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事業報告書 2016年度 2015年7月 1日 2016年6月30日 公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン

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  • 事業報告書

    2016年度

    自 2015年7月 1日

    至 2016年6月30日

    公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン

  • 1

    2016年度 事業報告

    活動の概要

    今年度は、3ヶ年中期戦略 2017(2014年 7月~2017年 6月)の第 2年次となり、1)明確な

    付加価値、2)財政の再建と健全化、3)認知度と影響力、4)より貢献度と効率性の高い組織

    を目指して、4つの基本戦略を行った。

    最初に、①「女性と女子」というテーマに基づく事業の実施、支援効果、持続発展性の向上

    を進めた結果、ジェンダー1平等と女性のエンパワメントを目指す海外事業2件を政府系助成

    金と民間資金により開始することができた。

    また、②戦略的なコミュニケーション(働きかけ)の強化により、支援者からのお便りやメー

    ルによる好意的なコメントが増えた。また、2大キャンペーン(つながる国際協力「CAREスマイ

    ルギフトキャンペーン 2015」と歩く国際協力「Walk in Her Shoes 2016」)や各地でのジェンダ

    ー・セミナー等を通して、支援者や潜在的な支援者との交流機会を増やすことができた。さら

    に、これまでのジェンダー主流化促進とアドボカシー経験を活かして、ジェンダー関連の政府

    政策にも影響を与えることができた。

    さらに、③収支管理の改善とリソースの有効活用においては、予実管理が月次で見れるよ

    うになり、役職員間で財政状況を把握することができるようになった。そして、継続的なインタ

    ーンの獲得と継続的に関わるボランティアの協力により、業務の効率化を図ることができた。

    上記3つの基本戦略は順調に進んだが、④民間資金の拡大と自己資金能力の向上は、

    様々な対策を講じたが、目標には至らなかった。特に、企業からの大口寄付の獲得、寄付付

    き商品の新規開拓、新規の個人寄付の開拓ができず、収入減に大きく影響した。一方、役員

    の働きかけにより新規法人会員の拡大、新たな法人との関係構築をすることができた。

    なお、4 月に発災した熊本地震は、当財団の支援組織がある都道府県での災害となり、熊

    本の支援組織であるケア・サポーターズクラブ熊本と初めて支援事業レベルで連携することと

    なり、多くの教訓を得た。

    1 ジェンダーとは、生物学的性別に対して、社会や文化的に形成されてきた性別 (田中由美子、伊藤るり、大沢真理『ジェンダーと開発』2002 年、国際協力出版会) ジェンダーの定義は概ね 4 つの側面から捉えられる。1)「社会的・文化的に創られた性・性別・性役割」であることの含意における「構築性」、2)性のダブルスタンダードなど性の「非対称性」の側面、3)優

    位・劣位関係を組み込んだ性別秩序の「階層性」の側面、4)人種、民族、宗教、年齢など「他の階層問

    題とジェンダーとの重層性」の側面にわたるもの。(竹村和子「ジェンダー」、井上輝子、江原由美子、加

    納実紀代、上野千鶴子(編)『岩波 女性学事典』2002 年、岩波書店)

  • 公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

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    ジェンダー平等と女性のエンパワメントを通じた海外における支援事業の展開については、

    今年度は以下の7つの事業を実施した。詳細は、【事業詳細】を参照。

    区分 新旧 国 事業名 支援元

    開発① 継続 ガーナ ソーシャル・ビジネス事業 企業

    開発② 継続 東ティモール コミュニティ・ラファエック事業 支援組織、個人、

    企業等

    開発③ 新規 東ティモール エルメラ県アッサベ郡農村地域の

    生業向上事業

    外務省、

    支援組織等

    開発④ 新規 ガーナ 北部州イースト・マンプルーシー郡

    2 歳未満児の栄養改善事業

    外務省、企業等

    緊急① 継続 ネパール ネパール大地震被災者支援事業 企業、支援組織、

    個人等

    緊急② 新規 ヨルダン等 シリア難民支援事業 支援組織、個人等

    緊急③ 新規 日本 熊本地震被災者支援事業 企業、個人、

    支援組織等

    (記)

