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122 Approach ... ANAグループは財務基盤の強化に取り組んでいます。 財務データの詳細をご覧ください。 Boarding Takeoff Climbing Cruising 全日本空輸株式会社

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Approach...ANAグループは財務基盤の強化に取り組んでいます。 財務データの詳細をご覧ください。

BoardingTakeoff

Climbing

Cruising

全日本空輸株式会社

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124 財務分析 134 事業等のリスク 138 連結財務諸表  143 用語集 144 路線図 146 ANAグループ 147 会社情報

Approach

Landing

In-Flight Service

Approach

アニュアルレポート 2012

「ANAグループ2012-13経営戦略」の概要

全日本空輸株式会社

概況

ANAグループの状況 ANAグループは、全日本空輸(株)(ANA)および、子会社108社、関連会社41社(連結対象範囲は連結子会社62社、持分法適用子会社・関連会社22社)により構成されています。 2012年3月期(当期)は、東日本大震災(以下「震災」)の影響による需要の急減に対して、需要の喚起に努めるとともに、およそ300億円の緊急収支改善策を実施し、収支へ与える影響を極小化すべく取り組みました。加えて、下半期には、2013年3月期から実施予定の1,000億円規模のコスト削減策の一部を前倒しで実施した結果、営業利益は過去最高となったほか、当期純利益も増益となりました。

中長期的な会社の経営戦略 ANAグループは、震災の影響や欧州の政府債務危機などを背景とした世界景気の下振れ懸念、原油価格の高騰、為替変動などにより依然として先行き不透明な中、「アジアを代表する航空企業グループを目指す」という経営ビジョンの達成に向け、LCC事業への参入、世界初のボーイング787型機の営業飛行

開始、およびエアーニッポン(株)との合併(2012年4月1日実施)に向けた諸準備を行ってきました。 航空業界は首都圏空港容量の拡大や航空自由化のさらなる進展、LCCの相次ぐ新設など、大きな転換期を迎えています。こうした環境下で、既存の日系キャリアはもとより、アジア・欧米のフルサービスキャリア、LCCとの本格的な競争時代を迎えるとともに、新幹線の延伸などによる他交通機関との競争も激化することが予想されます。 ANAグループは、このような大競争時代を勝ち抜き、次世代に向けたさらなる成長と飛躍の実現に向けて、2012年2月に「ANAグループ2012-13経営戦略」を策定し、羽田国際化・成田空港容量の順次拡大、ボーイング787型機導入やジョイントベンチャーの活用などを契機とした国際線ネットワークの拡充に取り組んでいます。あわせて、「マルチブランド戦略の確立」「グループ経営体制改革」「構造改革によるコスト競争力強化」の3つを柱とする経営基盤の強化に取り組み、「強く生まれ変わる」ことで常にお客様に選ばれ続けるエアライングループとして、「アジアを代表する航空企業グループを目指す」という経営ビジョンの達成を目指します。

財務分析

・成長戦略の土台づくり

・継続的な財務体質の強化

 経営テーマ

・グループ経営体制の変革

(従来の継続テーマ) ・経営資源の最大活用による経営効率の向上

・強固な収入基盤とボラティリティリスク耐性の確立

マルチブランド戦略の確立 ・ 国際線ネットワークを拡充しながら、フルサービスキャリアとして、LCCとは一線を画すANAブラン

ドの研鑽 ・ 新たなLCCビジネスモデルに基づき、徹底的な低コスト運航体制を実現するとともに、新規需要

を創出

グループ経営体制改革

 具体的な取り組み ・経営と執行を分離し、持株会社による全体最適視点での経営戦略の立案、経営資源の配分を実現

・ グループ各社に権限と責任を委譲することにより、お客様ニーズを的確に把握しつつ、スピーディーに品質・コスト両面にわたる最適な業務を執行

・各事業会社が業務の執行に専念することで、マルチブランド戦略推進ならびに収益最大化を実現

構造改革によるコスト競争力強化 ・ビジネスプロセス改革や組織体制のフラット化を通じて、施設・IT・間接人員体制を最適化 ・直接部門の生産性を中心としたグローバル基準比較に基づく、競争力ある生産構造への変革

