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Page 1: №104 平成23年:6月27日申請分 連件1/3 文章・別紙形式 根抵当 … · - 773 - №104 平成23年:6月27日申請分 連件1/3 文章・別紙形式 根抵当権・包括承継:合併による1番根抵当権移転

伊 藤 塾

記述式過去問手口分析講義 - 773 - 不動産登記法

№104 平成23年:6月27日申請分 連件1/3 文章・別紙形式

根抵当権・包括承継:合併による1番根抵当権移転 別紙1の土地及び別紙2の建物に関する,次の【事実関係】に記載された事実に基づき司法書士高橋和子が行った登記申請について,当該登記の申請書に記載すべき申請情報及び添付情報のうち,不動産の表示,代理人の表示,申請年月日及び登記所の表示を除いた事項を,それぞれ記載しなさい。なお,複数の登記の申請が必要となる場合には,最初に申請すべき登記について記載しなさい。 【事実関係】 1 平成 31 年4月1日,あいうXYZ銀行株式会社(別紙3)とXYZ銀行株式会社との間で,吸収合併が行われた。 2 司法書士高橋和子による登記の申請においては,登記の申請に必要な書面については,適法に作成されている。また,別紙1の土地に係る不動産の価額は1億円であり,別紙2の建物に係る不動産の価額は 1,000 万円である。 なお,別紙1の土地は,東京法務局の管轄に属し,別紙2の建物は,横浜地方法務局戸塚出張所の管轄に属しており,関係当事者から依頼を受けた登記申請の内容は,まず東京法務局に申請することができる登記を申請し,当該登記が完了した後に,横浜地方法務局戸塚出張所に申請することができる登記を申請するというものである。 3 司法書士高橋和子は,令和2年6月 29 日,東京法務局に登記の申請を行った。登記の申請情報及び申請情報と併せて提供することが必要な添付情報の提供は,書面を提出する方法によって行われた。 (答案作成に当たっての注意事項) 1 登記の申請は,申請件数が最も少なく,かつ,登録免許税の額が最も低額となるようにする。また,株式会社等法人が申請人となる場合は,当該申請人の会社法人等番号を提供する方法によって,登記申請を行うものとする。 2 解答欄に申請人その他の者を記載するに当たっては,住所又は本店を記載することを要する。また,「申請人の氏名又は名称」欄に解答を記載するに当たり,「申請人」,「権利者」,「義務者」,「所有権者」等の表示も記載し,法人の代表機関を記載すべき場合には,代表機関の資格及び氏名を記載する。ただし,法人が申請人となる場合であっても,会社法人等番号の記載を要しない。 3 添付情報の表示を記載するに際しては,会社法人等番号を除いて,例えば「印鑑証明書(別紙1)」「資格証明情報(別紙2)」のように,添付情報の種類を特定した上で,その後に別紙の番号を括弧書きで記載する。添付された別紙のうちに添付情報となるべきものがない場合には,「代理権限証明情報(別紙2の代表者甲の委任状)」,「印鑑証明書(別紙2の代表者甲の法務局発行の印鑑証明書)」のように,具体的な書面の内容を記載する。また,会社法人等番号の提供により添付を省略することができる情報についても記載すること。 4 別紙1及び2の全部事項証明書並びに別紙3の履歴事項一部証明書は,実際の様式とは異なっている。 5 租税特別措置法等の特例法による税の減免の規定の適用はないものとする。

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伊 藤 塾

項目別過去問集 根抵当権 - 774 -

(別紙1) 表題部(土地の表示) 調整 平成5年9月 22 日 不動産番号 0205555299999 地図番号 余白 筆界特定 余白 所在 中央区銀座一丁目 余白 ① 地 番 ② 地 目 ③ 地 積 ㎡ 原因及びその日付 [登記の日付] 5番2 宅地 200 20 ①③5番から分筆[平成4年5月7日] 余白 余白 余白 昭和 63 年法務省令第 37 号附則第2条第2項の規定により移記 平成5年9月 22 日 権利部(甲区)(所有権に関する事項) 順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項 1 所有権移転 昭和 61 年2月 21 日 第 12222 号 原因 昭和 60 年 12 月 24 日相続 所有者 東京都中央区銀座一丁目3番3号 田中一郎 余白 余白 昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記 平成5年9月 22 日 2 所有権移転 令和2年5月 10 日 第 22222 号 原因 令和2年2月 15 日相続 所有者 東京都中央区銀座一丁目3番3号 田中二郎 権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項) 順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項 1 根抵当権設定 平成 27 年9月 29 日 第 77777 号 原因 平成 27 年9月 29 日設定 極度額 1億円 債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権 債務者 東京都中央区銀座一丁目3番3号 田中一郎 根抵当権者 東京都中央区京橋一丁目1番1号 XYZ銀行株式会社 これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。 令和2年6月 15 日 東京法務局 登記官 木 村 正 印 * 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

