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963 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008−2009年度合同研究班報告) 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン Guidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010) 目  次 合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本呼吸器学会,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会,日本高血圧学会, 日本心臓病学会,日本心不全学会,日本心臓リハビリテーション学会,日本睡眠学会 班 長 自治医科大学附属さいたま医療セン ター循環器科 班 員 日本大学内科学系睡眠学分野 麻野井 英 次 射水市民病院 福岡済生会二日市病院循環器内科 自治医科大学COE 内科学講座循環器 内科学部門 愛知医科大学病院睡眠科 日本医科大学千葉北総病院循環器内科 村   大分大学総合内科学第二講座 陳   京都大学大学院医学研究科呼吸管理 睡眠制御学 獨協医科大学日光医療センター 虎の門病院睡眠センター 東京女子医科大学病院循環器内科 科   東京医科大学第二内科 協力員 達   群馬県立心臓血管センター循環器内科 協力員 聖マリアンナ医科大学循環器内科 西 虎の門病院睡眠センター 篠 邉 龍二郎 愛知医科大学病院睡眠科 田   国立循環器病研究センター呼吸器・ 感染症制御部 崎   仙台医療センター循環器科 賀   自治医科大学附属さいたま医療セン ター循環器科 東京女子医科大学病院循環器内科 東京医科大学第二内科 藤   自治医科大学附属さいたま医療セン ター循環器科 虎ノ門スリープクリニック 美濃口 健 治 ファミリークリニック・ハーモニー 岡   埼玉社会保険病院 外部評価委員 栗山医院 同志社大学心臓バイオメカニクスセンター 口   虎の門病院 国立循環器病研究センター 堀   大阪府立成人病センター (構成員の所属は2010 3 月現在) 序 文…………………………………………………………… 964 本ガイドラインで用いる用語について……………………… 964 治療推奨度(クラス分け)およびエビデンスレベル……… 965 Ⅰ.正常睡眠と睡眠障害……………………………………… 968 1.睡眠とは ……………………………………………… 968 2.睡眠の客観的評価 …………………………………… 968 3.睡眠量(睡眠時間) ………………………………… 968 4.睡眠の質(睡眠経過図) …………………………… 968 5.ノンレム睡眠とレム睡眠 …………………………… 968 6AASM マニュアル 2007 ……………………………… 969 7.睡眠障害 ……………………………………………… 969 8ICSD-2 ………………………………………………… 969 9.睡眠呼吸障害とは …………………………………… 969 Ⅱ.疫学(欧米人,日本人における頻度,予後)………… 970 1.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の疫学 ……………… 970 2.中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の疫学 ……………… 972 2012/11/28 更新版

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963Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008−2009年度合同研究班報告)

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドラインGuidelines for Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease(JCS 2010)

目  次

合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本呼吸器学会,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会,日本高血圧学会,          日本心臓病学会,日本心不全学会,日本心臓リハビリテーション学会,日本睡眠学会

班 長 百 村 伸 一 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科

班 員 赤 柴 恒 人 日本大学内科学系睡眠学分野

麻野井 英 次 射水市民病院

安 藤 真 一 福岡済生会二日市病院循環器内科

苅 尾 七 臣 自治医科大学COE内科学講座循環器内科学部門

塩 見 利 明 愛知医科大学病院睡眠科

清 野 精 彦 日本医科大学千葉北総病院循環器内科

田 村   彰 大分大学総合内科学第二講座

陳   和 夫 京都大学大学院医学研究科呼吸管理睡眠制御学

中 元 隆 明 獨協医科大学日光医療センター

成 井 浩 司 虎の門病院睡眠センター

萩 原 誠 久 東京女子医科大学病院循環器内科

山 科   章 東京医科大学第二内科

協力員 安 達   仁 群馬県立心臓血管センター循環器内科

協力員 長 田 尚 彦 聖マリアンナ医科大学循環器内科

葛 西 隆 敏 虎の門病院睡眠センター

篠 邉 龍二郎 愛知医科大学病院睡眠科

佐 田   誠 国立循環器病研究センター呼吸器・感染症制御部

篠 崎   毅 仙台医療センター循環器科

須 賀   幾 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科

芹 澤 直 紀 東京女子医科大学病院循環器内科

高 田 佳 史 東京医科大学第二内科

内 藤   亮 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科

前 野 健 一 虎ノ門スリープクリニック

美濃口 健 治 ファミリークリニック・ハーモニー

吉 岡   徹 埼玉社会保険病院

外部評価委員

栗 山 喬 之 栗山医院

篠 山 重 威 同志社大学心臓バイオメカニクスセンター

山 口   徹 虎の門病院

友 池 仁 暢 国立循環器病研究センター

堀   正 二 大阪府立成人病センター

(構成員の所属は2010年3月現在)

序 文…………………………………………………………… 964本ガイドラインで用いる用語について……………………… 964治療推奨度(クラス分け)およびエビデンスレベル……… 965Ⅰ.正常睡眠と睡眠障害……………………………………… 9681.睡眠とは ……………………………………………… 9682.睡眠の客観的評価 …………………………………… 9683.睡眠量(睡眠時間) ………………………………… 9684.睡眠の質(睡眠経過図) …………………………… 968

5.ノンレム睡眠とレム睡眠 …………………………… 9686.AASMマニュアル2007 ……………………………… 9697.睡眠障害 ……………………………………………… 9698.ICSD-2 ………………………………………………… 9699.睡眠呼吸障害とは …………………………………… 969

Ⅱ.疫学(欧米人,日本人における頻度,予後) ………… 9701.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の疫学 ……………… 9702.中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の疫学 ……………… 972

2012/11/28 更新版

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964 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

Ⅲ.病 態……………………………………………………… 9721.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) ……………………… 9722.中枢性睡眠時無呼吸(CSA) ……………………… 980

Ⅳ.診 断……………………………………………………… 9851.簡易モニター ………………………………………… 9852.標準・睡眠ポリグラフ検査(PSG) ………………… 9873.欧米,日本でのそれぞれの基準 …………………… 992

Ⅴ.治 療……………………………………………………… 9961.閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療 ……………… 9962.中枢性無呼吸(CSA)の治療 ………………………10023.その他の治療法 ………………………………………10094.我が国の保険診療上の治療適応基準 ………………1009

Ⅵ.各 論………………………………………………………1009

1.高血圧とOSA …………………………………………10092.心不全 …………………………………………………10133.不整脈 …………………………………………………10174.脳卒中とSAS …………………………………………10205.虚血性心疾患 …………………………………………10236.睡眠時無呼吸と大動脈疾患 …………………………10267.肺高血圧 ………………………………………………10278.腎不全 …………………………………………………10309.睡眠時無呼吸症と突然死 ……………………………103010.基礎心血管疾患を有する患者における睡眠呼吸障害  スクリーニングのまとめ……………………………1031

文 献……………………………………………………………1032

(無断転載を禁ずる)

序 文

 近年,睡眠呼吸障害が安全管理の面から社会的に関心をもたれるようになった.一方,様々な心血管疾患に睡眠呼吸障害を高率に合併することが明らかとなった(図2).さらに睡眠呼吸障害は偶然に合併するわけではなく,心血管疾患の発症・進展において重要な役割を果たしていると考えられるようになった.例えば心不全に睡眠呼吸障害を合併すると予後は悪化する.また,重症閉塞性無呼吸患者の心血管事故や心血管死亡率は対照群の数倍高いが,前向き観察研究では重症の閉塞性無呼吸を治療すると将来の心血管死亡や心血管イベントを予防できる.したがって,循環器診療を担当する医師は睡眠呼吸障害のマネージメントに関与する必要がある.しかしながら,循環器領域の診療を担当する多くの医師にとって,睡眠呼吸障害は馴染みの薄い領域であり,その重要性が理解できたとしても,どのような方法で評価し,どのような治療を行うべきかという段階になると行き詰まる場合が多い.その1つの原因は,循環器診療に携わる医師を対象とした適切な診療指針が存在しないという点にある.もちろん,我が国には睡眠呼吸障害研究会編集

の「成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイドライン」,日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会による「NPPVガイドライン」,米国においてはAASM(American Academy of Sleep Medicine)マニュアルなど優れた指針がある.しかしながら,これらの診療指針は一般循環器医の目に触れる機会も少なく,広く普及するに至っていない. 本ガイドラインは循環器診療に携わる医師を対象とし,これらの医師が睡眠呼吸障害の重要性を認識し,日常診療においてそのスクリーニングを行い,さらに治療へと進むための指針を与えるものである.したがって,その内容は可能な限りプラクティカルにすることを心掛けた.また,用語の統一を図り,様々な専門的用語の解説も追加した. 本ガイドラインにおける最近の医学的根拠に基づいた診療指針と現行の保険診療の基準とが必ずしも一致していない場合もあり(例えば持続気道陽圧療法など),両者を区別して記載した.

本ガイドラインで用いる用語について

 本症の呼称として「睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea

syndrome:SAS)」という言葉が,一般にも知られるようになり,現在,最もよく用いられていると思われる.一般人口においては,そのほとんどが閉塞型呼吸イベン

トによるものであり,この場合は「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)」と同義語で用いられているといえる.例えば「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」としては,1999年にアメリカ睡眠医

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965Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

治療推奨度(クラス分け)およびエビデンスレベル

 本ガイドラインでは以下の基準に従い,治療推奨度(クラス分け)およびエビデンスレベルの表記を行った.

〈治療推奨度〉ClassⅠ:エビデンスから通常適応され,常に容認される.ClassⅡa:エビデンスから有用であることが支持される.ClassⅡb: 有用であるエビデンスはまだ確立されてい

ない.ClassⅢ:一般に適応とならない,あるいは禁忌である.

〈エビデンスレベル〉A:複数の無作為化臨床試験あるいはメタ解析で証明された結果.

B:単独の無作為化臨床試験あるいは大規模な非無作為化試験で証明された結果.

C:専門医の間での合意事項,または,症例報告・レトロスペクティブ解析・レジストリに基づく事項,標準的と考えられる治療など.

学会(AASM)によって提案された定義では1),無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)≧5に加え,閉塞型呼吸イベントに伴う自覚症状の存在が重要視されている.一方,2005年に示された国際睡眠障害分類第2版(The International Classification of Sleep Disorders

2nd:ICSD-2)では2),AHI≧15の場合では自覚症状の有無を問わずに定義されているが,いずれにせよ,「症候群」という言葉には文字通り,自覚症状の存在がおのずと想定されやすい.しかしながら,最近のほとんどの研究,特に本症と循環器領域に関連した研究では,自覚症状の有無を問わずに,AHIとの関連に焦点が当てられている場合が多く,それらの結果をエビデンスとして,特に循環器領域では,自覚症状の有無にかかわらず,本症に対する治療介入が推奨されうる.また,本ガイドラインは循環器領域に従事するものを対象としており,閉塞型呼吸イベントだけでなく,中枢型呼吸イベントも診療の対象となる.そこで混乱を避けるため,本ガイドラインでは,「睡眠時無呼吸症候群」もしくは「症候群」という用語の使用は避けることとし,以下の用語を使用することとする.自覚症状の有無を問わずにAHI≧5の

ものを「睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)」とし,そのうち閉塞型呼吸イベントが優位のものを「閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)」,中枢型呼吸イベントが優位のものを「中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea:CSA)」とする.また,後者のうち,10分以上持続する漸増漸減の呼吸パターンを伴ったものを「Cheyne-Stokes呼吸を伴う中枢性睡眠 時 無 呼 吸(central sleep apnea with Cheyne-Stokes

respiration:CSR-CSA)」とする.「睡眠時無呼吸」,「低呼吸」の定義については「Ⅳ -3 欧米,日本でのそれぞれの基準」を参照されたい.本文中に用いられる主な略語とその解説を表にまとめた. なお「閉塞性」,「中枢性」のように“性”を付けて呼ぶか,「閉塞型」,「中枢型」のように“型”を付けて呼ぶかについては議論のあるところであるが,本ガイドラインにおいては個々の無呼吸イベントについては「閉塞タイプ」,「中枢タイプ」,「混合タイプ」のように“タイプ”を付け,それぞれの病態名としては「閉塞性」,「中枢性」のように“性”を付けることとした.

本文中に用いられる主な略語とその解説

略 語 用語(欧文) 用語(邦文) 同義語 定 義

AASM American Academy of Sleep Medicine

アメリカ睡眠医学会

AHI apnea hpopnea index 無呼吸低呼吸指数 睡眠中の無呼吸と低呼吸の総数を睡眠時間で除し,1時間当たりとしたもの(/hr)

AI apnea index 無呼吸指数 睡眠中の無呼吸の総数を睡眠時間で除し,1時間あたりとしたもの(/hr)

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966 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

略 語 用語(欧文) 用語(邦文) 同義語 定 義

ASV adaptive servo ventilation サーボ制御圧感知型人工呼吸器

心不全に伴うCSR用で,換気量が一定になるように,ひと呼吸ごとに換気補助を行う装置

Bi-level PAP bi-level positive airway pressure

2層式気道陽圧 呼気時と吸気時の圧をそれぞれ設定できる持続気道陽圧

CompSAS complex sleep apnea syndrome

複合性睡眠時無呼吸症候群

診断時PSGにおいてOSASと診断され,持続陽圧呼吸(CPAP)療法を施行した場合に,CSAが残存してしまう病態

CPAP continuous positive airway pressure

持続気道陽圧 持続的に気道に陽圧をかける

CSA central sleep apnea 中枢性睡眠時無呼吸 中枢性無呼吸 成人では,10秒以上の気流静止で,胸腹の呼吸努力を認めないもの.確実な診断にはPesの測定が必要

CSAS central sleep apnea syndrome

中枢性睡眠時無呼吸症候群

CSAHS: central sleep apnea hypopnea syndrome,中枢性睡眠時無呼吸低呼吸症候群

昼間の眠気やいびきなど何らかの症状があり,AHIが5/hr以上かまたは,症状がなくともAHIが15/hr以上で呼吸イベントの大半が中枢性のもの.閉塞性に比べて一般的にまれ

CSR Cheyne-Stoks respiration チェーン・ストークス呼吸

CSBS: Cheyne-Stokes breathing syndrome

心疾患,脳血管障害または腎不全が基礎疾患にあり,呼吸の振幅が周期的に漸増漸減を繰り返すもの

EDS Excessive daily sleepiness 日中過眠 hypersomnia,somnolence

日中の過剰な眠気.閉塞性睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状

EEG electroencepharogram 脳波

EMG electromyogram 筋電図

EOG electro-oculogram 眼電図

ESS Epworth sleepiness scale エプワース眠気尺度 眠気に対する質問紙による問診票

HI hypopnea index 低呼吸指数 睡眠中の低呼吸の総数を睡眠時間で除し,1時間当たりとしたもの(/hr)

HOT home oxygen therapy 在宅酸素療法 在宅で,特に夜間に酸素投与を行う

hypopnea 低呼吸 10秒以上の気流の30%以上の振幅の減少にSpO2の4%以上の低下を伴うもの

ICSD-2 The international classification of sleep disorders:diagnostic and coding manual 2nd edition

睡眠障害国際分類第2版

MSA mixed sleep apnea 混合性睡眠時無呼吸 混合性無呼吸 成人では,10秒以上の気流静止で,無呼吸の前半は胸腹の呼吸努力を認めず,無呼吸の後半に胸腹の呼吸努力を認めるもの.病的意義はOSAと同等で,最近ではOSAに含めて集計されることが多い

MSLT multiple sleep latency test 反復睡眠潜時検査 客観的な眠気の評価法

NREM non-rapid eye movement sleep

ノンレム睡眠 レム睡眠以外の睡眠,緩徐眼球運動,瘤波,紡錘波,高振幅徐波などの脳波を特徴とする睡眠

OA oral appliance 口腔内装置 sleep splint,prosthetic mandibular advancement

いびきやOSASに対する歯科的治療に用いられるもの

ODI oxygen desaturation index 酸素飽和度低下指数 oxygen dip index SpO2の低下の総数を睡眠時間で除し,1時間当たりとしたもの(/hr).2%,3%,4%低下などを算出する.3%ODIやODI(3)などと表す

OHVS obesity hypoventilation syndrome

肥満低換気症候群 高度肥満により換気が障害されるもの

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967Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

略 語 用語(欧文) 用語(邦文) 同義語 定 義

OSA obstructive sleep apnea 閉塞性睡眠時無呼吸 閉塞性無呼吸 成人では,10秒以上の気流静止で,胸腹の呼吸努力を認めるもの(小児では,2呼吸分)

OSAS obstructive sleep apnea syndrome

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

OSAHS: obstructive sleep apnea hypopnea syndrome,閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群

昼間の眠気やいびきなど何らかの症状があり,AHIが5/hr以上かまたは,症状がなくともAHIが15/hr以上で呼吸イベントの大半が閉塞性のもの

PAP positive airway pressure 気道陽圧

periodic breathing 周期性呼吸 健常者で,睡眠段階1,2で周期的に呼吸の振幅が漸増漸減を繰り返すもの

Pes esophageal pressure 食道内圧

PLMs periodic leg movement in or during sleep

睡眠時周期性下肢運動

睡眠中の周期的脚動

portable monitoring 簡易無呼吸検査 簡易ポリグラフィー,簡易検査,携帯用装置,簡易診断装置,簡易SAS検査

携帯装置,最低,気流,いびき音,心拍数とSpO2の4項目の記録のとれるもの.脳波や眼球運動の記録はないため,睡眠の状態はわからず,正確な睡眠時間は不明なため,算出された計測値は,あくまでも推測値.AASMでの typeⅢの装置に相当.睡眠の記録がないので,簡易ポリグラフィーや簡易ポリグラフ検査との表現は許せるが,簡易PSGと表現するのは誤用.

Ppl intra-pleural pressure 胸腔内圧 胸腔内圧は直接測れないため,Ppl≒PesとしてPesを代用.

PSG polysomnography 睡眠ポリグラフ検査 ポリソムノグラフィー,終夜睡眠ポリグラフィー,full PSG

脳波,眼電図,頤筋筋電図,心電図か脈拍,気流,呼吸努力,SpO2の7項目以上の記録がとれるもの.睡眠呼吸障害の診断の際のゴールドスタンダード.監視下で施行されるのがAASMでの typeⅠ,非監視下で施行されるのがAASMでの typeⅡ.

pulse oximeter パルスオキシメータ 経皮的に動脈血酸素飽和度を測定する装置.連続的に測定,記録することにより,呼吸障害の程度を推測できる.AASMでの typeⅣの装置に相当.

RBD REM sleep behavior disorder

レム睡眠行動障害 レム睡眠時にRWAを伴う異常行動(寝言を含む)

RDI respiratory disturbance index

呼吸障害指数 定義の異同が多いが,現状では,簡易モニター上での指数.無呼吸と低呼吸の総数を自己申告による推定睡眠時間で除し,1時間あたりとしたもの.

REM rapid eye movement sleep レム睡眠 急速眼球運動,頤筋筋電図のトーヌスの消失,低振幅脳波を特徴とする睡眠

RWA REM sleep without atonia 筋トーヌス低下のないREM

SDB sleep disordered breathing 睡眠呼吸障害 睡眠中の呼吸障害の総称

SHVS sleep hypoventilation syndrome

睡眠時低換気症候群 睡眠により低換気になるもの

SOREMp sleep onset REM period 入眠後15分以内のREM

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968 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

Ⅰ 正常睡眠と睡眠障害

1 睡眠とは

 睡眠(眠り)は進化の過程において,脳波睡眠(elec-

tro-encephalic sleep)と行動睡眠(behavioral sleep)に分けられている.脳波睡眠にはヒトなど高等脊椎動物のノンレム睡眠とレム睡眠がある.一方,行動睡眠は系統学的に未分化な睡眠様状態(sleep-like state)ともいわれ,下等脊椎動物や無脊椎動物にみられる3). 睡眠(眠り)は単なる活動停止の時間ではない.正常人の睡眠は,呼吸循環調節も含めた生体防御機能を備える生存戦略であり,脳が高次情報処理機能を発揮するため,脳を持つ生命体に特有の能動的な生命に必須の生理機能が営まれる時間帯である.

2 睡眠の客観的評価

 1929年,Bergerによるヒトの脳波(electroencephalo-

gram:EEG) の 発 見,1953年AserinskyとKleitmanによる急速眼球運動睡眠(rapid eye movement sleep:レム睡眠)の発見,そして1962年 Jouvetによるレム睡眠中の骨格筋,特に抗重力筋活動の消失(REM sleep with

atonia: RWA)が発見されて以来,睡眠の量と質を客観的に評価する方法としては,(1)脳波(EEG),(2)眼電図(electro-oculogram:EOG),(3)筋電図(electromyo-

gram:EMG)という3つの電気生理学的指標の測定が必須である.

3 睡眠量(睡眠時間)

 ヒトは7~8時間眠るが,一日の睡眠時間が6時間以下の短時間睡眠者や9時間以上の長時間睡眠者でも日常生活に支障がないと申告する成人がいる.短時間睡眠者と長時間睡眠者の違いは,深い徐波睡眠の出現量でなく,浅い睡眠時間の違いに由来するため,正常成人の一日に必要な睡眠ではその量よりも質が重要である.

4 睡眠の質(睡眠経過図)

 1968年Rechtschaffen & Kales(R&K)が睡眠ポリグ

ラフ検査(polysomnography:PSG)における睡眠段階(sleep stage)の国際判定基準を報告して以来,睡眠段階は覚醒,段階1~4のノンレム睡眠,レム睡眠に分類されてきた. 若年正常者では,睡眠の前半に深い睡眠(slow wave

sleep:徐波睡眠,R&Kの段階 3+4)が出現し,入眠後3時間頃から徐波睡眠量は急速に減少し,睡眠の後半は主に浅い睡眠(R&Kの睡眠段階1+2)が占める.レム睡眠は入眠後に約90分サイクルで繰り返し出現するが,睡眠の後半では1回当たりにレム睡眠時間が延長する.正常成人では中途覚醒はほとんどみられず,睡眠効率(sleep efficiency)が非常に高い.

5 ノンレム睡眠とレム睡眠

1 ノンレム睡眠 ノンレム睡眠とは,α波の消失,瘤波(hump)の出現,紡錘波(spindle)の出現,徐波の出現と睡眠深度が深くなるに従い,出現する脳波の形状が変化するが,頤筋などの抗重力筋のトーヌスの消失や急速眼球運動は認めない睡眠ステージである. R&KのPSG国際判定基準では,覚醒閉眼時に8~13Hzのα波が認められるが,これが,30秒1エポックの中で50%を切った場合に睡眠段階1と判定され,入眠したとみなされる.若い人では瘤波(3~8Hz,100μV以上の頭頂部鋭波)が出現することがある.外界の刺激により容易に覚醒に移行する.背景脳波は,低振幅の速波や徐波. 睡眠段階2は,紡錘波(12~14Hzの中間速波の反復出現,0.5秒以上の持続)の出現を特徴とする.単発の大徐波と紡錘波の組み合わせをK複合と呼ぶが,この段階で頻発し,身体内部や外界からの刺激に反応して出現する. 睡眠段階3,4(徐波睡眠)は,高振幅徐波(0.5~2Hz,75μV以上)δ波の出現が30秒1エポックの中で20%以上を睡眠段階3,50%以上を睡眠段階4と定義していたが,生理的,心理的な差がほとんどないため,2007年以降のAASM新ルールでは合わせて徐波睡眠(StageN3)とまとめられている.眼球運動はなく,表面筋電活動は著しく低下する. ノンレム睡眠,特に徐波睡眠では,副交感神経が優位になり,血圧値,呼吸数,換気量,心拍数とも安定し,規則的になる.

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969Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

2 レム睡眠 背景脳波はノンレム睡眠の睡眠段階1に似るが,頤筋筋電図の筋トーヌスの消失や急速眼球運動が認められる. レム睡眠では,交感神経が優位になり,血圧値,呼吸数,呼吸リズム,換気量,心拍数とも不安定で,変動が激しくなる.

6 AASMマニュアル2007

 図1は,正常な成人男子の一晩の睡眠経過図を示す.この睡眠経過図の判定は,ほとんどの診断装置がアナログからデジタル方式に移行したため,従来のR&K国際判定基準に代わって,2007年からAASM(American

Academy of Sleep Medicine)が提唱した新スコアリングルール(The AASM Manual for the Scoring of Sleep and

Associated Events; Rules, Terminology and Technical

Specifications,以下「AASMマニュアル2007」と称す)に基づき表記したものである(Ⅳ参照)2).AASMマニュアル2007の最大の特徴は,EEGで前頭部領域の脳波電極(Fp1,Fp2)が追加され,さらに睡眠段階の分類と名称が変わった点であった.AASMマニュアル2007では,R&Kの睡眠段階1は stageN1,R&Kの睡眠段階2は stageN2,そしてR&Kの睡眠段階3と睡眠段階4は一括した徐波睡眠として stageN3にまとめられ,ノンレム睡眠段階の分類が4種類から3種類に簡略化されている.

7 睡眠障害

 睡眠障害とは,日中の生活に支障を来たす,何らかの睡眠および覚醒の障害で,我が国の成人では約20%,すなわち5人中1人に認められる.24時間社会における睡眠障害の問題は,国民の健康問題ばかりでなく,労働災害も含めて社会経済的側面からも重要である.睡眠障

害,覚醒障害,睡眠覚醒リズム障害に対して,従来は主に精神科が対応してきたが,睡眠時無呼吸症候群(sleep

apnea syndrome:SAS)などの睡眠呼吸障害は耳鼻咽喉科,呼吸器科,あるいは循環器科が中心となって診療すべき領域である.睡眠障害は心筋梗塞,脳梗塞の増悪因子として重要であり,アメリカでは睡眠障害の予防で節約しうる医療費は1兆6,000億円ともいわれている5).

8 ICSD-2

 2005年AASMから睡眠障害国際分類第2版(Interna-

tional Classification of Sleep Disorders, 2nd version:ICSD-2)が報告された6).これは1990年に発表された睡眠障害国際分類第1版(ICSD-1)に続く改訂版である.ICSD-2では,睡眠障害の病名および病状が96種類に分類されている.表1に,ICSD-2の診断分類の概要を示すが,SASなどの睡眠呼吸障害は,96種類もある睡眠障害全般からみれば非常に限られた病態の一部にすぎないことを理解すべきである.

9 睡眠呼吸障害とは

 無呼吸は,閉塞タイプ(obstructive sleep apnea:OSA),中枢タイプ(central SA:CSA),混合タイプ(mixed

SA:MSA)と大別されるが,通常,混合タイプは閉塞タイプに含まれる.一夜に起こる呼吸イベントは決して

W

R

N1

N2

N3

Stage

図1 正常成人の睡眠経過図(AASMマニュアル2007ルール 4))

表1 睡眠障害国際分類(ICSD-2)*の概要1)不眠症2)睡眠呼吸障害  ◦中枢性睡眠時無呼吸症候群  ◦閉塞性睡眠時無呼吸症候群  ◦睡眠時低換気(低酸素血症)症候群  ◦内科疾患による睡眠時低換気(低酸素血症)症候群  ◦その他の睡眠呼吸障害3)睡眠呼吸障害によらない過眠症  ◦ナルコレプシー  ◦睡眠呼吸障害またはナルコレプシーによらない過眠症  ◦その他の過眠症4)概日リズム睡眠障害  ◦原発性概日リズム睡眠障害  ◦行動により引き起こされた概日リズム睡眠障害  ◦その他の概日リズム睡眠障害5)睡眠時随伴症  ◦ノンレム睡眠からの覚醒時睡眠随伴症  ◦ 通常レム睡眠と関連する睡眠時随伴症(レム睡眠行動

障害)  ◦その他の睡眠時随伴症6)睡眠時運動障害(むずむず脚症候群)7)その他の睡眠障害8)恐らく正常変異および未解決の間題と考えられる孤発症状* International C1assification of Sleep Disorders, 2nd ed.(文献6より引用)

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970 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

同一のものが続くわけではなく,これらが混在し,経過により,その組成は変化する.睡眠時無呼吸症状群(SAS)は閉塞性SAS(obstructive SAS:OSAS)と中枢性SAS

(central SAS:CSAS)とに分けられるが,通常SASといえば,最も頻度が高いOSASの意である.OSASは,米国睡眠学会(AASM)の基準によって「EDSもしくは閉塞性無呼吸に起因する様々な症候のいくつかを伴い,かつ無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index:AHI)≧5」と定義される2).しかし,OSAS以外にも睡眠に関連して発病または増悪する呼吸・循環障害は多数存在し,これらは総称して睡眠関連呼吸障害(sleep re-

lated breathing disorders)または睡眠呼吸障害(sleep-dis-

ordered breathing:SDB)と呼ばれる.表2は,ICSD-2 6)

によるSDBの診断分類を示す.

 循環器疾患を治療する上で関連のあるSDBは,OSAS

の他に,チェーンストークス呼吸(CSR)がある.CSR

は,表2のCSASの中に含まれるチェーンストークス呼吸パターンを示すもののうち,心疾患,脳血管疾患および腎不全の既往または合併のある患者において診断される.表中にはないが,最近,OSASの持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)治療中にCSAが新たに出現するものを複合性SAS(complex

SAS:compSAS)と定義されたが,この疾患の定義や病態はまだ不明の点があり流動的で,今後のエビデンスの集積が必要である.

Ⅱ 疫学(欧米人,日本人における頻度,予後)

 睡眠呼吸障害(SDB)の有病率には人種差があり,コーカサス系白人に比べアジア系や黒人にはSDBが多いといわれている.今のところ,SDBに関する大規模な疫学研究のほとんどが欧米からの報告であるが,有病率に関しては日本と欧米とで大きな違いはないと考えられる.近年,SDBと種々の循環器疾患との関連を示唆するエビデンスが蓄積されており,多くの循環器疾患で

SDB の高い有病率が報告されている(図2).

1 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の疫学

 OSAに関しては欧米,オーストラリア,アジアなど

表2 睡眠呼吸障害(SDB)のICSD-2診断分類 6)

1)中枢性睡眠時無呼吸症候群  ◦原発性中枢性無呼吸  ◦病的状態による他の中枢性無呼吸

チェーン・ストークス呼吸パターン高地での周期性呼吸上記でない中枢性無呼吸

  ◦薬物,物質による中枢性無呼吸  ◦乳児の原発性睡眠時無呼吸2)閉塞性睡眠時無呼吸症候群  ◦閉塞性無呼吸(成人)  ◦閉塞性無呼吸(小児)3)睡眠関連低換気/低酸素症候群  ◦睡眠関連非閉塞性肺胞低換気,特発性  ◦先天性中枢性肺胞低換気症候群4)病的状態による睡眠関連低換気/低酸素  ◦肺実質あるいは血管疾患による睡眠関連低換気/低酸素  ◦下気道閉塞による睡眠関連低換気/低酸素  ◦神経筋あるいは胸壁疾患による睡眠関連低換気/低酸素5)他の睡眠呼吸障害  ◦分類不能

全高血圧 7)

薬剤耐性高血圧症 8)

心不全 9)

心房細動 10)

冠動脈疾患 11)

急性冠症候群 12)

大動脈解離 13)

Kales et al.Lancet 1984

Sampol et al.Am J Respir Crit Care 2003

Logan et al.J Hypertension 2001

Oldenburg et al.Eur J HF 2007

Gami et al.N Engl J Med 2005

Schäfer et al.Cardiology 1999

Yumino et al.Am J Cardiol 2007

30%

80%

76%

50%

31%

57%

37%

図2 各心血管疾患における睡眠時無呼吸合併頻度

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971Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

でいくつかのpopulationベースのcohort study(コホート研究)が行われており,その高い有病率が報告されている.なかでも30~60歳を対象とした米国のWiscon-

sin Sleep Cohort Studyは有名で,AHI≧5のSDBの割合は男性24%,女性9%であり,そのうち症状を呈するSAS患者の割合は男性4%,女性2%であったと報告されている14).その他の大規模疫学調査でもほぼ同様の結果が報告されており,平均すると5人に1人はAHI≧5であり,15人に1人はAHI≧15,つまり循環器疾患の発症リスクの高まる中等~重症のOSAに罹患していると考えられている.我が国では大規模な疫学研究はなく,正確なOSA有病率は明らかではないが,一般住民910名を対象とした疫学調査においてAHI≧10のOSASは男性3.3%,女性0.5%(全体で1.7%)との報告があり,患者数は約200万人と推定されている15).しかし問題は診断率であり,治療の対象となるOSAの85%以上が未診断といわれている. 未治療のOSA患者246名を対象にした8年間の追跡研究によれば,無呼吸指数(AI)>20の群の生存率は63%であり,AI≦20の群(96%)に比べ有意に生存率が低下する16).また,Wisconsin Sleep Cohort Studyにおける1,522名を対象にした18年間の追跡研究においても,非SDB群に比べSDB群で有意に死亡率が高いことが報告されており(ハザード比:軽症1.6,中等症1.4,重症3.0),無治療の重症群になるとハザード比は3.8,さらに心血管系疾患による死亡に限定すると5.2(無治療重症群)までリスクは上昇する17).同様の報告は,40~65歳の男女380名を平均13.4年間追跡したオーストラリアの研究グループからもされており,中等~重症のOSAは有意に死亡リスクを高めることが示されている(ハザード比:6.24)18).

1 循環器疾患とOSA OSAは低酸素血症や交感神経活性の亢進などを介して二次的に種々の病態を惹起する.特に循環器疾患との関連は強く,合併頻度が高いだけでなく,OSAにより循環器疾患の病態が修飾される.米国のSleep Heart

Health Study(SHHS)によれば,AHI≧11のSDBがある群での主な循環器疾患発症のオッズ比は,心不全2.38,脳卒中1.58,冠動脈疾患1.27であった19).

2 高血圧 OSA患者の50%に高血圧が認められ,高血圧患者の30%にOSAが認められる20).米国のSHHSでは,体格,アルコール摂取量,喫煙量などで補正した上でAHI≧

30群とAHI<15群を比較したところ,AHI≧30群で有意に高血圧罹患率が高く(オッズ比:1.37),OSAが高血圧発症の独立した危険因子であることが示されている21).

3 心不全 心不全患者の11~37%にOSAが合併すると報告されている22)-24).男女別にみると,男性38%,女性31%と男性により多いようである22).心不全におけるOSAの危険因子は,男性では肥満,女性では年齢(高齢)である.また,カナダにおける平均2.9年間の前向き観察研究によれば,OSA合併心不全患者における死亡率は,無治療の場合,AHI<15のOSA群に比べてAHI≧15のOSA群で有意に高いことが報告されている(ハザード比:2.81)24).また,我が国でのOSA合併心不全88例における観察研究によれば,無治療OSA群の死亡および入院率が有意に高かったと報告されている(ハザード比:2.03)25).

