tokushukai medical group news 徳洲会グループで ......徳洲会グループで4857症例...

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尿尿尿尿西尿尿50 20 尿尿尿尿16 18 20 10 尿尿尿21 6 7 10 1 60 尿10 18 19 尿西72 調徳洲会病院 尿和泉医療 センター PCR 検体採取室と発熱外来。奥にはバスを利 用した受け付けが見える(写真は野崎病院) (前列右から)西岡・特任病院長、林部長、(後 列右から)玉井医師、大関部長、北博行医師 セッティングしたロボットアームと鉗子を操作し て手術 徳洲会グループのダヴィンチ導入施設 宇治徳洲会病院(京都府) 名古屋徳洲会総合病院 松原徳洲会病院(大阪府) 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県) 湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 鎌ケ谷総合病院(千葉県) 中部徳洲会病院(沖縄県) 岸和田徳洲会病院(大阪府) 野崎徳洲会病院(大阪府) 千葉徳洲会病院 千葉西総合病院 ※ 2 台 吹田徳洲会病院(大阪府) 生駒市立病院(奈良県) 東京西徳洲会病院 成田富里徳洲会病院(千葉県) 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県) 福岡徳洲会病院 和泉市立総合医療センター(大阪府) サージョンコンソールから遠隔操作 により手術を行う大関部長 命だけは平等だ 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3262-3133 制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:news@tokushukai.jp TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS ALL LIVING BEINGS ARE CREATED EQUAL 831 1251 31/AUG. 2020 No. 令和 2 8 31 日 月曜日│No. 1251

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  • ており、膀胱がんや腎が

    んの手術にも積極的に取

    り組んでいく計画だ。

    同院は近年、泌尿器科

    の診療体制の充実が著し

    い。今年4月に入職した

    大関部長を含め、泌尿器

    科は常勤医5人体制を実

    現。そのうち3人は日本

    泌尿器科学会認定専門医。

    大関部長と、林泰司・同

    科部長がロボット支援手

    術を行う資格をもつ。

    同院は泌尿器科専門医

    の育成に関して、現在は

    近畿大学の連携施設とし

    て取り組んでいるが、

    今後は専門研修基幹

    施設となり独自に専

    門医の育成を目指す。

    西岡伯・特任病院

    長は「患者さんへの

    メリットが大きいた

    め、ダヴィンチの導入は

    かねてからの念願でした。

    地域の患者さんに低侵襲

    で精度の高い手術を提供

    していきたいと考えてい

    ます。今後、他科の手術

    での活用も予定していま

    す」と展望する。

    同院は高精度放射線治

    療装置のトモセラピーも

    保有。幅広いがんに対し

    手術や放射線、薬物療法

    による高度な集学的治療

    に取り組み、国指定のが

    ん診療連携拠点病院を目

    指す方針だ。

    腺の切除は完了、臓器回

    収袋に前立腺を収納した。

    この後、膀胱と尿道を

    吻ふんごう合

    し、リンパ節を郭清。

    前立腺を取り出し手術創

    を閉鎖した。尿道カテー

    テルを留置し、手術終了

    時の安全確認であるサイ

    ンアウトを実施して手術

    は無事に終了。コンソー

    ル時間(実質的な手術時

    間)は1時間50分、出血

    量は20㏄ほどだった。

    泌尿器科の体制が充実

    「病診・病病連携を行い

    ながらダヴィンチ手術の

    適応がある患者さんにク

    オリティの高い手術の提

    供に努めていきたい」と

    大関部長は抱負を語る。

    週に1件のペースで前立

    腺がんの手術予定が入っ

    い術野を確保しやすい経

    腹膜アプローチで手術す

    る。頭蓋内疾患の既往や

    緑内障を有する患者さん

    は、頭低位を持続すると

    頭蓋内圧や眼圧上昇を招

    き症状悪化のリスクがあ

    るため、仰

    ぎょう

    臥が位いで手術で

    きる後腹膜アプローチを

    採用する。同院泌尿器科

    は後腹膜アプローチにも

    対応している。

    手術ではトロッカーを

    6カ所設置。ひとつは内

    視鏡用、3つはダヴィン

    チの鉗子や電気メス用、

    残りふたつは助手用だ。

    大関部長はアームの位置

    を入念にセッティングし

    たうえで、慎重かつ手際

    良く膀胱と前立腺を離断、

    次いで尿道と前立腺を離

    断した。これにより前立

    る器具だ。患者さんの氏

    名、病名、術式などを確

    認するタイムアウトを行

    い、手術を開始した。

    まず患者さんを頭低位

    の体位に変更。脳出血な

    ど頭蓋内疾患の既往や緑

    内障がない場合は、一般

    的に頭低位の体位で、広

    ペイシェントカートと呼

    ばれるロボット部分と、

    サージョンコンソール

    (操作台)からなる。ダ

    ヴィンチの鉗子は可動域

    が広く、人の手では困難

    な屈曲や回転を実現でき、

    ぶれの少ない安定した動

    きで手術できる。これま

    での手術と比較し出血量

    の低減や尿失禁の早期改

    善、男性機能(勃起機能)

