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2.女性の健康に関する疫学調査の概要

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2.女性の健康に関する疫学調査の概要

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◇ 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成 15 年度から県単事業として実施した 5調査)

調査名 県民健康基礎調査

研究者 千葉県衛生研究所 健康疫学研究室 特別研究員 柳堀朗子

実施年度 隔年実施:平成 15年度・17年度・19年度実施

趣旨・目的

県民の健康に関する知識、関心、実際の健康状態とその管理、自己に対する評価等

の現状とこれに関与する社会・経済的条件を分析する。そのために、総合的な健康基

礎調査(アンケート調査)を行い、調査結果は「健康ちば 21」に掲げられた、性・年

齢等を踏まえた保健医療施策を具体的に推進するための資料とする。

実施方法

平成 15 年度調査

対象: 15 歳以上 75 歳未満の男女各 3,000 人

方法:「健康などに関する健康アンケート」と題する質問紙調査

郵送配票、郵送回収の留置き法

回収数:2,898 件(回収率 47.8%)男性 1,237 件(41.2%) 女性 1,598 件(53.3%)

平成 17 年度調査

対象:県内(34市町村)の 15 歳以上の男女各 4,000 人

有効回答数:3,063 件(38.3%)

※「健康ちば 21」の中間評価の生活習慣状況調査とあわせて調査

平成 19 年度調査(生活習慣に関するアンケート調査)

対象:満 15 歳以上の男女各 3,000 人

有効回答数:2,172 件(36.2%)

結果の公表

活かし方

平成 15 年度調査

・ 女性の健康支援事業担当者研修会にて結果報告(平成 16年 7 月)

・ 「県民健康基礎調査」報告書の公表(平成 16年 9 月)

・ HP において報告書の概要版を公表

・ 第 63 回日本公衆衛生学会 ポスター発表

「千葉県県民健康調査にみる疾病の保有状況と保健行動との関連」

・ 第 17 回日本アレルギー学会春季臨床大会

「千葉県県民健康基礎調査における喘息・アレルギー保有との関連要因の検討」

平成 17 年度調査

・ 「生活習慣に関するアンケート調査」報告書の公表(平成 18 年 3月)

・ HP において報告書を公表

・ データの「健康ちば 21中間評価報告書」(平成 19 年 3 月)への活用

平成 19 年度調査

・ 平成 19 年度「生活習慣に関するアンケート調査」報告書の公表(平成 20 年 3 月)

・ 「健康ちば 21」(平成 20 年 3 月改定)へデータを反映

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◇ 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成 15 年度から県単事業として実施した 5調査)

調査名 健診データとその後の健康状況の分析に関する研究

研究者 国立保健医療科学院人材育成部長 水嶋春朔

実施年度 平成 15年度~20 年度

趣旨・目的 「おたっしゃ調査」として鴨川市(旧天津小湊町含む)住民の生活習慣病予防に関

する調査を実施し、生活習慣の実態と疾病発症との関連を解明する。

実施方法

【データ収集】

平成 15 年度

ベースラインのアンケート調査(追跡調査・健診データ提供に関しての同意をとる)

対象:鴨川市・天津小湊町在住の 40 歳以上住民 およそ 2 万人

内容:生活習慣、既往歴、身体活動量、簡易食事暦調査

平成 16 年度~平成 20 年度

追跡同意者については、基本健診データ収集、介護状況データ収集、追跡データ収集

(死亡・転出者の把握、要介護認定者の把握)、疾病発症確認調査を毎年実施

平成 17 年度:中間アンケート調査の実施

平成 19 年度:食事暦調査の実施

平成 20 年度:生活習慣等の調査

【データ解析】

平成 16 年度~20 年度

単年度に収集した情報の単純集計、データベースの確立

平成 21 年~25 年度 詳細な分析の実施

・ 死亡原因別、死亡と生活習慣・健診結果との関連の検討

・ 要介護原因別、生活習慣・健診結果との関連の検討

・ 初回生活習慣、最終時生活習慣の変化と健診結果の変化と関連の検討

・ 死因をもとに、追跡対象者の疾病発症や死因の同年代の者と比べた代表性などの検

・ コホート内でベースライン時の状況によりメタボ群と非メタボ群に分け、コホート

内症例対象分析を行い、メタボ群と非メタボ群の 5 年後の疾病の状況等を検討す

る。

結果の公表

活かし方

衛生研究所 HP での結果の公表

・ 平成 15 年度アンケート調査集計結果報告(平成 16 年 3月)

・ 昭和 62 年度と平成 15年度の健診データ比較調査の結果

・ 中間報告(平成 16 年度までの結果概要)

※ 5 年間の追跡後に詳細な分析に入る調査のため、現在のところはデータ収集と単純

集計を進めている。

・ 平成 21 年度から 5 年間程度は、追跡同意者の疾病発症等のデータ集積と詳細な分

析を行う予定。

・ 詳細な分析を進め、分析結果は随時、衛生研究所 HP 等で公表する。

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◇ 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成 15 年度から県単事業として実施した 5調査)

調査名 健康増進及び疫学調査のための基本健診データ収集システムの確立

研究者 衛生研究所 健康疫学研究室 室長 一戸貞人

実施年度 平成 15年度~18 年度

趣旨・目的

市町村により分類の判定基準が異なる老人保健法に基づく基本健診の判定結果を管

理する統一プログラムを開発し、地域診断や地域間の評価ができるような基盤整備を

図る。

実施方法

【集積する健診情報】

基本情報:市町村名、性、生年、身長、体重、血圧、現在の症状、既往歴、治療状況

検査情報:脂質検査(総コレステロール、HDL コレステロール、中性脂肪)、肝機能検

査(GOT,GPT,γGPT)、腎機能検査(クレアチニン)、糖尿病検査(血糖、HbA1c)

【健診情報の集積手順】

(1)個人情報の削除と ID 付与

市町村あるいは市町村から依頼を受けた健診機関で、個人の健診情報から個人特定

情報(氏名、生月日、市町村以外の住所)を削除し、重複データの回避と経年変化の

把握のため、新たな IDを付与する。ID 付与のためのソフトの作成はベイネットテクノ

ロジーに委託。

(2)健診検査データの標準化

検査機関より千葉県臨床検査技師会標準物質チリトロールを用いた精度管理のデー

タを入手し、これらに基づき補正係数を算出し、それぞれの検査機関の健診検査デー

タを標準化する。

(3)健診検査データの集積と解析

ID を付与され標準化されたデータは、衛生研究所の専用コンピュータに蓄積し、基

本情報とともに解析し、これらの特性と関連を検討する。また、標準化されたデータ、

これらを解析することのできる基本ソフトを開発し、市町村に返却して利用できるよ

うにする。

【協力市町村数】

年度 市町村数(合併後) 男(人) 女(人) 合計(人)

14 年度 16(11) 17,059 36,779 53,838

15 年度 16(11) 17,692 37,443 55,135

16 年度 22(17) 22,804 54,493 77,297

17 年度 27(21) 27,660 63,755 91,415

18 年度 22 26,414 61,753 88,167

結果の公表

活かし方

・ 平成 14 年度・15 年度基本健康診査情報解析結果報告書(平成 18年 8 月)

・ 平成 14 年度~18 年度 解析結果報告書(平成 19 年 10 月)

・ 平成 19 年度性差を考慮した保健医療従事者研修会での結果の公表(市町村・保健

所・健診機関を対象)

・ 千葉県公衆衛生学会における発表(平成 16 年度~18 年度)

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◇ 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成 15 年度から県単事業として実施した 5調査)

調査名 女性のライフステージ調査

研究者 千葉県がんセンター疫学研究部 三上春夫

実施年度 平成 15・16年度

趣旨・目的 女性のライフステージの経過や地域差のベースラインデータを取得し、初潮・妊娠・

閉経等の年齢指標の変動を明らかにする。

実施方法

方法:子宮がん健診問診票に含まれる生殖歴を解析することにより、全県における生殖

歴の変化を知る。さらに、がんの罹患率など各種健康指標と生殖歴を比較するこ

とで、生殖暦が女性の疾病に及ぼす影響を評価する。

使用データ:個人同定指標を除く年齢・市町村名・妊娠回数・出産回数・閉経年齢・初

潮年齢・最新妊娠年齢

対象:ちば県民保健予防財団が平成 15 年度(平成 15 年 5月~平成 16年 1 月実施分)に

実施した子宮がん健診受診者 82,202 件

結果

・妊娠歴のないもの・5回以上の多産→死亡のリスクを高める

・千葉県女性の閉経年齢は 1977 年から 2003 年の間に 2.0 歳延長

初潮年齢は 0.7 歳若年化

→女性ホルモンへの暴露期間が26年間で2.7歳延長したことで乳がん等のホルモン感受

性がんの増加傾向の要因になったと考えられる

調査名 千葉県における子宮頸がんの若年化と HPV 感染の実態調査

研究者 千葉県がんセンター疫学研究部 三上春夫

実施年度 平成 15・16年度

趣旨・目的 子宮頸がんにおける主要な原因と考えられている HPV 感染の実態を明らかにすること

により、若年層に対する対策の基礎資料とする。

実施方法

結果

平成 15 年度

千葉県がんセンター凍結保存臓器(約 80検体)を使用し、ウイルスの有無を確認する。

→HPV 陽性率:子宮頚がん 100%、子宮体がん 9%

平成 16 年度

ちば県民保健予防財団が実施する子宮がん健診受診者を対象に、感染率を測定する。

→HPV 陽性率:5.38%

【上記の 2 調査からの提言】

・ 女性の生殖歴は女性の健康や寿命と深く結びついており、初産年齢や出産回数には生物学的に至適

な時期や数があると思われる。

・ 高齢初産(出産)、少子化といったキーワードで表される、現代女性のライフステージのゆがみは、

女性の社会進出と相まって、千葉県においても過去数十年間に急速に進行してきた。

・ 女性のライフステージのゆがみは、千葉県の女性がんの罹患構造にも直接結びついている。

・ 子宮頸がんの若年化の背景として、HPV 感染の蔓延が上記の変化と同時に進行している。

・ このような疾病の背景や正しい知識を県民に対して普及するとともに、女性のライフステージのゆ

がみを適正なかたちに戻すべく、行政が社会に働きかけ、社会とともにサポートしていくことが千

葉県女性の健康を守るために重要である。

※ライフステージのゆがみ→少子化・高齢初産がすすみ、20 歳代に初産しない傾向

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3.性差を考慮した健康支援事業担当者・課長

アンケート調査

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女性の健康支援事業・性差を考慮した健康支援事業に関する

担当者・課長アンケート調査 調査の概要

◇ 調査目的

女性の健康支援事業(性差を考慮した健康支援事業)に従事した担当者の事業に対する思

い、相談技術に関する振り返りと、担当課長の立場から見た事業の効果・方向性から事業

の質的評価を行うとともに、今後の取り組みへの参考資料とする。

◇ 対象

平成 14 年度から 20 年度までに、各健康福祉センターで性差を考慮した健康支援事業(旧・

女性の健康支援事業)を担当していた職員および担当課長(退職者は除く)