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アニュアルレポート 2012

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経営環境経済一般情勢 当期の日本経済は、2011年3月に発生した震災の影響により依然として厳しい状況にある中、個人消費は底堅く推移し、また設備投資は持ち直しの動きが見られるなど、景気全体は緩やかな回復基調で推移しました。一方、欧州の政府債務危機などを背景とした海外景気の下振れ懸念や為替レートの変動、原油価格の高騰などにより、先行きは不透明な状況となりました。

原油価格・為替動向 当期の原油価格は、一年を通じて高止まりの状況が続きました。当期末のドバイ原油価格は120.4ドル/バレル、当期平均価格では110.1ドル/バレルとなりました。 また、シンガポールケロシン製品市況も原油価格に連動する形で推移し、当期末で135.4ドル/バレル、当期平均価格では128.4ドル/バレルとなりました。 円ドル為替相場は、2011年10月に75.3円という史上最高値を記録するなど期中は円高で推移しました。上半期においては平均79.6円/ドルとなり、下半期においては平均78.3円/ドルとなりました。結果、期中平均では79.0円/ドルとなりました。

航空需要動向 2011年における国際航空運送協会(IATA)加盟の航空会社による国際線定期航空輸送旅客数は8.1億人で前年比6.5%の増加、国内線定期航空輸送旅客数は11.0億人で前年比2.9%の増加となりました。また、世界の定期航空貨物の輸送量は前年比0.7%の減少となりました。(IATA World Air Transport Statistics, 2011)

 2012年3月期の国内定期航空運送の旅客数は、7,905万人で前年比3.8%の減少となりました。幹線は3,360万人で前年比3.1%の減少、ローカル線も4,546万人で前年比4.4%の減少となりました。貨物重量は90万トンとなり、前年比4.4%減少しました。2012年3月期の本邦企業の国際航空輸送の旅客数は、1,259万人となり前年比8.1%の減少となりました。貨物重量は107万トンとなり、前年比14.5%減少しました。(国土交通省「航空輸送統計」速報)

2012年3月期(当期)の業績

営業収入・営業利益 当期の営業収入は、震災の影響による減収がありましたが、需要の喚起に努めたことにより、国際線旅客を中心に増収となり、前期比4.0%、538億円増加の1兆4,115億円となりました。 営業費用は、事業規模拡大により営業収入が増加する中でも1兆3,144億円と、前期から1.9%、246億円の増加にとどめることができました。これは、きめ細やかな需給適合を進めたほか、震災直後に策定したおよそ300億円強の緊急収支改善策の展開や、2013年3月期以降で実施予定の1,000億円規模のコスト削減策の一部を下半期に前倒しで実施したことによるものです。以上により、営業利益は前期比43.1%、292億円増加の970億円と過去最高となりました。

セグメント別の状況航空運送事業 売上高は、ビジネス需要の回復や需要喚起策の推進、ボーイング787型機の投入などにより、前期比3.6%増加の1兆2,625億円となりました。(事業別の詳細については、P36~48の「航空運送事業」をご参照ください) 国内線旅客事業は、震災の発生により需要が減退する中で、需要喚起と需給適合に努めました。なお、震災に起因する需要減退は当期末までに概ね解消されています。また、2011年11月より羽田-岡山線・広島線にボーイング787型機を世界初の定期便として投入し、その他の路線にも順次投入しました。当期の旅客数は震災の影響により3.8%減少しましたが、旅客単価はビジネス需要の減退が相対的に小さかったことによる客体構成の改善と、競争力の強化を背景に前期比3.8%の増加となりました。その結果、国内線旅客収入は前期比0.2%減少し、前期より10億円の減収となりました。 国際線旅客事業については、2011年5月より需要が徐々に回復する中で、需給に応じた機材の適正配置に努めました。加えて、訪日需要に対しては、各国からの視察旅行の誘致を行う

ドバイ原油、シンガポールケロシン価格の月別推移(当期)(ドル/バレル)

ドル為替の月別推移(当期)(円/ドル)