    の温存成績の向上などが

    期待できる。

    保険適用は年々拡大。

    2012年に前立腺がん、

    16年に腎臓がん、18年に

    縦隔がん、肺がん、食道

    がん、胃がん、直腸がん、

    膀胱がん、子宮体がん、

    子宮筋腫、心臓弁膜症の

    手術が対象となった。20

    年には膵すい臓がんの手術や

    腎じん盂う形成術などが追加。

    この日、同院では午前

    10時に患者さんが手術室

    に入室し、全身麻酔を導

    入後、大関部長はトロッ

    カーを装着する部位をマ

    ーキング。トロッカーは、

    内視鏡や鉗子を腹ふく

    くう腔内に

    入れるため腹部に装着す

    除術を経験。前立腺全摘、

    腎部分切除、膀ぼう

    こう胱全摘に

    関する泌尿器ロボット支

    援手術プロクター(指導

    医)に加え、日本ロボッ

    ト外科学会認定の泌尿器

    科国内A級専門医資格を

    保有する医師だ。泌尿器

    科A級は6月末時点で全

    国21人にとどまる。

    ダヴィンチは現在、国

    内に約350台ある。同

    院が導入したのは、最新

    機種の「ダ

    ヴィンチX

    ⅰ」。内視

    鏡や鉗子、

    電気メスな

    どを装着す

    る4本のア

    ームをもつ

    「点滴が入っていくのが

    わかりますか。大きく息

    を吸ってくださいね」―

    ―。和泉医療センターの

    梶川竜治・麻酔科部長が、

    手術台で横になる患者さ

    んに優しく語りかけた。

    ここは第6手術室。7

    月10日、ダヴィンチによ

    る1例目の手術を行った。

    患者さんは60代男性。が

    んは前立腺内に限局し、

    リンパ節や他臓器への転

    移はなかったことから、

    根治を目的とした前立腺

    全摘除術を施行した。

    術者は同院泌尿器科の

    大関孝之部長、助手は玉

    井健太郎医師が務めた。

    大関部長はこれまでに術

    者として154例のダヴ

    ィンチによる前立腺全摘

    和泉市立総合医療センター(大阪府)は内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」

    を導入、7月10日に1例目の前立腺がんに対する前立腺全摘除術を実施した。ダ

    ヴィンチの鉗かん子しは人間の手首よりも可動域が広く、拡大視野で手ぶれの少ない精

    緻な低侵襲手術が可能。これにより出血が少なく術後の早い回復などが期待でき

    る。徳洲会グループはダヴィンチの導入を推進しており、導入施設は18施設(計

    19台)。泌尿器科以外も含めたグループのダヴィンチ手術総症例数は4857例(7

    月末時点)に上る。

    JTBグループは8月

    3日、ビジネス渡航時の

    PCR(ポリメラーゼ連

    鎖反応)検査の予約から

    精算までを代行するサー

    ビスを開始、この受け入

    れ機関として徳洲会グル

    ープ病院が協力すること

    になった。新型コロナウ

    イルス禍では、渡航にあ

    たり出国前のPCR検査

    陰性証明書の取得を各国

    から求められているのが

    現状。そこで、出張・赴

    任の準備で多忙なビジネ

    ス渡航者が業務に専念で

    きる環境を整えるのを目

    的に同サービスを始めた。

    JTBによると、受け

    入れ機関はビジネス渡航

    の再開拡大に合わせ、徳

    洲会グループ外の医療機

    関も含め拡充していく。

    グループ内では札幌東徳

    洲会病院、湘南鎌倉総合

    病院(神奈川県)、千葉

    西総合病院、野崎徳洲会

    病院(大阪府)が協力。

    各国が入国に必要な要件

    として、渡航日から72時

    間以内の陰性証明書の発

    行を原則とする国が多い

    ため、受け入れ機関では

    検査当日から翌日中に検

    査証明書を発行できるよ

    うに体制を整えている。

    このうち野崎病院では、

    JTBに協力する以前の

    7月中旬頃から、徳洲会

    グループの健診部会、感

    染管理部会、検査部会が

    提示した運用指針に基づ

    き、積極的に国内出張を

    含むビジネス渡航者に対

    するPCR検査を受け入

    れていた。金澤秀人事務

    長は「地域の中小企業か

    ら問い合わせを多く受け

    ていました。保健所と調

    整するなかで、行政検査

    が滞ることを懸念されて

    いましたが、当院にはP

    CR検査機器が2台あり、

    検査室の体制も充実して

    いるため、問題なく受け

    入れられると説明しまし

    た」と振り返る。

    同院では現在、週に5

    ~6件ほどビジネス渡航

    者に対するPCR検査を

    実施。口コミで広がり、

    大阪府外からの問い合わ

    せも増えている。また、

    ビジネス渡航者以外でも

    自費によるPCR検査の

    受け入れも実施。多くは

    「濃厚接触の可能性があ

    り無症状でも不安だか

    ら」と心配する方々で、

    企業からまとめて依頼が

    来ることもある。

    金澤事務長は「7月か

    ら地域連携室の担当者が

    地域の企業に個別訪問し、

    説明を行ってきました。

    感染の不安を抱えながら

    生活している方々も多く

    いると思いますので、地

    域のニーズに応えていき

    たいと考えています」と

    意欲的だ。

    ビジネス渡航でPCR検査

    JTBの新サービスに協力徳洲会病院

    「ダヴィンチ手術」を開始

    まず前立腺全摘など泌尿器科領域

    和泉医療センター徳

    洲会グループで4857症例

    PCR 検体採取室と発熱外来。奥にはバスを利用した受け付けが見える(写真は野崎病院)

    (前列右から)西岡・特任病院長、林部長、(後列右から)玉井医師、大関部長、北博行医師

    セッティングしたロボットアームと鉗子を操作して手術

    徳洲会グループのダヴィンチ導入施設宇治徳洲会病院(京都府)名古屋徳洲会総合病院松原徳洲会病院(大阪府)湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)湘南鎌倉総合病院(神奈川県)鎌ケ谷総合病院(千葉県)中部徳洲会病院(沖縄県)岸和田徳洲会病院(大阪府)野崎徳洲会病院(大阪府)千葉徳洲会病院千葉西総合病院 ※ 2台吹田徳洲会病院(大阪府)生駒市立病院(奈良県)東京西徳洲会病院成田富里徳洲会病院(千葉県)茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)福岡徳洲会病院和泉市立総合医療センター(大阪府)

    サージョンコンソールから遠隔操作により手術を行う大関部長

    徳 洲 新 聞徳 洲 新 聞 生い の ち

    命だけは平等だ

    発行:一般社団法人徳洲会  〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階

    TEL:03-3262-3133制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:[email protected]

    TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS

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    BEINGS ARE CREATED EQUAL

    8月31日125131/AUG. 2020 No.