対象人数 ①担当職員・・・45 名 ②課長・・・20 名

◇ 調査方法

対象者に対し、個別に調査票を配布し、健康づくり支援課で回収・集計を行う(郵送)

◇ 調査時期

平成 21 年 1 月 21 日~2月 10 日

◇ 回答者の基本情報

1.回収数

①担当職員 40 通(回収率 88.9%)

②課長 18 通(回収率 90%)

2.担当職員の携わった業務と年度

14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度

女性相談 12 14 14 19 11 12 14

男性相談 7 9

健康教室 9 9 14 11 8 11 13

ジョイナス事業 5 8 12 13 8 11 13

3.現在の保健師従事年数(担当者)

5 年以下 6~10 年 11~15 年 16~20 年 21~25 年 26~30 年 31 年以上

6 5 2 8 5 6 8

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7 年間にわたる「女性の健康支援・性差を考慮した健康支援事業」評価

「性差を考慮した健康支援事業」担当者アンケートより

回答者 40 名/対象者 45 名

Ⅰ 女性のための健康相談・健康教室 (回答者 40 名)

1.新しい知識を得た内容

新しい知識を得た内容 回答数 回答率

①女性のがん、女性特有の病気や症状に関する知識・相談技術 32 80.0 ②月経に関する知識・相談技術 25 62.5 ③性感染症に関する知識・相談技術 24 60.0 ④妊娠・不妊に関する知識・相談技術 21 52.5 ⑤更年期・閉経に関する知識・相談技術 30 75.0 ⑥こころの不調に関する知識・相談技術 17 42.5 ※女性のがん、女性特有の病気、更年期・月経、性感染症について、新しい知識を得

た回答が 6~8 割を占めた。 2.自信を持って相談にのれる内容

自信を持って相談にのれること 回答数 回答率

①女性のがん、女性特有の病気や症状に関する知識・相談技術 9 22.5 ②月経に関する知識・相談技術 14 35.0 ③性感染症に関する知識・相談技術 12 30.0 ④妊娠・不妊に関する知識・相談技術 10 25.0 ⑤更年期・閉経に関する知識・相談技術 14 35.0 ⑥こころの不調に関する知識・相談技術 11 27.5 ※保健師が自信をもって相談にのれる領域は、月経、更年期・閉経が 3 割を超えた。 3.今後の学習課題(研修希望項目)

今後の学習課題(研修希望項目) 回答数 回答率

①女性のがん、女性特有の病気や症状に関する知識・相談技術 5 12.5 ②月経に関する知識・相談技術 2 5.0 ③性感染症に関する知識・相談技術 8 20.0 ④妊娠・不妊に関する知識・相談技術 15 37.5 ⑤更年期・閉経に関する知識・相談技術 3 7.5 ⑥こころの不調に関する知識・相談技術 16 40.0 ※今後研修希望が多かったのは、こころの不調、妊娠・不妊があげられた。

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Ⅱ 男性のこころと身体の健康相談 (担当したことのある者のみ・・・回答者 12 名)

1.新しい知識を得た内容

新しい知識を得た内容 回答数 回答率

①男性のがん、男性特有の病気・症状に関する知識・相談技術 8 66.7 ②男性ホルモンについての知識・相談技術 12 100 ③ED についての知識・相談技術 11 91.7 ④排尿障害についての知識・相談技術 9 75.0 ⑤こころの不調に関する知識・相談技術 7 58.3 ※男性ホルモン、ED、排尿障害、に関して新しい知識を得たという回答が多かった。 2.自信を持って相談にのれる内容

自信を持って相談にのれること 回答数 回答率

①男性のがん、男性特有の病気・症状に関する知識・相談技術 0 0.0 ②男性ホルモンについての知識・相談技術 1 8.3 ③ED についての知識・相談技術 0 0.0 ④排尿障害についての知識・相談技術 0 0.0 ⑤こころの不調に関する知識・相談技術 0 0.0 ※平成 19 年度開設したばかりであり、自信を持って相談できると回答した保健師は

ほとんどいなかった。 3.今後の学習課題(研修希望項目)

今後の学習課題(研修希望項目) 回答数 回答率

①男性のがん、男性特有の病気・症状に関する知識・相談技術 8 66.6 ②男性ホルモンについての知識・相談技術 5 41.7 ③ED についての知識・相談技術 4 33.3 ④排尿障害についての知識・相談技術 5 41.7 ⑤こころの不調に関する知識・相談技術 9 75.0 ※ 今後研修を希望している内容として、こころの不調、男性特有の病気に関する希

望が多くなっていた。

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Ⅲ 社会資源について (回答者 40 名)

1.情報が整理できた項目

情報が整理できた項目 回答数 回答率

①女性外来・男性外来について 32 80.0 ②様々な相談窓口について 23 57.5 ③医師会・助産師会等、地域の職能団体の活動について 17 42.5 ④事業に活用できる NPO について 7 17.5 ⑤学校保健の窓口について 17 42.5 ※特に女性外来・男性外来については、情報が整理できたと考えるものが多かった。 2.連携体制が整備された項目

連携体制が整った項目 回答数 回答率

①女性外来・男性外来について 5 12.5 ②様々な相談窓口について 4 10.0 ③医師会・助産師会等、地域の職能団体の活動について 9 22.5 ④事業に活用できる NPO について 1 2.5 ⑤学校保健の窓口について 10 25.0 ※思春期保健活動をしている健康福祉センターでは学校保健との連携が整備された。 3.情報を得ることが今後の課題

情報を得ることが今後の課題 回答数 回答率

①女性外来・男性外来について 4 10.0 ②様々な相談窓口について 12 30.0 ③医師会・助産師会等、地域の職能団体の活動について 12 30.0 ④事業に活用できる NPO について 26 65.0 ⑤学校保健の窓口について 10 25.0 ※今後の課題として、いかに NPO との連携をとっていくかが挙げられる。 Ⅳ 事業を担当したことで追加された知識・技術やスキルアップにつながったことに

関する自由記載

・管内の女性の健康問題を整理でき、対応を考える機会となった ・複雑で、多様な問題を抱えた女性への傾聴の大切さと、難しさを学んだ ・NPO、NHAW、性差医学学会への参加を通してネットワーク作りが進んだ ・更年期やうつ症状への対応等スキルアップできた ・生涯を通じた女性への健康支援により最新知識を得ることができた

と同時に、他事業への還元もできた

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・性差医学学会への参加等から知識の幅が広がった ・各関係機関・関係者の思いと課題が整理できた ・男性の健康管理講座で話す機会があり、よい経験になった ・県からパワーポイントなどの媒体による情報提供は役立った ・性差を考慮した健康支援は、初体験の学習であり新鮮だった。結核や感染症の相談

対応にも知識・技術が役に立った ・男性更年期の研修を受けたことで「男性の健康管理講座」を実施できた ・性差を考慮した健康支援事業によって、保健師として知識や技術が得られたという

よりも、結核や感染症等、総合的な事業展開の中で修得できたと考える。また、そ

ういった知識や技術は保健師として保有する基本的なもの。

Ⅴ 事業を推進するうえで困難であった点

回答数 ①所内の理解や合意を得ること 5 ②管内市町村の理解を得ること 13 ③地域の職能団体(医師会等)の理解を得ること 12 ④学校・企業等、連携の窓口が分からない 4 ⑤事業の周知がうまくいかない 17 ⑥事業の認知度が低い 24 ⑦相談後の受け皿となる地域の社会資源・紹介先が乏しい 26 ⑧相談をお願いする医師がいない 18 ⑨相談対応の知識が不十分 11 ・男性相談は、様々な悩みへの対応を求めてくる者が多いが、対応する医師によって、

考え方も対応も異なる。スクリーニングの意味で幅広く対象者にすることはよいと思

うが、相談者の満足度や処遇において疑問が残る ・市町村事業は母子・成人という事業分担であり、性差の視点からではないので連携し

ていくときに難しさがある ・昔ながらの診療医師には性差の視点は理解が得られにくいので、医師会での勉強会等

を通して性差医療の視点が医師間に進むようお願いしたい ・啓発や広報がうまくいかず、年々利用者は減少している ・性差を考慮した事業をイメージできず、事業開始までに時間がかかった。ジョイナス

