをコントロール時の1.5-2.0倍(約50-70秒)に維持するように持続投与(最大1000U/hr)」としているが,本邦では投与量について検討された報告はない.ACTまたはaPTT

を投与前の2から3倍に保つことが推奨されている 214),

215). 約3%にヘパリン起因性血小板減少症が発症するとされ 216),血小板数が10万以下になった場合は注意を要する.また,突然の中止はトロンビンを活性化して血栓性が高まる可能性があり 217),218),中止する場合は斬減する方法が推奨される(例:6時間毎に半減).(未分画ヘパ

リンの使用に関してはⅣ-3「標準的初期治療」の項も参照)

2 低分子ヘパリン 低分子ヘパリンは未分画ヘパリンと比較しSTEMI患者で再灌流率の上昇,再梗塞の低下,死亡率の低下において同等以上の効果をあげる 219)-223).しかしながら出血性合併症が多い可能性があり,未分画ヘパリンに対する明らかな優位性は不明である.

3 抗トロンビン薬クラスⅡb(レベルB)ヘパリン起因性血小板減少症を合併した患者におけるアルガトロバンの使用

 本邦で未分画ヘパリンの代わりに静脈内投与できる抗トロンビン薬はアルガトロバンのみである.米国では,血栓溶解療時の併用薬として未分画ヘパリンと同等の有用性が認められ 224),ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を合併したACS患者のPCIにも使用される 225).本邦でのHITに対する推奨投与量は0.7mg/kg/分で,米国の約1/3である.PCI時は,初回0.1mg/kgボーラス投与後6μg/kg/分で維持しACTまたはaPTTを投与前の2-3倍となるよう調節する 226).終了後は0.7μg/kg/分とし,ACTまたはaPTTの値を参考にして血小板数が回復するまで継続する.

4 アスピリンクラスⅠ(レベルA):治療直前からの投与

STEMI患者には禁忌がない限り,無期限にアスピリンを経口投与する.

5 チエノピリジン系薬剤クラスⅠ(レベルB):チクロピジンまたはクロピドグレルの治療直前からの投与

 冠動脈ステント治療を行うSTEMI患者ではチクロピジンとアスピリンの併用が推奨される 227)-229).クロピドグレルはチクロピジンより副作用が少なく同等の効果があり,チクロピジンに代わる薬剤として期待される 230),746),747).クロピドグレルは初期負荷投与(通常300mg/日,その後75mg/日を継続)により数時間後にはその作用が発現するが 230),チクロピジンには初期負荷投与による即効性・安全性を示すデータがない.ベアメタルステント挿入後は少なくとも1ヶ月間,薬剤溶出

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ステント挿入後は少なくとも12ヶ月間投与する(Ⅷ章:抗血小板治療も参照). 副作用のある場合はシロスタゾール(ホソホジエステラーゼⅢ阻害抗血小板薬)を代替薬として使用できる 231),232).シロスタゾールは即効性があるため,クロピドグレルが認可される以前はチクロピジンに代わる抗血小板薬として期待された.小規模の臨床研究でチクロピジンと同等の有用性が示されたが 231),やや血栓性の合併症が多かった 232).

6 Ⅱb/Ⅲa阻害薬 静脈内投与可能な抗血栓薬であるⅡb/Ⅲa阻害薬は,米国でPCIの併用薬として推奨されているが(クラス

Ⅱa,レベルB),本邦では有効性を立証するデータがなく,発売されていない.

6 再灌流補助薬

1 カルペリチドクラスⅡa(レベルB)発症12時間以内のSTEMI患者にPCIを行う際のカルペリチドの静脈内投与.(できれば再灌流前より投与開始し,0.025μg/kg/分で3日間使用する)(保険適応外)

 前臨床試験にて心筋保護効果の認められた多くの薬剤のうち,STEMI患者を対象とした大規模臨床試験によりクラスⅠの推奨を得た薬剤はない.その中,本邦で施行された J-WIND試験 233)により,急性心不全治療薬であるカルペリチド(A型ナトリウム利尿ペプチド)の静脈内投与が発症12時間以内のSTEMI患者のPCI後の虚血再灌流傷害を有意に減少させ,心機能・予後改善効果を有することが示された.同試験においてニコランジルの静脈内投与についても検討されたが,有用性は見出せず以前の結果234),235)と一致しなかった.ニコランジルは,冠動脈内投与により梗塞領域の微小循環の改善が報告され,PCI再灌流時の“no reflow現象”の治療に用いられる場合がある.(1-2mg冠動脈内ボーラス投与)236)

7 造影剤腎症について

クラスⅠ腎機能低下を認める患者にPCI施行前から後にかけて行う補液(レベルB).

クラスⅡb

腎機能低下を認める患者にカテーテル検査・PCI施行後に行う血液透析(レベルB)

 造影剤腎症の明確な定義はないが,ヨーロッパ泌尿生殖放射線学会によると造影剤使用後3日以内に血清クレアチニン値が0.5 mg/dlまたは25%以上上昇する場合とされている 237).造影剤腎症の頻度は2-7%程度と報告されているが,血清クレアチニン値が1.5mgを超える腎機能障害症例においては造影剤腎症の発生率は5-10倍に増えると報告されている 238).それゆえ腎機能障害がある患者には造影剤を使用しないことが望ましいが,やむを得ず使用する場合には造影剤腎症を防御する最善の策を講じる必要がある.Cigarroaらによると造影剤許容量は(最大造影剤許容量)=5 ml×体重(kg)[最大

300 mm] / 血清クレアチニン値(mg/dl)で表される 239). 造影剤腎症に対する唯一有効とされる処置は補液とされている 240),241).造影剤腎症を予防するためにカテーテル検査・PCI後に血液透析を施行することの有効性は示されておらず 242)-244),血液透析により腎機能が悪化したとする報告もある 245).その他,造影剤使用前後に特定の薬物を投与することにより造影剤腎症が抑制されることを示したエビデンスもなく,確立された予防法はない.

Ⅵ 入院後早期の管理

 STEMI発症早期の管理はCCUまたはそれに準じた施設で行われることが望ましい.

1 CCUの重要性

 CCUの創設は,1962年にDay246)によって米国Kansas

のBethany病院で行われたものが最初と言われ,ほぼ同時に Philadelphia の Presbyterian 病院 247)やカナダのToronto総合病院 248)でも開設された.その背景には電気的除細動器,人工ペースメーカ,心電図監視システムなどの開発がある.我が国では1968年頃よりその必要性が叫ばれ 249)全国に普及した.しかし,純粋な急性冠症候群のみを対象とするCCUの形式を取る施設はまれで,Cardiac Care Unit あるいは Circulatory Care Unit として心不全,不整脈,心筋炎,急性大動脈解離,急性肺血栓塞栓症などもその対象疾患となっている.最近では

Chest Pain Centerと呼ばれる胸痛を有する疾患全てを対

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象とする循環器救急システムも登場した 250).

1 CCUの規格 日本集中治療医学会のCCUの基準 251)によれば,専従する医師がいつもCCU内に勤務しており,常に緊急PCIができ,胸部外科医のバックアップによりCABGなどの緊急手術を行うことの出来る体制が必要である.我が国では300を超える主要病院にCCUがあると推察されるが 19),実際にはそれぞれの施設の実情にあった構成がなされている.ACC/AHAのガイドラインによれば 252),心電図(クラスⅠ;レベルB)とパルスオキシメータ(クラスⅠ;レベルC)によるモニターができ,心血行動態の監視と除細動の可能な施設とある(クラスⅠ;レベルC).スタッフにも専門性の高さが要求される(クラスⅠ;レベルC).

2 モニターリング 初期のCCUの目的は発症直後の致死性不整脈の治療にあり,心電図モニタリング,電気的除細動,心ペーシングなどにより梗塞患者の死亡率を著しく低下させた 253)

(クラスⅠ;レベルB).さらにSwan-Ganzカテーテルの登場によりポンプ不全の治療が大きく進歩した 254)(クラスⅠ;レベルB).さらに早期の冠動脈再灌流療法の導入によって,治療後のこれら合併症の頻度や死亡率がさらに減少したため 255),256)(クラスⅠ;レベルB),CCUの役割はPCIに伴う新たな合併症の監視・治療が主体となっている.これに加え虚血巣の縮小や左室リモデリング抑制という大きな課題がある.

2 早期の一般的処置

 基本的にCCUは静かな快適な環境にあるべきである 252)(クラスⅠ;レベルC).従って,重篤な合併症を伴わない場合は,壁紙や照明などにも気を配った個室で治療が行われるのが望ましい(クラスⅡb;レベルC).治療はコンピュータ内蔵の連続監視装置によるモニタリングのもとに行われる.モニターされる対象には基本的なバイタイルサイン(心拍数,血圧,呼吸数,体温)に加え,動脈血酸素飽和度,尿量,中心静脈圧などが挙げられる.ポンプ不全を伴う症例ではSwan-Ganzカテーテルによって肺動脈楔入圧,混合静脈血酸素濃度,心係数がモニターされる(後述の血行動態の障害または異常の項を参照).またトロポニンやCPKなどの生物学的マーカーを連続測定することによって,再灌流療法の有効性や梗塞巣の形成過程が推測できる可能性がある(クラ

スⅡa;レベルC) 以下に述べる基本処置(前述のⅣ;初期診断・治療・管理の項に引き続いて行われるべきものである)に関しては,我が国には明確な方式やエビデンスがほとんど無く,欧米のガイドラインにおいてもわずかである.従ってこのガイドラインにおいて,あえて我が国独自の指針を示し,今後の再検討を待つことにする.

1 酸素吸入 PCIを施行中には,約1割の症例で低酸素血症が出現するとの報告がある 257).従ってPCI中にはパルスオキシメータにて動脈血酸素飽和度をモニターしながら酸素吸入を行うが,再灌流に成功してCCUに収容しても12~24時間は同様な酸素投与(2~5L/分 258)を続行する(クラスⅡa;レベルC).

2 安静度 従来我が国では梗塞発症直後は絶対安静を強いることが一般的であった.しかし最近では,良好な早期再灌流が得られ,明らかな合併症を伴わない場合には早期離床を目指すことが推奨される 259)(Ⅶ -2参照).CCU収容当日はベッド上安静とし,第二病日にはベッドサイドに立ち心電図やバイタルサインに変化の無いこと確認,血清CPK値がピークアウトした2日後にはトイレ歩行や洗面をスタッフの介助と監視を受けながら開始する(クラスⅡa;レベルC).

3 食事 PCI直後は絶食とし,数時間後に介助にて飲水を開始する.飲水が問題なく出来れば,800Kcal/日,塩分制限7g/日程度,飽和脂肪とコレステロールを制限した五分粥を開始し,一食ごとに内容を上げていく(米国のCCUでの食事 260)を日本人向きに修正)(クラスⅡb;レベルC).熱いもの,冷たい飲み物も梗塞患者に悪影響は無いと言う 261). 心筋梗塞急性期は重症なものほど耐糖能が低下する 262),263).しかし,極端なカロリー制限はせず 264),高血糖はインスリンを用い是正する 265)(クラスⅡa;レベルC).

4 排尿,排便 時間尿の測定が必要な場合以外は尿道留置カテーテルを挿入すべきでない.すなわちポンプ不全の合併や既存の腎不全,排尿障害を伴うか,造影剤腎症などが危惧される場合,あるいは排尿が著しい身体的緊張を伴う場合

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

以外では尿道留置カテーテルはクラスⅢに分類される 266). CCU内での排便の際に心拍数の増加を来たし 267),再発作や心破裂を来しやすいという経験から酸化マグネシウムなどでスムーズな排便を促すことが推奨されている(クラスⅡb;レベルC).

5 鎮静,睡眠,精神療法 厳しい監視,モニター音,強いられた安静,不眠,点滴ラインによる拘束,Foleyカテーテルによる苦痛,不十分な病状の説明などが不安や抑うつ状態を引き起こすことがある 268).睡眠導入薬による充分な睡眠,抗不安薬の投与,専門の精神科医やカウンセラーによる面接が必要である 269)(クラスⅠ;レベルC).さらに譫妄や痴呆あるいは薬剤(リドカイン,β遮断薬,ジギタリスなど)などの外因性精神症状にも充分注意を払わなくてはいけない.そのためには患者の入院前の生活内容を確認しておくことが必要である 270).

6 家族面会と患者教育 要らざる不安や抑うつを防止,治療するためには,患者およびその家族に対する早期の病状説明や生活指導が重要である 271)(クラスⅠ;レベルC).特に配偶者の病状の理解はその後の患者の回復に大きく影響すると言われるので 272),病態,治療内容,予後ばかりでなく,発症要因(A型行動パターン,遺伝的素因,食事などの生活習慣,ストレス要因など)についての知識をCCUでの回復過程に併せ教育する.

7 CCUの滞在日数 再灌流療法に成功し合併症を伴わない症例のCCU滞在日数は年々短くなっており 273),最近では3~4日で一般病棟への転出が行われる.ACC/AHAのガイドラインによれば,簡単なモニタリングが可能なステップダウンユニットを有する施設では,PCIに成功した低リスクの症例は直接ステップダウンユニットに収容すべきという 252).

3 CCUの新たな役割

 CCUの新たな役割とは再灌流療法によって生じた種々の合併症に対する対策である.新たに登場した合併症には,再灌流性不整脈,ステント・トラブル,冠動脈解離・破裂,再閉塞,no reflow現象あるいは再灌流性心筋障害,冠動脈造影の合併症としての出血や造影剤腎

症などが挙げられる.いずれも早期発見,早期治療が原則であり,予防対策も必要である.

1 責任冠動脈の再閉塞防止 前述のⅤ.再灌流治療の項に引き続き,再灌流に成功した責任冠動脈の再閉塞を防止するために,アスピリン内服の継続(クラスⅠ;レベルA),ヘパリンの持続投与(クラスⅠ;レベルA),硝酸薬(クラスⅡb)やジルチアゼム(クラスⅡa)などが用いられている 257),258). STEMI患者の1.4%に消化管出血が生ずるという 274).アスピリン投与がその大きな要因の一つと考えられる 275).アスピリンの開始とともにプロトンポンプ阻害薬を併用すると出血が防止される可能性がある 276)(クラスⅡa;レベルC). 未分画ヘパリンは,広範囲梗塞,心房細動,塞栓の既往,左室内血栓,心原性ショックでは有用であるものの 252)(クラスⅠ;レベルC),この様な合併症を伴わない症例に,いつまで投与を続けるべきか明確な答えはない.歩行可能となるまで続けるのが深部静脈血栓症(DVT)の予防(クラスⅡb;レベルC)も含めて妥当とされるが 252),我が国の梗塞患者のDVTの頻度も明らかでない現状では,これがガイドラインとして適当であるかは不明である.本邦では,48時間が一応の目安である 258).出血性合併症の防ぐために注意しなくてはならないのは,ウロキナーゼと併用(クラスⅢ;レベルC)しないことと,ヘパリン起因性血小板減少症 277)

(heparin-induced thrombocytopenia : HIT)を早期発見するために血小板数をモニターすることである. 持続性あるいは再発性の狭心症やうっ血性心不全を伴う場合のニトログリセリン静脈内持続投与は,発症から48時間以内であれば極めて有効であり 252)(クラスⅠ;レベルC),さらに48時間以上の投与を続けても有用性を示すことができる 252)(クラスⅡa;レベルC).しかし,狭心症やうっ血性心不全を伴わない場合,ニトログリセリンの24~48時間以上の投与は有用性を証明するのが困難である 252)(クラスⅡb;レベルC).硝酸イソソルビドやニコランジルもこれに準ずると考えられるが,各薬剤間で動静脈に対する効果のバランスや薬剤耐性の発現状態などが異なっている.

2 再灌流後の心筋保護と再灌流傷害 再灌流療法に成功しても,すでに壊死した心筋と生き残った心筋の間にはまだ壊死に移行しうる境界部がある.また救済してもしばらく収縮力が元にもどらない心筋がある(気絶心筋;stunned myocardium 278)).

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 一方,冠動脈側からみても,再灌流に成功しても冠動脈血流が十分回復しない 279),あるいは再灌流療法後血流が回復しても組織灌流が傷害されている no reflow現象と呼ばれる病態があるとも知られている 280). 硝酸薬 281),カルシウム拮抗薬 282)(ベラパミル,ジルチアゼム,ニカルジピン),アデノシン 283),パパベリン 284),ニコランジル 285),心房性ナトリウム利尿ペプチド 286),287)などがこのような病態の心筋保護や回復に有用である可能性を示す(クラスⅡb,レベルC).しかしその臨床的効果を評価するためのゴールドスタンダードが統一されていないため,その有用性も大規模試験で証明する難しさがある.2007年に発表された J-WIND試験では,心房性ナトリウム利尿ペプチドがSTEMI後の心筋保護治療として有用であった.(クラスⅡa,レベルB)233)

3 予防的大動脈内バルンパンピング(IABP)

 再灌流後の責任冠動脈の再閉塞防止や再灌流傷害の防止対策として IABPの有用性を示す報告がある 288)-290).しかし,その後PAMI-Ⅱ試験の解析から予防的な IABP

の使用は,責任冠動脈の再閉塞率に差がなく,むしろクラスⅢに分類されるのが妥当で,脳血管障害の合併が有意に多いという結果が報告された 291).しかし,LMT病変や三枝病変,PCIが不可能な病変を持った症例,冠動脈解離やPCI不成功例などは除外されており,本来IABPが必要と思われる症例での評価ではない.よって,本ガイドラインでは従来のガイドライン 258)を踏襲し,LMT病変や三枝病変,PCIが不可能な病変を持った症例の緊急CABGまでの血行動態の維持,PCIが不成功・不十分症例の経過観察には有用(クラスⅡa;レベルC)とした.

4 早期リモデリングへの対策 心筋とくに左室リモデリングは梗塞発症直後から始まり,数年もの経過をかけて進展する左室形態の再構築である.ここでは急性期リモデリングすなわち梗塞巣の急激な伸展(expansion292))について記す.expansionは梗塞直後の柔らかな壊死巣に起きる伸展と菲薄化で,しばしば心破裂の要因となる.最も良い予防法は早期に再灌流療法と充分な心筋保護を行うことであり,expansion

の防止は心破裂の防止にも繋がる 293).expansionが慢性期のリモデリングに移行するのであれば,禁忌が無い限り,早期にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)やβ遮断薬

の投与を開始すべきである(クラスⅠ;レベルA)(詳細は,Ⅷ 二次予防の項参照).

4 心筋梗塞後の不整脈

1 心室性不整脈

①心室細動/無脈性心室頻拍

クラスⅠ心室細動に対して,非同期下,電気ショックをおこなう.初回のエネルギー量は,単相性なら360J,二相性の場合,矩形波形なら120J,切断指数波形なら150J-200J,不明であれば200Jでおこなう.2回目の電気ショックをおこなう場合は,同じかそれ以上のエネルギー量でおこなう(レベルB).

クラスⅡa

1.電気ショック無効の心室細動に対してアミオダロン125mgを静注し,その後再度電気ショックをおこなう(レベルB).

2.心室細動が停止した後,電解質・酸塩基平衡を是正し再発を予防する.(血清カリウム>4.0mEq/L,血清マグネシウム>2.0mg/dLを維持)(レベルC).

  (例:塩化カリウムを10-20mEq/時で持続静注,硫酸マグネシウム1-2gを5分以上かけて静注(保険適応外)).

クラスⅡa′電気ショックによって停止しない心室細動,あるいは無脈性心室頻拍に対して,ニフェカラント0.15-0.3mg/kgを静注し,その後再度電気ショックをおこなう(レベルC).

クラスⅡb

電気ショック後も遷延する心室細動にプロカインアミドを20mg/分で持続静注し,再度電気ショックをおこなう.(レベルC).

クラスⅢSTEMIに対して血栓溶解薬を使用するとともに,予防的に抗不整脈薬を投与する(レベルB).

 図8に頻脈性不整脈治療のフローチャートを示す. STEMIに伴って発生する心室細動は突然死の主な原因で,高齢者(>75歳)に多い 294).心原性ショックや重度の心不全症状を伴わない心室細動(primary VF)は心筋梗塞発症後最初の4時間に多く以後漸減する 295).一方,心原性ショックや重症の心不全症状にともなう心

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1373Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

室細動(secondary VF)は,その50%が心筋梗塞発症12時間後以降に出現するとされる.蘇生成功の可能性が最も高いのは,細動発生後最初の3~4分であり,9分以上経過すると成功率は10%以下に低下する.したがって,致死的不整脈の早期発見と早期除細動が重要である.左心不全症状を伴わない場合,心室細動に対し除細動が成功すれば,特に心筋梗塞発症後4時間以内発生の心室細動であれば,その既往の有無は遠隔期予後に影響を及ぼさない 296),297).現在,日本で利用されている除細動器の多くは単相性除細動器である.AHAのガイドラインでは心室細動の除細動に要する初回エネルギー量は単相性の場合360Jであるが 298),日本のガイドラインでは200~360Jとされている 101).二相性除細動器は除細動に必要なエネルギー量が少なく,心筋障害も少ない.二相性除細動器による心室細動停止効果は単相性除細動

器と同等かそれ以上であり,今後は二相性除細動器が普及する可能性は高い. 電気ショックによって停止しない心室細動に対して,ACC/AHA2004ガイドラインでは,アミオダロンを急速静注し,その後再度電気ショックをくり返す治療法をクラスⅡa(レベルB)として推奨している 38).アミオダロン急速静注時の投与量は300 mgあるいは5 mg/kgであり,心室頻拍に対する150 mgあるいは5 mg/kgを10分以上かけてという点滴静注時と同量からその倍量までの急速投与を認めている 299).日本でも,難治性の心室細動にたいするアミオダロン静注薬の製造が承認された.ただし,日本で承認をうけた投与方法は125mgを10分かけて静注するものであり,急速静注時の投与量については示されていない.高齢者と低体重の症例では血圧の変動をきたすことがあり,減量または投与速度を

図8 頻脈性不整脈治療フローチャート

1)β遮断薬の投与 塩酸プロプラノロール 2-10mg静注 塩酸ランジオロール 0.125mg/kg静注 塩酸エスモロール 0.1ml/kg(1mg/kg)静注2)ベラバミル 2.5-5mgを 5分かけて静注3)発症後早期であれば同期電気ショック4)抗凝固療法を考慮

ジゴキシン 0.25-0.5mgを 4時間毎に静注総量は 1-2mgまで

同期電気ショックが無効,あるいは直後に再発

1)同期電気ショックをおこなう  単相性なら心房細動では 100-200J粗動では 50J

血行動態の悪化をともなう 血行動態の悪化を認めない

3)頻拍をともなう心房細動 /心房粗動              血行動態は?