4 脳血管障害 50歳以上を対象にした平均3.4年間の観察研究によれば,AHI≧5のOSA患者群における脳卒中および死亡のリスクは対照群に比べ有意に高い(オッズ比:1.97)26).また,脳血管障害発症後にリハビリテーション目的で入院した患者132名における検討では,OSA,CSA,混合型の合併頻度は各々17%,21%,1.5%であったと報告されている27).さらに一過性脳虚血発作で入院した患者の62%がAHI≧10であり,健常者(12%)に比べ有意に多いことも報告されており,OSAの脳血管障害発症への関与も示唆されている28).

5 不整脈 OSAにおける不整脈の合併率は高く,AHIの増加や低酸素血症の増悪に伴い増加する.夜間の不整脈はOSA患者の50%近くに認められる20).睡眠中に比較的よく認められるのは,心房細動,非持続性心室頻拍,洞停止,2度房室ブロック,心室期外収縮などである20).重度のSDBは夜間の不整脈のリスクを2~4倍高める.年齢,性別,BMI,冠動脈疾患で補正した上でのSDB

患者(AHI≧30)での不整脈発症のリスクは,心房細動(オッズ比:4.02),非持続性心室頻拍(3.40),心室期外収縮(1.74)で有意に高い29).

6 虚血性心疾患 冠動脈疾患患者におけるSDBの合併率は,冠動脈疾

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患のない患者における合併率の約2倍である20).また,健常者と比較した場合,OSA患者における虚血性心疾患の発症リスクは1.2~6.9倍と報告されている30).スペインにおける平均10.1年間の前向き観察研究によれば,健常者と比較した場合,無治療重症OSA患者群の致死的心血管イベント(心筋梗塞あるいは脳卒中による死亡)および非致死的心血管イベントの発生率は各々2.87倍,3.17倍増加する31).

7 突然死 心原性突然死を来たした112例の解析によれば,OSA

症例での深夜0時~午前6時における突然死は46%であり,OSAのない症例(21%)に比べ有意に高頻度であり,OSA症例が同時間帯に心原性突然死を来たす相対危険度は2.57倍であった10).

8 肺高血圧症 OSA患者では睡眠中に肺動脈圧の上昇が起こることがある.AHI>20のOSA患者220名の解析によれば,17%に肺高血圧(平均肺動脈圧>20mmHg)の合併が認められている32).

2 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の疫学

 CSAは心不全をはじめ左室機能低下や脳卒中で比較的多く認められる無呼吸パターンであり,多くの場合そうした心血管系疾患の結果として出現してくると考えられている.一般集団を対象とした米国のペンシルベニアにおけるcohort study(コホート研究)によれば,中枢性無呼吸指数(CAI)≧20のCSA患者は女性および65歳以下の男性では認められず,65歳以上の男性で5%認められた33),34).また,CAI≧2.5のCSA患者は,20~44歳,45~64歳,65~100歳で各々0%,1.7%,12%認められたと報告されている.さらに40~97歳を対象としたSHHSによる解析ではCAI≧1のCSA症例は9%であった35). 心不全患者におけるCSAの合併率は21~40%と報告されている22)-24).これはOSA合併率とほぼ同じ割合であるが,AHI≧15/hrをカットオフ値とすると心不全の51.9%がSDBであり,そのうちの63%がCSAであったと報告されている9).チェーンストークス呼吸(Cheyne-

Stokes respiration:CSR)は基本的に中枢性睡眠時無呼吸低呼吸に伴う呼吸パターンであり,収縮機能障害,拡張機能障害,各種弁膜疾患など様々な病態で認められる

が,最も多いのが収縮機能障害である.収縮不全例ではCSA/CSRは主要な予後予測因子の1つであり,死亡リスクを2.14倍上昇させる36).また,CSR-CSA合併心不全患者は,CSR-CSA非合併心不全患者に比べて有意に死亡率,心臓移植率が高い(相対危険度:2.53)37).心不全患者におけるCSAの危険因子は,男性,心房細動,年齢≧60歳,低炭酸ガス血症(≦38mmHg)と報告されている22).

Ⅲ 病 態

1 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

1 発生機序 睡眠時無呼吸はCSAとOSAとに分類されるが,その大部分はOSAである.OSAの基本的病態生理は,睡眠中に出現する上気道(特に咽頭部の)の狭窄・閉塞であり,これが10秒以上持続したときに無呼吸と定義される.ヒトは通常,仰臥位で就寝するが,このとき,重力の影響を受け口蓋垂,舌根部が沈下するため上気道は狭小化する.睡眠状態に入ると,上気道を構成している筋肉群(頤舌筋などの上気道拡大筋)が活動性を失い弛緩するため,上気道はさらに狭小化する.しかし,上気道に形態学的・機能的異常のない健常者では,この程度の上気道の狭小化は呼吸に大きな影響を及ぼさない.一方,OSA患者は,上気道の形態学的あるいは機能的な異常により睡眠中に容易に上気道が狭窄・閉塞し,無呼吸が出現する38).OSAに特有な著明ないびきは狭窄した上気道を通過するときの呼吸音である.

P mus

P mus

P mus

P mus

Pharynx open : P mus + P lumen > P closePharynx closed : P mus + P lumen < P close

(文献 39より引用)

Luminal Pressure

図3 上気道の開存性の圧バランスモデル

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 上気道の開存性は図3に示すような圧バランスモデルにより決定されると考えられている39).上気道を閉じようとする力(P lumen)は主として吸気時に発生する陰圧であり,逆にそれに抗して上気道を広げようとする力が頤舌筋をはじめとする上気道拡張筋の活動性である.覚醒時では,十分な上気道拡張筋の働き(Pmus)により気道は開存している(図4)が,睡眠時にはその活動性が失われ,その程度が異常であれば上気道は閉塞し(図5),閉塞性無呼吸が出現する.さらに,この上気道の開存性に大きな影響を及ぼすのが上気道の解剖(形態)である.例えば,肥満による脂肪の沈着や軟部組織の発達が著しく,もともとの上気道の形態が狭ければ,わずかな陰圧でも容易に上気道は狭窄・閉塞を起こす.このように,上気道の開存性は形態学因子と機能的因子により規定されている.

① 形態学因子の異常

 上気道(咽頭腔)の狭小化を来たす因子としては,表3 40)に示すように軟部組織,頭蓋顔面形態,体位の3つがある.肥満はOSA発症の最大のリスク因子であり,肥満者の上気道は軟部組織の発達や過度の脂肪沈着のため,に示すように常に狭小化している.したがって,吸気時の陰圧により容易に閉塞する.肥満を伴う先天性疾患(ダウン症候群,Prader-Willi症候群など)ではOSA

の有無を念頭に置く必要がある.しかし,欧米のOSA

患者の多くが肥満を伴うのに対し,我が国のOSA患者の1/4~1/3は非肥満であることに注意しなくてはならない.扁桃肥大(3度)によるOSAは成人ではまれであるが,小児では比較的多くみられ,扁桃摘出により完治が望める.まれではあるが巨舌を呈する内分泌疾患(甲状腺機能低下症,先端巨大症)や代謝疾患(アミロイドーシス)などは二次性のOSAを起こすことがある. 非肥満のOSAでは,しばしば頭蓋顔面形態の異常がみられる.特に,我が国を含めたアジア人種では,長顔,下顎の後退,小顎症などのため,仰臥位で咽頭部が狭小化しOSASを発症しやすい.

② 機能的因子の異常

 図3 39)に示すように,上気道の開存性は気道腔内の陰圧と上気道拡張筋の活動性のバランスにより決定されている.気道内陰圧は横隔膜の収縮力によって決定されるが,気道腔内の陰圧が上気道拡張筋の活動性を上回れば上気道は閉塞する.上気道拡張筋の活動性は呼吸中枢や大脳皮質の上気道支配領域からの刺激の程度に影響され,睡眠状態にも大きな影響を受ける.図6 41)に示すように,睡眠により上気道拡張筋群の活動性が低下して上気道は狭小化するが,この程度が強ければ上気道は閉塞

表3 上気道閉塞を来たす形態学的因子1)軟部組織の因子◦肥満による上気道軟部組織への脂肪沈着◦扁桃肥大◦巨舌◦上気道の炎症(アレルギー性鼻炎,慢性副鼻腔炎,咽頭炎など)

2)頭蓋顔面骨の因子◦上顎骨の後方偏位◦下顎骨後方偏位◦下顎骨の未発達,小顎症

3)本位の因子◦仰臥位◦頸部の屈曲◦肺気量の変化◦循環血液量の変化

(文献40より引用改変)

図5 OSAS患者の睡眠中の上気道

(文献38より引用)

図4 覚醒時の上気道

(文献38より引用改変)

喉頭蓋

軟口蓋

口腔咽頭部 後部咽頭壁 頸椎

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しOSAが出現する.アルコールや睡眠導入薬はOSAを増悪させるが,これは,舌下神経の活動が抑制されて上気道拡張筋の活動性が失われるためである.

③ 体 位

 上気道の形態は体位により大きな影響を受ける.仰臥位では重力による舌根部の沈下のため上気道が狭小化するが,側臥位や腹臥位では重力の影響を受けにくいため狭小化が防げる.頸部の屈曲は上気道の狭小化を助長する.また,肺気量の変化も上気道の形態を変化させ,肺気量の増加は上気道を拡大し,低下は狭小化を招く.さらに,体位による循環血液量の変化(立位から臥位)も上気道の狭小化を招くことが報告されている.

2 臨床症状 本症候群では極めて大きないびきや無呼吸が典型的症状である.自覚的臨床症状としては,昼間の過剰な眠気が典型的であるが,週に2回以上過剰な眠気を訴えるものは,AHI≧5の中年患者のうち,男性で22.6%,女性で15.5%である14).眠気の主観的な尺度としては一般にEpworth Sleepiness Scale(ESS)が使用され,11点以上が異常な眠気あり,16点以上で重症と判定する.現在,日本人向けに一部改変されたものもhttp://www.i-hope.jp

からダウンロード可能である.循環器疾患患者では自覚

症状が乏しい場合も多く,例えば心不全患者で,客観的にはより眠気の強い状態でありながら自覚的には眠気を感じることが少ないという報告がある42).したがって,循環器疾患患者を診察する際には,肥満・顔面形態・咽頭形態の異常の有無に注意して,異常が疑われる際にはパルスオキシメータ検査などを用いて積極的にOSAを探すよう心掛ける必要がある.我が国での検討によると,AHI≧5の群で日中の過剰傾眠,熟睡感の欠如,全身倦怠感,夜間頻尿,夜間呼吸困難などをはじめとする症状が報告されている(表4)43).さらに性機能低下,幻覚,うつといった症状も付随することがある.OSAでは胸腔内が陰圧になることによって胃液が食道内に逆流しやすく,この結果,胃食道逆流症の合併が多く,CPAP治療で改善することが知られている44).胃食道逆流症による夜間の安静時胸痛は冠攣縮性狭心症の症状と類似しているため,循環器診療にあたって注意が必要である.また,OSA患者では夜間口呼吸をしており,口腔内・咽頭などが乾燥するために扁桃炎を繰り返し生じることがあり,これがCPAPなどの治療により軽減することもしばしば経験される. 他覚的徴候としては,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の象徴であるいびきが挙げられるが,我が国の報告ではOSAの93%でいびきの合併を認めている43).一方,週3回以上いびきをかく人の33%にAHI5~15,28%に

図6 覚醒時と睡眠時の上気道

A Wakefulness B Sleep

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AHI≧15の睡眠呼吸障害を認めたと報告されている.その他,多くの症例で,ベッドパートナーなどから睡眠中の無呼吸や異常体動を指摘されている43). 一方,高度のOSAが長期に続いた場合に,循環器疾患の悪化など心血管系に異常を来たすことが知られているが,これに伴う症状については,本ガイドラインの各論を参照されたい.

1 血行動態への影響 OSAが心血管系に与える影響は,胸腔内が繰り返し高度の陰圧・低酸素状態・高炭酸ガス状態になること,これらの結果,交感神経活動の活性が短期的・長期的に亢進すること,また低酸素のために生じる液性因子や血管内皮の変化などが重なって生じると考えられている. 高度なOSAでは胸腔内に-50mmHg以上の陰圧が一晩中繰り返して生じているが,これは心臓全体に対して外部から間欠的な吸引を行うことと同様の作用をもたらしており(transmural pressureの上昇),心室収縮に対して逆方向の力を作用させることで後負荷の上昇と同様の作用を及ぼし,直接的に心収縮に悪影響を与えていることになる45).一方,胸腔内が陰圧になると静脈還流が急速に増加し,右心系の容積が急激に増大する.その結果,心室中隔が左室側に変位するため,左室の収縮・拡張が妨げられ,左心機能が一過性に低下する46)(図7).OSA

で生じる気道閉塞下の吸気時には,上記の結果生じる心拍出量の減少により,健常心でも体血圧・肺血圧の低下が認められるが,不全心では心拍出量の低下はさらに大きくなる上に心拍出量や血圧の回復が遅延することが知られており47),心不全患者にOSAが合併していると夜間の無呼吸時に心機能がさらなる悪化を来たしているものと考えられる(図8).OSAのある心不全患者に

CPAP治療を行うと左室駆出率が改善するが48),この機序の1つとして,以上のような短期的な物理的悪影響の改善があるものと考えられる.現時点でこうした血行動態に対する物理的な悪影響が中期⊖長期的な心機能の悪化にどの程度関与し,また予後とどの程度関連があるかについては明らかになっていない. 特に重症のOSAでは一晩中高度の低酸素状態を繰り返しているが,こうした低酸素状態は,正常人では心収縮には短期的影響は及ぼさないことが示されている49).しかし,高度の心機能障害がある場合に高度の低酸素が生じると悪影響がある可能性もあり,今後の検討課題である.一方,低酸素状態は左室の拡張障害を招く可能性が示唆されており50),正常心でも心機能全体としては悪影響を受ける可能性があるものと考えられる.さらに,低酸素状態が肺動脈収縮を招き肺動脈圧が上昇することは古くから知られているが51),短期的中期的に右心機能を悪化させる原因となる. OSA患者での中長期的な血行動態変化には交感神経活動の亢進や体液性因子の変化が関与しているものと考えられているが,これらの点については他項を参照されたい.

表4 自覚症状・他覚徴候症状・徴候 発現頻度(%)43)

いびき 93無呼吸の指摘 92夜間体動異常 54日中の過剰傾眠 83熟睡感の欠如 51全身倦怠感 51夜間頻尿 40夜間呼吸困難感 38起床時の頭痛 35夜間覚醒 35集中力低下 28不眠 19うつ,性機能障害,胃食道逆流症 記載なし

図7 閉塞性睡眠時無呼吸の血行動態への影響

 上気道の閉塞(①)が生じると,吸気時の呼吸筋運動(②)により,全身からの静脈還流が増加(③)する結果,心室中隔は左心室の方向に張り出す(④).また,左心室に対する外部からの陰圧は(⑤),収縮に対する障害(後負荷の増大)となり,心機能が低下する.

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4 交感神経活性と神経体液性因子への影響

 OSAを有する患者において無呼吸時のみならず昼の覚醒時においても,交感神経系が亢進していることが,就寝中の尿中ノルエピネフリン濃度の上昇や筋交感神経活動の直接記録により確かめられている.交感神経活動の亢進機序には無呼吸に伴う,(1)低酸素血症,(2)高炭酸ガス血症,(3)肺伸展反射の消失,および(4)途中覚醒がある.交感神経活動の亢進はOSAにおける一過性および持続性の血圧上昇にかかわっている52)-54)(図9).

① 低酸素血症

 無呼吸に伴い動脈血酸素分圧は進行性に低下し,二酸化炭素分圧は上昇する.低酸素血症は頸動脈体の末梢化学受容器を刺激し,反射性に交感神経活動を亢進させる.二酸化炭素分圧の上昇も中枢の化学受容野を介して交感神経活動を亢進させるが,その効果は低酸素化学反射より弱い.むしろ二酸化炭素負荷は末梢化学受容器の感受性を亢進させ,低酸素化学反射を増幅させる効果がある.

② 覚醒反応

 覚醒反応による交感神経活動の亢進は一過性に血圧を著しく上昇させる.また無呼吸の気道閉塞時には,息止めや低酸素血症により反射性に副交感神経活動が亢進し

心拍数は減少するが,覚醒により副交感神経緊張が解かれるため心拍数は増加する.覚醒反応は無呼吸終了時の一過性の血圧サージには大きく貢献しているが,昼間の持続性血圧上昇には低酸素血症よる交感神経活動の亢進の関与が大きいとされている55).

③ 動脈圧反射のリセッティング

 OSAにおいては,頻回に繰り返される血圧上昇や低酸素血症により圧反射のセットポイントが変わり,交感神経の亢進が昼まで持ち越されている可能性がある.圧反射のリセッティングは,OSA患者の覚醒時に認められる筋交感神経活動の亢進やノルエピネフリン濃度の上昇を説明しやすいが,まだ確定されていない.

④ 降圧機序

 OSAでは昇圧機序と同時いくつかの降圧機序も作動している.その一つは,低酸素血症による局所血管への拡張作用である.この作用は血管のタイプにより異なるが,NOを介する可能性が示唆されている.第二は,低圧系圧反射による交感神経抑制である.OSAで胸腔内圧が低下すると中心血液量が増加し,心房の伸展受容器と迷走神経求心路を介して交感神経が抑制される.第三に,心房の伸展により心房性利尿ペプチドが分泌され,血管拡張と腎からのナトリウム・水排泄がおこる.このような種々の降圧機序が作動しているにもかかわらず昇

図8 短時間の陰圧負荷に対する血圧・心拍出量の変化

(mmHg)100-10-20-30-40

胸腔内圧

血圧

(ml/m2)40-4-8-12

1回拍出量

(mmHg)100-10-20-30

降圧

10秒

正常人心不全患者

上気道の閉塞時に生じる短時間の胸腔内圧の陰圧化によって,血圧や心拍出量は大きく低下するが,その程度は心不全患者で高度である.

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圧反応がおこるのは,無呼吸に伴う昇圧機序がはるかに強力であることによる.

5 炎症,酸化ストレス,血管内皮,動脈硬化への影響

 動脈硬化の発症と進展には炎症が重要な役割を果たしており,多くの免疫細胞やサイトカインが関与する57).なかでも高感度C-reactive protein(CRP)や interleukin

(IL)-6は,優れた心血管イベントの発症予知因子である.実際,OSA患者から血清中のCRP値と IL-6値を測定すると,OSAが重症なほど血清中のCRP値と IL-6値は増加していた58).また,炎症マーカーの1つである serum

amyloid AもOSA患者では増加している59). OSAにおける無呼吸や低呼吸による低酸素血症の後の再呼吸による低酸素血症の改善では,虚血と再灌流による障害が全身で起こることになる.In vitroでHeLa

cellを間欠的な低酸素に曝露し,hypoxia-inducible fac-

tor-1(HIF-1)とnuclear factor-kB(NF-kB)の転写因子活性を検討したところ,間欠的な低酸素曝露ではNF-kB

は活性化されるが,HIF-1は活性化されなかった60).よって,NF-kBに依存する tumor necrosis factor(TNF)-α,IL-8,ICAM-1などの産生はOSA患者で増加している61)-63).また,DNA oxidationの指標である8-hydroxy-

2-deoxyguanosine(8-OHdG)の産生も亢進している64).さらに,8-isoprostane(8-isoprostaglandin F2α)を含め,各種の脂質酸化ストレスマーカーがOSA患者の血清や尿中で上昇している65). OSA患者ではエンドセリンやアンジオテンシンの値が上昇することで,持続した血管収縮が誘導され血管内皮障害が誘導される.最近の報告ではOSA患者から分離した血管内皮細胞に発現しているeNOSとP-eNOSは低下しており,血管内皮細胞からのNO産生が低下して

覚醒時の心拍数増加無呼吸時の心拍数減少

胸部大動脈伸展

肺血管床伸展

肺動脈圧上昇

左室充満圧上昇

肺血管収縮

副交感神経

高二酸化炭素血症

低酸素血症

肺血管床内血液貯留

心─静脈還流循環平衡

心室相互連関

心筋虚血不整脈心不全

抑制

亢進

急性効果

急性・慢性効果

抑制

中心血液量増大

右室流入増大

左室流入障害

心拍出量変動

体血管収縮

O2化学反射(頸動脈洞神経)

直接作用

動脈圧反射

ANP

低圧系圧反射

圧反射リセッティング

副腎髄質交感神経緊張

高血圧

左室肥大

左室後負荷増大

胸部大動脈内血液貯留

胸腔内圧低下

増幅

無呼吸直後の覚醒

閉塞性睡眠時無呼吸

図9 閉塞性睡眠時無呼吸の病態生理

 閉塞性睡眠時無呼吸では,(1)気道閉塞下の呼吸努力に伴う胸腔内圧の低下,(2)低酸素血症,そして(3)覚醒反応が循環動態を大きく変動させ,自律神経系と各種反射調節系を巻き込んで,一過性および持続性の血圧上昇にかかわっている.点線は降圧機序を示す56).ANP:心房性利尿ペプチド

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いることが証明された66). OSAにおいては上述した様々な要因で動脈硬化が進行する.脳梗塞や心筋梗塞の既往歴のないOSA患者と肥満コントロールにおいて,頸動脈エコーによる内膜⊖中膜肥厚(IMT)を測定すると,OSAが重症になるにつれ IMTは増加した67),68).また,脳MRIを施行し,si-

lent brain infarction(SBI)を検討したところ,やはりOSAが重症になるにつれSBIの合併頻度が増加していた69).これらの臨床検討から,OSA患者では早期の動脈硬化が起きていることが確認された. 以上から,OSAでは夜間の間欠的低酸素が酸化ストレスを増加させ,種々の分子を介して炎症反応を増強し,血管内皮細胞機能障害を引き起こすことで動脈硬化が加速し,心血管イベントの増加につながると考えられている.

6 インスリン抵抗性との関連 インスリン値,HOMA-R指数[homeostasis model as-

sessment ratio:IRI(μU/mL)×FPG(mg/dL)÷405],糖負荷テスト,グルコースクランプ法などを利用した多くの横断的研究で閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep

apnea:OSA)が体重と独立してインスリン抵抗性に関連するとの報告がみられている70).例えば2つの大規模人数のインスリン抵抗性をHOMA-Rで測定した報告では,OSAとインスリン抵抗性は体重とは独立に関連していると報告されている71),72).また,クランプ法で調べた報告でもOSAは体重とは独立してインスリン抵抗性に関連していたが,特に非肥満群においてOSAの影響は大であった73).米国の大規模コホート(n=2656,SHHSによる)研究でも,睡眠呼吸異常が睡眠1時間当

たり5~14.9回の軽度睡眠時呼吸異常ではオッズ比1.27(95%信頼区間:0.98,1.64),15回以上の中等度から重度の睡眠時呼吸異常ではオッズ比1.46(95%信頼区間:1.09,1.97)の空腹時血糖での耐糖能異常(p<0.01)が認められている5).睡眠呼吸異常に関連した低酸素血症が年齢,性,BMI,腹部周囲径と独立して耐糖能異常に関連していたと報告されている74). 横断的研究に比して縦走的研究は少ないが,OSAの1つの目安と考えられる習慣的いびきは,糖尿病発症の因子であることが報告されている75).睡眠ポリグラフ検査を使用した縦走的報告では,ベースラインにおいて糖尿病は他の因子に独立してOSA患者により頻回にみられたが,4年間の経過ではOSAは糖尿病発症の独立因子ではなかった76).持続気道陽圧(:CPAP)を利用した介入試験においては,インスリン感受性の改善をみた報告と,みられなかった報告がある.4時間以上のnCPAP治療により血糖値,HbA1cの改善が報告されているが77),CPAP治療のインスリン抵抗性に与える影響については理想的にはCPAP使用時間を明記した大規模な無作為対照比較試験が必要と考えられる1).OSAによる低酸素および再酸素化(間欠的低酸素血症)78)-80),そして睡眠の分断化81),82)が生理的なストレスとなり,インスリン抵抗性,高血圧心血管障害の発症に重要な役割を果たす可能性が示唆されている(図10)83),84).国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)から「睡眠時無呼吸と2型糖尿病に関する IDF合意声明」が発表され,同声明では「(1)2型糖尿病と睡眠呼吸障害(sleep disor-

dered breathing:SDB),特にSDBで最も頻度が高いOSAに関連がある可能性が,最近の研究によって示されている.OSAの40%がやがて糖尿病になり,糖尿病

図10 肥満・内臓脂肪と閉塞型無呼吸の関連及び結果として起こる病態生理

心血管障害

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)肥満と内臓脂肪

酸化ストレスおよび活性酸素

HIF-1α 活性化 接着分子 遊離脂肪酸アディポカイン

インスリン抵抗性 高血圧

炎症,NF-kBの経路 交感神経の活性化

間欠的低酸素 睡眠分断および覚醒

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患者の23%はOSAである.(2)IDFは医療機関に,この2つの疾患の関連についての研究活動を促進することを求める.(3)1つの疾患を持つ患者に対して他の疾患が伴う可能性が考慮されるべきである」としている84). OSAとメタボリックシンドローム(metabolic syn-

drome:MetS)の関連が注目されるが,MetSの管理は脳心血管障害の予防のために行われると記されており85),この目的はOSA治療の目的と一致するものである.MetS構成の重要な1因子に内臓脂肪量があるが,OSAの肥満型は内臓脂肪蓄積型肥満との報告が多い86),87).AHIと内臓脂肪量が一次相関を示したとの報告がみられている.また,OSA患者の内臓脂肪量は長期CPAP療法により体重の変化なしに有意に低下したとの報告されている88),89).したがって,OSAが体内の脂肪の分布に影響を与える可能性も否定できない.MetS

の定義には,World Health Organization(WHO)90),Na-

tional Cholesterol Education Program(NCEP)91),IDF92),我が国の定義9)などがあり,頻度を比較するとき注意が必要であるが,一般的にはAHI≧30の重症OSAの60~70%以上はMetSを合併していると報告されている93)-97).現在までにOSA患者のMetS頻度については5編の論文が発表されているが93)-97),5編中1編のみが一般人口に基づいた成績であり,同論文では結果として一般人口より有意に肥満傾向のある者が対象となっている95).男女比が不明の論文があるが,いずれにおいても男性は体重に独立してOSA患者においては有意にMetS

の頻度が高いと報告されている93-97).一方,Metsの構成要因である糖尿病,高脂血症などの代謝障害および高血圧は,睡眠時無呼吸の重症度よりも体重に依存していたとの報告もある98),99).最近の報告では,我が国の都市部にある1企業男子275名中,重症OSAは16名みられ,NEP基準で69%にMetSが合併しており,MetS患者の16.2%に重症OSAがみられたが,MetSがない群では2.4%のみに重症OSAがみられた.MetSの出現頻度はOSA

の重症度に有意に関連していたが,年齢,体重で補正すると有意ではなくなった100).OSAとMetSの関連における体重,年齢の影響については今後も検討が加えられると思われる.

7 血栓,血小板活性との関連 OSA患者は将来,心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞)を合併する危険性が高い31).心筋梗塞や脳梗塞は,プラークの一部が傷害され,その部位に血小板が凝集して血栓を形成することで血管が完全閉塞し発症する57).このプラークを脆弱化させる分子としてmatrix metallopro-

teinase(MMP)-9が重要な役割を果たしているが,実際にOSA患者では血中のMMP-9濃度が上昇している101).一方,MMP-9を阻害する分子である tissue inhibitor of

metalloproteinase(TIMP)-1は,コントロールとOSA患者では有意差が認められない.さらに,OSAでは血液凝固異常により過凝固の状態になっていることが指摘されている.血小板自体も活性化されており,血小板活性化因子のP-selectinやCD40Lの上昇も指摘されている69),102).さらに,活性化された血小板から放出されたと考えられるカテコールアミン濃度がOSA患者では上昇している103).OSA患者で認められる血中 fibrinogen

や粘性度(ヘマトクリット),tumor necrosis factor(TNF)-αの上昇は,血栓形成を促進させると考えられている61),104),105).過凝固状態の直接的指標としてD-ダイマーがOSA患者では増加している106).さらに,OSAではplasminogen-activator inhibitor type 1(PAI-1)が増加しており,線溶活性を阻害して血栓の促進傾向に関与している可能性も指摘されている107).また,夜間の低酸素血症に曝露される時間と血小板活性化マーカーに正の相関が認められたことより,間欠的低酸素による酸化ストレスが直接的または間接的に血小板の活性化や凝固能の亢進に関与していることが示唆されている69).OSAには肥満,高血圧,糖尿病,高脂血症などの疾患を合併することが多く,これらの疾患はすべて血栓の促進や血小板活性に影響を及ぼしている可能性もある.上述した血小板の活性化や血小板活性化マーカーについては,CPAP治療で改善するという報告と変化しないという報告が混在しており,患者の合併症の要因なども重なり,真にOSAがこれらの要因に独立して関与しているかについては,今後のさらなる検討が必要である.

8 肥満低換気症候群(Pickwickian症候群)(表5)

 1956年Burwellら108)によって提唱されたPickwickian

症候群とは,肥満,傾眠,痙攣,チアノーゼ,周期性呼吸,多血症,右室肥大,右心不全の八徴候を有する疾患を指す.Pickwickian症候群の臨床像が,Charles Dick-

ensの小説“Pickwick Club”の Joe少年に酷似していることから,この名が付けられた.肥満低換気症候群(obesity hypoventilation syndrome:OHS)は慢性の高PaCO2血症を呈する肥満であるが,その定義はあいまいであり,Pickwickian症候群と同様に扱われ,OSAの重症型と考えられている.欧米をはじめ一般的な考え方では,BMIが30kg/m2以上,PaCO2が45mmHg以上で,かつガス交換障害が高度のため低酸素血症を伴う肺胞低換

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気があり,睡眠呼吸障害があればOHSと考えられている109),110).肺胞低換気を示す重症慢性閉塞性肺疾患(COPD),胸郭拘束性肺疾患,神経筋疾患との鑑別は重要である.なお,OHS患者の約90%がOSAを合併しており,残り10%はAHI<5と考えられている110).重要な点は,循環器系の合併症を惹起しやすく,通常のOSA

より予後不良の点である111).治療には減量と同時に,睡眠呼吸障害に関してはCPAPが第一選択である(クラスⅠ,レベルA)112).しかし,通常のOSA患者に比し,高圧のCPAPが必要なことが多く,その不快感のため治療の継続が難しかったり,CPAPだけでは睡眠中の酸素飽和度の低下を防止できない場合があり,bi-level PAP

による治療が必要となることもある(クラスⅡb,レベルC)112).ASV使用の報告はみられていない.重症例では気管切開が検討されることもある(クラスⅡb;レベルC)113). なお,本疾患については厚生労働省特定疾患の対象疾患に指定されており,調査研究が行われている.

2 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

1 機 序 睡眠時無呼吸の発生は呼吸調節機序から説明できる.覚醒時の呼吸は動脈血中の二酸化炭素(CO2)および酸素(O2)と高位中枢により調節されているが,睡眠中はもっぱらCO2化学反射を介する負帰還システムにより換気が制御される114).中枢の化学受容野はH+イオンに敏感に反応する.動脈血中に増加した動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は血液脳関門を通過し,H+イオンを遊離することにより化学受容器を刺激する.したがって,血中のPaCO2の変化が脳脊髄液のpHを変化させるためには一定の時間を要する.一般に負帰還システムは,センサーの感度が高すぎるか信号の伝達に時間がかかるとき

不安定になる.心不全患者では低酸素血症,交感神経緊張など種々の要因により呼吸中枢のCO2感受性が亢進しているだけでなく(高いセンサーの感度)115),循環時間の延長によりPaCO2の呼吸中枢への伝達が遅れている(情報伝達の遅延).これらが呼吸調節システムを不安定化し,周期性呼吸を誘発しやすい条件を形成している(図11).

① 発生様式

 CO2感受性は覚醒時に最も高く,睡眠段階により変化する.(1)心不全患者では覚醒時に亢進した換気によりPaCO2が低下しているため,眠りに陥るとCO2感受性は急に低下し,CO2濃度が無呼吸閾値に入り呼吸が停止しやすい.

(2)無呼吸の持続とともにPaCO2が増大するが,循環時間の遅延のためこの情報の呼吸中枢への伝達は遅れ,その結果,無呼吸は持続しPaCO2が過剰に増加する.

(3)中枢の化学受容器がこの高いPaCO2情報をとらえた時点から換気が急激に増加し,覚醒あるいは脳波上の覚醒(microarausal)が起こり睡眠が分断される.この覚醒はCO2感受性を亢進させ,過換気はさらに助長される.

(4)過換気によりPaCO2が是正されても循環遅延により呼吸中枢への情報伝達が遅れるため,過換気が持続しPaCO2はさらに低下する.

(5)呼吸中枢がPaCO2の低下を感知し換気が減少してくると患者は深い眠りに陥り,化学感受性も低下し再び呼吸が停止する.心不全患者では心拡大などによる機能的残気量の減少に伴い肺内酸素予備量が少ないため,いったん無呼吸が起こると健常者に比べ高度の低酸素血症を起こしやすい.

② 化学反射の亢進機序

 CO2化学反射は低酸素への曝露時や運動時に亢進し,逆に睡眠やある種の薬物(ジヒドロコデインなど)により抑制される116),117).慢性心不全患者では中枢性CO2化学反射および末梢性O2化学反射のいずれも亢進しており,この亢進と交感神経活動の亢進との密接な関連性が示唆されている.すなわち,実験的にノルエピネフリンを点滴静注すると,用量依存性に頸動脈O2化学受容器からの求心性線維の発火頻度が増加し,この反応はpro-

pranololで抑制されること118),臨床的に心不全で亢進した中枢性CO2化学反射が中枢性α2受容体刺激薬で是正されることが報告されている119).運動時の運動筋ニュ

表5 肥満低換気症候群(Pickwickian症候群)の治療クラスⅠ◦減量(エビデンスレベルA)◦CPAP(エビデンスレベルA)

クラスⅡa なし

クラスⅡb◦CPAPだけでは睡眠中の酸素飽和度の低下を防止できない場合のbi-level PAP(エビデンスレベルC)◦重症例に対する気管切開(エビデンスレベルC)

クラスⅢ なし

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ーロンへの中枢指令は同時に換気を亢進させるが,一方で活動状態にある運動筋からの求心性刺激が換気を増大させている可能性がある120).さらに,心不全における肺毛細管圧の上昇による J receptorの刺激も,求心性C

線維を介して過換気を誘発しPaCO2の低下にかかわっている121).

③ CSAを維持する悪循環

 CSR-CSAでは無呼吸を維持する多くの悪循環が形成されている(図11).その1つは無呼吸による睡眠の分断がCO2化学反射を亢進させ周期性呼吸の維持かかわっていること,第二は,無呼吸による低酸素血症がCO2化学反射を亢進させ無呼吸を誘発していること,第三は,無呼吸による低酸素血症が交感神経を賦活し,これがCO2化学反射を亢進させていること,第四は,CO2化学反射の亢進が逆に交感神経活動を過剰に亢進させること,などである122).低酸素血症,交感神経活動の亢進,睡眠障害による副交感神経の減弱はいずれも,直接的あるいは頻脈や不整脈を介して間接的に心不全を増悪させる.また,CO2化学反射の亢進は昼間活動時の息切れを助長し,睡眠の分断は昼間の眠気や倦怠感の原因となり,心不全患者の生活の質を損ねている.

