慶應義塾大学 教育学特殊 第11講(2016年67月6日)

42
慶應義塾大学 教育学特殊 XIV(11 ) 学級規模研究データの分析 (4) 文部科学省 国立教育政策研究所 総括研究官 やま もり こう よう (教育心理学) [email protected] 2016 7 6 この内容は個人的見解であり 国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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慶應義塾大学 教育学特殊 XIV(第 11講)

学級規模研究データの分析 (4)

文部科学省国立教育政策研究所

総括研究官やま山もり森

こう光よう陽

(教育心理学)[email protected]

2016年 7月 6日

この内容は個人的見解であり国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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はじめに

本日の出席とスライド

本日の出席

https:

//questant.jp/q/160706

本日のスライド

教育学特殊 XIV(第 11 講) 学級規模研究データの分析 (4) 2016 年 7 月 6 日 2 / 21

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はじめに

本日の講義

1. 各班の分析結果

2. 目的と考察の執筆

3. 本日の課題

教育学特殊 XIV(第 11 講) 学級規模研究データの分析 (4) 2016 年 7 月 6 日 3 / 21

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各班の分析結果

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1班

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◎分析対象

山形県の小学校のうち2013年度の第4学年と2014年度の第5学年を対象に社会科の標準学力調査を実施した50校,76学級の1672人を対象とした。

◎分析の方法

私たちは、学級規模とフィードバックの有無が子どもの成績にどう影響するのかという点に着目した。まず、データには学級規模の分類として1~4があったが、より効果を明確にみるために使用データを1と4のみに絞った。さらにその絞ったデータをフィードバックの有無で分類し、それぞれについて2時点で偏差値レベルごとの人数比を算出し、グラフを作成して比較した。

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◎結果

上記の方法で人数比を算出した結果、表1(2013年度第4学年における人数比)、表2(2014年度第5学年における人数比)の通りであった。

表1 2013年度第4学年における人数比 表2 2014年度第5学年における人数比

これらの表をもとに2時点(第4学年と第5学年)での人数比の推移を検討した結果、グラフ1(FB無,小規模学級)、グラフ2(FB無,大規模学級)、グラフ3(FB有,小規模学級)、グラフ4(FB有,大規模学級)の通りであった。

n.t1.1 n.t1.2 n.t1.3 n.t1.4

FB無無、、小小規規模模 24% 12% 35% 28%

FB無無、、大大規規模模 29% 14% 34% 23%

FB有有、、小小規規模模 27% 13% 36% 24%

FB有有、、大大規規模模 28% 10% 36% 26%

n.t2.1 n.t2.2 n.t2.3 n.t2.4

FB無無、、小小規規模模 24% 12% 47% 17%

FB無無、、大大規規模模 24% 13% 40% 23%

FB有有、、小小規規模模 21% 13% 35% 31%

FB有有、、大大規規模模 25% 18% 35% 23%

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グラフ1 グラフ2

グラフ3 グラフ4

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フィードバック無しで且つ小規模学級の場合では、学力レベル上位層の割合が減り、中上位層は増え、下位層と中下位層はほとんど変化がない(グラフ1)。次にフィードバック無しで且つ大規模学級の場合では、学力レベル上位層の割合はほとんど変わらず、中上位層は増えた。また、下位層と中下位層についても、若干減少が見られた(グラフ2)。フィードバック有りで且つ小規模学級の場合では、学力レベル上位層の割合が増え、中上位層は若干の減少が見られた。また、下位層においては減少が見られ中下位層においてはほとんど変化が無かった(グラフ3)。最後に、フィードバック無しで且つ大規模学級の場合では、学力レベル上位層、中上位層ともに割合が減少。中下位層がかなり増え、下位層には若干の減少が見られた(グラフ4)。◎考察