1)アミオダロン 125mgを静注2) β遮断薬の投与,IABP,緊急 PClを考慮3)K>4.0mEq/L,Mg>2.0mg/dLへ補正4)ニフェカラント 0.15-0.3mg/kgを静注

治療抵抗性の多形性心室頻拍

非同期電気ショック,単相性なら 200J 1)狭心症,肺水腫を合併,あるいは血圧 <90mmHg   同期電気ショックを単相性なら 100Jから開始.2)狭心症,肺水腫は合併せず,血圧 >90mmHg  a.アミオダロン 125mgを 10分かけて静注  b.同期電気ショックを単相性なら 50Jから開始

多形性心室頻拍 単形性心室頻拍

2)持続性心室頻拍               波形は?

1)アミオダロン 125mgを静注し再度電気ショック2)ニフェカラント 0.15-0.3mg/kgを静注し再度電気ショック3)プロカインアミド 20mg/分持続静注し再度電気ショック

再発予防のためK>4.0mEq/L,Mg>2.0mg/dLへ補正

心室細動が停止しない,あるいは再発したとき心室細動が停止したとき

1)心室細動 /無脈性心室頻拍

非同期電気ショック.初回は二相性なら 150J-200J,単相性なら 360J

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

調節する必要がある.アミオダロンは可能な限り中心静脈より投与する. 日本で選択的Kチャネル遮断薬として開発されたニフェカラントは,陰性変力作用を示さず抗不整脈作用を発揮することが期待されている.難治性,再発性の心室細動および心室頻拍に対して,ニフェカラントは有効であるという報告があり 300),301),電気的除細動後も遷延する心室細動に対してニフェカラントの投与も考慮する. 心室細動の予防にプロカインアミドの静注が有効なことがある 302).しかし,投与に長時間を要するため,有用性には限界がある. 大規模臨床試験のメタ解析では,リドカインの予防的投与によりprimary VFの発症率は減少したが,死亡率は増加する傾向を示した 303).STEMI症例においても,リドカインの予防的投与の有無による死亡率の有意な差は認められなかった 304).したがって,リドカインの予防的投与を,全例においておこなうことは正しいとはいえない. 血行動態が保たれ,徐脈を認めなければ,β遮断薬の早期投与開始が望ましい.心筋梗塞症例においてルーチンのβ遮断薬の静注が,早期の心室細動予防に有効であったという報告がある 305).

②心室頻拍

クラスⅠ1.多形性持続性心室頻拍に対して,非同期下,電気ショックをおこなう.(レベルB)

  (初回のエネルギー量は,単相性なら200J,二相性の場合,矩形波形なら120J,切断指数波形なら150J-200J,不明であれば200Jでおこなう.2回目以降は,同じかそれ以上のエネルギー量でおこなう.)

2.単形性持続性心室頻拍に対して,狭心症,肺水腫,あるいは低血圧(血圧<90mmHg)をともなう場合,同期電気ショックをおこなう.(レベルB)(単相性なら100Jから,頻拍が停止しない場合は,出力をあげる)

3.単形性持続性心室頻拍に対して,狭心症,肺水腫,低血圧(血圧<90mmHg)をともなわない場合

  同期電気ショックをおこなう.(レベルB)(単相性なら50Jから,頻拍が停止しない場合は,出力をあげる)

クラスⅡa

  難治性かつ緊急治療を要する血行動態不安定な心室頻拍や多形性心室頻拍に対して

1.アミオダロン125mgを10分かけて静注,引き続き持続静注をおこなう.(レベルB)

2.β遮断薬の投与,IABPの使用,緊急PClを考慮するなど,積極的に心筋虚血を解除しアドレナリン作動性刺激を減少させる.(レベルB)

3.血清カリウム>4.0mEq/L,血清マグネシウム>2.0mg/dLを維持するため電解質を補正する(レベルC).(例:塩化カリウムを10-20mEq/時で持続静注,硫酸マグネシウム1-2gを5分以上かけて静注(保険適応外)).

4.60/min未満の徐脈やQTc延長を有する患者は,一時的ペーシングにより心拍数を増加させる(レベルC).

クラスⅡa´

治療抵抗性の心室頻拍に対して,ニフェカラントを0.15-0.3mg/kgを 5分かけて静注し,以後持続静注を継続する.(レベルB)

クラスⅡb

狭心症,肺水腫,低血圧(血圧90mmHg未満)のない持続性単形性心室頻拍に対して,プロカインアミドを20mg/分で持続静注する.(レベルC)

クラスⅢ血栓溶解療法施行時,心室性不整脈予防目的で全例に抗不整脈治療をおこなう.(レベルB)

 心室頻拍が30秒以上持続するか,血行動態が破綻し速やかな治療を必要とするものを持続性心室頻拍と呼び,30秒以内に自然停止するものを非持続性心室頻拍と呼ぶ.ほとんどの心室頻拍は心筋梗塞発症後48時間以内に発症する.48時間以降に発症した持続性心室頻拍や,170bpm未満の単形性心室頻拍は心筋梗塞急性期の心室頻拍としては非典型的であり,不整脈源性基質の存在を示唆する 306),307). 血行動態の破綻をもたらす持続性心室頻拍は,電気ショックの適応となる.また,速い多形性心室頻拍は心室細動と同様に,非同期下で電気ショックをおこなう.持続性単形性心室頻拍に対して,単相性なら100Jから同期電気ショックをおこなう.血行動態が保たれた持続性心室頻拍に対しても同期電気ショックは適応である 308). 難治性かつ緊急治療を要する血行動態不安定な心室頻拍に対してアミオダロンを静注する場合125mgを10分かけて静注する.引き続き300mgを6時間かけて持続静注,次に維持投与として450mgを18時間かけて,2日目以降は600mgを24時間かけて持続投与する.心室頻拍や細動が再発した場合125mgを10分かけて追加投与

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1375Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

してもよいが,総累積用量が1750mg/24時間を超えてはならない.投与開始後血圧低下や徐脈がおこることがあるが,その際は投与速度を遅くする.ACC/AHA 2004ガイドラインでは,狭心症,肺水腫,低血圧(血圧90mmHg未満)をともなわない持続性心室頻拍に対しても,アミオダロンの静注投与をクラスⅠ(レベルB)として推奨しているが 299),日本におけるアミオダロンの適応は,難治性かつ緊急治療を要する血行動態不安定な心室頻拍である.アミオダロン静注薬の効果が確認され普及するまでの間は,その代替薬としてリドカインを持続性心室頻拍にたいして投与してもよい.一方で,非持続性心室頻拍を抑制するため全例においてリドカインを予防的に投与することは勧められない. 治療抵抗性の心室頻拍に対して,ニフェカラントの静注が有効であるという報告がある 300),301).ニフェカラントは0.15-0.3mg/kgを 5分かけて静注し,以後0.4mg/

kg/hrで持続静注を開始する.高齢者ではTorsades de

Pointes発症を予防するために,初期の投与量を少なくするだけでなく(0.1-0.3mg/kg),持続投与量も少なくし(0.1-0.4mg/kg/hr),早期に漸減中止する. 血行動態の保たれた持続性単形性心室頻拍に対して,プロカインアミドの静注は有効である 309).プロカインアミドは20mg/分で持続静注し,総量は17mg/kgまでとする. STEMI発症後,治療抵抗性の多形性心室頻拍が出現したり,頻回な除細動を必要とする心室細動が繰り返し起きる場合(electrical storm)がある.その機序として心筋虚血や交感神経の亢進の関与が疑われており,β遮断薬の投与 310),IABPの使用,緊急PClを考慮する必要がある.一時的ペーシングにより心拍数を増加させることが有効である 311),312).血清カリウムの低下やマグネシウムの低下は心室頻拍の出現を増加させるため 313),速やかに正常化させる.

③心室期外収縮

クラスⅡa

血清カリウム>4.0mEq/L,血清マグネシウム>2.0mg/dLを維持するため電解質を補正する(レベルC).(例:塩化カリウムを10-20mEq/時で持続静注,硫酸マグネシウム1-2gを5分以上かけて静注(保険適応外)).

クラスⅢ1.血行動態の悪化のない孤立性心室期外収縮,二連発,および非持続性心室頻拍に抗不整脈薬を投与する(レベルA)

 心筋梗塞慢性期において,心室期外収縮が多発する症例では予後が悪いことが知られていた.一方,心室期外収縮,二連発および非持続性心室頻拍が出現した場合,その後全例において心室細動が発症するわけではない.心室性不整脈を認めた場合,まず電解質(K,Mg)や動脈血pHを補正すべきである.CASTでは,心室期外収縮を認めた心筋梗塞慢性期の患者にNaチャネル遮断薬が投与された 314).その結果,心筋梗塞後の心室期外収縮は抑えられたが,突然死にいたる死亡率が高いことが明らかになり試験は中止された.現在STEMI発症後,Naチャネル遮断薬による心室期外収縮の抑制は勧められない.

④頻脈性心室調律(AIVR)および頻脈性接合部調律

クラスⅢ1.頻脈性心室調律に対し,抗不整脈薬を投与する(レベルC).

2.頻脈性接合部調律に対し,抗不整脈薬を投与する(レベルC).

 頻脈性心室調律は,心筋梗塞発症後12時間以内や再灌流療法後にしばしば認められるが,心室細動発症の危険因子であることを示唆する報告はない 315),316).心筋梗塞後に頻脈性心室調律や頻脈性接合部調律を認めても経過観察するだけでよい.心室細動予防のため抗不整脈薬を使用する必要はない.

⑤STEMI後の患者における除細動器の植込み

 致死的不整脈による心臓突然死のリスクは,心室細動・持続性心室頻拍による心停止の既往の有無で大きく異なる.よって,STEMI慢性期の心臓突然死の予防は,心停止蘇生生存者を対象とした二次予防と,心停止の既往のない症例を対象とした一次予防に分けられる. 心停止蘇生生存者における,薬物療法と植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator:ICD)による再発予防(二次予防)効果の比較では,ICDによる治療が有意に死亡率を低下させた 317)-320).本邦の不整脈の非薬物治療ガイドラインでは,心筋梗塞後の突然死二次予防のための ICD植込みはクラスⅠ適応である 321).STEMI発症後急性期以降(>48時間)に発症し,一過性あるいは可逆性の虚血または再梗塞をともなわない心室細動や血行動態の悪化をともなう持続性心室頻拍も,クラスⅠ適応とされた. 心臓突然死の一次予防に関して,本邦のガイドラインではSTEMI発症後1ヶ月以降に非持続性心室頻拍を認め,重度な左室機能低下(左室駆出分画率≦35%)を

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

ともなう場合,電気生理学的検査により心室細動あるいは持続性心室頻拍が誘発され,薬物治療が無効または使用できない場合は ICD植込みのクラスⅠ適応とされた.ACC/AHAガイドラインではMADIT-Ⅱ試験に基づき 322),心筋梗塞発症後1ヶ月以降あるいは冠動脈再建術施行3ヶ月以降に左室機能が低下している症例(左室駆出分画率≦30%)に対する ICD植込みはクラスⅡa適応とされた 299).本邦では心筋梗塞後の低左室機能症例の死亡率は欧米より低いという報告と 323),左室駆出分画率35%以下の冠動脈疾患で十分な薬物治療をおこなったにもかかわらずNYHA クラスⅡ以上の心不全症状があれば,突然死の頻度は高いという報告がある 324).

2 上室性不整脈/心房細動クラスⅠ1.血行動態の悪化をともなう,持続性心房細動および心房粗動に対してa.同期電気ショックを行う.(レベルC)(初回エネルギー量は,心房細動では単相性の場合,100-200J,二相性なら100-120J.心房粗動では50J.)

b.同期電気ショックが奏効せず頻脈をともなう心房細動が遷延する場合,重篤な左室機能障害あるいは心不全を合併していればジゴキシン0.25-0.5mgを4時間毎に総量1-2mgまで静注する.(レベルC).

2.血行動態の悪化をともなわない,持続性心房細動および心房粗動に対してa.β遮断薬を投与する.(レベルC)  (塩酸プロプラノロール2-5mgの静注,塩酸ランジオロール0.06-0.125mg/kgを1分間で投与し以後持続静注(手術時,手術後のみ保険適用),あるいは塩酸エスモロール1回0.1ml/

kgあるいは1mg/kgを30秒間で静注する(手術時のみ保険適用).)

b.ベラバミルを静注する.(レベルC)  (2.5-5mgを2-5分かけて静注する.効果がなければさらに5-10mgを15-30分毎に総量20mgまで投与する)

c.STEMI発症以前に心房細動あるいは心房粗動の既往がない場合,同期電気ショックを行う.(レベルC)

d.抗凝固療法を考慮する(レベルC)3.リエントリー性発作性上室性頻拍では心拍数が非常に高いため,以下に示す順序で治療を行う.

a.頸動脈洞マッサージ.(レベルC)  (頸動脈に雑音が聴取されないことを確認してからおこなう.)

b.ATPを静注する(レベルC).  (1~2秒かけて10mgを,無効であれば1~2分後に20mgを静注する.必要があればさらに20mgの投与をくり返す.)

c.ベラパミルあるいはβ遮断薬を静注する(レベルC).

クラスⅢ心房性期外収縮に対し抗不整脈薬を投与する(レベルC).

 STEMIに合併する上室性不整脈のなかで最も頻度が多い不整脈は心房細動である.心筋梗塞に罹患した,65歳以上の症例あるいは左心不全を伴う症例のうち,ともに約20%が心房細動を発症する.血行動態の悪化をともなう持続性心房細動に対しては単相性なら100-200Jから同期電気ショックを行う.除細動にともなう心筋障害をさけるには,一回目より出力を上げ除細動回数と総エネルギー量を減らす場合があり 325),連続して除細動を行う場合は1分以上の間隔をあける 326). 血行動態の悪化や慢性心不全がなければ,薬物療法による心房細動の心拍数調節をおこなう.重篤な閉塞性肺疾患やアレルギーがないかぎりβ遮断薬の投与が望ましい.欧米で推奨されているメトプロロールやアテノロールの静注薬は日本では認可を受けていない.塩酸プロプラノロール2-10mgの静注(1分間に1mg以上は投与しない),塩酸ランジオロール0.06-0.125mg/kgを1分間で投与し以後0.01-0.04mg/kg/minを静注,あるいは塩酸エスモロール1回0.1ml/kgあるいは1mg/kgを30秒間で静注する.血圧が100mmHg未満に低下したり,心拍数が50bpm未満まで減少すれば投与を中断する. β遮断薬の投与が禁忌であれば,ベラバミルあるいはジルチアゼムの静注をおこなう.これらのカルシウム拮抗薬は陰性変力作用をもつため心不全の増悪に注意する.左心不全をともなう心筋梗塞の症例ではジルチアゼムの投与により死亡率が増加した 327).したがって,心房細動を発症した心筋梗塞の症例では,カルシウム拮抗薬の長期投与はさける. 電気的除細動後も心房細動が再発遷延し,重篤な左室機能障害あるいは心不全をともなう場合,心拍数調節のためにジゴキシンを静注する.高齢者や低K血症,腎機能障害がある症例では過剰投与に注意する.しかし,その効果発現には通常60分以上かかり,効果が最大とな

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1377Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

るのは6時間後以降である.交感神経優位のときにはジゴキシンの効果は減弱する. アミオダロンの静注は,交感神経をおさえるとともにカルシウム拮抗薬としての効果を発揮し,房室伝導能を抑制する.通常の治療後も遷延する,頻脈をともなう心房頻拍の症例に有効であったという報告もあるが 328),心筋梗塞の症例において有効であるかどうかは不明である.

3 徐脈性不整脈

①心静止

クラスⅠ心肺蘇生,アドレナリン,硫酸アトロピン,一時的ペーシング,バソプレシン(保険適応外)などを迅速に行う.(レベルB)

 心静止は,洞不全や完全房室ブロックに加え,心房,房室結節,心室からの補充調律が出現しないためにおこる.心肺蘇生を開始するとともに,経皮的ペーシングの準備,アドレナリン,硫酸アトロピン,バソプレシンを投与する.バソプレシンは昇圧薬であり,アドレナリンと同様に,除細動後も遷延する心室細動や無脈性電気活動(pulseless electrical activity),院外での心停止に対しても有効である 329).

②徐脈に対する硫酸アトロピンの適応

クラスⅠSTEMI後の症候性洞性徐脈(3秒以上の洞停止,あるいは心拍数40bpm未満の洞性徐脈に血圧低下あるいは血行動態の悪化をともなう場合)(レベルC)

クラスⅢSTEMI後の房室ブロックあるいは房室結節より末梢での伝導ブロック(レベルC)

 洞性徐脈は,STEMIに関連する不整脈の30-40%をしめ,房室ブロックの合併はSTEMIの6-14%に認められる. 洞性徐脈は,とくに下壁心筋梗塞発症後1時間以内あるいは,右冠動脈の再灌流後に認められることが多い.β遮断薬,カルシウム拮抗薬投与により,洞機能不全が出現することもある.3秒以上の洞停止,あるいは心拍数40bpm未満の洞性徐脈に血圧低下あるいは血行動態の悪化をともなう症候性洞性徐脈には,硫酸アトロピン0.5mgを5分毎に,全0.04 mg/kg(2 mg / 50 kg)まで投

与する.イソプロテレノールやアミノフィリンの投与は催不整脈作用を有するため推奨されない.さらに徐脈が遷延する場合は,経皮的あるいは経静脈的に(できれば心房において)一時的ペーシングを行う.一方,房室結節より末梢での伝導ブロックに対する硫酸アトロピン投与は,洞機能を亢進するだけで,房室結節より末梢での伝導を改善させず逆に房室伝導率をさげ心拍数が低下する可能性がある.したがって,STEMI後の房室ブロックあるいは房室結節より末梢での伝導ブロックにともなう徐脈に対する硫酸アトロピンの投与は推奨されない.

③徐脈に対する一時的経静脈ペーシングの適応

クラスⅠ1.心静止2.完全房室ブロック3.硫酸アトロピンに反応しない症候性洞性徐脈4.交替性左脚および右脚ブロック5.MobitzⅡ型第2度房室ブロックに,二枝ブロックあるいは新規脚ブロックを合併

クラスⅡa

1.上記5.以外のMobitzⅡ型第2度房室ブロック2.上記5.以外の房室結節伝導障害をともなう,二枝ブロックあるいは新規脚ブロック

3.QTc延長をともない,くりかえす多形性心室頻拍クラスⅡb

1.房室伝導障害をともなわない,二枝ブロックあるいは新規脚ブロック

2.STEMI発症前からの脚ブロッククラスⅢ1.第1度房室ブロックに,左脚前(後)枝へミブロックあるいはSTEMI発症前からの脚ブロックの合併

2.MobitzⅠ型第2度房室ブロック単独,あるいは左脚前(後)枝ヘミブロックの合併

 STEMI発症後,徐脈や徐脈に伴う症状がなくとも,今後完全房室ブロックへの移行が疑われる場合には一時的ペーシングが必要となる場合がある.経静脈ペーシングのクラスⅡa適応とされたMobitzⅡ型第2度房室ブロックに,左脚前(後)枝ヘミブロックやSTEMI発症前からの脚ブロックを合併した場合と,二枝ブロックあるいは新規脚ブロックに,第1度房室ブロックやMobitz I

型第2度房室ブロックを合併した場合は,経皮ペーシングパッチをはってペーシングせずに様子をみてもよい.STEMI急性期において一時的ペーシングが必要とされても,その全例が恒久的ペーシングの適応となるわけで

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はない.

④恒久的ペースメーカーの植込み適応

STEMIにともなう房室伝導障害に対する恒久的ペースメーカーの植込みクラスⅠ1.STEMI後,両側脚ブロックを伴うHis-Purkinje系でのⅡ度房室ブロック,His-Purkinje系あるいはより末梢でのⅢ度房室ブロックが持続する(レベルB).

2.房室結節より末梢での,脚ブロックをともなう,一過性の高度房室ブロックあるいはⅢ度房室ブロック.(レベルB)

3.症状をともなうⅡ度あるいはⅢ度の房室ブロックの持続.(レベルC)

クラスⅡb

房室結節におけるⅡ度あるいはⅢ度の房室ブロックの持続.(レベルB)

クラスⅢ1.心室内伝導障害を伴わない一過性房室ブロック(レベルB).

2.左脚前枝ブロックだけをともなう一過性房室ブロック(レベルB).

3.房室ブロックを伴わない後天性左脚前枝ブロック(レベルB).4.陳旧性,あるいは発症時期が不明な脚ブロックがある場合の持続性Ⅰ度房室ブロック.(レベルB)

 房室ブロックに対する恒久的ペーシングの適応は,His-Purkinje系あるいはより末梢での伝導障害があるか否かによる.必ずしも症状の有無により恒久的ペーシングの適応が決定されるわけではない.STEMI急性期において一時的ペーシングが必要とされても,その全例が恒久的心室ペーシングの適応条件を満たすわけではない.房室ブロックの消失が期待される場合や長期予後に悪い影響を及ぼさない場合は,ペースメーカーの植込みを急ぐ必要はない.房室ブロック合併後1週間以上経過してから自己の房室結節伝導能が回復した例もある.房室ブロックを合併した症例の長期予後は,房室ブロックの程度に関連するのではなく,心筋障害の大きさや心室内伝導障害の特徴に関連する 330). 洞機能不全に対する恒久的ペースメーカーの適応は心筋梗塞の有無によって変わらない.不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)に準じて治療する 321).ただし,洞機能不全が,下壁心筋梗塞発症後1時間以内あるいは右冠動脈の再灌流後に出現した場合は一過性で

ある場合が多く,一時的ペーシングが必要になっても,できるだけ恒久的ペースメーカーの植込みはさける.

⑤ペーシングモードの選択

 STEMI患者におけるペーシングモードの選択についての無作為臨床試験はおこなわれていない.一般的に,洞調律の症例では二腔ペーシング型(DDDなど)を,持続性心房細動の症例では,単腔ペーシング型(VVIなど)を使用するのが妥当である.DAVID試験では,心機能が低下し ICDの適応となった症例において,VVI

バックアップペーシング群(40bpm)の方がDDDペーシング群(70bpm)に比べ死亡率が低く,心不全による入院が少ない傾向にあった 331).MOSTのサブ解析ではDDDRペーシングにおいても心室ペーシングの頻度が高くなるほど(>40%),心不全により入院する頻度がふえ,心房細動の発症率が高くなった 332).したがって,右室心尖部ペーシングは可能なかぎり避け自己の房室伝導を温存できるように,ペーシングモードおよびプログラムを設定すべきである.ただし,長期予後を改善するのかどうかは未だ不明である. STEMI患者に恒久的ペーシングの適応を検討には,ICD植 込 み の 適 応, 心 臓 再 同 期 療 法(Cardiac

Resynchronization Therapy; CRT)の適応,あるいはその両方の機能をもったCRT-D植込みの適応を考慮する.心不全症例で,著明な左室機能低下とQRS幅が延長した症例では,心臓再同期療法が心不全症状を改善することが報告されている.すでにペースメーカーが植え込まれた後に心筋梗塞を発症し,β遮断薬やアミオダロンの投与にともない心室ペーシング率が高くなった症例や,心不全が増悪した症例では,通常のペースメーカーからCRTやCRT-Dへの移行も検討する 321).現在のCRTの適応基準とは心不全症例で左室駆出分画率≦35%,内科的治療に抵抗性であり,NYHAクラスⅢ~Ⅳ,QRS延長(≧130 msec)の患者である 333).