    当財団は、国際協力事業を行う公益目的事業1(以下、「公1」)、普及啓発事業を行う公益

    目的事業2(以下、「公2」)、組織の管理を行う法人会計(以下、「法人」)という区分により、公

    益法人の認定を受けている。以下の頁にて、各事業を報告する。

  • 3

    1. 事業部署 【公 1】

    基本戦略1

    「女性と女子」というテーマに基づく事業の実施と評価に基づく支援効果、持続発展性の向上

    活動実績

    1.事業運営管理の重点課題

    A)各事業計画へのジェンダー視点の反映

    ・「ジェンダー・多様性に関する方針」に基づき、2015 度から導入したジェンダー・チェックリ

    ストを用いて、新規の助成金事業 2件について申請前チェクを行い、事業開始後も四半期

    毎にチェクを行う。

    B)各事業サイクルにおける評価と評価に基づく事業運営

    ・2015 年度から導入した簡易評価システムを用いて、新規の助成金事業 2 件について申

    請前評価を行い、事業開始後も四半期毎に簡易評価を行う。

    基本戦略2

    民間資金の拡大と自己資金能力の向上

    活動実績

    1.事業規模と質の確保

    C)政府系助成金の継続的獲得による事業規模の確保

    ・東ティモール及びガーナにおける新規事業の実施に向け、外務省 NGO 連携無償資金協

    力事業(N 連事業)に申請した。両事業ともに 2016 年 2 月に採択が決まり、事業が開始

    された。

    ・開発系コンサルタント及び大学機関との 3 者共同事業案件として、JICA 草の根開発パー

    トナーに申請を検討したが、最終的に申請を断念した。

    ・公示案件への将来的な NGO の参画に向け、「一号業務(公示案件)参画促進にかかるタ

    スクフォース」の NGO 側のメンバー団体として定期的に会合に参加し、JICAと協議、意

    見交換をしてきた。

    D)事業申請書及び事業報告書の精度の維持と向上

    同上。

    2.企業連携の促進

    E)対象国のニーズに合致した企業連携事業の構築

    ・東ティモールで継続的に支援している「コミュニティ・ラファエック事業」において、学研から

    のラファエック雑誌の一部紙面へのコンテンツ提供の可能性について、現地事務所側と

    協議を開始した。

    3.現地事務所の戦略的選択

    F)継続的かつ安定的連携を可能にする現地事務所の戦略的選択

    ・アジア(東ティモール)に限定した集中的な事業支援を行った。

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    基本戦略3

    戦略的なコミュニケーション(働きかけ)の強化

    活動実績

    1.ドナーリレーション強化

    G)政府系ドナーとのより良い関係性の構築

    ・東ティモール及びガーナのN連事業を申請する過程で、外務省(民間援助連携室ほか)、

    当該国日本大使館と綿密な連絡調整を行った。採択以降も引き続き、主に同地の日本

    人駐在員を通して必要な連絡調整を行ってきた。

    基本戦略4

    収支管理の改善とリソースの有効活用

    活動実績

    1.事業部内組織強化

    H)職員の成長の機会の提供と各自のパフォーマンスの向上

    ・東ティモールとガーナにおけるN連事業の開始に伴い、2 人の日本人派遣駐在員が決ま

    った。派遣前内部研修として、研修ツールを刷新し研修を行った。

    ・2016 年 4 月の熊本大地震を受け、支援組織が所在する地域での激甚災害が発生した場

    合の対応のありかたについて、現行の国内緊急時対応プラン(EPP: Emergency

    Preparedness Planning)に追加した。

    ・防災関係については、東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議の全体

    会及び城西ブロック社会福祉協議会連絡会議に定期的に参加し、関係者ネットワークの

    維持を図った。

    2.マーケティング部署 【公 2】

    基本戦略1

    「女性と女子」というテーマに基づく事業の実施と評価に基づく支援効果、持続発展性の向上

    基本戦略2

    民間資金の拡大と自己資金能力の向上

    基本戦略3

    戦略的なコミュニケーション(働きかけ)の強化

    活動実績

    1.広報・ブランディング強化

    A)適切なポジショニング確立とブランディング再構築・強化

    ・事務局長と「女性企業家」とのリレー対談企画は、4 回の予定が、2 回の掲載に留まった。

    一方、対談企画の協力者をゲストに、初めての「朝活セミナー」を開催(11 月)。高い ROI を

    記録し、女性をターゲットにした新たなブランディング強化型イベントとなった。

  • 5

    ・CARE の組織や活動全般につき紹介する新しい広報ツールとして、ボランティアの協力を

    得て、漫画タイプの資料作成に取り組んだ。

    ・電通主催「ソーシャル・ポスター展」に採用決定(6 月)。来年度、プロボノでの協力を得

    て、全く新しい視点から団体を紹介するポスターを制作予定。

    ・ケア・インターナショナルがビジョンとミッションの改定および新たにフォーカスを制定した

    ことを受け、日本語版を作成。次年度より、公開・周知予定。

    B)明確なターゲット設定に基づく広報メディアの多様化

    ・支援者調査ならびに分析を行い、支援者層ごとに異なるコミュニケーションニーズを調査

    するも、今年度は、主に既存広報媒体(年次報告書/ニュースレター/メールマガジン等)に

    よる、一律のコミュニケーションに留まった。

    ・既存支援者のメールアドレス取得が進まず、広報物発送の電子化(郵送ではなく Eメール

    配信)への早期移行を通じた業務効率化とコスト削減については遅延。

    ・若年層による寄付拡大を目指して、モバイルサイト構築の検討を開始した。

    ・ホームページについては、財政難のため、予定していた大幅リニューアルを中止した。毎

    月平均 3 件程度の記事を掲載したものの、年間アクセス数(PV)は昨年度と変わらず。

    ・出張帰国報告会(東ティモール)を実施するも、若干名の参加に留まる。緊急支援の報告

    会は未実施。

    ・歩く国際協力「Walk in Her Shoes(以下 WiHS)」、つながる国際協力「CARE スマイルギフト

    キャンペーン(以下 SGC)」、ファンドレイジングボランティア(以下 FRV)イベント等に関し

    て、ネットニュースを含め、新聞・雑誌関係の媒体に計 41 件掲載された。

    ・ソーシャルメディア(主に Facebook)については、コンスタントな情報発信に留まり、シェア

    やいいね!獲得強化に向けた特別な取り組みが出来なかった。但し、終戦記念日前後の

    7月から 12月にかけては、CI設立 70周年を記念し、主に Facebookで「CAREパッケージ」

    にまつわる新しい情報を継続的に発信し、一定の広報効果を得た。

    ・隔月発信を予定していたメールマガジンについては、WiHS告知 2回のみに留まり、活動ミ

    ニレポート等企画も未実施となった。また前年度に HP に設置したメールマガジン新規登録

    バナーがあるものの、積極的に広報できず、登録者の拡大に至らなかった。

    C)ファンドレイジングを意識した広報戦略実践

    ・年次報告書とニュースレター(2 回)を発行。

    ・新規団体紹介リーフレットの作成を予定していたが、他施策を優先し、対応できず。

    ・会員ならびに CARE マンスリー・ギビング・プログラム(MGP)寄付者を対象とした「年次報

    告会」を開催したが、若干名の参加者に留まった。

    D)広報効果の評価分析強化

    ・メルマガとニュースレターの E メール配信後の開封率調査が実施できず、コンテンツや配

    信時期(時間)等の改善につなげることができなかった。

    ・既存支援者を対象に、ブランド意識調査を実施した。

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    ・新規モバイルサイト構築にあたり、外部専門家に、既存ホームページについての分析・改

