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須賀川市空家等対策計画 【第一次】 平成 30 年3月

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須賀川市空家等対策計画

【第一次】

平成 30 年3月

須 賀 川 市

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目次

第1章 計画の概要 .................................................................................................... 1

1 計画策定の背景 .................................................... 1 2 計画の位置付け .................................................... 2 3 計画期間 .......................................................... 2 4 対象とする空家の種類 .............................................. 3 5 対象地区 .......................................................... 3

第2章 空家等の現状と課題 .................................................................................... 4

1 全国の状況 ........................................................ 4 (1)空家数及び空家率の推移 .............................................. 4 (2)空家等の内訳 ........................................................ 5

2 本市の状況 ........................................................ 6 (1)空家数及び空家率の推移 .............................................. 6 (2)空家等の内訳 ........................................................ 7 (3)須賀川市空家実態調査の実施 .......................................... 8 (4)所有者意向調査の実施 ............................................... 13 (5)本市で取り扱う「空家」 ............................................. 17 (6)空家率の算出 ....................................................... 18

3 空家等に関する課題 ............................................... 19 (1)空家等の発生メカニズム ............................................. 19 (2)本市における空家等に関する課題 ..................................... 20

第3章 空家等に対する基本方針・基本目標 .................................................... 22

1 基本方針 ......................................................... 22 2 基本目標 ......................................................... 23 3 体系図 ........................................................... 24

第4章 空家等対策に関する施策 ........................................................................ 25

1 空家等の予防・抑制 ............................................... 25 (1)空家等の予防・抑制に関する意識啓発 ................................. 25 (2)空家等の相続に関する対策 ........................................... 25

2 空家等の適正管理の促進 ........................................... 26 (1)所有者等の管理意識の啓発 ........................................... 26 (2)通報・相談体制の整備 ............................................... 26

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3 管理不全の空家等への対策 ......................................... 27 (1)空家等に関する現状把握 ............................................. 27 (2)管理不全の空家等への対応 ........................................... 27 (3)特定空家等に対する措置 ............................................. 28 (4)他法令による措置 ................................................... 37

4 空家等及び跡地の利活用の促進 ..................................... 38 (1)地域における空家等及び跡地の利活用 ................................. 38 (2)空家等に関する支援事業の活用促進 ................................... 38

第5章 空家等対策の推進 .................................................................................... 39

1 空家等対策の実施体制 ............................................. 39 2 計画の推進と見直し ............................................... 40

資料 ............................................................................................................................. 41

1 空家等対策の推進に関する特別措置法 ............................... 41

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第1章 計画の概要 1 計画策定の背景

近年、地域における人口減少や既存の住宅・建築物の老朽化、社会的ニーズの変化

及び産業構造の変化等に伴い、居住やその他の使用がされていないことが常態となっ

ている「空家」が全国的に増加しています。

このような空家の中には、適切な管理が行われていない結果として安全性の低下、

公衆衛生の悪化、景観の阻害等多くの問題を生じさせ、地域住民の生活環境に深刻な

影響を及ぼしているものがあり、今後そういった空家等※の数が増加すれば、これらの

問題が一層深刻化することが懸念されています。

国では、空家等が地域の防災、衛生、景観等、生活環境に深刻な影響を及ぼしている

ことを鑑み、地域住民の生命・身体・財産を保護し、生活環境の保全を図るとともに、

空家等の活用を促進するため、平成 27 年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置

法」(以下、「特措法」という。)を施行しました。

特措法では、空家等に関する国の基本指針の策定や、市町村による「空家等対策計

画」の作成、空家等に関する施策の推進等を定めています。

本市では、特措法の趣旨に基づき、空家等に関する考え方を明確化し、総合的な空

家等対策に取り組むため、「須賀川市空家等対策計画」(以下、「計画」という。)を策定

し、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとしました。

※住宅・土地統計調査における「空家」と特措法における「空家等」の関係について

住宅・土地統計調査では、一戸建だけでなく共同住宅の空室も一戸の「空家」と数えられます。一方、特措法における「空家等」は、一戸建、すべてが空室となった共同住宅、その他の利用されていない建物が含まれます。また、特措法における「空家等」は、「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」とされており、居住世帯が長期にわたって不在の住宅が含まれる「その他の住宅」の中に、特措法における「空家等」が含まれている可能性が高いと考えられます。

※1 新築・中古を問わず、賃貸のために空家になっている住宅 ※2 新築・中古を問わず、売却のために空家になっている住宅 ※3 普段人が住んでおらず、避暑・避寒・保養などで使用される住宅等