5 血行動態の障害または異常

1 血行動態の評価

①Swan-Ganzカテーテルによるモニタリングの適応

クラスⅠ1.輸液が無効あるいは禁忌と思われる原因不明の血圧低下(レベルC)

2.機械的合併症(心室中隔穿孔,乳頭筋断裂,自由壁

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破裂)が疑われる場合で心エコーが実施できないとき(レベルC)

クラスⅡa

1.輸液が無効で肺うっ血を伴わない血圧低下(レベルC)

2.心原性ショック(レベルC)3.治療抵抗性の重篤な肺うっ血,肺水腫(レベルC)4.低血圧あるいは肺うっ血を伴わない末梢循環不全(レベルC)5.血管収縮薬,強心薬投与中(レベルC)クラスⅢ1.血行動態が安定しており呼吸障害のない患者(レベルC)

②観血的動脈圧モニタリングの適応

クラスⅠ1.重篤な低血圧(収縮期血圧80mmHg未満)(レベルC)2.血管収縮薬,強心薬投与中(レベルC)3.心原性ショック(レベルC)クラスⅡa

1.強力な血管拡張薬投与中(レベルC)クラスⅡb

1.強心薬投与中(レベルC)クラスⅢ1.肺うっ血および組織灌流異常のない患者(レベルC)

 Swan-Ganzカテーテルから得られる血行動態の諸指標より心筋梗塞急性期の重症度をより正確に把握できるようになった 334).Forresterらは200例の心筋梗塞患者の急性期血行動態を測定し,肺うっ血や末梢循環不全などの臨床症状の出現と血行動態測定値とがよく一致することをみいだし,肺動脈楔入圧(pulmonary capillary

wedge pressure: PCWP)と心係数(cardiac index: CI)を用いて以下に示す4つの血行動態群(hemodynamic

subset)に分類した(図9)335).subsetⅠ :PCWP≦18mmHg,CI>2.2ℓ /分 /㎡

ポンプ失調のない群であり,鎮痛,安静などの一般的治療を行う.ただし,禁忌がなければ硝酸薬点滴静注,ACE阻害薬もしくはアンジオテンシンⅡ受容体遮断薬投与は行った方がよい.

subsetⅡ :PCWP>18mmHg,CI>2.2ℓ /分 /㎡左心不全状態.左室収縮力および拡張能が低下し,二次的に左室前負荷が増加して心拍出量を維持している状態.通常肺うっ血を認める.利

尿薬と血管拡張薬の適応となる.subsetⅢ :PCWP≦18mmHg, CI≦2.2ℓ /分 /㎡

左室前負荷が十分でない状態.脱水,右室梗塞,高齢,徐脈などが関与している.治療の第一は輸液を行うことであるが,カテコラミンの点滴静注が必要になることもある.徐脈に対しては一時的ペーシングを行う.

subsetⅣ :PCWP>18mmHg, CI≦2.2ℓ /分 /㎡半数以上が心原性ショック例であり広範囲の梗塞と考えられる.カテコラミン投与で改善傾向がなければ,大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping: IABP),経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary

support system: PCPS)などの補助循環を考慮する.

 合併症のない心筋梗塞例のほとんどは観血的な血行動態評価を行わなくても,血圧,心拍数,胸部聴診所見,胸部X線所見などからポンプ失調の重症度,治療に対する反応をみることが可能である 336).Swan-Ganzカテーテルから得られる各種測定値はカテーテルの先端の位置が不適切な場合必ずしも正確な数値が反映されないこともある.また頻度は低いがカテーテル挿入手技には心室性不整脈,右脚ブロック(左脚ブロック患者では完全房室ブロックになりうる),肺出血,感染などの合併症があるため,得られる情報による利益がそのリスクを上回るときに施行すべきである.またNohriaらは病歴と身体所見からうっ血および組織低灌流の有無を判断し,Forrester分類に類似した4つの病態に分け,治療方針決定に利用することを提唱している(図10)337). 低血圧,心原性ショックを呈する患者に対しては橈骨動脈から動脈圧をモニタリングすることが有用である.

図9 Forresterの分類

Ⅲ乏血性ショック

Ⅳ低心拍出量と肺うっ血

(心原性ショックを含む)

Ⅱ肺うっ血

Ⅰ正常

18

2.2

肺動脈楔入圧(mmHg)

心係数

(ℓ/min / m2)

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これにより動脈血ガス分析なども繰り返し行うことができる.Swan-Ganzカテーテルおよび動脈ラインのいずれも5日を超えて同一部位に留置しないことが望ましく,必要性が少なくなった際には速やかに抜去すべきである 338).

2 低血圧の対応クラスⅠ1.容量負荷の所見がない患者に対する迅速な輸液(レベルC)

2.低血圧の原因となりうる不整脈(調律障害,伝導障害)の治療(レベルC)

3.冠動脈再灌流療法が行えない場合の IABP使用(レベルB)

4.迅速な輸液に反応しない低血圧例に対する血管収縮薬投与(レベルC)

5.心エコーによる機械的合併症の評価(レベルC)

 低血圧を呈する病態としては循環血液量の減少,不整脈,心不全,心筋梗塞に伴う機械的合併症(心室中隔穿孔,僧帽弁乳頭筋断裂,左室自由壁破裂)などがある.近年では心筋梗塞急性期の再灌流療法が一般的となっているためPCIや血栓溶解療法に伴う出血合併症が原因となる場合もある.したがって低血圧患者に対しては明らかな容量負荷の証拠がなければ治療の第一選択は迅速な輸液である.心エコーによる心機能評価,機械的合併症評価と血液検査による貧血などの確認は必須である.高度徐脈が原因となっている場合には体外式ペーシングを行う.心収縮力が低下しており輸液による改善がみられない例に対してはドパミンの点滴静注を行うが,不十分な場合にはノルアドレナリンを併用する.さらに IABP

使用を考慮する.

3 低心拍出状態クラスⅠ1.容量負荷の所見がない患者に対する迅速な輸液(レベルC)

2.強心薬による血行動態補助(レベルB)3.IABPの使用(レベルB)4.PCIもしくはCABGによる冠血行再建(レベルB)5.機械的合併症に対する外科手術(レベルB)クラスⅢ1.低心拍出状態の患者に対するβ遮断薬あるいは陰性変力作用の強いカルシウム拮抗薬の投与(レベルB)

 正常血圧で低心拍出状態の患者では四肢冷感,チアノーゼ,乏尿,精神機能低下などがみられる 339).このような患者の死亡率は高く,ショックと同等に積極的に診断治療すべきである.初期の薬物治療としてカテコラミンの点滴静注(通常ドブタミン1~5μg/kg/分)が行われ,反応が不良である場合には IABPを必要とする.血圧の維持が可能であれば血管拡張薬を併用し後負荷を低下させる.またPCIあるいはCABGによって血行再建を行うことは心筋虚血を改善し,血行動態を安定化させるために有効である.心室中隔穿孔,乳頭筋断裂,自由壁破裂などの機械的合併症に基づく血行動態の障害に対しては薬物治療のみでは無効であり,早期の積極的な外科治療が必要である.

4 肺うっ血の対応クラスⅠ1.肺うっ血患者に対する酸素療法(レベルC)2.肺うっ血患者に対する塩酸モルヒネ投与(レベルC)3.低血圧(収縮期血圧100mmHg未満もしくは平常時の30mmHg以上の低下)を伴う肺うっ血患者に対する血管収縮薬,強心薬投与および IABPによる循環補助(レベルC)

4.低血圧がない場合の硝酸薬投与(レベルC)5.低血圧,腎不全,両側腎動脈狭窄などの禁忌がない場合のACE阻害薬投与(短時間作用型を低用量から開始し漸増)(レベルA)

6.容量負荷を伴う肺うっ血患者に対する利尿薬投与(レベルC)7.重篤な腎機能障害がなく,LVEF40%未満ですでに

ACE阻害薬の投与されている患者に対するアルドステロン拮抗薬の投与(レベルA)

8.心エコー検査による心機能,機械的合併症の評価(レ

図10 急性心不全の非侵襲的重症度評価

文献337)より改変引用

うっ血所見起座呼吸,頚静脈怒張,浮腫,腹水,湿性ラ音など

  

組織低灌流所見

脈圧低下,交互脈,四肢冷感,

低血圧,乏尿,腎機能悪化,

傾眠傾向,意識障害など

warm and dry(ForresterⅠ相当)

warm and wet(ForresterⅡ相当)

cold and dry(ForresterⅢ相当)

cold and wet(ForresterⅣ相当)

なし

なし

あり

あり

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ベルC)クラスⅡb

1.薬物治療抵抗性の肺うっ血患者に対する IABP使用(レベルC)

クラスⅢ1.中等度~高度肺うっ血のある患者に対する急性期のβ遮断薬あるいは陰性変力作用の強いカルシウム拮抗薬投与(レベルB)

 心不全とは「心機能低下のため全身組織における代謝に必要な血液量を心臓より駆出できない状態,あるいは心室充満圧の上昇という代償機序を介してのみ拍出を維持している状態」と定義され,臨床的な病態は肺うっ血と低心拍出量である 340).STEMIの場合には活動可能な心筋量の絶対数が急激に減少することによって心臓全体として収縮能および拡張能が低下する.左室心筋の20%以上が梗塞に陥ると心不全徴候が出現し,40%を超えると心原性ショックに陥るといわれる 341).1回の梗塞による心筋壊死量が小さくても陳旧性心筋梗塞を有する患者に新たな梗塞が加わった場合や,入院時に心不全徴候がなくても経過中に梗塞拡大(extension)をきたした場合心不全を併発する.また心室中隔穿孔,乳頭筋断裂などの機械的合併症を伴う場合には薬物治療のみでは治療困難であり,心エコーによる早期診断が重要である. 心筋梗塞急性期のポンプ失調の重症度を理学的所見から判定する代表的なものにKillip分類(表5)があり,治療方針の決定や急性期予後の推定に有用であるため,今日でも日常臨床において繁用されている 68),342).再灌流療法が普及した今日でも,急性心不全を合併したSTEMIの死亡率は依然として高い 104),111),343),344).心筋梗塞では通常交感神経緊張のため頻脈となり血圧は上昇していることが多いが,血圧上昇を伴っていない場合には心原性ショックを念頭において治療しなければならない.心原性ショックあるいはプレショック状態と判断した場合にはカテコラミン点滴静注や IABPによる循環補

助が必要となる. 初期治療の原則は患者の血行動態を安定させ早期に再灌流療法を行うことである.特に重症心不全例では血栓溶解療法よりもprimary PCIが有効であるといわれている 345),346).酸素吸入は組織低酸素状態を改善するために必要である.酸素飽和度を指標に適宜投与量を増減するが,酸素化が不十分な際には,呼気終末陽圧呼吸(positive

end expiratory pressure: PEEP)を用いた人工呼吸が有効である.最近では気管挿管を行わずマスクを用いた非侵襲 的陽圧 換気 療法(noninvasive positive pressure

ventilation: NPPV)も行われ,良好な成績が報告されている 347)-349). 急性期に前負荷を減少させるための薬物としては塩酸モルヒネ,硝酸薬,利尿薬がある 350).塩酸モルヒネは鎮痛効果だけでなく血管拡張作用と鎮静による心拍数減少作用があり,3~5mgを静注する 351).硝酸薬(ニトログリセリン,硝酸イソソルビド,ニコランジル)は低用量では静脈系を拡張して前負荷を軽減し,高用量で動脈系に作用して後負荷を減弱させることにより肺動脈圧を低下させ心係数を上昇させる.投与量は収縮期血圧90-100 mmHgを維持する範囲でできるだけ低用量で用いる.ただし高齢者,動脈硬化の著しい例,高血圧の既往がある例などは尿量や末梢循環状態を観察しながら目標血圧を高めに設定しなければならない場合がある.ニトロプルシドは他の硝酸薬と比較して動脈拡張作用が強力であり,急性僧帽弁閉鎖不全などに有効であるが,心筋梗塞急性期の有効性は確立されていない.また本邦では手術時の低血圧維持および手術時の異常高血圧に対する緊急処置として認められており,心不全治療薬としての使用は適応外である.特に肝腎障害のある例ではシアン中毒を生じる可能性があるために注意を要する.利尿薬の第一選択はフロセミドであるが,発症前に利尿薬内服をしていない例では20mgの少量から静注し反応をみる.脱水のある例では著明な血圧低下をきたすため注意が必要である.一方腎不全,利尿薬内服中の慢性心不

表5 Killip分類と院内死亡率

Killip分類 (症例の比率) 原著死亡率(Killip)1967年

血栓溶解療法導入後1992~1994年

primaryPCI時代1999~2001年

Ⅰ 心不全徴候なし(68~74%) 6% 5% 2.4-3.7%

Ⅱ 軽~中等度の心不全(19~21%)  (湿性ラ音聴取域 :全肺野の50%未満) 17% 21% 7-16%

Ⅲ 肺水腫(19~21%)  (湿性ラ音聴取域 :全肺野の50%以上) 38% 35% 19-24%

Ⅳ 心原性ショック(2~3%) 81% 67% 61%

文献68),343),344),346)より改変引用

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全患者に対してはさらに高用量投与が必要である.利尿薬使用時は,血清Na,K,Mg値などの電解質に変動を生じるためこれらを適宜補正する必要がある. 欧米では遺伝子組み換えB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)であるnesiritideが使用され,急性心不全の治療薬としてガイドラインにも記載されているが 352)-354),本邦ではA型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)であるカルペリチドが心不全治療薬として認可されている.カルペリチドは強力な血管拡張作用と利尿作用をもつが,それだけではなく交感神経系,レニン-アンジオテンシン系,バソプレシンなどに対して生理的拮抗作用があり,心保護薬としての効果や腎保護作用も期待できる 355)-

357). ACE阻害薬は,禁忌がない限り心筋梗塞発症後なるべく早期に開始することの有用性がSAVE試験 358),TRACE試験 359),AIRE試験 360)などにより証明されている.またARBも心不全に患者の予後改善効果が明らかにされているが,STEMI後にARBとACE阻害薬の有用性を比較したOPTIMAAL試験 361),VALIANT試験 362)では両薬剤の優劣は明らかにされていない. アルドステロン拮抗薬を心不全を合併した心筋梗塞症例に対して早期から投与することで,総死亡,心血管イベントを有意に改善することが示されている 363).使用に際しては高カリウム血症に注意する必要がある. 心筋梗塞発症早期からβ遮断薬を投与することは梗塞サイズの縮小や慢性期合併症の低減に効果があり予後改善につながるが 258),急性期に中等度~高度の肺うっ血を合併している場合にはβ遮断薬投与は行わず,退院までに少量からの経口投与を開始することが推奨される.

5 心原性ショッククラスⅠ1.薬物治療抵抗性の心原性ショック例に対する IABP

使用(レベルB)2.心原性ショック例に対する動脈圧モニタリング(レベルC)

3.75歳未満の患者対するPCIあるいはCABGによる早期血行再建(レベルA)

4.PCIあるいはCABGによる早期血行再建が不適切な場合の血栓溶解療法(レベルB)

5.心エコー検査による心機能,機械的合併症の評価(レベルC)

クラスⅡa

1.心原性ショック例に対するSwan-Ganzカテーテルによる血行動態モニタリング(レベルC)

2.75歳以上の患者で侵襲的治療が禁忌でない場合のPCIあるいはCABGによる早期血行再建(レベルB)

 心原性ショックは極めて死亡率の高い病態であり,多くは広範な左室収縮力低下によるが,心筋梗塞後の機械的合併症に引き続いて起こっている場合もあるため心エコーによる原因検索は重要である 364).①収縮期血圧90mmHg未満もしくは通常より30mmHg以上の血圧低下,②乏尿(20ml/時未満),③意識障害,④末梢血管収縮(四肢冷感,冷汗)のすべてを満たしている場合心原性ショックと診断されるが,そのような病態が疑われた場合には原因検索と同時に緊急処置を開始する.STEMI後の心原性ショック例の10~15%は体内水分量が不足しているといわれ 365),また約30%の症例では胸部X線上肺うっ血を認めないため 366),動脈カニューレとSwan-Ganzカテーテルで血行動態をモニタリングしつつカテコラミン,利尿薬の投与,輸液量の調節を行う.基本的に低血圧のある場合はドパミン5~15μg/kg/分,血圧が保たれている場合にはドブタミン2~15μg/kg/

分の点滴静注を行う.単剤で効果不十分の場合は両者を併用する.ドパミンはノルアドレナリン前駆物質であり用量により作用が異なる.低用量(<2μg/kg/分)では末梢のドパミン受容体にのみ作用し腎血流増加作用を示し,中等量(>2μg/kg/分)ではβ受容体に作用し心筋収縮性を高め,5μg/kg/分以上でα作用による血管作用を持つ.ドブタミンはβ1受容体を介して心筋収縮力を増加させる.一般に2μg/kg/分程度の低用量で開始し漸増する.カテコラミンの点滴静注で効果がない場合はPDE

-Ⅲ阻害薬(ミルリノン,オルプリノンなど)やアデニル酸シクラーゼ刺激薬(コルホルシンダロパート)を投与することもあるが,一般的にはカテコラミンに対する反応が不良である場合は IABPの適応と考えてよい 367). また今日では冠動脈再灌流療法が広く行われているが,特に心原性ショック例についてはすみやかな再灌流の成否が予後を左右する.1996年から1998年に本邦でSTEMI 3113例を対象として行った多施設後ろ向き検討では心原性ショック合併は126例(4%)で,その死亡率は59%高率であるが,このうち再灌流療法に成功した群の死亡率は42%であったとしている 368).心原性ショック例を無作為にPCIもしくはCABGによる緊急冠動脈血行再建を行った152例と初期内科的安定化をはかった150例の2群に割り付け,30日,6ヶ月および1年までの全死亡率を比較したSHOCK試験によると,緊急冠動脈血行再建は30日の全死亡率は低下させなかったが(46.7% vs. 56%),6ヶ月および1年での死亡率を有意に

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低下させていた(53.3% vs. 64.4%,p<0.03).また75歳未満では30日死亡率も低下させることが明らかにされ,重症心不全例や心原性ショック例ほど血行再建を積極的に考えるべきであるとしている 109),110).緊急の血行再建が行えない場合や専門施設への搬送までに時間を要する場合には血栓溶解療法が有用であるとされている 369). β遮断薬やACE阻害薬などの降圧薬を内服している場合は,血行動態が安定するまではこれらを中断するが,ショックから回復した後には肺うっ血のガイドライン(前述)に従い退院までにこれらの薬剤を少量より開始すべきである. STEMIに合併したポンプ失調治療の指針を示す(図11).

6 右室梗塞クラスⅠ1.右室梗塞を診断するために右側胸部誘導V4Rの評価と心エコー検査を実施(レベルB)

2.可能な限り早期に再灌流療法を実施(レベルC)3.房室同期の維持,徐脈の是正(レベルC)

4.輸液による循環血液量の適正化(レベルC)5.輸液による改善がない場合の強心薬,IABPによる血行動態補助(レベルC)

6.併発する左室機能障害の治療(レベルC)クラスⅡa

1.重篤な右室機能障害がある場合CABGは右心機能の回復を待って実施(レベルC)

 下壁のSTEMIの約半数に右室の虚血が認められるといわれているが,臨床的に問題となる右室梗塞は10~15%程度で,右室障害範囲の広い場合には低拍出状態となる 370),371).右冠動脈近位部の閉塞にともなう右室枝の虚血により右室自由壁が梗塞に陥り,V4Rなどの右側胸部誘導で1mm以上のST上昇を生じる.身体所見では,低血圧,ショックに加えて,静脈怒張,Kussmaul徴候が重要である 370).右室梗塞時の低心拍出状態発生機序は,①右室収縮力低下により左室の前負荷が減少すること,②右室拡張にもとづく心室中隔左方偏位および心嚢内圧上昇による左室のコンプライアンスの低下である.右室梗塞の診断基準を表6に示す 372),373).

図11 STEMIにおけるポンプ失調の治療

文献353),377)より改変引用CPAP: 持続陽圧呼吸 NTG: ニトログリセリンNPPV: 非侵襲的陽圧呼吸 ISDN: 硝酸イソソルビドIABP: 大動脈内バルーンパンピング ACE: アンジオテンシン変換酵素PCI: 経皮的冠インターベンション ARB: アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬CABG: 冠動脈バイパス術

機械補助を再考慮強心薬増量PCI,CABGによる血行再建

硝酸薬を経口(経皮)薬に変更ACE阻害薬(もしくは ARB)低心機能例はβ遮断薬を積極的に考慮

機械的合併症(+) (IABP)

効果あり 効果不良

ショック徴候ありなし

酸素投与 / CPAP/ NPPV塩酸モルヒネ 3-5mg静注利尿薬,血管拡張薬

機械補助の必要性を判断心エコーによる機械的合併症評価

収縮期血圧 >100mmHg 収縮期血圧 70-100mmHg 収縮期血圧 < 70mmHg 外科的治療

血管拡張薬NTG:0.05-1.0μg/kg/分,ISDN:0.2-2.0μg/kg/分,

カルペリチド:0.0125-0.1μg/kg/分ニコランジル:1~3μg/kg/分

ノルアドレナリン0.03-0.3μg/kg/分

ドパミン0.5-20μg/kg/分

ドブタミン0.5-20μg/kg/分

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1384 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

 右室梗塞の治療の原則は右室前負荷の早期維持,右室後負荷の低下,強心薬による右室機能障害の治療,早期再灌流,房室同期の維持である.血行動態管理としてSwan-Ganzカテーテルを用いたモニタリングは必須である.典型例では右房圧が10mmHg以上に上昇し,右房圧とPCWPの差が5mmHg以下となり,右房圧波形で深く急峻なy谷(noncompliant波形)が認められることが多い.心拍出を維持するためには生理食塩水もしくは

低分子デキストランによる急速大量輸液を行い,左室の前負荷を増加させる必要がある.その場合PCWPを15mmHg程度に保つようこころがける.PCWPが18mmHg以上に上昇すると左心不全徴候が出現する可能性がある.急速大量輸液500~1000mlで反応がない場合はカテコラミンさらには IABPの適応となる.硝酸薬の投与は著明な低血圧を招く危険性があるため極めて慎重でなければならない.房室ブロックや心房細動などの不整脈を合併した場合には,心房心室順次ペーシングや電気的除細動を早期に行う必要がある 374).早期の再灌流療法は右室機能を改善し,房室ブロックの発現を予防するとされている 375),376).ただしCABGの場合は右室梗塞合併例に対する発症6時間以降の施行例は極めて死亡率が高いため,4週以後で右室機能が改善するまで待つことが推奨される 377).