事業でもどんな関係者を集客すればよいのかわからなかった。自分自身が生涯を通じ

た女性の健康支援の視点がなかった。 ・緊急性や優先順位からこの事業にあまり関われなかった ・検査・診察・投薬ができない相談事業では実施する意味がないと担当医師から意見が

あった ・担当を離れてからは情報が入ってこない。この事業はおもしろいと思ったが、やはり、

担当者のやる気とセンスが仕事には必要だと思う ・心療内科、カウンセリングなど相談後の受け皿が不足している。 ・身体表現性障害者や人格障害者への対応に苦慮した

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Ⅵ 今後について

・生涯を通じた女性の健康支援についての考えや思いが、県や健康福祉センターと相

談担当医師の間でずれがあるように感じており難しい。じっくり話を聴いて、メン

タル面も対応していくという性差医療の考えにずれがあり、女性相談を生かしきれ

ていない。 ・多くの女性が相談を受け、自分の体を正しく知り、上手に付き合うことの重要性を

言葉にした。そうした利用者の反応や相談支援を重ねるたびにこの事業の重要性を

実感した。多くの女性たちが正しい知識のもとに自己管理できるようにするには、

もっとこの事業を女性たちに周知し、継続していくことが必要だと感じている ・利用者が少ない状況で相談の場として確保していくことに疑問を感じている ・異動による担当者の交替により、事業発足の経緯、必要性が薄れ、熱意が感じられ

ない運営になっている。県から年度初めに説明をしてほしい ・自主的に勉強できるような情報提供をお願いしたい ・利用者が減少してきている、周知方法に工夫が必要だと感じている ・事業評価を含め、各保健所に必要なのか等必要性も検討してほしい ・女性の健康相談は利用者が減少している。女性専用外来の開設、医師の女性特有の

疾患への理解も高まり、他科へのたらいまわしなどもなくなり、困ることがなくな

ったのではないか。周知不足よりも、当初の目標が達成できた結果だと感じている。

見直す時期に来ている ・性差医療に関する社会資源が整いつつあるためか、担当医師から保健所の面接相談

の必要性について意見が聞かれる ・男性からの相談には紹介先の医療機関もない状況で対応しなければならず、不安が

ある ・男性相談はメンタル面も含めて相談対応できる医師が少ない開拓が必要 ・マンパワー不足もあり、健康教室を積極的に取り組んでいないことがストレスであ

る ・社会的要因と相談内容を分析し施策に反映できるとよい。発展を願う ・市町村事業との連動が課題 ・ジヨイナス事業は活用しやすいので継続してほしい ・女性の健康づくり、不妊予防事業、思春期保健、エイズ感染症など、どれも保健所

事業として重要だが、横の連携が取れるといいと思う。全体として保健所事業が考

えられる研修、情報交換ができるとよい ・男性ホルモンは生活習慣病との関連が深いことから、特定保健指導を担当している

市町村と連携が取れたらよい ・男性ホルモンが低下している人への保健指導の研修を希望したい ・興味深い研修を多く企画していただき、今後も期待している ・女性の健康支援は医療機関体制が充実してきているので見直した方がよい ・立ち上げ当初は、市町村への事業委譲が計画されているように聞いたが ・「性差」の概念が医療や公衆衛生分野に浸透したことは、この事業の成果だと思う。

見直しの検討を望みたい。

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調査票

(担当者向け)

女性の健康支援事業・性差を考慮した健康支援事業に関するアンケート調査

この調査は、平成14年度から20年度までの間に、各健康福祉センター(保健所)

で、女性の健康支援事業(性差を考慮した健康支援事業)を担当されていた方を対象

にしています。

現在は全く別の業務をされている方も多いかと思いますが、当時のことをできるか

ぎり思い出していただき、回答をお願いします。

◇ 基本情報についてお聞きします

1.携わった業務と年度(あてはまるものすべてに○)

14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度

女性相談

男性相談

健康教室

ジョイナス事業

2.健康福祉センター(保健所)の所属するブロック(あてはまるものすべてに○)

14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度

東葛

利根

黒潮

3.あなたの現在の保健師従事年数(あてはまるものに○)

5 年以下 6~10 年 11~15 年 16~20 年 21~25 年 26~30 年 31 年以上

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◇事業を担当したことによる効果・感想等についてお聞きします

新しい知識を得た

自信を持って相談にのれ

今後の学習課題研修希望項目

①女性のがん、女性特有の病気や症状に関する知識・相談技術

② 月経に関する知識・相談技術

③ 性感染症に関する知識・相談技術

④ 妊娠・不妊に関する知識・相談技術

⑤ 更年期 ・ 閉経に関する知識・相談技術

⑥ 心の不調に関する知識・相談技術

新しい知識を得た

自信を持って相談にのれ

今後の学習課題研修希望項目

①男性のがん・男性特有の病気・症状に関する知識・相談技術

② 男性ホルモンについての知識・相談技術

③ EDについての知識・相談技術

   以下の項目について、該当するところに○を記入してください

1.性差を考慮した健康支援を担当したことにより追加された知識・技術や、自分自身の専門職としてのスキルアップにつながったことは何ですか。

1)女性のための健康相談・健康教室

2)男性のこころと身体の健康相談(男性相談を担当していた方のみご回答ください)

③ EDについての知識・相談技術

④ 排尿障害についての知識・相談技術

⑤ 心の不調に関する知識・相談技術

情報が整理できた

連携体制が整った

情報を得ることが今後の課題

① 女性外来・男性外来について

② 様々な相談窓口について

③ 医師会・助産師会等、地域の職能団体の活動について

④ 事業に活用できるNPOについて

⑤ 学校保健の窓口について

3)社会資源について

4)その他 この事業を担当したことで追加された知識・技術やスキルアップにつながったことがあれば自由にご記入ください。

次ページに続きます

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回答欄

1)

2)

3)

4)

5)

6)

7)

8)

9)

10)

相談後の受け皿となる地域の社会資源・紹介先が乏しい

相談担当をお願いする医師がいない

2.この事業を進めるうえで、どのような点が難しく感じましたか。  該当するものの回答欄に○をつけて下さい。

所内の理解や合意を得ること

管内市町村の理解を得ること

3.今後のこの事業について要望・ご意見等がありましたらご記入ください。(自由記載)

相談対応の知識が不十分

学校・企業等連携のための窓口が分からない

その他:自由にご記入ください

地域の職能団体(医師会・薬剤師会・看護協会・助産師会など)の理解を得ること

事業の周知がうまくいかない

事業の認知度が低い

以上で終了です。

回答いただきありがとうございました。

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7 年間にわたる「女性の健康支援・性差を考慮した健康支援事業」評価

「性差を考慮した健康支援事業」課長アンケートより

回答者 18 名/対象者 20 名

Ⅰ 事業推進の効果

1.来所者

・長年、声に出せず悩み、苦しんできた女性たちの相談窓口が確保された ・更年期症状等について正しい知識が得られ、抱えてきた問題や悩みが解決された ・来談者の終了アンケートから受診者の満足度が高い事業であると実感した ・思春期から高齢期までライフステージに応じた個別の総合的な相談に対応できた ・終了アンケートから、既に医療機関を受診中の人にとっても、保健所の相談は満足

度が高いという意見が圧倒的に多い ・医療機関より安心して相談できると多数の患者から聞かれた 2.従事者(支援者)

・多様な治療法や最新の知識が学べる機会となり知識が深まった ・保健師自身が女性の健康を考える機会となった ・専門的な相談ができる場となった ・医療機関に対する啓発は効果的だった(この事業を通して日常診療における患者対

応を気付かされたという臨床医からの意見があった) ・生涯を通じた女性の健康支援の必要性や支援することの認識が深まった ・更年期症状で悩む女性への相談に自信が持てた 3.Net-work

・思春期課題に対して学校(教育者)との話し合いの場が確保できた ・女性の健康支援を検討・協議する場・機会となった ・社会資源の整理ができた ・思春期活動を通して市町村活動と連携できた ・相談事例の集積により地域課題が浮き彫りになった(農村の複合家族にはメンタル

な相談が多い等) ・セカンドオピニオン的な役割が担えた ・保健所の相談開設により、女性専用外来など医療機関との連携パイプが太く、円滑

になった ・性差を考慮した保健医療の必要性や実践により、県民への理解が広がった 4.新規事業の創設等

・医療機関に女性専用外来を開設するきっかけとなった、 ・管内に女性専用外来が複数、設置されていった ・地域の波及効果が高かった ・思春期教室で連携した学校が自主的な取組をスタートさせた

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Ⅱ 事業推進上の困難な点

1.来所者

・ 家族に内緒で来所した場合、日常生活の中でのキーパーソンの確保が難しく、問

題解決が困難になる場合がある ・思春期以降の女性の健康問題は、幅広く焦点をどこに当てたらよいか難しい ・女性自身が自己健康管理できるような体制づくりは簡単ではない ・医療機関での女性専用外来が充実してきたため、利用者数が伸びない ・女性相談の開設の有無を地域の実情に応じて決定できるようにしてほしい ・諸種の方法で広報しているが利用者が少ない ・年々、利用者が少なくなってきている 2.担当医師の確保

・専門医の確保が難しく、内科の女医に相談したところ「必要ないのではないか」と

言われ、担当医師の確保に苦慮した ・開設時、担当する女医がいなく、30 歳代の女医に依頼した ・思春期問題や疾患別の性差を考慮した診療を総合的にできる相談医が地域に乏しい ・専門女医の確保が困難 ・相談開設時に女医の確保が難しかった。相談後もメンタル相談が多く専門医を確保

