数値予報とは何か...全球モデル(gsm) プリミティブモデル 水平解像度 0.1875...

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数値予報とは何か 大気の状態を風(風速・風向)、気温、気圧、湿度などの 物理量(数値)で表し、その変化を物理法則に基づいて 計算して、大気の将来の状態を予測する方法 気象科学事典(日本気象学会編) 1

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Page 1: 数値予報とは何か...全球モデル(GSM) プリミティブモデル 水平解像度 0.1875 (~20km) 水平格子点数 1,920×960 鉛直層数 60層(地上~0.1hPa)

数値予報とは何か

大気の状態を風(風速・風向)、気温、気圧、湿度などの物理量(数値)で表し、その変化を物理法則に基づいて計算して、大気の将来の状態を予測する方法

気象科学事典(日本気象学会編)

1

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数値予報モデルとその高度化

1 バランス・バロトロピックモデル

2 バランス・バロクリニックモデル

3 プリミティブモデル

4 非静力学モデル

地衡風バランス:風と気圧が1対1重力波発生しない

バロトロピック=順圧(等圧面と等温/等密度面が平行)高度非依存的に大気構造が定まる→1層モデル

バロクリニック=傾圧→多層モデル

静力学平衡:重力と圧力勾配がつりあう→鉛直方向加速度なし風と気圧場のバランスを仮定しない→重力波発生

鉛直方向加速度あり

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全球モデル(GSM)プリミティブモデル水平解像度 0.1875°(~20km)水平格子点数 1,920×960鉛直層数 60層(地上~0.1hPa)予報期間(初期時刻) 84時間(00,06,18UTC)

216時間(12UTC)

メソ数値予報モデル(MSM)非静力学モデル水平解像度 5km水平格子点数 721×577鉛直層数 50層(地上~21,800m)予報期間(初期時刻) 15時間(00,06,12,18UTC)

33時間(03,09,15,21UTC)

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鉛直座標系

高度座標系(z座標系)鉛直座標を平均海面からの高度zで定義する

気圧座標系(p座標系)鉛直座標を気圧で定義する

基礎方程式系を気圧座標で表すと、多くの式が簡単になる気象では観測データの高度を気圧で表すことが多い

→気圧座標系が選択される

非静力学モデルでは気圧と高度が1対1に対応しない→気圧を鉛直座標として用いることが出来ない→高度座標系が用いられる

高度座標も気圧座標も山岳地では大気下層が地下になる→地表面に沿った鉛直座標を定義する必要

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高度座標→z*座標系気圧座標→ 座標系

大気最下層が地表面、最上層は同一高度/気圧

間のつなぎは直線的 ss zHzzHz*spp

地形に沿う座標系

z*や 面が常に傾いているため、数値計算の精度が悪くなる大気境界層の上では地表面の影響は少ない

ハイブリッドz座標系ハイブリッドp座標系( -p座標系) 00 pppp s

0ppps

fzz s H0

GSMはハイブリッドp座標系、MSMはハイブリッドz座標系最下層が地表面、対流圏界面付近から上は同一高度/気圧

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数値予報解析の流れ

観測データ収集↓

客観解析(品質管理・客観解析・初期値化処理)↓

数値予報計算↓

2次製品作成(ガイダンス、降水短時間予報等)↓

情報発表、データベース化

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観測データ収集

地上気象観測(SYNOP)船舶気象観測(SHIP)係留ブイ・漂流ブイ観測(BUOY)アメダス観測レーダー・アメダス解析雨量高層気象観測(TEMP,PILOT)ウインド・プロファイラ観測航空機気象観測(AIREP,AMDAR,ACARS)衛星気象観測(SATEM,ATOVS,AMV,QuikSCAT,SSM/Iなど)その他

メソ解析では解析時刻の50分後、全球解析では2時間20分後でデータ受信打ち切り

→客観解析の開始

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客観解析

主観解析の例:白紙天気図に観測データを記入→それを基に人間が等値線を引く作業(人によって異なる結果)

