1 ヒトマイクロバイオーム研究 講演 ~細菌叢メタ...

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ヒトの皮膚や口腔内,腸管内などには常在菌からなる細菌叢(マイクロバイオーム) が存在します.近年,大量の遺伝子情報を短時間に解析できる次世代シーク エンサー(NGS)とNGSを用いた培養を必要としない解析法(メタゲノム解析)の 登場により,マイクロバイオームの実態が明らかになってきました. 本稿では,ヒトのマイクロバイオーム,特に腸内細菌叢が私たちの健康や病気に どのように関与しているかを解説します. ヒトマイクロバイオーム研究 ~ 細菌叢メタゲノムから ヒトの健康と病気を読み解く~ 講演 1 キーワード マイクロバイオーム,腸内細菌叢, ディスバイオシス,免疫応答 ヒトマイクロバイオームとは ヒトの口腔内や腸内,皮膚などには,数百兆個の常在 菌が存在します.人体は約37兆個の細胞で構成されてい るとされていますので,ヒトの常在菌数はそれより1桁多 いことになります. ヒトの常在菌にはいくつかの特徴があります.第1は, その多くは酸素があると生存できない嫌気性菌(偏性 嫌気性菌)であるということ.第2は,口腔内や腸内など 生息部位ごとに異なった細菌種や組成比からなる独特 の細菌集団(細菌叢,マイクロバイオーム)を形成してい ること.第3は,宿主と相互扶助関係にあるということで す.たとえば,私たちが食べた物は胃や腸で消化・吸収さ れますが,消化・吸収されなかったものを(腸内)常在菌 が自身の餌として取り込み,ビタミンやアミノ酸などに変 換・放出し,ヒトはこれらを吸収することで栄養を無駄な く摂取することができます.また,常在菌叢は外からの菌 を寄せつけない自然のバリアにもなっています. 細菌学が病原菌の研究から始まったことから,細菌 は人体にとって悪い存在というイメージがありますが, ヒトマイクロバイオーム研究から常在菌はヒトが健康を 保つ上で重要な役割を果たしていることが分かってきま した. ヒトマイクロバイオーム研究の 解析方法 ヒトマイクロバイオーム研究は,常在菌叢の実態とそれ らと疾患との関連を調べる研究と,常在菌が宿主の生理 状態にどのような影響を及ぼすか,すなわち常在菌と宿 主との相互作用を解明しようという(マウス等の動物を 用いた)研究が,いわば車の両輪として現在進められて います.いずれの研究も,健常者や患者の唾液や便,皮 膚などから常在菌のDNAを採取し,そこから細菌のゲノ ムを解析する(メタゲノム解析 [P31参照] )ことで行われ ます. マイクロバイオーム研究におけるゲノム解析には,主に 3つの方法があります. ①常在菌のDNAをPCRで増幅して16S rRNA [P31参 照] を解析することで分類学的解析を行い,サンプル内 にどのような菌がどれほど存在するかを調べる方法 ②採取したDNAを次世代シークエンサー [P31参照] で解析して細菌叢DNAのゲノム配列(メタゲノムデータ) を網羅的に収集し,その中にコードされている遺伝子を 遺伝子カタログのデータベースと照合することで,細菌叢 の遺伝子機能を解析する方法 ③常在菌のうち培養できる菌を培養して,そこから採 取した個別菌のゲノムDNAを次世代シークエンサーで解 析してリファレンスゲノムデータベースを作成し,②で得た メタゲノムデータをこのリファレンスデータベースを用いて 相同検索することで分類学的解析を行い,どの菌の由来 であるかを調べる方法 これらの方法のうち,①は世界的にもっとも普及してい る方法ですが,PCRを用いるため,解析結果にバイアス がかかります.そのため,①よりも定量性の高い②の方法 が,今後世界の主流となるでしょう. ヒトマイクロバイオームの菌種組成は 部位や年齢,国によって大きく異なる 生物は,ドメイン,界,門,綱,目,科,属,種の各階層 で分類されます.ヒト常在菌として22 種の門に分類され る細菌が知られていますが,その9 9%はフィルミクテス (Firmicutes)門,バクテロイデテス(Bacteroidetes) 門,アクチノバクテリア(Actinobacteria)門,プロテオバ クテリア(Proteobacteria)門の4つの門に属する菌種で 占められています(表1).地球環境中には70門以上の 細菌種が生息するといわれますが,長い進化の過程で これらの菌種のみがヒトに常在することが許されるよう になったと考えられます.つまり,常在菌は強い選択圧を 受けており,むやみに生息しているわけではないといえ ます. 日本人成人から採取した糞便や唾液,胃液,皮膚 (頬)から分離された常在菌叢の菌種組成を比較した ところ,唾液と胃液では類似するものの,糞便,唾液/胃 液,皮膚では大きく異なり,生息部位特異性が高いこと が判明しました(図1左).また,個人間での類似性を検 討したところ,全ての常在菌叢に高い個人間多様性が認 められ,中でも皮膚の細菌叢は個人差が最も大きいこと がわかりました(図1右). さらに,さまざまな年代の日本人から採取した腸内細 菌叢 [P31参照] の菌種組成を比較したところ,成人では ビフィズス菌(Bifidobacterium)が多いものの,加齢に よって組成に違いが見られ,高齢者では「その他」の割合 が多くなっていました(図2).一方,乳幼児は成人に比べ て菌種組成が比較的シンプル(成人よりも少ない菌種で 構成される)ですが,月齢によって菌種組成は異なり,ま た同じ月齢の児でも菌種組成は大きく異なり,短期間に 菌種組成がドラスティックに変化すると考えられます. 私たちは,世界12カ国(日本,中国,米国,ペルー,ベネ ズエラ,フランス,オーストリア,デンマーク,スウェーデン, スペイン,ロシア,マラウイ)の健常成人861名の腸内細菌 叢の菌種組成をメタゲノムデータから比較しました 1) まず,日本人106名における腸内細菌叢の菌種組成を 比較したところ,個人間で多様性が極めて高いことが分 かりました.検出された菌種の相対的な存在比を比較し たところ,ビフィズス菌,ブラウティア(Blautia),バクテ ロイデスが上位3位を占めていましたが,それぞれの菌種 の菌数は個人差が大きく,幅広い多様性が認められま した. 次に,12カ国861名からは合計で21門425属の菌種が 検出されましたが,国によって検出された菌種の存在比 は異なっていました.そこで,国ごとの菌種組成の相似性 を階層クラスター分析したところ,ビフィズス菌とブラウ ティアが多い国々と,バクテロイデスが多い国々,プレボ テラ(Prevotella)が多い国々の3つに分類できました. 早稲田大学理工学術院 先進理工学研究科 教授 はっ とり まさ ひら Firmicutes Anaerostipes Blautia Clostridium Coprococcus Dorea Enterococcus Eubacterium Faecalibacterium Gemella Lactobacillus Megamonas Roseburia Ruminococcus Streptococcus Subdoligranulum Veillonella Bacteroidetes Alistipes Bacteroides Parabacteroides Prevotella Actinobacteria Actinomyces Bifidobacterium Collinsella Eggerthella Rothia Proteobacteria Bilophila Escherichia Haemophilus Klebsiella Neisseria Succinatimonas この4門の細菌種で 99%以上を占める その他(18門)が残りの 1%程度を占める *地球環境中には 70門以上の細菌 種が生息 ⇒腸内細菌は強い 選択圧を受けて いる 表 1 ヒト常在菌叢を構成する主な細菌種 3 4 2018 No.97 2018 No.97 NEW WAVE NEW WAVE

