3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市- 59 - 3...

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- 59 - 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市 都道府県名 宮城県 市町村名 塩竃市 市町村人口 5万 8097 人 市町村面積 17.86 ㎢ 主要施設の 名称 バイオディーゼル燃料精製施 実施主体名 塩竃市団地水産加工業協同組合 原材料 (利用量 賦存量) 廃食用油 利用量:約40kℓ/月(最大)、賦存量:1,033kℓ/年 変換技術 (生産量) バイオディーゼル燃料 製造量:36kℓ/月(最大) 取組の目的 /背景 ・塩竃市団地水産加工業協同組合は、資源の有効活用と地球環境保護を目的とし て、かまぼこ等の水産加工場から排出される廃食用油からバイオディーゼル燃 料を生成するプラントを平成 18年に建設し、生産されたバイオディーゼル燃料 を市公用車や組合員の車両に給油。 取り組むき っかけとな った課題 ・水産練り製品の生産量が日本一の塩竃市では、市内の水産加工場等を中心に年 間約 700kℓの廃食用油が排出されていた。この廃食用油の有効利用を図るため、 市では地域一体となった資源循環の仕組みを構築し、バイオディーゼル燃料を 生成するプラントを国の補助を受けて建設した。同プラントは、塩釜市団地水 産加工業協同組合が運営し、平成 19 年3月から本格稼働している。 実績 (計画段階 のものは計 画値を記入) ・市内の水産加工場から、良質の廃食油を回収し、プラントでバイオディーゼル 燃料を製造。 ・総事業費:約1億3千万円(環境省「環境と経済の好循環のまちモデル事業」) ・設置場所:塩釜市団地水産加工業協同組合敷地内 ・施設能力:1,800ℓ/日 (最大)

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3 バイオディーゼル燃料

(1) 取組事例

ア 宮城県塩竃市

都道府県名 宮城県 市町村名 塩竃市

市町村人口 5万 8097 人 市町村面積 17.86 ㎢

主要施設の

名称

バイオディーゼル燃料精製施

実施主体名 塩竃市団地水産加工業協同組合

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

利用量:約 40kℓ/月( 大)、賦存量:1,033kℓ/年

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

製造量:36kℓ/月( 大)

取組の目的

/背景

・塩竃市団地水産加工業協同組合は、資源の有効活用と地球環境保護を目的とし

て、かまぼこ等の水産加工場から排出される廃食用油からバイオディーゼル燃

料を生成するプラントを平成 18 年に建設し、生産されたバイオディーゼル燃料

を市公用車や組合員の車両に給油。

取り組むき

っかけとな

った課題

・水産練り製品の生産量が日本一の塩竃市では、市内の水産加工場等を中心に年

間約 700kℓの廃食用油が排出されていた。この廃食用油の有効利用を図るため、

市では地域一体となった資源循環の仕組みを構築し、バイオディーゼル燃料を

生成するプラントを国の補助を受けて建設した。同プラントは、塩釜市団地水

産加工業協同組合が運営し、平成 19 年3月から本格稼働している。

実績

(計画段階

のものは計

画値を記入)

・市内の水産加工場から、良質の廃食油を回収し、プラントでバイオディーゼル

燃料を製造。

・総事業費:約1億3千万円(環境省「環境と経済の好循環のまちモデル事業」)

・設置場所:塩釜市団地水産加工業協同組合敷地内

・施設能力:1,800ℓ/日 ( 大)

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事業を進め

る上での課

・廃食油回収量とバイオディーゼル燃料販売量との需給バランスの調整

・原油価格下落による、軽油との競争力の低下

・グリセリンの有効活用

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・市内水産加工場等約 30 か所から廃食用油を回収

し、生成したバイオディーゼル燃料をディーゼル

車等の燃料として、会員登録制(同市及び水産業

界の同組合員で登録台数は20年4月時点で約200

台)で販売。販売価格は、市の公用車 100 円/ℓ、

団地組合員 100 円/ℓ。なお、廃食用油の回収車両

はバイオディーゼル燃料により運行。

・バイオディーゼル燃料生成事業の運営母体として、17 年 10 月に行政機関、市

民団体、水産加工業者等官民で構成する任意団体「グローバル・エコシティ塩

釜推進協議会」が設立され、普及広報の一環としてバイオディーゼル燃料のP

R及び水産加工品へ添付する専用ラベルの作成等、地域一帯となる取組を推進

し同事業をサポートしている。

直面した課

題を解決し

た工夫

・新たな販売先の新規拡大

・地域と一体となった事業の推進

大学・市民・行政・産業界の「グローバル・エコシティ塩竃推進協議会」を

設立し、組合の事業の助言、側面支援を行っている。

・バイオディーゼル燃料の啓発・普及活動の推進

事業PRのためのロゴマークの作成

中学校での手作りバイオディーゼル燃料実験

市内イベントでのPR

(エコキャンドルとクリスマスイルミネーション)

・市の基幹産業である揚げかまぼこ製造時に出る大量の廃食油を水産加工団地か

ら集中的に廃食油を回収できる点が大きな利点。

取組により

得られた効

・市内水産加工場等から大量に排出されていた廃食用油を再利用することで、二

酸化炭素削減に貢献するとともに、同加工場で製造したかまぼこ等を食べると

地球環境保護に繋がるなど商品のクリーンなイメージアップが期待できる。

・渡船でのバイオディーゼル燃料導入試験の結果、課題が克服できれば、漁船等

への利用拡大が期待できる。市は(独)水産総合研究センター水産工学研究所

より漁船漁業における二酸化炭素排出削減対策として漁船へのバイオディーゼ

ル燃料導入のための実証試験を委託した。これを受け、19 年 12 月より浦戸諸

島の野々島~桂島・石浜間の市営渡船「すずかぜ」がバイオディーゼル燃料に

より運行している。この船へのバイオディーゼル燃料導入の実証試験は、国内

初の取組として注目されている。

イルミネーションの様子

輸送トラックへの利用

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課題/展望 ・グリセリンの有効活用の研究

宮城県畜産試験場との共同研究中。宮城県の補助を受け、水産加工場のボイ

ラーにグリセリンを使うための調査研究中

・バイオディーゼル燃料の品質向上

今後も、品質基準に適合したバイオディーゼル燃料の生成を行うとともに、

採算性の向上のため一層の利用量の増加に取り組む必要があるため、原料とな

る廃食用油を油質ごとに分別の上、使用後早期に回収できるよう回収日を設定

するなど、収集方法を工夫し品質の向上に努めていく。また、生成の段階では、

メタノールの添加行程を2回行うことでさらなる品質の向上を図っていく。

その他

連絡先 電話番号:022-362-8111 FAX 番号:022-362-8112

所属部署: e-mail:[email protected]