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伊 藤 塾

記述式過去問手口分析講義 - 775 - 不動産登記法

(別紙2) 表題部(主である建物の表示) 調整 平成 27 年6月 20 日 不動産番号 010444529888 所在図番号 余白 所在 横浜市戸塚区戸塚町一丁目 200 番地 余白 家屋番号 200 番 余白 ① 種 類 ② 構 造 ③ 床 面 積 ㎡ 原因及びその日付「登記の日付」 工場 鉄筋コンクリート造 陸屋根2階建 1階 200 2階 200 20 20 平成 27 年6月 15 日新築 所有者 東京都中央区人形町一丁目1番1号 いろはレストラン株式会社 権利部(甲区)(所有権に関する事項) 順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項 1 所有権保存 令和1年 12 月1日 第 65432 号 所有者 東京都中央区人形町一丁目1番1号 いろはレストラン株式会社 これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。ただし,登記記録の乙区に記録されている事項はない。 (横浜地方法務局戸塚出張所管轄) 令和2年6月 15 日 横浜地方法務局 登記官 中 村 隆 印 * 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

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伊 藤 塾

項目別過去問集 根抵当権 - 776 -

(別紙3) 履歴事項一部証明書(抜粋) 会社法人等番号 ○○○○-01-○○○○○○ 商号 あいうXYZ銀行株式会社 本店 東京都千代田区丸の内一丁目1番1号 公告をする方法 官報に掲載してする 会社成立の年月日 昭和3年2月2日 役員に関する事項 東京都千代田区大手町一丁目1番1号 代表取締役 佐藤太郎 令和1年6月 25 日就任 令和1年6月 30 日登記 吸収合併 平成 31 年4月 1 日東京都中央区京橋一丁目1番1号XYZ銀行株式会社を合併 平成 31 年4月1日登記 取締役会設置会社に関する事項 取締役会設置会社 平成 17 年法律第 87 号第 136 条の規定 により平成 18年5月1日登記 監査役設置会社に関する事項 監査役設置会社 平成 17 年法律第 87 号第 136 条の規定 により平成 18年5月1日登記 監査役会設置会社に関する事項 監査役会設置会社 平成 18年5月2日登記 会計監査人設置会社に関する事項 会計監査人設置会社 平成 18年5月2日登記 これは登記簿に記録されている閉鎖されていない事項の一部であることを証明した書面である。 令和2年6月 15 日 東京法務局 登記官 東京 太郎 印 * 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

