3)成績の分析と考察 (1)...

46
3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間 第Ⅲ相試験(28 週)におけるタクロリムス群及びプラセボ群の有害事象(副作用)の初回発現まで の期間を更に検討するため,全有害事象(副作用),随伴症状(副作用),感染症(副作用),臨床検査 値異常変動(副作用)についてそれぞれの Kaplan-Meier プロットを図 2.7.4-1に示した。 タクロリムス群では,プラセボ群に比べ随伴症状(副作用)及び臨床検査値異常変動(副作用)でや や立ち上がりが早く,この影響は全有害事象(副作用)の発現時期にも反映されていた。一方,感染 症(副作用)では3ヵ月以降にやや差を認めるが,立ち上がりは緩やかでプラセボ群と差を認めなか った。全体的にみて,タクロリムス群の副作用は3ヵ月頃までに大半が発現し,プラセボ群でも同 様の傾向であった。 -26- 2.7.4 臨床的安全性の概要

Upload: others

Post on 23-Feb-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

3)成績の分析と考察

(1) 副作用発現までの期間

第Ⅲ相試験(28 週)におけるタクロリムス群及びプラセボ群の有害事象(副作用)の初回発現まで

の期間を更に検討するため,全有害事象(副作用),随伴症状(副作用),感染症(副作用),臨床検査

値異常変動(副作用)についてそれぞれの Kaplan-Meier プロットを図 2.7.4-1に示した。

タクロリムス群では,プラセボ群に比べ随伴症状(副作用)及び臨床検査値異常変動(副作用)でや

や立ち上がりが早く,この影響は全有害事象(副作用)の発現時期にも反映されていた。一方,感染

症(副作用)では3ヵ月以降にやや差を認めるが,立ち上がりは緩やかでプラセボ群と差を認めなか

った。全体的にみて,タクロリムス群の副作用は3ヵ月頃までに大半が発現し,プラセボ群でも同

様の傾向であった。

-26-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 2: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

全有害事象(副作用)

感染症(副作用)

随伴症状(副作用)

累積発現率

累積発現率

累積発現率

累積発現率

臨床検査値異常変動(副作用)

図2.7.4-1 副作用のKaplan-Meierプロット

( :タクロリムス群, :プラセボ群)

-27-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 3: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

(2) 発現率の高い副作用と予防策に関する検討

ループス腎炎を対象とした治験では,関節リウマチを対象とした治験と同様,胃腸障害,腎障害,

耐糖能障害及び感染症などの副作用が比較的多かった。関節リウマチの承認審査では,これら副作

用の発現機序の説明と副作用予防の方策が求められていることから,関節リウマチの承認審査時に

回答した内容も含め, それぞれの副作用について検討した。

なお,胃腸障害,腎障害,耐糖能障害については,2.7.4.5 特別な患者集団及び状況下におけ

る安全性(p.43)において患者背景因子別の副作用発現率を検討している。

ⅰ. 胃腸障害

第Ⅲ相試験(28 週)でみられた胃腸障害発現例(タクロリムス群8例,プラセボ群5例)の

Kaplan-Meier プロットを図 2.7.4-2に示した。

タクロリムス群では,プラセボ群よりも立ち上がりが早く,1ヵ月頃には大半が発現したが,5

ヵ月以降にも発現例を認めた。一方,プラセボ群では3週頃までにほとんどが発現した。

イヌを用いた検討では,タクロリムスやタクロリムスと同じマクロライド系構造を有するエリス

ロマイシンは,いずれも結腸から空腸にかけて腸管収縮を起こすことから,胃腸障害(腹部膨満,

悪心,嘔吐等)は,腸管運動,すなわちぜん動運動異常に起因すると考えられる。また,イヌにア

トロピンを前処置しておくとタクロリムスやエリスロマイシンを投与しても胃腸障害は発現しな

いことから,作用発現には副交感神経の関与が示唆されている。なお,下痢については,タクロリ

ムスの免疫抑制作用により,感染に対する消化管局所での免疫能が低下し,それに伴う細菌による

下痢の可能性も考えられる。

胃腸障害を予防する方策としては,胃腸障害の増悪に十分注意すること,症状によっては投与を

中止することがあげられる。また,「使用上の注意」の「重大な副作用」の項に記載しているよう

に,感染が疑われる場合は,減量・休薬,抗生物質の投与等の適切な処置を行う。

累積発現率

図 2.7.4-2 胃腸障害(副作用)の Kaplan-Meier プロット

( :タクロリムス群, :プラセボ群)

-28-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 4: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

ⅱ. 腎障害

タクロリムスによる腎障害の発現機序及び「使用上の注意」における対策については,クレアチ

ニンクリアランスの低下について詳細を検討した「2.7.3 臨床的有効性の概要」の項(p.81~95)で

示したとおりである。本稿では,他の腎機能パラメータも含めた分析を行った。

まず,タクロリムスによって障害を受けると考えられている尿細管又は血管(糸球体)と変動する

腎機能パラメータとの関係を表2.7.4-22に示した。

血清クレアチニン増加,BUN(血中尿素)増加及び血清β2ミクログロブリン増加には糸球体の機能

変化が,血清カリウム増加,血清マグネシウム減少,NAG増加は尿細管の機能変化がそれぞれ関与

していると考えられている。

表 2.7.4-22 腎機能検査値異常と障害部位

腎機能検査値異常変動 考えられる

障害部位

血清クレアチニン増加 糸球体

BUN 増加 糸球体

血清β2ミクログロブリン増加 糸球体

血清カリウム増加 尿細管

血清マグネシウム減少 尿細管

NAG 増加 尿細管

第Ⅲ相試験(28週)でみられた腎障害発現例(タクロリムス群11例,プラセボ群12例)のKaplan

-Meierプロットを図2.7.4-3に示した。集計に用いたのは,尿中白血球陽性,尿中赤血球陽性,

血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

少,血中尿酸増加,β2ミクログロブリン増加,尿中蛋白陽性,NAG増加,尿中β2ミクログロブリン

増加及び尿沈渣異常などを発現した症例である。

タクロリムス群では,プラセボ群よりも立ち上がりが早く,6週頃までに過半数が発現した後,

20 週以降にも発現例を認めた。なお,タクロリムス群とプラセボ群の発現率には大差はなかった。

累積発現率

図 2.7.4-3 腎障害(副作用)の Kaplan-Meier プロット

( :タクロリムス群, :プラセボ群)

-29-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 5: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

ⅲ. 耐糖能障害

第Ⅲ相試験(28 週)のタクロリムス群で発現した耐糖能障害として,血中ブドウ糖増加 14.2%

(4/28 例),尿中ブドウ糖陽性 10.7%(3/28 例),グリコヘモグロビリン増加 7.1%(2/28 例)など

があり,程度はいずれも軽度~中等度であった。

非臨床試験では,タクロリムスの耐糖能障害は,膵β細胞でのインスリン mRNA の転写障害に基

づくインスリン含量の低下により引き起こされると考えられている。この非臨床でみられる耐糖能

障害は,臨床の場合と同様,用量依存的でかつ休薬によって回復する可逆的な所見である。

耐糖能障害を予防する方策としては,「使用上の注意」の「重要な基本的事項」に記載している

ように,頻回に臨床検査(血液検査,空腹時血糖,アミラーゼ,尿糖等)を行うなど患者の状態を十

分に観察すること,特に投与初期にはその発現に十分注意することがあげられる。また,この副作

用は休薬により回復するので,検査値異常がみられた場合には投与を中止する。

ⅳ. 感染症

タクロリムスの薬理作用から,タクロリムスによる易感染性は,全身性の免疫抑制によるものと

考えられる。

感染症の予防あるいは治療する方策としては,「使用上の注意」の「重大な副作用」の項に記載

しているように, 感染があらわれた場合は,減量・休薬,抗生物質の投与等の適切な処置を行うこ

とがあげられる。

以上のとおり,ループス腎炎でみられる副作用の種類は,関節リウマチや移植領域などでみられ

るものと同じであり,副作用を予防するための方策として既に各種注意事項を「使用上の注意」に

記載している。また,関節リウマチへの適応拡大の審査過程で説明した医療現場における適正使用

推進のための情報収集・評価や情報提供を可能とする社内体制は既に確立している。この体制の下,

ループス腎炎への適応拡大を行うことから,市販後の安全対策に問題はないと考える。

2.7.4.2.1.2 死亡

全4試験において,タクロリムスが投与された症例に死亡例は認めなかったが,第Ⅲ相試験(28

週)のプラセボ群では1例が急性心不全のため死亡した。

2.7.4.2.1.3 その他の重篤な有害事象

1)重篤な有害事象

全試験における重篤な有害事象を表 2.7.4-23~26 に示した。なお,これらの詳細については,

第5部の 5.3.5.1-1,5.3.5.2-1,5.3.5.2-2,5.3.5.2-3.1 (各々12.3)及び 2.7.6 個々の試験の該

当ページに示した。

-30-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 6: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

第Ⅲ相試験(28 週)において,重篤と判定された有害事象はタクロリムス群に4例4件,プラセ

ボ群に3例8件認めた。タクロリムス群における4件の内訳は,急性心筋梗塞2件,感染性腸炎1

件,蜂巣炎1件であり,感染性腸炎以外はすべて副作用と判定された。急性心筋梗塞2例のうち1

例(症例 13-01)の重篤度は,「死亡につながるおそれのあるもの」,他の1例(症例 33-01)では,「治

療のために入院又は入院期間の延長が必要となるもの」であり,いずれも処置として治験薬の投与

が中止され,適切な対症療法により回復した。この2例の副作用発現時又は発現直近の血中濃度は,

それぞれ 9.9 ng/mL,3.6 ng/mL と高くはなかった。感染性腸炎1例及び蜂巣炎1例の重篤度は,「治

療のために入院又は入院期間の延長が必要となるもの」で,治験薬投与が継続され,いずれも回復し

ている。

第Ⅱ相試験(28 週及び 28 週以降最長 104 週)では,7例 13 件に重篤な有害事象がみられた。13

件の内訳は,細菌性胃腸炎,腸炎,耐糖能障害,血中ブドウ糖増加,グリコヘモグロビン増加,

フルクトサミン増加,尿中ブドウ糖陽性,くも膜下出血,腹痛,嘔吐,上気道の炎症,気管支肺

炎,喉頭気管気管支炎の各1件であった。同一症例に発現した耐糖能障害,血中ブドウ糖増加,

グリコヘモグロビン増加,フルクトサミン増加,尿中ブドウ糖陽性の1例(症例 13)及び腸炎の1

例(症例 10)では,治験薬による副作用と判定された。また,同一症例に発現した細菌性胃腸炎,

喉頭気管気管支炎の1例(症例 09),同様に腹痛,嘔吐の1例(症例 03),上気道の炎症の1例(症

例 06),気管支肺炎の1例(症例 08)では,それぞれ治験薬との因果関係は否定された。なお,く

も膜下出血の1例(症例 19)では活動性の SLE に合併した血管炎に伴うものと考えられたことから,

因果関係は否定されている。

これら有害事象の重篤度判定として,耐糖能障害,血中ブドウ糖増加,グリコヘモグロビン増

加,フルクトサミン増加,尿中ブドウ糖陽性を発現した1例(症例 13)では,入院加療を要するま

で悪化し,意識低下を伴う糖尿病性ケトアシドーシスに至ったことから「死亡につながるおそれの

あるもの」と判定された。また,細菌性胃腸炎,腸炎,くも膜下出血では「治療のために入院又は

入院期間の延長が必要となるもの」と判定された。一方,腹痛,嘔吐,上気道の炎症,気管支肺炎,

喉頭気管気管支炎では,それぞれ症状の程度から入院を必要とする程のものではなく,重篤でな

いと治験責任医師は判定した。しかし,治験依頼者は,いずれも入院加療を受けた事実を踏まえ,

全例を重篤と判断した。

処置として,腹痛,嘔吐の1例及び気管支肺炎,喉頭気管気管支炎の各1例では投与継続,細

菌性胃腸炎,腸炎及び上気道の炎症の各1例では休薬,他の2例では治験薬の投与が中止され,

いずれも消失又は回復している。なお,いずれの症例においても血中濃度は 3.6~5.8 ng/mL と高

くはなかった。

第Ⅲ相試験(28 週以降)では,5例9件に重篤な有害事象を認め,このうち4例5件は第Ⅲ相の

比較試験でプラセボ群であった症例にみられた。5例9件の内訳は,急性ストレス反応・過量投与

の1例2件,感染性腸炎,血中クレアチニン増加,尿中蛋白陽性の各1例1件,全身性エリテマト

ーデス・血中アルブミン減少・総蛋白減少・尿中蛋白陽性の1例4件であり,いずれも重篤度判定

-31-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 7: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

では,「治療のために入院又は入院期間の延長が必要となるもの」と判定された。このうち,副作用

と判定されたのは,感染性腸炎及び血中クレアチニン増加の各1例であり,いずれも投与中止後に

回復している。

以上のとおり,重篤な有害事象(副作用)は全4試験で7例に認められたが,いずれも適切な処置

により消失又は回復した。また,いずれも既知の事象であり,これらの副作用に関する注意事項は

「使用上の注意」に記載済みである。

表 2.7.4-23 重篤な有害事象-第Ⅲ相試験(28 週) ①タクロリムス群

処置 症例 番号

有害事象 程度 重篤度 治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰 治験薬との 因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

13-01 急性心筋梗塞 高度 死亡につながる

おそれ 中止

【167】あり 168 202 回復 可能性あり

9.9 [168]

17-01 感染性腸炎 中等度 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 22 36 回復 なし 4.3 [22]

33-01 急性心筋梗塞 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止 【102】

あり 105 135 回復 可能性あり 3.6 [85]

38-01 蜂巣炎 中等度 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 70 85 回復 可能性あり 2.0 [57]

1) 発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

【 】:治験薬の最終投与日(日目)

[ ] :血中濃度測定日(日目)

②プラセボ群 処置 症例

番号 有害事象 程度 重篤度

治験薬 その他発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰 治験薬との 因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

06-02 急性心不全 <突然死

(急性心不全の疑)>高度 死亡

中止 【21】

なし 22 22 死亡 可能性あり -

細菌性膣炎 中等度 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 91 147 回復 可能性あり - 15-01

クラミジア性骨盤内炎症性疾患

中等度 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 101 147 回復 可能性あり -

ループス腎炎 <原疾患(ル フー゚ス腎炎)の悪化(全身浮腫)>

高度 入院・入院期間の延長が必要

中止 【29】

あり 27 56 回復 可能性あり -

胸水 中等度 入院・入院期間の延長が必要

中止後発現

あり 30 50 回復 可能性あり -

心嚢液貯留 中等度 入院・入院期間の延長が必要

中止後発現

あり 30 50 回復 可能性あり -

血中アルブミン減少

中等度 入院・入院期間の延長が必要

中止後発現

あり 30 65 回復 可能性あり -

16-02

尿中蛋白陽性 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止後発現

あり 30 56 回復 可能性あり -

1) 発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

< > :治験責任/分担医師の記載用語

【 】:治験薬の最終投与日(日目)