客観解析では論理的、客観的に行う

観測データ(時間的・空間的に不規則)

↓格子点での値(GPV)を計算

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客観解析の流れ

電文解読(デコーディング)

品質管理

日付や観測位置の基本的チェック直近の数値予報の予測値との比較

※判定のさじ加減が結果に影響する

客観解析

初期値化

重力波ノイズの除去等を目的として行う

第一推定値(直近の数値予報の結果)の準備第一推定値を出発点としてGPVを計算

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客観解析‐4次元同化システム

品質管理↓

客観解析

初期値化処理↓

数値予報

客観解析値

予報値

観測データ

ボーガスデータ

第一推定値

解析モデル

予報モデル

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客観解析手法の改善

1 修正法

2 最適内挿法

3 3次元変分法

4 4次元変分法

5 アンサンブル・カルマンフィルター

格子点からの空間距離に応じてデータに重み付ける格子点ごとに行い、重みのかけ方は経験的に決定

解析値と観測値の平均2乗誤差を最小にする面全体を考えて行う

解析値が満たすべき気象学的関係を拘束条件とする空間(3次元)の2乗誤差の総和を最小にする

※気象学的条件(地衡風平衡・静力学平衡等)を拘束条件→重力波ノイズ発生低減(初期値化と関係)

4次元:時間も含む

統計的な推定問題の最適解+アンサンブルメンバーによる誤差共分散行列の近似

(現在のGSM,MSM)

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数値予報計算‐基礎方程式系u,v,w:風速の東西、南北

及び鉛直成分T:気温:温位:空気の密度

p:気圧q:比湿:緯度:角速度

g:重力加速度R:乾燥空気の気体定数Cp:乾燥空気の定圧比熱

水平方向の運動方程式

Fxxpfv

zuw

yuv

xuu

tu 1

f = 2 sin (f はコリオリパラメータ)

Fyypfu

zvw

yvv

xvu

tv 1

東西成分

南北成分

zuw

yuv

xuu

xp1

fv Fx

:移流項

:コリオリ項

:気圧傾度力

:摩擦力

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鉛直方向の運動方程式

静力学平衡状態g

zp

Fzgzp

zww

ywv

xwu

tw 1非静力学方程式

連続の式(質量保存の法則)

zw

yv

xu

zw

yv

xu

t

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熱力学方程式

水蒸気の式

気体の状態方程式

Hz

wy

vx

ut

CpRppT 0

Mzqw

yqv

xqu

tq

RTp

H :非断熱加熱量

M :非断熱加湿量

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力学過程と物理過程

支配方程式は放射、鉛直乱流拡散や雲などに由来する外力項と、移流や気圧傾度力などのその他の項に分けられる

外力項は、支配方程式の摩擦力や非断熱加熱、非断熱加湿量に関する項であり、支配方程式に「外力」として加えられる

移流などその他の項は客観解析で得られる格子点値からそのまま支配方程式で計算され、「力学過程」といわれる

支配方程式に外力として加えられる気象現象を数値予報における「物理過程」という

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地球放射/長波放射(赤外領域)

太陽放射/短波放射(可視領域)

積雲対流

雲量

地表面乱流輸送と鉛直乱流拡散

重力波ドラッグ(山岳波)

地表面過程

数値予報に取り込まれる物理過程

降水過程

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物理過程のパラメタリゼーション

個々のサブグリッドスケールの現象が全体として格子点での風や気温、湿度などに及ぼす効果を、格子点での気象要素の値を使って表現する手法をパラメタリゼーションという

物理過程には積雲対流など、格子点間隔よりも小さいスケール(サブグリッドスケール)の現象が多く、これらを適切に数値予報に組み入れる必要がある

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数値予報計算‐差分方程式への置き換え

時間・空間差分

xuuF

tu

u(i-1, t) u(i, t) u(i+1, t)x軸(空間)