    ❶ 令和 2 年 8 月31日 月曜日 │ No.1251

  • 同コースは災害地の対

    象を国内に絞った1日間

    の研修会。いつどこで発

    生するかわからない国内

    災害に対し、より多くの

    医療従事者がTMAT隊

    員として医療支援活動に

    参加できる体制を整える

    のが目的だ。国内と海外

    の双方での活動を想定し

    た「災害救護・国際協力

    ベーシックコース」(2

    日間)もある。

    今回は徳洲会グループ

    病院から33人が受講。講

    師は湘南藤沢徳洲会病院

    (神奈川県)の髙力俊策

    副院長、同院の久保健一

    看護師、四街道徳洲会病

    院(千葉県)の栁澤修平

    看護師、成田富里徳洲会

    病院(同)の浅野昌子看

    護師が務めた。聴講を希

    望する同大学生もいたが、

    新型コロナウイルスの感

    染対策に加え、初めての

    試験期間が重なったため

    自粛した。

    プログラムは座学と机

    上訓練で構成。座学では

    「災害医療総論」、「国内

    災害の実際」で災害時に

    連携が必要な行政機関、

    TMATの活動実績など

    について解説。さらに、

    7月の九州南部豪雨での

    活動報告も行った。

    机上訓練では、災害発

    生から隊員派遣、被災地

    での医療支援活動と撤収

    までの流れをシミュレー

    ションしながら、グルー

    プワーク形式で学んだ。

    最後に、参加者全員に修

    NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は8月22

    日、今春開学した湘南鎌倉医療大学(神奈川県)を

    会場に初めて「第19回国内災害医療支援トレーニン

    グコース」を実施、同大教員も聴講した。同コース

    を修了することで、TMAT隊員として国内災害で

    の活動参加要件を満たすことができる。

    了証とオリジナルTシャ

    ツが手渡された。

    聴講した森明子・看護

    学部長は「実践的かつ面

    白い内容で勉強になりま

    した。今後、学生の授業

    もお願いすると思います

    ので、楽しみにしていま

    す」と期待を寄せていた。

    美所長が講師を務め、事

    務職員中心に薬剤師、診

    療放射線技師、臨床工学

    技士ら計18人が参加して

    いる。

    同研修では、所属部署

    が異なるように参加者を

    グループ分けし、グルー

    プごとに病院経営に関す

    るデータをひとつ取り上

    げ検討。データは救急患

    者さんの受け入れ人数、

    外来患者数、入院患者数

    などで、2回目となる今

    回はグループ内で各デー

    タについて話し合い、曜

    日による増減など傾向を

    指摘したり、輪番の回数

    や診療科による増減など

    原因を推測したりした。

    参加した金野正迪・経

    理課副主任は「経営に関

    するいろいろな提案を、

    根拠に基づいて行えるよ

    うに勉強していきたい」

    と意欲的。同研修は20

    21年2月まで月1回実

    施を予定。

    大和徳洲会病院(神奈

    川県)は8月11日、主任・

    副主任研修を行った。次

    世代リーダーの育成を目

    的に山下尚子事務長が開

    始した「Ysスクール」

    の一環で、病院経営の基

    礎知識をテーマとする

    「ベーシック3」にあたる。

    昨年までは対面式だった

    が、コロナ禍により7月

    からオンラインで実施。

    ヘルスケアビジネス経営

    人材育成研究所の石井富

    ナ感染症以外の医療の質・量を

    落とすことなく、同時にコロナ

    感染症の治療にも粛々とあたっ

    ているのです。

    地域医療の中核を担うべき徳

    洲会グループ外の急性期病院の

    中には、経営面を危惧して「コ

    ロナ対応は無理です」と、その

    門戸を閉ざす病院があることも

    事実です。しかし私たちは、常

    に弱い人、病気で苦しむ人の立

    場に立ってものを考え、どうす

    れば一番人のためになるかを行

    動の指針としてきました。新型

    コロナウイルスに対する取り組

    みも例外ではありません。強い

    意志と精一杯の工夫と努力、習

    熟した感染予防技術があれば、

    このコロナ危機を乗り越え、通

    常医療とコロナ医療の困難な両

    立が可能になると信じています。

    新型コロナウイルスのパンデ

    ミック(大流行)がもたらした

    世界規模での医療危機、経済不

    況はコロナ大恐慌と呼ぶべきも

    のですが、「大恐慌」という表

    現は1929年から始まった30

    年代の世界的不況に対して付け

    られたものです。ケインズとい

    う経済学者をご存じでしょうか。

    マクロ経済学理論を唱えた著名

    な学者で、世界大恐慌に対して、

    その経済理論に基づいた大規模

    な財政出動が行われたことは、

    あまりにも有名です。彼の経済

    理論は現代政治にも用いられて

    おり、日本政府の財政政策も恐

    らくマクロ経済学理論に基づい

    ていると思われます。「Go

    oトラベルキャンペーン」、全

    国民一律10万円給付などの財政

