1.チームとしての学校の在り方 -...

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文部科学省国立大学改革強化推進補助金事業 大学間連携による教員養成の高度化支援システムの構築 ―教員養成ルネッサンス・HATOプロジェクト― 教員養成ならではの教職員PD講座(第5講) 「チーム学校」と教育支援 教員養成開発連携機構 1 松田恵示 (東京学芸大学)

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文部科学省国立大学改革強化推進補助金事業大学間連携による教員養成の高度化支援システムの構築―教員養成ルネッサンス・HATOプロジェクト―

教員養成ならではの教職員PD講座(第5講)

「チーム学校」と教育支援

教員養成開発連携機構

1

松田恵示 (東京学芸大学)

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1.チームとしての学校の在り方

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校長副校長・教頭

事務長

主幹教諭

指導教諭

教諭養護教諭

部活動指導員(仮称)

連携・分担

連携・分担

連携・分担

栄養教諭

専門スタッフスクールカウンセラー

スクールソーシャルワーカー

事務職員教諭

地域社会組織的に連携・協働

子供と向き合う時間の確保

従来の学校チームとしての学校

複雑化・多様化した課題の解決

教育指導の更なる充実

○ 業務環境の改善(「学校現場における業務改善のためのガイドライン」 等を活用した

研修を実施)○ 教育委員会等による学校への支援

(弁護士等による、不当な要望等への「問題解決支援チーム」を教育委員会が設置することへの支援)

○ 教職員定数の戦略的充実○ 教員以外の専門スタッフの参画

(スクールカウンセラー、スクールーシャルワーカー、部活動指導員(仮称)を法令に位置付け、医療的ケアを行う看護師の配置促進)

○ 主幹教諭の配置の充実○ 事務体制の強化

(事務職員の職務規定の見直し、事務の共同実施組織の法令化)

○ 教職員の指導体制の充実(アクティブ・ラーニングの実施等のための教職員定数の改善、指導教諭、学校司書の配置促進)

○ 小規模市町村における指導主事の配置を充実

・「社会に開かれた教育課程」の実現

・「アクティブ・ラーニング」の視点を踏まえた指導方法の不断の見直し

・いじめ・不登校、特別支援教育、

帰国・外国人児童生徒等の増加、

貧困問題への対応など学校に求め

られる役割の拡大

・組織的な学校マネジメントが必要

・学校の事務内容が複雑化・高度化

・我が国の教員は、国際的に見て、

勤務時間が長い

・保護者や地域からの要望の内容が

複雑化・高度化

「チームとしての学校」の実現

地域社会

教諭

校長

教諭

教諭

教諭

教諭

教諭

教諭

事務職員

副校長・教頭

スクールカウンセラースクールソーシャルワーカー

現 状 ・ 課 題

「チームとしての学校」実現のイメージ

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①管理職の適材確保○教職大学院等への派遣や、主幹教諭等を経験

させることによる、管理職の計画的な養成○マネジメント能力を身に付けさせるための管理職

研修を充実させるためのプログラムの開発

(1)専門性に基づくチーム体制の構築

(2)学校のマネジメント機能の強化

(3)教員一人一人が力を発揮できる環境の整備

専門性に基づく「チームとしての学校」を機能させるため、優秀な管理職を確保するための取組や、主幹教諭の配置促進、事務機能の強化などにより、校長のリーダーシップ機能を強化し、これまで以上に学校のマネジメント体制を強化する。

①教職員の指導体制の充実○アクティブラーニングの実施やいじめ、特

別支援教育、帰国・外国人児童生徒等の増加、子供の貧困等に対応した必要な教職員定数の拡充

○指導教諭の配置促進等による指導体制の充実

②教員以外の専門スタッフの参画○心理や福祉に関する専門スタッフの学校における位

置付けを明確にし、配置充実につなげるため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを法令に位置付け

