bhd遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理...

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.はじめに Birt-Hogg-Dubé BHD)症候群は1977年に BirtHoggDubé 3 氏によって報告された常染色体 優性遺伝性の皮膚疾患であり,頭頸部領域に多発 する皮膚丘疹を特徴とする[1]。皮膚症状以外に も腎腫瘍,多発性肺嚢胞と自然気胸を高率に発症 することが知られており,今日では皮膚,腎,肺 の病変が BHD 症候群の三主徴と認識されている 2,3]。BHD 症候群は比較的稀な疾患であり,発 症率や有病率については不明な点が多い。また, 本邦では BHD 症候群に対する認識が低く,臨床 現場で見過ごされていることも少なくないと予想 される。 BHD 症候群の責任遺伝子は, Nickerson らによっ 2002年に同定された[2]。BHD 遺伝子は17p11.2 に座し,24,977塩基対,14のエクソンから構成され る。579アミノ酸からなるfolliculinFLCN)とい う蛋白質をコードしているが,FLCN の生理的機 能や疾患発症への関与については未だ不明の点が 多い。 本稿では BHD 症候群の疾患概念と病理組織像, 特に肺嚢胞性変化の病理像について自験例を交え て概説する。 〔千葉医学 87275 27920111) 千葉大学大学院医学研究院診断病理学 2) 千葉大学大学院医学研究院神経生物学 3) 千葉大学大学院医学研究院神経内科学 Shunsuke Koga 1, 2, 3) : Pathological features of multiple pulmonary cysts associated with BHD gene mutation. Department of Diagnostic Pathology 1) , Neurobiology 2) , Neurology 3) , Graduate School of Medicine, Chiba University, Chiba 260-8670. Tel. 043-226-2024. Fax. 043-226-2024. E-mail: [email protected] 〔 第一回千葉医学会奨励賞 〕 BHD 遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理 -反復性気胸に対する新たな洞察- 古 賀 俊 輔 1, 2, 3) 要  旨 Birt-Hogg-Dubé BHD)症候群は皮膚線維毛包腫,腎腫瘍,肺嚢胞及び気胸を主な症状として呈 する常染色体優性遺伝性疾患である。本研究では,家族歴の明らかでない反復性気胸を呈した症例 に対し,胸部画像及び病理組織学的特徴から BHD 症候群を疑い,BHD 遺伝子解析を施行し遺伝子 変異を同定した。胸部 CT では下葉縦隔側に多発する肺嚢胞を認め,病理組織学的にはその壁の一 部を小葉間隔壁と共有し,嚢胞壁内側には肺胞上皮が一層配列する上皮性嚢胞であった。 BHD 症候群における肺病変は予後良好であり,予後規定因子となりうるのは腎病変であること が知られている。しかし,肺病変は腎病変に先駆けて発症することが多く,肺病変を呈した時点で 診断を確定させることは予後の向上につながりうると考えられる。 BHD 症候群の肺病変に関する詳細な病理学的検討は今日までほとんど報告がなされていない。 本稿では BHD 症候群の疾患概念と病理組織像,特に肺嚢胞性変化の病理像について自験例を交え て概説する。 Key words: BHD 症候群,気胸,肺嚢胞,遺伝子変異 略語一覧 : Birt-Hogg-Dubé BHD

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Page 1: BHD遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理 …Hogg,Dubéの3氏によって報告された常染色体 優性遺伝性の皮膚疾患であり,頭頸部領域に多発

Ⅰ.はじめに

 Birt-Hogg-Dubé (BHD)症候群は1977年にBirt,Hogg,Dubéの 3氏によって報告された常染色体優性遺伝性の皮膚疾患であり,頭頸部領域に多発する皮膚丘疹を特徴とする[1]。皮膚症状以外にも腎腫瘍,多発性肺嚢胞と自然気胸を高率に発症することが知られており,今日では皮膚,腎,肺の病変がBHD症候群の三主徴と認識されている[2,3]。BHD症候群は比較的稀な疾患であり,発症率や有病率については不明な点が多い。また,本邦ではBHD症候群に対する認識が低く,臨床