    出動もマクロ経済学的発想によ

    るものかもしれません。

    人口100万人当たりの新型

    コロナウイルス感染症の死亡者

    数は、季節性インフルエンザの

    それよりも低くなっており、感

    染の実効再生産数:Rt(1人の

    感染者が平均で何人感染させる

    かを表す数理モデル。たとえば、

    Rt=2なら1人が2人に感染さ

    せて拡大)が1を切り0・9に

    なっている現在、このウイルス

    感染による日本でのアウトブレ

    イク(感染爆発)は収束に向か

    いつつあるようにも見えますが、

    先行きは不透明です。ただ医療

    の現場では今なお混乱が続いて

    います。たとえば無症状のコロ

    ナ陽性患者さんは、東京や大阪

    などの大都市では行政が借り上

    げたホテルに10日間隔離された

    後、陰性化を確認することなく

    社会生活に復帰します。一方、

    感染者と濃厚接触と判定された

    場合は、たとえ症状がなく検査

    陰性でも2週間の自宅待機が指

    示されます。コロナ対応上の齟そ

    齬ごが医療の現場にさらなる混乱

    と人的負荷をもたらしています。

    通常医療の質・量を落とさず

    コロナ感染症治療にも粛々と

    また病院の中では、安全に感

    染患者さんを隔離するというゾ

    ーニング(区分け)が、結果的

    にはコロナ以外の治療を、人・

    空間(病床)・時間の面で圧迫

    し制限することにつながってし

    まいます。大都市圏にある徳洲

    会グループの急性期病院それぞ

    れがコロナ治療の最前線に立ち、

    対応する職員は直接感染リスク

    と向き合いながら困難な状況下

    での病院運営に取り組んでいま

    す。限られた医療資源で、コロ

    こう書くとケインズに対する

    親しみが急に起こってきますが、

    経済学はあくまでも数理論的な

    分析を基本とする学問で、冷た

    い数式のイメージが付きまとい

    ます。しかしケインズは著書『雇

    用・利子および貨幣の一般理論』

    の中で、非常に興味深い表現を

    用いています。経済を発展させ

    ていくものとして、「アニマル・

    スピリッツ」と彼が名付けた起

    業家のやる気とか、理屈を超え

    る野心的な意欲、努力こそが大

    切であると言うのです。経済は、

    結局は生きた人間の活動ですか

    ら「いろいろあっても最後は人

    間の意志力、ガッツだ」という

    ことになります。理論で成り立

    つ経済学に、理屈を超越する人

    間の本質に根差した精神論を持

    ち込んでいるのです。

    「アニマル・スピリッツ」

    具現化した徳田・元理事長

    物事を成そうとする時に必要

    なことは、成し遂げたい対象に

    対する焦がれるような強い思い、

    絶対諦めない意志の力、弛たゆまぬ

    努力である。「無理な努力、無

    駄な努力、無茶苦茶な努力」。そ

    して実現できない夢はない――。

    皆さん気付かれたでしょうか。

    そうです。ケインズの「アニマ

    ル・スピリッツ」を具現化した

    のは徳洲会の徳田虎雄・元理事

    長なのです。新型コロナ感染症

    の蔓延初期段階で、コロナ感染

    症に対する極めて常識的な慎重

    論に終始した私を見て、おそら

    く元理事長は苦笑いしダメ出し

    したことでしょう。「おまえ、

    本気で正しさを行う気概がある

    のか」と。皆で頑張りましょう。

    病気のはなし

    膵すい

    臓がんは初期には症状が出にくく、早期発見が極めて難しい疾患だ。進行すると腹痛、背部痛、腹部膨満感、体重減少、下痢、黄疸などの症状が現れるが、膵臓がん以外の疾患でも現れる症状で、発見が遅れがちだ。こうしたこともありステージ1までに診断される膵臓がんは全体の約2%に過ぎず、5年生存率は7%台、10年生存率は4%台と,ほかのがんに比べかなり低い。早期発見には腹部超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像診断)検査などあるが、とくに有効なのが超音波内視鏡検査。血液検査でアミラーゼ(消化酵素)値が高い場合や腹部超音波検査、CT検査で、膵臓に嚢

    のうほう

    胞、膵管拡張など見られた場合は、「精密検査として超音波内視鏡検査を行うことで、小さな膵臓がんを発見できる可能性があります」と千葉徳洲会病院の浅原新吾副院長(消化器内科)。治療法は外科療法(手術)、化学療法、放射線療法、さらに特殊な治療として局所療法や免疫療法がある。いまだ生存率の低い疾患だが、治療法の開発は日進月歩で、今年に入って化学療法で使用するゲムシタビンが効かなくなった患者さんに対し、有用とされる新たな薬剤が使用可能となった。リスク因子は喫煙やアルコール摂取など生活習慣に加え、糖尿病、遺伝性膵炎、家族歴など。「禁煙や食生活の改善が予防につながるかもしれません」と浅原副院長は指摘、リスクを感じたら積極的に検査を受けるよう勧めている。

    ステージ1までに診断つくのは約2%膵臓がん

    オンラインで主任

    副主任研修を実施

    大和病院

    33人がコースを修了し国内災害への派遣に備える

    「本気で正しさを行う気概」を問われる時

    焦がれるような強い思い・絶対諦めない意志の力・弛まぬ努力が事を成すに必要

    東ひがし

    上う え

    震し ん い ち

    一医療法人徳洲会副理事長

    岸和田徳洲会病院総長(大阪府)