したくても人材が少なくできなかった ・地元医師会の協力なくして事業は推進できない 3.事業の見直し

・来所者を待つだけの相談体制でよいのか、検討する時期では。 ・女性専用外来の増設により、利用数も減少している。保健所の相談も見直す時期で

はないか、今までと同様な相談ではいかがなものか ・管内に数ヶ所の女性外来が開設されており、保健所の相談申込者が少ない ・医療機関の相談体制が整備された現在では、利用者数も少なく、相談内容も必ずし

も医師でなくてもよい内容との担当医からの意見もあり見直しが必要 ・メンタル相談が増え、女性相談の対応でいいのか疑問 ・検査ができない 4.市町村等関連機関との連携

・女性センター等、次につなげる社会資源が分かりにくく、次につなげにくい ・市町村との連携事業が少なくなってきており、啓発の場に苦慮している ・教室開催が単発となり、市町村事業との連携がうまくできなかった ・思春期教室開催にあたり、学校と内容等の調整がむずかしかった ・ジョイナス事業や講演会は、市で実施している事業との連携が難しい ・市町村事業の中で健康教育を展開しているが、参加者が 20 人と少なく、市事業と

の連携もなく単発となっており難しい

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5.その他

・ライフステージにおける身体の仕組みの学習修得の機会・場が必要 ・予約が入っていないときの医師への報酬は支払っていないが、何日前まで待機する

のか問題 ・保健所により取り組み方に格差がある、広報のみで利用者が増えるところと、広報

を駆使し、かなりアピールしないと増えないところと。担当保健師の力量の差、地

域差が仕事の成果に関与する

Ⅲ 今後の方向性

1.女性のための健康相談

・利用者の減少は事業周知の問題か、女性専用外来増設の影響か、分析が必要 ・利用者の減少により、相談日を設定して実施するのはむずかしい ・利用者の減少から、今後は内容を充実させた展開が必要 ・医療機関の体制整備が進んできたことから、健康福祉センターにおける相談の役割

は果たせたのではないか。 ・女性専用外来が県民に浸透してきているので、相談も見直しが必要。 ・女性専用外来の増設により、当初の健康福祉センターにおける女性相談の役 割は終わったと感じる。外来 3 分診療では十分ではないと感じるが、ジョイナス事

業をうまく活用し調整していけばよい。 ・利用者の減少、相談内容の検討から必要性の有無等を見直すべき ・健康相談は縮小の方向で検討すべき ・メンタル面の相談が多い、精神保健福祉相談での対応が可能である ・メンタル相談が増加していくことが予測されるので、精神保健福祉相談との連携や、

精神保健福祉相談員との役割分担の再考も必要 ・女医の確保が難しい ・健康教育等の活動の上に成り立つ事業 ・出張相談も要綱に盛り込んでほしい 2.健康教育事業

・更年期の体と心の健康教育の充実 ・高齢化の進行により更年期・老年期の健康問題は課題であり、出前健康教育の開催

が必要 ・集客に苦慮するので、他事業に性差を考慮した健康教育を組み込んでいくことが必

要 ・マンパワー不足から健康教育は後回しになる

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3.ジョイナス事業

・ジョイナス事業は、関係機関の調整や情報交換の場として継続してほしい ・協議会の開催は他の協議会との共同開催でもよいと考える ・地域・職域連携推進協議会や母子保健推進協議会に組み込んでもよいのでは。 医療機関を巻き込んだ展開が必要

・個別支援にとどまっていたのでは保健所としての役割は不十分。健康ちば 21 で課

題になっている乳がん等、県の施策につながるような取組が必要 4.男性のための健康相談

・来所者数が少ない現状の中で今後の対応・改善策をどうするか 5.その他

・「性差を考慮した健康支援」の当初の目標はほぼ達成されたと思われる ・市で同様の事業を実施しており、タイアップしながら進めているが、今後は市町村

事業として位置づけるのがよい。保健所の役割を見直すべき。 ・性差の視点からエビデンスが明らかになっている項目や地域性を考慮した取組が必

要。例えば健康講座の開設、地域・職域連携推進事業との連動など。 ・性差を考慮した健康支援というくくりの中で選択事業を展開する方法がよい ・今後は県下一律ではなく地域の医療資源等に応じた事業展開が望まれる ・ライフステージに応じた性差を考慮した支援の体系図ができた ・担当者がバーンアウトしない仕組みづくりが必要。 ・事業評価と県民への周知が必要。 ・なかなか事業は広がらない、市町村や関連団体との連携など、担当保健師の力量の

格差が顕著 ・広報・周知方法を各地域で検討する必要性がある

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調査票

(課長向け)

女性の健康支援事業・性差を考慮した健康支援事業に関するアンケート調査

この調査は、平成14年度から20年度までの間に、各健康福祉センター(保健所)

の地域保健福祉課(地域指導課)で課長をされていた方を対象にしています。平成 14

年度から本格的に始まった女性の健康支援事業(性差を考慮した健康支援事業)につ

いて、担当課の課長としてのお考えをお聞かせください。

現在は全く別の業務をされている方も多いかと思いますが、当時のことをできるか

ぎり思い出していただき、回答をお願いします。

◇ 基本情報についてお聞きします

1.課長として携わった年度(あてはまるものすべてに○)

14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度

2.健康福祉センター(保健所)の所属するブロック(あてはまるものすべてに○)

14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度

東葛

利根

黒潮

◇ 事業についてお聞きします

1.この事業を実施した効果として、どのようなことが考えられますか。

次ページに続きます

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2.この事業を進めるうえで、どのような点が難しく感じましたか。

3.今後のこの事業の方向性や、継続にあたり考慮すべき点を教えてください。

以上で終了です。

回答いただきありがとうございました。

同封の返信用封筒でお送りください。

Page 22: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

◇「性差を考慮した健康支援事業中間評価会議」の開催結果

これまでの実績のまとめや、実施した担当者アンケート・課長アンケートの結果を

もとに、事業の中間評価会議を行った。

1.開催日時 平成 21 年 3月 5 日(木) 午後 1時 30 分~4時 30 分

2.開催場所 千葉県教育会館

3.出 席 者 13 名

女性外来担当医師 1名、健康福祉センター(保健所)地域保健福祉課長 4名、健康

福祉センター(保健所)事業担当者 3名、衛生研究所特別研究員 1名、健康づくり

支援課 4名

4.会議で出された意見

[事業開始当初の工夫点]

・ 事業展開を考える上で、開始当初~2年くらいは土曜日に担当者が集まって自主勉

強会を実施し、意見交換をおこなった。そこからヒントを得て、各地域での独自

のやり方ができてきた。

[女性のための健康相談事業について]

・ 女性相談を受けている中で、性教育が手薄だということをまざまざと知らされた

ように思う。

・ はじめは更年期女性への対応が中心だったが、メンタルの相談が多いため臨床心

理士を置くようにした。それにより児童虐待などの母子の支援のひとつとして女

性相談を活用できるようになり、広い年齢層に広がった。

・ 情報が氾濫する中で、それに振り回されている人が多い。更年期・生活習慣病な

どを乗り越えるための手段の一つとして、健康福祉センター(保健所)の相談は

良いと思う。

・ 健康相談の事例を重ね、対応を考えていくことで健康教室やジョイナス事業にも

つながっている。

・ 「相談を市町村事業へ移行を」という声も多いようだが、医師会とのかかわりや

健康福祉センター(保健所)ならではのネットワークがあるからできている点も

ある。また、「女性外来ができてきたので健康福祉センター(保健所)の相談はも

う必要ないのでは」という意見もあるようだが、行政だから無料でできる相談と

いう良さがあることも重要な要素のひとつ。

Page 23: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

[ジョイナス事業(調整会議等)について]

・ ジョイナス事業を開始したときに、相談から吸い上げてきた思春期の課題を市町

村に投げかけたら、食いついてきた市があった。今では市町村独自で思春期の施

策を実施するようになっている。

・ 市町村で気にはなっているが自分のところだけではやりきれない課題を、ジョイ

ナス事業で提示され情報交換することで、自分のところの施策にマッチしている

部分を見つけ、そこからネットワークづくりが広がっていった。

・ ジョイナスでは 3 段階の情報交換が効果的だと感じた。①現場に出ている人、②

中間の人、③長のつく人 の 3 段階で行うことで話が深まり、理解を得やすくな

った。

・ 情報交換後、健康福祉センター(保健所)が入って性教育を行うことを希望する

学校がふえた。また、教育委員会、養護教諭、健康福祉センター(保健所)と連

携がとれ、思春期や性教育ができると良いと思う。

[今後必要なこと]

・ 今以上に事業の存在を周知するために、職域に入っていく手だてや、健康教育の

対象となる地域の小団体はどれだけあるのかリストアップする。

・ 市町村や学校と連携した事業展開を考えていく。

・ 地域性や相談で得られたデータの活用法を含め、事業の正確な評価を行うために、

データ収集と分析のしくみづくりができたらよい。衛生研究所にデータが集めら

れないのか?