-32-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 8: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-24 重篤な有害事象-第Ⅱ相試験(28 週)

処置 症例 番号

有害事象 程度 重篤度 治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰治験薬との 因果関係

直前の投与量 (mg/日)

血中濃度1)

(ng/mL)

09 細菌性胃腸炎 中等度 入院・入院期間の延長が必要

休薬 あり 143 145 消失 なし 3.0 -

耐糖能障害 高度 死亡につながる

おそれ 中止 あり 32 176 消失 あり 3.0

5.8 [32]

血中ブドウ糖増加 高度 死亡につながる

おそれ 中止 あり 32 92 回復 あり 3.0

5.8 [32]

グリコヘモグロビン 増加

高度 死亡につながる

おそれ 中止 あり 32 176 回復 あり 3.0

5.8 [32]

フルクトサミン増加 高度 死亡につながる

おそれ 中止 あり 46 92 回復 あり 3.0

5.5 [46]

13

尿中ブドウ糖陽性 高度 死亡につながる

おそれ 中止 あり 32 155 回復 あり 3.0

5.8 [32]

19 くも膜下出血 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止 あり 7 78 消失 多分なし 3.0 -

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) [ ]:測定日

表 2.7.4-25 重篤な有害事象-第Ⅱ相試験(28 週以降最長 104 週)

重篤度 処置 症例 番号

有害事象 程度 医師判定 依頼者判定 治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰 治験薬との 因果関係

直前の投与量(mg/日)

血中濃度1)

(ng/mL)

10 腸炎 高度 入院・入院期間 の延長が必要

入院・入院期間の延長が必要

休薬 あり 656 701 消失 多分あり 3.0 3.6 [642]

腹痛 中等度 重篤でない 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 242 253 消失 多分なし 3.0 3.4 [225]03

嘔吐 中等度 重篤でない 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 242 253 消失 多分なし 3.0 3.4 [225]

06 上気道の 炎症

中等度 重篤でない 入院・入院期間の延長が必要

休薬 あり 606 614 消失 多分なし 4.0 2.6 [582]

08 気管支肺炎 軽度 重篤でない 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 520 527 消失 なし 4.0 3.3 [502]

09 喉頭気管 気管支炎

中等度 重篤でない 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 558 561 消失 なし 3.0 3.7 [547]

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) [ ]:測定日

表 2.7.4-26 重篤な有害事象-第Ⅲ相試験(28 週以降)

処置 前試験の 薬剤群

症例 番号

有害事象 程度 重篤度 治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰治験薬との 因果関係

直前の投与量(mg/日)

血中濃度1)

(ng/mL)

急性ストレス反応 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【417】

あり 409 507 回復 なし 2.0 3.4

[393]01 過量投与

<過量服用(レンドルミン)> 高度

入院・入院期間の延長が必要

中止【417】

あり 417 417 回復 なし 2.0 3.4

[414]

09 感染性腸炎 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【175】

あり 146 210 回復多分 あり

3.0 6.5

[141]

16 血中クレアチニン増加 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【56】

あり 15 95 回復可能性 あり

3.0 1.3

[15]

プラセボ群

18 尿中蛋白陽性 中等度 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 30 59 回復 なし 3.0 11

[30]

全身性エリテマトー デ ス 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 12 60 軽快 なし 3.0 ―

血中アルブミン減少 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 15 59 回復せず

なし 3.0 3.0

[15]

総蛋白減少 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 15 59 回復せず

なし 3.0 3.0

[15]

タクロリムス群

39

尿中蛋白陽性 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 35 50 回復 なし 3.0 3.0

[15]1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目),

< > :治験責任/分担医師の記載用語 [ ]:血中濃度測定日(日目)

-33-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 9: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4 臨床的安全性の概要

- 34 -

2)急性心筋梗塞に関する検討

心筋梗塞については現在,タクロリムス経口製剤の使用上の注意の「重要な基本的注意」及び「重

大な副作用」の項に以下のとおり記載している。

2.重要な基本的注意

(4)本剤投与中に心不全,不整脈,心筋梗塞,狭心症,心筋障害(心機能低下,壁肥厚を含む)等が

認められている(「副作用」の項参照)ので,使用に際しては心電図,心エコー,胸部X線検査

を行うなど患者の状態をよく観察すること.

4.副作用

(1)重大な副作用

2)心不全,不整脈,心筋梗塞,狭心症,心膜液貯留,心筋障害

心筋障害(ST-T 変化,心機能低下,心内腔拡大,壁肥厚等)(5~15%未満),また心不全,心室

性あるいは上室性の不整脈,心筋梗塞,狭心症,心膜液貯留(各5%未満)があらわれることがあ

るので,使用に際しては心電図,心エコー,胸部X線検査を行うなど患者の状態をよく観察し,異

常が認められた場合には,減量・休薬等の適切な処置を行うこと.

以上のとおり,心筋梗塞はタクロリムスの既知の副作用として知られている。

今回,第Ⅲ相試験(28 週)では,重篤な副作用として急性心筋梗塞が2例に報告されたが,ルー

プス腎炎の基礎疾患である SLE では高脂血症,高血圧症など,冠動脈疾患の危険因子とされている

疾患を合併する場合が多いとされている。このため,これらの危険因子について調査し,「使用上

の注意」にさらに記載すべき事項がないかを検討した。

まず,急性心筋梗塞を発現した2例の詳細を表 2.7.4-27(1)~27(2)に示した。

表 2.7.4-27(1) 症例 13-01

項目 症例 13-01

性別/年齢 男性/4 歳

身長/体重/BMI 167.8cm/62.3kg/22.1

SLE 罹病期間/ループス腎炎罹病期間 7.3 年/7.3 年

腎生検(腎生検実施日) びまん性増殖型(Ⅳ型)(19 /4/25)

合併症等 高血圧症(120-160/70-100),高脂血症,高尿酸血症,頭痛,喫煙歴あり,

虚血性心疾患の家族歴あり

ECG(投与前) 異常(Flat T,LVH)

胸部X線(投与前) 正常範囲内

心筋梗塞発現日(治験薬投与後日数)

/回復日(治験薬投与後日数) 168 日目/202 日目

FK506 平均血中濃度

(投与後8~16 時間の採血) 5.23ng/mL

ステロイド投与量 10mg/日(プレドニゾロン)

担当医コメント

PTCA,STENT留置実施。高血圧家系,MIの家族歴あり,ステロイドの長期投与

等ハイリスクな患者ではあるが,治験薬との関連がないと言い切ることは難

しいことから,可能性ありと判断する。

安全性検討委員会コメント

心電図においても左室肥大が認められおり,患者背景から,心疾患発症のリ

スクの高い患者であったと思われるため,このような高リスクの患者は血圧

のコントロールを含め,慎重な観察を行うよう注意が必要である。

-34-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 10: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-27(2) 症例 33-01

症例13-01及び症例33-01の各担当医のコメント及び安全性委員会でのコメントでも指摘されて

いるように,いずれの症例も冠動脈疾患のリスクファクターを有していた。SLE 患者における狭心

症や心筋梗塞の発現率が 5.5%(28/507 例)であったとする報告参考文献1)もあることから,冠動脈疾

患の危険因子を明らかにし,このような危険因子を有する患者が第Ⅲ相試験(28 週)にどの程度含

まれていたかを以下に検討した。

表 2.7.4-28 に冠動脈疾患のリスクファクターとこれを有する患者の割合を示した。

該当する症例の割合が高かったのは高脂血症で,ほとんどの症例が該当した。次いで,高血圧症,

抗リン脂質抗体症候群,喫煙歴などのリスクファクターで割合が高かった。また,ハイリスクファ

クターとして4項目以上のリスクファクターを有する症例も 14%近く含まれ,冠動脈疾患を発現

する危険性の高い患者が含まれていたと考えられる。

表 2.7.4-28 冠動脈疾患のリスクファクターと該当する症例の割合

リスクファクター 全例 タクロリムス群

1)年齢

男性 45 歳以上 女性 55 歳以上 14/63 例(22.2%) 7/28 例(25.0%)

2)高血圧症

開始時血圧 140/90 or 合併症あり or 投与後血圧上昇

あり

30/63 例(47.6%) 12/28 例(42.9%)

3)糖尿病

投与開始後 FBS≧110 or BS≧200 or HbA1c≧5.9% 7/63 例(11.1%) 4/28 例(14.3%)

4)高脂血症

投与開始時 T-Cho≧220 or TG≧150 or 投与後検査値↑

あり

60/63 例(95.2%) 27/28 例(96.4%)

5)抗リン脂質抗体症候群(APS) 7/20 例(35.0%) 4/10 例(40.0%)

6)虚血性心疾患の家族歴 3/17 例(17.6%) 2/ 9 例(22.2%)

7)喫煙歴 12/26 例(46.2%) 4/11 例(36.4%)

8)肥満 開始時 BMI≧25 14/63 例(22.2%) 6/28 例(21.4%)

上記リスクファクターが 4項目以上該当する症例 9/63 例(14.3%) 4/28 例(14.3%)

※母数は調査可能であった症例数

項目 症例 33-01

性別/年齢 男性/3 歳

身長/体重/BMI 168cm/83.5kg/29.6

SLE 罹病期間/ループス腎炎罹病期間 7 年/7.3 年

腎生検(腎生検実施日) びまん性増殖型(Ⅳ型)(19 /4/17)

合併症等 抗リン脂質抗体症候群,高脂血症(喫煙歴不明,虚血性心疾患の家族歴不明)

ECG(投与前) 正常範囲内(PACs)

胸部X線(投与前) 正常範囲内

心筋梗塞発現日(治験薬投与後日数)

/回復日(治験薬投与後日数) 105 日目/135 日目

FK506 平均血中濃度

(投与後8~16 時間の採血) 3.70ng/mL

ステロイド投与量 12.5mg/日(プレドニゾロン)

担当医コメント

33 歳と若年であり,高脂血症以外のリスクファクターなく CAG 所見から血栓

性閉塞が考えられたことから,AMI は抗リン脂質抗体症候群の関与が疑われる

が,タクロリムス投与との関連も否定できない。

安全性検討委員会コメント

コレステロールが高く,168cm,83.5kg といった体型からも代謝性疾患が疑わ

れるため,リスクファクターのコントロールを行うとともに慎重に経過観察

すること

-35-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 11: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

以上のとおり,これまでタクロリムスの適応となった疾患とは異なり,ループス腎炎の基礎疾患

である SLE では冠動脈疾患の危険因子とされている疾患を合併する場合が多いことから,「使用上

の注意」にさらに注意喚起が必要と考える。

したがって,「重要な基本的注意」の(5)項に「なお,ループス腎炎患者では,その基礎疾患で

ある全身性エリテマトーデスにおいて冠動脈疾患の危険因子とされている高脂血症,高血圧症等の

疾患を合併する場合が多いことから,それらの疾患の適切な治療を進めながら本剤を投与するこ

と。」と追記することにした。

2.7.4.2.1.4 その他の重要な有害事象

治験薬の中止,休薬,減量又は対症療法を要した有害事象のうち,重篤な有害事象を除く事象を

「その他の重要な有害事象(以下,重要な有害事象)」とした。これらの詳細については,第5部の

5.3.5.1-1,5.3.5.2-1,5.3.5.2-2,5.3.5.2-3,5.3.5.2-3.1 (各々12.3)及び 5.3.5.2-2.1 に示し

た。以下に第Ⅲ相試験(28 週)における重要な有害事象の発現状況を示したが,その他の試験につ

いては,重要な有害事象のうち副作用(以下,重要な副作用)のために治験薬の投与が中止されたも

のについて提示した。

第Ⅲ相試験(28 週)では,重要な随伴症状(全事象)はタクロリムス群で 28 例中 19 例(67.9%)に

30 件(のべ 32 件),プラセボ群で 35 例中 18 例(51.4%)に 35 件(のべ 38 件)みられ,重要な感染症

(全事象)はタクロリムス群で 13 例(46.4%)に 19 件(のべ 21 件),プラセボ群で 16 例(45.7%)に

24 件(のべ 28 件)みられた。また,重要な臨床検査値異常変動(全事象)はタクロリムス群で5例

(17.9%)に 17 件,プラセボ群で4例(11.4%)に 12 件みられた。

重要な随伴症状(副作用)はタクロリムス群で28例中 12例(42.9%)に 16件,プラセボ群で35例

中 11 例(31.4%)に 15 件(のべ 16 件)みられ,重要な感染症(副作用)はタクロリムス群で 10 例

(35.7%)に 12 件(のべ 13 件),プラセボ群で 12 例(34.3%)に 18 件(のべ 21 件)みられた。重要な

臨床検査値異常変動(副作用)はタクロリムス群で5例(17.9%)に 17 件,プラセボ群で2例

(5.7%)に9件みられた。

重要な有害事象のうち,治験薬の投与中止に至った随伴症状は,タクロリムス群で2例2件(薬

疹,発疹),プラセボ群で1例1件(スティーブンス・ジョンソン症候群),治験薬の投与中止に至

った臨床検査値異常変動はタクロリムス群で1例1件(血中ブドウ糖増加),プラセボ群で1例2

件(血中尿素増加,血中クレアチニン増加)にみられた(表 2.7.4-29,30)。両群ともに,治験薬の

投与中止に至った感染症はみられなかった。治験薬の投与中止に至った有害事象は,いずれも治

験薬の副作用と判定され,治験薬の投与中止後に回復した。

第Ⅱ相試験(28 週)では,重要な随伴症状(副作用)が2例2件(胸痛,下痢)にみられたが,いず

れも投与中止により消失又は回復した(表 2.7.4-31)。第Ⅱ相試験(28 週以降最長 104 週)では,重

要な副作用のために治験薬の投与が中止されたものはなかった。第Ⅱ相試験(104 週以降)では,重

要な感染症(副作用)が1例1件(鼻咽頭炎),重要な臨床検査値異常変動(副作用)が1例1件(グリ

-36-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 12: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

コヘモグロビン増加)にみられ,投与中止により鼻咽頭炎は消失したが,グリコヘモグロビン増加

は回復しなかった(表 2.7.4-32)。

第Ⅲ相試験(28 週以降)では,重要な随伴症状(副作用)が6例 10 件にみられ,2例2件(口内炎,

リンパ球百分率減少)を除き,投与中止によりすべて回復した。なお,口内炎は軽快,リンパ球百

分率減少は回復しなかった(表 2.7.4-33)。

表 2.7.4-29 随伴症状(副作用)のために中止に至った事象-第Ⅲ相試験(28 週)

