診療スキル向上へ - 徳洲会グループ · 2018. 12. 17. · と題し講演。...

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調30 漿漿nab-PTX GEM Borderline resectable da Vinci 13 10 15 第26回日本消化器関連 学会週間(JDDW 2018) が4日間、神戸市で開か れた。第60回日本消化 器病学会大会、第96回 日本消化器内視鏡学会総 会、第22回日本肝臓学 会大会、第16回日本消 化器外科学会大会、第56回日本消化器がん 検診学会大会の5学会合同のイベント。 徳洲会は7病院が計10演題を発表した。こ のうち東京西徳洲会病院が2演題を発表。数 納祐馬・外科医師は「膵lymphoepithelial cyst に対して膵中央切除を行った1例」がテーマ。 患者さんは70歳代男性。他院で既往歴のある 心房粗動に対し超音波検査を受けたところ膵 すい しゅ りゅう が認められ、東京西病院に紹介受診した。 同院で造影CT(コンピュータ断層撮影)やMRI (磁気共鳴画像診断装置)、PET(陽電子放射断 層撮影)検査、造影EUS(超音波内視鏡)検 査などを行い、膵中央切除後、迅速診断の結 果、 膵lymphoepithelial cyst (LEC=膵リンパ 上皮嚢 のう ほう )と診断された。 数納医師は悪性疾患との鑑別が難しいLEC で、造影EUSが診断に有効だったことなどを 指摘した。 このほか橋本真典・初期研修医が「高齢者 の総胆管結石症に対する内視鏡治療の検討」 を発表。自院で総胆管結石症と診断され内視 鏡治療を施行した80歳以上の患者さん83人を 対象に、治療成績や予後などを検討した結果、 「高齢者は基礎疾患や抗血栓薬服用例が多く 完全砕石が困難な症例も多い」と指摘。「PS(プ ラスティックステント)留置も選択肢のひとつ と考えられた」と締めくくった。 JDDW 2018で2題 使使TRICO- LORE 使使第72回全日本体操団体選 手 権(11月24~25日、 群 馬 県)が行われ、徳洲会体操ク ラブの佐藤巧、瀬島龍三、 武田一志、長谷川智將、岡 準平、田浦誠也が出場した。 各選手が得意種目で高得点 を出したものの、跳馬、平 行棒、鉄棒でのミスが響き今 シーズン最後の主要な大会 は4位で終わった。 米田功監督は「チームで取 り組んできたことが出せては いたので、悪い内容ではなかったが、結果に結び付 かなかったのは残念」と悔やんだ。 同23日には、「2018男子個人総合スーパーファイナ ル」が開催された。今季から新たに設けられた同大 会はNHK杯での上位12選手が競い合う。徳洲会から 唯一、田浦が出場したが、大会直前で左肩を痛め、 あん馬を棄権し12位に終わった。田浦は悔しさをに じませながらも「万全の状態なら絶対に上位に行ける 手応えはつかんだ」と前を向いた。 このほか豊田国際体操(12月8~9日、愛知県)に長 谷川が出場し、あん馬で優勝した。 徳洲会体操クラブ 団体4位で今季終了 10 27 東京西病院が発表 11 10 50 「横のつながりを強化したい」と下山部長 パネルディスカッションで活発に討論 全国の徳洲会病院から約50人が参集 経験した症例を報告す る数納医師 マンモグラフィ&胸部検診車の見学会 瀬島は3種目すべてで14点 台をマーク、安定した演技を 披露 命だけは平等だ 平成 30 12 17 日 月曜日│No. 1164

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Page 1: 診療スキル向上へ - 徳洲会グループ · 2018. 12. 17. · と題し講演。 非切除膵がん、 Borderline resectable (切除可能境 選択はアブラキサン、ジ症例に対する同院の第一界)膵がん、切除後再発

