平成28年度スポーツ関連産業振興戦略推進事業...

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1 1.体感型沖縄レジャースポーツプロモーションプラン 〜体感を、体験へ〜 早稲田大学 松岡ゼミ 2.企画内容 近年注目されている 360 度動画という強力なコンテンツは、沖縄のレジャースポーツと掛け 合わせることで更に魅力的なプロモーションコンテンツになり得る。私達は、沖縄県が主体と なり運営する、「360 度動画を活用した web 事業」と「沖縄スポーツ VR 体験事業」(以降それ ぞれ web 事業、VR 事業)を提案する。本事業は沖縄のレジャースポーツの魅力を人々に発信し、 沖縄県のスポーツ産業に貢献することを目的としている。 ※360 度動画と VR とは 360 度動画とは、全周囲を撮影可能な特殊カメラを用いて撮影された動画のことで、再生中に画 面の視点を前後左右上下に自由に変更できるものを指す。 VR とは Virtual Reality(仮想現実)のことで、目の前の世界と 別の世界を人工的に作り体験することを指す。ここで述べる 「VR体験」とは、360度動画を専用の動画再生機器であるHMD(ヘ ッドマウントディスプレイ)を用いて再生することを指す(イ メージ図左)。 ●web 事業 (1)事業内容 沖縄のレジャースポーツを 360 度動画で紹介するサイトを制作する。動画コンテンツは、360 度 動画が撮影可能なカメラを沖縄のレジャースポーツ会社に貸し出して撮影してもらう。動画掲 載費は無料とし、ユーザーがその web サイトからアクティビティを予約した際の送客料を収益 とする。サイトの維持は県自ら行う。 (2)事業の流れ ①360 度動画を撮影出来るカメラを沖縄のレジャースポーツ会社に貸し出す ②撮影された動画コンテンツとそのアクティビティの内容・予約フォームを web に無料で掲載 ③ユーザーは PC やスマートフォンを通じて沖縄のレジャースポーツを 360 度動画で体感 ④やりたい!と思ったレジャースポーツを本サイトから予約してもらう ⑤送客することができた時に初めて 10%の送客料が発生(企業側の支出はここだけ)

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Page 1: 平成28年度スポーツ関連産業振興戦略推進事業 スポーツ関連ビジネス企画コンテスト 企画書 

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1.体感型沖縄レジャースポーツプロモーションプラン

〜体感を、体験へ〜

早稲田大学 松岡ゼミ

2.企画内容

近年注目されている 360 度動画という強力なコンテンツは、沖縄のレジャースポーツと掛け

合わせることで更に魅力的なプロモーションコンテンツになり得る。私達は、沖縄県が主体と

なり運営する、「360 度動画を活用した web 事業」と「沖縄スポーツ VR 体験事業」(以降それ

ぞれ web 事業、VR 事業)を提案する。本事業は沖縄のレジャースポーツの魅力を人々に発信し、

沖縄県のスポーツ産業に貢献することを目的としている。

※360 度動画と VR とは

360 度動画とは、全周囲を撮影可能な特殊カメラを用いて撮影された動画のことで、再生中に画

面の視点を前後左右上下に自由に変更できるものを指す。

VR とは VirtualReality(仮想現実)のことで、目の前の世界と

別の世界を人工的に作り体験することを指す。ここで述べる

「VR体験」とは、360度動画を専用の動画再生機器であるHMD(ヘ

ッドマウントディスプレイ)を用いて再生することを指す(イ

メージ図左)。

●web 事業

(1)事業内容

沖縄のレジャースポーツを 360 度動画で紹介するサイトを制作する。動画コンテンツは、360 度

動画が撮影可能なカメラを沖縄のレジャースポーツ会社に貸し出して撮影してもらう。動画掲

載費は無料とし、ユーザーがその web サイトからアクティビティを予約した際の送客料を収益

とする。サイトの維持は県自ら行う。

(2)事業の流れ

①360 度動画を撮影出来るカメラを沖縄のレジャースポーツ会社に貸し出す

②撮影された動画コンテンツとそのアクティビティの内容・予約フォームを web に無料で掲載

③ユーザーは PC やスマートフォンを通じて沖縄のレジャースポーツを 360 度動画で体感

④やりたい!と思ったレジャースポーツを本サイトから予約してもらう

⑤送客することができた時に初めて 10%の送客料が発生(企業側の支出はここだけ)