2 炭酸ガスレベルと換気応答

① 呼吸の化学的制御

 動脈血の酸素分圧(PaO2)あるいは炭酸ガス分圧(PaCO2)の変化に伴う換気量 は個人および疾患状態で異なる.化学反応性が高いと過換気が顕著となり,PaCO2は正常呼吸時の値以下に低下し,低換気および無呼吸に至る.また,心拍出量低下時によるフィードバックループに時間の遅延が生じる場合には過換気がさらに延長し,顕著な過換気および,その後の不安定呼吸の要因となる.

② 呼吸制御の状態関連変化

1)無呼吸閾値 PaCO2が無呼吸閾値と呼ばれる臨界閾値以下に低下すると,睡眠中では,呼吸停止の影響を受けやすい.通常,無呼吸閾値は睡眠時の正常呼吸PaCO2値の2~6 mmHg

以下に相当する.この値は覚醒時の正常呼吸PaCO2値と同等,ないしはわずかに低い123),124).2)睡眠の変化 就眠時に発生する変化に加えて,低酸素および高炭酸ガスに対する換気応答は睡眠段階で低下,特に急速眼球運動(REM)睡眠中に低下する125)-127).睡眠が進行す

図11 心不全における中枢性無呼吸の成因と悪循環

倦怠感 息切れ

肺うっ血

過換気

迷走神経活動⬇ 交感神経活動⬆

心拍数の増加不整脈

QOLの低下

PaO2 ⬇PaCO2 ⬆

循環時間遅延

心不全

肺毛細管圧上昇低酸素血症交感神経緊張

Sleep Qualityの低下

中枢性無呼吸

CO2化学感受性の亢進

A

A

D

D

B

B

C

C

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るにつれ,換気量は低下するが,このとき,PaCO2は約3~8 mmHgの漸増を来たす128).3)覚醒への移行 中枢性無呼吸の発現は,覚醒感受性の2つの重要な要素,すなわち覚醒閾値および覚醒に対する換気応答により影響される.4)覚醒に対する換気応答 覚醒に一致して発生する睡眠から覚醒状態への急速転換により,PaCO2は,睡眠時の約45 mmHgから高炭酸ガス血症へと導く覚醒状態時の約40 mmHgまで急速にシフトする.また,睡眠誘発性上気道抵抗性の消失,覚醒ドライブ再開により種々の大きさの換気応答が始まる. 過換気応答は,低炭酸ガスによりPaCO2が無呼吸閾値と交差すると,入眠後に中枢型無呼吸を発生させるPaCO2の急速な低下を引き起こす129).

③ 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の発現

 CSAは覚醒時のCO2濃度により,2群(高炭酸ガス性と非高炭酸ガス性)に大別されるが,これら2群では発生病態が極めて異なる130).1)高炭酸ガス性CSA 覚醒中に呼気排出が障害されている患者では,日中に様々な程度の高炭酸ガス血症を呈している.高炭酸ガス血症は,睡眠中に呼吸出力の低下あるいは停止が起こると確実に悪化する.原因は,中枢性呼吸出力の低下と呼吸に関連する末梢部呼吸駆動出力の障害(呼吸関連神経,筋の障害)に分けられる.① 中枢ドライブ障害  脳幹部の腫瘍または外傷は,中枢性呼吸出力低下の直接の原因となり,睡眠中にはさらに悪化し,その結果CSAが発現する.さらに,高炭酸ガス性CSAを発生するものの1つに先天性中枢性低換気症候群(congenital

central hypoventilation syndrome:CCHS)がある.これは「オンディーヌの呪い」として知られている疾患の1つで,睡眠中に著しい肺胞低換気を来たし,重度の高炭酸ガス血症や低酸素血症に至ること131),および睡眠中の呼吸パターンでの,1回換気量の低下が特徴であり,呼吸数はほぼ正常である132).閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)とは異なり,CCHSの換気はノンレム睡眠と比較してレム睡眠中でより安定する傾向にあり133),これはレム睡眠中に生じる呼吸促進作用によるものと推定される.CCHS症例の大半は新生児であるが,近年134),CCHS

の成人例の報告もある. オピオイドの長期間使用の約半数にCSA(オピオイ

ド関連CSA)が発現することが報告されている.このオピオイド関連CSAの特徴は,高度な低酸素血症および反復性のCSAを伴う長時間の低換気であり,これらはレム睡眠中には改善する傾向にある135).メカニズムとしては,オピオイドによる高炭酸ガス換気応答と低酸素応答の障害が考えられている. 中枢性呼吸出力低下を発生させるもう1つのタイプに肥満低換気症候群(OHS)があるが,他項を参照されたい.また本疾患は,厚生労働省特定疾患に指定されている原発性肺胞低換気症候群(primary alveolar hy-

poventilation syndrome:PAHS),あるいは中枢性肺胞低換気症候群(central alveolar hypoventilation syndrome:CAHS)との異同が問題となるが,詳細な言及は控える.② 呼吸運動制御の障害 中枢性呼吸出力を肺・胸郭に伝達する呼吸関連神経および呼吸筋障害によっても高炭酸ガス性CSAは起こる. 重症筋無力症(神経筋接合部),筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患),ポリオ後症候群,およびミオパチーなどの神経筋障害で発生する.また,脊椎後側弯症などの胸郭異常でも起こる.その他,肺障害,すなわち代表的疾患である肺気腫で高炭酸ガス性CSAを来たすが詳細は不明で,頻度,機序の解明については今後の重要課題である.2)非高炭酸ガス性CSA 呼吸が正常または低炭酸ガス血症を認める患者において,中枢性無呼吸の基礎因子は,高炭酸ガス性CSA患者とは全く異なる.① チェーン・ストークス呼吸(CSR) 複数の特徴が特有のCSRパターンの発現に関与する.これらの因子には,換気ドライブの亢進136),137),無呼吸閾値と睡眠中の正常呼吸時のPaCO2値との差が最小となること138),動脈血ガス組成と呼吸調節器とのミスマッチを来たす循環時間の延長139),140),およびCO2に対する脳血管反応性の障害141)などがある.肺うっ血は,呼吸調節中枢へ感覚情報を伝える求心性C線維(J受容体)を活性化させて過換気を引き起こし,無呼吸の原因となる142).心不全患者においては,肺毛細血管楔入圧,低炭酸ガス血症,およびCSAの重症度は互いに強力に関連している143).② 特発性中枢性無呼吸(ICSA) これの発症機序は十分に解明されていない.低炭酸ガス血症および高炭酸ガス性換気応答の亢進は137),144),145),特に重要である.さらに,覚醒および付随する過換気は覚醒刺激の短時間再開および化学感受性の変化に起因してみられるが,低炭酸ガス血症誘発に重要な役割を果た

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し,結果的に呼吸がさらに不安定となる146).これらの不安定化因子により,患者は,睡眠中の呼吸正常時のPaCO2値に非常に近接する無呼吸閾値以下に容易になりやすい.この現象は特に日中において低炭酸ガス血症を認める患者でみられる. この不安定呼吸の病態は非高炭酸ガス性CSAと共通しており,すなわち,低炭酸ガス血症に起因して無呼吸閾値以下になりやすくなることや,換気調節をさらに不安定にする覚醒傾向などである147).

3 臨床症状 CSA患者に特徴的な自覚症状はなく,基本的にはOSA患者のそれと共通する.不眠,日中の眠気,全身倦怠感などがそれである1).また,CSA患者においては,CSAを有さない心不全患者よりも深睡眠が減少し,REM睡眠の割合が低下し,覚醒反応が増加している22).このようにCSA患者の睡眠構築は障害されている.にもかかわらず,CSA患者において日中の眠気の指標であるEpworth Sleepiness Scale(ESS)は変化せず42),AHIとも相関しない129).また,心不全に由来する息切れや全身倦怠感と,CSAに由来する症状とを区別することは難しい.純粋なCSA患者であればOSA患者のようないびきを生ずることもない.このような理由から,CSAの存在を自覚症状から予測することは難しい. CSA患者の中には,チェーン・ストークス呼吸を覚醒時にも示す症例がある148).また,覚醒時のチェーン・ストークス呼吸が安静時には明らかではなくとも,心肺運動負荷試験によって明確になる場合も少なくない149).睡眠時,安静時,運動時に生ずるこれらの周期的な呼吸は,共通する換気調節異常と関連していると考えられている.また,CSA患者のAHIは最大酸素摂取量とは相関しないが,運動負荷による換気応答が亢進していることも特徴の1つである129). CSAを伴う心不全患者は睡眠中の血中と尿中のノルエピネフリン濃度が高い52).夜間酸素療法はCSAと就眠中の交感神経活性を低下させる150).このような事実から,CSAが睡眠中の交感神経活性を亢進させるという考えが広く受け入れられている.したがって,無呼吸に関連して出現する心室性不整脈は,交感神経活性の亢

進と強く関連していると信じられている151). OSA患者の交感神経活性は,睡眠中ばかりでなく昼間も亢進していることが知られている.この交感神経活性亢進の「持ち越し効果」がCSA患者においても認められるか否かは,いまだ不明である.CSA患者は,CSAを伴わない心不全患者よりも心拍変動の異常や非持続的心室頻拍を伴う頻度が高く152),覚醒時の筋交感神経活性が高い153).これらの報告は,CSA患者における覚醒時の交感神経活性亢進を示唆している.55例の心不全患者を対象に,全身と心臓のノルアドレナリンspilloverを覚醒時に調べた報告がある143).CSAを伴う心不全患者のノルアドレナリンspilloverは,OSAを有する心不全患者および睡眠呼吸障害を伴わない心不全患者の値よりも高値であった.しかし,心不全の重症度によって補正すると,3群間の差は消失した.したがって,覚醒時の交感神経活性の亢進は,CSAに由来するものではなく,単に心不全の重症度に由来すると考えられている143).CSA患者における就眠中の交感神経活性亢進が覚醒時に持ち越されたことを示した報告は,まだ存在しない.

4 OSAとの違い(表6)

 CSAを伴う心不全例はOSAを伴う心不全症例と比較して,男性に多く,高齢で,BMIが低く,心房細動の頻度が高く,PaCO2が低く22),肺動脈楔入圧が高い121).また,心不全治療により肺動脈楔入が低下するとCSA

も改善する121).一晩の間でも換気量の増大や,動脈血二酸化炭素濃度の低下に応じて,OSAからCSAに移行する現象が認められる154).また,睡眠ポリグラフ検査を1か月以上の間隔を空けて行うと,CSAとOSAの間を相互に移行する症例も存在する155).このように,CSAは固定した現象ではなく,その病態に応じて変化しうる. 無呼吸が血行動態に与える影響もOSAとCSAでは異なる.OSA患者の無呼吸中の胸腔内圧は-50mmHgから-80mmHg程度まで低下する.この結果,静脈還流が著明に増加し,前負荷が増大する.拡大した右心室は心室中隔を圧排し,左室容積を減少させることもある46).また,心室内外の圧較差が増大し,後負荷も増大

表6 OSAとCSAの違い

日中の眠気

睡眠中の交感神経活性

交感神経活性亢進の日中への持ち越し効果

無呼吸中の血行動態胸腔内圧 前負荷 後負荷

OSA 強い 亢進 あり −50~−80mmHg 上昇 上昇CSA 不明瞭 亢進 不明 −5~−10mmHg 不変 不変

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

する.このような血行動態上の変化が心筋ポンプ機能を直接低下させる.したがって,このような因子が心不全増悪に強く関連している症例(肥満肺胞低換気症候群など)においては,心不全の急性期治療として持続陽圧呼吸療法は有効である. 一方,CSAによる無呼吸中には胸腔内圧低下が生じないため,前負荷や後負荷の増大を介した心筋ポンプ機能の悪化は生じない.したがって,CSAを有する心不全患者の急性期治療における,持続陽圧呼吸療法と夜間酸素療法の意義は不明である.しかしながら,CSA患者においては,無呼吸中にその周期に一致した筋交感神経活性156),心拍変動157),体血圧,心拍数,脳血流158)の周期的変動が観察される.このように,CSAにおいても,OSAと同様に無呼吸が交感神経活性の周期的変動を引き起こし,結果的に夜間交感神経活性を亢進させ,慢性心不全の病態を増悪させていると考えられている52),150).このような理由から,CSAに対する治療は慢性心不全の新しい治療オプションの1つとなりうる. OSA患者で報告されてきた炎症性サイトカイン,酸化ストレスの異常が,CSA患者でも同様に認められるか否かは不明である.

5 複合型睡眠時無呼吸症候群(CompSAS)

 複合性睡眠時無呼吸症候群(complex sleep apnea syn-

drome:CompSAS)は,閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が主体と診断された患者の治療時に,有意の中枢性睡眠時無呼吸(CSA)が生じてくる現象を指している(図12).CPAPタイトレーション時や耳鼻科的手術治療後

にこうした現象が生じることは経験的に知られていたが159),Morgenthalerらは,CompSASを,CPAPタイトレーションが閉塞型無呼吸低呼吸のイベントを消失させた後に中枢性無呼吸指数(CAI)が5以上残存するか,チェーン・ストークス呼吸が出現して呼吸が分断されるもの,と初めて定義した160).諸外国での検討では,その頻度はOSAS患者の15~25%に上ると報告されたが160)-162),その後に行われた我が国における2つの調査では,4,582症例のCPAPタイトレーション時に194名(4.2%)の発生163),また1,312例のCPAPタイトレーション時に66例(5.0%)の発生164)が報告される程度であり,少なくとも諸外国からの報告に比較して少ない現象であることが判明している. 発生リスクに関しては,無呼吸低呼吸指数や覚醒指数の高い場合や最適CPAP圧が高い場合162),男性でBMI

が小さい場合161),165)などが挙げられているが,我が国からの報告も含めて,体格や睡眠時無呼吸症候群状況などで明らかな危険因子とみなされるものはないと考えられる.心不全患者に多いという報告もあるものの162),心機能や心疾患の有病率とに関連はないとの報告もあり164),166),現時点では不詳である. CompSASが発生する機序は現時点では明らかにされていないが,CompSAS患者をCPAP開始後数か月で再検すると,多くの患者でCSAが軽減または消失する165),166)点から,CPAP開始に伴う急激な肺の伸展に対する神経反射による中枢性の呼吸抑制が一因である可能性が挙げられている.また,心不全などによって呼吸が不安定となり,元来CSA(チェーン・ストークス呼吸)を生じやすい状態の患者にOSAが合併している際に,

Flow:気流,THO:胸郭運動,ABD:腹部運動,SpO2:酸素飽和度CPAP治療前には閉塞性睡眠時無呼吸症候群であったものが,CPAP治療[CPAP(+)]時には中枢性睡眠時無呼吸症候群に変化している.

図12 複合性睡眠時無呼吸症候群(Comp SAS)の1例

CPAP(−)

CPAP(+)

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OSAを治療するためのCPAP治療を行うことによりCSAが表面化し,CompSASという状況が生じる可能性も推定されている. 治療としては,多くの症例でCPAPのみの治療により,数か月の間にCSAが消失している165),166)ことから,患者がCPAP治療を継続できるのであれば,経過を観察することは有効と考えられる.しかし,どのようなタイプの患者で改善効果が期待できるかといった点や,最適の経過観察は現時点では不明である.ただし,CPAPにより睡眠呼吸障害が改善していない場合にはコンプライアンスが悪化し,使用が継続できない可能性があることに注意が必要である.心機能が低下している患者は元来CSAを生じやすいが,こうした睡眠呼吸障害は心機能の改善とともに軽減・消失していくことが知られている164),167),168).したがって,CompSAS患者でその機序に心機能低下の関与が疑われる場合には,心機能改善そのものが有効な治療法と考えられる.薬物療法としてはアセタゾラミドの使用によってもある程度のCSA改善が報告されている169)が,これがCompSAS患者にも適応できるかは不明である.同様に,陽圧呼吸回路内に微量の二酸化炭素を回路内が一定濃度となるように調節しながら使用してCSAを完全にコントロールできるという報告もあるが170),これには特殊な設備や機器が必要であり,さらに少数例のCompSASではないCSA患者での報告であり,現時点では一般的治療として勧められない.CompSASでは元来のOSAとCPAP治療後に発生したCSAが問題となっているため,これらの双方の加療が可能な2相性陽圧呼吸器(bi-level PAP)とadaptive ser-

vo-ventilator(ASV)が有効である.これらの機器によるCompSASの治療成績もかなり報告されてきているが,CPAPに比較するといずれも有効であるものの,ASVによる治療成績が最も優れており171)-173),有効性という観点からはASVによる治療が最善と考えられる. 以上のように,bi-level PAP機器やASV機器はOSA

とCSA両者の睡眠呼吸障害をほぼ完全に治療できるのはわかっているものの,我が国の保険医療体系ではこれらの機器はCPAPと比較して,極めて高額であることを考えると,まずCPAP治療を行った後に残存するCSA

がある患者に対してのみ,こうした機器を使用していくことが妥当であると考えられる.

Ⅳ 診 断

1 簡易モニター

【同義語】携帯用装置,簡易検査,簡易診断装置,簡易SAS検査

 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)の最も確実な診断方法は,監視(attend)下における標準睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)である.しかし,本格的なPSGの実施には多くの医療・人的資源の投入が必要で,診断を担保するには豊富な経験が必要である.我が国ではPSGの実施可能な施設が限られている.これに対し,SAS診断のための携帯用装置(以下,簡易モニターと呼ぶ)は,脳波,眼電図,頤筋筋電図を省くことで,在宅での検査を可能にした方法である.

1 検査機器 米国のAmerican Academy of Sleep Medicine(AASM),American Thoracic Society(ATS)とAmerican College of

Chest Physicians(ACCP)の3学会合同による指針174)は,SASの検査機器をType 1~4までの4段階に分類した.Type 1は監視下でのPSGである.簡易検査は表7のようにType 2~Type 4の3段階にまで分類された. 我が国の診療報酬上の記載では,「携帯用装置とは鼻呼吸センサー,気道音センサーによる呼吸状態及び経皮的センサーによる動脈血酸素飽和状態を終夜連続して測定するもの」である.そのため,医療保険では,鼻気流,いびき音,パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度(SpO2)の最低3項目を測定できることが必須の条件である.日本での通常のSASの簡易モニターの機器は,米国の指針(表7)に当てはめると,Type 3またはType

4のどちらかに相当する. Type 2を除けば,SASの簡易モニターには脳波記録が含まれないため,夜間の睡眠段階(深度)の判定はできない.そのため,簡易モニターでは正確な睡眠時間が

表7 簡易モニターの分類(AASM,ATS,ACCPの3学会合同指針 174))Type チャンネル数 検査項目(センサー)

2 7以上 脳波,眼電図,頤筋筋電図,心電図か脈拍,気流,呼吸努力,酸素飽和度(SpO2)3 4以上 換気か気流(少なくとも2チャンネル以上の呼吸運動か,呼吸運動と気流),脈拍か心電図,SpO2

4 1または2 SpO2または気流

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測定できず,真の無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea

index:AHI)の算出に限界がある.検査記録時間や自己申告の睡眠時間による問題点を含み,簡易モニターで求めたAHIはあくまでも推定値であることに注意が必要である.なお,簡易モニターで算出したAHIは,PSG

で求めたAHIと区別するため,用語的にRDI(respiratory

disturbance index:RDI)と区別されることがある.

2 適応症および使用適応 我が国の医療保険制度における健康保険適用では,簡易モニター(携帯型装置)は「睡眠呼吸障害が強く疑われる患者に対して,睡眠時無呼吸症候群の診断のために用いる」ものである.しかし米国のAASMマニュアル2007による簡易モニターの適応では,「簡易モニターは慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary dis-

ease:COPD)やうっ血性心不全(congestive heart fail-

ure;CHF)などの合併症を持つ患者では使用すべきではない.また,一般的なスクリーニング検査でも使用すべきでない.簡易モニターは睡眠外来などを受診し,専門医の注意深い問診や診察などにより,臨床的に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の可能性が高い患者においてのみ使用されるべきである」と記載されている175).COPDや CHFが合併している場合には,どちらが影響しているのか判断が難しく,安易に診断できないこともあるため,簡易モニターを確定診断のために使用することは避けるべきである.そのため,CHFを合併する循環器疾患の患者では,原則としてPSGを用いて睡眠呼吸障害の確定(最終)診断を行うことが望ましい.

3 循環器領域においてSASを診断する目的

(1)循環器疾患のリスクとしてのOSASのスクリーニング診断のため.

(2)慢性心不全に合併するSASの診断,治療のため. 循環器領域においてSASを診断する目的には,上記の2つが考えられるが,簡易モニターが使用されてもよいのは,(1)のスクリーニングの場合のみである.(2)のために簡易モニターを使用することは推奨されない.確定診断は,あくまでもPSGを用いて行うべきである.

4 センサー類

① 鼻呼吸センサー

 鼻呼吸センサーには現在使用できるものとして,圧センサーと温度センサーの2種類がある.圧センサーは換

気量と直線的ではないが相関があり,気流制限(フローリミテーション)を検出しやすい.低換気での感度が低く,低呼吸を無呼吸として過大評価する可能性がある.逆に,温度センサーは換気量とは相関せず,少しの気流でも感知するため,低呼吸を正常呼吸と過小評価する可能性がある. 1999年のAASM task forceでは,温度センサーは閉塞性低呼吸 /無呼吸の評価において「Dランクに適さない」と見なされたため,それ以降の検査機器では,主に圧センサーが用いられるようになった.しかし,AASMマニュアル2007の簡易モニターの task forceによる臨床的ガイドラインでは,圧センサーと温度センサーの両者を用い,圧センサーで低呼吸を,温度センサーで無呼吸を検出するように推奨されている.

② 気道音センサー

 以前はマイクロフォンで記録するものが多かったが,最近は,鼻呼吸センサーの圧センサーから変換して記録するタイプが多い.

③ 経皮的センサー

 パルスオキシメータのことであり,経皮的に動脈血酸素飽和度(SpO2)を記録する.同時に脈拍数を検出することができる.ただし,末梢血管の循環不全などがあるときには検出不能である.パルスオキシメータでのSpO2の算出は機種によって多少異なるが,多くはノイズ信号の処理のために移動平均処理を行い,その平均値を記録している.移動平均時間が長いとノイズは少なくなるが,無呼吸によるSpO2の変化に追従できなくなることがある.AASMマニュアル2007では,移動平均時間が3秒以下,サンプリング間隔が1秒程度の機種がよいと推奨されている.

④ 呼吸運動センサー

 胸腹ベルトには,ストレインゲージとピエゾ(Piezo)センサーがある.両者とも換気量との相関はない.位相のずれや呼吸の減弱を必ずしも正確に表さない.また,呼吸インダクタンスプレチスモグラフィ(respiratory in-

ductance plethysmography:RIP)法で胸腹部の2つの測定値の合計を算出し,閉塞性低呼吸 /無呼吸やチェーン・ストークス呼吸を検出できる.ただし,心拍動のアーチファクトがしばしば検出されるため,中枢性イベントに対してはやや精度が落ちることがある(中枢性イベントを的確に診断できるのは,食道内圧による胸腔内圧測定のみである).

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5 解析ソフトウエア 簡易モニターの記録波形などを解析し,SASの重症度判定などを行うためには,各検査機器に対応した専用解析ソフトウエアにより解析を行う.しかし,現状では自動解析のみでの解析結果を鵜呑みすることはできず,必ず視察マニュアル解析を加えて評価した方がよい.そのため,機種の選択では,マニュアル解析できる解析ソフトウエアが付属するものを選ぶべきである.イベントを訂正できるだけではなく,解析できるパラメーターも変えうる機種がSASの簡易モニターとして推奨される.

6 評価のための項目

① 無呼吸指数(apnea index:AI)

 簡易モニターにおいて,無呼吸の総回数を記録時間(推定睡眠時間)で割って,1時間当たりに換算したもの.

② 無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)

 簡易モニターにおいて,無呼吸低呼吸の総回数を記録時間(推定の睡眠時間)で割って,1時間当たりに換算したもの.

③ 呼吸障害指数(respiratory disturbance index :RDI)

 AHIとほぼ同義.通常簡易モニターにおいて,無呼吸低呼吸の総回数を記録時間(推定睡眠時間)で割って,1時間当たりに換算したもの.

④ 酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index:ODI)

 簡易モニターにおいては,ベースラインのSpO2から任意の値*の低下した回数を記録時間(推定の睡眠時間)で割って,1時間当たりに換算したもの.(*注:任意の値とは,2%,3%,4%などで,3%なら「3%ODI」などと表記する.) 他には,体位,いびきなどが評価項目に挙げられる. 機種によっては,AHI with 3%ODIなど呼吸とSpO2低下を組み合わせたもの,または体位別も算出できる.

7循環器領域におけるSAS診療のための簡易モニター使用の限界(留意点)(表8)

◦睡眠脳波は記録されていないため,睡眠の質(深さ)

は判定できないこと.◦在宅や非監視での検査の場合,本当に寝ているかが保証されないこと.◦取り付けを患者自身がする場合は,記録状態が保証されないこと. 上記の点を十分考慮に入れて使用する. 検査のための機種は,PSGを行う前のスクリーニングで使用するのであれば,SpO2モニターかType 4の検査機器でもよいかもしれない.しかし,ある程度の診断をつけたいときには,Type 3の機種を使用し,鼻・口センサーは圧と温度の両方で,呼吸運動センサーは胸と腹の両方で行い,RIPを使用し,SpO2と心電図を付けうるものが好ましい(ただし,センサー数が増加すると患者自身では自宅で装着できなくなり,結局入院で検査技師が付ける場合もある).

2 標準・睡眠ポリグラフ検査(PSG)

【同義語】終夜睡眠ポリグラフィー,終夜脳波,終夜ポリグラフ検査

はじめに 我が国の医療報酬において睡眠ポリグラフ検査(poly-

somnography:PSG)は「他の検査により睡眠中無呼吸発作の明らかな患者に対して睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として行った場合に算定できる」とあるが,他の検査とは何かは記載がないため不明である.しかし,前述の簡易検査やSpO2モニターまたはHolter心電図などで異常所見があり,問診などから睡眠呼吸障害を疑わせた場合にはPSGを施行すべきである.

表8  循環器疾患のリスクとしてのSDBのスクリーニング診断のための検査

クラスⅠ◦Type 2機器を用いてSDBのスクリーニング診断を行う(エビデンスレベル A)

クラスⅡa◦Type 3機器を用いてSDBのスクリーニング診断を行う(エビデンスレベル C)◦Type 4機器を用いてSDBのスクリーニング診断を行う(エビデンスレベル C)

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

注)いずれの typeの機器による検査においても,自動計測の結果の数値だけを判断基準とせず,必ず実波形を確認した上で判定すること.

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1 PSGの施行(図13)

 PSGは,次に挙げる項目を取り付け施行する.◦脳波,眼球運動,頤筋筋電図の記録より睡眠段階を判定する.◦気流,胸腹壁の呼吸運動,SpO2,体位,前脛骨筋筋電図,心電図,いびき,食道胸腔内圧,体温,炭酸ガス分圧などの生体信号および映像音声を同時記録する. これらの情報の解析により睡眠の質,睡眠中の呼吸障害,循環状態,パラソムニアなどの有無を評価する1),174)-181).

2 PSGの解析(表9,10)

 PSG解析では睡眠段階(sleep stage),呼吸イベント,覚醒反応,周期性四肢運動などをスコアリングする.2007年4月 にAASMよ り“The AASM Manual for the

Scoring of Sleep and Associated Events”(AASMマニュアル2007)4)が刊行され,電極装着位置をはじめ新しい判定基準について記述されている.(1)睡眠段階(Stage)の判定◦30秒(または20秒)を1エポック(区間)とし,エポックごとに判定する.◦睡眠段階はStage W,Stage N1,Stage N2,Stage

図13 記録

①脳波(EEG):F3,F4,C3,C4,O1,O2が基本であり,配置は国際脳波学会の標準法(ten-twenty electrode system:10/20法)に従う.②基準電極(M1・M2):左右の乳様突起に置く.③眼電図(EOG):ROCとLOCの2点に装着する.目眼窩外側縁の1cm下方,位置対側は目眼窩外側縁の1cm上方の位置に装着する.④頤筋筋電図(EMG):下顎の下縁から1cm上方と,下顎の下縁から2cm下方で正中から2cm右側または左側の位置に装着する.双曲誘導の表面筋電図として記録する.

⑤心電図(ECG):記録中の脳波にartifactとして混入することもあり,その鑑別には特に重要である.胴体の電極配置を用いた第Ⅱ誘導など諸条件に応じて選択する.

⑥下肢筋電図:両足の前脛骨筋に3~5cmの間隔で2個の電極を装着し,双曲誘導の表面筋電図として記録する.⑦鼻・口呼吸センサー:口鼻サーミスタ・鼻プレッシャーセンサーを使用する.⑧胸・腹部センサー:インダクタンスプレチスモグラフィー(RIP)を使用する.⑨いびきセンサー⑩SpO2(パルスオキシメータ):動脈血中のヘモグロビン酸素飽和度を光学的に測定する.⑪体位センサー

ヒプノグラム

①②

⑧⑨

30sec

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N3,Stage REMに分類する(図14~18).◦SOREMp(sleep onset REM period:入眠してから15分以内のREM睡眠)の有無.

(2)覚醒反応(arousal)の判定◦脳波周波数の突然の変化(θ波・α波などを含む

spindle以外の16Hz以上の周波数を含む,図19).(3)呼吸イベントの判定◦イベントは無呼吸(閉塞性:obstructive,混合性:

mixed,中枢性:central)および低呼吸(hypopnea)に分類しスコアリングする(図20,21).◦チェーン・ストークス(Cheyne-Stokes respiration)呼吸の判定(図22).◦呼吸努力関連覚醒反応イベント(respiratory effort

related arousal:RERA)の判定.◦低換気.

表9 スコアリングから求められる指標全就床時間 TIB:time in bed/min 消灯~起床まで睡眠期間 SPT:sleep period time/min 入眠~最終覚醒まで全睡眠時間 TST:total sleep time/min stage N1+N2+N3+REM睡眠効率 SE:sleep efficiency/% TST/ TIB(SPT)×100入眠潜時 SL:sleep latency/min 消灯~入眠までREM潜時 REM latency/min 入眠~最初のREM出現まで各睡眠段階出現率 % stage N1

各睡眠段階の総和/TIB(SPT)×100% stage N2% stage N3% stage REM

中途覚醒時間 WASO:wake time after sleep onset/min

SPTの中での覚醒時間の総和

覚醒反応指数 Arousal index/h arousalの総和/TST/60(1時間当たりに換算)呼吸イベント関連,いびき関連,PLM関連,自発(spontaneous)覚醒

血中酸素飽和度 平均SpO2値/% Time of SpO2<90%/TST(%)SpO2値が90%未満となった合計時間最低SpO2値/%

%of SpO2<90%無呼吸低呼吸指数 AHI:apnea hypopnea index/h 無呼吸低呼吸の総和/TST/60(1時間当たりに換算)

NREM期,REM期,体位別など周期性四肢運動指数 PLMI:periodic limb movement/h PLMを確認し,PLM中の leg movementの総和/TST/60(1時間当たりに換算)注)PSGの循環器疾患に伴うSDB診断および治療効果の評価のための推奨度およびエビデンスレベルは,クラスⅠ,レベルA.

表10 循環器疾患に伴うSDBの診断・治療のための検査クラスⅠ◦循環器疾患に伴うSDB確定診断および治療効果の評価のためのPSG(クラスⅠ,レベルA)◦Type 2機器を用いて循環器疾患に合併するSDBの診断・治療を行う(エビデンスレベルA)

クラスⅡa なし

クラスⅡb◦Type 3機器を用いて循環器疾患に合併するSDBの診断・治療を行う(エビデンスレベルC)

クラスⅢ◦Type 4機器を用いて循環器疾患に合併するSDBの診断・治療を行う(エビデンスレベルC)

注)いずれの typeの機器による検査においても,自動計測の結果の数値だけを判断基準とせず,必ず実波形を確認した上で判定すること.

図14 Stage W

30sec

EEG:閉眼時にoccipital領域にて8~13Hzのα波が1エポックに50%以上を占める.EOG:急速眼球運動やまばたき,読書眼球運動がみられる.EMG:振幅は睡眠中よりも高い.

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図18 Stage REM

30sec

EEG:比較的低電位で様々な周波数の脳波.鋸歯状波(sawtooth wave)はcentral領域にて最も高い振幅を認める.EOG:急速眼球運動(rapid eye movements:REMs)がみられる.EMG:一夜を通して最も低電位.筋放電現象(twitch)を認める.

図15 Stage N1

30sec

EEG:α波が1エポックに50%未満.低振幅の様々な周波数帯の波が混在する.central領域にて頭頂部鋭波がみられる.EOG:弛緩性眼球運動(slow eye movements:SEMs)がみられる.EMG:覚醒時より振幅が低くなる.

図16 Stage N2

30sec

EEG: 睡眠紡錘波(sleep spindles)とK complexが出現.睡眠紡錘波はcentral領域で,K complexは frontal領域にて最も高い振幅となる.

EOG:弛緩性眼球運動はほとんど消失する.EMG:覚醒時より振幅は低く,stage R程度に低下することもある.

図17 Stage N3

30sec

EEG:frontal領域にて睡眠徐波(0.5~2Hz,75μV以上のδ波)が,1エポックの20%以上を占める.EOG:典型的にはみられない.EMG:電位はStage N2よりも低く,Stage R程度に低下することもある.

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図19 覚醒反応(arousal)

30sec

脳波周波数のα,θ,紡錘波を除く周波数16Hz以上の速波への突然の変化である.最低3秒以上持続し,その前には最低10秒以上の睡眠がなければならない.occipital,central両誘導にて判定する.

図20 無呼吸(apnea)

A 中枢性無呼吸(Central apnea)

B 閉塞性無呼吸(Obstractive apnea)

C 混合性無呼吸(Mixed apnea)

2 min

2 min

2 min

吸気努力が消失している.

吸気努力を認める.

イベント初期にて吸気努力が消失していて,その後,吸気努力の再開を認める.

サーミスタセンサーでスコアする.フローの最大振幅が基準値の90%以上低下し10秒以上持続する.イベントの90%がその振幅基準を満たす.最低の酸素飽和度低下基準は必要としない.

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992 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

(4)周期性四肢運動(periodic limb movement:PLM)の判定(図23)

(5)不整脈の判定(6)歯軋り(bruxism)の判定(7)異常所見の有無◦てんかん波など脳波異常の有無を確認.◦睡眠随伴症の有無の確認.