現場で見過ごされていることも少なくないと予想される。 BHD症候群の責任遺伝子は,Nickersonらによって2002年に同定された[2]。BHD遺伝子は17p11.2に座し,24,977塩基対,14のエクソンから構成される。579アミノ酸からなる folliculin(FLCN)という蛋白質をコードしているが,FLCNの生理的機能や疾患発症への関与については未だ不明の点が多い。 本稿ではBHD症候群の疾患概念と病理組織像,特に肺嚢胞性変化の病理像について自験例を交えて概説する。

〔千葉医学 87:275~ 279, 2011〕

1) 千葉大学大学院医学研究院診断病理学2) 千葉大学大学院医学研究院神経生物学3) 千葉大学大学院医学研究院神経内科学Shunsuke Koga1, 2, 3) : Pathological features of multiple pulmonary cysts associated with BHD gene mutation.Department of Diagnostic Pathology1), Neurobiology2), Neurology3), Graduate School of Medicine, Chiba University, Chiba 260-8670.Tel. 043-226-2024. Fax. 043-226-2024. E-mail: [email protected]

〔第一回千葉医学会奨励賞〕

BHD遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理-反復性気胸に対する新たな洞察-

古 賀 俊 輔1, 2, 3)

要  旨

 Birt-Hogg-Dubé (BHD)症候群は皮膚線維毛包腫,腎腫瘍,肺嚢胞及び気胸を主な症状として呈する常染色体優性遺伝性疾患である。本研究では,家族歴の明らかでない反復性気胸を呈した症例に対し,胸部画像及び病理組織学的特徴からBHD症候群を疑い,BHD遺伝子解析を施行し遺伝子変異を同定した。胸部CTでは下葉縦隔側に多発する肺嚢胞を認め,病理組織学的にはその壁の一部を小葉間隔壁と共有し,嚢胞壁内側には肺胞上皮が一層配列する上皮性嚢胞であった。 BHD症候群における肺病変は予後良好であり,予後規定因子となりうるのは腎病変であることが知られている。しかし,肺病変は腎病変に先駆けて発症することが多く,肺病変を呈した時点で診断を確定させることは予後の向上につながりうると考えられる。 BHD症候群の肺病変に関する詳細な病理学的検討は今日までほとんど報告がなされていない。本稿ではBHD症候群の疾患概念と病理組織像,特に肺嚢胞性変化の病理像について自験例を交えて概説する。

 Key words: BHD症候群,気胸,肺嚢胞,遺伝子変異

 略語一覧 : Birt-Hogg-Dubé (BHD)

Page 2: BHD遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理 …Hogg,Dubéの3氏によって報告された常染色体 優性遺伝性の皮膚疾患であり,頭頸部領域に多発

276 古 賀 俊 輔

Ⅱ.Birt-Hogg-Dubé症候群の臨床像

(1)皮膚病変 緒言で触れたように,BHD症候群はもともと常染色体優性遺伝を呈する皮膚疾患として報告された[1]。頭頸部に多発する 2- 4㎜の丘疹であり(図 1)[4],患者に病識がないことが多く医師の診察によって見逃されることも少なくない。生検組織像の特徴は,線維性結合識が真皮層で毛包を取り囲むように増殖する良性腫瘍ないし過誤腫である。発表当初は線維毛包腫(fibrofolliculoma),線維性軟疣(acrochordon),毛盤腫(trichodiscoma)と組織学的に細分類されていたが,現在ではこれらは同一のものであると考えられている。

(2)腎 病 変 遺伝性の腎腫瘍としてはvon Hippel-Lindau病による淡明細胞癌や結節性硬化症に合併しやすい腎血管筋脂肪腫などが広く知られている。BHD症候群においては,1999年のToroらによる家系研究により腎腫瘍が本症候群の表現型の一つであるとする考え方が広く受け入れられるようになった[5]。BHD症候群に腎腫瘍を合併する割合は 6-34%と報告により大きく異なるが[6,7],20-30歳代に発症しやすい皮膚や肺の病変に比べ,腎腫瘍の発症年齢は40-70歳代と比較的高年齢発症の傾向があるため,このことが発症率の差異に関係していると考えられる。 BHD症候群に伴う腎腫瘍は両側性かつ多発性のことが多い。組織学的には嫌色素性細胞癌や嫌色素性細胞癌とオンコサイトーマからなるhybrid oncocytic tumorが多く,そのほかにも淡明細胞癌