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イ 栃木県那須町

都道府県名 栃木県 市町村名 那須町

市町村人口 2万 7689 人 市町村面積 372.31 ㎢

主要施設の

名称

なすまちバイオディーゼル

ステーション

実施主体名 那須町

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

利用量:4,520ℓ/年、賦存量:90t/年

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料化

製造量 3,940ℓ/年

取組の目的

/背景

・那須町は、平成18 年度からスタートした第6次振興計画(ハートフル那須プラ

ン)において、6つの重点政策を定めている。このうち住民アンケートにおい

て多くの意見が寄せられた「自然と共生するまちづくり」を第一目標に掲げ、

各種の施策を展開している。

・この目標を実現するためには、日常生活をはじめ、農林業、観光、商業系から

発生するバイオマスの有効利活用が重要な要素となっていたことから、行政・

住民・関係機関・関係団体が一体となった循環型社会構築を目指している。

取り組むき

っかけとな

った課題

・一般家庭での廃食用油の処理について適切な処理が必要とされていた。

・また、焼却されていた廃食用油をリサイクルすることで、地球温暖化防止に向

けた取組を進める状況にあった。(町地球温暖化防止実行計画)

・なお、バイオマスタウン構想においてもバイオディーゼル燃料化は優先的に取

り組むものとされている。

実績

(計画段階

のものは計

画 値 を 記

入)

・構想実現の第一歩としてバイオディーゼル燃料製造装置を導入(平成 20 年 11

月 20 日稼動)

・廃食用油回収先:学校・保育園給食、一般家庭、事業所等

・製 造 計 画:50ℓ/日製造

・設置費用内訳:製造装置 4,882,500 円

格納庫 1,564,500 円 計 6,447,000 円

うち農水省補助金 3,150,000 円

・製造方法:アルカリ触媒法

・使用車両: 町公用車 トラック2台

バイオディーゼルステーション

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・平成 20 年度は実証期間に位置づけしており、3月末まで 1,500ℓ程度製造し、

公用車にて試験走行を行うことにしている。

事業を進め

る上での課

・年間回収量 4,520ℓ/年のうち、学校給食等の安定仕入れ先 2,940ℓ/年を見込んで

いる。目標達成に当たっては一般家庭の協力が不可欠であることから、拠点回

収場所を公共施設のほか、町内の主要スーパーにも回収ボックスを設置し、回

収を進めている。

拠点回収場所(スーパー)

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・回収方法

学校給食・保育園:町職員の定期回収

拠 点 回 収 場 所:町廃棄物監視員の定期回収

・製造方法

那須未来株式会社(第3セクター)に装置の運転業務を委託

・製造委託料 110 円/ℓ

・那須未来株式会社における製造コストの実績(1ℓ当たり)

光熱費 4 円

薬品代 56 円

人件費 20 円

運営経費 30 円(消耗品ほか)

直面した課

題を解決し

た工夫

・製造工程中に廃水が発生しないことが製造装置選定のポイント

・手間を極力省くため、全自動タイプを導入

・寒冷地のため燃料が凍結する危険性があることから、流動点降下剤を添加し、

マイナス 30℃まで不凍処理を行った。

・バイオディーゼル燃料が軽油タンクのかすを洗い流す性状があることから、使

用2週間後に公用車の燃料フィルターの交換を行った。

・委託先の第三セクターと例月会議を行い、改善を図っている。

・庁内体制について、企画財政課・農林振興課・住民生活課スタッフにより効率

の良い運営方法を研究している。

取組により

得られた効

・現在、公用車2台に使用しており、町内各所において、目立つ公用車として評

価が高く、環境意識の向上、バイオマスのPRに大きな効果を期待している。

・廃食用油を回収することで、行政と住民が一体となった協働体制が構築される

とともに、学校給食の廃食用油を活用することによる環境教育に資する効果は

大きい。

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課題/展望 ・バイオディーゼル燃料の課題として、事業系の廃食用油を回収するためには、

産業廃棄物運搬業者に委託しなければならず、運搬費の計上は製造コストへの

影響が大きいことから、当面は学校、家庭からの廃食用油回収をメインに取り

組んでいきたい。

・菜の花プロジェクトについては、菜種油を学校給食に活用することを想定して

おり、食育に関するセクションから検討を進めていきたい。

その他

連絡先 電話番号:0287-72-6906 FAX 番号:0287-72-1133

所属部署:企画財政課 e-mail:[email protected]

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ウ 茨城県牛久市

都道府県名 茨城県 市町村名 牛久市

市町村人口 7万 9412 人 市町村面積 58.88 ㎢

主要施設の

名称

牛久市バイオディーゼル燃

料製造施設

実施主体名 牛久市

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

家庭系廃食用油:利用量 9,310ℓ/年、賦存量 9.0t/年( 10,345ℓ)

事業系廃食用油:利用量 41,982ℓ/年、賦存量 146.1t/年(167,931ℓ)

計 :利用量 51,292ℓ/年、賦存量 155.1t/年(178,276ℓ)

