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46 直線加速器導入に伴う治療計画装置の線量検証 岡山大学病院 医療技術部放射線部門 杉原誠治,青山英樹,大塚裕太,井俣真一郎 松浦龍太郎,藤井俊輔,宇野弘文,田原誠司,稲村圭司 【背景・目的】 治療計画装置のコミッショニングは,放射線治 療における安全を担保する上で非常に重要な作 業である.本報告は, 当施設に直線加速器が新 規導入された際の、臨床使用前における治療計 画装置の線量検証の一部、及び各患者の治療 Plan の検証結果を検討・考察したものである。 【使用機器・方法】 使用機器は,直線加速器(Oncor : Siemens 製),治療計画装置( Xio ver.4.6.0 : エレクタ社 製),Blue PantomIBA 社製),WP1DIBA 社製), Famer 型電離箱(PTW 社製),CC13CC01 型電 離箱(IBA 社製)を用いた.検証を行ったビームは コンベンショナルビームであり,照射野 5 cm×5 cm 10 cm×10 cm を基準に In,cross-line 両方のデ ータでモデリングを行った.検討項目は,X 線の 410 MV に限定し PDDOCRISO-Center Dose Open Field)・(Wedge Field)である.検討項目の 基準として ESTRO BOOKLET NO. 7 の値を用い た.また,治療プランの絶対線量検証として,X 410 MV を用いた治療プラン(128 症例)の各 門に対し,ガントリー角度 SSD 90 cm の条件 Farmer 型電離箱を用い,水ファントム 10 cm の吸収線量を測定し治療計画装置の値と比較を 行った. 【結果】 実測の PDD は,4 MV の全ての照射野サイズ において治療計画装置の PDD と同等の結果(誤 1%以内)を得た.また,10 MV の全ての照射野 サイズにおいても治療計画装置の PDD と同等の 結果(0.5%以内)を示した. OCR に関しては、実 測と治療計画装置の誤差が 4 MV Cross-line において Penumbra 領域で一部の照射野サイズ において 10% を超えるものがみられたが, 10 MV では InCross-line ともに 4 MV よりも誤差が 小さい結果となった。ISO-Center Dose を計算アル ゴリズムを SuperpositionConvolutionClarkson 変化させ実測との誤差を検討した結果, Open Field では 410 MV ともにすべてのアルゴリズムで 誤差が±1.4%以内となった. Wedge Field では,4 MV Clarkson において誤差が±7.0%となったが, 4 MV のその他及び 10MV のすべてのアルゴリズ ムで 95%信頼区間が±3.0%以内となった. 治療プランの絶対線量検証における誤差は,4 MV のプランで 95%信頼区間が 1.1±5.8%となり 10 MV のプランでは 95%信頼区間は 0.4±2.4%だっ た. 【考察】 本報告は,完全均質状態のみの結果であること が問題としてあげられる.不均質状態や電子線の 検証を実施する場合は,臨床開始までの時間的 な制約を考慮した内容においての QA が重要に なると思われる.本報告で使用した Oncor Xio の組み合わせのみの結果ではあるが,X 線の 4 MV 10 MV と比較して実測データに対するビ ームモデリングの制約が多いことが観察された. 以上を踏まえると,治療計画装置のビームモデリ ング方法の詳細及び直線加速器の特性を把握す ることはビームモデリング精度を確保する上で重 要だと考えられる. 【結語】 臨床使用前における治療計画装置の線量検証 は,日常使用の安全確保および計算精度の限界 を把握するために必須の作業である. 中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表 107

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46 直線加速器導入に伴う治療計画装置の線量検証

岡山大学病院 医療技術部放射線部門

杉原誠治,青山英樹,大塚裕太,井俣真一郎

松浦龍太郎,藤井俊輔,宇野弘文,田原誠司,稲村圭司

【背景・目的】

治療計画装置のコミッショニングは,放射線治

療における安全を担保する上で非常に重要な作

業である.本報告は, 当施設に直線加速器が新

規導入された際の、臨床使用前における治療計

画装置の線量検証の一部、及び各患者の治療

Plan の検証結果を検討・考察したものである。

【使用機器・方法】

使用機器は,直線加速器(Oncor : Siemens 社

製),治療計画装置(Xio ver.4.6.0 : エレクタ社

製),Blue Pantom(IBA 社製),WP1D(IBA 社製),

Famer 型電離箱(PTW 社製),CC13・CC01 型電

離箱(IBA社製)を用いた.検証を行ったビームは

コンベンショナルビームであり,照射野 5 cm×5 cm

~10 cm×10 cm を基準に In,cross-line 両方のデ

ータでモデリングを行った.検討項目は,X 線の

4・10 MV に限定し PDD,OCR,ISO-Center Dose

(Open Field)・(Wedge Field)である.検討項目の

基準として ESTRO BOOKLET NO. 7 の値を用い

た.また,治療プランの絶対線量検証として,X 線

の 4・10 MV を用いた治療プラン(128 症例)の各

門に対し,ガントリー角度 0°,SSD 90 cm の条件

で Farmer 型電離箱を用い,水ファントム 10 cm 深

の吸収線量を測定し治療計画装置の値と比較を

行った.

【結果】

実測の PDD は,4 MV の全ての照射野サイズ

において治療計画装置の PDD と同等の結果(誤

差1%以内)を得た.また,10 MVの全ての照射野

サイズにおいても治療計画装置の PDD と同等の

結果(0.5%以内)を示した. OCR に関しては、実

測と治療計画装置の誤差が 4 MV の Cross-line

において Penumbra 領域で一部の照射野サイズ

において 10%を超えるものがみられたが, 10

MV では In・Cross-line ともに 4 MV よりも誤差が

小さい結果となった。ISO-Center Dose を計算アル

ゴリズムを Superposition・Convolution・Clarksonに

変化させ実測との誤差を検討した結果,Open

Fieldでは 4・10 MVともにすべてのアルゴリズムで

誤差が±1.4%以内となった. Wedge Field では,4

MV の Clarkson において誤差が±7.0%となったが,

4 MV のその他及び 10MV のすべてのアルゴリズ

ムで 95%信頼区間が±3.0%以内となった.

治療プランの絶対線量検証における誤差は,4

MVのプランで95%信頼区間が1.1±5.8%となり10

MV のプランでは 95%信頼区間は 0.4±2.4%だっ

た.

【考察】

本報告は,完全均質状態のみの結果であること

が問題としてあげられる.不均質状態や電子線の

検証を実施する場合は,臨床開始までの時間的

な制約を考慮した内容においての QA が重要に

なると思われる.本報告で使用した Oncor と Xio

の組み合わせのみの結果ではあるが,X 線の 4

MV は 10 MV と比較して実測データに対するビ

ームモデリングの制約が多いことが観察された.

以上を踏まえると,治療計画装置のビームモデリ

ング方法の詳細及び直線加速器の特性を把握す

ることはビームモデリング精度を確保する上で重

要だと考えられる.

【結語】

臨床使用前における治療計画装置の線量検証

は,日常使用の安全確保および計算精度の限界

を把握するために必須の作業である.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

107

47 電子線治療における Cutout block 使用時の RTPS 線量分布の検討

鳥取赤十字病院放射線技術課

○木村 洋史 入川 富夫 米田 猛

【目的】電子線治療において RTPS の示す線量分

布は、エネルギー、深さを指針としている。しか

し、この線量分布は Cutout block 使用時におい

ては必ずしも正確とはいえない。今回、鉛の

Cutout block 使用時の PDI を測定し、RTPS の示

す線量分布について検討した。

【使用機器】・照射装置:PRIMUS Mid-Energy

・3DBluePhantom (PDI)・電位計:RAMTEC1000plus

・電離箱:NACP02 ・ファントム:WP1 水ファント

ムシステム・Cutout block:低融点鉛を使用し

て自作

【方法】Ⅰ,3D ファントムにて Cutout block 使

用時の PDI を測定する。

Ⅱ,方法Ⅰで得た PDI より PDD を導き、RTPS の示

す線量分布と比較、検討する。

*当院では電子線治療範囲はR80としている。

【結果】RTPS にてファントム上に作成した線量分

布の比較を図 1に示す。エネルギー、照射野サイ

ズに関わらず、線量分布は同じものになった。

10cm×10cmのR80を基準とした、各エネルギー、各

照射野のPDDを図 2に示す。R80は 5MeV、11cm×11cm

のとき+5.7%の差となり最大であった。使用エネ

ルギーが低いほど、照射野における鉛の割合が多

いほど差は大きくなった。

6cm×6cm 10cm×10cm

図 1 10MeV における線量分布の比較

【考察】実際の患者データを用いて、8MeV 電子線

治療のプランを作成した。10cm×10cm、11cm×

78

79

80

81

82

83

84

85

86

87

5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

field size(cm×cm)PDD(%)

