世論調査における調査方式の比較研究 - nhk...107...

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105 世論調査における調査方式の比較研究 ~個人面接法,配付回収法,郵送法の 2008 年比較実験調査から~ 世論調査部  調査方式比較プロジェクト 個人面接法の有効率の低下により,配付回収法や郵送法によって調査を実施することが多くなっ てきた。また,新しい方式として,ミックスモードが注目されている。 今回,調査方式の比較研究を行い,NHKの組織によって自前で実施してきた意識調査を,今後, どのような方式で実施していくかを検討することにした。自前の個人面接法の調査である第8回「日 本人の意識調査・2008」と同時期に,同一質問による個人面接法,配付回収法,郵送法の実験調 査を外部の調査機関により実施し,各調査の実施状況の検討や回答分布の比較を行った。 実施状況の検討の結果,個人面接法の調査では,調査機関によって調査員の実施行動には違いが あり,そのことによる有効率や回答分布への影響があった。さらに,今回の研究の目的のひとつで ある,郵送法の方式の標準化について手がかりを得た。 各調査方式間の回答差とそれに対する要因を検討した。その結果,調査方式間の回答差は質問に よって異なり,それには,「社会的望ましさ」など複雑な要素が影響していた。調査方式の異なる 結果間の比較やミックスモード調査を可能にするためには,今後も多くの研究を積み重ねていく必 要がある。 要 約 目 次 はじめに  ………………………………………… 106 1 実験調査実施の背景  ………………………… 107 1 - 1 日本の世論調査の現状 1 - 2 NHKの調査方式の変1 - 3 調査方式の違いによる回答のズレ 1 - 4 個人面接法の調査機関による違い 1 - 5 過去の比較実験調査 2   実験調査の概要  ……………………………… 113 2 - 1 実験調査の目的 2 - 2 実験調査の概要 3 調査実施方法の検討  ………………………… 117 3 - 1 有効率の比較と不能理由 3 - 2 個人面接法の実施状況 3 - 3 配付回収法と郵送法の実施方法 3 - 4 自記式の調査票への記入状況 3 - 5 調査実施方法についての考察 4 調査結果の比較 ……………………………… 133 4 - 1 全体的な調査結果の差 4 - 2 調査方式以外の要因 4 - 3 無回答の比較 4 - 4 質問の結果の比較 4 - 5 意識構造における各調査方式の異同 4 - 6 まとめ 5 今後の調査方式の検討・開発に向けて  …… 147

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105

世論調査における調査方式の比較研究~個人面接法,配付回収法,郵送法の 2008 年比較実験調査から~

世論調査部 調査方式比較プロジェクト

個人面接法の有効率の低下により,配付回収法や郵送法によって調査を実施することが多くなっ

てきた。また,新しい方式として,ミックスモードが注目されている。

今回,調査方式の比較研究を行い,NHKの組織によって自前で実施してきた意識調査を,今後,

どのような方式で実施していくかを検討することにした。自前の個人面接法の調査である第8回「日

本人の意識調査・2008」と同時期に,同一質問による個人面接法,配付回収法,郵送法の実験調

査を外部の調査機関により実施し,各調査の実施状況の検討や回答分布の比較を行った。

実施状況の検討の結果,個人面接法の調査では,調査機関によって調査員の実施行動には違いが

あり,そのことによる有効率や回答分布への影響があった。さらに,今回の研究の目的のひとつで

ある,郵送法の方式の標準化について手がかりを得た。

各調査方式間の回答差とそれに対する要因を検討した。その結果,調査方式間の回答差は質問に

よって異なり,それには,「社会的望ましさ」など複雑な要素が影響していた。調査方式の異なる

結果間の比較やミックスモード調査を可能にするためには,今後も多くの研究を積み重ねていく必

要がある。

要 約

目 次

はじめに   ………………………………………… 106

1 実験調査実施の背景 ………………………… 107

 1 - 1 日本の世論調査の現状 1 - 2 NHKの調査方式の変遷 1 - 3 調査方式の違いによる回答のズレ  1 - 4 個人面接法の調査機関による違い 1 - 5 過去の比較実験調査 2   実験調査の概要 ……………………………… 113

 2 - 1 実験調査の目的 2 - 2 実験調査の概要 3 調査実施方法の検討 ………………………… 117

 3 - 1 有効率の比較と不能理由

 3 - 2 個人面接法の実施状況 3 - 3 配付回収法と郵送法の実施方法 3 - 4 自記式の調査票への記入状況 3 - 5 調査実施方法についての考察4 調査結果の比較  ……………………………… 133

 4 - 1 全体的な調査結果の差 4 - 2 調査方式以外の要因 4 - 3 無回答の比較 4 - 4 質問の結果の比較 4 - 5 意識構造における各調査方式の異同 4 - 6 まとめ5 今後の調査方式の検討・開発に向けて …… 147

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はじめに

近年,調査環境の悪化が進み,世論調査の

回答が得られにくくなってきた。特に個人面

接法の有効率は,5 ~ 6 割程度まで低下した。

新聞社の世論調査や研究機関の社会調査など

をみると,2000 年代中頃までは個人面接法

で実施されているものが多い。NHKでも意

識や態度を調べる世論調査を個人面接法で実

施することが多かった。

しかし,最近では,より高い有効率の望め

る調査方式として,配付回収法や郵送法が採

用されるようになってきた。新聞社や研究機

関の中には,郵送法での調査実施を推進して

いるところも多い。また,有効率を高める方

式としてミックスモードへの期待が強い1)。

このように,調査をめぐる状況が変わりつ

つある中で,NHKでも,意識や態度につい

ての世論調査の実施方法について,改めて考

える時期にきている。NHKの調査も,他機

関と同様に,従来,意識や態度については個

人面接法で実施してきた。また,特に重要と

考える全国調査については,NHKの組織に

よって自前で調査を行ってきた。しかし,先

に述べたような調査をめぐる状況やNHKの

組織の事情などから,意識調査の実施方法が

徐々に次のように変わってきた。①有効率の

低い個人面接法ではなく,配付回収法で実施

するようになり,現在,個人面接法で実施し

ている意識に関する調査は,ほぼ時系列比較

調査のみとなった。②調査の実施をNHKが

自前で行うのではなく外部調査機関に委託す

ることが多くなってきた。

NHKの他の調査がすべて配付回収法など

個人面接法以外の方式で実施するようにな

り,外部に委託するようになれば,長い間,

自前で同一調査方式によって調査を実施し,

比較を続けてきた時系列比較調査について

も,他の調査に合わせて,何らかの変更を行

わざるをえないときが来るかもしれない。し

かし,そうなった場合には,過去の調査の結

果と比較ができる保証はない。

調査とは,非常にデリケートなものである。

些細な方法の変更から回答分布が変わってし

まうことがある。異なる調査方式の回答分布

にはズレがあり,しかも質問によって異なる。

また,異なる調査機関の調査では,調査の指

示や調査員の訪問の方法の違いがあるかもし

れない。それによって,回答分布が異なるこ

ともありうる。

また,NHKが配付回収法で意識調査を実

施するようになったのは,30 年以上,個人

視聴率調査や生活時間調査を配付回収法で実

施してきた実績があるためである。一方で,

最近,他機関で実施されるようになってきた

郵送法については,小規模な調査での経験し

かない。

そこで,自前と外部委託の個人面接法の調

査の違いと,各調査方式間の違いを調べるた

めに,調査方式の比較実験調査を行うことに

した。NHKが自前で実施する個人面接法の

第 8 回「日本人の意識調査・2008」2)にあわ

せて,外部の調査機関に委託して,個人面接

法,配付回収法,郵送法による実験調査を実

施し,各調査方式の実施方法の検討と,調査

方式間の回答分布の違いの検証を行った。さ

らに,郵送法については,調査実施方法を標

準化するための検討を行うことにした。

本稿では,まず,1 章で調査の現状や調査

方式の比較研究について概観し,2 章で実験

106 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

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107

世論調査における調査方式の比較研究

調査の実施方法について説明する。そして,

3 章で各調査の実施状況の記録や調査後に実

施した調査員アンケートや調査相手アンケー

トなどから各調査方式の実施方法について検

討を行い,4 章で本調査と各実験調査の調査

結果を比較し,どのような質問・選択肢に影

響があるのかを調べ,それはどのような要因

によるものか,考察を行う。

実験調査実施の背景

1 − 1 日本の世論調査の現状

意識に関する世論調査を年度ごとに取りま

とめた内閣府発行の『全国世論調査の現況 

平成 19 年版(平成 18 年 4 月~平成 19 年 3

月調査分)』によると,日本の調査でもっと

も多く使用されている調査方式は郵送法であ

る(表1)。郵送法については,有効率(回収

率)が 80%以上の調査が 688 本中 15 本あっ

たが,50%未満の調査がほとんどで,454 本

もある。郵送法は他の方式に比べると,名簿

さえあれば安易に低コストで行うことが可能

な方式である。地方自治体関係の調査が多く,

その取り組み方や予算のかけ方などが,有効

率への差となって現れたものと考えられる。

表1 調査方式別回収率の分布(調査本数)

※『全国世論調査の現況 平成19年版』の「回収率別の抽出方法別調査方法(無作為抽出法)」 から作成しなおした。

電話法配付回収法(個別記入法)郵送法個人面接法

(個別面接聴取法)

50%未満50~ 60%未満60~ 70%未満70~ 80%未満80%以上

63.9126359374

46.2454168401115688

60.7158138953

60.4029211253

平均回収率(%)

調査本数計

回収率の分布(調査本数)

個人面接法(個別面接聴取法)については,

調査本数は 74 本と少ないが,有効率はほと

んどが 50 ~ 70%に収まっている。配付回収

法(個別記入法)は,有効率 50%未満の調

査が 53 本中 15 本あるものの,80%以上も 9

本あり全体としては有効率が高い。

どのような調査機関や調査で各調査方式が

用いられているかを個別にみていくと,個人

面接法の調査は,内閣府などの政府機関か新

聞社によるものが多い。政府機関の調査の有

効率は 55 ~ 60%台前半であり,新聞社等の

調査も同様である。有効率が7割を超えてい

る調査は,特定の地域や集団を母集団として

いる調査や代替サンプル3)を使用していると

考えられる調査である。このように,現在,

全国規模の調査では,個人面接法は,努力し

ても 6 割前後以上の有効率は得られない調査

方式と考えられる。

次にNHKで実施されることの多い配付回

収法(個別記入法)は,生徒・学生とその保

護者などの特定の対象や,都道府県・自治体

の調査などが多い。また,『世論調査の現況』

の対象外である統計局の労働力調査や家計調

査など,実態を中心とした調査や,マーケティ

ング調査などでは良く用いられている。一般

的に,配付回収法は,実態調査やマーケティ

ング調査に用いるという考え方が主流である

ようだ。NHKでも,従来は,個人視聴率調

査や生活時間調査などの実態調査を配付回収

法で行い,意識調査は個人面接法で行ってき

た。

郵送法は,ほとんどが都道府県や市町村な

どの地方自治体とその教育委員会や選挙管理

委員会などによって実施されている。無作為

抽出法以外のサンプルで実施されたものを含

1

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108 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

めると全部で 744 本が郵送法であるが,内

741 本がそのような自治体関係の調査であ

る。それ以外では,日本銀行の「生活意識に

関するアンケート」4)や朝日新聞の「長野県

知事選挙調査」5)など,以前は郵送法で実施

していなかった調査が掲載されている。日本

銀行では,訪問留置き法(配付回収法)で実

施していたこの調査を 2006 年 10 月の調査

から郵送法に変更している。また,朝日新聞

では,2004 年の参院選から本格的な郵送法

の調査に取り組み,調査票の様式,督促や謝

礼などさまざまな工夫を凝らし,70 ~ 80%

の有効率を得ている。

1 − 2 NHKの調査方式の変遷

NHKは昭和 23 年 11 月に,はじめての

ランダムサンプリングによる「放送番組世論

調査」を実施し,その後しばらくは,すべて

の調査を個人面接法で実施していた6)。その

後,1970 年に国民生活時間調査,1971 年に

視聴率調査の調査方式を個人面接法から配付

回収法に変更した。これは,調査相手の在宅

率の低下や,特に生活時間の調査の場合には,

調査員が個人の一日の生活を具体的に尋ねる

ことがプライバシーに関わるなどの観点から

である。さらに,これらの実態に関する調査

においては,調査員が調査相手の前日の行動

について尋ねるよりも,本人がその日のうち

に記入したほうがより実態に近いものが得ら

れるという利点もあった。視聴率調査におい

ては,1 週間を通した視聴データを得られる

ようになり,分析の内容も広がった。

意識に関する調査の調査方式についても,

調査方式の実験調査を 1976 年に実施するな

どの検討を行っている。しかし,調査方式を

変更することによって回答分布が変わってし

まうことや,実質有効率(調査相手本人が指

定の調査方法で回答している率)については,

個人面接法が最も高かったなどの理由から,

そのまま個人面接法での調査を継続すること

にした。

その後,2000 年代半ばから,個人面接法

の有効率が 50%近くまで低下したことなど

により,全国規模の意識に関する調査におい

ても,徐々に配付回収法が用いられるように

なった。2008 年は,時系列比較調査である「日

本人の意識」調査を除くと,個人面接法の調

査は実施していない。

なお,それ以前から,配付回収法で実施し

ている意識調査もある。NHKは,1993 年

以降,ISSP という国際共同調査を行うプロ

ジェクトに参加して,毎年,他の国と同じテー

マで調査を実施している。参加当初は,意識

調査であることから,個人面接法で実施し

ていたが,1998 年から,一部の調査を除き,

プロジェクトの原則である方式にあわせて,

配付回収法で実施するようになった。

有効率の推移を 5 年に1度実施している個

人面接法の「日本人の意識調査」(2 回目以降)

と,同じ年に実施した配付回収法の「6 月全

国個人視聴率調査」についてみると,図 1

のとおりである。前述したように,1970 年

にはすでに,在宅率の低下が問題とされてお

り,配付回収法のほうが個人面接法よりも有

効率が高かったが,1978 年の時点では,個

人面接法の「日本人の意識」は 78.5%,配

付回収法の「個人視聴率調査」は 85.1%と

現在では信じられないほど高い。どちらの調

査の有効率も,減少し続け,2008 年には「日

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109

世論調査における調査方式の比較研究

本人の意識」の有効率は 57.5%,「個人視聴

率調査」は 66.6%まで落ちた。

なお,2008 年に配付回収法で実施した「学

習関心とメディア」調査(1 ~ 2 月)の有効

率は 71.8%,「環境問題に関する世論調査」(3

月)は 72.9%で 7 割を超えており,意識に

関する調査のほうが実態に関する調査よりも

高い有効率が得られている。

このように有効率が落ちてきたのは,「拒

否」と「短期不在」の増加によるものであ

る。この2つの理由についての推移をみると,

図 2のとおりである。「日本人の意識」をみ

ると,「短期不在」は,1988 年までは増加が

大きいが,それ以降はそれほど増加していな

い。一方で「拒否」は,1993 年以降増加し,

2008 年には 14.5%になり「短期不在」より

も多くなった。「6 月全国視聴率調査」では,

「10 日未満不在」「留置き不可能」「受け取り

不可能」を「短期不在」による場合が多いと

考え合算してみたが,郵便受けなどを通じて

配付や回収を行うようにしていることもあ

り,「日本人の意識」と比べると,増えては

いるがかなり少ない。しかし,「拒否」に関

しては「日本人の意識」と同様 1993 年以降

に増加し 2008 年には 13.1%となった。

配付回収法は,「短期不在」による調査不

能が少ないため,有効率は高いものの,「拒否」

は面接とそれほど変わらない。これは,近年

のプライバシー意識やセキュリティ意識の高

まりによるものと考えられる。今後,どのよ

うな調査方式を採用していくのか,このよう

な人々の意識も考慮しなくてはならない。

図2 不能理由の推移

1978

短期不在(日本人の意識)拒否(日本人の意識)

拒否(視聴率)短期不在(視聴率)

1983 1988 1993 1998 2003 2008

20

15

10

5

0

※「短期不在」は日本人の意識と視聴率とでは内容が異なる。詳しくは以下のとおり 「短期不在(日本人の意識)」:10日未満不在+深夜帰宅+外出 「短期不在 ( 視聴率)」:10日未満不在 +留置き不可能+受け取り不可能

8.0

2.9

9.8

4.3

11.9

6.2

11.1

5.9

11.9

8.6

14.3

12.8

14.5

12.1

2.6 3.64.9 5.3

7.1

10.1

13.1

2.3 2.13.2 2.4 2.9 3.7

5.8

 

1 − 3 調査方式の違いによる回答のズレ

過去の個人面接法の調査と他の調査方式で

実施した調査の調査結果を比較したり,ミッ

クスモードを行ったりするためには,異なる

調査方式の回答にはどのような違いがあるの

かが解明されていなくてはならない。調査結

果として現れる回答分布の差異には,調査実

施方法による回答のズレと,枠母集団やサン

プリング方法が異なることや調査不能による

回答者の構成の違いとの両方が反映してい

る。従って,回答分布が異なる場合に,それ

が回答のズレによるものなのか,回答者の構

成の違いによるものなのかを分けて考える必

要がある。

今回,比較研究の対象としている 3 方式に

ついては,枠母集団とサンプリング方法は,

図1 有効率の推移

1978

日本人の意識

1983 1988 1993 1998 2003 2008

6月全国個人視聴率調査100

80

60

40

20

0

日本人の意識:個人面接法,調査相手数 5,400 人全国個人視聴率調査:配付回収法,調査相手数 3,600 人「日本人の意識」の1回目は,300地点(1地点あたり18人)で,2回目以降の450地点(1地点あたり12人)と異なるため割愛した。

85.1

78.5

83.4

75.3

81.7

71.4

80.8

70.6

76.4

67.1

72.2

61.5

66.6

57.5

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110 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

同じであることが多い。そこで,調査実施方

法の違いにより,回答者の構成や回答のズレ

がどのように起こるのかを検討しておく。

調査実施方法の違いは,表 2のように①

調査の依頼や調査票の配付・回収の方法(調

査員の介在の有無),②質問文や選択肢の提

示方法(音声か文字か),③回答の記入方法(調

査員による他記式か,調査相手による自記式

か)の 3 つの要素に分けることができる7)。

その方式の違いによって調査不能が起こった

り回答のズレが起こったりするため,調査結

果の回答分布が異なる。それぞれの要素につ

いて,さらに詳しくみると次のとおりである。

①調査の依頼や調査票の配付・回収の方法(調

査員の介在の有無)

調査員が介在する個人面接法や配付回収法

では,調査に関心のない調査相手を説得する

ことが可能である。しかし,個人面接法に関

しては,最近,外出や深夜帰宅が増え,調査

相手に会いにくいことや,調査や調査機関へ

の信頼の低下や調査員の訪問を忌避する傾向

などで拒否が増加し,有効率が低下している。

配付回収法は,拒否の割合については個人

面接法と大きくは変わらないものの,郵便受

けなどに配付・回収する場合には外出や深夜

帰宅への対応ができるため,有効率は比較的

高い。

郵送法は,個人面接法や配付回収法では接

触できない相手に調査票を渡せる可能性が高

い。一方で,依頼の際に,調査員が介在して

説明や説得ができないため,調査や調査内容

に関心の無い調査相手からの有効は得られに

くいと思われる。

②質問や選択肢の提示方法(音声か文字か)

視覚により文字を読んでもらうのと,聴覚

により音声を聞いてもらうのとでは,質問や

選択肢への理解が異なるため,回答に影響が

ある。視覚では最初のもの,聴覚では最後の

ものが印象に残りやすいという認知的な影響

があるといわれている。すなわち,配付回収

法や郵送法などの場合には,視覚によるため,

最初の選択肢が選ばれやすい(初頭効果)。

なお,聴覚のみによる電話法では,選択肢の

順序効果の影響が大きく,後の選択肢が選ば

れやすくなる(新近性効果)。

③回答の記入方法(調査員による他記式か調

査相手による自記式か)

個人面接法では,調査員が調査票を読んで,

得られた回答を記入するため,関連質問など

構成の複雑な調査票や,理解の難しい内容の

質問でも間違いが起こりにくいが,調査相手

が自分で調査票を読んで記入を行う自記式の

場合は,質問を飛ばしたり誤った理解のもと

に回答したりする場合も多くなる。一方で,

個人面接法では,調査員に回答を聞かれるた

め,回答への影響の恐れがある。社会的に望

ましい選択肢や肯定的選択肢を選ぶ傾向が強

表2 調査方式別の調査実施方法の違い

郵送法配付回収法個人面接法すべて郵送,調査員はまったく介在しない

調査員が本人または家族に依 頼・配 付・回収※郵便受けなどに配付・回収の場合あり

調査員が本人に直接会って行う

調査の依頼や調査票の配付・回収の方法(調査員の介在の有無)

調査相手による自記式

調査相手による自記式

調査員による他記式

回答の記入方法(調査員による他記式か調査相手による自記式か)

文字文字質問:音声選択肢:文字(回答項目リスト)。場合によって音声(高齢者など)。なお,選択肢を示さず音声のみの場合もある。

質問や選択肢の提示方法(音声か文字か)

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111

世論調査における調査方式の比較研究

く現れ,答えにくい質問に対して,本心で答

えないことなどがある。

1 − 4 個人面接法の調査機関による違い

自前調査から外部委託の調査などのよう

に,調査実施機関を変更すると,比較が不可

能となることがある。これは,以下の統計数

理研究所の例が示している8)。

統計数理研究所は,1953 年から「日本人

の国民性調査」を 5 年おきに実施しているが,

大学を拠点に大学生を調査員として調査を実

施していたのを,1993 年から専門の調査機

関に委託している。統計数理研究所が,「国

民性調査」のいくつかの質問項目について,

事前に調査したところ,比較不可能なほど回

答分布が異なる質問があることがわかったと

いう。例えば,「しきたりに従うか,自分の

正しいと思うことを押し通すべきか」 という

質問について,1988 年の「国民性調査」と

その年に専門調査機関で実施した調査とを比

べると,国民性では,「おし通せ」「従え」「場

合による」が,それぞれ 27%,36%,35%で

あるが,調査機関では,18%,26%,52%

と大きく異なっていたということである。

そのため,統計数理研究所では検討を重ね,

1993 年の調査を次の点に注意して実施した

としている。質問数を抑え,面接所要時間を

長くしないようにし,調査相手の抽出作業と,

調査員の調達・管理だけは専門調査機関に委

託したが,それ以外は全て従来の国民性調査

の調査方式を踏襲することを目指した。坂

元(2001)によれば,1993 年の調査の結果

については,若干の問題はあるものの,時系

列分析にもほぼ耐え得る結果を得,1998 年

調査はさらに調査方法を徹底することにより

1993 年よりも望ましい結果を得ることがで

きたとのことである。

調査機関を変更すると,調査実施者名が異

なるだけでなく,調査実施管理の方法,調査

員への指示内容や方法,調査員の属性なども

異なる可能性が高い。そのことが,調査有効

率や回答分布に影響を及ぼすかもしれない。

やむを得ず変更する場合には,調査実施方法

を細かく検討し,方法を均質化させる努力が

必要である。

1 − 5 過去の比較実験調査

日本の調査方式の比較実験調査は,調査方

式の切り替えのために実施されたものなどが

いくつか散見されるものの,国際的にみると

かなり少ない。過去では,NHKが 1976 年

に実施した調査が最大のものといえる。また,

統計数理研究所は,「日本人の国民性」の調

査実施に関連して,調査方式の比較実験調査

を行っている。いずれも,調査方式が異なる

と回答分布が異なることを示す結果で,比較

やミックスモードの困難さを示すものであ

る。

NHKは,1976 年に,意見調査,意識調

査への個人面接法以外の調査方式の採用の可

能性を探り,各調査方式の特質を明らかにす

ることを主たる目的とした調査方式の比較実

験調査を実施した9)。比較を行ったのは,「個

人面接法」「面前記入法」「配付回収法」「郵

送回収法(調査員が調査票を配付,郵送法で

回収)」の 4 方式で,調査相手は宮城県の 16

歳以上の県民各 500 人である。有効率は,

郵送回収法 85%,配付回収法 83%,個人面

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112 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

接法 75%,面前記入法 74%の順で高かった。

個人面接法と他の方式では,回答分布に有

意差のある項目が 2 割を超え,結果が 10%

以上食い違う項目もみられた。回答分布の違

いは,生活意識の質問にも,政治意識の質問

にも現れており,特定の質問領域に限定され

なかった。質問内容・形式に沿って分布の違

いを調べると,①中間回答の「どちらともい

えない」などを入れた場合に自記式調査で出

やすい,②自記式のほうが自由回答への記入

がやや詳しい,③複数回答の出方が方式に

よって異なる,④知識に関する質問では配付

回収法と郵送回収法で,正答率が高く出てい

る,などの傾向がみられた。

結論は,サンプルの検討,回答分布の比較,

および調査実施状況などの結果を判断し,特

に実質有効率(調査相手本人が指定の調査方

法で回答している率),知識の質問での正答

率,調査相手の負担の各側面からみて,個人

面接法は他の方式より妥当な方式とし,意識

調査を個人面接法以外の方式に全面的に切り

替える必要性は見当たらないとしている。た

だし,個人面接法の優劣は調査員の質によっ

てかなり変動するため,個人面接法継続の前

提は一定水準の調査員の確保であり,それが

不可能であれば他方式に切り換える必要性が

生じるとしている。しかし,方式を切り替え

る場合でも,回答分布が方式間で異なるた

め,過去のデータとの比較が困難であり,ま

た,同一調査の中で調査方式を使い分けるこ

と(例えば,老人には個人面接法を用い,若

者に配付回収法を用いるなどのミックスモー

ド)は避けたほうがよいとしている。

統計数理研究所では,1976 年から何度か

調査方式の比較研究を行っている。2003 年

の個人面接法による「日本人の国民性第 11

次全国調査」(以下,面接調査)と同じ質問で,

2001 年,2003 年に,1 都 3 県を母集団とし

た郵送法による調査(以下,郵送調査)を実

施,両者の特徴を比較している。

回収率は面接調査の 1 都 3 県の回収率

47.8% に比べ,郵送調査はそれぞれ 6 割を超

えている。郵送調査の基本属性変数の分布を

母集団分布と比較すると,性・年齢に関して

は,面接調査よりも偏りが小さいものの,学

歴は面接調査よりも,高学歴者を過大推定す

る傾向があった。

この調査では,郵送調査で,「いちがいに

はいえない」「場合による」などの中間選択

肢を提示した場合としない場合の 2 種類の調

査票を使用した結果を比較検討している。提

示した場合には,個人面接法よりも中間選択

肢の回答率がかなり多く,他の選択肢の回答

率が自記式ではない調査とはまったく比較で

きないほどであったという。提示しない場合

には,その代わりに「その他〔記入 〕」と

いう選択肢に置き換えたが,ここに記入され

た内容によって「いちがいにはいえない」な

どにアフターコーディングしたところ,1 ~

3%ほどしかなく,「その他」をあわせても,

面接調査の中間選択肢に比べてかなり少な

い。例えば,「人間らしさは減るか」という

質問では,個人面接法の 1 都 3 県の結果では

「いちがいにはいえない」は 28.8% に対して,

郵送法の調査では提示した場合は 55.5%,提

示しない場合は 1.6%であったという。いず

れにせよ,面接調査の結果と比較し得る水準

には達していないということであった。

前田(2005)10)は,この研究から暫定的ま

とめとして,次のように郵送調査の性質につ

Page 9: 世論調査における調査方式の比較研究 - NHK...107 世論調査における調査方式の比較研究 調査の実施方法について説明する。そして,3章で各調査の実施状況の記録や調査後に実