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(3)web サイトのレイアウト

(ⅰ) (ⅱ)

(ⅲ) (ⅳ)

web ページのイメージとして、上記の様なものを考えている。(ⅰ)の種目別にアクティビティ

を選ぶページや、(ⅱ)の様に沖縄の地域から選ぶページを作成する。(ⅲ)は季節からアクティ

ビティを選べ、夏だけではなく一年を通じてスポーツを行えることをアピールする。(ⅳ)の画

面で具体的なプラン情報を得る。左上に 360 度動画、右上にプラン詳細、左下に Twitter や

Instagram などの SNS で、タグ付けされた口コミを載せる。消費者は 360 度動画によってアクテ

ィビティをよりリアルに体験してイメージを湧かせ、タグ付けされた口コミによって体験者の

生の声を聞くことができる。

●VR 事業

(1)事業内容

沖縄のアンテナショップや旅行イベントの会場に VR 体験ブースを設置し、観光客に沖縄のレジ

ャースポーツを体感してもらう。その場でアクティビティの予約を可能にし、集客する。ブー

スで扱う企業からの参画費を収益とする。

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(2)事業の流れ

①360 度動画を撮影出来るカメラを沖縄のレジャースポーツ会社に貸し出す

②アンテナショップや旅行イベントなどでブースを設置し、撮影された動画コンテンツを来場

者に VR で体験してもらう。(ここでのブース出展料を収益とする)

③やりたい!と思ったレジャースポーツをその場で予約してもらう。

------------------------------------------------------------------------------------

下の表はこれ以降の項目をまとめたものである。

各項目に振られたローマ字と数字は以下より述べる項目に対応している。

Web 事業 VR 事業

沖縄固有性 A海、森、川などの沖縄の自然を活用

新規性、独創性 B1360 度動画 B2ハッシュタグ B1360 度動画

市場性 C沖縄に興味がある、個人旅行を考えている日本人

優位性 D 消費者、スポーツ事業社両者が使い易いプラット

フォーム

短期的将来性 E1他業種、アプリへの展開 E2 設置場所、ゲーム化等

長期的将来性 F 観戦スポーツ、ターゲットの拡大

サービス造成方法、費

用 G1 約 100〜250 万円

web 制作会社に委託、運営は県

G2 約 50〜250 万円

設置は外部委託、運営は県

サービス価格 H1 送客料として 10% H2 ブースの参画費

事業収支概算 I1 2960 万円 I2 1451 万 5 千円

販売促進方法 J1 レジャー会社:優位性を活かした営業

消費者:SNS 拡散、クーポン

J2 レジャー会社:優位性を活かし

た営業

消費者:web での告知

課題と解決歩法 K1 検索で出てくる順序の差

→課金などで対応

K2 職員の教育方法

→マニュアル作成、教育は外部委

持続可能性 L ウェアラブル端末の普及、電子広告の成長

県の産業への経済波及効果 M 旅行客数、旅行客単価の増加など

3.ビジネス企画の沖縄固有性・新規性・独創性

●沖縄固有性

【A】 海、森、川などの沖縄の自然を活用

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沖縄県の地域資源として一番に挙げられるのは海である。沖縄県が行った沖縄旅行への期待

度アンケートで、82.3%の人が海の美しさに期待していると答えており、最も印象に残った体

験活動として、54.8%の人が海水浴・マリンレジャーを挙げている。シュノーケリングやカヌ

ー、ダイビング等のマリンスポーツは、沖縄県の地域資源を最大限に活用し、満足度の高いス

ポーツである。

海の美しさに次いで期待したとされるのが、森や川の美しさである。53.3%もの人が期待し、

実際に 50.3%の人が満足したと答えている。森や川を利用した参加型スポーツとして、トレッ

キングやマラソン、ゴルフ等が挙げられる。久米島では、「日本で最も早いトライアスロン」

として2月にトライアスロンを開催している。このように、沖縄本島だけではなく、離島でも

自然を活かした参加型スポーツを数多く行える地域資源がある。その上、沖縄県は一年を通し

て暖かく、夏だけではなく冬にもスポーツを行える気候の優位性もある。

以上の様に、沖縄の地域資源を利用した参加型スポーツは期待度・満足度共に高い。本事業

で沖縄とこれらのスポーツの魅力を知ってもらい、沖縄への旅行意欲を高めてもらうことが大

事である。

(引用

http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/tourism_statistic_report/documents/h27chapter3.pd

f)

