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Microsoft Power Point Power Point の概要 従来、プレゼンテーション(発表)を行う際には、大きな紙を利用したり、OHP やスライド などが用いられてきたが、最近は、PC 上のプレゼンテーション用ソフトを利用し、それをプ ロジェクタで投影する事が多くなった。Microsoft Power Point(以下、Power Point)は そのプレゼンテーション用ソフトの代表的なものである。Power Point を起動すると、以下 のウィンドウが表示される。 Power Point を起動せよ。 中央には 1 枚の紙のイメージがあるが、これをスライドと呼び、ここに文字や図などを入 れる。このようなスライドを何枚か作り、プレゼンテーション時には、この一つ一つのスライド を画面にいっぱいに表示させ(それをプロジェクタで投影する)、スライドを順次表示させ ていくことにより、プレゼンテーションを行う。 ウィンドウの左側の部分には作成したスライドが小さく、順に並ぶ事になる。 今現れているスライドは表紙用のもので、タイトルとサブタイトルを入れるようになってい る。これらの部分に文字を打ちこむには、その部分をクリックすると、現在表示されている 145

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第9章 Microsoft Power Point

Power Point の概要

従来、プレゼンテーション(発表)を行う際には、大きな紙を利用したり、OHP やスライド

などが用いられてきたが、 近は、PC 上のプレゼンテーション用ソフトを利用し、それをプ

ロジェクタで投影する事が多くなった。Microsoft Power Point(以下、Power Point)は

そのプレゼンテーション用ソフトの代表的なものである。Power Point を起動すると、以下

のウィンドウが表示される。

Power Point を起動せよ。

中央には 1 枚の紙のイメージがあるが、これをスライドと呼び、ここに文字や図などを入

れる。このようなスライドを何枚か作り、プレゼンテーション時には、この一つ一つのスライド

を画面にいっぱいに表示させ(それをプロジェクタで投影する)、スライドを順次表示させ

ていくことにより、プレゼンテーションを行う。

ウィンドウの左側の部分には作成したスライドが小さく、順に並ぶ事になる。

今現れているスライドは表紙用のもので、タイトルとサブタイトルを入れるようになってい

る。これらの部分に文字を打ちこむには、その部分をクリックすると、現在表示されている

145

第9章 Microsoft Power Point

「クリックしてタイトルを入力」といった文章が消え、カーソルが現れる。この状態で入力を

行えばよい。

タイトルには パワーポイントの練習 、サブタイトルには自分の氏名を入力せよ。

ツールバーにある をクリック(挿入(I)⇒新しいスライド(N))すると、新

しいスライドが挿入され、ウィンドウは以下のようになる。

上記を行え。

まず、ウィンドウ左側の部分で、このスライドが 2 枚目のものであることが分かるだろう。中

央の新しいスライドは、1 枚目と少し違っている。Power Point には様々なレイアウトが準

備されており、1 枚目のスライドは表紙用のものが、2 枚目のスライドには、上部にタイトル

を付け、その下には文章が箇条書きで並ぶものとなっている。それ以外にどの様なレイア

ウトがあるかが右側のスライドのレイアウトという作業ウィンドウに表示されている。

作業ウィンドウの様々なレイアウトをクリックし、それがどの様なものである

かを見てみよ(よく分からないものもあると思うが)。 後には、 初に現れ

ていたレイアウト(右図)に戻しておけ。

クリックしてテキストを入力 という部分は箇条書きの設定となっている。文字に対するフ

ォントや大きさなどの指定、箇条書きの設定など(段落番号を設定することも可能)は

Word と同様である。

タイトル部分は 自己紹介 とし、その下には、氏名、出身地、趣味などを箇条書きで入力

せよ。フォントや文字の大きさ、箇条書き等の設定を適当に行い、自分の気に入ったものと

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第9章 Microsoft Power Point

せよ。

これが終了したならば、新しいスライドを挿入し、レイアウトは右に示すものと

せよ。

スライドには文字だけでなく、図を置くこともできる。レイアウトを右上に示したものとした

場合には、スライド中央に下図が現れる。

グラフの挿入

表の挿入 クリップアートの挿入

図の挿入 Media クリップの挿入

図表または組織図の挿入

ここでは図の挿入について説明する。図の挿入 をクリックすると、図の挿入というダイ

アログボックスが現れるが、このダイアログボックスの扱い方はファイルを開くのダイアログ

ボックスと同様である。つまり外部記憶装置上の図形ファイルを指定すればよい。これで

指定した図がスライドに挿入される。挿入された図の扱い方は、第 8 章で説明した Word

に挿入した図と同様である。

data フォルダにある zu というファイルを挿入し、大きさや位置を適当に調整せよ。スライド

のタイトル部分は 図の挿入 とせよ。

スライドショー

完成したスライドをプレゼンテーション等で利用する場合には、スライドショーという機能