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

目標製造量 44,601ℓ

取組の目的

/背景

・牛久市は平成 20 年3月に、茨城県で 初のバイオマスタウンとして構想を公表

した。牛久市はNPO法人と協働で構想を策定し、遊休農地を活用した油糧作

物の栽培をはじめとして、廃食用油、食品廃棄物などの利活用により、地域循

環型社会の構築と地球温暖化防止を目指している。

取り組むき

っかけとな

った課題

・市内に点在する遊休農地対策として油糧作物なたねの栽培を開始し、その利活

用により地域循環を確立し地球温暖化を防止することを目的として、廃食用油

の変換施設であるバイオディーゼル燃料製造施設の設置に取り組む。

実績

(計画段階

のものは計

画 値 を 記

入)

・市クリーンセンター内にバイオディーゼル燃料製造施設を建設し、一般家庭及び

市内の企業や小中学校等から廃食用油を回収、バイオディーゼル燃料を製造し、

公用トラック、ごみ収集車、コミュニティバス、農業機械などでの利活用を図る。

・製造能力:200ℓ/日

・建 設 費:2,060 万円

・施設の特徴:牛久市の大部分は、水質浄化が叫ばれる霞ヶ浦流域に属すること

から、通常バイオディーゼル燃料製造で行われる水処理を行わず

排水を出さない方式の装置を採用している。

・プラント平面・立面図:建築面積 46.2 ㎡

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事業を進め

る上での課

・廃食用油を広く一般家庭から収集するに当たって、収集ポイントの整備と収集

システムの確立が課題であると同時に、製造コストを抑えるために、副産物で

あるグリセリンの処理が課題となってくる。

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・現在、市内の水質浄化を目的として活動している牛久市家庭排水浄化推進協議

会との連携により、廃食用油の回収を実施している(平成 19 年 1,947ℓ回収)。

・バイオディーゼル燃料製造コストとしては、109.22 円/ℓを見込んでいる。

・原材料費 40.08 円/ℓ ・廃油回収経費 24.65 円/ℓ ・人件費 15.00 円/ℓ ほか

直面した課

題を解決し

た工夫

・平成 21 年4月 16 日稼働し、今後、課題に直面するものと考えられる。

取組により

得られた効

・牛久市のバイオマスタウン構想は、バイオマスの有効な利活用はもとより、地

域循環型社会を構築することにより地球温暖化防止を図ることをねらいとして

おり、環境保全の施策でもある。

・また、バイオマスの利活用の過程で、課題となっている遊休農地を積極的に活

用し遊休農地を解消するとともに、行政をはじめとして農業者団体・NPO など、

地域の様々な主体が連携することにより、地域全体の活性化が期待される。

課題/展望 ・バイオマスタウン構想の施策を実行していくに当たって、 終的には行政の手

助けがなくとも自立した運営が確立されていくこと、いわゆる事業のビジネス

モデル化を狙いとしている。

その他

連絡先 電話番号:029-873-2111 FAX 番号:029-871-2260

所属部署:環境経済部環境政策課 e-mail:[email protected]

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エ 千葉県大多喜町

都道府県名 千葉県 市町村名 大多喜町

市町村人口 1万 901 人 市町村面積 129.84 ㎢

主要施設の

名称

バイオディーゼル燃料製造

施設

実施主体名 大多喜町

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

利用量 9.6kℓ/年、賦存量 38kℓ/年

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

製造量:3,000ℓ(平成 20 年4~12 月)

取組の目的

/背景

・大多喜町では、町の基本目標として掲げる「美しく快適なおおたき~地球にや

さしい快適環境のまちづくり~」を目指し、16年度に様々な地域資源について

調査・検討・評価を行い、新エネルギーの導入の指針となる地域新エネルギー

ビジョンを策定した。

・これを基に地域にある資源を活用し、環境に優しい燃料の製造や活用、酪農と

水田及び畑作経営の連携によるたい肥と粗飼料の循環利用、新しい観光振興へ

の展開、地域の森林保全などを推進するため、19 年3月にバイオマスタウン構

想を策定した。

・この取組の一つとして、家庭や公共施設(給食センター、保育園など)、事業

所から出される廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料を精製して地域を走

るいすみ鉄道などに利用している。

取り組むき

っかけとな

った課題

・CO2排出量削減に結びつく循環型社会の構築と新エネルギーへの意識の高揚、

観光振興へと展開し、資源循環型社会を目指すため、バイオディーゼル燃料製

造施設を環境センター内に整備した。

実績

(計画段階

のものは計

画 値 を 記

入)

・処理量(製造能力):100ℓ/バッチ(1バッチ7時間)

バイオディーゼル燃料精製プラント

事業を進め

る上での課

・原料となる廃食油回収量の安定的な確保や、バイオディーゼル燃料製造時に必

要になる薬品のコストの削減

・気温が下がるとバイオディーゼル燃料の性状が変化し使用できなくなる場合が

あり、いすみ鉄道では使用できない寒冷期などの利用策の確保

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・バイオディーゼル燃料混合軽油への品質管理の要求が高くなれば、新たに設備

投資が必要となることが懸念

・バイオディーゼル燃料はゴムを劣化させる性質などが、実際の使用時に確認さ

れており、車両への使用においては、改造費などの捻出が必要

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・町内に約 400 ヶ所設置してあるごみステーションの出された廃食油を委託業者