    国内トレーニングコース

    湘南鎌倉医療大学で開催

    TMAT

    徳 洲 新 聞生い の ち

    命だけは平等だ 令和 2 年 8 月31日 月曜日 │ No.1251 ❷

  • 研修は、まず老健はさ

    ま徳洲苑の入所フロアで

    行い、その後隣接する介

    護付き有料はさまの入居

    フロアで実施した。老健

    はさま徳洲苑では吉田操

    施設長(医師)や辻みゆ

    き事務長をはじめ看護師、

    介護職員、リハビリテー

    ションセラピスト、管理

    栄養士、厨房員、事務職

    員ら計約90人、介護付き

    有料はさまでは介護職員

    約10人が受講した。

    まずゾーニングの方法

    について学び、あらかじ

    め施設が施したエリア分

    けを相内主任がチェック。

    そのうえで参加者から質

    問を受ける形で進んだ。

    参加者とのやり取りで、

    相内主任は感染リスクが

    高いレッドゾーン、感染

    リスクが低いグリーンゾ

    ーン、その間のイエロー

    ゾーンを明確にし、でき

    るだけ人と人とが交わら

    ないことを基本に強調。

    そのうえで、①レッド

    ゾーンのスタッフがイエ

    ローゾーンに移動する際、

    エリアを仕切る仮カーテ

    ンには触れず、イエロー

    ゾーンのスタッフが開け

    る、②レッドゾーンから

    イエローゾーンへの移動

    にともない防護具を脱ぐ

    際にウイルスが体に付着

    しやすいため注意する、

    ③専用電話の設置など離

    れた場所でも通信できる

    ようにする

    ―など具体

    策を挙げ、「環境の整備、

    ルールづくりとその徹底

    が肝要」と説いた。

    多くの職員が協力し合

    って対応する大切さも示

    唆。「とくにレッドゾー

    ンでは配置するスタッフ

    を午前と午後で入れ替え

    たり、夜勤をはじめ人が

    少ない状況であればイエ

    ローゾーンに待機し、必

    要に応じて移動したりし

    ても良い」とし、「精神

    的な面も含め負担が大き

    いだけに、頑張りすぎな

    いようにスタッフ同士で

    協力することが不可欠」

    と加えた。

    参加者からは消毒に用

    いる液体の種類や空調設

    備、換気の仕方など細か

    い質問が次々と寄せられ、

    相内主任が一つひとつ丁

    寧に回答。厨房員が施設

    内で検討している食事の

    配膳・下膳方法に問題な

    いかを確認する場面も見

    られた。

    その後、スタッフは感

    染防護具の正しい着脱方

    法を学習。看護師が実際

    に医療ガウンや手袋、キ

    ャップ、ゴーグルなどを

    着脱し、適宜、相内主任

    がアドバイスした。他の

    職種は、その様子を周囲

    で見守りながら学んだ。

    相内主任は、ここでも

    スタッフ同士が協力し合

    う重要性を訴え、着脱を

    サポートしたり互いに確

    認したりしながら、きち

    んと行うことを促した。

    研修は4時間に及び、

    最後に責任者による会合

    で相内主任が講評。現場

    スタッフが抱く不安や恐

    怖への理解・共感を求め、

    「関連病院には感染対策

    チーム(ICT)があり

    バックアップ体制が整っ

    ています。何かあれば相

    談に乗るので、安心して

    一緒に取り組みましょう」

    と呼びかけた。

    老健はさま徳洲苑、介

    護付き有料はさまのいず

    れも、ゾーニングや感染

    防護具の着脱をテーマに

    した研修は初めて。4月

    に一度、施設内感染が発

    生した想定でシミュレー

    ションを実施したが、ス

    ムーズにできなかったた

    め今回、研修を企画した

    という。

    「新型コロナウイルス感

    染症は保健所が入院先の

    医療機関を選定するため、

    医療機関が決定するまで

    施設内で隔離しなければ

    なりません。シミュレー

    ションでは居室の移動を

    試みたものの、うまくい

    かず時間を要しました」

    と、老健はさま徳洲苑の

    辻事務長。

    その経験から、吉田施

    設長の指示の下、自分た

    研修医は当直で救急患者さんに対応するケースがあるが、新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合、PPE(個人防護具)を身に付けることが必須。患者さんごとに着替えなくてはならないが、現場では複数の患者さんに同時に対応しなくてはならない時もある。また、各診療科を回るローテーション研修では、患者さんの受け入れ制限により、思ったような症例を経験できないケースが出ている。こうした状況について、初期研修医1年目の引地智基医師は「コロナ禍では、ふだんと違うことを気にしながら研修を行うので大変です」と振り返るものの、「その一方で、病院側がいろいろ考えて研修環境を整えてくれるのはありがたいです」とうなずく。同院の臨床研修センターは、勉強の機会を増やすために湘南厚木病院の研修医カンファレンスにリモートで参加できるように調整。これは月曜から土曜までの毎朝、湘南厚木病院の寺島孝弘・外科部長が講師を務める勉強会で、月曜は心電図、火曜は血ガス・電解質など曜日ごとにテーマを設定。仙台病院の研修医はWEB会議システム「Zoom」を活用し参加している。他にも院内では、火曜朝に行う医局全体の勉

    強会に加え、加藤一郎・外科部長が主催する勉強会を週2回ほど実施。また、新たにCVトレーニングキットを購入し、研修医教育に役立てている。引地医師は「大変な時期ですが、同期4人で情報共有し、協力し合いながら研修を頑張って