を用いる。まず、 初に表示したいスライドをウィンドウ左側で指定した上でウィンドウ左下

にある というボタンをクリックすると、指定したスライドが画面全体に表示される。この

後クリックを行うとスライドが順に切り替わり、全てのスライドが表示された次には「スライドシ

ョーの 後です。クリックすると終了します。」というものが現れ、クリックによりスライドショー

は終了し、元の画面に戻る。スライドショーはメニューバーから スライドショー(D)⇒実行

(V) によっても実行されるが、この場合には常に 1 枚目のスライドからスライドショーが始ま

る。

1 枚目のスライドを指定した上で、スライドショーを実行してみよ。クリックによりスライドが切

り替わることを確認し、スライドショーが終了するまで行え。

以下、この節の終わりまでは説明に従って練習を行え。そのために、スライドショーを再度

実行せよ。

通常の設定では、スライドショーにおいてマウスポインタが表示されない。ただし、スライ

ドショー実行中に、マウスを移動させると画面上にマウスポインタが現れるようになる。更に

この時、画面左下には というものが表示される。この部分をクリックすると、次ペー

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第9章 Microsoft Power Point

ジ右上に示すメニューが現れる。このメニューはマウスの右クリック

(この場合はマウスポインタがどこにあってもよく、またマウスポインタ

が表示されていない状態でも良い)によっても表示される。このメニ

ューから 前へ(P) や スライドショーの終了(S) を指定することによ

り、一つ前のスライドを表示させたり、スライドショーを途中で終了す

ることができる。

ポインタ オプション(O) にマウスポインタを移動させると、右下のサ

ブメニューが表示されるが、ここで、矢印(A) クリックすると(チェックマ

ークが付く)、マウスポインタは常に表示されるようになる。また、ペン

(P) をクリックすると、マウスポインタはペンの形となり、この状態でドラッグを行えば、スライ

ド上に線を引くことができる。線の色は ペンの色(C) により変更できる。ペンにより描かれ

たものは、右上のメニューから スクリーン(C)⇒ペン字の消去(E) を選択することにより消

去される。マウスポインタがペンの状態では、クリックにより次のスライドに移ることはできな

い。右上のメニューを用いるか、ポインタ オプション(O) の部分のサブメニューでペン以

外を指定してからクリックを行う必要がある。ペンで書かれたものは、その時に表示される

だけで、スライドショー終了後あるいは他のスライドを表示させた後に、再びペンで線を引

いたスライドを表示させても、ペンにより描かれたものは表示されない。

ここまでの説明では、スライドショーの操作にマウスを用いてきたが、キーボードから行う

こともできる。次のスライドに移るには スペースキー を、前のスライドに戻るには Back

space を、スライドショーを終了させるには Esc を押せばよい。より詳しくは、前ページ下

のメニューで ヘルプ(H) を参照してもらいたい。

ファイルへの保存と読み込み

Power Point におけるファイルへの保存や読み込みなどは、Word 等と特に変わった

点はない。

この章で練習した結果は、practice フォルダに kadai8 として保存せよ。

保存が終了したならば、次の説明のために、新しいスライドを 1 枚挿入せよ。スライドの位

置は一番 後とする(一番 後に新しいスライドを挿入するには、それまで 後にあったス

ライドをウィンドウ左側で指定してから挿入の作業を行えばよい。また、スライドの順序を変更

したい場合には、ウィンドウ左側に表示されているスライドの縮小表示をドラッグすればよい)。

スライドのレイアウトは 2 枚目と同様、箇条書きを行うものでよい(特に設定を変更しなければ、

新たに挿入したスライドのレイアウトはこれになっている)。

スライドの実態

現在スライドには、タイトルと箇条書きの部分があり、それぞれは四角の点線で囲まれて

いる。実はこれは第 8 章で説明したテキストボックスである。テキストボックスについて少し

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第9章 Microsoft Power Point

復習しておこう。テキストボックスはその内部に文字列を配置するものであり、その大きさ

や位置は自由に変更できる。テキストボックスを扱う場合、その内部をクリックするとカーソ

ルが現れ、文字列の入力や削除など、内部の文字列を扱う状態となる。この状態では、テ

キストボックスはやや太く薄い線で囲われている。この状態で、その枠線をクリックすると、

枠線はそのままで、内部のカーソルが消える(Power Point において、そのテキストボック

スにまだ何も書き込んでいない場合には、テキストボックス内部は 初に表示されていた

ものに戻る)。この状態はテキストボックスそのものが指定された状態である。この状態で

枠線部分をドラッグすると、○印の部分ならば、大きさが変更され、それ以外の部分では

位置を変えることができる(マウスポインタの形状に注意)。また、この状態で、Delete を押

せば、テキストボックスそのものを削除することができる。

箇条書き部分のテキストボックスについて、位置や大きさの変更を行い、 後にそれを削

除せよ。

スライド上に新たにテキストボックスを置くことも可能であり、挿入(I)⇒テキストボックス(X)

