新島学園短期大学 2004.1.24 経営分析の勘どころ–¶業利益(nopat)...
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内 容
1.投資意思決定の指標1-1.投資意思決定問題のタイプ1-2.わが国大企業の投資案評価1-3.投資意思決定分析の意義
2.経営指標2-1.主要企業の経営目標2-2.経営指標の図解2-3.経営指標と経営システム2-4.EVAによる業績評価と報酬制度
3.意思決定・分析に役立つグラフ(追加)3-1.優劣分岐線グラフ3-2.バブルグラフによる資産利益率
投資案の意思決定
組織全体・各部門の業績評価
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1-1.投資意思決定問題のタイプ
(1)排反案からの選択=1つの案を採択額の尺度:正味利益、キャッシュフロー、NPV、EVA、MVA
(2)独立案からの選択=複数の案を採択、加法性
率の尺度:利益率、時間当り付加価値などの効率尺度、IRR
(3)混合案からの選択=(1)+(2)
– 追加利益率の利用による全体最適化
– 数理計画法
(4)混合案の例示
①本社が全工場に合理化投資案提出を指示
②各工場で1つの“最適な”投資案を提出(排反案からの選択)③本社で各工場の案に優先順位を付け、上位4件を採択(独立
案からの選択)
感度分析の重要性• 予算額の変更• 資本コストの変化
• 政策的選択
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1-2.わが国大企業の投資案評価
76.3%68.860.246.246.2
76.3%55.947.339.829.0
回収期間法会計的利益率法IRR or NPVIRRNPV
将来の利用予定割合
従来の利用割合
投資案評価手法
(1)手法
依然として回収期間法や会計的利益率法などの簡便法の利用割合が高いが、IRR、NPVを併用する企業が増えている。
(データは鳥邊(1996調査93社)より)
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(2)キャッシュフローの予測
「ある」の割合71.0%
②キャッシュフローを見積もるための標準的な手続きの有無
25.8%37.621.555.922.624.722.612.9
あらゆるタイプの投資施設の拡張合併・買収新規設備施設の近代化設備の取替研究開発情報化
①キャッシュフローの詳細な見積もりを必要とする投資案のタイプ
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30.1%38.76.58.63.2
1-3年4-6年7-9年10-12年12年超あるいは投資により異なる
④平均的な予測期間
34.4%15.118.318.36.54.3
経営者の主観的見積もり専門家の意見感度分析コンピュータ・シミュレーション精緻な数学モデル確率理論
③キャッシュフローを見積もる方法
新規投資や施設の拡張投資に際しては、4-6年程度のキャッシュフローの見積もりを行っている企業が少なくないが、その方法は経営者の主観的な見積もりが最も多い。
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1-3.投資意思決定分析の意義
(1)分析を行わない言い訳
– キャッシュフローの予測をしても当らない
– 予測に必要な情報が不足している
– 分析をしている余裕が無い
(2)分析の意義
– 分析の目的は予測ではなく、生起しうる結果への備え
– 実施後モニタリングすべき項目は何か
– 実施前により精度の高い予測が必要な項目は何か
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2-1.主要企業の経営目標
17
19
8
38
41
7
1
38
1
40
23
2
41
2
49
49
0 60
配当性向
配当金
1株利益
ROE
株主資本効率の指標
売上高純利益率
売上高税引前利益率
売上高経常利益率
売上高営業利益率
売上高に対する利益率
最終利益
税引前利益
経常利益
営業利益
利益の絶対額
売上高
(データは1997.4.3日経新聞より) (単位:社)
主な指標
•売上高•経常利益
•経常利益率
•ROE
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その他、最近では
① ROA(総資本利益率)=利益/総資本利益として、•経常利益•事業利益(=営業利益+受取利息・配当金)•当期利益
② EVA(経済付加価値)=NOPAT-資本費用±調整額•NOPAT=税引後事業利益•資本費用=投下資本×資本コスト(%)
③ CFROI(投下資本キャッシュフロー比率)=フリーキャッシュフロー/投下資本
•フリーキャッシュフロー=税引後営業利益+減価償却費-設備投資-運転資本増加額
•投下資本=運転資本+固定資産
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売上高 総資本×
総資本 株主資本
当期利益 当期利益 売上高
② ROE(株主資本利益率)= = ×
株主資本 売上高 株主資本
財務レバレッジ
付加価値 付加価値 売上高
③ 人件費当付加価値= = ×
人件費 売上高 人件費
=(付加価値率)×(人件費当売上高)