が回収し、回収された廃食油をドラム缶に溜めて静置分離して不純物を取り除

いている。また、精製したバイオディーゼル燃料についても製造後1日以上静

置させてから抽出している。

直面した課

題を解決し

た工夫

・寒冷期の利用先として、公用車への仕様を検討

・バイオディーゼル燃料精製する際に出来る副生産物であるグリセリンについて

の処理方法が課題であったが、たい肥の発酵促進剤として活用できることから

地域の酪農家で利用してもらい、副生産物についても資源循環を図っている。

取組により

得られた効

・バイオマスタウン構想で策定したプロジェクトの推進により、循環型社会の形

成、地球温暖化防止、エネルギー自給率の向上など様々な効果が期待できる。

・家庭で使用した天ぷら油を利活用し、バイオディーゼル燃料を精製し、地域を

走るいすみ鉄道に利用

・いすみ鉄道を走らせることによる、観光面における集客力の向上及び町民のま

ちづくりへの意識高揚

課題/展望 ・廃グリセリンの有効活用

・バイオディーゼル燃料製造量の増産

・廃食油回収量の安定的な確保

・廃食油の排出方法の徹底

・燃料製造コストの高騰への対応

・廃食油の回収を通じた住民の環境意識の高揚

その他

連絡先 電話番号:0470-82-2111 FAX 番号:0470-82-4461

所属部署:企画商工観光課 e-mail:[email protected]

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オ 富山県富山市

都道府県名 富山県 市町村名 富山市

市町村人口 41 万 7308 人 市町村面積 1,241.85 ㎢

主要施設の

名称

富山BDF㈱ 実施主体名 富山BDF㈱

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

事業系廃食用油:利用量 3,800ℓ/日、賦存量 1,913t/年

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

製造量 3,800ℓ/日

取組の目的

/背景

・化石燃料使用抑制に伴う地球温暖化の防止

・排ガスのクリーン化による環境にやさしい街づくり

・市民参加による資源循環型街づくりの促進

・廃食用油のゼロエミッション施設の構築

・情報発信による富山地域のイメージアップと活性化

・富山市エコタウン事業・地域コミュニティと連携

取り組むき

っかけとな

った課題

・植物系廃食用油を環境にやさしい軽油に

・廃食用油の回収・リサイクル社会構築

実績

(計画段階

のものは計

画 値 を 記

入)

・廃棄物処理業者が中心となり、廃油回収業者とプラントメーカーが共同出資に

より会社を設立

・北陸地域で小中学校や給食センター、食料品製造業の工場、飲食店、旅館・ホ

テル等からの廃食用油を回収・前処理し、バイオディーゼル燃料の製造・販売

を実施

・生産されるバイオディーゼル燃料はB100 で富山市の清掃車両、ミュージアム

バス、パッカー車、エコタウン内の重機等(120 台)で使用

・製造方法:アルカリ触媒法(湿式)

・車両用スタンドとローリー車用の一般給油所を併設

・総事業費4億 500 百万円(環境省:二酸化炭素排出抑制対策事業、富山市:富

山市エコタウン施設整備事業を活用)

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事業を進め

る上での課

・民間事業者による採算性のある事業として、また、地域ぐるみで取組む事業と

して、全国的なモデルとなるような事業を目指す。

・富山市で実施している家庭系廃食用油の回収事業が軌道に乗った場合でも十分

対応できる施設規模。

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・廃食用油の回収従事者数:4人、回収コスト:35 円/ℓ

・バイオディーゼル燃料製造従事者数:4人、製造コスト:92 円/ℓ

・ニート(B100)販売価格:120 円/ℓ+消費税

直面した課

題を解決し

た工夫

・徹底した前処理(昇温・静置・フィルターで不純物分離等、2.5 日掛けて精製)

により原料品質を確保

・フィルターによるろ過(10μm + 1μm の2段方式)により、微量不純物を除去

・冬季期間は、流動点降下剤を添加して、-10℃まで使用可能

・廃棄物(廃グリセリン、エマルジョン水、ブロー水)は、エコタウン内で隣接

するメタン発酵施設で処理することで、処分費用を軽減

・廃食用油を加熱して精製する工程で発生する臭気は、全て捕集し、消臭剤(フ

ィトンチッド)で分解消臭により万全の臭気対策を実施

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取組により

得られた効

・廃食用油の回収・リサイクル

・排気ガスのクリーン化

・代替エネルギーの生産

・ごみの減量

・下水・河川等の環境汚染防止

課題/展望 ・県内各所に、小規模なバイオディーゼル燃料製造施設が完成し、原料の廃食用

油の競合の様相を呈し、仕入価格が次第に高騰し調達に苦慮

・冬期は飽和脂肪酸が結晶しやすく、燃料系統の詰りが予想され、高額な流動点

降下剤の使用による原価上昇

・原料にパーム油等、凝固点が高い油が多く混入する場合があり、その対処方法

を模索

・廃棄物(廃グリセリン、エマルジョン水、ブロー水)について、固形燃料への

リサイクルを模索

その他

連絡先 電話番号:076-426-1313 FAX 番号:076-426-1333

所属部署:富山BDF㈱ e-mail:[email protected]

Page 14: 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市- 59 - 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市 都道府県名 宮城県 市町村名

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カ 滋賀県東近江市

都道府県名 滋賀県 市町村名 東近江市

市町村人口 11 万 4165 人 市町村面積 388.58 ㎢

主要施設の

名称

あいとうエコプラザ菜の花館 実施主体名 東近江市

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油(家庭系、学校給食)

利用量:24,600ℓ/年、賦存量:100,000ℓ/年

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

製造量:20,224ℓ/年

取組の目的

/背景

・琵琶湖の水質を保全する「せっけん運動」を契機に始まった廃食用油の回収が、

バイオディーゼル燃料への変換利用、そして菜種栽培へと発展し、1998 年に「菜

の花エコプロジェクト」としてスタートした。身近な資源循環を通して、「食と

エネルギーの地産地消」を目的に推進している。

取り組むき

っかけとな

った課題

・琵琶湖の「せっけん運動」から始まった廃食用油の利活用問題からバイオディー

ゼル燃料化に取り組む。その原料となる油脂植物として菜種の栽培に着手。身

近に実感できる資源循環の地域モデルとして「菜の花エコプロジェクト」をより

推進するため拠点施設を整備した。

実績

(計画段階

のものは計

画 値 を 記

入)

・菜種は 16.5ha で栽培。収穫した種を搾油し、学校給食や家庭で利用。市内から

発生する廃食用油(家庭・学校給食)を回収し、バイオディーゼル燃料化してバ

スや農耕機、発電機等の軽油代替燃料として利用。

・菜種栽培面積:16.5ha

・菜種収穫量:23.3t(収穫面積 13.5ha)