ドバイ原油シンガポールケロシン

2011年4月

2011年6月

2011年8月

2011年10月

2011年12月

2012年2月

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2012年2月

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全日本空輸株式会社

など、積極的なイメージ回復に努めたほか、生産量増加に即したマーケティング施策が奏功し、当期の旅客数は前期比13.8%の増加、旅客単価は前期比0.2%の増加となりました。その結果、国際線旅客収入は前期比14.0%増加し、前期より394億円の増収となりました。 貨物郵便事業では、国内線貨物収入が前期比2.6%増加の332億円となりました。国際線貨物は、円高や景気の影響により、日本発の輸出航空貨物を中心に厳しい市場環境となりましたが、輸送重量の確保に積極的に努めた結果、輸送重量は前期比2.4%増加し、国際線貨物収入は前期比2.2%増加の879億円となりました。郵便に関しては、国内郵便、国際郵便ともに前期に比べ増収となりました。 航空運送事業の営業費用は、事業規模拡大により営業収入が増加する中であっても前期より162億円の増加にとどめることができ、前期比1.4%増加の1兆1,740億円となりました。これは、震災直後に策定した緊急収支改善策(コスト削減額320億円)、さらには2013年3月期以降で実施予定の1,000億円規模のコスト削減策の一部前倒し(コスト削減額110億円)の推進が奏功した結果です。 なお前期から営業費用が増加した主な要因は、国際線旅客事業の生産量の増加や市況高騰により燃料費が増加したほか、

空港使用料、機材費、人件費といった生産連動費用の増加によるものです。 以上の結果、航空運送事業の営業利益は前期比46.3%増加の884億円となりました。 営業費用の内訳は上記のとおりです。

〈燃油費及び燃料税〉 燃油費及び燃料税は、前期比2.7%増加の2,631億円となり、航空運送事業の営業費用に占める割合は、前期の22.1%から22.4%となりました。 燃料消費量に関しては、国内線を中心とした需給調整に加えて、エンジン洗浄や最適飛行高度を選択して燃費の効率化を図るフューエル・マネジメント(燃費効率化)などの対策を講じた結果、一定度抑制されましたが、国際線の生産量拡大によって全体の消費数量は増加しました。為替が円高基調となったことは費用削減要因となりましたが、前期に比べ燃油市況水準が高値圏で推移を続けたため、燃油費の増加要因となりました。 燃料税については、航空機燃料税の軽減があり費用削減要因となりました。

単位:百万円

3月31日に終了した1年間 2012 2011 2010

「航空運送事業」費用: 燃油費及び燃料税 ............................................................................... ¥ 263,123 ¥ 256,292 ¥ 249,920

空港使用料 .......................................................................................... 94,532 93,842 92,443

航空機材賃借費 ................................................................................... 67,131 63,934 60,383

減価償却費 .......................................................................................... 117,234 116,287 111,366

整備部品・外注費 ................................................................................. 45,760 46,296 56,286

人件費 ................................................................................................. 251,064 243,347 229,760

販売費 ................................................................................................. 63,532 67,098 76,577

外部委託費 .......................................................................................... 86,371 83,804 81,521

その他 ................................................................................................. 185,335 186,888 188,388

1,174,082 1,157,788 1,146,644

「旅行事業」費用 ....................................................................................... 155,045 156,744 166,994

「その他」費用 .......................................................................................... 134,328 134,150 134,143

営業費用合計 ...................................................................................... 1,463,455 1,448,682 1,447,781

セグメント間取引 ..................................................................................... (148,973) (158,837) (165,181)

営業費用(連結) ....................................................................................... ¥1,314,482 ¥1,289,845 ¥1,282,600

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アニュアルレポート 2012

財務分析

〈空港使用料〉 運航回数は、国内線が前期比1.2%の増加、国際線が前期比16.3%の増加、貨物機が前期比3.2%増加しました。空港使用料は、主に国際線運航回数が増加したことから、前期比0.7%増の945億円となりました。

〈航空機材賃借費〉 航空機材賃借費は、前期比5.0%増加し、671億円となりました。リース機数は、前期末から10機減少の60機となりましたが、国内提携航空会社との提携路線数が増加したことにより座席買取費用が増えました。

〈減価償却費〉 減価償却費は、前期比0.8%増加し、1,172億円となりました。自社保有機全体では前期から14機増えて166機となり、航空機の償却費を中心に増加しました。

〈整備部品・外注費〉 整備部品・外注費は、前期比1.2%減少の457億円となりました。これは、海外整備の内注化を推し進めたことと、エンジンの整備などが減少したことなどが主な要因です。