⇒横書き(H) を行い、スライド上を適当にドラッグすることにより、横書きテキストボックスが

挿入される。新たに挿入されたテキストボックスの幅はドラッグしたものとなるが、高さは 1

行分にしかならない。高さは内部にテキストを入力していくことにより、自動的に高くなって

いく。なお、新たに挿入されたテキストボックスの文字の大きさはプレゼンテーション用とし

てはやや小さめとなっているので、必要ならば文字の大きさ等を変更する必要がある。も

ちろん、テキストボックスは一つだけでなく、複数配置することもできる。

新たな横書きテキストボックスを挿入し、そこに以下の文章を入力し、テキストボックスの

高さがどのようになるかを確かめよ。また、文字の大きさを 40pt(ポイント)に変更し、表示が

どのように変化するかも確かめよ。 後に、テキストボックスの幅や位置を調整することによ

り、このテキストボックスがスライドの中央当たりに表示されるようにせよ。以下で<改行>と

なっている部分は Enter を押せばよい。

これはテキストボックスの練習です。テキストボックスの高さは 初は 1 行分ですが、文字

を打ち込んで行くに従って、高さも高くなっていきます。<改行>

改行を行った結果はどうでしょうか。高さは自動的に変わりますが、幅の方は変化しませ

ん。

結局スライドというものは、基本的にはその上にテキストボックスや図などを配置しただけ

のものである。スライドを作成する時には、Power Point の方で準備したレイアウトをその

まま利用しても良いし、テキストボックス等の位置や大きさを変更し、あるいはそれらを削

除したり、新たなテキストボックス等を挿入して自由にレイアウトを行うこともできる。

図形描画

Power Point のウィンドウ下段には次ページ上に示す図形描画のツールバーが表示さ

れている。このツールバーを利用して、直線や四角形などの描画やそれらの図形の線の

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第9章 Microsoft Power Point

太さ、色などの設定を行うことができる。

図表または組織図の挿入 クリップアートの挿入

ワードアートの挿入 図の挿入

オブジェクトの選択 矢印 四角形 塗りつぶしの色

直線 楕円 線の色

(横書き)テキストボックス フォントの色 3-D スタイル

縦書きテキストボックス 線の種類 影付きスタイル

実線/点線のスタイル 矢印のスタイル

なおこのツールバーは、Word において図形描画のツールバーを表示させた時に現れ

るものと同じものであり、以下で説明する図形描画については、Word でも同様に(微妙に

異なる点もあるが)操作できる。

5 枚目のスライドを挿入し、レイアウトは右に示すものとせよ。以下この節の

終わりまでは、このスライドを使って、説明に従って自由に練習を行って良い。

直線を引くには、直線 ボタンをクリックした後に、スライド上でドラッグを行

えばよい。ただし 1 回直線を引くと、システムの状態は オブジェクトの選択 となってしまう

ので、別の直線を引くには、もう一度 直線 ボタンをクリックする必要がある。垂直あるい

は水平の直線を引きたい時には、Shift を押しながらドラッグを行うとよい。線の色や種類

(線の太さ)、スタイル(実線、点線等)を変更したい場合には、該当する直線をクリックし、

それが対象となっている状態(その図形に○印が付く。直線等を引いた直後もこの状態と

なっている)で、該当するボタンをクリックして行う。線の色 については、直接そのボタンを

クリックすると、現在設定されている色となり、その他の色としたい場合には、ボタン右側の

▼ ボタンをクリックし、指定する。線の種類、実線/点線のスタイル、矢印のスタイル をク

リックした場合には、メニューが現れるので、その中から該当するものを選ぶ。矢印付きの

直線を引きたい場合には、矢印 ボタンをクリック後、ドラッグを行ってもよい。この場合に

は、ドラッグした終点に矢印が付く。

四角形 ボタンをクリックし、スライド上をドラッグすれば四角形が描かれる。このとき

Shift+ドラッグとすれば、正方形となる。楕円についても、そのままドラッグを行った場合に

は楕円が描かれ、Shift+ドラッグとすると正円となる。これらの図形の内部は、先ほどの線

の色と同様の方法で、塗りつぶしの色 ボタンを使って自由な色の設定が行える。またここ

で 塗りつぶしなし とすれば枠線だけからなる図形となる(内部は塗りつぶされていない

ので、下の図形が見える)。また線の色の設定により、枠線のない図形とすることもできる

(線なし を指定)。

図形については、影付きスタイル ボタンや 3-D スタイル ボタンにより、効果を付けること

もできる。

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第9章 Microsoft Power Point