上記の分析の結果から、学級規模の大小、そして教師によるフィードバックの効能についての関連についてまとめると、小規模学級においてフィードバックを行うというパターンが、最も学力レベル上位層と中上位層の割合を増やすという傾向が現れた。同時に、学力レベル下位層の生徒の割合を減らすのにも、このパターンが最も効果的であるように見て取れるという結果となった。よって、小規模学級できちんとした教師による積極的な教育活動を施すことが、生徒の学力レベルを引き上げることに効果があるのではないだろうか、という結論が導かれたのである。

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2班

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•  2013 42014 5

50(

•  76 (aggregated(data

• 

•  2

2

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1

/ " 0 1

1( 12((63.2%)(

7((36.8%) 19

2 15((78.9%)

4((21.1%) 19

3 13((65.0%)

7((35.0%) 20

4 15((83.3%)

3((16.7%) 18

55 21 76

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(2(

((

((→

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3班

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学級規模が教師の学習指導に与える影響と、児童の学力に与える影響

文責:3班

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分析対象:

対象数:76学級の内訳

分析・集計手法:偏差値の変化がクラスサイズとフィードバックの有無で結果がどのように変化するか、クロス集計によって明らかにした

学校・学年の平均学級規模が18.75までで1, 24.50までで228.00までで3, それ以上を4  とした学級規模の違うクラスをそれぞれフィードバックの有無で分けた

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結果

考察偏差値差得点平均では、小規模学級で効果あり。しかし大規模学級では、マイナスに→元々フィードバックをしている学級数が少ない(データに誤差)大規模学級でフィードバックなしが偏差値が上がっている→もともとの4年生のころの偏差値が低かったため、伸びしろがあるのでは

表1 - 学級規模ごとのフィードバックによる偏差値差得点の変化量

表2 - 学級規模ごとのフィードバック数

表3 - 学級規模ごとの第4学年偏差値平均のフィードバック前後の変化

表4 - 学級規模ごとの第5学年偏差値平均のフィードバック前後の変化

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4班

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1.  #2013 4 2014 5

50 76 ##2.# #

76 1672( )##3.# #

4

##4.# (1)#

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4.# (2)##

#(= ) #

#

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5.# ##

###

#/ #

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5班

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t1時点における平均偏差値

cs\kfb 0 1

1 54.22735551 53.37142857

2 53.6617809 52.67102415

3 51.94816141 53.08653846

4 51.88316182 53.43376158

t2時点における平均偏差値

cs\kfb 0 1

1 53.44492469 54.48730317

2 52.47476114 52.72168803

3 52.63349791 51.75994194

4 53.90794233 54.50681445

t1時点における平均標準偏差

cs\kfb 0 1

1 9.927983059 9.274436309

2 10.16805291 10.45084972

3 11.34305478 10.17522897

4 11.25222224 10.27136257

t2時点における平均標準偏差

cs\kfb 0 1

1 9.282919891 8.961897495

2 9.980795347 9.327316972

3 10.91546904 10.66920351

4 9.891507441 10.48452245

二時点間の標準偏差の平均の差

cs\kfb 0 1

1 -0.645063167 -0.312538814

2 -0.187257567 -1.123532749

3 -0.427585741 0.49397454

4 -1.360714797 0.213159874

二時点間の平均偏差値の平均の差

cs\kfb 0 1

1 -0.782430825 1.115874599

2 -1.187019762 0.050663879

3 0.685336505 -1.326596522

4 2.024780506 1.073052871

表1

表3

表2

表4

表6表5

[対象]山形県内の小学校のうち、2013年度の第3学年と2014年度の第4学年を対象に社会科の標準学力検査を実施した学校50校の72学級を対象に、学級規模が教師による

フィードバックの実施の有無に関係するのか、また、フィードバックの実施が児童の学力向上をもたらすのかを分析した。

[方法]まず、72の学級をkfb(0,1)とcs.c(1~4)によって8つのグループに分類した。そして、第3学年4月の標準学力検査の学力偏差値の平均、標準偏差とそれぞれ第4学年4月の