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ヒトの皮膚や口腔内,腸管内などには常在菌からなる細菌叢(マイクロバイオーム)が存在します.近年,大量の遺伝子情報を短時間に解析できる次世代シークエンサー(NGS)とNGSを用いた培養を必要としない解析法(メタゲノム解析)の登場により,マイクロバイオームの実態が明らかになってきました.本稿では,ヒトのマイクロバイオーム,特に腸内細菌叢が私たちの健康や病気にどのように関与しているかを解説します.

ヒトマイクロバイオーム研究~細菌叢メタゲノムから

ヒトの健康と病気を読み解く~講演1

キーワード

マイクロバイオーム,腸内細菌叢,ディスバイオシス,免疫応答

ヒトマイクロバイオームとはヒトの口腔内や腸内,皮膚などには,数百兆個の常在

菌が存在します.人体は約37兆個の細胞で構成されているとされていますので,ヒトの常在菌数はそれより1桁多いことになります.

ヒトの常在菌にはいくつかの特徴があります.第1は,その多くは酸素があると生存できない嫌気性菌(偏性嫌気性菌)であるということ.第2は,口腔内や腸内など生息部位ごとに異なった細菌種や組成比からなる独特の細菌集団(細菌叢,マイクロバイオーム)を形成していること.第3は,宿主と相互扶助関係にあるということです.たとえば,私たちが食べた物は胃や腸で消化・吸収されますが,消化・吸収されなかったものを(腸内)常在菌が自身の餌として取り込み,ビタミンやアミノ酸などに変換・放出し,ヒトはこれらを吸収することで栄養を無駄なく摂取することができます.また,常在菌叢は外からの菌を寄せつけない自然のバリアにもなっています.

細菌学が病原菌の研究から始まったことから,細菌は人体にとって悪い存在というイメージがありますが,ヒトマイクロバイオーム研究から常在菌はヒトが健康を保つ上で重要な役割を果たしていることが分かってきました.