冒頭、徳洲会オンコロ

ジープロジェクトの新津

洋司郎顧問(札幌医科大

学名誉教授)は、同プロ

ジェクトの今後の方針に

ついて言及。がん登録デ

ータの集約と活用、緩和

医療の充実、他領域での

部会設立、学会発表や臨

床研究の推進などを列挙

し、情報発信の重要性を

強調した。

次いで、部会長

を務める湘南鎌倉

総合病院(神奈川

県)の下山ライ外

科部長兼オンコロ

ジーセンター長が

「横のつながりを

強化し、皆さんと消化器

がん部会の活動を発展さ

せていきたい」と挨拶。

続けて、9月に開始した

〝徳洲会消化器がんWE

Bキャンサーボード〟を

紹介し参加を呼びかけた。

これは、強固なセキュ

リティのWEB回線を介

し、多施設を結んで診療

情報を共有、各科の医師

や多職種が最適な治療方

針を検討する会議。20

17年4月に徳洲会呼吸

器部会が先駆的に「徳洲

会肺がんキャンサーボー

ド」を開始、成果を上げ

ている。これにならい消

化器部会でも運用をスタ

ートした。

現在は第2、第4水曜

の午後6時から30分~1

時間程度実施、7病院が

参加している。「将来的

には離島・へき地病院を

含め診療方針の決定に難

渋している施設をサポー

トしていきたい。興味の

ある方は、ぜひご参加く

ださい」とアピール。

講演の1演題目は「血け

漿しょう

遊離核酸を用いた膵す

癌がん

早期診断の可能性」をテ

ーマに、札幌東徳洲会病

院医学研究所の小野裕

介・臨床生体情報解析部

部門長が発表。血漿遊離

核酸の中から膵がんに特

徴的な遺伝子変異の検出

が可能か否か検証した。

「切除可能な膵がん症例

の一部で検出可能でした

が、早期診断に実用化す

るには検査方法のさらな

る工夫が必要」と、まと

めた。

湘南鎌倉病院の柏木宏

之・肝胆膵外科部長は「膵

癌に対するnab

-PTX

GEM

の経験」と題し講演。

非切除膵がん、Borderline

resectable

(切除可能境

界)膵がん、切除後再発

症例に対する同院の第一

選択はアブラキサン、ジ

ェムザール併用療法。そ

の治療成績をまとめ「本

療法は生存率の向上に寄

与し、一次治療として有

用性が高い」と結んだ。

吹田徳洲会病院(大阪

府)の関明彦がんカテー

テル治療センター長は

「癌性症状の積極的緩和

を目的とした局所化学療

法」をテーマに講演。が

ん性症状をともなう標準

治療が効かなくなった再

発がん患者さんに実施し

た局所化学療法(動注療

法、動注化学塞栓術)を

検証。「症状の改善率は

高く、積極的緩和治療に

なり得ますが、適応の判

断が課題です」と締めく

くった。

名古屋徳洲会総合病院

の高山悟・消化器外科部

長兼消化器内視鏡治療セ

ンター長は「当院におけ

るda Vinci

手術の現状」

と題し講演。同センター

では13年10月にS状結

腸・直腸がん、15年3月

には胃がんに対するロボ

ット支援手術を開始。安

全確保の工夫などを説明

したうえで症例を提示、

手術成績を紹介した。

同院の大橋純子・緩和

ケア病棟師長は「『がん

看護相談』に関する取り

組みの報告」をテーマに

講演。「相談内容は病状

や治療内容の理解促進の

サポート、意思決定支援、

症状緩和のサポート、緩

和ケア病棟の紹介、心理

支援などです」とし、事

例を紹介した。

第26回日本消化器関連学会週間(JDDW2018)が4日間、神戸市で開かれた。第60回日本消化器病学会大会、第96回日本消化器内視鏡学会総会、第22回日本肝臓学会大会、第16回日本消

化器外科学会大会、第56回日本消化器がん検診学会大会の5学会合同のイベント。徳洲会は7病院が計10演題を発表した。このうち東京西徳洲会病院が2演題を発表。数納祐馬・外科医師は「膵lymphoepithelialcystに対して膵中央切除を行った1例」がテーマ。患者さんは70歳代男性。他院で既往歴のある心房粗動に対し超音波検査を受けたところ膵

すい

腫しゅ

瘤りゅう

が認められ、東京西病院に紹介受診した。同院で造影CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像診断装置)、PET(陽電子放射断層撮影)検査、造影EUS(超音波内視鏡)検査などを行い、膵中央切除後、迅速診断の結果、膵lymphoepithelialcyst(LEC=膵リンパ上皮嚢

のう

胞ほう

)と診断された。数納医師は悪性疾患との鑑別が難しいLEC

で、造影EUSが診断に有効だったことなどを指摘した。このほか橋本真典・初期研修医が「高齢者の総胆管結石症に対する内視鏡治療の検討」を発表。自院で総胆管結石症と診断され内視鏡治療を施行した80歳以上の患者さん83人を対象に、治療成績や予後などを検討した結果、「高齢者は基礎疾患や抗血栓薬服用例が多く完全砕石が困難な症例も多い」と指摘。「PS(プラスティックステント)留置も選択肢のひとつと考えられた」と締めくくった。