※4 上記以外の人が住んでいない住宅で、居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどの

ために取り壊すことになっている住宅等

住宅

住宅以外で人が居住する建物

居住世帯あり

居住世帯なし 空家

一時現在者のみの

住宅

建築中の住宅

賃貸用の住宅 ※1

売却用の住宅 ※2

二次的住宅 ※3

その他の住宅 ※4

特措法における空家等

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2 計画の位置付け

本計画は、特措法第6条の規定に基づき策定するもので、平成 27 年2月に国から示

された「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」(以

下、「国指針」という。)に即した計画としています。

また、本計画は本市の空家等対策の基礎となるものであることから、計画の推進に

あたっては本市の第8次総合計画、須賀川市都市計画マスタープラン等との整合性を

図るものとします。

3 計画期間

本計画の計画期間は、平成 30 年度(2018 年度)から 2022 年度までの5年間とし、

市内の空家等の状況や社会情勢等の変化等により、必要に応じて見直しを行っていき

ます。

空家等対策の推進に関する特別措置法

空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針

本市の計画

須賀川市空家等対策計画

須賀川市第8次総合計画

須賀川市都市計画マスタープラン等 整合性

根拠

国の法令等

■特措法第6条第1項■

市町村は、その区域内で空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、基本

指針に即して、空家等に関する対策についての計画を定めることができる。

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4 対象とする空家の種類

本計画の対象とする空家は、特措法第2条第1項で規定する「空家等」(特措法第2

条第2項で規定する「特定空家等」を含む)とし、活用促進の観点からその跡地につい

ても対象とすることとします。

5 対象地区

本計画の対象地区は、本市が平成 28 年度及び平成 29 年度に実施した「須賀川市空

家実態調査」(第2章参照)の結果によると、市内の全域に空家等がみられることから、

「市内全域」とします。

なお、本市の将来的な空家等の状況により、重点的に取り組む地区の検討を行うこ

ととします。

■特措法第2条第1項■

この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の

使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を

含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

■特措法第2条第2項■

この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるお

それのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていない

ことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置する

ことが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

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第2章 空家等の現状と課題 1 全国の状況

(1)空家数及び空家率の推移

国が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」の結果をみると、全国の空家数

は昭和 38 年の 52 万戸から増加し続けており、平成 25 年には 820 万戸となっていま

す。

また、空家率(総住宅数に占める空家数の割合)についても昭和 38 年の 2.5%から

上昇を続けており、平成 10 年には 11.5%と 10%を超え、平成 25 年には 13.5%とな

っています。

<空家数及び空家率の推移(全国)>

※震災の影響により、平成 25 年調査では楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の7町村

の全域と田村市、南相馬市、川俣町、広野町、川内村の5市町村の一部地域が調査対象から除外されていま

す。

出典:「平成 25 年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

2,109

2,559

3,106

3,545

3,861 4,201

4,588 5,025

5,389

5,759

6,063

52 103 172 268 330 394 448 576 659 757 820

2.5

4.0

5.5

7.6

8.6

9.4 9.8

11.5

12.2

13.1 13.5

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

昭和38年

昭和43年

昭和48年

昭和53年

昭和58年

昭和63年

平成5年

平成10年

平成15年

平成20年

平成25年

総住宅数 空家数 空家率 (%)(万戸)

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(2)空家等の内訳

全国の平成 25 年の空家数 820 万戸の内訳をみると、「賃貸用の住宅」が 52.3%、「売

却用の住宅」が 3.8%、「二次的住宅」が 5.0%となっています。

これらを除いた、賃貸や売却等の市場に出ておらず、居住世帯が長期的に不在であ

るなど管理不全の住宅が含まれる「その他の住宅」は 38.8%となり、平成 20 年調査

(35.4%)に比べ 3.4 ポイント上昇、住宅数としては 50 万戸の増加となっています。

<空家等の内訳(全国)>

出典:「平成 25 年・20 年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

※総数と内訳の合計は、四捨五入のため必ずしも一致しません。

413

54.5%429

52.3%

35

4.6%

31

3.8%

41

5.4%

41

5.0%

268

35.4%

318

38.8%

0

0

0

0

0

1

1

1

1

1

1

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

平成20年

平成25年

賃貸用の住宅 売却用の住宅 二次的住宅 その他の住宅(万戸)

757

820

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2 本市の状況

(1)空家数及び空家率の推移

本市における空家数をみると、平成 25 年は 2,250 戸と、平成 20 年調査(2,580 戸)

に比べ 330 戸減少しています。また、空家率についても平成 25 年は 8.1%と、平成 20

年調査(9.5%)と比べ 1.4 ポイントの下降となっており、全国平均(13.5%)や福島

県(11.7%)を下回っているほか、県内の市部の中で最も低くなっています。

<空家数及び空家率の推移(全国・福島県・県内市部)>

出典:「平成 25 年・20 年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

総住宅数(戸)