●新規性・独創性

【B1】 360 度動画を使ったサービス

2016年はVR元年と称され、国内外、

360 度動画・VR に注目が集まってい

る。日本国内では、JAL、横浜 DeNA

ベイスターズ、TOYOTA、東京ディズ

ニーリゾートなど、多くの企業でこ

のVR動画を活用したサービスを展開

している。VR 動画はマーケティング

ツールとして有効で、Youtube 上に掲

載された Coca-Cola の VR広告動画は、

2 次元の広告動画と比較して、最後ま

で見た人が 36%増えた。このように、

VR 動画の効果は今後さらに増していくと予想される。

2016年〜2020年のグローバルマーケット価値予想 トレンドフォース社調べ

(引用:http://press.trendforce.com/node/view/2210.html)

Page 5: 平成28年度スポーツ関連産業振興戦略推進事業 スポーツ関連ビジネス企画コンテスト 企画書 

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体験価値を重要視する観光産業とは非常に相性が良いとされ、HIS 等国内大手旅行代理店も VR

を積極的に活用しようとしているが、レジャースポーツの web サイトで VR 動画を利用している

サイトはない。本サービスで VR 動画を活用し、人々に沖縄のスポーツをリアルに体験してもら

うことで、他地域のレジャースポーツに差をつけることができる。

【B2】 ハッシュタグの活用

日本人観光客が何を参考にして旅行

計画を立てるのか調べた結果、「ネッ

トの検索」が主要になりつつあること

が分かった。また「SNS・個人のブログ・

動画サイト・口コミサイト」などを参

考にしている人が多いことから、より

リアリティのある情報を求めていると

考えられる。

私達が活用しようとしているハッシュ

タグとは、SNS 上でユーザー投稿のタグ

(付箋)として用いられる、ハッシュ

マーク(#)が付いたキーワードのこと。

(※)アライドアーキテクツ株式会社

「日本人女性 SNS ユーザーのハッシュ

タグ利用実態調査(2015 年・女性 4,563

名対象)」の調査結果によると、『「こ

れまでに SNS 上でハッシュタグを使っ

たことがあるか」という質問に対して

は、全体の 36%が「使ったことがある」

と回答。女性 SNS ユーザーの若年層においては、検索エンジンにキーワードを入力して情報を

探し出すという従来の検索行動の前に、まずはハッシュタグを活用して SNS 上のクチコミ情報

などを探るという「ハッシュタグ起点型」の新たな検索スタイルが浸透しつつあることが推測

できます。』と明記している。また同じハッシュタグごとに他ユーザーの投稿を一覧で表示す

ることもできるため、特定の話題や同じ興味・関心を持つユーザーの投稿を効率よく閲覧する

ことが可能である。

※SNS(Instagram,Facebook,Twitter)におけるハッシュタグの使い方

(引用: http://www.jec-jp.org/image/20120221_finalronbun_saito.pdf

(引用: http://www.aainc.co.jp/news-release/2015/00834.html )

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・未来のお客様となる SNS ユーザーの場合

SNS 上で検索欄に「#○○」を入力するか、投稿にある「#○○」をクリックすると、

同じハッシュタグをつけて投稿された記事をまとめて閲覧することが可能

・レジャースポーツ事業者の場合

独自の SNS 上でハッシュタグ(#)を利用し、広告宣伝をしている事業者も増えてきている。

(ハッシュタグの活用例)