やオンコサイトーマ,乳頭状腎細胞癌など複数の組織型を呈することもある[6]。これまでにBHD症候群患者において転移性腎癌による死亡例が複数報告されており,腎病変は本症候群の予後規定因子になりうると考えられる。BHD症候群における腎腫瘍の治療方針については,両側性かつ多発性であり低悪性度組織型の頻度が高いという特徴から,腎実質を保存する腎腫瘍核出術が推奨されている[7]。そして,腎癌死を防ぐためには腎病変の定期的なスクリーニングだけでなく,摘出腫瘍部に対する十分な病理組織学的検討と,病変の広がりに対する慎重な経過観察を行うことが重要である。

(3)肺 病 変 1990年代後半からBHD症候群に肺嚢胞あるいは気胸を認める症例が家系内に存在するという報告がされ始め,これらの肺嚢胞様変化は本症候群の一表現型であると認識されるようになった。Zbarらは223人のBHD症候群家系の調査から,皮膚症状を有するもののうち83%にCT画像にて肺嚢胞様変化を認めたと報告した[6]。BHD症候群における反復性気胸は多発性肺嚢胞様変化に起因するが,その組織像について十分な検討はなされていない。 BHD症候群における三主徴のうち,肺病変は20-30歳代と比較的若年に出現する傾向にある[8]。そのため,腎病変や皮膚病変を伴わず肺病変のみを呈する患者の場合,原因不明の気胸として治療されている可能性がある。反復性自然気胸の既往や胸部画像にて多発する肺嚢胞性病変が見られる場合は,鑑別疾患としてリンパ脈管筋腫症や肺Langerhans組織球症,異所性子宮内膜症などが鑑別に挙げられる。BHD症候群における肺病変の詳細については,自験例を交えて後述する。

Ⅲ.自 験 例

 症例は41歳女性。気胸の精査加療目的に千葉大学医学部附属病院呼吸器外科を紹介受診した。既往歴として 7年前に気胸を呈しているが,子宮内膜症やα - 1 -アンチトリプシン欠損症等の明らかな基礎疾患を認めない。家系内に気胸や腎腫瘍を

図 1 皮膚線維毛胞腫(文献[4]より引用) 顔面に数㎜大の小丘疹を多数認める。

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発症した者はいないが,後に患者の父親が顔面に線維毛包腫を有することが明らかになった。胸部CTでは両側下葉の縦隔近傍に多発する肺嚢胞を認めた(図 2)[4]。反復性気胸のエピソードからリンパ脈管筋腫症が疑われ,右気胸に対し胸腔鏡補助下肺嚢胞楔状切除術が施行された。切除肺の病理組織学的所見では,多数の嚢胞が臓側胸膜に隣接して認められ,一部は小葉間隔壁に及んでいた(図 3)[4]。これらの嚢胞は周囲に明らかな炎症や間質細胞浸潤を伴わず,proSP-C陽性,cytokeratin陽性の肺胞上皮細胞に裏打ちされていた(図 4)[4]。当初疑われたリンパ脈管筋腫症については,HMB-45陽性平滑筋細胞の増殖を認めないことから否定的であった。多発する肺嚢胞が

非典型的な分布を示すこと,そしてこれらの特徴的な病理組織学的所見より,BHD症候群の可能性を考え,遺伝子解析を施行した。 インフォームドコンセントを取得した後,患者の末梢血よりDNAを採取した。BHD遺伝子の全14エクソンをPCRで増幅し,ダイレクトシークエンスを施行したところ,エクソン12において 7塩基(CCACCCT)の挿入変異を同定した(図 5)[4]。この変異によりフレームシフトを生じ,16塩基下流で終止コドンが指定されていることを確認した。BHD遺伝子変異の同定によりBHD症候群の診断に至った。

