synyster gates - 激ロック · 2013. 8. 9. · synyster gates (gt) インタビュアー:kaoru...

1
A7Xの若きギター・ヒーロー、Synyster Gatesが語る 『Hail To The King』の魅力とは!? 本当に精魂込めて“音楽”というものを作った メンバーみんなのその姿勢がすごく誇りに思えるんだ 重要だったのはビッグなリフを作ること 聴いた人の心に残るアイコニックなリフと、分厚いドラミングが欲しかった Synyster Gates 1番集中していたと思う。1日に6曲作って、また別の日に6曲作ったわけじゃないんだ。本当に 精魂込めて“音楽”というものを作った。メンバーみんなのその姿勢がすごく誇りに思えるんだ。 このアルバムは達成感がある。今までにないシリアスなサウンドに取り組むことが出来た。ふざ けたところがないんだ。ブルージーで、これが今の俺にはカッコいいと思えるんだ。 -バンドが結成されて14年、バンド全体はもちろん、あなたはヴォーカリストとして素晴らし い成長を遂げていますね。あなたに憧れる若いヴォーカリストに、何かアドバイスをお願いし ます。 ファルセットは自分が1番不得意なヴォーカル・ワークだから、高い音のメロディを書いた時、 本当に苦労して歌っていた。1番パワーが出せるメロディを作ることで、更に魅力を発揮出来る から、そうするべきだと俺もわかって、みんなにアドバイスできる。このアルバムはそうしたパワ フルなヴォーカルで成り立っている。高い音とか考えずに、やりたい音域で作ったんだ。いい結果 が出せたと思うよ。このアルバムで歌うのは大変じゃなかったけど、その分ヴォーカル・メロディ を作るのが大変だったな。 -今年いっぱいツアーの予定がぎっしりですが、長いツアー生活における必需品があったら教えて ください。 昨年息子が生まれたから、ツアーには連れて行こうと思う。離れて暮らすなんて考えられないくらい かわいいんだ。あとはコーヒーだな。ずっと飲んでるよ。ツアー中はあまり会話はしない、イン タビューはしない、水分補給と睡眠を取ることも心がけているんだ。睡眠、水、会話は控える。 これだよ。 -ありがとうございました。また日本でライヴが観れるのを楽しみにしています! 早く日本に行きたいよ。このアルバムで2~3回は行きたいな。まだいつになるかわからないけど、 多分来年早々には! → いっていう考えがあるから、そこからもっと良いもの、もっと面白いものってパズルを作るよう に考えているんだ。そうすると、意外とみんな気に入ってくれることがわかる。誰かが“これは どう?”ってアイディアをぶつけて、誰も気に入らないと“はい、次!”って、もう次のことに移って いるんだ。みんな友達だから、アルバム制作の前に必ず話し合いをする。何も個人的に受け取るな、 作品作りに集中しようなって励まし合うんだ。 -『Nightmare』の次にこの『Hail To The King』という作品が出来たことは、とても納得出 来ると同時に、例えばA7Xをスターダムに押し上げた『City Of Evil』のようなキャッチーな作 品を作るということも出来たのではないかと思います。しかしA7Xはそういうことはしなかった。 それがバンドにとって自然であったということでしょうか? 若い頃は、自分たちはうまい、テクニカルなことが出来るんだぞって証明しないといけないような 気持ちがあったと思う。でも年を取ると、自分がクールで野心的だと思っていたことが、いつしか、 そうでもないって気付いたりもする。だからね、自分に正直でいるためには、その時々で、何が良 い曲なのか、何が素晴らしい音楽なのかって感じないといけないと思うんだ。32歳になった今、 自分たちがここまで進化したのは、これが自分たちのやりたい音楽だからなんだと思う。例えば、 やっと今になってAC/DCがかっこいい曲を作るってわかったけど、18歳の時にAC/DCを聴いた 時は全然魅力を感じなかった。その時はメロディックなパワー・メタルがかっこいいと思ったから、 俺たちはそれを目指した。でも今は、グルーヴ感とか、良い作品とは何かって考えて作ることが 多い。成長しただけだと思うよ。15歳のキッズはそんなこと聴きたくないと思う。でもそれが現実 だよ。自分が15才の時もそうだったからね。成長と共に、音楽のテイストや見方、聴き方が変わって くるんだよ。だから作り方も変わってくるんだ。 -『Hail To The King』は、メタル・アルバムという括りに留まることのない、ロック・アルバムの 名作だと思います。