時間軸

x

t

xtiutiutiutiF 2,1,1,,

例:微分方程式

空間差分(1次近似)

ttiFttiuttiu 2,,,時間差分

u(i, t- t) u(i, t) u(i, t+ t)

の置き換え

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格子点モデルとスペクトルモデル

大気の運動を有限個の波数の正弦波に分解する→微分方程式の正確な解が得られる

格子点法では差分方程式で近似解を得る→誤差が発生する

スペクトル法

分解波数⇔解像度無限への展開は不可能

物理過程(パラメタリゼーション)は通常格子点で行う→スペクトル法では計算量が増大する

フーリエ級数展開を行う全球モデルでは球面調和関数、領域モデルでは三角関数に展開

GSMはスペクトル法、MSMは格子点法

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CFL(Courant-Friedrichs-Lewy)条件

大気中には各種の波動が混在している計算時間間隔は波動が格子間隔を越えないステップで行う

慣性重力波など 100m/sec 以上→GSM:2~3分 MSM:約30秒

tCx (C:位相速度)

実際は移流項以外を切り離し、移流項をラグランジ的に計算することで計算間隔の延長が図られている

計算間隔が長すぎると・・・

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天気予報ガイダンス

数値予報で得られるのは格子点間隔で平均化されたデータ→天気予報で発表する気象要素への翻訳が必要

翻訳するための資料:天気予報ガイダンス

1 求めたい気象要素⇔客観解析格子点データ↑

統計的関係式を作成

PPM(Perfect Prognostic Method)方式

2 予報対象時刻の数値予報データを代入する

統計的関係式の作成にデータの長期蓄積が不要客観解析から求めた式を数値予報にそのまま適応する

→数値予報モデルの不完全性がそのまま影響する

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MOS(Model Output Statistics)方式

↑統計的関係式を作成

2 予報対象時刻の数値予報データを代入する

統計的関係式の作成にデータの蓄積が必要予報モデルの計算値と気象要素間の統計処理を行う

→モデルの系統誤差(偏り)が除去できる

1 求めたい気象要素⇔対応する数値予報データ

日々変動するような「ばらつき」は除去できない位相誤差も系統誤差としては検出困難

これまでは膨大な蓄積データから線形重相関回帰式を作成→モデルの僅かな変更にも対応できない

早くよいガイダンスを得るために逐次学習機能を採用カルマンフィルター:線形重回帰式の逐次最適化ニューラルネットワーク:入力→出力最適化(非線形、多層構造)

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天気ガイダンス

20km格子/前3時間天気カテゴリ(晴、曇、雨、雨または雪、雪)

降水ガイダンス

20km格子/前3,6,24時間平均降水量20km格子/前3,6時間降水確率(地点確率の平均値)二次細分区域/前3,24時間平均・最大降水量降水量(KLM,FBC)、降水確率(KLM)、最大/平均降水量(NRN)

日照率(NRN,≧0.5:晴)+降水ガイダンス+雨雪判別式(NRN)

KLM:カルマンフィルター NRN:ニューラルネット FBC:頻度バイアス補正地点確率:対象地点での発生確率 地域確率:地域内どこかでの発生確率

主なガイダンス

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風ガイダンス

アメダス地点/3時間時系列風向・風速、前3時間最大風速

大雨確率ガイダンス

二次細分区域/前3時間基準以上降水(地域確率)(NRN)

発雷確率

二次細分区域/前3時間発雷(地域確率)(NRN)

気温ガイダンス

アメダス地点/1時間時系列気温、最高・最低気温地点ごとの誤差(KLM)

KLM+FBC

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天気予報ガイダンスの有用性と限界

有用性

客観的な予報(数値予報そのものの有用性)MOS方式では、モデルの系統的な誤差が除去されている数値予報が直接予測していない量の予測値が得られる

(最高・最低気温、降水確率など)

限界性(利用上の留意点)

出現回数が少ない事象(大雨確率など)の精度が低い季節等天候ベース変化に逐次学習機能が追随できない係数が日々変動する(ブラックボックス的)