    善案を提示いただいた。

    ・SGC に関連して、ウェブ・マーケティングのプロボノ支援を獲得した。

    2.個人支援者の維持・拡大

    E)支援者のステップアップを意識した戦略的コミュニケーション

    ・「大口支援者向け満足度調査」「高支援者満足度調査」「新規 MGP 向け動機調査」「中低

    支援者向け寄付&MGP 意向調査」の 4 つを実施し、マーケティング施策ならびに支援者と

    のコミュニケーションの改善を図った。

    ・適宜、Salesforce マニュアルを更新するとともに、ダッシュボード機能の整備を行い、最新

    支援者分析の自動化を図った。加えて、次年度の導入に向けて、支援者マーケティング強

    化のための Salesforce アプリの調査を実施した。

    ・支援者目線に立ったわかりやすい支援方法案内ツール(紙・WEB)の作成は、未実施とな

    った。

    F)「単発寄付者」の参加・支援機会の拡大

    ・ボランティア・プロボノの活用強化については、DM や年次報告書/ニュースレターに加え

    て、新たに WEB での寄付拡大に向けたランディングページ作成ボランティアを獲得。大幅

    な経費削減につながった。

    ・FRVの活動については、第 8期として、10ヶ月間、5人のメンバーが活動を行った(3人離

    脱)。計 6 回のイベントを通じて、95 人の参加と 106,047 円の収益を達成。英会話、エシカ

    ルジュエリー、中東料理教室、シリア映画上映、ヨガ、フォトジャーナリストによる講演会な

    ど、多様なテーマでのイベントを開催し、43 人の新規参加者を獲得した。さらに、CARE+有

    志が、WiHS チャリティウォークのアクティビティを企画し、実施した。

    ・外部ポータルサイトについては、一般寄付・特定寄付ともに、予算の約 2 倍の収入を獲

    得。またシリアやネパール等緊急募金に際して、100 万円を超える寄付を集めた。

    ・クラウドファンディングについては、SGC では活用せず。一方、WiHS では、一部のガール

    スカウトが Japangiving を活用するも、小規模の寄付となった。

    G)「継続寄付者」の参加・支援機会の拡大

    ・予定通り、年 3 回の DM 発行と、同タイミングでのオンライン募金のランディングページ制

    作を行うも、目標達成率は 73%(3,135,216 円)に留まった。なお、ランディングページ制作

    については、ROI が非常に悪かったため、外注を止め、ボランティア対応に切り替えた。

    ・第 4 回 SGC を実施。延べ 116 人の個人から 468,062 円(目標 108%、但し前年比 74%)

    を獲得した。参加費下限を 1,000 円(昨年は 3,000 円)に下げてより多くの参加者数獲得を

    狙ったが、昨年度比 13人減の結果となった。また新規の参加は 51%に留まり、未だ、少数

    の既存支援者に支えられている状況。新規 CARE スマイルサポーターのアピールも弱く、

    入会は 2 人に留まった。他団体との協働で、第 2 回東ティモール・フェスタを企画・開催。

  • 7

    600 人が参加する大規模なイベントとなり、広報ならびに物販に加えて、関連団体や個人と

    の接点をつくる貴重な機会となった。

    ・第 5 回 WiHS を実施。432 人(前年比 136%/初参加者 81%)の個人から 684,477 円(前

    年比 80.6%)、法人からは 30万円(前年比 100%)の協賛金を獲得したが、いずれも目標を

    大きく下回る結果となった。一方で、大幅なコスト減により、ROI は前年比 23.1 アップの

    122.8%となった(但し人件費除く)。また法人から 1,088,730 円(前年比 97.8%)相当の協賛

    品を獲得。特に東京・大阪にて計 4 回実施したチャリティウォークイベントにおいて、申込み

    インセンティブとしての活用とともに、参加者満足度を上げることができた。月間表彰の賞

    品としても活用することで、ウォーキングの継続ならびに日々の歩数報告促進にも寄与し

    た。さらに外部協力者との連携も強化。新規取り組みとして、自治体の健康マイレージとの

    連携実績(1 件)を作るとともに、日本ガールスカウト連盟とは、さらなる連携強化を通じて、

    若年層への広報と巻込みを推進できた。一方、大阪&東京マラソンの寄付先団体に申請

    するも不採択。また予定していた九州(大分)でのイベントは未実施となった。

    ・FRV/CARE+主催のイベント参加者への事後コミュニケーションを強化することで、関係を

    維持し、単発寄付や有料イベントへの参加など、次なる支援機会の提案を行った。

    H)「定期支援者(CARE マンスリー・ギビング・プログラム支援者=MGP)」の維持・拡大

    ・CARE+の活動は、WiHS でのアクティビティ企画・運営に留まり、目的も MGP 獲得ではな

    く、参加者満足度の向上とした。また CARE+メンバーへの MGP 加入依頼を行うも、入会 2

    人(うち 1 人は、7 か月で退会)に留まった。

    ・8 期 FRV メンバー募集にあたり、当初予定した MGP 入会を絶対条件とせず。FRV 主催イ

    ベント参加者による MGP 入会も、1人に留まった。

    ・新規獲得の 4割(16人)を、オンライン経由で見込んでいたが、結果 8人に留まった。NPO

    向けの WEB 広告(google/Yahoo)を利用しながら、HP にて寄付ならびに新規 MGP 拡大を

    目的としたキャンペーンを展開するも(特典付き)、効果が見られなかった。

    ・DM/年次報告書/ニュースレターへの入会申込書同封のデザイン改訂を行い、計 5 回の

    勧誘を行うも、新規獲得の 7 人の目標に対して、結果 4 人の獲得に留まった。

    ・主に中支援者層に対する、MGP 移行へ向けたパーソナル DM(誕生日、支援開始日、支

    援累積額、年末等のタイミング)については未実施となった。

    ・当財団役員ならびに職員等内部関係者による協力を得て、12 月に友達紹介キャンペー

    ンを展開したが、新規入会なし。年々、当施策による入会数が減少している。また理事長な

    らびに2人の職員退職を機に、当該職員のツテで入会した支援者が、複数退会。身内や知

    人への勧誘のリスクが明らかになった。

    ・ユース MGP については、HP への概要掲載に留まり、積極的な広報・勧誘を行わず。

    ・賛助会員・準会員への会費請求のタイミングに合わせて、MGP への移行を依頼するも、

    MGP への移行なし。

    ・DMやニュースレターにて、既存MGPへの増額キャンペーンを実施。2人の既存MGPが、

    それぞれ+5 千円、千円を増額した。

    ・F2F の場を提供し、組織や事業への理解と信頼を深めてもらい、継続支援や高支援者層へ

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    の移行につなげることを目的に、7 月、第 3 回 PS フォーラムを開催し、11 人が参加した。フォ