JDDW 2018で2題

和泉市立総合医療セン

ター(大阪府)の佃博・

副院長兼がんセンター長

は「がん診療体制の構築

について」と題し講演。

同センターは疾患ではな

く人を診る観点から、「治

らないが、長生きや新し

い治療の開発を目指す治

療」としての化学療法と、

「治らないが、苦痛を取

り少しでも人間らしく過

ごせるようにする治療」

としての緩和医療を、同

じ運営計画に組み込んだ。

「これにより治療の段階

から緩和まで継ぎ目のな

い治療を患者さんに提供

できました」と結んだ。

最後の講演は下山部長

が「ASCO(米国臨床

腫瘍学会)2018」か

ら、膵臓がん術後補助化

学療法や胃がん術後補助

化学療法に関する臨床試

験結果を解説した。

講演に続いて、パネル

ディスカッションを実施。

テーマは「進行大腸癌に

おける右側・左側の薬剤

の使いわけ」。パネリス

トは湘南厚木病院(神奈

川県)の中山剛副院長、

千葉徳洲会病院の小林ゆ

かり外科部長、湘南鎌倉

病院の中村雅敏がん薬物

療法認定薬剤師、同院の

中崎令子がん化学療法看

護認定看護師の4人。

発生学的な違いにより、

大腸がんは右側と左側で

治療効果や予後に差があ

ることが近年明らかにな

ってきた。こうした状況

をふまえ、右側・左側に

使用する細胞障害性抗が

ん剤と分子標的薬をテー

マにディスカッション。

パネリストからはコンバ

ージョンセラピー(切除

不能がんを化学療法で縮

小させてから切除する治

療)を考慮した薬剤選択

や、副作用による患者さ

んの生活への影響も見据

えた薬剤選択の重要性を

指摘する意見などが挙が

った。

終了後には別会場で大

腸がんに関する講演会を

開催(主催は他団体)。

演者は、がん・感染症セ

ンター都立駒込病院の山

口達郎・外科・遺伝子診

療科部長。「進行再発大

腸癌に対するこれから」

をテーマに講演を行った。

下山部長が座長を務めた。

山口部長は進行再発大

腸がんに対する一次治療

の比較試験であるTRICO-

LORE

試験を解説。続け

て、サルベージライン(標

準治療で効果が得られな

くなった場合に行う治

療)で用いる薬剤の有効

性・安全性を検討した臨

床試験の結果などを紹介

した。

「サルベージラインを見

据えた治療計画を立て、

有効な薬剤を使い残すこ

となく使いきるのがOS

(全生存期間)の延長な

どにとって重要です」と

呼びかけた。

第72回全日本体操団体選手権(11月24~25日、群馬県)が行われ、徳洲会体操クラブの佐藤巧、瀬島龍三、武田一志、長谷川智將、岡準平、田浦誠也が出場した。各選手が得意種目で高得点を出したものの、跳馬、平行棒、鉄棒でのミスが響き今シーズン最後の主要な大会は4位で終わった。米田功監督は「チームで取

り組んできたことが出せてはいたので、悪い内容ではなかったが、結果に結び付かなかったのは残念」と悔やんだ。同23日には、「2018男子個人総合スーパーファイナ

ル」が開催された。今季から新たに設けられた同大会はNHK杯での上位12選手が競い合う。徳洲会から唯一、田浦が出場したが、大会直前で左肩を痛め、あん馬を棄権し12位に終わった。田浦は悔しさをにじませながらも「万全の状態なら絶対に上位に行ける手応えはつかんだ」と前を向いた。このほか豊田国際体操(12月8~9日、愛知県)に長谷川が出場し、あん馬で優勝した。

徳洲会体操クラブ団体4位で今季終了

湘南鎌倉総合病院(神

奈川県)は10月27日、第

3回湘南鎌倉マンモサタ

デー・乳がんサポートミ

ーティングを開催した。

放射線治療やアピアラン

スケア(外見変化に起因

する苦痛に対するケア)、

薬物療法に関するミニレ

クチャーをはじめ、乳が

ん診療に関するパネル展

示、触診体験、がんサロ

ン(カフェ)、マンモグ

ラフィ&胸部検診車の見

学会、ウィッグなど企業

展示と多彩なプログラム

を実施。地域の方々など

106人が参加し盛況だ

った。

同院乳腺外科の田中久

美子部長は「乳がんが見

つかった場合や、乳がん

の早期発見に役立つ情報

をこれからも提供してい

きたい」、永田好香医長

は「パネル展示では今年

変更があった高額療養費

制度の紹介なども盛り込

みました」。

東京西病院が発表徳洲会消化器がん部会

診療スキル向上へ

第3回消化器がん研究会開く

徳洲会消化器がん部会は11月10日、徳洲会グループ全体の消化器診療のレベル向

上を目的として、第3回消化器がん研究会を都内で開催した。リキッドバイオプ

シー(液体生検)や局所化学療法、ロボット支援手術などバラエティに富んだ講

演に加え、進行大腸がんに対する薬物療法をテーマにパネルディスカッションを

実施。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師など約50人が参加、真剣な表情で聴

講しスキルアップに努めた。

WEBキャンサーボード開始

マンモサタデー開催

湘南鎌倉病院

「横のつながりを強化したい」と下山部長

パネルディスカッションで活発に討論

全国の徳洲会病院から約50人が参集

経験した症例を報告する数納医師

マンモグラフィ&胸部検診車の見学会

瀬島は3種目すべてで14点台をマーク、安定した演技を披露

徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❸ 平成 30 年 12 月17日 月曜日 │ No.1164