〈人件費〉 人件費は、前期比3.2%増加の2,510億円になりました。コスト構造改革による費用削減を計画どおり実行し、一時金の水準の見直しや管理職賃金の減額などを行いましたが、当期の業績が大きく改善したことから業績連動部分が増加しました。

〈販売費〉 販売費は、前期比5.3%減少の635億円となりました。販売企画費を削減したことが主な要因です。

〈外部委託費〉 外部委託費は、新たに連結対象とした子会社の費用や、外航受託ハンドリングなどが増加した一方で、需給適合を進めた結果、オペレーションコストの削減につながり、前期比3.1%増加の863億円にとどまりました。

〈その他の費用〉 その他の費用は、広告宣伝費や賃借費、その他管理可能費の削減に努めた結果、前期比0.8%減少の1,853億円となりました。

旅行事業 国内旅行は、震災の影響により上半期における関東・東北方面への商品の落ち込みが大きかったものの、2011年10月以降は前期を上回る取扱高に回復した結果、当期の国内旅行売上高は前期並みの水準となりました。 海外旅行は、震災の影響により旅行需要が一時減退しましたが、円高の影響や需要喚起策の実施により、2011年7月以降は中国を除き各方面で震災発生前の水準に回復した結果、当期の海外旅行売上高は前期を上回りました。 以上から、旅行事業の売上高は、前期比0.3%減少の1,589億円となりました。営業費用は、コスト削減に努めたことなどにより、前期比1.1%減少の1,550億円となり、営業利益は前期比48.2%増加の39億円となりました。

旅行事業内訳 単位:百万円

2012 2011 2010

 国内パッケージ  商品収入 ¥126,296 ¥127,627 ¥132,459

 国際パッケージ  商品収入 23,509 21,558 21,189

 その他の収入 9,147 10,196 13,328

営業収入合計 158,952 159,381 166,976

営業費用合計 155,045 156,744 166,994

営業利益合計 3,907 2,637 (18)

その他 その他は、情報通信、商事・物販、物流およびビル管理ほかの事業からなっています。商事・物販事業を行っている全日空商事(株)については、震災の影響で空港店舗・機内販売を中心とした顧客サービス事業が低迷したことに加え、航空機事業における取り扱いが減少しました。 以上から、その他の売上高は、前期比0.4%減少の1,384億円となりました。一方で、コスト削減に努めたものの、営業費用は前期からほぼ横ばいの1,343億円となり、その結果、営業利益は前期比14.3%減少の41億円となりました。

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全日本空輸株式会社

その他内訳 単位:百万円

2012 2011 2010

 商事・物販収入 ¥ 90,231 ¥ 93,799 ¥ 92,958

 情報通信収入 26,042 24,950 25,780

 ビル管理収入 19,032 17,226 15,132

 その他の収入 3,147 2,988 3,616

営業収入合計 138,452 138,963 137,486

営業費用合計 134,328 134,150 134,143

営業利益合計 4,124 4,813 3,343

※ 2011年3月期からセグメントの区分を、報告セグメント(「航空運送事業」 および「旅行事業」)と「その他」に変更しており、これに伴い、2010年3月期の 数値については遡及修正しています。

営業外損益・特別損益 営業外損益・特別損益は前期の327億円の損失に対し、335億円の損失となりました。航空機などの資産売却益が前期から37億円増加するとともに、航空機部品などの資産売却損、資

産除却損の計上額が前期から34億円減少しました。また、前期は独禁法関連引当金戻入益167億円の計上のほか、和解金68億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額21億円を計上しましたが、当期は発生しませんでした。

当期純利益 以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期比80.9%増加の634億円となりました。法人税等の合計は、法人税率引き下げに伴う繰延税金資産の一部取り崩しもあって352億円となり、当期純利益は前期比20.9%増加の281億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の9.29円から11.22円となりました。 なお、包括利益については、その他有価証券評価差額金がプラスになったものの、繰延ヘッジ損益が138億円減少したことなどから、331億円となりました。

単位:百万円

3月31日に終了した1年間 2012 2011 2010

受取利息及び配当金 ...................................................................................... ¥ 2,452 ¥ 2,597 ¥ 2,672