    ーラムでは、「支援者と CARE 職員の在り方クレド」を参加者と共同で作成。事務局内でのフ

    ォローアップワークショップや職員の名刺サイズのクレド携帯等を通じて、浸透を図った。

    I)「大口支援者」の維持・拡大

    ・11 月末に 23 人の対象者に、個別の直筆メッセージとともに、サンキューレターを送付。計

    7 件、75 万円の寄付を獲得した(12 月 DM の実績として反映)。

    ・寄付額の拡大を目的とした、大口支援者向けの特別寄付プロジェクトの企画・提案、なら

    びに現地視察の声掛けについては未実施となった。

    ・遺贈に関連しては、「公益法人に関する NGO 連絡会・遺贈分科会」に加盟する他 NGO と

    協力して、共同パンフレットを制作。HP へのデータ掲載とともに、支援組織への郵送を行っ

    た。また、デロイト トーマツ コンサルティングによるプロボノ支援をうけつつ、共同パンフレ

    ット等の活用を検討した。さらに、外務省「NGO 研究会」の「遺贈寄与市場における NGO の

    優位性に関する調査」(事務局:オイスカ)の一員として、NGO への WEB アンケート、NGO

    へのヒアリング、勉強会・セミナーの実施、海外調査、シンポジウムの開催を行い、報告書

    をまとめた。

    3.企業連携の維持・拡大

    J)資金提供(一般寄付)による支援拡大

    ・新規法人会員獲得に注力。評議員の協力により、各社への入会呼びかけを行い、三菱

    重工業、三井物産、アサヒグループ HD、東レ、日立の 5 社が入会した(計 13 口分)。中小

    企業への入会依頼については、未実施となった。

    ・既存法人会員については、秋山商事以外の 15 社が、支援を継続。カランマス・セジャトラ

    社の広報強化(HP、WiHS 協賛他)や、三菱重工業(ベトナム)、三井物産(ガーナ)への個

    別企業 CSR 相談に対応するなど、法人会員への個別対応を強化した。

    ・12 月末で、丸紅「ブラボーバナナ」のコーズ・リレーティッド・マーケティング(寄付付き商

    品)が終了。これに代わる大型の寄付付き商品の提案(企業からの相談対応を含む)を行

    うも、いずれも実現せず。ミズノのウォーキングシューズや、ラッシュの店舗限定商品など、

    小規模な CRM に留まり、法人からの一般寄付収入に大きな影響を与えた。

    ・熊本地震直後で寄付の遅延もしくは中止も懸念される中、カランマス・セジャトラ社からは

    500 万円の寄付を獲得した。同社には、ケア・サポーターズクラブ熊本 10 周年講演会に

    て、感謝状を贈呈した。

    ・WiHS への協賛・後援については、特別協賛 3 社(前年比+1)、協賛 7 社(前年比▲3)、

    後援 6 社(前年比▲10 社)と、法人数の上では、減少傾向となった。協賛金についても、味

    の素からの 30万円のみとなった(目標比▲20万円)。但し、後援名義のみの企業との連携

    をセーブすることで、ミズノやリコー、ガールスカウトなどとの、より戦略的で密な連携を促

    進することができた。広報面での協力においては、主に後援企業のイントラネットを介した

    告知や、リコーFreewill との連携などを行うも、十分な社員参加促進には至らず。また、協

  • 9

    賛品提供については、100 万円を超える寄付となり、前年度比でほぼ横ばいの結果となっ

    た。イベント毎に、分配での商品発送手配を企業側に依頼することにより、イベントコスト

    (運送費)の削減を行い、ROI の改善につながった。さらに北海道・佐呂間町の健康マイレ

    ージ制度とのタイアップなど、自治体との連携実績を残した。

    ・事務局長をはじめ、シニア・マネジメント・チームによる外部講演会等への登壇やインタビ

    ューの機会が増加。企業連携全般に関連する効果的な広報の機会を得た。

    K)資金提供(特定寄付)による支援拡大

    ・企業からの寄付や途上国での連携など相談案件については、15 件となった(昨年度比 9

    件アップ)。電話やメールでの、新規企業からの相談案件については、必ず、事前情報提

    供シートの提出を依頼することで、いい意味で、安易な相談への歯止めとなると同時に、内

    部の業務効率化にもつながった。一方、いずれも成約には至らず、課題を残した。加えて、

    新たに西部信用金庫との連携による、中小企業向けBOP ビジネス相談窓口を 1月に開始

    するも、照会実績なし。

    ・企業への緊急募金アピールは未実施。但し、熊本地震に際して、評議員より紹介いただ

    いた企業より、寄付 200 万円を獲得した。また 2015 年度のネパール地震への寄付企業に

    対して、活動報告を行った(半年、1 年後の 2 回)。

    ・SGCへの協賛・後援については、法人からの寄付は 682,700円(目標 32%)。愛知県教員

    組合からの寄付に代わる大口の法人支援者が獲得できず、全体収入に大きな影響を与え

    た。ラッシュジャパン、日本ハム、大日本土木、グランダ要町などと関連イベントを 10 回実

    施。社内外へのキャンぺーン周知ならびに参加促進を図った(参加者 119 人)。

    ・企業との途上国における連携促進ならびに企業連携方針の周知に向けて、「ファンドレイ

    ジング日本 2016」において、150 人に対して、味の素との企業連携について講演し、広く当

    財団の取り組みを紹介した。一方、CSR フォーラム等企業向けの主催イベントは実施せ

    ず。

    ・企業助成金ついては、アサヒワンビールクラブ、花王ハートポケット倶楽部、ECC より、

    SGC への寄付を獲得した。

    L)物資/サービス提供による支援拡大

    ・主に WiHS と SGC において、後援、イベント共催、物品提供、社員参加、広報協力等、多

    様な形での新規連携が実現。これにより、プログラムの多様化、また参加者層の拡がりに

    もつながった。特に、日本ハムやミズノとは、イベント共催という形で、リコーとは社員参加

    という形で、より深い連携へとつなげることができた。

    ・大型の企業プロボノ実績 2 件(デロイト トーマツ コンサルティングによる、「遺贈」と「ソー