あなたにとってこのアルバムは、バンドにとって、また、あなた個人において、 どのような意味合いを持つ作品ですか? すごく大きな意味があるんだ。1つのアイディアを忠実に作品にしたと言う意味では、これまでで Synyster Gates (Gt) インタビュアー:KAORU Interpreter:Rei Shishido -約3年半ぶりの新作『Hail To The King』リリースおめでとうございます! どうもありがとう!!!気分はいいよ!結構長い時間がかかっちゃったけど、アルバムを世に送り出す 準備ができたよ! -アルバム制作にはいつ頃から取り掛かりましたか?どれくらいの期間を要しましたか? 取り掛かったのは去年の9月の終わり頃だ。だから結構前なんだよ。1月頃に決めかけていたレ コーディングの時期を実は2、3回見送っているんだ。スケジュールが合わなくってね。それでスタ ジオに入ったのは4月になっちゃった。今回のアルバムには新しい哲学の元に作ったんだ。適当に はしたくなかったから時間がたくさんかかったことは良いことだ。俺も良いものを作るためにでき るだけたくさん曲を書きたかったしね! -レコーディングはどのような環境の元で行われましたか? Mike Elizondoのスタジオだよ。かつて彼がかの有名なDr.Dreや2 PACのアルバムをレコー ディングしたのと同じスタジオさ。なかなかいいだろ(笑)。 -これまでのA7Xの作品のどれとも違う趣で、非常にコンセプチュアルな内容だと思ったのですが、 それについてはいかがですか? そうだね、アルバムの出来については満足していてリリースに向けて期待も大きい。でもコンセプト・ アルバムってわけではないなぁ……。歌詞についてというより音的にコンセプトっぽいかなぁ。 今回は大きくてダイナミックな音を作ることをとても重要視したんだ。つまり曲作りに集中したんだ。 俺たちが1つのチームとなって作りえる最高の音を見つけたかった。だからみんなが納得するまで 何度も努力を重ねたよ。 -今作におけるギターのフレーズの付け方、弾き方について特に意識したことは? より強いメロディを作り出すように意識した。1番重要だったのはビッグなリフを作ることだ。 俺たちのサウンドだと言えるような聴いた者の心に残るようなアイコニックなリフと、分厚いドラ ミングがほしかった。Arinのドラムはまさにぴったりだった。彼の力強いドラミングが音をより 迫力あるものにしてくれたんだ。 -ZackyとSynysterのツイン・ギターの絡みは相変わらず素晴らしいですね!ギターのレコー ディングは順調でしたか? どうもありがとう!!俺はHELLWINっていうアンプを作ったんだ。知ってるかい?デザインする のに2年もかかった。素晴らしいアンプさ。リズム・ギターもソロも、レコーディングにはすべて このシリーズを使ったよ。自分のアンプが作れたなんてとても誇らしいし、素晴らしいことだ。 ギターのレコーディングについてだけどZackyと俺はスタジオに入って、情熱的になれたよ。 チームとしての一体感もあったし計画通りの運びとなったよ。 -また、この機会に教えてほしいのですが、2人のギター・フレーズはどのような過程で決まって いくのですか?お互いの押し引きの加減が重要だと思うのですが。 基本的には、俺たちはスタジオに入って、とにかくまずお互いギターを弾いてみるかなぁ。そこで、 お互いのいわんとすることを、つまりは表現しようとしていることをお互いがきちんと確実に理解 し合っていることが大事だから、なんとか確かめるね。まぁだいたいのソロは俺が書いて、彼は リード・パートを書くことが多いかな。もっとも大切なのは……あ、そうだ、そこには俺らだけじゃ なくてメンバーもプロデューサーも必ず全員がいるんだ。全員が関わりあっているから、すべての ソロは俺だけではなくてみんなの力で作ったものなんだ。アルバムのダイナミックなところも繊細 なディテールも、すべてみんながチームになって一緒に作りあげたものなんだ。基本的にすべて 重要だ。どんな小さなパートも誰かひとりで作ったところなんてない。このアルバムのすべての ステップやその過程において全員が関わっているんだ。 -リズム隊とヴォーカルのレコーディングはどうでしたか?上のことと同じようなことが言えるの かと予想しますが……。 その通りだね!歌詞はほとんどShadowsが書いてるんだけど、それでもまるっきり全部ではない。 俺らはよく手伝うよ。彼もよく俺たちに訊いてくるんだ。“伝えたいメッセージがあるんだけど、 それをどうやって言葉にしたらいいかな?”