14MeV12MeV10MeV8MeV6MeV5MeV

図 2 PDD の比較

11cmの線量分布を図 3、4 に示す。RTPS上では照

射野サイズが異なっても、深部の線量分布は同じ

であったが、11cm×11cmのR80はRTPSが示す位置よ

り深い位置にくると考えられる。

図 3 10cm×10cm の線量分布

図 4 11cm×11cm の線量分布

【まとめ】Cutout block 使用時の RTPS の線量分

布において 80%を下回る場合でも、実際は 80%

を上回る症例もあり、安易にエネルギーを高くす

ることは表面線量の増加を招く。また、乳房温存

術後治療のブースト照射においては肺野への線

量も増加する。よって、Cutout block 使用時の

電子線治療において、RTPS の線量分布はあくまで

も参考として対処すべきである。

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

108

48 肺定位放射線治療における線量評価 -肺・模擬腫瘍混合ファントム

を用いた計算アルゴリズムの検討-

岡山大学病院 医療技術部 放射線部門

藤井俊輔,青山英樹,大塚裕太,井俣真一郎,杉原誠治

村崎昌洋,松浦龍太郎,香川芳徳,宇野弘文,田原誠司,稲村圭司

【目的】

本報告は,肺定位放射線治療において,治療

計画装置の計算アルゴリズムを変化させた臨

床プランにおける線量評価指標の比較および

肺・模擬腫瘍混合ファントムでの実測による線

量評価を行ったものである.

【方法】

計算アルゴリズムは XiO(ELEKTA 社製)

の Clarkson 法と Superposition 法(共に不均

質補正+)を使用した.臨床プラン 32 症例を,

各計算アルゴリズムで計算し,PTV の D95,

PTV 内平均線量 ,肺の V20,肺平均線量,

homogeneity index の 5 項目について比較を

行った.また,肺・模擬腫瘍混合ファントム(前

立腺 IMRT 用 phantom BS40 (IBA Dosimetry)

に Tough lung phantom(京都科学)を積層した

もの)を用いて,治療計画装置の計算結果と実

測データの比較を行った(Fig.1).模擬腫瘍(水

等価物質)は,測定に用いる電離箱(PinPoint

Chamber 31016)を覆うように設置する事が可

能であり,ファントム中心部に位置している.

検証 Beam 数は 98 本で,臨床プランと同一照

射条件で測定を行った.

【結果】

PTV の D95 と PTV 内平均線量の比較では,

Superposition 法の方が Clarkson 法よりも低

線量側に分布する結果となり,約 2 Gy 程度の

差が生じた.また,肺の V20,肺平均線量,

homogeneity index の 比 較 で は ,

Fig.1 肺・模擬腫瘍混合ファントム BS40

Superposition 法,Clarkson 法とも同様の分

布となり,顕著な差は観察されなかった.

治療計画装置の計算結果と実測データの比

較では,平均値で Superposition 法:0.14%,

Clarkson 法:-4.90%の差異であった. 95%

信頼区間は Superposition 法:-1.88~2.16%,

Clarkson 法:-8.26~-1.55%となった.

【考察・結語】

Clarkson 法は,不均質領域での線量減弱を

考慮しておらず,線量を過大評価する傾向にあ

ることが確認できた.また,実測データより,

治療計画装置の計算結果との差異が大きいた

め,臨床で使用する際には線量増加も考慮すべ

きではないかと考える.

不均質部における計算アルゴリズムの精度

検証は,本報告で用いたような不均質モデルの

ファントムを使用して精度確認を行うことが

有用である.したがって,高精度な計算アルゴ

リズムは,従来使用のアルゴリズムとの比較検

証を実施した上で臨床導入することが望まし

いと考える.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

109

49 複数の治療計画装置を用いた前立腺 IMRT 計画について

坂東良太 1),岸太郎 1),川下徹也 1),原康男 1),佐々木幹治 1),福永有希子 1),

下窪康史 1),武市直也 1),増井悠太 1),高志智 1),木村雅司 1),2),多田章久 1),

富永正英 2),生島仁史 2)

1)徳島大学病院診療支援部放射線技術部門

2)徳島大学大学院保健科学教育部医用情報科学領域

目的

現在,IMRT 機能が付加された治療計画

装置(TPS)は複数の業者により販売されて

いる.当院では,既存の TPS を含め 4 つの

TPS が導入されたため,前立腺 IMRT の計

画を立案し比較検討を行った.

対象・方法

対象は当院にて IMRTの適応となった15

例とした.医療用直線加速器は Novalis Tx

15X(BrainLAB),TPSはEclipse(VARIAN),

Pinnacle(PHILIPS) , XiO(ELEKTA) ,

iplan(BrainLAB)を用いた.線量制約とし

ては,直腸体積 V40Gy 50%,V60Gy 25%,

V75Gy 5%,直腸壁 V40Gy 65%,60 Gy 35%,

V70 Gy25%,膀胱体積 V40Gy 50%,V65Gy

25%,膀胱壁 V40 Gy 65%, V70Gy 35%,

PTV-rectum D95 76Gy,CTV V100 99.5%

≧である.

結果

CTV,PTV は各 TPS 間でほとんど差は

みられなかった.直腸体積は Pinnacle>

Eclipse>iPlan>Xio の順に規定線量を順

守していた(図 1).膀胱体積は Eclipse>

Pinnacle ≒ iPlan>Xio の順に規定線量を

順守していた(図 2) . 総合的には

Eclipse≒Pinnacle>iPlan> Xio の順に良

い結果が出ていた.

考察

Eclipse は PTV と rectum の重なった部

Eclipse Pinnacle Xio iPlan

0

20

40

60

80

100

120

0 2000 4000 6000 8000 10000

Dose (cGy)

Volu

me

(%)

V40

V60

V70

V75

図1:直腸体積の DVH

Eclipse Pinnacle Xio iPlan

0

20

40

60

80

100

120

0 2000 4000 6000 8000 10000

Dose (cGy)

Volu

me

(%)

V40

V65

図 2:膀胱体積の DVH

分での微調整が他 TPS と比較し簡単で有

利.Pinnacle はセグメント数が少ないため

照射時間が一番短く有利.Xio は PTV と

rectum の 重 な り が 少 な い 場 合 に 有

利.iPlan は計画時間が一番短いため有利.

症例ごとに一番良い DVH が異なるため,複

数のTPSを用い比較検討した上で治療実施

することが望まれる.

結論

今回の検討ではいずれのTPSについても

概ね線量制約を満たす計画を行うことが可

能であった.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

110

50 複数の治療計画装置を用いた前立腺 IMRT線量検証について

高志智 1),岸太郎 1),川下徹也 1),原康男 1),佐々木幹治 1),

福永有希子 1),下窪康史 1),武市直也 1),坂東良太 1)

増井悠太 1),木村雅司 1),2),多田章久 1),富永正英 2),生島仁史 2)

1)徳島大学病院診療支援部放射線技術部門 2)徳島大学医学部保健学科

【背景・目的】現在,IMRT 機能が付加され

た治療計画装置(TPS)は複数の業者により

販売されている.当院では,4つの TPSが導

入されたため前立腺 IMRTの計画を立案し,

その後線量検証を行い比較検討した.

【使用機器及び方法】医療用直線加速器

NovalisTx 15X(BrainLAB).治療計画装置

Eclipse(VARIAN),Pinnacle(PHILIPS),

Xio(ELEKTA),iPlan(BrainLAB).ファントム

RT-2300 Cylinder(R-TECH).電離箱線量計

TN-30013(PTW).フィルム RTQA2(ISP).フィ

ルム解析装置 D.D.system(R-TECH)を使用し

た.対象は当院で IMRT の適応となった 10

例とした.絶対線量検証は,アイソセンター

(I.C.)で Farmer 型線量計を使用した.相

対線量検証は RTQA2 を使用し,測定断面は

I.C. 上 の 冠 状 面 (coronal) と 矢 状 面

(sagittal)とした.評価はγ解析(3mm, 3% ,

Th:30%)による pass率とした.

【結果】Eclipse,Pinnacle,Xio,iPlanでの

絶対線量検証結果は概ね 1%以内であった

(Fig.1).