○学校図書館の利活用の促進のため、学校司書の配置を充実

○教員に加え、部活動の指導、顧問、単独での引率等を行うことができる職員として、部活動指導員(仮称)を法令に位置付け

○医療的ケアが必要な児童生徒の増加に対応するため、医療的ケアを行う看護師等の配置を促進

③地域との連携体制の整備○地域との連携を推進するため、地域連携

担当教職員(仮称)を法令上明確化

②主幹教諭制度の充実○管理職の補佐体制の充実のため、加配措置の

拡充による主幹教諭の配置の促進○主幹教諭の活用方策等の全国的な展開のため、

具体的な取り組み事例に基づく実践的な研修プログラムを開発

③事務体制の強化○事務職員について、管理職を補佐して学校運営に

関わる職として、学校教育法上の職務規定を見直し○学校の事務機能強化を推進するため、事務の共同

実施組織について、法令上明確化

①人材育成の推進○教職員の意欲を引き出すため、人事評価の結果

を任用・給与などの処遇や研修に適切に反映○教職員間や専門スタッフとの協働を促進するため、

文部科学大臣優秀教職員表彰において、学校単位等の取組を表彰

②業務環境の改善○「学校現場における業務改善のためのガイドライン」

等を活用した研修を実施○教職員が健康を維持して教育に携わることができる

よう、ストレスチェック制度の活用など、教職員のメンタルヘルス対策を推進

③教育委員会等による学校への支援の充実○学校の指導方法の改善等を支援するため、小規

模市町村において、専門的な指導・助言を行う指導主事の配置を充実

○弁護士等による、不当な要望等への「問題解決支援チーム」を教育委員会が設置することへの支援

「チームとしての学校」のイメージ

3.「チームとしての学校」を実現するための具体的な改善方策

教員が、学校や子供たちの実態を踏まえ、学習指導や生徒指導等に取り組むことができるようにするため、指導体制の充実を行う。加えて、心理や福祉等の専門スタッフについて、学校の職員として法令に位置付け、職務内容等を明確化すること等により、質の確保と配置の充実を進める。

教職員がそれぞれの力を発揮し、伸ばしていくことができるようにするため、人材育成の充実や業務改善等の取組を進める。

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<社会に開かれた教育課程>

① 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会づくりを目指すという理念を持ち、教育課程を介してその理念を社会と共有していくこと。

② これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合っていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化していくこと。

③ 教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。

これからの教育課程の理念

(平成27年8月 中教審教育課程企画特別部会の論点整理より)

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「チームとしての学校」像

<「チームとしての学校」像>

校長のリーダーシップの下、カリキュラム、日々の教育活動、学校の資源が一体的にマネジメントされ、教職員や学校内の多様な人材が、それぞれの専門性を生かして能力を発揮し、子供たちに必要な資質・能力を確実に身に付けさせることができる学校

平成27年12月中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」より

■学校における協働の文化の必要性

多様な経験や専門性を持った人材を学校教育で生かしていくためには、教員が、子供たちの状況を総合的に把握して指導を行い、成果をあげている面にも配慮しながら、教員が担うべき業務や役割を見直し、多職種による協働の文化を学校に取り入れていくことが大切である。

■多様な職員で構成される組織において求められるマネジメント

校長は、(中略)子供や地域の実態等を踏まえ、当該学校の「チームとしての学校」の在り方について、学校の教育ビジョン等の中で明確に示し、教職員と意識や取組の方向性の共有を図ることが必要である。

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平成27年12月中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」より

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校長は、校の長として、リーダーシップを発揮するために、まず、子供や地域の実態を踏まえ、学校の教育ビジョンを示し、教職員の意識や取組の方向性の共有を図ることが重要である。

それに当たって、「チームとしての学校」における校長には、多様な専門性を持った職員を有機的に結びつけ、共通の目標に向かって動かす能力や、学校内に協働の文化を作り出すことができる能力などの資質が求められる。

また、学校の教育活動の質を高めるためには、校長の教育的リーダーシップが重要であり、教育指導等の点で教職員の力を伸ばしていくことができるような資質も求められている。

校長は、学校という組織で求められるマネジメントの能力と、組織一般で有効なマネジメントの能力をバランス良く身に付ける必要がある。

中教審答申で示された校長のリーダーシップ発揮の在り方

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平成27年12月中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」より9