・ 以前、県主催で各地域の女性の健康支援の取り組みのレポートをまとめ、発表会

を行ったことがあった。保健所のほかに、女性外来や助産師会なども発表をし、

それぞれの取り組みをアピールする良い機会になった。事例集や事例発表の場を

作ると良い。

Page 24: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

4.健康福祉センター「女性のための健康相談」

相談事例のまとめ(平成 17 年度~19 年度分)

Page 25: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

H17~19 年度「女性のための健康相談」相談事例 集計結果

◇年度ごとの事例数

◇保健所ごとの事例数

◇年代別事例数

◇相談内容

◇相談対応

相談内容別割合

メンタル28%

不妊4%

妊娠・避妊3%

更年期12%

その他婦人科系

24%

分類外27%

思春期2%

年代別事例数

0

50

100

150

200

250

20歳

未満

20歳

30歳

40歳

50歳

60歳

70歳

以上

不明

(件)

HC別事例数

0

20

40

60

80

100

120

140

160

習志

野市

川松

戸野

田印

旛香

取海

匝山

武長

生夷

隅安

房君

津市

(件)

年度 17 18 19 総数

数 398 298 295 991

HC 習志野 市川 松戸 野田 印旛 香取 海匝

数 99 63 127 80 151 46 65

HC 山武 長生 夷隅 安房 君津 市原

数 89 33 70 72 51 45

年代 20 歳 未満 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代

70 歳 以上 不明

数 53 100 231 198 219 105 83 2

内容 思春期 妊娠・避妊 不妊 メンタル 更年期 その他

婦人科系 分類外

数 24 35 38 299 128 256 288

対応 助言・指導 情報提供 受診勧奨 主治医にて 治療継続

その他

数 454 38 354 162 50

☆継続対応事例 61 件

☆紹介状発行 117 件

Page 26: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

女性のための健康相談 年代別特徴のまとめ

1.10 代の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 2 5 7 2 10 5 2 7 3 1 1 6 1 52

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①妊娠・避妊 ②メンタル ③婦人科系 ④その他 計

件数 2

(3.8%)

13

(24.5%)

28

(52.8%)

10

(18.9%) 53

継続対応ケース:8件(15.4%) 紹介状発行:12 件(23.1%)

【相談内容の詳細】

①妊娠・避妊

・ ピルについて

・ 中絶について

②メンタル

・ 摂食障害

・ 不眠

・ 性同一性障害

・ 朝起きられない

・ 気持ち・感情のコントロールがきかない

③婦人科系

・ 月経不順

・ 無月経

・ 月経困難症

④その他

胸部の左右差、生活リズムの逆転、動悸、頭痛、骨密度、側湾症、毛深いなど

・ 月経周期がまだ安定していないことに伴う、月経異常等の相談が特徴的。

・ 無月経を主訴に来所するケース多いが、その多くが、過度のダイエットを発端にした

摂食障害が問題となっている。

・ 生活リズムの乱れ、不登校など他の相談機関でカウンセリングを受けているようなケ

ースも多々ある。

Page 27: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例1 17 歳 A さん(高校 2年生)~母(40)・弟(11)との 3人家族

主訴:無月経

相談内容 高校に入学した頃からダイエットを開始。およそ 1 年半で約 20kg 体重を

落とした。

現在の体格:155cm・33kg・BMI13.7

1 年以上月経は停止している。学校で、月経がないのは身体に良くないこ

とだと聞いてちょっと心配になった。

体調はあまりよくない。疲れやすく、立位保持もつらいが、食べてリバウ

ンドするのはもっといや。腕とか足とか太くなりたくない。

養護教諭に健康福祉センターの相談を紹介され来所した。

対応 神経性食思不振症と思われる。

このままでは生命に危険があることを説明するも、リバウンドを気にする

様子があり、納得していない。

医療機関受診勧奨するが、「お金がない」、「親には心配かけたくない」、と

受診について否定的であった。健康福祉センターに定期的に来所し、体重チ

ェック等の経過観察と栄養指導を継続していくこととなった。

事例2 15 歳 B さん(中学 3年生)~父(50)、母(45)との 3人家族

主訴:月経不順

相談内容 初潮 12 歳

その後、多少は月経不順あったが、最近になり月に 2~3 回くらい月経が

くることがあった。

受験のストレスのような気もするが、すぐに病院に行ったほうが良いの

か。

行くとしたら必ず内診はされるのか。

対応 10 代前半は生理周期が不安定であることを説明し、月経の状況が分かる

よう、基礎体温をつけてみることをすすめる。

受験期なので、しばらく様子を見てみてもよいのではないか。

受験が終わってからも様子が変わらないようであれば、再度相談にくるな

り、受診するなりしてみてはどうか。

思春期であり、婦人科でもすぐに内診をするようなことはない、と説明し、

近隣の女医のいるクリニックについて情報提供をした。

Page 28: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

2.20代の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 11 5 21 1 14 5 4 12 5 7 2 6 7 100

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①妊娠・

避妊 ②不妊 ③メンタル ④婦人科系 ⑤その他 計

件数 11

(11.0%)

3

(3.0%)

34

(34.0%)

34

(34.0%)

18

(18.0%) 100

継続対応ケース:3件(3.0%) 紹介状発行:9件(9.0%)

【相談内容の詳細】

①②妊娠・避妊・不妊

・ 避妊方法について

・ 妊娠中の健康管理について

・ 妊娠希望しているができない、夫に疾患あるが妊娠に影響はあるか ・・・

②メンタル

・ 子育て不安、子どもの発達などに対する心配

・ 治療中の疾患(うつ病・パニック障害など)についての相談

・ 月経前のイライラ

・ 不眠

・ 職場・近所等の人間関係のストレス

・ 家族関係(夫・義父母等との関係)のストレス ・・・

③婦人科系

・ 生理痛、月経困難症

・ 無月経

・ PMS

・ 不正出血 ・・・

④その他

めまい、肩こり、産後の母乳育児、乳房痛、腹部の張り、膀胱炎など

・ メンタルでは子育てに関する不安・ストレスの強い事例や、産後うつ・PMS などのホル

モン変動に関連するイライラ等の事例があり。

・ まだそれほど多くはないが、妊娠や不妊に関する相談も出てきている。

・ 婦人科的な相談では、子宮内膜症などの疾患に起因すると思われる強い月経痛や、産

後の月経不順などの相談が増える。

Page 29: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例3

29 歳 C さん(専業主婦)

~夫(35)・長男(4ヶ月)と別居し実家の両親と暮らしている

主訴:子どもと接することができない

相談内容 4 ヶ月前に第 1子を出産。産後、無気力がつづき、子どもと接することが

できない。

現在実家に帰ってきており、夫・子どもとは別居中。

頭がぼーっとして、なぜ自分は生きているのかと思うこともある。

メンタルクリニック受診し、服薬治療中だが状態が良くなるのか不安であ

る。このままでは夫・子どもに申し訳なく、離婚を考えることもある。

対応 産後うつ病らしき症状。

主治医はおそらく薬物調整中であると思われるので、現在の主治医のもと

であせらずに治療を続けることを勧める。

心が弱っている今の状態で、離婚等の重要な物事を判断するのはやめた方

がよいことを伝える。

事例4 27 歳 D さん(会社員)~1人暮らし

主訴:月経困難症状

相談内容 高校生の頃から、激しい腹痛、経血量が多い等の月経困難症状あり。市販

の鎮痛剤でしのいできたが、最近になりひどくなってきた。

会社の健康診断で貧血を指摘されたこともある。

子宮がん検診は受けたことがない。

婦人科を受診した方がよいのか。

対応 年々強くなる月経困難症状には、子宮筋腫や子宮内膜症・チョコレート嚢

腫などの婦人科疾患が隠れていることがあることを説明し、婦人科受診を勧

奨。

近隣の医療機関の情報を提供する。

また、子宮がん検診についても情報提供し、検診受診を勧める。

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3.30代の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 29 16 48 7 41 8 15 19 5 13 4 14 12 231

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①妊娠・

避妊 ②不妊

メンタル ④更年期

婦人科系 ⑥その他 計

件数 17

(6.9%)

31

(12.6%)

96

(39.0%)

3

(1.2%)

60

(24.4%)

39

(15.9%) 246

継続対応ケース:17 件(7.4%) 紹介状発行:29 件(12.6%)

【相談内容の詳細】

①②妊娠・避妊・不妊

・ 避妊方法について

・ 妊娠中・産後の健康管理(骨盤位、血液型不適合、糖尿病合併妊娠、高齢出産、

腰痛等)について

・ 不妊治療の基礎知識、セカンドオピニオン、第 2子不妊 ・・・

②メンタル

・ 育児不安

・ 治療中の疾患(うつ病・パニック障害・自律神経失調症など)についての相談

・ 月経前のイライラ、不妊治療中のメンタルケア

・ 倦怠感、気分の落ち込み、やる気が出ない

・ 職場・近所等の人間関係のストレス

・ 家族関係のストレス・DV など ・・・

③婦人科系

・ 生理痛、月経困難症、月経不順

・ 治療中の疾患(子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫など)についての相談

・ PMS

・ がん検診について ・・・

④その他

めまい、頭痛、肩こり、DV、手足のしびれ、乳房痛、腹部の張り、膀胱炎など

・ 不妊に関する相談が一番多い年代。漠然とした不安があるが全く知識のない状態の人

から治療中でセカンドオピニオン目的の人まで、幅広い相談が寄せられている。

・ 身体症状を主訴に来所のケースも、子育て・対人関係のストレスなどがベースにあり、

メンタルケアが必要なケースが多々あり。

Page 31: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例5 38 歳 E さん(専業主婦)~夫(40)・長女(5)との 3人暮らし

主訴:2人目の子どもができない

相談内容 第 1子出産後 5年経つ。

2 人目の子どもが欲しいため、1年半くらい避妊していないが授からない。

治療が必要かどうか相談したい。

基礎体温測定もしてみたが見方がよく分からない。

年齢的にも高齢であり不安があるので、高齢出産のリスクについても教え

てほしい。

対応 基礎体温測定記録の見方を説明。測定記録より、黄体機能障害が疑われる

ため、不妊外来を受診し検査を受けることを勧める。

不妊症の一般的な検査についても情報提供。

高齢出産については、リスクや危険率の考え方等を助言。本人の気力の充

実、体調管理の重要性を話す。

事例6 35 歳 F さん(会社員)~夫(35)・長男(5)・長女(3)と 4人暮らし

主訴:月経前の頭痛やイライラ

相談内容 月経前に頭痛・胃の張りなどの不快な症状がある。精神的にもイライラし

て、子どもをきつく叱ったり、夫に八つ当たりしたりしてしまう。何か病気

なのか、症状を和らげる方法はあるのか聞きたい。

また、仕事がいそがしくなってストレスがたまると頭痛や肩こりがひどく

なるが、月経前の症状と関係しているのか?