相対線量検証結果は coronal, sagittal共

に Eclipse>Pinnacle≒XiO≒iPlanという

関係であった(Fig.2).

【考察】絶対線量検証は I.C.のみでの評価

であり,前立腺 IMRT検証時の I.C.では,線

量勾配の緩やかで且つ,高線量領域となる

ため TPS ごとの線量誤差が少なかったと考

えた.前提として,相対線量検証は全 TPSの

コミッショニングを行なっているためビー

ムデータは影響しない.リーフの動き方や

セグメントの影響,つまり最適化後のリー

フセグメンテーション方法に影響があると

考えた.

【結論】全 TPSの絶対線量検証は,概ね 1%

以内であった.平均的な相対線量検証結果

は Eclipse が良い結果となった.しかし,症

例によって,他 TPSの Pass率が良いの場合

もあった.相対線量検証の結果では多少の

差は生じたが全 TPS で概ね 95%以上の pass

率であり,実際に治療を行う上では満足の

いく検証結果であった.

Fig.1 各 TPSの絶対線量検証結果

Fig.2各 TPSの相対線量検証結果(coronal)

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

111

51

目的

当院

者に対

開始

線量基

計画

study

性を評

方法

IMR

り以下

1.総

IMR

当院で

合計

2.PTV

均一

性は

した。

よび②

HI

DmaDmiCImVboVPT

3.リス

直腸

2.5mm

それぞ

した。

4.正常

正常

除く体

比較評

結果

では

有意な

RapidAr

院では今年の

対して Rapi

した。そこで

基準を用いて

がされた 1

y による比較

評価する。

RT と RapidA

下の 4つの検

MU 値

RT は 7field

では 2 回転

MU 値で比較

Vの線量均一

一性は Homo

Comformity

。また HI お

②式より求め

=Dmax/Dmin ・

x:PTV 内の最

n:PTV 内の最

mod=Vbody95%/VP

dy95%:95%処方

V95%:95%処方

スク臓器(直

腸壁は PTV

m 追加した範

ぞれ V40Gy、V

常組織

常組織の体積

体積とし、V

評価した。

MU 値を中央

987MU、Rap

な差が認めら

c と IMRT

の7月から前

idArc プラン

で前立腺がん

て IMRT と R

0 症例を用

較を行い、R

Arc の plann

検討項目を比

dの合計 MU 値

転照射である

較した。

一性・集中性

geneity Ind

y Index(CImおよび CImod は

めた。

・・①

最大線量

最小線量

PTV95%・・・②

方線量の当た

方線量の当た

直腸壁・膀胱

があるスラ

範囲、膀胱壁

V60Gy、V70Gyにお

積は、患者体

V10%、V30%、V5

央値で比較し

pidArc では

られた(p<

T の比較

前立腺がんの

ンの臨床治療

んに対して同

RapidArc の治

用いて plann

apidArc の優

ning study に

比較評価した

値、RapidAr

ため、2 回転

dex(HI)、集

mod)により評

はそれぞれ①

たる全体積

たる PTV 体積

胱壁)

ライスの上下

壁は全体とし

おいて比較評

体積から PTV

50%、V70%におい

した場合に、I

713MU となり

0.01)。

・検討

の患

療を

同じ

治療

ning

優位

によ

た。

c は

転の

集中

評価

①お

下に

し、

評価

V を

いて

IMRT

り、

P

HI

めら

では

優位

p<

V70G0.0

V50%れた

考察

Rap

量低

正常

られ

る。

いた

像取

置移

比較

る R

期待

であ

倉敷中

PTV の線量均

および CImoられなかった

リスク臓器の

は V40Gyおよび

位であったが

0.01)、V70Gy(p<0.05)(

Gy では Rapi

05)。

正常組織にお

%において Ra

た。

リスク臓器

pidArc プラ

低減が認めら

常組織 V10%お

れ、プランニ

また当院の

た IGRT が全

取得後から照

移動があるこ

較して約4分

RapidArc は

待できるとい

あると考える

図 1 直

中央病院 放

均一性・集中

od ともに両者

た。

の体積線量の

び V60Gyでは

が(それぞれ

yでは IMRT の

(図 1)。また

idArc で優位

おける評価

apidArc で増

器および正

ンは IMRT と

られた。しか

および V50%で

ニング時には

の前立腺治療

全例に行われて

照射終了まで

ことが知られ

分程度の治療

、照射中の体

いう点で IM

る。

直腸壁の体積線

放射線セン

堀田

中性について

者で有意な差

の比較では直

RapidArc で

れ p<0.05 お

の方が優位で

膀胱壁では

位であった

では、V10%お

増加傾向が認

正常組織で

と比較してや

かし直腸壁 V

では増加傾向

は注意が必要

療では、CBCT

ている。一方

でに、前立腺

れており、IM

療時間が短縮

体動低減の効

MRT に比べて

線量の比較

ンター

優子

ては、

差は認

直腸壁

でやや

および

であっ

V40Gy、(p<

および

認めら

では、

やや線

V70Gy、

向が見

要であ

Tを用

方で画

腺は位

MRT に

縮でき

効果が

て有用

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

112

52 インプラントマーカーによる前立腺 IMRT 位置確認の検討

高知大学医学部附属病院 放射線部

佐々木 俊一 <<<<目目目目 的的的的>>>> 前立腺 IMRT における IGRT において、画像誘導の方法には骨構造を利用したものや超音波画像による方法などいくつかあるが、前立腺内に埋め込まれたインプラントマーカーを利用した画像誘導の精度について、2種類の方法にて比較を行い、有効な方法を検討する。 <<<<使用機器使用機器使用機器使用機器>>>> Linac Novalis Tx BrainLAB ポータルイメージング(PI) Varian コーンビーム CT (OBI-CBCT) ExacTrac X-Ray(Exac) BrainLAB 社 Offline Review Varian インプラントマーカー(3個埋め込み) 金マーカー(長さ 5mm 直径 0.5mm) <<<<方方方方 法法法法>>>> 対象症例を Ir192 による組織内照射を併用した 11 症例(外照射 40Gy・2Gy-20fr)とする。位置確認方法はポータルイメージング(以下PI)とエグザクトラック X線撮影システム(以下 Exac)を用いる。 Offline Review によってマッチング後の CBCTの画像からマッチング誤差(距離 cm)を測定し比較する。また、各撮影方法について撮影およびマッチングの時間を測定し比較する。 撮影およびマッチングは 5 名の治療に関わる技師のうち 2 名で担当した。 <<<<結結結結 果果果果>>>> 症例毎の測定距離(cm) PI 4 症例 Exac 7 症例

症例毎の撮影・マッチング時間(分) PI 4症例 Exac 7症例

<考 察> PIによる撮影ではMV-X線を使用するため、他の機器に依存しない撮影が可能であるが、撮影が終わるまで時間がかかる。また、股関節等の前立腺周囲に骨構造が多いため、マーカーの確認が困難となり、マッチングに時間を要する。また同様の原因で Vrt方向のエラーの発生が多く見られた。 Exacによる撮影では、初期の段階でのエラー発生が多かったが、治療回数と共に安定した。これは装置に対する習熟によるものと考えられる。また撮影装置の位置が固定のため、画像取得が短時間で済み、患者スループットにおいて有効である。 どちらの方法でも移動距離4mm以上エラーの出現した症例 1例あったが、その症例でマーカー3個のうち1個が当初の位置から移動したことにより、マッチング時にエラーが伴ったと考える。このようなマーカー自体の移動を確認するため、定期的なコーンビーム CT撮影等による確認が必要と考える。

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

113

53 2D-Matchig時の幾何学的条件によって

生じる照合誤差の基礎的検討

1)島根県立中央病院放射線技術科

小川邦夫 1、甲斐功一 1、山田正雄 1、岩崎一人 1、松田和久 1

[ 背 景 ] 当 院 の リ ニ ア ッ ク に は

On-Board-Imager(OBI)が搭載されており、患者

セットアップ時にX線画像の取得が可能であ

る。治療計画時の CT 画像から作成した

Digitally-Reconstructed-Radiography(DRR)

との Matchingにより位置照合を行っている

• [目的] セットアップエラーが生じた時の OBI

画像とDRRとの2D-Matchingによる照合誤差に

ついて基礎的検討を行ったので報告する。

[使用機器]

・Trilogy(Varian製) ・Eclipse(Varian製)

・OBI Application Ver.1.4(Varian製)

・ISIS QA-1(TGM2製) ・Aquilion LB(東芝製)