図 2 肺のCT画像(文献[4]より引用) 両側肺下葉の縦隔側に多数の嚢胞を認める(矢印)。

図 3 肺嚢胞のルーペ像(文献[4]より引用) 周囲に炎症細胞浸潤をほとんど伴わない嚢胞が,小葉間隔壁と臓側胸膜に隣接して存在する。

図 4 嚢胞部の病理組織像(文献[4]より引用) 免疫染色において,嚢胞はcytokeratinによって縁取りされている。

図 5 BHD遺伝子解析(文献[4]より引用) BHD遺伝子エクソン12のシークエンス結果。(a)健常者ではCCACCCTの 7塩基配列が 2度繰り返されるが,(b)本症例患者では同 7塩基配列が 3度繰り返されていた。

S T L H P P P C G VT T C C A C C C T C C A C C C T C C A C C C T G T G G G G T G T G A

T T C C A C C C T C C A C C C T G T G G G G T G T G A GS T L H P V G C E D

Twice CCACCCT repeat

3 times CCACCCT repeatStop codon

(a)

(b)

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278 古 賀 俊 輔

 診断確定後,患者の両親に対しても同様に遺伝子解析を施行したところ,父親が同じ遺伝子変異を有することが判明した。診察により顔面に皮膚線維毛包腫を認めたが(図 1),胸部CTなどの精査は希望されなかったため肺病変や腎病変については詳細不明であった。

Ⅳ.考  察

 自然気胸はブラやブレブの破裂によって生じるとされており,長身で痩せ型の若年男性に多いことが知られている[9]。二次性に生じる気胸としては,慢性閉塞性肺疾患に代表される肺の気腫性変化に起因するものも重要である。家族性あるいは反復性の気胸を認めた場合,基礎疾患としてリンパ脈管筋腫症やα - 1 -アンチトリプシン欠損症,Ehlers-Danlos症候群,異所性子宮内膜症に伴う月経随伴性気胸など様々な疾患が考えられる[9]。しかし,本症例のように気胸の家族歴を認めず,皮膚病変や腎病変が顕在化していない患者では,BHD症候群に起因する気胸を想起することは容易ではない。 BHD症候群における肺嚢胞は下葉縦隔側に見られることが多く,通常のブラ,ブレブとは異なる部位に発生することが知られている[8]。したがって,胸部画像でこのような所見を認めた場合には,既往歴や家族歴が明らかでなくてもBHD症候群を疑うことが診断への手がかりとなる。 BHD症候群の肺病理像は以下のとおりである。嚢胞は両側下葉の縦隔側に好発し(図 2),臓側胸膜に交通あるいは隣接して存在する(図 3)[4]。リンパ脈管筋腫症との鑑別は,HMB45陽性平滑筋細胞の増殖像がBHD症候群の肺嚢胞では認められない点から可能である。BHD症候群では,嚢胞はその壁の一部を小葉間隔壁と共有し,嚢胞壁内側には肺胞上皮が一層配列している[3,4]。自験例においては,表裏とも肺胞上皮配列を有する壁によって隔てられる連続性嚢胞も認められた。未破裂の嚢胞では,小葉間隔壁につながる部分においても弾性線維の裏打ちを有し,内腔側に一層の肺胞上皮配列が保たれている(図 4)[4]。このような病理組織学的特徴より,本症候群における肺病変の本態は真の上皮性嚢胞であり,上皮

配列を保ったままゆっくりと成長し,時に破裂し気胸を呈するのではないかと推測している。ブラ,ブレブとの対比を表 1[10]に示す。

Ⅴ.おわりに

 著者らが経験した原因不明の反復性気胸症例は,診断確定後に患者の父親に皮膚線維毛包腫があることが判明した。同胞や子孫がいないため表現型や発症率の詳細は不明であるが,肺切除標本の病理学的検討からBHD症候群を強く疑い,遺伝子解析によって確定診断に至ったことから,本症候群における肺病理像の重要性を再認識することとなった。 BHD症候群の原因遺伝子であるBHD遺伝子については,主に腎腫瘍領域において癌抑制遺伝子としての観点から精力的に研究が進められているが,その機能や疾患の発症機序に関しては未解明の部分が多い。長期間にわたるBHD家系調査や動物モデルを用いた解析など,多角的な研究が必要である。また,臨床病理学的に本症候群を広く啓蒙することが急務である。