[施設の概要]

・製造方法:アルカリ触媒法(湿式)

・不純物の除去法:静置、フィルターによる除去

BDFプラント

菜の花館

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- 73 -

・反応:2時間、60℃

・1バッチ当たり処理量:200ℓ/回

・利用先:コミュニティバス、公用車、農耕機、発電機、助燃材等

事業を進め

る上での課

・家庭から廃食用油を回収する仕組みづくりと市民意識の向上

・栽培から燃料利用にいたる過程において、経済性を高める対策

・市民、農業者、NPO、学校、事業所、行政等の連携強化

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・ランニング費用(バイオディーゼル燃料精製にかかる費用):約 200 万円

内訳:人件費、薬品代、光熱水費、メンテナンス、減価償却費

・維持管理:施設は行政職員2名と運営の一部を委託したNPO法人3名で運営

管理を行っている。菜種の収穫・乾燥・選別作業は、NPO法人が農家から

作業請負を行っている。搾油はNPO法人が事業として実施している。

家庭から廃食油回収 なたね刈取り風景 バイオディーゼル燃料の精製過程

直面した課

題を解決し

た工夫

・農家が菜種を栽培した後の収穫・乾燥・選別作業をどこが請け負うかが課題で

あったが、NPO法人が施設の開設に合わせて設立され、そこが作業請負をす

ることで、栽培面積の拡大にもつながってきた。

・菜種の搾油業務についても、NPO法人が菜種を生産者から購入し、搾油・精

油して販売することで、コミュニティビジネスが生まれるとともに、NPO法

人が循環の一翼を担うことで、仕組みが効果的に回るようになった。

・家庭系廃食用油の回収率はまだまだ低い状況にある。これを高めるため、回収

の仕組みを作ることと合わせて、市民の意識向上を図ってきた。仕組みについ

ては、自治会回収での対応、ガソリンスタンドへの回収拠点設置、まちづくり

活動と連携した取組、小学校での取組など、多面的な回収へと広がってきた。

・バイオディーゼル燃料の活用については、市民が実感する利用を図るため、多

角的な利用を進めてきた。現在では、コミュニティバス、市公用車、農耕機、

発電機、炭化プラント、フォークリフト等に拡大している。

取組により

得られた効

・菜の花エコプロジェクトの循環過程でさまざまな波及効果を地域にもたらして

きた。

① NPO法人が循環の一翼を担うことで、地域で人・物・金が回る仕組み(コ

ミュニティビジネス)が生まれてきた。

② 化石燃料に頼る農業からエネルギーを供給する農業への展望が開けた。

③ 菜の花の開花期に観光資源となり、道の駅マーガレットステーションの売り

上げが 大 1.5 倍に伸びた。

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④ 菜種油を学校給食に導入することで、食の安全・地産地消の推進とともに、

環境学習につながった。

⑤ 軽油代替燃料として年間 22,000ℓ(19 年度)利用することで、二酸化炭素を

約 57t削減することにつながった。

⑥ 菜の花エコプロジェクトの総本山として、年間 250 組、5,100 人の視察研修を

受け入れた。

⑦ 東近江市の名前を発信するPR効果につながった。

⑧ 菜の花プロジェクトを教材にした環境学習を進めることで、市民の環境意識

の向上につながった。

課題/展望 ・廃食用油の回収を拡大するために、いかに仕組みをつくるか。

・菜種栽培の拡大に向けた、乾燥施設の整備が必要。

・バイオディーゼル燃料利用拡大に向けて、改正品確法にどのように対応してい

くか。

・自立した循環を進めるために、いかに経済性を高めるか。

その他

連絡先 電話番号:0749-46-8100 FAX 番号:0749-46-8288

所属部署:あいとうエコプラザ菜の

花館

e-mail:

[email protected]

Page 17: 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市- 59 - 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市 都道府県名 宮城県 市町村名

- 75 -

キ 京都府京都市

都道府県名 京都府 市町村名 京都市

市町村人口 138 万 6899 人 市町村面積 827.90 ㎢

主要施設の

名称

京都市廃食用油燃料化施設 実施主体名 京都市

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

利用量 1,540kℓ/年(家庭系廃食用油 180kℓ、事業系廃食用油 1,360kℓ)

賦存量 4,500kℓ/年(家庭系廃食用油 1,500kℓ、事業系廃食用油 3,000kℓ)

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

製造量 1,520kℓ/年(H20 年度)

取組の目的

/背景

・気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)の開催に先立ち、平成9年 11

月から、廃食用油から精製した環境負荷の小さいバイオディーゼル燃料の使用

を開始。

取り組むき

っかけとな

った課題

・地球温暖化防止と循環型社会構築に向け、廃食用油のリサイクル・自動車排

ガスのクリーン化・炭酸ガス削減・生きた環境教育・地域コミュニティの活

性化の観点から、家庭から出る廃食用油を回収し、環境にやさしいバイオデ

ィーゼル燃料に精製。

実績

(計画段階

のものは計

画値を記入)

・一般家庭及び食堂等の事業所から排出されるバイオマス資源である廃食用植物

油を回収し、メチルエステル(バイオデイーゼル燃料)として再生し、本市の

ごみ収集車や市バスの燃料として利活用

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・対象物の種類とその量

廃食用植物油:約5t/日

・計画規模:

バイオディーゼル燃料製造量:5,000ℓ/日

・総事業費とその財源

建設費:7億 5100 万円(プラント工事請負金額:4億 3638 万円)

財 源:国庫補助金

二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金(環境省)、

バイオマス利活用フロンティア推進事業補助金(農水省)