113

世論調査における調査方式の比較研究

いての知見や論点をまとめている(一部省

略)。

①郵送調査は特に回収率が低い調査とはいえ

ない。低くなる可能性のある調査である,

と特徴づけるほうが現実に即している。

②郵送調査の回収率に影響を与える属性要因

として,性別(男性が低い)と年齢(若年

層が低い)が挙げられる。全体の回収率が

高まると,各属性群間の回収率差が縮小す

るようである。

③回収標本の属性については,郵送調査法で

も面接調査法の場合と類似した方向の偏り

を持つことが多い。

④郵送調査では,自記式調査であることによ

り,中間的(あいまいな)選択肢に回答が

集中するという明白な特徴があり,選択肢

を提示しないなどの簡便な処理では面接調

査と比較可能にならない。

⑤面接調査と比較した場合の郵送調査の回答

傾向の違いを,質問内容の面から特徴付け

ることは今のところ難しい。

このように,これらの実験調査からも,調

査結果として現れる回答分布が異なることに

ついては,ほぼ確認できている。しかし,回

答分布の差異は,調査方式の違いそのものに

よって生じる回答の偏り(測定誤差)だけで

はなく,枠母集団やサンプリング方式の違い

や調査不能による有効調査相手の構成の歪み

による影響も大きい。また,質問の内容や形

式によっての違いも大きく,調査方式による

回答の違いであることがわかっても,それが

どのような要因によるかについての研究は不

十分である。

一人の人間が両方の調査方式で調査を受け

た場合の回答の違いがわかれば,調査方式の

違いがどのように調査結果に影響するのか明

らかにできるのかもしれないが,同一人物に

対して同じ条件で複数の調査方式による調査

を実施することは不可能である。

そこで,通常の調査を実施するのと同じ環

境で,ランダム・サンプリングによって選ん

だ調査相手に,それぞれの方式による調査を

実施し,その上で,得られた回答を集計した

調査結果の比較を行うしかない。調査結果(回

答分布)について,さまざまな調査実施過程

における誤差(測定誤差,サンプリング誤

差,無回答誤差など)の検討を行い,その上

で,調査方式による誤差(測定誤差)による

回答の偏りがあるかどうか,その要因は何か

を探っていく必要がある。

実験調査の概要

2 − 1 実験調査の目的

実験調査の目的は,今後の時系列調査をは

じめとした調査の実施や比較分析のために調

査方式を検討することである。

具体的には,調査の実施状況の分析を行い

各調査方式の実施方法を検討すること,調査

方式間でどのような質問・選択肢の回答分布

に差が出るか,その要因は何であるかを探る

ことの 2 つである。

2 − 2 実験調査の概要

2008 年 6 月 の 第 8 回「 日 本 人 の 意 識・

2008」調査(以下,本調査(面接)と表記),

2

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114 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

併行して外部調査機関による面接法(以下,

実験(面接)と表記),配付回収法(以下,

実験(配付)と表記),郵送法(以下,実験(郵

送)と表記)の 3 本の実験調査を実施した。

本調査(面接)と実験調査の概要は,質問

文と比較単純集計結果とともに文末に掲載し

た。

2 − 2. 1 調査地点の設定実験調査の調査相手は,本調査と同様にN

HKの放送文化研究所と各放送局で抽出を

行った。本調査(面接)のうち 300 地点に

ついて調査相手 12 人を等間隔抽出法で抽出

した後,引き続き,本調査を抽出したのと同

じ間隔で 12 人の抽出を行い,実験調査用の

調査相手とした。そして,この 300 地点に

ついて,地方,都市規模,産業就業人口構成

比がなるべく等しくなるように 100 地点ず

つ 3 分割し,個人面接法,配付回収法,郵送

法それぞれに割り当てた。

2 − 2. 2 日程日程については,本調査とほぼ同じ時期に

なるように設定した。

まず,協力依頼状は,本調査・実験調査と

も,すべて 6 月 21 日(土)に発送した。

本調査(面接)の調査期間は,6 月 28 日(土)

~ 29 日(日)調査実施,6 月 30 日(月)に

調査の有効数が少ない調査地点について補完

調査を実施した。

実験(面接)は,当初 6 月 28 日(土)~

6 月 30 日(月)を調査期間に設定していた

が(当初日程),有効率が当初の見込みに達

しなかったため,7 月 5 日(土)~ 7 日(月)

に追加の面接調査を実施した。

実験(配付)は,配付日:6 月 28 日(土)

~ 29 日(日),回収日:7 月 5 日(土)~ 6

日(日)のそれぞれ 2 日間を設定した。従来,

NHKの配付回収法による調査では,1 週間

で調査を実施,配付と回収については,それ

ぞれ土曜日または日曜日が多く,1 日にした

り 2 日にしたりしていたが,配付率,回収率

の確保できる期間として,それぞれ土日の 2

日間を設定した。また,配付回収法では,本

人に会って調査票を直接配付,直接回収を行

うことを条件とする場合がよくみられるが,

NHKでは配付の際は,家族に渡したり,調

査期間内に会えないと判断した場合には郵便

受けなどに調査票を投函したりしている。同

様に,回収の際も,家族から受け取ったり,

調査相手と取り決めた場所から回収を行った

りしている。今回も直接配付を条件とせず,

従来から実施している方法で行った。

実験(郵送)については,最初の調査票発

送日を 6 月 25 日(水)とした。これは,土,

日に記入が行われることを想定したためであ

る。また,記入期間を 2 週間として,返送締

め切り日を 7 月 7 日(月)と調査相手に示

した。督促は未返送者に行い,1 回目の督促

状には,はがきを使用し,7 月 9 日(水)の

夕方に発送した。2 回目の督促は,A 4 サイ

ズ 1 枚の督促状に色を変えた調査票と返送用

封筒を同封して,7 月 16 日(水)の夕方に

未返送者に発送した。1 回目,2 回目とも督

促状の締切日は 7 月 22 日(火)とした。当初,

受付締切を 7 月 25 日(金)に計画していたが,

実際には,8 月 4 日(月)到着分までを調査

有効とした。

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115

世論調査における調査方式の比較研究

2 − 2. 3 調査実施者名調査主体がNHKであることは,すべての

調査で調査相手に知らせた。実験(面接),

実験(配付)では,調査会社名を調査実施者

として併記したが,実験(郵送)については

NHK名しか知らせていない。調査票の返送

先もNHKとした。

2 − 2. 4 調査票個人面接法の調査票と選択肢を提示する回

答項目リストについては,本調査(面接),

実験(面接)ともに,それぞれの調査機関で

通常使用しているものと変わらないものを使

用した。

配付回収法と郵送法の自記式については,

それぞれ調査票の色を変えた。実験(配付)

は藤色,実験(郵送)は,最初に送付すると

きはあさぎ(薄水色),督促のときにはさく

ら色を使用した。

レイアウトは,林英夫(2006),マンジョー

ニ(1999)11),松田映二(2008)12)などを参

考にした。表紙に「協力依頼文」と「記入方

法の説明」,「整理番号」を配置した。「整理

番号」については,「記入方法の説明」の下

に「右下の整理番号は,調査票が返送された

かどうかの確認や集計を匿名で行うために使

用します」と説明を入れた。2 ページ以降(表

紙の裏ページ)から質問を掲載した。各ペー

ジ 2 段組とし,質問文・選択肢は回答しやす

いように縦に並べた。選択肢はわかりやすい

ように枠で囲うことにした。なお,職業質問

のみ,特殊な関連質問であるため 1 段組でレ

イアウトした。個人面接法と共通の質問は

13 ページで終わり,14 ページに性別,生年,

また,今回の実験調査のために,記入終了日

時,記入にかかった時間,最後の 15 ページ

は調査相手の記入感想欄,裏表紙となる 16

ページは白紙にした。

質問文・選択肢について,最も考慮したの

は,「わからない」「この中にはない」など個

人面接法では調査票に記載されるが,回答項

目リストには記載されない選択肢項目の記載

である。このような項目は,入れると多く出

過ぎる可能性があるが,入れないと逆に個人

面接法と比べて少なすぎることになる。本調

査となる「日本人の意識」の過去の結果をみ

ると,多くは「わからない,無回答」の少な

い質問であったため,「わからない」「この中

にはない」などは,入れないこととした。

また,「そう思う,そう思わない」など,

選択肢が 2 つの場合には,個人面接法では,

回答項目リストで選択肢を提示しないが,自

記式の調査票には提示した。

個人面接法と異なる質問形式にしたのは,

個人面接法では回答項目リストで選択肢を提

示しない「好きな外国」と「支持政党」であ

る。どちらも,調査員が記入する(調査相手

は見ない)調査票には回答選択肢が表示され

てあり,調査員は聞き取った回答に該当する

選択肢に○をつける。

「好きな外国」は,回答した人だけにその理

由を尋ねる関連質問が引き続きあるため,自

記式の調査票には「好きな外国はない」とい

う選択肢のみ提示した。「支持政党」は,自

記式の調査票には「政党名」を回答選択肢と

して記載した。

また,「日本人の意識」調査では,「本人の

職業」と「生計維持者の職業」(職業で主婦

と回答した人のみ)の 2 項目について,1 問

目で自営か勤めているか無職か(さらに,組

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116 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

織の規模や,無職の場合には主婦か学生かな

ど)を尋ね,2 問目に具体的な仕事,3 問目

に役職,というように 3 段階で聞いたものを

アフターコーディングしている13)。調査票

が複雑になるが,比較を行うために,自記式

の質問形式も個人面接法に準じた。

2 − 2. 5 その他の調査材料実験調査で準備した調査材料は調査票を含

めて表 3のとおりである。なお,実験(面接)

の調査材料は,本調査(面接)とほぼ同じで

ある。

本調査で協力謝礼を通常の調査の 500 円

の図書カード 1 枚ではなく 2 枚 1,000 円とし

たため,実験調査も同じ金額とした。配付回

収法では事前渡しとし,郵便受けなどに留め

置く場合には,配付用封筒に同封した。郵送

法では,第 1 回の調査票送付時に同封した。

協力依頼状は,他のNHK調査と同じよう

に圧着はがきで作成した14)。今回,本調査

で協力依頼状に「ご協力の謝礼として図書

カード(1,000 円相当)をさしあげます」と

記載し,謝礼があることを事前に予告したた

め,実験調査もそれにならった。なお,「協

力依頼状」を読んでいない調査相手も多いと

考えられたため,本調査(面接)と実験(面

接)では,調査員にも協力依頼状の見本を持

たせ,必要に応じて調査相手に提示すること

にした。実験(配付)と実験(郵送)につい

ては,配付・送付用封筒の中に「協力依頼状」

を同封した。

実験(郵送)の封筒については,返送あて

先は,調査会社ではなく,NHKとした。送

付用・返送用ともに切手を貼ったが,2 回目

の督促用に同封した返送用封筒については,

「料金受取人払い」とした。

表3 実験調査の調査材料

形状・色など材料名 1 協力依頼状 圧着はがき(白地にあお色帯) 2 調査票 A4判(白地) 3 回答項目リスト A5判(白地,左上ホチキス止め) 4 調査要領(調査員用説明書) A4判(白地,19ページ) 5 住居形態記入表 A4判片面(白地) 6 世論調査リーフレット A4版三つ折(カラー印刷) 7 協力謝礼 図書カード(500円券×2枚) 8 再訪問メモ B6版片面(若草色) 9 訪問打切メモ B6版片面(クリーム色) 10 訪問確認カード はがき大片面(白地) 11 調査相手アンケート はがき(水色) 12 調査相手アンケート依頼状 A4判(白地) 13 調査相手アンケートめかくしシール 灰色 14 調査相手アンケート送付用封筒 NHK封筒(長3) 15 調査員アンケート A3版2つ折(クリーム色)

■実験(面接)用

形状・色など材料名 1 協力依頼状 圧着はがき(白地にあお色帯) 2 調査票 A4判(藤色) 3 調査要領(調査員用説明書) A4判(白地,15ページ) 4 世論調査リーフレット A4版三つ折(カラー印刷) 5 協力謝礼 図書カード(500円券×2枚) 6 回収状況記入表 A3版2つ折 7 再訪問メモ B6版片面(若草色) 8 留置メモ B6版片面(水色) 9 受取メモ B6版片面(クリーム色) 10 配付・回収用封筒 角2封筒(茶色) 11 調査相手アンケート はがき(水色) 12 調査相手アンケート依頼状 A4判(白地) 13 調査相手アンケートめかくしシール 灰色 14 調査相手アンケート送付用封筒 NHK封筒(長3)

■実験(配付)用

形状・色など材料名 1 協力依頼状 圧着はがき(白地にあお色帯) 2 調査票 A4判(あさぎ色) 3 世論調査リーフレット A4版三つ折(カラー印刷) 4 協力謝礼 図書カード(500円券×2枚) 5 送付用封筒 NHK封筒(角2・切手貼付) 6 返送用封筒 角2封筒(あさぎ色,切手貼付) 7 1回目督促状 はがき(あじさい色) 8 2回目督促状 はがき(あじさい色) 9 2回目調査票(督促用) A4判(さくら色) 10 2回目送付用封筒 NHK封筒(角2・切手貼付) 11 2回目返送用封筒 角2封筒(さくら色,料金受取人払い) 12 調査相手アンケート はがき(水色) 13 調査相手アンケート依頼状 A4判(白地) 14 調査相手アンケートめかくしシール 灰色 15 調査相手アンケート送付用封筒 NHK封筒(長3)

■実験(郵送)用

2 − 2. 6 調査実施状況の記録今回の実験調査では,実施状況を調べるた

めに,調査票等で実施状況の記録を取った。

本調査(面接)では,調査員が不能理由を

記録した。さらに,訪問の都度の訪問日時・

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117

世論調査における調査方式の比較研究

対応者,質問開始時刻と質問終了時刻,質問

所要時間の記録を行った。

実験(面接)では,本調査(面接)の記録

内容に加え,調査員が住居状況を記録した。

これは,主にオートロック式集合住宅の有効・

不能などを調べるためである。

実験(配付)では,調査員が不能理由,配付

相手と回収相手と住居状況の記録を行った。

さらに,調査票の最初に記入開始日時,最後

に記入終了日時,記入にかかった時間を記入

する欄を設け,調査相手により記入を得た。

実験(郵送)は,調査相手による記入開始

日時,記入終了日時,記入にかかった時間に

加え,返送された調査票の到着日を記録した。

2 − 2. 7 調査相手アンケートと調査員アンケートの実施

本調査である「日本人の意識」調査では,

毎回,調査相手アンケート(監査はがき)と

調査員アンケートを実施している。

それにあわせて,各実験調査でも調査相手

アンケートと,実験(面接)については調査

員アンケートも実施した。なお,調査相手ア

ンケートと調査員アンケートの実施概要は,

文末の質問文と単純集計結果とともに掲載し

た。

調査相手アンケートでは,主に,調査が正

確に行われたかどうかを調べた。個人面接法

では調査員と会ったか,調査相手本人が回答

したか,正しい方法で調査を受けたかを尋ね

た。配付回収法・郵送法については,家族に

よる記入や(代理記入),家族などと相談し

たかを尋ねた。また,最後の質問として,自

由に意見を記入する欄を設けた。

調査員アンケートでは,本調査,実験調査

ほぼ同じ内容で,調査の実施状況や実施した

調査についての感想や意見を求めた。

調査実施方法の検討

各調査の有効率と不能理由がどのように異

なるかを確認し,調査方式ごとに,調査の実

施状況の記録や調査員アンケートや調査相手

アンケートなどの結果から,調査の実施方法

を検討していく。

3 − 1 有効率の比較と不能理由

3 − 1. 1 各調査の有効率調査別に有効率をみると,表 4のとおり

である。

まず,実験(面接)を本調査(面接)と比

較すると,実験(面接)のほうが低い。

男女や年層などの基本属性別にみると,実

験(面接)のほうが,男女差が大きい。年層

をみると,実験(面接)の「若年層」(16 ~

29 歳)・「高年層」(60 歳以上)は,本調査(面接)

と変わらないが,「中年層」(30 ~ 59 歳)で

は低い。区市郡別にみると「区」や「郡」で

は有効率は同じくらいであるが,「市」は実

験(面接)のほうが低い。

3

表4 調査方式別有効率の比較

実験(郵送)実験(配付)実験(面接)本調査(面接)

68.5

64

73

62

66

75

70.6

69

72

60

72

73

当初日程 51.7%

57.5

54

61

44

56

66

若年層

性別

年層別

中年層

高年層

備考

(%)

54.1

48

60

43

51

65

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118 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

なお,実験(面接)では,当初日程では,

有効は620人で51.7%と低かった。そのため,

未面接の 31 地点 128 人(うち 91 人が外出

による未面接)について追加調査を実施して,

29 人が有効となった。有効率は 54.1%まで

増えたが,本調査(面接)の 57.5%に及ば

なかった。

自記式の実験(配付)と実験(郵送)をみ

ると,明らかに個人面接法の 2 調査よりも

有効率は高い。また,男女別,年層別,区市

郡別などでみても実験(配付)・実験(郵送)

のほうがかなり高く,しかも,各層の間の偏

りが小さくなっている。

実験(配付)と実験(郵送)の有効率を比

べると,実験(配付)のほうが高い。男女別

や年層別にみると,実験(配付)は,「男」

や「中年層」で高い。さらに,区市郡別,地

域別にみると,実験(配付)では,「区」と「郡」

の差や地域差が大きいが,実験(郵送)では,

区市郡や地域などの偏りはあまりない。

3 − 1. 2 個人面接法の不能理由本調査(面接)と実験(面接)の不能理由

は,表 5のとおりである。実験(面接)は,

本調査と同じ日程の「当初日程」を最終の不

能理由とともに示したが,まずは,最終の不

能理由を本調査(面接)とともにみていく。

ともに,「拒否」と「短期不在」(「10 日未

満不在」「深夜帰宅」「外出」の合計)が大きい。

「短期不在」の合計は本調査(面接)と実験

(面接)とでほぼ同じであるが,その内訳が

異なる。実験(面接)は本調査(面接)より

も「10 日未満不在」や「深夜帰宅」が少なく,

「何度訪問しても,本人は外出中で会えなかっ

た」という「外出」が多い。不能理由の記入

の際の判断の違いもあると思われるが,後で

述べるように,本調査(面接)のほうが早い

時間から遅い時間まで調査員が稼動している

効果が大きいと考えられる。

「拒否」は実験(面接)のほうが本調査(面接)

よりも多い。その理由としては,調査実施者

に対する信頼度と調査員の努力の程度(説得,

再訪問)の違いが考えられる。また,調査不

能の記録は,調査員の判断であるが,実施機

関が異なると,「体調が悪い」と断られたと

きに,「拒否」とするか「自宅療養」とするか,

家族から「深夜にならないと帰らないのでも

う来ないで」と断られたときに「拒否」とす

るか「深夜帰宅」とするかなど,記録の判断

基準が異なることも考えられる。

個人面接法の有効率を上げるには,まずは

調査相手に会う必要があり,その上で調査相

手を説得する必要がある。「当初日程」と「最

終」を比較すると,追加調査の効果がみられ

る。何人かの調査相手に会えたことにより,

本調査(面接)と同程度まで「短期不在」が

減り,一方で「有効」と「拒否」が増えた。

しかし,「拒否」は本調査(面接)より多く,

表5 本調査(面接)と実験(面接)の不能理由内訳

実験(面接)本調査(面接)不能理由

全体(人)当初日程最 終1,2001,2005,400

場所不明転居1年以上不在10日以上不在10日未満不在深夜帰宅外出自宅療養拒否その他、死亡有効

2.54.51.32.32.92.411.61.518.01.451.7

2.44.91.32.62.81.78.21.419.31.454.1

1.64.41.72.33.74.15.02.514.52.757.5

※短期不在(10日未満不在,深夜帰宅,外出)

16.912.712.8

(%)

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119

世論調査における調査方式の比較研究

「有効」は及ばなかった。

3 − 1. 3 配付回収法の不能理由実験(配付)の不能理由は,表 6のとお

りである。調査方式が異なると,不能理由の

分け方や意味も異なるが,それを勘案しても,

実験(配付)は,個人面接法のどちらの調査

と比べても,短期の不在や外出・深夜帰宅に

よる不能と思われる「短期不在+留置き不可

能+受け取り不可能」(以下「短期不在など」

と省略)がかなり少ない。やはり,直接会わ

なくても調査票を配付・回収できる効果が大

きいと考えられる。また,「拒否」や「場所

不明+転居」「長期不在」なども実験(配付)

のほうが少ない。なお,最近,NHKでは年

数回の配付回収法の調査を実施しているが,

実験(配付)の不能理由の内訳は,それらの

配付回収法の調査とほぼ似たような結果であ

る。

男女別,年層別などでみると,実験(配付)

の「短期不在など」は,本調査(面接)・実験(面

接)の「短期不在」よりもかなり少なく,「拒

否」も少ない。特に,個人面接法では「深夜

帰宅」や「外出」の多い「若年層」「中年層」

で,「短期不在など」が少ない。

地域別の分析には地点数が十分ではない

が,実験(配付)の「短期不在など」「拒否」

についてみると,区市郡,地域,どの属性を

みても,本調査(面接)や実験(面接)の「短

期不在」「拒否」よりも少ないだけでなく,

地域属性についての偏りが小さい。

3 − 1. 4 郵送法の不能理由郵送法の特徴として,他の方式では「場所

不明」「転居」「長期不在」「短期不在」「留置

き不可能」で不能になるものについても,相

手に調査票が届く利点がある。しかし,一方

で,調査票を受け取った後の強制力が他の方

式より弱い。郵送法では,ほとんどの不能理

由が「未返送」としか分類できないため,詳

しい不能の理由の把握は難しい。

実験(郵送)については,表 7のように

不能理由を設定した。調査票の返送は 8 月

11 日までに 885(74.0%)あったが,その

うち,調査票は戻ってきたが性・生年が調査

相手一覧表と違うことなどにより確認できた

「代理記入」(調査相手一覧表への転記ミスの

可能性もある),記入が完全でない「回答不

表6 実験(配付)の不能理由内訳

実験(配付)不能理由全体(人) 1,200場所不明転居1年以上不在10日以上不在10日未満不在留置き不可能自宅療養拒否その他死亡受け取り不可能※紛失・汚損対象ちがい有効

1.73.61.31.12.52.01.410.32.30.52.40.10.370.6

※短期不在など(10日未満不在,留置き・受け取り不可能) 6.9

(%)

表7 実験(郵送)の不能理由内訳

実験(郵送)不能理由全体(人) 1,200転居・場所不明未返送代理記入回答不備拒否その他有効

1.025.34.30.50.30.368.5

(%)

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120 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

備」や「拒否」などを除いて,822(68.5%)

を有効とした。その他,調査票が住所不明等

で戻ってきた場合の不能理由を「転居・場所

不明」とし,残りは「未返送」に分類した。

3 − 1. 5 サンプル構成比表 8に本調査(面接)と実験調査の指定

サンプルと有効サンプルのサンプル構成比を

示した。まず,指定サンプルについて,『住

民基本台帳人口要覧(平成 20 年版)』から

算出した人口構成比と比較すると,本調査(面

接)については,性年層(若年層:16 ~ 29

歳,中年層:30 ~ 59 歳,高年層:60 歳以上),

都市規模,地域別ともに,ほぼ一致している。

各実験調査については,多少歪みがみられる。

各実験調査のサンプルは,300 地点で一括し

て抽出した後で,100 地点ずつ分けているの

で,全部を合わせて構成比を計算したところ,

ほぼ本調査(面接)と一致した。したがって

各実験調査のサンプルには,分割の時点での

歪みがあることがわかった。

次に,本調査(面接)と各実験調査の有効

サンプルについて,性年層,都市規模,地域

の構成比に違いがあるのか検証を行った。

χ ² 検定(独立性の検定)の結果,性年層

に関しては実験(面接)と実験(配付)の

間で分布に違いがあった(χ²=15.909, df=5,

p<.01)。カテゴリー別にみると,実験(配付)

は実験(面接)よりも女若年層が少ない。た

だし,女若年層の構成比は指定サンプルの時

点ですでに違っており,調査方式の違いによ

る影響はないものと思われる。

都市規模に関しては,実験(郵送)と他の

3 調査との間で分布に違いがみられた[本調

表8 住民基本台帳および各サンプルの構成比(%)

全体(人) 性年層(%)男若年層 男中年層 男高年層 女若年層 女中年層 女高年層9.39.310.38.68.37.07.28.06.8

24.624.223.022.624.821.318.821.022.1

14.614.315.416.816.316.617.417.617.5

8.98.39.76.97.86.38.65.17.8

24.024.923.821.424.227.025.723.825.2

18.619.017.823.818.721.822.224.420.6

108,534,0865,4001,2001,2001,2003,103649847822

住民基本台帳本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)

指定サンプル

有効サンプル

全体(人)都市規模(%)

特別区と人口100万以上の市

人口 30万以上の市

人口 10万以上の市

人口5万以上の市町村

人口5万未満の市町村

21.721.623.020.022.018.219.718.121.7

21.921.819.022.024.022.217.921.624.8

24.124.025.027.021.024.125.627.420.0

15.315.816.014.015.017.018.014.015.9

17.116.917.017.018.018.518.818.917.6

108,534,0865,4001,2001,2001,2003,103649847822

住民基本台帳本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)

指定サンプル

有効サンプル

全体(人) 地 域 (%)北海道 東 北 関 東 甲信越 東海・北陸 近 畿 四 国 九 州4.44.45.04.04.04.04.53.94.0

7.57.67.08.08.07.87.78.68.5

32.632.433.032.032.031.632.030.331.9

4.34.24.05.04.04.54.55.44.4

14.214.014.014.014.016.214.815.013.4

16.316.416.016.017.014.114.814.416.9

中 国6.06.06.06.06.06.46.66.45.7

3.23.34.03.03.03.74.33.73.4

11.611.611.012.012.011.710.812.311.8

108,534,0865,4001,2001,2001,2003,103649847822

住民基本台帳本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)

指定サンプル

有効サンプル

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121

世論調査における調査方式の比較研究

査(面接):χ²=11.719, df=4, p<.05,実験(面

接):χ²=15.015, df=4, p<.01,実験(配付):