6 機械的合併症

1 診断 機械的合併症は,通常STEMI発症後一週間以内に発生する.理学的所見で,新しい心雑音の出現を認めた場合,心室中隔穿孔か乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全発症の可能性を示唆する.これら機械的合併症の詳細な特徴は(表7)に示す 378).確定診断は経胸壁ないし経食道心エコー法により可能である.Swan-Ganzカテーテルによる右心カテーテル所見も診断確定およびその後の管理に有用である.

表7 心室中隔穿孔,左室自由壁破裂,乳頭筋断裂の特徴

特徴 僧帽弁乳頭筋断裂 心室中隔穿孔 左室自由壁破裂

頻度 約1% 再灌流療法なし 1-3% 0.8-6.2%

後乳頭筋 > 前乳頭筋 血栓溶解療法あり 0.2-0.34%心原性ショック患者 3.9%

血栓溶解療法はリスクを低下させないprimary PCI はリスクを低下させる可能性あり

発症時期 二つのピーク :24時間以内と3-5日期間 :1-14日

二つのピーク :24時間以内と3-5日期間 :1-14日

二つのピーク :24時間以内と3-5日期間 :1-14日

臨床症状 突然の呼吸困難と肺水腫,低血圧 胸痛,呼吸困難,低血圧 胸痛,失神,低血圧,不整脈,嘔気不穏,突然死

身体所見 柔らかい心雑音,thrill(-)右室負荷所見,重症肺水腫,心原性ショック

粗い汎収縮期雑音,thrill(+),Ⅲ音肺水腫,両室不全,心原性ショック

頸静脈怒張(29%),奇脈(47%)Pulseless Electrical Activity心原性ショック

心エコー所見 左室の過剰収縮,乳頭筋ないし腱索の断裂,弁尖の過剰な動き,重症僧帽弁逆流

心室中隔穿孔,左 -右シャント右室負荷所見

5mm以上の心膜液貯留,心膜腔内の高エコー輝度(血腫),心筋の亀裂,タンポナーデの所見

右心カテーテル所見

右房 -右室間の酸素飽和度上昇なし,v波増大,肺動脈楔入圧上昇

右房から右室での酸素飽和度の上昇, 心室造影では確認困難,心タンポナーデの典型的所見は常には現れず

表6 右室梗塞診断基準

A.剖検B.大基準1)心電図V4RのST上昇(0.1mv以上)2)心エコーで右室のakinesisまたはdyskinesis3) 平均右房圧≧10mmHgかつ(平均肺動脈楔入圧-平均右房圧)≦5mmHg

4)右房圧のnoncompliant波形5)肺動脈圧の交互脈または早期立ち上がり

C.小基準1)下壁梗塞2)心エコーの右室拡大3)平均右房圧≧6mmHg(安静時)4)Kussmaul徴候5)99mTc-ピロリン酸の右室への集積

確定診断1.剖検診断2.臨床診断 1)大基準2項目以上 2) 大基準1項目と小基準2項目以上(心エコー,平均右

房圧の項目は重複しないこと) 3)小基準4項目以上

文献372)より改変引用

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1385Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

 機械的合併症が疑われた場合には,内科的治療のみでは致死率が非常に高いため,直ちに外科的治療を考慮せねばならない.IABPの挿入は,乳頭筋断裂や心室中隔穿孔の場合では特に,循環動態を安定させるのに役立つ.早期に外科治療を行うために,術前の侵襲的検査は最小限にとどめる必要があるが,冠動脈造影を行って冠動脈病変を評価しておくことは,大多数の心室中隔穿孔および乳頭筋断裂の症例に有益である.

2 僧帽弁閉鎖不全(乳頭筋断裂)クラスⅠ1.急性乳頭筋断裂を伴った患者には,早急な外科的修復を考慮する.(レベルB)

2.僧帽弁手術と同時にCABGを考慮する.(レベルB)

 STEMI後の重症僧帽弁閉鎖不全で心原性ショックを伴っている場合,予後は不良である.SHOCK registry

によれば,重症僧帽弁閉鎖不全でショックを伴っている患者の入院死亡率は55%であり,外科治療を行った場合の死亡率が40%であるのに対し,内科治療のみでは71%であった 379).

3 心室中隔穿孔クラスⅠ1.心室中隔穿孔を合併した患者には,早急な外科的修復を考慮する.(レベルB)

2.心室中隔穿孔の修復と同時にCABGを考慮する.(レベルB)

 心室中隔穿孔の発生頻度は再灌流療法の発達とともに減少してきており,STEMI患者の1%未満になってきている(GUSTO-I)378),380).発症から穿孔までの期間は,以前は3日~5日とされていたが,GUSTO-IおよびSHOCK registryによれば,血栓溶解療法を受けている患者では心筋梗塞後最初の24時間が最も穿孔の可能性が高い 380),381).緊急手術に関しても,以前は肺水腫や心原性ショックの患者に対してのみ必要と考えられていたが,現在では左心機能が良好で血行動態の落ち着いている患者においても,穿孔部位の拡大から急激な循環動態の破綻を来たすことがあるため,緊急手術が重要であるとされている 382)-384).IABPを挿入し迅速に外科治療を行うことが,急性心室中隔穿孔の患者に推奨される.最適な血行動態を維持するために,観血的なモニタリングと昇圧薬や血管拡張薬の使用がすべての患者に推奨される.手術は通常,穿孔部の壊死組織除去とパッチ修復が

CABGとともに行われるが,近年左室内腔を広範囲にパッチで被い穿孔部位を隔離する方法も行われるようになっている 385),386).手術死亡率は20%~50% 380)-383),387),

388)と報告されているが,心原性ショックの患者では死亡率は特に高く382),389),SHOCK registryでは87%である.しかし,手術患者の死亡率は内科治療を行った患者に比べれば有意に低く,GUSTO-I380)によれば,外科治療群と内科治療群の死亡率はそれぞれ47%と94%である. カテーテル治療による心室中隔穿孔の閉鎖はごく少数例にのみ行われているのみであり,今後が期待される 390).

4 左室自由壁破裂クラスⅠ1.自由壁破裂の患者には,迅速な外科的修復を行う.(レベルB)2.自由壁破裂の修復と同時にCABGを考慮する.(レベルC)

 心破裂はSTEMIの1%~6%に発症する 378),391)-394).典型的な左室自由壁破裂は胸痛と心電図上のST-T波変化で始まり,急激な血行動態の虚脱をきたして無脈性電気活動 (PEA:pulseless electrical activity)となる.心破裂の発生頻度には,心筋梗塞発症後24時間以内の急性期と発症後3日~5日の2つのピークがある.心破裂は,初回心筋梗塞,前壁梗塞,高齢者,女性に多くみられ,心筋梗塞後急性期の高血圧や側副血行路の未発達,心電図のQ波,ステロイドや非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用,発症後14時間以上経過後の血栓溶解療法などが危険因子となる 394),395).血栓溶解療法は発症後14時間以上経過してからの投与では破裂の危険を高くするものの,全体としては心破裂の危険を減少させる 393),396).破裂を防ぐための最も重要な因子は早期の血行再建と側副血行路の存在である 392),393).仮性瘤は自由壁破裂の重篤な合併症であり,破裂を防ぐために早急な外科治療が必要である. 心嚢穿刺によりタンポナーデを解除し,緊急手術を行って止血することが救命に必要であり 397),398),できる限り早期に患者を手術室に運び,人工心肺の準備を行う.この場合,冠動脈造影を行って時間を遅らせることは得策ではない 399). 手術は直接縫合ないしはパッチを用いて穿孔部を被覆し,左室自由壁破裂発症前に予め冠動脈造影が行われていれば,必要に応じてCABGを追加するが,手術室に搬送して修復ができる患者は少なく,手術死亡は60%

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

に達する 399),400).

5 左室瘤クラスⅡa

治療抵抗性の心室頻拍や心不全を伴うには,左室瘤切除やCABGを考慮する.(レベルB)

 STEMI後の左心室瘤は,通常左前下行枝の完全閉塞に伴う広範な梗塞により前壁に発生する.臨床所見としては,狭心症,心不全,血栓塞栓症,心室性不整脈が認められる.血栓溶解療法を行って梗塞責任血管の再疎通が得られた患者は,そうでない患者に比し有意に左心室瘤を形成する頻度が減少する(7.2% vs 18.8%)401).STEMI後早期に心室瘤に対する外科治療が必要となることはまれであるが,通常の治療に反応しない心不全や心室性不整脈に対して必要となることがある 402).手術手技には縫縮や切除・修復,心腔内パッチを用いた左室形成などがあり 402)-405),残存左室の大きさと機能が予後を規定する.最近の手術死亡率は3.3%~7.2%と報告されている 402),403)が,左室駆出分画率20%未満の低左心機能症例では死亡率は19%と高値を示す 406).手術生存者ではNYHAクラスの改善,5年生存率の改善が認められる.

6 機械的補助(IABP,PCPS,LVAD) IABPは拡張期の冠血流量を増加させ,心筋の仕事量を減少させる.これらの効果は虚血の残存や再発,心機能低下による血圧低下,心原性ショックの患者に特に有効である.心臓カテーテルや血行再建を予定している患者に対しても血行動態を安定させるのに役立つ. STEMI後の心原性ショックの患者で IABPを用いても循環補助が不十分な場合,機械的補助循環が考慮される.PCPS(percutaneous cardiopulmonary support)は経皮的に挿入可能であるため簡便で,呼吸不全を合併する患者に有用である.しかし,出血や血栓症の問題があり,一週間程度の短期間しか有効ではなく,また左室の前負荷軽減作用の低いことが問題である.LVAD(left

ventricular assist device)はPCPSよりも左心補助作用および左室前負荷軽減作用が強く,より長期の使用が可能である.しかし,装着の際に開胸操作が必要であり,また心移植の可能性の少ない日本においては適応が限られる.

7 STEMI後の再発する胸痛への対応

 STEMI発症後に起きる胸痛のうちで最も重要で頻度の高いものは,心筋虚血と心膜炎である.胸痛が再発した際には,直ちに心電図を記録し,発症以降の心電図と比較すべきである.

1 再梗塞・梗塞後狭心症クラスⅠ1.硝酸薬やβ遮断薬による内科治療を強化し,さらに経静脈的抗凝固療法を行う.(レベルB)

2.梗塞危険領域が広範で,血行動態の不安定化徴候を認めるか低左室機能を合併する場合,内科治療の強化とともに緊急の冠動脈造影検査を行う.必要ならIABPを開始し,緊急の血行再建術を考慮する.(レベルC)

3.以前の冠動脈造影検査により血行再建術の適応があると判定される患者では,PCIないしCABGを考慮する.(レベルB)

4.ステントを用いたprimary PCI施行例では,ステント内血栓症の発症を念頭に緊急冠動脈造影検査を考慮する.(レベルC)

クラスⅡa

冠動脈造影検査やPCIがすぐには行えない状況下に(理想的には胸部症状発症から60分以内),ST上昇とともに胸部症状が再発した際には,血栓溶解療薬投与を考慮する.(レベルC)

 胸部症状が発症時のものと類似していれば,心筋虚血由来である可能性が高く,まず硝酸薬やβ遮断薬による内科治療を強化する.続いて,鑑別のためにCK-MB,H-FABPなどの心筋傷害マーカーや,心電図変化(ST

上昇ないしST下降,陰性T波の偽正常化[pseudo-

normalization])を評価する 407).心筋梗塞の再発には,同一部位で再度心筋壊死が発生する場合と,異なる部位で発生する場合がある.発症後24時間以内に胸痛が再発した場合,心電図は自然経過の中で変化しており,血液生化学的心筋傷害マーカーも正常値を越えて上昇しているため,心筋梗塞の再発を診断するのはかなり困難である.直前および経過中の心電図とよく比較し,新たな心筋虚血の発生を確認する.また,緊急で経胸壁心エコーを施行して,それ以前の所見と比較することで新たな心筋虚血の発生が推測できる.心筋虚血の再発・拡大が

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

示唆されるときは,緊急冠動脈造影検査を再度施行すべきか否かを念頭に対応すべきである.初回発作から18時間を過ぎており,心電図のST再上昇が確認された場合には,心筋梗塞再発を強く疑う.24時間を経過したあとに発症する再発では,心電図変化やCK-MBなどの心筋傷害マーカーの再上昇などで診断できる. わが国では,入院早期の緊急冠動脈造影検査とステントを用いた再灌流療法が普及し,約7割の対象患者にPCIが施行された3000人規模の観察研究の報告によると入院中の再梗塞発生頻度は2.5~3%程度である 344),

408),409).一方,欧米の血栓溶解療法のみを受けた患者の報告では,約4~5% 391),410),411)とされる.梗塞後狭心症の発生頻度は,血栓溶解療法のみ施行された場合には20%,primary PCIが施行された場合には6% 170),410)とされ,ステントが使用されると頻度はさらに低下する 412).再梗塞は,梗塞責任血管領域でおきやすいが,責任冠動脈以外に病変が存在する場合にも注意が必要である.死亡・重症心不全・重篤な不整脈は心筋梗塞再発直後に起こりやすく,心原性ショックや心停止などの発生頻度も高い 391),410),413). 急性期にステントを用いたprimary PCI施行例では心筋梗塞の再発率は低いが,ステントを用いたprimary

PCI施行例に心筋虚血由来の胸痛が発生した場合には,第一にステント内血栓症(急性および亜急性血栓症)を考慮すべきであり,緊急冠動脈造影検査を施行する必要がある.この合併症が発生すると,突然死するなど重症化することが多い. 心不全,貧血,不整脈は,二次的な心筋虚血の原因になる.また,心不全や不整脈は心筋虚血によってさらに悪化しやすく,これらの状態を是正する必要がある. 心筋虚血由来の胸部不快感が再発した症例では,緊急冠動脈造影検査を施行し虚血責任冠動脈病変を調べる.急性期に血栓溶解療法のみを施行し,冠動脈所見が明らかでない場合には,直ちに冠動脈造影検査を施行する.再灌流療法施行時に冠動脈の解剖が評価されている場合は,梗塞責任病変部位の再閉塞であるか,他病変であるかを念頭に再血行再建術の適応を考慮する.急性期には梗塞責任病変部位のみを治療し,他にも血行再建術の適応となる病変がある場合には,PCIないしはCABGを行う 414),415).

2 心膜炎クラスⅠ1.梗塞後の心膜炎には高用量アスピリンを投与する.レベルB)

2.心膜液貯留が出現もしくは増加するなら,抗凝固療法は中止を考慮する.(レベルC)

クラスⅡa

アスピリンが無効な場合は,アセトアミノフェンを投与する.(レベルC)

クラスⅡb

1.難治性である心膜炎に対して,コルチコステロイドを使用する.(レベルC)

2.痛みの除去を目的に,非ステロイド系消炎鎮痛薬を使用する.(レベルB)

クラスⅢ鎮痛を目的としてイブプロフェンを使用する.(レベルB)

 STEMIに伴う心膜炎は,心筋壊死が心内膜側から進展し心筋の全層を通じて心外膜側に達した際に発生する.心膜炎を合併する広範な梗塞を持つ患者は,心拍出量低下によるうっ血性心不全を生じることが多い 416),

417).心膜炎はSTEMI発症数日後で多く発生し,数週間までに及ぶ.心筋虚血に似た胸部不快感のこともあるが,通常は以下の特徴によって,鑑別可能である.肋膜性の痛み,体位による変動のある不快感,左肩,肩甲骨,僧帽筋などへの放射痛などである.心膜の摩擦音を聴取すれば診断は確定的であり,心電図所見の特徴は,下に凸のST上昇とPR部低下を伴う Jポイントの上昇である. 心膜液貯留は,40%以上の症例において心エコー法で確認されたと報告があるが 407),心膜液自体が血行動態に重大な影響をあたえることは稀である.しばしば前壁中隔梗塞や,広範梗塞,左心不全合併例に観察される.梗塞後に貯留した心膜液は,吸収が遅く,しばしば数ヶ月を要する.多くのSTEMIで少量の心膜液は認められるから,少量の心膜液があっても心膜炎とは診断できない 418).Q波の完成したいわゆる貫壁性でかつ広範囲型の心筋梗塞や,急性期に再灌流療法の遅れた心筋梗塞において,症状が乏しいが心膜液貯留の増加が観察された場合には,“oozing rupture”も念頭におく必要がある. STEMI発症後の最初の1週間に,心膜炎に典型的な症状とともに持続的な陽性T波または,最初には陰転化していたT波が陽転化するなどが観察された場合には,心膜炎の発生を疑う.しかしながら,心筋梗塞後の類似したT波の変化は,心膜液貯留のみで心膜炎がなくても観察される 419).心膜炎はCK-MBなどの心筋傷害マーカーの再上昇は伴わない.再灌流療法の普及により心膜炎の発生率は減少し,自己免疫性心筋炎であるドレスラー症候群(心筋梗塞後症候群)を経験することはほとんど

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

なくなった 420). 治療の第一選択はアスピリンである.高用量(1回660mg1日3回6時間から8時間毎に投与)を要する場合もある 421).非ステロイド系消炎鎮痛薬は痛みを軽減する目的で使用してもよいが,心筋瘢痕の菲薄化や梗塞拡大を招く恐れがあり,長期間使用すべきではない.特に,イブプロフェンは,アスピリンの抗血小板作用に干渉するため用いるべきではない 422).コルチコステロイドも同様に痛みの軽減に有効だが,梗塞瘢痕の菲薄化や心破裂に関与するとされる 423),424).よって,他に治療手段がないと判断される場合に限り使用されるべきである.急性心膜炎を合併しても抗凝固療法の続行は可能だが,心膜液の増加や血行動態の不安定化がおこらないか否かを用心深く観察することが必要である.心タンポナーデの危険があると判断されれば,抗凝固療法は直ちに中止すべきである.

8 その他の合併症

1 虚血性脳卒中クラスⅠ1.虚血性脳卒中を発症した場合は,神経内科専門医に診察を依頼する.(レベルC)

2.虚血性脳卒中を発症した場合は,心エコー検査,頭部X線CT/MRI,頭頚部MRA,頚動脈エコーを行う.(レベルC)3.持続性心房細動を合併した患者が虚血性脳卒中を発症した場合は,ワルファリンを投与する.(レベルA)

4.心房細動,左室内血栓,心尖部無収縮を合併する患者では,虚血性脳卒中を発症するしないにかかわらず,アスピリンに加え抗凝固療法を行う.(レベルB)

クラスⅡa

すべての症例で虚血性脳卒中のリスクを評価する.(レベルA)

クラスⅡb

少なくとも50%以上の内頸動脈狭窄が原因で急性虚血性脳卒中を発症した場合,脳卒中後4~6週後に頸動脈内膜除去術ないしステント留置を考慮してもよい.(レベルC)

 急性脳卒中は,STEMIの0.75%~1.2%に発症すると報告されている 414),425),426).STEMIの生存率が向上している一方で,STEMI後脳卒中の死亡率は40%とまだ高い 425).脳梗塞の既往,高血圧,高齢,低心収縮,心房

細動はSTEMI後の塞栓性脳卒中発症の危険因子である414),427),428).梗塞部位も重要で,前壁梗塞で発症頻度が高いとされているが,他の梗塞部位でも同等の発症頻度であるという報告もある 427),429).心房細動は,これら危険因子の中で最も重要な因子である.SAVE試験428)では,左室駆出分画率の低下とともに長期的な脳卒中発症率の増加が観察された.左室内血栓の形成は,広範な壁運動低下,とくに左室心尖部に無収縮,奇異性収縮を合併する際に起こりやすい.また,KillipⅢ,Ⅳでも頻度が高くなる 430).左室内血栓や左房内血栓による塞栓性脳卒中は,血栓溶解療法を施行した患者でも起こり,積極的な抗凝固療法は脳塞栓の発症予防を可能にする 431),432).STEMI発症後28日以内が最も発症率が高く,1年後までは発症の危険がある 426).脳内出血と異なり,脳梗塞の神経所見は,軽微であり昏睡などの重篤な意識障害は比較的まれである 433). STEMI後に脳局所神経徴候が発現した際,早期の病変の検出には,MRI,MRAが有効である.X線CT検査では発症早期は陰性のことが多く,繰り返し施行する必要がある.また,頚動脈エコーも施行し,頚動脈に外科的治療適応のある狭窄病変があるか否かを検索すべきである 434).心原性塞栓の原因検査には心エコーが有用だが,心房細動に伴う左心房血栓の検出には,経食道心エコーを用いる. STEMI後のアスピリン投与は虚血性脳卒中の発症頻度を減少させる 435).PCI後,心原性血栓症のリスクがないのに虚血性脳卒中を合併した患者では,クロピドグレル75mg/日(12ヶ月以上)と少量アスピリン81-162mg/日(永続的投与)の併用が効果的であるとする報告がある 436). 心房細動,左室内血栓,左室の広範な無収縮など心原性塞栓源をもつ患者の場合には少量アスピリンの投与とともに INR 2前後を目標にワルファリン投与を行うべきである.ワルファリン治療の期間は,心原性塞栓の原因となる基礎疾患によって考慮する.持続的心房細動患者では,心エコー所見にかかわらず生涯にわたるワルファリン治療を継続すべきである.一般的に左室内血栓を持つSTEMIでは,少なくとも3ヶ月間の抗凝固療法が必要である.「3ヶ月」の理由は,左室内血栓が左室壁から剥がれにくくなり表面が内皮で覆われるのに十分な期間と考えられている.しかし,3ヶ月後においても,血栓形成のリスクが消失しない場合には生涯にわたる抗凝固療法が望まれる. 臨床所見を説明できる内頚動脈の狭窄が発見された場合には,内膜除去術か 434),437),438),distal protection device

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

を用いた頚動脈ステント留置術の適応である 439),440).頚動脈内膜除去術は,その手術に伴う死亡率,合併症発生率を納得した上で梗塞後4~6週後に行うのがよい.307例を対象とした2002年に発表された報告 441)では,30日予後(死亡,心筋梗塞,脳梗塞の合計)は,外科的内膜除去術より頚動脈ステントの方が良好であった(5.8% vs. 12.6%,p=0.047).外科的内膜除去術の方が頚動脈ステント留置術より脳神経障害が高頻度に発生した(0% vs. 5.3%,p<0.01)が,TIAや脳出血の頻度は両群間に差がなかった.