鹿児島県与論島のマリンスポーツ事業者は、独自の instagram で「#与論島 #海 #与論島観光」

などを記載し、プラン内容とともに実際の写真を投稿している。ハッシュタグ検索をした SNS

ユーザーからの申し込みも多数あるそうだ。

そこで我々が考えるビジネスでも、このハッシュタグが口コミの代わりとして機能すると考え

ている。SNS の普及率は世界中で年々高くなっており、複数の SNS を活用するユーザーが増えて

きている。同時に、JTB総合研究所の「旅行とスマートフォンの利用と旅行消費に関する調

査(2013)」によると、『自分自身の旅行に関する発信経験については、全体では 42.0%が SNS や

ブログなどを通じて「発信したことがある」と回答しました。年代別にみると、年代が低くな

るほど発信経験率は高く、20 代では約 65.5%、30代では 53.9%と半数以上に発信の経験があり

ました。』とある。このことから、今後情報を発信するユーザーの増加も見込めるため、ハッシ

ュタグを利用し、会社だけでなくユーザー自ら沖縄の魅力や業者の魅力を宣伝していく新たな

沖縄県レジャースポーツプロモーションになる。

4.ビジネス企画の市場性・優位性・将来性

●市場性

【C】 沖縄に興味がある、個人旅行を考えている日本人

「海の美しさ」や「森や川の美しさ」

の期待度は、「パッケージ旅行」で

高く、「団体旅行」で低い傾向にあ

る。さらに、実際旅行に行った人の

「スポーツ・レジャー」に対する満

足度もフリープランや個人旅行で圧

倒的に高い。沖縄の自然をふんだん

に活用したレジャースポーツを楽し

んでもらうために、本事業ではフリ

ープランや個人旅行にターゲットを絞った。

30 35 40 45 50 55 60

団体旅行 パッケージ旅行フリープラン 個人旅行

(引用

http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/touris

m_statistic_report/documents/h27chapter3.pdf

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ブースでは、フリープランや個人旅行を考えている日本国内の人に、web サイトと比較してよ

り高品質でリアルな VR を体験してもらう。VR で体験して貰うことで、イメージが湧きやすく、

従来とは異なる新たな沖縄のレジャースポーツの提案方法となる。その他にも、元々沖縄旅行

を予定はしていないブースの通りすがりの人にも体験してもらうことで、沖縄のレジャースポ

ーツへの興味関心を惹き、次回の機会に繋げることができる。

●優位性

【D】 消費者、スポーツ事業社両者が使い易いプラットフォーム

「平成 27 年 3 月沖縄県スポーツ関連産業振

興戦略」の県内スポーツ関連事業者を分野別に

見ると、マリンスポーツ関連が1,207事業所(マ

リンスポーツ体験を提供する宿泊施設を含む)

と多数立地しており、沖縄において重要な産業

となっていることが推察される。さらに、一般

的なスポーツ施設以外にアウトドア、ゴルフ関

連の事業者も多い。」とある。

沖縄の魅力の代表例が「海をはじめとする自然」や「温暖な気候」であることからも、アウト

ドアスポーツは今後も大切なスポーツ産業であるといえる。そこで実際に沖縄のアウトドアス

ポーツ業者がどのようなビジネス展開(広報活動等)をしているのか。大きく分けると以下の 3

点になる。

①自社専用の HP

②競合他社との比較サイト(総合プラットフォーム)

③自社専用の SNS(Facebook・Twitter・Instagram 等)

特に観光客がよく利用する②の沖縄版のプ

ラットフォームは数多くある。例えば「沖縄

アウトドアスポーツ」で検索して一番上にくる

「みーぐるマリンスポーツ」(参考 URL:

http://www.umi-pon.jp/ )は、沖縄のマリン

スポーツ情報が約 790 件掲載されている。しか

平成 27年 3月沖縄県スポーツ関連産業振興戦略

みーぐるマリンスポーツ WEB サイト

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し、詳細検索をしても同じ値段で似たようなアクティビティを掲載している広報が多く、業者

ごとの差別化ができていない。これでは観光客はリアリティのある情報を得られない。本事業

では、360 度動画や VR を使い、観光客にもスポーツ事業者にも優しいプラットフォームにする

ことで、沖縄のレジャースポーツの魅力をよりわかりやすく発信していく。

●各事業の短期的将来性

【E1】 web 事業┃他業種への応用、アプリケーションへの展開

360度動画を用いたweb事業は、スポーツ以外の観光分野にも応用可能である。観光地のPRや、

飲食店の集客にも利用することができ、これらも同様のビジネスモデルを適応することで収益

化が見込める。

また、アプリケーションの開発も有効な手段である。アプリケーションのメリットとしては、

ユーザーの定着率(アクセス率)の向上やサービスの多機能化がある。サービスの多機能化とは、

ユーザー情報に合ったコンテンツのリコメンドや通知機能など、web サイトではできない機能の

拡張を指す。

【E2】 VR 事業┃設置場所の拡大、アトラクション化、ゲーム化

まず、ブース設置場所の拡大が優先される。最近では VR 体験のイベント増加や、ゲームセン

ターでの導入事例があるため、そのような場所に積極的な展開が可能である。

また、VR 体験のアトラクション化やゲーム化が考えられる。現時点では体験というところにと

どまっているが、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)以外の周辺機器の導入によって、エンター