    シャル・ビジネス事業」に係る支援)。個人ベースでのプロボノ支援に留まった(デザインプ

    ロボノ、WEB マーケティングプロボノ等)。

    ・社員参加/巻き込みについては、主に SGC/WiHS に関連して、企業向け MM 配信を行っ

    た。但し、各社イントラでの配信により、実際に参加した社員数は、少ないのが現状。

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    10

    4.支援組織の維持・拡大

    M)特定事業を通じた支援強化と啓発促進

    ・東ティモール「コミュニティ自立支援事業」に対して、全組織から 645 万円の寄付金獲得。

    予定通り、1年次報告を完了した。東ティモール現地視察の実施を目指して、複数の旅行

    会社と企画調整を開始するも、同国選挙による治安悪化等の懸念もあり、最終的には、次

    年度催行が中止となった。

    ・緊急支援に関連しては、ネパール地震の 1 年次活動報告を提出。また 11 月には、シリア

    難民支援への緊急募金アピールを行い、全組織から 135 万円を獲得した。

    ・熊本地震に際しては、オンライン募金を実施するとともに、ケア・サポーターズクラブ熊本

    による被災地支援を、事業部が実務的にサポートした。これを受け、事業部との連携のも

    と、国内緊急時対応プラン(EPP)の別添として、「CARE支援組織が所在する県で発生する

    災害への対応方針」を作成した。

    N)支援組織間のコミュニケーションと連携強化

    ・第 9 回 CARE 支援組織代表者会議を開催。全組織から 15 人が参加し、各組織の活動を

    報告した。CARE からは、東ティモール事業や緊急支援対応についての報告に加え、国内

    における啓発活動についての確認と協力依頼を行った。

    O)地方における認知度向上に向けた相互連携促進

    ・チラシ配布や地元紙掲載、関連商品販売(バザー)などを通じて、あつめて国際協力、

    WiHS、SGC などのマーケティング施策への協力を獲得した。特に SGC とあつめて国際協力

    への参加度は高く、千葉を除く全組織が、東ティモールコーヒー販売や切手収集などを、自主

    的に実施した。一方、WiHSについては、大分でのチャリティウォーク開催に向けて、専門業者

    との調整を行ったが、実施に至らず。

    3.管理部署 【公 1、公 2、法人】

    基本戦略1

    「女性と女子」というテーマに基づく事業の実施と評価に基づく支援効果、持続発展性の向上

    基本戦略3

    戦略的なコミュニケーション(働きかけ)の強化

    活動実績

    1.主要なステークホルダーへの発信力の強化

    A)役員・支援組織・個人支援者等への情報共有の工夫 【法人】

    ・情報内容を十分に理解してもらえるように、簡潔でビジュアルな資料による説明を行っ

    た。

    ・2015 年 11 月と 2016 年 6 月に事務局長がケア・インターナショナル国際理事会とガバナ

  • 11

    ンス&ノミネーション委員会に出席して発言を行い協議・決議に貢献した。

    ・2015 年 9 月と 2015 年 11 月と 2016 年 6 月に事務局長がケア・インターナショナル事務局

    長会議に出席して発言を行い協議・決議に貢献した。

    B)ジェンダー啓発の促進 【公 2】

    ・「ジェンダー・多様性に関する方針」に基づき、愛知県と豊島区の男女共同参画センター

    とも連携してセミナーやワークショップを開催した。

    ・ケア・インターナショナル国際理事らに対してジェンダー啓発を促進した。

    C)アドボカシーの強化 【公 1】

    ・他団体(特に、動く→動かすと国際協力 NGO センター(JANIC))と協力して、持続可能な

    開発目標(SDGs)、ジェンダー関連に優先順位を置き、各種会議やパブリックコメント等に

    て書面や発言にて政策提言を行った。

    ・2016 年 5 月に発表された日本政府の「女性の活躍推進のための開発戦略」に提言が盛

    り込まれた。

    基本戦略2

    民間資金の拡大と自己資金能力の向上

    活動実績

    1.多様な民力の結集 【公 2】

    D)新規支援組織の拡大

    ・今年度は発足なし。

    E)大口支援者の獲得

    ・「公益法人に関するNGO連絡会」メンバーのうち7団体と「遺贈分科会」を立ち上げ、共同

    パンフレットの PR、提携先の開拓、外務省 NGO 研究会による調査研究を行った。

    F)企業連携の強化

    ・助成金実施国以外での企業連携を促進した。

    G)アジア諸国の巻き込み

    ・今年度はアジア(韓国、マレーシア、シンガポール、台湾)での新規 CARE 組織設立に着

    手できなかった。

    H)「あつめて国際協力」の拡大

    ・昨年までの普及活動に加え、生活クラブ会員へ約 1,600 枚のチラシ配布を行った。

    ・無償コンサルティングを行う学生団体 180 Degrees Consulting の協力で、外部協力者獲

    得のための施策を策定した。

    ・高校生ができる国際協力の在り方を考える、高校生向けワークショップを開催した。国際

    協力に興味を持つ若者層の存在を確認し、この年代層へのアプローチの必要性を認識した。

    基本戦略4

    収支管理の改善とリソースの有効活用

    活動実績

  • 公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

    12

    1.リソースの有効性の向上 【法人】

    I)組織評価制度の整備

    ・外部評価制度として、非営利組織評価センターの評価制度を検討していく。

    2.実績管理システムの導入 【法人】

    J)各部署用の予算フォーマットの導入

    ・修正により予算が効率的にたてられるようになった。

    K)各部署用の月次予実管理の導入

    ・部署別予算書に合わせたフォーマットで実績も出すことにより、予実管理が確実に行え

    るようになり、収益予測も立てやすくなった。