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伊 藤 塾

記述式過去問手口分析講義 - 777 - 不動産登記法

№104 平成23年:6月27日申請分 連件1/3 文章・別紙形式

根抵当権・包括承継:合併による1番根抵当権移転 登 記 申 請 書 登記の目的 1番根抵当権移転 原 因 平成 31 年4月1日合併 根抵当権者 (被合併会社 XYZ銀行株式会社) 東京都千代田区丸の内一丁目1番1号 あいうXYZ銀行株式会社 代表取締役 佐藤太郎 添 付 情 報 登記原因証明情報(別紙3) 会社法人等番号 代理権限証明情報(別紙3の代表者佐藤太郎の委任状) 課 税 価 格 金1億円 登録免許税 金 10 万円 1 実体判断 1番根抵当権者であるXYZ銀行株式会社は,平成31年4月1日,吸収合併により消滅する。吸収合併による消滅は,自然人の死亡に相当する法律事実であり,その効果によって1番根抵当権は吸収合併存続会社に包括承継される。 2 架橋判断 ⑴ 登記の種類の決定 登記すべき権利変動は,主体の変更として「移転」となり,登記の種類は記入登記としての「包括移転登記」となる。 3 手続判断 ⑴ 必要十分な登記事項の主張 登記の目的は,1番根抵当権の全部の移転であるため「1番根抵当権移転」と記載する。登記原因は,吸収合併の効力発生日である合併契約書で定めた合併期日を原因日付として,「平成31年4月1日合併」と記載する。 ⑵ 登記事項の真実性の立証 申請構造は,登記権利者からの単独申請である。登記権利者は,相続に準じ権利の承継性を示すため,「根抵当権者(被合併会社 XYZ銀行株式会社)東京都千代田区丸の内一丁目1番1号あいうXYZ銀行株式会社」と記載する。登記原因証明情報は,あいうXYZ銀行株式会社の履歴事項一部証明書を添付する。単独申請であるため,登記識別情報の提供,印鑑証明書の添付を要しない。 司法書士による代理申請であるため,代理権限証明情報を提供する。 なお,本問は,会社法人等番号を有する法人が登記申請を行う場面であるため,資格証明情報の提供は不要である(令7Ⅰ①イ)。 ⑶ 登録免許税の納付 課税標準は,極度額金1億円であり,これに税率1000分の1を乗じて得た額,金10万円が登録免許税額となる。

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項目別過去問集 根抵当権 - 778 -

【Memo】

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記述式過去問手口分析講義 - 323 - 商業登記法

№91 平成25年 登記申請書作成 株式

100%減資 司法書士法務花子は,令和2年7月5日,事務所を訪れた株式会社甲野商事の代表取締役から,別紙1から5までの書類のほか,登記申請に必要な書類の提示を受け,別紙6の聴取記録のとおりに事情を聴取し,確認をした。司法書士法務花子は,株式会社甲野商事の代表取締役に対し,登記すべき事項や登記のための要件などを説明し,同代表取締役から,必要となる登記の申請書の作成及び登記申請の代理の依頼を受けた。司法書士法務花子は,この依頼に基づき,管轄登記所に対し,令和2年7月8日に登記の申請をすることとした。 以上に基づき,次の問に答えなさい。 問 令和2年7月8日に東京法務局渋谷出張所宛てに申請をすべき登記に関し,当該登記の申請書に記載すべき登記の事由,登記すべき事項並びに添付書面の名称及び通数並びに登録免許税の額を記載しなさい。 (答案作成上のその他の注意事項) 1 登記申請書の添付書面については,全て適式に調えられており,所要の記名・押印がされているものとする。 2 登記申請書の添付書面については,他の書面を援用することができる場合でも,援用しないものとする。 3 解答欄の各欄に記載すべき事項がない場合には,該当の欄に「なし」と記載すること。 4 株式会社甲野商事においては,明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段の定めはないものとする。 (中略) 6 東京都渋谷区は,東京法務局渋谷出張所の管轄である。 (中略) 8 数字を記載する場合には,算用数字を使用すること。 9 訂正,加入又は削除をしたときは,訂正は訂正すべき字句に線を引き,近接箇所に訂正後の字句を記載し,加入は加入する部分を明示して行い,削除は削除すべき字句に線を引いて,訂正,加入又は削除をしたことが明確に分かるように記載すること。

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伊 藤 塾

項目別過去問集 株式 - 324 -

別紙1 【令和2年7月5日現在の株式会社甲野商事に係る登記記録の抜粋】 商号 株式会社甲野商事 本店 東京都渋谷区甲町1番地 公告をする方法 官報に掲載してする。 発行可能株式総数 800株 発行済株式の総数 200株 資本金の額 金1,000万円 株式の譲渡制限に関する規定 当会社の株式を譲渡により取得するには,株主総会の承認を受けなければならない。

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記述式過去問手口分析講義 - 325 - 商業登記法

別紙3 【令和2年5月 25 日開催の株式会社甲野商事の臨時株主総会の議事の概要】 第1号議案 資本金の額の減少の件 下記のとおり,可決承認された。 記 1.減少する資本金の額 金1,000万円 なお,資本金の額については,その全額を減少し,0円とするものとする。 2.資本金の額の減少の効力発生日 令和2年6月28日 第2号議案 募集株式の発行に関する件 下記のとおり,可決承認された。 記 1.募集株式の数 200 株 2.募集株式の払込金額 1株につき金5万円 3.払込期日 令和2年6月 28 日 4.増加する資本金の額 金 1,000 万円 5.割当方法 全株式を株式会社乙野商事から申込みがあることを条件に株式会社乙野商事に割り当てる。 6.払込取扱場所 東京都渋谷区乙町1番地 株式会社丙銀行 渋谷支店 口座名義:株式会社甲野商事 口座番号:普通預金 0112233 7.発行条件 発行済株式の全部を第1号議案の資本金の額の減少の効力発生日に,会社が株主から無償で取得し,令和2年6月 28 日付けで消却することを条件として,募集株式の発行の効力を発生させるものとする。