2 深部静脈血栓症と肺動脈血栓塞栓症クラスⅠ1.梗塞後の深部静脈血栓症または肺動脈血栓塞栓症にはヘパリンを使用する.ワルファリンも同時に開始し,PT-INR2~3を目標とする.(レベルA)

2.心不全合併例で,長期臥床が必要または深部静脈血栓症の発症リスクが高い場合,予防的ヘパリン治療を行う.(レベルA)

治療 深部静脈血栓症や肺動脈血栓塞栓症の合併が疑われた場合には,本邦のガイドライン 442)に基づいた診療を行うべきである.深部静脈血栓症と肺塞栓症を合併したほとんどの患者ではヘパリンを用いた抗凝固療法が行われるべきである.米国のガイドラインでは低分子へパリンによる抗凝固療法を推奨しているが,わが国では,低分子へパリンの使用は一般的ではない.低分子へパリンは,総死亡率について通常のヘパリン(未分画ヘパリン)と同等かそれ以上に効果的であることが報告されている443).未分画ヘパリンは,効果がしばしば不安定であり,投与量を調節するため頻回の採血検査が必要であるが,低分子へパリンは,そのような煩わしさはない.ワルファリンはヘパリンの投与開始と同時に投与を開始する.ヘパリンはPT-INRが治療域である2~3になるまで継続する 444),445).ワルファリンの投与期間は個々の患者のリスクや病態を考慮して決定する 446).ヘパリンによる抗凝固療法が禁忌である患者は,ヘパリンにかわる治療が必要であり,下大静脈フィルターの留置も必要によっては考慮されねばならない.ワルファリン治療継続期間,ヘパリン以外の抗凝固療法,下大静脈フィルターの適応基準などは静脈血栓塞栓症のガイドラインを参照していただきたい 442),445).

予防 深部静脈血栓症と肺塞栓症は歴史的にも,STEMIの重要な合併症であった.しかし最近では,STEMIの患者のほとんどが,抗凝固療法を受けるため特別な予防を必要とすることは少ない.心不全合併患者が,入院の長期化,長期臥床を強いられ,他の方法による抗凝固療法を受けていない場合は,少量の低分子へパリンが有効である444).わが国におけるSTEMIの急性期治療の特徴は,再灌流療法では多くPCIが選択されていることであり,これによって死亡率をはじめ合併症の発生頻度は低下し,入院日数は現在欧米並みに短縮している.しかし,合併症による長期間の臥床が見込まれる症例では上記で述べたように深部静脈血栓症と肺塞栓症の予防的処置が考慮されるべきであろう.深部静脈血栓症の発症のリスク評価については,本邦のガイドラインを参照されたい 442).

9 梗塞サイズの評価

 梗塞サイズの評価は,STEMI患者の治療全般にわたって,重要な情報をもたらす.とくに梗塞範囲の広がりおよび梗塞部の心筋生存性(viability)の評価が重要である.

1 心電図クラスⅠ1.すべてのSTEMI患者は,梗塞サイズ評価のために12誘導心電図を少なくとも,来院時,入院24時間後,(あるいは推定発症時刻から24時間後)および退院時に記録する.(レベルB)

2.下壁梗塞例で12誘導心電図と右側胸部誘導(V4R)を記録する.(レベルB)

クラスⅡa

1.下後壁梗塞例で12誘導心電図と左背部誘導(V7-V9)を記録する.(レベルB)

 心電図は梗塞の範囲に関する情報を提供する最も簡便な検査法である.心電図検査により,梗塞サイズの大まかな評価,責任冠動脈病変部位の推定,心筋生存性の有無の推定が可能である.

①責任冠動脈病変部位の推定

 心電図から冠動脈閉塞部位が推定できる.前壁梗塞において,aVRのST上昇がV1のそれより大きいか同じときは,左冠動脈主幹部の閉塞である可能性がある(感度

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

81%,特異度81%)447).aVRのST上昇,新たな完全右脚ブロック,2.5mm以上のV5のST低下,V1のST上昇,あるいはV4-V6の septal Q波の心筋梗塞発症後の消失は,左前下行枝近位部(第一中隔枝より近位部:Seg.6)の閉塞であることを強く示唆する.逆に,V4-V6のseptal Q波の梗塞発症後の温存は,第一中隔枝より末梢の閉塞を示唆する.また,aVLの異常Q波は,第一対角枝より近位部の左前下行枝の閉塞と関連している.一方,aVLにおけるST低下は,第一対角枝より末梢の閉塞を示している 448).下壁誘導における1mm以上のST低下とaVLのST上昇は左前下行枝近位部の閉塞(第一中隔枝および対角枝の中枢側)であるのに対して,下壁誘導でST低下を認めない場合は左前下行枝末梢の閉塞が関連している 449).下壁梗塞におけるV5,V6の2mm以上のST上昇は大きな下壁梗塞を示唆(感度94%,特異度98%)している 450).Ⅲ誘導のST上昇が,Ⅱ誘導のそれより大きいとき,あるいは I誘導とaVL誘導におけるST低下が同時に認められときは右冠動脈近位部あるいは中部の閉塞であり,左回旋枝による可能性は低い(感度94%,特異度98%)451),452).Ⅱ誘導のST上昇がⅢ誘導と同等ないしそれ以上で,V1-V3のST低下あるいはⅠ,aVLのST上昇を伴う場合は左回旋枝の閉塞が示唆するが 453),454),右冠動脈末梢(Seg.4AV)の閉塞でも同様の所見が認められることがある.

②追加誘導記録

 標準12誘導で捉えられる領域には限界があり,必要に応じて追加誘導を記録する.下壁梗塞では,右側胸部誘導(V3R-V6R),下後壁梗塞では左背部誘導(V7-V9)を記録する 455).右側胸部誘導(とくにV4R)の1mm以上のST上昇は右室梗塞の診断に有用である.左背部誘導(V4の高さで左後腋窩線がV7,左肩甲中線がV8,脊椎左縁がV9)でST上昇および異常Q波を認めるときは,後壁まで梗塞がおよんでいる所見であり 456),457),下壁梗塞でこれらの所見をみるときは梗塞範囲が広いことを意味する 457).また,後壁に限局した梗塞では,背部誘導のみに異常Q波やST上昇,T波変化を認めることがある.心筋梗塞が疑われ標準12誘導で心電図変化が乏しい場合は必ず背部誘導を記録すべきである.正常では背部誘導で1mm以上のST上昇,陰性T波,Q波を認めることは1%以下である 458).

③心筋生存性の有無

 従来,Q波梗塞は貫壁性,非Q波梗塞は非貫壁性(心内膜下)と考えられていたが,例外が多く,この概念は

正しくないことが明らかになった.最近の心臓MRによる研究ではQ波の存在は貫壁性の有無よりも,その広がりに影響されることが明らかとなった 459).T波の変化から心筋生存性を推定することもできる.再灌流療法成功例すなわち心筋生存性が存在する場合は早期(発症24時間以内)に深い陰性T波が出現する.しかし,前壁梗塞における異常Q波を認める誘導の慢性期の陰性T

波陰持続は,壁全体が線維化した貫壁性梗塞と関連している.一方,異常Q波のある誘導でのT波の陽性化は心筋生存性を持つ心筋があり,非貫壁性梗塞であるとされている 460).Q波梗塞における異常Q波の退行およびR

波の出現は心筋生存性の存在が示唆され,R波が高いほど左心機能の改善が期待できる 461).

2 生化学的マーカークラスⅠ1.CKあるいはCK-MBの経時的な測定により心筋梗塞サイズを推定する.(レベルB)

クラスⅡa′1.発症72時間以内におけるトロポニン値により心筋梗塞サイズを推定する.(レベルB)

 梗塞サイズの定量化はこれまでCKあるいはCK-MB

によって行われてきたが,最近では心筋特異性が高く梗塞サイズをより正確に反映するトロポニン IやトロポニンTが心筋傷害のマーカーとして利用されている. CKあるいはCK-MBの経時的な測定による心筋梗塞サイズ推定は病理学的な梗塞範囲との良好な相関が実証されており 462),463),死亡率を含む予後と直接関連することが示されている 464).しかし,最近では心筋特異性が高く広い診断時間幅をもつトロポニン IやトロポニンT

が心筋傷害のマーカーとして利用されており,2000年に発表されたESC/ACCの急性心筋梗塞診断基準改定ではCKやCK-MBに代わって,トロポニンが心筋マーカーの第一選択となった 465),466).心筋壊死量が1g未満でも検出できるほど感度が良好であり 465),発症72時間におけるトロポニンT値が梗塞量を最も反映するとされている 467),468).入院時のトロポニンTが0.1ng/ml以上であると,PCI後も責任冠動脈のTIMI 3未満の血流低下やno reflowの頻度が高く,30日死亡率も高い 469),470).トロポニン I,トロポニンTの上昇は心臓死や再梗塞の頻度増加とも関連している 471),472).また,トロポニンの上昇程度は,発症30日間の死亡率,および長期予後を規定する 95),97).急性期に侵襲的治療を受けた場合でも,トロポニンが高いほど,病院内死亡が多く,長期予後も

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

不良である 471).

3 心エコー法クラスⅠ1.責任冠動脈および梗塞サイズの推定を目的として心エコーを行う.(レベルB)

 局所壁運動異常の部位とその広がりから,責任冠動脈および梗塞サイズの推定が可能である.また,重大合併症の診断および再灌流療法の効果判定も可能である.コントラスト心エコー法(心筋コントラストエコー法)を用いれば,急性心筋梗塞の壁運動異常部位の心筋生存性が判定できる.(表8) 急性心筋梗塞において,心電図変化で診断が困難な例(左脚ブロック,WPW症候群,など)で,局所的な壁運動異常が観察できれば診断に有力な情報となる.壁運動異常の部位と広がりから責任冠動脈を診断し,梗塞サイズを評価できる 473),474).米国心エコー図学会(ASE)では左室壁を16分画(心基部を6分画,中部を6分画,心尖部を4分画)して,各セグメントの壁運動評価を行うことを提唱した 475).しかし,2002年に米国心臓協会(AHA)はさらに心尖(頂部)を加えた17分画を提案 476)しており,このほうが妥当である.壁運動の程度を 視 覚 的 に 正 常(normokinesis;1点 ), 低 収 縮(hypokinesis;2点),無収縮(akinesis;3点),奇異性運動(dyskinesis;4点),瘤形成(aneurysm;5点)の5

段階評価を行い,その合計点を観察可能であった分画数で除して平均点(スコア)を求め,全体の壁運動異常を評価することができる 475).こうして心エコーから求めるスコアは,CPKや核医学検査から推定される梗塞サイズと相関する 477)-479).また,壁運動異常領域が広いほど重篤な合併症の危険性が高く,厳重な管理を要する高リスク群である 480),481).しかし,STEMIの急性期では,気絶心筋(stunned myocardium)に陥っていて心筋生存性が残存していても無収縮のことがしばしばみられ,急性期の壁運動異常の広がりは実際の梗塞を過大評価している可能性がある 482).こういった現象は再灌流療法に成功した例で多く,そういった領域の心筋生存性評価にコントラストエコーが有用とされている.梗塞領域でも心筋染影が良いほどその後の心収縮能の改善が良好である 483). 心エコーについては循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン 484)のⅩ章に詳細な記述がある.

4 核医学による画像診断クラスⅠ1.梗塞サイズと心筋生存性評価および梗塞危険領域の検出を目的として血流シンチを行う.(レベルB)

2.再灌流療法の効果を目的として血流シンチを行う.(レベルB)

クラスⅡa′1.梗塞周辺の気絶心筋の診断を目的として 123I-BMIPP

シンチを行う.(レベルC)

 STEMIの予後は,おもに左室機能,梗塞サイズ,およびリスク心筋の大きさによって決定される.これらはいずれも核医学イメージングにより評価可能であり,初期治療後の安定した時期の核医学イメージングにより管理上の重要な情報がえられる 485).本邦では,心筋血流製剤として 201Tlが主に用いられ 486),487),欧米では 99mTc-

MIBI,99mTc-tetrofosminなどの 99mTc製剤が用いられているが 488)-491),梗塞サイズ推定や心筋生存性評価における診断精度はほぼ同等とされている 492)-494).心エコーと同様に左室を17分画 476)ないしBermanらの20分画 495)で集積程度を視覚的に5段階評価(0:正常,1:軽度低下,2:中等度低下,3:高度低下,4:欠損)する.スコアの総和が大きいほど梗塞範囲が広い.局所の集積程度を健常部の集積程度と比較して算出する%uptakeが低いほど心筋生存性のある可能性が低くなるが,一般的に安静像において%uptake 50%以上を心筋生存性存在の基準としている.メタ解析では,99mTc-MIBIによる心

表8 急性心筋梗塞における心エコー法の適応

クラス Ⅰ1. 標準的診断法で確定できないが急性の心筋虚血や心筋梗塞が疑われる症例の診断

2. 心筋梗塞サイズや心筋虚血に曝されている領域の同定3. 梗塞急性期における左心機能の評価4. 下壁梗塞で右室梗塞の合併の可能性がある症例5. 機械的合併症の診断,壁在血栓の診断6. 今後の治療方針決定のための院内における左心機能の評価

7. 血行再建術の適応判定のための心筋虚血,心筋生存性評価(負荷心エコー法による)

クラス Ⅱa1. 進行性の心筋虚血における虚血部位とその重症度の診断2. 心電図の解釈を妨げるような心電図異常のない場合における心筋虚血の院内あるいは退院後早期の診断

3. 治療方針の決定に重要な場合,心機能の再評価4. 再灌流療法後の心機能の評価クラス Ⅱb1. 長期(心筋梗塞発症2年以上)の予後を推定するための心エコー法 .

2. 標準的方法で診断の確定した急性心筋梗塞の診断

循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン 484)より引用

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

筋生存性判定では,感度83%,特異度69%と報告され,201Tlより特異度が高いとされている 496).また,検査前に硝酸薬を事前に投与しておくと診断率が向上する 497).99mTc製剤は心電図同期定量解析(Quantitative Gated

SPECT; QGS)に向いており,それにより心機能評価が可能である.壁運動の存在あるいは壁厚の増加は心筋生存性を示唆し,QGSの併用が診断能,予後予測能を向上させる 498). 脂肪酸代謝障害イメージングである 123I-BMIPP

SPECTは,梗塞心筋の診断精度において心筋血流イメージングと同等である499),500).再灌流療法が成功すると,201Tlによる血流と 123I-BMIPPにより示される代謝の乖離が明らかとなり,乖離の領域はその後の心機能の回復が期待できる 501).ただし,この領域は同時にリスク心筋でもあり,放置するとイベント発生率が高く予後予測因子として有用である 502). 壊死心筋を陽性描出する 99mTc-pyrophosphate(ピロリン酸)は梗塞心筋の定量化を可能にし,peak CKとの相関もよく 503),遠隔期の予後予測に有用 504)ではあるが,他の画像診断が進歩した今日,その有用性は限られている. 心臓核医学については,心臓核医学検査ガイドライン 505)に詳細な記述がある.

5 核磁気共鳴イメージング(MRI)クラスⅡa′1.心機能および壁運動評価を目的としてシネMRIを行う.(レベルC)

2.心筋梗塞巣描出を目的としてガドリニウム遅延造影MRIを行う.(レベルC)

 シネMRIによる心機能評価およびガドリニウム遅延造影による心筋梗塞病変が高い空間解像度で描出できるため,MRIはSTEMIの梗塞巣の評価にきわめて優れている.しかし,これを用いた臨床研究が少なくエビデンスとして確立されていない. シネMRIは造影剤を必要とせず,肺気腫や肥満など心エコーで評価しにくい場合でも死角なく評価ができる長所がある.右室 /左室の両心室の局所壁運動,壁厚,収縮期壁肥厚率,心室容積,左室機能の評価が定量的に再現性をもって評価できる 506)-510).壁運動は心エコーやシンチと同様に左室の17セグメントモデル 476)をもちいて視覚的に評価するのが一般的であるが,拡張末期から収縮末期にかけた壁厚の変化(% thickening)や内腔の変化(% radial shortening)で局所収縮能を定量的に

評価できる.心室容積はシンプソン法で三次元的に測定できるため正確である. ガドリニウム遅延造影(Late Gadolinium Enhanced;LGE)MRIでは急性期から慢性期まで心筋梗塞巣は高信号領域として認められ,LGEの領域は病理学的梗塞巣と極めて一致している 511),512).心筋梗塞における心筋細胞壊死は内膜側から始まり,外膜側へと広がるが,LGE-MRIは空間分解能が高いために内膜側から外膜側への壁内進展度を明瞭に描出することができる.したがって,従来の画像診断では描出できなかった心内膜下梗塞や右室梗塞の診断も可能である 513),514).心内膜下梗塞の診断感度は心筋SPECT 28%に比べてLGE-MRI 92%と著しく高い 515).梗塞サイズの測定は,急性期 /慢性期とも,再現性が高く 516)-518),しかも定量性に優れている 518).急性期の血行再建療法が成功しても心筋組織レベルの血流が再開しないno reflow現象を呈する微小循環閉塞(microvascular obstruction; MO)の診断にも有用である.MOをきたしたSTEMIでは,梗塞辺縁にはMR造影剤(ガドリニウム)が達しても,梗塞中心部には造影剤が到達しないために梗塞辺縁部のみがLGE

される特徴的な像を呈する.MOを認める症例では,心室リモデリングが高度で,心血管イベントの発生率も高い 519).LGE-MRIはSTEMIにおける心筋生存性の評価にも優れており,心内膜側から心外膜側へと広がる壁内進展度から,慢性期の壁運動の改善を予想できる.Choi

らによれば,LGEの壁内進展度が壁厚の0%のときは77%で壁運動が改善するのに対し,76%以上では改善度はきわめて低く4.7%のみである 520).201Tl-SPECTとの比較でもLGE-MRIのほうがSTEMIにおける心筋生存性診断能に優れており,KitagawaらはSTEMI 23例にLGE-MRIと 201Tl-SPECTを行い,慢性期の回復を指標とする心筋生存性評価において感度,特異度,正診率が,LGE-MRIで98%,75%,92%,201Tl-SPECTが90%,55%,81%であると報告している 521).

10 冠動脈バイパス術(CABG)

1 手術の時期と症例選択クラスⅡa

1.梗塞発症後安定した患者で左室機能が有意に低下している場合,手術を延期して心筋の回復を待つ.(レベルB)

2.冠動脈病変が重症な場合,手術は同一入院中に行う.(レベルB)

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

 STEMI後におけるCABGの至適時期については明確なデータはない 522)-526).STEMI後の緊急CABGの適応は,V-3の項に記載したとおりである.一般にSTEMI

後早期のCABGの成績は不良であり,Creswellらの2296例の心筋梗塞後患者に対するCABGのデータでは,手術死亡率は心筋梗塞後6時間以内で9.1%,6時間から48時間で8.3%,2日から14日で5.2%,2から6週間で6.5%,6週間以上で2.9%である 527).しかし,高齢,腎機能障害,心筋梗塞発症回数,高血圧などの危険因子をあわせて検討すると,心筋梗塞からCABGまでの時間は有意な予測死亡因子とはならない.左室機能が保持されている安定したSTEMI患者が外科的血行再建を必要とした場合,梗塞後数日以内にCABGを行ってもリスクは上昇しないと考える.さらに,心室中隔穿孔や乳頭筋断裂のような機械的合併症を伴った患者や,他の内科的治療に反応しない進行中の虚血があり,バイパスに適した血管がある場合などは手術を遅らせてはならない.一方,STEMI後有意に左室機能が低下しているものの血行動態的には安定している(進行する虚血,血行動態障害,致死的不整脈のない)患者の場合,外科的血行再建までに十分時間をとって内科治療を行い,心筋を回復させるのが良い.冠動脈病変が左冠動脈主幹部の75%以上狭窄のように重症な場合,手術は同一入院中に行うべきである.

2 動脈グラフトクラスⅠ有意狭窄のある左前下行枝にはできる限り内胸動脈を用いる.(レベルB)

 左内胸動脈を左前下行枝に吻合し他を大伏在静脈でバイパスした群と,大伏在静脈のみでバイパスした群とを比べると,内胸動脈を使用した群のほうが狭心症の再発や心筋梗塞が有意に少ない.さらに,再手術やPCIの頻度も低く,10年生存率が良い 528)ことから,左前下行枝へのグラフトには常に内胸動脈を用いることが一般的に受け入れられている.Hiroseら 529)やHirotaniら 530)は,心筋梗塞発症後早期の患者においても動脈グラフトを用いての良好な手術成績を示しており,内胸動脈の使用はSTEMI患者においても手術死亡率を増加させず,遠隔成績の向上に役立つと考えられる. 内胸動脈以外の動脈グラフトである,胃大網動脈および橈骨動脈を用いた多枝動脈グラフトによるバイパス術も近年増加してきており,大伏在静脈グラフトに比べて遠隔期グラフト開存率の改善と生存率の向上が期待され

ている 531)-533).しかし,胃大網動脈や橈骨動脈は,標的冠動脈の狭窄度が比較的軽度の場合には開存率が低下することが指摘されており 534),535),さらに遠隔成績については明確ではない.一方大伏在静脈グラフトもいまだに多く用いられている.

3 再発性虚血に対するCABGの適応クラスⅠ血行再建が必要でPCIに適さない冠動脈病変に対しては,早急にCABGを行う.(レベルB)

 STEMI後の患者で繰り返す心筋虚血があり,血行再建が必要であるが冠動脈の形態がPCIに適さない場合には,CABGを考慮すべきである.手術死亡率は左室駆出分画率に深く関係しており,左室駆出分画率が正常の場合は待機的CABGとほぼ同等である 536)-538).左室機能の低下した患者に対しても,CABGを行うことで生存率は改善する.

4 残存冠動脈病変に対する待期的CABGの適応

クラスⅠ1.左冠動脈主幹部に有意狭窄のある狭心症患者.(レベルA)

2.左前下行枝と左回旋枝の近位部に有意な(70%以上)狭窄がある左冠動脈主幹部病変と同等の病変をもつ狭心症患者.(レベルA)

3.3枝病変をもつ狭心症患者(レベルA)4.左前下行枝近位部に有意な狭窄はないが,生存心筋の領域が広く,非侵襲的検査上の高リスク基準を満たす1枝ないし2枝病変の狭心症患者.(レベルB)

5.左前下行枝近位部の有意狭窄を伴う2枝病変があり,左室駆出分画率が50%未満もしくは非侵襲的検査で明らかな虚血の認められる狭心症患者.(レベルA)

 STEMI後の血行再建術にはPCIとCABGがあり,個々の患者の状態に応じて選択する必要がある.外科的血行再建の役割については,CABGに関するACC/AHAガイドラインに広範な記述がある 539).狭心症状がなくても,非侵襲的検査で明らかな虚血が認められる場合(無症候性心筋虚血)には,CABGを考慮する.3枝病変例では,左室駆出分画率が50%未満であればCABGのメリットは大きい.外科手術の至適時期についてはいまだ確立はされていない.梗塞後最初の48時間以内が最もリスク

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が高く,次の2週間で低下していく.低左心機能,高齢,女性,腎機能障害,末梢血管疾患,糖尿病,慢性閉塞性肺疾患,CABG既往のある患者では,手術リスクが高くなる 527),538),540). 近年,人工心肺を使用しないCABG(off pump

coronary artery bypass:OPCAB)の優位性が示されつつあるが 541)-543),STEMI後の患者に対しても有用であるかについては,十分なエビデンスはない.