    L)NGO 用経営指標の導入

    ・経営管理につながる指標を検討していく。

    3.統一会計システムの運用 【法人】

    M)統一会計システム(Pamodzi)への完全移行するための環境整備

    ・統一会計システムへの移行は人員体制やシステムの複雑さから完全移行は難しいと

    の結果に至った。引き続き、必要のあるレベルで参加し、現地事務所の会計情報を取得す

    る。

    4.職場環境の改善 【法人】

    N)規程類の整備と運用の徹底

    ・海外赴任職員採用のため、新たに海外赴任に関する内規を作成し、税金関係の情報

    を収集し、対応を整理した。

    ・総務省の助成金を利用して、在宅勤務のガイドラインを作成し、在宅勤務のトライアル

    を実施した。

    ・出張に関する運用面での整備やインターンの運用法について見直しを行った。

    O) 備品管理の徹底

    ・総務部での一元管理が運用面で徹底されるようになり、資産の有効活用につながって

    いる。

    P) 職員間のコミュニケーションの向上

    ・特に新しい取り組みは実施できなかった。

    以上

  • 13

    【事業詳細】

    区分 開発① 国 ガーナ

    事業名 ソーシャル・ビジネス事業

    対象地域 ノーザン州イーストマプルーシ郡

    対象者 対象地域の住民(主に、女性企業家 30 人と乳幼児 1,500 人)

    事業規模 10,606 千円(総事業規模 52,000 千円)

    実施期間 2012 年 8 月~2016 年 12 月 (4 年 5 ヶ月間)

    主支援元 味の素

    事業目標 味の素によるソーシャル・ビジネス(貧困層に対する栄養補助サプリメントの普

    及)での連携を通じて、女性の収入機会の創出とその安定化に加え、母親の栄

    養知識の向上を促進することにより、6ヶ月以上24ヶ月未満の乳幼児の栄養改

    善を目指す。

    活動実績・

    成 果 と 課

    1)栄養補助サプリメントのソーシャル・マーケティング活動を実施。

    2)コミュニティー・ヘルス・ボランティア、母親ファシリテーター、男性啓発係等の

    村のボランティアとセールスレディによる栄養啓発のモニタリングを実施。3)流

    通ハブ(拠点)の在庫のモニタリングを実施。

    4)事業展開の拡大に向けての新たな事業地の選定を実施。

    5)村の関係者等と出口戦略を立案。

    成果としては、以下が挙げられる。

    1)村の各ボランティアにより自主的に栄養啓発活動が続けられており、住民の

    子どもの栄養に関する意識が高まった。

    2)セールスレディは、近隣の村にも販路を拡大する者が増えてきた。

    一方、今後は以下の課題を解決していかなければならない。

    1)栄養補助サプリメントを供給する側が流通ハブ(拠点)の在庫のモニタリング

    を引き継ぐことになるが、実施地域からの出口戦略が立てられない。

    区分 開発② 国 東ティモール

    事業名 コミュニティ・ラファエック事業

    対象地域 東ティモール全 13 県

    対象者 約 80,000 世帯

    事業規模 4,108 千円(総事業規模:年間約 1 億円 *他ドナー資金を含む)

    実施期間 2014 年 6 月~2019 年 6 月 (5 年間)

    主支援元 企業、支援組織、個人

  • 公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

    14

    事業目標 農村部の子どもの発育・教育状況と世帯全体の生活生計能力の向上を図り自

    立的な地域社会を目指す。

    活動実績・

    成 果 と 課

    1)年 3 回、子どもの健康と教育の促進及び日々の生活情報と生業支援を目的

    とした成人用啓発教育雑誌「コミュニティ・ラファエック」を全 13県の約80,000

    世帯に配布。

    2)「コミュニティ・ラファエック」配布後に、対象地域内で対話ワークショップを開

    催し、雑誌で取り扱う内容について対象世帯の理解と実践能力を強化。

    3)未就学及び低学年児童用学習雑誌「ラファエックキーク」を幼稚園児及び小

    学 1,2 年生約 115,000 人に配布。

    4)教師用の授業法・指導法雑誌「ラファエックバーマノリンシラ」を 13 県の約

    8,000 人の小学校教師に配布。

    本事業は 2015 年度から本体事業として対象地域を全 13 県に拡大して実施

    しており、2016 年度は事業の 2 年目にあたる。

    昨年度同様に、雑誌「コミュニティ・ラファエック」の配布前に、地域住民の活

    動への理解と意識付けを目的に、村長等地域のリーダー格の人々を対象に、

    地域での理解促進活動(Social mobilization)を積極的に展開した。今後の活動

    のスムーズな実施と住民からの参加協力のためには、地域住民の活動への十

    分な理解と意識付けが欠かせないためである。

    CARE は全ての事業で、男女の平等と女性と女子のエンパワメントを進めて

    いるが、コミュニティ・ラファエックも例外ではない。雑誌では、伝統的に規定さ

    れた男女の性別による役割に捉われないように、女性、男性、女子、男子を描

    くようにしている。例えば、雑誌に掲載する話では、家事労働の男女間の平等

    な分担という考え方を促進したり、教室内での男女の平等な扱いの事例を示し

    たり、歴史上、科学上の女性の役割に焦点をあて、多様性の大切さを話に盛り

    込む等、様々な工夫がされている。今後とも、男女平等を促す事例やロールモ

    デルを幅広くそして分かり易く雑誌に掲載し、人々の男女平等に関する意識の

    改革を更に積極的に進めていくことが期待される。

    区分 開発③ 国 東ティモール

    事業名 エルメラ県アッサベ郡農村地域の生業向上事業

    対象地域 東ティモール、エルメラ県アッサベ郡の 4 村内 22 集落村

    対象者 30 の農民グループ(約 450 人)と 22 コミュニティ内 1,246 世帯

    事業規模 12,455 千円(総事業規模:約 90,000 千円)