(教員の業務の見直し)「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善や「カリキュラム・マネジメント」の取組等を進めていくためには、教員の業務を見直し、教員が携わってきた従来の業務を、以下の(a)~(d)の観点から見直し、こうした区分を参考に、専門スタッフとの間で連携・分担を行い、学校の教育力を最大化していくことが必要である。・ 教員が行うことが期待されている本来的な業務(a)・ 教員に加え、専門スタッフ、地域人材等が連携・分担することで、より効果を上げることができる業務(b)

・ 教員以外の職員が連携・分担することが効果的な業務(c)・ 多様な経験を有する地域人材等が担うべき業務(d)今後、学校に多様な専門スタッフを置き、教員が(a)の業務により専念できるようにす

ることが重要である。(中略)ただし、諸外国と比較した場合、我が国の教員は、学習指導、生徒指導等、幅広い業務を

担い、子供たちの状況を総合的に把握して指導に当たってきたことが教育の成果につながっていると考えられることから、専門スタッフの参画は、学校において単なる業務の切り分けや代替を進めるものではなく、教員が専門スタッフの力を借りて、子供たちへの指導を充実するために行うものである。言い換えれば、教員が専門スタッフに業務を完全にバトンタッチするのではなく、両者がコラボレーションし、より良い成果を生み出すために行うものである。

中教審答申で示された教員の業務の見直しの視点

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事務職員は、学校運営事務に関する専門性を有している、ほぼ唯一の職員である。教育委員会によっては、学校組織マネジメントを効率的・効果的に行うための学校経営職員として位置づけ、総務・財務等に関する事務以外の職務(地域連携や学校評価、危機管理等)にも事務職員が積極的に携わっている例も見られる。今後、事務職員には、その専門性等も生かしつつ、より広い視点に立って、副校長・教頭とともに校長を学校経営面から補佐する学校運営チームの一員として役割を果たすことが期待される。(中略)

教員が、より子供と向き合う仕事に取り組み、副校長・教頭が教員への指導等に取り組むことができるように、副校長・教頭や教員が行っている管理的業務や事務的業務に関して事務職員が更に役割を担うことも効果的と考えられることから、学校事務体制の充実を図ることが必要である。(後略)

(改善方策)・ 国は、事務職員の職務規定等を見直し、事務職員が、学校における総務・財務等の専門性等を生かし、学校運営に関わる職員であることについて法令上、明確化することを検討する。・ 国は、事務職員の標準的な職務内容を示すことを検討する。・ 学校事務体制の強化を図るための定数措置など、事務体制の一層の充実を図る。

平成27年12月中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」より 10

中教審答申で示された事務体制の強化の視点

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教員以外の専門スタッフ等が担ったり、関わったりすることで、より効果を上げることができる業務

・授業・学習指導(授業計画・準備、採点、

通知表作成等)

・学級経営(学級担任等)

・生徒指導(面談、進路指導等)

・学校行事(入学式・卒業式・

修学旅行・遠足等)

・子供の心理的サポート・家庭環境の福祉的ケア

教員

事務職員学校司書ICT専門員スクールカウンセラースクールソーシャルワーカー部活動指導員など

・通級指導など特別支援教育

・小学校英語等の専科指導

・いじめ・道徳対応の強化

・アクティブ・ラーニングの視点

からの不断の授業改善

新たな教育課題への対応のために必要な業務

学校現場の業務 現在の役割分担 「チームとしての学校」における役割分担

教員以外の職員が行う事が効果的な業務

・学校運営事務・学校図書館業務・学校ICT化業務

理科の実験支援員学習サポーター など

教員

多様な経験等を有する地域人材等が担うべき業務

・指導補助業務(土曜日の活動支援等)

サポートスタッフ

教員が行うことが期待されている本来的な業務

上記以外の業務

新たな課題への対応に必要な教員の体制の充実が必要

教員が多様な業務を担っている

授業・学級経営・生徒指導に一層専念

専門能力スタッフ

教員

「チーム学校」の実現による学校の教職員等の役割分担の転換(イメージ)