とか、言葉のチョイスとかたまに文法も、いろいろな 質問を受けるよ。だからメンバー間の力の入れ具合や負担なんかはかなりフェアに分散されて いるんだよ。 -『Hail To The King』はアルバム全体を聴くことに非常に意味があると思いますが、Track.5 「Requiem」は特に印象的でした。コーラスは何と歌っているのですか? わぁそれはどうもありがとう!!この曲はレクイエム、死者の冥福を祈る哀歌について書かれた曲 だ。ヘヴィ・メタル・バージョンのミニチュア・シンフォニーかな。短いクラシック音楽。オーケス トレーションのように曲を作りたかったんだ。この曲に出てくる弦楽器なんかのオーケストラの 音作りはDavidっていう人が手伝ってくれたんだ。彼が俺たちのやりたいことを理解して実現さ せてくれた。それらをすべて合わせることによってこの曲ができたんだ。俺たちが今まで作ってきた 曲の中でも特にユニークな曲になったと思っているよ。イカす曲だよ!そんなこと言ってるけど、 俺が書いたんじゃないんだよな(笑)。ちなみにコーラスは英語だよ。何度も繰り返されている 言葉は“In flames”だよ。 -タイトル・ソング「Hail To The King」はMVを撮りましたか?どのようなMVになりそうですか? うん、まだできてないけど。今編集中かな。もっとたくさん作りたいけどそんなお金はもうないよ。 MVを1本作るのにすごくお金が掛かるからね。俺も監督をやって儲けたいくらいだよ。 -Shadowsにも同じことを聴いたのですが、あなたは『Nightmare』がリリースされた時点で は、正式なドラマーを迎える準備が出来ていないと言っていました。今の正式なメンバーはArin Ilejayですか?また、彼を迎えたことによって精神的な変化はありましたか?彼のドラムは去年の 来日公演で観ましたが、素晴らしいドラマーですよね。 正式なメンバーだとは言わないけど、俺たちは全員彼のことが好きだ。彼は才能のあるドラマー だしすごくいいやつだ。だから絶対に出ていけって言ったりはしないけど、もし彼が去りたいなら 去るべきだし、もし一緒に俺たちとこの旅を続けるっていえば歓迎するよ。彼はすごいドラマーだ。 「This Means War」って曲のパートとか最高だ。そんなに速いドラムの曲は少ないけど、これは すごくかっこいいだろ。俺の中では特に好きな曲なんだ。彼はとても素晴らしいよ。 -プロデューサーは、前作と同じくMike Elizondoが手がけていますが、彼のプロデュースのどの ようなところが気に入っていますか? 彼は素晴らしい人だよ!信じられないような才能にあふれていてとても良い影響を与えてくれる。 人格者だし、仕事も素晴らしい。彼は“1人じゃそこまでやらないだろう”ってところまで俺たちを 引っ張ってくれるんだ。完璧だね。 -これから『Hail To The King』に伴う長いツアーが決定していますが、どのような内容のライヴ になりそうですか? 楽しみにしているよ、俺たちはツアーのためにお金を全部つぎ込んでるよ。いっつもそうなんだ。 ツアーのためにお金を使いすぎてしまう。今回もそうなるだろうな(笑)。楽しみにしていてくれ! -これまでA7Xは世界中の様々なところでライヴを行っていますが、今でも特に印象に残っている ライヴがあったら教えてください。 1つと言われれば難しいけど……日本でのライヴは全部覚えてるよ!他の国のライヴと日本のライ ヴとでの絶対的な違いが何か知ってるかい?日本のオーディエンスは曲と曲の間に絶対的に沈黙 するんだ。俺たちがその間にしゃべることをよく聞いている、そして10秒後、曲が始まった途端彼 らはクレイジーになる!毎回ものすごく盛り上がる。それってとてもクールというか特別だと思う んだ。他のどの国でもこんなことはないよ。日本人からは絶対的なバンドへのリスペクトを感じる。 すごいよね。 -バンドが結成して14年ですが、10年後、20年後のA7Xはどんなバンドになっている、または、 なりたいと考えますか? まず年をとって、髪の毛が減ってるだろうな。それからちょっとグランピー(老人によく使う形容詞、 気難しいとか不機嫌なという意味)になってるだろう。だけど、俺たちはまだロックしてるだろうし、 日本にも来るよ! -最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。 日本に行くのを待てないよ!!長い間のサポートを本当にどうもありがとう!!!アリガトゴザイマス!!!