①タクロリムス群

処置 症例

番号 有害事象 程度

治験薬 その他

発現日

(日目)

転帰日

(日目)転帰

治験薬との

因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

06-01 薬疹 軽度 中止

【70】 なし 69 92 回復 可能性あり

4.4

[64]

32-02 発疹 高度 中止

【6】 あり 4 22 回復 可能性あり -

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

【 】:治験薬の最終投与日(日目)

[ ] :血中濃度測定日(日目)

②プラセボ群

処置 症例

番号 有害事象 程度

治験薬 その他

発現日

(日目)

転帰日

(日目)転帰

治験薬との

因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

25-01 スティーブンス・

ジョンソン症候群 高度

中止

【56】 なし 36 116 回復 多分あり -

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

【 】:治験薬の最終投与日(日目)

表 2.7.4-30 臨床検査値異常変動(副作用)のために中止に至った事象-第Ⅲ相試験(28 週)

①タクロリムス群

処置 症例

番号 有害事象 程度

治験薬 その他

発現日

(日目)

転帰日

(日目)転帰

治験薬との

因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

28-03 血中ブドウ糖増加 中等度 中止

【35】 なし 29 36 回復 あり

2.4

[29]

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

【 】:治験薬の最終投与日(日目)

[ ] :血中濃度測定日(日目)

②プラセボ群

処置 症例

番号 有害事象 程度

治験薬 その他

発現日

(日目)

転帰日

(日目)転帰

治験薬との

因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

血中尿素増加 中等度 中止

【84】 なし 15 133 回復 多分あり -

04-01

血中クレアチニン増加 中等度 中止

【84】 なし 15 166 回復 多分あり -

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

【 】:治験薬の最終投与日(日目)

-37-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 13: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-31 副作用のために中止に至った事象-第Ⅱ相試験(28 週)

処置 症例

番号 有害事象 程度 重篤度

治験薬 その他

発現日

(日目)

転帰日

(日目)転帰

治験薬との

因果関係

観察期間

(日)

血中濃度1)

(ng/mL)

05 胸痛 軽度 not serious 中止 なし 5 50 消失 あり 14 -

11 下痢 高度 not serious 中止 あり 114 168 消失 多分あり 139 3.8

[112]

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

[ ]:測定日

表 2.7.4-32 副作用のために中止に至った事象-第Ⅱ相試験(104 週以降)

処置 症例

番号 有害事象] 程度 重篤度

治験薬 その他

発現日

(日目)

転帰日

(日目)転帰

治験薬との

因果関係

観察期間

(日)

血中濃度1)

(ng/mL)

10 鼻咽頭炎 高度 not serious 中止 あり 195 293 消失 可能性あり 283 1.9

[172]

03 グリコヘモグロビン

増加 中等度 not serious 中止 あり 1212 1352

回復

せず可能性あり 1316 -

1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

[ ]:測定日

表 2.7.4-33 副作用のために中止に至った事象-第Ⅲ相試験(28 週以降)

処置 前試験の 薬剤群

症例 番号

有害事象 程度治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰 治験薬との因果関係

直前の投与量 (mg/日)

血中濃度 1)

(ng/mL)

01 血中クレアチニン増加 高度中止

【417】なし 393 419 回復 なし 2.0

3.4 [393]

08 口内炎 中等度中止

【311】あり 106 368 軽快

可能性 あり

3.0 6.2

[85]

09 リンパ球百分率減少 高度中止

【175】なし 42 337

回復せず

多分 あり

3.0 5.5

[42]

頭痛 高度中止【13】

あり 13 43 回復多分 あり

3.0 ― 25

高血圧 中等度中止【13】

あり 13 29 回復多分 あり

3.0 ―

下痢 中等度中止【13】

なし 2 25 回復 あり 3.0 ―

血中クレアチニン増加 中等度中止【13】

なし 8 60 回復 あり 3.0 ―

β2ミクログロブリン増加 中等度中止【13】

なし 8 60 回復 あり 3.0 ―

プラセボ群

40

尿中β2ミクログロブリン増加 中等度中止【13】

なし 8 21 回復 あり 3.0 ―

タクロリムス群 06 過量投与

<過量服用> 高度

中止【212】

あり 212 219 回復可能性 あり

3.0 3.9

[210]1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目),[ ]:血中濃度測定日(日目)

以上のとおり,治験薬の投与中止を要した有害事象(副作用)が認められたが,そのほとんどは投

与中止により回復していることから,可逆性の副作用であると考えられた。

-38-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 14: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4(参考)臨床的安全性の概要

-38-1-

2.7.4.2.1.3 (参考)その他の重篤な有害事象(20 年 月カットオフ)

20 年 月 日提出の改訂 CTD では,継続試験2試験の 20 年 月までのカットオフデータ

を提示した。今回,20 年 月のカットオフデータが得られたことから,これらを含めて,下記に

示すとおり,その成績を「2.7.4.2.1.3 その他の重篤な有害事象 1)重篤な有害事象」に反映し

た(該当箇所を一部抜粋)。

第Ⅱ相試験(104 週以降)は現在も継続中であり,20 年 月 日提出の改訂 CTD では,本治験

に参加した9例の 20 年 月のカットオフデータに加え,その後も継続投与された4例の 20 年

月のカットオフデータを提示した。今回,この4例の 20 年 月のカットオフデータが得られ

たが,新たな重篤有害事象はみられなかった。

第Ⅲ相試験(28 週以降)は現在も継続中であり,20 年 月 日提出の改訂 CTD では,本治験に

登録された 41 例のうち,20 年 月にカットオフした 29 例{第Ⅲ相(28 週)比較試験時のタクロ

リムス群 13 例,プラセボ群 16 例}の中間集計成績を示した。今回,20 年 月にカットオフし

た 41 例{第Ⅲ相(28 週)比較試験時のタクロリムス群 18 例,プラセボ群 23 例}で,新たに2例で

2件(胃腸炎,ループス腎炎)の重篤有害事象(副作用)が認められた。

2.7.4.2.1.3 その他の重篤な有害事象

1)重篤な有害事象

第Ⅲ相試験(28 週以降)における重篤な有害事象を表 2.7.4-参7に示した。

第Ⅲ相試験(28 週以降)では,7例 11 件に重篤な有害事象を認め,このうち4例5件は第Ⅲ相の

比較試験でプラセボ群であった症例にみられた。7例 11 件の内訳は,急性ストレス反応・過量投

与の1例2件,感染性腸炎,血中クレアチニン増加,尿中蛋白陽性,胃腸炎,ループス腎炎の各1

例1件,全身性エリテマトーデス・血中アルブミン減少・総蛋白減少・尿中蛋白陽性の1例4件で

あり,いずれも重篤度判定では,「治療のために入院又は入院期間の延長が必要となるもの」と判定

された。このうち,副作用と判定されたのは,感染性腸炎,血中クレアチニン増加,胃腸炎,ルー

プス腎炎の各1例であり,いずれも投与中止もしくは休薬後に回復している。なお,ループス腎炎

の症例は,第Ⅲ相試験(28 週)から第Ⅲ相試験(28 週以降)に移行するまでのタクロリムス非投

与期間に原疾患が悪化したもので,その後も悪化を抑えられず,副作用と判定された。

また,これらの事象はいずれも既知の事象であり,これらの副作用に関する注意事項は「使用上

の注意」に記載済みである。

-38-1-

2.7.4(参考)臨床的安全性の概要

Page 15: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4(参考)臨床的安全性の概要

-38-2-

表 2.7.4-参7 重篤な有害事象-第Ⅲ相試験(28 週以降)

処置 前試験の 薬剤群

症例 番号

有害事象 程度 重篤度 治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰治験薬との 因果関係

直前の投与量(mg/日)

血中濃度1)

(ng/mL)

急性ストレス反応 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【417】

あり 409 507 回復 なし 2.0 3.4

[393]01 過量投与

<過量服用(レンドルミン)> 高度

入院・入院期間の延長が必要

中止【417】

あり 417 417 回復 なし 2.0 3.4

[414]

09 感染性腸炎 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【175】

あり 146 210 回復多分 あり

3.0 6.5

[141]

16 血中クレアチニン増加 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【56】

あり 15 95 回復可能性 あり

3.0 1.3

[15]

プラセボ群

18 尿中蛋白陽性 中等度 入院・入院期間の延長が必要

継続 あり 30 59 回復 なし 3.0 11

[30]

15 胃腸炎 中等度 入院・入院期間の延長が必要

休薬【357】

あり 358 382 回復可能性 あり

2.0 1.8

[351]

33 ループス腎炎

<ループス腎炎の悪化>中等度

入院・入院期間の延長が必要

中止【283】

あり 252 388 回復可能性 あり

3.0 1.6

[246]

全身性エリテマトー デ ス 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 12 60 軽快 なし 3.0 ―

血中アルブミン減少 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 15 59 回復せず

なし 3.0 3.0

[15]

総蛋白減少 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 15 59 回復せず

なし 3.0 3.0

[15]

タクロリムス群

39

尿中蛋白陽性 高度 入院・入院期間の延長が必要

中止【37】

あり 35 50 回復 なし 3.0 3.0

[15]1) 発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) < >:治験責任/分担医師の記載用語 【 】:治験薬の最終投与日(日目),[ ]:血中濃度測定日(日目)

-38-2-

2.7.4(参考)臨床的安全性の概要

Page 16: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4.2.1.5 器官別又は症候群別有害事象の解析

全4試験で安全性の解析対象となった 65 例の随伴症状(副作用)の重症度別発現状況をみると,

胃腸障害が 21 例 35 件(32.3%)と器官別では最も高い発現率を示した(表 2.7.4-10)。程度は1件

を除き軽度又は中等度であり,最も頻度の高い症状は下痢7件で,次いで胃炎5件,腹痛,悪心が

各4件であった。感染症(副作用)として集計された胃腸障害は3例4件(4.6%)あり,このうち1

件の程度は高度であった。胃腸障害に次いで発現率が高かったのは,神経系障害9例 10 件(13.8%)

で,皮膚及び皮下組織障害は8例 11 件(12.3%)にみられた。このうち,程度が高度であったのは

神経系障害の1件(頭痛)と皮膚及び皮下組織障害の1件(発疹)であった。

2.7.4.2.2 個別有害事象の文章による説明

個別有害事象の文章による説明については,第5部の 5.3.5.1-1,5.3.5.2-1,5.3.5.2-2,

5.3.5.2-3.1 (各々12.3.2)に示したが,重篤な有害事象については因果関係の有無にかかわらず,

「2.7.6 個々の試験のまとめ」の該当ページに記載した。

2.7.4.3 臨床検査値の評価

全4試験における臨床検査値異常変動(副作用)の発現状況(表 2.7.4-18)をみると,検査例数の

少ないものもあるが,発現率が最も高かったのは, 尿中β2 ミクログロビリン増加 27.3%(12/44

例)であり,次いで NAG 増加 22.2%(14/63 例),尿中白血球陽性 20.0%(4/20 例),血中尿酸増加

14.1%(9/64 例),血中クレアチニン増加 12.5%(8/64 例), 血中ブドウ糖増加の 10.9%(7/64

例),白血球数増加 10.9%(7/64 例)などの順であった。その他5%以上の発現率であったものは,

ヘモグロビン減少,リンパ球百分率減少,AST 増加,γ-GTP 増加,血中尿素増加,β2ミクログロ

ビリン増加,グリコヘモグロビン増加,血中トリグリセリド増加,尿中ブドウ糖陽性,尿沈渣異常,

腎クレアチニンクリアランス減少などであった。

各試験の臨床検査値の統計量の推移については,第5部の 5.3.5.1-1,5.3.5.2-1,5.3.5.2-2,

5.3.5.2-3,5.3.5.2-3.1 (各々12.4.2)及び 5.3.5.2-2.1 に示した。

第Ⅲ相試験(28 週)では,タクロリムス群の血糖(BS)及びグリコアルブミンで増加傾向,血中マ

グネシウムで減少傾向がみられたが,全4試験でみても臨床的に問題と考えられる変動はなかった

(2.7.4.7 付録 図 2.7.4-4)。なお,1日尿蛋白量,血清クレアチニン,腎クレアチニン・クリ

アランス,尿中赤血球数は有効性評価項目であることから,その推移については 2.7.3 臨床的有効

性の概要の項に示したが,腎クレアチニン・クリアランスが減少した症例のうち有害事象に取り上

げられた3例について,異常変動を示した他の検査所見も含め表 2.7.4-34 に示した。

腎クレアチニン・クリアランス減少の発現期間中に,症例 05-01 ではβ2ミクログロブリン増加

が,症例 11-03 では血中クレアチニン増加及び血中マグネシウム減少がみられた。また,腎クレ

アチニン・クリアランス減少の発現以前に,症例11-03では血中尿酸増加が,症例38-01では NAG

増加がみられていた。各症例における血中濃度は 2.8~9.6ng/mL と 10 ng/mL 未満であり,高くは

-39-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 17: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

なかった。腎クレアチニン・クリアランスの減少について,因果関係が「可能性あり」とされたの

は3例中2例であり,すべての有害事象は回復した。なお,副作用と判定された2例における異常

検査値の追跡値を表 2.7.4-35 に示した。また,因果関係が否定された1例は,「併発している歯

髄炎により十分な飲食が摂取できなかったことが影響したものと考えられ,歯髄炎の回復により

CCr の改善傾向を認めること」とされた。なお,併発した歯髄炎は,CCr 異常変動発現の3日前に発

現し,CCr が回復した前日に回復している。

表 2.7.4-34 腎クレアチニン・クリアランス減少例の腎機能に関連する臨床検査値異常変動

処置 症例 番号

腎機能に関連する 臨床検査値異常変動

程度 治験薬 その他

発現日(日目)

転帰日(日目)

転帰 治験薬との 因果関係

血中濃度 1)

(ng/mL)

β2ミクログロブリン増加 軽度 中止 なし 148 211 回復 可能性あり 4.4 05-01

腎クレアチニン・クリアランス減少 軽度 中止後 発現

なし 183 239 回復 可能性あり 3.6

血中尿酸増加 軽度 継続 なし 15 61 回復 なし 3.8 腎クレアチニン・クリアランス減少 軽度 継続 なし 97 141 回復 なし 9.6

血中クレアチニン増加 軽度 継続 なし 97 118 回復 なし 9.6 11-03

血中マグネシウム減少 軽度 中止 なし 97 161 回復 可能性あり 9.6 NAG増加 軽度 継続 なし 12 57 回復 可能性あり 5.8

38-01 腎クレアチニン・クリアランス減少 軽度

終了後 発現

なし 194 232 回復 可能性あり 2.8

1) 発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1)