ヒトマイクロバイオーム研究の解析方法ヒトマイクロバイオーム研究は,常在菌叢の実態とそれ

らと疾患との関連を調べる研究と,常在菌が宿主の生理状態にどのような影響を及ぼすか,すなわち常在菌と宿主との相互作用を解明しようという(マウス等の動物を用いた)研究が,いわば車の両輪として現在進められています.いずれの研究も,健常者や患者の唾液や便,皮膚などから常在菌のDNAを採取し,そこから細菌のゲノムを解析する(メタゲノム解析[P31参照])ことで行われます.

マイクロバイオーム研究におけるゲノム解析には,主に3つの方法があります.

①常在菌のDNAをPCRで増幅して16SrRNA[P31参照]を解析することで分類学的解析を行い,サンプル内にどのような菌がどれほど存在するかを調べる方法

②採取したDNAを次世代シークエンサー[P31参照]で解析して細菌叢DNAのゲノム配列(メタゲノムデータ)を網羅的に収集し,その中にコードされている遺伝子を遺伝子カタログのデータベースと照合することで,細菌叢の遺伝子機能を解析する方法

③常在菌のうち培養できる菌を培養して,そこから採取した個別菌のゲノムDNAを次世代シークエンサーで解析してリファレンスゲノムデータベースを作成し,②で得た

メタゲノムデータをこのリファレンスデータベースを用いて相同検索することで分類学的解析を行い,どの菌の由来であるかを調べる方法

これらの方法のうち,①は世界的にもっとも普及している方法ですが,PCRを用いるため,解析結果にバイアスがかかります.そのため,①よりも定量性の高い②の方法が,今後世界の主流となるでしょう.

ヒトマイクロバイオームの菌種組成は部位や年齢,国によって大きく異なる生物は,ドメイン,界,門,綱,目,科,属,種の各階層

で分類されます.ヒト常在菌として22種の門に分類される細菌が知られていますが,その99%はフィルミクテス(Firmicutes)門,バクテロイデテス(Bacteroidetes)門,アクチノバクテリア(Actinobacteria)門,プロテオバクテリア(Proteobacteria)門の4つの門に属する菌種で占められています(表1).地球環境中には70門以上の細菌種が生息するといわれますが,長い進化の過程でこれらの菌種のみがヒトに常在することが許されるようになったと考えられます.つまり,常在菌は強い選択圧を受けており,むやみに生息しているわけではないといえます.

日本人成人から採取した糞便や唾液,胃液,皮膚(頬)から分離された常在菌叢の菌種組成を比較したところ,唾液と胃液では類似するものの,糞便,唾液/胃液,皮膚では大きく異なり,生息部位特異性が高いことが判明しました(図1左).また,個人間での類似性を検討したところ,全ての常在菌叢に高い個人間多様性が認められ,中でも皮膚の細菌叢は個人差が最も大きいことがわかりました(図1右).

さらに,さまざまな年代の日本人から採取した腸内細菌叢[P31参照]の菌種組成を比較したところ,成人ではビフィズス菌(Bifidobacterium)が多いものの,加齢によって組成に違いが見られ,高齢者では「その他」の割合が多くなっていました(図2).一方,乳幼児は成人に比べて菌種組成が比較的シンプル(成人よりも少ない菌種で構成される)ですが,月齢によって菌種組成は異なり,また同じ月齢の児でも菌種組成は大きく異なり,短期間に菌種組成がドラスティックに変化すると考えられます.

私たちは,世界12カ国(日本,中国,米国,ペルー,ベネズエラ,フランス,オーストリア,デンマーク,スウェーデン,スペイン,ロシア,マラウイ)の健常成人861名の腸内細菌

叢の菌種組成をメタゲノムデータから比較しました1).まず,日本人106名における腸内細菌叢の菌種組成を

比較したところ,個人間で多様性が極めて高いことが分かりました.検出された菌種の相対的な存在比を比較したところ,ビフィズス菌,ブラウティア(Blautia),バクテロイデスが上位3位を占めていましたが,それぞれの菌種の菌数は個人差が大きく,幅広い多様性が認められました.

次に,12カ国861名からは合計で21門425属の菌種が検出されましたが,国によって検出された菌種の存在比は異なっていました.そこで,国ごとの菌種組成の相似性を階層クラスター分析したところ,ビフィズス菌とブラウティアが多い国 と々,バクテロイデスが多い国々,プレボテラ(Prevotella)が多い国々の3つに分類できました.