標準学力検査の学力偏差値の平均、標準偏差をクロス集計によって比較した。また、その2時点間の標準偏差の差の平均と平均偏差値の差の平均もクロス集計をし、比較した。

[結果]表1.3から分かるように、t1時点ではcs.c1.2はkfb0の方が高い平均偏差値を取っており、逆にcs.3.4に関してはkfb1の方が大きな値を取っていた。それに対して、t2時点では、cs.c1.2.4に関してはkfb1の方が高い値を示し、cs.c3のみkfb0の方が高い値を取った。続いて二時点間の平均偏差値の平均の差の結果を述べる。表5から分かるように、cs.c1,2に関しては、kfb1の方が平均偏差値は伸びており、cs.3.4に関してはkfb0の場合の方が平均偏差値が伸びているという結果になった。表2.4から分かるように、両時点において平均標準偏差が最も小さくでたのは、CS.c1かつkfb1の集団であった。T1時点に関しては、kfbの有無に関わらずcs.c3が最も大きな値を示しており、cs.1がkfbの有無に関わらずどちらも相対的に小さな値が検出された。T2時点では、kfbの有無に関わらずここでもcs.c3が最も大きな値をとっており、cs.cが最も小さな値を示している。Kfbの有無で各cs.c層毎に偏差を比較すると、cs.c1~cs.c3まではkfb1の方が小さい値をとっているのに対し、cs.c4に関してはkfb0の方が小さい値をとっている。表6から、cs1においては、fbを行った方が標準偏差の平均の差

は広がり、行わなかった場合と比べて、0.333広がった。一方、cs2においては、fbを行う方が-0.936だけ差は狭まり、cs3,4に関しては、標準偏差の差はfbを行うことにより、それぞれ0.922、1.574だけ広がった。他のcs層と比べて、cs1で観測された数値は小いことも分かる。

[考察]Cs.c12を小規模学級、cs.c3.4を大規模学級として捉えた場合、平均偏差値の平均の差からkfbは小規模学級においての方が影響力を持つことが分かり、大規模学級に

おいては逆効果ということが分かった。また、表儒偏差の平均の差に関しては、小規模学級において一定の見解を得ることが出来なかったが、大規模学級ではkfbによっ

て逆に標準偏差は広がってしまった。これは、先生1人に対し、個別指導を効果的に行える生徒数に限界があることを表していると考えられる。また、結果としてt2時点でcs4kfb0が最も大きな平均偏差値の上昇が見られたことから、大規模学級において生徒同士の競争原理に関してもより詳しく着目していくべきだとも考える。

5班 統計データ分析結果報告

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cs.c/kfb 0 11 12 72 15 43 13 74 15 3

cs.c/fb 0 11 -1.15477 2.1724562 -0.49989 0.05813 0.425351 -1.331094 1.707412 -0.62458

-2

-1

0

1

1 2 3 4

�学力�の��の平均

kfb無 kfb有

cs.c/kfb 0 1

1 -0.083333333 -0.857142857

2 -0.266666667 -1.25

3 0.461538462 0.857142857

4 -1.6 -1

[結果]表7.8から、cs.c1とcs.c3においてkfbをしている学級が�く見られる。学級規模が小さい�、kfbの�度が高いといった結果は得られず、比�関係のようなものは見られない。mean.gain に関しては、cs.c1、kfb1の学級、cs.c�、kfb0の学級で、高い�の数値が見られ、cs.c1、kfb0の学級、cs.c3、kfb1の学級で高い�の数値が見られる。�1.2表9.10からは、�学力と高学力の��に関しては、cs.c3のみ、kfbの有無に関わらず�学力�の��がみられた。また、cs.c4では、kfbの有無に関わらず�学力�の��がみられる。cs.c1とcs.c2では、フィードバック有の学級の方がフィードバック無の学級よりも�学力の��が��である。cs.c1、kfb1、すなわちkfbの実施が行われ