空家数(戸)

空家率(%)

住宅総数(戸)

空家数(戸)

空家率(%)

須賀川市 27,250 2,580 9.5 27,710 2,250 8.1 ▲ 1.4

全国 57,586,000 7,567,900 13.1 60,628,600 8,195,600 13.5 0.4

福島県 808,200 105,000 13.0 782,300 91,800 11.7 ▲ 1.3

福島市 130,050 17,520 13.5 131,390 15,840 12.1 ▲ 1.4

会津若松市 57,120 9,090 15.9 56,900 9,450 16.6 0.7

郡山市 145,870 20,150 13.8 151,110 17,220 11.4 ▲ 2.4

いわき市 147,740 21,300 14.4 137,710 13,020 9.5 ▲ 5.0

白河市 26,740 4,090 15.3 26,520 3,980 15.0 ▲ 0.3

喜多方市 19,330 2,390 12.4 19,990 2,970 14.9 2.5

相馬市 15,030 1,920 12.8 15,090 2,070 13.7 0.9

二本松市 20,090 1,920 9.6 20,680 2,600 12.6 3.0

田村市 13,530 1,660 12.3 12,730 1,160 9.1 ▲ 3.2

南相馬市 25,050 2,890 11.5 24,820 2,420 9.8 ▲ 1.8

伊達市 22,240 2,030 9.1 23,250 2,220 9.5 0.4

本宮市 10,250 1,250 12.2 10,940 1,200 11.0 ▲ 1.2

区分

平成20年 平成25年空家率増減

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(2)空家等の内訳

本市の平成 25 年の空家数 2,250 戸の内訳をみると、「賃貸用の住宅」が 47.6%、「売

却用の住宅」が 2.7%、「二次的住宅」が 1.8%となっています。

これらを除いた、賃貸や売却等の市場に出ておらず、居住世帯が長期的に不在であ

るなど管理不全の住宅が含まれる「その他の住宅」は 48.4%と約5割を占め、平成 20

年調査(33.7%)に比べ 14.7 ポイント上昇、住宅数としては 220 戸の増加となってい

ます。

<空家等の内訳(須賀川市)>

出典:「平成 25 年・20 年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

※総数と内訳の合計は、四捨五入のため必ずしも一致しません。

1,480

57.4%

1,070

47.6%

90

3.5%

60

2.7%

140

5.4%

40

1.8%

870

33.7%

1,090

48.4%

0

0

0

0

0

1

1

1

1

1

1

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

平成20年

平成25年

賃貸用の住宅 売却用の住宅 二次的住宅 その他の住宅(戸)

2,580

2,250

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(3)須賀川市空家実態調査の実施

①調査の目的

本市における空家等の実態を把握し、人口や世帯数の減少、既存住宅・建築物の老

朽化に伴う対策、雇用の創出、防犯・防災・景観対策等に資するとともに、関連情報を

地理情報システム(GIS)上で一元的に管理し、関係部署・関係機関で共有可能な

「空家地図データ」及び「空家管理システム」を構築することにより、本計画の策定及

び空家管理台帳の整備をするために実施しました。

②調査年度

平成 28 年度及び平成 29 年度

③調査対象区域

須賀川市内全域

④調査方法

ⅰ 空家定義書及び判定基準の作成

空家等または特定空家等の判定にあたり、『「特定空家等に対する措置」に関する適

切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)』(以下、「国ガイドライン」という。)

や国指針、地方公共団体における空家調査手引き等に基づき、空家判定基準を検討し、

「空家定義書及び判定基準」を作成しました。

ⅱ 予備調査

平成 28 年度調査については、特措法第 10 条第1項の規定に基づき、市で有する水

道開栓データや市内各町内会・行政区長から提供を受けた空家情報等から空家候補を

特定し、現地調査の対象とする空家を 2,153 件(水道閉栓データから 1,607 件、町内

会・行政区長の空家提供情報から 546 件)抽出しました。

平成 29 年度調査については、空家情報の精度を向上させるため、平成 28 年度調査

結果を踏まえ、その他の既往調査結果から対象施設を抽出しました。

■特措法第 10 条第1項■

市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であ

って氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要

な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用

することができる。

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ⅲ 現地調査

上記、予備調査で得られたデータを基に、所有者等へ事前周知をしたうえで現地調

査を行いました。現地調査は2人1組による確認を基本とし、空家と判定した家屋の

写真を原則2枚以上撮影しました。

現地調査した項目は、次の通りです。

<空家判定項目と老朽危険度判定項目>

<空家判定項目>

・表札の有無

・管理者看板の有無

・洗濯物の有無

・電気メーターの稼働状況

・ガスメーターの稼働状況

・雨戸の状況

・郵便受けの状況

・雑草等の繁茂状況

・進入防止策の有無

<老朽危険度判定項目>

ア. 建築物の傾斜(全体)