早稲田大学理工学術院先進理工学研究科教授

服はっ

部とり

正まさ

平ひら

門 属

Firmicutes

AnaerostipesBlautiaClostridiumCoprococcusDoreaEnterococcusEubacteriumFaecalibacteriumGemellaLactobacillusMegamonasRoseburiaRuminococcusStreptococcusSubdoligranulumVeillonella

Bacteroidetes

AlistipesBacteroidesParabacteroidesPrevotella

Actinobacteria

ActinomycesBifidobacteriumCollinsellaEggerthellaRothia

Proteobacteria

BilophilaEscherichiaHaemophilusKlebsiellaNeisseriaSuccinatimonas

この4門の細菌種で99%以上を占める

その他(18門)が残りの1%程度を占める

*地球環境中には70門以上の細菌種が生息

⇒腸内細菌は強い選択圧を受けている

表1 ヒト常在菌叢を構成する主な細菌種

   

3 4 2018 No.97 2018 No.97

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終えて

徒然なる

ままに。

徒然なる

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ヒトマイクロバイオーム研究~細菌叢メタゲノムからヒトの健康と病気を読み解く~

講演1

食事だけでは腸内細菌叢の菌種組成の違いは説明できない腸内細菌叢の菌種組成には食事の影響が考えられま

す.そこで,三大栄養素(タンパク質,脂質,炭水化物)の摂取比率から12カ国をクラスター解析したところ,2つのクラスターに分類できました.この食事によるクラスター

は腸内細菌叢の菌種組成に対照と同程度の個人差が見られたことから,同一の食事でも必ずしも同じ細菌叢を作らないと考えられます.また,寺院グループでは20名中11名において体重が5~20kg減りましたが,腸内細菌叢は健康状態を維持していたと考えられ,このことから精進料理の有用性・合理性が示唆されました.

肥満者に多糖類の少ない食事を52週間摂取させて,その中で肥満が解消された人の腸内細菌を解析したところ,肥満の解消に伴って腸内細菌叢に占めるフィルミクテス門に属する菌の割合が減少し,バクテロイデテス門に属する菌の割合が増加したことが報告されています2).私たちの検討で健常者の腸内細菌叢は食事の影響を受けにくいと考えられることから,本検討結果によって何らかの疾患患者の腸内細菌叢は健常者より食事の影響を受けやすいことが示唆されます.

腸内細菌叢の健康への影響海洋性細菌はノリやワカメなどの海藻に含まれる多糖

類を分解する酵素であるポルフィラナーゼを有していますが,他の細菌では通常,この酵素を有していません.ところが,日本人の腸内細菌も有していることが報告されています3).これは,海洋性細菌から腸内細菌へポルフィラナーゼの遺伝子が水平伝播された結果だと考えられます.そこで,日本人および欧米人におけるポルフィラナーゼ遺伝子の保有状況を検討したところ,日本人の90%は本遺伝子を有していましたが,欧米人では3%しか有していませんでした.よって,日本人はこの酵素遺伝子を有す

と先ほどの菌種組成によるクラスターを比較すると,ペルー,ベネズエラ,マラウイでは菌種組成クラスターと食事クラスターが一致しましたが,他の国々では一致しませんでした(図3)1).このことから,食事だけでは腸内細菌叢の菌種組成の違いを説明できないと考えられます.

腸内細菌叢と食事との関係をさらに検討するために,私たちは寺院で修行を開始したばかりの若者20名(寺院グループ)を対象に,精進料理が健常者

の腸内細菌叢に及ぼす影響を,一般の健常な若者60名(自由な食事をしているグループ)を対照に検討しました.なお,寺院グループは全員同じ精進料理を3カ月間食べた段階での結果です.両グループの腸内細菌叢の菌種組成を比較したところ,ほぼ同じ菌種組成でした.このことから,健常者の腸内細菌叢は食事の変化による影響を受けにくいことが判明しました.また,寺院グループで

るためにノリやワカメなどに含まれる多糖類を栄養素にすることができますが,この酵素遺伝子を有さない多くの欧米人ではダイエット食品となっていると推定されます.日本人の多くがこの酵素の遺伝子を有する背景には,生魚や海産物を多く摂取する日本人の食文化が関係していると考えられます.

日本人の腸内細菌叢の特徴として,炭水化物の代謝能が高い,鞭毛を持つ菌が少ない,修復関連の遺伝子が少ない,古細菌[P32参照]の一種であるメタノブレウィバクテル・スミティー(Methanobrevibacter smithii)が少ないなどが挙げられます(図4,図5,図6左)1).炭水化物が代謝されると,短鎖脂肪酸,二酸化炭素,水素が生成され,このうち短鎖脂肪酸はヒトの栄養素となり,水素は抗酸化作用を発揮します.ヒトは細菌の鞭毛抗原に対して免疫反応を起こすことから,鞭毛を有する菌が少ないと,免疫による炎症反応が起こりにくくなります.修復関連の遺伝子が少ないことは,DNA損傷が少ないことを意味していると思われます.つまり,日本人の腸内細菌叢の機能的特徴として挙げられた点はいずれもヒトの生理状態に有利に働くもので,こうした特徴が日本人はBMIが低く,また長寿であることと関係しているのかもしれません.