ている小規模学級においてのみ高学力層の��がみられた。その他の高学力層では��はみられない。kfb無の学級は学級規模が大きくなる�ど高学力層の��がみられる。kfb1の学級は学級規模による高学力層の��はわずかにしかみられない。最�に�3.4表11.12から、�学力層と高学力層の��についての結果を述べる。cs.c1、kfb1、またはcs.c�、kfb0で�学力層の��が��に見られる。またその��はkfbの実施が行われている学級においては学級規模が大きくなる�、��し、kfbの実施が行われていない学級においては学級規模が大きくなる�ど��している。cs.c1・kfb1、またはcs.c�・kfb0のkfb0の大規模学級で、高学力層の��が見られる。またその��はkfbが行われている学級においては学級規模が大きくなる���し、kfbの実施が行われていない学級においては学級規模が大きくなる���し、�にcs.c3からcs.c4�の��は��である。考察�学力層の��は、kfbの実施が行われている小規模学級において、高学力層の��は、kfbの実施がある小規模学級、kfbの実施がない大規模学級において��に見られることが両�のデータからわかる。大規模学級においてはkfbによる効果はあま

りみられない。しかし、�学力層�高学力層は��に��する。よって、それぞれの層の�を��して検�する��がある。�学力層の��、高学力層の��はkfbの実施が行われている小規模学級、kfbの実施がない大規模学級において��に見られることが両�のデータからわかる。また、kfbは小規模学級においては学力の向上に��するが、大規模学級ではあまり効果を生み出さないことが考えられる。

[方法]続いて、まずcs.cとkfbの有無とcs.cとmean.gainの平均値に関してクロス集計を行った。そして、�時点間における�学力(学力偏差値1)と高学力(学力偏差値4)の��の平均をそれぞれ、グ�フとクロス集計で表した。それと同時に�学力層と高学力層の�を広�、学力偏差値1,2を�学力層、学力偏差値3,4を高学力層として同�集計も行った。

表7. cs.cとkfbの有無 表8. mean.gainの平均値

�1. �学力�の��の平均

表9. 二時点間の�学力�の��の平均

-3

-2

-1

0

1

1 2 3 4

高学力�の��の平均

kfb無 kfb有

cs.c/kfb 0 1

1 -2 0.857142857

2 -1.133333333 -1.5

3 -0.230769231 -0.857142857

4 0 -1

�2. 高学力�の��の平均

表10. 二時点間の高学力�の��の平均

Page 25: 慶應義塾大学 教育学特殊 第11講(2016年67月6日)

-3

-2

-1

0

1

2

1 2 3 4

�学力層の��

kfb無 kfb有

�3. �学力層の��の平均

cs.c/kfb 0 11 0.083333 -0.571432 0.133333 0.53 0.076923 0.5714294 -1.86667 1.333333

表11. 二時点間の�学力層の��の平均

-2

-1

0

1

2

3

1 2 3 4

高学力層の��

kfb無 kfb有

�3. 高学力層の��の平均

cs.c/kfb 0 11 -0.08333 0.5714292 -0.13333 -0.53 -0.07692 -0.571434 1.866667 -1.33333

表12. 二時点間の高学力層の��の平均

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6班

Page 27: 慶應義塾大学 教育学特殊 第11講(2016年67月6日)

< >2013

3 2014 4 5076

2

.

1 2 3 4

-3.07 -2.54 -0.73 0.93 -1.1 -1.33 -3 -0.32 -1.4 -0.19 2.53 -0.9 -0.47 -0.73 2.78 -3.61 0.44 -0.95 -0.68 -0.83 -1.08 0.9 -0.3 4.21 4.88 0.68 -0.16 2.67

5.846 -3 0 0.34 5.22 5.9 0.96 1.65 -1.5 -0.3 -0.83 3.8

-1.928 1.63 -1.8 0.17 -2 -1.36 -1.73 -3.93

0.866 -0.04 -1.34 7.45 4.83 1.42 3.29 3 -4.33 -0.52 -1.69 3.31 -1.15 1.5 -1.66 -1.72 3.33 -3.4 3.87 2.06 -2.5 -2.47 -0.07 5.44 -3.53 -2.45 0

