2012  口腔微生物学 10 月 2 日

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2012  口腔微生物学 10 月 2 日. 口腔微生物学講座;前田伸子. セッション1; フローラとしての歯垢. Ⅰ  口腔微生物学概論 2 歯垢. 学習目標. ①  歯垢の形成機序を説明する。 ②  歯垢の組成を説明する。 ③  口腔各部の歯垢の特徴を説明する。 ④  ペリクルを説明する。 ⑤  バイオフィルムとしての歯垢を説明する。 ⑥  歯垢の石灰化(歯石形成)のメカニズムを説明する。 ⑦  歯肉縁上・縁下歯石の特徴を説明する。. 歯垢; Dental Plaque Plaque とは. Plaque ;額、飾り板    (解・動)斑点. 歯垢の定義. - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日
Page 2: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

セッション1;フローラとしての歯垢

Ⅰ 口腔微生物学概論 2 歯垢

Page 3: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

学習目標① 歯垢の形成機序を説明する。② 歯垢の組成を説明する。③ 口腔各部の歯垢の特徴を説明する。④ ペリクルを説明する。⑤ バイオフィルムとしての歯垢を説明する。⑥ 歯垢の石灰化(歯石形成)のメカニズムを説明する。⑦ 歯肉縁上・縁下歯石の特徴を説明する。

Page 4: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢;Dental PlaquePlaqueとは

Plaque;額、飾り板   (解・動)斑点

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歯垢の定義

 十分な清掃がされていない歯面・補綴物表面に形成される

柔らかい非石灰性の細菌性沈着物=硬組織上のフローラ

Page 6: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢の形成機序

●獲得被膜(ペリクル)の形成

●初期歯垢の形成

●歯垢の成熟化

Page 7: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

獲得被膜( Acquired Pellicle;ペリ

クル)の形成

萌出後の歯の表面に形成

された有機性被膜

Page 8: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢形成

唾液中のタンパク/糖タンパク

獲得被膜:ペリクル

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ペリクルを構成する唾液中の特定のタンパク( PRPsと PRG)

●Prolin rich proteins; PRPs

● Prolin rich glycoprotein

=mucin(ムチン)

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唾液タンパクはどのように歯面と結合するか?

① 歯面のヒドロキシアパタイトの

リン酸基と唾液タンパクが直接結合

→酸性唾液タンパクのカルボキシル基

→塩基性唾液タンパクのアミノ基

Page 11: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

唾液タンパクはどのように歯面と結合するか?

②唾液中の Ca2 +イオンを介するイオン結合

→アパタイト表面も唾液タンパクも陰性に荷電している

Page 12: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

唾液タンパクはどのように歯面と結合するか?

③ 口腔細菌が持つノイラミニダーゼが関係する結合→唾液糖タンパクのシアル酸を加水分解→糖タンパクは変性し不溶性となって歯面に吸着

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ペリクルの役割

●エナメル質の保護

→物理的バリヤー

→エナメル質表層脱灰部分の再石灰化

●歯垢細菌への足がかり=歯垢形成の

            第1歩

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歯垢の形成機序

●獲得被膜(ペリクル)の形成

●初期歯垢の形成

●歯垢の成熟化

Page 15: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

増殖・菌体外マトリックス産生増殖・菌体外マトリックス産生

菌体外マトリックス

浮遊浮遊微生物(微生物( Planktonic cellsPlanktonic cells))

早期定着微生物(早期定着微生物( Early colonizersEarly colonizers))

接着・付着接着・付着

初期歯垢の形成

Page 16: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

ペリクルへの細菌の付着細菌の付着様式●静電気的作用●疎水作用●菌体表面のアドへジンとレセプター●菌体外多糖体

アドへジンレセプター

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細菌の線毛

線 毛アドヘジン

Page 18: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

早期定着菌とは?

全ての細菌種が同じようにペリクルに付着し初期歯垢を形

成するわけではない

初期歯垢を形成する

細菌種を早期定着菌と呼ぶ

Page 19: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

早期定着菌の種類●Streptococcus gordonii

● Streptococcus oralis

● Streptococcus sanguinis

●Acinomyces naeslundii

● Actinomyces viscosus

Page 20: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢の形成機序

●獲得被膜(ペリクル)の形成

●初期歯垢の形成

●歯垢の成熟化

Page 21: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

Micro-coloniesMicro-colonies

後期定着微生物(後期定着微生物( Late colonizersLate colonizers))異種微生物の凝集異種微生物の凝集菌体外マトリックスの増加菌体外マトリックスの増加

共凝集・共接着(共凝集・共接着( CoadhesionCoadhesion ))

唾液唾液唾液唾液

歯垢の成熟化

Page 22: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢の成熟化

●異種の微生物どうしの共凝集

●菌体外マトリックスの産生

Page 23: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

異種の細菌どうしの共凝集

Page 24: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

菌体外マトリックスの産生

菌体外へ多量の多糖体を産生

菌体外多糖体へ細菌が凝集

 

菌体外マトリックス;微生物が与えられた場に定着するために産生する粘着性物質

Page 25: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

複数の細菌種と共凝集することが知られている細菌

●Streptococcus oralis

● Streptococcus gordonii

● Actinomyces viscosus

○Fusobacterium nucleatum

○Porphyromonas gingivalis

●早期定着菌でもあるので初期歯垢と成熟歯垢をつなぐ細菌種○後期定着菌

Page 26: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

成熟歯垢に見られるコーンコブ

比較的大きな桿菌を軸にして周囲に球菌が付着した状態をコーンコブ(トウモロコシの穂軸)状と表現し、これが成熟歯垢の特徴の一つである

Page 27: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯肉縁上と縁下歯垢の違い

歯肉縁上 歯冠部

唾液

歯冠部

歯肉

歯根部セメント質

ab

c

歯肉縁下歯垢には歯根部セメント質に付着するもの( a )、歯肉溝液内で浮遊するもの( b )、歯肉に付着するもの( c )の3つに分けられ、いずれにしても歯肉溝液の影響を受ける