5 CABGと抗血小板薬クラスⅠ1.梗塞後のCABG施行前にアスピリンを中止しない.(レベルC)2.禁忌がない限り,CABG後できるだけ早期(24時間以内)にアスピリンを開始する.(レベルB)

 CABG後48時間以内にアスピリン(81~325mg/日)を開始することには有意な効果があり,30日死亡率の低下,心筋梗塞,脳梗塞,腎不全,腸管虚血の発生率の低下が認められている 544).これらは,アスピリンの抗炎症作用と抗血栓作用の両方の効果であると思われる 545).出血の合併症もアスピリン投与群で低かった. 血行再建術を受けるSTEMI患者では,ヘパリンのほかに1剤以上の抗血小板薬が投与されていることが多い.これらの薬剤はすべて心臓手術中ないし術後に重篤な出血の生じるリスクを高くする可能性があるが,多くの場合,血小板機能が回復するまで手術を延期することは適切ではないと思われる.投与されている抗血小板薬の種類と手術の緊急度によって対処の方法は異なってくる.アスピリン単独投与例では,緊急手術はもちろん,待期手術の場合でも術前にアスピリンを中止しないことが推奨される 546).血小板輸血や人工心肺中のヘパリン量の減少,抗線溶薬の使用などの方法もある.クロピドグレルに関しては,アスピリンと併用すると手術中の出血のリスクが高くなるため,待期的CABGを予定している患者においては,術前少なくとも5日間,できれば7日間はクロピドグレルの投与を中止すべきである 547),

548).

Ⅶ 回復期および退院後の患者管理

1 退院時のリスクの層別化

 STEMIの退院時から慢性期治療への移行の過程で,虚血の残存の有無や慢性心不全に関する心機能を評価し,心臓突然死の危険性とその予知が重要である.但し,一概にSTEMI後といっても,急性期の冠動脈造影検査やカテーテル治療の有無,発症からの経過時間やβ遮断薬などの治療の選択や入院期間などが個々の症例で異なり,それらを踏まえた判断が求められる 549)-552).

1 運動負荷試験の役割クラスⅠ1.退院前に冠動脈造影の予定がなく,リスクが高くない場合の心筋虚血の有無と程度の評価.(レベルA)

2.運動負荷心電図評価が困難な場合における負荷心エコー法や負荷心筋シンチグラム(レベルB)

クラスⅡa

1.退院後の運動処方の参考にする2.冠動脈造影で指摘されている狭窄が虚血を生じるかを評価する(レベルC)

クラスⅢ1.再灌流治療を受けていない患者の発症早期2.梗塞後不安定狭心症,治療不十分な心不全,致死性不整脈を有するもの

 STEMIの回復期に運動負荷試験を行う目的は,1)退院後の生活,運動能力の参考にする,2)心臓リハビリの際の運動能力の指標とする,3)現在の内科治療の妥当性を評価する,4)今後の心血管イベントの発生の予測することである 553)-555).慢性期に症候限界的に最大運動量まで負荷をかける方法と,比較的早期に運動量を限定して行う方法がある.メタ解析では,運動負荷試験の除外規定を有する場合は最も予後が不良であり 556),負荷による血圧低下や運動能不良は予後が悪い 557).虚血性のST変化を示す場合の予後も不良である 549),558),

559).完全左脚ブロック,早期脱分極症候群,心肥大,ジゴキシン内服中,安静時心電図で1mm以上のST偏位,心室ペーシングの患者では心電図の評価が困難でありその他の検査を選択する.

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

2 心エコー法の役割クラスⅠ1.梗塞後の左室機能の評価,僧帽弁逆流の有無などを評価(レベルB)

2.梗塞に伴う僧帽弁閉鎖不全症,心原性ショック,梗塞部位の拡大,心室中隔穿孔,心室内血栓,心膜液貯留などの合併症の評価(レベルC)

3.運動負荷による虚血の誘発を目的とし,心電図評価が困難な場合の負荷心エコー法(レベルB)

クラスⅡa

1.回復期における心エコーを用いた治療効果の判定(レベルC).2.再灌流療治療後に左室造影を行っていない場合の心エコー(レベルC)

クラスⅡa′1.薬剤負荷心エコー法による左室心筋生存性の評価(レベルA)(保険適応外)

クラスⅡb

1.左室拡張障害など心エコー指標を用いた予後の予測(レベルB)

 ベッドサイドで非侵襲的に繰り返して施行可能な心エコー法は,左室機能のみならず局所心機能の評価に優れている 560).心エコー法から得られる心機能の指標として,左室駆出分画率 561),562),半定量的なwall motion

score index562),563),僧帽弁閉鎖不全の合併 564)-566),肺高血圧の合併 567)などがあり,STEMIの予後の評価を可能にする 568). 従来より,左室拡張末期圧はSTEMI後の予後予測因子であったが,心エコー法により非侵襲的に僧帽弁の流入血流パターンや組織ドプラ法から左室末期圧の上昇および左室拡張障害を予測することが可能であり有用である 569)-574).同様に左室拡張障害を反映する左房の拡大も予後予測因子となる 575),576). 本邦では保険適応がないが,STEMI後の予後予測にドブタミン負荷心エコー法は有用である 577)-579).海外で広く使用されており,安全性や検査としての信頼度は高いが,訓練された術者が行う必要がある.ドブタミン負荷心エコー法が陰性の場合予後がよく 580),ドブタミン負荷後も壁運動が悪い場合に予後が不良である 581).近年では比較的早期に薬剤負荷心エコーを行うことの有用性も報告されている 582),583).

3 心筋画像診断クラスⅠ1.冠動脈造影検査を行わない患者で運動負荷が困難な例の負荷心筋シンチグラムによる心筋虚血判定(レベルB)

2.慢性期に心筋生存性の判定のために運動負荷心筋シンチグラム(レベルB)

3.梗塞範囲の評価と長期予後の予測の目的での心筋シンチグラム(レベルB)

クラスⅡa′1.梗塞周辺の気絶心筋検出を目的とした 123 I-BMIPP

検査(レベルC)2.MRIによる心筋梗塞の範囲,深達度や微小循環障害の評価(レベルC)

 99m Tc製剤は,臨床的には 201Tlとほぼ同様の有用性が示されており,201Tl製剤で示されたエビデンスは 99m Tc

製剤に応用できると考えられている 584).安静時の 201Tl

SPECT欠損像は心筋梗塞範囲に相関する 487),585).いずれの核種によっても,負荷シンチグラムが陰性の予後は良好である 586)-591).なお,ジピリダモール負荷やATP

による虚血の誘発は保険適応がないが,アデノシンの代用として長年に渡って使用されてきた実績がある 588),

592). 梗塞後の心筋生存性(viability)の評価には様々な手法がある.心筋の血流および心筋細胞の生存を評価する方法としては,201Tlがあり,一般に50%以上の%up

take計測を残存心筋とすることが多い.一方,梗塞周辺部には,急性の心筋虚血が解除されたのちも壁運動が低下した気絶心筋 (stunned myocardium)が存在する.このような部位では心筋は残存していても虚血性の脂肪酸代謝を呈することが多く,123 I-BMIPP(脂肪酸代謝)イメージが有用であり,いわゆる血流との乖離現象を呈するが,数週間から数ヶ月の経過で壁運動とともに回復する 499),593),594).STEMI後の患者を対照にした研究では血流代謝の集積乖離やBMIPP欠損の大きさは,心事故の予後規定因子と考えられる 595).心収縮予備力から残存心筋を評価する方法として,ドブタミン負荷心エコー図検査は臨床的な意義が高く,核医学検査と比較して残存心筋の検出における特異度は高いとされている 577). 造影心臓MRI検査によって,心筋梗塞の範囲,その貫壁性深達度や微小循環障害が評価でき.それらの程度が強いほど壁運動の改善が悪く心筋リモデリングを生じやすくなり 520),521),596),長期予後が不良となる 597)-599).

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1396 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

4 左室機能およびB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の役割

クラスⅠ1.退院前の左室駆出分画率の測定.(レベルA)クラスⅡa

2.退院前のBNPの測定.(レベルB)

 再灌流治療の有無に関わらず,左室機能はSTEMIの予後予測に最も重要な因子である 550),600).その計測には様々な手法が用いられるが,検査法によってその意義が若干異なる 601),602).さらに発症からの経過時間でその予測感度が異なるために急性期のものは予後判定に使用しない 603),604).心筋梗塞後の左室機能低下は,心臓突然死の最も重要な予測因子であり植込み型除細動器の効果が期待される.植込みが有効な左室機能低下の基準は左室駆出分画率で30%から40%の間にあると考えられるが,確立されているとはいえない 319),605)-607). B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は,梗塞範囲の進展と左室拡張能を反映し 608),単独もしくは左室駆出分画率とあわせて評価することで,STEMI後の予後推定に役立つ 609)-611).

5 冠動脈造影未施行例における冠動脈造影の適応

クラスⅠ1.入院中に日常生活レベルの労作で心筋虚血を生じた場合(レベルA)

2.非侵襲的な手法で虚血が疑われた場合(レベルB)3.不安定な血行動態が持続する場合(レベルB).4.急性期に原因が不明な心不全を合併した場合(レベルC)

クラスⅡa

1.動脈硬化プラークの破綻やびらんとは異なる機序が予想される場合(レベルC)

2.糖尿病,心不全,血行再建術の既往,左室機能低下や致死性不整脈を合併する場合(レベルC)

3.急性期に経静脈的血栓溶解療法のみをうけた患者に対し,リスク層別化のために行う場合

クラスⅢ1.血行再建術の適応がないと考えられる場合.

 STEMIの亜急性期の冠動脈検査の主な意義は,責任冠動脈の開存性を含めた冠動脈病変および左室駆出分画率を評価し,血行再建術の適応を判断することにある.

そのために入院中に生じた心筋虚血発作,非侵襲的な手法でリスクが中等度以上と判断された場合,機械的合併症を有する場合,不安定な血行動態の遷延などが冠動脈造影の適応となる 612).特に血栓溶解療法後の再梗塞は予測不可能であり,一度生じると死亡率が高い.その場合はリスク層別のために冠動脈造影を行い,CABGやPCI治療を検討する必要がある 191),613). STEMIの原因として冠動脈の動脈硬化病変部の血栓性閉塞という通常の病態以外,例えば塞栓症,特殊な代謝,血液学的病態,冠攣縮などが考えられる場合には慢性期に冠動脈造影を行う意義が大きい.

6 不整脈と心臓突然死の評価クラスⅡa′1.不整脈の合併を評価するためのホルター心電図検査(レベルB).

クラスⅡb

1.予後推定のための加算平均心電図検査やT波交代性の評価(レベルB).

 STEMI発症直後から予防的に植込み型除細動器(ICD)を用いることには未だに議論の余地があり 322),

614),複数の手法による心臓突然死の予測が重要である 615).心機能低下は心臓突然死の予測に最も有用な指標であり ICDが有用である 605)-607). ホルター心電図により,心室性不整脈のドキュメントのみならず 616),心拍変動などによる交感神経緊張度を評価でき,心臓突然死の予測に有用である 617)-619).加算平均心電図における周波数解析法でのQRS時間が長いと重症不整脈の予測因子となる 620),621).また,低心機能の患者でもT波交代性(alternans)が陰性の場合比較的予後が良いとされる 622).非侵襲的な方法で致死性不整脈のリスクが高いと判断された場合の電気生理学的検査も ICDを選択する際のリスクの層別化に有用との報告もある 623)-625).

2 心臓リハビリテーション

クラスⅠ1.心臓リハビリテーション /二次予防プログラム,特に複数の冠危険因子を有するか中等度~高度リスクの患者における監視型運動療法の実施.(レベルC)

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1397Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

1 心臓リハビリテーションに関する基本的事項

①これまでのエビデンス

 心臓リハビリテーションとは,「心疾患患者の最適な身体的,心理的,社会的状態を回復および維持し,基礎にある動脈硬化の進行を抑制し,さらに罹病率と死亡率を低下させることをめざす多面的介入」である 626)-628).心臓リハビリテーションプログラムは,①運動トレーニングと運動処方,②冠危険因子の軽減と二次予防,③心理社会的因子および復職就労に関するカウンセリング,の3つの構成要素を含み,実施時期から「急性期(第Ⅰ期phaseⅠ)」,「回復期(第Ⅱ期phaseⅡ)」,「維持期(第Ⅲ期phaseⅢ)」の3つの時期に分類される.わが国ではSTEMIに対する心臓リハビリテーションは,平成18年4月から「心大血管疾患リハビリテーション」と改訂され,開始日から150日間の算定が認められている. 心臓リハビリテーションが虚血性心疾患患者の運動耐容能を改善するほか,冠危険因子を改善し,QOLを向上させ,心血管死亡や総死亡率を低下させるなどの有益な効果をもたらすことはすでにエビデンスとして確立されている 627)-630).Taylorら 630)は,虚血性心疾患患者合計8940名を対象とした48編の無作為割り付け試験(介入期間の中央値3ヶ月間,追跡期間の中央値15ヶ月間,32編が心筋梗塞患者のみを対象とする)をメタ分析し,心臓リハビリテーションは通常治療に比較して総死亡を20%(p=0.005),心死亡を26%(p=0002)有意に減少させ,有意ではないものの非致死性心筋梗塞を21%(p=0.15)減少させると報告している.さらにサブグループ解析により,再灌流療法が一般的になった1995年以前と以降の報告で総死亡減少効果は同等と報告している. これらを踏まえて,米国心臓病学会および心臓協会のACC/AHA 2004ガイドライン 36)および2007年改訂版 631)

において,STEMI後に心臓リハビリを実施することがクラスⅠとして推奨されている.これらの事実は,心臓リハビリテーションが単に社会復帰までの理学療法・身体トレーニングにとどまらず,薬物治療と並んで虚血性心疾患患者の長期予後改善をめざす治療法の一つであることを示している.

②わが国における状況

 わが国におけるSTEMI患者に対する心臓リハビリテーションの有効性に関するエビデンスとして,長期生命

予後に関するものは無いが,運動耐容能,冠危険因子,QOLが改善すると報告されている 632)-636). 実施状況に関して,1996~1998年に実施された多施設調査では,STEMI患者の回復期心臓リハビリテーション参加率は全国推計で5~12%にすぎないと報告された 637).2004年に実施された全国1059施設を対象とした実態調査 638)の結果では,日本循環器学会認定循環器専門医研修施設526施設および研修関連施設194施設においても,緊急PCI実施率はそれぞれ92%,56%であったのに対し,退院後の外来通院型心臓リハビリテーション実施率はわずか9%,2%にすぎず,PCIの普及に比べて心臓リハビリテーションの普及がきわめて遅れている.またガイドライン 626),628),633),639)で推奨されている患者教育プログラム,個別的運動処方,呼気ガス分析による運動耐容能評価などの実施率も低率であり,心臓リハビリテーション実施施設の増加とともにプログラムの内容についても質の向上を図る必要がある 640),641).

③運動療法の禁忌

 心疾患患者に対する運動療法の禁忌を(表9)に示す 633),639).2001年のAHA基準 639)では,発症2日以内のSTEMIは運動負荷試験の絶対的禁忌とされ,強い運動負荷試験や積極的な運動療法は勧められないが,室内排便負荷や室内歩行程度の活動は12~24時間後には許可される.再灌流非施行または不成功例は心破裂のリスクがあるため,一般的に発症2~3日以内に血圧上昇を伴う運動負荷試験を施行すべきではない.さらに再灌流療法非施行または不成功で,発症後2~3日以降もST上昇が持続する例,いったん出現した陰性T波が消失しST

再上昇を示す例,心膜液が進行性に増加する例は心破裂のリスクが高いと考えられ,心破裂リスクが持続する発症9日目までは血圧上昇を伴う積極的な運動療法を控えることが望ましい.

2 急性期リハビリテーションクラスⅠ1.STEMI患者で,繰り返す虚血性胸部症状や心不全症状,または重篤な不整脈がない場合,入院早期(入院12時間~)にベッド上安静の解除を考慮する(レベルC).

クラスⅡa

1.血行動態が不安定または虚血が持続する患者でも,12~24時間後にはベッドサイドでの室内便器の使用を許可してよい(レベルC).

クラスⅢ

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

1.再灌流療法が成功していないSTEMIでは,発症2~3日以内に運動負荷試験を実施すべきではない(レベルC).

①急性期リハビリテーションの目的

 急性期とは,心筋梗塞発症からおよそ1~2週間以内の期間である.急性期リハビリテーションの目標は,食事・排泄・入浴などの自分の身の回りのことを安全に行うことができるようになることと,早期から二次予防に向けた教育を開始することである.急性期の安静臥床の目的は,身体労作や交感神経刺激による心拍数や心筋酸素消費の増加を抑制することであるが,過剰な安静臥床は身体デコンディショニングを生じるので有害である 642).したがって安静臥床期間は必要最小限にとどめるべきであり,繰り返す心筋虚血,遷延する心不全,重症不整脈などを合併する例を除いては,ベッド上安静時間は12~24時間以内とする 36).ただし急性期には,身体労作に伴うバルサルバ手技(いきみ)を避けることが必要である 36).

②クリニカルパス

 近年では,STEMIの診療に急性期リハビリテーションを包含するクリニカルパス(クリティカルパス)が用いられ,診療の質の向上に有効とされる 643).例として,表10に国立循環器病センターにおける14日間クリニカルパスを示す.安静度拡大の各段階で負荷試験を行い,自覚症状,心拍数,血圧,心電図変化を観察し,次の段階へ進む.病棟での負荷試験での判定基準を表11に示す 644).6日目以降は,運動療法の禁忌 633),639)がない限り回復期心臓リハビリテーションプログラムに移行する.

クリニカルパスを採用することにより,STEMIの診療内容の標準化,入院期間の効率的短縮,二次予防教育・回復期心臓リハビリテーションへのスムーズな移行が可能となる.

③急性期の患者教育

 在院日数が短縮し,入院中に十分な患者教育の時間を確保できないので,急性期においては,二次予防教育のすべてをめざすのではなく最小限の重要事項を教育し,残りは回復期心臓リハビリテーションプログラムで教育を受けるよう推進することが望ましい.急性期に実施すべき最小限の事項として,①胸痛が生じた際の対処方法と連絡先,②ニトログリセリン舌下錠またはスプレーの使用方法,③家族を含む心肺蘇生法講習,④患者の有する冠危険因子についての説明,⑤二次予防のための心臓リハビリテーション参加と生活習慣改善への動機付け,⑥禁煙(すべての患者は入院中禁煙しているのでこれを継続させる),が挙げられる 36).すなわち,緊急時の対処方法と二次予防行動への動機付けが急性期心臓リハビリにおける患者教育の2本柱である.

3 回復期リハビリテーションクラスⅠ1.回復期のSTEMI患者には,心臓リハビリテーション /二次予防プログラムが推奨される.(レベルB).

2.運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づき,30~60分の運動を少なくとも週3~4回(できれば毎日)行い,日常生活での身体活動を増加させるよう指導する(レベルB).

表9 心疾患患者に対する運動療法の禁忌

Ⅰ.絶対的禁忌 1)不安定狭心症または閾値の低い(2METs[平地ゆっくり歩行]以下で誘発される)心筋虚血2)コントロールされていない不整脈(心室細動,持続性心室頻拍など)3)非代償性(体液量がコントロールされていない)心不全4)重症かつ症候性の弁狭窄症,弁逆流症,先天性心疾患,左室流出路狭窄5)活動性の心筋炎,心膜炎6)急性全身性疾患または発熱7) 運動療法が禁忌となるその他の疾患(中等症以上の大動脈瘤,重症高血圧,血栓性静脈炎,2週間以内の塞栓症,重篤な他臓器障害など)

Ⅱ.相対的禁忌 1) STEMI発症9日以内で,心破裂のリスクが高い例(ST上昇が持続または再上昇を示す例,心膜液が進行性に増加する例)*

2)運動により収縮期血圧が低下する例3)中等症の弁狭窄症または左室流出路狭窄4)運動誘発性の中等症不整脈(非持続性心室頻拍,頻脈性心房細動など)5)高度房室ブロック6)運動による自覚症状の悪化(疲労,めまい,発汗多量,呼吸困難など)

*心破裂リスクの高いSTEMIでは,発症9日目までは血圧上昇を伴う積極的な運動療法は控えることが望ましい .

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1399Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

①回復期心臓リハビリテーションの目的

 回復期とは,STEMI発症約1週間後から1~3ヶ月後までの期間をさす.回復期心臓リハビリテーションの目的は,身体活動範囲を拡大し,良好な身体的・精神的状態をもって職場や社会に復帰することであり,そのために①運動負荷試験による予後リスク評価,②運動処方に基づく積極的な運動療法,③生活習慣改善を含む二次予

防教育,④復職・心理カウンセリングなどを包括的かつ体系的に実施する.近年再灌流療法の普及によりSTEMIの合併症が減少したこと,早期離床により患者の身体デコンディショニングが軽症化したこと,クリティカルパスの導入や社会経済的要請が増大したこと,などの要因が重なって入院期間が大幅に短縮した結果,入院型の回復期心臓リハビリテーションを実施することが困難となっている 638).したがって入院中に回復期リハビリテーションプログラムにエントリーし,退院後も引き続き外来通院型回復期リハビリテーションプログラムとして継続することが望ましい(図12).回復期心臓リハビリテーションの具体的実施方法については,運動療法に関するガイドラインに記載されている 633),639).

