月刊現代ギター (gendaiguitar) - [ lite版 ] 2011年6月号
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GENDAI GUITAR MAGAZINEVol.45 No.6 June2011 No.566
J u n ePHOTO REPORT
16 コンサート・フォト・レポート アンドリュー・ヨーク
カディスの赤い星
木村 大
東京・春・音楽祭 ニーノ・ロータへのオマージュ
鈴木 巌
ギタリスト 尾尻雅弘の挑戦
マンドリン、ギター、チェロによるトリオコンサート
坂場圭介
岡本拓也
REPORT
31 神奈川ギターフェスティバル 201132 第 9回ギターアンサンブルフェスティバル
READING/ESSAY
42 濱田滋郎・鑑賞術[15] イギリス音楽の彩り②イギリスのギター曲
46 ロンドン便り[25]
48 ニューヨーク便り[8]
50 セゴビアとパキータ[3](A. エスカンデ/訳:平野雪子)
54 南米のロッシーニ、ペドロ・ヒメネス[3] (D. カポネ/訳:富川勝智)
58 ギター編曲と原作への旅[3](朝川 博)
60 渡辺和彦の a tempo 日記[15](渡辺和彦)
TALK & LECTURE
12 愛器を語る[27]
高木 孝(マヌエル・ラミレス)
40 レコーダー活用セミナー[2](山下俊輔 & 朝倉信章)
62 五線譜の読み方~初見演奏能力UP[2](津田昭治)
64 動画をクリック! テクニックレシピ[15]
(坂場圭介)
66 ムキムキ・ウォーミングアップ・エクササイズ[3](金 庸太)
INFORMATION
57 コンクールインフォメーション68 新譜案内70 外盤案内72 新刊案内
EMSEMBLE
アンサンブルの広場88 あんさんぶる今月のイチオシ
89 ホットトーク&掲示板
4 特 集 テンションで選ぶギター弦
主要ギター弦のテンション一覧 各メーカーのテンション比較
ギターショップの人気セット弦 Best10インタビュー
24 アンドリュー・ヨーク
27 宇賀神 昭
C O N T E N T S表紙:アンドリュー・ヨーク
写真:満田 聡
ナイロンは第二次世界大戦中にアメリカがパラシュート用に開発した合成樹脂で、戦後にアンドレス・セゴビアの要請を受けたアルバート・オーガスチンがデュポン社のナイロンを使って開発したのがナイロンのギター弦であり、その革命的な弦が今も販売されているオーガスチン黒ラベルである。その後、後発のメーカーや歴史ある弦メーカーがこぞってナイロン弦市場に参入し始めた。競争が始まると商品の多様化が始まり、テンションのヴァリエーションが広がるようになった。ナイロン弦誕生から半世紀を経た今、ナイロン以外の新素材も各種採用され、さらに低音弦のコーティング、研磨なども加わってギターショップの弦コーナーは目眩がするほどの多様さとなった。選択肢が増えることは歓迎すべきだが、客観的なデータがないゆえに判断に困っているユーザーも少なくない。 今回、テーマをテンションに絞ったのは弦に関する統一的なデータの 1 つを示すためである。一部のメーカーは各弦のゲージ(直径)とテンションをパッケージに明記するようになった。しかし、不思議なことにセット弦の 6 本合計のテンション表示をしているメーカーは、今のところ皆無である。6 本の数値を合計すればよいとは
いえ、店頭で暗算して各種比較するのは容易なことではない。ロー、ノーマル、ハイ、などのテンション表示は各メーカーが独自の基準で行なっており、そのことを知らないと、テンションを高めに表示しているメーカーの商品の方が鳴りが良く、音量も大きいように感じてしまう。これではボクシングに例えればライト級、ミドル級、ヘビー級などのクラスを各選手が勝手に自己申告して試合をするようなもので、意味がない。各弦メーカーにお願いしたい。これからは統一基準として各弦とセットでのテンション数値を、できれば弦長 650 ミリ、基準ピッチ A=440 でパッケージに表示していただきたい。 ただし、統一的なデータと言っても、弦のテンションはかなり流動的なもので、絶対的な数値ではない。テンションは弦の質量と長さとピッチの関数である。ギターに張ったばかりのナイロン弦はどんどん伸びる。最低1日は置かないと安定しない。弦が伸びるということは細くなって質量が減るということで、ピッチを合わせてもテンションは減っていく。どの時点でどのように計測するのか、それとも理論値から計算するのか、今後の課題ではある。
4 Gendai Guitar
弦を選ぶ際には音色、音量、テンション(張力)、寿命、
伸び、そして価格。あるいは、好きな演奏家が愛用して
いる(?)、などのポイントがある。いずれも大切な要
素であろうが、今回の特集ではテンションに重点を置い
て主要な製品の比較を行なった。テンションは音色、音
量、寿命に影響を与えると同時に、弾きやすさと楽器の
メインテナンスにも大きな関係を持っている。しかしそ
のわりには、あまり関心を持っていない人が多いのでは
ないだろうか?