表 2.7.4-35 副作用と判定された症例の追跡値

症例 項目 投与前 12 週後 28 週後 追跡値 因果関係

CCr(mL/分) 201.3 - 29.2 184.5(投与終了後 58 日) 可能性あり 5-1

血中β2MG(mg/L) 1.9 2.2 2.6 2.2(投与終了後 30 日) 可能性あり

CCr(mL/分) 43.96 56.94 31.81 83.8(投与終了後 40 日) 可能性あり 38-1

尿中 NAG(U/L) 14.3 17.8 4.5 可能性あり

第Ⅲ相試験(28 週)では,上述した3例を除く 19 例にも CCr の低下がみられていた。いずれも因

果関係は否定されており,その変動パターンの内訳をみると,7例は基準値の範囲内の変動,3例

は基準外(上限超え)から,CCr が低下し最終時で基準値の範囲内となった症例で,残る9例では,

基準範囲内又は基準外から基準外(下限超え)への低下を示した。この9例において,臨床検査値

異常変動と判断されなかった理由をみると,基準値下限に対して低下の程度が小さいこと,他の腎

機能パラメータに影響がなく臨床的に問題がないこと,当該患者における変動の範囲内又はループ

ス腎炎による変動の範囲内と考えられることなどが挙げられていた。また,19 例の転帰について

は,全例についてそれを確認できていないが,第Ⅲ相試験(継続試験)へ移行し,転帰が確認できて

いる 11 例については以下のとおりであった。まず,基準値範囲内で推移している症例が8例,比

較試験開始時に基準値外(低値)で,さらに低下したが,第Ⅲ相試験(継続試験)の投与中に比較試

験開始時と同程度まで上昇した症例が1例,第Ⅲ相試験(継続試験)開始時に基準値範囲内となり,

その後基準外(上限超え)の上昇がみられた症例が1例,第Ⅲ相試験(継続試験)投与開始後に若干の

低下がみられたものの,その後の更なる悪化はみられない症例が1例であった。なお,比較試験終

了後の転帰が確認できていない症例が9例あるが,これらの症例は,最終時がほぼ基準値の範囲内

-40-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 18: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

であった4例,ループス腎炎の変動範囲内とされた1例,治験開始前から低値であり異常変動とさ

れなかった1例,低下の程度が軽微であった1例,最終時で 25.7%低下しているもののその前日

では 8.9%の低下と大きくふれている1例,その低下が臨床検査値異常変動とされていない1例(た

だし,比較試験最終時に回復と判断されている)であった。

-41-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 19: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4.4 バイタルサイン,身体的所見及び安全性に関連する他の観察項目

各試験ともバイタルサインとして,血圧及び体重を観察し,心電図検査を実施した。

第Ⅲ相試験(28 週)のタクロリムス群及びプラセボ群では,血圧及び体重はほぼ安定した推移を

示した。血圧で異常変動がみられた症例は,タクロリムス群 28 例中3例(10.7%),プラセボ群 34

例中4例(11.8%)であった。これらの症例では,「血圧上昇」又は「高血圧」として有害事象(随伴症

状)に取り上げられた。体重で異常変動がみられた症例は,プラセボ群の 34 例中2例(5.9%)であ

った。この2例では,「体重増加」として有害事象(随伴症状)に取り上げられた。心電図検査で異

常変動がみられた症例は,タクロリムス群の 28 例中3例(10.7%)であった。これら3例のうち,

1例では血圧上昇と急性心筋梗塞,他の1例では急性心筋梗塞がそれぞれ発現しており,心電図

検査での異常変動はこれらの事象によるものであった。胸部X線検査で異常変動が認められた症

例は,タクロリムス群 27 例中1例(3.7%),プラセボ群 33 例中1例(3.0%)であった。タクロリム

ス群の1例では,前述のとおり「急性心筋梗塞」が発現しており,これに伴う異常であった。プラ

セボ群の1例では,原疾患が悪化して低アルブミン血症が発現し,これに伴う浸出性胸水心嚢液

貯留(「胸水」及び「心嚢液貯留」)に起因した異常であった。

心エコー検査はタクロリムス群6例,プラセボ群4例で実施された。このうち,前述の「急性心

筋梗塞」が発現したタクロリムス群の2例,前述の「胸水」及び「心嚢液貯留」が発現したプラセボ群

の1例では異常所見がみられた。脳 CT 検査はタクロリムス群1例,脳 MRI 検査はタクロリムス群

2例,プラセボ群1例で実施され,いずれの検査結果も正常範囲内と判定された。

第Ⅱ相試験では,28 週試験で高血圧(白衣高血圧)1例,体重増加1例を,104 週までの継続試験

では,高血圧又は高血圧悪化3例及び体重増加1例を認めた。これらの症例では,いずれも随伴症

状発現例として取り上げられた。また,第Ⅱ相試験(104 週以降)では,心電図検査で異常変動を1

例に認めたが,自覚症状はなく,その後の経過観察でも明らかな心疾患を認めなかった。

また,第Ⅱ相試験(28 週)では,1例に脳 CT 検査及び MRI 検査で異常所見を認めた。本例は,重

篤な有害事象と判定されたくも膜下出血発現例であり,投与開始8日目の頭痛,嘔気,下痢発現後

の脳 CT 検査及び MRI 検査でくも膜下出血と診断されている。本例の詳細な臨床経過については,

「2.7.6 個々の試験のまとめ」の該当ページに示したが,本事象は活動性の SLE に合併した血管炎

に伴うくも膜下出血と診断され,報告医は本剤との因果関係を「なし」と判定している。第Ⅱ相試験

(28 週以降最長 104 週)及び第Ⅱ相試験(104 週以降)の継続試験では,心エコー,胸部X線検査及び

MRI 検査が実施された症例で臨床的に問題となる異常所見は認めなかった。

第Ⅲ相試験(28 週以降)では3例の血圧に異常変動がみられ,いずれも「高血圧」として随伴症

状に取り上げられた。また,心電図に異常変動が認められた1例は,「心電図異常」として随伴症状

に取り上げられた。その他,胸部X線検査,心エコー検査,脳 CT 検査,脳 MRI 検査及び便潜血検

査が実施された症例が数例あったが,有害事象として取り上げられた異常所見は認めなかった。

上記試験における検査値の統計量の推移については,第5部の 5.3.5.1-1,5.3.5.2-1,5.3.5.2-2,

5.3.5.2-3,5.3.5.2-3.1 (各々12.5)に示した。

-42-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 20: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4.5 特別な患者集団及び状況下における安全性

2.7.4.5.1 内因性要因

本剤の安全性に及ぼす外因性要因は少ないため,判り易さを考慮し内因性要因に加え外因性要因

についても本項でまとめて検討することにした。本剤の安全性に及ぼす内因性及び外因性要因の影

響を検討するため,65 例の全副作用並びに発現率が比較的高かった副作用として胃腸障害,腎障

害及び耐糖能障害を取り上げ,患者背景因子別にその発現率を検討した(表 2.7.4-36)。

全 65 例での副作用発現率では,調査例数が 10 例未満の少ない層を除いて患者背景因子別にみる

と,発現率に大きな差は認めなかったが,体重の増加,ループス腎炎及び SLE 罹病期間の長期化に

伴って発現率が高くなる傾向にあった。

次に,調査例数が 10 例以上ある層で因子間に 20%以上の差がみられた患者背景を中心に,胃腸

障害,腎障害及び耐糖能障害の因子別発現率を検討した。

胃腸障害(副作用)の発現率は,体重 50kg 未満,SLE 罹病期間 10 年以上,1日尿蛋白量 1.0g 以

上 3.5g 未満,C3 84mg/dL 以上,抗 dsDNA 抗体 10U/mL 以上 30U/mL 以下,ステロイド投与量 20mg/

日以上 30mg/日未満の各層で 42.9~62.5%を示し,やや高い傾向にあった。

腎障害(副作用)の発現率は,年齢 30~49 歳,ループス腎炎罹病期間 10 年以上,SLE 罹病期間 10

年以上,1日尿蛋白量 3.5g 以上,クレアチニンクリアランス 50mL/分以上 70mL/分未満の各層で

60.0~68.2%を示し,やや高い傾向にあった。ただし,1日尿蛋白量 0.3g 以上1g 未満で 71.4%

(調査例数7例)等,評価例数が現時点で少ない層もあり,本結果は,現時点では評価例数も少な

いため,明らかに特定の患者層で腎障害の発現率が高いことを示すものとは考えられなかった。ま

た,本剤の腎障害に関連する副作用のうち,既承認領域において特に発現率が高いことが示されて

いる腎機能異常(血清クレアチニン上昇,BUN 上昇),電解質異常(Cl 上昇,Mg 低下,K 上昇)に

ついても患者背景因子別に層別分析を行なった。その結果,特定の患者層で発現率が高いことは示

されなかった(表 2.7.4-37)。

耐糖能障害(副作用)の発現率では,10 例以上ある層で因子間に 20%以上の差がみられたものは

なかった。

なお,胃腸障害,腎障害及び耐糖能障害ともステロイド投与量が増加するに伴って発現率が高く

なる傾向にあり,ループス腎炎罹病期間や SLE 罹病期間においても長期化に伴って同様の傾向を示

すものがみられたが,少ない症例数での集計結果であることが影響している可能性も否定できなか

った。

-43-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 21: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-36 患者背景因子別の副作用発現状況合算(胃腸障害,腎障害及び耐糖能障害)

主な副作用症状

調査 例数 2)

全65例の副作用発現例数

副作用による中止例数 胃腸障害 腎障害 耐糖能障害

男 8(7) 7(87.5) 4(50.0) 1(12.5) 3(42.9) 1(12.5)性別

女 57 48(84.2) 12(21.1) 20(35.1) 28(49.1) 7(12.3)

~29 21(20) 16(76.2) 4(19.0) 6(28.6) 6(30.0) 1(4.8)

30~49 40 36(90.0) 12(30.0) 13(32.5) 24(60.0) 7(17.5)年齢(歳)

50~ 4 3 2 1

<50 23 18(78.3) 5(21.7) 10(43.5) 12(52.2) 3(13.0)

50≦~<60 23(22) 19(82.6) 6(26.1) 3(13.0) 10(45.5) 2(8.7)体重(kg)

60≦ 19 18(94.7) 5(26.3) 8(42.1) 9(47.4) 3(15.8)

<5 20 14(70.0) 3(15.0) 6(30.0) 7(35.0) 1(5.0)

5≦~<10 22 20(90.9) 4(18.2) 6(27.3) 9(40.9) 2(9.1)ループス腎炎 罹病期間(年)

10≦~ 23(22) 21(91.3) 9(39.1) 9(39.1) 15(68.2) 5(21.7)

≦19 18(17) 15(83.3) 6(33.3) 8(44.4) 8(47.1) 1(5.6)発症年齢(歳)

20≦ 47 40(85.1) 10(21.3) 13(27.7) 23(48.9) 7(14.9)

<5 12 8(66.7) 2(16.7) 3(25.0) 2(16.7) 1(8.3)

5≦~<10 21 17(81.0) 4(19.0) 4(19.0) 8(38.1) 1(4.8)SLE 罹病期間(年)

10≦ 32(31) 30(93.8) 10(31.3) 14(43.8) 21(67.7) 6(18.8)

正常糸球体(Ⅰ型)

メサンギウム型(Ⅱ型) 1 1 1 1

巣状分節状型(Ⅲ型) 2 1 1

びまん性増殖型(Ⅳ型) 3

膜性型(Ⅴ型) 6 6(100.0) 1(16.7) 4(66.7) 1(16.7) 1(16.7)

硬化型(Ⅵ型)

腎生検/所見 (WHO 分類) (1 年以内)

その他1) 53(52) 47(88.7) 14(26.4) 17(32.1) 29(55.8) 6(11.3)

<0.3 2 1 1

0.3≦~<1.0 7 5(71.4) 2(28.6) 1(14.3) 5(71.4) 1(14.3)

1.0≦~<3.5 38 34(89.5) 6(15.8) 17(44.7) 15(39.5) 4(10.5)

1 日蛋白量値 (g/日)

3.5≦ 17 14(82.4) 6(35.3) 3(17.6) 11(64.7) 3(17.6)

<0.7 35 30(85.7) 8(22.9) 15(42.9) 16(45.7) 4(11.4)

0.7≦~<1.0 21 19(90.5) 5(23.8) 6(28.6) 12(57.1) 3(14.3)

1.0≦~<1.3 5 2(40.0) 2(40.0) 1(20.0) 血清クレアチニン値(mg/dL)

1.3≦ 3 3 2 1

<60 15 13(86.7) 5(33.3) 4(26.7) 8(53.3) 4(26.7)

60≦~<72 22 18(81.8) 8(36.4) 8(36.4) 10(45.5) 2(9.1)

72≦ <84 14 11(78.6) 3(21.4) 8(57.1) 2(14.3)免疫/C3(mg/dL)

84≦ 14(13) 13(92.9) 3(21.4) 6(42.9) 5(38.5)

≦5 41(40) 39(95.1) 12(29.3) 15(36.6) 21(52.5) 6(14.6)

5<~≦20 15 12(80.0) 2(13.3) 3(20.0) 7(46.7) 1(6.7)

20<~≦50 7 3(42.9) 1(14.3) 3(42.9) 3(42.9) 1(14.3)

尿沈渣/赤血球値(/HPF)

50< 2 1 1

~≦10 36(35) 31(86.1) 10(27.8) 8(22.2) 18(51.4) 6(16.7)

10<~≦30 16 14(87.5) 4(25.0) 10(62.5) 9(56.3) 1(6.3)

30< ≦50 5 5(100.0) 2(40.0) 3(60.0) 4(80.0)

免疫/抗 dsDNA 抗体 (U/mL)

50< 8 5(62.5) 1(12.5)

<50 5 4(80.0) 3(60.0) 1(20.0)

50≦~<70 13 12(92.3) 5(38.5) 5(38.5) 8(61.5) 2(15.4)

70≦~<90 14 12(85.7) 3(21.4) 5(35.7) 5(35.7) 2(14.3)

クレアチニンクリアランス (mL/分)

90≦ 31 26(83.9) 7(22.6) 11(35.5) 15(48.4) 3(9.7)

<10 4(3) 3 1 2

10≦~<15 26 22(84.6) 7(26.9) 9(34.6) 11(42.3) 2(7.7)

15≦~<20 18 14(77.8) 4(22.2) 3(16.7) 9(50.0) 3(16.7)

20≦ <30 17 16(94.1) 4(23.5) 9(52.9) 9(52.9) 3(17.6)

ステロイド投与量 (プレドニゾロン換算)

(mg/日)