支払利息 .......................................................................................................... (19,578) (19,314) (18,160)

為替差損益 ...................................................................................................... (192) 1,437 1,694

資産売却益 ...................................................................................................... 4,166 414 1,092

資産の売却損及び除却損 ............................................................................... (8,618) (12,116) (14,068)

減損損失 .......................................................................................................... (1,746) (315) (1,253)

持分法による投資損益 ................................................................................... 526 684 (204)

投資有価証券売却損益 .................................................................................. (282) — 18

補助金収入 ...................................................................................................... 440 2 67

独禁法関連引当金戻入益 ............................................................................... — 16,729 —

投資有価証券評価損 ...................................................................................... (10) (3,536) (644)

退職給付会計基準変更時差異の処理額 ....................................................... (6,396) (6,425) (6,423)

特別退職金 ...................................................................................................... (2,442) (192) (4,467)

リース費返却時改修費用................................................................................ (2,170) (2,846) (1,899)

和解金 .............................................................................................................. — (6,835) —

資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額 ................................................ — (2,130) —

厚生年金基金代行返上益 ............................................................................... — 38 1,723

受取損害賠償金 .............................................................................................. — 76 273

独禁法関連引当金繰入額 ............................................................................... — — (648)

独禁法手続関連費用 ...................................................................................... — (693) (856)

その他の収益 .................................................................................................. (259) (325) (263)

合計 .................................................................................................................. ¥(33,591) ¥(32,750) ¥(41,346)

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アニュアルレポート 2012

財務分析

キャッシュ・フロー

資金源泉についての基本的な考え方 ANAグループは、設備投資を営業キャッシュ・フロー(リース元本償還額を含む)の範囲内で行い、フリー・キャッシュ・フローのマネジメントによって、有利子負債の増加を抑制しながら自己資本を充実させていくことを資金マネジメントの基本方針としています。また、中長期的な競争力強化のための戦略投資を継続的に行いながら、同時に財務の健全性を高めていくことを目標にしています。 資金調達については、主として借入や社債発行により調達しています。また、有事においても事業運営に必要な資金を確保するために、国内主要金融機関14社と合計1,100億円のコミットメントラインを締結しています。当期末におけるコミットメントラインは、全額未実行となっています。 ANAグループにおける主たる設備投資である航空機材などの投資に対しては、国際協力銀行による製品輸入保証制度を活用した金融機関からの借入が可能です。

当期の状況 当期の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは480億円の収入となり、財務キャッシュ・フローは161億円の収入となりました。その結果、現金及び現金同等物は前期末に比べて642億円増加し、期末残高は2,658億円になりました。

営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が好調に推移したことに伴い税金等調整前当期純利益が前期の350億円から283億円増加して634億円の利益となり、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務および税金等を加減算した結果、前期より105億円増加して2,144億円の収入となりました。

2012 2011 2010 2009 2008

デット・ エクイティ・ レシオ(倍) 1.8 1.8 2.0 2.8 1.7

インタレスト・ カバレッジ・ レシオ(倍) 10.8 10.7 4.6 — 10.7

※ インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷支払利息

投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは、前期より267億円支出が増加し、1,663億円の支出となりました。航空機受領時の支払いや予備部品の購入、今後導入予定の航空機に対する

前払いなどによる有形固定資産の取得1,811億円、無形固定資産の取得156億円があった一方、航空機材の売却後リースバックなどの有形固定資産売却による収入405億円がありました。また、譲渡性預金への預け入れと払い戻しとして、有価証券の取得による支出2,317億円と売却による収入2,277億円も含まれています。

フリー・キャッシュ・フロー 前述のとおり、営業キャッシュ・フローが2,144億円の収入になり、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が1,663億円となったため、フリー・キャッシュ・フローは480億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは、前期105億円の支出から161億円の収入となりました。借入金の返済や社債の償還、リース債務の返済などを行う一方、手元流動性を高めるため資金調達を進め、長期借入により1,804億円の収入がありました。

設備投資と機材調達

設備投資 ANAグループの設備投資は、航空機、予備エンジン、航空機部品の購入など航空機関連投資のほか、情報システム関連投資が主な内容です。当期の設備投資額は、戦略機材ボーイング787型機など航空機を中心に投資を行い、前期比7.0%減少の1,968億円になりました。 セグメント別では、航空運送事業においては前期比7.6%減少の1,945億円、旅行事業では51.5%減少の33百万円、その他では前期比9.2%増加の51億円となりました。