    います。研修開始当初に比べ、だいぶ動けるようになってきたと思いますが、まずは救急で少しでも力を付けていきたいです」と積極的だ。

    感染発生に備え研修

    ちでゾーニングなどを試

    みた。介護施設は設備に

    余裕がないため、仮カー

    テンに緩衝材やビニール

    シートを用いるなど随所

    に工夫を凝らしたものの、

    それらが本当に有用かど

    うかを確認する意味も含

    め「今回、研修を開いて

    相内主任の指導を仰ぐこ

    ととなりました」と説明

    する。

    参加した同苑の澤田洋

    子・介護副主任(介護福

    祉士)は「感染のスペシ

    ャリストの話を聞くこと

    ができ、多くを学ぶとと

    もに自信にもつながりま

    した」と振り返り、「も

    し発生した時は仲間と協

    力して学んだことをしっ

    かり実践できるようにし

    たいと思います」と語気

    を強めた。

    WEB勉強会など環境整備

    2021年7月に新病院での診療開始を目指し建設工事を進めている札幌南徳洲会病院は、院内外の広報活動を加速させている。院外に向けては、3カ月に1度

    発行している病院広報誌『ふれあい』の1頁を「新築移転新聞」とし、工事の進

    しん

    捗ちょく

    状況などを写真付きで紹介。同誌の発行がない月にも同新聞のみ刊行、最新情報の発信に努めている。これら情報は同院ホームページなどにも掲載。工事現場の囲い壁にも同新聞を掲示し、周辺の方々に向けたピーアールも欠かさない。最寄りの地下鉄駅である東豊線福住駅構内に設置した

    広告にも新築移転を予告。福住駅は同線内で、さっぽろ駅に次いで1日平均の利用客が多く活気のある駅だ。職員向けには「『WAKUWAKUPRESS』という新築移転院

    内誌を制作し、新病院の各部署のコンセプトや機能など職員全体で共有している。「新病院の内覧会で、すべての職員が来場者に各部署を説明できるようになることが目標です」と下澤一元事務長。5月から毎月発行し、1号当たり3~6部署の責任者が紹介文を寄せている。このほか、8時会を行っている会議室に新病院オープンまでのカウントダウンカレンダーを設置するなど、移転に向け盛り上げを図っている。

    院内外へ広報活動を加速来年7月に新病院オープン

    札幌南病院

    仙台徳洲会病院は2020年度、初期研修医が初めてフルマッチし4人入職した。新型コロナウイルス禍でも十分な研修ができるように、湘南厚木病院(神奈川県)の研修医カンファレンス(勉強会)にリモートで参加したり、新たにCV(中心静脈)トレーニングキットを購入したりし、研修環境を整備している。

    介護老人保健施設(老健)はさま徳洲苑(千葉県)と隣接する介護付き有料老人ホー

    ム(有料)はさまは8月4日、施設内で感染対策研修を行った。新型コロナウイ

    ルス感染症の施設内感染が生じた時に備えるのが狙い。当日は関連病院の千葉徳

    洲会病院と連携し、同院の相内ひとみ看護主任(感染管理認定看護師)を講師に

    招しょう聘へい、主に入所スペースのゾーニングと感染防護具の正しい着脱方法を学んだ。

    札幌徳洲会病院は8月

    6日、WEB会議システ

    ム「Zoom」を活用し、

    「コロナ禍における国際

    活動」をテーマにオンラ

    インセミナーを開催した。

    参加者は医学生や初期・

    後期研修医など20人ほど。

    冒頭、企画した中川麗

    副院長は「未知のウイル

    スに向き合わなければい

    けない状況では、自分だ

    けでは思いつかないよう

    な新しい視点や解決策な

    どの情報を国内外から得

    ることが大切。そして正

    しい情報を吟味するため

    には広い視野が必要です。

    こんな時期だからこそ、

    国境や分野のボーダーを

    越えて活躍している講師

    と意見交換できる場が大

    切だと思います」と意図

    を説明した。

    最初に若井俊明・米国

    ミシガン大学家庭医療学

    科臨床講師が「アメリカ

    で家庭医療医として働い

    て」と題し講演。日本と

    米国の家庭医療の違い、

    家庭医の仕事内容など説

    明した後、「コロナによ

    り今までと同じ日常が戻

    ることは難しいと思いま

    す。ニューノーマル(新

    しい日常)に慣れること

    が大切です」と結んだ。

    続いて札幌病院のシャ

    ディア・コンスタンティ

    ン臨床研修副委員長は

    「グアムでの医療」をテ

    ーマに講演、「コロナ禍

    でもいろいろな働き方が

    あります。つねに勉強し

    続け、柔軟であってくだ

    さい」とエールを送った。

    田邊康プライマリセンタ

    ー非常勤医師は「国境な

    き医師団の経験から」を

    テーマに講演し、「人と

    の出会いが財産になりま

    す。また、医師には独特

    のアドバンテージがあり

    ますので、このふたつを

    うまく生かして歩んでく

    ださい」と呼びかけた。

    参加者からは「医師と

    して前向きにニューノー

    マルに慣れていくべきだ

    と感じました」、「モチベ

    ーションアップにつなが

    り、札幌病院の見学がよ

    り一層楽しみになりまし

    た」、「タイムリーな話題

    で、卒業後に同じように

    未知のウイルスに直面し

    た時どのように対応する

    か、ヒントを得られた気

    がします」といった感想

    が聞かれた。

    研修医の教育を強化仙台病院

    ゾーニングや防護具着脱学ぶ

    加藤部長(左)の指導下でCVカテーテル挿入を学ぶ研修医

    今年度は初期研修医4人が入職(左から2人目が引地医師)

    「正しい情報の吟味には広い視野が必要」と中川副院長

    感染防護服の正しい着脱方法を確認

    ゾーニングについてアドバイスする相内主任(右手前)