    実施期間 2016 年 2 月~2019 年 12 月 (3 年)

  • 15

    主支援元 外務省、支援組織、個人

    事業目標 農村地域の生業機会の拡大を目指す。

    活動実績・

    成 果 と 課

    2016 年 2 月から開始された同事業では、事業開始から約半年間を準備期間

    としている。8月以降の活動の本格始動に向け、準備期間中には以下の作業を

    概ね計画通り進めることができた。

    1)日本人現地統括者の雇用と現地への派遣。

    2)現地スタッフ 6 人の雇用と研修。

    3)資機材(四駆とバイク等)の購入。

    4)ベースライン調査のためのコンサルタント選定と調査の実施。

    5)プロジェクトメンバーでの事業開始ワークショップの実施。

    6)地方政府、コミュニティメンバー、農民グループ等を対象とした事業開始に向

    けた理解促進活動の実施。

    また、ベースライン調査の結果を受け、事業の達成を図る指標を細分化し、

    数値目標についても微調整を加えるとともに、活動のいくつかはより成果の発

    現が高められるように活動の進め方を改良することになった。

    今後、コミュニティメンバーの参加型による、対象地域の気候変動への対応

    能力の調査が行われ、農民グループを対象とした農業技術研修やビジネス研

    修、そして女性メンバーのリーダーシップ研修等、農民グループの能力強化を

    目指した様々な活動が控えている。活動が開始されると、農繁期や雨季や乾季

    といった季節性の行事によって、活動の実施が左右される事態も想定される。

    事業の進捗を慎重にモニタリングし、早期に問題を特定し、迅速で適切な対応

    に繋げられるように、より強固な事業実施体制の構築が求められる。

    区分 開発④ 国 ガーナ

    事業名 北部州イースト・マンプルーシー郡 2 歳未満児の栄養改善事業

    対象地域 北部州イースト・マンプルーシー郡の 60 のコミュニティ

    対象者 (1) 直接対象者:

    約 4,370 人の 2 歳未満児

    約 25,690 人の子どもの保護者(女性約 13,120 人、男性約 12,570 人)

    約 3,000 人の村内貯蓄貸付組合員(VSLA メンバー)

    (2) 間接対象者:

    約 390 人のコミュニティ・ワーカー(栄養教育係、コミュニティ・ヘルス・ボランティ

    ア、男性栄養啓発員等)

    事業規模 13,284 千円(総事業規模:約 140,000 千円)

    実施期間 2016 年 2 月~2019 年 2 月(3 年間)

    主支援元 外務省、味の素

  • 公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

    16

    事業目標 2 歳未満児の栄養と健康状態の改善を目指す。

    活動実績・

    成 果 と 課

    2016 年 2 月から開始された同事業では、事業開始から約 4 ヶ月間を準備期

    間としている。6 月以降の活動の本格始動に向け、準備期間中には、以下の作

    業を進めることができた。

    1)日本人現地統括者の雇用と現地への派遣。

    2)現地スタッフ 3 人の新規雇用と研修。

    3)資機材(バイク等)の購入。

    4)ベースライン調査のためのコンサルタント選定と調査の実施。

    5)プロジェクトメンバーとパートナー団体を対象としたオリエンテーションの実

    施。

    6)地方政府、パートナー団体との事業開始に向けた理解促進会議の実施。

    現地スタッフの新規雇用が遅れたこと、会計処理が遅れたこと、また、適任者

    が見つからなかったことで、ベースライン調査のコンサルタント選定を 2 回にわ

    たり行ったこと等、計画の遅れが準備段階で生じたが、活動への影響は最小限

    に留められている。

    今後、乳幼児の保護者を対象とした栄養啓発活動、村落貯蓄貸付組合

    (VSLA)の運営研修や女性起業家の育成活動が控えている。活動が開始され

    ると、農繁期や雨季や乾季といった季節性の行事によって、活動の実施が左右

    される事態も想定される。事業の進捗を慎重にモニタリングし、早期に問題を特

    定し、迅速で適切な対応に繋げられるように、より強固な事業実施体制の構築

    が求められる。

    区分 緊急① 国 ネパール

    事業名 ネパール大地震被災者支援事業

    対象地域 ゴルガ郡、ダディン郡、ラムジュン郡、シンドゥーパルチョーク郡、ラリトプール郡

    (カトマンズ)

    対象者 約 19 万人(約 3 万 9 千世帯)

    事業規模 9,769 千円(12 ヶ月の総事業規模: 約 10,000,000 米ドル)

    実施期間 2015 年 4 月~2016 年 5 月(12 ヶ月間)(総事業期間:2015 年 4 月~2019 年 4

    月)