2010

2,099

2011

2,116

2012

1,968

2008 2009

1,457

3,577

2010

1,138

2008 2009

1,1281,167

2011

1,184

2012

1,192

設備投資(億円)

減価償却費(億円)

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機材調達の基本的な考え方 航空機は10年以上使用する非常に高額な設備であり、ネットワークに適合した機種選定と最適な機種構成を追求することは、航空会社の経営にとって極めて重要です。 ANAグループのフリート戦略は、「低燃費機材の導入によるコスト競争力の強化」「中型機比率の向上による需給適合の推進」「機種統合による生産性の向上」の3つの方針で進めています。 中長期的な使用を前提とした戦略機材については、購入・自社保有することを基本とし、短期的な使用、あるいは生産調整的な導入機材については、リースの活用を含めて、都度最適な経済条件による調達手段を選択しています。

当期の機材調達の実績 上記のフリート戦略の下、当期末のANAグループ運航機数は前期末から4機増加し226機となりました。

新規導入機材 当期にANAグループが新たに購入した機材は15機です。内訳は、ボーイング787-8型機6機、ボーイング767-300型機4機、ボーイング737-800型機2機、ボンバルディアDHC-8-400型機3機です。 加えて、ボーイング 737 - 500 型機 1 機、エアバスA320-200型機7機、ボンバルディアDHC-8-300型機2機をリース期間終了後、購入しています。

退役機材 当期にANAグループから退役した機材は11機で、返却が4機、売却・除却が7機です。内訳は、ボーイング747-400型機3機(1機返却、2機売却)、ボーイング767-300型機2機(1機

返却、1機売却)、ボーイング737-500型機1機(売却)、エアバスA320-200型機3機(2機返却、1機売却)、ボンバルディアDHC-8-300型機2機(売却)です。 なお、ボーイング767-300型機4機は売却した後、リースバックしています。

賃貸機材 当期にANAグループからグループ外に賃貸している機材は、前期からCRJ700型機が1機増え、12機となりました。内訳は、ボーイング767-300型機1機、ボーイング737-500型機4機、ボーイング737-400型機4機、CRJ700型機3機です。

運用航空機数一覧2012年3月31日現在 合計 自社保有 リースボーイング747-400 8 (-3) 8 (-2) 0 (-1)

ボーイング777-300 26 23 3

ボーイング777-200 23 18 5

ボーイング787-8 6 (+6) 6 (+6) 0

ボーイング767-300 57 (+3) 38 (-1) 19 (+4)

ボーイング767-300F(貨物専用機) 9 (-1) 7 2 (-1)

ボーイング737-800 17 (+2) 16 (+2) 1

ボーイング737-700 18 14 4

ボーイング737-500 16 (-1) 9 7 (-1)

エアバスA320-200 25 (-3) 21 (+6) 4 (-9)

ボンバルディアDHC-8-400 18 (+3) 5 (+3) 13

ボンバルディアDHC-8-300 3 (-2) 1 2 (-2)

合計 226 (+4) 166 (+14) 60 (-10)

※1. ( )内の数値は、対前年の増減を示しています。※2. ANAグループ会社の運航している機数のみを掲載しています。※3. ANAグループ外への賃貸機材(当期末12機、前期末11機)は含みません。

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(%)

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(%)

大型機※1(国際線)B777-300ER

B747-400基準値

B777-300ER

大型機※2(国内線)B777-300

B747-400基準値

B777-300

中型機※22011年からB787導入

B767-300基準値

B787

小型機※2B737-700

B737-500(基準値)

B737-700

76

-24%100

88-12%100

82

-18%100

88-12%100

機種別単位当たり燃料消費量比較

※1. 成田-ニューヨーク線1運航便当たり  ※2. 国内線仕様機、東京-札幌間旅客満席時の場合、1座席当たり

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アニュアルレポート 2012

財務分析

2013年3月期の機材調達の計画 2013年3月期の機材計画は、新たな需要を創出、喚起し、国際線を中心にビジネスチャンスを確実にとらえるべく、22機の航空機導入を予定しています。このうち、戦略機材ボーイング787型機14機に加え、ボーイング777-200ER型機2機、ボーイング737-800型機4機、ボンバルディアDHC-8-400型機2機の導入を予定しています。一方、ボーイング747-400型機をはじめとする航空機21機を2013年3月期末までに退役させる予定としており、機種統合を推進するとともに、低燃費機材の積極導入によるコスト構造改革を着実に進めます。