    新病院建設工事の進捗状況などを伝える「新築移転新聞」

    札幌病院

    コロナ禍での国際活動

    オンラインセミを開催

    老健はさま徳洲苑と

    介護付き有料ホームはさま

    徳 洲 新 聞 生い の ち

    命だけは平等だ❸ 令和 2 年 8 月31日 月曜日 │ No.1251

  • 洲会グループで長年にわ

    たり脊柱側彎症の治療に

    力を注いできた。同症は

    背骨がねじれながら大き

    くカーブする疾患で、彎わん

    曲きょくの

    大きい重度変形の治

    療には高度な技術を要す

    る。こうした難しい疾患

    に対し、より安全・正確

    な手術を追求するために、

    最先端の医療機器を積極

    的に取り入れてきた。

    同センターは現在、脊

    椎専用ハイブリッド手術

    室に高性能な多軸型CT

    (コンピュータ断層撮影)

    様画像撮影装置「A

    RTIS ph eno

    」を導入し、連

    動する手術台、リアルタ

    イムナビゲー

    ションシステ

    ムを活用して

    いる。

    また、内視

    鏡を用いた小

    湘南藤沢徳洲会病院(神

    奈川県)脊せき

    つい椎センター・

    脊せき柱ちゅう側そく彎わん症しょ

    うセンターの江

    原宗平・副院長兼同セン

    ター長は「Best Doctors

    in Japan 2020-2021

    」に選

    出された。Best Doctors

    は医師同士の相互評価で

    あるピアレビューで選ば

    れる。

    選出方法は、前回Best

    Doctors

    に選ばれた医師

    が、自分や家族の治療を

    切開前方矯正固定術とい

    う術式を自ら考案し実践。

    傷痕が目立ちにくいため、

    若い女性を中心に喜ばれ

    ている。最近では、手術

    台の上で脊柱変形をでき

    るだけ矯正してから手術

    を開始するための牽けん

    いん引手

    術システム(CORRECT

    ION BOX

    )という器具

    も開発。日々、手術法の

    改善に余念がない。これ

    までの業績や治療に向き

    合う姿勢、実行力が他の

    医師から評価を得た要因

    といえる。

    誰に任せるかという観点

    で、自分と同じ専門分野

    か関連する分野から医師

    を推薦、その調査結果を

    基に決定。

    今回は全国で7164

    人が選出。18年末時点で

    国内に約32万7000人

    の医師がいるため、全体

    に占める比率は約2・2

    %。およそ45人に1人だ。

    江原副院長の選出は同

    2016-2017

    に続き二度目。

    江原副院長は「二度目

    の選出で驚きました。

    とにかく『患者さんの

    ために、より良い手術

    を』という思いで、自

    分なりに考え工夫しなが

    ら、これまで手術に明け

    暮れてきました。他の先

    生方に評価していただき

    光栄に思います」と喜び

    の声を挙げている。

    同センターの手術総数

    は4417件(7月末時

    点)にも上る。同院の前

    身である茅ヶ崎徳洲会総

    合病院に同センターが開

    設された04年7月以来、

    約16年での達成だ。内訳

    は頸けい

    つい椎

    729例、胸

    きょう

    椎つい1

    17例、腰よう

    つい椎2457例、

    難度の高い脊柱側彎症も

    1013例に達

    する。その他1

    01例。

    江原副院長は

    大阪大学、信州

    大学、そして徳

    すが、“できるだ

    け残せるものは残

    す”方針をとり、

    たとえば変形性膝

    関節症の手術では

    全置換、部分置換、

    骨切り術を使い分

    けています」と説

    明する。

    同院は回復期リ

    ハビリテーション

    病棟(51床)を有

    するため、リハビリまで

    完結できるのも強み。大

    垣市や岐阜市などに加え、

    口コミにより遠方の県外

    から来院する患者さんも

    いるという。小川センタ

    ー長は「関節の痛みなど

    でお困りの方は、お気軽

    に当院にご相談くださ

    い」と呼びかけている。

    侵襲手術に取り組んでい

    ます。MISは小さな手

    術創で筋肉を切らずに行

    う手術法のことで、入院

    期間の短縮や術後の回復

    を早めることに寄与しま

    す」とアピール。

    続けて「患者さんの生

    活スタイルなどをふまえ

    最適な治療法を選択しま

    大垣徳洲会病院(岐阜県)は同院が立地する大垣市内で初となる関節疾患・人工

    関節センターを開設した。膝関節、股関節、肩関節といったさまざまな疾患に対

    して、保存的治療から人工関節置換術まで、患者さんの生活スタイルなどをふま

    えて最適な治療法・手術法を選択、提供していく。同センターは体への負担が小

    さいMIS(最小侵襲手術法)を積極的に採用。ナビゲーションシステムなどを

    活用し、安全で正確な手術を目指す。関節疾患に対する幅広く専門的な診療に取

    り組み、患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献していきたい考えだ。

    関節疾患の多くは加齢

    や外傷などにより発症、

    徐々に進行し、関節痛の

    増悪や関節機能の低下を

    もたらす。日常生活に支

    障を来し、痛みが強くな

    ると外出・活動の意欲を

    削ぎ、QOLの大幅な低

    下を招く疾患だ。

    関節疾患・人工関節セ

    ンターの開設は2020

    年4月。小川寛恭センタ

    ー長が同月に大垣病院に

    着任したことで実現した。

    小川センター長の専門は

    膝関節で、これまで岐阜

    大学医学部附属病院整形

    外科に所属し、多数の手

    術を手がけ豊富な診療経

    験を有する。同センター

    では小川センター長のほ

    か、股関節の診療を担当

    する秋山治彦・岐阜大学

    医学部整形外科教授、肩

    関節を担当する寺林伸

    夫・同臨床講師のふたり

    が非常勤医として診療を

    行っている。

    大垣病院は同センター

    開設前から、小川センタ

    ー長をはじめ、専門分野

    の異なる複数の医師の派

    遣を岐阜大から受け、関

    節疾患の診療(外来、手

    術)に取り組んできた。

    小川センター長は「当

    院がある西せい

    のう濃医療圏の人

    口は約37万人(15年現在)