   歯肉の毛細血管から血清成分が歯肉溝液として滲出

 

 

歯肉縁下

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歯垢の組成

菌体外マトリックスとしておもに多糖体 = 菌体外多糖体

Page 29: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

菌体外多糖体グルカン、フルクタン

基質となるスクロース

グルコース フルクトース

CH2OH

O

OH

OHOH

O

CH2OHOH

OH

OCH2OH

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グルカン

O

O

O

O

1

1

1

2

2

2

3

3

3

4

6

6

6

O

O

O

3

6

4

1-6 結合

1-4 結合

1-3 結合

不溶性

水溶性グルコース重合体

Page 31: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

フルクタン

CH2OH

O O

CH2OH

OHH2C

1

2

3

45

6

2-6 結合水溶性

フルクトース重合体

Page 32: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

成熟歯垢

●配管システムのようなものが形成される

●微生物どうしの関わりあいがある

成熟した歯垢は細菌の共同体となり生態系の構成員となる

Page 33: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢内に形成される配管システム

酸素・栄養分 老廃物

バイオフィルム

Page 34: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

バイオフィルムの特徴

●液体が流れる通路(チャンネル)を持つ。●内部の微生物の代謝活性は低く冬眠状態である。●バイオフィルムから離れた浮遊菌は活性が高い。●バイオフィルム内で微生物どうしで情報を交換 する。●バイオフィルム内の微生物を攻撃するものに 抵抗する

Page 35: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

微生物どうしの関わりあい

Veillonella

Streptococcus Lactobacillus

乳酸

利用

産生

利用

共生; Symbiosis

Page 36: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

微生物どうしの関わりあい

Streptococcus Lactobacillus

乳酸

利用

産生

Veillonella以外の多くの微生物

抑制

拮抗; Antagonism

Page 37: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

歯垢はバイオフィルム

バイオフィルムを構成するもの●微生物の集団●菌体外マトリックス(糖衣; glycocalyx)

自然界に広く存在するバイオフィルムとは固相と液相の界面に形成される微生物と菌体外マトリックスの集合体

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バイオフィルムとしての歯垢

液相としての唾液

固相としての歯面

菌体外マトリックス

多種多様な微生物種

Page 39: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

バイオフィルムの特徴

●液体が流れる通路(チャンネル)を持つ。●内部の微生物の代謝活性は低く冬眠状態である。●バイオフィルムから離れた浮遊菌は活性が高い。●バイオフィルム内で微生物どうしで情報を交換 する。●バイオフィルム内の微生物を攻撃するものに 抵抗する

Page 40: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

バイオフィルムを制御するクオラムセンシング

クオラムセンシングとは自分と同種の細菌の生息密度を感知して、それに応じて物質の産生をコントロールとともに情報を交換する機構がある!

クオラムセンシングを行う細菌は細胞内でオートインデューサーと呼ばれる物質を産生している

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オートインデューサー

バイオフィルム内の細菌が少数の場合;細胞内で産生されたオートインデューサーは細胞外に拡散し結果的に細胞内濃度が低くなる→オートインデューサーによる物質産生を促す働きは弱い

オートインデューサー

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オートインデューサーバイオフィルム内の細菌が多数の場合;細菌を取り巻く環境中のオートインデューサー濃度が上昇→特定の物質産生が盛んに起こり、物質の濃度が高くなる

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● グラム陽性菌 = ペプチドフェロモン

●グラム陰性菌 = ホモセリンラクトン

オートインデューサーの種類

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●薬剤耐性●走化性●発育スピード●毒素産生性など

オートインデューサーにより産生が制御される物質

Page 45: 2012  口腔微生物学 10 月 2 日

バイオフィルムの特徴

●液体が流れる通路(チャンネル)を持つ。●内部の微生物の代謝活性は低く冬眠状態である。●バイオフィルムから離れた浮遊菌は活性が高い。●バイオフィルム内で微生物どうしで情報を交換 する。●バイオフィルム内の微生物を攻撃するものに 抵抗する

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バイオフィルムの抵抗性

●生体内なら食細胞●生体内や環境では抗菌薬/消毒薬

①菌体外マトリックスの物理的保護作用②内部の微生物の代謝活性が低い

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Candida albicans

Staphylococcus aureus

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プレ/ポストテスト 10/2/12 正しいのは a に誤っているのは b にマークして下さい。

① 歯垢とは歯の硬組織表面に付着した食物残渣である。

② 唾液中の糖が付着して有機性被膜であるペリクルが形成される。

③ ペリクルなしで細菌が硬組織表面に付着することはない。

④ ペリクルの役割の一つとして硬組織表面の物理的に保護する働きがある。

⑤ ペリクルへの細菌の付着はアドヘジンとレセプターによるものが最も強固である。

⑥ 全ての口腔内の細菌がペリクルに同じような強さで付着する。

⑦ 初期歯垢の中心になる細菌を早期定着菌と呼ぶ。

⑧ 細菌同士の共凝集が歯垢の成熟化を促す。

⑨ 歯垢の湿重量の約 30 %が微生物細胞である。

⑩ 菌体外多糖体にはグルカンとフルクタンがある。

⑪  グルカンの基質となるのはグルコースである。

⑫  微生物どうしの関わり合いには共生と拮抗がある。

⑬  歯垢もバイオフィルムの1種である。

⑭  バイオフィルム内の微生物は活発に増殖している。