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小中学校で障害に応じた特別な指導(通級指導)を受ける子供が増加 不登校の子供の割合が増加 学用品費等の援助を受けている子供が増加

大部分の教員が仕事量や保護者対応を負担に感じている

(出典)文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」 (出典)文部科学省調べH5 H25 H5 H25 H7 H24 H7 H24

小学校 中学校 要保護 準要保護

2.1倍 2.2倍 1.8倍 2.1倍

0.17%0.36%

1.24%2.69% 8.7

万人

15.3万人

67.9万人

139.9万人

◎課題は複雑化・困難化している

◎学校や教員の仕事は拡大し、多様化している

(出典) 文部科学省委託「教員勤務実態調査(H18)より作成

8割の親が家庭の教育力の低下を実感

(出典) 文部科学省委託「家庭教育の活性化支援等に関する特別調査研究」(H20)

学習指導要領の改訂で授業時数は増加

旧指導要領 新指導要領 旧指導要領 新指導要領

小学校 中学校

5367時間

5645時間

+約300時間

2940時間

3045時間

+約100時間

現在の学校の役割

生徒指導 町内会・地域協力活動

通学路の安全確保

学校開放

土曜日の活動

授 業

グローバル化知識基盤社会

学校行事 部活動

総合学習

小学校英語 etc.

保護者対応

かつての学校の役割

授 業

生徒指導 学校行事 部活動

学校・教員の役割(イメージ)

地域住民の期待

※欧米では、教員の仕事は授業が中心。生徒指導・進路指導の比重が少ない。

我が国の学校現場をとりまく課題は複雑化・多様化している

我が国の教育を取り巻く状況

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教員,56%

教員以外の専門スタッフ, 44%

教員,82%

教員以外の専門スタッフ, 18%

日本(※)

○初等中等教育学校の教職員総数に占める教員以外の専門スタッフの割合

教員,51%

教員以外の専門スタッフ, 49%

イギリスアメリカ

専門スタッフの割合の国際比較

14

出典:文部科学省「学校基本調査」(平成27年度)、”Digest of Education Statistics 2014”、“School Workforce in England November 2013”

※1 日本は小・中学校に関するデータ

※2 日本における専門スタッフとは、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、事務職員、学校栄養職員、学校図書館事務員、養護職員、学校給食調理従事員、用務員、警備員等を指す

※3 アメリカにおける専門スタッフとは、ソーシャルワーカー、医療言語聴覚士、就職支援員等を指す

※4 イギリスにおける専門スタッフとは、司書、メンター、医療及び看護職員等を指す

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これからの学校と地域の目指すべき連携・協働の姿

今後、学校や地域が抱える様々な課題に社会総掛かりで対応するためには、学校と地域の関係を、新たな関係として、相互補完的に連携・協働していくものに発展させていくことが必要。学校と地域は、お互いの役割を認識しつつ、共有した目標に向かって、対等な立場の下で

共に活動する協働関係を築くことが重要。

学校 地域

パートナーとしての連携・協働関係

双方向性

対等性

教育課程内外を通じ、子供たちが積極的に地域で学ぶ、地域課題の解決に取り組む視点(学校と地域がともに魅力を高める視点)

学校依存ではなく、地域社会がより積極的・主体的に教育活動を展開する視点(地域社会が教育の当事者として役割・責任を果たす視点)

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「開かれた学校」から更に一歩踏み出し、地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子どもたちを育む

『地域とともにある学校』へと転換していくことを目指して、取組を推進していく必要。

地域とともにある学校への転換

コミュニティ・スクールは、育てたい子供像、目指すべき教育のビジョンを保護者や地域と共有し、目標の実現に向けてともに協働していく仕組み。学校と地域の連携・協働体制が組織的・継続的に確立され、協働の基盤が確固たるものに。