30≦

1)不明+投与前1年を超えるデータ (%) 2)腎障害の調査例数,他と異なる場合のみ記載

-44-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 22: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-37 患者背景因子別の副作用発現状況合算(腎機能異常,電解質異常)

調査 例数

腎機能異常2)

発現例数 電解質異常3)

発現例数

男 7 2(28.6) 性別

女 57 9(15.8) 2(3.5)

~29 20 4(20.0)

30~49 40 7(17.5) 2(5.0) 年齢(歳)

50~ 4

<50 23 3(13.0) 1(4.3)

50≦~<60 22 3(13.6) 体重(kg)

60≦ 19 5(26.3) 1(5.3)

<5 20 3(15.0)

5≦~<10 22 4(18.2) 1(4.5) ループス腎炎 罹病期間(年)

10≦~ 22 4(18.2) 1(4.5)

≦19 17 2(11.8) 発症年齢(歳)

20≦ 47 9(19.1) 2(4.3)

<5 12 2(16.7)

5≦~<10 21 4(19.0) SLE 罹病期間(年)

10≦ 31 5(16.1) 2(6.5)

正常糸球体(Ⅰ型)

メサンギウム型(Ⅱ型) 1

巣状分節状型(Ⅲ型) 2

びまん性増殖型(Ⅳ型) 3

膜性型(Ⅴ型) 6 1(16.7)

硬化型(Ⅵ型)

腎生検/所見 (WHO 分類) (1年以内)

その他1) 52 11(21.2) 1(1.9)

<0.3 2

0.3≦~<1.0 7 2(28.6)

1.0≦~<3.5 38 3(7.9) 2(5.3)

1日蛋白量値 (g/日)

3.5≦ 17 6(35.3)

<0.7 35 3(8.6)

0.7≦~<1.0 21 5(23.8) 2(9.5)

1.0≦~<1.3 5 1(20.0) 血清クレアチニン(mg/dL)

1.3≦ 3 2

<60 15 3(20.0)

60≦~<72 22 2(9.1) 1(4.5)

72≦ <84 14 3(21.4) 1(7.1) C3(mg/dL)

84≦ 13 3(23.1)

≦5 40 5(12.5) 2(5.0)

5<~≦20 15 5(33.3)

20<~≦50 7 1(14.3) 尿中赤血球数(/HPF)

50< 2

~≦10 35 6(17.1) 1(2.9)

10<~≦30 16 3(18.8) 1(6.3)

30< ≦50 5 2(40.0)

抗 dsDNA 抗体 (U/mL)

50< 8

<50 5 1(20.0)

50≦~<70 13 5(38.5)

70≦~<90 14 3(21.4) 1(7.1)

クレアチニンクリアランス (mL/分)

90≦ 31 2(6.5) 1(3.2)

<10 3 1

10≦~<15 26 5(19.2) 2(7.7)

15≦~<20 18 4(22.2)

20≦ <30 17 1(5.9)

ステロイド投与量 (プレドニゾロン換算)

(mg/日)

30≦

1)不明+投与前1年を超えるデータ (%)

2)腎機能異常:s-Cr↑,BUN↑

3)電解質異常:Cl↑,Mg↓,K↑

-45-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 23: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

以上の成績を受け,さらに検討するため,第Ⅲ相試験及び第Ⅱ相試験のそれぞれについて,前治

療薬の種類(免疫抑制剤も含む),用量及び罹患期間別に層別解析を行い,その成績を表 2.7.4-

38,39 に示した。

なお,前治療薬は,いずれの試験においても全例でステロイド剤を含む前治療薬が用いられてい

た。免疫抑制剤以外の薬剤に関しては,安全性に影響のある併用制限薬(尿蛋白に影響を与える薬

剤)を前治療薬としていた場合の考察が必要と考えた。しかし,前治療として用いられた併用制限

薬の種類は多く,各層の例数がアンバランスになるため,併用制限薬の使用の有無について層別を

行った。また,用量についても,ステロイド以外の前治療薬は症例毎に用量が個々に異なっており,

ステロイド投与量についてのみ層別を行った。

前治療薬(免疫抑制剤)の使用有無の層別では,第Ⅲ相試験(28 週)の「使用なし」の層において

腎障害,耐糖能障害の発現率が若干高かったが,「使用あり」の層の症例数が少ないことに加え,

腎障害はプラセボ投与群でも同程度の発現率を示していた。

前治療薬(併用制限薬)の使用有無の層別では,第Ⅱ相試験(28 週)及び第Ⅲ相試験(28 週)のいず

れにおいても,「使用なし」と「使用あり」の各層で大きな違いはみられなかった。ステロイド投

与量については,第Ⅱ相試験(28 週)及び第Ⅲ相試験(28 週)ともに,胃腸障害,腎障害及び耐糖能

障害のいずれもステロイド投与量の増加で若干発現率が高くなる傾向がみられた。また,ループス

腎炎罹病期間についても,長期化に伴って腎障害,耐糖能障害の発現率が若干高かった。

以上のとおり,前治療薬の使用の有無,ステロイド投与量及び罹病期間の副作用発現率の層別解

析では,若干発現率の高い層も示唆されたが,少ない症例数での集計結果であることが影響してい

る可能性も否定できなかった。したがって,本分析からは,前治療薬の種類,ステロイド投与量及

び罹病期間は副作用発現頻度に影響を与える特徴的な因子として特定するには至らなかった。

以上のとおり,現時点では評価例数が少なく,副作用の発現頻度を高める特定の内因性及び外因

性因子を特定することは難しいと考えられた。

-46-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 24: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-38 第Ⅲ相試験(28 週)における患者背景因子別の副作用発現状況(1);タクロリムス群

主な副作用症状 患者背景因子 分類

調査

例数

副作用

発現例数

副作用による

中止例数

重篤副作用

発現例数 胃腸障害 腎障害 耐糖能障害

なし 21 19(90.5) 2(9.5) 2(9.5) 6(28.6) 9(42.9) 4(19.0) 前治療薬(免疫抑

制剤)の使用 あり 7 7(100.0) 3(42.9) 1(14.3) 2(28.6) 2(28.6)

なし 17 15(88.2) 2(11.8) 1(5.9) 5(29.4) 6(35.3) 3(17.6) 前治療薬(併用制

限薬)の使用 あり 11 11(100.0) 3(27.3) 2(18.2) 3(27.3) 5(45.5) 1(9.1)

<15 15 13(86.7) 4(26.7) 2(13.3) 3(20.0) 5(33.3) 2(13.3) ステロイド投与量

(プレドニゾロン換算)

(mg/日) 15≦ 13 13(100.0) 1(7.7) 1(7.7) 5(38.5) 6(46.2) 2(15.4)

<5 11 9(81.8) 1(9.1) 3(27.3) 4(36.4)

5≦~<10 9 9(100.0) 2(22.2) 2(22.2) 2(22.2) 3(33.3) 1(11.1) 罹病期間(年)

10≦ 8 8(100.0) 2(25.0) 1(12.5) 3(37.5) 4(50.0) 3(37.5)

(%)

表 2.7.4-38 第Ⅲ相試験(28 週)における患者背景因子別の副作用発現状況(2);プラセボ群

主な副作用症状 患者背景因子 分類

調査

例数

副作用

発現例数

副作用による

中止例数

重篤副作用

発現例数 胃腸障害 腎障害 耐糖能障害

なし 18 14(77.8) 1(5.6) 2(11.1) 8(44.4) 1(5.6) 前治療薬(免疫抑

制剤)の使用 あり 17 14(82.4) 3(17.6) 3(17.6) 3(17.6) 4(23.5)

なし 17 13(76.5) 2(11.8) 3(17.6) 1(5.9) 3(17.6) 前治療薬(併用制

限薬)の使用 あり 18 15(83.3) 2(11.1) 4(22.2) 9(50.0) 1(5.6)

<15 19 15(78.9) 2(10.5) 1(5.3) 4(21.1) 5(26.3) ステロイド投与量

(プレドニゾロン換算)

(mg/日) 15≦ 16 13(81.3) 2(12.5) 2(12.5) 1(6.3) 7(43.8) 1(6.3)

<5 10 8(80.0) 1(10.0) 1(10.0) 6(60.0)

5≦~<10 13 9(69.2) 1(7.7) 1(7.7) 3(23.1) 4(30.8)

10≦ 11 10(90.9) 2(18.2) 1(9.1) 2(18.2) 1(9.1) 罹病期間(年)

欠測 1 1 1 1

(%)

表 2.7.4-39 第Ⅱ相試験(28 週)における患者背景因子別の副作用発現状況

主な副作用症状 患者背景因子 分類

調査

例数

副作用

発現例数

副作用による

中止例数

重篤副作用

発現例数 胃腸障害 腎障害 耐糖能障害

なし 17 9(52.9) 3(17.6) 1(5.9) 4(23.5) 2(12.5) 1(5.9) 前治療薬(免疫抑

制剤)の使用 あり 4 2 1 1

なし 8 4(50.0) 1(12.5) 2(25.0) 1(12.5) 前治療薬(併用制

限薬)の使用 あり 13 7(53.8) 2(15.4) 1(7.7) 3(23.1) 2(16.7) 1(7.7)

<15 9 4(44.4) 1(12.5) 2(22.2) 1(12.5) ステロイド投与量

(プレドニゾロン換算)

(mg/日) 15≦ 12 7(58.3) 2(16.7) 1(8.3) 3(25.0) 2(16.7) 1(8.3)

<5 6 2(33.3) 1(16.7) 1(16.7) 1(16.7)

5≦~<10 6 3(50.0) 2(33.3) 1(16.7) 罹病期間(年)

10≦ 9 6(66.7) 2(25.0) 3(33.3) 2(25.0)

(%)

-47-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 25: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4 臨床的安全性の概要

- 48 -

2.7.4.5.2 外因性要因

内因性要因と併せて 2.7.4.5.1 で検討した。

2.7.4.5.3 薬物相互作用

タクロリムスカプセル剤の現行添付文書中「3.相互作用」の項には以下のとおり記載している。

3.相互作用

本剤は主として薬物代謝酵素 CYP3A4 で代謝される.(「薬物動態」の項参照)

(1) 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等

臨床症状・措置方法

機序・危険因子

生ワクチン

乾燥弱毒生麻しんワクチン

乾燥弱毒生風しんワクチン

経口生ポリオワクチン等

類薬による免疫抑制下で,生ワクチン

接種により発症したとの報告がある.

免疫抑制作用により発症

の可能性が増加する.

シクロスポリン

(サンディミュン,ネオーラル)

シクロスポリンの血中濃度が上昇し,

副作用が増強されたとの報告1)があ

る.なお,シクロスポリンより本剤に

切り換える場合はシクロスポリンの最

終投与から24時間以上経過後に本剤の

投与を開始することが望ましい.

本剤とシクロスポリンは

薬物代謝酵素CYP3A4で代

謝されるため,併用した

場合,競合的に拮抗しシ

クロスポリンの代謝が阻

害される.

ボセンタン

(トラクリア)

ボセンタンの血中濃度が上昇し,ボセ

ンタンの副作用が発現する可能性があ

る.また本剤の血中濃度が変動する可

能性がある.

本剤とボセンタンは

薬物代謝酵素CYP3A4で代

謝されるため,併用によ

りボセンタンの血中濃度

が上昇する可能性があ

る.またボセンタンは

CYP3A4で代謝されるとと

もにCYP3A4誘導作用も有

するため,併用により本

剤の血中濃度が変動する

可能性がある.

カリウム保持性利尿剤

スピロノラクトン

(アルダクトンA,アルマトール,

ディーラ等)

トリアムテレン

(マスハルミン,トリテレン等)

高カリウム血症が発現することがあ

る.

本剤と相手薬の副作用が

相互に増強される.

2.7.4 臨床的安全性の概要

-48-

Page 26: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4 臨床的安全性の概要

- 49 -

(2) 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等

臨床症状・措置方法

機序・危険因子

抗生物質 エリスロマイシン ジョサマイシン クラリスロマイシン

アゾール系抗真菌剤 イトラコナゾール フルコナゾール ボリコナゾール 等

カルシウム拮抗剤 ニフェジピン ニルバジピン* ニカルジピン ジルチアゼム 等

HIVプロテアーゼ阻害剤 リトナビル サキナビル ネルフィナビル

その他の薬剤 ブロモクリプチン ダナゾール オメプラゾール エチニルエストラジオール トフィソパム

飲食物 グレープフルーツジュース

本剤の血中濃度が上昇し,腎障害

等の副作用が発現することがあ

る.

本剤血中濃度のモニターを行い,

必要に応じ減量・休薬等の処置を

行う.

本剤は主として薬物代謝酵

素CYP3A4にて代謝される.

この酵素で代謝される他の

薬物との併用により,本剤

の代謝が阻害され血中濃度

が上昇する可能性がある.

抗てんかん剤 カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン**

抗生物質 リファンピシン

本剤の血中濃度が低下し,拒絶反

応出現の可能性がある.本剤血中

濃度のモニターを行い,必要に応

じ増量等の処置を行う.

薬物代謝酵素が誘導され,

本剤の代謝が促進される.

飲食物 セイヨウオトギリソウ (St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

本剤の代謝が促進され血中濃度

が低下するおそれがあるので,

本剤投与時はセイヨウオトギリ

ソウ含有食品を摂取しないよう

注意すること.

薬物代謝酵素CYP3A4が誘

導され,本剤の代謝が促

進されるためと考えられ

ている.

腎毒性のある薬剤 アムホテリシンB アミノ糖系抗生物質 スルファメトキサゾール・トリメトプリム 非ステロイド性抗炎症剤等

腎障害が発現することがある.

本剤と相手薬の腎毒性が相

互に増強される.

不活化ワクチン インフルエンザHAワクチン等

ワクチンの効果を減弱させること

がある.

本剤の免疫抑制作用によ

り,接種されたワクチンに

対する抗体産生が抑制され

る.

免疫抑制作用を有する薬剤 免疫抑制剤

副腎皮質ホルモン剤等 抗リウマチ薬(DMRD)

メトトレキサート等

過去の免疫抑制が起こることがあ

る.(「重要な基本的注意」の項

参照)

ともに免疫抑制作用を有す

る.