各メーカーはロー(ライト)テンション、ノーマル(ミ
ディアム)テンション、ハイ(ハード、ヘビー)テンショ
ンなどの種類を発売しているが、それらは実際にどのく
らいの張力なのだろうか? さらに、A 社のノーマルテ
ンションのセットの張力は B 社のローテンションと同
じだということもある。新素材も含めて弦の種類が膨大
になった今、テンションを数値で把握することが必要と
なっているのだ。
今回のナイロン弦のテンション一覧は世界でも初の試
みであろうと思われる。弦を選ぶ際のデータとして活用
していただきたい。 (編集部)
ギター弦ギター弦ギター弦
特集
テンションで選ぶ
愛器を語る
高木 孝 ◆マヌエル・ラミレス
(1910)
写真:木田新一
高木 孝 Takashi Takagi1935年生まれ、佐々木政夫、玖島隆明両氏に師事、1964年東京文化会館にてリサイタル開催以後、毎年コンサート活動を続ける。テレビ、ラジオ、映画音楽など多方面の仕事をし、その後新しい奏法の研究に没頭して現在の奏法を確立する。その間多くの一流ギタリストを輩出し、新奏法の有効性を実証。現在は教授活動に専念するかたわら、TG ギター協会会長、埼玉ギター協会理事長を務める。
16 Gendai Guitar
「フィリア・ハイムコンツェルトシリーズ 2011」シリーズの第 1弾にアンドリュー・ヨークが登場。一公演で新作が3曲、内世界初演が2曲という豪華なプログラムで臨んだ。1曲目に演奏した〈微かに揺れる光〉は静かで瞑想的な5曲からなる小品集。後半の部最初の〈無伴奏チェロ組曲第 5番ハ短調〉では、大幅に調弦を変えてチェロと同じ調弦で弾くという新しい試みに挑戦(詳しくは30頁のインタビュー参照)。〈エストテ 夏〉ではギター演奏と共に渋い歌声も披露し、ギタリスト=コンポーザーが誘う至福の一時を過ごす
ことができた。プログラム:組曲「微かに揺れる光」*、アルバイシンの丘にて、3つの場所、織り込まれたハーモニー(ヨーク)、無伴奏チェロ組曲第 5番ハ短調BWV1011より~プレリュード、サラバンド、ガヴォットI&II,ジーグ(バッハ)、センターピース、(ヨーク)**、エスタテ〔夏〕(マルティーノ~ヨーク)**、メカニズム(ヨーク)。*新作 ** 世界初演
〔4月17日/神奈川・フィリアホール〕
アンドリュー・ヨークAndrew York
写真:満田 聡
34 Gendai Guitar
●小暮浩史受講曲:グラン・カプリス(コスト) 10 分ほどもかかる大曲を弾き終えた小暮にまずは「ありがとう!」と言いながら尋ねる。 「左右の手とも小さな動きで弾いているけれど、そうしたくてやっていますか?」小暮は特にそう意図しているわけではないとの答え。 「ギターは身体のさまざまな動きを使って弾きます。その動きが音楽にいろいろなアクセントを与えるんです。言葉を話すようにね。あなたはアポヤンドなしで弾いていますが、右手のタッチはもっと多彩です」。 シュタイドルは 3 弦開放弦を弾きながらその音を歌い出し、次第にホーミーで高い倍音を鳴らす。彼の〈ジミ・ヘンドリクス讃歌〉の演奏に接したことのある人は聴いているだろうが、ギター曲の中でホーミーが聴こえたらビックリするはずだ。しかし、シュタイドルが 3 弦を弾きながら倍音を歌う姿はあまりに自然で、疑問が湧かない。それは、彼が開放弦に含まれる倍音を聴かせようという意図のもとにやっていて、ギターの響きと彼の身体が一体となっているからだろう。