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伊 藤 塾

項目別過去問集 株式 - 326 -

別紙6 【司法書士法務花子の聴取記録】 1 株式会社甲野商事の令和2年7月5日現在における登記記録の概要は,別紙1記載の登記記録の抜粋のとおりである。 2 株式会社甲野商事は,現に債務超過の状態であり,その状態を解消するため,令和2年5月24日付け官報において資本金の額の減少の効力発生日を同年6月28日とする旨の公告を行い,かつ,知れている債権者全員に対し,各別の催告を行った。この資本金の額の減少について異議を述べた債権者が1名いたが,株式会社甲野商事は,当該債権者に対し,その債務の全額を弁済し,同日までに,資本金の額の減少に関する全ての手続を完了した。 3 株式会社甲野商事は,令和2年5月25日午前10時から午前11時までの間,臨時株主総会を開催した。当該臨時株主総会には,発行済株式総数200株を有する株主の全員が出席し,その議事の概要は,別紙3記載のとおりである。なお,第2号議案については,株主の全員が賛成した。 4 株式会社甲野商事の取締役であるA及びCは,令和2年5月25日,同年6月28日付けで発行済株式の全部を会社が無償で取得すること及び取得した自己株式200株の全てについて消却することを決定し,株主全員との間で,同年6月28日付けで合計200株をそれぞれから取得する旨を合意した。 (中略) 7 株式会社乙野商事は,200株の募集株式の引受けの申込みをし,令和2年6月28日正午にその払込金額の全額を払い込み,株主となった。

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記述式過去問手口分析講義 - 327 - 商業登記法

№91 平成25年 登記申請書作成 株式

100%減資 1 解答例 株式会社変更登記申請書 1 商 号フ リ ガ ナ 株式会社甲野コ ウ ノ商事ショウジ 1 本 店 東京都渋谷区甲町1番地 1 登 記 の 事 由 資本金の額の減少 株式の消却 募集株式の発行 1 登記すべき事項 令和2年6月 28 日変更 資本金の額 金0円 同日変更 発行済株式の総数 0株 同日変更 発行済株式の総数 200 株 資本金の額 金 1,000 万円 1 登 録 免 許 税 金 10 万円 1 添 付 書 面 株主全員の同意書 1通 株主総会議事録 1通 株主の氏名または名称,住所及び議決権等を証する書面(株主リスト) 2通 公告及び催告をしたことを証する書面 2通 債権者に弁済し若しくは弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したことを証す る書面 2通 募集株式の引受けの申込みを証する書面 1通 払込みがあったことを証する書面 1通 資本金の額の計上に関する証明書 1通 ある取締役の一致を証する書面 1通 委任状 1通 (以下,申請日,申請人,申請代理人,登記所の表示は省略) 2 会社の形態 ⑴ 会社の種類の検討 本問の会社は,問題文の記載からその成立年月日が判明しないが,「会社法上の株式会社」として,単に会社法の規定のみを適用して検討して差し支えない。 ⑵ 公開会社か否かの検討 本問の会社は,「非公開会社」である。(詳細は,№90 の2⑵参照。) ⑶ 取締役会設置会社か否かの検討 登記記録に取締役会設置会社である旨が記載されていないため,「取締役会非設置会社」と判断して差し支えない。 ⑷ 監査役設置会社か否かの検討 登記記録に監査役設置会社である旨が記載されていないため,「監査役非設置会社」と判断して差し支えない。 ⑸ 大会社か否かの検討 登記記録から資本金の額が金 1,000 万円と登記されており,別紙6の聴取記録2には「現に債務超過の状態」であることは示されているが,負債の総額は示されておらず,資本金の額から「非大会社」と推認する。 3 100%減資 ⑴ 総説 100%減資とは,会社の再建策のひとつであり,本問の会社のように「現に債務超過の状態」にある会社(別紙6聴取記録2)は,実質的に株式は無価値となっているため,無償で従前の株主の株式の全部を取得し,それを消却すると同時に,スポンサーとなる者に募集株式により新株式を交付し,株主を入れ替えるこ