* 併用により相互に代謝が阻害され,ニルバジピンの血中濃度も上昇する可能性がある **併用によりフェニトインの血中濃度が上昇したとの報告がある(機序不明)

ループス腎炎の治療では,主にステロイド剤,免疫抑制剤といった薬剤が用いられ,腎保護作用

や尿蛋白減少効果を期待して抗血小板剤,抗凝血剤,カルシウム拮抗剤,アンジオテンシン変換酵

素阻害剤,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤といった薬剤も併用される。また,合併症として多い

胃腸障害,高脂血症,骨粗鬆症に対する治療薬も用いられる。

2.7.4 臨床的安全性の概要

-49-

Page 27: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

本剤との併用が予想される薬剤として,ステロイド剤,治験実施計画書で併用制限薬と規定され

る薬剤(尿蛋白に影響を与える薬剤)並びに併用注意薬(本剤との薬物相互作用を有すると推定さ

れる薬物等)について,相互作用の検討を行った。該当する薬剤名は,以下のとおりである。

なお,免疫抑制剤については,治験薬投与期間中は併用禁止と規定しており併用例はなかったが,

プログラフ添付文書中の用法・用量に関連する使用上の注意において「他の免疫抑制剤との併用に

より,過度の免疫抑制の可能性があるため注意すること」と注意喚起されている。

併用制限薬(尿蛋白に影響を与える薬剤)

①抗血小板剤(ジピリダモール,ジラゼプ)

②抗凝血剤(ヘパリン,ワルファリン)

③血栓溶解剤(ウロキナーゼ)

④非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(貼付剤,吸入剤等局所投与のものを除く)

⑤カルシウム拮抗剤

⑥アンジオテンシン変換酵素阻害剤

⑦アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤

⑧柴胡薬(柴苓湯など)

併用注意薬

①フルコナゾール,エリスロマイシン,クラリスロマイシン

②アムホテリシンB,アミノ糖系抗生物質,スルファメトキサゾール・トリメトプリム,

非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)等腎毒性のある薬剤

③不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等)

④本剤の血中濃度を上昇させる可能性のある薬剤

カルシウム拮抗剤:ニフェジピン,ニルバジピン,ニカルジピン,ジルチアゼム等

抗生物質:ジョサマイシン等のマクロライド系抗生物質

抗真菌剤:クロトリマゾール,ミコナゾール,イトラコナゾール等

HIV プロテアーゼ阻害剤:リトナビル ,サキナビル,ネルフィナビル等

その他の薬剤:ブロモクリプチン,ダナゾール,オメプラゾール,エチニルエストラジオール,

トフィソパム,ミダゾラム,デキサメタゾン等

⑤本剤の血中濃度を低下させる可能性のある薬剤

抗てんかん剤:カルバマゼピン,フェノバルビタール,フェニトイン等

抗生物質:リファンピシン等

第Ⅲ相試験(28 週)のタクロリムス投与群で上記併用注意薬剤が使用された症例の割合は 50.0%

(28 例中 14 例)であった。最も使用頻度の高い併用注意薬剤の種類は上記②に分類される薬剤で

あり全体の 42.9%に使用された。また,そのなかでもほとんどは NSAID であり,併用注意薬剤が

使用された 14 例中 10 例(71.4%)に使用されていた。

これらの併用注意薬剤の中で,本剤の血中濃度を上昇させる可能性のある薬剤もしくは腎機能悪

化の懸念から設定された①②④は,14 例全例に用いられていた。これら 14 例中の CCr の低下例数

は 11 例(78.6%)であり,併用注意薬剤非使用例の 91.7%(12 例中 11 例)と比べむしろ低値を示

した。なお,本剤投与 28 例中2例は CCr の欠測が認められたため,評価対象症例数は 26 例であっ

た。

-50-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 28: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

第Ⅱ相試験(28 週試験及び 28 週以降最長 104 週までの継続試験),第Ⅱ相試験(104 週以降の継続

試験),第Ⅲ相試験(28 週試験)及び第Ⅲ相試験(28 週以降の継続試験)での本剤投与全例(65 例)を

対象とし,上記のステロイド剤,併用制限薬及び併用注意薬のそれぞれについて,併用の有無別の

副作用発現状況を表 2.7.4-40 に示した。ステロイド剤,併用制限薬及び併用注意薬が併用されて

いる症例の割合は,それぞれ 98.5%(64/65 例),78.5%(51/65 例)及び 60.0%(39/65 例)であり,

いずれについても,併用の有無により副作用発現率に違いはみられなかった。また,本剤の主な副

作用である胃腸障害,腎障害,耐糖能障害について副作用発現率の比較を行ったが,「併用あり」

の層で大きくなることはなく,相互作用は問題にならないものと考えられた。なお,「併用注意薬」

については,既に上記のすべての薬剤名が添付文書中に記載されている。

表 2.7.4-40 併用薬別の副作用発現状況(胃腸障害,腎障害及び耐糖能障害)

主な副作用症状 併用薬 併用

有無

調査

例数1)

有害事象

発現例数

副作用

発現例数

重篤副作用

発現例数 胃腸障害 腎障害 耐糖能障害

あり 64 63(98.4) 54(84.4) 7(10.9) 21(32.8) 31(48.4) 8(12.5) ステロイド剤

なし 1(0) 1 1

あり 51(50) 50(98.0) 44(86.3) 7(13.7) 16(31.4) 22(44.0) 5(9.8) 併用制限薬

なし 14 14(100.0) 11(78.6) 5(35.7) 9(64.3) 3(21.4)

あり 39 39(100.0) 34(87.2) 3(7.7) 15(38.5) 18(46.2) 4(10.3) 併用注意薬

なし 26(25) 25(96.2) 21(80.8) 4(15.4) 6(23.1) 13(52.0) 4(15.4)

1)腎障害の調査例数,他と異なる場合のみ記載 (%)

2.7.4.5.4 妊娠及び授乳時の使用

ループス腎炎の臨床試験では「妊娠あるいは授乳中の女性及び試験期間中に妊娠を希望する患

者」を除外すべき患者と規定したため,妊娠及び授乳時における安全性についての成績は得られて

いない。このため,既承認の移植及び関節リウマチの適応症におけるタクロリムスの現行添付文書

に準じ,使用上の注意「6.妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項には以下のとおり記載した。

(1) 妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと.[動物実験(ウサギ)で

催奇形作用,胎児毒性が報告されている.]

(2) 授乳婦:本剤投与中は授乳を避けさせること.[母乳中へ移行することが報告されている。(「薬

物動態」の項参照)]

2.7.4.5.5 過量投与

ループス腎炎の臨床試験では,患者の独断で1回 16mg 投与が1度行われた症例が1例にみられ

たが,過量投与による副作用は認めなかった。その他,臨床試験では投与量の上限を最大5mg/日

としたことから,既に安全性が確認されている最大用量(腎あるいは肝移植の初期用量 0.3mg/kg/

日)を超える投与の経験はない。このため,上記同様,タクロリムスの現行添付文書に準じ,使用

上の注意「8.過量投与」の項には以下のとおり記載した。

-51-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 29: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

徴候,症状:BUN 上昇,クレアチニン上昇,悪心,手振戦,肝酵素上昇等が報告されている.

処 置:胃洗浄,活性炭経口投与,フェニトイン投与などが行われているが,十分な経験は

ない.脂溶性が高く蛋白結合も高いため,血液透析は有用ではない. 必要に応じて

支持・対症療法を行う.

2.7.4.5.6 薬物乱用

タクロリムスの非臨床試験において,薬物依存性の報告はない。

2.7.4.5.7 離脱症状及び反跳現象

離脱症状及び反跳現象は検討されていない。

2.7.4.5.8 自動車運転及び機械操作に対する影響又は精神機能の障害

自動車運転及び機械操作に対する影響は検討されていない。

精神機能の障害について,タクロリムスの現行添付文書の使用上の注意「4.副作用」の項に反映

されており,現行の添付文書に準じて以下のとおり記載した。

(1) 重大な副作用

3) 中枢神経系障害:全身痙攣,意識障害,錯乱,言語障害,皮質盲,片麻痺等の脳症の徴候(5%

未満)を呈することがあるので,このような症状があらわれた場合には,神経学的検査やCT,MRI

による画像診断を行うとともに,減量・休薬等の適切な処置を行うこと.

(2) その他の副作用

以下のような副作用があらわれた場合には症状に応じて,減量・休薬等の適切な処置を行うこと.

15%以上 5~15%未満 5%未満

精神

神経系

振戦,頭痛

眼振,外転神経麻痺,めまい,四肢硬直,運動失調,

しびれ,感覚異常,不眠,傾眠,意識混濁,失見当識,

うつ病,せん妄,興奮,幻覚,不安

-52-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 30: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4.6 市販後データ

1)市販後データの概要

タクロリムスの市販後データとして第 回安全性定期報告書(平成 年 月 日提出,PSUR

を除く)を添付した(第5部 5.3.6 を参照)。

本剤は,国内においては平成 5年 4月に「肝移植における拒絶反応の抑制」を適応症として承認

されて以来,「骨髄移植における移植片対宿主病の治療」(平成 6年 7月),「骨髄移植における拒

絶反応及び移植片対宿主病の抑制」(平成 11 年 4 月),「腎移植における拒絶反応の抑制」(平成 8

年 4月),「心移植における拒絶反応の抑制」(平成 13 年 6 月),「肺移植における拒絶反応の抑制」

(平成 15 年 1 月),「膵移植における拒絶反応の抑制」(平成 17 年 1 月),「全身型重症筋無力症」

(平成 12 年 9 月),「関節リウマチ」(平成 17 年 4 月)の効能・効果が追加承認され(各移植領域に

関しては,注射液・カプセル・顆粒が承認され,全身型重症筋無力症においてはカプセル・顆粒が,

関節リウマチについてはカプセルが承認されている),これまでに 回の安全性定期報告が行わ

れている。

移植領域に関しては,肝移植領域は平成 年 月に,骨髄移植領域は平成 年 月に再審査申

請中である。腎移植領域については使用成績調査,特別調査が終了し,今後,得られた情報に基づ

いて安全性,有効性等の解析を行う予定である。心移植領域,肺移植領域,膵移植領域については,

現在 を実施中(膵移植領域は計画中)である。表 2.7.4-41 に,使用成績

調査における肝移植領域,骨髄移植領域,腎移植領域,心移植領域(第 19 回安全性定期報告時デ

ータ),4領域合計の副作用・感染症発現状況(調査開始時に重点調査項目として設定した感染症,

腎機能障害,耐糖能障害,精神神経系障害,膵機能障害,心機能障害,リンパ腫)を示した。副作

用等発現率は 71.7%(2470 例中 1770 例,4647 件)で,7種類の重点調査項目別発現率は,感染症:

31.1%,腎機能障害:22.4%,耐糖能障害:18.4%,精神神経系障害:8.7%,膵機能障害:4.7%,

心機能障害:4.6%,リンパ腫:0.5%であった。また,使用成績調査・特別調査における重篤な有

害事象発現状況を表 2.7.4-42 に示した。重篤な有害事象発現率は 33.6%(2874 例中 966 例,1769

件)で,重点調査項目別発現率は,感染症:17.4%,腎機能障害:5.3%,精神神経系障害:3.2%,

耐糖能障害:2.2%,心機能障害:1.3%,リンパ腫:1.1%,膵機能障害:0.3%であった。

全身型重症筋無力症領域については,使用成績調査と長期特別調査を実施中であり,これまでに

使用成績調査については 313 例,長期特別調査については 102 例の情報が収集されている。表 2.7.4

-43 に,使用成績調査における副作用・感染症発現状況を示した。副作用等発現率は,34.3%(306

例中 105 例,220 件)で,このうち重篤な副作用(2例以上)は,肺炎(気管支肺炎含む)5例,肝障

害(肝機能障害含む)3例,高血糖,腎障害(血中クレアチニン増加及び血中尿素増加を含む)各2例

であった。また,使用成績調査,特別調査における重篤な有害事象発現状況を表 2.7.4-44 に示し

た。重篤な有害事象発現率は 10.1%(407 例中 41 例,73 件)で,重点調査項目別発現率は,感染症:

3.9%,腎機能障害:1.2%,精神神経系障害:0.7%,耐糖能障害:0.7%,心機能障害:0.5%で

あった。

-53-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 31: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

関節リウマチについては,平成 年 月に中央登録方式にて使用成績調査等を開始しており,

第 回安全性定期報告の調査期間内に症例は収集されていない。

なお,国内の治験及び市販後において報告された副作用のうち,心臓障害,腎障害,悪性リンパ

腫を含む悪性腫瘍,感染症,神経毒性については別途個別に集計し,その成績を 2.7.4.7 付録 表

2.7.4-45~58 に示した。

国内の治験でみると,心臓障害では胸痛・胸部不快感,高血圧,血圧上昇,動悸・心悸亢進,腎

障害では血清クレアチニン上昇,BUN 上昇,血清マグネシウム低下,尿中 NAG 上昇,神経毒性では

振戦,頭痛,しびれがそれぞれ多かった。悪性腫瘍について,リンパ腫が肝移植で1例,大腸癌及び

消化管悪性腫瘍,女性乳房悪性腫瘍が関節リウマチで各1例認められ,それ以外はいずれの治験に

おいても認められなかった。感染症の発現率は移植領域で約 20~50%,自己免疫疾患で約5~40%

であった。

国内の市販後調査成績のうち移植領域(3領域合計)における副作用の種類別にみると,心臓障

害では高血圧,動悸,頻脈,腎障害では血中尿素増加,血中マグネシウム減少,血中尿酸増加,悪性腫

瘍ではリンパ腫増殖性障害,リンパ腫,肺転移,感染症ではサイトメガロウイルス感染,敗血症,

ブドウ球菌感染,神経毒性では振戦,痙攣,頭痛がそれぞれ多かった。悪性腫瘍発現率は 0.6%,

感染症発現率は 28.5%であった。

同様に,重症筋無力症における副作用の種類別にみると,心臓障害ではほてり,腎障害では腎機

能障害,血中クレアチニン増加,血中尿素増加,感染症では肺炎,帯状疱疹,食道カンジダ症,神経

毒性では不眠症,重症筋無力症クリーゼがそれぞれ多かった。悪性腫瘍は認められなかった。また,

感染症発現率は 4.7%であった。

-54-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 32: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-41 使用成績調査における副作用・感染症の発現状況一覧表(移植領域)

有害事象/副作用の分類には、ICH 国際医薬用語集日本版(MedDRA/J Ver 7.1) を使用 (%)

表 2.7.4-42 使用成績調査・特別調査における重篤な有害事象の発現状況一覧表(移植領域)

有害事象/副作用の分類には、ICH 国際医薬用語集日本版(MedDRA/J Ver 7.1) を使用 (%)

骨髄移植領域(治療) 骨髄移植領域(予防) 腎移植領域 心移植領域

調査症例数 758 119 223 1365 5 2470

副作用等の発現症例数 621 ( 81.9 ) 97 ( 81.5 ) 160 ( 71.7 ) 891 ( 65.3 ) 1 ( 20.0 ) 1770 ( 71.7 )