3 欧米,日本でのそれぞれの基準

1 OSASとSDBの診断・治療指針 表11は,成人のOSASに関する ICSD-2 6)の診断基準を示す.我が国でも,2005年に睡眠呼吸障害研究会から5つの関連学会の後援を得て,一般臨床医向けのOSAS診療に関するガイドライン「成人の睡眠時無呼吸症候群 診断と治療のためのガイドライン」が作成され

ている40).他に耳鼻科医向けの「睡眠呼吸障害(いびきと睡眠時無呼吸症候群)診療の手引き」182),保険歯科研究会協力編の「睡眠時無呼吸症候群の歯科保険診療」183)

などがあるが,まだ小児および高齢者向けのものはない.日本循環器学会では,循環器の診断に関する肺高血圧症治療ガイドライン184),また,慢性心不全治療ガイドライン185)において,SASとSDBについて述べられてきた.一方,中枢性SAS(central SAS:CSAS)は慢性心不全で高率に合併するため,チェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration:CSR)を伴った場合には,2004年に在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT),2007年にはサーボ制御圧感知型人工呼吸器(adaptive

servo-ventilation:ASV)が使用可能となった.しかし,OSAS以外のSDBの病態は非常に複雑であるため,SDBの診察では内科(循環器,呼吸器,内分泌・代謝・糖尿病,神経など),耳鼻咽喉科,歯科・口腔外科,ならびに精神科と多くの科の医師・歯科医師との協力(科・科連携)が必要であり,地域医療連携を含めた総合的な

図21 低呼吸(Hypopnea)

プレッシャーセンサーでスコアする.10秒以上持続する.フローが30%以上の低下し,かつ4%のdesaturationを伴う.またはフローが50%以上の低下し3%のdesaturationまたはarousalを伴う.イベントの90%が振幅低下基準を満たす.

2 min

図22 チェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration)

中枢性の無呼吸(低呼吸)と過呼吸が交互に起こる周期的な呼吸の変動であり,漸増漸減変動を認める.最低3周期連続し,中枢性無呼吸低呼吸が1時間当たり5回以上または漸増漸減変動が最低10分間連続する.注)CSA-CSR:呼吸振幅の小さくなった部分が中枢性無呼吸になっている場合をいう.

10 min

図23 周期的四肢運動 (periodic leg movement:PLM)

0.5~10.0秒の持続時間,安静時筋電図より8μVの振幅の上昇,5~90秒未満の間隔(interval)で4回以上群発する.5 min

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993Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

ガイドラインの作成が必要になった(図24,25,26).

2 呼吸イベント解析の基準 簡易モニターでSDBをスクリーニングに診断するときには,低めの判定基準(例えば3%ODI)で多数の疑わしい病態を検出すべきであるが,一方,専門施設で標準睡眠ポリグラフ検査(PSG)の最終診断が行われる場合には,より厳格な判定(基準)が望まれる.しかし,無呼吸(apnea)や低呼吸(hypopnea)などの呼吸イベントの判定には難解なケースがしばしばみられ,米国でもここ10年間のうちに3回の変遷があった.最初の基準はAASMのシカゴクライテリア1)と呼ばれて1999年に発表され,次の改訂基準はメディケアクライテリア2)

とも呼ばれ,前者は research definition,後者はclinical

definitionとみなされてきたが,最新の改訂基準は,AASMが2007年に提唱したスコアリングルール(AASM

マニュアル2007)4)に付随したものである. 以下にAASMマニュアル2007の呼吸イベント判定の推奨ルール(recommended)と代替ルール(alternative)について述べるが,循環器領域における心機能をも巻き込んだ複雑な呼吸イベントの判定は,現在の標準睡眠ポリグラフ検査(PSG)のみでは限界があり,さらに専門医療機関では夜間の連続CO2モニターや非侵襲的な胸腔

内圧(食道内圧)モニターの開発を待たねば十分に解決ができない問題点が残されていることも理解すべきであろう.

① 呼吸イベントの基準

 循環器領域で遭遇する睡眠呼吸障害患者の年齢の範囲は,ほとんどが成人の範囲に入ると考えてよいと考えられるため,呼吸イベントの判定は,2007年のAASMの成人の呼吸障害のルールに準拠してよいと考える.1)技術的留意点(推奨)*

(1)無呼吸は口鼻の温度センサーによる気流の消失で評価.

(2)低呼吸は鼻の圧センサーで評価.(3)呼吸努力の検出には,食道内圧かインダクタンスプ

レチスモグラフセンサーを用いる.(4)血中酸素の検出にはパルスオキシメータを用い,移動平均時間は最長でも3秒の設定で用いることが望ましい.(*注:推奨センサーの信頼性がないときは,他のセンサーで代用できる.呼吸努力は横隔膜や肋間筋の筋電図で代用.圧センサーは50%以下の振幅低下を評価する場合は,平方根で変換した方が正しい.)

表13  チェーンストークス呼吸パターン(Cheyne-Stokes breathing Pattern:CSR)の診断基準 6)

A. 睡眠ポリグラフ検査で,睡眠1時間当たり少なくとも10回以上中枢性無呼吸と低呼吸が認められ,その際,低呼吸の1回換気量は漸増漸減パターンをとり,睡眠からの頻回な覚醒と睡眠構築の乱れが随伴する

(注:この診断をするのに症状は必須ではないが,患者が,日中の強い眠気,睡眠中頻回の覚醒・完全覚醒,不眠の訴え,または呼吸困難による覚醒を訴えることは多い)

B. 心不全,脳卒中,腎疾患など重傷度の高い身体疾患に随伴して呼吸障害が生じる

C. 障害が,他の現行の睡眠障害,身体疾患や神経疾患,薬剤,または他の物質使用で説明できない

表12  成人の中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea:CSA)の診断基準 6)

A.患者が以下の少なくとも1つを報告するⅰ.日中の強い眠気ⅱ.睡眠中の頻回の中途覚醒・完全覚醒・または不眠の訴

えⅲ.呼吸困難による完全覚醒

B.睡眠ポリグラフ検査で睡眠1時間につき5回以上中枢性無呼吸が確認される

C.障害が,他の現行の睡眠障害,身体疾患や神経疾患,薬剤,または他の物質使用で説明できない

表11  成人の閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)に関するICSD-2診断基準 6)

AとBとD,またはCとDで基準が満たされる

A.以下のうち少なくとも1つ以上が該当するⅰ.患者が,覚醒中に不意に眠り込むこと,日中の眠気,爽快感のない睡眠,疲労感,または不眠を訴える

ⅱ.患者が,呼吸停止,喘ぎ,または窒息感で覚醒する.ⅲ.ベッドパートナーが,患者の睡眠中の大きないびき,呼吸中断,またはその両方を報告する

B.PSG記録で以下のものが認められるⅰ.睡眠1時間当たり5回以上の呼吸イベント(無呼吸,低呼吸,または呼吸努力関連覚醒 respiratory effort-related arousal:RERA)

ⅱ.各呼吸イベントのすべて,または一部における呼吸努力のエビデンス(RERAは,食道内圧測定で認めるのが最も好ましい)

またはC.PSG記録で以下のものが認められるⅰ.睡眠1時間当たり15回以上の呼吸イベント(無呼吸,低呼吸,またはRERA)

ⅱ.各呼吸イベントのすべて,または一部における呼吸努力のエビデンス(RERAは,食道内圧測定で認めるのが最も好ましい)

D.異常が,他の現行の睡眠障害,身体疾患や神経疾患,薬物,または他の物質使用で説明できない.※なお,循環器疾患のSDBではOSAS以外に,特異的に

CSAS,CSR,ならびにComplex SAS(複合性SAS:後記参照)の合併が高頻度であるため,表12,13には成人のCSASとCSRに関する ICSD-26)の診断基準を示す

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994 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

2)イベント時間ルール(推奨)(1)無呼吸,低呼吸の判定では,イベント区間は明らか

に減少した最初の呼吸の底から,ほぼ基準値振幅に戻った最初の呼吸の開始時までをとる(図26の横線).

(2)基準値の呼吸振幅が簡単に決定できない場合(基礎

呼吸のばらつきが大きい),明らかに呼吸振幅の増加が持続しているか,低酸素が起こっている場合には,最低2%の酸素飽和度の改善を伴うときにはイベントの終了と判断してよい.

図24 いびきなどの症状のある循環器疾患患者での睡眠呼吸障害(SDB)診断アルゴリズム

周囲からの強いいびきや無呼吸の指摘

AHI<5

(+)(-)

SDBがないか軽症 その他の睡眠障害の項目へ SHVSなど OSAS CSAS Cheyne-Stokes呼吸

AHI≧5

SDB随伴症状:EDSもしくは,睡眠中の窒息感やあえぎ,繰り返す覚醒,起床時の爽快感欠如,日中の疲労感,集中力欠如のうち 2つ以上を認める

AHIまたは 3%ODIが 5未満かつ ESS<11

SOREMp,PLMS,RWA,PBDなどその他の睡眠障害

SpO2<90%が5分以上持続

漸増漸減呼吸パターンが 10分以上持続

閉塞性が50%以上

中枢性が50%以上

AHIまたは 3%ODIが 5未満だがSpO2<90%が 5分以上持続

AHIまたは 3%ODIが 5以上または ESS≧11

経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)測定装置または簡易無呼吸診断装置による検査と Epworth sleepiness scale(ESS)

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

図25 いびきなどの症状のない循環器疾患患者での睡眠呼吸障害(SDB)診断アルゴリズム

AHI<5

(+)(-)

SDBがないか軽症 その他の睡眠障害の項目へ SHVSなど OSA CSA Cheyne-Stokes呼吸

AHI≧5

治療抵抗性の高血圧,早朝高血圧,慢性心不全,心房細動,脳血管障害,腎不全など,睡眠呼吸障害の合併が強く疑われる患者

AHIまたは 3%ODIが 5未満かつ ESS<11

SOREMp,PLMS,RWA,PBDなどその他の睡眠障害

SpO2<90%が5分以上持続

漸増漸減呼吸パターンが 10分以上持続

閉塞性が50%以上

中枢性が50%以上

AHIまたは 3%ODIが 5未満だがSpO2<90%が 5分以上持続

AHIまたは 3%ODIが 5以上15未満および ESS<11

AHIまたは 3%ODIが 15以上または ESS≧11

経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)測定装置または簡易無呼吸診断装置による検査と Epworth sleepiness scale(ESS)

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

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995Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

3)無呼吸の判定(推奨)① 判定基準 以下のすべての基準を満たしたときに無呼吸と判定する.(1)温度センサーの最大振幅が基準値の90%以上の低下.

(2)イベントの持続時間が最低10秒以上であること.(3)イベントの最低90%以上が無呼吸の振幅基準を満たすこと*注.(*注:無呼吸の検出には酸素飽和度低下の基準は必要としない.)

② 呼吸努力に基づいた成人での無呼吸分類(1)無呼吸の基準に合致し,気流のない時間すべてに持

続性あるいは増加した吸気努力を伴っている場合,呼吸イベントは「閉塞タイプ」と判定する.

(2)無呼吸の基準に合致し,気流のない時間すべてに吸気努力の消失を伴っている場合,呼吸イベントは「中枢タイプ」と判定する.

(3)無呼吸の基準に合致し,イベントの初期に吸気努力の消失を伴い,その後に吸気努力の再開が伴っている場合,呼吸イベントは「混合タイプ」と判定する.

4)低呼吸の判定 低呼吸の判定には,推奨のものと代替のものの2種類の基準がある.どちらの基準で判定したかを記載すること.

① 判定基準(推奨) 以下のすべての基準を満たした場合に低呼吸と判定する.(1)鼻圧センサー(あるいは他の代替低呼吸センサー)

の振幅が基準の30%以上低下.(2)低下の時間が最低10秒以上.(3)イベント前の酸素飽和度から4%以上の低下.(4)イベント時間中,最低90%以上は低呼吸の振幅低下基準を満たす.

② 判定基準(代替) 以下のすべての基準を満たした場合に低呼吸と判定する.(1)鼻圧センサー(あるいは他の代替低呼吸センサー)

の振幅が基準の50%以上低下.(2)低下の時間が最低10秒以上.(3)イベント前の酸素飽和度から3%以上の低下あるいは(微小)覚醒を伴う.

(4)イベント時間中,最低90%以上は低呼吸の振幅低下基準を満たす.

5)呼吸努力関連覚醒反応ルール──呼吸努力関連覚醒反応(RERA)の判定(オプション)

(1)無呼吸や低呼吸の基準を満たさない,吸気努力の増加あるいは鼻圧波形の平定化を伴った,最低10秒以上持続するいくつかの呼吸が睡眠からの覚醒反応を伴った場合*注.(*注:RERAの判定に関して,呼吸努力の変化を評

図26 呼吸イベントの時間ルール

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996 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

価するには食道内圧が望ましい.しかし,鼻圧センサーとRIPも使用することができる.)

6)チェーンストークス呼吸ルール(推奨) チェーンストークス呼吸は最低3周期連続する呼吸振幅の周期性の漸増漸減(crescendo-decrescendo)変化であり,以下のうち最低1つを満たす*注.(1)睡眠1時間当たり5回以上の中枢性無呼吸か低呼吸.(2)呼吸振幅の周期性の漸増漸減変化は最低連続10分.(*注:チェーンストークス呼吸は様々な周期であるが,最もよくみられるものは60秒である.)

 以上が,PSG上で呼吸イベントを判定するための基準である(AASMマニュアル2007による).簡易モニターでの呼吸イベントの判定基準はないが,現在,日本国内で使用できる簡易モニター用の機器では鼻の圧センサーが主流であり,低呼吸判定のA基準に従うか,あくまでもスクリーニングとしての使用で,覚醒反応は不明だが,3%の酸素飽和度の低下を伴うものをスコアリングし,基準を明記することが望ましい(確定診断は,PSG

でされることが推奨される).

② OSASの重症度

 1)か2)のどちらか重症な方をとる.1)ねむけ(sleepiness) 軽 症:あまり集中していないときに思いがけない眠気や気づかずに眠ってしまうエピソードが起こる(テレビを見ているときや読書,乗客として旅行しているときなど). 中等症:多少集中が必要なときに思いがけない眠気や気づかずに眠ってしまうエピソードが起こる(コントロール不能な眠気がコンサート,会議,発表などに参加しているときに起こる). 重 症:かなり集中を必要とする活動期に眠気や気づかずに眠ってしまうエピソードが起こる(コントロール不能な眠気が食事中,会話中,運転中などに起こる).2)睡眠呼吸イベント 軽 症:1時間当たり5以上15未満. 中等症:1時間あたり15以上30未満. 重 症:1時間当たり30以上.

③ CSAS,CSRの重症度

 これといった重症度の決まりはない.

Ⅴ 治 療

1 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療

1 減 量(表14)

 肥満は,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep ap-

nea:OSA)の最も重要な危険因子であり,顔面形態に要因がある患者以外の多くの患者は肥満を伴っている188).したがって,肥満を伴っているOSAS患者に対しては,減量は常に励行されるべき治療法である40).またCSR-CSAにおいても閉塞性を併存していることが多いので,肥満傾向にあれば減量の励行は重要である.減量が成功すれば,OSA患者の無呼吸低呼吸は改善する可能性が高い(クラスⅠ,レベルA)189)-195).ただし,OSAを減量のみで治癒可能である例はほとんどなく,いったん減量しても再度体重が増えることも多く196),また,いつ有効な減量が可能かは不明なので,OSAに対する減量は他の有効な治療法である持続気道陽圧(CPAP),口腔内装置,肥満手術などと並行して行われるべきである194).OSAに対する肥満手術に関しては非無作為化,対照がない研究においてであるが,肥満手術は減量と同様にAHIの軽減をみている.したがって,肥満手術は病的な肥満患者に対してCPAPなどの非侵襲的な治療に付加して行われる余地が残る治療法である(Ⅱa,レベルC)194),195).しかしながら,手術後に体重の増加なしに再度無呼吸の再発をみることもあり,また,肥満手術の安全性も確立されていないため施行時に注意深い評価と判断が必要である194),195).4年間の経過で体重とAHIの関連を検討した米国Wisconsin Sleepコホートの成績では,10%の体重減少によりAHIは26%減っ

表14 減 量クラスⅠ◦肥満を伴うOSA患者の減量(エビデンスレベルA)

クラスⅡa なし

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

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997Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

たと報告されている197).ただし,この検討は一般住民を検討した報告であり,OSA患者一般に拡大して評価してよいものかは明らかでない. 以上まとめると,肥満がOSAの発症に関与していると思われる患者群に対しては,減量を治療開始日より励行すべきと考えられる(クラスⅠ,レベルA).また,減量は減量単独ではなくて,CPAPや口腔内装置の治療とともに励行されるべきである.

1 生活習慣の是正と運動(節酒,睡眠剤の中止など)(表15)

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の発生機序が,軟口蓋から舌根にかけての沈下による気道閉塞であることを考えると,同部を狭窄・閉塞させる状態が危険因子となる. 危険因子のうち,最も重要なのが頸部・上気道周囲の脂肪沈着を伴う中心性肥満である198).この点については他項にて記載する.肥満以外で気道閉塞を生じる要因となるのが,性別,喫煙,睡眠剤の使用,加齢である. 性別に関して,男性は女性に比して上気道周囲に脂肪沈着を来たしやすいため,OSAを来たしやすい.そのため,男性には肥満に対する指導がより重要である. アルコールは上気道の拡張筋の緊張を弛緩させ,上気道抵抗を増幅させる199).したがって,OSA加療目的には就寝前の飲酒は禁止する(クラスⅡa,エビデンスレベルC). 喫煙は気道系に炎症をもたらして上気道の閉塞を誘発する.喫煙者は非喫煙者に比して有意にOSAが多く200),禁煙により若干改善する201).したがって,OSA

が存在する場合には,より強い禁煙指導が必要である(クラスⅠ,エビデンスレベルB). 睡眠導入剤は,睡眠時の呼吸制御に関しては複雑な作用を有している.中枢および末梢化学受容体に対しては,感受性を低下させ202),夜間の過剰換気を抑制する方向に作用する.一方,骨格筋のトーヌスに対しては,上気道の拡張筋を弛緩させて上気道に閉塞を来たしやすくする203).OSAの場合には,化学受容体よりも気道閉塞へ

の影響が強く出るため,睡眠時無呼吸を増悪させる方向に作用するので注意を要する. 加齢は咽頭の硬さを変化させて閉塞を来たしやすくする.したがって,抗加齢に関する生活指導も重要である.加齢現象は酸化ストレスよって惹起される.生活習慣の改善のうち,最も強力な抗酸化療法は運動である.運動はテロメアを安定化させるタンパクを増加させ,細胞のアポトーシスを遅延させることができる204). OSA患者にとって,最も重要な生活習慣への介入ポイントは前項の肥満の改善であるが,それを達成するためには食事療法と並んで運動療法が重要である.脂肪細胞を減少させるための運動療法は有酸素運動が望ましい.運動強度は強い必要はなく,軽く息が切れるレベルで30~60分間,週4~7回行うのが望ましい.また,体型に関係なく,運動習慣とSASの頻度は関係があるとされ205),運動は肥満改善とは異なる機序で睡眠時呼吸異常を改善させる可能性も考えられる.

3 体位療法(表16)

 OSAでは,睡眠中の体位によって無呼吸の程度が増減することが報告されており206)-209),一般的に仰臥位ではOSAが悪化し,側臥位では軽減する.これは,仰臥位で舌根やその他の軟部組織の沈下などから気道閉塞が起こりやすいことに起因するとされている.また,このように仰臥位に比べ側臥位でのOSAの重症度(無呼吸低呼吸指数など)が半分に軽減するような患者を体位性(positional)OSAとする概念も提唱されている.このような体位性OSAの頻度は欧米のデータでは50~60%ともいわれており,若年で肥満度が低く,もともとのOSAの重症度が低い症例では頻度が高くなるということも知られている207)-210).しかしながら,我が国における体位性SASの頻度については明らかでない. 睡眠中の体位(側臥位)の維持(体位療法)の,OSA

に対する効果は,小規模の研究による結果のみであるが有効と考えられる.しかし,長期的な心血管系合併症予

表15 生活習慣の是正クラスⅠ◦禁煙指導(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦就寝前の飲酒の禁止(エビデンスレベルC)

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

表16 体位療法クラスⅠ◦体位性OSAに対する体位療法(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦体位性でないOSAに対する体位療法(エビデンスレベルC)

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

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998 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

防に対する効果については,24時間血圧の改善が認められたという研究結果があるのみで,明らかにされていない.また,睡眠中,一定の体位を維持し続けることは通常は困難であり,長期間継続できるかどうかが問題となるが,このような治療コンプライアンスを検証した研究結果は少なく,結果も様々である210). 体位の維持を補助するための寝具(枕や背当てクッションなど),装置(背中にテニスボール大のボールが入ったベルト,体位アラームなど)を使用することが可能であり,我が国でも市販されているものが多数あるが,その有効性について明確なエビデンスがあるものは少ない.体位性SAS症例を対象にした,無作為化クロスオーバー試験では,体位療法はCPAPと比較してAHIの低下は少なく,最低酸素飽和度も低かったが,睡眠構築,主観的,客観的眠気,生活の質などは有意な差を認めなかった211). したがって,OSAの治療として非侵襲的であり簡便であるため,他の治療法と並行して(クラスⅡa,エビデンスレベルC),または他の治療法が困難である場合(特に軽症例,クラスⅡa,エビデンスレベルC),体位性SASと診断されている症例(クラスⅠ,エビデンスレベルB)に関しては,主観的症状や客観的検査所見の改善を指標にしながらの体位療法は推奨される.

4 薬物療法(表17)

 閉塞性睡眠時無呼吸に対する薬物療法として,これまで選択的セロトニン再取り込み阻害剤,三環系抗うつ剤,炭酸脱水素酵素阻害剤,テオフィリン,女性ホルモンなどの有効性が検討されてきた194). セロトニン作動性神経の活動は覚醒時に比較し,ノンレム睡眠で抑制され,レム睡眠ではほぼ消失する.セロトニン作動性神経は呼吸中枢からの呼吸ドライブや上気道括約筋の活動性を亢進させる212).したがって,その

活動性を日中レベルに維持することは閉塞性睡眠時無呼吸を減少させる可能性がある.選択的セロトニン再取り込み阻害剤であるフルオキセチン(医療保険適用なし)が有意ではないもののAHIを減少させたという報告213)

やパロキセチン(医療保険適用なし)がAHIを有意に減少させたとの報告214)があるが,相反する報告もあり215),現時点ではその有効性は確立されていない. 閉塞性睡眠時無呼吸イベントはレム睡眠に多い.したがって,レム睡眠を抑制することは閉塞性睡眠時無呼吸を減少させる可能性がある.しかしながら,レム睡眠を抑制する三環系抗うつ剤であるプロトリプチリン(医療保険適用なし)の閉塞性睡眠時無呼吸に対する効果は,一定した結論が得られていない212). 炭酸脱水素酵素阻害剤であるアセタゾラミドが閉塞性睡眠時無呼吸に有効であるとの報告がある216),217).我が国では睡眠時無呼吸症候群の治療薬として医療保険適用がとれている.しかしながら,代謝性アシドーシス,電解質異常,しびれなどの副作用が懸念され,長期使用の有効性は確立されていない. テオフィリン(医療保険適用なし)の閉塞性睡眠時無呼吸に対する有効性が検討されているが,一定の結果が得られていない218)-220).テオフィリンは総睡眠時間の短縮や睡眠効率の悪化を来たすことが報告されている. 閉経は閉塞性睡眠時無呼吸の危険因子であることから,閉塞性睡眠時無呼吸を有する閉経後女性に対して,女性ホルモン補充療法(医療保険適用なし)の有効性が検討されてきたが,一定の結論が得られていない221),222). 鼻閉を訴える閉塞性睡眠時無呼吸患者にステロイド鼻腔投与が有効かもしれないが,その単独療法には限界がある223). 閉塞性無呼吸患者の中には,経鼻的持続陽圧呼吸療法によりAHIが減少しているにもかかわらず,日中傾眠が持続する患者がいる.モダフィニール(医療保険適用なし)はこのような症例の自・他覚的な日中傾眠を軽減させることが報告されている224)-227).しかしながら,日中傾眠がひどい場合はその効果に限界がある.また,眠気の軽減により,患者が経鼻的持続陽圧呼吸療法を中止してしまうことが危惧される. 現在,閉塞性睡眠時無呼吸に対して,有効性が確立されている薬物療法は存在しない20),194).甲状腺機能低下症や末端肥大症に伴う閉塞性睡眠時無呼吸は,ホルモン補充療法(医療保険適用あり)によりAHIの減少が期待される228)-231).閉塞性睡眠時無呼吸の標準治療として確立されている経鼻的持続陽圧呼吸療法は様々な理由

表17 OSAの薬物療法クラスⅠ◦甲状腺機能低下症や末端肥大症に合併する閉塞性睡眠時無呼吸に対するホルモン補充法(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦アセタゾラミド(エビデンスレベルB)

クラスⅡb◦選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチン,パロキセチン),三環系抗うつ剤(プロトリプチリン),テオフィリン,女性ホルモン(エビデンスレベルB)

クラスⅢ なし

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999Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

で継続が困難な症例が存在するため,閉塞性睡眠時無呼吸に対して有効な薬物療法の出現が待たれる.

5 持続気道陽圧(CPAP),その他の陽圧治療(表18)

 OSAに対する鼻マスクを用いたCPAP療法は,1981年にSullivanらによって最初に報告された232).CPAP療法では,鼻マスクなどのインターフェイスを介して上気道に陽圧を送り込む.睡眠中に上気道を陽圧状態に保つことで,閉塞起点となる上気道軟部組織を押し上げ,気道の開存が維持され,OSAの発症が予防される.このような直接的な効果に加え,PEEP効果による肺容量の増加が上気道の開大につながることも報告されている233). OSA患者に対するCPAP療法には,心拍変動解析でのLF/HF 234),筋交感神経活性235),血漿・尿中ノルアドレナリン濃度236)の各指標における交感神経活性の抑制作用,血清TNF-α濃度237),血清 IL-6濃度および血清CRP

値58)などの炎症マーカーの低下作用,血清NO濃度上昇238)および内皮依存性血管拡張反応改善239)で示される血管内皮機能改善作用,降圧作用240),241),左室拡張能改善作用242),内臓脂肪および血清レプチン濃度低下作用88),血小板活性化および血小板凝集の抑制作用243),血漿フィブリノーゲン濃度の低下244)および第Ⅶ因子凝固活性の改善245)などが報告されている.これらより,CPAP療法には,OSA患者への心血管イベント抑制効果および生命予後改善効果が期待できる. OSAに何らかの介入を行った群と比較して,未治療

群の生命予後が有意に不良であったとする観察研究の結果16),246)や,CPAP療法の自覚症状改善作用247)-252)が以前より明らかにされているが,OSA患者に対するCPAP

療法の予後への効果を検討するための無作為化対照試験の実施は,倫理的観点などにより困難な状況で,現時点でそのような研究はない.最も大規模な前向き観察研究はMarinらの報告(平均観察期間10.1年,男性のみ)で,年齢,BMIを一致させた健常者と比較した,未治療重症OSA(AHI≧30)患者での致死性心血管イベント発症のオッズ比が,その他の心血管リスク因子を補正した場合においても2.87と有意に高い一方で,CPAP療法下のOSA患者(94%が重症例)の致死性心血管イベント発症は健常者と差がなかった31).また,Buchnerらによる前向き観察研究(平均観察期間6年)では,未治療群と比較してCPAP療法群(軽症および中等症例が57%)では,年齢および主な冠危険因子で補正しても,64%の心血管イベント発症リスク低下作用を示した253).CPAP療法は対症療法であり,治療継続が重要となるが,治療継続率は65~90%と254)-258)その低忍容性が問題である.また,治療アドヒアランスがOSA患者の生命予後に影響する可能性も示唆されており259),マスクやCPAPの設定変更,加湿器の併用など,治療アドヒアランスの向上に積極的に努める必要がある. 我が国でのCPAP療法の保険適用は,自覚症状を認め,かつ,PSGにてAHI≧20もしくは簡易モニターにてAHI≧40を認めた場合となっているが,臨床上の治療導入の判断は,AHIのみで行うべきでなく,自覚症状およびその他の併存疾患(高血圧,心不全,虚血性心疾患,脳血管障害など)の有無などを含めて総合的に行うべきである(図27).最近,報告された一般住民を対象とした前向きコホート研究(平均観察期間13.4年)では,非OSA例と比較して,AHI≧15で有意にall-cause mor-

talityが悪化することが示されており260),AHI≧15で積極的な治療の適応となるべきである.さらに,同様の前向きコホートであるWisconsin Sleep Cohortの平均13.8年間の追跡調査では,眠気の有無にかかわらずAHI≧30では非OSA例と比較してall-cause mortalityが悪化することが示されており17),AHI≧30に対しては,自覚症状の有無にかかわらず治療行うべきである.

〈CPAP療法の実際〉 CPAP療法を導入する前に,症例ごとに titrationを実施して至適治療圧を決定し,処方圧として指示する必要がある.至適治療圧とは,通常,上気道閉塞が最も悪化しやすい仰臥位REM睡眠時でも無呼吸や低呼吸が生じず,かつ睡眠中に覚醒を誘発しない圧である.Titration

表18 OSAに対するCPAP療法クラスⅠ◦AHI≧30で心血管イベントに対する一次予防目的として(エビデンスレベルB)

◦AHI≧15で基礎疾患(高血圧,耐糖能異常,心不全,虚血性心疾患,脳血管障害など)を有する場合の基礎疾患進展抑制もしくは二次予防目的として(エビデンスレベルB)◦AHI≧15で自覚症状を有する場合,自覚症状改善目的としてのCPAP(エビデンスレベルA)

クラスⅡa◦15≦AHI<30で心血管イベントに対する一次予防目的として(エビデンスレベルB)◦5≦AHI<15で自覚症状を有する場合,自覚症状改善目的としてのCPAP(エビデンスレベルA)

クラスⅡb◦5≦AHI<15で,特に基礎疾患が存在せず,自覚症状が乏しい場合(エビデンスレベルB)

クラスⅢ なし

注)CPAPの導入にあたっては,その保険適用を考慮する.

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1000 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

はPSG実施中に監視下で行われ,圧の調整を検査者が直接行うmanual titrationとauto CPAPモードを利用するauto titrationがある.Auto CPAPモードとは,通常のCPAPと同様に一定の陽圧を供給するものであるが,陽圧の程度は,マスクフローから得られる情報を基に推測される気道閉塞および狭窄の有無,度合いに応じて,設定された上限圧と下限圧の間で自動調節され,経時的に変動する.その自動調節は,機種ごとに異なるアルゴリズムに従って行われる.基本的に,titrationは一晩かけて行われるが,一晩のうち前半に診断を,後半にtitrationを行う split-night titrationもある. Titrationは,入院を要し煩雑ではあるが,客観的にCPAP療法の有効性を確認することは,治療開始および継続への大きなモチベーションとなりえる.そのため,自覚症状のない症例や病識の乏しい症例では特に有用となりえる.また,titrationを行うことにより,マスクの選択が適切であったか,口リークが存在しないかなど,事前のトラブルシューティングが可能となる.心不全例などでは,OSAと判断された場合でも,CPAP療法中にCSR-CSAが出現もしくは顕在化することがある.そのため,心不全などの基礎疾患を有する症例では,特にtitrationの実施が推奨される. CPAP療法は,我が国の保険制度の中では在宅医療の1つとして位置づけられており,治療継続には,毎月末までに少なくとも1回,患者自身が外来受診をすることが必要である.ほとんどの機種において,外来受診時に記憶媒体を介してデータをダウンロードすることによ

り,治療アドヒアランスを客観的に確認することができる.最近では,CPAP療法中の推定AHIを算出する機種もあるが,そのイベントカウントの妥当性が検討されていない機種も多く,その場合のデータの解釈には注意を要する.

6 口腔内装置(表19)

 口腔内装置(oral appliance:OA)は,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の治療手段の1つとして広く普及している.就寝時に口腔内に装着し,下顎を強制的に前方へ移動させ固定する装置(mandibu-

lar advancement device:MAD)が用いられることが多い. OAのOSAに対する有効性については,下顎の前方位

表19 OSAに対する口腔内装置クラスⅠ◦5≦AHI<15(軽症)のOSAおよび習慣性いびき症(非肥満例)(エビデンスレベルB)

◦5≦AHI<30の(軽~中等症)OSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない非肥満例(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦5≦AHI<30(軽~中等症)のOSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない肥満例(エビデンスレベルC)

◦AHI ≧30(重症)のOSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない非肥満例(エビデンスレベルC)

クラスⅡb◦AHI ≧30(重症)OSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない肥満例(エビデンスレベルC)

クラスⅢ◦中枢性睡眠時無呼吸の症例(エビデンスレベルC)

図27 保険診療を考慮したOSA治療アルゴリズム*(V-4参照)

*このアルゴリズムは保険制度に準拠したもので,本ガイドラインにおける医学的に妥当な診療指針とは必ずしも一致しない

肥満に対する減量,生活習慣の是正

AHI≧40

上気道疾患あり

外科的治療を考慮 コンプライアンス不良CPAP導入 口腔内装置 経過観察

自覚症状なし

AHI<40

5≦AHI<20

PSG

簡易モニター

AHI≧20

自覚症状あり

OSAが疑われる

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1001Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

移動を行わない sham OAをコントロールとした random-

ized cross-over control trialにおいて,いびき,客観的眠気(Epworth Sleepiness Score:ESS),無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI),最低SpO2,覚醒指数(arousal index:ArI)の有意な改善が明らかにされている261)-265).Randomized trialによるmeta analysisにおいて,OAの治療効果は50%の例で治療前のAHIが50%未満に改善し,AHI5回 /時間をカットオフとしたresponse rateは24%と報告されている266).しかし,これらの報告は,治療前の平均AHIが25回 /時間で比較的肥満度の軽い,軽症から中等症OSAを対象としており,より重症で高度肥満例における効果は十分検討されていない. 一方,CPAPをコントロールとした報告では,上記の睡眠呼吸指標の改善度はCPAPの方が優れているとされている267)-269).しかし,CPAPに対しOAは認容性が優れ,5年以上の使用でも初期効果と変化がないとされている270). OAの治療効果を予測する有意な因子はいまだ明確ではない.肥満度と口腔咽頭径が重要な因子とされているが,気道閉塞部位の決定に十分な情報を与えるには至らない271). OAの副作用は咬合不全,顎関節部の疼痛,唾液分泌増加,歯痛などがあるが,一過性のことが多く,30か月の使用でも許容範囲であったと報告されている272). OAの循環器疾患に対する治療効果として,placebo

群,コントロール sham OA群に対し,24時間血圧における起床時,就寝時の拡張期血圧の有意な低下264),265)が報告されているが,心エコーにおける平均肺動脈圧,心筋重量係数の変化はみられていない265).また,中枢性睡眠時無呼吸を合併した心不全患者25例に対しOAを施行したところ,平均AHIは25から15へ改善したものの,6か月後の中枢性睡眠時無呼吸および左室駆出率に改善は認めていない273).CPAPのように胸腔内圧の変化による血行動態に直接影響を与えないOAが,循環器疾患の発症を予防し,予後を改善するかどうか今後検討が必要である. 我が国においては,2004年4月より,睡眠時無呼吸症候群と診断された患者に対し,治療のためのOAの使用が健康保険の適用となったが,具体的な適応基準は示されていない.作製にあたっては,残存歯,う歯,歯周病,顎関節症の有無などのチェックが必要で,経験を積んだ歯科医が行うべきである. 現時点でOAの適応基準として妥当と判断されるのは,以下の項目を満たした例であると考えられる274).