細菌の中には水素をエネルギー源とするものも存在しますが,菌種によって水素の代謝経路は異なり,ブラウティアは酢酸を,メタノブレウィバクテル・スミティーはメタンを生成します(図6)1).前述の12カ国の中で日本人の腸内細菌叢では他の国々に比べてブラウティアが多く,メタノブレウィバクテル・スミティーが少ないことから,メタンよりも酢酸が多く作られると考えられます.一方,日本を除く11カ国では水素からメタンが,あるいはメタンと酢酸の両者が産生されることが示唆されます.メタンはヒトの栄養素になりませんが,酢酸は栄養素になります.日本人の腸内細菌叢に酢酸を産生するブラウティアが多いことも,日本人の健康にプラスに作用していると思われます.

腸内細菌叢の変容はさまざまな疾患と関係腸内細菌叢の変容(ディスバイオシス)は,さまざまな

疾患と関係していることが分かってきました.腸内細菌叢の変容と関係する疾患として,代謝系疾患では肥満や糖尿病,メタボリックシンドローム,腎不全,心不全が,

図2 さまざまな年齢のヒト腸内細菌叢の菌種組成(16S解析 属レベル)

■ Bifidobacterium ■ Blautia ■ Bacteroides ■ Ruminococcus ■ Faecalibacterium ■ Clostridium■ Collinsella ■ Eubacterium ■ Anaerostipes ■ Streptococcus ■ Parabacteroides ■ Prevotella■ Dorea ■ Fusobacterium ■ Lactobacillus ■ Alistipes ■ Enterococcus ■ Veillonella■ Actinomyces ■ Escherichia ■ Gemella ■ Granulicatella ■ Rothia ■ Neisseria■ Klebsiella ■ Staphylococcus ■ Coprobacillus ■ Propionibacterium ■ Haemophilus ■ Enterobacter■ その他(合計)

0 20 40 60 80 100(%)

高齢者(平均84歳)

成人(平均36歳)

子供(平均12歳)

乳幼児(7カ月)

乳幼児(7カ月)

乳幼児(4カ月)

乳幼児(4カ月)

乳幼児(3カ月)

乳幼児(2週目)

Blautia

BifidobacteriumPropionibacterium

Clostridium Enterobacter

大腸菌

Bacteroides

   

図3  食事だけではヒト腸内細菌叢の菌種組成の違いを説明できない

日本

オーストリア

フランス

スウェーデン

ロシア

スペイン

デンマーク

中国

米国

ペルー

ベネズエラ

マラウイ

ビフィズス菌,ブラウティアが多い

バクテロイデスが多い

プレボテラが多い

中国

マラウイ

ペルー

日本

ロシア

ベネズエラ

デンマーク

スウェーデン

米国

フランス

オーストリア

スペイン

アジア,南米,アフリカ

欧米

腸内細菌叢の菌種組成データからのクラスター

食事データからのクラスター

文献1)より

図1 日本人成人のさまざまな部位の常在菌叢の菌種組成と類似性(16S解析)

腸・唾液・胃液・皮膚細菌叢構造(系統樹)の個人間類似性(UniFrac解析)日本人の常在菌叢の平均菌種組成(属レベル)

-0.6 -0.4 -0.2 0.20 0.4 0.6

PCo2

-Per

cent

var

iatio

n ex

plai

ned

22.9

%PCo1-Percent variation explained 31.2%

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0

-0.1

-0.2

-0.3

-0.4

糞便皮膚(頬)唾液胃液

■ Bifidobacterium ■ Blautia ■ Bacteroides■ Ruminococcus ■ Faecalibacterium ■ Clostridium■ Collinsella ■ Eubacterium ■ Streptococcus■ Prevotella ■ Fusobacterium ■ Veillonella■ Escherichia ■ Rothia ■ Neisseria■ Staphylococcus ■ Propionibacterium ■ Haemophilus■ その他

Propionibacterium

0 20 40 60 80 100(%)

糞便

唾液

胃液

皮膚(頬)

●高い生息部位特異性●高い個人間多様性

   

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終えて

徒然なる

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ヒトマイクロバイオーム研究~細菌叢メタゲノムからヒトの健康と病気を読み解く~

講演1

免疫・炎症系疾患では炎症性腸疾患(IBD),過敏性腸症候群,関節リウマチ,動脈硬化症,アレルギーなどが,神経・精神疾患では自閉症スペクトラム障害,多発性硬化症,認知症,パーキソン病などが,消化器系疾患では大腸がん,肝がん,肝炎が知られています.これらの疾患の患者の腸内細菌叢菌種組成は健常者と大きく異なっており,例えばIBD患者は健常者に比べてフィルミクテス門の細菌の割合が少なく,逆にバクテロイデテス門の細

ベル)の健常者における菌種組成の違いは,その国の健常者と患者との違いよりも大きいことを示唆します.したがって,その国の各種疾患患者における腸内細菌叢を評価するには,その国の健常者の腸内細菌叢のデータを取得することが必須となります.