コミュニティ・スクールは地域とともにある学校づくりの有効なツール

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具体的な権限を有し学校運営に参画

地教行法に位置づけ

コミュニティ・スクールコミュニティ・スクール

組織的・継続的な体制の構築 = 持続可能性

当事者意識・役割分担 = 社会総掛かり

コミュニティ・スクールの主なメリット

基本方針の承認 目標・ビジョンを共有した協働活動

学校と地域とが、共通の課題意識や目標等を共有するとともに、設定した目標の達成にむかって、ともに前進し行動している実感が、当事者意識やモチベーションの向上につながり、学校はよりよく発展していく。

コミュニティ・スクールと学校支援等の取組の一体的・効果的な推進へ17

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地域全体で未来を担う子供たちの成長を支える仕組み (活動概念図)

家庭教育学校教育

教育NPO

民間教育事業者

PTA

文化団体

企業・経済団体

地域の青少年

地域の高齢者

福祉関係機関・団体

大学等

★より多くの、より幅広い層の地域住民、団体等が参画し、目標を共有し、「緩やかなネットワーク」を形成

◎ 次代を担う子供に対して、どのような資質を育むのかという目標を共有し、地域社会と学校が協働。

◎ 従来の地縁団体だけではない、新しいつながりによる地域の教育力の向上・充実は、地域課題解決等に向けた連携・協働につながり、持続可能な地域社会の源となる。

社会教育関係団体

研究機関

スポーツ団体

地域の成人

労働関係機関・団体

土曜日・放課後活動

まちづくり

子供

地域活動

学校支援

子供の学習支援

家庭教育支援活動

社会教育地域学校協働活動

※公民館等の活動を含む

:活動

:地域住民、団体等

活動に応じて連携・協働

警察・消防等

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今後の地域における学校との協働体制(地域学校協働本部)の在り方 ~目指すべきイメージ゙~

地域学校協働本部

地域学校協働本部

(1)コーディネート機能

(2)多様な活動(より多くの地域住民の参画)

(3)継続的な活動

(1)コーディネート機能

(2)多様な活動(より多くの地域住民の参画)

(3)継続的な活動

社会教育のフィールドにおいて、地域の人々や団体により「緩やかなネットワーク」を

形成した任意性の高い体制。地域の実情に応じて活動内容を選択して実施。

社会教育のフィールドにおいて、地域の人々や団体により「緩やかなネットワーク」を

形成した任意性の高い体制。地域の実情に応じて活動内容を選択して実施。

学校支援活動

土曜日の教育活動

放課後子供教室

家庭教育支援活動

地域社会における地域活動

学びによるまちづくり

【これまでの課題】・それぞれの活動ごとにコーディネートがなされ、必ずしも横の

連携が十分でない。・コーディネート機能の大部分を特定の個人に依存し、結果とし

て、持続可能な体制がつくられていない場合も多い。

学校支援活動・登下校の見守り・花壇整備・授業補助 等

放課後子供教室

土曜日の教育活動

家庭教育支援活動

活動に関わる地域住民(ボランティア)

学校支援地域本部※ 地域の特色・方針により、学校支援活動以外の活動の調整を行う場合有り

支援

コ コーディネーター

・コーディネート機能の充実

・個別の活動の総合化・ネットワーク化

・「支援」から「連携・協働」へ

参画

参画

参画

活動に関わる地域住民(ボランティア)

参画

参画

連携・協働

連携・協働参画

参画

参画

参画

参画

参画

今後現在

19

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◆地域と学校がパートナーとして、共に子供たちを育て、共に地域を創る。

◆地域と学校が連携・協働して、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支えていく活動を「地域学校協働活動」として、その取組を積極的に推進。

◆従来の学校支援地域本部、放課後子供教室等の活動を基盤に、「支援」から 「連携・協働」、個別の活動から総合化・ネットワーク化を目指す新たな体制としての「地域学校協働本部」へ発展。