・バイオディーゼル燃料製造プロセス

①廃食用油受け入れ

家庭などから回収された廃食用油はドラム缶で搬入され、性状を確認した後、

原料貯蔵タンクに貯蔵

②前処理

反応を阻害する廃食用油中の夾雑物や溶解している水分を除去

③反応

廃食用油にメタノールと触媒(水酸化カリウム)を加え、メチルエステルを生

成させる。このときグリセリンが副生

④分離

比重差によりメチルエステルとグリセリンを分離

⑤メタノール回収

グリセリンを分離後、メチルエステル中に残留するメタノールを回収、再使用

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⑥温水洗浄

メチルエステル中に残留する遊離グリセリンや未反応触媒などの不純物を温

水洗浄により除去

⑦水分除去

比重差によりメチルエステルと洗浄廃水を分離する。洗浄廃水分離後、メチル

エステル中に残留する水分を加熱し除去

⑧添加剤注入

燃料の低温時の流動性を向上させるため、添加剤(低温流動性向上剤)を注入

⑨夾雑物除去

精製したメチルエステル中の夾雑物をフィルターでろ過し、不純物を高度に除

⑩貯蔵

精製したメチルエステル即ちバイオディーゼル燃料を貯蔵タンクに貯蔵する。

その際、窒素ガスで酸化を防止

[施設の概要]

・場所:京都市南部グリーンセンター構内(約 1,900 ㎡)

・製造方法:アルカリ触媒法(湿式)2段反応

・原料貯蔵タンク:容量 51,000ℓ

・前処理槽:容量 10,240ℓ、フィルター等による除去、減圧加熱乾燥

・反応分離槽:容量 10,240ℓ、反応時間 1.8 時間、60℃

・精製槽:容量 10,240ℓ

・メタノール貯蔵タンク:容量 14,500ℓ

・軽油貯蔵タンク:容量 14,500ℓ

・軽油混合機:ラインミキサー

・製品貯蔵タンク:堅型円筒、容量 57,000ℓ

・製造補機設備:ボイラー、空気圧縮機、窒素発生器、ブラインチラー、冷却塔

事業を進め

る上での課

・家庭系廃食用油の回収拠点の増加

・劣化廃食用油

・グリセリンや含油廃水の処理

・バイオディーゼル燃料の低温流動性と長期保管や使用する際の酸化及び熱安定性

・燃料フィルターや噴射ポンプなどの燃料供給系統で、一部燃料の影響によると思

われる不具合

・車両のゴムホース類や燃料配管の劣化

・バイオディーゼル燃料の品質確保

維持管理体

・家庭系廃食用油の回収拠点の設置状況:

地域に根ざした市民運動として、各地域単位で設立された市民、事業者、行政

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(維持管理

費の実績)

で構成される「地域ごみ減量推進会議」等が主体となって行っている。回収の

手順は、拠点にポリタンクを設置し、月一回の頻度で集め、市が委託した民間

業者によって回収されている。20 年度現在 1,352 か所(300 世帯に1か所)

・現在、市バス 93 台、ごみ収集車約 160 台にバイオディーゼル燃料を使用

・市バスはB20(品確法に基づく「軽油特定加工業者」に登録、「特定加工品質確

認計画」を申請し、経済産業省認定、試験研究における強制規格外のバイオ燃料

の取扱に関する特別措置として経済産業省認定)、ごみ収集車はB100 で利用

・バイオディーゼル燃料生産コスト(平成 20 年度)

廃食用油購入費: 35 円/ℓ

メタノール・触媒購入費: 11 円/ℓ

光熱水費(電気は自家発電): 3円/ℓ

品質チェック経費: 7円/ℓ

その他ランニングコスト: 41 円/ℓ

施設減価償却費: 20 円/ℓ

計: 117 円/ℓ

直面した課

題を解決し

た工夫

・家庭系廃食用油の回収拠点の増加

市民、事業者、行政の連携を強化して、回収拠点が設置されてない未設置学区

の解消に向けた取組を進めている。

・劣化廃食用油

劣化の進んだ廃食用油と比較的劣化の進んでいない廃食用油との原料段階で

の混合による均一化

・グリセリンや含油廃水の処理

グリセリンは燃焼させることにより温水又は蒸気などで熱回収して有効利用

する。含油廃水は、近隣の廃棄物処理施設のごみの熱量調整に活用する方法以

外に、グリセリンや含油廃水はメタン発酵による生ごみのバイオガス化設備に

おける原料等として利用。

・バイオディーゼル燃料の低温流動性と長期保管や使用する際の酸化及び熱安定性

流動点降下剤や酸化防止剤の添加の他に、原料段階や精製段階での飽和脂肪酸

と不飽和脂肪酸の含有比率の調整や低温化による分離

・燃料フィルターや噴射ポンプなどの燃料供給系統で、一部燃料の影響によると思

われる不具合

バイオディーゼル燃料の精製において、可能な限り不純物を除去し、燃料の純

度を上げる。

・車両のゴムホース類や燃料配管の劣化

ゴムの部分は、新車購入時にバイオディーゼル燃料に適合したフッ素系ゴムや

布巻きゴムを採用

・バイオディーゼル燃料の品質確保

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新型車両にも適用できるバイオディーゼル燃料の品質を確保するために暫定

規格(京都スタンダード)を策定した。特に、冬季低温時の影響として、流動

点と目詰点については、京都での冬季の 低気温を考慮した数値とした。また、

フィルターの目詰りや粘性を高め噴射特性にも影響を及ぼす遊離グリセリン、

未反応油等のグリセライド類については、車両影響を考慮した厳しい数値を設

取組により

得られた効

・廃食用油のリサイクル

・CO2の排出抑制

・自動車排気ガスのクリーン化

・生きた環境教育

・地域コミュニティの活性化

・河川の汚染防止

・資源作物育成による農業活性

・食料と競合しないバイオ燃料の生成

課題/展望

・バイオディーゼル燃料による地域循環システムの確立に向けては、今後技術や制

度面での更なる充実が必要である。具体的には、①バイオディーゼル燃料の品質

安定化と適合車両開発促進などのための品質規格の制定、②地域における廃食用

油の回収や燃料化施設の整備に対する支援や燃料使用に伴う税制面での優遇措

置などバイオディーゼル燃料化事業への支援制度の確立などが今後の課題

・地域のバイオマス資源の利活用や地球温暖化防止への取組が、市民・事業者・行

政の連携のもとに、より一層促進されるとともに、全国への拡大に向け取り組ん

でいく

その他

連絡先

電話番号:075-213-4930 FAX 番号:075-213-0453

所属部署:京都市環境政策局循環型社会

推進部循環企画課

e-mail: [email protected]