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伊 藤 塾

項目別過去問集 株式 - 328 -

とで,新株主(スポンサー)に会社の再建を委ねるものである。 本問の会社では,資本金の額の減少,自己株式の無償取得,全株式の消却及び募集株式の発行という一連の手続により 100%減資を行っている。 ⑵ 資本金の額の減少 ① 実体判断 本問では,別紙3の臨時株主総会で資本金の額の減少を決議している。 本問は 100%減資であるため,減少する資本金の額は金 1,000 万円とし,資本金の額を0円としているが,減少額は,減資決議で定める効力発生日における資本金の額を超えてはならないとの制約を受けるに留まり(会 447Ⅱ),資本金の額を0円とする減資は上記の制約に抵触せず,適法である。 ② 架橋判断 100%減資では,資本金の額の減少,株式の消却,募集株式の発行による3個の変更登記を一括申請する。 ③ 手続判断 ⅰ 必要十分な登記事項の主張 登記の事由は,「資本金の額の減少」と記載する。登記すべき事項は,解答例の要領で「株式・資本区」に整理して記載する(規 35Ⅱ)。 ⅱ 登記事項の真実・適法性の立証 登記の事由を証する添付書面は,減資決議を証する「株主総会議事録1通」(法 46Ⅱ),債権者異議の公告及び各別の催告を証する「公告及び催告をしたことを証する書面2通」(法 70),「異議を述べた債権者に弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したことを証する書面2通」(法 70)を添付する。 このうち公告及び催告を証する書面の通数を2通としているのは,官報の切り抜き1通と各別の催告の債権者名簿に催告書の見本を合綴した書面1通の合計2通の意味である。 また,異議を述べた債権者に弁済等をしたことを証する書面の通数が2通なのは,異議を述べた債権者の異議申述書1通と弁済を証する書面1通の合計2通の意味である。 また,代理権限を証する書面として,代表者から司法書士に交付した「委任状1通」(法 18)を添付する。これは,他の登記にも共通するため,以下の解説では指摘を省略する。 ⅲ 登録免許税の納付 登記事項の変更として,申請件数1件について3万円の定額課税となる(登免税別表1.24.⑴.ツ)。 ⑶ 自己株式の取得・消却 ① 実体判断 旧法と異なり,会社法の株式消却は,自己株式の消却に一本化されている。したがって,100%減資を行うには,株式消却の前提として,自己株式を取得しなければならない。 債務超過で破産状態にある会社の株式は,実質的に無価値ではあるが,清算されない限り債務超過か否かは明確でないため,全株主からの株式の無償取得は,会社更生法や民事再生法のように裁判所の判断のような公的チェックが働かない場合には,総株主の同意がある場合にしか行うことができないと解すべきことになる(稲葉威雄・先例百選 p159)。また,無償取得であるため,財源規制もなく,株主総会の決議も要しない(会 155⑬,会施規 27,会 156,同 461)。 本問では,別紙6の聴取記録4から取締役A及びCが5月 25 日に,6月 28日付けで発行済株式の全部を無償で取得することを決定し,株主全員との間で取得の旨を合意しており適法である。なお,自己株式の取得により発行済株式の総数は何ら変更されず,自己株式の取得は登記の事由とはならない。 株式の消却では,消却する自己株式の数(種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない(会 178Ⅰ)。この決定は,取締役会設置会社では,取締役会で決議しなければならず,非取締役会設置会社では,取締役が決定する(平 18.3.31民商 782通)。また,会社法に明文の規定はないが,旧法同様,株式を失効させるための株主名簿の修正・株券の廃棄手続が必要である。 本問の会社は,非取締役会設置会社であるため,上記で取得した自己株式の消却は,3名いる取締役の過半数によって決定しなければならない。本問では,別紙6の聴取記録4で取締役A及びCが5月 25 日に,6月 28 日付けをもって無償取得した自己株式 200 株の全部を消却する旨を決定しており,特に瑕疵事由は存在しない。 なお,本問の別紙6の聴取記録では,株式の失効手続について何の言及もされていない。任意消却を使った旧法下の実務では,失効手続は消却する株式を特定する何らかの行為で足りると解し,効力発生日の0時に資本減少の効力を発生させることが可能であると解して「100%減資」を処理してきており(神崎満次郎「商登通達解説」登記先例解説集 No239p95),それと同様の取扱いをする趣旨と思われる。 ② 架橋判断 100%減資では,資本金の額の減少,株式の消却,募集株式の発行による3個の変更登記を一括申請する。