(1)軽症OSAおよび習慣性いびき症.(2)軽症から中等症のOSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない例. OAの効果判定を概ね1年後,または病状に変化があった場合に行うことが望ましい.

7 外科療法 OSAに対する外科療法は,口腔咽頭の解剖学的な気道狭窄を解除する目的で行われ,軟部組織による気道狭窄を解除する術式と,骨組織による気道狭窄を改善させる術式に大別される.前者では,口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(uvulopalatopharyngoplasty:UPPP)が代表的である275).レーザー口蓋弓口蓋垂形成術(laser-assisted

uvulopalatoplasty:LAUP)は,UPPPの変法である276).扁桃摘出術は扁桃およびアデノイド摘出術(adenotonsil-

lectomy)は主に小児の扁桃肥大,アデノイド増殖によるOSAに対する治療法として行われる.後者の代表として小顎症などの解剖学的異常に起因するOSAに対する顎形成術(maxillomandibular advancement surgery:MMA)が挙げられる277). 外科療法のOSAに対する有効性について,UPPP,LAUPにおいて無治療群を対照とした randomized con-

trol trialによると278),279),UPPPでは対照群に比較し日中の眠気の自覚症状は有意に改善したものの,oxygen de-

saturation index(ODI 4%)の有意な改善を認めなかった.LAUPでは日中の眠気,いびき,無呼吸低呼吸指数(Ap-

nea Hypopnea Index:AHI)の有意な改善が報告されている.しかし,いずれも少数例での検討で,UPPPの報告では平均body mass index(BMI)が30kg/m2と肥満例が多く,気道狭窄部位の詳細な検討がなされていないこと,LAUPの報告は軽症OSAのみを対象としていることなどから,選択バイアスの影響を受けた結果である可能性がある.扁桃およびアデノイド摘出術は,小児OSAに対する第一選択として推奨されている280).また成人の扁桃肥大を合併した重症OSAでは扁桃摘出を行うことで,術後CPAP治療が容易となることがある281),282).MMAの有効性についての randomized control

trialは現在のところ報告されていない.治療前後を比較した検討では,90%以上の症例で術後にAHIの改善を認め283),284),CPAPと同等の治療効果を有するとの報告もある277). 外科療法における合併症として,UPPPにおける術後出血,瘢痕形成による狭窄などがあるが,後述するOSAの術前リスク評価が最も重要である. 外科療法の循環器疾患に対する治療効果は明確になっ

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1002 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

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ていない.外科療法が,CPAPと比較して循環器疾患の発症を予防し,予後を改善するかどうか,今後検討が必要である. OSAに対する外科療法は,対症療法である口腔内装置(oral appliance:OA),CPAPに比較して,OSAの根治療法となりうる可能性を持ち,医療経済的に利益が大きい可能性がある.我が国では顎顔面形態異常を主とした非肥満OSA例が多いため,適応となる症例が欧米に比較して多い可能性がある.半面,高齢あるいは肥満OSA例では合併する上気道狭窄,高血圧,糖尿病,虚血性心疾患などによる周術期リスクが高い症例が多く,MMAではさらに術後の顔貌が変化するため,患者への十分な説明と術前ならびに周術期の十分なリスク管理が必要となることから,循環器疾患を伴うOSA治療の第一選択とはなりにくい.現時点で外科療法の適応基準として妥当と判断されるのは,以下の項目を満たした例であると考えられる285).(1)臨床的に治療を要すると判断されるOSA.(2)CPAPなどの保存的療法が受容できない.(3)周術期リスクの低い安定した全身状態.(4)患者が十分な説明を受け,合併症その他を理解した

上で手術を希望する. 術式については,経験を積んだ耳鼻科医,口腔外科医による詳細な検討により決定されるべきである.

8 OSAの治療(まとめ)(表20)

2 中枢性無呼吸(CSA)の治療

1 薬物療法(表21)

 左室収縮障害による慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸に対して,これまでいくつかの薬物療法の有効性が検討されてきた.慢性心不全の標準治療薬として確立されているACE阻害薬であるカプトプリルにより,慢性心不全患者のAHIが減少することが報告されている286).利尿薬は,肺うっ血の改善により慢性心不全患者の中枢性睡眠時無呼吸を減少させうるが121),時に代謝性アルカローシスをもたらし,二酸化炭素・換気応答を右にシフトさせ,PaCO2の無呼吸閾値の上昇をもたらし,中枢性睡眠時無呼吸を悪化させることがあるので注意が必要である287),288).慢性心不全の標準治療薬であるβ遮断薬(カルベジロール)が慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸患者のAHIを有意に減少させ,その効果は用量依存性の可能性があることが報告されてい

る289),290).機序は明らかでないが,中枢性化学受容体の二酸化炭素に対する感受性の亢進の抑制や心不全の重症度の改善による二次的なものなどが推察されている.しかしながら,既にβ遮断薬が投与されている慢性心不全患者においても中枢性睡眠時無呼吸を認めることが少なくないため,その有効性に関してはさらなる検討が必要である. 無作為二重盲検臨床研究により,テオフィリン(医療保険適用なし)の短期投与が中枢性睡眠時無呼吸を合併した慢性心不全患者のAHIを有意に減少させたことが

表20 閉塞性睡眠時無呼吸の治療(まとめ)クラスⅠ◦肥満を伴うOSA患者の減量(エビデンスレベルA)◦禁煙指導(エビデンスレベルB)◦体位性OSAに対する体位療法(エビデンスレベルB)◦甲状腺機能低下症や末端肥大症に合併する閉塞性睡眠時無呼吸に対するホルモン補充法(エビデンスレベルB)

◦AHI≧30で心血管イベントに対する一次予防目的としてのCPAP(エビデンスレベルB)

◦AHI≧15で自覚症状を有する場合,自覚症状改善目的としてのCPAP(エビデンスレベルA)◦AHI≧15で基礎疾患(高血圧,耐糖能異常,心不全,虚血性心疾患,脳血管障害など)を有する場合の基礎疾患進展抑制もしくは二次予防目的としてのCPAP(エビデンスレベルB)

◦5≦AHI<15(軽症)のOSAおよび習慣性いびき症(非肥満例)に対する口腔内装置(エビデンスレベルB)◦5≦AHI<30の(軽~中等症)OSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない非肥満例に対する口腔内装置(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦就寝前の飲酒の禁止(エビデンスレベルC)◦体位性でないOSAに対する体位療法(エビデンスレベルC)

◦アセタゾラミド(エビデンスレベルB)◦15≦AHI<30で心血管イベントに対する一次予防目的としてのCPAP(エビデンスレベルB)◦5≦AHI<15で自覚症状を有する場合,自覚症状改善目的としてのCPAP(エビデンスレベルA)

◦5≦AHI<30(軽~中等症)のOSAでCPAP治療を拒否あるいは継続できない肥満例に対する口腔内装置(エビデンスレベルC)◦AHI ≧30(重症)のOSAでCPAP治療を拒否あるいは 継続できない非肥満例対する口腔内装置(エビデンスレベルC)

クラスⅡb◦選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチン,パロキセチン),三環系抗うつ剤(プロトリプチリン),テオフィリン,女性ホルモン(エビデンスレベルB)◦5≦AHI<15で,特に基礎疾患が存在せず,自覚症状が乏しい場合のCPAP(エビデンスレベルB)◦AHI ≧30(重症)OSAでCPAP治療を拒否あるいは 継続できない肥満例対する口腔内装置(エビデンスレベルC)

クラスⅢ◦中枢性睡眠時無呼吸の症例に対する口腔内装置:レベルC

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

報告されている291).機序としては,呼吸抑制作用を有するアデノシンを競合的阻害し,換気を増加することなどが推察される.しかしながら,テオフィリンは催不整脈作用を有するため,その長期使用の有効性は確立されておらず,また一般に強心作用を有する薬剤の長期投与は心不全の予後を悪化させる懸念がある. 無作為二重盲検臨床研究により,炭酸脱水素酵素阻害薬であるアセタゾラミド(医療保険適用あり)の就寝前の使用が,慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸患者のAHIを有意に減少させたことが報告されている169).機序としては,重炭酸イオンの尿中排泄によりもたらされる代謝性アシドーシスが,二酸化炭素・換気応答を左にシフトさせPaCO2の無呼吸閾値を低下させることや,利尿効果による肺うっ血の改善などが推察される.我が国では,アセタゾラミドは睡眠時無呼吸症候群に医療保険適用がある.しかしながら,慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸に対するアセタゾラミドの長期使用の有効性は確立されていない.また,アセタゾラミドは代謝性アシドーシス,電解質異常,しびれなどの副作用を有するため,長期使用は慎重に検討すべきである. 左室収縮障害による慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸に対して,有効性が広く確立された薬物療法は現時点では存在しない20).一般的に,慢性心不全が重症であるほど中枢性睡眠時無呼吸を合併しやすいことから,十分量のβ遮断薬(カルベジロール)を含めた慢性心不全の薬物療法を施行することが重要である.十分なる薬物療法にもかかわらず,中枢性睡眠時無呼吸が改善しない場合や血圧,心拍数のために十分量のβ遮断薬(カルベジロール),ACE阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗剤が投与できない場合は,他項で述べられる非薬物療法を考慮すべきである.なお,慢性心不全患者における睡眠呼吸障害は,心不全の状態などにより変動するため,その評価は症状安定期に行うべきである154),155).左室収縮障害のみならず左室拡張障害による慢性心不全に

おいても中枢性睡眠時無呼吸を合併することが報告されているが,後者による慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸に対する薬物療法の有効性を調べた臨床研究はない.左室収縮障害ならびに左室拡張障害による慢性心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸に対する薬物療法に関しては,いまだエビデンスに乏しいのが現状である.今後,さらなるエビデンスの蓄積が必要である.

2 デバイス,手術療法(表22)

 CSAを伴う心不全患者を治療するにあたり,CSAに対する直接的な介入に先立ち,心不全に対する最適な治療を行うべきである.心機能や血行動態の改善に伴ってCSAの減少を認めることが多いためである.重症心不全ではしばしば脚ブロックや心室内伝導遅延を合併し,左室の非同期性収縮を招く.そのため左室のポンプ効率は低下し,心拍出量の低下,血圧低下,肺動脈楔入圧上昇,僧帽弁逆流の増加を来たす.心臓再同期療法(cardiac

resynchronization therapy:CRT)は,右室と左室を同時にペーシングすることにより左室の非同期性収縮を是正し,それにより効果的に心機能を改善させる方法である.運動耐容能やQOLの改善292)のほか,CARE-HF試験2)

によってCRTの生命予後改善効果が証明され,心不全に対する非薬物療法としてその有用性は確立されつつある.我が国の現在のCRTの適応基準は,薬物治療によってもNYHAⅢまたはⅣ度から改善しない左室駆出率35%以下の重症心不全で,QRS幅130msec以上の心室内伝導障害を有する患者となっている294).近年,慢性心不全患者にみられるCSAがCRTによって減少することが報告されている168),295),296).Sinhaらの最初の報告では293),CSA合併の心不全患者14例にCRTデバイスの植え込みを行ったところ,17±7週後にAHI

が有意に低下し(AHI19.2±10.3から4.6±4.4),酸素

表21 中枢性睡眠時無呼吸の薬物療法クラスⅠ◦心不全に合併する場合,ガイドラインに基づいた慢性心不全に対する最適な薬物療法(エビデンスレベルC)

クラスⅡaなし

クラスⅡb◦CSA自体の軽減を目的としたβ遮断薬(カルベジロール)(エビデンスレベルB)

◦アセタゾラミド,テオフィリン(エビデンスレベルB)クラスⅢなし

表22 デバイス・手術療法クラスⅠ◦CRTの適応基準を満たした,CSAを合併する慢性心不全患者へのCRT(エビデンスレベルC)

◦基礎心疾患に対する手術適応があるCSA合併患者への心臓外科手術(エビデンスレベルC)

クラスⅡa なし

クラスⅡb なし

クラスⅢ◦CRTの適応基準を満たさない患者に対するCSAの減少のみを目的に行うCRT(エビデンスレベルC)

◦CSAの減少のみを目的に行う心臓外科手術(エビデンスレベルC)

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飽和度の最低値は有意に上昇し,睡眠の質の改善を認めている.一方,CSAを合併しない10例ではCRT後も睡眠の質は改善していない.Oldenburg らの5.3±3か月間の観察では,OSAが主体の群ではAHIは変化しないが,CSAが主体の群では有意に低下すること,CRTへの反応が良好な患者においてのみCSAが低下することが示されている296).CRTによって心不全患者のCSAが改善する機序は,左室ポンプ機能の改善に伴い,循環時間の延長,肺うっ血,交感神経の活性化による呼吸化学受容体感受性の亢進が是正されたためと考えられるが,明確にはなっていない.CSAに対するCRTの短期的な改善効果は,僧帽弁逆流の減少との関係が大きいことが報告されている297). CRTの適応と判断された心不全患者の47~58%と高頻度にCSAが観察されることから168),295),CSAを合併する心不全患者には,CRTの適応について検討することが望まれる.また,CSAを合併する心不全患者にCRTを導入した後のCSAの改善度は,CRTの治療効果の判定に有用である可能性がある298).しかし,CRTの導入によるCSAの減少が,心不全患者に対するCRTの有効性にどの程度寄与しているかは不明であり,今後の検討が必要である.現状ではCSAの改善のみを目的としたCRTの導入は容認できない. CRT以外の非薬物治療によるCSAの変化を観察した報告が散見される.虚血性心筋症患者へのカテーテル治療後や僧帽弁閉鎖不全症患者への僧帽弁形成術後にCSAが改善することが報告されている299)-301). 急性の代償不全に陥った終末期の重症心不全患者に対して左心補助人工心臓(left ventricular assist device:LVAS)の植込み術を行い,前後でCSAの変化を観察した報告では,LVASの植え込み術後に血行動態や主要臓器の機能が改善したにもかかわらず,植え込み前に認めたCSAは残存していたという302).心臓移植によるCSA

への影響をみた報告では,心機能が正常に復すとチェーン・ストークス呼吸は消失する例は多いが,なお持続してみられる場合がある303).心臓移植前にCSAを認め,移植6か月以降も正常な心機能を維持し,交感神経活動の亢進が正常化した13例の患者のうち,移植後に7例はCSAが消失したが,3例は残存し,4例はOSAに移行している304).重症心不全患者では非薬物治療によって心機能が正常化しても,呼吸中枢が不可逆的に障害されている可能性があり,CSAが残存する例が存在すると考えられる.ステロイドホルモンの使用に伴い心臓移植後に体重増加し,OSAの増悪を来たす可能性があるため,注意深く観察する必要性も指摘されている305).

3 その他の治療(運動療法など) 中枢性無呼吸症候群(CSA)は心不全に高率に合併する.CSAによる夜間覚醒や交感神経の活性化が心不全を惹起する一方,心不全に伴う交感神経活性化や循環時間の遅延,肺うっ血がCSAを誘発する. CSAの危険因子として,肺毛細管圧上昇121),交感神経活性化,男性,高齢,BMI低値22)などがある.このことより,男性と高齢者を除いては,心不全の治療を行うことがCSAの予防・治療そのものであることが理解される. 薬物や各種デバイス以外の心不全治療として重要なものに心臓リハビリテーションがある306),307).心臓リハビリテーションの構成要素は運動療法・食事療法と生活習慣の指導である. 睡眠時無呼吸の病態は労作時過剰換気と関連する129),308).運動療法は労作時過剰換気を改善させることも報告されており309),この点から,心臓リハビリテーションは心不全患者の睡眠時無呼吸症候群を改善させる可能性が考えられる. 運動療法としては有酸素運動と抵抗運動を行う.有酸素運動療法の運動強度の決定法は,心肺運動負荷試験を行って嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold:AT)を求めて決定することが望まれる.心不全患者では,自律神経活性異常とβ遮断薬などの影響で心拍応答が不良なことが多いため,Karvonen法による心拍処方は用いにくい.また,自覚的運動強度を参考にする処方の場合,運動に対する自信の欠如から有効なレベルよりも低い強度で運動療法を行うことになりやすい.逆に,強すぎる運動強度で我慢して行っている場合には,心不全を増悪させる場合があり危険である.自覚的運動強度による運動処方を行う場合には,トークテストを併用して,運動強度を確認するべきである310). 抵抗運動はNYHAⅣ度の段階から実施できる.ベッド上でゴムバンドやボールを用いた下肢の運動から開始し,NYHAⅢ度になったらベッドサイドでの爪先立ち運動を行うと,自律神経機能と骨格筋ポンプ機能が改善する可能性がある.さらに,心不全が改善したら1RM

の40~50%レベルの抵抗運動を実施する. 生活習慣の改善としては,服薬と減塩の遵守が重要である.β遮断薬の自己中断や塩分の過剰摂取が心不全増悪の原因となりやすい. また,拡張機能障害が主で,頻脈や血圧過上昇が心不全増悪の原因になりやすい場合には,日常生活のストレスに気を付けるような生活指導が重要である.

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4 夜間在宅酸素療法(HOT)(表23)

① CSAに対するHOTの機序

 CSAが発現する背景には,中枢性呼吸化学受容体のPCO2に対する感受性の亢進,夜間睡眠時の肺うっ血の出現,交感神経系亢進,心拍出量低下による肺─chemoreceptor循環時間遅延が深く関連している.特に中枢性化学受容体のPCO2感受性の亢進が重要であり,日中労作時には換気応答が亢進し,安静時にはPCO2が低下傾向を示すが,就眠時にはCO2感受性が低下し中枢型無呼吸が誘発されやすくなり,さらに循環時間の遅延により無呼吸を助長する.無呼吸によりPCO2が上昇すると一転して過呼吸を誘発するが,循環時間の遅延と換気⊖PCO2関係のフィードバック機構が不安定になっている状況では,無呼吸と過呼吸を繰り返す周期性呼吸(Cheyne-Stokes呼吸)が出現する.また,就眠後心機能が低下することにより不顕性肺うっ血が出現した場合,換気の亢進と交感神経系の亢進が増強し,中枢性化学受

容体のPCO2感受性の亢進とPCO2の低下が招来され,上記のフィードバック機構の不安定化を招く. 肺胞換気量(VE)に対し,PO2が低下するほど,pH

が低下するほど,VE/ PCO2勾配が急峻化し中枢性化学受容体のPCO2に対する感受性が亢進する.夜間酸素療法によりPO2を高値に保つことにより,低酸素血症の改善を介して交感神経亢進を抑制し,急峻化したVE/

PCO2勾配を是正することでCSAを断ち切ることがこの治療の作用機序仮説である(図27)311),312).その結果,中途覚醒による睡眠の質の低下も改善され,日中の疲労感,倦怠感も軽快し,運動時の換気亢進も是正され身体活動度の改善がもたらされることが期待される.

② HOTの有効性

 CSAに対する夜間在宅酸素療法(HOT)に関する臨床研究として,睡眠の質の向上(総睡眠時間増加,無呼吸頻度および夜間覚醒頻度の減少)が得られること313),Cheyne-Stokes呼吸の減少のみならず,交感神経系亢進の是正150),さらに運動耐容能の改善が得られること314),315)などが報告されている. 我が国の多施設共同臨床試験(chronic heart failure-

nocturnal home oxygen therapy:CHF-HOT) と し て,CSA合併慢性心不全症例を対象に夜間在宅酸素療法(3L/min酸素吸入,3か月)の効果を検討し,対象群に比べ身体活動スケールにより評価したQOLの改善とLVEFの上昇が得られること316),さらにサブ解析により,HOT導入後には導入前に比べ心不全増悪による入院頻度や救急外来受診回数が減少したことが報告されている317).また,費用便益分析を加えると,HOTの費用を差し引いても十分な便益がもたらされることが示唆されている317).このCHF-HOT試験の成績を基に,我が国では世界に先駆けてCSA合併慢性心不全症例に対する

表23 CSAに対する夜間在宅酸素療法(HOT)クラスⅠ なし

クラスⅡa1)NYHAⅢ度以上でAHIが20/hr以上のCSAに対し◦AHIの低下と睡眠の質の向上を目的として(エビデンスレベルA)◦運動耐容能,身体活動スケールの改善を目的として(エビデンスレベルA)◦心機能の改善を目的として(エビデンスレベルA)

クラスⅡb◦NYHAⅢ度以上でAHIが20/hr以上のCSAに対し予後の改善を目的として(エビデンスレベルB)

クラスⅢ なし

図27 CSAの機序と夜間酸素療法の効果

化学受容体→PCO2↑

交感神経系亢進

 心不全

肺うっ血

低酸素血症

循環時間遅延

覚醒時喚起応答亢進

睡眠時呼吸障害Cheyne Stokes呼吸

 Quality of Sleep

CO2化学受容野感受性亢進

夜間酸素療法

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夜間HOTが保険診療として認可され(2004年4月),心不全診療に導入されている.さらに,その後1年間のCHF-HOT多施設長期臨床試験が実施され,夜間HOT

群では対象群に比べ,身体活動スケールの改善やLVEF

の改善が長期的に持続することが確認された.しかし,先のサブ解析で示された入院頻度の減少や心イベント減少を証明するには至らなかった318).

③ CSAに対するHOTの適応

 2004年に認可された慢性心不全における夜間在宅酸素療法の保険適用は,NYHAⅢ度以上でAHIが20/hr以上のCSAとされる.この適用基準は,CHF-HOT多施設臨床試験における対象基準(NYHAⅡ~Ⅲ度でAHI≧5/hr,LVEF≦45%)に比較するとより重症な症例が適応とされる.今後,適応を改定することについても検討してよいと考えられる.

5 持続気道陽圧(CPAP)療法(表24)

 CSR-CSAは心不全の二次的病態で,その重症度(AHI)が肺毛細血管楔入圧と関連することが報告されている121).一方,左室充満圧が高い不全心に対するCPAP

の覚醒時の急性効果として,胸腔内圧上昇に伴う静脈還流量低下による前負荷低減319)および壁内外圧差低下に伴う相対的左室後負荷低減320),1回拍出量の増加321),322)

が報告されており,CSR-CSAに対するCPAPの作用機序の1つとして,血行動態の改善が関与していると考えられる.閉塞性呼吸イベント後の換気量増加や覚醒反応はCSR-CSAの triggerとなりえるため128),OSAが混在する症例では,CPAPによる上気道の安定化もCSR-

CSAを抑える作用機序となりえる. 心不全合併CSR-CSA患者に対するCPAP療法に関して,小規模の無作為介入臨床試験が複数行われており(観察期間1~3か月),そこでは,CPAP療法による有意な左室駆出率の向上323),僧房弁逆流の改善および血漿ANP濃度の低下324),血漿および尿中ノルアドレナリン濃度の低下52)が示された.Sinらは,心不全患者に対してのCPAP療法の予後への効果を検討した無作為介入臨床試験を実施(計66例,平均観察期間2.2年)し,そのうちのCSR-CSAを伴う29例において,control群と比してCPAP療法群で,transplant free survivalが良好な傾向にあったと報告した37). 現時点で,CSR-CSAに対するCPAP療法の予後への効果を検討した唯一の多施設無作為介入臨床試験として,Canadian Continuous Positive Airway Pressure Trial

for Congestive Heart Failure(CANPAP)研究 (計258例,

平均観察期間2年)がある.ここでは,control群と比較してCPAP療法群において,左室駆出率の有意な改善および血漿ノルアドレナリン濃度の有意な低下を認めたが,transplant free survivalの改善効果は証明されず,むしろ最初の18か月まではcontrol群の方が良好であったという結果を受け,中間解析の時点で研究の進行が中止された325).CPAP療法群での1年後の使用時間が平均3.6時間と,CSR-CSA例におけるCPAP療法への忍容性の悪さが目立った.Javaheriによる心不全合併SDBに対するCPAP titrationの検討では,CSR-CSAのCPAPへの反応は一定でなく,いわゆる“responder”と“non-re-

sponder”が存在することが示されている326)が,CAN-

PAP研究では titrationは行われていない.3か月後に実施されたPSGで,CPAP群での平均AHI 19/hr程度の残存が示されており,“non-responder”の存在が示唆された.一方,そのPost Hoc解析で,CPAP療法によりAHI

<15にCSR-CSAが抑制できれば,transplant free sur-

vivalを改善させる可能性が報告された327). これらの結果より,CPAP療法は“non-responder”に行うべきでなく,acute CPAP titrationを行い,“non-re-

sponder”でないことを確認するべきである.右心不全を伴い前負荷依存性となっている例や十分に左室充満圧が低い例では,CPAPの急性効果として血行動態が悪化する可能性もあり,必ず覚醒時CPAP中に血圧や脈拍などの評価を行い,血行動態に悪影響がないことを確認する必要がある.また,心房細動例においてもCPAPが急性効果として血行動態を悪化させえる可能性328),329)が示唆されており,注意が必要かもしれない.CPAP療法時にもAHI≧15のCSR-CSAが残存する場合やCPAP療法に対する忍容性が不十分な場合では,速やかにその他の陽圧療法などへの変更を行うべきである.しかしながら,CSR-CSAに対するCPAP療法には時間依存的効果の存

表24 心不全合併CSR-CSAに対するCPAP療法クラスⅠ なし

クラスⅡa◦AHI≧15で,CPAP療法によりAHI<15に改善し,かつCPAP療法に対する忍容性が十分な場合(エビデンスレベルB)

クラスⅡb なし

クラスⅢ◦AHI≧15でCPAP療法により有意な改善がみられない場合(エビデンスレベルB)

◦AHI≧15で,CPAP療法に対する忍容性が不十分な場合(エビデンスレベルC)

注)AHIは,PSGによって評価する.

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在が報告330)されており,titration 時にAHI≧15でも,アドヒアランスが良好な症例では,数か月間の治療継続により,さらなるAHIの改善を認める可能性があることから,CPAP療法時にもAHI≧15のCSR-CSAが残存するがCPAP療法を十分忍容しえる症例で,何らかの理由からその他の治療を現実的に行えない場合には,数か月程度の治療継続を考慮する価値はある.

6 その他の陽圧治療(表25,26)

 CSAを合併した心不全患者における大規模臨床研究であるCanadian Continuous Positive Airway Pressure Tri-

al for Congestive Heart Failure(CANPAP)試験の結果で,長期的な生命予後の改善は認められず325),CPAPが確立されたCSA治療法とは必ずしもいえない状態となった.しかし,CSA に対するCPAPに関しては,無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index:AHI)の改善に対する急性効果が得られない,“non-responder”といわれるケースが約50%程度存在することが知られ326),CANPAP試験のPost-hoc 解析でもCPAP治療下にもかかわらずAHI

≧15/hr残存していた“non-responder”が約40%存在しており,これらの transplant-free survivalはcontrol群と同様もしくは統計学的に有意でないものの,より不良であった.一方,“responder”では transplant-free survival

がcontrol群と比較して有意に良好であり327),“non-re-

sponder”を減らすことが全体の予後の改善につながる可能性が示唆された.したがって,心不全症例のCSA

におけるAHIの改善に関して,より効果的である陽圧治 療(bi-level positive airway pressure:bi-level PAPおよびadaptive servo-ventilation:ASV)に焦点が当てられている. Bi-level PAPに関しては,CPAP同様に鼻マスクを装着して行う治療方法であり,CPAPとは,吸気時・呼気時の圧が変わり陽圧が2層性である点,自発呼吸が消失してもバックアップ換気が行われるという点で異なる.無呼吸時のバックアップ換気機構を持たないbi-level

PAPには否定的な意見もあるが331),バックアップ機構を有するbi-level PAPに関しては,CSA自体の治療としての有用性(クラスⅡa,エビデンスレベルA)のみならず332)-335),心機能の改善に対しての有用性も前向きの無作為化試験を含むいくつかの小規模の研究結果が報告されている(クラスⅡa,エビデンスレベルB)334),335).CPAPとの比較に関しては,CSAに対してはより効果的であると報告されており(クラスⅡa,エビデンスレベルB)336),特にCPAPに忍容性がない場合などで有用性が高いと考えられるが(クラスⅠ,エビデンスレベルB),

心機能に関して直接比較をしたデータはない. さらに最近では,このようなbi-level PAPを発展させ,そのときの呼吸状態に合わせて呼吸補助の程度を変化させ,過呼吸と無呼吸を繰り返す心不全のCSAにより適合した新しいデバイスであるASVの効果が報告されている.ASVは,AHIの改善に対しては,クロスオーバー試験の結果,CPAP,bi-level PAPよりも効果的であり,CPAPやbi-level PAPの継続が困難な症例や治療不十分な症例でも効果的であった(クラスⅠ,エビデンスレベルA)173),336)-338).Sham ASVと有効な治療設定を行ったASVとの比較で,血中BNPや尿中カテコラミンをより低下させることや339),CPAPとの比較で良好な治療コンプライアンスを呈し,6か月後の左室駆出率やQOL,治療コンプライアンスをより改善させるなどの効果が報告されている340).我が国においてもCPAPとASVを比較した多施設前向き無作為化試験で,ASV群では治療コンプライアンスがより良好で,3か月後の左室駆出率,血中BNP,6分間歩行距離,QOLがより改善するなどの結果が得られた341).一方,bi-level PAPとの比較に関しては,前述のようにAHIの低下にはより効果的だが,心機能の改善に関しては,統計学的に差はないもののbi-level PAPの方が有効であることを示すデータもあるため,いまだ議論の余地がある342).しかしながらASV

の心不全患者における長期予後改善の効果については現在のところデータがなく明らかでない.そのような背景の下,ヨーロッパのグループと北米のグループでそれぞ

表25 CSR-CSAに対するその他の陽圧治療-1(Bi-level PAP)クラスⅠ◦CPAPに忍容性がない場合(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦CSAの改善を目的として(エビデンスレベルB)◦心機能の改善を目的として(エビデンスレベルB)

クラスⅡbなし

クラスⅢなし

表26 CSR-CSAに対するその他の陽圧治療-2(ASV)クラスⅠ◦CPAPに忍容性がない場合(エビデンスレベルA)

クラスⅡa◦CSAの改善を目的として(エビデンスレベルA)◦心機能の改善を目的として(エビデンスレベルB)

クラスⅡbなし

クラスⅢなし

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れCSAを呈した心不全患者に対して,このようなASV

が長期予後の改善効果を有するか否かを検討する大規模研究が計画されている. 現在のところ我が国ではbi-level PAP,ASVともに健康保険適用の明確な基準はなく,臨床での使用に関してはCPAPと比べ費用もかかることから,現状ではCPAP

のタイトレーションを行い,前述の“non-responder”またはCPAPに対して忍容性がない場合に検討する治療法と考えられる.

① 導入およびタイトレーション

1)Bi-level PAP 実際の導入に先立って,吸気時および呼気時の圧レベル(inspiratory positive airway pressure:IPAP, expiratory

positive airway pressure:EPAP)およびバックアップ換気の回数などの設定を決めるための,タイトレーションが行われる必要がある.過度の気道陽圧は,時に心拍出量の低下を来たす可能性があること,圧レベルの調節,バックアップ換気回数の調節によっては,換気過剰となり炭酸ガスレベルの低下からCSAの悪化を来たす可能性や反対に無呼吸時に圧レベルやバックアップ換気が足りないことでCSAが抑制されない可能性などから,可能な限りタイトレーションが行われた上で導入されるべきである.2)ASV ASVはbi-level PAPと同様に IPAPとEPAPを供給するとともに,無呼吸時にバックアップ換気を行うものであるが,これらに加え患者の呼吸状態に合わせて IPAPレベルを設定した範囲で自動的に調節し,そのときに見合った呼吸補助を付加し,バックアップ換気の回数も自動調節されるという点で異なる.したがって,bi-level

PAPの導入時のようなタイトレーションが不要と思われがちだが,前述のように過度の気道陽圧は時に心拍出量の低下を来たす可能性や,このような装置による自動調節だけではCSAが抑制しきれない症例もあることから,タイトレーションが行われた上での導入が望ましい. いずれにおいても,タイトレーションでは,閉塞性イベントが残存する場合に対してそれを抑制しうるEPAP

レベルの設定,中枢性イベントが残ってしまう場合の呼吸補助やバックアップ換気の調節などが行われる.加えてマスクのフィッティングなどを確認し,各症例ごとに最も見合ったマスクを決定することも目的の1つである.

② フォローアップ

 現行の日本の医療保険システムの下では,毎月,医師の診察を受け,継続治療の必要性,使用状況などの確認が行われるが,装置に記録されたデータから実際の使用状況および治療コンプラインアンスなどを確認することができる.ガイドライン本文中に述べられているASV

とCPAPを比較した我が国の臨床試験では,心機能の改善と治療コンプライアンスの間に相関関係が認められたことから,治療コンプライアンスを定期的に確認することが望ましい.