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ク 広島県北広島町

都道府県名 広島県 市町村名 北広島町

市町村人口 2万 413 人 市町村面積 646.24 ㎢

主要施設の

名称

NPO法人INE OASA 実施主体名 NPO法人INE OASA

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

利用量 12,000ℓ/年、

賦存量57,600ℓ/年 (平成17年度バイオマス等未活用エネルギー事業調査事業の

中での北広島町一般家庭廃食油賦存量)

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料

製造量 9,000ℓ/年

取組の目的

/背景

・INE OASA(い~ね おおあさ)は、“甦れ!おおあさ”をメインテーマに、

資源循環型リサイクルのまちづくり、農業の活性化を目指し、菜の花を観光資源

とすると共に、収穫物から得られる食用油をカスケード利用し、二酸化炭素の排

出が少ない軽油の代替燃料を作る取組を行っている。

取り組むき

っかけとな

った課題

・少子高齢化・過疎化により自己保全管理地や耕作放棄地が増加した。この耕作放

棄地を解消する必要があった。

実績

(計画段階

のものは計

画値を記入)

・「菜の花ECOプロジェクト」廃食油の回収とバイオディーゼル燃料製造販売、

「ぴゅあ菜プロジェクト」農業生産組合との連携による菜の花栽培の普及推進、

菜の花由来の商品企画及び販売、「絆(きずな)プロジェクト」地元小学校との

連携による環境学習カリキュラムの作成などを展開している。

遠心分離機(BDF 製造用)

菜の花畑

菜の花 ECO プロジェクトの概要

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・菜の花栽培面積(22 年産):3ha

・なたね収穫量及び搾油量(22 年産):収穫量2t

・処理能力 20,000ℓ/年(100ℓ/日)

・バイオディーゼル燃料販売量(20 年産):6,000ℓ

・プロジェクト延べ参加人数:約 5,000 人

事業を進め

る上での課

・製造したバイオディーゼル燃料の品質確保

・農業機械へのバイオディーゼル燃料燃料適応調査

・ナタネの収穫効率の向上

・廃食油回収の効率化

維持管理体

(維持管理

費の実績)

・菜の花栽培参加者数:農家 12 戸、一般約 100 人、栽培コスト約 30,000 円/10a

・収穫参加者数:約 50 人、収穫コスト:約 15,000 円/10a

・搾油従事者数:外注、搾油コスト:1,200 円/ℓ

・ バイオディーゼル燃料製造従事者数:4人、製造コスト:110 円/ℓ

直面した課

題を解決し

た工夫

・バイオディーゼル燃料の品質確保のため、EU規格に沿った 39 項目の品質検査

を行い、その結果を公表することで、バイオディーゼル燃料の品質確保と燃料使

用に対する不安感の解消を図る。(遠心分離機導入の購入費用を、地域住民等に

呼びかけ「菜の花募金」約 95 万円を活用)

・バイオディーゼル燃料の使用に際して不具合の発生が想定される部品の交換

・ナタネの収穫作業にあたり、農機具メーカーから地域社会貢献(CSR)として

新型汎用コンバインの貸与を受けた。

・廃食油回収の効率化を図るため資源回収(古紙、缶、ペットボトルなど)と合わ

せて廃食油回収を地元住民と行う。

取組により

得られた効

・地元団体との協力による廃食油回収量の拡大

・菜の花を活用した観光開発、特産品(ぴゅあ菜米など)の開発

・非農家との協力による菜の花の作付面積の拡大(耕作放棄地の減少)

・菜の花栽培、バイオディーゼル燃料製造・利用体験による環境学習の推進

課題/展望

・バイオディーゼル燃料の品質確保法への対応

・菜の花作付面積の拡大

・菜の花に続き、地域に豊富に存在する竹を利活用した地域活性

・地域全体で環境保全型農業へ取組地球温暖化対策

その他

連絡先 電話番号:0826-82-3950 FAX 番号:0826-82-3688

所属部署:NPO 法人 INE OASA e-mail:[email protected]

ナタネ播種作業 地元小学校への出前講座 燃料精製プラント見学

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ケ 福岡県久留米市

都道府県名 福岡県 市町村名 久留米市

市町村人口 30 万 3233 人 市町村面積 229.84 ㎢

主要施設の

名称

バイオディーゼル燃料製造工

実施主体名 ㈱フチガミ

原材料

(利用量

賦存量)

廃食用油

利用量 35,000ℓ/月、 大 680kℓ/年

変換技術

(生産量)

バイオディーゼル燃料化

製造量 31,000/月

取組の目的

/背景

・「地球温暖化防止への取組」、「廃食用油のリサイクル」を目的に、資源循環型

社会の実現を目指し、その一翼を担おうと「CO2削減」をテーマに推進して

いる。

取り組むき

っかけとな

った課題

・廃食用油(鉱物油)のリサイクルについては会社設立後まもなく(1983 年)に手

懸け、廃食用油のリサイクルは 14・15 年前から考えていたところ、3年ほど前

に日本廃棄物管理センターより新製造技術(非水洗)によるプラント建設の相

談があり、吟味したところ高品質のバイオディーゼル燃料製造が可能と判断。

・農林水産省「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」に公募し、採択された。

実績

(計画段階

のものは計

画 値 を 記

入)

・廃食用油は当初提携先(すかいらーく、プリマハム)、飲食店、工場等の食堂

などから回収

・処理能力 600kℓ/年(2,000ℓ/日)( 大)