-3.2

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① 1 ② 2

2

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

-4-2

02

46

2

学級規模

mean.gain

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

-6-4

-20

24

61 2 FB

FBの有無

mean.gain

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

-6-4

-20

24

6

4 2 FB

FBの有無mean.gain

Page 29: 慶應義塾大学 教育学特殊 第11講(2016年67月6日)

① ② FB

FB ③ FB

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7班

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(1)分析対象山形県内の小学校のうち、2013年度の第3学年と、2014年度の第4学年の社会科の学力

(2)対象数山形県内の小学校50校

(3)分析・集計の方法▶仮説:小規模学級であるほどFBが行われやすく、さらにFBが行われるほど生徒の学力は上がりやすい▶方法:学級ごとにまとめたaggregated dataを対象とし、以下を検討する①CSの大きさとFBが行われた割合② CSの大きさとFBの有無ですべての学級を8つに分類→3年生時と4年生時の平均学力偏差値の推移と平均標準偏差の推移

(当該学級の学校・学年の平均学級規模は以下のように定められているCS1:18.75まで、CS2: 24.50まで、CS3 28.00まで、CS4: 28.00より上)

7班 データの分析

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<それぞれのクラスサイズとFBのなされる割合の関係>FBあり FB�し

�数 割合(�) �数 割合(�)CS1 7 36.84 12 63.16CS2 4 21.05 15 78.95CS3 7 35.00 13 65.00CS4 3 16.67 15 83.33

FBあり 3年生 4年生 3年生時と4年生時の変化量

CS1 平均偏差値 53.37142

85755.54388

422 2.172455649平均標準偏差

3.538009991

4.892517632 1.354507641

CS2

52.67102415

52.72912395 0.058099795

3.011194022

2.79427045 -0.216923573

CS3

53.08653846

51.75544363 -1.331094831

2.714628803

3.097887118 0.383258315

CS4

53.43376158

52.80918633 -0.624575246

2.077334856

2.311628042 0.234293186

FBなし 3年生 4年生 3年生時と4年生時の変化量

CS1 平均偏差値 54.2273

555153.07258

852 -1.154766992平均標準偏差

3.863093397

3.02584922 -0.837244177

CS2

53.6617809

53.16188969 -0.499891214

3.127343556

2.738453374 -0.388890182

CS3

51.94816141

52.37351255 0.425351143

3.505758583

2.686818548 -0.818940035

CS4

51.88316182

53.59057413 1.707412307

3.526126603

3.40029896 -0.125827643

(4)分析・集計の��

(5)��に対する�����学級規模とFBの有無には��が�られ�い�▶平均学力偏差値の推移FBあり:CS1,2で���がら上�、CS3,4で��に下�FB�し:CS1,2で���がら下�、CS3,4で��に上�

▶平均標準偏差の推移FBあり:CS2の�小さく�るFB�し: CS1,2,3,4のすべてに�いて小さく�る→FBが行われ���た学級では学級内の学力の�らつきが、FBの行われた学級に�べて小さく�る

Page 33: 慶應義塾大学 教育学特殊 第11講(2016年67月6日)

目的と考察の執筆

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目的と考察の執筆

分析結果から

学級規模の主効果� 学級規模とフィードバックの実施状況との違いは見られない

(7班)。� 学級規模と学力の変化との違いは見られない (6班)。

学級規模と過去の学力との交互作用� 学力の変化に対する学級規模と過去の学力との交互作用は見られない (6班)。

学力のばらつき� 解釈可能な傾向が見られない (4班,7班)

教育学特殊 XIV(第 11 講) 学級規模研究データの分析 (4) 2016 年 7 月 6 日 13 / 21

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目的と考察の執筆

分析結果から学級規模・過去の学力・フィードバック

� 小規模学級・フィードバックあり:学力偏差値の平均が上昇 (2班,3班),上位層の増,下位層の減 (1班,5班)

� 大規模学級・フィードバックあり:学力偏差値の平均が下降 (2班,3班),上位層の減,下位層の減 (1班,5班)