そこで,各国の2型糖尿病患者と健常者の各腸内細菌叢の菌種組成を比較して,2型糖尿病患者で増加している菌種および減少している菌種をリストアップしたところ,各国の2型糖尿病患者で増加または減少している菌種はバラバラで,同じ疾患に関与する菌種の多くは国ごとに異なっている(しかし,その作用は類似している)と考えられます.

ヒト唾液由来の細菌はマウスの腸管炎症を誘導こうした検討を口腔細菌叢や唾液中の細菌について

も行ったところ,種々の疾患患者の糞便中には健常者に

菌の割合が多いことに加えて,腸内細菌叢を構成する菌種数も減っています.また,各種疾患患者の腸内細菌叢が健常者と比べてどの程度変容しているかを検討した結果,各種疾患患者群の腸内細菌叢の菌種組成は健常者群とさまざまな程度で有意に異なり,変容していることが判明しました.

こうした患者における腸内細菌叢の変容は,疾患による結果というよりも,逆に腸内細菌叢の変容が疾患の原因になっている報告が多くあります.そこで,前述の12カ国における健常成人の腸内細菌叢の菌種組成のデータに,対象各国における2型糖尿病およびその予備群である耐糖能異常(IGT)の各患者データを加えて比較しました.腸内細菌叢の変容が疾患の原因であれば,各国の患者の腸内細菌叢の菌種組成は同じ疾患では類似しているはずですが,解析の結果,各国の2型糖尿病患者の菌種組成は異なり,中国の2型糖尿病患者の菌種組成に最も類似するのは中国の健常者,スウェーデンの2型糖尿病患者の菌種組成に最も類似するのはスウェーデンの健常者でした.この結果から,各国間(国レベル,地域レ

比べて口腔内由来の菌が多く含まれていました.そこで,さまざまな人から採取した唾液細菌叢を無菌マウスに接種したところ,一部のヒト唾液由来の菌もマウスの腸管内で6~8週間安定に定着することが判明しました.そこで,そのマウスの糞便からヒト唾液由来の細菌を分離・培養して,別の無菌マウスに接種して細菌による腸管免疫応答を検討しました.その結果,クレブシエラ(Klebsiella)[P32参照]によってTh1細胞が誘導されることが判明しました4).ただし,腸内細菌叢を有する通常のマウスにクレブシエラを接種するだけではTh1細胞は誘導されません.しかし,通常マウスに抗生物質を投与した後にクレブシエラを接種すると,Th1細胞の誘導が認められました.次いで,インターロイキン-10遺伝子(炎症を抑制する宿主遺伝子)を欠損した通常マウスに抗生物質を投与した後,クレブシエラ株を接種したマウスにおいてTh1細胞の誘導および炎症の両方が認められました.

この成 績 から,次のようなことが 考えられます(図7)4).すなわち,口腔細菌は常に胃を経由して腸に

図6 12カ国間の腸内水素代謝経路の違い

Blautia → 酢酸生成

0.20

0.15

0.10

0.05

0.00日本オーストラリア

スウェーデン

フランス

ロシア

アメリカ

中国デンマーク

スペイン

ベネズエラ

マラウイ

ペルー

1e-06

1e-04

1e-02

日本オーストラリア

スウェーデン

フランス

ロシア

アメリカ

中国デンマーク

スペイン

ベネズエラ

マラウイ

ペルー

M. smithii (古細菌) → メタン生成

炭水化物メタン生成

硫酸還元

酢酸生成

酢酸生成

硫酸還元

メタン生成

日本人

外国人

*呼気中のメタン日本人<<<欧米人

(Morii H, 2003)

栄養素

水素を代謝する菌 水素の代謝

短鎖脂肪酸 + CO2 + H2

文献1)より

図5 日本人腸内細菌叢の機能特徴

●炭水化物代謝能が高い(➡短鎖脂肪酸や水素が多い)●鞭毛を持つ菌が少ない(➡炎症応答が少ない)●修復関連の遺伝子が少ない(➡DNA損傷が少ない)●古細菌が少ない(➡水素代謝系の違い)

●低い平均BMI値 (23.6)●長寿命 (84歳)

   

図4 ヒト腸内微生物の機能特性の定量的評価

0.25

0.20

0.15

0.10

0.05

0.00

Proportion

炭水化物

遺伝子にメタゲノムリードをマッピングし機能(KEGG)の組成比を定量化

代謝 短鎖脂肪酸 + CO2 + H2 (酢酸や酪酸)