7 CSAの治療(まとめ,表27)表27 中枢性睡眠時無呼吸の治療(まとめ)

クラスⅠ◦ガイドラインに基づいた慢性心不全に対する最適な薬物療法(エビデンスレベルC)

◦CRTの適応基準を満たした,CSAを合併する慢性心不全患者へのCRT(エビデンスレベルC)

◦基礎心疾患に対する手術適応があるCSA合併患者への心臓外科手術(エビデンスレベルC)

◦CPAPに忍容性がない場合のbi-level PAP(エビデンスレベルB)

◦CPAPに忍容性がない場合のASV(エビデンスレベルA)

クラスⅡa◦NYHAⅢ度以上でAHIが20/hr以上のCSA に対する酸素療法

 AHIの低下と睡眠の質の向上を目的とした酸素療法(エビデンスレベルA)

 運動耐容能,身体活動スケールの改善を目的とした酸素療法(エビデンスレベルA)

 心機能の改善を目的とした酸素療法(エビデンスレベルA)

◦AHI≧15で,CPAP療法によりAHI<15に改善し,かつCPAP療法に対する忍容性が十分な場合のCPAP療法継続(エビデンスレベルB)◦CSAの改善を目的としたBi-level PAP(エビデンスレベルA)

◦心機能の改善を目的としたBi-level PAP(エビデンスレベルB)

◦CSAの改善を目的としたASV(エビデンスレベルA)◦心機能の改善を目的としたASV(エビデンスレベルB)

クラスⅡb◦CSA自体の軽減を目的としたβ遮断剤(カルベジロール)(エビデンスレベルB)

◦アセタゾラミド,テオフィリン(エビデンスレベルB)◦NYHAⅢ度以上でAHI≧20のCSAに対し予後の改善を目的とした酸素療法(エビデンスレベルB)

クラスⅢ◦CRTの適応基準を満たさない患者に対するCSAの減少のみを目的に行うCRT(エビデンスレベルC)

◦CSAの減少のみを目的に行う心臓外科手術(エビデンスレベルC)

◦AHI≧15で,CPAP療法により有意な改善がみられない場合のCPAP療法継続(エビデンスレベルB)◦AHI≧15で,CPAP療法に対する忍容性が不十分な場合のCPAP療法継続(エビデンスレベルC)

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3 その他の治療法

1 Atrial overdrive pacing 徐脈性不整脈に対してペースメーカを植え込んだ患者で,睡眠時無呼吸が減少することがあるという経験の下,2002年,15人のOSAあるいはCSAを有する患者にatri-

al overdrive pacingを行う試みがなされた.患者固有の洞性リズムよりも15回 /min多い回数でペーシングを行った結果,AHIが28±22から11±14に減少した343)(クラスⅡb,エビデンスレベルB」.Atrial overdrive pacing

が副交感神経の持続的な活性化を抑制したためではないかと考察されている. しかし,その後の追試にて,AHIは42.3が41.9 344),あるいは32から31と345)有意な変化は示さなかったとする報告が相次ぎ,atrial overdrive pacingの効果は,現在では疑問視されている. また,この治療法は,我が国では保険適用とはなっていない.

2 末期腎不全患者における透析療法 末期腎不全患者に睡眠呼吸障害が合併するという報告がは多い.大規模な研究はないが,閉塞性睡眠時無呼吸が合併する頻度は約40~90%程度であるとされている.しかし論文間でその頻度に大きな差があるが,PGS検査を使用した研究では50~90%程度になっている.Sleep heart health studyで年齢,性別,体型などをマッチした対象者と比較した研究においても,睡眠呼吸障害は透析患者で有意に高値であったと報告している(オッズ比:4.07,95%CI:1.83~9.07). 睡眠時無呼吸症候群が腎機能自体を悪化させるかどうかについては十分な評価がされていない.しかしながら交感神経緊張,夜間血圧上昇,繰り返す低酸素血症,日中も継続する血圧上昇,過ろ過 (hyperfiltration)などが腎機能を悪化させると考えられている346)-352). 近年では慢性腎不全患者に対して腎臓移植や夜間透析によって,合併する睡眠時無呼吸症候群が改善するとの報告がある353)-362).通常の腹膜透析では導入の前後では睡眠呼吸障害の程度はあまり変わらなかったとしている363).しかしながら,Hanlyらは48名の透析患者に対して通常の週3回の透析より,連日行う8時間施行する夜間透析の方が,AHIは改善したとしている(25±25→8±8)362).その後は,透析患者についての夜間透析療法が睡眠呼吸障害を改善するかについての報告が認

められるようになった360),361).小規模な研究ではあるが,睡眠呼吸障害を改善するとの報告も散見されている.しかしながら,いまだ大規模な多施設研究はないので,さらなる報告を待つ必要がある.その機序については十分検討されていないが,夜間透析の方が通常の透析に比較して咽頭サイズが増大するとの報告もある359).しかしながら,小規模ながら同様の報告はいくつか認められることより,今後は慢性腎不全を合併する心疾患に対する治療法の選択法になりえる可能性がある.

4 我が国の保険診療上の治療適応基準

 口腔内装置(oral appliance;OA)は,OSASの診断がつくAHI≧5から可能である.医科でOSASと確定診断され,医科から歯科へ紹介の上,歯科がOAを作製する. 持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure;

CPAP)は,症状などがあり,PSGで検査し,AHI≧20で使用可能である.簡易無呼吸検査では,AHI≧40で適応がある(ただし,AHI 20というカットオフ値の日本人でのエビデンスはない). ASVは,睡眠時無呼吸症候群患者ではない心不全の患者で,長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるをえない,安定した状態の患者に対して,使用が適当と医師が認めた患者に対して使用可能.(ここでいう睡眠時無呼吸症候群とは恐らくOSASを想定していると考えられ,OSASの主体ではない心不全患者とは,CSRが主体で,換気量や呼吸数の変化する補助換気の必要な患者ということになる). HOTは,慢性心不全患者で医師によりNYHAⅢ度以上の重症と認められ,PSG上でAHI≧20のCSRが確認された患者が適応となる.

Ⅵ 各 論

1 高血圧とOSA

1 高血圧リスクとOSA OSAは高血圧の成因ともなり,最も頻度が高い二次性高血圧の1つである.OSAは男性と肥満者に多いこと

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が知られており,メタボリックシンドロームのハイリスク群としても重要である. OSASと高血圧は互いに合併率が高い.肥満人口が多い欧米では,OSA患者の約50%には高血圧がみられ,高血圧患者の約30%にOSAが合併するが,その頻度はともに過小評価されていることが多い20).高血圧とOSAの高い合併率の背景には,両病態の発生リスクとなる肥満人口の世界的な増加がある.我が国での正確な頻度はわからないが,Sleep Heart Health Studyで使用された同一の睡眠ポリグラフで評価し,同一のAHI(4%desaturation)>15でOSAを定義した研究では,OSAは日本人の本態性高血圧患者の約10%にみられ,その頻度はNY Sleep Heart Health Study参加者の欧米人高血圧患者の約1/3であった364).日本人のOSAの特徴として,非肥満者からの発生もしばしばみられることがある.その基礎疾患として,小顎症が多いのが特徴である365).しかし,我が国においても,肥満がOSAの主要なリスク因子であることに変わりない.今後,肥満人口の増加とともに,我が国でもOSAは,ますます増加することが予測される. 重要な点はOSAと高血圧は単なる合併ではなく,OSA自体が高血圧の原因となる二次性高血圧の原因疾患の1つであることである.これまでの地域住民を対象とした前向き研究であるWisconsin Sleep Cohort Study

において,年齢やBMIと独立してAHIの増加が将来の高血圧の発症リスクになることが示されている365).さらに,AHIと24時間血圧レベルには,BMIや他の要因とは独立した閾値のない直線相関関係がみられる366). OSAの高血圧リスクとしてのインパクトは若年でより大きく,高齢者ではその影響は減少する.高齢者の収縮期高血圧に対する影響は少ない367).青年期若年者を対象にアクチグラフィーを用いた研究では,睡眠時間の短縮(6.5時間未満)が2.5倍,睡眠効率の低下(85%未満)が3.5倍,他の因子とは独立したプレハイパーテンション(年齢,性別,身長の90パーセンタイル以上の血圧と定義)のリスクとなっていたことから,高血圧の発症リスクとして睡眠の量と質が重要であることがうかがえる368). 我が国においても,高血圧のみならずプレハイパーテンション(正常高値血圧130~139/85~89mmHg)は将来の心血管疾患,特に脳卒中のリスクになっているが369),370),その規定因子として肥満がある.高血圧ならびにプレハイパーテンションの規定因子として肥満の影響はより若年で大きい371).45歳の住民を対象として4年間の体重の増減とOSAの発症を検討した検討では,

体重の10%増加が中等度~重症OSAの発症リスクを6倍増加させており,その発症は減量により抑制されていることが示されている197).したがって,より若年から適正体重の維持に努めることが,OSAに関連した高血圧の発症抑制にもつながると考えられる.

2 OSAの自由行動下血圧の特徴(表28)

 OSAの高血圧の最も重要な特徴は,仮面高血圧が多い点と,治療抵抗性高血圧の原因疾患となる点である.これまで,夜間高血圧や,血圧日内変動異常で夜間血圧下降が減少しているnon-dipper型,逆に夜間血圧が上昇する riser型では,高血圧性臓器障害や将来の心血管イベントや心血管死亡リスクが高いことが広く知られている372)-378).これら夜間高血圧non-dipper・riser型の発生病態として,循環血液量の増加(心不全や慢性腎臓病など),自律神経障害(糖尿病など),睡眠の質の低下(睡眠時無呼吸症候群や抑うつ状態など)などが知られている379).これらの発生病態である心不全,慢性腎障害,糖尿病などでは,OSASの合併頻度が高い. さらに,OSAのnon-dipper・riserの特徴として,夜間血圧の変動が大きいことが挙げられる.OSAの夜間無呼吸発作時に,最大の胸腔内陰圧負荷に加え,無呼吸後半から無呼吸が解除される時相に一致して著明な血圧上昇(血圧スリープサージ)が引き起こされる364),380).このような血圧上昇が起こることは古くから知られていたが,臨床的に重要な点は,同程度の酸素分圧の低下にもかかわらず,この血圧スリープサージは20mmHg程度から100mmHg以上まで,幅広い個人差があることである.この夜間血圧サージの増大は,OSAでみられる夜間発症の心血管イベントの誘引になると考えられる. また,OSA患者では昇圧反応が亢進している可能性がある.その機序として,夜間低酸素血症による血管反応性や,化学受容体感受性の亢進により,交感神経の亢進や交感神経刺激に対する血管収縮が増大することなどが考えられる.実際,これまでの報告では,動脈硬化が生じていない小児のOSA患者において,夜間血圧の上昇のみならず,血圧モーニングサージも増強していることが示されている381).

表28 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の高血圧の特徴◦治療抵抗性高血圧◦仮面高血圧 ◦夜間高血圧(non-dipper・riser型,血圧ミッドナイトサージ)◦早朝高血圧(血圧モーニングサージの増強)◦心拍数増加を伴う高血圧◦若年の拡張期(優位)高血圧

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3 治療抵抗性高血圧(表29)

 OSAは治療抵抗性高血圧の原因にもなる382),383).通常,治療抵抗性高血圧は,利尿薬を含む3剤以上の降圧療法を投与中にもかかわらず,診察室血圧が140/90mmHg

未満にコントロールできない場合に定義する382).治療抵抗性高血圧の80%以上にAHI≧10のOSAがみられたとの報告や8),SASが50歳未満の高血圧患者の血圧コントロール不良の独立した規定因子となることが報告されている384).OSA患者において,血中アルドステロンレベルの上昇が治療抵抗性高血圧と関連していることが報告されている385). 特に,降圧薬の就寝前投与などの夜間・早朝高血圧に対する特異的治療を行っても,家庭血圧で測定した早朝血圧レベルが持続して高値(135/85mmHg以上)を示す治療抵抗性早朝高血圧ではOSAを疑う.その際,早朝血圧と就寝時の血圧差(ME差)も参考にする.夜間低酸素血症がME差の規定因子であることが知られている.我が国の高血圧患者においても,ME差は早朝血圧と就寝時血圧の平均値(ME平均)とは独立して,脳卒中リスクや高血圧性心疾患と関連する386),387).

4 高血圧と臓器障害の発症機序 OSAは,虚血性心疾患,心不全,不整脈,大血管疾患や脳血管障害など,あらゆる領域の高血圧に関連した循環器疾患のリスクとなる383).OSAは昼間のリスクも増加しているが,特に夜間発症の心血管イベントが多いことが特徴的である.突然死や急性心筋梗塞などの夜間発症例では,OSAの合併例が多いことが報告されている10),388).これら夜間発症の心血管イベントの発症には,無呼吸時の血圧スリープサージが直接の誘因となっている可能性がある. OSAが高血圧とその臓器障害のリスクを増大させる主なメカニズムは多様である389).OSAにより,胸腔内の陰圧負荷,肺の伸展受容体刺激の低下,化学受容体刺激,低酸素血症,高炭酸ガス血症,微小覚醒などが直接引き起こされる.これらの刺激により,様々な高血圧発生機序にかかわるリスク因子が変化する. 夜間の周期的な低酸素血症により酸化ストレスが亢進し,炎症反応が引き起こされ,血管内皮が障害される390)-393).OSA患者では,一酸化窒素(NO)の産生が低下しており,AHIの増加に比例して血流依存性血管拡張反応が低下している.このNO産生の低下は持続気道陽圧(CPAP)により改善する394).また,OSA患者では炎症反応の指標である血中高感度C反応性蛋白(CRP)

が増加しているが,その増加はnon-dipper型血圧日内変動を示すOSA患者では,dipper型患者よりもより大きい395).このことは,OSA患者においてもnon-dipper・riser 型夜間高血圧で心血管リスクが増加していることを示している.したがって,OSAS患者では携帯型24時間血圧モニター(ABPMを行い,夜間血圧を評価することが推奨される.OSA患者のCRPや IL-6の血中レベルの増加は,CPAPにより減少する58). また,OSAでは夜間に頻回の覚醒が生じ,交感神経活動が活性化されるが,それを抑制する肺の伸展受容体反射が低下していることから,自律神経バランスは交感神経亢進に傾く396).特に,夜間低酸素発作時には交感神経バーストが生じ,血圧や心拍の上昇がみられる.また,交感神経が亢進するREM睡眠時にはOSAの無呼吸発作が増悪することが知られており,さらに亢進した交感神経活性により,冠動脈スパズムが生じ,冠攣縮性狭心症が引き起こされることがある.さらに,夜間血圧スリープサージに加え,周期的な胸腔内陰圧負荷(大きい場合は80mmHgにも及ぶ)により,心室壁や心房壁にはメカニカルストレスがかかり,左室肥大や左房リモデリングが進展し,心不全や心房細動のリスクが増大する397).OSA患者の左室形態異常では,遠心性心肥大が多いことが報告されている397). さらに,OSAでは,交感神経亢進に起因するアディポネクチンの低下398),インスリン抵抗性399)やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)の亢進,さらにエンドセリンなどの昇圧ホルモンの増加があり,これらがOSA患者の血圧の上昇に関与していることが報告されている400).

5 OSAを考慮した高血圧診療プロセス OSAを疑う徴候を表30に示す382).昼間の眠気,集中力の低下,抑うつ状態,いびきなどの症状がある典型的な肥満高血圧の場合はもちろんのこと,高血圧患者では自覚症状がない場合も多い.したがって,自覚症状がなくてもOSAを疑い,詳細な問診を行うことが重要である. OSAを考慮した仮面高血圧の診療プロセスを以下に示す389).まず,家庭血圧計により早朝血圧を測定し,そのレベルが135/85mmHg以上の場合,早朝高血圧と考え,早朝血圧をターゲットとした降圧療法を行う401).早朝血圧レベルが135/85mmHg未満のときは,ABPM

を測定し,24時間血圧レベルが平均で130/80mmHg以上である場合,昼間血圧が高いとストレス性高血圧,夜間血圧が高いと夜間高血圧と考え,それらをターゲット

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1012 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

にした降圧治療を行う.以上で夜間・早朝血圧のコントロールがつかない治療抵抗性夜間早朝高血圧であった場合,OSAを疑うことが重要である(クラスⅠ,エビデンスレベルA)389),401). さらに,夜間尿,夜間呼吸困難(窒息感),夜間発症の心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,急性大動脈解離,上室性・心室性不整脈など)の既往や,正常血圧にもかかわらず左室肥大などを有する例では,夜間血圧を含めた24時間血圧が正常レベルであっても,OSAを積極的に疑う(クラスⅡa,エビデンスレベルC). 24時間血圧が130/80mmHg未満と正常にコントロールされている場合においても,臓器障害の進行例,特に圧負荷の影響を受けやすい左室肥大の合併例ではOSA

を疑う389),401)(クラスⅡa,エビデンスレベルB).OSA

では,ABPMにより評価した夜間血圧を含む24時間血圧が全く正常レベルであったとしても,無呼吸発作時の-80mmHgにも及ぶ周期的胸腔内陰圧により左室壁に強い圧負荷がかかり,高血圧性心疾患が進展する.

6 OSAに合併した高血圧の治療(表31)

① 非薬物療法

 肥満OSA患者では,減量が最も有効である.また,アルコール摂取によりOSASは悪化することから,節酒も指導する.喫煙者には禁煙を指導する.

② 持続気道陽圧(CPAP)療法

 中等度・重症OSA(AHI>20)を合併する高血圧患者では,まず持続気道陽圧(CPAP)療法を行う(図29).CPAP療法により多くの患者で降圧効果が得られ,夜間の血圧サージは低下し,心血管予後も改善する.CPAP群と酸素投与群の降圧効果を比較した臨床試験では,CPAP治療群のみで降圧がみられた402).したがって,CPAPの降圧効果は夜間低酸素血症の改善のみではないことがうかがえる. これまで,少なくとも2週間以上CPAPを使用した効果をプラセボ(疑似CPAP装置使用8つ,の薬剤使用4つ,通常管理4つ)と比較した無作為比較臨床試験16研究

表31 OSA合併高血圧患者の治療クラスⅠ◦肥満患者に対する減量(エビデンスレベルA)◦禁煙指導(エビデンスレベルB)◦中等度・重症OSA(AHI>20)を合併する高血圧患者に対する持続性陽圧呼吸(CPAP)(エビデンスレベルA)

クラスⅡa◦AHI<20の軽症・中等症OSA高血圧患者に対する,夜間血圧120/70mmHg を目標とした厳格な降圧療法(エビデンスレベルC)◦CPAPを拒否ないしは自己中断した中等度・重症OSAS高血圧患者に対する,夜間血圧120/70mmHg を目標とした厳格な降圧療法(エビデンスレベルC)

◦就寝前の飲酒の禁止(エビデンスレベルC)クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

表30 閉塞性睡眠時無呼吸症候群を検出するキーワード(JSH2009)

症状 昼間:眠気,集中力の低下,抑うつ状態,起床時・朝方の不定愁訴 (頭痛,倦怠感)夜間:強いいびき,頻回の夜間覚醒や夜間尿

夜間呼吸困難(窒息感)身体所見 肥満,小顎症検査所見 治療抵抗性早朝高血圧(夜間高血圧を含む)

左室肥大(特に診察室血圧と家庭血圧が正常例)夜間発症の心血管イベント(心房細動,心室性不整脈を含む)メタボリックシンドローム

図29 睡眠時無呼吸症候群を伴う高血圧患者の治療方針

減量・節酒・禁煙

継続不可能

高血圧閉塞性睡眠時無呼吸症候群

Apnea hypopnea index≧20 <20

CPAP継続可能 降圧薬投与

達成 未達成

降 圧 目 標診察室血圧早朝血圧夜間睡眠時血圧

<140/90 mmHg<135/85 mmHg<120/70 mmHg

表29 高血圧患者におけるOSAスクリーニングクラスⅠ◦治療抵抗性高血圧(エビデンスレベルA)

クラスⅡa◦夜間尿,夜間呼吸困難,夜間発症の心血管イベントの既往がある高血圧患者(エビデンスレベルC)

◦正常血圧にもかかわらず左室肥大を有する例(エビデンスレベルB)

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1013Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

をまとめたメタ解析(OSA患者818名)では,CPAPの降圧効果は収縮期血圧で-2.46 mmHg(95%信頼区間:-4.31~-0.62 mmHg),拡張期血圧で-1.83 mmHg(95%信頼区間:-3.05~-0.61 mmHg)であった240).このように,OSA患者に対するCPAPによる降圧効果は集団の平均値でみた場合,軽度にとどまる. CPAPの効果には個人差があり,より血圧レベルが高い高血圧,未治療高血圧,夜間高血圧治療抵抗性高血圧などの特徴を有する高血圧例では,CPAPによる降圧効果が大きい240),403)-405).特に夜間高血圧non-dipper・riser型では,CPAPにより睡眠中の血圧がより選択的に低下し,正常dipper型に回復すること場合が多い406).さらに,BMI高値で240),407)より重症のOSA(AHI>30)ではCPAPによる降圧程度が大きい.また,昼間の眠気の有無もCPAPの降圧効果に影響を与える.OSA患者ではCPAPによる日中血圧の降圧効果が乏しい場合もあり407)-409),CPAP治療の継続率も低い.CPAP治療により明確な降圧効果を期待するには,CPAPに対するコンプライアンスが良好で,一晩3時間以上使用し403),AHI

が50%以上減少する効果があり410),さらに,より長期に使用すること重要である410).

③ 降圧薬

 AHI<20の軽症・中等症OSA高血圧患者や,CPAP

拒否ないしは自己中断した中等度・重症OSA高血圧患者では,心血管リスクは残存する.このような患者はハイリスク高血圧患者と考え,より厳格な24時間にわたる降圧療法を行うことが望ましい(クラスⅡa,エビデンスレベルC).目標降圧レベルにエビデンスはまだないが,胸部大動脈や心臓への無呼吸発作時の胸腔内陰圧負荷の増大(時に-80mmHgに達することがある)を加味し,特に夜間血圧をその基準値である120/70mmHg

未満に抑制しておくことが重要である389). 降圧薬の種類に関する明確なエビデンスはまだない.中枢性作用があるαメチルドーパやβ遮断薬,カルシウム拮抗薬,ACE阻害薬など,いずれのクラスの降圧薬もAHIを変化させないことから,睡眠時無呼吸症候群自体には影響を与えない411),412).小数例の検討では,Ca

拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬に比較して,β遮断薬では,診察室拡張期血圧が有意に低下した.また,β遮断薬ではCa拮抗薬,ACE阻害薬,ARBに比較して,昼間・覚醒時血圧の低下度に差はないが,夜間収縮期・拡張期血圧が有意に低下したという報告もある(利尿薬との差はない)413).しかし,β遮断薬を含めて単剤投与では,昼間の血圧は低下するものの,夜間睡眠時血圧の

コントロールは難しいとの報告もあり414),β遮断薬のOSAに対する特異的な有効性には一定の見解は得られていない.OSAの治療抵抗性高血圧では血中アルドステロンレベルが増加している385)ことから,アルドステロン遮断薬も有用と考えられる.臓器障害の抑制の観点からは,OSA患者,特に肥満の合併例では,RAA系が亢進し,左室肥大の合併が多いことから,RAA系抑制薬が有用であると考えられる.心不全を合併するOSA

高血圧患者では,利尿薬投与により,喉頭浮腫が改善し,OSAの改善が期待できる415).一方,ACE阻害薬で空咳が生じるOSA患者では,咳により上気道に炎症が生じてOSA自体を悪化させる可能性も指摘されている416).

2 心不全

1 心不全患者に合併する睡眠呼吸障害の頻度

 心不全患者における睡眠呼吸障害の特徴は,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)に加え,チェーン・ストークス呼吸を伴う中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea with Cheyne-Stokes respiration:CSR-CSA)を高率に認めることである.収縮不全を伴う慢性期安定心不全患者における睡眠呼吸障害の有病率は,無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index:AHI)≧15をカットオフとすると約50%である.OSAは心不全患者の11~37%に認められ,CSR-CSAは29~40%に認められる22),23).NYHAⅡ度以上,左室駆出率40%以下でβ遮断薬を含めた標準的な薬物治療下にある700名を調査した最近の報告においても,AHI≧15のOSAは19%,CSR-CSAは33%に認めている9). 無症候性の左室収縮障害を有する患者では,AHI≧15の睡眠呼吸障害を66%に認め(CSR-CSAは55%),収縮機能の保たれた心不全患者の55%に睡眠呼吸障害を認めているが,いずれも少数例の報告であり152),154),その頻度は明らかとなっていない.実臨床において,OSAとCSR-CSAが単独ではなく,混在して認められる例が多い.さらには,心不全の重症度,治療内容などによってその優位性がしばしば変化し,一夜の睡眠中にOSAからCSR-CSAへシフトすることもある123).

2 想定される機序

① OSAが心不全を発症,増悪する機序とその役割

 OSAは,他の危険因子と独立して心不全の発症リス

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

クを2.38倍高めることが米国の大規模コホート研究19)

で示されている.ACC/AHAの慢性心不全の診療ガイドライン(2005年)417)では,心機能の低下や心不全症状のない段階から,高血圧,糖尿病,肥満,メタボリックシンドロームなどは心不全の危険因子として位置づけられている.OSAは,これらを有する患者で高率に合併するばかりでなく,OSAそのものが心不全の危険因子であり,慢性心不全の各ステージにおいて,その進展に影響を与える可能性が高い. OSAが心不全の発症,進展にかかわる機序は次のように説明される.睡眠中に上気道の閉塞により繰り返される低酸素血症と中途覚醒は,夜間および日中の交感神経活性を亢進させ,急性,慢性に血圧を上昇させる結果,左室肥大を来たし,左室収縮機能や拡張機能の低下を来たす.気道閉塞時の努力性呼吸により胸腔内圧が著しく低下するため,左心室には高い transmural pressure,すなわち左室後負荷がかかる325).その結果,心筋酸素需要が増大し,酸素供給と需要のバランスが崩れ,心筋虚血,心筋収縮障害,不整脈のリスクが高まる.低酸素性肺血管攣縮による肺血管抵抗の増大と静脈還流の増加による右室充満の増大が,右心不全の誘因となるばかりか,拡張期に心室中隔を圧排して左室充満を障害し,心拍出量が低下する46).虚血性心疾患などの基礎心疾患を持つ患者では肺うっ血を来たしうる. OSAが心血管障害の誘発に介在する機序として,血行力学的な心負荷や交感神経活動の亢進の他に,内皮機能障害,酸化ストレス,炎症,凝固機能の亢進,さらには肥満,インスリン抵抗性などの代謝機能障害が挙げられている418).これらは,血管機能障害,冠動脈プラークの破綻,心筋障害,不整脈などを惹起し,心不全の原因となる基礎心疾患の発症や進展に関与する.

② CSR-CSA発生の機序とその役割

 OSAが心不全の原因や増悪要因と位置づけられるのに対し,CSR-CSAは重症心不全患者にしばしばみられることからも,心不全の結果とみなされている.CSR-

CSAを伴う心不全患者は,伴わない心不全患者よりも肺動脈楔入圧が高く121),左室拡張末期容積が大きい419).尿中ノルアドレナリン濃度が高く420),筋交感神経活動が亢進し153),運動時の換気応答が亢進している129).CSR-CSAの主要な予測因子として高齢(60歳以上),男性,心房細動,低炭酸ガス(CO2)血症(38mmHg

以下)とCO2換気応答の亢進が挙げられている22),115). 心不全患者におけるCSR-CSA の出現の機序は複雑である.中枢および末梢のCO2化学受容体の感受性の亢進

と循環時間の遅延が主な機序と考えられている(総論CSAの機序を参照).中枢性CO2感受性の亢進は,日中の労作時過換気の原因となり,睡眠の分断化により良質な睡眠がとれないことと合わせて,日中の息切れや疲労感の原因となる.

3 心不全患者の予後に対する睡眠呼吸障害の影響

① OSAが予後に及ぼす影響

 OSAはその重症度にかかわらず,心筋梗塞や脳卒中による致死的,非致死的な心血管事故の発生を有意に高めることが,長期の観察研究から明らかとなっている31),253).そのため,心不全患者の予後にもOSAが影響する可能性が高いと考えられるが,心不全患者に併存するOSAが長期予後へ及ぼす影響をみた研究は少ない.心臓移植の適応が検討された心不全患者において,OSA

の合併は52か月間の死亡率に影響しないとする報告があるが141),その一方,左室駆出率45%以下の心不全患者を平均2.9年間観察した最近の研究では,中等度以上(AHI≧15)のOSAを認めたが治療を受けなかった群は,AHI≦15の群よりも予後が不良であることが報告され,多変量解析ではAHI≧15の未治療のOSAは予後を規定する因子であったという24).

② CSR-CSAが予後に与える影響

 低左心機能患者(左室駆出率35%以下)においては,AHI≧30のCSR-CSAは心臓死の独立した規定因子であり421),心移植待機患者においてCSA-CSR合併例は非合併例に比較し長期予後が不良であるとされる37).収縮不全を伴う慢性心不全患者において,CSR-CSAは右室収縮機能障害,拡張期血圧低値とともに主要な予後悪化因子であり,CSR-CSAがあると死亡のリスクが2.14倍になることが報告されている36).現状ではCSR-CSAは心不全の単なる結果ではなく,心不全の重症度を反映し,予後を規定する重要な因子であるとの見解が得られている36),37),140),421),422).いずれの研究もβ遮断薬を投与されている患者の割合が少なく,そのことが結果に影響している可能性が否定できないが,CSR-CSA を標的とした治療が心不全の予後の改善に重要な役割を果たす可能性がある.

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1015Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

4 心不全に合併する睡眠呼吸障害の治療(表32)

 慢性心不全で通院中の患者や心不全で入院加療中の患者には,簡易モニターを用いて積極的にスクリーニングを行うことが推奨される(クラスⅠ,エビデンスレベルC).睡眠呼吸障害の疑いがあれば,終夜睡眠ポリグラフィー(polysomnography;PSG)検査を予定する. OSAの治療方針は,心不全の有無に関わらずほぼ確立されている.肥満患者には減量を指導し,飲酒や睡眠薬の制限などの一般療法を行い,上気道に解剖学的な異常がある場合には,耳鼻科や口腔外科に相談する.中等度以上のOSAを有する患者にはCPAP治療の適応を考える.我が国におけるCPAPの健康保険適用は,PSGではAHI≧20,簡易診断装置ではAHI≧40である. 一方,CSR-CSAを合併する場合の治療指針は確立されていない.冠血行再建術や弁膜症手術などの基礎心疾患に対する治療と心不全の薬物治療の最適化を基本とした上で,CSR-CSAへの直接的な介入を考慮する.心不全の病態が十分に改善した場合,CSR-CSA が著明に減少し,CSR-CSA優位からOSA優位のパターンへ変化することがまれではないためである.しかし,心全治療を徹底した後にもCSR-CSAが残存することが少なくない.その場合には,各種の陽圧呼吸治療や酸素療法を検討すべきであるが,治療法の選択や開始基準はいまだ定まっていない.

① 薬物治療,その他

 心不全に対する標準的な薬物治療により,合併する睡眠呼吸障害,特にCSR-CSA は減少する.利尿薬の投与により,肺動脈楔入圧の低下,すなわち肺うっ血の改善と関連してCSR-CSAは減少する121).上気道の浮腫が改善する結果,OSAを有する拡張不全例のAHIを改善することも報告されている415).ACE阻害薬は軽~中等度の心不全患者の睡眠の質を改善させる可能性があり286),

β遮断薬(カルベジロール)は,NYHAⅡ~Ⅲ度の慢性心不全患者のCSR-CSAを容量依存的に抑制することが報告されている289),290).もちろん,これらの標準的治療薬を十分に投与してもCSR-CSAを認める場合も多く,その場合はCSR-CSAをターゲットとした他の治療法を検討すべきである423). アセタゾラミドは,利尿作用と代謝性アシドーシス誘発による呼吸中枢刺激作用を有する.慢性心不全に合併するCSR-CSAに対するアセタゾラミド就寝前投与の効果を検討した二重盲検試験では,プラセボ群に比較してCSR-CSAの回数が半減し,睡眠中の動脈血酸素分圧低下度の減少,睡眠の質,日中の眠気が改善している169).注目される薬物治療であるが,長期的にCSR-CSAを抑制できるかは不明である. 低左室機能で左脚ブロックや心室内伝導遅延があり,CSR-CSAを伴う患者では,心臓再同期療法(CRT)によ りCSR-CSAが 減 少 す る こ と が 報 告 さ れ て いる168),295)-297).CRTによる左室ポンプ機能の改善は,肺うっ血,循環時間の延長,交感神経活性亢進による呼吸化学受容体感受性の亢進を是正することでCSR-CSAを減少させると考えられる.CRTによるCSR-CSAの減少が心不全に対するCRTの有効性へ寄与しているかについては,今後の検討が必要である.

② 陽圧呼吸治療

① OSAを伴う心不全に対する陽圧呼吸治療の効果 心不全患者のOSAに対する最も有効な治療法は,心不全のないOSA患者と同様にCPAPである.CPAPは睡眠時の上気道の閉塞を防いで無呼吸を改善し,低酸素血症,睡眠の分断化を是正し,交感神経活性を低下させる297),424).さらに胸腔内圧の陽圧化により左室の後負荷軽減と,静脈灌流量の減少による前負荷軽減が得られるため,OSAの治療のみならず,心不全自体の治療としても効果的である.CPAPは,OSAを伴う心不全患者に対する短期間の検討において,無呼吸と心機能の改善効果に加え145),425),交感神経活性の低下426),圧受容体反射の改善427),心室期外収縮の減少428)が認められている.左室拡張機能の改善効果429)もあり,心不全の進展を阻止する効果が期待できる. OSAを伴う収縮障害の心不全患者を対象に,CPAPの短期的な効果を示した無作為割付け研究の成績がある145),242),425).適切な薬物療法下においてもLVEFが45%以下であるOSA合併心不全患者に対する1か月間のCPAPは,収縮期血圧,心拍数の低下,左室収縮末期径の減少とともにLVEFを9%増加させ426),3か月間の

表32 心不全患者における睡眠呼吸障害のスクリーニングクラスⅠ◦すべての心不全に対する簡易モニターによる睡眠呼吸障害のスクリーニング(エビデンスレベルC)

クラスⅡa なし

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

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1016 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

CPAPによりLVEFの5%増加と夜間の尿中ノルエピネフィリン排泄の減少を認めている145).一方で,auto

CPAP治療と sham CPAPに割付けた6週間のクロスオーバー試験では,auto CPAP治療群の心機能指標やpeak

VO2,6分歩行距離は sham CPAP群と差を認めていない242).この研究ではCPAPの圧調整がなされず,コンプライアンスが低かったことが関係した可能性が指摘されている. OSAを合併する心不全患者の長期予後に対するCPAP

の効果を検討した成績は少なく,無作為割付け試験は実施されていない.平均2.9年の観察において,AHI≧15でCPAP未施行の群は,AHI<15の群に比べて有意に死亡率が高いが,CPAP施行群では死亡例を認めていない24).平均25か月の観察において,OSAを合併した心不全患者の予後は,CPAPのコンプライアンスが高い場合に有意に改善することが我が国から報告されている430).中等症以上のOSAを合併する心不全患者に対してはCPAPを適応すべきであるが,日中の過度の眠気がない患者への導入やコンプライアンスの維持は必ずしも容易ではない.治療する意義を十分に説明し,適正圧を調整(CPAP titration)してAHIを少なくすることは,コンプライアンスを維持するために重要である25).軽症から中等症のOSAには口腔内装具の有効性が認められているが,心不全患者でも有効かは不明である.CPAP

の忍容性が低い場合は考慮する431).② CSR-CSAを伴う心不全に対する陽圧呼吸治療 CPAPがCSR-CSAの減少に有効な機序は,気道陽圧により前負荷,後負荷を軽減して心仕事量を軽減し,左心機能の改善をもたらすことに加え,肺を拡張させて反射性に交感神経活性を抑制し,CO2に対する感受性を低下させる機序や,呼気終末残気量を増加させて低酸素血症を改善させる機序が想定される. 短期間かつ少数例での研究が多いが,CSR-CSA優位のCHFに対するCPAPの有効性を示した無作為割付け研究の成績がある52),323),326),432),433).CPAPは心不全患者のCSR-CSA を消失させ,心機能を改善させ,睡眠の質を向上させる323),432).僧帽弁逆流の減少やANPの低下も報告されている52).しかし,睡眠呼吸障害の改善への急性効果が得られないCPAP non-responderが約50%存在すると考えられている433). CSR-CSAを伴う心不全患者の予後に対するCPAPの効果を検証する多施設臨床試験,CANPAP(Canadian

Continuous Positive Airway Pressure Trial)326)が実施された.平均2年間の観察において,CPAP群では対照群に比較して,AHIの半減,夜間動脈血酸素飽和度の上昇,

血中ノルアドレナリン濃度の低下,LVEFの上昇,6分間歩行距離の短期的な改善が得られたが,死亡または心臓移植率は両群間で有意差を認めず,予後の改善は証明されなかった.そのため,CSR-CSAが優位な心不全患者に対してルーチンにCPAPで治療することは推奨できない.しかし,最近報告されたCANPAP試験の追加解析では,CPAP開始3か月後にAHIが15未満に改善した群は,しなかった群より有意に予後の改善が得られており,CPAP responderの予後は良好であることが示されている325).CPAPが他の治療法に比べて安価であることを考慮すると,CSR-CSA合併心不全患者にはまず試みてよい治療と考えられる. 一方,CPAP non-responderへの対策として,吸気と呼気を別々の陽圧に設定して換気を補助する2層性気道陽圧(bi-level PAP)がある.吸気陽圧による低呼吸時の換気補助や強制換気による無呼吸時のバックアップの機能により,その有効性が報告されているが434),435),逆にCSR-CSAを増悪させるという報告もある335).さらには患者の呼吸に同調して陽圧をかけ,患者の換気量により自動的に適正サポート圧を選択する順応性自動制御換気(adaptive servo-ventilation:ASV)による治療法が開発され,その有用性が期待されている331),336),339).CSR-

CSAを認める心不全患者に対して酸素吸入,CPAP,bi-

level PAP,ASVの一晩の急性効果を比較した報告では,ASVによるAHI,覚醒指数,睡眠構造の改善が最も大きかった331).ASVで1か月治療した報告では,AHIは有意に低下し,客観的眠気指数は有意な改善を認め,BNP,尿中カテコラミン排泄量も有意に低下している336).ASV群とCPAP群を無作為割付け6か月間追跡した結果,ASV はCPAPよりも高い忍容性がみられ,AHIをより低下させ,LVEFの改善,QOL指標の改善も有意に高いことが報告されている339).我が国でもCPAP,bi-level PAPでCSR-CSAの改善が不十分な症例へのASVの急性効果が確認され340),さらに最近,ある程度以上の割合でOSAも合併するCSR-CSA患者においてASVが心機能,運動耐容能,QOLを改善することが報告された337).心不全患者の多くにはOSAとCSR-

CSAが共存しているが,ASVは両者の割合にかかわらずAHIを確実に低下させうることから,その有用性が期待される. しかしながらCPAPは,十分にCSR-CSAが抑制された場合においては良好な予後をもたらすであろうことは示されたものの435),それ以外には,それぞれの陽圧呼吸療法による長期予後の改善を示す成績は現時点では得られていない.