χ²=15.647, df=4, p<.01]。実験(郵送)では

「特別区と 100 万以上の市」が本調査(面接)

よりも高いなど,都市部の比率が高めになっ

ている。

関東,近畿などの地域に関してはどの調査

方式間にも統計的に有意な差はなく,分布の

違いは認められなかった。

3 − 2 個人面接法の実施状況

本調査(面接)と実験(面接)とでは,有

効率に差がみられた。そこで,有効率の差が

なぜ生じたのか,調査員の属性や行動,訪問

時間帯,調査の実施方法などを検討する。

3 − 2. 1 調査員の属性本調査(面接)と実験(面接)は,調査実

施機関が異なるため,調査員の属性なども異

なる。調査員アンケートの結果をみると,図

3のように本調査(面接),実験(面接)と

も調査員は女性 40 ~ 50 代,60 歳以上で 7

~ 8 割が占められている。それ以外の属性

をみると,本調査(面接)は男女の 10 ~ 30

代が多く,実験(面接)では男性の 60 歳以

上が多い。

職業をみると,主婦が多いことは共通して

いるが,学生や派遣は本調査(面接)で多く,

実験(面接)は 0%である。一方で,無職は

実験(面接)で多い(図 4)。

また,調査経験については,NHKの世論

調査に限定して尋ねたところ,実験(面接)

の調査員のほうが,実施回数が多い(図 5)。

今回の本調査(面接)は大規模の調査であ

るため,学生や派遣,初めてという人が多い。

外部委託の実験(面接)のほうが経験豊富な

調査員で実施されていることがわかる。

調査相手アンケートの意見・感想欄では,

調査員の印象に関するものが多い。その中で

は,「調査員の感じがいい」「調査員がてきぱ

きしていたので答えやすかった」というもの

がほとんどであり,「調査員の服装」を問題

とするものや「調査員に答えたくない」といっ

た調査員を嫌うものは少ない。

3 − 2. 2 訪問時間帯本調査(面接),実験(面接)とも,通常

の調査を実施するときと同じように,調査員

向けの説明書(本調査(面接)では『面接調

査調査員マニュアル』,実験(面接)では『調

査要領』)を作成した。今回は,特に,土~

月曜日の 3 日間調査であること(本調査(面

接)では月曜日は補完日)などを考慮して,

図3 調査員の性年層構成比(調査員アンケート)

図4 調査員の職業(調査員アンケート)

図5 NHKの調査経験回数(調査員アンケート)

本調査(面接)

実 験(面接)

本調査(面接)

実 験(面接)

344012347%

374412 25%

女性(83%)

女性(86%)

男性(17%)

男性(14%)

60 歳以上

その他

30回以上10回以上5~9回2~4回初めて

無職学生勤め人・自営業など派遣主婦

40~50代10~30代40~50代60歳以上10~30代

62% 116 6 9 6

64% 15 129

本調査(面接)

実 験(面接)

32 13 20 1818%

23 34 25153%

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122 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

調査相手への訪問方法や訪問時間について共

通の説明を記載した。

① 1 日目の朝に調査相手をひとまわりする

(午前 9 時までには訪問開始など)

②何回もくりかえし訪問する(昼間は高齢者,

主婦,土日の夜間は若い人など)

③夜間の訪問は重要(都市部では午後 9 時,

その他の地域では午後 8 時までなど)

実際には,どのように訪問が行われたかを

みていく。調査員による訪問時間の記録から,

時間帯別の調査相手訪問率(分母=調査相手

数。調査相手が訪問されている率)と,調査

員稼働率(分母=調査員数。時間帯別の調査

相手訪問の有無)を算出した。

図 6のように 1 時間単位にみると,本調

査(面接)と実験(面接)の両調査に共通し

て, 28 日(土),29 日(日),30 日(月)の

順に減少している。

3 日間の調査員の訪問の流れをみると,本

調査(面接)は,1 日目の 28 日(土)の午

前の早い時間帯から始められており,10 時

台にピークがあり 18 時台に 2 回目のピーク

がある。2 日目,3 日目は,順に減っていくが,

同じような訪問パターンがみられる。

実験(面接)についても似たような訪問パ

ターンはみられる。しかし,1 日目のピーク

が本調査(面接)より低い。特に,「9 時台」

「10 時台」「11 時台」など午前中が本調査(面

接)と比べるとかなり低く,本調査(面接)

ではピークとなる「18 時台」には訪問量が

減少しはじめる。2 日目は全体としては,本

調査(面接)よりもむしろ訪問量が多い。た

だし,本調査(面接)よりも多いのは,主に

日中の時間帯である。朝の「9 時前」と「9

時台」や「19 時台」以降の時間帯については,

本調査(面接)よりも若干少ない。

1 日目の午前中(12 時前)の時間帯の調

査員稼働率(この時間帯に 1 回でも訪問を

行った人)は,本調査(面接)では 96%に

対して実験(面接)では 78%,調査相手訪

問率は本調査(面接)では 68%に対して実

験(面接)では 57%である。18 時以降に

稼動している調査員も本調査(面接)では

80%と実験(面接)の 58%よりも多い。本

図6 調査相手訪問率と調査員稼働率(1日単位)

%100

80

60

40

20

0

28日(土)

29日(日)

30日(月)調査相手

調査員

調査相手:本調査(面接)調査相手:実験(面接)調査員:本調査(面接)調査員:実験(面接)

22時以降

21時台

20時台

19時台

18時台

17時台

16時台

15時台

14時台

13時台

12時台

11時台

10時台

9時台

9時前

22時以降

21時台

20時台

19時台

18時台

17時台

16時台

15時台

14時台

13時台

12時台

11時台

10時台

9時台

9時前

22時以降

21時台

20時台

19時台

18時台

17時台

16時台

15時台

14時台

13時台

12時台

11時台

10時台

9時台

9時前

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123

世論調査における調査方式の比較研究

調査(面接)では,ほとんどの調査員が『調

査員マニュアル』で説明したように朝と夜の

訪問を行っていた。

調査員アンケートの結果でも同じような傾

向がみられる。午前 10 時までに自宅を出発

した調査員は,1 日目は,本調査(面接)で

は 93%に対して実験(面接)では 68%,2

日目は,本調査(面接)では 79%に対して

実験(面接)では 62%と低い。帰宅時間に

ついては,午後 7 時までに帰宅したのは,1

日目は,本調査(面接)では 20%に対して

実験(面接)では 51%,2 日目は本調査(面接)

では 38%に対して実験(面接)は 45%と高い。

現地までの所要時間は本調査のほうが短いこ

ともあり,本調査(面接)のほうが現地での

滞在時間の長い調査員が多い。

区市郡別,年層別に 3 時間単位(「12 時前」

「12 時以降」「15 時以降」「18 時以降」)で調

査相手訪問率をみると,本調査(面接)では,

各属性の不能の多さに対応した形で時間帯別

の訪問量が異なる。「12 時以降」「15 時以降」

などの中間の時間帯の訪問は,属性によって

図7 訪問回数別訪問時間帯(3時間単位)

%100

80

60

40

20

0

28日(土)

12時前

15時未満

18時未満

18時以降

12時前

15時未満

18時未満

18時以降

12時前

15時未満

18時未満

18時以降

29日(日)本調査(面接)

30日(月)

6回以上4,5 回3回2回1回

%100

80

60

40

20

0

28日(土)

12時前

15時未満

18時未満

18時以降

12時前

15時未満

18時未満

18時以降

12時前

15時未満

18時未満

18時以降

29日(日)実験調査(面接)

30日(月)

6回以上4,5 回3回2回1回

84

57

67

7989

43 45

72

27

6 6

24

70

41

65

43

77

29

46 4538

115

18

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124 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

あまり変わらない。一方で,1 日目,2 日目

の「12 時前」「18 時以降」については,調

査不能の多い「区」や「若年層」で多く,そ

れぞれ「市」「郡」,「中年層」 「高年層」 の順

に少なくなる。

実験(面接)では,本調査(面接)のよう

な各層に対応した傾向はあまりみられない。

「区」では 「18 時以降」 がむしろ「市」より

少なく,3 日目の 12 時前が多い。「若年層」

についても,「18 時以降」は「中年層」と同

じくらいである。

図 7のように,訪問回数別に調査相手訪

問率を 3 時間単位でみると,本調査(面接)

では,訪問回数が少ないほど早めに調査が終

わっている。訪問回数が多い調査相手では,

各時間帯の訪問が多く,さらに,18 時以降

の訪問が多い。実験(面接)では本調査(面

接)ほどには訪問回数による差がない。また,

訪問回数が多い調査相手でも,18 時以降の

訪問率はそれほど高くない。このように,本

調査(面接)の調査員は,会いにくい調査相

手に対しては,単に訪問回数を多くするだけ

でなく,時間を変えた訪問や夜の訪問などの

工夫をしていた。

図 8で調査実施完了率(面接終了日時の

累積率)を示した。本調査(面接)と実験(面

接)とでは,1 日目の午前中に 6%の差が開

き,17 時までに多少差は縮まるが,18 時以

降に再び差が開き,最終的に 8%の差となっ

ている。2 日目以降も徐々に差は縮まるもの

の,最後の 3 日目になっても実験(面接)は

本調査(面接)に届かなかった。

本調査(面接)では,ほとんどの調査員が

初日の朝 9 時台までには訪問を開始,なるべ

く早い時間帯までに,7 割の調査相手をひと

まわりしていた。また,土日の訪問も多く,

特に,若年層の訪問は夜間が多い。訪問回数

が多いだけではなく,訪問方法への工夫を行

うなど,『調査員マニュアル』に書かれてい

ることがかなりよく守られていた。そして,

そのことが,多少であっても,調査有効率の

確保につながっていたと考えられる。

3 − 2. 3 最終訪問時の対応者個人面接法の調査では,調査員訪問時の対

応者を記録している。誰にも会えなかった場

図8 日時別 調査実施完了率(面接終了日時の累積率)

%60

40

20

0

28日(土) 29日(日) 30日(月)

※開始日時の記録もあるが,終了日時のほうが完全記入率(日と時間の両方を記入している率)が高かったため,終了日時で示した。 完全記入数は,終了日時は本調査 ( 面接 )=2945,実験(面接)=629,開始日時は本調査 ( 面接 )=2710,実験(面接)=590。 なお,無記入があるため,最終の終了日時(30日21時,または実験(面接)の追加日程を含めた数字)の有効率は実際の有効率と一致しない。

前 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 前 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 前 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21追加

03

2 610 12

1518

2124

27 2930 31 31 31 31

3336 38

39 4043 43

45 46 4748 48 49 50 50 50 50 50 50 50 50

51 51 51 51 5153

915

1821

24 262931

3537 39 39 39 39

4144 46

47 48 4950 50 51 52

53 54 54 54 54 54 55 55 55 55 55 55 5556 56 56

本調査(面接)実験(面接)

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125

世論調査における調査方式の比較研究

合には「その他」となる。

最終訪問時の対応者は,「有効」について

は当然本人であるため,「不能」と「拒否」

についてみると,どちらも最終の対応者は「家

族」が多い(表 9)。さらに,「不能」全体では,

本調査(面接)と実験(面接)は,ほとんど

同じであるが,「拒否」だけをみると,実験(面

接)のほうが「家族」の対応が多い。

なお,全サンプル数を分母にした比率では,

本調査(面接)では「本人拒否」7.3%,「本

人以外拒否」4.7%,実験(面接)では「本

人拒否」8.2%,「本人以外拒否」8.7%である。

本調査(面接)では,家族拒否の場合の再訪

問が多かったために,実験(面接)よりも拒

否が少ないと考えられる。

3 − 2. 4 調査員による不正や代理回答 調査が正しく実施されたかどうか,調査相

手アンケートをみると,調査相手本人に会い,

正しい方法(調査員が回答を記入)で調査を

実施したのは,本調査(面接)は 94%,実験(面

接)は 95%とほとんど変わらない。本人で

はあるが不正な方法(電話や本人による回答

記入)は両調査とも 5%,家族などによる代

理回答は両調査とも 1%である。

3 − 2. 5 質問数と質問所要時間調査員の記録した質問所要時間をみると,

表 10のとおりで,両調査とも,16 ~ 30 分

が多いが,次に多いのは 31 ~ 45 分である。

年層別でみると,高年層では長引く傾向がみ

られ,30 分よりも多くかかったのが,本調

査(面接)では 5 割以上,実験(面接)では

4 割以上である。

杉山(1984)15)では,質問の総量は「質問

数で 30 ~ 40 問,20 ~ 30 分程度が所要時

間の限界であろう」としている。第 8 回「日

本人の意識・2008」調査の質問数は,調査

項目が 69 問,基本属性項目を加えると,最

大で 77 問の質問を調査相手は受けること

になる。所要時間とともに,かなり多いとい

える。

調査員アンケートによる調査相手からの反

応をみると,図 9のように,「回答リストの

厚み」「事前に伝えた所要時間」「時間がかか

表10 本調査(面接)と実験(面接)の質問所要時間

実験(面接)

全体(人)

高年層60歳以上

中年層30~ 59歳

257289 ~ 15 分16~ 30分31~ 45分46~ 60分61~ 75分76分以上無記入他

059345100

280151002

若年層16~ 29歳10398291000

本調査(面接)

高年層60歳以上

中年層30~ 59歳

1,1911,4972434010311

473182101

若年層16~ 29歳4151074120003

実験(面接)

全体

649372213001

本調査(面接)

全体

3,103462265201

(%)

表9 調査不能と拒否の最終訪問時の対応者

拒 否最終訪問時の対応者

全体(人)

実験(面接)

本調査(面接)

232785本人家族その他の人その他・未記入

4244113

5032117

不 能実験(面接)

本調査(面接)

5512,2972141335

2140435

(%)

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126 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

りすぎること」など,質問数や時間の多さに

関わる問題が多くあげられた。これらの回答

は,調査員自身の質問量が多いという気持ち

も反映している可能性が高い。個人面接法の

調査では,調査員の態度が調査相手に影響し

やすい。そういった調査員の気持ちが,実際

の調査で「拒否」を引き出してしまうことも

あるかもしれない。

図9 調査相手からの反応(調査員アンケート)回答リストの厚みを見て,嫌がられたり,

協力を断られたりした

調査相手に所要時間を伝えたら,最初から嫌がられたり、協力を断られたりした

質問内容をなかなか理解できない人がいた

時間がかかりすぎて,途中で嫌がられたり,協力を断られたりした

いい加減な答えをする人がいた

その他

特になかった

34%43

322025

1322

1743

158

2633

本調査(面接)実験(面接)

3 − 3 配付回収法と郵送法の実施方法

配付回収法と郵送法は,同じ自記式である

が,調査の依頼や調査票の配付・回収方法が

異なる。それぞれの調査方式について,どの

ように調査票の配付と回収を行うと効果的で

あるかを検討する。

3 − 3. 1 配付回収法の配付相手と回収相手調査員によって記録された実験(配付)か

ら配付相手と回収相手それぞれをみると,配

付相手は,本人が 36%,家族が 34%,郵便

受けなどへの留置きは 10%,配付できなかっ

たものが 19%である。回収相手は,本人が

36%,家族が 27%,留置きが 9%で,回収

できなかったのは 28%である(全分母)。

留置きは,本人や家族に会いにくい場合で

も,調査票を届けられる方法であるが,家

族や本人に渡したほうが,回収効果は高い。

表 11のように,配付相手別に回収相手をみ

ると,本人に配付した場合には本人,家族に

配付した場合は家族が多い。配付時に郵便受

けなどに留め置いた場合には,27%が本人,

16%が家族である。留置きで回収できた場合

が 19%あったが,回収できない場合が 38%

と多い。

表11 実験(配付)の配付相手と回収相手

配付相手配付できなかった224000

100

留置き

12427161938

第三者

6

家族

4112753911

本人

4356519115

1,2003627928

全体(人)本人家族留置き回収できなかった

回収相手

(%)

基本属性別にみると,「女」「高年層」で本

人への配付・回収が多く,「男」「若年層」で

家族が多い。「若年層」「区」では留置きが多

く「郡」や「高年層」で少ない。「郡」を除

くと最終的な配付率に差はないが,回収でき

なかったものをみると「若年層」「区」で多い。

3 − 3. 2 郵送法の調査日程郵送法の調査依頼,調査票の配付と回収に

ついては,協力依頼状や調査票の発送日,締

切日の設定,督促日など,全体の調査日程の

立て方が重要である。そこで,調査日程と到

着日,記入開始日,終了日の関係をみていく。

今回設定した調査日程は,次のとおりである。

協力依頼状の発送 6 月 21 日(土)

調査票の発送 6 月 25 日(水)

返送締切日 7 月 7 日(月)

1 回目の督促発送 7 月 9 日(水)夕方

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127

世論調査における調査方式の比較研究

2 回目の督促発送 7 月 16 日(水)夕方

1 回目,2 回目の督促状に示した

最終締切日 7 月 22 日(火)

有効となった調査票の記入終了日と到着日

の累積率をみると,図 10のとおりである。

一次締切日と最終締切日に向けて記入は伸び

ている。そして,その直後に返送されてい

ると考えられる。しかし,1 回目の督促発送

後の記入の伸びは弱く,2 回目の督促で再度

調査票を送付した後のほうが伸びている。図

11のように日別に実数をみると,記入数は

一次締切日でがくんと減り,督促状到着後の

週末の記入が 2 回目の督促後の週末の記入よ

りも少ない。到着数をみても,1 回目の督促

後の数は 2 回目の督促後よりも少ない。一次

締切日が終わった時点で,記入を行っていな

い調査相手は,調査票を処分したり記入意欲

をなくしてしまったりした可能性が強い。1

回目の督促は一次締切日より前に設定したほ

うが効果的であったと思われる。

7 月 16 日発送の 2 回目の督促では,調査

票を再送付した。7 月 22 日以前は,再送付

記入開始日記入終了日到着日

26木 27金 28土 29日 30月 1火 2水 3木 4金 5土 6日 7月 8火 9水 10木 11金 12土 13日 14月 15火 16水 17木 18金 19土 20日 21月 22火 23水 24木 25金 26土 27日 28月以降

一次締切

督促発送

1回目

督促発送

2回目

最終締切

図11 記入開始数,記入終了推移,到着数%

150

100

50

0

6月 7月

一次締切

督促発送

1回目

督促発送

2回目

最終締切

66 67

図10 調査用紙到着日と記入終了日(累積%)

%80

60

40

20

0124

14

24

3440

43 45 48 50 5255 56 56 56 56 57 58 59 59 60 60 61 63 64 65 66 67 67 67 67 67 67

2127

3438

4751 53 54 55 57 58 59 59 60 63 65

68 68 68 69

記入終了日到着日

26木 27金 28土 29日 30月 1火6月 7月 8月

2水 3木 4金 5土 6日 7月 8火 9水 10木 11金 12土 13日 14月 15火 16水 17木 18金 19土 20日 21月 22火 23水 24木 25金 26土 27日 28月 31木 1金 4月25水

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128 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

した調査票の返送はなかったが,7 月 23 日

以降では,再送付した調査票は 60 票で当初

調査票の 11 票よりも多かった。

3 − 4 自記式の調査票への記入状況

配付回収法や郵送法による自記式の調査

は,調査実施時に調査員の介在する個人面接

法の調査に比べると,代理回答や家族への相

談があり調査が正しく行われないこと,また,

何回にも分けての記入,質問順どおりでない

回答などが起こりうる。特に,郵送法では,

調査票の配付・回収の際にも調査員が介在し

ないため,配付回収法以上にそのような記入

が行われる可能性が高い。

調査相手が正しく記入を行うようにした

り,記入意欲を保ったりするためには,調査

票の形式も重要である。調査票の記入がどの

くらい正しく行われたか,またどのように行

われたかをみていく。

3 − 4. 1 代理記入と相談の有無調査相手アンケートによると,まず,調査

票の受け取り方については,実験(配付)で

は,「直接受け取った」は 49%,「家族が代

わりに受け取った」は 38%,「郵便受け」は

12%,「調査員に回答」で不正な調査方式で

実施したのは 0.6%(3 人)だけで,「受け取っ

ていないし回答もしていない」はなかった。

代理記入については,調査相手本人が「自

分で記入した」は 94%,「代わりの人が一部

記入した」は 3%,「代わりの人が全部記入

した」は 2%で,代理記入は合わせて 5%で

あった。

実験(郵送)では,すべて自分で記入した「代

理記入なし」は,91%である。「代わりの人

が,一部記入した」は 4%,「代わりの人が,

全部記入した」は 5%で,代理記入は合わせ

て 9%で,実験(配付)よりも多く,調査員

が介在していないための影響ではないかと思

われる。

年層別にみると,年齢が高いほど代理記入

が多い。今回は,代理記入の理由や,記入さ

れた回答が誰のものかを尋ねていなかったた

め,病気や高齢等,やむをえない事情のため

家族等が調査相手の回答を聞き取って記入す

るケースが含まれていることが考えられる。

相談については,「自分で全部,あるいは

ほとんど記入した」と回答した人に,誰かと

相談して記入した質問があったかどうかを尋

ねた。実験(配付)・実験(郵送)は,とも

に「相談しなかった」は 88%,「1,2 問程度」

「ある程度」「半分以上」の質問を相談した人

は合わせて 12%でどちらも変わらない(該

当者分母)。

調査相手アンケートの自由記述欄からは,

調査相手の記入状況がうかがえる。「質問が

多いので娘が読み上げ,私が返事をして記入」

「妻が読みながら」など家族と一緒に記入を

行ったり,「高齢者のため,いちいち読んで

聞かせた」のように家族が手助けしたり,家

族が関わることが多い。なお,「一生懸命書

いた」「時間をかけて書いた」というように

真剣に調査票に向き合ったと思われる調査相

手もいた。

なお,代理記入や相談などのない正しい方

法で,調査が行われたと考えられる人は,実

験(配付)84%,実験(郵送)82%である。

 

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129

世論調査における調査方式の比較研究

3 − 4. 2 記入日自記式の配付回収法,郵送法では,調査相

手が自分の都合にあわせて調査票の記入を

行っている。

表 12のように調査相手の記入による記入

開始日と記入終了日をみると,実験(配付)

では,初日と 2 日目に記入を開始した人が

45%と多い。しかし,この 2 日のうちで記

入を終了した人は 41%と多少ずれがある。

記入開始日と記入終了日が一致したのは 724

人(86%),異なるのは 100 人(12%),ど

ちらかが記入されていないための不明は 23

人(3%)であり,複数日にまたがって記入

している人が 1 割いることがわかる。

実験(郵送)の場合は,記入開始日と終了

日が一致したのは 656 人(80%),異なる日

に記入したのは 93 人(11%),無記入等が

73 人(9%)である。少なくとも,2 日以上

に分けて書く人は 1 割で,日程に余裕があっ

たのにもかかわらず,配付回収法とそれほど

異ならない。

記入開始時間と終了時間については,実験

7 時台

8時台

9時台

10時台

11時台

12時台

13時台

14時台

15時台

16時台

17時台

18時台

19時台

20時台

21時台

22時台

23時台

24時以降 不明6時

7時台

8時台

9時台

10時台

11時台

12時台

13時台

14時台

15時台

16時台

17時台

18時台

19時台

20時台

21時台

22時台

23時台

24時以降 不明6時

図12 実験(配付)の記入開始時間と記入終了時間%

12

8

4

01 1

2 1

4

2

75

11

9

6

8

4 4

66 5

765

4

6

34

65

6 6

8 8

6

8

56

45

23 3

1

記入開始時間記入終了時間

図13 実験(郵送)の記入開始時間と記入終了時間%

12

8

4

01 1 1 1

4

2

6 57 7

5

6

3

5

8

5 5 5

7 7

45

4

66

4

65

78

7 7

5

7

4

7

23

8

2

記入開始時間記入終了時間

表12 記入開始日と記入終了日

記入終了日記入開始日847847全体(人)182399771111301

202491066109302

6月28日6月29日6月30日7月1日7月2日7月3日7月4日7月5日7月6日7月7日不明

(%)

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130 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

(配付),実験(郵送)それぞれ,図 12,図

13のとおりである。ともに,広い時間帯に

分布している。調査相手は調査の実施日程に

合わせながらも,自分の都合のいい日時を選

んで記入したと思われる。

実験(郵送)では,図 11(3− 3. 2 参照)

のように,調査票到着直後の木曜日から日曜

日に調査票への記入を行う人が多い。その後

も記入する人は一次締切日の直前まで続く

が,締切日に記入する人はほとんどいない。

記入日については,締切日直前にやや増加し

ており,督促の効果が認められる。

3 − 4. 3 所要時間記入所要時間については,表 13のように,

実験(配付),実験(郵送)とも,15 分以内

に終わる人から,1 時間を超える人まで,ほ

ぼ一致して広く分布している。面接法の調査

では,「61 ~ 75 分」「76 分以上」はほとん

どなかったが,自記式の 2 調査では,「61 ~

75 分」は各 6%,「76 分以上」は各 7%とか

なり多い。

表13 実験(配付)と実験(郵送)の記入所要時間

実験(郵送)実験(配付)822847全体(人)6392416672

7372517671

 ~ 15分16~ 30分31~ 45分46~ 60分61~ 75分76分以上無記入他

(%)

年層別に所要時間をみると,面接法と同

様に高年層のほうが長い人が多い。「76 分以

上」は「若年層」でも 2 ~ 3%あり,「高年

層」では 1 割を超えている。調査相手によっ

て,よく考えないで回答する人から,じっく

り考える人までいると思われる。自記式で

は,調査員が調査を実施していないために,

そういった調査相手による違いが大きくなる

のだと思われる。

3 − 4. 4 無記入ページ今回,自記式の調査票のページ数について

は,比較対象である第 8 回「日本人の意識・

2008」調査の質問数が 69 問あったため,総

ページ数が 15 ページ(最終ページは白紙)