◆地域学校協働本部には、①コーディネート機能、②多様な活動、③持続的な活動の3要素が必須。

◆地域学校協働本部の実施を通じて、教職員と地域住民等との信頼関係が醸成され、コミュニティ・スクールの導入につながっていく効果も期待。

◆地域学校協働活動の全国的な推進に向けて、地域学校協働本部が、早期に全小・中学校区をカバーして構築されることを目指す。

「支援」から「連携・協働」、「個別の活動」から「総合化・ネットワーク化」へ

地域における学校との協働体制の今後の方向性

20平成27年12月中教審答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」より

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「次世代の学校」の創生に必要不可欠な教職員定数の戦略的充実「次世代の学校」の創生に必要不可欠な教職員定数の戦略的充実

未来を担う子供たちのために 「次世代の学校」の創生へ~平成27年12月21日 中教審3答申~

子供

スクールカウンセラー

スクールソーシャルワーカー

地域連携の中核を担う教職員

教員をバックアップする多様なスタッフ

・・・・・・

学校の組織運営改革(⇒チーム学校)

教員

校長

子供へのカウンセリング等に基づくアドバイス校内研修の実施 等

学校運営協議会

子供たちが自立して活躍する「一億総活躍社会」「地方創生」の実現

地域学校協働本部

・校長のリーダーシップを応援・地域のニーズに応える学校づくり

授業等の学習指導生活指導・保護者対応 等

地域の人々が気軽に参加して

学校の活動を支援

保護者・地域住民・企業等連携・協働

教員改革(⇒資質向上)

ベテラン段階

養成・採用・研修を通じた不断の資質向上

中堅段階

1~数年目

採用段階

養成段階

教員育成指標

現職研修改革

採用段階の改革

養成段階の改革

・管理職研修の充実・マネジメント力強化

・ミドルリーダー育成・免許更新講習の充実

・チーム研修等の実施・英語・ICT等の課題へ対応

・採用試験の共同作成・特別免許状の活用

・インターンシップの導入学校現場や教職を早期に体験

・教職課程の質向上

答申①←教育再生実行会議第7次提言

・土曜日の教育活動・放課後子供教室・家庭教育支援活動 等

保護者

子供への個別カウンセリングいじめ被害者の心のケア 等

困窮家庭への福祉機関の紹介保護者の就労支援に係る助言 等

←都道府県が策定

←国が大綱的に提示育成指標策定指針

答申②←教育再生実行会議第7次提言 答申③←教育再生実行会議第6次提言

コミュニティ・スクール

地域からの学校改革(⇒地域参画促進)

要・法改正:免許法、教員センター法、教特法 要・法改正:学校教育法、地方教育行政法

要・法改正:地方教育行政法

要・法改正:社会教育法

校長の

リーダーシップの下学校を運営

・学校運営の基本方針・学校運営や教育活動 等

事務職員

予算の執行管理、情報管理等により校長のマネジメントを支える

※共同実施により学校の事務を効率化

21

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2.教育支援とチーム学校

22

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「教育支援」という概念

学校教育における「チーム」(連携・協働)による教育活動の広がり

• 学校教育の質的充実に対する社会的要請の高まり

• 多様化・複雑化する子どもの状況への対応と教師の多忙化

• 「チーム学校」「コミュニティスクール」「地域学校協働本部」「放課後子ども教室」「訪問型家庭教育支援チーム」等の教育政策

(学校)教育に対する「支援者」の制度化

=「教育支援」の拡大局面

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「教育支援」とは

(1)教育支援とは、子どもを支援する場合と教育

者を支援する場合の2つを含む、学びに関

わる他者の行為への働きかけであり、

(2)その意図を理解しつつ、補助・連携・協働す

ることを通して、

(3)教育の営みの質を維持・改善する一連の活動

を指し、

(4)最終的には、「学び」ということがらをなす、子ど

もの力をつけることをいう。

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「補助/連携/協働」の違い

主体主主体

主体または

主主体

主体

主体 主体

補助

連携

協働

主主体

assist

coordinate

collaborate

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教育支援の種類

• 子ども支援

→ 最善の利益、心身の健康、専門職

• 学校教育支援

→ 共通の内容、先生

• 社会教育支援

→ 開かれた内容、双方向

• 家庭教育支援

→ 土台、個性、保護者

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学校教育支援の種類• 補助的教育支援 … 子どもの登下校の安全管理や、