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【さざんか本店】人件費当たり売上利益の推移
3.00
3.20
3.40
3.60
3.80
4.00
4.20
4.40
4.60
4.80
5.00
70% 72% 74% 76% 78% 80%
付加価値率
人件費当たり売上
2.5
2.8
3.1
3.4
7年
8年
9年
10年
某居酒屋
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10年度全店生産性比較
1.00
2.00
3.00
4.00
5.00
6.00
7.00
8.00
60% 70% 80% 90% 100%
付加価値率
人件費1円当たり売上高
2
3
4
5
本店
六角
酒仙
エプロン
オペラ
秀仙閣
グループ各店
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2-3.経営指標と経営システム
(1)経営指標と価値創造の不整合• 投資意思決定と業績・報酬尺度、企業価値(株主価値)の整合性
• 従業員、経営者、株主の共通尺度は何か
① 売上高– 利益を度外視した規模の拡大、値引き、過剰な広告宣伝が行われやすい。
② 経常利益– 資本効率を考えていない。– 支払金利差引後の利益だから、右肩上がりでかつ日本企業の負債依存度が高かった時代には、資本費用も考慮されており、悪くない指標だった。
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③ 売上高利益率
資本効率を考えていないので、回転率で稼ぐ事業へのインセンティブが生まれない。
④ ROA、ROE 資本効率が高い事業へのインセンティブが働くので、リストラ(縮小均衡)を促進する。
資本コストを考慮していないので、ROAより利回りが低い投資は、価値を生み出す場合でも採択されにくい。
ROEは事業部別に割り振りにくい。
⑤ キャッシュフロー
フリーキャッシュフロー=(営業活動+投資活動)からのCF
設備投資額が全額当該期のみの負担になり、設備投資へのインセンティブが働かない。
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(2)率の指標と額の指標(EVA)
↑300120180EVA
↓
↓
3,07040013%
2,00020%5%15%100
1,54017011%
1,00017%5%12%50
1,53023015%
1,00023%5%18%50
売上高営業利益(NOPAT)売上高利益率投下資本投下資本利益率資本コストEVAスプレッド資本費用
投資実施後新規の投資案件既存事業EVAケース1
(スターンスチュワート社(2001)を基に作成)
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EVAの変化
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
0 1000 2000 3000
投下資本
EVAスプレッド 100
150
200
250
300
既存事業
新規事業
実施後
23
↓▲25▲5▲20EVA
↑
↑
1,60050
3.1%1,5003.3%
5%▲1.7%
75
400205%
5004%5%
▲1%25
1,20030
2.5%1,000
3%5%
▲2%50
売上高営業利益(NOPAT)売上高利益率投下資本投下資本利益率資本コストEVAスプレッド資本費用
投資実施後の結果
新規の投資案件
既存事業EVAケース2
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2-4.EVAによる業績評価と報酬制度財務会計の目的は期間損益計算による外部への報告
IRR,NPVなどキャッシュフローと割引の概念は個別投資案の経済性評価
期間業績評価には適さない
投資案のフリーキャッシュフローの正味現在価値(NPV)
=投資案のEVAの現在価値合計=投資案のMVA
EVAは業績評価と報酬制度を価値創造に整合させることを目的とする
(1)EVAの調整項目の例(企業独自に重要項目を選定)
①長期間効果を生む広告宣伝費は資産計上し、減価償却を行う。
②営業権は償却を行わない。
③リース機器は資産、負債計上し、減価償却、利息支払を行う。
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3-2.バブルグラフによる資産利益率
2002年度事業別業績
294,395
464,837 910,436
265,513
192,692
-6.0%
-4.0%
-2.0%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2
資産回転率
営業利益率
電子デバイス
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キャリアデザイン学科におけるビジネス分野の教育
管理会計論※
経営分析論※
起業論
ビジネス・フィールドワーク※
ビジネス応用
(2年次)
財務会計入門
税務入門
マネジメント入門※
販売管理論
ビジネス基礎
(1年次)
科目ユニット
その他、経済と金融(FP資格対応)、秘書・貿易技能ユニットおよび社会保険労務士等の対策講座が開講されます。