と相当な量となった。そのため,記入所要時

間も3−4. 3でみたように長い。実験(配付)・

実験(郵送)の調査相手アンケートの自由記

述欄でも,質問の数が多いという意見がかな

りある。

松田(2008)は,「郵送法の調査票は両面

刷りで 4 ページが望ましい,多くても 8 ペー

ジ以内に止めたい」としているが,それより

も多い。自記式の調査票では,無意識にペー

ジや質問を気がつかないで飛ばしてしまうこ

とがあると考えられるが,調査票のページ数

が多いため,その影響が大きく出るのではな

いかと心配された。

表 14のように,無記入ページを見開きの

2 ページ単位で調べると,実験(郵送)のほ

うが実験(配付)よりも「無記入ページ」が

多く,「無記入ページなし(全ページに記入)」

が少ない。また,年層差をみると「無記入ペー

ジ」のある人は,「高年層」で多い。

無記入のあるページを調べると,多いのは,

答えにくい質問,複雑な形式で理解しにくい

質問が含まれている「6 ~ 7 ページ」「12 ~

13 ページ」である。

 「6 ~ 7 ページ」については,6 ページ目

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131

世論調査における調査方式の比較研究

の先頭の第 21 問は「余暇の過ごし方(将来)」

について 6 つの選択肢の中から 1 つあげる

というものであるが,その前の 5 ページ目の

最後の第 20 問は,「余暇の過ごし方(現状)」

について,6 ページ目と同じ 6 つの選択肢の

中から 1 番目と 2 番目をあげるものである。

この同じような質問が連続した 2 つのページ

に分かれて配置してあることが影響した可能

性がある。また,7 ページ目には「宗教的行動」

「信仰・信心」や「婚前交渉」など,回答す

るのに抵抗のあるような質問もあり,ページ

ごと飛ばしてしまったとも思われる。

 「12 ~ 13 ページ」については,「本人職業」

と「主婦の生計維持者の職業」(調査相手が「主

婦」のとき)の質問である。内容的にも抵抗

のありがちな質問であり,さらに関連質問で

あるため形式も複雑であることが影響してい

ると考えられる。

このように,無意識にページを飛ばしたの

ではなく,答えにくい質問や複雑な形式で理

解しにくい質問を飛ばしたと考えられるもの

が多い。しかも,実験(郵送)のほうで実験(配

付)よりも多いことから,調査員の介在の有

無が大きく影響したと考えられる。

3 − 5 調査実施方法についての考察

3 − 5. 1 個人面接法の実施方法今回,本調査(面接)と実験(面接)の実

施にあたっては,調査員に向けた『調査要領』

の訪問についての説明などを揃え,なるべく

同じ方法で調査を実施するようにした。しか

し,実際の調査員の訪問行動は同じであった

とはいえない。 

調査員の属性については,実験(面接)の

ほうが経験豊富な人が多い。NHK以外の調

査の経験も多いと考えられるため,日常的に

従事している調査に準じた訪問行動をとって

しまったのではないだろうか。

NHKの個人面接法では,調査期間は土,

日を中心に短期間で実施するが,最近の内閣

府の調査などでは,2 週間以上かけて,実施

することが多い。そのような調査を実施する

場合の,調査機関の調査員管理や調査員の行

動様式は,NHKのような短い期間で実施す

る調査の場合とは異なると思われる。調査員

としての経験が豊富であるほど,他の調査で

の経験による影響も強いのかもしれない。

有効率の向上対策としてよくあげられるの

は,調査期間の延伸である。しかし,今回の

表14 実験(配付)と実験(郵送)の無記入ページ

職業性,記入終了日時など

0.41.23.10.50.74.60.689.0

3102646385

741

備考%実 数(人)

0.20.40.70.10.21.50.896.0

23612137

817

%実 数(人)実験(郵送)実験(配付)

1~ 9問10~ 20問21~ 31問32~ 43問44~ 53問54,55問56問以降

質問番号

2~ 3ページ4~ 5ページ6~ 7ページ8~ 9ページ10~ 11ページ12~ 13ページ14~ 15ページ無記入ページなし

ページ100.0822100.0847全 体

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132 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

結果から,単純に調査期間を延ばすよりは,

短期間でも,土日の訪問を午前中と夜間に重

点をおいて行うほうが効果的と思われた。

また,特に実験(面接)で家族による拒否

が多かった。家族に断られても可能な限り本

人面接のための再訪問を行うことも,拒否の

減少や有効率向上につながると考えられる。

今回は,質問量が多く,調査員アンケート

でも「回答リストの厚みを見て,嫌がられた

り,協力を断られたりした」という質問量に

関連した回答が多かった。調査相手だけでな

く,調査員もそのように思っている様子がう

かがわれた。

企画者が質問量に配慮することも重要であ

るが,質問量を多くせざるをえない場合もあ

る。調査員に対して,調査の趣旨とともに,

質問量が多い理由などについても理解を図

り,調査員に調査相手を説得しようという気

持ちを持たせることが重要である。

調査員の介在する個人面接法の場合には,

調査の実施方法を検討し,標準化するだけで

なく,調査を委託する調査機関の末端の調査

員に,その標準化した方法を伝えるにはどう

すればよいのか,考えておく必要がある。

3 − 5. 2 自記式調査の調査票の配付と回収配付回収法では,個人面接法では会えない

調査相手にも,家族を通じたり自宅の郵便受

けなどに投函して留置けるため,調査相手に

調査票が届く比率は高い。しかし,郵便受け

などに留置いた場合の回収率は低く,調査相

手や家族に会うことが有効につながると考え

られる。今回,実験(配付)の訪問記録がな

いため,実際の調査員の訪問行動はわからな

いが,個人面接法と同様に調査相手宅を朝か

らまわることや夜間の訪問は重要と考えられ

る。

郵送法の場合は,調査票が届けられないの

は転居や場所不明,長期不在などで,調査相

手に調査票が届く比率は配付回収法以上に高

いと考えられる。ただし,調査員を通じて調

査相手や家族に説明や説得ができないため,

協力依頼状や督促状などを使用して調査票の

記入意欲をあげることが重要となる。

今回の実験(郵送)では,一次締切日から

2 日後に督促状の発送を行ったが,この日程

の設定はあまり効果的ではなかった。一次締

切日が終わった時点で,記入を行っていない

調査相手は,調査票を処分したり記入意欲を

なくしてしまったりした可能性が強い。例え

ば,一次締切日を 1 回目の督促状の届くあ

たりの金曜日に設定することなどが考えられ

る。2 回目の督促の調査票は使用率が高く,

ある程度の効果が認められた。 

3 − 5. 3 自記式調査の調査票への記入について

自記式の配付回収法と郵送法の記入は,個

人面接法で調査員が調査を実施するのに比べ

ると,調査相手が自由な日時,時間配分で調

査票への記入を行うことができる。一方で,

家族のいる場で記入が行われることも多く,

代理記入や相談が行われている。正しく調査

を行った人は,どちらも 8 割強である。その

ほかにも,2 回以上に分けて記入する人,じっ

くり考える人,あまり考えないでさっさと答

える人,調査相手によって記入の態度も異な

る。

個人面接法でも調査員の属性や対応などに

よって調査相手の回答が変わってしまうこと

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133

世論調査における調査方式の比較研究

はありうるが,自記式の場合,その時々で家

族が介在したりしなかったり,また,1 回に

まとめて順番に書くとは限らない。それに

よって回答が変わることもあると考えられ

る。

また,郵送法の場合には,調査員が介在し

ないために,調査に協力する人が偏る恐れも

強い。調査相手アンケートの自由記述欄で,

調査の目的や利用のされ方がわからないとい

うものが多いのも郵送法だった。さらに,答

えたくない質問や難しい形式の質問の回答を

回避する傾向が強い。したがって,同じ自記

式ではあるが,配付回収法以上に,調査票や

協力依頼状などの調査材料についての配慮が

必要である。

調査結果の比較

4 − 1 全体的な調査結果の差

次に,各調査方式の調査結果を比較した。

初めに調査方式間で結果に差があるか,差が

あるとすればどの調査方式間にどのくらいの

差があるかについて,全体的な傾向をみてい

くことにする。

4 − 1. 1 対象とした質問・選択肢これまでの統計数理研究所などの研究で

は,個人面接法などの他記式調査と配付回収

法・郵送法の自記式調査とでは,無回答項目

(わからない・無回答,その他など)や中間

選択肢の回答が異なるとされている。そこで,

第 1 問から第 55 問までの質問・選択肢につ

いて,無回答項目など特別な誤差を持つ可能

性のあるものを次のように除き,検討を行う

ことにした。最終的に検討の対象としたのは,

71 質問・335 選択肢である。無回答項目に

ついては別途検討を行った(4 − 3 を参照)。

・ 関連質問は全体分母の結果を使用し,「非

該当」 は除外。

・ 自記式の調査票や個人面接法の回答項目リ

ストに表示しない 「無回答」,「その他」,「こ

の中にはない」を「無回答項目」として除外。

・ 第 45 問「好きな外国」は自由回答の質問,

第 46 問「好きな外国の理由」はその関連

質問であるため除外。

・ 第 42 問,第 43 問の支持政党については,

個人面接法では選択肢を提示していない

が,選択肢 1 ~ 9(8 は「その他の政治団体」,

9 は「支持政党なし」)までを対象に含めた。

・ 1 番目と 2 番目を尋ねる質問(第 2 問,第

19 問,第 20 問)については,1 番目,2

番目それぞれの回答。

4 − 1. 2 調査方式間の回答差の概要上記で対象とした選択肢について,回答

(パーセント)が各調査方式間でどの程度一

致しているのかを散布図および相関係数に

よって確認した(図 14,表 15)。全体として

は本調査(面接)と実験(面接)の回答,実

験(配付)と実験(郵送)の回答がそれぞれ

類似度が高く,相関係数は 0.99 を超えてい

る。すなわち,個人面接法での調査機関の違

4

表15 調査方式間の回答の相関

実験(郵送)0.9850.9820.997

1

実験(配付)0.9850.981

10.997

実験(面接)0.995

10.9810.982

本調査(面接)1

0.9950.9850.985

本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)

(ピアソンの積率相関係数)

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134 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

いと,自記式の中での配付回収法と郵送法の

違いによる影響はともに比較的小さく,個人

面接法と自記式の違い(調査票の提示の有無

や記入方法の違い)による回答への影響が大

きいことがわかる。

表 16で,調査方式間の回答差(絶対値)

の分布をみると,本調査(面接)と実験(面

接)の差,実験(配付)と実験(郵送)の差

は,9 割以上の選択肢で差が± 4%未満に収

まっており,本調査(面接)と実験(面接)

の間で± 10%以上が 2 つある16) ほかは,す

べて± 8%未満である。それに対して,それ

以外の調査方式間の差は,± 4%未満が 7 割

台しかなく,± 10%以上が 5%前後あるなど,

差が大きい。

また,表17には回答の差を最小値,最大値,

平均値,標準偏差の形で示した。やはり実験

(配付)と実験(郵送)との間では最小値と

最大値の範囲が狭く,標準偏差が小さい。本

調査(面接)と実験(面接)との間では,最

小値は- 15.1%だが,最大値と標準偏差は

ともに小さい。それ以外の調査方式間では最

小値と最大値の範囲,標準偏差が大きくなっ

ている。

4 − 2 調査方式以外の要因

調査結果の差が生じる理由として,調査方

式の違い以外にもいくつかの原因が考えられ

る。まず,今回の実験調査に限らないが,サ

ンプリング誤差を考えることができる。その

ほか,本調査(面接)と実験(面接)の間に,

調査方式が同じであるのにもかかわらず,ズ

表16 回答の差の絶対値の分布

73.719.16.90.3

100.0

実験(配付) -実験(郵送)

24764231

335

項目数51.919.713.47.23.04.8

100.0

実験(郵送) -実験(面接)

1746645241016335

項目数52.822.111.04.53.66.0

100.0

実験(配付) -実験(面接)

1777437151220335

項目数53.723.310.45.13.04.5

100.0

本調査(面接) -実験(郵送)

1807835171015335

項目数54.920.911.93.93.94.5

100.0

本調査(面接) -実験(配付)

1847040131315335

項目数73.120.04.81.5

0.6100.0

本調査(面接) -実験(面接)

24567165

2335

項目数2.0 未満2.0 - 3.94.0 - 5.96.0 - 7.98.0 - 9.910.0 以上合 計

回答(%)の差の絶対値

図14 調査方式間の回答の比較

本調査(面接) 実験(面接) 実験(配付) 実験(郵送)

本調査(面接)実験(面接)

実験(配付)

実験(郵送)

表17 回答の差の最小値,最大値,平均値,標準偏差

標準偏差2.24.14.04.44.31.9

平均値0.1-0.5-0.30.60.40.2

最大値7.010.513.017.916.95.6

最小値-15.1-14.8-16.1-15.2-13.8-6.8

本調査(面接)-実験(面接)本調査(面接)-実験(配付)本調査(面接)-実験(郵送)実験(配付)-実験(面接)実験(郵送)-実験(面接)実験(配付)-実験(郵送)

(%)

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135

世論調査における調査方式の比較研究

レがあった(表 16の回答差± 10% 以上が 2

項目など)ことから,調査地点の偏り(300

地点を 3 分割したことによる偏り)や,調査

機関の違いといった要因が考えられる。この

3 つの要因について以下に検討した。

4 − 2. 1 サンプリング誤差各調査の回答には当然サンプリング誤差

がともなうため,調査方式間の回答差をみる

場合はサンプリング誤差を考慮する必要があ

る。表18でみると,本調査(面接)と実験(面接)

の差は,両者の回答の加重平均が 10%ならば

± 2.6%以内,加重平均が 50%でも± 4.3%以

内に選択肢の 95%(信頼度 95%の場合)が

収まれば,回答差はサンプリング誤差によっ

て説明でき,両調査方式には結果に影響する

ような違いはないとみることができる。

ここでは本調査(面接)の値を基準として

各調査方式間の差をみたところ(図 15),対

象とした 335 の選択肢のうち標準誤差の範

囲内に差が収まるものは,本調査(面接)と

実験(面接)では 299 選択肢(89%)であり,

ほぼ範囲内に収まるものの,一部に大きく外

れるものがあった。また,本調査(面接)と

実験(配付)では 220(66%),本調査(面接)

と実験(郵送)では 210(63%)とそれぞれ

少なく,標準誤差をはるかに超える差のある

選択肢がかなりある。

実験調査相互の差について同様にみると,

実験(配付)と実験(郵送)の差は,306(91%)

の選択肢が標準誤差以下でほぼ標準誤差の範

囲内に収まるが,実験(面接)と実験(配付)

は 264(79%),実験(面接)と実験(郵送)

は 228(68%)と,標準誤差を超える差のあ

る選択肢が多い。

以上のことから,回答差の大きい個人面接

法と自記式の間には,サンプリング誤差では

説明できない差がかなりあるといえる。ま

た,同じ個人面接法どうし,自記式どうしで

はサンプリング誤差で説明可能な差が多いも

のの,一部の選択肢でサンプリング誤差を大

きく超えた差がみられた。

4 − 2. 2 調査地点の偏り今回の実験調査に固有の事情ではあるが,

全国 300 の調査地点を 3 つに分割し,100 地

点ずつを各実験調査に割り振ったことで調査

地点に何らかの偏りが生じ,回答にズレが生

じた可能性もある。そこで,各実験調査の地

点に対応する本調査の調査地点17) と,実験

(面接)の結果を比較し,対応する調査地点

と対応していない調査地点の結果との違いを

みた。

まず,本調査(面接)のデータから実験調

査の各調査と同じ調査地点のものを取り出し

て,4 − 1で検討したのと同じ質問・選択肢

の結果を算出し,実験(面接)の値との差の

絶対値をとり,平均値,標準偏差,最大値を

比較した(表 19)。平均値ではそれほど差は

ないが,同じ調査地点との差よりも異なる

調査地点との差のほうが標準偏差が若干大

きく,さらに最大値については,同じ調査地

表18 各調査方式の回答差の標準誤差

50/504.33.93.97.37.36.6

40/604.23.83.86.56.55.9

30/704.03.63.65.65.75.1

20/803.53.13.14.64.64.2

10/902.62.32.43.33.32.9

本調査(面接)と実験(面接)の差本調査(面接)と実験(配付)の差本調査(面接)と実験(郵送)の差実験(面接)と実験(配付)の差実験(面接)と実験(郵送)の差実験(配付)と実験(郵送)の差

(%)

標準誤差         (信頼度 95%)

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136 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

図15 各調査方式の回答差

本調査(面接)と実験(面接)の差

本調査(面接)

本調査(面接)

実験(面接)

実験(配付)と実験(面接)の差

本調査(面接)

実験(配付)

実験(面接)

本調査(面接)と実験(配付)の差

本調査(面接)

本調査(面接)

実験(配付)

実験(郵送)と実験(面接)の差

本調査(面接)

実験(郵送)

実験(面接)

本調査(面接)と実験(郵送)の差

本調査(面接)

本調査(面接)

実験(郵送)

実験(配付)と実験(郵送)の差

本調査(面接)

実験(配付)

実験(郵送)

※横軸には,加重平均(       )ではなく,本調査(面接)の%を基本的な値と考えて使用した。

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137

世論調査における調査方式の比較研究

点の場合の 14.6 に対し,異なる調査地点で

は 17 以上となった。すなわち,調査地点の

影響は全体としては大きくないが,一部の質

問については,調査地点の分割によって偏り

が生じている。

表19 本調査の実験調査対応地点と実験(面接)の   回答差の絶対値(平均値,標準偏差,最大値)

度 数335335335

最大値14.617.917.4

標準偏差1.92.12.0

平均値1.81.82.0

本調査(実験面接対応)-実験(面接)本調査(実験配付対応)-実験(面接)本調査(実験郵送対応)-実験(面接)

4 − 2. 3 調査機関の違い次に,個人面接法において実施調査機関の

違いによる影響があったのかどうかをみるた

め,同じ本調査相互の差と,調査機関の異な

る実験調査に対する差とが異なるかどうかを

みた。表 20の本調査相互の場合には,調査

地点が異なるのにもかかわらず,表 19の本

調査と実験調査の差よりも差の平均値が小さ

い。特に最大値は,表 19ではすべて 10%を

超えているのに,表 20では 7%前後である。

このことから調査機関の違いによって回答に

多少の影響があり,特に一部の質問において

大きかったと考えられる。

表20 本調査の実験調査対応地点相互の   回答差の絶対値(平均値,標準偏差,最大値)

度 数335335335

最大値6.77.56.7

標準偏差1.41.71.4

平均値1.51.71.6

本調査(実験配付対応)-本調査(実験面接対応)本調査(実験郵送対応)-本調査(実験面接対応)本調査(実験配付対応)-本調査(実験郵送対応)

4 − 3 無回答の比較

ここでは各調査方式での無回答の違い,特

に,自記式の無回答が個人面接法とどのよう

に異なるかを検討する。個人面接法,自記式

とも「無回答」は調査相手には当然提示しな

いが,個人面接法では回答が得られない場合

に調査員が「わからない,無回答」として処

理する。一方自記式では回答の記入がないと

きに「無回答」となる。

以下に 4 − 1で対象としたのと同じ 71 質

問について,回答項目リストや自記式の調査

票に掲載していない 「無回答」,「その他」,「こ

の中にはない」など,調査相手に選択肢とし

て提示されていないものを「無回答」として

まとめ,比較した。

4 − 3. 1 無回答率の分布無回答(パーセント)の分布は表 21のと

おりで,個人面接法の本調査(面接)と実験(面

接)では,無回答が 6%以上の質問項目が 2

割近くある。個人面接法に比べると,自記式

の実験(配付)と実験(郵送)は,全体的に

無回答率の低い質問項目が多い。

表21 無回答の分布

57.725.414.11.41.4100.0

%実験(郵送)

4118101171

度数87.39.91.41.40.0100.0

%実験(配付)

62711071

度数28.231.022.511.37.0100.0

%実験(面接)

2022168571

度数18.343.719.78.59.9100.0

%本調査(面接)

1331146771

度数2.0 未満2.0 - 3.94.0 - 5.96.0 - 7.98.0 以上合 計

無回答(%)

また,実験(配付)と実験(郵送)では,

実験(郵送)のほうが,無回答率の高い項目

が多い。実験(配付)はおよそ 9 割の質問項

目で無回答が 2%未満に収まっているが,実

験(郵送)は 2%未満が 6 割,4%未満でも

8 割となっている。

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138 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

4 − 3. 2 個人面接法と自記式の無回答の出方

図 16の散布図,表 22の相関係数表から,

本調査(面接)と実験(面接)の個人面接法

調査どうし,実験(配付)と実験(郵送)の

自記式どうしは相関が高く,各質問項目にお

ける無回答の傾向が似ていることがわかる。

一方,個人面接法と自記式とでは,どの組み

合わせでも相関係数は 0.3 未満で,ほとんど

0 に近いものもある。これは個人面接法で無

回答が多い質問項目と,自記式で無回答が多

い質問項目がかなり異なることを示してい

る。個人面接法と自記式では無回答の割合だ

けでなく,無回答の出方も異なっているとい

える。

4 − 3. 3 質問項目別の無回答の傾向各調査方式において無回答の多い質問項目

(5%以上)をみると,表 23のようになる。

無回答率は総じて個人面接法で高いが,質問

の内容をみると,政治や宗教などいわゆる“微

妙”な(センシティブな)テーマを扱ったも

のや,日常ではあまり考えていないようなこ

とを尋ねる質問が多い。

表23 無回答の多い質問項目無回答率

0.6

1.6

7.7

1.5

1.8

2.1

1.7

2.7

0.4

2.7

1.6

1.8

5.6

8.0

実験(郵送)

0.8

0.9

3.8

0.5

1.1

1.3

1.3

1.8

0.6

1.7

0.9

0.9

3.8

6.4

実験(配付)

5.2

6.2

7.4

10.6

9.7

7.6

7.9

8.8

7.7

6.3

8.6

8.8

0.3

1.4

実験(面接)

6.1

5.6

9.2

8.0

9.3

9.6

8.9

8.4

6.3

7.1

5.4

6.8

1.9

2.1

第 3問 D

第 18問

第 28問

第 34問 B

第 34問 D

第 34問 E

第 34問 F

第 41問

第 43問

第 48問 B

第 49問

第 50問

第 52問

第 54問

本調査(面接)

質問番号

生活満足感(人間関係)結社・闘争性(職場)

信仰・信心

ナショナリズム(日本は一流国だ)ナショナリズム(すぐれた素質)ナショナリズム(日本のために役にたちたい)ナショナリズム(外国から見習うべき)結社・闘争性(政治)支持できそうな政党(支持政党なしの人に)外国との交流(支援活動に協力したい)結婚観(結婚は当然)結婚観(子どもをもつのは当然)

ライフステージ

本人職業

質問項目名

(%)

(網掛けは 5%以上)

自記式では,「ライフステージ」(第 52 問。

結婚しているか,どのくらいの子どもがいる

かなど)と「本人職業」(第 54 問)で特に

無回答が多く,この 2 問については個人面接

法よりも自記式のほうが無回答が多いという

結果になっている。自記式の「本人職業」,「生

計維持者の職業」の質問については,個人面

接法の調査票に合わせたため,関連質問が多

図16 調査方式間の無回答の比較

本調査(面接) 実験(面接) 実験(配付) 実験(郵送)

本調査(面接)実験(面接)

実験(配付)

実験(郵送)

表22 調査方式間の無回答の相関

実験(郵送)0.141-0.0340.845

1

実験(配付)0.2340.019

10.845

実験(面接)0.877

10.019-0.034

本調査(面接)1

0.8770.2340.141

本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)

(ピアソンの積率相関係数)

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139

世論調査における調査方式の比較研究

く,調査相手にとってわかりにくいレイアウ

トであった。そのために,職業質問の掲載さ

れているページを飛ばした調査相手が多かっ

たと考えられる。また自記式の中では実験(配

付)より実験(郵送)のほうが無回答率が高

い。これは,訪問した調査員によって依頼さ

れたか文書のみで依頼されたかの違いによる

回答意欲の差や,調査員による点検の有無の

違いを反映していると考えられる。

 「信仰 ・ 信心」についての質問(第 28 問)

は,実験(配付)の無回答が 3.8%とやや低

めではあるが,比較的どの調査でも無回答率

が高かった。自記式の調査であっても,宗教

のようなセンシティブなテーマの質問や,内

容やワーディングがわかりにくい質問であれ

ば,個人面接法と同じかそれ以上に無回答が

多くなる可能性があるといえる。

4 − 3. 4 年層別の無回答の傾向調査方式ごとの無回答率の分布を年層別に

みたところ(表 24),各年層とも傾向は同じで,

個人面接法で無回答率の高い質問項目が多い

点,また自記式では実験(配付)に比べ実験(郵

送)の無回答率が比較的高い点は共通してい

る。しかし,高年層ではどの調査方式でも全

体的に無回答率が高く,特に個人面接法で無

回答率の高い質問項目が目立つ。

4 − 4 質問の結果の比較

4 − 4. 1 差の大きい質問具体的にどのような質問,選択肢で結果に

違いがあったのかをみるため,本調査(面

接)と他の方式との間で差が大きかった選択

肢(± 10%以上)を表 25に示した。表の網

掛け部分が,本調査(面接)より 10%以上

高かった,または低かったところである。な

おこの表では 4 − 1の検討で除外した第 45

問,第 46 問や「非該当」も含めて掲載して

いる。また第2問の「欠かせないコミュニケー

ション行動」については,「1 番目+ 2 番目」

の結果を掲載した。

表 25にあげられた質問は幅広い領域にわ

たっており,コミュニケーションや日常生活,

家族・男女関係,仕事,宗教,ナショナリズ

ム,政治など,「日本人の意識」調査がカバー

している領域のほとんどが含まれている。ま

た,選択肢の数や形式(SA,MAなど)も

さまざまであり,特定の種類の質問・選択肢

で差が大きいというわけではない。調査方式

をみると,10%以上の差があった選択肢は

実験(配付)と実験(郵送)に集中しているが,

同じ個人面接法である本調査(面接)と実験

(面接)の間で差が 10%以上を超えているも

のもある。

実験調査間の回答差は表16でみたとおり,

表24 無回答の分布(年層別)

2.0 未満2.0 - 3.94.0 - 5.96.0 - 7.98.0 以上合 計

無回答(%)

2228134471

若 年 層本調査(面接)

471093271

実験(面接)

67211

71

実験(配付)

581021

71

実験(郵送)

312494371

中 年 層本調査(面接)

3218123671

実験(面接)

67121

71

実験(配付)

551321

71

実験(郵送)

101618131471

高 年 層本調査(面接)

19131781471

実験(面接)

462121171

実験(配付)

1723234471

実験(郵送)

(度数)

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140 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

実験(面接)と自記式の実験(配付),実験(郵

送)との差が大きいが,差の大きい選択肢は

表 25に示したものとかなり似ており,同じ

ような傾向がみられる。実験(配付)と実験

(郵送)では,回答の差が 10%を超えた選択

肢はなかった。

4 − 4. 2 回答差につながる要因次に,調査方式間で回答差の大きい質問・

選択肢には内容や形式の面でどのような特徴

があるのか,また差が生じる理由としてどの

ようなことが考えられるのかについて考察し

た。今回の実験調査からだけでは判断ができ

ない部分もあるが,要素としてあげることが

できるのはおおむね以下のような点である。

①回答に抵抗がある質問

宗教や信仰に関することで信じているもの

・第 42問,第 43問は本調査(面接),実験(面接)では選択肢の提示なし・第 45問は実験(配付),実験(郵送)では「ない」の選択肢のみ調査票に提示・本調査(面接)より 10%以上高いものを薄い網かけ,10%以上低いものを濃い網かけで示した。

表25 本調査(面接)と差の大きい質問

第1問 欠かせないコミュニケーション行動 12(MA)11.友人と話をする 66.3 60.4 56.2 54.4

質問番号 質問項目名 選択肢の数 選択肢 本調査

(面接)実験

(面接)実験

(配付)実験

(郵送)