また、この図形描画のツールバーにはテキストボックスと縦書きテキストボックスのボタン

がある(前者は横書きテキストボックスを指す)。テキストボックスを挿入する場合には、この

ボタンを利用しても良い。フォントの色の設定もツールバー上のボタンから行える。

図形をクリックすると、その枠線に○印が現れる(図形を描いた直後もそうなっている)。

これはその図形が選択された状態であることを示す。この状態で、上記で述べたような図

形に対する様々な設定を行える他、位置や大きさを変更できる。○印の部分にマウスポイ

ンタを移動させると、マウスポインタの形状は両向き矢印となり、この状態でドラッグを行え

ば大きさが変更される。図形上のそれ以外の部分にマウスポインタを移動させた場合には、

4 方を向いた矢印となるが、この状態でドラッグを行えば移動が行われる。移動の際、

Shift を押しながらドラッグを行うと、水平あるいは垂直方向への移動となり、Ctrl を押しな

がら行えば、コピーが行われる(Shift と Ctrl の両方を押しながら操作することもできる)。

また、コピーボタン等により、クリップボードを使ったコピーも行える。

複数の図形が重なった状態では、後に描いた図形が上にあり、その下の図形は隠れて

しまう(塗りつぶしなしを指定した場合を除く)。このように、描かれた図形には順序があり、

より後に描かれた図形が上となっている(一つ一つの図形や

テキストボックスなどが透明なシート 1 枚ずつに書かれており、

それらを全て重ね合わせて見ているというイメージである)。

この順序は変更できる。順序を変更するには、その図形を指

定した上で、図形描画ツールバーの 図形の調整(R) という

部分をクリックすると右に示すメニューが現れる。ここで 順序

(R) という部分にマウスポインタを移動させるとサブメニュー

が開き、そこで図形の順序を指定すればよい。

複雑な図形などでは、直線などいくつかの図形を組み合わせて一つの図形を描くことが

ある。こうしてできあがった図形の位置などを変更する場合、その構成要素一つ一つを移

動させるのは面倒である。このような場合には、複数の図形を同時に指定することを行え

ばよい。複数の図形を同時に指定するには、始めに一つの図形を指定し、それに続く指

定を行う際に、Shift を押しながらクリックとすれば、それまで指定されていた図形に加え

て、新たに指定した図形が付け加わる。この状態で、例えば移動を行えば、指定された図

形全てが同時に移動する。ただし、いくつかの図形を組み合わせてできたものを恒常的

に利用するのならば、それをグループ化しておけばよい。これは、複数の図形を同時に指

定した上で、図形の調整(R) から グループ化(G) を選択する。これによりその時指定さ

れていた図形が一つの図形として扱われるようになる。グループ化したものを取りやめるこ

と(グループ解除)や、グループ解除したものを再びグループ化することもできる。

図形を回転する場合なども、対象となる図形を選択し上で、図形の調整(R) のメニュー

から 回転/反転(P) を利用すればよい。なお、自由に 回転(T) を指定した場合には、

図形の周辺に黄緑色の○印が現れる。この○をドラッグすることにより、図形が回転する。

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第9章 Microsoft Power Point

図形の位置などは基本的にグリッドにより制約され

る。ただしグリッドの扱い方が Word の場合(p.84)と

は少し異なっている。図形の調整(R) からグリッドとガ

イド(I) を選択すると、右に示すダイアログボックスが

表示される。描画オブジェクトをグリッド線に合わせる

(G) にチェックマークが付いている状態の場合、図形

の端点等はグリッド位置にしか置くことができない。こ

のチェックマークをはずすと(クリック)、図形は任意の位置に配置することができる。グリッ

ドの間隔はその下のボックスで設定する(Power Point では常に縦横等間隔になる)。グ

リッドを表示(D) にチェックマークを付ければグリッドが表示される(スライドショーではグリ

ッドは表示されない)。ガイドを表示(I) にチェックマークを付けると、スライド上に縦横の破

線が表示される。この線は図形等の位置を揃える目安として使うものである。ガイドの位置

は、それをドラッグすることにより移動でき、また、Ctrl+ドラッグ により、複数のガイドを表

示させることもできる。ガイドはスライドの外側にドラッグすれば消去される。

図形描画ツールバーにある オートシェイブ(U) をクリックすると、線、コネクタ、基本図

形などの項目が現れ、その中から様々な図形を選択できる。一つだけ紹介すると、線(L) から (フリーフォーム)というものを選択し、マウスポインタをスライド上に移すと、マウ