財政状態

資産 当期末の総資産は、前期末から745億円増加の2兆25億円となりました。 流動資産は、業績の回復に伴い手元資金が増加した結果、前期末比765億円増加して5,487億円となりました。有価証券は前期末から632億円増加し、受取手形及び営業未収入金は282億円増加しました。なお、現金及び預金と有価証券を合わせた手元流動性は681億円の増加となりました。 固定資産は、前期末から16億円減少の1兆4,536億円となりました。これは、航空機取得や改修、今後導入予定航空機の前払いなどにより有形固定資産が306億円増加した一方、黒

字拡大による税務上の繰越欠損金が減少したことから繰延税金資産が減少したことなどによるものです。航空機関連の内訳としては、新造機を15機取得し、10機をリース期間完了後購入したほか、リース機材を4機返却、7機を売却、4機を売却後リースバックしたことから、前期末と比べて航空機が365億円増加、リース資産が85億円減少、建設仮勘定が150億円増加しました。 また、繰延税金資産は前期末比325億円減少しました。

負債 当期末の負債は、社債の償還や約定弁済などを進めた一方で、新規借入による資金調達を行ったことから前期末に比べ460億円増加し、1兆4,477億円となりました。 流動負債は、前期末から134億円増加の4,610億円になりました。前期に計上していた1年内償還予定の社債200億円が償還された一方で、支払手形及び営業未払金が200億円、航空券発売未決済の増加や為替デリバティブ負債を含むその他の流動負債が105億円、それぞれ増加しました。

単位:百万円

2012年3月31日現在 2012 2011 2010

短期借入債務: 銀行等からの借入金 ............................................................................ ¥ — ¥ 166 ¥ 29,096

1年内返済予定の長期借入金 .............................................................. 115,962 115,036 99,820

1年内償還予定の社債 ......................................................................... — 20,000 40,000

1年内返済予定のリース債務 ............................................................... 11,443 11,193 11,859

127,405 146,395 180,775

長期借入債務 (1年内返済予定の長期借入金および償還する社債を除く): 銀行等からの借入金 ............................................................................ 716,663 665,161 628,609

社債 ..................................................................................................... 95,000 95,000 95,000

リース債務........................................................................................... 24,589 32,263 37,307

836,252 792,424 760,916

有利子負債合計 ...................................................................................... ¥963,657 ¥938,819 ¥941,691

2010

9,416

2011

9,388

2012

9,636

2008

7,678

2009

8,972

有利子負債(億円)

Bo

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全日本空輸株式会社

 固定負債は、前期末から325億円増加の9,866億円となりました。これは、新たな資金調達により長期借入金が前期末から515億円増加したことなどによるものです。 リース債務を含む有利子負債については、以上のとおり新規借入を行ったことから、前期末に比べて248億円増加の9,636億円となりました。 デット・エクイティ・レシオは前期末と変わらず1.8倍となりました。

純資産 純資産合計は、前期末から285億円増加の5,548億円となりました。 資本剰余金は1,957億円、利益剰余金は当期純利益の計上により227億円増加して1,176億円となりました。 また、その他の包括利益累計額は、燃油と為替のヘッジ取引に関する繰延ヘッジ損益が43億円の増加となったことなどから、前期末に比べて49億円増加の83億円となりました。 結果として、自己資本は前期末から287億円増加の5,490億円となり、自己資本比率は、前期末の27.0%から0.4ポイント上昇し27.4%となりました。

 1株当たりの純資産額は前期の207.35円から10.89円増加して218.24円となりました。

格付けの状況 ANAの発行するそれぞれの長期債に対しては、日本格付研究所(JCR)と格付投資情報センター(R&I)に格付けを依頼しています。 2012年3月31日現在の格付けは以下のとおりです。 JCR R&I (2007年10月変更) (2007年9月変更)発行登録格付 A- BBB+長期優先債務 A- コマーシャルペーパー格付 J-1 a-2