第2問 欠かせないコミュニケーション行動(1番目+2番目) 12(LA)5.テレビを見る 42.2 42.8 53.7 55.0

第3問B 生活の各側面についての満足感(生きがい) 2 1.そう思う

2.そうは思わない72.721.9

73.521.1

63.335.7

60.838.0

第3問C 生活の各側面についての満足感(地域の環境) 2 2.そうは思わない 16.0 15.7 28.2 22.9

第3問D 生活の各側面についての満足感(人間関係) 2 2.そうは思わない 22.8 25.1 31.3 36.5

第7問C 生活充実手段(経済力) 5(順位)2.2番目 32.5 31.0 40.5 43.3

第8問 理想の家庭 4 4.<家庭内協力> 48.4 48.1 58.8 57.1

第 11 問 男女のあり方(名字) 4 1.<当然,夫の姓>2.<現状では夫の>

32.524.9

33.025.4

24.139.0

19.536.6

第 18 問 結社・闘争性(職場) 3 1.<静観> 50.2 52.4 64.6 60.5

第 21 問 余暇の過ごし方(将来) 6 1.<好きなこと> 38.0 43.6 50.2 49.3

第 26 問 理想の人間像 4 1.<規律型>4.<教養型>

29.236.6

28.438.1

18.748.3

18.945.7

第 28 問 信仰・信心 8(MA)1.<神> 32.5 28.7 44.7 42.5

第 32 問 能率・情緒(会合) 2 2.<能率> 42.1 40.2 53.6 53.4

第 34 問B ナショナリズム(日本は一流国だ) 2 1.そう思う 39.3 36.2 54.1 53.0

第 36 問 権利についての知識 6(MA)2.<納税の義務> 42.8 40.5 32.6 32.4

第 41 問 結社・闘争性(政治) 3 1.<静観> 59.1 61.9 72.6 69.7

第 42 問 支持政党 9 9.特に支持している  政党はない 45.5 60.6 53.2 48.7

第 43 問 支持できそうな政党 9 9.支持できそうな政党もない11.非該当

18.654.5

29.639.4

27.546.8

24.951.3

第 45 問 好きな外国 FA 13.ない 23.7 31.7 47.2 40.3

第 46 問 好きな外国の理由

2

14.非該当 28.0 34.8 51.6 49.9

第 48 問 A 外国との交流(友達になりたい)

10

2.そうは思わない

コミュニケーション・国際感覚コミュニケーション・国際感覚

領域

日常生活

日常生活

日常生活

日常生活

家族・男女

家族・男女

政治

仕事余暇

基本的価値,生き方宗教・ナショナリズム・天皇

宗教・ナショナリズム・天皇

基本的価値,生き方

政治

政治

政治

政治

コミュニケーション・国際感覚コミュニケーション・国際感覚コミュニケーション・国際感覚 31.1 32.0 44.5 39.2

(%)

Page 37: 世論調査における調査方式の比較研究 - NHK...107 世論調査における調査方式の比較研究 調査の実施方法について説明する。そして,3章で各調査の実施状況の記録や調査後に実

141

世論調査における調査方式の比較研究

を尋ねた第 28 問では,「何も信じていない」

という回答が自記式よりも個人面接法の調査

で高くなっている(表 26)。同様の傾向は「宗

教的行動」の質問(第 27 問)などでもみら

れる。実験(郵送)の調査相手アンケートに

おいて,支持政党や宗教・信仰の質問が答え

にくかったと回答した人が多いことを考える

と,調査員に対面して答える個人面接法では,

これらの質問に対して調査相手が明確な回答

を避けたのではないかと考えられる。

このように回答に心理的抵抗を感じるよう

な質問では,個人面接法で「特にない」のよ

うな回答や無回答が多くなり,それによって

他の選択肢の回答分布が変わる恐れがある。

表26 信仰・信心(MA)宗教や信仰に関係すると思われることがらで,信じているもの

実験(郵送)<42.5<48.2

< 9.4

<17.419.3

<20.7

6.9

>19.0

7.7

実験(配付)<44.7<51.4

7.1

<17.6<21.5

<22.4

8.1

>19.5

> 3.8

実験(面接)28.7>37.1

5.2

11.7>13.6

>12.6

> 4.0

<31.4

0.86.6

本調査(面接)32.542.2

6.4

14.617.5

17.4

6.6

23.5

1.37.9

1. 神<神>2. 仏<仏>3. 聖書や経典などの教え <聖書・経典の教え>4.あの世,来世<あの世>5. 奇跡<奇跡>6.お守りやおふだなどの力 <お守り・おふだなどの力>7. 易や占い<易・占い>8.宗教とか信仰とかに関係していると思われること がらは,何も信じていない<信じていない>9.その他10.わからない,無回答<DK,NA>

(%)

<,>は本調査(面接)と比べて有意に高い,または低いことを表す(信頼度 95%)(以下同様)

また「信仰・信心」の質問では,同じ個人

面接法でも実験(面接)のほうが,本調査(面

接)に比べ「信じていない」がより多い。そ

のほか「支持政党」の質問(第 42 問)にお

いても,「特に支持している政党はない」と

いう回答は本調査(面接)より実験(面接)

のほうが高くなっている。これらの結果は本

調査(面接)よりも実験(面接)のほうが回

答への抵抗が強かったことを示唆している。

詳細はわからないが,実施調査機関の違い(調

査員の特性や調査機関名など)が調査結果に

影響を及ぼした可能性もある。

②知識を聞く質問

第 36 問は憲法で保障された権利について,

知識を尋ねる質問である(表 27)。実験(配付)

と実験(郵送)では正解である「生存権」の

回答率が高く,誤答の「納税の義務」や「右

側通行」が低い。また無回答も少なかった。

表27 権利についての知識(MA)実験(郵送)

35.8

>32.45.5

>11.9<82.022.7

> 1.2

実験(配付)

34.6

>32.65.2

>10.5<81.219.6

> 0.7

実験(面接)

>29.9

40.5> 4.912.575.519.34.8

本調査(面接)

34.8

42.87.114.977.121.85.4

(%)

1.思っていることを世間に発表する <表現の自由>2.税金を納める<納税の義務>3.目上の人に従う<目上に従順>4.道路の右側を歩く<右側通行>5.人間らしい暮らしをする<生存権>6. 労働組合をつくる<団結権>7.わからない,無回答<DK,NA>

NHKが 1976 年に行った実験調査におい

ても,この「権利についての知識」の質問で

配付回収法,郵送回収法の正答率が高いとい

う結果が得られており18) ,今回もそれと同様

の傾向が確認された。配付回収法や郵送法は

調査票を調査相手のもとに一定期間預けて回

答してもらう方式であるため,正解がある質

問では調査相手が人に聞いたり,調べたりし

て回答する場合があると考えられる。

③選択肢の提示の有無

2− 2. 4で述べたように,今回の実験調査

では自記式の調査票に「どちらともいえない」

や「わからない」などの選択肢は提示しなかっ

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142 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

た。しかしこういった選択肢を提示した場合,

質問によってはかなり割合が高くなると思わ

れる。

「好きな外国」(第 45 問)は,本調査(面接)

と実験(面接)では回答項目リストを提示し

ない質問で,実験(配付)と実験(郵送)で

も自由回答としたが「好きな外国はない」と

いう選択肢のみ提示した。そのため,先にあ

げた「信仰・信心」の質問とは反対に,自記

式の実験(配付)と実験(郵送)のほうが「好

きな外国はない」の割合が高くなっている。

④複数回答の出方

複数回答の質問について,各選択肢のパー

セントを合計し(「無回答」,「その他」,「こ

の中にはない」などは除く),延べの回答率

を計算した(表 28)。この回答率を 100 で割

ると回答した選択肢の平均個数になる。

表28 複数回答質問の延べ回答率実験(郵送)478.8201.8164.4190.338.979.3

実験(配付)465.8208.2172.8183.740.876.6

実験(面接)481.9174.6112.9182.633.181.2

本調査(面接)493.2188.4137.2198.543.286.3

(%)

第1問 欠かせないコミュニケーション行動第27問 宗教的行動第28問 信仰・信心第36問 権利についての知識第44問 政治活動第47問 外国人との接触経験

本調査(面接)と実験(面接)を比べると,

いずれの質問も実験(面接)の回答率がやや

低くなっており,本調査(面接)と実験(面

接)の違い,すなわち調査機関の違いによっ

て複数回答の出方にも差が出ることがうかが

える。この差は以下に述べるように,調査員

に対する指示の違いから生じているのではな

いかと推測できる。

NHKでは面接調査を行う際,『面接調査

調査員マニュアル』によって調査員に実施方

法を説明する。この『調査員マニュアル』は「日

本人の意識」だけでなく,NHKの面接調査

一般で使用しているマニュアルである。その

中で,複数回答質問について,調査相手の回

答が出つくすまで考える時間をとり,さらに

「ほかにはありませんか」と必ず念を押すよ

うにすることが指示されている。したがって,

NHKが実施した本調査(面接)の調査員は,

複数回答の場合に重ねて尋ねるというマニュ

アルの指示どおりに調査をしたことで回答率

が高くなった可能性がある。

今回の実験調査では調査員向けの『調査要

領』(調査のしかたやその調査の注意事項を

記した冊子)も作成し,本調査(面接)と実

験(面接)の調査の質の統一を図った。しか

し複数回答質問の聞き方や,「その他」,「無

回答」の判断のしかたなどは,調査機関が調

査員に対してふだんどのような教育をしてい

るかによっても影響されると思われる。した

がって調査材料を同じものにしたとしても,

異なる調査機関の間で実施の条件を全く同一

にすることは実際には難しいであろう。

なお実験(配付)や実験(郵送)の複数回

答の出方については,質問によって本調査(面

接)より高い場合も低い場合もあった。これ

は調査機関の違いというより,本調査(面

接)との調査方式の違いによるものだと思わ

れる。

⑤断定的でない選択肢

「男女のあり方(名字)」(第 11 問)も自記

式と個人面接法の結果に大きな違いがみら

れるが(表 29),実験(配付)と実験(郵送)

では「当然,夫の姓」と「別姓でよい」とい

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143

世論調査における調査方式の比較研究

う両端の選択肢の回答が個人面接法より低

く,「現状では夫の姓」,「どちらが改めても

よい」という中間に近い選択肢が高い。その

結果,自記式と個人面接法では選択肢の順位

もかなり異なっている。数としては少ないも

のの,このように個人面接法で極端な選択肢

が高く,自記式であまり断定的でない選択肢

が高くなっている質問項目がある(ほかに第

22 問「仕事と余暇」など)。

表29 男女のあり方(名字)実験(郵送)

>19.5

実験(配付)

>24.1

実験(面接)

33.0

本調査(面接)

32.5

(%)

1.当然,妻が名字を改めて,夫のほうの 名字を名のるべきだ<当然,夫の姓>

<36.6<39.025.424.92.現状では,妻が名字を改めて, 夫のほうの名字を名のったほうがよい <現状では夫の姓>

<34.429.929.428.33.夫婦は同じ名字を名のるべきだが, どちらが名字を改めてもよい <どちらが改めてもよい>

> 7.5> 6.69.411.34.わざわざ一方に合わせる必要はなく, 夫と妻は別々の名字のままでよい <別姓でよい>

0.60.45.その他1.9> 0.52.22.56.わからない,無回答<DK,NA>

1976 年のNHK実験調査の報告では,質

問がやや長い場合,「どちらかといえば甲(乙)

がよい」という回答が自記式で高く,逆に「甲

(乙)がよい」という断定的回答が個人面接

法で高いという指摘がなされている19)。理

由は明らかではないが,自記式では極端な選

択肢を避け,断定的でない選択肢を選ぶ傾向

が出やすい質問があるのかもしれない。

⑥社会的望ましさ

調査員に対面して回答する個人面接法で

は,「社会的望ましさ(social desirability)」

によるバイアスが生じることがある。これは,

社会的に望ましい,あるいは望ましくないと

考えられる態度や行動を尋ねる質問のとき,

調査相手が調査員に対して自分を良識的な人

間だと見せようとすることで生じるバイアス

である20)。

今回の実験調査には犯罪行為や倫理観につ

いてあからさまに尋ねるような質問は含まれ

ていないが,個人面接法の結果で,この社会

的望ましさによる影響があるのではないかと

思われるものに,次のようなものがある。

・ 「欠かせないコミュニケーション」(第 1 問)

で「友人と話をする」が多い

・ 「生活全体についての満足感」(第 4 問)で

満足している人が多い

・ 「生活充実手段」(第 7 問,1 位~ 3 位計)

で「豊かな趣味」をあげる人が多い

・ 「外国との交流」(第 48 問)で,「いろいろ

な国の人と友達になりたい」「貧しい国の

人たちへの支援活動に協力したい」に「そ

うは思わない」人が少ない

・ 「結社・闘争性(職場)」(第 18 問)では「静

観」が少ない

「生活全体についての満足度」を例にとると

(表 30),今の生活について「満足している」

人は実験(面接)が最も多く,次いで本調査

(面接)で多い。実験(配付)と実験(郵送)

は同程度で,本調査(面接)よりは少ない。

選択肢をまとめるとその傾向はより明確にな

表30 生活全体についての満足感実験(郵送)>19.860.3<15.7< 3.60.5

実験(配付)>18.4<63.6<15.72.00.2

実験(面接)<33.6>54.28.83.10.3

本調査(面接)27.659.110.72.00.6

>80.2<19.30.5

>82.1<17.70.2

87.811.90.3

86.712.70.6

(%)

1.満足している2.どちらかといえば,満足している3.どちらかといえば,不満だ4.不満だ5.わからない,無回答満 足 (1+2)不 満 (3+4)その他 (5)

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144 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

り,個人面接法の本調査(面接)と実験(面接)

で満足度が高く,自記式の実験(配付)と実

験(面接)では比較的満足度が低いという結

果になった。

一方,個人面接法でも「貯蓄・消費態度」(第

5 問)で「無計画消費」,「生活目標」(第 6 問)

で「快志向」がやや高いなどの結果もあり,

社会的に望ましいと思われるような選択肢が

必ず個人面接法で高いというわけではない。

もっとも,どの選択肢が社会的に望ましい

かは一概にいうことが難しく,望ましさの程

度も人により異なると考えられる。このよう

なセンシティブな質問でバイアスが生じるか

どうかは状況しだいという面があり,調査員

の有無のほかにも,質問のテーマや調査相手

の行動・態度によっても左右されるからであ

る21)。

表 31は,生活全体について「満足」また

は「どちらかといえば満足」と回答した人の

割合を年層別にみたものである。60 歳以上

の高年層では調査方式によって満足度に差が

ないのに対して,若年層と中年層では本調査

(面接)や実験(面接)のほうが満足度が高

く出ている。中年層,若年層では調査方式に

よって生活満足度の答えやすさに違いがあっ

たと考えられ,同じ質問であっても調査相手

の属性などによって答え方が変わってくるこ

とを示す結果だといえる。

またこの社会的望ましさについては,⑤の

断定的でない選択肢とあわせて考えると,調

査相手にとって選びやすい“無難な”選択肢

というものがあり,質問によって自記式で高

く出る場合と,他記式で高く出る場合がある

と考えることもできる。

⑦価値観の違い

本調査(面接)と実験(面接)では,家族

や男女関係の質問において伝統的・保守的な

価値観が強く出ている印象がある。例えば,

「理想の家庭」(第 8 問)の「夫唱婦随」,「父

親のあり方」(第 14 問)の「模範」,「権威・

平等(男女)」(第 13 問)の(父親が家事の

手伝いを)「すべきでない」などは,どの調

査方式においても少数派ではあるが,本調査

(面接),実験(面接)のほうが実験(配付),

実験(郵送)よりも高い。

一方,実験(配付)や実験(郵送)には近

代的・合理的な価値観が高いものがある。「結

婚観(結婚は当然)」(第 49 問)の(結婚を)

「しなくてよい」,「結婚観(子どもをもつの

は当然)」(第 50 問)の(子どもを)「もた

なくてよい」,「能率・情緒(会合)」(第 32 問)

での地域の会合の際の「能率」優先などがそ

れにあたる。

ただし上記のような傾向に当てはまらない

質問項目も多く,今回の実験調査からははっ

きりした傾向を見いだすことはできなかっ

た。調査方式によって,意識調査の結果に特

定の価値観が強く表れるのか,またそうだと

すればなぜ違いが生じるのかについては,さ

らに検討が必要であろう。

表31 生活全体についての満足感   (満足+どちらかといえば満足,年層別)

高年層(60歳以上)87.887.586.884.7

中年層(30~ 59歳)85.486.578.277.6

若年層(16~ 29歳)88.292.280.276.7

全体

86.787.882.180.2

本調査(面接)実 験(面接)実 験(配付)実 験(郵送)

(%)

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145

世論調査における調査方式の比較研究

4 − 5 意識構造における各調査方式の異同

これまで述べてきたような個々の質問に対

する回答の違いが,全体の意識構造にどのよ

うに反映されているのか分析を行った。ここ

では調査方式の違いによる影響をみるため,

あえて,「無回答」や「その他」も含んだデー

タで本調査(面接),実験調査(面接,配付,

郵送)の 4 種類の調査を比較した。

4 種類あわせた調査データについて,共通

の質問(回答選択肢)を用いて数量化Ⅲ類に

よる分析をした結果,意識構造を支える基軸

として,Ⅰ軸の<他記式傾向-自記式傾向>

とⅡ軸の<伝統志向-伝統離脱>とⅢ軸の<

あそび志向-まじめ志向>の 3 つの軸が認め

られた22)。そして,それらの軸に各調査が

どのように位置づけられるかを調査方式ごと

の平均得点でみたのが,図 17,18である。

Ⅰ軸を<他記式傾向-自記式傾向>とした

のは次のような解釈による。Ⅰ軸のマイナス

側には,実験(配付),実験(郵送)で回答

率の高い選択肢が並ぶ。すなわち「宗教的行

動」の質問における「祈願」,「お守り・おふ

だ」,「おみくじ・占い」などの“現世利益中

心”の行動,「婚前交渉について」の質問で「愛

情で可」,「理想の仕事」の質問(1 番目の回答)

で「専門」,「結婚した男女の名字」について,

「どちらが改めてもよい」,「現状では夫の姓」

などが並んでいる。

“現世利益中心”の行動は,実験(配付),

実験(郵送)で高い。また,「愛情で可」は,

実験(郵送)で高い。「結婚した男女の名字」

について「どちらが改めてもよい」は実験(郵

送)で高い。「現状では夫の姓」については,

実験(配付),実験(郵送)で高い。このよ

うに,Ⅰ軸のマイナス側には,実験(配付),

実験(郵送)で回答が多い,つまり,自記式

の調査の方が多い選択肢が位置している。

一方,Ⅰ軸のプラス側には,「わからない,

無回答」,「その他」が集中している。そして,

それらの近くには,「権利についての知識」

が「低い」,「生活目標」の質問での「快志向」

がある。これらは本調査(面接)あるいは実

験(面接)が実験(配付),実験(郵送)よ

り高いものである。自記式と比べ,他記式で

は「わからない,無回答」が多くなるという

4 − 3節での分析と合わせると,プラス側に

0.06

0.04

0.02

-0.120

-0.1 -0.08

実験(配付)

実験(面接)

本調査(面接)

他記式傾向自記式傾向

伝統志向

伝統離脱

Ⅰ軸

Ⅱ軸

-0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04

-0.02

実験(配付)

実験(面接)

実験(郵送)実験(郵送)

本調査(面接)

まじめ志向あそび志向

伝統志向

伝統離脱

Ⅲ軸

Ⅱ軸

0

0.06

0.04

0.02

-0.020

0.02 0.04 0.06

-0.02

図17 各調査方式の平均得点   (数量化Ⅲ類・Ⅰ軸×Ⅱ軸)

図18 各調査方式の平均得点   (数量化Ⅲ類・Ⅱ軸×Ⅲ軸)

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146 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

は他記式に多い選択肢が位置している。この

ように,Ⅰ軸は自記式対他記式という調査方

式が反映された軸と言えよう。さらに,Ⅰ軸

が意識構造を最もよく説明しているのである

から,自記式と他記式による調査方式の違い

が調査結果へ及ぼしている影響が大きいこと

がわかる。

次に,図 17,18より,各軸上の調査方式

の位置から,意識構造における各調査方式の

異同をみる。まず,Ⅰ軸上の調査方式の位置

をみると,「自記式」側に実験(配付)が大

きく離れ,「他記式」側に本調査(面接),実

験(面接)が近くに位置する。すなわち,面

接法どうしの差は小さく,配付回収法は面接

法との差が大きいことを示している。

続いて,Ⅱ軸上の調査方式の位置をみると,

「伝統志向」側には,本調査(面接)のみが

位置し,「伝統離脱」側には,実験(配付),

実験(面接),実験(郵送)が位置する。Ⅲ

軸上の調査方式の位置をみると,「まじめ志

向」側に実験(郵送)だけが位置し,実験(面

接),本調査(面接),実験(配付)は「あそ

び志向」側にかたまっている。

これらからみると,本調査(面接)と実験

(面接)は比較的近似しているため,構造の

うえでは個人面接法,配付回収法,郵送法の

3 つに大きく分けることができそうである。

4 − 6 まとめ

全体的な調査結果の差は,他記式・個人面

接法である本調査(面接)と実験(面接)の

差,自記式の実験(配付)と実験(郵送)の

差がそれぞれ小さく,他記式と自記式の間の

差が大きかった。

個人面接法と自記式では,回答差の 2 割か

ら 4 割近くが標準誤差を超えており,具体的

に次のような違いがあった。

・ 回答に抵抗を感じる質問では,個人面接法

で「特にない」のような回答が高くなるこ

とがある

・ 知識を聞く質問では自記式の正答率が高く

なる

・ ある選択肢がリストや調査票に提示されて

いるかいないかで,回答が異なることがあ

・ 自記式では断定的でない選択肢の回答が高

くなることがある

・ 個人面接法で「社会的に望ましい」選択肢

が選ばれやすいことがある

・ 無回答は全体として個人面接法のほうが多

本調査(面接)と実験(面接)の回答の

差は,ほぼ標準誤差の範囲内に収まっている

が,一部の選択肢では大きく異なっており,

調査機関の違いによる影響があると考えられ

る。質問ごとにみると,本調査(面接)と実

験(面接)では,回答に抵抗感のある質問に

対する回答が異なることや,複数回答質問の

回答数が異なることがあった。

実験(配付)と実験(郵送)の回答差もほ

ぼ標準誤差の範囲内で,今回比較した調査方

式の中では最も一致していた。ただし,やは

り一部の選択肢で回答に違いがあったほか,

実験(配付)に比べて実験(郵送)の無回答

率が高いという傾向もみられた。

調査方式の違いが個々の質問項目の回答に

及ぼす影響には,調査員の介在の有無に加え,

質問の内容や形式など多くの要素が複合して

いると考えられる。

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147

世論調査における調査方式の比較研究

調査結果を数量化Ⅲ類によって分析したと

ころ,個人面接法と配付回収法と郵送法は互

いにやや離れたところに位置しており,調査

方式の違いが回答の構造にも影響するという

結果となった。また配付回収法と郵送法では

調査結果自体はかなり近かったが,構造上は

違いがみられることが確認できた。

今後の調査方式の検討・開発に向けて

今回の実験調査では,個人面接法,配付回

収,郵送法の実施状況を調べ,それぞれの実

施方法について,改善につながる検討を行う

ことができた。

個人面接法では,NHKが自らの組織で実

施した本調査(面接)と外部の調査機関に委

託した実験(面接)とで,有効率や複数回答

の出方が異なっていた。外部の調査機関には

経験の豊富な調査員が多く,日常的に従事し

ている調査や調査員教育などの指導による影

響があったと考えられる。調査を委託する調

査機関の末端の調査員まで,実施方法の詳細

を伝えるにはどうしたらいいのか,考えてい

く必要がある。

配付回収法や郵送法では,調査票への記入

の自由度が高く,調査相手の都合のいい日時

に記入が行われる。また,記入を 2 日以上に

分ける人もいるなど,記入を行う状況は,調

査相手によって異なるようだ。代理記入や,

家族などと相談して記入した人はそれぞれ 1

割程度であった。

NHKでは,これまで郵送法をあまり採用

してこなかったため,郵送法での標準的な実

施方法が存在しなかったが,今回の実験調査

により,郵送法の方式の標準化に向けた成果

を得ることができた。今後は,さらに次のよ

うな検討を重ねていきたいと考えている。

①調査日程の検討

今回の実験(郵送)では,一次締切日から

2 日後に督促状の発送を行ったが,一次締切

りの段階で,調査相手は記入意欲を失ってし

まい,督促状の効果が小さかった。有効率確

保のために効果的な,協力依頼状や督促状の

発送日,締切日の設定など,調査日程の検討

を行いたい。

②調査票の検討

調査員の介在しない郵送法では,複雑な形

式の質問や,回答に抵抗のある質問の羅列に

対して記入が回避される傾向がみられる。適

切な質問の内容や形式,調査票のレイアウト

を検討したい。

今回は,本調査とまったく同じ質問数で

行っており,標準的な郵送法の調査よりも,

かなり多い質問数やページ数で実施した。新

たに企画立案する郵送法調査のためには,調

査相手から確実に回答を得られるように,適

切な質問数やページ数の検討も必要である。

③調査材料の検討

郵送法では,作業の効率化やコストを下げ

ることも重要な課題である。今回の実験調査

では,宛名は手書きし,配付用封筒・回収用

封筒には切手を貼ったが,宛名書きや切手貼

りの作業や,回収されない封筒の切手代など

の無駄がある。宛名の印刷や料金後納などを

検討したい。

郵送法では,調査相手アンケートや自由記

5

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148 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