学校内外の環境整備(植栽・芝生の手入れ、修繕等)、行事等の手助けなど、教員の補助を行う活動

• 連携的教育支援 … 学校とは異なる活動主体(支援専門職、地域住民、各種団体、企業等)が、それぞれの活動を行うにあたって学校と連絡を取り合い協力して行う活動

• 協働的教育支援 … 支援専門職、地域住民、各種団体、企業などが、学校教育を担う一員として、教員と協働する活動

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社会教育社会教育

学校教育学校教育 子ども

生活指導

教科指導

地域住民等 専門職員

家庭教育

課外指導

企業社員

チーム学校

地域学校協働

教員支援

子供支援

協働的支援

協働的支援

連携的支援

チームアプローチの範囲

学校を中心とした教育支援の現在

ウンセラースクールカウンセラー ルワーカー

スクールソーシャルワーカー

協働的支援

協働的支援

教職員

連携的支援

教育委員会

連携的支援

健康(心・体) 社会福祉

保護者

専門職員

専門職員

福祉部局

補助的支援

補助的支援

補助的支援

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教育支援人材とは

○教育支援人材 … 教育支援を行う者として役割遂行

能力を持つ人

○教育支援職(専門職) … 学校教職員の職能では十

分でない「専門的な技能」を有するとともに、学

校教職員の意図を理解し協働や連携を図りな

がら、教育の質を維持、改善し教職員のエンパ

ワーメントを図る役割を、主たる生計を得る生業

との関係の中で*担うもの

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specialty

collaboration

教育支援者の類型(professionality)

(1)専門職としての教育支援者

(3)補助者としての教育支援者

(2)特別分野を持った教育支援者

(4)調整者としての教育支援者

「補助的支援」

「連携的支援」

「協働的支援」

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教育支援職の種類

• 「学校教育従事者」(「チーム学校」を構成専門職・指導者、教育委員会・各種行政職を含む)」としての教育支援職

• 社会教育専門職①、健康・社会福祉専門職②、企業社員③、行政職④、各種団体職員⑤等、「学校外」に主たる生計を得る生業の場がありながら、その生業が学校との「連携」「協働」を、その職の中に含む教育支援職

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「信頼」と専門性

知識基盤社会における「指導者」の変化●「教える/学ぶ」関係の原型は「弟子入り」にあり…本物の文化の

担い手(ex.武道、芸術、茶道、職人)である「師匠」と「弟子」→ しかし、近代になって「学校」での「教える/学ぶ」はこの関係で

はなく,新しい情報は学校にあり,それは示されており,むしろ「教え方がうまいこと」が教師の専門性になった

…文化の担い手ではない「先生」

●ところが、情報化が進む社会にあって、「教えること」の情報は学校外にも豊か→教え方がうまい、だけでは通じない時代の到来

●「コーディネーター」としての専門性 ex.「検索サイト」の存在

「信用」と「信頼」

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学校教員に求められる「チームアプローチ力」

• こどもの学び … 教育資源を社会の中に広く求めて「出会いと変容」をよりドラスティックに(キーコンピンシー、21世紀型スキル、「練り上げる知識」)

• 地域の学び … 学びを活用することを通して「出会いと変容」を持続的にものに

• こどもの生活 … 教育と福祉の連携・一体化による「すべてのこども」を護ることへ

• 地域 … 教育と支援の連鎖の中に、循環的な人のつながりとソーシャルキャピタルの蓄積

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教員の専門性をめぐる基盤の変化を、今後の教員養成・採用・研修においてどう受け止めるのか …「チームアプローチ力」という課題

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弱いつながりの職能集団(拡張的アプローチ)

強いつながりの職能集団(共同的アプローチ)

チームアプローチ グループワーク

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学校をプラットホームとした連

携・協働

学校の変化=地域全体の学びの「プラットホーム」としての学校

こどもの学びの活性化

地域の学びの活性化

こどもの十全な生活の保障

地域の生活(コミュニティの再構

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