Upload: others

Post on 24-Apr-2021

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: Synyster Gates - 激ロック · 2013. 8. 9. · Synyster Gates (Gt) インタビュアー:KAORU Interpreter:Rei Shishido -約3年半ぶりの新作『Hail To The King』リリースおめでとうございます!

A7Xの若きギター・ヒーロー、Synyster Gatesが語る『Hail To The King』の魅力とは!?

本当に精魂込めて“音楽”というものを作ったメンバーみんなのその姿勢がすごく誇りに思えるんだ

重要だったのはビッグなリフを作ること聴いた人の心に残るアイコニックなリフと、分厚いドラミングが欲しかった

Synyster Gates

1番集中していたと思う。1日に6曲作って、また別の日に6曲作ったわけじゃないんだ。本当に精魂込めて“音楽”というものを作った。メンバーみんなのその姿勢がすごく誇りに思えるんだ。このアルバムは達成感がある。今までにないシリアスなサウンドに取り組むことが出来た。ふざけたところがないんだ。ブルージーで、これが今の俺にはカッコいいと思えるんだ。

-バンドが結成されて14年、バンド全体はもちろん、あなたはヴォーカリストとして素晴らしい成長を遂げていますね。あなたに憧れる若いヴォーカリストに、何かアドバイスをお願いします。

ファルセットは自分が1番不得意なヴォーカル・ワークだから、高い音のメロディを書いた時、本当に苦労して歌っていた。1番パワーが出せるメロディを作ることで、更に魅力を発揮出来るから、そうするべきだと俺もわかって、みんなにアドバイスできる。このアルバムはそうしたパワフルなヴォーカルで成り立っている。高い音とか考えずに、やりたい音域で作ったんだ。いい結果が出せたと思うよ。このアルバムで歌うのは大変じゃなかったけど、その分ヴォーカル・メロディを作るのが大変だったな。

-今年いっぱいツアーの予定がぎっしりですが、長いツアー生活における必需品があったら教えてください。

昨年息子が生まれたから、ツアーには連れて行こうと思う。離れて暮らすなんて考えられないくらいかわいいんだ。あとはコーヒーだな。ずっと飲んでるよ。ツアー中はあまり会話はしない、インタビューはしない、水分補給と睡眠を取ることも心がけているんだ。睡眠、水、会話は控える。これだよ。

-ありがとうございました。また日本でライヴが観れるのを楽しみにしています!

早く日本に行きたいよ。このアルバムで2~3回は行きたいな。まだいつになるかわからないけど、多分来年早々には!

→ いっていう考えがあるから、そこからもっと良いもの、もっと面白いものってパズルを作るように考えているんだ。そうすると、意外とみんな気に入ってくれることがわかる。誰かが“これはどう?”ってアイディアをぶつけて、誰も気に入らないと“はい、次!”って、もう次のことに移っているんだ。みんな友達だから、アルバム制作の前に必ず話し合いをする。何も個人的に受け取るな、作品作りに集中しようなって励まし合うんだ。

-『Nightmare』の次にこの『Hail To The King』という作品が出来たことは、とても納得出来ると同時に、例えばA7Xをスターダムに押し上げた『City Of Evil』のようなキャッチーな作品を作るということも出来たのではないかと思います。しかしA7Xはそういうことはしなかった。それがバンドにとって自然であったということでしょうか?

若い頃は、自分たちはうまい、テクニカルなことが出来るんだぞって証明しないといけないような気持ちがあったと思う。でも年を取ると、自分がクールで野心的だと思っていたことが、いつしか、そうでもないって気付いたりもする。だからね、自分に正直でいるためには、その時々で、何が良い曲なのか、何が素晴らしい音楽なのかって感じないといけないと思うんだ。32歳になった今、自分たちがここまで進化したのは、これが自分たちのやりたい音楽だからなんだと思う。例えば、やっと今になってAC/DCがかっこいい曲を作るってわかったけど、18歳の時にAC/DCを聴いた時は全然魅力を感じなかった。その時はメロディックなパワー・メタルがかっこいいと思ったから、俺たちはそれを目指した。でも今は、グルーヴ感とか、良い作品とは何かって考えて作ることが多い。成長しただけだと思うよ。15歳のキッズはそんなこと聴きたくないと思う。でもそれが現実だよ。自分が15才の時もそうだったからね。成長と共に、音楽のテイストや見方、聴き方が変わってくるんだよ。だから作り方も変わってくるんだ。

-『Hail To The King』は、メタル・アルバムという括りに留まることのない、ロック・アルバムの名作だと思います。あなたにとってこのアルバムは、バンドにとって、また、あなた個人において、どのような意味合いを持つ作品ですか?