シュタイドルは皆に指の動きが見えるように弾きながら右手のタッチの 5 つの方法を順に説明する。 (1)アルアイレ:指先の2つの関節のみの小さな動きと、根元の関節からの大きな動きの 2 種類。 (2)アポヤンド:「倍音の鳴り方が変わって、音色が変わるでしょ! 弾弦位置を変えることも大切」。 (3)手首の回転を使う:アルアイレは外回し、アポヤンドは内回し。 (4)肘からの動き:前腕を肘から曲げて腕で弾く。 (5)肩からの動き:肩を後ろへ引くようにして腕全体で弾く。 シュタイドルはすべて i 指 1 本で弾きながら、弾弦する動きの違いが音色にどう反映していくかを見せてくれる。最後にはメルツの〈ロマンツェ〉の一節を弾いて、多様なタッチから生まれる表情豊かな音楽を聴かせる。 「アポヤンドかアルアイレかといった問題は、奏法からでなく、どんな音色を求めるかが大切です。ギターの音色はある時期からピアノのように均一な音色を求めるようになっているようです。私はタレガの流れを伝える
『心に響く音』を求めています。セゴビアやプレスティ
Pavel SteidlPavel SteidlPavel Steidl Master ClassMaster ClassMaster Class Part IPart IPart I
2011 年 3 月 5 日2011 年 3 月 5 日2011 年 3 月 5 日東京・アルトフィールド音楽教室東京・アルトフィールド音楽教室東京・アルトフィールド音楽教室受講者・小暮浩史、門馬由哉受講者・小暮浩史、門馬由哉受講者・小暮浩史、門馬由哉通訳・森井英朗通訳・森井英朗通訳・森井英朗レポート・小川和隆レポート・小川和隆レポート・小川和隆
パヴェル・シュタイドルパヴェル・シュタイドルパヴェル・シュタイドルマスタークラマスタークラマスタークラマスタークラマスタークラマスタークラスススススス(前編)(前編)(前編)
今回で4度目の来日を果たしたシュタイドルのマスタークラス。筆者はビデオ・CD で注目はしていたが、生身のシュ
タイドルに会うのは初めてだった。東京では2回のマスタークラスが行なわれた。ぼくは 2月 19 日のクロサワ楽器で初
めて彼の話、演奏、教えに接したが、全身・全人格で音楽する誠実な姿に魅せられた。さらに音楽のとらえ方、テクニッ
クの考え方に対する論理的な思考には学ぶものがたくさんある。単にこうすればいい、ではなく、具体的な練習法も示
してくれる。
アルトフィールド主催のクラスは朝 10 時から夕方 4時過ぎまで 5人のレッスンが行なわれた。シュタイドルはとにか
くよくしゃべり、歌い、動き、弾き……と、言いたいこと、伝えたいことが山のようにある。特に歌い、しゃべる(い
わゆる口三味線)表現が素晴らしく、またおもしろい!
レポートも2回に分けてお伝えするが、手でギターを弾くのでなく、全身でギターとともに音楽する彼の姿の一端を
感じてもらえたらと思う。