結果の背景� 大規模学級の方が過去の学力が低い傾向

� 伸びる余地が大きいか� 学級規模とフィードバック

� 教職経験年数を揃えると (10年以下),学級規模+はフィードバック−(参考http://ci.nii.ac.jp/naid/110009981817)

� 過去の学力が低いほど,低学力層が多いほどフィードバックは多いか� 仮にこのような関係が見られれば,過去の学力が低いほど教師はフィードバックを行なおうとするが,それが功を奏するのは小規模学級,といった解釈も可能

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目的と考察の執筆

目的の執筆本来であれば

� 先行研究の流れを踏まえて問題を導き,さらに特定する。

この講義の課題は演習なので� まとめた先行研究レビューと,分析結果とをすりあわせて,後付け的に問題を設定する。

� 先行研究レビューについては,bibliographyの作り方に注意。

妹尾渉・北篠雅一・篠崎武久・佐野晋平 (2014). 回帰分断デザインによる学級規模効果の

推定:全国の公立小中学校を対象にした分析 国立教育政策研究所紀要, 114433, 89-101.

Blatchford, P., Bassett,P., & Brown,P. (2011). Examining the effect of class size on

classroom engagement and teacher: pupil interaction: Differences in relation to pupil

prior attainment and primary vs. Secondary schools. Learning and Instruction, 2211,

715-730.

Konstantopoulos, S., & Sun, M. (2014). Are teacher effects larger in small classes?

School Effectiveness and School Improvement, 2255, 312-328.

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目的と考察の執筆

考察の執筆考察のセクション

� 第 4節 (結果)に示した結果を,第 2節 (目的)の内容と整合的に結果を解釈しなさい。

� 結果の解釈の結果を,文献を引用しながら考察しなさい。� 考察に当っては 4本以上文献を引用するとともに,この講義で講読したもの以外の文献を 2本含めなさい。

考察の書き方� 他の班の分析結果も含めて取捨選択して,結果として扱う図表を整理する。(有効数字を揃えたりすること)

� 図表から何が言えるのかを言葉で説明する。� 説明した内容の背景を先行研究による知見や隣接諸領域の理論を用いて考察する。

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目的と考察の執筆

考察のための先行研究や理論の見つけ方

図書館の「ゼミ別基本資料」を参考にする� 「図書 (和書)」に載っているリファレンスブックを眺める。� 「図書 (洋書)」の「教育心理学全般」「教授学習過程」にあがっている書籍はけっこう参考になる。

� 「学術誌」の目次を 20年分くらい眺めてみるのも手っ取り早い。

図書館の書架をぶらぶらする� 教育心理学の棚を眺めて説明に使えそうな本を探す� 一般的な教育心理学のテキストの目次や索引を眺めながら,どのような説明がつきそうかを考える。

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本日の課題

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本日の課題

課題の内容

結果の整理と考察案の作成� 結果の図表を整理する (他の班の成果を使ってもよい)� 整理された図表に対する説明をする� 結果の説明に対する考察を文献を引用して執筆する� 考察に使った文献のビブリオをつくる

提出� 分析班で一つの成果物をまとめる� 各自が授業支援システムに提出する� 提出の形式は PDFとする� 7月 12日 (火)の午前までに提出すること

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本日の課題

参考:最終課題の流れ問題 これまでの研究史に基づき,明らかになっていることといな

いことを特定し,必要性の有無を判断し,問題を特定する。

目的 特定された問題から,研究の目的を定義する。

方法 研究目的を達成するために適合的な方法によってデータを収集するとともに,研究目的とデータの性質に見合った手法による分析を行う。

結果 研究の目的に沿いつつ,主観を排して結果を提示する。

考察 結果を研究目的に沿って解釈し,特定された問題に再投入して考察を行い,自身あるいは他者による次なる研究につなげる。

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出席とスライド

本日の出席とスライド

本日の出席

https:

//questant.jp/q/160706

本日のスライド

https://speakerdeck.com/

koyo/cs160706

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