→主観的な修正が難しい

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その他の資料

降水短時間予報

レーダー・アメダス解析雨量が初期値6時間先までの降水量予報前半はレーダー・エコーの移動ベクトル後半はMSMの数値予報を取り入れる

毎時大気解析1時間ごとに配信される速報的な客観解析結果第1推定値は最新のMSMの予報結果20分でデータ〆切、30分後には解析結果配信

数値予報のその他の利用海面水温予報、エルニーニョ予報、波浪予報、高潮モデル、海氷モデル、黄砂や火山灰等の拡散モデル部外機関への配信、蓄積GPVデータを用いた研究・開発など

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アンサンブル予報

数値予報の誤差要因

1 観測値誤差+観測データ不足・不備(解析誤差につながる)

2 分解能限界(パラメタリゼーションで補正‐誤差あり)

3 非線形複雑系:大気のカオス的性質

アンサンブル予報:解析誤差程度の複数の初期値場(メンバー)を用意

→各メンバーについて数値予報計算をする※複数の初期値場それぞれ計算するため、分解能を下げて計算量を減らす

解析誤差等により、カオス的性質を受けて大きな誤差となる場合→誤差をモデルに組み込むことにより、カオス的性質の誤差を低減できる可能性

一般にアンサンブル平均が最先端モデルの単一予報より良い

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「不安定」な初期気象状況→時間経過とともに各メンバーが大きく異なる予想をする

メンバーのばらつき具合を「スプレッド」で表すスプレッドにより信頼度がわかる

アンサンブル平均等による予報と異なるメンバーの存在→防災対応等への利用

例:台風の転向/非転向の可能性

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週間アンサンブル予報モデル(1W-EPS)

1か月予報アンサンブル予報モデル

台風アンサンブル予報モデル

水平解像度 0.5625°(~60km)水平格子点数 640×320鉛直層数 60層(地上~0.1hPa)予報期間(初期時刻) 216時間(12UTC)メンバー数 51

水平解像度 1.125°(~120km)水平格子点数 320×160鉛直層数 40層(地上~0.4hPa)予報期間(初期時刻) 34日(水・木曜12UTC)メンバー数 50

水平解像度 0.5625°(~60km)水平格子点数 640×320鉛直層数 60層(地上~0.1hPa)予報期間(初期時刻) 84時間(00,06,12,18UTC)メンバー数 11

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数値予報と空間解像度

モデルが精度よく予測できる現象は格子点間隔の5-8倍以上5格子とはGSM→100km、MSM→25km

十分な空間スケールの現象は複数の格子点で表現される空間スケールの小さい現象は予測できない

孤立した小数の格子点だけで降水が算出される場合→その場所でその時刻に降水があるわけではない(降水ポテンシャル(可能性)をもった状況ではある)

最も精細なMSMの非静力学モデルでも解像度5km積乱雲などを直接表現するには不十分

ガイダンスが有効な情報を与えてくれる

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数値予報結果の修正

実況による修正が有効

位相のずれ、低気圧等の発達具合、降水域の広がり等短期間(半日程度まで)の予報では特に重要実況のスケールと修正対象の現象スケールの相違に注意

総観スケール等の大きな現象は修正の余地が少ない

地域特性や系統誤差は一般にガイダンスで補正されている

地形と気象状況を考慮した修正が有効な場合あり

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精度と確率予報

精度は予報期間が延びるに従って低下する

期間が短い間は初期値の影響を強く受ける長くなると境界値・パラメタリゼーションの良し悪しに依存

予報期間が短い→高い精度で細かい地域区分・時間区分例 地域時系列予報、天気分布予報

期間が延びるほど地域/時間区分が荒くなり、確率表現が主流

長期予報に短期予報同様な「断定的な予報」はできないしかし確率予報は一般の人にとっては利用が難しい

→正確な理解のための丁寧な解説が必要

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