スポインタの形状は十文字となる。この状態で、何カ所かをクリックすると、それらが直線で

結ばれ、またドラッグを行うとその軌跡が線となり、 後にダブルクリックを行うことにより終

了する。フリーフォームによって描いた図形については、図形の調整(R) から 頂点の編

集(E) を選択すれば、後からその図の修正を行うこともできる。また、矢印のスタイル ボタ

ンを使って、フリーフォームで描かれた線に矢印を付けることもできる。これ以外のオート

シェイブの図形については実際に試してもらいたい。

ここまでの練習をいろいろ行った 5 枚目のスライドはそのままとし、6 枚目の

スライドを挿入する。レイアウトについては、右図のものとせよ。タイトルは図形

の練習とし、その下に以下の図形を描いてみよ。

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第9章 Microsoft Power Point

左側の図形は、円と 2 本の直線からなる図形を 1 つ作り、それをコピー、回転などを行っ

て完成させたものである。基本となる円と 2 本の直線からなる図形(一番左側の図形)をま

ず作ってみよ。

正確に綺麗な図形を描こうとすると、意外と難しい。この図を描くには次のようにすると良い。

まず、正円を描くのであるが、後で直線と組み合わせることを考えると、この円の中心はグリ

ッド上にあった方がよい。グリッドを表示しておく。円の中心をグリッド上に配置するには、まだ

説明は行っていなかったが、Ctrl を押しながら円を描けば実現される(正円を描くので、実

際には Ctrl と Shift の両方を押しながら描く)。(必要ならば、この円を移動した後)、円の中

心の正確に左側から、直線を 1 本描く。円と接する部分は必ずしもグリッド上にはないかもし

れないので、ここでは適当な直線を描いてから、描画オブジェクトをグリッド線に合わせる を

解除し、うまく直線が円に接するようにする。この時、もう一方の端点(グリッド上にある)は動

かさないようにする。次に、この直線をコピーし、コピーした直線に対し、上下反転を行ってか

ら、左側の端点が一致するように移動すれば綺麗に仕上がるだろう。

次に今描いた円と直線からなる図形をグループ化し、コピーを 3 つ作る。一つのコピーをコ

ピー元と一致するように移動し、左右反転を行う。そのまま、Shift を押しながらドラッグする

ことにより移動すれば、水平に移動することができる。残りの 2 つの図形をそれぞれ右、左に

90 度回転し、前ページに示したように配置する。 後に、円内の色を設定する。ここでは、

左側は赤、上は黄色、右を青、下を緑とした。以下これらの図形を指すときに赤い図形、黄

色い図形などと呼ぶことにする。

右側の図形は、四角と丸で一番上の図形を描き、グループ化した。次にこれを 2 つコピー

し、前ページで示した位置に移動する(上下方向に並べるために、一度、一番上の図形にコ

ピーした図形をぴったりと重ねた後に、Shift+ドラッグにより、その図形を下の方に移動させ

れば、ぴったりと並ぶ)。続いて、それぞれの図形についてグループを解除し、真ん中の図形

は四角を前面に、下の図形は丸の部分を 塗りつぶしなし とした。なお、グループを解除し

た直後は、グループの属していた全ての図形が処理の対象となっているので、一度別の場

所をクリックすることにより、対象ではない状態としてから、該当する図形だけをクリックすれ

ばよい。

これ以降は、図形の移動等は行わないので、グリッドやガイドは非表示としておくと良いだろ

う。

デザインと配色

ここまで用いてきたスライドは、基本的に白地に黒の文字というものであったが、Power

Point ではテンプレートという形で様々なデザインが準備されている。これを適用するには、

ツールバーで をクリック(あるいは、書式(O)⇒スライドのデザイン(D)… を指

定)すると、作業ウィンドウの部分が次ページ右上のようになる。

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第9章 Microsoft Power Point

上記を行った上で、作業ウィンドウのスクロールバーを操作し、どのようなテンプレートがあ

るかを確認せよ。