対応 月経前のそういった身体・精神症状は PMS(月経前緊張症)と思われる。

半身浴やアロマテラピーなどで心身のリラックスを促すことで、症状をあ

る程度和らげることができる。不快な症状が強くなるようなら、低用量ピル

などでホルモン治療することで治療ができるので、婦人科を受診してみても

よい。

また、ストレスで頭痛や肩こりがひどくなるのは、筋収縮性頭痛が考えら

れる。この症状も、ストレッチ等で筋肉の緊張をほぐしてあげることで改善

することが多い。ストレッチ法を指導し、改善しないようであれば神経内科

の受診を勧奨。

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4.40代の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 24 12 17 19 30 12 13 24 3 15 6 11 12 198

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①妊娠・

避妊 ②不妊

メンタル ④更年期

婦人科系 ⑥その他 計

件数 4

(1.8%)

4

(1.8%)

66

(28.9%)

44

(19.3%)

53

(23.2%)

57

(25.0%) 228

継続対応ケース:18 件(9.1%) 紹介状発行:17 件(8.6%)

【相談内容の詳細】

①②妊娠・避妊・不妊

・ 避妊手術について

・ 子宮筋腫合併妊娠について

・ 不妊治療の基礎知識、セカンドオピニオン ・・・

③メンタル

・ 治療中の疾患(うつ病・パニック障害・自律神経失調症など)についての相談

・ 倦怠感、気分の落ち込み、やる気が出ない

・ 職場・近所等の人間関係のストレス

・ 子どもの自立による喪失感、介護、夫との関係等、家族関係のストレス ・・・

④更年期

・ 更年期症状の基礎知識

・ 治療について

⑤婦人科系

・ 月経不順、不正出血

・ 治療中の疾患(子宮頚がん・子宮内膜症・子宮筋腫など)についての相談

・ がん検診について ・・・

⑥その他

頭痛、肩こり、不定愁訴、夫婦生活、手足のしびれ、乳房痛、関節痛など

・ 基礎疾患に更年期症状が加わり体調・気分ともに思わしくないケースが多々あり。

・ 更年期症状を自覚して基礎知識を得るために相談利用するケースも多いが、めまい・

抑うつといったさまざまな症状の訴えからはじめて更年期が疑われるケースある。

・ 子どもの自立、親の介護、夫との関係といった家族関係の変化・ストレスに起因する

相談も多い。

Page 33: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例7 49 歳 G さん(公務員)~実母(75)・夫(53)との 3人暮らし

主訴:発汗をはじめとしたさまざまな症状

相談内容 発汗・ほてり・めまい・易疲労感等の症状が強くなってきた。発汗は急に

おこり、たれるほどのこともある。

意欲の低下もあり、今までできていたことがおっくうで、仕事中も集中で

きない。更年期かとも思うが、長女が大学に入り 1人暮らしをはじめたくら

いから、症状が強くなった気がする。

多くの症状あるので、どこの診療科を受診すればよいのか。診療科をいく

つも回るのは大変なので、まずは健康福祉センターの相談を利用してみた。

対応 更年期症状の疑いあり。まずは婦人科を受診し、ホルモン測定を勧める。

HRT、漢方薬など更年期障害の治療についての情報を提供。

長女の手が離れたことによる喪失感に更年期が加わり、精神バランスが崩

れている可能性もあり。精神症状が強くなるようであれば、心療内科等を受

診することを勧める。

事例8

45 歳 H さん(パート)

~夫(48)・長女(17)・長男(15)との 4人暮らし

主訴:子宮筋腫の治療について

相談内容 10 年くらい前より、子宮筋腫で経過観察している。最近、主治医が変わ

り、手術を勧められている。

以前の主治医からは閉経すれば小さくなるといわれ、経過観察を続けてい

た。閉経まであと少しであり、できればいまさら手術はしたくない。どうし

たらよいか。

対応 健康福祉センターの相談では筋腫の状態、全身状態等得られる情報に限り

があるので一般的な子宮筋腫治療に関する情報を提供。

子宮筋腫は閉経し女性ホルモンが減れば小さくなること、貧血や月経痛等

の症状の強さや妊娠の希望などによって治療を選択することを話す。

治療を納得して受けられるよう、主治医への確認事項を紙に書いて持参

し、よく話し合い方針を検討するよう助言。

Page 34: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

5.50代の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 20 9 22 21 33 8 12 20 12 24 22 8 8 219

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①メンタル ②更年期 ③婦人科系 ④その他 計

件数 63

(26.7%)

70

(29.7%)

31

(13.1%)

72

(30.5%) 236

継続対応ケース:8件(3.7%) 紹介状発行:26 件(11.9%)

【相談内容の詳細】

①メンタル

・ 治療中の疾患(うつ病・パニック障害・自律神経失調症など)についての相談

・ 気分の落ち込み、無気力、情緒不安定、不眠

・ 不安感、疾病恐怖

・ 介護、夫との関係等、家族関係のストレス ・・・

②更年期

・ 更年期症状の基礎知識

・ 治療について、セカンドオピニオン

③婦人科系

・ 月経異常(周期の変化・量の増減等)、閉経について

・ 子宮脱、子宮筋腫等の治療について

・ 子宮がん(検診・検診結果に関する助言、治療)について ・・・

④その他

尿もれ、下肢静脈瘤、動悸、めまい、耳鳴り、関節痛、高脂血症、頭痛、肩こり、

閉経後の夫婦生活 ・・・

・ 更年期に関する相談が多い世代。通院治療中であるが、セカンドオピニオンを求めて

の来所がふえる。

・ 家庭内でのストレス(介護・夫との関係・子どもとの関係)に更年期症状が加わり、

精神的に不安定になっている相談も多い。

・ 50 代前半は閉経に伴う月経の変化に関する相談が多く、後半になると子宮脱や萎縮性

膣炎に関する相談が増える。

Page 35: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例9

55 歳 I さん(専業主婦)

~義母(80)・夫(56)・長男(30)・長女(26)・孫(2)との 6人暮らし

主訴:更年期症状治療中だがイライラがよくならない

相談内容 更年期症状(のぼせ・ほてり・発汗・イライラなど)があり、婦人科受診

し、半年前ほどからホルモン補充療法を受けている。

治療により、のぼせ・ほてりはずいぶん良くなったが、イライラする感じ

はあまり変わらず続いている。

1年前に離婚した娘が孫を連れて戻ってきて、日中は働いている娘に代わ

り孫の子守をしている。また、週に 2回は義母の通院の付き添いもあり、自

分の時間がほとんどなくなってしまった。

自分は家族に振り回されて趣味のフラダンスにもいけなくなってしまっ

たのに、夫や子どもたちは自分のことしか考えていない。

対応 HRT により、身体症状はわりと落ち着いているが、精神症状(イライラ感)

が強くある。症状の背景に、家族の対応への不満がある。

本人の思いをよく聞き、すべて吐き出してしまうと幾分すっきりした様子

を見せる。

我慢せずに家族に協力を求め、息抜きのために趣味に費やす時間を確保す

るように助言。

また、更年期症状の治療には、HRT のほかに漢方療法や、精神症状強い場

合には精神安定剤等も使うことができることを説明。

事例10 56 歳 J さん(会社員)~夫(55)と 2人暮らし

主訴:まだ月経があるので止めたい。

相談内容 まだ閉経しない。以前より量は減ったが 8日間くらい続く。

周囲の友達はみんなもう閉経したといっており、異常なのではないか。

生理があることで、乳がんや子宮がんなど女性のがんにかかりやすくなる

のではと心配。

もう止めたいが、なにか方法はあるのか。

対応 閉経の時期には個人差がある。月経があることで、骨や血管など守られて

いる部分もある。

無理に止めようとすると、急に老け込んだり、うつになったりする人もい

る。心配ならば、婦人科でホルモン値を測定してもらってもよい。あせらず

にいていいのではないか。

がんについては過剰に心配せず、定期的に検診を受診しチェックしていれ

ばよい。

Page 36: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

6.60代の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 11 10 5 14 14 4 10 4 3 5 18 4 3 105

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①メンタル ②更年期 ③婦人科系 ④その他 計

件数 19

(16.7%)

11

(9.6%)

36

(31.6%)

48

(42.1%) 114

継続対応ケース:4件(3.8%) 紹介状発行:12 件(11.4%)

【相談内容の詳細】

①メンタル

・ 治療中の疾患(うつ病・パニック障害・自律神経失調症など)についての相談

・ 感情のコントロールがうまくいかない、不安が強い

・ 不眠

・ 介護疲れ、家族に振り回されるストレス、子どもの独立後の閉じこもり ・・・

②更年期

・ 更年期症状の基礎知識

・ 治療について、セカンドオピニオン、治療の終了時期について

③婦人科系

・ 陰部のかゆみ、萎縮性膣炎、おりもの

・ 卵巣肥大・子宮脱・子宮がん等の治療について

・ 性交痛

④その他

手足の冷え、動悸、関節痛、尿モレ、膀胱炎、不定愁訴、治療中の疾患(生活習慣

病・胆石・循環器疾患・肝炎など)について説明してもらいたい ・・・

・ 婦人科系では、筋力低下や骨盤内臓器の手術後の子宮下垂等の症状に関する相談がふ

える。

・ 生活習慣病等の治療を受けており、主治医に詳しい話を聞けずに説明を求めて相談を

利用するケースが増える。

Page 37: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例11 62 歳 K さん(専業主婦)~夫(65)と 2人暮らし