謝  辞

 本研究「BHD遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理-反復性気胸に対する新たな洞察」に対して第一回千葉医学会奨励賞を,そして研究内容について千葉医学雑誌に執筆の機会を賜り,まことにありがとうございます。本研究にご指導,ご協力を賜りました千葉大学大学院医学研究院診断病理学,病態病理学,神経生物学,呼吸器外科学の各講座及び附属病院病理部の皆様,千葉大学真菌医学研究センターの皆様,横浜市立大

表 1 ブラ,ブレブとBHD肺嚢胞との病理学的比較(文献[10]より引用)        

ブラ,ブレブ BHD肺嚢胞嚢胞の局在傾向 上葉 下葉

肺尖部 縦隔側胸膜下小葉間隔壁近傍

単層性上皮配列 -/± +弾性線維の裏打ち - +炎症反応 + -/±胸膜炎 + -/±

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syndrome. Cancer Cell 2002; 2: 157-64.3) Adley BP, Smith ND, Nayar R, et al. Birt-Hogg-

Dubé syndrome: clinicopathologic findings and genetic alterations. Arch Pathol Lab Med 2006; 130: 1865-70.

4) Koga S, Furuya M, Takahashi Y, Tanaka R, Yamaguchi A, Yasufuku K, et al, Lung Cysts in Birt-Hogg-Dubé Syndrome: Histopathological characteristics and Aberrant Sequence Repeats. Pathol Int 2009; 59: 720-8.

5) Toro JR, Glenn G, Duray P, et al. Birt-Hogg-Dubé syndrome: a novel marker of kidney neoplasia. Arch Dermatol 1999; 135: 1195-202.

6) Zbar B, Alvord WG, Glenn G, et al. Risk of renal and colonic neoplasms and spontaneous pneumothorax in the Birt-Hogg-Dubé syndrome. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2002; 11: 393-400.

7) Toro JR, Wei MH, Glenn G, et al. BHD mutations, clinical and molecular genetic investigations of Birt-Hogg-Dubé Syndrome: A new series of 50 families and a review of published reports. J Med Genet 2008; 45: 321-31.

8) Gunji Y, Akiyoshi T, Sato T, et al. Mutations of the Birt-Hogg-Dubé gene in patients with multiple lung cysts and recurrent pneumothorax. J Med Genet 2007; 44: 588-93.

9) Travis WD, Colby TV, Koss MN et al. Non-neoplastic disorders of the lower respiratory tract. In: King DW, Sobin LH, Stocker JT, Wagner B, eds. Atlas of Nontumor Pathology. Washington, DC: American Registry of Pathology and Armed Forces Institute of Pathology, 2002; 901-21.

10) 古賀俊輔,古屋充子,中谷行雄,Birt-Hogg-Dubé症候群,日本臨牀 2010; 68: 361-9.

学医学部分子病理学講座の皆様,そのほか多くの関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

SUMMARY

Birt-Hogg-Dubé (BHD) syndrome is a rare disorder inherited in an autosomal dominant manner. The affected patients are predisposed to the development of cutaneous fibrofolliculomas, renal cell tumors and lung cysts with recurrent pneumothorax.

In the present study we investigated lung cysts in a patient who had no familial history of pneumothorax and renal tumors. Distinctive histopathology of the resected lung tissue indicated that the possible mutation of BHD gene should be investigated. Genomic DNA analysis identified an aberrantly repeated sequence tag in BHD gene, confirming that the cysts formation was attributable to BHD syndrome. These lung cysts were shown to be clearly distinctive on histopathology from those of other types of bullous changes.

In this review, we summarize current understanding of BHD syndrome with special attention to the pathophysiology of lung cysts formation.

文  献

1) Birt AR, Hogg GR, Dubé WJ. Hereditary multiple fibrofolliculomas with trichodiscomas and acrochordons. Arch Dermatol 1977; 113: 1674-7.

2) Nickerson ML, Warren MB, Toro JR, Matrosova V, et al. Mutations in a novel gene lead to kidney tumors, lung wall defects, and benign tumors of the hair follicle in patients with the Birt-Hogg-Dubé