適当なテンプレート上にマウスポインタを移動すると、そのテンプ

レートの右側に ▼ のボタンが現れ、これをクリックすると、すべて

のスライドに適用(A)、選択したスライドに適用(S)、大きいプレビュ

ーの表示(L) の 3 項目からなるメニューが現れる。大きいプレビュ

ーの表示(L) を選択した場合には、テンプレートの表示が若干大

きくなる(元に戻すには、再度同じ操作を行えばよい)。これは好み

で使い分ければよいだろう。すべてのスライドに適用(A) を選択し

た場合には、そのデザインが全てのスライドに適用され、選択した

スライドに適用(S) を選択した場合には、現在表示されているスラ

イドだけが対象となる。

大きいプレビューの表示(L) を試した後に、ここでは右下に示すデ

ザインを使ってみることにしよう。このデザインに対し、すべてのスライ

ドに適用(A) を選択する。

背景や文字の色を変更することも可能で、これには右の作業ウィ

ンドウ上部にある 配色 を選択する。これにより作業ウィンドウに、

様々な配色のパターンが現れる(具体的には、自分で操作を行

い、見てもらいたい)。この中から利用したい配色を選択すればよ

い。

様々な配色を適用し、スライドがどのように変化するかを確認せ

よ。 後には、 初の配色(配色の一覧の中で 上部のもの)に戻しておけ。

アニメーション

ここまで作ってきたスライドでは、スライドの上に配置された文字列(テキストボックス)や

図・図形(以下これらをコンポーネントと総称することにする)は固定的なものであった。し

かし Power Point では、コンポーネントを、始めは表示されていないが、スライドショーの

途中で表示させるなどということを行わせることができる。こうした効果をアニメーションと呼

んでいる。アニメーションの設定を行うには、まず、アニメーションの対象となるコンポート

ンとを指定した上で、スライドショー(D)⇒アニメーションの設定(M)… を指定する。これに

より、作業ウィンドウがアニメーションの設定というものに変わる。

言葉による説明では分かりにくいので、実際にやってみよう。まず、6 枚目

のスライドにおいて、右に示す赤い図形をクリックし、処理の対象としておく

(この図形はグループ化されているはずである。そうでなければグループ化

を行ってから、この作業を行え)。次にスライドショー⇒アニメーションの設定(M)… を指定し、

現れた作業ウィンドウ上部にある ボタンをクリックする。

154

第9章 Microsoft Power Point

これにより右のメニューが現れるが、この中の 開始(E)⇒1.スライドイン を指定する。開始

(E) にマウスポインタを移動して現れるサブメニューの内容は、固定的なものではないので、

1.スライドイン とはなっていないかもしれない。ここでは、アニメーションを試してみるだけで

ある。従って、必ずしもスライドインでなくても構わないので、一番上に表示された項目を指

定しておけばよい。

次にこれがどのようになるかを確かめてみる。6 枚目のスライドを指定した上でスライドショ

ーを行う。始めに 6 枚目のスライドが表示された時点では、赤い図形は表示されない。ここ

でクリックを行うと(マウスポインタはどの部分にあっても良い)、赤い図形が現れる(しかも動

作を伴って)。

上記の練習問題で見たように、指定したものをス

ライドショーの途中で現れるようにするのが、アニメ

ーションにおける開始の指定である。上記の練習問

題で行ったように、効果の追加 で開くメニューで

開始(E) の部分にマウスポインタを移動するとサブ

メニューが開き、いくつかの項目が現れるが、その

一番下に その他の効果(M)… という項目がある。

これをクリックすると、開始として利用できる全ての効

果を示すダイアログボックス(右)が表示される。な

お、開始(E) の部分にマウスポインタを移動した際

に現れるサブメニューには、頻繁に利用するアニメ

ーションが順に現れるようになる。

右に示す黄色い図形(これもグループ化されている必要がある)を指定した上

で、上記を行い、様々な開始の効果によりどのようになるかを確かめよ。動作を確

認するためには前ページのダイアログボックス下部にある 効果のプレビュー(P)