Carboh

ydrat

e Meta

bolis

m

Energy

Meta

bolis

m

Membr

ane T

ransp

ort

Metabo

lism of

Cofa

ctors

and V

itamins

Amino A

cid M

etabo

lism

Sign

al Tra

nsdu

ction

Trans

lation

Nucleo

tide M

etabo

lism

Infec

tious

Dise

ases

Cell M

otility

Xeno

biotic

s Biod

egrad

ation

and M

etabo

lism

Glycan

Bios

ynthe

sis an

d Meta

bolis

m

Lipid

Metabo

lism

Foldi

ng, S

orting

and D

egrad

ation

Replic

ation

and R

epair

Metabo

lism of

Terp

enoid

s and

Poly

ketid

es

*P<0.01Enriched in JPDepleted in JP

短鎖脂肪酸:栄養素水素:抗酸化剤

βグルコシダーゼβガラクトシダーゼグルコノキナーゼ PTS (マンノース,ラクトース)

古細菌

鞭毛

修復

文献1)より

7 8 2018 No.97 2018 No.97

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Page 4: 1 ヒトマイクロバイオーム研究 講演 ~細菌叢メタ …ヒトマイクロバイオーム研究 ~細菌叢メタゲノムからヒトの健康と病気を読み解く~

ヒトマイクロバイオーム研究~細菌叢メタゲノムからヒトの健康と病気を読み解く~

講演1

到達していますが,菌が腸管に到達しても,健常な腸内細菌叢がその定着を阻止します.しかし,抗生物質を投与すると,口腔細菌叢が変容して,口腔内のクレブシエラ(クレブシエラは多剤耐性菌)が相対的に増加し,また腸へ到達するクレブシエラも増加します.一方,腸管では,抗生物質投与によって腸内細菌叢の構成菌種が減少して,外来菌の定着阻止能が低下する結果,口腔由来のクレブシエラの定着率が増加します.腸管に定着・増殖したクレブシエラの刺激でTh1細胞が誘導・活性化し,宿主の遺伝型によっては炎症を引き起こすと考えられます.

クロストリジウム属17菌種のミックスカクテルはTregを誘導して炎症を抑制肥満者の腸内細菌を無菌マウスに移植すると,マウス

は肥満し,その肥満マウスの腸内細菌叢菌種組成は健康なマウスと異なります.つまり,腸内細菌叢が宿主に対して強力な生理作用を有する証拠であり,こうした知見から,健常人の腸内細菌叢をさまざまな疾患患者に移植する便微生物移植治療(FMT)が世界的に試行されています.その効果について,例えば再発性のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)[P32参照]感染患者を対象とした検討では,抗生剤+腸洗浄の治癒率は20~30%でしたが,抗生剤+腸洗浄+FMTでは94%であったと報告されています5).

私たちは何百種類もある腸内細菌の中で,どの菌が

理解する科学であり,また従来の細菌学とも異なります.

ヒトマイクロバイオーム研究では宿主データ(ゲノム多型,血液/尿マーカーなど),環境データ(食事,生活環境など),マイクロバイオームデータ(メタゲノム,メタボロームなど)の3つが重要な情報となります.米国では2015年から開始されたプレシジョン・メディシン・イニシアティブ(PMI)によりヒトマイクロバイオーム研究に弾みがつき,日本でも2016年から革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST,PRIME)の一環としてマイクロバイオーム研究が本格的に進められています.

ヒトマイクロバイオーム研究の進歩により,ヒトマイクロバイオームとヒトの健康や疾患の関係がさらに解明されることが期待されています.

生理作用を有するかさまざまな検討を行ってきました(理研の大野博司博士や慶應義塾大学の本田賢也博士のグループなどとの共同研究).その結果,ビフィズス菌が生成する酢酸が腸管のバリア機能を増強することや6),クロストリジウム系の17菌種をミックスしたものは酪酸産生を介してエピゲノム経路で制御性T細胞(Treg)[P32参照]を誘導して慢性炎症を抑制することなどが判明しました(図8)7).

これらのうちクロストリジウム系細菌によるTreg誘導は,1菌種でもランダムな3菌種,5菌種のミックスでもフル誘導は認められず,17菌種のミックスではじめてフル誘導が認められました.このように,常在菌は単独ではフルに機能しませんが,多くの病原菌は単独で機能します.したがって,チームで行動することで最大活性を発揮するのが常在菌の特徴といえるかもしれません.この17菌種のミックスカクテルを大腸炎モデルマウスおよびアレルギー性下痢モデルマウスに経口投与したところ,腸炎および下痢が抑制されました8).この17菌株の特許は導出されて,抗炎症微生物製剤の開発が現在進んでいます(図9).