・バイオディーゼル燃料は、B100 を企業3社、B5を企業6社、個人4名に販売

・廃食用油回収:

サンプル → 成分分析 → 原料として使用の良否 → 良のみ回収

・バイオディーゼル燃料製造:アルカリ触媒法(乾式)

原料タンク → 製造プラント(自社分析6項目後良を)

→ 貯蔵タンク(B100) → 給油地下タンク(B100) → 給油

(分析:酸化値、水分、動粘度、密度、メタノール、脂肪酸メチルエステル)

・B5製造:

貯蔵タンク(B100、軽油) → ブレンドタンク → 貯蔵タンク(B5)

→ 給油地下タンク(B5) → 給油

製造プラント

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概観図

システムフロー図

事業を進め

る上での課

・廃食用油(原料)不足

安定供給するにはまとまった量の回収先が必要である。そのためには外食、

スーパーを中心に重点営業を展開する。

・原料価格

CO2削減量証明書の発行等、排出事業者に価格とは違うプラス面をアピー

ルし、原料価格を抑える。

・B100 使用による車両不具合の発生

従来よりいわれている部材の劣化に対しては、定期的なチェック・取替えで

対応、再生制御装置DPRについては産総研と対応策を検討中。

・B5使用による車両不具合の発生

現在のところ発生はなし。

・20 年度製造量(1月まで):B100 227kℓ、 B5 167kℓ

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維持管理体

(維持管理

費の実績)

・1月平均販売価格: B100 120 円/ℓ、 B5 103 円/ℓ

給 油

直面した課

題を解決し

た工夫

・廃食用油回収不足:

平成 20 年度前半は廃油買取値の高騰による原料不足、後半に入り原油価格

の急激な下落・景気の落ち込み等により、循環型社会構築の一環(CO2削

減)としてグループ内の物流部門へのバイオディーゼル燃料使用を考えられ

ていた大口の排出事業者からの検討保留による原料不足のため、飲食店等の

小刻みな営業展開を図る。それにより徐々にではあるが回収量も増えてきて

いる。

取組により

得られた効

・従来廃棄、焼却されて水質汚染、大気汚染の原因の一つ思われる廃食用油が

石けんの材料・飼料への混合等と同様にリサイクル用途への一つとして選択

幅が広がる。

・ディーゼルエンジンの燃料として使用することによるCO2削減(2.62 ㎏/ℓ)

への効果がある。

・周辺地域を含めた関係者の地球温暖化防止(CO2削減)への認識が高まって

きている。

・バイオディーゼル燃料製造の実例を紹介することにより、学校の環境に関す

る教育(リサイクル・環境バイオマス等)の一環としての効果が得られる。

課題/展望 ・ランニングコストの低減:

廃食用油の大口排出事業者からの安定した供給確保によるプラントの稼働

率UP、製造原価部分の仕入れ値等の見直しが上げられる。

・バイオディーゼル燃料(B5)の販売拡大:

バイオディーゼル燃料(B100)使用に関して車両不具合がメーカー、車種

等で色々出現し、特に新長期排出ガス規制対策車以降の車両に関して対応が

難しくなって来ている。エンジンの載せ換え等のトラブルになるようであれ

ば相当の出費を覚悟しなければならない。「CO2削減」をテーマにバイオ

ディーゼル燃料を使用するのであれば、B5で貢献できると考える。例えば

B100 を車両1台(1人)1,000ℓ/月使用したとすれば、B5を使用するこ

とにより車両 20 台(20 人)/月で同じ量の「CO2削減」したことになり、

単純に考えると「地球温暖化防止」への認識が 20 倍になる。これは非常に

重要なことで「地球温暖化防止」を1人で普及努力するより 20 人で行った

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ほうが広範囲に早く普及すると考える。

・バイオディーゼル燃料(B5)の販売単価:

B5を販促するにはどうしてもネックがある、それは軽油価格に製造原価が

掛かるのでどうしても販売単価が高くなる。特に今のような不景気時は「C

O2削減」より、「経費節減」が優先する。B5を販促する一つの方策とし

て軽油引取税の減免措置を取ることにより販売拡大に繋がるので、施策とし

て要望していく。

その他

連絡先 電話番号:0942-38-5283 FAX 番号:0942-38-5484

所属部署:総務課 e-mail:narahashi@fuchigami/co.jp

Page 28: 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市- 59 - 3 バイオディーゼル燃料 (1) 取組事例 ア 宮城県塩竃市 都道府県名 宮城県 市町村名

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(2) 取組の課題解決策と効果

ア 背景

① 廃棄物(廃食用油)の適正処理

② 化石原料に依存しない燃料エネルギーの確保

③ 国産バイオ燃料の拡大

④ 菜の花プロジェクトの充実

⑤ 見える化としての製品利用:自治体などの環境活動取組のひとつ

イ 取組上の課題

① 原料の量と品質確保

② 原料の安定数量確保

③ 燃料性状の品質確保

④ 軽油混和利用時にかかる課税

⑤ 副生成物及び排水の処理

⑤ コスト=事業(収益)性の確保

⑥ 原料収集時の法規制(廃掃法)

⑦ 新長期車両への対応

ウ 課題の解決方策

① 資源作物

② 自治体との一体化による役割分担(原料収集、変換技術、製品利用)

③ 車両以外の利用推進(農機、林業機械など、農林漁業用途ほか)

④ スケールメリットの追求

⑤ 軽油引取税の減免措置

エ 効果

① バイオマスタウン構想を公表している市町村(平成 22 年3月末現在 268 市町村)のうち、214

市町村(80%)において、バイオディーゼル燃料に取り組む又は取組予定

② 住民参加のバイオマスタウンの実現(見える化、環境学習)

③ 廃棄物の適正処理

④ 化石原料の低減

⑤ 温室効果化ガスの低減

⑥ 農林漁業の活性化