テインメント性を大幅に向上させることができる。これによって、コンテンツ自体での収益化

が可能になる。周辺機器の例としては、プレイステーション VR(参

考:http://www.jp.playstation.com/psvr/)や SIMVR というライドシュミレーター(参

考:http://simvr01.com/)挙げられる。

●長期的将来性

【F】 沖縄スポーツ振興への寄与、ターゲットの拡大

導入段階では、レジャースポーツを中心に展開を考えている。将来的に、県内のプロスポー

ツチーム、その他の観光資源などへの市場拡大の余地があり、スポーツ振興や観光市場拡大の

可能性を秘めている。

ターゲットの拡大に関しては、外国人を考えている。沖縄の参加型スポーツに特化した主な

サイトを比較したところ、外国語対応のサイトは少なく、対応言語も少ない。沖縄県は外国か

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らの観光客を増やしていくことを掲げているため、外国語に対応したサイトは重要になる。ま

た、VR 動画にすることによって、視覚の部分からスポーツ体験を想像しやすくなり、外国人に

とても興味をもってもらいやすい。

5.ビジネス企画の実現可能性

●web 事業

【G1】 サービスの造成方法・費用

web サイト制作会社への委託が必須となる。一つの事例として北海道美唄市の VR 観光体験ア

プリを参考にすると、制作の費用規模は 100-250 万円と予想される。(参考:桜花一門(2016 年)『VR

コンテンツ最前線-事例でわかる費用規模・制作工程・スタッフ構成・制作ノウハウ』株式会社翔泳社)

webサイトの維持費は多く見積もって月10万円ほどで、必要となる機材は360度カメラである。

必要な機能は以下のように考えられ、それによって導入する商品の検討が必要となる。

・360 度動画撮影機能

・防水機能

・HD 画質(1280×720)

ここでは、これらを満たす商品の例を以下に提示する。

例1) 製品名:SAMSUNGサムスンSM-C200NZWAXJP

価格:49,550 円(税込)

(参考 http://www.samsung.com/jp/consumer/mobilephone/gear/gear/SM-C200NZWAXJP)

例2) 製品名:KeyMission360

価格:58,789 円(税込)

(参考 http://www.nikon-image.com/products/action/lineup/360/)

【H1】 サービスの価格

掲載されているアクティビティに対して、1 人送客

するごとにそのアクティビティの料金の 10%を送客

料とする。例えば、マリンスポーツを運営する A 社

が 1 回 1 万円のアクティビティの 360 度動画を投稿

し、その投稿を見た顧客が友人を含む 3 名で A 社の

アクティビティを予約した場合、[10,000 円

×0.1(10%)×3(人数)=3,000 円]の送客料となる。

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【I1】 事業収支概算

年間で 100 万人が閲覧し、1 割のユーザーがアクティビティの予約をすると仮定し、人数は平

均 3 人として計算する。全てのアクティビティの平均の料金を 1 人 10,000 円とする。

<支出面>

サイト制作費・維持費…2,500,000(円)+100,000(円)×12(ヶ月間)= 3,700,000 円

360 度カメラ… 60,000(円)×5(台)= 300,000 円

合計… 3,700,000(円)+300,000(円)= 4,000,000(円)

<収益面>

10,000,000(人)×0.1(予約割合)×3(人)×10,000(円)×0.1(送客料)= 300,000,000 円

<利益>

300,000,000(円)-4,000,000(円)= 296,00,000 円

【J1】 販売促進方法

・沖縄スポーツ事業会社向け

無料でカメラ貸し出し、アップロードできること、広告掲載料無料を強みとして営業を行う。

・消費者向け

SNS 拡散で利用者を増やす。タグ付けでシェアしてくれた人100円引きクーポンなど。

【K1】ビジネス化に向けて想定される課題及びその解決方法

WEB 検索で上と下に出て来る会社で差が出て来る

→原則的に広告掲載料は無料だが、上の方に掲載される会社はプラスαでお金を払ってもらう

ことも検討。

●VR 事業

【G2】 サービスの造成方法・費用

過去に展示イベントなどで VR 体験ブース設置した事例の費用規模を参考にすると、50-250 万

円となる。(参考:桜花一門(2016 年)『VR コンテンツ最前線-事例でわかる費用規模・制作工程・

スタッフ構成・制作ノウハウ』株式会社翔泳社)