②STEMI患者に対する運動負荷試験

クラスⅡa

1.発症4日目以降に,予後予測・運動処方・治療評価のために亜最大負荷試験を実施する

2.発症14日~21日に,予後予測・運動処方・治療評価・心臓リハビリテーションのために症候限界性負荷試験を実施する

表10 STEMI14日間クリニカルパス(国立循環器病センター)

病日 PCI後1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目

7日目

8日目

9日目

10日目

11日目

12日目

13日目

14日目

達成目標

・STEMIおよびカテーテル検査に伴う合併症を防ぐ

・STEMIおよびカテーテル検査に伴う合併症を防ぐ

・S T E M Iに伴う合併症を防ぐ

・心筋虚血が起きない

・心筋虚血が起きない・服薬自己管理ができる・退院後の日常生活の注意点について知ることができる

・心筋虚血が起きない・退院後の日常生活の注意点について理解ができる

・亜最大負荷で虚血がない・退院後の日常生活の注意点について言える

退院

負荷検査・リハビリ

・圧迫帯除去,創部消毒・室内排便許可 : 

・尿カテーテル抜去

・末梢ライン抜去・トイレ排泄許可

・200m歩行負荷試験 : ・合格後200m歩行練習1日3回・栄養指導依頼

・心臓リハビリ依頼・心臓リハビリ開始日の確認

・心臓リハビリ室でエントリーテスト・心リハ非エントリー例では500m歩行負荷試験

・心臓リハビリ室で運動療法(心臓リハビリ非エントリー例では,マスターシングル試験または入浴負荷試験)

安静度

・圧迫帯除去後,床上自由

・室内自由 ・負荷後トイレまで歩行可

・200m病棟内自由 ・亜最大負荷試験合格後は入浴可および院内自由

食事・循環器疾患普通食(1600Kcal,塩分6g)・飲水量指示

・循環器疾患普通食(1600Kcal,塩分6g)・飲水制限無し

排泄

・尿留置カテーテル・排便 :ポータブル便器

・尿留置カテーテル・排便 :ポータブル便器

・排尿・排便 :トイレ使用

清潔

・洗面ベッド上・全身清拭,背・足介助

・洗面 :洗面台使用・全身清拭,背・足介助

・洗面 :洗面台使用・清拭 :背部のみ介助

・洗面 :洗面台使用・患者の希望に合わせて清拭

・洗面 :洗面台使用・患者の希望に合わせて入浴

組み込み基準:再灌流療法が成功し,KillipⅠ型で合併症がなく,CK最高値≧1500U/Lの症例に適用する.CK最高値<1500U/Lの症例に対しては,10日間クリニカルパスを適用する.

表11 STEMIに対する急性期リハビリテーション    :次の段階へ進むための判定基準(文献644)

1.自覚症状 : 胸痛,呼吸困難,動悸などの自覚症状が出現しないこと.

2.心拍数 : 心拍数が120/分以上にならないこと,または40回/分以上増加しないこと

3.不整脈 : 危険な不整脈が出現しないこと.4.ST変化 : 心電図上1mm以上の虚血性ST低下,または著明なST上昇がないこと .

5.収縮期血圧 : 室内便器使用時までは20mmHg以上,歩行負荷以降は30mmHg以上の収縮期血圧上昇がないこと.(ただし2週間以上経過した場合は血圧に関する基準は設けない.)負荷試験に不合格の場合は,薬物追加などの対策を実施したのち,翌日に再度同じ負荷試験をおこなう.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

3.発症3~6週後(退院後)に,予後予測・運動処方・治療評価・心臓リハビリテーションのために症候限界性負荷試験を実施する

 STEMIに対する運動負荷試験は,①リスク層別化と予後予測,②社会復帰・復職・心臓リハビリテーションのための運動耐容能評価と運動処方,③治療の妥当性や効果の評価,に関する情報を得る上で有用である 36),645),

646). ただし安全性に関して,STEMI後の運動負荷試験をいつから開始してよいかに議論がある 646).3日目に実施しても安全性に問題はなかったとの報告 647)があるが,早期運動負荷試験の安全性と有用性が未確立であるためACC/AHAのガイドライン 645),646)では亜最大負荷試験は4日目以降,症候限界性負荷試験は14日目以降に実施するとされている.わが国の多施設調査の結果では,冠動脈ステントを留置された患者において,亜最大負荷試験は発症4~8日目,最大負荷試験は発症14日目から施行しても問題はなかったと報告されている 648). 通常発症後5~6日目に回復期心臓リハビリテーションプログラムにおけるエントリーテストを実施する(図12).この際の運動終点は安全性を考慮して,予測最大心拍数の70~75%またはボルグ指数6~20点の15点ま

での亜最大負荷とする 633),639).回復期心臓リハビリテーションプログラムの開始約1週間後(すなわち心筋梗塞発症約2週間後)および一定期間後(通常約3ヶ月後)に症候限界性(最大負荷)運動負荷試験を実施して,運動耐容能を評価し運動処方を決定することが推奨される 633),639),645),646).

4 維持期リハビリテーション 維持期とは,STEMI発症2~3ヶ月以降で社会復帰を達成したあとの時期をさす.維持期心臓リハビリテーションの目的は,回復期リハビリテーションで得た良好な身体的・精神的機能を維持し,生涯にわたり快適な生活を継続することである.この目的のために,自宅または地域での運動施設などで運動療法を実施するとともに,食事療法・禁煙などの二次予防活動を継続することが必要である 633).

図12 STEMI急性期および回復期心臓リハビリテーションプログラムの例

急性期再灌流療法が成功し,KillipⅠ型で合併症がなく,CK最高値≧1500U/Lの場合,14日間で退院とする.第4日目に病棟で200m歩行負荷試験を実施し,合格なら5~7日目以降,心臓リハビリテーション(リハビリ)室での回復期心臓リハビリテーションプログラムに参加する.退院後は外来通院型監視下運動療法と在宅運動療法を併用する.心臓リハビリ開始約1週間後および3ヶ月後に心肺運動負荷試験および血液検査により運動耐容能および冠危険因子を評価し,運動処方を決定する.

回復期心臓リハビリ開始

心臓リハビリ開始時歩行テスト・医師面接

病棟で歩行練習

200m歩行試験

トイレ排泄負荷(約50m歩行)

圧迫帯除去後室内排便負荷

心筋梗塞発症・緊急カテーテル治療

6〜7日目

5〜6日目

5日目

4日目

3日目

PCI後1日目

入院

終了時医師面接

運動耐容能評価

冠危険因子評価

退院時医師面接

運動耐容能評価

冠危険因子評価

患者教育プログラム(病気・服薬・食事・運動などに関して多職種が実施)

入院中リハビリ(毎日)心臓リハビリ室で監視下運動療法(歩行、自転車こぎ)

外来通院リハビリ(週 1~3回)(エアロビクス体操、自転車こぎ)

在宅運動療法(週 3~4回)(運動処方に基づく運動)

維持期在宅リハビリ

回復期心臓リハビリ終了

退 

14日目

3〜5ヶ月後

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1401Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

3 退院後管理

1 外来におけるフォローアップ指導事項(クラスⅠ,レベルC)

1.心血管症状の有無と身体活動レベルの評価.2.服薬内容の再評価と,ACE阻害薬,β遮断薬,スタチンの投与量の最適化.

3.退院時の予後リスク評価と検査計画の検討(左室機能評価および左室機能低下例[LVEF≦35%]のICD適応の評価を含む).

4.患者および家族とともに,二次予防の順守事項を検討し,その重要性を確認する.

5.うつ病,不安,睡眠障害の症状や社会的サポートなどを含む患者の心理社会的状態の評価.

6.身体活動,復職,性生活再開,自家用車や飛行機による旅行に関する相談と身体活動の代謝当量(METs)に関する資料の提供.7.患者および家族に対し心肺蘇生術の習得についての情報提供.

8.心臓リハビリテーション /二次予防プログラムの推奨.

①STEMI患者の長期予後

 STEMI患者の退院後の予後に関して,欧米では退院後の1年死亡率は11~16%,5年死亡率は19~39%とされる 649),650).わが国では,1年死亡率は5.7~6.2%649),651),5年死亡率は19~27%と欧米に比べてやや低い死亡率が報告されている 649),652),653).発症後6年以内に,男性患者の18%と女性患者の35%が再梗塞を発症し,男性患者の22%と女性患者の46%が心不全に陥るとされる 654).また院外心停止のリスクは,心疾患のない者0.8/1000人・年に対して心筋梗塞既往がある場合は13.6/1000人・年,心不全がある場合は21.9/1000人・年へと上昇すると報告されている 654).さらに糖尿病を有する心筋梗塞患者は糖尿病を有さない心筋梗塞患者に比べて1年死亡率(16.1% vs 11.9%)が35%高く 655),7年後の心筋梗塞再発率(45.0% vs 18.8%)が著しく高率である 656).

②退院後管理の意義

 上述の長期予後データを踏まえると,STEMI患者の長期予後改善のためには,患者を将来の心血管イベントに対するリスクにより層別化し,高リスク例に対しては退院後の心筋梗塞再発,心不全,不整脈の予防に関する医学的管理 36),657)を厳重に実施するとともに,低リスク例を含む全例に対して二次予防対策 631),657)を継続することが重要である.

2 退院後の身体活動許容範囲

①運動療法における許容範囲

 心臓リハビリテーションプログラムにおいて運動処方に基づく適切な強度の運動療法を実施することにより,退院後の身体活動許容範囲が明らかになる.できれば運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づき,30分以上の運動(ウォーキング,ジョギング,自転車,その他の有酸素運動)をできれば毎日(少なくとも週3~4回)行い,さらに日常生活での身体活動(仕事の合間の歩行,庭いじり,家事など)を増やすよう指導を受けるべきである 36).複数の冠危険因子を有するかまたは中等度~高度リスクの患者では監視型運動療法を実施することが推奨される 36),633),639).注目されることは,STEMIのACC/AHA 2004ガイドライン 36)では「できれば毎日(少なくとも週3~4回)」と記載されていた運動回数が,最新の2007年版 631)では「週7回(少なくとも週5回)」に上方修正されている点である.

②日常生活における許容範囲

 一方,日常生活での労働やスポーツにおける身体活動許容範囲に関しては,日本循環器学会合同委員会からガイドラインが出版されている 658).そこでの基本的考え方は,心疾患患者をその重症度に応じて,「軽度リスク」(健常人と同様),「中等度リスク」(5METs以下では虚血なし),「高度リスク」(日常生活で虚血・心不全あり)に分類する一方(表12),運動をその強度に応じて,「軽い 運 動 」( <3METs),「 中 等 度 の 運 動 」(3.0~6.0METs),「強い運動」(≧6.1METs)に分類し,それぞれの組み合わせで,「すべて許容」,「条件付き許容」,「禁忌」と判定するというものである(表13). 具体的には,軽度リスク例では,中強度(3.0~6.0METs)以下の運動はすべて許容され,強い運動(≧6.1METs)のみ条件付き許容とされる.中等度リスク症例では,軽い運動(<3METs)はすべて許容であるが

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1402 Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

それ以上の運動は条件付き許容となる.高度リスク症例では,軽い運動でも条件付き許容で,中等度の運動は専門医の管理下に置いて許可された労働のみ許容され,強い運動(≧6.1METs)や競技スポーツは禁忌とされている 658). なお車の運転は,米国では,問題ないと判定されれば退院1週間後から開始可能とされる 36).わが国では明確な基準はないが,心筋虚血,重篤な不整脈,心不全がない例では,退院1~2週間後から可能と考えられる.ただしラッシュアワー,悪天候,夜間,高速運転は避ける必要がある.飛行機での旅行は,上空では機内の気圧が低下するので,狭心症や呼吸困難のある患者では発症後2週間は避けるべきである 36).なお現在では機内にAED

が設置されている. 性生活については,通常の性行為における心拍数上昇は階段昇降レベルに相当するとされ 659),合併症のない安定患者ではいつものパートナーとの性生活は退院7~10日後に可能とされる 36).中等度以上のリスクを有する場合や性行為により症状が出現する場合は,個別に相談し判断する.硝酸薬を投与中の患者または発作時に硝酸薬舌下錠またはスプレーを使用する可能性のある患者

は,勃起不全治療薬のシルデナフィル(バイアグラ)やその他のホスホジエステラーゼ -5阻害薬を使用すべきでない.

③職場における許容範囲

 ほとんどの職業上の身体活動は5METs以下である 646).米国では重い手作業に従事する労働力は全体の15%にすぎないが 627),このグループの患者では,運動負荷試験の結果だけで復職の可否を判定してはならない.なぜなら,通常の運動負荷試験では評価できない重量物運搬,高温,環境ストレスなどの影響を考慮に入れる必要があるからである 646). なお「心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン」658)には以下のように記載されている.「公共交通機関の運転(パイロット,電車,バス)については,冠動脈疾患の既往および疑いのある者の就業は一般的に禁忌である.パイロットに関しては航空身体検査基準により冠血行再建後であっても就業は禁止されており,電車に関しても動力車操縦者運転免許に関する省令において運転に支障がないこととの条件が付けられている.しかしバスやタクシーに関して

表13 冠動脈疾患患者における労働・運動許容条件 (文献659)

強度(METs) 軽い運動(<3METs)

中等度の運動(3.0~6.0METs)

強い運動(≧6.1METs)

軽度リスク(健常人と同様) すべて許容 すべて許容 条件付き許容*1中等度リスク(5METs以下では虚血なし) すべて許容 条件付き許容*2 条件付き許容*3高度リスク(日常生活で虚血・心不全あり) 条件付き許容*3 条件付き許容*4 禁忌

リスク分類は表12にしたがって決定する.*1.運動負荷試験で確認された強度以下はすべて許容.*2. 運動耐容能の60%以下で ,かつ虚血が出現しない強度を許容.*3.運動耐容能または虚血出現の60%以下の強度を許容.*4.専門医の管理下において許可された労働のみ許容.

表12 冠動脈疾患患者のリスク分類(文献659)

軽度リスク(症状が安定し,以下のすべてを満たす)

中等度リスク(症状が安定し,以下のいずれかに該当)

高度リスク(症状が不安定で,以下のいずれかに該当)

NYHAⅠ度 NYHAⅡ度 NYHAⅢ~Ⅳ度

症候限界運動負荷試験 :狭心症,虚血性ST変化,重篤な不整脈ともなし

症候限界運動負荷試験 :5METs以下では狭心痛,ST変化,重篤な不整脈なし

症候限界運動負荷試験 :5METs以下で狭心痛,ST変化,重篤な不整脈を認める

運動耐容能≧10METs* 運動耐容能 :5~10METs* 運動耐容能 :<5METs*

LVEF≧60% LVEF:40~60% LVEF:<40%

心不全症状なし 日常生活で心不全症状はないが, CTR≧55%または軽度肺うっ血あり 日常生活で心不全症状あり

BNP<100pg/ml BNP≧100pg/ml

LMT≧50%および他の主要血管に75%以上狭窄

心停止の既往

*女性患者では低く見積もる必要がある .

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

は,自動車第二種免許に関して免許取得時点での規制はない.」

④職場復帰に関するエビデンス

 職場復帰の予測因子として心機能の影響は弱く,糖尿病,高齢,Q波梗塞,梗塞前狭心症が関連因子である.しかし,患者の心理的因子(確信,仕事の安全性,障害の自覚,改善への期待,心身症の程度など)の方がより強力な因子であるとされる 660)-662).したがって最近の積極的なPCI治療が職場復帰率に好影響を与えるか否かは未確定である 36).なお,復職希望に対してリハビリテーションで適切に対応した患者はより早期に復職したとの報告がある 663).またPAMI-II試験では,明らかに予後リスクが低い患者(70歳未満,LVEF>45%,1枝または2枝病変,PCI成功)に対して2週間後に職場復帰することが許可され,特に悪影響は生じなかったとされる 664).

3 患者と家族に対する心理社会的環境整備

 STEMI患者の15~20%に重症うつ病が発生し,何らかのうつ状態に陥る患者は約半数にのぼる 665).抑うつは患者のQOLを著しく悪化させる 36)ばかりか,長期予後不良にも関係する.すなわちSTEMI後に抑うつを有する患者は,死亡リスクが高い 666).したがって,うつ病,不安,睡眠障害の症状や社会的サポート状態などを含む患者の心理社会的状態を評価することが推奨される 36). また,認知行動療法と選択的セロトニン再取り込み阻害薬の併用により,うつ症状と社会的機能が改善すると報告されており 667),668),退院後1年以内にうつ病を発症したSTEMI患者に推奨される.わが国の成績としては,入院したSTEMI患者の27%が抑うつ傾向を示したが,3ヶ月間の心臓リハビリテーション実施後に抑うつスコアの改善が認められたとの報告がある 636). 抑うつ以外に,社会的孤立(social isolation,配偶者・家族・友人の欠如や独居)も予後不良に関連する 669),670).これまでの研究では,社会的支援と抑うつ管理により生命予後は改善しないが社会的孤立が軽減すること 667),電話訪問・心臓リハビリテーション・グループ活動などが有効であること 671),心臓リハビリテーションプログラムにおける心理社会的介入により死亡率や再発率が改善すること 672),673)が報告されている.不安は入院したSTEMI患者の中では頻度が高いが,退院後に比較的急速に軽減するとされる 674).

Ⅷ 二次予防

 心筋梗塞二次予防に関しては,「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(2006年改訂版)」675)が作成されているので参照されたい.以下に二次予防を目的としたSTEMI患者の退院時の管理指針をまとめる.

1 退院前の患者教育と包括的心臓リハビリテーションプログラム

クラスⅠ1.退院前までに,生活習慣の改善と薬物療法の遵守について教育する.(レベルB)

2.患者本人および家族に対し,狭心症および心筋梗塞の症状を理解し,発症時に適切な行動がとれるよう教育する.(レベルC)

3.患者の家族には,BLS(一次救命法)とAEDの心肺蘇生訓練プログラムを積極的に紹介し,その重要性を説く.(レベルC)

4.包括的心臓リハビリテーションプログラムへの参加を勧める.(レベルC)

 心血管イベントの再発予防のためには,患者自ら生活習慣を改善し,危険因子を修正する努力が必要 676)-678)

である.患者の危険因子に対する薬物治療を開始するだけでなく,服薬指導を徹底し薬物療法遵守の必要性を充分理解させる(表14).食生活の改善や有酸素運動に代表される適度な運動習慣の習得,禁煙,過度な飲酒の制限などの生活習慣の修正には家族の協力が必要で,患者本人のみならず,その家族を含む教育が必要である.また,再発時の対応や心肺蘇生に関する知識や情報の提供も行うべきである. 患者家族の教育,精神的ストレスに関するカウンセリングや職業上の支援を併せて行うのが包括的心臓リハビリテーションプログラムである 626),636),679)-681).包括的心臓リハビリテーションはSTEMIを含めた冠動脈疾患患者の運動耐容能や生活の質(QOL),血清脂質プロファイルを改善し,心血管事故や心血管死亡,総死亡率の低下に有効である 682)-684).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

2 禁煙

クラスⅠ1.全ての患者に,喫煙歴の有無について調査する.(レベルA)

2.喫煙歴のあるSTEMI患者に対して,禁煙と間接禁煙を強く奨励すべきである.薬理学的療法とともにカウンセリングをおこない,禁煙プログラムを勧める.(レベルB)

 喫煙は内皮障害,低HDLコレステロール血症,高ホモシスチン血症,血小板凝集能・凝固能亢進,などを介して動脈硬化進展やACS発症に関係することが知られている 685)-689). 日本人男女約4万人を対象とした10年間のコホート

調査である JPHC研究 690)では,喫煙者の心筋梗塞発症リスクは男性3.64倍,女性2.90倍で,かつ,喫煙本数との用量依存的な関係が認められた.NIPPON DATA80では,1日喫煙量が多いほど心疾患死亡率が高く,1日20本以内の男性喫煙者の年齢調整相対リスクは4.2倍,20本を超えると7.4倍であった 691).一方,禁煙による死亡率の低下も比較的早期に認められ,禁煙1年後からSTEMI患者の死亡率と再梗塞の発症率が減少し 692)-694),15年で非喫煙者のレベルに達するという 695).日本人におけるSTEMI患者の追跡調査であるOACISでも,禁煙1年後より総死亡に対するリスクは低下し,約5年間の長期死亡率が61%低下した 696).二次予防試験のメタ解析 697)でも禁煙により総死亡は36%低下することが確認されている. 受動喫煙の問題も重要で,受動喫煙者は軽喫煙者と同程度に頚動脈硬化を認め,血管内皮依存性血管拡張反応

表14 STEMIの二次予防(クラスⅠ及びこれのない場合 Ⅱaを用い[Ⅱa]と示した)

一般療法

患者教育 ◆生活習慣の改善と薬物療法の遵守◆患者本人および家族が発作時の症状を理解し,適切な対処ができる◆包括的心臓リハビリテーション/二次予防プログラムへの参加

禁煙指導 ◆禁煙

食事療法 血圧管理 ◆塩分摂取量は1日6g未満◆純アルコール摂取量は1日30ml未満◆年齢とリスクに応じて血圧管理目標値を決定する

脂質管理 ◆脂質やコレステロール摂取の制限と適正な飽和脂肪酸の摂取◆ LDLコレステロール値を100mg/dL 未満を目標に管理

体重管理 ◆理想体重の達成・維持(BMI 22kg/m2)するためのカロリー摂取とエネルギー消費バランス◆ウエスト周囲径やBMIを測定し,治療目標を計画するとともに評価を行う

糖尿病管理 ◆糖負荷試験による糖代謝の評価と厳格な血糖管理(HbA1c 6.5%未満)◆食事療法と運動療法によるカロリー摂取とエネルギー消費バランス

運動療法 ◆運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づいて,30分以上の有酸素運動をできれば毎日(少なくとも週3~4回)

薬物療法

抗血小板治療 ◆禁忌がない限り,全症例に発症直後から無期限にアスピリンを投与◆アスピリン禁忌の患者に対するトラピジル(300mg/日)の投与◆少なくともベアメタルステント挿入後は1ヶ月,薬剤溶出ステント挿入後は12ヶ月チクロピジンまたはクロピドグレルを投与

脂質異常症治療 ◆ LDLコレステロール値100mg/dL未満を管理目標にした薬物療法◆高 LDLコレステロール血症患者に対する急性期からのスタチン投与

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬

◆禁忌がない限り,全症例にACE阻害薬を早期から投与◆ LVEF40%以下で症候性心不全を合併する患者に対するACE阻害薬とアルドステロン拮抗薬の長期併用投与

◆ACE阻害薬に認容性がない患者に対するARB投与

β遮断薬 ◆低リスク患者,および禁忌のある患者以外の全症例にβ遮断薬を投与

カルシウム拮抗薬 ◆頻脈性心房細動の脈拍コントロールを目的としたベラパミルまたはジルチアゼム投与[Ⅱa]

ニコランジル ◆安定狭心症を伴う心筋梗塞患者に対するニコランジル(20mg/日)の投与[Ⅱa]

ワルファリン治療 ◆持続性あるいは発作性心房細動を合併症例に対するワルファリン投与◆左室内血栓が画像的に認められた症例に対するワルファリン投与

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急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

の低下,運動耐容能低下,HDLコレステロール低下,LDLコレステロール上昇,血小板凝集能亢進などが証明されている 698).疫学調査研究のメタ解析では,受動喫煙者における冠動脈疾患の相対リスクは非喫煙者に比べて1.25倍(男性1.22,女性1.24)で,喫煙本数と用量依存的関係が認められた 699). 心筋梗塞回復期の患者では,ニコチンガムやニコチンパッチなどの薬理学的療法も禁煙達成に有用である 700)-

702).