主訴:子宮脱の治療について聞きたい

相談内容 10 年ほど前から、子宮脱をペッサリーで治療している。これまでに 3~4

回交換し様子を見てきたが、主治医から手術を勧められた。

手術には怖いイメージがあるのであまり受けたくないが、どのような手術

なのか。今の治療法に比べ、どのようなメリットがあるのか。

対応 ペッサリーによる治療は、膣内で炎症を起こすこともあり、長くつかえな

いことがある。

昔から行われている手術は、垂れ下がった臓器を元の位置に戻し、再発予

防のため膣壁と臓器の間を補強する方法で、弱った臓器を使うため再発する

ことも多かった。現在はメッシュで補強するような新しい手術が行われてお

り、再発のリスクはずいぶん低くなっていることを情報提供する。

身体の状態や生活上の不具合などによって、治療法を選択するので、主治

医とよく話し合いをするよう助言。

事例12 68 歳 L さん(専業主婦)~夫(68)と 2人暮らし

相談内容 50 代の頃から、不眠・高脂血症で治療中。内科の主治医で両方の薬を処

方してもらっていたが、あまり説明をせずに薬だけで対処しようとする主治

医の態度に不信感を持ってしまい治療を中断している。

しかし寝つきが悪く、熟睡感がなくつらい。どうしたらよいか。

対応 高脂血症については血液検査を受け、内服治療が必要な数値であるか確認

が必要。現在の状態を正確に把握せず、自己判断での内服中断はよくない。

また、不眠については、眠れなくつらいときに睡眠導入剤を使うことは問

題ない。夜間の睡眠の状態が良くなることで、昼間の生活も充実し睡眠リズ

ムがつきやすくなる。薬も上手に使っていけばよいことを助言。

どちらの治療薬も一般内科で扱っている薬なので、どこを受診しても処方

できる。治療に関する説明をきちんとしてくれ、相性の合う医師を探してか

かってみてはどうか、と話す。

Page 38: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

7.70代以上の相談

1)健康福祉センター別 事例数

HC 習志野

市川

松戸

野田

印旛

香取

海匝

山武

長生

夷隅

安房

君津

市原

数 2 6 6 16 8 4 8 3 2 5 19 2 2 83

2)相談内容別 事例数(複数相談事例あり)

内容 ①メンタル ②婦人科系 ③その他 計

件数 11

(13.3%)

27

(32.5%)

50

(60.2%) 83

継続対応ケース:3件(3.6%) 紹介状発行:12 件(14.5%)

【相談内容の詳細】

①メンタル

・ うつ傾向、気分の落ち込み、近親者を亡くした後の気力の低下

・ 疾病罹患後の閉じこもり

・ 不眠

②婦人科系

・ 性器脱、膀胱脱

・ 陰部のかゆみ、ただれ、おりもの

③その他

尿モレ、頻尿、めまい、骨粗鬆症、乳房のしこり、関節痛、治療中の疾患(生活習

慣病・循環器疾患・整形外科的疾患など)について説明してもらいたい ・・・

・ メンタルの相談内容は、物忘れや、近親者を亡くした後の気力の低下などに関するも

のが増える。

・ 婦人科系では、萎縮性膣炎や性器脱等、加齢に伴う身体的変化から来るものの相談が

多い。

・ 身体的な面では、頻尿や尿モレに関する相談、治療薬についての相談などが多くを占

める。

Page 39: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3)代表的な事例

※実際の事例をもとに再構成してあります。

事例13 75 歳 M さん(専業主婦)~1人暮らし

主訴:やる気がでない

相談内容 最近何に対してもやる気がでない。必要最低限の家事はやって生活してい

るが、一人なので張り合いがなく食事もあまり作る気になれない。

この 1年で、夫と息子をつづけて亡くした。昼間は同じ市内に住む娘がよ

くたずねてきてくれ、いろいろ話をしたりして気がまぎれるが、夜になると

寂しい時がある。

同じように夫を亡くした友達は結構いきいきと過ごしている様なのに、自

分だけ立ち直れていない。このまま何もできなくなってしまうのではない

か。

対応 本人の思いを傾聴。大切な家族を亡くしてしまった後の落ち込みであり、

病的なものではない。落ち込みから浮上するには個人差もあり、周りの人と

比べる必要はない。

娘さんと家族の思い出話をし、気持ちの整理がついてきたら友達と合って

話をしてみる、というように徐々に外にでていってみてはどうかと助言。

事例14 76 歳 N さん(専業主婦)~夫と 2人暮らし

主訴:尿漏れ

相談内容 70 歳を過ぎてから、排尿の我慢がきかなくなってきた。冷たい空気にあ

たったり、冷たい水で手を洗ったりということで漏れる。外出先でトイレを

探している間に間に合わず、下着を汚してしまうこともある。

2~3 回そういうことがあると、外出するのもおっくうになってしまい、

楽しみにしていた観劇にも行きづらくなってしまった。

また、就寝中に尿意を感じて急いでトイレに行こうとすると、足の裏が冷

たい床に触れた刺激で漏れてしまうこともある。夏場はそうでもないが、秋

~冬にかけて寒くなってくるとひどくなる気がする。治療法はあるのか。

対応 急に尿意がきて間に合わない、切迫性尿失禁の症状。寒冷刺激に対し、膀

胱が過敏に反応し過活動性膀胱の状態になっている。治療薬が何種類かある

ので、泌尿器科を受診して処方してもらうことを勧める。

内服治療によりある程度コントロールがつけば、外出にも自信が持てるよ

うになる。また、最近は尿漏れパットにも色々なタイプがあり、自分の生活

スタイルに合ったものを使って工夫もできる。年齢を重ねるほど、尿漏れに

悩む女性は多いので、お友達と情報交換をしてみるといろいろな工夫が聞け

るかもしれない、と助言。

Page 40: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

5.資料

・ 第 67 回日本公衆衛生学会発表資料

・ 平成 20 年度性差を考慮した健康支援事業

実施要領

Page 41: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

第 67 回日本公衆衛生学会発表資料

「性差を考慮した健康支援~千葉県の保健所における健康相談事業の実

績から~」

○木下寿美、澤田いつ子、山崎晋一朗

千葉県健康福祉部健康づくり支援課

【目的】

千葉県では、健康増進計画に「女性の特性を踏まえた健康づくりと医

療」を掲げ、2001 年度から生涯にわたる女性の健康を支援する施策を総

合的・体系的に進めてきた。その後、生活習慣病や自殺等の課題を契機

に「男性の健康」にも着手し、現在では「性差を考慮した健康支援施策」

として展開している。施策展開の中核を担う健康福祉センター(以下保

健所とする)における男女の健康相談事業から、「性別による違い」に着

目した健康支援について考察した。

【方法】

1)2005~ 2007 年度「女性のための健康相談」実績・利用者アンケー

トの分析 2)2007 年度「男性のこころと身体の健康相談」実績・利用

者アンケートの分析

【結果】

女性相談実績より:3 年間の相談総数は 4,119 件(面接相談 1,513 件、

電話相談 2,606 件)、相談者の年代は 30 歳代が 29%を占めていた。相談

内容は、妊娠・不妊・婦人科疾患に関すること等の婦人科系が 37%、う

つ・不眠・不安障害等のメンタル系が 21%であった。利用者アンケート

より:アンケート実施数 882 件(面接相談利用者に対する実施率 58%)、

95%が相談に「満足・ほぼ満足」としており、そのうちの 93%が「また

利用したい」と回答していた。男性相談実績より: 2007 年 10 月~ 2008

年 3 月の半年間の実績は 131 件(面接相談 14 件、電話相談 117 件)、相

談者の年代は 70 歳以上が 26%で一番多かった。相談内容は、メンタル

系 39%、その他(性の相談・内科的疾患・原因不明の体調不良等)が 31%

となっていた。利用者アンケートより:アンケート実施数 14 件(実施率

100%)、12 名が相談に「満足・ほぼ満足」とし、そのうちの 11 名が「ま

た利用したい」と回答していた。

【考察】

両相談の利用者の年代・内容に男女差がみられた。女性相談は 30 歳代

の若い世代が多く、不妊や婦人科系疾患へのニーズが高い。一方、男性

相談は 70 歳以上がおよそ 4 分の1を占め、加齢に伴う心身の不調に関す

る相談が多く、若い世代ではメンタル系の相談ニーズが高かった。さら

に、女性は本人が単独で相談してくるものが多いが、男性は家族を伴っ

ての相談も多いという受診行動の差もでており、今後はこうした性差も

踏まえて広報・相談対応に取り組むことで、より効果的な施策展開につ

ながるものと思われる。

Page 42: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

1

性差を考慮した健康支援~千葉県の保健所における

健康相談事業の実績から~

性差を考慮した健康支援~千葉県の保健所における

健康相談事業の実績から~

平成20年11月5日日本公衆衛生学会総会

千葉県健康福祉部健康づくり支援課

○ 木下寿美、澤田いつ子、山崎晋一朗

目的

「性差を考慮した健康支援事業」として、

県内全健康福祉センター(保健所)で実施している男女それぞれの健康相談

「性別による違い」に着目した健康支援のあり方を考察する

☆「女性のための健康相談」(2002.4月~)☆「男性のこころと身体の健康相談」(2007.10月~)

Page 43: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

2

方法

1.2005年~2007年度

「女性のための健康相談」

実績・利用者アンケートの分析

2.2007年度

「男性のこころと身体の健康相談」

実績・利用者アンケートの分析

女性相談実績より

1.相談総数 4,119件

(面接:1,513件、電話:2,606件)