さらに近年のトピックスの一つとして,腸内細菌叢にビフィズス菌などが多い人はある種の制がん剤がよく効くが,少ない人では効果が減弱することが報告されており9),腸内細菌叢は薬剤(免疫系)の効果に影響を及ぼす可能性も明らかになってきました.

このように,腸内細菌叢はさまざまな機序で,疾患に影響している可能性が考えられます.

ヒトはヒトゲノムとマイクロバイオームからなる超生命体ヒトは,ヒトゲノムとマイクロバイオームからなる超生

命体といえます.ヒトゲノム研究はヒト遺伝子を解析することでヒトを理解する科学であるのに対して,ヒトマイクロバイオーム研究はヒト微生物を解析することでヒトを

参考文献

1) Nishijima S, et al.: DNA Res. 2016; 23(2): 125-33. 2) Turnbaugh PJ, et al.: Nature. 2006; 444(7122): 1027-32. 3) Hehemann JH, et al.: Nature. 2010; 864(7290): 908-12. 4) Atarashi K, et al.: Science. 2017; 358(6361): 359-65. 5) van Nood E, et al.: N Engl J Med. 2013; 368(5): 407-15. 6) Fukuda S, et al.: Nature. 2011; 469(7331): 543-7. 7) Furusawa Y, et al. Nature. 2013; 504(7480): 446-50. 8) Atarashi K, et al.: Nature. 2013; 500(7461): 232-6. 9) Matson V, et al.: Science. 2018; 359(6371): 104-8.

略歴  服部正平(はっとり まさひら)1979年 大阪市立大学大学院工学研究科高分子化学専攻 博士課程修了 工学博士 同年 東亞合成株式会社 研究員1984年 九州大学遺伝情報実験施設 助手(〜1990年)1987年 米国スクリプス研究所およびカリフォルニア大学サンディエゴ校 研究員1990年 九州大学遺伝情報実験施設 助手1991年 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター 助教授1999年 理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(GSC)チームリーダー2002年 北里大学北里生命科学研究所 教授2006年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授2015年 早稲田大学理工学術院先進理工学研究科 教授 同年 慶應義塾大学医学部 特別招聘教授(兼任)2017年 理化学研究所生命医科学研究センター(IMS)チームリーダー(兼任)現在に至る

図8 宿主に生理活性を有するヒト腸内細菌の分離とその作用機構

ビフィズス菌クロストリジウム系(17菌種mixture)

多種類(20菌種mixture)

糖類糖類

腸管上皮細胞

バリア機能の増強

*Treg:慢性の炎症疾患で減少 *Th17:慢性の炎症疾患で増加

CD4陽性T細胞 Th17細胞(炎症を誘発)

エピゲノム修飾

CD4陽性T細胞 Treg細胞(炎症を抑制)

酪酸+?接着+?

酢酸

分化 分化

文献7)より

図9 17菌株のカクテルをSPF(Specific Pathogen Free)マウスに投与

腸炎を抑制するa b c+コントロール +17-mix

**

0

5040302010

% F

oxp3

+ in

CD

4

SPF+1

7-mix

SPF

+コントロール

下痢を抑制するd

e

10

100

80

60

40

20

2 3 40TNBS days

+コントロール+17-mix

Sur

viva

l rat

e (%

17菌株の特許⇒240億円で導出された⇒抗炎症微生物製剤の開発

3

2

1

Dia

rrhea

sco

re

OVA+CFA(sc) OVA (oral)

17-mix (oral)

0 1 2 3-1

* **

+コントロール+17-mix

(W)

b:トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)により誘発された大腸炎での生存率比較

a:2群(対象群:SPFマウス+PBS,SPFマウス+17菌種を経口投与)の結腸での CD4+Foxp3の発現比較

c:2群のマウスのTNBS誘発後の大腸比較(コントロールマウスは大腸が優位に短縮)

d:卵白アルブミン (OVA) および抗体誘発アジュバントによるアレルギー性下痢を誘発させたコントロールマウスと17菌種投与マウスの下痢スコア

f:OVA特異的 IgE量の比較

e:2群のマウスの糞便

+コントロール

+17-mix

**

SPF+1

7-mix

SPF

+コントロール0

60

40

20

f

OV

A-s

peci

fic Ig

E(

ng/m

L)

文献8)より

図7 口腔細菌による腸内での炎症誘発への抗生物質の関与

〈口腔〉クレブシエラ(多剤耐性菌)→抗生物質処理→口腔での相対割合の増加→腸への到達率が増大〈腸管〉腸内細菌叢→抗生物質処理→構成菌種が減る→定着阻止能の減少→クレブシエラの定着率の増加

クレブシエラ菌の腸内への定着・増殖

誘導・活性化

炎症Th1細胞

口腔由来クレブシエラ菌

腸内細菌の

乱れ

通常時腸内への定着阻止

腸内細菌

文献4)より一部改変

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