3 血圧管理

クラスⅠ1.摂取食塩1日6g未満とする.(レベルA)2.純アルコール摂取量を1日30ml未満とする.(レベルA)

3.体重の管理としてBMIを18.5~24.9の範囲に保つ.(レベルA)4.最大酸素摂取量50%程度の身体活動を行う.(レベルA)

5.65歳以上の高齢者では140/90mmHg未満,若年と中年者では130/85mmHg未満を降圧目標とする.(レベルB)

6.糖尿病,あるいは蛋白尿や慢性腎疾患(血液透析患者を除く)を合併した患者では,130/80mmHg未満を目標とする.(レベルB)

 降圧治療により得られる効果は合併する冠動脈リスクが高いほど大きく,収縮期血圧の降圧効果が大きいほど冠動脈死亡率が低下する 703)-705).STEMI患者の血圧管理は,日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH

2004 706))に準じる.

4 脂質管理

クラスⅠ1.入院後24時間以内に脂質管理のための空腹時採血を実施する.(レベルC)

2.食事療法では,総摂取エネルギー・栄養素配分の適正化,脂質やコレステロール摂取の制限,適正な飽和脂肪酸の摂取を指導する.(レベルA)

3.LDLコレステロール値を100mg/dl未満を目標に管理する.(レベルB)

4.急性期の高LDLコレステロール血症に対して,スタチンを投与する.(レベルB)

 動脈硬化リスクの評価および脂質管理をおこなうためには,過去の記録から脂質プロファイルを入手するか,STEMI発症後24時間以内に採血して評価すべきである.LDLコレステロールを含めた血清脂質値はSTEMI発症後数時間以内から低下し始め,回復するまでに数週間かかるためである 707). 脂質管理においても,生活習慣の改善や食事療法は重要であることはいうまでもない 675)(表14).心筋梗塞二次予防における脂質異常症に対する薬物治療の有効性はすでに確立しており 708)-713),LDLコレステロールを標的とした厳重な脂質管理,治療戦略が必要である.わが国の臨床介入試験や追跡調査の結果でも,厳格な脂質管理の重要性や積極的な脂質低下療法による心血管イベント抑制効果が示されている 714),715).MUSASHI-AMI試験 716)では,STEMI発症後早期のスタチン治療が,有意な冠動脈イベント抑制効果,特に心不全と不安定狭心症の発症予防に有用であることが示唆された. LDLコレステロール低下治療による冠動脈イベント抑制効果は治療前のLDLコレステロールレベルに関わらず,治療後の到達LDLコレステロールレベルと相関することが明らかにされている 717)-719).近年,より積極的LDLコレステロール低下治療が,通常治療に比較して,より臨床的なイベント抑制効果をもたらすこと 720)-722),プラークの進展抑制や退縮効果が得られることが血管内超音波をもちいた試験で確認されている 723)-725).しかし,わが国での十分なエビデンスはなく,日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』726)では,二次予防のLDLコレステロール管理目標値を100mg/dl未満としている. 高トリグリセリド血症や低HDLコレステロール血症の管理も重要で,減量によりトリグリセリド低下やHDLコレステロール上昇を認める.高トリグリセリド血症に対しては節酒・禁酒が必要である.また,禁煙や身体活動の促進によってHDLコレステロール値は上昇する.フィブラート系薬剤による二次予防効果も報告されている 727),728).

5 糖尿病管理

クラスⅠ1.発症直後から厳格な血糖管理を行い,退院するまでに,栄養指導を患者と家族に受講させる.(レベルB)

2.理想体重を達成,維持するために,食事療法と運動療法による,カロリー摂取とエネルギー消費バランスを考慮する(レベルA)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

クラスⅡa

1.糖尿病を合併する患者では,ヘモグロビンA1C(HbA1C)6.5%未満を目標に管理する.(レベルB)2.STEMI患者では,糖負荷試験によって,積極的に糖代謝を評価する.(レベルB)

 現在,わが国で実施されている2型糖尿病患者を対象とした大規模臨床介入試験である Japan Diabetes

Complications Study(JDCS)の8年次の中間報告では,糖尿病患者における冠動脈疾患の発症率(/1,000人・年)は男性10.6,女性6.8で,近年の久山町研究の結果(男性3.48,女性1.81)と比べて男女ともに高い.また,耐糖能異常および食後高血糖を示す患者は冠動脈疾患発症率も高く,長期予後も不良である 656),729). STEMI発症直後からの血糖コントロールは重要で,インスリンを用いた急性期からの積極的血糖管理によって,院内死亡や1年後の死亡率は有意に低下する 730),

731).UKPDS 35732)では,HbA1Cのコントロールと心筋梗塞の発症率が相関し,HbA1Cを1%低下させることで,心筋梗塞の発症リスクを14%低下させうる可能性が示されている.また,耐糖能異常の改善による心血管イベントの発症リスクの低下 733)や,冠動脈疾患を合併する2型糖尿病患者に対するインスリン抵抗性改善薬による二次予防効果も報告されている 734).慢性の冠動脈疾患での厳格な血糖コントロールが予後を改善するかについては,いまだ十分なエビデンスがないが,少なくともHbA1Cを6.5%未満に管理することが望ましい.また,診断されていない多くの耐糖能異常の患者を検出することも重要である.

6 体重管理

クラスⅠ1.ウエスト周囲径(臍上)や肥満指数(BMI)をモニターする習慣を確立し,治療計画に役立てる.(レベルB)

2.BMIは18.5-24.9の範囲に保ち,理想体重(BMI 22相当)を達成,維持するために,カロリー摂取とエネルギー消費バランスを考慮する.(レベルA)

3.包括的心臓リハビリテーションとして,体重管理と身体活動に関する適切な指導をする.(レベルC)

 肥満は動脈硬化リスクを増加させる.メタボリックシンドロームの重要な要素である内臓肥満(内臓脂肪蓄積)は,動脈硬化惹起性脂質異常,インスリン抵抗性や耐糖

能異常,高血圧,炎症促進状態や血栓促進状態などの病態を介して動脈硬化を促進する結果,ACSをはじめとする冠動脈イベントの発症リスクを増加させる 735)-737).

7 身体活動

クラスⅠ1.運動処方の決定およびリスクを評価するために,心肺運動負荷試験を実施することが推奨される.(レベルB)

2.心肺運動負荷試験によるリスク評価と運動処方に基づき,30分以上の有酸素運動(ウォーキング,ジョギング,自転車など)をできれば毎日(少なくとも週3~4回)行う.(レベルB)

3.退院後の身体活動許容範囲を明らかにするために,すべての患者に心臓リハビリテーション /二次予防プログラムへの参加を勧める.(レベルC)

 身体活動レベルが低い集団において冠動脈疾患や心血管疾患の発症率が増加する 738),739)一方,心筋梗塞発症後に身体活動レベルを増加させることで,総死亡や再梗塞の発症率が低下することが報告されている 740).その理由としては,プラーク安定化,心室細動閾値の上昇,冠予備能改善による心筋虚血閾値の上昇などが考えられている 741),742).運動療法には,高血圧治療と予防の目的もあり,最大酸素摂取量の50%程度の軽い身体活動が推奨される.1日30分程度,少なくとも週に3,4回,できれば毎日実施することが望ましい.

8 抗血小板治療

クラスⅠ1.アスピリン(81~162mg/日)を発症直後から可能な限り継続投与する.(レベルA)

2.アスピリン禁忌の患者には,チクロピジン(200mg/

日)またはクロピドグレル(75mg/日)を使用する.(レベルC)3.ベアメタルステント挿入後は少なくとも1ヶ月間のチクロピジン(200mg/日)またはクロピドグレル(75mg/日)を投与する.薬剤溶出ステント挿入後は少なくとも12ヶ月間投与し,出血リスクの高くない患者やステント血栓症のハイリスク群では可能な限り投与を継続する.(レベルB)

クラスⅡa

1.アスピリンが禁忌の患者には,トラピジル(300mg/

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1407Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

日)を使用する.(レベルB)2.低用量アスピリン(81~162mg/日)とジピリダモール(150mg/日),チクロピジン(200mg/日)またはクロピドグレル(75mg/日)を併用する.(レベルB)

クラスⅢ1.ジピリダモール単独投与.(レベルB)2.イブプロフェンとアスピリンの併用.(レベルC)3.消化性潰瘍,重篤な血液異常,アスピリン喘息や過敏症の患者における,アスピリンの使用.(レベルC)

 抗血小板薬としては,わが国で既に承認されているアスピリン,ジピリダモール,チクロピジン,クロピドグレル,シロスタゾール,トラピジルの他に,血小板膜糖タンパク(GP)Ⅱb/Ⅲa受容体拮抗薬(日本未発売)などがあり,いずれも異なる作用機序により抗血小板作用を発揮する. ISIS-2試験 121)により,STEMI発症直後からのアスピリン(160mg/日)投与が,35日後の冠動脈死や非致死的心筋梗塞の再発を予防することが始めて報告され,その後10年間にわたる長期追跡観察調査でも総死亡を抑制していることが示された 743).287の無作為比較臨床試験のメタ解析をおこなったAntithrombotic Trialists’

Collaboration(ATC)744)では,主としてアスピリンを用いた抗血小板治療が,STEMI患者における1ヶ月後の非致死的心筋梗塞や脳卒中,心血管死亡の複合心血管事故を30%低下させた.また,陳旧性心筋梗塞患者に対しても,27ヶ月後までの複合心血管事故が25%減少していることを明らかにし,アスピリンの長期二次予防効果が証明された.また,1日用量75~150mgのアスピリン使用は,高用量と同等の効果を示した.少数の試験でチクロピジンやクロピドグレルの有効性も明らかにされているが,アスピリンとジピリダモールの併用効果については有意差が認められなかった. わが国では,JAMIS127)により,発症後1ヶ月以内のSTEMI患者に対するアスピリン81mg/日の投与が,心筋梗塞の再発を有意に抑制することが示された.トラピジル300mg/日の投与も再発抑制効果を示す傾向を認めた.また,JMIC-M745)では,陳旧性心筋梗塞が対象ではあるが,トラピジルの冠動脈イベント抑制効果が同様に報告されている. クロピドグレルは,欧米で冠動脈ステント留置術後に広く使用されている.近年,STEMIに対してクロピドグレルを用いた2つの大規模臨床試験が報告された 746),

747).急性期からのクロピドグレルとアスピリンの併用

は,アスピリン単独と比較しても有害事象の増加なしに,治療開始約1ヶ月後の冠動脈死亡,心筋梗塞の再発および脳卒中の複合イベント発症を有意に抑制し,アスピリンとの併用療法の安全性と有効性が証明された.また,ACC/AHA/SCAIガイドライン 748)および米国FDA749)では,薬剤溶出ステント挿入後の超遅発性ステント血栓予防のため,出血リスクの低い患者に対してはアスピリンに加えて少なくとも12ヶ月間のクロピドグレル併用投与を推奨している.しかし,ステント血栓を予防するための至適投与期間を決定するだけの十分なエビデンスはまだない.

9 β遮断薬

クラスⅠ1.低リスク*以外の患者にはβ遮断薬を投与する.少なくとも2-3日以内に開始し可能な限り継続する.(レベルA)

(低リスク*:再灌流治療に成功し,重篤な心室性不整脈はなく,心機能がほぼ正常)

2.中等度,あるいは重篤な左室機能不全を有する患者には,徐々に増量しながらβ遮断薬を投与する.(レベルB)

クラスⅡa

1.低リスク*のSTEMI患者にβ遮断薬を投与する.(レベルA)

クラスⅢ1.冠攣縮の関与が明らかな患者に対するβ遮断薬の投与.(レベルC)

 STEMIに対するβ遮断薬投与は,急性期死亡の減少と慢性期の合併症抑制のいずれにも有効である.アスピリンや血栓溶解療法が広く普及する以前,プロプラノロールがSTEMIの院内死亡率を大幅に低下させることが示され 750),欧米の大規模臨床試験 751)-753)や,大規模臨床試験のメタ解析 136),754)の結果から,STEMI患者に対するβ遮断薬の短期および長期予後改善効果が立証された.心筋梗塞発症直後にβ遮断薬の投与を開始することが梗塞サイズを縮小させ,慢性期の合併症発生率と再梗塞発生率を減少させると考えられる 755).また,ACE阻害薬同様に心室リモデリング抑制効果も報告されている 756). 本邦における無作為割付臨床試験の報告はないが,心筋梗塞患者の後ろ向き調査結果から,β遮断薬の二次予防効果が欧米同等に認められている 757),758).しかし,虚

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

血性イベント発症に冠攣縮の関与が欧米に比べて多い本邦においては,β遮断薬は冠攣縮を増悪させる危険性もある 29).JBCMI759)では,STEMI患者に対する冠動脈死亡や再梗塞の発症率は,カルシウム拮抗薬とβ遮断薬で同様であったが,心不全および冠攣縮の発症率がβ遮断薬治療群で有意に高率だった.したがって,わが国におけるβ遮断薬の投与は,少なくとも冠攣縮が明らかに虚血イベントに関与していると考えられる症例には使用すべきではない. 近年の臨床試験で,非選択性β遮断薬でα1受容体遮断作用を併せ持つカルベジロールの有効性が,特に慢性心不全に対する予後改善効果を中心に確認されている 760),

761).本邦でもMUCHA試験において,欧米より低用量で用量依存性に慢性心不全患者に対する予後改善効果を示すことが報告されている 762).また,CAPRICORN試験は,LVEF40%以下の心筋梗塞患者に対するカルベジロールの有効性を初めて立証した 763),764).

10 カルシウム拮抗薬

クラスⅡa

1.β遮断薬が禁忌または忍容性が不良で,左室機能不全やうっ血性心不全,房室ブロックのない患者に対する,心筋虚血の軽減,または頻脈性心房細動の脈拍コントロールを目的としたベラパミルまたはジルチアゼムの投与.(レベルB)

2.他の薬物でコントロールができない狭心症または高血圧症に対して,長時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を使用する.(レベルB)

クラスⅢ1.発症後早期の短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬投与.(レベルA)

 心筋梗塞二次予防におけるカルシウム拮抗薬の使用は,血圧管理や狭心症が他の薬剤でコントロールできない場合に限られる.臨床比較試験 765)-769)やメタ解析 770),

771)の結果において,心筋梗塞発症早期での短時間作用型カルシウム拮抗薬投与による総死亡低下に対する有効性が確認されなかったためである.わが国の臨床試験 772)でも,STEMI後患者に対する短時間作用型カルシウム拮抗薬の投与は複合心血管イベントを増加させる傾向にあった.交感神経の反射活性化,頻脈,低血圧の発現から心筋虚血を誘発する可能性があるため,STEMI

患者への短時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬投与は通常禁忌である.

 一方,心拍低下型のカルシウム拮抗薬(ベラパミルやジルチアゼム)を用いた二次予防試験 773)-778)では,有意な有害事象の増加なしに,心血管イベント抑制効果が確認されている.左室機能が保持されている心筋梗塞や非Q波心筋梗塞の症例でβ遮断薬が使用できない場合には,ベラパミルやジルチアゼムの使用することができる. 少なくとも血行再建を実施し,血行動態が安定しているSTEMI患者において,他の薬剤で不十分な降圧が得られない場合には,長時間作用型カルシウム拮抗薬を投与してもよい.

11 硝酸薬(ニコランジルを含む)

クラスⅡa

安定狭心症を伴う心筋梗塞患者に対しニコランジルを投与する.(レベルB)

 心筋梗塞二次予防ガイドライン(2006年改訂版)675)では,虚血発作や心不全のない心筋梗塞の慢性期患者に対する硝酸薬(長時間作用型)の長期間持続投与はクラスⅢとした.大規模試験において有効とするエビデンスがなく,無効であるとする2つの試験があり 117),118),有害かもしれないことを示唆する本邦の観察研究を考慮して決定されが,観察研究のみでクラスⅢを規定するのは時期尚早とする意見もあったことが詳細に述べられている.現段階では,長期的な硝酸薬投与が心筋梗塞の予後を悪化させるというエビデンスはなく,本邦の多施設観察研究である JCAD試験 779)では,硝酸薬の長期投与は少なくとも心筋梗塞患者の予後を悪化させることはなく,むしろ改善する傾向を示した.よって,本ガイドラインではあえてクラスⅢとして取り上げない立場をとることにした. ニコランジルに関しては,J-WIND試験 233)で静脈内投与による急性期の心筋保護効果は示されなかったものの,20mg1日2回経口投与による IONA試験のサブグループ解析 780)において,安定狭心症を伴う陳旧性心筋梗塞患者の心血管イベントを有意に抑制した.

12 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬

クラスⅠ1.禁忌がなければ,ACE阻害薬を,早期に開始し可能な限り継続する.(レベルA)

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1409Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008

急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン

2.すでにACE阻害薬が投与されており,LVEFが40%以下で症候性心不全または糖尿病を合併する患者には,禁忌がない限り,アルドステロン拮抗薬を使用する.(レベルA)

3.LVEFが40%以下で,臨床的あるいは胸部X線上で心不全の徴候があるが,ACE阻害薬に忍容性がない患者には,ARBを使用する.(レベルB)

クラスⅡa

1.LVEFが40%以下で,臨床的あるいは胸部X線で心不全の徴候がある患者に対し,ACE阻害薬の代用としてARBを使用する.(レベルB)

クラスⅡb

1.LVEF40%以下で,症候性の慢性心不全を有する患者の長期管理には,ACE阻害薬とARBの併用を考慮する.(レベルB)

 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の心筋梗塞二次予防効果の重要な機序としては,左室リモデリング抑制 781)および,神経体液性因子の抑制やプラーク安定化 782)が考えられる. STEMI発症後36時間以内の超急性期からACE阻害薬の経口投与を開始し,観察期間が4-6週間の短期試験 783)-785),および,発症後数日から10日でACE阻害薬の経口投与を開始し,1年以上の観察期間で実施された長期試験 358)-360)は,ともにその安全性と総死亡,および心臓死,突然死,心不全発症に対する抑制効果が証明されている.また,対象者のほとんどは左室駆出分画率(LVEF)40%以下であり,メタ解析の結果でも,低左心機能患者(LVEF≦40%)に対する有意な総死亡,心臓死に対する抑制効果が認められている 786).わが国における臨床試験は少なく,JAMP研究 787)では,ACE阻害薬による複合心血管イベント抑制効果は実証されなかった. アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)はACE阻害薬と同様に,左室リモデリング抑制効果や,アンジオテンシンⅡによる炎症性サイトカイン生成を抑制し,抗炎症作用を有することが明らかにされている. 心不全を合併したSTEMI患者(LVEF≦35%)を対象に,ARBとACE阻害薬の効果を比較した大規模臨床試験では,両薬剤の総死亡に対する抑制効果は同等で,有意差を認めなかった 361),788).一方,ACE阻害薬とARB

の併用投与がACE阻害薬単独投与よりも心不全入院を減少させる可能性も示唆されている 789).したがって,何らかの理由でACE阻害薬が使用できない場合には,ARBを代替治療として選択可能である.また,ACE阻

害薬およびARBには新規糖尿病発生予防効果 790)や心房細動発症予防効果 791)も同等に認められる. STEMIの急性期以降に生ずるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化によって,アンジオテンシンⅡのみならず,心臓局所のアルドステロン産生が心筋線維化に関与していると考えられている.これに対して,ACE阻害薬とスピロノラクトンの併用投与が左室リモデリング抑制に有効であることが報告されている 792)-794). LVEF35%以下で,ACE阻害薬および利尿薬治療をすでに実施している心不全患者を対象としたRALES795)

は,スピロノラクトン25mgの追加投与が総死亡を30%,心不全増悪による入院を35%それぞれ有意に低下させた.さらにLVEF40%以下の左室機能障害,または心不全合併を伴うSTEMIを対象としたEPHESUSでは,アルドステロン拮抗薬のエプレレノン(本邦では高血圧症治療薬として認可)追加投与が全死亡に対して30日目から抑制効果を示し,16ヶ月後には有意な効果を認めている 363),796).したがって,特に心不全合併または左室機能が低下した症例において,腎機能および血清K値に注意したうえで,ACE阻害薬またはARB投与に加えてアルドステロン拮抗薬を投与することが望ましい.

13 ワルファリン治療

クラスⅠ1.持続性あるいは発作性心房細動を合併する患者に対するワルファリン投与.(レベルA)

2.画像診断にて左室内血栓を認める患者に対して,ワルファリンを少なくとも3ヶ月間,出血リスクが少なければ可能な限り継続使用する.(レベルC)

クラスⅡa

1.左室機能障害と広範な局所壁運動異常,および左室瘤を有する患者にワルファリンを投与することは妥当である.(レベルA)

クラスⅡb

1.うっ血性心不全の有無に関わらず,重篤な左室機能障害のある患者には,アスピリンとワルファリンの併用投与を考慮してもよい.(レベルC)

 再灌流療法が施行される以前の1980年代までは,STEMI患者に対するワルファリン経口投与が総死亡や心筋梗塞の再発率を低下させ,脳卒中や肺塞栓の予防にも有用であることが報告されていた.一方,出血性合併症が問題となり,アスピリンの二次予防効果が確立する

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007 年度合同研究班報告)

とともに,ワルファリン単独投与またはアスピリンとの併用投与による安全性と有用性が多くの臨床試験で検討された 797),798).1960年から1999年までに実施された臨床試験のメタ解析の結果 799)では,プロトロンビンテスト国際標準比(PT-INR)を2以上にコントロールした場合には,心筋梗塞の再発および脳卒中のリスクを有意に低下させたが,出血性合併症のリスクは6~7倍と高率だった.現在まで,ワルファリン単独またはアスピリン併用投与は出血性合併症のリスクが高く,二次予防において,アスピリン単独投与を上回る安全性と有効性が立証されていない 800)-802). 再灌流療法および急性期にPCIが施行され,アスピリンやチクロピジンおよびクロピドグレルの有効性が確立している現在,STEMI患者に対するワルファリンの投与は限られる.すなわち,画像診断にて左室内血栓を認める患者や,持続性あるいは発作性心房細動を合併する患者に限ってワルファリンが用いられる.

14 一次予防について

 心筋梗塞を含めた虚血性心疾患の一次予防については,「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2006年改訂版)」に詳述されている.このガイドラインにおいては望ましい生活習慣として受動喫煙も含めた完全な禁煙,中等度以上の運動の継続,適切な栄養摂取,体重のコントロール,過度のストレスおよびタイプA行動の回避が挙げられるとともに,糖尿病・高脂血症・高血圧といった危険因子の管理目標が定められている.また,薬物治療としてアスピリンの適応・有効性について述べられている. 最近,日本人におけるスタチンの一次予防効果に関する研究結果が集積されており,高度高脂血症患者を対象としたKLIS803)およびLISK804)試験,PATE試験 805)また中等度高脂血症患者を対象としたMEGA試験 806)などにより,本邦においてもスタチンの投与が一次予防に有効であることが証明されつつある.また,イコサペント酸のスタチンとの併用も有用とされる(JELIS試験 807)).

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