すごく大きな意味があるんだ。1つのアイディアを忠実に作品にしたと言う意味では、これまでで

Synyster Gates (Gt) インタビュアー:KAORU Interpreter:Rei Shishido

-約3年半ぶりの新作『Hail To The King』リリースおめでとうございます!

どうもありがとう!!!気分はいいよ!結構長い時間がかかっちゃったけど、アルバムを世に送り出す準備ができたよ!

-アルバム制作にはいつ頃から取り掛かりましたか?どれくらいの期間を要しましたか?

取り掛かったのは去年の9月の終わり頃だ。だから結構前なんだよ。1月頃に決めかけていたレコーディングの時期を実は2、3回見送っているんだ。スケジュールが合わなくってね。それでスタジオに入ったのは4月になっちゃった。今回のアルバムには新しい哲学の元に作ったんだ。適当にはしたくなかったから時間がたくさんかかったことは良いことだ。俺も良いものを作るためにできるだけたくさん曲を書きたかったしね!

-レコーディングはどのような環境の元で行われましたか?

Mike Elizondoのスタジオだよ。かつて彼がかの有名なDr.Dreや2 PACのアルバムをレコーディングしたのと同じスタジオさ。なかなかいいだろ(笑)。

-これまでのA7Xの作品のどれとも違う趣で、非常にコンセプチュアルな内容だと思ったのですが、それについてはいかがですか?

そうだね、アルバムの出来については満足していてリリースに向けて期待も大きい。でもコンセプト・アルバムってわけではないなぁ……。歌詞についてというより音的にコンセプトっぽいかなぁ。今回は大きくてダイナミックな音を作ることをとても重要視したんだ。つまり曲作りに集中したんだ。俺たちが1つのチームとなって作りえる最高の音を見つけたかった。だからみんなが納得するまで何度も努力を重ねたよ。

-今作におけるギターのフレーズの付け方、弾き方について特に意識したことは?

より強いメロディを作り出すように意識した。1番重要だったのはビッグなリフを作ることだ。俺たちのサウンドだと言えるような聴いた者の心に残るようなアイコニックなリフと、分厚いドラ

ミングがほしかった。Arinのドラムはまさにぴったりだった。彼の力強いドラミングが音をより迫力あるものにしてくれたんだ。

-ZackyとSynysterのツイン・ギターの絡みは相変わらず素晴らしいですね!ギターのレコーディングは順調でしたか?

どうもありがとう!!俺はHELLWINっていうアンプを作ったんだ。知ってるかい?デザインするのに2年もかかった。素晴らしいアンプさ。リズム・ギターもソロも、レコーディングにはすべてこのシリーズを使ったよ。自分のアンプが作れたなんてとても誇らしいし、素晴らしいことだ。ギターのレコーディングについてだけどZackyと俺はスタジオに入って、情熱的になれたよ。チームとしての一体感もあったし計画通りの運びとなったよ。

-また、この機会に教えてほしいのですが、2人のギター・フレーズはどのような過程で決まっていくのですか?お互いの押し引きの加減が重要だと思うのですが。

基本的には、俺たちはスタジオに入って、とにかくまずお互いギターを弾いてみるかなぁ。そこで、お互いのいわんとすることを、つまりは表現しようとしていることをお互いがきちんと確実に理解し合っていることが大事だから、なんとか確かめるね。まぁだいたいのソロは俺が書いて、彼はリード・パートを書くことが多いかな。もっとも大切なのは……あ、そうだ、そこには俺らだけじゃなくてメンバーもプロデューサーも必ず全員がいるんだ。全員が関わりあっているから、すべてのソロは俺だけではなくてみんなの力で作ったものなんだ。アルバムのダイナミックなところも繊細なディテールも、すべてみんながチームになって一緒に作りあげたものなんだ。基本的にすべて重要だ。どんな小さなパートも誰かひとりで作ったところなんてない。このアルバムのすべてのステップやその過程において全員が関わっているんだ。

-リズム隊とヴォーカルのレコーディングはどうでしたか?上のことと同じようなことが言えるのかと予想しますが……。

その通りだね!歌詞はほとんどShadowsが書いてるんだけど、それでもまるっきり全部ではない。俺らはよく手伝うよ。彼もよく俺たちに訊いてくるんだ。“伝えたいメッセージがあるんだけど、それをどうやって言葉にしたらいいかな?”とか、言葉のチョイスとかたまに文法も、いろいろな質問を受けるよ。だからメンバー間の力の入れ具合や負担なんかはかなりフェアに分散されているんだよ。