副作用等の発現件数 1794 256 422 2171 4 4647

重点調査項目

腎機能障害 290 ( 38.3 ) 47 ( 39.5 ) 58 ( 26.0 ) 157 ( 11.5 ) 1 ( 20.0 ) 553 ( 22.4 )心機能障害 10 ( 1.3 ) 4 ( 3.4 ) 10 ( 4.5 ) 90 ( 6.6 ) 0 114 ( 4.6 )膵機能障害 76 ( 10.0 ) 4 ( 3.4 ) 1 ( 0.4 ) 36 ( 2.6 ) 0 117 ( 4.7 )耐糖能障害 108 ( 14.2 ) 33 ( 27.7 ) 47 ( 21.1 ) 266 ( 19.5 ) 0 454 ( 18.4 )

精神神経系障害 108 ( 14.2 ) 19 ( 16.0 ) 17 ( 7.6 ) 69 ( 5.1 ) 1 ( 20.0 ) 214 ( 8.7 )リンパ腫 8 ( 1.1 ) 0 0 5 ( 0.4 ) 0 13 ( 0.5 )感染症 310 ( 40.9 ) 48 ( 40.3 ) 81 ( 36.3 ) 327 ( 24.0 ) 1 ( 20.0 ) 767 ( 31.1 )

細菌性 136 ( 17.9 ) 3 ( 2.5 ) 16 ( 7.2 ) 44 ( 3.2 ) 1 ( 20.0 ) 200 ( 8.1 ) 真菌性 33 ( 4.4 ) 2 ( 1.7 ) 7 ( 3.1 ) 17 ( 1.2 ) 0 59 ( 2.4 ) ウイルス性 135 ( 17.8 ) 35 ( 29.4 ) 56 ( 25.1 ) 228 ( 16.7 ) 0 454 ( 18.4 ) 原虫性 0 2 ( 1.7 ) 1 ( 0.4 ) 2 ( 0.1 ) 0 5 ( 0.2 )

肝移植領域 四領域の合計

主な副作用(発現率10%以上)

血中尿素増加 210( 27.7 )血中マグネシウム減少 135 ( 17.8 )サイトメガロウイルス感染 96 ( 12.7 )高血圧 76 ( 10.0 )

腎機能障害 18 ( 15.1 )血中クレアチニン増加 14 ( 11.8 )血中尿素増加 13( 10.9 )高血糖 12 ( 10.1 )

サイトメガロウイルス感染 43 ( 19.3 )高血糖 34 ( 15.2 )腎障害 25 ( 11.2 )

サイトメガロウイルス感染 183 ( 13.4 )

ブドウ球菌性肺炎 1( 20.0 )痙攣 1 ( 20.0 )腎機能障害 1( 20.0 )γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 1( 20.0 )

骨髄移植領域 腎移植領域 心移植領域 肺移植領域

調査症例数 769 528 1569 5 3 2874

重篤有害事象発現症例数 368 ( 47.9 ) 210 ( 39.8 ) 387 ( 24.7 ) 1 ( 20.0 ) 0 966 ( 33.6 )

重篤有害事象発現件数 698 413 657 1 0 1769

重点調査項目

腎機能障害 42 ( 5.5 ) 36 ( 6.8 ) 73 ( 4.7 ) 1 ( 20.0 ) 0 152 ( 5.3 )

心機能障害 6 ( 0.8 ) 13 ( 2.5 ) 18 ( 1.1 ) 0 0 37 ( 1.3 )

膵機能障害 5 ( 0.7 ) 1 ( 0.2 ) 3 ( 0.2 ) 0 0 9 ( 0.3 )

耐糖能障害 6 ( 0.8 ) 14 ( 2.7 ) 42 ( 2.7 ) 0 0 62 ( 2.2 )

精神神経系障害 37 ( 4.8 ) 35 ( 6.6 ) 19 ( 1.2 ) 0 0 91 ( 3.2 )

リンパ腫 16 ( 2.1 ) 2 ( 0.4 ) 15 ( 1.0 ) 0 0 33 ( 1.1 )

感染症 198 ( 25.7 ) 107 ( 20.3 ) 196 ( 12.5 ) 0 0 501 ( 17.4 )

細菌性 87 ( 11.3 ) 26 ( 4.9 ) 42 ( 2.7 ) 0 0 155 ( 5.4 )

真菌性 29 ( 3.8 ) 14 ( 2.7 ) 12 ( 0.8 ) 0 0 55 ( 1.9 )

ウイルス性 46 ( 6.0 ) 41 ( 7.8 ) 109 ( 6.9 ) 0 0 196 ( 6.8 )

原虫性 1 ( 0.1 ) 4 ( 0.8 ) 6 ( 0.4 ) 0 0 11 ( 0.4 )

肝移植領域 五領域の合計

主な重篤有害事象(発現率3%以上)

吻合部狭窄 38( 4.9 )胆管炎 31 ( 4.0 )敗血症 28 ( 3.6 )

血栓性微小血管症23 ( 4.4 )痙攣 16 ( 3.0 )

サイトメガロウイルス

感染 71 ( 4.5 )腎機能障害 1( 20.0 )

-55-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 33: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-43 使用成績調査における副作用・感染症の発現状況一覧表

(全身型重症筋無力症領域)(1)

調査症例数 306

副作用等の発現症例数 105

副作用等の発現件数 220

副作用等の発現症例率(%) 34.3

副作用等の種類**

感染症および寄生虫症 15( 4.9)

気管支炎 1( 0.3)

急性気管支炎 1( 0.3)

気管支肺炎 1( 0.3)

膀胱炎 1( 0.3)

感染性下痢 1( 0.3)

胃腸感染 1( 0.3)

帯状疱疹 2( 0.7)

鼻咽頭炎 1( 0.3)

食道カンジダ症 2( 0.7)

肺炎 5( 1.6)

敗血症性ショック 1( 0.3)

皮膚感染 1( 0.3)

全身性カンジダ 1( 0.3)

尿路感染 1( 0.3)

サイトメガロウイルス性腸炎 1( 0.3)

細菌性胃腸炎 1( 0.3)

気道感染 1( 0.3)

血液およびリンパ系障害 10( 3.3)

貧血 6( 2.0)

*赤芽球癆 1( 0.3)

リンパ球減少症 3( 1.0)

代謝および栄養障害 17( 5.6)

食欲不振 1( 0.3)

糖尿病 5( 1.6)

耐糖能障害 5( 1.6)

高血糖 2( 0.7)

低アルブミン血症 1( 0.3)

低カリウム血症 2( 0.7)

高脂血症 1( 0.3)

精神障害 6( 2.0)

不安 1( 0.3)

譫妄 1( 0.3)

うつ病 1( 0.3)

不眠症 2( 0.7)

*神経過敏 1( 0.3)

落ち着きのなさ 1( 0.3)

神経系障害 6( 2.0)

味覚異常 1( 0.3)

脳炎 1( 0.3)

感覚減退 1( 0.3)

一過性脳虚血発作 1( 0.3)

振戦 1( 0.3)

重症筋無力症クリーゼ 1( 0.3)

眼障害 1( 0.3)

*眼瞼下垂 1( 0.3)

心臓障害 1( 0.3)

狭心症 1( 0.3)

血管障害 4( 1.3)

高血圧 1( 0.3)

*末梢冷感 1( 0.3)

ほてり 2( 0.7)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 4( 1.3)

*咳嗽 1( 0.3)

咽喉頭疼痛 1( 0.3)

胸膜炎 1( 0.3)

上気道の炎症 1( 0.3)

胃腸障害 21( 6.9)

腹痛 1( 0.3)

上腹部痛 2( 0.7)

腹水 1( 0.3)

下痢 11( 3.6)

胃炎 1( 0.3)

軟便 1( 0.3)

悪心 4( 1.3)

胃不快感 1( 0.3)

口内炎 2( 0.7)

嘔吐 3( 1.0)

*痔出血 1( 0.3)

*:使用上の注意から予測できない副作用・感染症

**:有害事象/副作用の分類には、MedDRA/J Ver 7.1 を使用。

-56-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 34: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-43 使用成績調査における副作用・感染症の発現状況一覧表

(全身型重症筋無力症領域)(2)

肝胆道系障害 10( 3.3)

肝機能異常 8( 2.6)

高ビリルビン血症 1( 0.3)

肝障害 1( 0.3)

皮膚および皮下組織障害 4( 1.3)

脱毛症 1( 0.3)

薬疹 1( 0.3)

発疹 2( 0.7)

筋骨格系および結合組織障害 5( 1.6)

関節痛 1( 0.3)

*背部痛 1( 0.3)

筋痙攣 1( 0.3)

*筋力低下 1( 0.3)

*骨粗鬆症 1( 0.3)

腎および尿路障害 9( 2.9)

*排尿困難 1( 0.3)

*緊張性膀胱 1( 0.3)

頻尿 1( 0.3)

腎障害 1( 0.3)

慢性腎不全 1( 0.3)

腎機能障害 4( 1.3)

全身障害および投与局所様態 5( 1.6)

*無力症 1( 0.3)

悪寒 1( 0.3)

倦怠感 2( 0.7)

浮腫 1( 0.3)

発熱 1( 0.3)

臨床検査 47( 15.4)

アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 4( 1.3)

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 3( 1.0)

*好塩基球数増加 1( 0.3)

血中カルシウム増加 1( 0.3)

血中コレステロール増加 2( 0.7)

血中クレアチニン増加 4( 1.3)

血中ブドウ糖増加 1( 0.3)

血中乳酸脱水素酵素増加 3( 1.0)

血中カリウム増加 1( 0.3)

血中尿素増加 2( 0.7)

*好酸球数減少 1( 0.3)

*好酸球数増加 1( 0.3)

γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 3( 1.0)

尿中ブドウ糖陽性 1( 0.3)

グリコヘモグロビン増加 2( 0.7)

ヘマトクリット減少 2( 0.7)

ヘモグロビン減少 1( 0.3)

リンパ球数減少 17( 5.6)

*リンパ球数増加 1( 0.3)

*単球数増加 3( 1.0)

好中球数増加 7( 2.3)

血小板数減少 1( 0.3)

総蛋白減少 2( 0.7)

赤血球数減少 1( 0.3)

白血球数減少 1( 0.3)

白血球数増加 9( 2.9)

血小板数増加 1( 0.3)

リンパ球百分率減少 1( 0.3)

尿中蛋白陽性 1( 0.3)

トランスアミナーゼ上昇 1( 0.3)

*血中アルカリホスファターゼ減少 1( 0.3)

血中アルカリホスファターゼ増加 3( 1.0)

傷害、中毒および処置合併症 2( 0.7)

*交通事故 1( 0.3)

*脊椎圧迫骨折 1( 0.3)

*:使用上の注意から予測できない副作用・感染症

**:有害事象/副作用の分類には、MedDRA/J Ver 7.1 を使用。

-57-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 35: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

表 2.7.4-44 使用成績調査・特別調査における重篤な有害事象の

発現状況一覧表(全身型重症筋無力症領域)

調査症例数 407

有害事象の発現症例数 41

有害事象の発現件数 73

有害事象の発現症例率(%) 10.1

有害事象の種類**

感染症および寄生虫症 13 ( 3.2)

気管支炎 1[ 0] ( 0.2)

気管支肺炎 1[ 0] ( 0.2)

帯状疱疹 1[ 0] ( 0.2)

クリプトコッカス性髄膜炎 1[ 0] ( 0.2)

食道カンジダ症 1[ 0] ( 0.2)

肺炎 7[ 1] ( 1.7)

敗血症性ショック 1[ 0] ( 0.2)

全身性カンジダ 1[ 0] ( 0.2)

サイトメガロウイルス性腸炎 1[ 0] ( 0.2)

肺感染 1[ 0] ( 0.2)

良性、悪性および詳細不明の新生物

(嚢胞およびポリープを含む) 1 ( 0.2)

食道癌 1[ 1] ( 0.2)

血液およびリンパ系障害 3 ( 0.7)

貧血 2[ 1] ( 0.5)

* 赤芽球癆 1[ 0] ( 0.2)

代謝および栄養障害 6 ( 1.5)

食欲不振 1[ 0] ( 0.2)

高血糖 2[ 0] ( 0.5)

高尿酸血症 1[ 0] ( 0.2)

低アルブミン血症 1[ 0] ( 0.2)

食欲減退 1[ 0] ( 0.2)

精神障害 1 ( 0.2)

不安 1[ 0] ( 0.2)

落ち着きのなさ 1[ 0] ( 0.2)

神経系障害 10 ( 2.5)

脳炎 1[ 0] ( 0.2)

振戦 1[ 0] ( 0.2)

重症筋無力症クリーゼ 8[ 7] ( 2.0)

心臓障害 3 ( 0.7)

狭心症 1[ 0] ( 0.2)

*心筋梗塞 1[ 1] ( 0.2)

*心筋炎 1[ 1] ( 0.2)

呼吸器、胸郭および縦隔障害 4 ( 1.0)

*異物誤嚥 1[ 1] ( 0.2)

胸膜炎 1[ 0] ( 0.2)

嚥下性肺臓炎 1[ 1] ( 0.2)

呼吸不全 1[ 1] ( 0.2)

胃腸障害 2 ( 0.5)

胃潰瘍 1[ 1] ( 0.2)

嘔吐 1[ 0] ( 0.2)

肝胆道系障害 4 ( 1.0)

胆嚢炎 1[ 1] ( 0.2)

*胆石症 1[ 1] ( 0.2)

*肝硬変 1[ 1] ( 0.2)

肝機能異常 2[ 0] ( 0.5)

肝障害 1[ 0] ( 0.2)

皮膚および皮下組織障害 1 ( 0.2)

薬疹 1[ 0] ( 0.2)

筋骨格系および結合組織障害 3 ( 0.7)

*無腐性骨壊死 1[ 1] ( 0.2)

*背部痛 1[ 0] ( 0.2)

*関節リウマチ 1[ 1] ( 0.2)

腎および尿路障害 4 ( 1.0)

* 排尿困難 1[ 1] ( 0.2)

腎障害 2[ 1] ( 0.5)

慢性腎不全 1[ 0] ( 0.2)

全身障害および投与局所様態 1 ( 0.2)

倦怠感 1[ 0] ( 0.2)

臨床検査 6 ( 1.5)

血中クレアチニン増加 2[ 0] ( 0.5)

血中ブドウ糖増加 1[ 1] ( 0.2)

血中尿素増加 1[ 0] ( 0.2)

リンパ球数減少 1[ 0] ( 0.2)

*酸素飽和度低下 1[ 1] ( 0.2)

血小板数減少 1[ 0] ( 0.2)

傷害、中毒および処置合併症 4 ( 1.0)

*骨折 1[ 1] ( 0.2)

*放射線ミエロパシー 1[ 1] ( 0.2)

*交通事故 1[ 0] ( 0.2)

*脊椎圧迫骨折 1[ 0] ( 0.2)