このプランでは、年間を通してブースを出し続けることを想定するため、8 月以外の週末の 3

日間で 10 万円ほどと見積もる。8 月は 1 週間で 15 万円と見積もる。

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必要となる機材はヘッドマウントディスプレイ(VR 再生機器)となる。現在ヘッドマウントデ

ィスプレイは、大きく 3 つの価格層に分かれている。

ここでは、製品の例を以下に提示する。

例1) 製品名:HTCVive

価格:約 28 万円(本体約 11 万円+再生用 PC 約 17 万円)

クオリティ:CG・実写どちらもかなりのハイクオリティ再生が可能

例2) ★製品名:SamsungGearVR この製品が導入に最適だと考えられる

価格:約 7 万 5 千円(本体約 1 万 5 千円+GalaxyS6 約 6 万円)

クオリティ:実写は HTCVive と比べても遜色ない

例3) 製品名:GoogleCardbord

価格:1,500 円(他に iPhone が必要となる)

クオリティ:あまり期待できない

【H2】 サービス価格

1 つのブースで 5 台の VR 機器を設置するとして、1 つの機器に対して 1

企業を割り当てる。週末の 3 日間(金,土,日)の出展で参画費 3 万円とす

る。8 月は平日も開放し、1 週間の出展で参画費 10 万円とする。

【I2】 事業収支概算

上記のようなブースを 3 箇所設置した場合の年間の収支概算を記載す

る。VR 機材は SamsungGearVR を使用することとし、1 つのブースにス

タッフは 3 人設置する。

<支出面>

ブース設置費用…100,000(円)×4(週間)×11(ヶ月間)+150,000(円)×4(週間)= 5,000,000 円

スタッフ教育費(マニュアル作成を含む),スタッフ人件費…

300,000(円)+3(人)×30,000(円)×3(ブース)×4(週間)×11(ヶ月)+3(人)×10,000(円)×3(ブース)×30(日間)=

5,160,000 円

VR 機材…75,000(円)×5(台)×3(ブース)= 1,125,000 円

合計… 6,125,000 円

<収益面>

1-7,9-12 月…30,000(円)×5(企業)×4(週間)×11(ヶ月間)×3(ブース)= 19,800,000 円

8 月…100,000(円)×5(企業)×4(週間)×3(ブース)= 6,000,000 円

合計… 25,800,000 円

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<年間利益>

25,800,000(円)-11,285,000(円)= 14,515,000 円

【J2】 販売促進方法

・沖縄スポーツ事業会社向け

web サービス事業と基本は同様だが、ブースでは消費者との距離が近く、よりリアルな体験

をしてもらえることを強みであることを訴える。

・消費者向け

web サイトで体験ブースの告知を行う。

【K2】ビジネス化に向けて想定される課題及びその解決方法

職員が VR 機器を取り扱う不安→スタッフ教育やマニュアル作成を徹底する。

●持続可能性

【K】 ウェアラブル端末の普及、電子広告の成長

今後の関連市場の展望として、ウェアラブル端末の国内外の市場推移と本事業は大きく関わる

ことが予想される。現状ではウェアラブル端末はスマートフォンの補完的位置付けにある。し

かし、2020 年には国内において、573 万台、米国では、1323 万台のウェアラブル端末が出回る

と MM 総研が発表している。今後、一般化されるにつれその利用機会は増えるだろう。更に、近

年のデジタルコンテンツの広告が成長していることも追い風になる。日本国内の広告費は、2007

年の 7 兆円を頭打ちとして、その後、7 兆円を超えることなく微増と微減を繰り返している。一

方で、電子広告は 2006 年の 6 千万円から、2015 年の 1 億 2 千万円と 2 倍近い成長を見せている

(業界地図 電通資料)。このような視点から、今後より身近な存在となるデジタルコンテンツ

の土台を築き上げることは、利用機会も多く、持続可能なビジネスになりうると予想される。

●沖縄県の産業への経済波及効果

【L】旅行客数、旅行客単価の増加など

今回の提案をフックに、沖縄県の産業品と体験の空間デザインや、沖縄の海や山、川などの

自然の認知度がより向上し、スポーツを体験するために沖縄を訪れる旅行客数の増加に繋がる

だろう。新たな沖縄の楽しみ方を知ることで、客単価の上昇にも寄与すると考えられる。その

点での経済効果は非常に大きく、今回の提案は新しい空間の創出や、旅行客単価の向上も見込

める点で、一定の沖縄の産業への寄与度・波及効果、沖縄県内経済への波及効果が期待できる。