[方法]ISIS QA-1 ファントム(ファントム)を

治療計画 CTで撮影し Eclipseを用いて治療計

画を行った。この時、OBIの撮影条件を焦点被

検体間距離100cm焦点検出器間距離140cmとし

同様の条件で DRRを作成した。ファントムをリ

ニアックにセットしセットアップエラーが生

じた時と正確なセットアップ時の OBI 画像と

DRRとの比較を行った。ファントムの測定点は

前面と背面に設置した付属のビスの間隔(5cm)

とした。ファントムの前面と背面の距離は

10cmであった。

セットアップエラーは①焦点被検体間距離。②

焦点被検体間距離=100cm で平行にずれた場合。

の 2点とした。

[結果]正確なセットアップ時の計測値の平均

値は OBI=5.063cm(SD=0.025),

DRR=5.018cm(SD=0.0048)となり一致していた。

セットアップエラーが生じた場合には①では

拡大率の変化によって測定値が変化した(表

1)。②ではセットアップエラーによって前面、

背面同士の測定値に変化はなかったが、前面と

背面との間隔が変化した(図 1)。

[考察]セットアップエラーによって OBI 画像

と DRRとに乖離が生じ照合誤差の原因となる。

セットアップエラーが大きいほど乖離が大き

くなるため正確なセットアップが重要である。

治療ターゲットに近い標的で Matchingをする

事で照合誤差を減少できる。

[結語] セットアップエラーが 2D-Matchingに

与える影響について理解できた。

表 1.焦点被検体間距離の影響 単位[cm]

焦点被検体間距離 測定値 焦点被検体間距離 測定値

100 5.00 100 5.00

99 5.05 101 4.95

98 5.10 102 4.90

97 5.15 103 4.85

96 5.21 104 4.81

図 1.ターゲット位置による測定値への影響

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

114

54 ExacTrac使用時における前立腺 IMRTのセットアップエラーに

関する検討(第一報)

-internal marginの検討-

上原 千明 富永 正英 1) 佐々木 幹治 2) 生島 仁史 1) 三谷 崇文

徳島大学医学部保健学科,徳島大学大学院 HBS研究部 1),徳島大学病院 2)

【背景・目的】

近 年 の 前 立 腺 IMRT(Intensity modulated

radiation therapy:強度変調放射線治療 )は ,

IGRT(Image-guided Radiotherapy:画像誘導放射線

治療)が用いられる.IGRT の手法として同室設置型

CT(In room CT: IRCT),ExacTrac X-ray system (ETXS)

などがある.IRCTは,医師が解剖学的な情報をもと

に治療計画時の画像の石灰化などを目安にして照射

位置を決めているため,PTV に正確な照射が可能と

なる.一方,ETXSは斜入 2方向の X線撮影から得ら

れた X 線画像と治療計画装置により再構成された治

療計画時の CT画像の DRR(digitally reconstructed

radiography)画像とのテンプレートマッチングによ

りアイソセンタ(IC)が計算される.ETXS は骨の情報

で setup を行うため,骨盤骨と前立腺の相対的な位

置が変動すると照射位置も変動する.このために,

ETXS で計算された IC は治療計画装置で決定された

IC と異なる可能性があり,大きな internal

margin(IM)が必要である.そこで,ETXS と IRCT を

用いて,前立腺 IMRT における ETXS を使用した場合

の IMについて検討する.

【方法】

1.移動差(EXICと CTICの距離)

Lateral 方向を左右方向,Long 方向を頭尾方向,

Vertical 方向を背腹方向と定義する. EXIC,CTIC

の座標をそれぞれ(XE,YE,ZE),(XC,YC,ZC)とすると

Lateral 方向の距離 X は,X=XC-XEと表される.同様

に Long方向の距離 Y,Vertical方向の距離 Zも求め

られる.これを図 1に示す.

図 1:移動差

2.IMの計算方法

各症例の各方向の移動差の平均値,標準偏差を求

める.次に, Van Herk らにより提案されている式

を用いて IMの計算を行った.この計算式を以下に示

す.

margin=2.5Σ+0.7σ

式を構成する marginは IM,Σ(systematic error)

は治療期間の移動差の平均値の標準偏差,σ(random

error)は治療期間の標準偏差の平均値を示してい

る.

【結果】

各方向と IMの関係を図 2に示す.IMは,Lateral

方向が小さく,Vertical方向が大きくなった.それ

ぞれの IM の値は,Lateral 方向が 0.20cm,Long 方

向が 0.84cm,Vertical方向が 1.35cmとなった.

図 2:IMと各方向の関係

【考察】

IMの値は,Lateral方向が小さく,Vertical方向

が大きな傾向を示した.前立腺と直腸と膀胱の模式

図を図 3に示す.前立腺の Vertical方向上に直腸や

膀胱があり,便や尿の状態によって大きさが変化す

るため,前立腺の位置が移動したと考えられる.こ

のため,治療計画時の前立腺と骨盤骨との相対的な

位置が異なり,Vertical方向の移動差が大きな値を

示したことが推測できる.移動差の値には症例ごと

に個人差があった.これは,直腸と膀胱の状態に個

人差があったためであると考えられる.

図 3:前立腺と直腸と膀胱の模式図

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

115

55 ExacTrac使用時における前立腺 IMRTのセットアップエラーに

関する検討(第二報)

-前立腺と直腸の位置に関する検証-

三谷崇文 富永正英 1) 佐々木幹治 2) 生島仁史 1) 上原千明

徳島大学医学部保健学科,徳島大学院HBS研究部 1),徳島大学病院 2)

【背景・目的】

第1報よりExacTrac X-ray system (ETXS)を用い

て前立腺IMRTのsetupを行う場合, 同室設置型CT

(IRCT:In room CT) に比べて大きなinternal margin

が必要であることがわかった.IRCTは体内における

軟部組織の位置関係から照合を行うため,正確な

setupが可能となる.一方,ETXSは骨盤骨や大腿骨

の情報によって照射位置の照合を行うため,前立腺

と骨盤骨の位置は一致しない可能性がある.前立腺

の周辺には膀胱や直腸が存在し,その中でも直腸は

前立腺に近接しているため,前立腺の体内の移動に

関係していることが推測できる.そこで,前立腺と

骨盤骨の位置関係を IRCTと ETXSを用いて直腸の状

態を解析し,検討する.

【使用機器】

・ExacTrac X-ray system

BRAIN LAB

・同室設置型CT

TOSHIBA Asteion single

・治療計画装置(RTPS)

Xio ver:4.6.0

・寝台

TOSHIBA PRIMUS

【方法】

第一報と同様に,徳島大学病院で前立腺IMRTを行

った9名の患者のデータを用いて,IRCTから算出さ

れたアイソセンタ(IC)座標と ETXS から算出された

IC座標の各方向成分の差分(移動差)を計算した.次

に直腸に着目し,検討項目として① 直腸の縦軸[cm],

② 直腸の横軸[cm],③直腸前壁から IC の距離:

D[cm],④単位長さあたりの体積:Vol[ml/cm]を計測

して移動差と比較し,相関係数 Rで評価した.

さらに相関係数表より有意水準 5%,母数n(治療日

数)となるRaを求め,これと相関係数Rを比較した.

|R|>Ra (1)

式(1)が成立するとき有意水準 5%で相関がある.

【結果】

表1に各方向の移動差と各検討項目との間で式(1)

が成立した人数を示す. 前立腺のVetical方向の移

動は直腸の状態が関係していることが分かる.

表 1:各方向の移動差と各検討項目との間で有意水

準 5%の相関が確認できた人数

縦軸 横軸 D VolLateral 1人 0人 1人 0人Long 4人 0人 0人 5人

Vertical 4人 4人 1人 6人 【考察】

IRCT と ETXS を用いて体内における前立腺と

骨盤骨の位置関係を直腸に着目することで評価

した.直腸の縦軸および横軸,D,Volの 4つの

項目を測定し,移動差との相関係数を求めて検

討した.前立腺の Vertical方向の移動は,直腸

と前立腺が近接しているため,直腸における便

やガスの状態によって変化する.また,前立腺

の Long方向の移動については,直腸に便やガス

が多く残留している場合に,前立腺が頭側に押

し上げられることが推測される.本研究では直

腸に着目したが,膀胱に貯留している尿量によ

っても前立腺が移動することが報告されてい

る.今後の課題として膀胱にも着目して検討を

行う必要がある.

