月刊現代ギター (gendaiguitar) - [ lite版 ] 2010年12月号

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GENDAI GUITAR MAGAZINEVol.44 No.13 December2010 No.560

D e c em b e rPHOTO REPORT

16 コンサート・フォト・レポート 荘村清志&東京フィルハーモニー交響楽団

ギター音楽祭 グランフェスティバル 長崎公演

富川勝智

ミゲル・トラパガ

石川洋子

GEN 結成 10周年記念コンサート

足立ギター室内合奏団

谷辺昌央

大阪ギターサマー2010

REPORT

29 大萩康司キューバ公演32 ベルタ・ロハスとバリオスを弾こう!34 第 28回スペインギター音楽コンクール

READING/ESSAY

36 濱田滋郎・鑑賞術[9] アルベニスの音楽②

40 第 5の指を使う奏法(コリン・クーパー)

41 ロンドン便り[19]

44 ニューヨーク便り[3]

46 巨匠の時代[3](富川勝智) ナルシソ・イエペス③

50 ナクソス・ギター・ライブラリー[9]

54 渡辺和彦の a tempo 日記[9](渡辺和彦)

TALK & LECTURE

12 愛器を語る[21]

蓮見昭夫(シュテファン・シュレンパー)

56 動画をクリック! テクニックレシピ[9]

(新井伴典)

INFORMATION

58 新譜案内60 外盤案内62 新刊案内63 めもらんだむ66 コンクールインフォメーション

EMSEMBLE

アンサンブルの広場64 あんさんぶる今月のイチオシ

65 ホットトーク&掲示板

4 特 集 映画とギター      〈禁じられた遊び〉をめぐって     ギター音楽が生きる映画 

      ギターが活躍する映画を追うインタビュー

24     谷辺昌央

26     高柳未来

C O N T E N T S表紙:谷辺昌央

写真:山口直也(スタジオ☆ディーバ)

スタイリスト:横溝幸子(スタジオ☆ディーバ)

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 およそ最もよく知られたギター曲、少なくともそのひとつである〈禁じられた遊び〉は、じつはいろいろと謎を秘めた音楽作品でもある。1952年のフランス映画、ルネ・クレマン監督による『禁じられた遊び』は、「戦争と子供たち」をテーマとした胸にしみる名作。そして、この映画の主題曲として要所に流れ、いやが上にも情緒を醸し出したのが、不思議なまでに人を惹きつけるこの簡素で可憐なアルペジョ伴奏付きの旋律だった。監督から一任され、ギター 1本だけで絶妙な効果を挙げた当時 25歳のナルシソ・イエペスは、後に「あの曲は私自身の作品だ」と主張したらしい。だが、これから記すさまざまな事実からは、名匠のその主張は受け入れがたい。 では、古くからよく行なわれてきたように、この曲を作者不詳の「スペイン民謡」とするのは正しいだろうか? はっきり言って、これもおそらく間違いである。かつて編まれた「スペイン民謡」集成の類に、この旋律、これと似た旋律が収録されている例を私は見たことがない。「民謡」と呼ばれるためには伝承の歌詞が知られていなければなるまいが、この旋律に付けられている歌詞は、すべて 20世紀になってから、ポピュラー畑ないしニュー・

フォーク畑の作詞家により添えられたものに過ぎないのである。 手っ取り早く言うなら、この曲は疑いなく、もともとギター曲として作られた小品で、またおそらく、19世紀のうちに存在したものである。この点について、最近、私は驚くべきことを目にした。フィロメナ・モレッティというサルデーニャ島(イタリア)出身のなかなか優れた女性ギタリストがいるが、彼女が今年(2010 年)発表した CD『Jeux Interdits』(TRANSART TR168)に〈禁じられた遊び〉が入っており、そこにはなんと「フェルナンド・ソル作曲、ナルシソ・イエペス編曲」と記してあるではないか! いくらなんでも、こんなことがあっていいのだろうか? と思いながら解説書を読んでみると、フランス人らしいレミ・ジャコブ(Rèmi Jacobs)という人の署名入りで、「(“作者不詳のロマンス” と呼ばれたこの曲は)こんにちではフェルナンド・ソルの作品として知られている」とはっきり書かれている(原文フランス語)。この論拠は、いったいどこにあるのだろうか。ぜひ、この筆者に問い合わせてみたいものである。これまで、そのような説を公にした人がいることを寡聞にし

〈禁じられた遊び〉をめぐって

4 Gendai Guitar

“アントニオ・ルビーラ氏作、練習曲”と記載された〈禁じられた遊び〉の手書譜

濱田滋郎

映画とギター

傑作と言われる名画には必ずと言っていいほど、一度聴いたら忘れられない名曲が使われている。ギター音楽もその例外ではない。映画が素晴らしいから曲が映えるのか、はたまた珠玉の音楽が映画の良さを際立てるのか……。けっして切り離すことのできない映画と音楽の相乗効果が、深い感動を呼び起こすのだろう。この特集では、ギター曲が使われている、かの有名な『禁じられた遊び』から新作映画、また、ギターが登場する映画を紹介することで、映画とギターの密接した関係を紐解いていきたい。 映画『禁じられた遊び』

楽譜提供;富川勝智

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愛器を語る

蓮見昭夫 ◆シュテファン・シュレンパー(1996)