述欄で調査の目的や利用のされ方がわからな

い,という調査相手も多くみられた。郵送法

では,調査員が介在しないため,事前に送る

協力依頼状や調査票送付時の調査依頼文など

で,調査相手の理解を得る必要がある。どの

ような形式でどのような内容のものが調査相

手にわかりやすく伝わるのか,検討したい。

また,今回の実験調査では,調査方式間の

回答差を確認することができた。個人面接

法(他記式)と自記式の配付回収法と郵送法

の間では,質問によって大きく回答が異なる

ことがわかった。また,同じ自記式の配付回

収法と郵送法にも,質問によって,大きくは

ないが回答差がみられた。そのため,現時点

では調査方式の異なる結果間の比較やミック

スモードの可能性を見出すことはできなかっ

た。今後さらに研究を深めることで,調査機

関の違いや自記式での調査方法の違い(配付

回収法と郵送法など)による回答差を小さく

していくことは可能かもしれない。

調査方式の違いが個々の質問項目の回答に

及ぼす影響については,多くの要素が複合し

ていると考えられる。回答差については「社

会的望ましさ」の影響など,いくつかの要因

を指摘したが,今回の調査は方式間の全体的

な異同を理解することに主眼を置いたため,

質問に対する調査相手の認知や反応について

は,必ずしも十分な分析を行えなかった。今

後はこうした点も含め,実施方法,調査票の

設計,質問文の構成など,さまざまなレベル

で体系的に研究を重ねていく必要がある。

※調査方式比較プロジェクト

 荒牧央/小野寺典子/河野啓/小島博/

 西久美子/原美和子/村田ひろ子

注:1) ミックスモードは,1 つの調査で複数の調査方

式を使用すること。広義にはいろいろな意味があ

るが,最近注目されているのは,1 つの調査で同

じ調査票で人によって異なる調査方式で実施し,

1 つの結果として集計する方法である。回答が得

られにくい属性の調査相手に対して,他の調査方

式で実施することにより回答が得られるため,総

合的な有効率を高めるための方策として期待され

ている。

2) 第 8 回「日本人の意識・2008」については,以

下の文献を参照。

 河野啓・高橋幸市・原美和子「日本人の意識変化

の 35 年の軌跡(1)(2)―第 8 回『日本人の意識・

2008』調査から」『放送研究と調査』2009.4,

2009.5

3)代替サンプルは,調査不能の調査相手の代わり

に他の人から回答を得ること。みせかけの有効率

を高くすることはできるが,調査の質はむしろ悪

化する可能性がある。詳しくは以下の文献を参照。

 小野寺典子「世論調査における代替サンプル使用

の問題点と検討」『放送研究と調査』2007.12

4)「生活意識に関するアンケート」については,次

のホームページで閲覧できる。http://www.boj.

or.jp/type/release/teiki/ishiki/index.htm

5)松田映二「郵送・インターネット比較調査で世

論調査の可能性を探る(2006 年 7 ~ 8 月長野県

知事選挙)」『朝日新聞社総研リポート』2006.11,

pp84-90 

6) 中西尚道・新井久爾夫・吉田潤・杉山明子・秋

山登代子「世論調査の 20 年」『放送文化研究所

年報 30』1985 年

7) 以下の文献などを参考にまとめなおした。

 林文・山岡和枝『調査の実際 不完全なデータか

ら何を読みとるか』2002,朝倉書店,pp.25-35

 Dillman, Don A. Mail and Internet Surveys, The

Page 45: 世論調査における調査方式の比較研究 - NHK...107 世論調査における調査方式の比較研究 調査の実施方法について説明する。そして,3章で各調査の実施状況の記録や調査後に実

149

世論調査における調査方式の比較研究

Tailored Design Method, Second Edition, 2007 Update with New Internet, Visual, and Mixed-Mode Guide. 2007. p.225

8) 坂元慶行「意識調査の調査方式と調査結果 そ

の①,その②」『ESTRELA』1995 年 10,11 月

号(財)統計情報研究開発センター

 坂元慶行「『日本人の国民性調査』-社会調査研

究のある最前線」『理論と方法』数理社会学会機

関誌 Vol.16 No.1,2001

9) NHK放送世論調査所『調査方式の比較研究―

個人面接法など 4 方式の実験調査―』報告書,

1977 年 3 月

 このNHKの比較実験調査で最も力を入れて分析

されたのは,実質有効と名目有効の比較である。

調査が正しく行われたかどうかについて 4 段階

のチェックを行い,元の調査結果を「名目有効」,

チェックの後,指定どおりに実施したと判断した

ものを「実質有効」とした。「名目有効」では,「配

付回収法」「郵送回収法」の有効率が高く,「個人

面接法」「面前記入法」が低かったが,「実質有効」

では逆転した。なお,「名目有効」と「実質有効」

で回答分布の傾向はほとんど異ならなかった。

10) 前田忠彦「郵送調査法の特徴に関する一研究―

面接調査法との比較を中心として」『統計数理』

第 53 巻 第 1 号,2005,pp.57-81

11)林英夫『郵送調査法〔増補版〕』2006,関西大

学出版部

 マンジョーニ.T.W.(著)(1995),林英夫(監訳)・

村田晴路(訳)『郵送調査法の実際―調査におけ

る品質管理のノウハウ―』1999,東京:同友館

12)松田映二「郵送調査の効用と可能性」『行動

計量学』第 35 巻第 1 号(通巻 68 号)2008 年,

pp.17-45

13) 「日本人の意識」は時系列調査であるため,こ

のような質問形式となっている。現在,NHKの

職業についての質問は,特別な調査を除くと,職

業分類をそのまま回答選択肢として提示する方式

で行うことが多い。

14) NHKでは,2006 年度の調査から,それまで

郵政はがき(官製はがき)に白黒で印刷していた

協力依頼状を圧着はがきへのカラー印刷に変更し

た。圧着はがきにすることにより,調査相手に示

す情報が増え(個人情報の取り扱い方や調査につ

いて),信用度が増し,調査相手からの拒否の電

話や問い合わせが減少した。詳しくは以下を参照

のこと。

 小野寺典子「世論調査における調査協力依頼状の

改善-調査不能対策の一環として(調査研究ノー

ト)」『放送研究と調査』2007,2 月号

15) 杉山明子『社会調査の基本』1984,朝倉書店,p.77

16) 第 42 問の「支持政党なし」と,第 43 問(「支

持政党なし」を含め,政党名を挙げなかった調査

相手に尋ねた)の「支持できそうな政党もない」

の 2 項目。

17) 各 100 地点。調査地点が同じであっても,本調

査の調査相手 12 人を抽出してから引き続き同じ

抽出間隔で実験調査の調査相手 12 人を抽出して

いるため,完全に同じ地域ではない。字・町丁目

が異なることもあり,極端な場合には,一方は一

般の住宅の居住者であるのに対し,もう一方は高

齢者のための施設の居住者で占められるようなこ

ともあり得る。

18) NHK放送世論調査所,前掲報告書,1977,p.49

19) 同報告書,p.54

20) Bradburn, N. M., Sudman, S. & Wansink,

B. Asking Questions: The Definitive Guide to Quest ionnaire Design -- For Market Research, Political Polls, and Social and Health Questionnaires, Revised Edition. San Francisco,

CA: Jossey-Bass, 2004, p.11.

21) Tourangeau, R., Rips, L. J. & Rasinski, K. The Psychology of Survey Response. New York, NY:

Cambridge University Press, 2000, p.257.

22) <伝統志向-伝統離脱>,および<あそび志向

-まじめ志向>の軸の詳細については,前掲 2)

の文献を参照。

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150 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

2008 年調査方式比較実験調査

調査の概要

調査名本調査 第 8 回

「日本人の意識・2008」実験調査

実験調査の目的①個人面接法,配付回収法,郵送法の各調査方式の実施方法の検討②各調査方式間,自前と外部委託調査間の調査結果の違いの比較

調査方法 個人面接法 個人面接法 配付回収法 郵送法

調査時期2008 年6月 28 日(土)     ・29 日(日)補完日  30 日(月)

2008 年6月 28 日(土)     ~ 30 日(月)

追加日 7月5日(土)     ~ 7 日(月)

2008 年6月 28 日(土)    ~7月 6 日(日)

2008 年6月 25 日(水)    ~8月4日(月)

抽出台帳と方法住民基本台帳

層化2段無作為抽出法住民基本台帳

層化2段無作為抽出法住民基本台帳

層化2段無作為抽出法住民基本台帳

層化2段無作為抽出法

調査相手全国 16 歳以上の

国民 5,400 人(450 地点× 12 人)

全国 16 歳以上の 国民 1,200 人

(100 地点× 12 人)

全国 16 歳以上の国民 1,200 人

(100 地点× 12 人)

全国 16 歳以上の 国民 1,200 人

(100 地点× 12 人)

有効数(率) 3,103 人(57.5%) 649 人(54.1%) 847 人(70.6%) 822 人(68.5%)

<表について> 1.本調査(第8回「日本人の意識・2008」)と実験調査(面接,配付,郵送)の結果を併記した。 2.表中の数字は,各選択肢の回答数を,各調査の有効数で除した結果をパーセント(%)で示したもの。  (小数点以下第2位を四捨五入)3.表中の不等号(><)は,本調査との数字と比較した検定結果(%の差の検定,信頼度 95%)であり,   本調査のほうが高ければ「>」で,低ければ「<」で示した。

質問文と単純集計結果

—欠かせないコミュニケーション行動—〈MA〉第1問  はじめに,ふだんの生活のことについてうかがいます。リストの中で,あなたの気持ちとして,

欠かせないと思うことをいくつでもあげてください。本調査 面接 配付 郵送

ア.新聞を読む 67.0 68.3 67.1 65.1イ.本を読む 33.9 31.7 > 28.8 32.8ウ.マンガ・劇画を読む 11.0 9.9 10.4 10.5エ.雑誌を読む(マンガ雑誌を除く) 19.9 18.5 > 16.8 16.9オ.テレビを見る 83.5 82.6 85.7 < 86.9カ.ラジオを聞く 26.8 24.8 23.7 23.8キ.CDやMD(レコードやテープ)を聞く 26.6 24.3 27.3 25.5ク.携帯電話を使う 49.8 51.6 > 43.7 50.5ケ.インターネットを利用する 28.8 29.4 25.9 30.5コ.家族と話をする 79.6 80.4 80.2 81.9サ.友人と話をする 66.3 > 60.4 > 56.2 > 54.4シ.この中にはない 0.5 1.1 > 0.0 > 0.0ス.わからない,無回答 0.2 0.0 0.4 < 0.6

資料

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151

世論調査における調査方式の比較研究

—欠かせないコミュニケーション行動(1番目)—第 2 問  〔第1問で「ア~サ」の人に〕では,今あげた中で,どうしても欠かせないと思うことを

1つだけ選ぶとしたら,どれでしょうか[1番目]。もう1つ選ぶとしたら,どれでしょうか[2番目]。

 1番目だけの結果本調査 面接 配付 郵送

1.新聞を読む 15.3 14.5 14.0 13.92.本を読む 2.1 2.5 > 0.9 1.53.マンガ・劇画を読む 0.3 0.6 0.1 < 1.04.雑誌を読む(マンガ雑誌を除く) 0.2 0.3 0.0 0.05.テレビを見る 20.3 > 16.3 < 26.9 < 24.56.ラジオを聞く 1.9 > 0.5 1.7 > 0.77.CDやMD(レコードやテープ)を聞く 0.9 1.2 1.2 0.78.携帯電話を使う 7.3 6.8 7.1 7.39.インターネットを利用する 3.4 4.0 2.6 3.010.家族と話をする 40.5 < 44.8 41.4 42.111.友人と話をする 6.0 6.2 > 3.3 > 3.012.わからない, 無回答 1.1 1.2 0.4 1.713.非該当〔第1問で「シ,ス」の人〕 0.7 1.1 0.4 0.6

 1番目+2番目の結果 1.新聞を読む 30.4 29.9 32.3 30.32.本を読む 5.4 5.7 > 3.5 4.33.マンガ・劇画を読む 0.8 1.2 < 1.7 1.54.雑誌を読む(マンガ雑誌を除く) 0.5 0.8 0.2 0.55.テレビを見る 42.2 42.8 < 53.7 < 55.06.ラジオを聞く 4.9 3.2 4.1 > 2.97.CDやMD(レコードやテープ)を聞く 3.1 3.1 3.3 2.48.携帯電話を使う 15.1 14.8 14.2 15.89.インターネットを利用する 8.4 8.2 > 6.3 7.510.家族と話をする 56.2 < 61.0 58.4 57.711.友人と話をする 21.5 20.3 > 15.9 > 13.912.わからない, 無回答 9.0 > 5.5 > 5.2 > 5.413.非該当〔第1問で「シ,ス」の人〕 0.7 1.1 0.4 0.6

—生活の各側面についての満足感—第 3 問  次に,日ごろの暮らしについて,リストのように4つに分けておたずねします。

AからDまでの1つ1つについて,「そう思う」か,「そうは思わない」かをお答えください。

 A.着るものや食べもの,住まいなど,物質的に豊かな生活を送っている1.そう思う 72.2 73.2 71.5 69.12.そうは思わない 22.9 23.3 < 27.9 < 30.23.わからない,無回答 4.9 3.5 > 0.6 > 0.7

 B.生きがいをもち,心にハリや安らぎのある生活を送っている1.そう思う 72.7 73.5 > 63.3 > 60.82.そうは思わない 21.9 21.1 < 35.7 < 38.03.わからない,無回答 5.4 5.4 > 1.1 > 1.2

 C.環境がととのい,安全で快適に過ごせる地域に住んでいる1.そう思う 80.0 79.5 > 71.1 > 76.02.そうは思わない 16.0 15.7 < 28.2 < 22.93.わからない,無回答 4.0 4.8 > 0.7 > 1.1

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152 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

 D.この地域や自分の職場・学校には,打ちとけて話し合ったり,気持ちよくつきあえる人が多い本調査 面接 配付 郵送

1.そう思う 71.2 69.6 67.9 > 62.92.そうは思わない 22.8 25.1 < 31.3 < 36.53.わからない,無回答 6.1 5.2 > 0.8 > 0.6

—生活全体についての満足感—第 4 問  あなたは今の生活に,全体としてどの程度満足していますか。リストの中から,

あなたのお気持ちに近いものをあげてください。(略称)

1.満足している 満足 27.6 < 33.6 > 18.4 > 19.82.どちらかといえば満足している やや満足 59.1 > 54.2 < 63.6 60.33.どちらかといえば,不満だ やや不満 10.7 8.8 < 15.7 < 15.74.不満だ 不満 2.0 3.1 2.0 < 3.65.わからない,無回答 DK,NA 0.6 0.3 0.2 0.5

—貯蓄・消費態度—第 5 問  今かりに,お宅の1か月分程度の臨時収入が,あなたの手に入ったとします。

あなたはそのお金をどうするのがいちばんいいと思いますか。リストの中から選んでください。(略称)

1.先のことは考えないで,思いきりよく使ってしまう 無計画消費 9.9 10.5 > 7.1 > 6.92.何に使うか計画をたてて,その費用にあてる 計画的消費 43.9 44.4 < 49.4 < 51.53.将来必要となるかもしれないから,貯金しておく 貯 蓄 43.2 42.8 43.3 41.24.その他 1.4 0.55.わからない,無回答 DK,NA 1.6 1.8 > 0.2 > 0.4

—生活目標—第 6 問  人によって生活の目標もいろいろですが,リストのように分けると,あなたの生活目標に

いちばん近いのはどれですか。(略称)

1.その日その日を,自由に楽しく過ごす 快志向 24.0 23.1 21.1 > 18.02.しっかりと計画をたてて,豊かな生活を築く 利志向 23.5 26.0 24.9 < 28.13.身近な人たちと,なごやかな毎日を送る 愛志向 45.1 44.2 48.4 < 49.54.みんなと力を合わせて,世の中をよくする 正志向 5.6 5.5 5.2 3.95.その他 0.3 0.26.わからない,無回答 DK,NA 1.5 0.9 > 0.4 > 0.5

—生活充実手段—第 7 問  リストには,私たちの生活を充実させるために必要と思われる項目を,5つ並べてあります。

この中から,あなたが必要だと思われる順に項目をあげてください。

[郵送・配付]次の表には,私たちの生活を充実させるために必要と思われる項目を 5 つ並べてあります。この中からあなたが必要だと思われる順に 1 から 5 まで順位を書いてください。

 A.豊かな趣味1.第1位 4.3 4.3 3.0 > 1.92.第2位 9.4 10.9 7.3 7.73.第3位 15.8 15.3 15.0 14.14.第4位 25.5 23.4 < 30.3 28.55.第5位 41.7 43.5 43.3 < 46.06.わからない,無回答 3.4 2.6 > 1.1 > 1.8

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153

世論調査における調査方式の比較研究

 B.やりがいのある仕事や活動本調査 面接 配付 郵送

1.第1位 6.3 7.6 > 4.4 4.92.第2位 21.9 19.9 19.7 19.23.第3位 23.8 27.3 < 31.1 < 31.14.第4位 22.1 19.3 19.4 22.95.第5位 21.8 23.0 24.4 20.06.わからない,無回答 4.0 3.1 > 1.1 > 1.9

 C.経済力1.第1位 9.2 9.6 9.7 9.42.第2位 32.5 31.0 < 40.5 < 43.33.第3位 24.2 26.0 23.4 23.04.第4位 16.6 17.3 14.0 > 12.95.第5位 14.1 13.1 > 11.2 > 9.56.わからない,無回答 3.4 3.1 > 1.2 > 1.9

 D.なごやかなつきあい1.第1位 5.2 4.5 3.7 > 3.32.第2位 21.4 21.9 19.0 > 17.63.第3位 26.6 23.4 25.5 25.44.第4位 28.2 < 32.5 < 32.8 30.75.第5位 15.9 15.4 18.1 < 21.26.わからない,無回答 2.7 2.3 > 0.9 1.8

 E.健康な体1.第1位 74.1 73.5 < 78.7 < 79.32.第2位 12.9 14.8 12.5 10.83.第3位 6.5 5.5 > 4.0 > 4.44.第4位 3.4 3.9 2.2 3.05.第5位 2.0 1.4 1.8 1.26.わからない,無回答 1.2 0.9 0.7 1.2

—理想の家庭—第 8 問  リストには,異なった4軒の家庭の様子が書いてあります。あなたはどの家庭が最も好ましいとお

考えですか。 東さん:父親は一家の主人としての威厳をもち,母親は父親をもりたてて,心から尽くしている 西さん:父親も母親も,自分の仕事や趣味をもっていて,それぞれ熱心に打ち込んでいる 南さん:父親は仕事に力を注ぎ,母親は任された家庭をしっかりと守っている 北さん:父親はなにかと家庭のことにも気をつかい,母親も暖かい家庭づくりに専念している

(略称)1.東さん 夫唱婦随 12.7 11.6 > 7.8 > 8.42.西さん 夫婦自立 19.5 19.0 18.4 18.53.南さん 役割分担 15.5 17.3 14.3 15.04.北さん 家庭内協力 48.4 48.1 < 58.8 < 57.15.その他 0.4 0.36.わからない,無回答 DK,NA 3.4 3.9 > 0.7 > 1.1

—人間関係(親せき)—第 9 問  親せきとは,どんなつきあいをするのが望ましいと思いますか。リストの中からお答えください。

(略称)1.一応の礼儀を尽くす程度のつきあい 形式的つきあい 21.6 23.3 23.3 < 26.42.気軽に行き来できるようなつきあい 部分的つきあい 42.8 44.2 43.9 43.33.なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい 全面的つきあい 34.8 31.7 32.3 > 29.74.その他 0.1 0.05.わからない,無回答 DK,NA 0.8 0.8 0.5 0.6

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154 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—権威・平等(社会的地位)—第 10 問  リストの甲,乙どちらかの人に,結婚式の仲人を頼むとしたら,どちらの人がよいと思いますか。

 甲:社会的地位は低いが,結婚する2人をよく知っている人 乙:結婚する2人を十分には知らないが,ある程度社会的地位の高い人

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.甲の人がよい 平等 87.1 86.3 < 89.7 < 92.12.乙の人がよい 権威 8.8 8.0 9.4 > 6.33.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 4.2 5.7 > 0.8 > 1.6

—男女のあり方(名字)—第 11 問  一般に,結婚した男女は,名字をどのようにしたらよいとお考えですか。

リストの中からお答えください。

(略称)1.当然,妻が名字を改めて,夫のほうの名字を

名のるべきだ 当然,夫の姓 32.5 33.0 > 24.1 > 19.5

2.現状では,妻が名字を改めて,夫のほうの名字を名のったほうがよい 現状では夫の姓 24.9 25.4 < 39.0 < 36.6

3.夫婦は同じ名字を名のるべきだが,どちらが名字を改めてもよい どちらでもよい 28.3 29.4 29.9 < 34.4

4.わざわざ一方に合わせる必要はなく,夫と妻は別々の名字のままでよい 別姓でよい 11.3 9.4 > 6.6 > 7.5

5.その他 0.4 0.66.わからない,無回答 DK,NA 2.5 2.2 > 0.5 1.9

—男女のあり方(家庭と職業)—第 12 問  結婚した女性が職業をもち続けることについては,どうお考えでしょうか。

リストの中から,あなたのお考えに近いものを選んでください。

(略称)1.結婚したら,家庭を守ることに専念したほう

がよい 家庭専念 12.0 13.9 10.4 9.9

2.結婚しても子どもができるまでは,職業をもっていたほうがよい 育児優先 36.6 33.7 < 44.0 < 44.5

3.結婚して子どもが生まれても,できるだけ職業をもち続けたほうがよい 両立 48.1 48.1 44.5 > 44.0

4.その他 1.0 0.55.わからない,無回答 DK,NA 2.3 < 3.9 > 1.1 1.6

—権威・平等(男女)—第 13 問  リストには,父親が台所の手伝いや子どものおもりをすることについて,

甲,乙2つの意見をのせてあります。あなたはどちらに賛成しますか。甲:台所の手伝いや子どものおもりは,一家の主人である男子のすることではない乙:夫婦は互いにたすけ合うべきものだから,夫が台所の手伝いや子どものおもりをするのは  当然だ

(略称)1.甲に賛成 すべきでない 9.7 10.0 > 5.1 > 5.42.乙に賛成 するのは当然 86.3 85.7 < 94.0 < 92.63.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 4.0 4.3 > 0.9 > 2.1

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155

世論調査における調査方式の比較研究

—父親のあり方—第 14 問  ことし学校を卒業して社会に出た男の子がいるとします。父親はその子に対して,

どういう態度をとるのがいちばんいいとお考えですか。リストの中から,選んでください。

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.みずから模範を示し,見習わせる 模範 5.9 6.3 > 3.7 > 3.52.より多く人生の経験を積んだ者として,忠告

や助言を与える 忠告 47.8 48.1 48.8 47.2

3.ひとりの同じ人間として,親しい仲間のようにつきあう 仲間 22.1 22.2 < 25.6 24.9

4.子どもを信頼して,干渉しない 不干渉 21.5 20.5 20.8 22.15.その他 0.3 0.06.わからない,無回答 DK,NA 2.5 2.9 > 1.2 2.2

—老後の生き方—第 15 問  リストには,いろいろな老後の生き方がのっています。この中であなたはどれが

最も望ましいと思いますか。

(略称)1.子どもや孫といっしょに,なごやかに暮らす 子供や孫 27.6 26.5 26.1 > 21.32.夫婦2人で,むつまじく暮らす 夫婦 19.9 19.7 17.0 17.63.自分の趣味をもち,のんびりと余生を送る 趣味 28.6 32.0 < 34.4 < 36.34.多くの老人仲間と,にぎやかに過ごす 老人仲間 5.2 4.9 4.6 4.55.若い人たちとつきあって,ふけこまないよう

にする 若者 4.7 4.2 3.9 3.9

6.できるだけ,自分の仕事をもち続ける 仕事 12.3 11.6 13.0 14.17.その他 0.2 0.28.わからない,無回答 DK,NA 1.5 0.9 1.1 2.3

—能率・情緒(仕事の相手)—第 16 問  かりにあなたが,リストにあげた甲,乙いずれかの人と組んで仕事をするとします。

その仕事がかなりむずかしく,しかも長期間にわたる場合,あなたはどちらの人を選びたいと思いますか。 甲:多少つきあいにくいが,能力のすぐれた人 乙:多少能力は劣るが,人柄のよい人

(略称)1.甲の人を選ぶ 能率 28.1 29.1 > 24.2 28.12.乙の人を選ぶ 情緒 68.1 64.6 < 75.2 70.43.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 3.9 < 6.3 > 0.6 > 1.5

—人間関係(職場)—第 17 問  職場の同僚とは,どんなつきあいをするのが望ましいと思いますか。

リストの中からお答えくだい。

(略称)1.仕事に直接関係する範囲のつきあい 形式的つきあい 24.1 25.3 < 29.6 < 31.02.仕事が終わってからも,話し合ったり遊んだ

りするつきあい 部分的つきあい 34.3 31.3 < 40.3 37.6

3.なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい 全面的つきあい 38.9 39.3 > 29.5 > 30.0

4.その他 0.1 < 0.55.わからない,無回答 DK,NA 2.6 3.7 > 0.6 > 1.3

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156 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—結社・闘争性(職場)—第 18 問  かりにあなたが,新しくできた会社に雇われたとします。しばらくしてから,雇われた人々の間で,

給料とか働く時間などの労働条件について,強い不満が起きたとしたら,あなたはどうなさいますか。リストの中から選んでください。

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.できたばかりの会社で,労働条件はしだいによく

なっていくと思うから,しばらく事態を見守る 静観 50.2 52.4 < 64.6 < 60.5

2.上役に頼んで,みんなの労働条件がよくなるように,取りはからってもらう 依頼 26.4 24.0 > 19.1 23.2

3.みんなで労働組合をつくり,労働条件がよくなるように活動する 活動 17.8 17.4 15.3 > 14.7

4.その他 0.3 0.25.わからない,無回答 DK,NA 5.3 6.0 > 0.9 > 1.6

—理想の仕事—第 19 問  仕事にもいろいろありますが,どんな仕事が理想的だと思いますか。あなたがいちばん

理想的だと思う仕事と,2番目にそう思う仕事とを,リストの中から選んでください。

 1番目だけの結果(略称)

1.働く時間が短い仕事 時間 4.0 3.5 3.5 > 1.52.失業の心配がない仕事 失業 16.0 15.9 17.5 > 12.73.健康をそこなう心配がない仕事 健康 16.9 16.0 15.7 16.34.高い収入が得られる仕事 収入 7.8 8.3 8.7 7.85.仲間と楽しく働ける仕事 仲間 21.4 20.3 19.4 21.06.責任者として,さいはいが振るえる仕事 責任 2.5 1.5 1.7 1.87.独立して,人に気がねなくやれる仕事 独立 3.3 < 4.9 < 4.8 < 5.68.専門知識や特技が生かせる仕事 専門 17.7 20.0 18.5 < 23.09.世間からもてはやされる仕事 名声 0.2 0.3 0.2 0.210.世の中のためになる仕事 貢献 7.9 6.6 8.1 7.211.その他 0.0 < 0.512.わからない,無回答 DK,NA 2.5 2.0 1.8 2.9

 1番目+2番目の結果(略称)

1.働く時間が短い仕事 時間 7.3 7.4 7.4 > 4.72.失業の心配がない仕事 失業 27.3 29.6 30.1 25.13.健康をそこなう心配がない仕事 健康 33.7 31.9 32.3 33.84.高い収入が得られる仕事 収入 19.7 19.7 22.7 19.15.仲間と楽しく働ける仕事 仲間 42.5 40.1 41.6 44.66.責任者として,さいはいが振るえる仕事 責任 5.1 4.2 4.1 3.67.独立して,人に気がねなくやれる仕事 独立 6.4 7.9 7.9 < 8.98.専門知識や特技が生かせる仕事 専門 29.2 < 33.1 28.7 < 34.39.世間からもてはやされる仕事 名声 0.6 0.5 0.9 0.610.世の中のためになる仕事 貢献 21.6 20.2 19.5 > 18.211.その他 0.0 < 0.612.わからない,無回答 DK,NA 4.2 2.8 3.0 4.0