【結語】

直腸の状態が体内における前立腺の位置に影

響することがわかった.ETXS を用いて前立腺

IMRTの setupを行う場合は、直腸の状態を十分

に管理する必要がある.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

116

56 ExacTrac systemを用いた intrafractional setup errorの検討

岡山大学病院 医療技術部放射線部門

大塚裕太,青山英樹,井俣真一郎,杉原誠治,藤井俊輔,村崎晶洋

松浦龍太郎,香川芳徳,宇野弘文,田原誠司,稲村圭司

【背景・目的】

ExacTrac system は,主に interfractional setup

error を減少させるのに有効な画像誘導装置で

ある.本報告は,治療前後に ExacTrac system

を用いて,照射に要した時間と intrafractional

setup error の関係について集計し,検討と考察

を行ったものである.

【使用機器・方法】

治 療 装 置 は , ONCOR impression Plus

(SIEMENS 社製)である.画像誘導装置には,

ExacTrac system Ver.5.5(BrainLAB 社製)を用

いた.本報告における intrafractional setup error

には,治療前と治療後の位置修正量から算出し

た差を用いた.位置修正データは,2011 年 1

月~7 月に治療を行った 50 症例を用い,総画

像誘導回数は 1083 回である.この症例を頭頚

部,胸部,腹部・骨盤の 3 部位にわけて評価を

行った.位置修正量の評価方向は,左右(LR)・

頭足(SI)・腹背(AP)の 3 方向である.照射

に要した時間と intrafractional setup errorの関係

を示し,intrafractional setup error が 1 mm 以内

になるものを部位ごとに評価した.

【結果】

fig.1 は照射に要した時間と intrafractional

setup error の関係のグラフであり,左右・頭足・

腹背の順に示す.error が 1 mm 以内に収まるの

は、頭頚部では,LR:90.3%,SI:96.1%,AP:

90.0%であった.同様に,胸部では LR:90.4%,

SI:94.4%,AP:91.4%,腹部・骨盤では LR:

95.6%,SI:96.9%,AP:94.6%となった.

【考察】

本報告の解析は,ExacTrac system の限定した

使用方法からの結果であるため,使用方法や運

用を変えることによって,異なる結果になる可

能性がある.一方,本報告の intrafractional setup

fig.1 照射に要した時間と intrafractional setup error の関係

error が安定していた要因として,治療患者の

容体が安定していたことが考えられる.また,

本報告における治療時間が,ほとんど 10 分未

満であったことも一つの要因として考えられ

る.頭足方向の intrafractional setup error が,左

右・腹背方向に比べて安定していたのは,左

右・腹背方向の方が体軸方向のねじれから生じ

る error が大きかったことが考えられる.

【結語】

本報告では,ExacTrac system によって評価し

た intrafractional setup error が,治療時間に依存

することなく,各方向に対して概ね 90%以上

が 1.0 mm 以内であった.また,ExacTrac system

の 運 用 方 法 を 工 夫 す る こ と に よ っ て

intrafractional setup error の評価を容易に行える

ことを明確にした.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

117

57 Set up marginに関する患者数と照合回数の検討

岡山大学病院 医療技術部放射線部門

井俣真一郎,青山英樹,大塚裕太,杉原誠治,藤井俊輔

村崎晶洋,松浦龍太郎,香川芳徳,宇野弘文,田原誠司,稲村圭司

【背景および目的】

Set up margin は,各施設で蓄積された照合画

像の解析を行うことによって,設定することが可能

である.しかし,set up margin 設定に必要な患者

数と照合回数は,明確にされていない.本報告は,

患者数と照合回数を変化させたシミュレーション

から set up margin の検討を行ったものである.

【使用機器および方法】

対象症例は,CT-Linac system(東芝メディカル

社製)を用いて画像誘導放射線治療を実施した

前立腺癌35症例(2008.8.18~2010.3.29)である.

総照合画像枚数は,1248枚である. 本検討にお

ける 35症例の set up marginは,van Herkの 2.5

Σ+0.7σから算出した.ここで,最大限収得され

たサンプル数から算出した set up margin を本研

究における真値として取り扱うことと定義した.また,

set up marginの真値に対する許容値は,画像の

分解能(左右,腹背方向:0.94 mm / pixel,頭足

方向:1 mm)を考慮して,±1.0 mmの範囲に設け

た.

患者数と照合回数をシミュレーションする方法

の詳細は,患者数を 5 , 10 , 15 , 20 , 25 , 30 , 35

人,照合回数を 5 , 10 , 15 , 20 , 25 , 30回と変化さ

せ,それぞれの組み合わせによる set up marginを

求めた.

【結果】

35症例から算出された set up marginは,左右

方向:3.9 mm,頭足方向:9.0 mm,腹背方向:

10.3 mmであった.ここで,set up marginが本研究

で定めた許容値に収束するための条件(患者数,

照合回数)は,左右方向(5 人,15 回),頭足方向

(15 人,10 回),腹背方向(25 人,10 回)が少なく

とも必要となる結果であった.

【考察】

左右方向の set up marginは,頭足,腹背方向

と比較した場合,患者数と照合回数が増えるほど

本研究で定めた真値に収束する傾向が観察され

た.一方,頭足,腹背方向では,不規則な変動が

観察される結果となった.原因は,set up error や

CT の分解能および,日々の直腸ガス増減が考え

られる.したがって,日常業務のスループットを重

視することによる画像誘導の省略によって,安易

に少ない患者数と照合回数から設定した場合,適

切な set up marginが確保できない可能性がある.

しかし,各施設で使用している画像誘導装置の分

解能を考慮し,適切な許容値設定を実施すること

で,本研究で提示したような患者数と照合回数よ

りも少ないデータから set up marginの算出も可能

であることが推測される.

【結語】

Set up marginは,可能な限り多くの画像を解析

し,設定することが望ましいと思われる.しかし,本

報告で検討したような,set up marginが一定の範

囲内に収束する患者数と照合回数を変化させた

手法から必要最低限の患者数と照合回数を各施

設で検討する試みも必要ではないかと考える.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

118

58 全身照射体厚補正バックを用いた全身照射における線量評価

岡山大学病院 医療技術部放射線部門

村崎晶洋,宇野弘文,青山英樹,井俣真一郎,杉原誠治, 藤井俊輔

松浦龍太郎,大塚裕太,香川芳徳,田原誠司,稲村圭司

【背景・目的】

全身照射は,造血幹細胞移植の前処置として行

われる治療法であり,全身に対し±10%以内の

精度で照射する技術が要求される.本報告は,

全身照射体厚補正バックを利用した 78 症例に

関する線量測定結果の解析を実施したもので

ある.また,固定精度を始めとする運用上の問

題点について検討と考察を行なった.

【使用機器・方法】

使用機器を以下に示す.直線加速器:PRIMUS

KD2/7467(東芝メディカルシステムズ社製),

ファーマー型線量計:30001(PTW 社製),電

位計:RAMTEC 1000D(東洋メディック社製),

半導体線量計:EDD2(SCANTDITRONIX 社製),

電位計:DPD510(SCANTDITRONIX 社製),

全身照射体厚補正バック(密度:1.41 ~1.42

g/cm3,オリオン電機社製).照射は,以下に示

す方法で実施した.線種:10 MV X 線,線量率:

8.4 cGy/min,処方線量:2 Gy/fr., 2fr./day,3 days,

Total 12 Gy,Long SAD 法(SAD : 450 cm),左

右対向二門照射.ここで,基準線量および体厚

補正方法を以下に示す.各治療患者の MU 算

出方法は,骨盤部の左右方向 1/2 体厚から算出

する.また,体厚補正方法は,頭頸部と下半身

に対し,骨盤部の左右方向体厚と可能な限り等

しくなる様に全身照射体厚補正バックを設置

する.線量測定は,ファーマー型線量計を骨盤

部に配置した.半導体線量計は,全身 5 箇所(頚

部,胸部,腹部,骨盤部,膝部)の入射側と射

出側に配置し,入射側および射出側の平均値を

中心線量と定義した.

【結果】

ファーマー型線量計による骨盤部の 95 %信

頼区間は,下限値:1.99 Gy,上限値:2.01 Gy

であった.また,半導体線量計による全身 5

箇所の 95 %信頼区間は,以下の結果となった.

頚部:下限値:1.99 Gy,上限値:2.02 Gy,

胸部:下限値:1.98 Gy,上限値:2.02 Gy,

腹部:下限値:1.98 Gy,上限値:2.01 Gy,

骨盤部:下限値:1.98 Gy,上限値:2.00 Gy,

膝部:下限値:1.99 Gy,上限値:2.02 Gy.