写真:木田新一

蓮見昭夫 Akio Hasumi ジャズギター、ジャズ理論を井上博氏に師事。その後クラシックギターを、佐藤達男氏に師事。1989 年渡独しドイツ国立アーヘン音楽大学に入学、クラシックギターを佐々木忠氏、管弦楽法を、W.Breuer 氏に師事。1993 年 Finale Ligure 国際ギターコンテスト(イタリア)に上位入賞。1994 年同校を卒業。同時にDIPLOM(ドイツ国家演奏家資格)を修得。1995 年に帰国し 96年自己プロデュースによるCD『In The Blue』を発表、NHK FM等において紹介される。2004 年秋ギターソロ、チェロとのコラボレーションによるCD『unself-conscious』(全作編曲)を発表。現在、都内をベースにジャズ、ボサノヴァ、クラシック等さまざまなジャンルにおいてギタリスト、作編曲家としても活躍中。音楽専門学校、自宅教室においても後進の指導に力を注いでいる。09年 9月より Youtube にチャンネルを開設。

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16 Gendai Guitar

Concertphoto report

9月16日、17日、19日と連続して開催された東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に荘村清志が登場。指揮には、世界的に活躍するスペイン出身のヘスス・ロペス・コボス。コボスによって作り出されるスペイン音楽の躍動感、荘村が紡ぎ出す幻想的かつ情緒豊かな演奏に酔いしれた。プログラム:【16日・17日】交響詩「幻想舞曲集」作品 22(トゥリーナ)、ある貴紳のための幻想曲(ロドリーゴ)、バレエ音楽「三

角帽子」(ファリャ)、【19日】スペイン綺想曲作品 34(リムスキー=コルサコフ)、アランフエス協奏曲(ロドリーゴ)、バレエ音楽「三角帽子」(ファリャ)。

出演:荘村清志(G)、山本真由美(S)、東京フィルハーモニー管弦楽団、指揮:ヘスス・ロペス=コボス

〔9月17日/東京:サントリーホール 大ホール〕

荘村清志 & 東京フィルハーモニー交響楽団 写真:三好英輔

Kiyoshi Shomura & Tokyo Philharmonic Orchestra

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24 Gendai Guitar

◆音楽家への転向

――いつからギターを始められたのですか?谷辺 4歳からピアノ、7歳からギターを始めました。ギターの最初の先生は音楽教師である父(谷邊敬史)でした。ソルフェージュ、和声、聴音も父から教わりました。――そんな小さい頃からすごいですね。谷辺 妹も一緒で、しばらくしてから弟もやるようになりました。――音楽一家だったんですね。谷辺 はい、子供たちの練習の時間が決まっていて、毎日、母が夕飯の支度をしている同じ時間に僕と弟はギター、妹はピアノを練習していました。日曜日はソルフェージュを一緒に勉強しました。そして小学校 4年生くらいから高校卒業まで、名古屋の酒井康雄先生、大学生になり東京に来て、卒業まで鎌田慶昭先生に師事しました。 父には音楽の基礎教育を、酒井先生にはクラシック音楽の基礎を、鎌田先生には留学する前の段階を築く上で多くを教えていただきました。大学は音大ではなく、総合大学の文学部で西洋史を専攻しました。当時は音楽家になるつもりはなくて、歴史の研究者になるつもりでした。大学時代にオーケストラでチェロをやっていたのですが、だんだんと自分の中で

音楽のウェイトが大きくなってきて、研究者になるより音楽家になりたいと思うようになりました。――西洋史の中のどのような専攻ですか?谷辺 ドイツの近現代です。大学卒業後にドイツに留学したのですが、ドイツ史を専攻していたからではなく、ロベルト・アウセルに習いたかったからです。彼の初来日の際にレッスンを受けて、ぜひ師事したいと思い、彼が教授をしているケルン音楽大学に留学しました。――ドイツではどのくらい勉強されたんですか?谷辺 7年間学びました。音大教育としてはゼロからのスタートで、基礎課程の理論から勉強しました。和声も聴音も日本とは全く違いました。先生が「こういう和声進行のときはこういう風に和声感を出すんだよ」とピアノで弾いて教えてくれました。先生が弾いた和音などを素早く正確に書き取ることにかけては日本のシステムが優れていますが、その和音を実際にどう演奏するべきかということにかけては、ドイツのやり方はとても勉強になりました。ドイツではバッハのコラールは和声のバイブルのようなもので、先生たちはすべてのコラールを知り尽くしていますね。 2004 年に卒業して、その後カールスルーエ音楽大学の日本でいうと修士課程

にあたるコンツェルトエグザメンでアンドレスア・フォン・ヴァンゲンハイムに師事しました。国家演奏家資格をとって修了した後はドイツ・ケルン在住でアメリカ、南米、ヨーロッパを中心に演奏活動しています。――教授活動もされているんですか?谷辺 はい、ノルトライン・ヴェストファーレン州の音楽学校で教えています。

◆ドイツと日本での音楽活動

――すごいコンクール受賞歴ですね。これだけの受賞歴があるというのはどういうわけでしょうか? 大きいコンクールを 1つ取ったらそれで終わりにする人も多いと思いますが。谷辺 第一はキャリアの助けにするためですが、賞金稼ぎという面もありますね(笑)。ヨーロッパではめずらしいことではないです。あちこちのコンクールで同じようなメンバーと遭遇しますから。ケルン周辺にはレベルの高いギタリストがたくさんいて、世界中のコンクールでケルンのギタリストに会いました。――ドイツの音楽活動環境はいかがですか?谷辺 クラシック音楽の環境はとてもいいです。――今後の活動もドイツが中心で、たま

An interview with Masao Tanibe

響きに耳を傾け、

ドイツを拠点に活動をするギタリスト・谷辺昌央。今春、デビューアルバム『アセントゥアード』をリリースし、その高い音楽性に注目が集まっている。東京大学卒業後、プロギタリストへの道に転向というめずらしい経歴の持ち主でもある。常に新しい音楽を提示し続ける谷辺にその音楽観を伺った。

●インタビュー:2010 年 10月 7日●インタビュアー:編集部●写真:満田 聡

谷辺昌央

一回きりの音楽を創造したい