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記述式過去問手口分析講義 - 329 - 商業登記法

③ 手続判断 ⅰ 必要十分な登記事項の主張 登記の事由は,「株式の消却」と記載する(松井・商登 p304)。登記すべき事項は,解答例の要領で「株式・資本区」に整理して記載する(規 35Ⅱ)。 ⅱ 登記事項の真実・適法性の立証 登記の事由を証する添付書面としては,「ある取締役の一致を証する書面1通」(法 46Ⅰ)を添付する。 ⅲ 登録免許税の納付 登記事項の変更として,申請件数1件について3万円の定額課税となる(登免税別表1.24.⑴.ツ)。 ⑷ 募集株式の発行 ① 実体判断 本問の会社は,非公開会社であり,本件の募集株式の発行は,100%減資のスキームの一環であるため,第三者割当てによるものとなる。非公開会社の第三者割当てによる募集事項の決定は,原則として株主総会の特別決議で行わなければならない(会社 199条2項,同 309条2項5号)。しかし,100%減資では,株式の無償取得及び株式消却と一体をなすものとして募集株式の発行を行うため,上記⑶①で述べたとおり,株主全員の同意がその前提となっている。別紙6の聴取記録3にも特に第2号議案である募集株式の発行決議については,「株主の全員が賛成」している旨の事実が示されているため,問題はない。 本問は,100%減資の一環としての募集株式発行であるため,資本金の額の減少の効力発生日に,会社が株主から無償で株式を取得し,令和2年6月 28 日付けで当該株式を消却することを募集株式の発行の効力発生要件とする「発行条件」が付されている。 既発行の株式を全て消却し,新たに株主となるスポンサーに新株を発行するため,今回の募集株式の発行には自己株式の処分が含まれず,募集株式の発行の全部の分について発行済株式総数および資本金の額が増加する。 ② 架橋判断 100%減資では,資本金の額の減少,株式の消却,募集株式の発行による3個の変更登記を一括申請する。 ③ 手続判断 ⅰ 必要十分な登記事項の主張 登記の事由は,「募集株式の発行」と記載する。登記すべき事項は「株式・資本区」に整理して解答例の要領で記載する(規 35Ⅱ)。 ⅱ 登記事項の真実・適法性の立証 登記の事由を証する添付書面として,「株主総会議事録1通」(法 46Ⅱ),「募集株式の引受けの申込みを証する書面1通」(法 56Ⅰ),「払込みがあったことを証する書面1通」(法 56Ⅱ),「資本金の額の計上に関する証明書1通」(規則 61Ⅸ)を添付する。さらに,株式の無償取得と一体をなす株式の消却,募集株式の発行について,それが総株主の同意を反映したものか否かを確認することができるよう,旧法下の実例(質疑応答【7795】登研 676p184)にならい「株主全員の同意を証する書面」(法 46Ⅰ)を添付すべきものと考える。 また,発行条件の成就は,募集株式の発行と一括申請する他の登記より明らかとなる。なお,株式の無償取得については,登記の事由となっていないが,株式消却の前提行為であり,株式消却を適法と判断できれば自己株式の無償取得の適法性も推認できると共に,「株主全員の同意を証する書面」からもその適法性を推認できることになる。 ⅲ 登録免許税の納付 募集株式の発行により資本金の額が増加する場合には,増加した資本金の額を課税標準として税率 1000分の7を乗ずる定率課税となる(登免税別表1.24.⑴.ニ)。なお,計算額が3万円未満の場合には,登録免許税額は,申請件数1件について金3万円となる(最低税額の定め)。 本問の場合,増加する資本金の額は金 1,000 万円であるため,これに税率 1000 分の7を乗じた計算額が金7万円となり,その額が3万円以上であるため,当該額が登録免許税額となる。

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項目別過去問集 株式 - 330 -

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