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1017Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

③ 酸素療法

 酸素療法がCSR-CSAを減少させる機序は以下のとおりである.PaO2の上昇は,中枢のCO2感受性の亢進を軽減し,PaCO2のゆらぎの振幅を低下させる.またPaO2の上昇は換気努力を減少させ,分時換気量を低下させることで,正常呼吸時のPaCO2が上昇し,無呼吸閾値から乖離させる341).結果としてCSR-CSAは減少し,交感神経活動が抑制され,睡眠構築の改善が認められる. 夜間酸素療法は,短期間の検討において,慢性心不全患者のCSR-CSAの消失,交感神経活性の抑制,運動耐容能の改善,血漿BNP濃度の低下が報告されている436),437).我が国において慢性心不全患者に対する酸素療法の効果を検証した2つの多施設共同無作為対照試験の成績がある316),318).CSR-CSAを有するLVEF45%以下の慢性心不全患者(NYHA Ⅱ~Ⅲ度)を酸素投与(3L/

min)群と従来の薬物療法群に無作為に割り付け3か月間追跡した結果,酸素投与群ではAHIが減少し,身体活動指数で評価した自覚症状は有意に改善し,1年間の比較臨床試験においても確認された.医療経済的に費用/便益が良好であることも報告されている317).我が国では,酸素療法はNYHAⅢ度以上の慢性心不全患者で,睡眠中にチェーン・ストークス呼吸が認められ,AHIが20以上あることが睡眠ポリグラフィーで確認された患者に対して保険診療が認められている. 夜間酸素療法は,その簡便性から患者への負担が少なく,コンプライアンスも良好であるが,OSAが混在する場合,特に慢性肺疾患や高度肥満の例ではPaCO2が上昇し,CSR-CSAが減ってもOSAの持続時間が延長し,無呼吸における心負荷が増加する可能性がある.したがって,その流量の調節については慎重な判断と病態の理解が必要である.OSA主体の患者には適応しないのが原則である.

④ 心不全患者に合併する睡眠呼吸障害への対応の実際

 原則として心不全自体の治療の最適化をまず行う.その後に簡易モニターにより睡眠呼吸障害のスクリーニングを行い,OSAが疑われる場合にはCPAPを主体とするOSAの治療を行う.CSR-CSA が主体の場合は酸素療法やCPAP,bi-level PAP,ASVのそれぞれが選択肢となる(図30参照).陽圧呼吸治療を選択した場合,可能な限り治療下に睡眠ポリグラフ検査を行って適正圧を調整することが望ましく,設備のない場合は経験の多い施設に依頼するのもよい.心不全の急性期よりこれらの治療

を導入した場合には,心不全が改善した後に現行の治療の妥当性を再評価すべきである.いずれの治療も長期予後の改善効果は明らかではないため,患者の状態を注意深く観察しながら治療を継続する.

3 不整脈(表33)

1 疫 学 睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing:SDB)の約50%が不整脈を合併し438),439),無呼吸低呼吸指数(ap-

nea hypopnea index:AHI)が30以上の重症SDBでは,就寝中の不整脈の出現頻度が健常人の2~4倍とされている29).洞徐脈,洞停止,房室ブロックなどの徐脈性不整脈はSDBの約5~10%に合併し438),頻脈性不整脈に関しては心房細動が重症SDBの約5%に合併し,健常人の5倍のリスクであり,心室期外収縮は25%に合併し,健常人の約2倍,非持続性心室頻拍は約5%に合併し4倍のリスクであると報告されている29).

2 機 序 通常の睡眠においてnon-REM期に交感神経活動の低下や副交感神経活性の亢進による心拍数の低下,REM

期には末梢交感神経・副交感神経活動の亢進による心拍変動がみられ,器質的心疾患を伴わなくても洞徐脈,洞停止やWenchebach型房室ブロックなどの徐脈性不整脈が認められる440).SDBによる反復する無呼吸と呼吸再開,低酸素血症と覚醒反応は急激な自律神経緊張の変動を介して伝導障害を悪化させ,重症徐脈性不整脈を引き起こす.また,SDBは心筋虚血441)や心筋リモデリング397)を促進し,不整脈発生の基質を形成する.中途覚醒,低酸素血症,アシドーシスによる交感神経活動の亢進や自律神経のゆらぎは頻脈性不整脈の素因となり442),自動能の亢進や撃発活動を引き起こし,リエントリーの成立も促進する.さらに無呼吸に伴う胸腔内圧の陰圧化と

表33 不整脈患者における睡眠呼吸障害スクリーニングクラスⅠ なし

クラスⅡa◦夜間就寝中の不整脈に対する睡眠検査(エビデンスレベルB)

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

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transmural pressureは前負荷・後負荷を増大させ心筋の伸展を促進し,心筋の機械的伸展刺激に伴う電気的フィードバックを介した関与も考えられる443).再分極相に与える影響も示されており444),SDBは不整脈の発生においてその基質,誘因,修飾因子に影響し,不整脈発生に関与していると推測される.

3 徐脈性不整脈(表34)

 SDBの約5~10%に夜間の洞徐脈,洞停止,房室ブロックなどの徐脈性不整脈がみられる.徐脈は無呼吸開始から始まり,低酸素血症とともに増悪するが,覚醒反応と呼吸再開時の肺伸展受容器刺激により呼吸再開後,一過性頻脈となる.しかし,その後は再び副交感神経の影響が強くなるために頻脈が持続することはない.このようにSDB患者では睡眠中に無呼吸周期と連動した特

徴的な周期的心拍変動がみられ,SDBの診断にも有用とされている445). 徐脈性不整脈の合併はSDBの重症度と相関するとされており446),特に低酸素血症の関与が指摘されている.徐脈は無呼吸期の後半に出現し酸素飽和度72%以下で

表34 睡眠呼吸障害に伴う夜間無症候性徐脈に対する治療クラスⅠ◦CPAP療法(エビデンスレベルB)

クラスⅡa なし

クラスⅡb◦CPAP療法に忍容性がない場合のぺースメーカ植え込み

クラスⅢ なし

心不全症例

簡易計による SDBスクリーニング

OSA治療へ 経過観察

AHI<15 AHI≧15

忍容性良好 忍容性不良

CPAP療法継続 ASVまたは bi-levelPAPタイトレーション

夜間酸素療法の適応を満たす

夜間酸素療法

ACE阻害薬 /アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬β遮断薬利尿薬抗アルドステロン薬心臓再同期療法外科的治療 など

心不全治療の最適化

CSR-CSAが疑われる

PSG

OSAが疑われる

AHI<15 AHI≧15

忍容性良好 忍容性不良

ASV,bi-level PAP療法継続 OSA混在

AHI<15 AHI≧15

あり なし

CPAPタイトレーション*

図30 心不全に合併する睡眠呼吸障害治療アルゴリズム

注)陽圧治療や酸素療法ができない場合は薬物投与を考慮してもよい.*CPAPの導入にあたっては保険適用を考慮

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1019Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

認められ,20%以上のdesaturationで有意に増加することが報告されている438),447).また,無呼吸中に認められた徐脈が酸素投与下では認められなくなったことからも,徐脈に対する低酸素血症の関与が推測されている448).機序についての電気生理学的検討では,徐脈を合併したSDB症例において洞結節・房室結節機能の明らかな低下は認められなかったと報告されている449).アトロピン投与により徐脈が消失するとの報告もあり,副交感神経を介した機能的障害と考えられる450).このようにSDBに関連した徐脈性不整脈は低酸素血症と自律神経機能が大きく影響していると考えられるが,4%と軽度のdesaturationでも徐脈がみられ451),desaturation

とは独立してREM期に認められる症例も報告されている452).また,持続陽圧呼吸(continuous positive airway

pressure:CPAP)治療後も徐脈が残存する症例も存在することから453),夜間就寝中の徐脈はSDBとは独立したREM期における自律神経活動の影響が考えられている(REM sleep-related brady-arrhythmia syndrome)454). SDBによる夜間就寝中の無症候性徐脈は機能的徐脈であり14),SDB治療により80~90%の症例で改善,消失する438),455)-459).そのため,徐脈の原因として睡眠呼吸障害の関与が疑われる場合にはSAS治療を第一選択とするべきである(クラスⅠ,エビデンスレベルB).2008年のデバイス治療に関するACC/AHA/HRSのガイドラインでも,SDBに関連する無症候性徐脈へのペースメーカ植え込みはクラスⅢと明記されている460).また,症候性の徐脈に対してペースメーカが植え込まれた患者にSDBを合併する頻度は約60~70%と高率であるとの報告もあり461),夜間就寝中に徐脈を呈する症例に対しては潜在する睡眠呼吸障害について留意し,スクリーニングを行う必要がある.しかし,CPAP無効例や認容性やコンプライアンスが得られない場合には,個々の症例においてペースメーカ植え込みを考慮すべきである.

4 頻脈性不整脈

① 心房細動(表35)

 SDBの3%に心房細動の合併を認め438),重症SDB(AHI

≧30)では約5%で心房細動を合併し,対照群の0.9%に比して有意に多く,交絡因子補正後のオッズ比は4.02であった29).心不全症例においても中等度SDB(AHI

≧15)の22%に心房細動の合併がみられ,対照群の5%に比して有意に多く,オッズ比は5.34であり,横断研究からSDBと心房細動の強い関連性が示唆されてい

る23).前向き試験による検討では65歳未満の閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)群は心房細動の新規発症が多く(ハザード比2.18),肥満とdesatu-

rationは独立した危険因子であった462).また,除細動後の心房細動再発については,未治療OSAでは12か月後の再発率がCPAP治療群の2倍で,再発群では夜間のdesaturationが顕著であったことから,心房細動と低酸素血症との関連性も示唆されている463).さらに経皮的肺静脈隔離術後の心房細動再発についてもOSAの関与が指摘されている464),465).逆に心房細動は,高率にOSA

の合併を認め,OSAの独立した因子であり466),心不全患者における心房細動は中枢性睡眠時無呼吸症(central

sleep apnea:CSA)の独立した危険因子であることも報告されている22).概してSDBは心房細動の発症に関与しているとされ,心房細動自体もSDBに対する独立した因子であることから,SDBと心房細動は関連性のある疾患と考えられる. 機序についてはOSAによる低酸素,メカニカルストレス,炎症,自律神経障害や拡張障害が心筋に対して機能的・器質的な修飾を加え,左房の電気的リモデリング,線維化や拡大を促し心房細動を誘導すると考えられている.心房細動とSDBのそれぞれの危険因子は重複しているが,心房細動に対してOSAは年齢,性別,高血圧,虚血性心疾患,心不全や肥満などの危険因子とは独立していることが示されている.また,CSAは心房細動を高率に合併し467),心不全における心房細動はCSAの独立因子であることから,心房細動による心拍出量の低下,肺動脈楔入圧上昇などの血行動態増悪がCSAの誘因となっているものと推測される22),468). SDB治療による心房細動抑制効果については,就寝中の発作性心房細動8例に対し気管切開を施行し,3~6か月後に心房細動が消失した報告もある438).また,CPAP治療による心房細動除細動後1年間の再発率の検討では非CPAP治療群の82%に比し,CPAP治療群では42%と有意に少なく,洞調律維持に関する有用性が示

表35 睡眠呼吸障害を合併した心房細動に対する治療クラスⅠ◦心房細動のガイドラインに準拠した治療(エビデンスレベルC)

クラスⅡa◦洞調律維持を目的としたCPAP(エビデンスレベルC)

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

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されている463)(クラスⅡa,エビデンスレベルC).

② 心室性不整脈(表36)

 SDBにおける心室性不整脈は夜間就寝中に心室期外収縮(premature ventricular contraction:PVC)が20%,非持続性心室頻拍(non-sustained ventricular tachycar-

dia:nsVT)は3%に認められ438),重症SAS(AHI≧30)において対照群と比しPVCでは2倍,nsVTでは4倍のリスクであった29).収縮障害心不全においてもSDBと心室性不整脈との合併は多く認められている23),152). SDBの催不整脈性についての前向き研究はいくつかあり,MADITⅡ試験のサブ解析では,肥満が植込み型除細動器(implantable cardiac defibrillator:ICD)適切作動と突然死の複合エンドポイントに対する独立した危険因子であったため,肥満と強く関連するSDBが致死性不整脈の発生に寄与している可能性が示唆された469).収縮障害を合併した ICD植え込み後の患者でSDB群は非SDB群に比して ICD適切作動率が有意に高く,SDB

は ICD適切作動に関する独立した危険因子であった470).また,日内変動について非SDB群は午前中に作動が多いのに対して,SDB群では夜間に多く認められた470).心室性不整脈に関しては基礎心疾患や心不全の状態,薬物治療状況に影響され,SDBの関与が相対的に小さくなる可能性もあり否定的な報告もみられるが471),472),その発生頻度はSDBの重症度と相関し,酸素飽和度60%以下で多く473),desaturationやAHIとの相関も報告されている23),438),439).また,SDBを合併した心不全症例では心室性不整脈は日中より夜間に多く473),呼吸周期による検討では心室性不整脈の出現頻度は正常呼吸期より無呼吸期に有意に多い474)ことや,心室性不整脈発生のタイミングがOSAでは無呼吸時,CSAでは過呼吸時に認められる475)との報告からも心室性不整脈に対するSDB

の関与が強く示唆されている.また,SDBは心筋の再

分極相にも影響を与えることが指摘されており,SDB

の重症度とQT dispersionが正相関を示し444),SDB治療により改善するとの報告もあり476),SDBはVTの発生の閾値を低下させる1つの要因と考えられる.さらにSDBに対する治療により心室性不整脈の減少,消失が認められることからも両者の関連性は支持されている. SDB治療による心室性不整脈に対する抗不整脈効果に関しては,気管切開によりPVC/VTが減少・消失すると報告され438),うっ血性心不全に対する酸素療法においても,左室駆出率,BNPが高く,PVCやAHIが多い症例においてPVCの減少効果があると報告されている477)(クラスⅡa,エビデンスレベルC).CPAP治療に関しても心不全を合併したSDBに対するCPAP respond-

er群においてPVCの減少が報告されている326).少数例の無作為比較試験ではあるが,収縮障害を有するOSA

合併心不全に対するCPAP治療の効果の検討では,1か月後に尿中ノルエピネフリン濃度低下,左室駆出率の改善とともにPVCの58%減少を認めており,CPAP治療による交感神経抑制や reverse remodelingを介した抗不整脈効果が示されている429)(クラスⅡa,エビデンスレベルB).

4 脳卒中とSAS

1 脳卒中一次予防とOSA 横断研究と追跡研究に基づく最近のエビデンスでは,OSAが独立して脳卒中の発症リスクとなることが明確に示されている.低リスクの地域一般住民から,睡眠呼吸障害が疑われ睡眠ポリグラフ検査を受けた患者,さらに高リスクの脳卒中や冠動脈疾患患者に至るまで,多様な対象集団においてOSAが独立した脳卒中リスク因子であることが報告されている1).

① 地域住民

 心血管リスクが低い地域一般住民において,OSAが脳卒中リスクを増加させることが示されている. 横断研究で地域一般住民1,475名に,追跡研究で

1,189名に睡眠ポリグラフ検査を行い,4年後に再度,同一調査を行った研究では478),横断研究において,AHI≧20で定義した中等度~重症睡眠呼吸障害は睡眠呼吸障害非コントロール群(AHI<5)に比較して,他のリスク因子を補正後も,オッズ比が4.33(p=0.02)の脳卒中リスクとなった.追跡研究においても,AHI

≧20の睡眠時無呼吸では次の4年間の脳卒中リスクは

表36 睡眠呼吸障害を合併した心室性不整脈に対する治療クラスⅠ◦心室性不整脈のガイドラインに準拠した治療(エビデンスレベルC)

クラスⅡa◦心室期外収縮の抑制を目的としたCPAP(エビデンスレベルB)

◦心室期外収縮の抑制を目的とした酸素療法(エビデンスレベルC)

クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

オッズ比4.31(p=0.02)であった.しかし,補正後のオッズ比は3.08に低下し,有意ではなくなった(p=0.12). さらに,高齢者地域住民においてもOSAは脳卒中リスクとなっている.70~100歳の高齢者地域住民394名(平均年齢77.3歳)を6年間追跡した研究では,重症OSA(AHI≧30)が年齢,性別,喫煙,コレステロール,糖尿病,心房細動,さらに高血圧を補正しても,ハザード比2.52倍の虚血性脳卒中リスクとなった(p=0.04)479).

② 睡眠センター受診患者

 SASが疑われ睡眠センターで睡眠ポリグラフ検査を受けた患者においても,OSAが独立した脳卒中リスクであることが示されている. 10年間の追跡研究では,CPAP治療を受けていない重症OSA患者は,健常人に比較して,致死的および非致死的心血管イベント(心筋梗塞と脳卒中)のリスクが,他のリスク因子とは独立して約3倍高かった31).CPAP

治療によりこのリスクは減少している. 睡眠ポリグラフ検査を受けた連続症例697名を検討した追跡研究でも,軽症を含むAHI≧5で定義したOSA

群(平均AHI=35)は,AHI<5の非OSA群(平均AHI=2)に比較して,脳卒中ならびに死亡のリスクが2.24倍増加していた(p=0.004).年齢,性別,人種,喫煙,飲酒,BMI,糖尿病,脂質異常症,心房細動,さらに高血圧を補正しても,OSAはハザード比1.97の脳卒中・死亡リスクとして残った(p=0.01)26).

③ 心血管疾患を有する高リスク群

 さらに,冠動脈疾患や脳卒中の既往がある高リスク群においても,OSAが脳卒中再発を含む心血管イベントの発生,さらに生命予後不良の独立したリスクになることが示されている. 冠動脈造影を実施した冠動脈疾患患者392名に睡眠ポリグラフ検査を行ったところ,54%にAHI≧5のSAS

が検出された.10年間の追跡期間中に,全対象者の12%に脳卒中が発生した.年齢,性別,BMI,喫煙,糖尿病,高血圧,心房細動,左室機能,さらにこれまでの脳卒中や一過性脳虚血発作の既往を補正しても,睡眠呼吸障害はハザード比2.89の脳卒中の有意なリスク因子として残った(P=0.005).本研究では,コントロール群(AHI

<5)と比較して,軽症SAS(AHI=5~15)で2.44倍,中等度・重症SAS(AHI>15)で3.56倍の脳卒中リス

クとなっていた480).

2 脳卒中二次予防とOSAS

① 頻 度

 大半の研究は脳卒中生存者を対象としているために,脳卒中患者における睡眠呼吸障害の正確な頻度はわからない.しかし,これまでの研究では,脳卒中急性期には高頻度に睡眠呼吸障害がみられることが知られている.その頻度は中等度をAHI≧10とした場合,少なくとも50%以上あるという報告が大半である. 同一患者を対象に急性期と亜急性期に睡眠ポリグラフ検査を行った研究では,回復期において平均AHIが減少することが報告されていることから,特に急性期では脳卒中自体による呼吸中枢などに対する脳障害の結果として,OSAやCSAが引き起こされている可能性がある.また,この脳卒中急性期のAHI増加の要因には,臥位の影響も考えられる. また,一過性脳虚血発作患者とコントロール群で睡眠呼吸障害の頻度を比較した横断研究では,中等度以上(AHI>10)の睡眠呼吸障害頻度は62%と,コントロール群の12%と比較して,有意に高頻度であった28).本研究成績から,睡眠呼吸障害が脳卒中発作に先行する可能性が示唆されるが,後の研究では,OSAと一過性脳虚血発作には関連がなかったとする横断研究も発表されている481).

② OSASの予後への影響

 脳卒中患者においても,OSAの合併は身体機能低下,脳卒中再発を含む心血管イベント,さらに生命予後不良の独立したリスクになることが示されている. 脳卒中リハビリセンター入院した脳卒中患者151名のうち,発症23日目(平均)に睡眠ポリグラフ検査を実施した132名を10年間追跡した研究(死亡116名)では,AHI≧15で定義した睡眠時無呼吸は53名(40%)にみられ,その内訳はOSA 23名,CSA 28名,混合型2名であった.年齢,性別,BMI,喫煙,糖尿病,心房細動,高血圧,さらに認知機能(Mini-Mental State Examina-

tion score)や身体活動度(Barthel index)を補正しても,OSA群の死亡リスクは,コントロール群(AHI<15)と比較して1.76倍高かった(P=0.03).一方,CSAは死亡リスクとなっていなかった27). 脳卒中患者で睡眠呼吸障害を有する群では,有さない群に比較して同程度の脳卒中重症度であっても,身体機

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1022 Circulation Journal Vol. 74, Suppl. II, 2010

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

能が低く,リハビリセンターへの入院期間が長かった482).また,60名の脳卒中患者の発症6.5日目(平均)の急性期に睡眠ポリグラフ検査で行い,3~6か月後の身体機能予後を検討した追跡研究でも,30名にAHI≧15の中等度以上の睡眠呼吸障害がみられ,AHIの増加は,他の因子とは独立して3か月目のより早期のBarthel

Indexで評価した身体機能の低下と関連していた.しかし,6か月目の身体機能とは関連しておらず,脳卒中急性期にみられる睡眠呼吸障害は,脳卒中回復期の比較的早期の身体予後を規定するものと考えられる483).

3 OSASを合併した脳卒中患者の治療(表37)

 脳卒中発症の急性期から,睡眠呼吸障害と脳卒中には悪循環が成立している可能性がある.脳卒中患者では,急性期より睡眠呼吸障害を検出・治療することにより,この悪循環を断ち切り,脳虚血の進展を抑制できる可能性がある.さらに,慢性期の脳卒中の二次予防においても,睡眠呼吸障害とそれに関連したリスク因子の管理は,心血管リスクの減少と生命予後の改善において重要である. OSAを合併した脳卒中患者では,通常の脳卒中治療と心血管リスク管理に加えて,CPAP療法を行うことを原則とする(クラスⅡa,エビデンスレベルB).しかし,OSAと脳卒中患者の治療には,CPAP治療や血圧管理に対するネガティブ要因も多く,脳卒中リハビリテーションにも時間を要する.CPAP治療が行えない脳卒中患者では,極めて心血管リスクが高いことを念頭に,より徹底した心血管リスク因子の統合的管理を必要とする(クラスⅠa,エビデンスレベルC).

① CPAP療法

 OSAを合併した脳卒中患者において,CPAPにより脳卒中再発,心血管イベントの新規発症,さらに死亡のリスクが低下することが示されている.CPAP療法により,脳卒中後の身体機能予後や抑うつ状態の改善効果も期待できる. これまで脳卒中患者において,CPAP療法が心血管予

後や生命予後を改善することを明確に示した研究は,いずれも観察研究である.すなわち,CPAP療法に忍容性があり,長期にわたり継続できたコンプライアンス良好な睡眠呼吸障害患者においてのみ,予後の改善がみられている.一方,脳卒中急性期患者を対象に,CPAP療法の有用性を通常治療と比較した無作為比較試験においては,CPAP群において継続率が低く,明確な予後改善効果がみられていない.したがって,脳卒中治療におけるCPAP療法の問題点は,忍容性が低いことにある.脳卒中患者のCPAP療法のコンプライアンス不良の規定因子は,認知機能低下やせん妄,身体機能低下,さらに失語などが報告されている.1)観察研究のエビデンス 観察研究において,OSAを合併した脳卒中患者に対するCPAP療法は,心血管リスクと生命予後に明確な改善効果があることが示されている. 脳卒中発症2か月後に睡眠ポリグラフを行った95名を追跡した研究において,AHI≧20の中等度以上の睡眠時無呼吸患者(平均73歳)は51名(53.7%)にみられ,CPAP療法が1か月後に良好に導入できた群は15名であった.1か月後,CPAPが導入できなかった群の血管イベントの新規発症の発症頻度では36.1%と,CPAP導入ができた群の6.7%に比較して有意に高く,他の因子を補正後も,CPAPが導入できないことによるその後の心血管イベントのリスクは約5倍も高かった(オッズ比5.09)484). 脳卒中患者223名中166名(平均年齢73.3歳)に2か月後に睡眠ポリグラフ検査を行った研究では,平均AHI

は26で,AHI<10が31名,AHI10~19が39名,AHI

≧20が96名(58%)であった.AHI≧20の中等度以上のOSA患者にCPAPを導入し,5年間予後を追跡した.CPAPを導入できなかったAHI≧20のOSA患者68名の補正後の死亡リスクは,コントロール群(AHI<20)70名と比較して2.69倍,CPAPを継続した中等度以上のOSA群28名と比較して1.58倍となった.軽症OSA群(AHI10~19)とCPAP継続群の死亡リスクに差はなかった485).2)無作為比較試験のエビデンス 脳卒中急性期の患者を対象にCPAP療法の効果を検討した2つの無作為化比較試験では,CPAPの改善効果は限定的である. 脳卒中発症2~4週間後に脳卒中リハビリセンターへ入院した患者を対象とした研究では,AHI≧15の中等度以上のSAS患者を,CPAP治療群33名と保存的治療のコントロール群30名に割り付けた.認知機能と身体

表37 OSAを合併した脳卒中患者の治療・管理クラスⅠ◦脳卒中二次予防を目的としたCPAP(エビデンスレベルB)

クラスⅡa◦CPAPが行えない脳卒中患者における,より徹底した心血管リスク因子の統合的管理(エビデンスレベルC)

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

活動度の改善は2群間で差はなかったが,コントロール群に比較して,CPAP群では抑うつ状態は有意に改善した.CPAPのコンプライアンス不良は,せん妄と認知機能低下が関与していた486). 脳卒中発症14~19日後に71名に睡眠ポリグラフ検査を行った別の研究では,睡眠ポリグラフ検査が施行できた66名中,33名(50%)が重症OSA(AHI≧30)患者であった.15名を8週間のCPAP療法に,15名を保存的治療に無作為に割り付けたが,CPAP治療のコンプライアンスは極めて不良で,一晩平均1.4時間で,主要エンドポイントである身体機能の改善,神経学的所見,さらに眠気にも2群間で差がなかった.したがって,脳卒中の急性期患者では,CPAP治療のコンプライアンスが極めて悪いことが問題となる487).3)CPAPコンプライアンス さらに,脳卒中患者ではCPAP療法を導入できた患者においても,長期にわたる継続が難しい.急性期脳卒中患者152名(平均56歳)に発症平均3日目の急性期と6か月後の慢性期に睡眠ポリグラフ検査を行った研究では,CPAP治療をAHI≧15もしくは,AHI≧10かつEp-

worth眠気スコア(ESS)≧10のSAS患者に導入し,5年後の予後を検討している.急性期AHIは平均18で,AHI≧10は58%,AHI≧30の重症SASは17%にみられたが,AHIは6か月後には有意に減少した(p<0.001).初回AHIは年齢,糖尿病,脳卒中の夜間発症と関連しており,追跡期間中の死亡とも関連していた.CPAPは51%の患者で開始したが,長期に継続できたものは,わずか15%のみであった488). しかし,脳卒中リハビリに入院したOSAを合併した脳卒中患者105名を対象に,CPAP療法の効果と耐容性を前向きに検討した研究では,70.5%の患者が,自宅でもCPAPの継続が可能であった.CPAP療法の耐容性不良の規定因子は,身体機能の低下と失語の存在であった.CPAP治療開始後には,視覚アナログスケールで評価した幸福度が有意に改善した.CPAP適応群においては夜間血圧が有意に低下した.したがって,脳卒中患者においても,コンプライアンスを上げる努力によりCPAP療法が適応でき,予後の改善につながる可能性がある489).

② 心血管リスク因子の徹底管理

 OSAを合併した脳卒中患者では,心血管ハイリスク群と考え,CPAP治療のコンプライアンスいかんにかかわらず,徹底した心血管リスク因子の統合的治療・管理を行う(クラスⅡa,エビデンスレベルC).

1)血圧管理 脳卒中二次予防においても,血圧管理が重要である.日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」が推奨する脳卒中患者の血圧管理レベルは,診察室血圧で140/90mmHg未満である382).しかし,脳卒中二次予防に対する降圧治療の効果を検討したPROGRESS試験では,130/80mmHg未満でより有効な脳卒中予後の改善がみられていることから490),内頸動脈や脳主幹動脈に狭窄・閉塞病変があるアテローム血栓性脳梗塞などを除いて,脳出血やラクナ梗塞では,140/90mmHg未満よりもさらに低レベルの厳格な降圧が望ましい382).使用する降圧薬は,アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬などのレニン・アンジオテンシン抑制薬,カルシウム拮抗薬,利尿薬を組み合わせる382). さらに,OSAを合併した脳卒中患者の特徴として,治療抵抗性高血圧が多く,特に夜間高血圧が見過ごされていることがある364).OSAならびに脳卒中自体により,夜間優位の中枢性交感神経の亢進が生じ,non-dipper・riser型夜間高血圧を生じることが多い.さらに,脳卒中患者では身体機能が低下し,昼間の血圧上昇が減少しており,診察室血圧や家庭血圧が正常でも,夜間血圧が高値である仮面夜間高血圧を見過ごされることがある.仮面高血圧のリスクは持続性高血圧と同程度に高い382),491),492).したがって,OSAを合併した脳卒中患者では,ハイルスク高血圧患者と同様に389),ABPMによる夜間血圧の評価と,夜間血圧120/70mmHg未満へのコントロールを含めた24時間血圧管理が望ましい.2)他のリスク管理 さらに,脳卒中患者では脂質異常症に対するスタチン療法,糖代謝異常に対するチアゾリジン系薬剤などによる糖代謝改善を行い,虚血性脳卒中では抗血小板療法を加える.さらに,心房細動の合併例では抗凝固療法を加え,徹底した統合的心血管リスク管理を行う.OSAを合併した脳卒中患者では,これらの治療管理をより徹底させ,さらに血圧変動性が大きいことを考慮して,抗血小板・抗凝固療法は十分な24時間血圧管理下に行うことが推奨される.

5 虚血性心疾患

1 冠動脈疾患と睡眠呼吸障害 冠動脈疾患は高率に睡眠呼吸障害が合併していることが知られている.冠動脈疾患を有しない症例より,2倍

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

以上に冠動脈疾患を有している症例に睡眠呼吸障害の頻度は高いとしている11),30),493),494).狭心症などの慢性虚血性心疾患における睡眠時無呼吸症候群を有する合併頻度はこれまでの報告では約35~40%程度であり,国内外の報告でいずれも,ほぼ同等であった71),72),74).急性冠症候群における睡眠呼吸障害の合併の頻度は,これまで報告されてきている安定型狭心症の睡眠呼吸障害の頻度に比較して著しく高い.SASと急性冠症候群の関連については,これまで多くの報告はないが,不安定狭心症や急性心筋梗塞など急性冠症候群では,安定型狭心症などと比較するとさらにSASが高率に合併すると報告されるようになった.Tsukamotoらは,心筋梗塞急性期に一時的にSASが悪化するとしている77).急性心筋梗塞発症3~5日目に施行したPSG検査では慢性期のそれと対比すると,閉塞性無呼吸も中枢性無呼吸も同程度に一過性の悪化を認めている.このことより急性冠疾患については発症後に,いつの時期で検査をしたかによって頻度が変わってくる可能性がある.Moruzziらは,慢性冠動脈疾患に比較して不安定狭心症や急性心筋梗塞などの急性冠症候群では,睡眠呼吸障害が増加すると報告している74).AHIが10回 /hrの頻度は,急性心筋梗塞では慢性虚血性心疾患に比較して約2倍の22%,不安定狭心症は約3倍の36%であったとしている.さらに,これらの疾患においては中枢型無呼吸が優位な症例が,閉塞型無呼吸が優位な症例より多かった.急性冠動脈疾患患者において発症早期に重症化し,中枢性無呼吸が優位になるかについての機序は,十分な検討が行われていない.発症直後の一時的な交感神経緊張や心機能低下などがSAS発症に関与していると考えられている63),67).この無呼吸が急性冠症候群発症前より存在したかについては,これまで報告がないので今後の検討が必要である.Yuminoらは睡眠時無呼吸の存在がPCI(経皮的冠動脈形成術)の治療効果に影響を及ぼすとしている.このように近年は睡眠呼吸障害の存在は,冠動脈イベントの発生率だけではなく,冠動脈治療成績にも影響する可能性が考えられている12).