*:使用上の注意から予測できない副作用・感染症

**:有害事象/副作用の分類には、MedDRA/J Ver 7.1 を使用。

[ ]:因果関係が否定された有害事象の件数

-58-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 36: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2)ループス腎炎と他領域との副作用比較

(1) 随伴症状,臨床検査値異常,感染症の副作用発現状況について

ループス腎炎の臨床試験で認められた随伴症状(副作用)のうち,発現率が 10%以上であった事

象は下痢7例(10.8%)であり,順じて高血圧6例(9.2%),胃炎5例(7.7%)で発現率が高か

った(表 2.7.4-10 参照)。下痢,胃炎は,既承認効能の治験及び市販後調査成績でも同様に発現し

ており,既承認効能の治験及び市販後調査成績でも総じて消化器系,胃腸障害系の事象における発

現率が高い傾向にあることから(付録 表 2.7.4-59~63),ループス腎炎特有の副作用とは考え

られなかった。高血圧については,既承認効能の治験及び市販後調査成績でも高血圧,高血圧悪化,

血圧上昇として 4.8~16.7%の発現率であった。

一方,ループス腎炎の臨床試験で認められた感染症(副作用)の発現率は 38.5%(25/65 例)であ

り,関節リウマチ 8.7%,全身型重症筋無力症0%と比較し高く,移植の 22.4%~49.2%と比較する

と大差はなかった(付録 表 2.7.4-61)。また,市販後調査における感染症(副作用)の発現率

は,移植(3領域合計)で 28.5%,全身型重症筋無力症で 4.7%であった。ループス腎炎の臨床試

験で認められた感染症(副作用)のうち,発現率の高かった事象は鼻咽頭炎 10 例(15.4%),上気

道の炎症6例(9.2%),膀胱炎4例(6.2%)であり,その他の事象はいずれも発現率5%未満で

あった(表 2.7.4-14 参照)。なお,ループス腎炎の第Ⅲ相試験(28 週)のプラセボ群とタクロ

リムス群の感染症の発現率をみると(表 2.7.4-7参照),プラセボ群とタクロリムス群の発現率

に差はなかったことから,薬剤に起因して発現率が高くなったとは考えられなかった。ループス腎

炎で発現率の高い感染症は,感冒(鼻咽頭炎)を中心とする感染症が主なものであった。

ループス腎炎の臨床試験で認められた臨床検査値異常変動(副作用)のうち,発現率が 10%以上

であった事象は尿中β2ミクログロブリン増加 12/44 例(27.3%), NAG 増加 14/63 例(22.2%),

尿中白血球陽性4/20 例(20.0%),血中尿酸増加9/64 例(14.1%),血中クレアチニン増加8

/64 例(12.5%)等の腎機能パラメータ,血中ブドウ糖増加7/64 例(10.9%),白血球数増加7

/64 例(10.9%)であった(表 2.7.4-18 参照)。これらの事象のうち,血中尿酸増加,血中クレア

チニン増加,血中ブドウ糖増加,白血球数増加は,ループス腎炎以外の既承認効能の治験及び市販後

調査成績における発現率と大差はなく(付録 表 2.7.4-60,62,63),ループス腎炎特有の副作

用とは考えられなかった。また,尿中β2ミクログロブリン増加, NAG 増加についてループス腎炎の

第Ⅲ相試験(28 週)でのプラセボ群とタクロリムス群の発現率をみると,各々プラセボ群 17.1%,

17.1%, タクロリムス群 10.7%,25.0%とプラセボ群とタクロリムス群の発現率は大差なく,本剤

に起因し発現率が高くなった事象とは考えられなかった。なお,尿中白血球陽性についてはプラセ

ボ群のデータはないが,尿中β2 ミクログロブリン増加, NAG 増加と同様,ループス腎炎の病態に起

因する事象である可能性も否定し得ないと考えられた。

以上,既承認効能である移植(3領域),全身型重症筋無力症,関節リウマチにおける有害事象

との比較において,ループス腎炎特有の有害事象は認められないと考える。

-59-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 37: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

(2) 腎障害の発現状況について

ⅰ.投与前の腎障害の程度

タクロリムスの適応患者における投与前腎障害の程度を検討するため,骨髄移植(予防),全身型

重症筋無力症及び関節リウマチの市販後データとループス腎炎の第Ⅲ相試験成績との比較を行っ

た。比較した検査値は,いずれも投与前の血清クレアチニン値及び BUN 値であり,その成績を付録

表 2.7.4-64 に示した。

血清クレアチニンの中央値はループス腎炎では 0.7mg/dL であり,他の疾患の市販後データにお

ける中央値 0.6~0.65 mg/dL と比較してもほぼ同様の値であった。最高値はループス腎炎の

1.3mg/dL に対し,骨髄移植 1.7mg/dL,全身型重症筋無力症 1.31 mg/dL, 関節リウマチでは 5.50

mg/dL であり,最も低い全身型重症筋無力症と同程度であった。なお, 関節リウマチで最高値が 5.50

mg/dL と高いものの,第1~第3四分位は 0.50~0.76 mg/dL,また 1.5mg/dL 以上の症例も3例

(2.5%)のみであり,一部の関節リウマチ患者を除けば,いずれの自己免疫疾患領域でも同様の値

であったと考えられた。また,BUN の中央値は,ループス腎炎では 13.9 mg/dL であり,骨髄移植

の 9.0 mg/dL,全身型重症筋無力症の 14.0 mg/dL,関節リウマチの 16.4 mg/dL と比較して,いず

れも正常範囲内であり,特にループス腎炎患者で高くなることはなかった。最高値はループス腎炎

の 33.9 mg/dL に対し,骨髄移植で 25.0 mg/dL,全身型重症筋無力症で 52.9 mg/dL, 関節リウマ

チでは 67.5 mg/dL であり,全身型重症筋無力症と関節リウマチでやや高い傾向がみられた。BUN

は食事などの影響を受けることもあり,測定値にバラツキがみられることがあるが,第1~第3四

分位の値をみると多数の症例ではループス腎炎患者と同様の値であると考えられた。

以上,各自己免疫疾患における血清クレアチニン及び BUN について比較検討した結果,いずれの

疾患領域でも腎機能低下の程度は大きくないと考えられた。

ⅱ.投与後の腎障害の発現状況

移植,全身型重症筋無力症及び関節リウマチとループス腎炎の国内治験での腎障害発現状況を付

録 表 2.7.4-65 にまとめた。この結果からは,ループス腎炎で腎機能障害に関連する臨床検査値

異常変動の発現率が特に高い傾向はみられなかった。また,ほぼ同様の用法・用量である関節リウ

マチの治験時と血清クレアチニン上昇の程度と頻度を比較したところ,程度と頻度ともに関節リウ

マチと比べ高くはなかった(付録 表 2.7.4-66~68)。

以上,既承認効能である移植(3領域),全身型重症筋無力症,関節リウマチにおける有害事象

との比較において,ループス腎炎で腎障害の発現率が特に高い傾向はなく,同様の用法・用量であ

る関節リウマチとの比較では,腎機能検査値異常変動の程度も同程度であった。

(3) 重篤副作用と死亡例について

全身型重症筋無力症及び関節リウマチの本邦における臨床試験において認められた重篤な有害

事象(副作用)を付録 表 2.7.4-69,70 に示した。

-60-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 38: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

ループス腎炎における重篤副作用の発現率は,タクロリムスが投与された全 65 例中7例

(10.8%)に認められたが(表 2.7.4-23~26 参照),全身型重症筋無力症及び関節リウマチではそ

れぞれ 5.3%(1/19 例),5.1%(26/509 例)であり,ループス腎炎において他の疾患よりも高い

傾向がみられた。

しかし,その内訳をみると,ループス腎炎では心血管系イベント,耐糖能異常,感染症であり, 全

身型重症筋無力症とは傾向が異なるものの,タクロリムスの副作用としてはすべて既知の事象であ

り, 関節リウマチでも同種の事象が認められていた。また,いずれも適切な処置により消失又は回

復した。なお,ループス腎炎の第Ⅲ相試験(28 週)において,重篤と判定された有害事象(副作用)

はタクロリムス群に3例3件,プラセボ群に3例8件認めており(表 2.7.4-23 参照),プラセボ群

でも同様の頻度であった。

以上,各疾患での重篤副作用の発現率は,ループス腎炎で全身型重症筋無力症及び関節リウマチ

よりも高い傾向が認められたが,現時点では対象例数が少数例での検討であること,事象の種類は

いずれも既知であることから,ループス腎炎で他の疾患と比較し特有の重篤副作用が発現し問題と

なることはないと考えられる。なお,心筋梗塞はタクロリムスの既知の副作用として知られている

が,ループス腎炎では少数例の検討の中,2例に急性心筋梗塞がみられたことから,【使用上の注

意】の「重要な基本的注意」の項に本事象について記載し,注意喚起している。

一方,ループス腎炎における全4試験において,タクロリムスが投与された全 65 例に死亡例は

認めなかったが,第Ⅲ相試験(28 週)のプラセボ群では1例が急性心不全のため死亡した。

全身型重症筋無力症における前期第Ⅱ相試験及び長期投与試験では,全 19 例において死亡例は

なかった。

また,関節リウマチにおける臨床試験では,安全性解析採用 509 例中2例で死亡例が認められた。

1例は,投与終了 29 日後に子宮穿孔(因果関係多分なし)を発現して死亡した。他の1例は,本

剤投与中に消化管悪性腫瘍を発現し,重篤副作用として集計対象となったが,本剤中止後の観察期

間経過後(集計対象外の時期)に死亡した。

以上,ループス腎炎では本剤投与後に死亡例は認められておらず,他の自己免疫疾患と異なる傾

向はみられなかった。

-61-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 39: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

2.7.4.7 付録

-62-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 40: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

血小板数値(X104/μL) (n=64)

HT値(%) (n=64)

60

50

40

30

20

60

40

20

0

20 30 40 50 60 0 20 40 60 投与前 投与前

最終時

最終時

20000

15000

10000

5000

0

100

80

60

40

0 5000 10000 15000 20000 40 60 80 100 投与前 投与前

最終時

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(1)

WBC値( /μL) (n=64)

好中球値(%) (n=64)

HB値(g/dL) (n=64)

RBC値(X104/μL) (n=64)

700

600

500

400

300

200

20

15

10

5

200 300 400 500 600 700 5 10 15 20 投与前 投与前

最終時

最終時

-63-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 41: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

単球値(%) (n=64)

リンパ球値(%) (n=64)

50

40

30

20

10

0

15

10

5

00 5 10 15

投与前

最終時

最終時

0 10 20 30 40 50投与前

好塩基球値(%) (n=64)

好酸球値(%) (n=64)

最終時

最終時

8

6

4

2

0 0 2 4 6 8 0 1 2 3 4

4

3

2

1

0

投与前 投与前

10

8

6

4

2

0

90

70

50

30

10

投与前

最終時

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

その他(WBC分類)値(%) (n=8)

GOT値(IU/L) (n=64)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(2)

0 10 20 30 40 50 10 30 50 70 90 投与前

-64-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 42: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

LDH値(IU/L) (n=64)

AL-P値(IU/L) (n=61)

500

400

300

200

100

0

700

600

500

400

300

200

100

0

0 100 200 300 400 500 600 700 投与前

最終時

最終時

0 100 200 300 400 500 投与前

500

400

300

200

100

0

AL-P値(IU/L) (n=1)

GPT値(IU/L) (n=64)

最終時

最終時

80

60

40

20

0 0 20 40 60 80 0 100 200 300 400 500

投与前 投与前

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

0.0

投与前

最終時

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

γ-GTP 値(IU/L) (n=64)

総ビリルビン値(mg/dL) (n=64)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(3)

200

160

120

80

40

0

0 40 80 120 160 200投与前

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

-65-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 43: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

尿酸値(mg/dL) (n=64)

アルブミン値(g/dL) (n=44)

6

5

4

3

2

1

12

10

8

6

4

2

0

0 2 4 6 8 10 12投与前

最終時

最終時

1 2 3 4 5 6投与前

350

300

250

200

150

100

50

0

最終時

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

アミラーゼ値(IU/L) (n=3)

アミラーゼ値(SU) (n=60)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(4)

350

300

250

200

150

100

50

0

0 50 100 150 200 250 300 350 投与前

0 50 100 150 200 250 300 350 投与前

10

8

6

4

2

総蛋白値(g/dL) (n=44)

BUN 値(mg/dL) (n=64)

最終時

最終時

60

50

40

30

20

10

0 0 10 20 30 40 50 60

投与前 2 4 6 8 10

投与前

-66-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 44: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

グリコアルブミン値(%) (n=62)

HBAIC値(%) (n=62)

8

7

6

5

4

3

20

15

10

5

5 10 15 20 投与前

最終時

最終時

3 4 5 6 7 8投与前

450

400

350

300

250

200

150

100

最終時

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

β2-マイクログロブリン値(mg/L) (n=62)

総コレステロール値(mg/dL) (n=64)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(5)

12

10

8

6

4

2

0

0 2 4 6 8 10 12 投与前

100 150 200 250 300 350 400 450投与前

最終時

300

250

200

150

100

50

血糖値(BS)(mg/dL) (n=46)

血糖値(FBS)(mg/dL) (n=11)

最終時

120

110

100

90

80

70

60

60 70 80 90 100 110 120投与前

50 100 150 200 250 300投与前

-67-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 45: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

CL値(mEq/L) (n=64)

K値(mEq/L) (n=64)

5

4

3

115

110

105

100

95

95 100 105 110 115投与前

最終時

最終時

3 4 5 投与前

3.0

2.5

2.0

1.5

1.0

最終時

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

Ca値(mg/dL) (n=44)

Mg 値(mg/dL) (n=63)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(6)

11

10

9

8

7

6

6 7 8 9 10 11 投与前

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 投与前

最終時

155

145

135

125

Na 値(mEq/L) (n=64)

TG値(mg/dL) (n=64)

最終時

550

500

450

400

350

300

250

200

150

100

50

0

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550

投与前 125 135 145 155

投与前

-68-

2.7.4 臨床的安全性の概要

Page 46: 3)成績の分析と考察 (1) 副作用発現までの期間血中尿素増加,血中クレアチニン増加,血中クレアチニン減少,腎クレアチニン・クリアランス減

尿中β2-マイクログロブリン値(μg/L)(n=42)

尿中NAG値(U/L) (n=62)

70

60

50

40

30

20

10

0

3000

2000

1000

0

0 1000 2000 3000 投与前

最終時

最終時

0 10 20 30 40 50 60 70 投与前

最終時

(△は範囲外のデータをスライドさせた)

尿沈査/白血球値(個/hpf) (n=20)

図 2.7.4-4 臨床検査値:投与前後の散布図(7)

50

40

30

20

10

0

0 10 20 30 40 50 投与前

-69-

2.7.4 臨床的安全性の概要