    主支援元 企業、支援組織、個人

    事業目標

    被災したコミュニティ(男性、女性、男子、女子)が緊急・復興支援をとおしてより

    安全な地域への再建を果たし、地域のレジリエンス(災害対応能力)を向上させ

    る。

  • 17

    活動実績・

    成 果 と 課

    2015 年 4 月 25 日、ネパール中部においてグニチュード 7.8 の大地震が発生

    した。ネパール全 75 郡のうち 35 の郡が被災し、死者 8,959 人、負傷者 22,302

    人、家屋の全壊半壊等による被災者数は約 800 万人にのぼった。

    CARE ネパール事務所は 2015 年 4月 25 日の発災直後から 6 月末までの約

    2 ヶ月間の緊急支援フェーズでは、主に緊急シェルター、食糧配布、水と衛生の

    分野で緊急支援活動を展開し、続く、2015年 7月以降の前期復興支援フェーズ

    からは、被災者の生活再建に向けたシェルターの自主再建や生業支援等を継

    続実施してきた。以下の活動により、延べ 39,638 世帯、196,125 人が裨益した。

    1)シェルター:138,776 人

    ・防水シートや工具、トタン等建材の配布 23,079 世帯

    ・毛布、マットレス、台所用品等の配布 18,255 世帯

    ・冬物衣服、厚手毛布、ソーラーランプ等の配布 12,267 世帯

    ・家屋の修復や建築のための研修 職人 93 人

    2)水と衛生:128,513 人

    ・貯水や給水場などの整備による安全な水提供 8,594 世帯

    ・衛生キットの配布 5,360 世帯

    ・トイレの修復と新設 8,866 世帯

    3)食糧・生計向上:109,396 人

    ・生活に最低限必要な現金支給 2,535 世帯

    ・災害復興に向けた役務提供への対価支給 17,483 人/日

    ・農業再開のための種子や農具の配布及び農業研修 20,040 世帯

    4)母子保健:13,605 人

    ・出産に必要な医療器具等の提供 出産施設30 ヶ所

    ・出産に必要な医療設備の提供 出産施設25 ヶ所

    ・妊産婦ケアに従事する助産師への研修 助産師 31 人

    5)ジェンダーに基づく暴力:39,348 人

    ・女性にやさしい居場所提供 3,209 人

    ・ジェンダー研修や啓発イベントの実施 31 回

    ・ボランティアによる啓発活動 23,247 世帯

    復興支援活動は 2019年 4月まで継続実施される計画であるが、2017年度中

    は、Cash-for-work システムを取り入れた、地域住民の労働提供による水利設

    備やトイレ設備の設置活動や、脆弱世帯を対象とした農業や家畜の世話、農

    産加工品の支援を通した生活再建等、より長期的な視点にたった活動を展開

    していく。また、Cash-for-work システム等による地域住民の参加にあたって

    は、参加者が男性だけに偏らないように女性の参加を促進するためにも、地域

    の女性メンバーを対象としたフォーカスグループディスカッションを実施し、女性

    メンバーが、シェルター、水と衛生や食糧の安全保障のニーズについて理解を

    深められ、活動の中での女性の役割が十分に認識できるような取り組みを引き

    続き行う。

  • 公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン

    18

    区分 緊急② 国 シリア

    事業名 シリア難民支援事業

    対象地域 ヨルダン、レバノン、トルコ、エジプト、イエメン等の周辺国

    対象者 約 11 万人(約 2 万 2 千世帯)

    事業規模 1,990 千円(総事業規模: USD 200,000,000)

    実施期間 2012 年 6 月~2019 年 6 月(7 年間)

    主支援元 支援組織、個人

    事業目標・ シリア国内の国内避難民及び、ヨルダン、レバノン、トルコ等の周辺国に逃れた

    シリア難民の喫緊のニーズに対応する。

    活動実績・

    成 果 と 課

    CARE は 2012 年から 2016 年 3 月までの約 4 年間に、ヨルダン、レバノン、ト

    ルコ、エジプト等に逃れたシリア難民及びシリア国内の国内避難民約 234 万人

    に支援を届けてきた。日本からの支援は、主に、ヨルダンの以下の活動に寄与

    した。

    1)現金支給支援:

    当面の生活の保障を目的に、約 34,000 のシリア難民世帯と約 9,900 のヨル

    ダン国内の生活困窮世帯を対象に、緊急の現金支給を行った。

    2)越冬対策支援:

    越冬対策として、約 5万 2 千のシリア難民と約 1万 7千のヨルダン国内の生

    活困窮者を対象に、現金を支給するとともに、暖房器具、燃料交換券、毛

    布、マットレス等を現物支給してきた。

    3)教育支援:

    児童労働を防ぎ、就学期にある子どもの教育支援を目的に、就学期児童の

    いる約 570 のシリア難民世帯を対象に学費の支給を行った。

    4)情報照会サービス支援:

    難民にとり生活上の必須情報である、保健サービス、法律サービス、その他

    社会的支援へのアクセスに関する情報について、情報照会サービスを行っ

    た。

    5)職業訓練支援:

    難民の生業状況の向上を目的に、約 900 人のシリア難民に対して職業訓練

    を実施した。

    区分 緊急③ 国 日本-熊本

    事業名 熊本地震被災者支援事業

    対象地域 熊本県- 熊本市、益城町、南阿蘇村、上益城郡嘉島町

    対象者 8 つの福祉系民間施設

  • 19

    事業規模 2,433 千円(総事業規模: 2,500 千円)

    実施期間 2016 年 5 月~2016 年 8 月

    主支援元 企業、個人、支援組織、

    事業目標・

    災害時において、配慮された支援を享受することが困難な高齢者、障害者、子

    ども、生活困窮世帯やひとり親世帯等の災害弱者を対象としたサービスを恒常

    的に提供している民間施設に対して、施設のサービス向上に寄与する物品を

    提供する。

    活動実績・

    成 果 と 課

    2016 年 4 月 14 日の前震と 4 月 16 日の本震の 2 度の最大震度7の地震で

    被害が大幅に増えた熊本大地震への対応を、熊本の支援組織「ケア・サポータ

    ーズクラブ熊本(CSC 熊本)」との協働で進めた。

    初動期において支援が多く集まる避難所ではなく、高齢者、障害者、子ども、

    生活困窮世帯やひとり親世帯等を対象に恒常的なサービスを提供している民

    間の福祉系施設や団体を支援対象とすることに決定した。支援先については、

    候補となる施設を CSC 熊本が事前に絞り込み、発災から約 1 ヶ月が経過した

    段階で候補施設への現地調査を行った。調査の結果、高齢者施設、暴力被害

    を受けている女性のためのシェルター運営団体、病児保育団体、情緒障害児

    施設、成人の知的障害者施設等、計 8 つの施設・団体に喫緊で必要な資機材

    を支援した。

    今後の課題としては、支援介入のタイミングが挙げられる。今回調査訪問し

    た施設・団体の中には、まだ緊急事態への対応で多忙を極めている施設も散

    見され、発災から 1ヶ月あまりの段階では、施設側が必要な物的支援を整理す

    るには早すぎる感が否めなかった。被災状況にもよるが、今後、同様な形で支

    援を実施する場合、発災から 1ヶ月目までは情報収集と募金活動に注力し、緊

    急支援期が終息に入る 2 ヶ月目以降から、候補施設等の選定と実地調査に入

    ることが推奨される。

    以上