の部分にチェックマークを付けておくと、指定を行った時点でプレビューが行われ

る(それを見るためには、このダイアログボックスが指定したコンポーネントの上にあると見え

ないので、必要ならば別の場所に移動しておく)。また、実際にスライドショーを実行してみて

も良い。一度スライドショーを実行した後、アニメーションの効果を変更するには、作業ウィン

ドウでその項目を指定する。その結果、作業ウィンドウ上部にある 作業の追加 となっていた

ボタンが 追加 となるので、これをクリックして、設定を行えばよい。

スライドインなどのアニメーションの場合には、作業ウインドウにある 方向 や 速さ のボッ

クスで、現れる方向やその速さを指定することもできる。なお、開始 については、この後で

説明がある。

後には、ベーシック の分類にある アピール とせよ。アピールはもっとも基本となる開始

の動作で、単にそのコンポーネントが表示されるだけである。

アニメーションを設定した項目は、現在表示されているアニメーションの設定という作業

155

第9章 Microsoft Power Point

ウィンドウに並ぶ。この順序がアニメーション実行の順序である。この順序を変更すること

により、アニメーションが実行される順序を変更することができる。順序を変更したい項目

を指定(クリック)した上で(これによりその項目の右側には ▼ ボタンが現れる)、作業ウィ

ンドウ下部の順序の変更部分にある上下の矢印ボタンをクリックする。これでその項目の

表示されている順序、すなわちアニメーションが実行される順序が変更される。なお、順

序の変更は、作業ウィンドウ上でその項目をドラッグすることによっても実現される。

赤い図形と黄色い図形に対するアニメーションの実行順序を入れ替えよ。実行順序が変

更されたことは、スライドショーにより確認せよ。

再びアニメーションの設定についてである。強調という効果は、既に表示されているコン

ポーネントを対象に実行されるアニメーションである。開始の場合と同様に、強調(M) に

マウスポインタを移動すると、サブメニューが現れ、その一番下にある その他の効果

(M)… を指定すると、強調に関する全ての効果がダイアログボックスとして表示される(た

だし、利用できない効果は薄い字で表示されている)。

先ほど、開始のアピールを指定した黄色い図形について、強調も設定してみよう。このよう

に一つのコンポーネントに対し、複数の効果を指定することもできる(それらが矛盾しない限

り)。黄色い図形を指定した上で、 効果の追加⇒強調(M)⇒その他の効果(M)… によりダ

イアログボックスを表示させ、まずは利用できる効果をいくつか試してみよ。この時、今行っ

ている強調のアニメーションの実行順序が一番 後であるよりも、その一つ前の方が(後の

説明のために)都合がよいので、始めに強調の設定を行った上で、赤い図形に対する開始

のアニメーションの前に実行順序を変更し、スライドショーによる確認や、その他の指定を試

してみよ。

後には、はなやか の分類にある ブリンク とせよ。ブリンクはそのコンポーネントを点滅さ

せるものである。

ブリンクなどの効果においては、点滅する回数などを指定することができる。作業ウィン

ドウにある項目を指定すると、右側に ▼ ボ

タンが現れるが、それをクリックし、現れたメニ

ューから タイミング(T)… を選択する。これ

で右に示すダイアログボックスが現れる。この

中の 繰り返し(R) が現在 (なし) となって

いるので、点滅は 1 回だけ行われた。このボ

ックスを書き換えることにより、点滅の回数を

指定できる。また、その上の 速さ(E) のボッ

クスで点滅の速さを設定できる。

先ほど設定した強調のブリンクについて、繰り返しの回数や速さを適当に設定し、スライド

ショーによりどの様になるかを確認せよ。

後に、速さ(E) は 1 秒(速く) に設定し、繰り返し(R) については 次のクリックまで とせ

156