アウトルック 2010年12月 2011年1月 ネガティブ → 安定的 ネガティブ → 安定的

退職給付債務

 ANAおよび国内連結子会社は、確定給付型の制度として、厚生年金基金制度、確定給付企業年金および退職一時金制度を設けています。なお、ANAおよび一部の国内連結子会社は、確定給付型の制度のほか、確定拠出型の制度を設けています。また、早期退職制度を利用した従業員の退職などに際して割増退職金を支払う場合があります。

単位:百万円

3月31日現在/ 3月31日に終了した1年間 2012 2011 2010

退職給付債務 .......................................................................................... ¥(265,140) ¥(269,579) ¥(268,131)

年金資産 ................................................................................................. 96,072 95,924 96,703

未積立退職給付債務 ............................................................................... (169,068) (173,655) (171,428)

未認識額純額 .......................................................................................... 42,993 50,267 52,220

(126,075) (123,388) (119,208)

前払年金費用 .......................................................................................... — 12 217

退職給付引当金 ...................................................................................... ¥(126,075) ¥(123,400) ¥(119,425)

退職給付費用 .......................................................................................... ¥ (23,331) ¥ (22,705) ¥ (23,731)

割引率 ..................................................................................................... 1.5~2.5% 1.6~2.5% 2.5%

2010

4,735

25.5

2008

4,529

2009

3,218

25.4

18.3

2011

5,202

27.0

自己資本自己資本比率

2012

5,490

27.4

自己資本と自己資本比率(億円/%)

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アニュアルレポート 2012

燃油および為替ヘッジについて

 ANAグループでは、営業費用に大きな影響を与える燃油価格および為替レートの変動リスクを抑制することを目的として、ヘッジ取引を活用した費用の平準化を図ってきました。加えて、近年の国際線を中心とした事業拡大に伴い、従来以上に収入変動リスクが高まっていることを踏まえ、費用の平準化のみならず、営業収支の安定化を目的としたヘッジ方針への転換を図ってきました。 燃油ヘッジについては、燃油特別付加運賃を中心とした収入の増減と燃油市況の騰落の関係を考慮し、営業収支を安定化するための最適ヘッジ率を機動的に追求しています。対象期間の3年前からヘッジを進めており、2012年3月末現在のヘッジ率は、2013年3月期が約40%、2014年3月期が約20%、2015年3月期が約5%となっています。 為替ヘッジについては、燃油費や航空機などを対象としたUSドル支出に対するヘッジを対象期間の3年前から行っています。また、国際線事業拡大に伴い外貨建て収入が増加傾向にあることから、収入で得た外貨を外貨支払い費用に充当するなど、収支両面の為替リスクを効果的に減殺する取り組みについても強化しています。2012年3月末現在のヘッジ率は、2013年3月期が約40%、2014年3月期が約25%、2015年3月期が約10%、2016年3月期が約5%※となっています。 なお、2013年3月期におけるヘッジを行わない場合の燃油費への感応度は以下のとおりです(2012年4月末時点)。

原油(1ドル/バレルの変動) 約19億円/年為替(1円/USドルの変動) 約25億円/年

※ 2016年3月期分の為替ヘッジ(約5%)は旧方針に基づき過去に実施した3年超のヘッジとなります。

利益配分

利益配分に関する基本方針 ANAグループとしては、株主の皆様に対する還元を経営の重要課題ととらえています。利益配分については、当該期の業績動向に加え、厳しさを増す経営環境の下、中長期にわたって安定した経営基盤とさらなる収益性を確保していくためには、多額の設備投資が必要であることも考慮し、さらには将来の事業展開に備えた財務体質強化という課題とのバランスを考えつつ、充実させていきたいと考えています。

当期の配当と今期の予定 当期の配当については、当期の業績や財務状況、今後の経営環境などを総合的に勘案したうえで検討した結果、1株当たり配当金は4.00円とさせていただきました。 2013年3月期の利益配分につきましては、基本方針を踏まえながら経営環境や業績動向などを総合的に勘案した結果、2013年3月期の業績予想(2012年4月27日発表)に基づき、1株当たり4.00円の配当を予定しています。

財務分析

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