    です。人工関節の手術を

    受ける方は、年間150

    0人に1人の割合とされ

    ていますので、たとえば

    膝関節と股関節のそれぞ

    れに関して、少なくとも

    年間200人は手術を必

    要とする患者さんがいる

    ことになります。関節疾

    患を抱える患者さんは、

    ご高齢の方が多く、遠方

    の医療機関を受診するの

    は困難な方が少なくあり

    ません。地域の患者さん

    の治療は当院で担ってい

    きたいと考え、センター

    開設に至りました」と経

    緯を説明する。

    同センターは、薬剤な

    どによる保存的治療では

    効果が得られなくなった

    変形性膝関節症に対する

    人工膝関節全置換術・部

    分置換術、比較的早期の

    変形性膝関節症に対する

    膝周囲骨切り術(関節温

    存手術)、半月板損傷に

    対する半月板縫合術、広

    範囲軟骨損傷に対する自

    家培養軟骨移植術(軟骨

    再生医療)、前十字靭じん帯たい

    損傷に対する再建術、変

    形性股関節症に対する人

    工股関節置換術・人工股

    関節再置換術、変形した

    肩関節の痛みに対する人

    工肩関節置換術など幅広

    い治療に取り組んでいる。

    「治療部位と手術器具の

    位置関係などをリアルタ

    イムに確認できるナビゲ

    ーションシステムを用い、

    正確で安全な手術を心が

    けながらMISによる低

    幅広い専門治療を提供

    不整脈は突然死や脳梗塞を引き起こすケースがある危険な病。そんな不整脈から患者さんを救う葉山ハートセンター(神奈川県)の上野秀樹・名誉院長と佐竹修太郎副院長が、BS朝日で9月6日放送の「命を救う!スゴ腕ドクター」(午後9時~10時54分)に登場する。上野・名誉院長はこれまで1,000人余りの不整脈患者さんにカテーテル

    治療を行ってきた。一方、佐竹副院長は「サタケ・ホットバルーン」という医療器具を独自開発。代表的な不整脈のひとつに心房細動があるが、従来の治療法では、原因である心房の異常な電気信号の発生源を1点1点、「点」で焼

    しょう

    灼しゃく

    していたため、長い治療時間を要していた。佐竹副院長が開発した同ホットバルーンは「面」で一気に焼灼できるため、治療にかかる時間が半分以下に短縮した。さらに、同ホットバルーンでは全体をムラなく均一に焼灼できるため、再発率は従来法が4割程度だったのに対し、1割以下を実現。番組では上野・名誉院長と佐竹副院長が実際の不整脈患者さんに治

    療する姿も紹介している。

    BS朝日で9月6日午後9時~

    「命を救う!スゴ腕ドクター」に登場

    大垣病院が市内で初めて低侵襲手術でQOL向上関節疾患・人工関節センター開設

    ベストドクターに選出

    江原・湘南藤沢病院副院長

    人工膝関節全置換術の術前(左)・術後のレントゲン画像

    「関節の痛みなどご相談ください」と小川センター長

    ARTIS pheno をはじめ高度な医療機器やシステムを駆使

    Best Doctors in Japan 2020-2021の賞状

    脊柱側彎症手術に取り組む江原副院長(左)

    福岡徳洲会病院看護部は今年に入り、ホームページ(HP)の充実に力を注いでいる。主に「部署紹介」のコンテンツで、外来や病棟、手術室、入院支援センターなど各部署について特徴や業務の流れ、職場の雰囲気などをスライドや動画で説明。いずれも各現場の看護師が自ら作成し、1部署当たりスライドであれば10枚前後、動画であれば3~5分程度と、わかりやすさを意識した内容になっている。当該部署で働く看護師の声を盛り込み、現場のリアル感を出すことも欠かさない。「とくに看護師の確保につながる内容を心がけました」と瀬上希代子・看護部長。新型コロナウイルスの影響により、対面での就職説明会やインターンシップなどが実施できない状況から、魅力あるWEBコンテンツに変えるよう看護師長などに発破をかけた。

    狙いは当たり、新卒看護師の採用活動では採用予定者数 の3倍 の応募が寄せられた。なかにはHPを見て「〇〇病棟で働きたいです」など希望を具体的に挙げる応募者もいたという。竹中学・事務部長は「多数の応募をいただくなか、当院だけでなく九州ブロック全体のことを考えて対応させていただきました。ありがたいことです」と目を細める。瀬上部長は「とくに動画の効果は大きいと感じました。今はスマートフォンで簡便に作成できるので、より多く活用し、さらに充実させたいと思います」。

    部署紹介にスライドや動画多用

    見やすさ・現場リアル感を意識

    動画のエンディングで所属看護師が笑顔で手を振り部署の雰囲気伝える部署も

    看護部ホームページに工夫

    新卒採用で応募者数が3倍

    福岡病院

    葉山ハートセンターの上野・名誉院長と佐竹副院長

    徳 洲 新 聞生い の ち

    命だけは平等だ 令和 2 年 8 月31日 月曜日 │ No.1251 ❹