2.相談者年代

①30歳代(28.6%)

②40歳代(18.0%)

③50歳代(14.4%)

Page 44: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

3

女性相談の相談内容別割合

2%

3%

4%

4%

14%

17%

16%

20%

22%

21%

13%

10%

11%

23%

14%

17%

25%

30%

28%

3%

3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

面接全体

電話全体

面接+電話全体思春期

妊娠・避妊

不妊

メンタル

更年期

その他婦人科系

その他分類外

2005~2007年度 保健所「女性のための健康相談」実績より

女性相談利用者アンケートより

1.アンケート実施数 882件

2.相談の満足度

満足 67.3% ほぼ満足 27.5%

(そのうちの93.4%が「また利用したい」)

3.希望する相談相手

医師 72.7%(そのうちの75.3%が女性医師を希望)

Page 45: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

4

なぜ女性相談を選んだのか

2005~2007年度 保健所「女性のための健康相談」利用者アンケートより

36

79

92

94

246

308

313

346

375

403

529

0 100 200 300 400 500 600

そのほか

家族・友人に勧められたから

予約制なのでまたされないと思った

医療関係者の方に勧められたから

今受けている治療について他の医師から話を聴きたかった

ゆっくり時間をかけて相談にのってくれるから

病院にいくべきか、どの科を受診したらよいか判断に迷ったので相談

したかった

病院と違って保健所は,相談しやすいと思った

自分のからだや心の症状について全体的に相談にのってほしかった

女性のからだや心の症状についてわかる人に相談したかった

女性医師なので相談しやすいと思った

(人)

男性相談実績より

1.相談総数 131件

(面接:14件、電話:117件)

2.相談者年代

①70歳以上(25.6%)

②40歳代(16.8%)

③50歳代(14.5%)

Page 46: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

5

男性相談の相談内容別割合

2007年度 保健所「男性のこころと身体の健康相談」実績より

17%

15%

14% 21%

7%

8%

43%

38%

21%

32%

31%

2%

2%

3%

5%

39%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

面接

電話

面接+電話

思春期

不妊

ED

泌尿器系

メンタル系

その他

男性相談利用者アンケートより

1.アンケート実施数 14件

2.相談の満足度

満足+ほぼ満足 85.7%

(そのうちの9割が「また利用したい」)

Page 47: 2.女性の健康に関する疫学調査の概要€¦ · 女性の健康に関する疫学調査の概要(平成15年度から県単事業として実施した5調査) 調査名

6

まとめ

1.女性相談の特徴①30歳代の若い世代が多く、不妊や

婦人科系疾患のニーズが高い

②本人が単独で相談してくる場合が多い

2.男性相談の特徴①70歳以上と40歳代の二極化

②家族を伴っての相談が多い

→ニーズの差、受診行動の差を踏まえた広報・

相談対応により、効果的な施策展開につながる

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平成20年度 性差を考慮した健康支援事業実施要領

第1 目 的

女性と男性は、異なる特有の身体的特徴を有しており、それぞれのライフステージごと

にさまざまな健康上の問題に直面し、それは、生活の質(QOL)に大きな影響を与える。 このため、性差を踏まえた保健医療の視点から女性も男性もその健康状態に応じ的確に

自己の健康管理を行うことができるよう、健康福祉センターが関係機関と連携を強化し、

生涯を通じた健康づくりの支援体制を充実することを目的とする。 第2 実施主体

事業の実施主体は、健康福祉センターとする。 第3 事業内容等

健康福祉センターは、地域の健康課題に応じて、次に掲げる事業を実施する。 1 性差を考慮した健康相談事業

1) 女性のための健康相談

(1)対象者 身体的、精神的な悩みを有する思春期以降の全年齢層にわたる女性を対象とする。

(2)事業内容 ア 健康福祉センター内に「女性のための健康相談窓口」を設置し、電話相談に応じ

る。なお、相談を受けた場合は、別記第5-1号様式により記録し保管する。 イ さらに支援が必要な者に対しては、面接相談を実施する。なお、面接相談につい

ては、原則として定例相談とする。 (3)実施担当者

ア 電話相談については、健康福祉センターの保健師等により実施する。 イ 面接相談については、本事業に理解のある医師等により実施する。

(4)面接相談に係る実施場所等 ア 実施場所

面接相談については、地域に密着し住民が利用しやすい健康福祉センター及び

市町村保健センター等において実施する。 イ 実施回数

実施回数は、地域の実情に合わせ、健康福祉センターごとに原則月1回から4回

とする。なお、必要な場合はこの限りでない。この場合は、事前に健康づくり

支援課に協議すること。 ウ 相談方法

(ア) 面接相談は、原則として予約制とする。 (イ) 面接相談に当たっては、相談者の話を十分に傾聴する。 (ウ) 女性の心や体の不安や悩みに対し、その背景に十分配慮し、医療面や生活支

援等、総合的な支援を行う。

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(エ) 相談後は必要に応じ医療機関や市町村等と連携を図り、継続的な支援を行う。 エ 相談記録

面接相談については、「女性のための健康相談記録(カルテ)」に記録し、保管す

る。 オ 「女性のための健康相談アンケート」への協力依頼

本事業の評価等の資料とするため、相談者に「女性のための健康相談アンケート」

(別添)の記載について協力を求め、回収したアンケートを翌月の10日までに

健康づくり支援課女性の健康支援室へ送付する。

2)男性のこころと身体の健康相談

(1)対象者

身体的、精神的な悩みを有する、思春期以降の全年齢層にわたる男性とその家族を

対象とする。

(2)事業内容 ア 健康福祉センターで、男性のこころと身体の電話相談に応じる。なお、相談を受

けた場合は、別記第5-2号様式により記録し保管する。 イ さらに支援が必要な者に対しては、専門相談実施機関へ紹介する。なお、県内 4

か所の健康福祉センター等で定例的な面接相談を実施する。 (3)実施担当者

ア 電話相談については、健康福祉センターの保健師等により実施する。 イ 面接相談については、本事業に理解のある医師等により実施する。

(4)面接相談に係る実施場所等 ア 実施場所

面接相談については、地域に密着し住民が利用しやすい会場で実施する。 イ 実施回数

実施回数は、地域の実情に合わせ、原則月1回から 2 回程度とする。なお、必要

な場合はこの限りでない。この場合は、事前に健康づくり支援課に協議すること。 ウ 相談方法

(ア) 面接相談は、原則として予約制とする。 (イ) 面接相談に当たっては、相談者の話を十分に傾聴する。 (ウ) 男性の心や体の不安や不調に対し、その背景を十分配慮し、医療面や生活支

援等、総合的な支援を行う。 (エ) 相談後は、必要に応じ医療機関や市町村、産業保健関係者等適切な機関と連

携を図り、支援を行う。 エ 相談記録

面接相談については、「健康相談記録(カルテ)」に記録し、保管する。 オ その他

この事業は、すでに実施している 2 か所(市川健康福祉センター、君津健康福

祉センター)に加え、新たに 2 ヶ所の健康福祉センター等を選定し実施するが、

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開始時期等については別に決定する。

2 健康教育事業

(1)対象者 思春期以降の全年齢層にわたる男女を対象とする。 従来の女性の健康課題に応じた健康教室に加え、性差を考慮した男性の健康支援の

視点から男性も対象とするように努める。特に、19 年度から開始した「男性の健康管

理講座」については、男性の健康への関心を高め、不調の早期発見・早期受診につな

げるために積極的に開催する。 (2)事業内容

ア 各ライフステージに応じた健康教室や講演会を開催する。 イ 効果的な健康教育を実施するため、健康課題に応じた媒体等の作成に努める。

なお、「男性の健康管理講座」については、19年度に作成・配布したパワーポ

イント資料を活用する。 (3)実施担当者

性差を考慮した保健医療に関する専門的知識を有する保健師等により実施する。 (4)実施場所及び日時

健康福祉センター及び、住民が利用しやすい保健医療施設等の場所と日時を選定し

行う。

3 健康応援団ジョイナス(join us)事業

(1)事業内容 ア 性差を考慮した健康支援体制の充実のための協議会等の運営 イ 社会資源の情報収集及び開発

ウ 市町村や関係団体等が性差を考慮した健康支援事業を実施するための支援 (2)協議会の構成団体 ア 市町村 イ 地区医師会 ウ 地区歯科医師会 エ 地区薬剤師会 オ 地区看護協会 カ NPO キ その他の関係団体(教育機関、産業保健機関等) 5 広 報

健康相談等を希望する者が、相談日や講座開催日を容易に把握できるよう、各種広報

紙・関係団体等を通じ効果的な周知を図るものとする。

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第4 事業計画の提出

本事業を実施するに当たり、事業計画を別記第1号様式により事業開始年度の4月末日

までに、健康づくり支援課長に提出するものとする。 第5 事業実施の報告

本事業の実施状況は次により、健康づくり支援課長に報告するものとする。 (1)第3の1による「女性のための健康相談」の実施状況は別記第2-1号様式、「男性

のこころと身体の健康相談」の実施状況は別記第2-2号様式、第3の2による「健

康教育事業」の実施状況は別記第3号様式により、実施月の翌月10日までに報告す

る。 (2)第3の3による「健康応援団ジョイナス事業」の実施状況を別記第4号様式により、

実施年度の3月末日までに報告する。 第6 個人情報の保護

相談者等の個人情報については、適正な取り扱いに努め、個人の権利利益の保護に

十分に配慮するものとする。また、当該事業以外の目的に使用してはならない。 第7 その他

この要領に定めるもののほか、性差を考慮した健康支援事業の実施に関し必要な事項は、

別に定める。

附 則 この要領は、平成 20 年 4 月 1 日から施行する。

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