【考察・結語】

本報告における線量測定に関する問題点は,5

箇所のみの線量測定を実施したものであり,全

身照射体厚補正バックによって補正された全

部位を詳細に測定した結果ではないことが挙

げられる.また,半導体線量計の設置位置精度

の曖昧さや患者の体に貼り付けることによる

温度依存性の検討についても今後検討し,改善

することが必要である.ここで,半導体線量計

の測定結果は,入射側および射出側の測定から

得られた線量を計算から算出して推定を行っ

たものであるが,本報告で定義・採用した“入

射側および射出側の平均値”とファーマー型線

量計を Solid Water Phantom 内の中心に挟み込

んだ中心線量との測定結果の比較は,概ね

1.0%以内での相違を観察するのみであった.

したがって,全身照射における体厚補正バック

の利用は,補正方法の簡便さ,照射中の体位の

安定性の向上,比較的安定した線量測定結果の

算出の可能性などを考慮した場合,照射手技に

対する負担の軽減や医療安全上の利点が大き

いことを結論づけることが可能である.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

119

59 IGRT システムにおけるイメージングプレートによる入射表面線量

高知大学医学部附属病院 放射線部

都築 明 伊東 賢二 横田 典和 佐々木 俊一

鈴木 公彦 明間 陵 下司 博之

<目的>

当院では高精度放射線治療統合システムが導

入され、IMRT や定位放射線治療を行っている。

その位置合わせには ExacTrack X-Ray を使用

している。毎回 2 方向からの位置合わせを行う

にあたって、患者の入射表面線量の把握と、位

置合わせの精度を損なわず撮影条件をどの程

度まで下げることができるのかイメージング

プレート(以下、IP)を用いて検討した。

<方法>

IPを使用してExacTrack X-RayのX線管球と

IP 読取り機の入出力特性を測定した。

また、アクリルファントムを使用して管電圧や

mAs値を変化させ、ExacTrack X-Ray のFPD

に映った撮影画像の画質の評価をランドルト

環(5mm 厚)を用いた視認率により行った。

また、標準コントラスト(最適なコントラスト)、

強調コントラスト(最もコントラストを強くし

たもの)と画像の条件を変えて視認率で評価し

た。

次に、アクリルファントムの下にカセッテ(IP)

を置き、視認率が 50%前後になる撮影条件で

撮影し、IP 読取り機で digital 値を求め、変換

40954095-

4200log

101032

1 10値digital

QRX

で IP 到達線量に変換した。 これらの方法によ

り、IP 到達線量を患者の入射表面線量と仮定

した。

ExacTrac システムは骨での位置合わせの他に、

前立腺に埋め込んだゴールドマーカーでの位

置合わせにも使用されるので、ゴールドマーカ

ーを使い、撮影条件を変えて見え方を確認した。

<結果・考察>

今回使用したアクリルファントム(30×20cm)

において、視認率を 50%以上とした場合 、表

のようになった。

医療被曝ガイドライン 2000 において、X 線単

純撮影における腹部、骨盤部の入射表面線量は

3mGy となっているので、120kV 13mAs の入

射表面線量は 0.5mGy なので、十分に低い値

だった。

また、100、120kV と同様に、ゴールドマーカ

ーは 3.2mAs でも確認できたが、周辺の情報

(ガス、便など)がないので、120kV の強調

コントラストで 13mAs は必要と考える。

<結論>

体幹部の撮影条件は 120kV、13mAs で、撮像

画像を強調コントラストにすることで位置を

把握するための画像としては十分である。また、

入射表面線量を低く保つことができる。

マーカーでの位置合わせでは、120kV の強調

コントラストで 13mAs あれば、マーカーと周

辺の情報を確認できる。

管電圧[kV] mAs値 入射表面線量[mGy]100 40 1120 20 0.77

管電圧[kV] mAs値 入射表面線量[mGy]100 40 1120 13 0.5

標準コントラスト

強調コントラスト

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

120

60 kVCBCT の Half Fan scan における中心付近の吸収線量の検討

広島大学病院 診療支援部 放射線治療部門

河原大輔 大野吉美 中島健雄 相田雅道 河合信太朗

越智悠介 奥村拓朗

[目的]

近年 Cone Beam CT(CBCT)により治療前の位

置照合を3次元的に行うことができる.撮

像方法は Half Fan scan と Full Fan scan

があるが, Half Fan scan は X 線束が中心

付近をオーバーラップして撮像する. 今

回我々は,Half Fan scanにおける中心付近

の吸収線量を検討したので報告する.

[使用機器]

・CBCT: CLINAC iX(VARIAN)

On-board-Imager

・線量計:ガラス線量計

(旭テクノグラス株式会社)

・rando phantom(Phantom raboratory)

[方法]

①水等価ファントム上にガラス線量計素子

を配置し,Full Fan Scan(専用 filter),Half

Fan Scan(専用 filterあり),Half Fan

Scan(filterなし)の 3条件で撮像し比較.

②水等価ファントム上にガラス線量計素子

を配置し, Half Fan Scan modeで over lap

部分を縮めることで overlap 部分の線量比

較を行う.

③Half Fan Scan modeで rando phantomに

線量計を入れ撮像する.

[結果]

・Full Fan Scan,Half Fan Scan(filter な

し)に比べ,Half Fan Scan(filter あり)

では周辺線量が低下する傾向が見られ

た.

・左右では右側(gantry90°側)が左側

(gantry270°側)に比べ線量が高かった.

・over lap 領域(Blade)を減らしても 2cm

以上でほとんど線量変化は見られなかっ

た.

・Half Fan scan で rando phantomにおい

ても中心付近の線量増加が認められた.

[考察]

・Half Fan scanでは filterの影響で周辺

部の線量低減が大きく行われている.ま

た,Full Fan scanより影響が大きい.

・Half Fan scan では over lap 部分による

中心付近の線量増加はほとんどない.

・周辺線量においてカウチの影響(減衰)で

左右でも線量差が生じた.

[結語]

Half Fan scan における中心付近の吸収線

量の検討を行なった.周辺に比べ中心付近

の吸収線量が高いことに最も影響するのは

filter である.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

121

61 前立腺 IMRTにおける体重変動と吸収線量についての検討 愛媛大学医学部附属病院 診療支援部 放射線技術部門

本田弘文 重松健吉 伊達香織 山本竜次 横川新吾 大元謙二 吉本政弘 【背景・目的】

前立腺 IMRT はシェルを用いて固定精度を高

め,治療計画時の体型を維持することにより,

処方線量を計画通り照射している.また,頭頚

部 IMRT は体重の変動が大きいため,再プラ

ンニングを行ったりしている.

前立腺 IMRT でも,体重の変動による,再プ

ランニングの必要性があるかどうか,検討する

必要がある.IGRT で行う CBCT のデータで

は正確な線量分布を得ることができないため,

患者の体重変動による吸収線量の変化を,ファ

ントムを用いて検討した.

【使用機器】

CLINAC iX ,オンボードイメージャ(OBI),

Eclipse Ver.8.6,DD-System,ファントム

Solid Water,電位計 RAMTEC smart,チェ

ンバ PTW 30013,画像解析ソフト Offline

Review

【検討項目】

1. 臨床患者の体重の変動と前立腺部の体厚に

ついての検討. 2.solid water を用いて iso

center 上の,ファントム厚の減少による吸収

線量の変化を検討.3. Eclipse 上で仮想水フ

ァントムを作って, iso center 上のファント

ム厚の減少による吸収線量の変化と,

DD-System での γ 解析の検討.

【1. 臨床患者の体重の変動と前立腺部の体厚

についての検討方法】

前立腺 IMRT 患者 16 人に対して,治療時の体

重と治療 Plan 作成時の体重との差が最も大き

い時の,CBCT を用いて収集した画像と治療

Plan 作成時画像を,画像解析ソフト Offline

Review 上で一致させ,前立腺部の体厚変化量

を測定した.

【2.Solid water を用いてチェンバでの検討方

法】

2009 年 9 月から 2011 年 10 月までの前立腺

IMRT 治療を行った,31 症例の最少 MU 数

Plan. Solid water では H(縦)W(横)D

(奥行き)で,それぞれの厚みを増減出来ない

為,H (縦)方向のみ増減した. ファントム

厚を 200mmから180mmと変化しガントリー

角度 0 度で測定した.*ガントリー角度 0 度

で行うことにより,ファントム表面から iso

center 間の距離が, H(縦)W(横)共に均等

に変化したと仮定した.