第9章 Microsoft Power Point

よ。これについてもスライドショーで確認せよ。

上記により、クリックを行うごとにそれぞれのアニメーションが実行される。アニメーション

が開始されるタイミングには、これ以外の設定もある。上記のダイアログボックスで、開始

(S) のボックス、あるいは作業ウィンドウにある 開始 のボックスでは、クリック時 の他に

直前の動作と同時 及び 直前の動作の後 という指定ができる。直前の動作の後 を指定

した場合、前ページで示したダイアログボックスを使えば、更に 遅延(D) のボックスで、

直前の動作の後何秒でこの動作を行うかを指定できる。

黄色い図形が点滅するタイミングを 直前の動作と同時 とせよ。この結果、スライドショー

を行うと、クリックにより黄色い図形が表示されると同時に点滅が行われ、もう一度クリックす

ると点滅が終わり(そのコンポーネントは表示され続ける)、赤い図形が現れる。

今度は終了のアニメーションについてである。今までと同様に、終了のメニューにあるそ

の他の効果(M)… を指定すると、様々な終了パターンがあることがわかる。

黄色い図形について終了のアニメーションを設定せよ。この実行順序もブリンクの直後に

変更せよ。様々な終了パターンを試した後に、 後には クリア とせよ。クリア は単にそのコ

ンポーネントを消すものである。

ここまでの作業により、黄色い図形は、クリックにより現れると同時に点滅し、もう一度クリッ

クすると消えるようになる。

また、赤い図形が現れるタイミングを黄色い図形が消えてから 3 秒後となるようにせよ。

後に、右側にある四角と丸でできた図形について、適当なアニメーションを設定してみ

よ。

アニメーションは図形だけでなく、テキストボックス等にも適用できる。テキストボックスに

適用した場合には、テキストボックス内の文字を 1 文字ずつ順に表示させるなどが可能と

なる。

1 枚目のスライドにあるタイトルに対し、開

始のアピールのアニメーションを設定せよ。

次に先ほど ブリンク のダイアログボックス

を表示させたのと同じ要領で、効果のオプ

ション(E)… を指定すると、右のダイアログ

ボックスが表示される。ここで、テクストの

動作(X) のボックスを右図のように 文字

単位で表示 にし、どのようになるかを、ス

ライドショーで確認せよ。

プレゼンテーションに関する注意

Power Point を用いてプレゼンテーション用のスライドを作成するときには、以下のよう

な注意を守った方が良いだろう。

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第9章 Microsoft Power Point

プレゼンテーションを行う場所の広さ(見る人の人数)を考慮した上で、後ろの人まで

読める字の大きさにする必要がある。その際には余白も適度に入れる必要があるこ

とにも注意せよ。

長い文章よりも、それぞれを簡潔に、箇条書きで行った方が良い。

文字の色については、明るい場所でプレゼンテーションを行う場合には、白っぽい

地の上に濃い色の文字に、暗い場所の場合は、濃い色の地に白っぽい文字の方

が見やすい。

初心者は特にアニメーションを多用しがちである。アニメーションはプレゼンテーショ

ンの中でもっとも強調したい所だけに使うなど、 低限の利用にした方が良い。特に

派手なアニメーションは、よほどのことがない限り、プレゼンテーションの途中で行う

ことは避けた方が良いだろう。

総合練習

15 分程度の時間を想定して、自分の出身地(都道府県でも市町村でも、あるいはもっ

と狭い地域でも良い)を紹介するプレゼンテーションを行うためのスライドを作成せよ(スラ

イドの枚数は何枚でも良いが、15 分という時間を考慮すること)。スライドを作成するため

の材料はインターネット等から入手すると良いだろう。

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