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157

世論調査における調査方式の比較研究

—余暇の過ごし方(現状)—第 20 問  余暇についてですが,現在あなたはどんなことをして,自分の自由になる時間を過ごしていること

が多いですか。リストの中から,いちばん多いものと2番目に多いものとをお答えください。

 1番目だけの結果(略称) 本調査 面接 配付 郵送

1.好きなことをして楽しむ 好きなこと 47.0 47.1 < 51.0 48.32.体をやすめて,あすに備える 休息 17.6 17.7 15.6 17.33.運動をして,体をきたえる 運動 7.3 7.6 > 4.6 > 4.04.知識を身につけたり,心を豊かにする 知識 7.7 6.5 7.7 8.05.友人や家族との結びつきを深める 友人・家族 17.6 19.4 18.8 18.56.世の中のためになる活動をする 社会活動 1.4 0.9 1.2 1.17.その他 0.3 0.28.無回答 NA 1.2 0.6 1.2 < 2.8

 1番目+2番目の結果(略称)

1.好きなことをして楽しむ 好きなこと 66.7 68.7 < 72.3 < 70.82.体をやすめて,あすに備える 休息 39.9 38.7 42.4 42.63.運動をして,体をきたえる 運動 18.4 18.3 > 13.0 > 12.54.知識を身につけたり,心を豊かにする 知識 19.4 18.3 20.3 < 22.75.友人や家族との結びつきを深める 友人・家族 45.0 47.9 43.1 41.66.世の中のためになる活動をする 社会活動 5.4 4.8 5.5 4.07.その他 0.5 0.68.無回答 NA 3.5 > 1.8 2.2 2.9

—余暇の過ごし方(将来)—第 21 問  将来はどんなことをして,自由になる時間を過ごしたいとお考えですか。

今度は1つだけ選んでください。

(略称)1.好きなことをして楽しむ 好きなこと 38.0 < 43.6 < 50.2 < 49.32.体をやすめて,あすに備える 休息 5.9 4.3 > 4.0 > 3.33.運動をして,体をきたえる 運動 7.3 7.1 6.3 > 4.14.知識を身につけたり,心を豊かにする 知識 17.0 16.2 14.8 15.35.友人や家族との結びつきを深める 友人・家族 20.3 20.3 19.0 19.86.世の中のためになる活動をする 社会活動 9.5 > 6.9 > 4.5 > 4.57.その他 0.3 0.38.わからない,無回答 DK,NA 1.6 1.2 1.3 < 3.6

—仕事と余暇—第 22 問  リストには,仕事と余暇のあり方について,いろいろな意見がのっています。

あなたはどれが最も望ましいと思いますか。

(略称)1.仕事よりも,余暇の中に生きがいを求める 余暇絶対 9.4 9.2 7.7 > 5.22.仕事はさっさとかたづけて,できるだけ余暇

を楽しむ 余暇優先 26.1 26.0 > 22.7 > 21.5

3.仕事にも余暇にも,同じくらい力を入れる 仕事・余暇両立 34.9 34.4 < 39.1 < 41.24.余暇も時には楽しむが,仕事のほうに力を注ぐ 仕事優先 21.4 22.5 < 26.6 < 26.55.仕事に生きがいを求めて,全力を傾ける 仕事絶対 4.7 4.5 > 2.7 > 1.66.その他 0.1 0.27.わからない,無回答 DK,NA 3.4 3.2 > 1.3 3.9

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158 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—能率・情緒(旅行)—第 23 問  リストには,旅行のしかたが甲,乙2つあります。どちらがあなたの好みに合っていますか。

費用や時間は甲,乙2つとも同じくらいとして考えてみてください。  甲:最大限に旅行を楽しめるように,あらかじめ計画を十分に練って旅行する 乙:行く先々での気分やまわりの様子に応じて,気の向くままに旅行する

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.甲が好みに合う 能率 58.9 55.9 60.9 58.42.乙が好みに合う 情緒 37.7 39.3 37.7 37.63.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 3.4 4.8 > 1.4 4.0

—男女のあり方(男子の教育)—第 24 問  話は変わりますが,今かりにあなたに中学生の男のお子さんがいるとします。

あなたはそのお子さんに,どの程度の教育を受けさせたいと思いますか。リストの中から選んでください。

1.中学まで 0.7 0.5 0.8 0.62.高校まで 11.8 10.8 12.8 12.33.短大・高専まで 8.7 8.3 9.0 8.84.大学まで 67.9 70.3 67.8 67.45.大学院まで 7.0 6.3 8.1 6.96.その他 1.4 1.47.わからない,無回答 2.5 2.5 1.5 < 4.0

—男女のあり方(女子の教育)—第 25 問  では,かりに,中学生の女のお子さんがいるとしたらどうでしょうか。

同じリストの中から選んでください。

1.中学まで 0.6 0.6 0.6 0.52.高校まで 13.3 12.3 14.9 12.73.短大・高専まで 27.0 27.0 30.1 25.14.大学まで 51.7 53.0 49.1 54.75.大学院まで 3.6 2.9 4.0 3.06.その他 1.4 1.57.わからない,無回答 2.4 2.6 1.3 < 4.0

—理想の人間像—第 26 問  今の世の中で,子どもたちがどんな人間に育つことがいちばん望ましいと思いますか。

リストの中から1つだけ選んでください。

(略称)1.秩序を守る,規律正しい人間 規律型 29.2 28.4 > 18.7 > 18.92.お互いの権利や生活を尊ぶ人間 権利型 17.5 17.3 > 13.8 15.23.実社会で役だつ知識や技能を身につけた人間 実用型 14.4 15.3 < 17.7 16.14.教養があり,心が豊かな人間 教養型 36.6 38.1 < 48.3 < 45.75.その他 0.4 0.26.わからない,無回答 DK,NA 1.8 0.9 1.5 < 4.1

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世論調査における調査方式の比較研究

—宗教的行動—〈MA〉第 27 問  宗教とか信仰とかに関係すると思われることがらで,あなたが行っているものがありますか。

ありましたら,リストの中からいくつでもあげてください。

(略称) 本調査 面接 配付 郵送ア.ふだんから,礼拝,お勤め,修行,布教など宗教

的なおこないをしている 礼拝・布教 12.3 12.3 11.9 10.7

イ.おりにふれ,お祈りやお勤めをしている お祈り 12.4 11.1 < 15.7 < 15.6ウ.年に1,2回程度は墓参りをしている 墓参り 68.4 68.1 70.2 > 64.6エ.聖書・経典など宗教関係の本を,おりにふれ

読んでいる 聖書・経典 5.4 5.7 6.5 < 7.4

オ.この1,2年の間に,身の安全や商売繁盛,入試合格などを,祈願しにいったことがある 祈願 29.7 26.3 < 34.1 < 34.9

カ.お守りやおふだなど,魔よけや縁起ものを自分の身のまわりにおいている

お守り・おふだ 34.9 > 28.8 < 42.5 < 39.8

キ.この1,2年の間に,おみくじを引いたり,易や占いをしてもらったことがある

おみくじ・占い 25.3 22.3 27.3 < 28.8

ク.宗教とか信仰とかに関係していると思われることがらは,何も行っていない していない 8.7 < 13.4 > 6.5 > 6.3

ケ.その他 0.7 0.9コ.無回答 NA 3.3 > 1.4 > 1.2 4.0

—信仰・信心—〈MA〉第 28 問  また,宗教とか信仰とかに関係すると思われることがらで,あなたが信じている

ものがありますか。もしあれば,リストの中からいくつでもあげてください。

(略称)ア.神 神 32.5 28.7 < 44.7 < 42.5イ.仏 仏 42.2 > 37.1 < 51.4 < 48.2ウ.聖書や経典などの教え 聖書・経典の教え 6.4 5.2 7.1 < 9.4エ.あの世,来世 あの世 14.6 11.7 < 17.6 < 17.4オ.奇跡 奇跡 17.5 > 13.6 < 21.5 19.3カ.お守りやおふだなどの力 お守り・おふだの力 17.4 > 12.6 < 22.4 < 20.7キ.易や占い 易・占い 6.6 > 4.0 8.1 6.9ク.宗教とか信仰とかに関係していると思われる

ことがらは,何も信じていない 信じていない 23.5 < 31.4 > 19.5 > 19.0

ケ.その他 1.3 0.8コ.わからない,無回答 DK,NA 7.9 6.6 > 3.8 7.7

—婚前交渉について—第 29 問  結婚していない若い人たちの男女関係について,どのようにお考えですか。

リストの中から,あなたのお考えにいちばん近いものを選んでください。

(略称)1.結婚式がすむまでは,性的まじわりをすべき

でない 不可 22.6 22.5 23.5 21.2

2.結婚の約束をした間柄なら,性的まじわりがあってもよい 婚約で可 22.7 25.1 25.7 23.1

3.深く愛し合っている男女なら,性的まじわりがあってもよい 愛情で可 44.2 40.5 44.2 46.7

4.性的まじわりをもつのに,結婚とか愛とかは関係ない 無条件で可 4.4 5.1 4.3 4.9

5.その他 0.4 0.36.わからない,無回答 DK,NA 5.6 6.5 > 2.4 4.1

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160 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—権威・平等(年上)—第 30 問  リストには,ことばづかいについて甲,乙2つの意見がのせてあります。 あなたはどちらがよいと思いますか。

 甲:年上の人に対しては,敬語やていねいなことばを使うのが当然だ 乙:年上の人にも年下の人にも,同じようなことばを使ったほうがよい

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.甲がよい 権威 87.9 88.8 87.6 86.72.乙がよい 平等 9.3 9.7 10.9 9.73.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 2.8 1.5 > 1.5 3.5

—人間関係(近隣)—第 31 問  リストには,隣近所の人とのつきあいのしかたがのせてあります。

あなたはどれが望ましいとお考えですか。実際にどのようにしているかは別にして,ご希望に近いものをお答えください。

(略称)1.会ったときに,あいさつする程度のつきあい 形式的つきあい 25.6 24.3 27.4 25.42.あまり堅苦しくなく話し合えるようなつきあい 部分的つきあい 53.7 55.9 56.8 57.33.なにかにつけ相談したり,たすけ合えるよう

なつきあい 全面的つきあい 19.4 19.4 > 14.8 > 13.9

4.その他 0.1 0.25.わからない,無回答 DK,NA 1.3 > 0.2 1.1 < 3.4

—能率・情緒(会合)—第 32 問  かりに,この地域に起きた問題を話し合うために,隣近所の人が 10 人程度集まったとします。

その場合,会合の進め方としては,リストにある甲,乙どちらがよいと思いますか。 甲:世間話などをまじえながら,時間がかかってもなごやかに話をすすめる 乙:むだな話を抜きにして,てきぱきと手ぎわよくみんなの意見をまとめる

(略称)1.甲がよい 情緒 54.4 54.4 > 45.6 > 45.72.乙がよい 能率 42.1 40.2 < 53.6 < 53.43.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 3.5 < 5.4 > 0.8 > 0.9

—結社・闘争性(地域)—第 33 問  かりにこの地域に,住民の生活を脅かす公害問題が発生したとします。

その場合,あなたはどうなさいますか。リストの中から,あなたのお考えに最も近いものをあげてください。

(略称)1.あまり波風を立てずに解決されることが望ま

しいから,しばらく事態を見守る 静観 31.1 34.1 30.9 31.3

2.この地域の有力者,議員や役所に頼んで,解決をはかってもらう 依頼 43.5 > 38.2 < 48.8 44.5

3.みんなで住民運動を起こし,問題を解決するために活動する 活動 21.8 24.7 19.6 23.4

4.その他 0.2 0.05.わからない,無回答 DK,NA 3.4 3.1 > 0.7 > 0.9

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世論調査における調査方式の比較研究

—ナショナリズム—第 34 問  次に,日本とか日本人とかについて,あなたがお感じになっていることをいくつか おたずねします。リストのAからFまでの,1つ1つについて「そう思う」か

「そうは思わない」かをお答えください。

 A.日本に生まれてよかった本調査 面接 配付 郵送

1.そう思う 95.5 94.8 94.1 94.82.そうは思わない 2.3 3.2 < 5.7 < 4.33.わからない,無回答 2.2 2.0 > 0.2 > 1.0

 B.日本は一流国だ1.そう思う 39.3 36.2 < 54.1 < 53.02.そうは思わない 52.8 53.2 > 45.5 > 45.53.わからない,無回答 8.0 < 10.6 > 0.5 > 1.5

 C.日本の古い寺や民家をみると,非常に親しみを感じる1.そう思う 86.9 88.8 87.6 86.62.そうは思わない 10.0 8.0 12.0 12.03.わからない,無回答 3.2 3.2 > 0.4 > 1.3

 D.日本人は,他の国民に比べて,きわめてすぐれた素質をもっている1.そう思う 56.7 54.9 60.3 59.42.そうは思わない 34.0 35.4 < 38.6 < 38.83.わからない,無回答 9.3 9.7 > 1.1 > 1.8

 E.自分なりに日本のために役にたちたい1.そう思う 69.6 71.2 < 76.4 < 74.92.そうは思わない 20.8 21.3 22.3 23.03.わからない,無回答 9.6 7.6 > 1.3 > 2.1

 F.今でも日本は,外国から見習うべきことが多い1.そう思う 74.5 < 78.6 < 78.6 < 78.02.そうは思わない 16.6 13.6 < 20.1 < 20.33.わからない,無回答 8.9 7.9 > 1.3 > 1.7

—天皇に対する感情—第 35 問  あなたは天皇に対して,現在,どのような感じをもっていますか。 リストの中から選んでください。

(略称)1.尊敬の念をもっている 尊敬 24.7 21.7 > 20.2 > 20.32.好感をもっている 好感 33.5 33.6 34.5 36.73.特に何とも感じていない 無感情 38.6 41.6 < 43.4 40.14.反感をもっている 反感 1.0 1.5 1.5 1.15.その他 0.2 0.36.わからない,無回答 DK,NA 2.1 1.2 > 0.4 1.7

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162 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—権利についての知識—〈MA〉第 36 問  リストには,いろいろなことがらが並んでいますが,この中で,憲法によって, 義務ではなく,国民の権利ときめられているのはどれだと思いますか。

いくつでもあげてください。(略称) 本調査 面接 配付 郵送

ア.思っていることを世間に発表する 表現の自由 34.8 > 29.9 34.6 35.8イ.税金を納める 納税の義務 42.8 40.5 > 32.6 > 32.4ウ.目上の人に従う 目上に従順 7.1 > 4.9 5.2 5.5エ.道路の右側を歩く 右側通行 14.9 12.5 > 10.5 > 11.9オ.人間らしい暮らしをする 生存権 77.1 75.5 < 81.2 < 82.0カ.労働組合をつくる 団結権 21.8 19.3 19.6 22.7キ.わからない,無回答 DK,NA 5.4 4.8 > 0.7 > 1.2

—政治的有効性感覚(選挙)—第 37 問  国会議員選挙のときに,私たち一般国民が投票することは,国の政治にどの程度の

影響を及ぼしていると思いますか。リストの中から選んでください。

(略称)1.非常に大きな影響を及ぼしている 強い 21.1 18.6 22.6 22.72.かなり影響を及ぼしている やや強い 26.6 27.1 27.4 24.83.少しは影響を及ぼしている やや弱い 37.6 41.3 38.1 39.54.まったく影響を及ぼしていない 弱い 11.2 10.9 11.0 12.25.わからない,無回答 DK,NA 3.4 2.0 > 0.9 > 0.7

—政治的有効性感覚(デモなど)—第 38 問  では,私たち一般国民のデモや陳情,請願は,国の政治にどの程度の影響を及ぼし

ていると思いますか。リストの中から選んでください。

(略称)1.非常に大きな影響を及ぼしている 強い 6.6 4.6 5.9 6.12.かなり影響を及ぼしている やや強い 20.7 20.6 18.5 19.83.少しは影響を及ぼしている やや弱い 54.6 56.2 < 60.1 58.44.まったく影響を及ぼしていない 弱い 13.0 13.4 13.8 15.05.わからない,無回答 DK,NA 5.1 5.1 > 1.7 > 0.7

—政治的有効性感覚(世論)—第 39 問  私たち一般国民の意見や希望は,国の政治にどの程度反映していると思いますか。

リストの中からお答えください。

(略称)1.十分反映している 強い 1.9 0.9 1.4 1.72.かなり反映している やや強い 8.8 9.7 9.6 > 6.43.少しは反映している やや弱い 57.5 57.5 53.8 > 53.54.まったく反映していない 弱い 28.1 27.6 < 34.1 < 37.65.わからない,無回答 DK,NA 3.7 4.3 > 1.1 > 0.7

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世論調査における調査方式の比較研究

—政治課題—第 40 問  今,日本の政治が,取り組まなければならないいちばん重要なことがらは,何でしょうか。 リストの中から,1つだけ選んでください。

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.国内の治安や秩序を維持する 秩序の維持 21.4 19.0 20.3 > 18.12.日本の経済を発展させる 経済の発展 24.7 23.9 < 29.2 < 28.63.国民の福祉を向上させる 福祉の向上 28.1 30.4 28.5 27.74.国民の権利を守る 権利の擁護 12.2 12.9 11.0 12.85.学問や文化の向上をはかる 文化の向上 2.5 1.5 2.5 3.36.国民が政治に参加する機会をふやす 参加の増大 5.9 6.8 6.4 7.37.外国との友好を深める 友好の促進 1.3 2.2 1.4 1.18.その他 0.5 0.39.わからない,無回答 DK,NA 3.4 3.1 > 0.8 > 1.1

—結社・闘争性(政治)—第 41 問  リストには,一般国民の政治活動のあり方がのせてあります。 あなたはどれがいちばん望ましいと思いますか。

(略称)1.選挙を通じてすぐれた政治家を選び,自分た

ちの代表として活躍してもらう 静観 59.1 61.9 < 72.6 < 69.7

2.問題が起きたときは,支持する政治家に働きかけて,自分たちの意見を政治に反映させる 依頼 19.9 > 16.3 > 14.5 > 15.6

3.ふだんから,支持する政党や団体をもりたてて活動を続け,自分たちの意向の実現をはかる 活動 12.6 12.9 11.1 12.0

4.その他 0.3 0.25.わからない,無回答 DK,NA 8.1 8.6 > 1.8 > 2.7

—支持政党—第 42 問  〔リストなし〕あなたは,ふだん,どの政党を支持していますか。

〔本調査・面接:リストなし,配付・郵送:選択肢記載〕

1.自民党 26.0 > 19.0 23.4 26.92.民主党 15.4 > 11.1 15.5 15.13.公明党 3.5 2.9 3.5 2.74.共産党 2.1 1.2 2.0 2.15.社民党 1.4 1.2 1.3 1.66.国民新党 0.1 0.0 0.1 0.27.新党日本 0.0 0.0 0.0 0.18.その他の政治団体 0.3 0.2 0.2 0.29.特に支持している政党はない 45.5 < 60.6 < 53.2 48.710.わからない,無回答 5.5 3.9 > 0.7 > 2.4

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164 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—支持できそうな政党(支持政党なしの人)—第 43 問  〔第 42 問で「9」の人に〕 しいていえば,どの政党を支持できそうですか。

〔本調査・面接:リストなし,配付・郵送:選択肢記載〕本調査 面接 配付 郵送

1.自民党 9.3 10.2 9.8 9.72.民主党 8.7 10.9 < 12.3 10.23.公明党 0.3 0.6 < 0.8 < 0.94.共産党 0.9 0.8 0.8 1.55.社民党 0.9 0.2 0.9 0.56.国民新党 0.1 0.3 0.1 0.27.新党日本 0.1 0.2 0.0 0.28.その他の政治団体 0.4 0.2 0.4 0.19.支持できそうな政党もない 18.6 < 29.6 < 27.5 < 24.910.わからない,無回答 6.3 7.7 > 0.6 > 0.411.非該当〔第 42 問で「1~8」「10」の人〕 54.5 > 39.4 > 46.8 51.3

—政治活動—〈MA〉第 44 問  あなたは,この1年ぐらいの間に,政治の問題について,リストにあるようなことを

おこなったことがありますか。もしあれば,いくつでもあげてください。

(略称)ア.デモに参加した デモ 0.6 0.5 0.8 0.2イ.署名運動に協力した 署名 18.5 > 13.4 17.1 17.4ウ.マスコミに投書した 投書 0.4 0.0 0.5 0.1エ.陳情や抗議,請願した 陳情 1.4 1.2 2.0 1.3オ.献金・カンパした 献金 8.2 7.6 6.8 6.9カ.集会や会合に出席した 集会出席 8.3 > 5.9 8.1 7.9キ.政党・団体の新聞や雑誌を買って読んだ 機関紙購読 4.0 3.1 3.7 3.5ク.政党・団体の一員として活動した 党員活動 1.8 1.4 1.8 1.6ケ.特に何もしなかった なし 69.1 < 76.6 71.8 70.0コ.その他 0.2 0.2サ.無回答 NA 3.0 > 1.2 > 1.7 3.3

—好きな外国—第 45 問  あなたがいちばん好きな外国はどこですか。1つだけおっしゃってください。 

〔本調査・面接:リストなし,配付・郵送:「好きな外国なし」のみ記載〕

1.アメリカ 17.7 16.2 > 11.3 > 10.32.オーストラリア 8.6 7.7 > 4.4 > 5.53.スイス 8.6 10.0 > 5.9 > 6.34.フランス 5.0 3.5 3.5 3.65.中 国 1.6 1.7 1.1 > 0.56.カナダ 3.5 4.3 2.8 3.87.イギリス 5.1 4.0 > 2.1 > 2.78.ドイツ 3.2 2.3 2.6 2.69.ニュージーランド 3.0 2.3 1.8 > 1.310.イタリア 5.1 3.9 4.3 4.411.韓国 1.9 1.7 1.4 1.112.その他の国 8.8 7.6 7.2 8.013.な い 23.7 < 31.7 < 47.2 < 40.314.無回答 4.3 3.1 4.4 < 9.6

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165

世論調査における調査方式の比較研究

—好きな外国の理由—第 46 問  〔第 45 問で「1~ 12」の人に〕 その理由は,何でしょうか。リストの中から,いちばん近いものを選んでください。

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.行ってみたり,住んでみてよかったから 居  住 7.7 7.7 6.6 6.42.そこの国の人と接してみて,印象がよかったから 国民経験 3.4 3.2 3.3 > 1.93.自由で,平和な国だから 平  和 6.2 6.0 > 3.4 > 3.34.経済的に豊かで,進んだ国だから 先進国 3.7 2.3 2.4 2.75.広くて,のびのびしているから ゆとり 5.3 4.2 > 3.2 > 3.56.国民の人柄がよさそうだから 国民印象 3.0 3.4 2.2 2.37.美しい自然や恵まれた環境があるから 自然環境 20.2 20.2 > 13.9 > 16.18.歴史があり,すぐれた文化や芸術があるから 芸術・文化 10.6 8.9 9.6 8.89.日本との関係が深いから 日本との関係 3.9 3.7 3.4 4.110.言葉がわかるから 言  葉 0.3 0.5 0.4 0.211.その他 3.9 3.512.特に理由はないがなんとなく 理由なし 2.7 1.413.わからない,無回答 DK,NA 1.1 > 0.2 > 0.0 0.714.非該当〔第 45 問で「13,14」の人〕 28.0 < 34.8 < 51.6 < 49.9

—外国人との接触経験—〈MA〉第 47 問  ところで,あなたは外国人と,リストにあるようなつきあいを,日本国内でしたことが ありますか。あればいくつでも選んでください。

(略称)ア.近くに住んでいる外国人とあいさつをかわし

たことがある あいさつ 18.3 21.1 17.6 21.3

イ.一緒に働いたことがある 職  場 18.1 17.3 18.8 17.3ウ.学校で一緒に勉強したことがある 学  校 14.4 12.0 > 11.0 > 11.2エ.サークルや地域で一緒に活動したことがある 活  動 7.6 9.2 > 5.4 6.8オ.食事に招待したり,されたりしたことがある 食  事 14.8 12.2 > 10.7 > 10.8カ.自分の家に泊めたり,泊まりにいったことが

ある 宿  泊 7.3 > 4.5 6.1 5.7

キ.自分または家族や親せきが外国人と結婚している 結  婚 5.8 4.9 7.0 6.2

ク.つきあったことはない な  い 47.6 50.7 48.8 45.9ケ.その他 0.7 < 1.5コ.無回答 N  A 1.9 > 0.6 < 3.0 < 4.1

—外国との交流—第 48 問  外国や外国人について,あなたはどのようにお感じになりますか。リストのAからCまでの,

1つ1つについて「そう思う」か「そうは思わない」かをお答えください。

 A.いろいろな国の人と友達になりたい1.そう思う 62.6 63.5 > 54.0 > 58.62.そうは思わない 31.1 32.0 < 44.5 < 39.23.わからない,無回答 6.3 4.5 > 1.5 > 2.2

 B.貧しい国の人たちへの支援活動に協力したい1.そう思う 76.9 74.3 74.4 > 73.12.そうは思わない 16.0 < 19.4 < 24.0 < 24.23.わからない,無回答 7.1 6.3 > 1.7 > 2.7

 C.機会があれば,海外で仕事や勉強をしてみたい1.そう思う 39.6 39.8 37.2 37.22.そうは思わない 54.9 57.9 < 60.7 < 60.33.わからない,無回答 5.5 > 2.3 > 2.1 > 2.4

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166 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

—結婚観(結婚は当然)—第 49 問  リストには,結婚についての考え方がのせてありますが,あなたのお考えは, 甲と乙のどちらに近いでしょうか。

 甲:人は結婚するのが当たり前だ 乙:必ずしも結婚する必要はない

(略称) 本調査 面接 配付 郵送1.甲に近い するのが当然 35.0 34.5 34.6 35.02.乙に近い しなくてよい 59.6 56.9 < 64.5 < 63.43.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 5.4 < 8.6 > 0.9 > 1.6

—結婚観(子どもをもつのは当然)—第 50 問  では,リストの甲と乙では,あなたのお考えはどちらに近いでしょうか。

 甲:結婚しても,必ずしも子どもをもたなくてよい 乙:結婚したら,子どもをもつのが当たり前だ

(略称)1.甲に近い もたなくてよい 48.4 48.5 < 56.8 < 56.12.乙に近い もつのが当然 44.8 42.7 42.3 42.13.どちらともいえない,わからない,無回答 DK,NA 6.8 8.8 > 0.9 > 1.8

—人間関係(親しい友人)—第 51 問  次に,友人とのつきあいについておたずねします。

友人とはどんなつきあいをするのが望ましいと思いますか。リストの中から選んでください。

(略称)1.ときどき連絡を取り合う程度のつきあい 形式的つきあい 13.4 12.0 14.9 15.22.気軽に話し合ったり遊んだりするようなつきあい 部分的つきあい 44.0 45.1 < 49.0 45.33.なにかにつけ相談したり,たすけ合えるよう