【3.仮想水ファントムの検討方法】

2009 年 9 月から 2011 年 10 月までの前立腺

IMRT 治療を行った,31 症例の最少 MU 数

Plan で,Eclipse 上での作成した仮想水ファン

トムを用いて H(縦),W(横),D(奥行き)

200×300×300mm から 160×260×300mm ま

で,H,W を均等に変化した.

【結果】

1.最大体重減少が 2.5kg,減少率 4.3%の時,

前立腺部で体厚が 4.1mm の減少が認められ,

平均-1.8mm減少していた.

2.IMRT の線量検証の線量精度の許容レベル

3%を,solid water と Eclipse 上の仮想水ファ

ントムを用いると,ファントム表面から iso

center 間の減少が約 9mm を超えると 3%の線

量の増加が認められた.

3.IMRT の線量検証の γ 解析の許容レベル

95%を,Eclipse の仮想水ファントムを用いる

と,ファントム表面から iso center 間の減少が

約 9mm を超えると Pass しなかった.

【考察】

前立腺 IGRT を行う時に CBCT を行うと,体

厚の変化を認めるが,今回の臨床患者の体重の

変動と前立腺部の体厚についての検討より,最

大 2.5kg,減少率 4.3%の減少が認められたが,

solid water と Eclipse の仮想水ファントムで

の検討より ,IMRT の DMLC 線量評価基準

3.0%以内であると考えられる.

【結語】

IMRT の線量検証の線量精度の許容レベル 3%

を,ファントム表面から iso center 間の減少が

9mm を超えると 3%の線量の増加が確認され

た.体重の変動が起こらないように注意しなけ

ればならない.

γ解析の許容値 95%

DMLC 線量評価基準 3.0%以内

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

122

62 IMRTにおけるMU独立計算ソフトの計算精度の検証

広島大学病院 診療支援部 河合信太朗、大野吉美、中島健雄、相田雅道 越智悠介、河原大輔、奥村拓朗、隅田博臣

【背景・目的】

IMRT は今後 QA 業務の効率化が課題となる。

当院で使用している MU 独立計算ソフト

「RadCalc」は簡便に MU 値の検証が可能であ

り、IMRT における QA の一助として使用でき

ると考えた。IMRT 照射野における RadCalc

計算線量の精度評価を目的とした。

【対象・使用機器】

2011 年 3月から 8月までに前立腺 IMRT にて

放射線治療を行った 10 症例・治療計画装

置:Pinnacle3D ver8.0(Philips 社)、MU 独

立検証ソフト:RadCalc ver5.2(LS 社)

【方法】

治療計画装置(以下 Pinnacle)と RadCalc の

MU 算出について以下の項目に関して検討を

行った。①臨床プランを使用した比較、②固

定具による SSD 算出の誤差を補正した比較、

③固定具補正(②)+不均質補正を解除し水

等価とした比較、④ガントリ角度を 0度に修

正してファントムに照射した比較、⑤ガント

リ角度補正(④)+不均質補正を解除し水等

価とした比較、⑥RadCalc にて線量誤差が最

小となる MLC 透過係数の検討を行い、補正を

行った比較。

【結果】

【考察】

②-⑥の検討より①臨床データの MU 誤差は

低下し、平均値は 4.7%から 3.7~4.5%となっ

た事から RadCalc の当院における前立腺

IMRT の計算アルゴリズム精度は約 4%の誤差

が存在し、今後簡易 IMRT プランの検討など

によるさらなる解析の必要性が示唆された。

また、各門ごとに MU 誤差の傾向がみられた

ため、RadCalc の IMRT 計算アルゴリズムは

MLC セグメントの影響が大きく、パラメータ

によっては倍以上の誤差がみられた事から

セグメント情報を平均化して 1 つのパラメ

ータとして算出する RacCalc の IMRT 計算ア

ルゴリズムに要因があると示唆された。 【結論】

RadCalc の線量誤差は平均 5%以下であった。

今後、臨床使用に向けてさらなる誤差要因の

特定と誤差低減が必要である。

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

123

63.二次元検出器用ファントムのモデリングの試み 倉敷中央病院 放射線センター

園田泰章 目的 二次元検出器(MapCHECK2:以下 MC2)の専用ファントム(MapPHAN)は、検出器を含むファントム全体を密度 1.05 g/cm3 均一として扱うことが推奨されている。今回はファントム内の構造を数種類に分類し、異なる CT 値を割り当てた場合の精度を検討した。 使用機器 CLINAC-iX (Varian)、 Eclipse Ver8.9 (Varian)、 MapCHECK2 (SUN NUCLEAR)、 MapPHAN (SUN NUCLEAR) 方法 MC2 を MapPHAN に取り付けた状態(以下MC2+MapPHAN)を、4 種類の構造(MapPHAN 部、アクリル部、検出器部、空洞部)に分類した(以下モデリングファントム)。今回は COR 断面で検討を行い、計算アルゴリズムは AAA(Varian)を使用した。 1) MC2+MapPHAN を使用して 10×10cm2照射野 で 90 度、270 度からのデータを取得し、中心、頭側 3cm、足側 3cm でそれぞれ減弱曲線を作成して深さスケーリング係数 cplを算出し、CT-EDテーブルより検出器部の CT 値を求めた。空洞部は検出器部補正後の減弱曲線より求めた。MapPHAN 部、アクリル部は既知の値より CT 値を算出した。 次に、A)密度 1.05 g/cm3 の CT 値、B)CT撮影より得られたそのままの CT 値、C)前述の分類による CT 値、の 3 種類のファントムをEclipse で作成し、2)、3)について検討した。 2) 10×10cm2照射野でガントリー角度 15 度 毎のデータを取得し、角度依存性の比較。 3) 6MV:5 例、10MV:7 例の IMRT 全門検 証プランによるγ解析結果(3%、3mm)の比較。 結果 1) 測定結果より求めた各構造の CT 値は、 MapPHAN 部=0 [HU]、アクリル部=300 [HU]、 検出器部(6MV:-60 [HU]、10MV:85 [HU])、 空洞部(6MV:-1000 [HU]、10MV:85 [HU])、

となった。中心軸と軸外とでは傾向が異なったため、CT 値は頭側 3cm、足側 3cm の値の平均値を採用した。 2) 角度依存性は、6MV、10MV ともに Cが 良好な結果となった(図 1、2)。

3) IMRT 全門検証のγ解析によるパス率は、 C が従来法であるフィルム法に最も近い値となった(表1)。

図 1. 6MV 角度依存性

図 2. 10MV 角度依存性

表 1. γ解析結果 考察 モデリングファントムを使用することにより、1.05 g/cm3均一で使用するよりも従来のフィルム法の検証結果に近い値となった。 エネルギーにより検出器部の CT 値が異なった原因は、MC2 内には原子番号が大きい物質が存在していると予想され、10MV の X 線では、6MVよりもMC2との相互作用において電子対生成の割合が増えたためと考えられる。 今回は 90 度、270 度のみのデータを用いてCT 値を算出しているため、完璧に補正できているわけではない。今後は更に改良を重ね、SAG断面、VMAT 検証での検討を行っていく。

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

124

64 二種類の二次元検出器を用いた前立腺 IMRT に対する

線量検証精度の比較

岡山大学病院 医療技術部放射線部門 1),岡山大学大学院保健学研究科 2)

青山英樹 1),大塚裕太 1),井俣真一郎 1),杉原誠治 1),村崎昌洋 1)

藤井俊輔 1),宇野弘文 1),笈田将皇 2),田原誠司 1),稲村圭司 1)

【背景・目的】

本報告は,前立腺 IMRTにおける線量・線量分布

の治療前検証として,従来から使用されている

Film や電離箱に対し,二次元に多数配列された

半導体または電離箱から構成される二種類の検

出器による線量検証精度の比較を行い,検討と

考察を加えたものである.

【使用機器・方法】

二次元検出器: MapCHECK (Model 1175,

Sun Nuclear Co.) , ImRT MatriXX (IBA

Dosimetry)

Film ( Kodak, X-Omat XV2 film )

Chamber (Scanditronix Wellhofer, CC01 )

Film 解析プリケーション: DD-IMRT (v 9.4)

三次元治療計画装置: Xio (ver. 4.6.0.,

Elekta-CMS Software)

検討項目は,各二次元検出器の物理特性(出力

係数,Beam profile形状)および16例の治療前検

証(Total Beam : 112 本)に関する比較検証を実施

した.線量分布に関する検証は,Depth 10 cm,⊿

D/D≦3.0% and DTA≦3.0 mm(γindex : smaller

than 1.0)にて実施した.閾値設定は,Film: 10%,

30%, 50%と変化させ,二次元検出器は,10%固

定とした.また,中心線量測定は,Depth 10 cm で

の比較を行った.ここで,二種類の二次元検出器

間に存在する測定値の「ばらつき」が,どの程度

の も の か を 具 体 的 に 検 討 す る た め に ,

Bland-Altman 分析を本検討において導入した.