-『Hail To The King』はアルバム全体を聴くことに非常に意味があると思いますが、Track.5「Requiem」は特に印象的でした。コーラスは何と歌っているのですか? わぁそれはどうもありがとう!!この曲はレクイエム、死者の冥福を祈る哀歌について書かれた曲だ。ヘヴィ・メタル・バージョンのミニチュア・シンフォニーかな。短いクラシック音楽。オーケストレーションのように曲を作りたかったんだ。この曲に出てくる弦楽器なんかのオーケストラの音作りはDavidっていう人が手伝ってくれたんだ。彼が俺たちのやりたいことを理解して実現させてくれた。それらをすべて合わせることによってこの曲ができたんだ。俺たちが今まで作ってきた曲の中でも特にユニークな曲になったと思っているよ。イカす曲だよ!そんなこと言ってるけど、俺が書いたんじゃないんだよな(笑)。ちなみにコーラスは英語だよ。何度も繰り返されている言葉は“In flames”だよ。

-タイトル・ソング「Hail To The King」はMVを撮りましたか?どのようなMVになりそうですか?

うん、まだできてないけど。今編集中かな。もっとたくさん作りたいけどそんなお金はもうないよ。MVを1本作るのにすごくお金が掛かるからね。俺も監督をやって儲けたいくらいだよ。

-Shadowsにも同じことを聴いたのですが、あなたは『Nightmare』がリリースされた時点では、正式なドラマーを迎える準備が出来ていないと言っていました。今の正式なメンバーはArin Ilejayですか?また、彼を迎えたことによって精神的な変化はありましたか?彼のドラムは去年の来日公演で観ましたが、素晴らしいドラマーですよね。

正式なメンバーだとは言わないけど、俺たちは全員彼のことが好きだ。彼は才能のあるドラマーだしすごくいいやつだ。だから絶対に出ていけって言ったりはしないけど、もし彼が去りたいなら去るべきだし、もし一緒に俺たちとこの旅を続けるっていえば歓迎するよ。彼はすごいドラマーだ。「This Means War」って曲のパートとか最高だ。そんなに速いドラムの曲は少ないけど、これはすごくかっこいいだろ。俺の中では特に好きな曲なんだ。彼はとても素晴らしいよ。

-プロデューサーは、前作と同じくMike Elizondoが手がけていますが、彼のプロデュースのどのようなところが気に入っていますか? 彼は素晴らしい人だよ!信じられないような才能にあふれていてとても良い影響を与えてくれる。人格者だし、仕事も素晴らしい。彼は“1人じゃそこまでやらないだろう”ってところまで俺たちを引っ張ってくれるんだ。完璧だね。

-これから『Hail To The King』に伴う長いツアーが決定していますが、どのような内容のライヴになりそうですか?

楽しみにしているよ、俺たちはツアーのためにお金を全部つぎ込んでるよ。いっつもそうなんだ。ツアーのためにお金を使いすぎてしまう。今回もそうなるだろうな(笑)。楽しみにしていてくれ!

-これまでA7Xは世界中の様々なところでライヴを行っていますが、今でも特に印象に残っているライヴがあったら教えてください。

1つと言われれば難しいけど……日本でのライヴは全部覚えてるよ!他の国のライヴと日本のライヴとでの絶対的な違いが何か知ってるかい?日本のオーディエンスは曲と曲の間に絶対的に沈黙するんだ。俺たちがその間にしゃべることをよく聞いている、そして10秒後、曲が始まった途端彼らはクレイジーになる!毎回ものすごく盛り上がる。それってとてもクールというか特別だと思うんだ。他のどの国でもこんなことはないよ。日本人からは絶対的なバンドへのリスペクトを感じる。すごいよね。 -バンドが結成して14年ですが、10年後、20年後のA7Xはどんなバンドになっている、または、なりたいと考えますか? まず年をとって、髪の毛が減ってるだろうな。それからちょっとグランピー(老人によく使う形容詞、気難しいとか不機嫌なという意味)になってるだろう。だけど、俺たちはまだロックしてるだろうし、日本にも来るよ!

-最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

日本に行くのを待てないよ!!長い間のサポートを本当にどうもありがとう!!!アリガトゴザイマス!!!