2 急性冠症候群と睡眠呼吸障害 最近の研究ではOSAの突然死発症時間が夜中の10時pmから6時amに多いとされている495).また,急性冠症候群(ACS)の発症時間などにもかかわっているとの報告もあり,突然死と同様の時間帯に起きていることが知られている.このように閉塞性睡眠時無呼吸症候群は突然死,様々な心疾患や脳卒中などの発症時間に関与している可能性がある488),496),497).

 急性心筋梗塞の発症時間と睡眠時無呼吸症候群との関連をみた報告によると,睡眠時無呼吸症候群を有する急性心筋梗塞症例は発症時間が朝方の6~12時の時間帯に多いとされている498).このことは睡眠時無呼吸症候群を有する症例が,起床後の数時間は交感神経活性が著しく高くなって急性冠症候群の発症を誘導した可能性がある. 睡眠時無呼吸症候群を有する冠動脈疾患患者における虚血発作の機序については,いくつか考えられる.まず,SASは多血症を合併することが少なくなく,その発生要因には2つが考えられている.1つは,無呼吸に伴う胸腔内圧が著しく低下し,右房および右室の容量負荷が増強し,心房性利尿ペプチド(ANP)分泌が亢進することによる循環血液量の低下と,もう1つは夜間低酸素血症に伴うエリスロポイエチン産生亢進が要因と考えられる58),499).多血症は血栓形成を起こしやすくし,急性冠症候群に認められる血栓形成の一因を担っている可能性がある.その他,夜間の血小板凝集能亢進や凝固系亢進なども血栓の形成の一翼を担っていると考えられる69),500).また高血圧,高脂血症,肥満などは動脈硬化や血管内皮障害の原因であり,さらに夜間の無呼吸に伴う低酸素血症や交感神経活性亢進が,冠動脈の動脈硬化プラークの不安定性を引き起こした可能性がある501),502).

3 夜間狭心症と睡眠時無呼吸症候群 また夜間睡眠中の狭心症発作とHolter心電図におけるST低下に関連があるとの報告もある.また,このST低下の変化はCPAP治療によって改善することも報告されている503),504).冠動脈疾患の診断が立証された症例においての検討は比較的少なく441),特にCPAPによって夜間の虚血が改善するかについては,非常に検討が少ないため今後,大規模な検討が必要である. これまで虚血性ST変化と睡眠時無呼吸症候群の重症度指標AHIに関しては,関連があるかどうかについては議論が分かれるところである.しかし,無呼吸に伴う著明な低酸素血症が著しい冠動脈疾患症例では,夜間に狭心症発作を発現し,Holter心電図での夜間ST下降が認められる505).特に多枝病変の虚血性心疾患患者では,無呼吸に伴う著明な低酸素血症とともに無呼吸に関連する心拍数や血圧上昇に起因する虚血発作が誘発されると考えられている. しかしながらHolter心電図検査で認められた夜間虚血性ST下降の程度と睡眠呼吸障害の程度には相関がなかったなどの報告も少なくなく,一定の見解は得られてい

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

ない506).睡眠ステージでは特にREM睡眠時にはSASは増悪し,自律神経の不安定化も加わり,冠動脈攣縮や血栓形成などがその時間帯に生じ,急性冠症候群が発症につながる可能性がある. しかしながら,冠攣縮性狭心症と睡眠時無呼吸症候群に関する一定の見解は現状ではなく,発生機序に関しても不明な点が多い.今後はこの機序に関してのさらなる研究が待たれる.

4 冠動脈リスク 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)の背景にはメタボリックシンドロームや肥満などが多く合併する.そのため,睡眠時無呼吸症候群では高血圧,高脂血症,糖尿病を有する症例が多い.睡眠時無呼吸症候群には高血圧が約15~50%程度が合併するとされている8),507).Wisconsin Sleep Heart Studyでは,肥満などの因子とは独立してSASが重症になると高血圧合併の比率が高くなるとしている508). 特にSASは肥満,高中性脂肪血症,インスリン抵抗性などの病態と深くかかわっていると考えられる87),197),509).また,これらの病態は虚血性心疾患の発症とも強くかかわっている.SASがあることより,インスリン抵抗性をSAS自体が悪化させることは報告されている71),72),74),510)-512).Punjabiらは中年男性のSASを有する患者を対象にしたところ,インスリン抵抗性は体重とは独立して関連していると報告している74).非肥満患者におけるグルコースクランプ法を用いた検討においても,同様の結果が得られている73).またSAS治療によりインスリン抵抗性が改善したという報告もある73),77).しかし臨床的には,CPAP治療は糖尿病コントロールに影響しないとの報告もみられる513).インスリン抵抗性は改善するが,実際の臨床的には糖尿病を改善するかについては今後さらなる大規模な研究の結果を待つ必要がある. また,SASの発症には肥満が関与していることもよく知られている21),366).高コレステロール血症,高トリグリセリド血症,耐糖能異常,高血圧などの冠危険因子は,SAS重症度と独立した因子として相関があるとされている70),365),514).これらのことより,SASの存在が冠危険因子を悪化させ,動脈硬化自体を進行させる可能性がある.

5 睡眠時無呼吸症候群と動脈硬化 動脈硬化のマーカーである内頸動脈の intima-media

thickness(IMT)は,重症なSASであるほど有意に厚い

という報告がある515).また,血管内皮機能がSAS患者では障害されていることや,可溶性接着因子(sI-

CAM-1),血管内皮増殖因子(VEGF)などの動脈硬化進展因子がSAS患者の血中で高値を示すことなどが報告されている86),516).一方,これらの異常が持続的陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)によるSASへの治療介入により改善することも研究報告されている71),87).つまりSASは高血圧や糖尿病とは独立して動脈硬化の発症,進展に関与し,同時に冠危険因子である高血圧,糖尿病,高脂血症などの病態も悪化させていると考えられる. 動脈硬化を進行させる因子として,いくつの機序がこれまでに考えられている.閉塞性無呼吸では,間欠的低酸素血症と二酸化炭素蓄積を引き起こすことにより睡眠中の正常な自律神経や血行動態に影響を及ぼし,この反応が一晩中繰り返し起こることにより,末梢血管の収縮などに関与していると考えられている517),518).また,無呼吸が起こると血圧が著しく上昇することにより,交感神経活性亢進,血管攣縮,炎症,酸化ストレス,内皮機能障害,インスリン抵抗性,血栓形成などが複雑に絡み合って動脈硬化が進行するとされている58),106),519),520). 実際に睡眠時無呼吸症候群が冠動脈自体にどのように影響しているかについての検討はあまり多くはない.低酸素血症,血圧上昇,交感神経緊張,炎症,酸化ストレス,インスリン抵抗性,胸腔内圧上昇による心筋への負担増大など,すべての要因が冠動脈硬化に対して悪影響を及ぼす可能性がある.冠動脈を有しない症例に対してCT検査で冠動脈の動脈硬化を確認した研究がある.PSG検査から3年以内に施行された冠動脈CT検査の結果では,冠動脈の石灰化スコアーはAHIの悪化に伴い増加し,多変量解析においてもAHIは有意な指標であった521).しかし冠動脈硬化がどのように進展していき,本当に睡眠時無呼吸症候群が独立して冠動脈硬化を引き起こすかについては今後さらなる検討が必要である.

6 健常者の睡眠呼吸障害に対する治療の冠動脈イベントに与える影響について

 心疾患を有しないSASに対しての無呼吸治療は,心血管イベントを減少させることが知られている31),522).Marinらは重症のOSAS患者は正常群に比較して致死的な心血管イベントが2.87倍,非致死的な心血管イベントが3.17倍高いことを報告している.しかしながらCPAPで治療介入することにより,正常またはいびき群とほぼ同レベルまで改善した31).Dohertyらは,CPAP

が使用できたOSAS患者は使用できなかった患者に比較

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

して,有意に心血管イベントは少なかったとしている522).Vealeらは2000年にCPAP加療5,669名の患者の調査を行ったところ,死亡率はフランスの一般人とほぼ同等の予後であったと報告している523).最近の報告では閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する患者は,有しない患者に比較して冠動脈による若年死亡の家族歴の頻度が有意に高いなどの報告もある524).しかしながら,いまだCPAPの治療効果に関するランダマイズ研究がないことより,今後さらなる報告が待たれるところである.

7 虚血性心疾患を有する患者の睡眠呼吸障害に対する治療(表38)

 近年になって,冠動脈疾患患者への睡眠呼吸障害に対する治療が,冠動脈疾患の予後を変化させるかについて注目されている.冠動脈疾患患者が睡眠呼吸障害を有していることは,死亡,心筋梗塞,脳血管障害などの心血管イベントの発生につながるとされている525).Mooeらは5年間のフォローアップ期間にて,睡眠呼吸障害を有する群は男性で28%のイベントであったのに対して,有しなかった群は16%であったと報告している.それに対して女性の患者では,睡眠呼吸障害を有した群が20%であったのに対して,有しなかった群は14%であったとしている.しかし予後を検出する独立した因子としては,AHIは有意ではなかった. Milleronらは冠動脈疾患を合併するSAS患者に対してSAS治療に関する報告をしている526).54名の冠動脈疾患を合併するSAS患者に対して,無呼吸の治療施行群25名(21名はCPAP)と治療拒否群29名の遠隔期イベントについての検討している.60か月のフォローでSAS治療群のイベント発生率(心血管死亡,急性冠症候群,心不全による入院,冠血管血行再建術)は58%から24%に低下したと報告している. Cassarらも,OSASを有する冠動脈カテーテル治療後の371名の虚血性心疾患患者においては,OSAS治療施行群で心血管イベントが少なかったと報告している527).

 また,急性心筋梗塞患者がSASを有していると,回復期に心機能の改善の程度が障害されるなどの報告もある.NakashimaらはAHIが高く重症なOSAS患者では,PCI施行後に退院時(平均21日目)の左室機能の改善に差を認めたとしている528). 循環器疾患領域では,この数年はSAS治療などの非薬物療法が注目されるようになっている.虚血性心疾患に対する運動療法に始まり,植込み型除細動器(ICD),両心室ペーシング,左室容量縮小術(Dor手術,Save手術など)と並んで,SAS治療は注目されるようになっている.今後,冠動脈疾患患者の背景に潜んでいる睡眠時無呼吸症候群を確実に診断していくこと,およびSAS

治療による心血管イベントの二次予防効果の有用性が広く認識されることが望まれる.

6 睡眠時無呼吸と大動脈疾患(表39,40)

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では,睡眠時に咽頭腔の閉塞による気流の途絶,低酸素血症,交感神経系の亢進,そして吸気努力による胸腔内圧の強度陰圧化が周期的に生じる.OSAに伴う交感神経系の亢進により,睡眠時の血圧は周期的に上昇を繰り返しており,このような夜間高血圧は大動脈拡張,大動脈解離などの大動脈疾患の主要リスク因子に該当する.OSAにおける吸気努

表38 虚血性心疾患に合併する睡眠呼吸障害の治療クラスⅠ◦虚血性心疾患患者に合併するOSAに対するCPAP(エビデンスレベルB)

クラスⅡa なし

クラスⅡb◦夜間虚血発作を有するOSA患者におけるCPAP(エビデンスレベルC)

◦OSA患者に対する動脈硬化進展の抑制を目的としたCPAP(エビデンスレベルC)

表39 大動脈疾患における睡眠呼吸障害のスクリーニングクラスⅠ なし

クラスⅡa◦大動脈解離例に対するOSAスクリーニングのための

SAS簡易検査(エビデンスレベルC)◦Marfan症候群におけるOSAスクリーニングのための

SAS簡易検査(エビデンスレベルC)クラスⅡb なし

クラスⅢ なし

表40 大動脈疾患に伴う睡眠呼吸障害の治療クラスⅠ なし

クラスⅡa なし

クラスⅡb◦Marfan症候群でOSA合併例に対する大動脈拡大予防を目的としたCPAP (エビデンスレベルC)

クラスⅢ なし

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

力による胸腔内圧の強度陰圧化は-60~-80cmH2Oに及び529),530),胸腔内臓器に作用し,心機能(心室壁応力増大),胃食道機能(胃食道逆流症),大動脈血管壁ストレス(特に大動脈血管壁圧勾配の増大)に大きな影響を及ぼすことが考えられる531),532).

1 胸部大動脈疾患と睡眠時無呼吸 胸部大動脈解離の症例でAHIの頻度が高いことが報告されている.年齢,性,体格をマッチングさせた高血圧症例と比較分析した前向き比較観察研究であり,BMI

や頸周囲径には有意差を認めないが,胸部大動脈解離症例ではAHIの頻度が有意に高く(28.0対11.1),OSAが重症であることが示されている13).OSAに伴う交感神経系の亢進により周期性の夜間高血圧が発症していること,胸腔内圧の強度陰圧化(-60cmH2O)が大動脈血管壁ストレス(特に上行大動脈における血管壁圧勾配の増大)に大きな影響を及ぼすことが考えられる529),530).さらに,我が国から,OSAと胸部大動脈拡張の関係について分析した成績が報告されており,OSAを有する群はしからざる群に比べてCTの平均上行大動脈径が5.3mmも大きい(36.8mm対31.5mm)ことが明らかにされている532).従来より挙げられている高血圧,糖尿病,喫煙などの危険因子に加え,OSAの大動脈疾患への関与とその治療について,今後の検討が期待される.

2 Marfan症候群と睡眠時無呼吸 Marfan症候群では,頭蓋・顔面骨格の異常により咽頭腔の虚脱(閉塞)が起きやすいことが報告されており534),535),観察研究によりOSAとしてAHI>5の頻度は32.8~64%の報告がある536),537).さらに,AHIの頻度は心エコーの大動脈径に正相関すること,OSAを有する群ではしからざる群に比べて大動脈径は平均0.8cm

の差異(4.5cm対3.7cm)があることなどの報告があり,Marfan症候群ではフィブリリン遺伝子変異による結合織脆弱性に加えて,OSAが大動脈解離進展のリスク因子として重要であると考えられる534)-537). さらに,OSAを合併するMarfan症候群に対してCPAP治療を導入することにより,大動脈径の増大が減弱するという症例報告もあり534),535),今後,治療面からの検討が期待される535).

7 肺高血圧

1 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)における肺高血圧症の合併頻度

 睡眠呼吸障害のうち,OSA と睡眠時低換気症候群(sleep hypoventilation syndrome:SHVS)では肺高血圧を合併することが報告されている32),538)-542).しかし,肺高血圧症の有病率を評価する場合には,次の点で慎重かつ注意が必要である.すなわち,対象例に慢性肺疾患の合併がなく,高度肥満がみられず,肺高血圧の診断法が右心カテーテル法で行われていることである. 実際に上記を裏付ける報告がある.OSA患者が慢性肺疾患を合併する場合には,肺高血圧の合併率は極めて高くなり,臨床上の肺性心は75%の患者に認められるとの報告もある543).また,高度肥満例では肺高血圧の合併率は極めて高くなる.これに関してLaksらの著しい肥満例での報告では,肺高血圧症の有病率が高いとしている540).この報告で肥満が肺胞性低換気の発生原因であって,これにより肺動脈圧の上昇を来たしたものと考えられ,肥満の影響が挙げられる.さらに肺高血圧の診断法に関して,肺動脈圧の測定は心カテーテル検査によることが必要とされる.なぜならば,超音波ドプラ検査での肺動脈血流速波形あるいは三尖弁逆流波形から肺動脈圧を評価する方法では正確性に乏しいからである. OSAでは,睡眠時無呼吸に伴う低酸素状態に対応した一過性の肺動脈圧上昇を認めるが,その肺動脈圧はREM(rapid eye movement)期に最大となる541).昼間覚醒時にも持続する肺高血圧の合併率は10~79%であるが,慢性肺疾患を除いた場合には,昼間の肺高血圧の合併率は10~41%である32),538)-540),542).Chaouatら4)は,OSAにおける肺高血圧の合併は220例中37例(17%) と20%以下であり,肺高血圧の合併例は合併しない例に比べて肺活量(VC)や1秒量(FEV1.0)が有意に低下し,動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)が有意に上昇すると報告している. OSAにおける持続性の肺高血圧は,睡眠中の高度な低酸素血症によって生じうるが,それよりも昼間の低酸素血症が原因である可能性が大きい539).肺胞低換気に起因する肺胞性低酸素は,低酸素性肺血管攣 縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction) を 生 じ,OSAにおける肺高血圧の発生にも大きな影響を及ぼす.

2 肺高血圧症の想定される機序 OSA患者で肺高血圧を伴う場合,それが日中覚醒時

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

にみられるか,みられないかが重要となる. 夜間の肺動脈圧上昇は無呼吸に伴う低酸素血症,胸腔内圧の変動,心拍出量の低下,交感神経の活性化などが複合的に関与して発生する(図31).そして肺動脈収縮期圧はある時点で100mmHgにも上昇し,これは低酸素血症以外の要素が複雑かつ同時に作用して肺動脈圧を上昇させるためである. OSAでの肺高血圧症合併の主要メカニズムとして最も重要なものは,低酸素血症である.低酸素血症が肺動脈圧を上昇することは証明されている544),545).しかし,OSAが持続性肺高血圧症の主因であるかどうかについては見解の一致をみていない.これを裏付ける直接的なエビデンスは,CPAPでOSAを治療すると,日中覚醒時の肺動脈圧が低下するということである546)(エビデンスレベルB).合併する肺高血圧症は,肺毛細血管楔入圧上昇を伴わない前毛細血管型が基本である.肺高血圧症は一般に軽度であり,安静時には心拍出量と肺毛細血管楔入圧は正常であって,肺血管抵抗の上昇が原因とされる32).これに関してChaouatらは肺高血圧症患者37例を対象として,肺毛細血管楔入圧は13mmHgを超えることはなく,心拍出量は正常であり,また肺動脈圧の上昇は肺血管抵抗の上昇に起因すると報告している32). OSAでみられる肺高血圧症は運動中に悪化するが,これは肺毛細血管楔入圧の上昇が関与する32),547)からである.すなわち,運動時の左室機能不全がある程度関係していることになる.左室機能不全は重度の肥満患者で

認められることが多く548),肥満のOSA患者の多くで運動時に発症する可能性がある.

〈日中覚醒時に低酸素血症を伴わない場合〉 昼間に低酸素血症を認めない場合,閉塞性無呼吸のみが一定した肺高血圧を引き起こすかは証明されていない. 反復する無呼吸による一過性の肺高血圧が永続的になると示唆されている549).睡眠時の肺高血圧は立証されており550)-552),一過性(かつ反復性)の肺動脈圧の上昇は低酸素血症が原因であって553)- 555),これにより肺細小動脈の収縮が誘発されるためである.動物実験556)-558)では,断続的な低酸素症(4~8時間 /日)では肺毛細血管が低酸素性攣縮するという現象が起こり,永続的肺高血圧と右室肥大を誘発することが証明されている.これらのデータをヒトに当てはめることができるとすれば,OSA患者の睡眠関連低酸素血症が昼間の肺高血圧の発症の原因となる可能性がある. 低酸素血症患者や低酸素血症・高炭酸ガス血症患者では,肺高血圧を合併する32),540),559)-561)(エビデンスレベルA).しかしながら,これらの対象例でのOSAの重症度と肺高血圧発症との間に有意な関連性を見出せてはいない32),540),559),560). Bradleyら559)は,肺性心患者6例の動脈血ガス値(低酸素血症ないしは高炭酸ガス血症)は他の患者と著しく異なっていたが,睡眠データは肺性心患者と非肺性心患者で差は認めなかった.また,OSA患者の重症度指標

腹腔内圧低下 肺血管床伸展 右室負荷増大肺血管床内血液貯留

肺血管抵抗上昇

肺高血圧

左室充満圧上昇

交感神経系を介した反応

左心負荷増大に伴う代償反応

低酸素による右心後負荷上昇

静脈還流量の増加による右心前負荷の上昇

末梢血管抵抗上昇 体高血圧

RAA系亢進

副腎髄質交感神経系亢進

無呼吸直後の覚醒

低酸素血症高炭酸ガス血症

血管リモデリング(血管内皮機能障害)・血管収縮・炎症(サイトカイン)・酸化ストレス

肺血管攣縮

閉塞性無呼吸

図31 閉塞性無呼吸と肺高血圧との関連

OSA患者においては,低酸素血症,胸腔内圧の変動,交換神経活性化などの様々な要因が関連して,肺動脈圧上昇を生じている.

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

である睡眠時間1時間当たりに出現する無呼吸の回数である無呼吸指数(AI),睡眠時間1時間当たりに出現する無呼吸と低呼吸の和である無呼吸・低呼吸指数(AHI)および総無呼吸時間は,右心不全を伴う患者と伴わない患者とで差は認めなかったことを報告している. 同様のことは,Weitzenblumら560)によっても報告されている.彼らは肺高血圧合併OSA患者9例と非合併OSA患者37例とを比較し,肺高血圧患者は低酸素血症を有し,軽度の高炭酸ガス血症を示したが,非肺高血圧患者の動脈血ガス値は正常あるいはほぼ正常であった.AIおよびAHIは両群で等しく,無呼吸の時間も等しかった.これらの結果は多数の対象,すなわち肺高血圧を伴う患者37例を肺高血圧を伴わない患者183例と比較した報告32)でも同様で,肺高血圧患者の動脈血酸素分圧(PaO2)は有意に低く,かつ炭酸ガス分圧(PaCO2)は有意に高く,他方,睡眠パラメータには差はみられなかった.そして肺動脈圧は日中の動脈血ガス値に最もよく影響を受けることが示されている. 現在まで,昼間に低酸素血症を発症していない場合に肺高血圧が発症する可能性があるという確固たる証左は得られていない.昼間低酸素血症を発症している場合は,低酸素血症は平均PaO2は60~70mmHg 32),540),553),561)と軽度であることが多い.もし,著明な夜間低酸素血症と軽度~中等度の昼間の低酸素血症が併存する場合には,肺高血圧が発症する可能性がある. 肺胞性低酸素症が肺高血圧を引き起こす機序は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)での機序と類似しており562),肺の血管収縮と肺血管床の「リモデリング」が関与する.Sajkovら563)は,睡眠時に肺動脈圧の上昇を繰り返すOSA患者は,時間が経過するにつれて肺血管リモデリングを発症する可能性があると推測している.一方,Laksら564)は,一部のOSA患者は低酸素症および高炭酸ガス血症に対する肺血管反応性の亢進を認め,長期治療でこれは正常に戻ることを認めている.

3 肺高血圧合併OSAの予後への影響 現在のところ,この場合の予後に関して調査した確固たる報告はない.しかしながら,肺高血圧症を合併したCOPD患者の予後が不良であるように,OSA患者においても,肺高血圧は予後不良因子になることは容易に推測される. 次いでOSAに合併した肺高血圧に対する治療効果の検討もいまだ十分に行われてはいない.気管切開術後には,無呼吸の正常化に伴い肺高血圧が改善することが報告されている565).しかし,鼻マスク持続陽圧呼吸(nasal

CPAP)療法 が肺高血圧の合併に及ぼす影響については,長期的な検討でもnasal CPAP治療後に肺動脈圧は不変あるいは上昇傾向を示すことが指摘されている566),567).これは,nasal CPAPの効果として上気道閉塞の開放後も陽圧が肺まで加わり続けて肺血管抵抗が有意に増加するためと考えられている.一方,鼻マスク二相式気道陽圧(nasal bi-level PAP)治療ではこの影響が少なく,肺高血圧を改善するという報告がある568)(エビデンスレベルC).

4 治療の効果 OSA患者での肺高血圧症は軽度~中等度であることが極めて多いが,このような場合には肺高血圧症に対して特別な治療は不要である.一方,OSA患者が肺高血圧症を発症した場合は予後が悪化するため,適切な治療が必要である.OSA患者の肺動脈圧が高いときにCPAP

治療を実施すると,肺動脈圧が低下したことが報告されている543),546),569). Fletcherら543)は,気管切開術を行った慢性肺疾患を伴うOSA患者を1年間または2年間追跡調査したところ,肺動脈圧が36±11mmHgから25±8mmHgに低下した(p=0.056)ことを報告している.しかし,これらはわずか6例の患者から得た結果である.OSAのみの患者(5例)では肺動脈圧は低下しなかったが,肺血管抵抗は低下した(p<0.005). 現在,長期に行ったCPAP療法がOSA患者の「第一選択」の治療法である(クラスⅠ).しかし,この治療法が肺高血圧症患者の血行動態に良い影響を与えるかについての検討を行った報告は極めて少ない.Sforza

ら564)はCPAP療法を1年間以上受けた[平均554±28(±SEM)日間]患者54例の追跡調査を行ったところ,肺動脈圧は変化をみなかった.他方,運動時の肺動脈圧は,30±1mmHgから33±2mmHgへと,わずかだが有意な上昇がみられた(p<0.05).これらの結果はその後の研究でも確認されている571).この研究では,OSA患者48例に対するCPAPの長期(5年間)にわたる影響を調査しているが,発症時に肺高血圧を伴う患者の数(4例)が極めて少数であり,肺高血圧の評価はできなかった.しかし,両研究とも,発症時に著明な低酸素血症を有している患者のPaO2は有意に改善したことを報告している.すなわち,PaO2が長期のCPAP治療により改善・上昇すれば,長期酸素療法を受けているCOPD患者で認められたものと同程度の肺高血圧の改善,または少なくとも安定化が期待できる(クラスⅡa,エビデンスレベルB).近年報告された12週間にわたる無作為化クロス

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009 年度合同研究班報告)

オーバー試験で,OSA患者23例を対象に,CPAPと擬似CPAPにより比較検討されている.これによれば,CPAPによって肺動脈収縮期圧の心エコー測定値が低下を示した571).肺動脈圧は,ベースラインで肺高血圧や左室拡張機能障害のある患者で特に低下した.今後,肺高血圧および右心機能に対するCPAPの持続性効果を明確にするほか,肺高血圧治の療選択枝の1つとしてCPAP療法の役割を立証するため,大規模な無作為試験を実施する必要がある. CPAP療法が,大半のOSA患者の無呼吸の抑制および低酸素血症の改善に効果的ではあるが,しかしながらCOPDや肥満低換気症候群を合併する一部の患者には当てはまらない可能性もあることを強調する必要がある.すなわち,これらの患者の無呼吸はCPAP療法によって解消されるが,ある程度の低酸素血症は,特にレム睡眠時には持続する可能性がある.その結果,睡眠時に補助的に酸素を投与(1.5~3L/min)するか,nasal bi-evel

PAP治療など,他の夜間補助換気法に変える必要がある(クラスⅡb,エビデンスレベルC).極めて重症のCOPD とOSAが合併した「オーバーラップ症候群」患者および一部の肥満・低換気患者では,無呼吸の夜間治療を行っても昼間の著明な低酸素血症が持続する可能性がある.これらの患者は,CPAP療法またはbi-level PAP

に加えて,従来の酸素療法(18時間 /日以上)が必要となる.

8 腎不全

1 頻 度 日中傾眠は腎不全患者の多数で認められる症状であり,尿毒症自体の症状である場合や,不眠による症状である場合が想定されるが,SASの合併も多いことが知られている.透析患者を対象に行った調査では,その頻度は40~60%と高い353),354),363),572),573).このような高い頻度の合併率は,透析患者における心血管疾患や肥満の頻度が高いことも影響している可能性も指摘されている.また腎不全のSASにおいてはOSAも認められるがCSAを認める症例もあり,両者の混在する症例が少なくない362),574),575).一方,一般のSAS患者に比べ,BMI

や性別による頻度への影響は少なく572),573),576),577),いびきなどのSASの症状も認めにくいことが報告されている576),577).

2 腎不全症例におけるSASの合併 腎不全においてSASの合併が多いことは,前述のように腎不全患者は同時にSASが合併しやすい病態(肥満,糖尿病,心血管疾患など)を有していることに大きな影響を受けていると思われるが,腎不全自体がSAS

の発症に深くかかわっていることも知られている.具体的なメカニズムとして,(1)尿毒症毒素の蓄積による睡眠構築や呼気二酸化炭素レベルの変化578),(2)腎不全の代償による低炭酸ガス血症と化学受容体の感受性亢進に伴う中枢からの呼吸ドライブの不安定性579),(3)水分バランスがプラスとなりがちなため,上気道の浮腫から閉塞が起こりやすくなること580),581)などが考えられている.またさらには,これらのバランスにより閉塞性優位となるか,中枢性優位となるかが変わってくる.

3 SASと腎不全の発症および進行 SASが腎不全の発症および進行に関連する最も重要な機序としては,まずSASによる高血圧の合併が長期にわたることが挙げられる.他には,SASによる腎臓へ直接的な交感神経活性刺激346),583),上気道閉塞時の一過性の血圧のさらなる上昇263),582),繰り返す低酸素血症349),SASにより惹起される糸球体過剰ろ過351)なども想定されている.現在のところ,腎不全症例にSASが合併することが,予後に影響するか否かはデータがなく明らかでないが,腎不全およびSASともに心血管疾患の発症およびそれに関連する死亡のリスクが高いため,両者の合併により予後のさらなる悪化につながることが予想される.

4 治療効果 SASの治療を行うと,腎不全の発生と進行が増えるか減るかについてはデータもなく,いまだ明らかでない.反対に,腎不全の治療によりSASの改善がみられるか否かについては,いくつかの検討がなされている.腎移植や夜間透析によってSASの改善が,みられたという報告がなされている(クラスⅡa,エビデンスレベルB)362),583),584).透析療法によるSASの軽減効果についての詳細は他項に譲る.

9 睡眠時無呼吸症と突然死

 突然死の原因は心疾患,肺塞栓,大動脈瘤破裂,脳血管疾患などであるが,睡眠呼吸障害(sleep-disordered

breathing:SDB)がこれらの原疾患の発症や病態の増悪

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循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

に関与することが知られており,近年,突然死への関与を示唆する報告も散見され,その関連性が注目されている. 古くからSDBと関連のあるPickwick症候群(高度肥満による肺胞低換気症候群)や常習性いびきの肥満症例で夜間睡眠中に突然死が多いことが報告されており,SDBが突然死の原因となる可能性が指摘されてきた585),586).終夜睡眠ポリグラフ検査を施行した126人(non-SDB群35人,SDB群91人)の予後調査ではSDB群,non-SDB群で死亡率に有意差はなく,SDB群で睡眠中の死亡も認めなかった587).しかし,この研究は後ろ向き調査であり,SDB群の74%に減量や持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP),外科的治療例が含まれていた.その後行われた,いびきと日中傾眠を有する肥満を合併した閉塞性睡眠時無呼吸症(ob-

structive sleep apnea:OSA)の検討では,平均body

mass index 44kg/m2の超肥満に合併したOSAが,心筋梗塞や肺水腫による突然死のリスクとなると報告されている588).また,CPAPの長期予後改善効果を検討した前向き試験では,平均7.5年の観察期間にCPAP非治療群で心臓血管死が有意に多く,突然死はCPAP非治療群の7%で認められたのに対し,CPAP治療群で突然死を認なかった522).SDB症例における突然死の発症時間についての検討では,OSA群における突然死発症の約半数が午前0~6時であり,non-OSA群のこの時間帯における突然死発症割合は21%のみであった10).さらに,OSA

群でこの時間帯に突然死を発症するリスクは他の時間帯に比し2.57倍であり,OSAの重症度との相関がみられた10).この研究は前向き研究ではなく母集団の数や突然死に対するOSAの危険度は不明であり,また,高齢で虚血性心疾患や心不全の合併率も多いため,この結果を一般化することには注意が必要だが,一般住民における突然死の午前中と夕方のピークが,OSA症例においては睡眠中にシフトする可能性が示された. 一般的に突然死の多くは虚血性心疾患に関連したものであり,急性心筋梗塞による致死性不整脈や血行動態障害は大きな要素であるが,OSAにより急性心筋梗塞の発症時間が通常の午前のピークから睡眠中にシフトすることが報告されている388).また,心機能低下を伴う心不全は突然死の強力な危険因子であり,収縮障害を有する植込み型除細動器移植後の症例において,SDB群はnon-SDB群に比し致死性不整脈の発生率が有意に高く,独立した危険因子であり,致死性不整脈の発生時間のピークが睡眠中にシフトすることが報告されている470).SDBは睡眠中の反復する無呼吸によって低酸素血症,

血圧上昇424),交感神経活動の亢進424),589)や血行動態の増悪594)を助長し,虚血性心疾患12),388)や心不全24),大血管疾患13),533)致死性不整脈8),脳梗塞などの突然死と関連する心血管疾患の病態を増悪させ,突然死に至る可能性が考えられる.また,自律神経機能異常を反映した心拍変動の低下は突然死と密接な関係があるが591)-593),SDBも心拍変動の低下を惹起するため594),自律神経に影響し間接的に突然死に関与している可能性もある. SDBへの介入による効果についての報告はほとんどないが,大規模観察研究においてCPAP治療群で突然死発症を認めなかったとの報告もある522).したがって,OSAへのCPAP治療により,突然死の原疾患となる心血管疾患の死亡率が低下することも示されており31),突然死を起こしうる疾患の予後改善を介した突然死予防効果が期待される.しかし,前述のOSAによる突然死発症時間のシフトを示した研究においてOSA群で高率にCPAP治療を受けており10),CPAP治療の限界とも考えられる結果でもあった.今後もさらなる検討により,SDBの突然死に対する寄与の有無や高リスク群の同定,介入による突然死予防効果の有無について明らかにしていく必要がある.

10 基礎心血管疾患を有する患者における睡眠呼吸障害スクリーニングのまとめ(表41)

表41  基礎心血管疾患を有する患者における睡眠呼吸障害スクリーニング

クラスⅠ◦基礎心疾患の有無にかかわらずEDSもしくは睡眠中の窒息感やあえぎ,繰り返す覚醒,起床時の爽快感欠如,日中の疲労感,集中力欠如のうち2つ以上を認める場合(エビデンスレベルC)

◦すべての心不全患者(エビデンスレベルC)◦治療抵抗性高血圧(エビデンスレベルC)

クラスⅡa◦夜間尿,夜間呼吸困難,夜間発症の心血管イベントの既往がある高血圧患者(エビデンスレベルC)

◦正常血圧にもかかわらず左室肥大を有する例(エビデンスレベルB)

◦以下の疾患の既往がある,あるいは病態を有する患者:脳卒中,冠動脈疾患,夜間就寝中の不整脈,大動脈解離,マルファン症候群,病因の特定できない肺高血圧症,腎不全(エビデンスレベルBおよびC)

クラスⅡb◦すべての高血圧患者(エビデンスレベルC)◦夜間就寝中以外の不整脈(エビデンスレベルC)

クラスⅢ なし

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