なつきあい 全面的つきあい 40.6 41.0 > 35.7 38.2

4.その他 0.1 0.35.わからない・無回答 DK,NA 1.9 1.5 > 0.5 1.3

—ライフステージ—第 52 問  リストの中で,あなたにあてはまるのはどれでしょうか。

1.結婚したことはない 20.0 20.5 22.2 20.42.[夫または妻がいる]子どもはいない 5.4 5.5 4.6 5.43.[夫または妻がいる]いちばん年下の子どもが中学生以下 17.6 20.0 15.5 19.04.[夫または妻がいる]いちばん年下の子どもが中学生より大きい 44.3 44.5 41.0 > 36.35.[夫または妻と離別・死別した]子どもはいない 1.4 0.8 1.8 0.96.[夫または妻と離別・死別した]いちばん年下の子どもが中学生以下 0.9 0.9 1.1 1.07.[夫または妻と離別・死別した]いちばん年下の子どもが中学生より大きい 8.6 7.4 10.2 < 11.68.無回答 1.9 > 0.3 < 3.8 < 5.6

—学歴—第 53 問  あなたが最後に卒業された学校を,リストの中からあげてください。

(在学中の方は,現在通っている学校をお答えください。)

1.[卒業]中学校(旧制小学校,高等小学校) 17.6 > 13.7 19.6 17.52.[卒業]高等学校(旧制中学校,女学校) 38.8 40.8 40.0 40.03.[卒業]高等専門学校・短期大学(旧制高等学校) 18.5 20.5 17.9 16.14.[卒業]大学・大学院 17.7 18.3 15.8 19.15.[在学中]高等学校高等専門学校(1~3年生) 3.5 2.9 3.2 2.86.[在学中]高等専門学校(4,5年生)短期大学,大学・大学院 1.8 2.8 2.1 2.37.その他,無回答 2.1 > 0.9 1.3 2.2

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世論調査における調査方式の比較研究

—本人職業—第 54 問

本調査 面接 配付 郵送

1.農林漁業者 2.0 2.2 1.5 1.8

2.自営業者 9.8 11.1 9.1 9.2

3.販売職・サービス職 8.7 7.9 6.7 > 5.5

4.技能職・熟練職 7.1 > 3.9 5.3 7.1

5.一般作業職 5.2 4.6 4.8 4.1

6.事務職・技術職 17.0 < 21.7 15.3 19.8

7.経営者・管理者 4.4 3.1 5.7 5.2

8.専門職,自由業,その他の職業 2.2 > 0.9 > 1.1 > 1.1

9.主婦 18.9 21.4 17.1 > 15.6

10.生徒・学生 5.4 5.9 5.4 4.9

11.無職 17.2 16.0 < 21.5 17.6

12.その他,無回答 2.1 1.4 < 6.4 < 8.0

—主婦の生計維持者の職業—第 55 問

1.農林漁業者 0.2 0.0 0.1 0.0

2.自営業者 1.5 1.4 0.8 0.7

3.販売職・サービス職 1.0 0.9 0.7 0.5

4.技能職・熟練職 1.6 1.2 0.8 0.7

5. 一般作業職 0.7 0.9 > 0.1 0.4

6.事務職・技術職 3.2 4.5 > 1.7 2.6

7.経営者・管理者 1.6 2.5 2.2 1.3

8.専門職,自由業,その他の職業 0.5 0.8 0.4 0.1

(9.主婦) - - - -

10.生徒・学生 0.0 0.0 0.0 0.0

11.無職 7.7 8.3 9.4 7.9

12.その他,無回答 0.9 0.9 0.8 1.3

13.非該当〔第 54 問で「9.主婦」以外の人〕 81.1 78.6 82.9 < 84.4

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168 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

有効サンプル構成比

全体男 女 年 層

男性 女性 若年層(16 ~ 29 歳)

中年層(30 ~ 59 歳)

高年層(60 歳以上)

本 調 査3,103 人 1,393 1,710 415 1,497 1,191

100.0% 44.9 55.1 13.4 48.2 38.4

実験面接649 人 282 367 103 289 257

100.0% 43.5 56.5 15.9 44.5 39.6

実験配付847 人 395 452 111 380 356

100.0% 46.6 53.4 13.1 44.9 42.0

実験郵送822 人 382 440 120 389 313

100.0% 46.5 53.5 14.6 47.3 38.1

全体区市郡 地 域

区 市 郡 北海道・東北 関東 中部・甲

信越 近畿 中国・四国・九州

本 調 査3,103 人 685 2,044 374 365 980 644 437 677

100.0% 22.1 65.9 12.1 11.8 31.6 20.8 14.1 21.8

実験面接649 人 151 424 74 79 208 125 96 141

100.0% 23.3 65.3 11.4 12.2 32.0 19.3 14.8 21.7

実験配付847 人 193 561 93 106 257 173 122 189

100.0% 22.8 66.2 11.0 12.5 30.3 20.4 14.4 22.3

実験郵送822 人 210 492 120 103 262 146 139 172

100.0% 25.5 59.9 14.6 12.5 31.9 17.8 16.9 20.9

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世論調査における調査方式の比較研究

調査員アンケート 調査の概要と単純集計結果

調査員アンケートの概要

対象調査 本調査(面接) 実 験(面接)

目  的 第 8 回「日本人の意識・2008 実験調査」の実施状況と実施後の調査員の感想を把握し,今後の調査実施の改善に役立てる。

方  法 調査員説明会でアンケートを配付,郵送により回収

調査員説明会でアンケートを配付,直接調査員から調査票と一緒に回収

時  期 2008 年 6 月 30 日(月)~ 7 月 4 日(金)

相  手 NHK 調査員 450 人 外部調査機関調査員 100 人

回 収 数(率) 424 人(94.2%) 100 人(100.0%)

質問文と単純集計結果

―調査員経験―問 1 今回の調査で,何回くらいNHKの世論調査員を経験しましたか。次の中から1つだけ○をつけてください(○は1つだけ)。                (%) 本調査 実験1. 初めて ………………………………… 18.2 3.02. 2 ~ 4 回 ……………………………… 32.1 15.03. 5 ~ 9 回 ……………………………… 12.7 23.04. 10 回以上 ……………………………… 19.6 34.05. 30 回以上 ……………………………… 17.5 25.0

―調査地点までの所要時間(片道)― 問 2 自宅から調査地点に出向くために,片道どのくらいの時間がかかりましたか。次の中から1つだけ○をつけてください(○は1つだけ)。

(%) 本調査 実験1. 30 分未満 ……………………………… 26.2 28.02. 30 分~ 1 時間未満 …………………… 48.3 34.03. 1 時間~ 1 時間 30 分未満 …………… 18.2 24.04. 1 時間 30 分~ 2 時間未満 ……………… 4.7 9.05. 2 時間以上 ……………………………… 2.6 5.0

―交通手段― 〈MA〉問 3 今回,調査を担当している地域にどのような手段でいきましたか。次の中からいくつでも○をつけてください。

(%) 本調査 実験1. 電車 …………………………………… 35.6 22.02. バス …………………………………… 44.3 33.03. 自転車 …………………………………… 9.4 4.04. 徒歩 …………………………………… 27.4 20.05. 自家用自動車・バイク ……………… 48.6 58.0

(%)6. タクシー ………………………………… 0.2 0.07. その他(船・航空機など) ……………… 0.7 1.08. 無回答 …………………………………… 0.2 0.0

―調査時間―問 4 調査は何時から(自宅を最初に出た時間),何時まで(最後に帰宅した時間)かかりましたか。日にちごとに 24 時間制で記入してください。なお 6 月 30 日(月)の補完日に調査を行った場合は時間を記入し,行わなかった場合には最下欄「6 月 30 日(月)の補完日には,調査を行わなかった」に○をつけてください。   6 月 28 日(土)出発時間 (%) 本調査 実験1. ~ 7 時台 ……………………………… 19.1 6.02. 8 時台 ………………………………… 50.7 35.03. 9 時台 ………………………………… 23.3 27.04. 10 時台 …………………………………… 3.3 11.05. 11 ~ 12 時台 …………………………… 1.2 13.06. 13 ~ 16 時台 …………………………… 1.9 7.07. 17 時台以降 ……………………………… 0.2 0.08. 無回答 …………………………………… 0.2 1.0

6 月 28 日(土)帰宅時間 (%) 本調査 実験1. ~ 11 時台 ………………………………… 0.5 0.02. 12 時台 …………………………………… 1.2 3.03. 13 ~ 15 時台 …………………………… 1.9 8.04. 16 ~ 18 時台 ………………………… 16.3 40.05. 19 ~ 20 時台 ………………………… 56.1 33.06. 21 時台 ………………………………… 17.2 13.07. 22 時台以降 ……………………………… 6.4 2.08. 無回答 …………………………………… 0.5 1.0

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170 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

6 月 29 日(日)出発時間 (%) 本調査 実験1. ~ 7 時台 ……………………………… 10.8 6.02. 8 時台 ………………………………… 36.6 27.03. 9 時台 ………………………………… 31.1 29.04. 10 時台 …………………………………… 8.0 14.05. 11 ~ 12 時台 …………………………… 6.4 9.06. 13 ~ 16 時台 …………………………… 3.5 11.07. 17 時台以降 ……………………………… 0.9   0.08. 無回答 …………………………………… 2.6 4.0

6 月 29 日(日)帰宅時間 (%) 本調査 実験1. ~ 11 時台 ………………………………… 7.1 7.02. 12 時台 …………………………………… 3.1 4.03. 13 ~ 15 時台 …………………………… 9.0 8.04. 16 ~ 18 時台 ………………………… 18.4 26.05. 19 ~ 20 時台 ………………………… 40.8 38.06. 21 時台 ………………………………… 14.2 9.07. 22 時台以降 ……………………………… 4.5 4.08. 無回答 …………………………………… 3.1 4.0

6 月 30 日(月)出発時間 (%) 本調査 実験1. ~ 7 時台 ………………………………… 3.1 2.02. 8 時台 …………………………………… 9.0 7.03. 9 時台 ………………………………… 10.6 14.04. 10 時台 …………………………………… 3.3 10.05. 11 ~ 12 時台 …………………………… 4.0 6.06. 13 ~ 16 時台 …………………………… 5.0 5.07. 17 時台以降 ……………………………… 7.3   7.08. 調査を行わなかった ………………… 49.1  49.09. 無回答 …………………………………… 8.7 0.0

6 月 30 日(月)帰宅時間 (%) 本調査 実験1. ~ 11 時台 ……………………………… 11.8  14.02. 12 時台 …………………………………… 2.4 5.03. 13 ~ 15 時台 …………………………… 5.4 6.04. 16 ~ 18 時台 …………………………… 4.2  11.05. 19 ~ 20 時台 ………………………… 12.7  11.06. 21 時台 …………………………………… 4.2   4.07. 22 時台以降 ……………………………… 0.9   0.08. 調査を行わなかった ………………… 49.1 49.09. 無回答 …………………………………… 9.2   0.0 

―調査相手人数の印象―問 5 この調査では,調査相手として 12 人を受け持っていただきましたが,この人数は 2 日間(補完日を含めると 3 日間)の調査相手として,いかがでしたか。次の中から 1 つだけ○をつけてください(○は 1 つだけ)。

(%) 本調査 実験1. 多いと思う ……………………………… 9.4 8.02. ちょうどよいと思う ………………… 84.0 76.03. 少ないと思う …………………………… 4.2 16.04. 無回答 …………………………………… 2.4   0.0 

―受け持ち地域の様子―〈MA〉問 6 受け持ち地域の様子はどうでしたか。次の中から当てはまる特徴にいくつでも○をつけてください。

(%) 本調査 実験1. 地域が広すぎて苦労した …………… 13.4 20.02. 交通の便が悪く苦労した …………… 21.9 9.03. 地図や表札がなく苦労した ………… 21.2 18.04. オートロックマンションが多く,

調査相手に会えなかった …………… 13.2 11.05. 風紀の悪い地域だった ………………… 2.1 1.06. 夜になると人通りがなくなり

怖かった ……………………………… 27.4 13.07. その他 ………………………………… 25.2   19.08. 特に困ったことはなかった ………… 29.0   39.09. 無回答 …………………………………… 1.4 0.0

―調査相手に面会できない理由―問 7 調査相手に面会できない理由として,次のA~Eのようなことを感じることはどのくらいありましたか。もっとも当てはまるものに1つだけ○をつけてください

(○はそれぞれ1つずつ)。

A. プライバシー意識の高まり(個人情報の守秘) (%) 本調査 実験1. 非常にあった …………………………… 8.3  8.02. かなりあった ………………………… 13.2 15.03. 少しはあった ………………………… 43.6 51.04. まったくなかった …………………… 31.1 22.05. 無回答 …………………………………… 3.8 4.0

B. 調査に対する不信感 (%) 本調査 実験1. 非常にあった …………………………… 8.0 5.02. かなりあった ………………………… 12.3 7.03. 少しはあった ………………………… 42.2 60.04. まったくなかった …………………… 34.2 25.05. 無回答 …………………………………… 3.3 3.0

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世論調査における調査方式の比較研究

C. 調査に対する無関心 (%) 本調査 実験1. 非常にあった ………………………… 14.2 11.02. かなりあった ………………………… 21.0 12.03. 少しはあった ………………………… 44.1 57.04. まったくなかった …………………… 17.2 17.05. 無回答 …………………………………… 3.5 3.0

D. 在宅時間の減少 (%) 本調査 実験1. 非常にあった ………………………… 30.9 29.02. かなりあった ………………………… 35.1 31.03. 少しはあった ………………………… 27.4 38.04. まったくなかった ……………………… 3.8 1.05. 無回答 …………………………………… 2.8 1.0

E. 多忙感・時間的余裕のなさ (%) 本調査 実験1. 非常にあった ………………………… 20.0 18.02. かなりあった ………………………… 31.4 21.03. 少しはあった ………………………… 36.8 50.04. まったくなかった ……………………… 8.5 9.05. 無回答 …………………………………… 3.3 2.0

―調査相手の反応―〈MA〉問 8 面接を行った際,次のようなことはありましたか。当てはまるものにいくつでも○をつけてください。 (%) 本調査 実験1. 調査相手に所要時間を伝えたら,

最初から嫌がられたり,協力を断られたりした ……………… 32.3 20.0

2. 回答リストの厚みを見て,嫌がられたり,協力を断られたりした ……… 34.4 43.0

3. 時間がかかりすぎて,途中で嫌がられたり,協力を断られたりした ……… 21.5 17.0

4. いい加減な答えをする人がいた ……… 4.2 3.05. 質問内容をなかなか理解できない     

人がいた ……………………………… 25.2 13.06. その他 ………………………………… 14.6 8.07. 特になかった ………………………… 25.9   33.08. 無回答 …………………………………… 1.7   0.0

―調査相手から嫌がられた質問―〈MA〉問 9 調査相手から怒られたり,嫌がられたりした質問がありましたか。次の中から当てはまるものについて,いくつでも○をつけてください。 (%) 本調査 実験1. 生年 ……………………………………… 0.9 1.02. 職業 ……………………………………… 4.7 5.03. 仕事の内容 …………………………… 11.6 11.04. 役職 ……………………………………… 5.9 7.05. 最終学歴 ………………………………… 8.7 10.06. 宗教や信仰 ……………………………… 6.4 5.0

7. 支持政党 ……………………………… 13.9 15.08. 結婚前の男女関係 ……………………… 5.9 2.09. 結婚の有無・家族構成 ………………… 4.7 4.010. その他 …………………………………… 4.0 3.011. 特になかった ………………………… 67.2 69.012. 無回答 …………………………………… 1.2 0.0

―調査相手からの質問・意見―〈MA〉問 10 調査相手から次のようなことを言われたり聞かれたりしましたか。当てはまるものについて,いくつでも○をつけてください。 (%) 本調査 実験1. なぜ,私の住所がわかったのか …… 21.0 27.02. なぜ,私のところにきたのか ……… 57.5 53.03. そういう問題は,難しくて

わからない …………………………… 21.2 19.04. なぜ,そのような立ち入った

ことまで聞くのか ……………………… 9.7 6.05. 答えた内容が他人に知られる

ことはないのか ……………………… 12.3 8.06. いつ放送されるのか …………………… 8.5 5.07. 協力依頼状のはがきを見ていない … 30.0 39.08. 面接以外の郵送による調査など

なら協力してもよい ………………… 11.3 5.09. 謝礼品の金額が少ない ………………… 0.0 1.010. 謝礼品の金額が多い …………………… 0.2 0.011. 謝礼品は必要ない ……………………… 3.3 0.012. その他 ………………………………… 13.4 12.013. 特に何も言われなかった …………… 16.0 22.014. 無回答 …………………………………… 1.9 0.0

―謝礼品の事前提示の効果―問 11 今回の調査では,協力依頼状の中で「ご協力の謝礼として図書カード(1000 円相当)をさしあげます」と伝えました。このことによって,調査相手から協力が得られやすかったと思いますか。 (%) 本調査 実験1. 協力が得られやすかった …………… 27.6 28.02. 少しは協力が得られやすかった …… 31.8 33.03. かえって協力が得にくかった ………… 0.2 0.04. あまり影響はなかった ……………… 38.4 39.05. 無回答 …………………………………… 1.9 0.0

そう思う理由や,このことで調査相手から言われたことがあれば,お書きになってください。 (%) 本調査 実験1. 回答あり ……………………………… 53.8 53.02. 回答なし ……………………………… 46.2 47.0

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172 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

―性別―問 12 (%) 本調査 実験1. 男性 …………………………………… 13.9 17.02. 女性 …………………………………… 85.8 83.03. 無回答 …………………………………… 0.2 0.0

―年代―問 13 (%) 本調査 実験1. 10,20 代 ………………………………… 9.2 0.02. 30 代 ……………………………………… 9.2 2.03. 40 代 …………………………………… 15.1 8.04. 50 代 …………………………………… 29.0 41.05. 60 歳以上 ……………………………… 37.3 49.06. 無回答 …………………………………… 0.2 0.0

―職業―問 14 (%) 本調査 実験1. 主婦(パートも含む) ………………… 61.6 64.02. 派遣 ……………………………………… 6.1 0.03. 勤め人・自営業など ………………… 10.8 9.04. 学生 ……………………………………… 5.7 0.05. 無職 ……………………………………… 9.2 15.06. その他 …………………………………… 6.1 12.07. 不明 ……………………………………… 0.5 0.0

―調査有効率向上につながる提案等―〈FA〉面接調査の調査有効率は,低下する傾向にあります。これまでのご経験をふまえて,調査有効率のアップにつながる方策やご提案がありましたら,ぜひお書きください。 (%) 本調査 実験1. 回答あり ……………………………… 72.9 77.02. 回答なし ……………………………… 27.1 23.0

(回答内容省略)

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世論調査における調査方式の比較研究

調査相手アンケート 調査の概要と単純集計結果

調査の概要

対象調査 本調査(面接) 実験(面接) 実験(配付) 実験(郵送)

目 的 「第 8 回・日本人の意識・2008」の本調査と実験調査が正確に行われたかどうかを確認する。

方 法郵送法:本調査,実験調査で調査票が回収できた調査相手に対し,封書でアンケートはがき

と依頼状を送付。実験(郵送)の相手には到着日によって2回に分けて発送した。

時 期2008 年 7 月 8 日 ( 火 )

~ 9 月中旬2008 年 7 月 8 日 ( 火 )

~ 9 月中旬2008年7月15日(火)

~ 9 月中旬

1回目(7 月 15 日(火)到着分まで) 2008 年 7 月 15 日(火)~ 9 月中旬2 回目(7 月 16 日(水)以降到着分) 2008 年 7 月 29 日(火)~ 9 月中旬

発送数※ 3,118 人 650 人 841 人 859 人

有効数(率) 1,889 人(60.6%) 382 人(58.8%) 525 人(62.4%) 562 人(65.4%)

※送付時は調査未完了のため,その後の点検によって有効から除外した人を含む。

質問文と単純集計結果

Ⅰ 本調査(面接)

―面接状況―問 1 あなたは,この調査で,調査員に直接お会いになりましたか(○は 1 つ)。 (%)1. 私が直接会った ………………………………… 98.72. 私は会わなかったが,家族が会った ……………1.13. 私も家族も,会わなかった ………………………0.24. 会わなかったが,電話で回答した ………………0.1

―回答方法― 問2〔問1で「1」とお答えの方に〕どのような形で調査にご協力いただきましたか(○は1つ)。 (%)1. 私が答えることを,調査員が記入した ……… 94.42. 回答はすべて,私がその場で記入した …………3.43. 調査票を置いていったので,

後で記入して返した ………………………………0.84. 調査票を置いていったので,

家族が記入して返した ……………………………0.05. 調査を断った ………………………………………0.06. 無回答 ………………………………………………0.17. 非該当〔問1で「1」以外の人〕 …………………1.3

―家族面談後の状況― 問3 〔問1で「2」とお答えの方に〕調査員とご家族が会われた後は,どうされましたか(○は 1 つ)。

(%)1. 家族が私に代わって答えた  ……………………0.62. 家族が記入して返した ……………………………0.13. 調査票を置いていったので,

後で私が記入して返した …………………………0.44. 調査員は調査しないで帰った ……………………0.15. 非該当〔問2で「2」以外の人〕 ……………… 98.9

Ⅱ 実験(面接)

―面接状況―問 1 あなたは,この調査で,調査員に直接お会いになりましたか(○は 1 つ)。 (%)1. 私が直接会った ………………………………… 99.22. 私は会わなかったが,家族が会った ……………0.53. 私も家族も,会わなかった ………………………0.04. 会わなかったが,電話で回答した ………………0.3

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174 │ NHK 放送文化研究所年報 2010

―回答方法―問2〔問1で「1」とお答えの方に〕どのような形で調査にご協力いただきましたか(○は1つ)。 (%)1. 私が答えることを,調査員が記入した ……… 94.52. 回答はすべて,私がその場で記入した …………4.73. 調査票を置いていったので,

後で記入して返した ………………………………0.04. 調査票を置いていったので,

家族が記入して返した ……………………………0.05. 調査を断った ………………………………………0.06. 非該当〔問1で「1」以外の人〕 …………………0.8

―家族面談後の状況― 問3 〔問1で「2」とお答えの方に〕調査員とご家族が会われた後は,どうされましたか(○は 1 つ)。 (%)1. 家族が私に代わって答えた ………………………0.52. 家族が記入して返した ……………………………0.03. 調査票を置いていったので,

後で私が記入して返した …………………………0.04. 調査員は調査しないで帰った ……………………0.05. 非該当〔問 1 で「2」以外の人〕 ……………… 99.5

Ⅲ 実験(配付)

―調査票の受け取り状況―問1 あなたは,この調査で,調査用紙をどのようにして受け取られましたか(○は 1 つ)。 (%)1. 私が直接受け取った …………………………… 49.32. 家族が代わりに受け取った …………………… 37.73. 郵便受けなどに置かれたものを受け取った … 12.44. 受け取っていないが,調査員に回答した ………0.65. 受け取っていないし,回答していない …………0.0

―代理記入の有無― 問2〔問1で「1~3」とお答えの方に〕どなたが,今回の調査の調査用紙に記入されましたか(○は1つ)。 (%)1. 私が,全部記入した …………………………… 94.32. 代わりの人が,一部記入した ……………………2.93. 代わりの人が,全部記入した ……………………1.94. 無回答 ………………………………………………0.45. 非該当〔問1で「1~3」以外の人〕 ……………0.6

―相談の有無―問3〔問 2 で「1,2」とお答えの方に〕どなたかと相談して記入した質問はありましたか(○は 1 つ)。 (%)1. 相談しなかった ………………………………… 85.02. 1,2問程度相談した ……………………………8.8

3. ある程度相談した …………………………………2.24. 半分以上の質問を相談した ………………………1.15. 無回答 ………………………………………………0.26. 非該当〔問2で「1.2」以外の人〕 ……………2.9

Ⅳ 実験(郵送)

―代理記入の有無―問1 どなたが,今回の調査の調査用紙に記入されましたか(○は1つ)。 (%)1. 私が,全部記入した …………………………… 90.72. 代わりの人が,一部記入した ……………………4.13. 代わりの人が,全部記入した ……………………5.2

―相談の有無―問2 〔問1で「1,2」とお答えの方に〕どなたかと相談して記入した質問はありましたか(○は 1 つ)。 (%)1. 相談しなかった ………………………………… 83.12. 1,2問程度相談した ……………………………7.73. ある程度相談した …………………………………2.84. 半分以上の質問を相談した ………………………0.75. 無回答 ………………………………………………0.56. 非該当〔問1で「1・2」以外の人〕 ……………5.2

―答えにくかった質問―〈MA〉問3 〔問1で「1,2」とお答えの方に〕今回の質問の中で,答えにくかった質問はありましたか。次の中にありましたら,お答えください(○はいくつでも)。 (%)1. 生まれ年 ……………………………………………2.02. 職業 …………………………………………………2.03. 仕事の内容 …………………………………………3.94. 役職 …………………………………………………2.35. 最終学歴 ……………………………………………3.76. 宗教や信仰 ……………………………………… 14.17. 支持政党 ………………………………………… 20.18. 結婚前の男女関係 …………………………………8.29. 結婚の有無・家族構成 ……………………………5.310. その他(具体的に) …………………………………2.811. 特になかった …………………………………… 57.312. 無回答 ………………………………………………3.013. 非該当〔問1で「1・2」以外の人〕 ……………5.2

―今回の調査についてのご意見ご要望等―〈FA〉面接,配付,郵送とも問4 (省略)

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世論調査における調査方式の比較研究

有効サンプル構成比(調査相手アンケート)

全体男 女 年 層

男性 女性 若年層(16 ~ 29 歳)

中年層(30 ~ 59 歳)

高年層(60 歳以上)

本 調 査1,889 人 807 1,082 180 833 876

100.0% 42.7 57.3 9.5 44.1 46.4

実験面接382 人 163 219 44 151 187

100.0% 42.7 57.3 11.5 39.5 49.0

実験配付525 人 239 286 52 219 254

100.0% 45.5 54.5 9.9 41.7 48.4

実験郵送562 人 257 305 67 258 237

100.0% 45.7 54.3 11.9 45.9 42.2

全体区市郡 地 域

区 市 郡 北海道・東北 関東 中部・甲

信越 近畿 中国・四国・九州

本 調 査1,889 人 441 1,215 233 219 611 393 274 392

100.0% 23.3 64.3 12.3 11.6 32.3 20.8 14.5 20.8

実験面接382 人 95 241 46 45 124 83 56 74

100.0% 24.9 63.1 12.0 11.8 32.5 21.7 14.7 19.4

実験配付525 人 122 343 60 71 167 106 74 107

100.0% 23.2 65.3 11.4 13.5 31.8 20.2 14.1 20.4

実験郵送562 人 130 353 79 73 170 104 102 113

100.0% 23.1 62.8 14.1 13.0 30.2 18.5 18.1 20.1