【結果】

まず,物理特性(出力係数,Beam profile 形状)に

関する結果を以下に示す.電離箱に対する

MapCHECK および MatriXX との出力係数の比

較は,4×4 cm2 以上の照射野サイズにおいて

0.5%以内に一致する結果となった.一方で,3×3

cm2 以下では,約 2.0%以上の相違が生じた.10

×10 cm2 における Film,MapCHECK,MatriXX

の Beam profile(特に Penumbra 部)の比較では,

何れも異なる形状を示す結果となった.次に,16

例の治療前検証結果を以下に示す.線量分布に

お け る Bland-Altman 分 析 は , Film vs.

MapCHECK:-7.4%~5.2%,Film vs. MatriXX:

-9.1%~4.9%,MapCHECK vs. MatriXX:-5.1%~

3.7%であった.同様に中心線量に関しては,

CC01 vs. MapCHECK: -2.6%~4.5%,CC01 vs.

MatriXX : -6.0% ~ 4.3% , MapCHECK vs.

MatriXX:-6.9%~4.0%であった.

【考察・結語】

Film,MapCHECK,MatriXX における線量分布

の解析は,同一の評価基準(γ-method による

Pass Rate)による比較を実施したとしても,異なる

Registration(補間,変換,最適化計算)によって

結果が算出されていることを理解することが重要

であり,相関係数等の単純な数値間の比較での

検討では検出器間の詳細な相違を追究するには

限界が生じると考えられる.また,本報告では検

討を行っていないが,各検出器によって解析され

た線量分布(画像)の相互情報量に注目し画像

間の比較を試みれば,より詳細に結果の類似性

を追求できる可能性が考えられる.以上の結果か

ら,IMRT の治療前検証は,二次元検出器の短

所・長所を理解して日常の QA 業務に導入すれ

ば,高精度な治療を安全に提供することが可能で

あることが結論づけられる.

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

125

65 2次元検出器を用いた DVHの評価精度について ~3DVH臨床導入のための検討~

○中桐正人 山田誠一 清川文秋 近藤和人 山下大輔 平田祐希 園田泰章 堀田優子

【目的】

二次元検出器 MapCHECK2 の新機能である 3DVHTM

を臨床導入するために基本的な線量応答特性に

関する評価を行った。

【方法】

文献(QARC-IMRT BENCHMARK)を基に治療計画装

置にて、PTV,OARを含む仮想ファントムを入力後、

10MV,7門 IMRTプランを作成、3DVHソフトにて線

量評価を行った。さらに、投与線量を増減したエ

ラー計画線量を作成し、各線量の比較を行った。

具体的にまず、臨床使用と同じようにオリジナ

ルの TPS 線量(A)と 3DVH での解析を行った測

定線量(B)の比較を行いこれを結果(C)とす

る。次にオリジナル TPS線量から総線量を±5%

させたエラーTPS 線量(D)を作成し、オリジナ

ルの TPS線量(A)とのプランどうしで比較を行

い、結果を(E)とする。さらにエラーTPS 線量

(D)と測定線量(B)との比較を行い、結果を

(F)とする。さいごに(E)と(F)の線量差

の比較、(C)との関係を確認した(図1)。3DVH

線量応答性が良好であれば、もし(C)に差があ

るならEとFの差にも同じ線量差が反映される

ことが予想される。

【結果】

図2において、実際のビームから計算された測

定線量はプランをリファレンスデータとした時

の差がPTVで-1.96、OARで-2.79%の差となった。

比較(E)はプラン同士の比較のため一定とな

り、エラーTPS線量をリファレンスとした時、-5%

プランでは 5.26、+5%プランでは-4.76%の線量

差となった。

図3は、結果(F)と(E)の比較での線量差

が比較Cでの差を反映しているか確認をするた

め、(E)と(F)でさらに差をとり(C)との

比較を行ったものである。この結果、(E)と(F)

の差は結果Cとほぼ同じような差となっている

ことがわかった。

【まとめ】

3DVH の基本的なの応答特性に関する評価を行

った。

±5%のエラーを含む計画線量(D)と計測線量

(B)の比較においても線量差(C)を加味した

差が得られた。その結果 3DVH ソフト上では線量

の増減はきちんと表現されることが確認できた

が、線量の正確性の確認には更なる検討が必要と

思われる。

図1:検証方法

図2:結果C

図3:EとFの差、さらにCとの比較

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

126

66 γ解析ソフトウェアのバージョンの違いによる解析結果の比較

広島大学病院診療支援部放射線治療部門 奥村拓朗,中島健雄,相田雅道,越智悠介,河合信太朗,河原大輔,大野吉美

目的 強度変調放射線治療(IMRT)は治療計画や治療法が複雑であるため,事前の検証が必要不可

欠である.当院においても Gafchromic filmや2次元検出器を用いて検証を行っており,その評価を Verisoft(PTW 社製)を用いてγ解析にて行っている.解析は Verisoft Ver3.1(以下Ver3.1)を用いて行っていたが,2 次元検出器の バ ー ジ ョ ン ア ッ プ に 伴 い , Verisoft Ver4.0(以下 Ver4.0)が導入されγ解析のアルゴリズムの変更が行われた.そこで今回我々は,

2 つのバージョン間における解析結果の変化について比較・検討を行ったので報告する. 方法 1. Image Jにおいて,500×500 pixelの正方形照射野を作成し,自作プログラムにて照射

野 5×5 cm2(0.1 mm/pixel),線量 1Gyのデータに変換し,このデータをリファレンスデータ

とした.続いて,このリファレンスデータに対

し,既知の線量差(-3.1 %~+3.1 %),既知の位置誤差(0.1 mmステップで一定の方向に移動)を含んだ比較データを作成した.リファレンス

データと比較データを Ver3.1および 4.0にてγ解析(3mm/3 %)を行い,初めて許容誤差の逸脱が現れる(pass率 100 %を下回る)線量差,位置誤差を求めた. 2. 前立腺 IMRTのplan 20例をGafchromic film (RTQA2)に照射し,Ver3.1および 4.0にて解析・比較を行った.解析断面は coronalのアイソセンタ面とし,解析するビームは

compositeとした. 結果 1.1リファレンスデータに対し,線量差のみを与えた場合: 比較データの線量差が±3 %の範囲である場合は Ver3.1 および,4.0 ともにpass率が 100 %であり,比較データの線量差が-3.1 %である場合は Ver3.1および,4.0ともに pass率が 0 %であった.しかし,比較データの線量差が+3.1 %の場合 Ver4.0は pass率が 0 %であったのに対し,Ver3.1は pass率が51 %であり,照射野周囲に passする pointが存在した. 1.2リファレンスデータに対し,位置誤差のみを与えた場合: Ver3.1および 4.0ともに,比較データに 3.1 mm を超える位置誤差を与え

た場合,pass率が 100 %を下回り,また,pass

率は比較データを 0.5 mm 移動させるごとに

下がっていった. 1.3リファレンスデータに対し,線量差および位置誤差を与えた場合: Ver3.1は 4.0に比べ,リファレンスに対して高い線量と比較した場

合,位置誤差の許容値が大きくなった. 2. 前立腺 IMRT の検証結果の比較: Ver4.0は 3.1に比べ,平均 1.6±0.9 %低い結果となった(P値 < 0.01). 考察 結果 1.2より,Ver3.1および 4.0ともに 0.5 mm ステップの離散データに変換されるとい

うこと,また結果 1.1 より,Ver3.1 では比較データに対し補間が行われ,線形的なデータに

変換されたと考えられる.図 1に示すように,リファレンスポイントの toleranceを 2つの比較データが挟み込む場合,補間データとの比較

では passとなるが,離散データとの比較ではfail となる.これより,Ver3.1 では離散データと線形データの比較,Ver4.0 では離散データと離散データの比較と考えることができる. また,前立腺 IMRT の検証結果に違いがでた原因としても,上記のアルゴリズムの違いが

考えられる. 結語 同じγ解析という名称の解析であっても,ア

ルゴリズムの違いによって結果が変化するた

め,その特性を理解して運用することが必要で ある.

図 1. 離散データと線形データの比較

(Ver3.1)

中四国放射線医療技術第7号 一般研究発表

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