イ. 基礎の状況

ウ. 外壁の状況

エ. 屋根の状況

オ. 門・塀の状況

カ. 擁壁の状況

キ. 衛生面の状況

ク. 景観面の状況

ケ. 環境面の状況

⑤調査結果の概要

ⅰ 調査結果の内訳

平成 28 年度に現地調査した件数は、予備調査で抽出した 2,153 件に現地判断による

39 件を加えた 2,192 件となりました。

平成 29 年度に現地調査した件数は、予備調査による既往調査結果 1,034 件から、平

成 28年度調査分を差し引いた 525 件に現地判断による 7件を加えた 532件となりまし

た。

平成 28 年度の現地調査では、705 件の空家が確認されました。

平成 29 年度の現地調査では、新たに 272 件の空家が確認されました。

<現地調査結果の内訳>

空家 居住あり 建物なし 付属屋 合 計

平成 28 年度 705 件 1,072 件 145 件 270 件 2,192 件

平成 29 年度 272 件 214 件 45 件 1 件 532 件

合計 977 件 1,286 件 190 件 271 件 2,724 件

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ⅱ 空家の老朽危険度判定結果

空家について老朽危険度判定を行い、その結果をもとに以下の総合判定(3段階)

を行ったところ、不明を含む空家(977 件)に対して、特定空家候補は 54 件(5.5%)、

活用可能空家候補は 193 件(19.8%)となっています。

<総合判定基準>

判定 内容 件数

① 特定空家候補 建築物自体についての調査項目

(傾斜、基礎、外壁、屋根)のい

ずれかの項目の1つ以上が危険と

判断される D 判定だった建物。

54 件(5.5%)

② 活用可能空家候補 建築物自体についての調査項目

(傾斜、基礎、外壁、屋根)のす

べての項目が問題なしと判断され

る A 判定だった建物。

193 件(19.8%)

③ その他 上記①、②のいずれにも属さない

建物

730 件(74.7%)

合 計 977 件(100.0%)

<老朽危険度判定の結果>

判定 傾斜 基礎 外壁 屋根

A 問題なし 772 件 483 件 314 件 467 件

B 一部不良 105 件 269 件 524 件 381 件

C 不良 32 件 25 件 55 件 40 件

D 危険 26 件 25 件 46 件 41 件

- 不明 42 件 175 件 38 件 48 件

合計 977 件 977 件 977 件 977 件

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ⅲ 区域区分別の空家の分布状況

現地調査結果に基づく空家の分布状況を把握するため、以下、3つの区域区分別の

空家件数を抽出したところ、不明を含む空家(977 件)に対して、市街化区域及び開発

行為申請区域は 46.2%、市街化調整区域(開発行為申請区域を除く)は 13.2%、都市

計画区域外は 40.6%となっています。

<区域区分別総合判定の結果>

区域区分 総合判定

件数 項目 件数

市街化区域

及び開発行為申請区域

特定空家候補 12 件

(1.2%)

451 件

(46.2%) 活用可能空家候補

101 件

(10.4%)

その他 338 件

(34.6%)

市街化調整区域

(開発行為申請区域を除く)

特定空家候補 8 件

(0.8%)

129 件

(13.2%) 活用可能空家候補

20 件

(2.1%)

その他 101 件

(10.3%)

都市計画区域外

特定空家候補 34 件

(3.5%)

397 件

(40.6%)

東側 13 件

(1.4%)

西側 21 件

(2.1%)

活用可能空家候補 72 件

(7.4%)

東側 10 件

(1.1%)

西側 62 件

(6.3%)

その他 291 件

(29.7%)

東側 95 件

(9.7%)

西側 196 件

(20.0%)

合 計 977 件

(100.0%)

※( )内は、空家(977 件)に対する割合

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<区域区分別及び総合判定別の空家分布図>

ⅳ 調査結果のデータベース化

空家実態調査により判明した空家等の情報については、特措法第 11 条の規定に基づ

き、地理情報システム(GIS)上でデータベース化しました。

■特措法第 11 条■

市町村は、空家等に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握

するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

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13

(4)所有者意向調査の実施

①調査の目的

本計画の策定にあたり、「空家実態調査」により判明した空家と思われる建物の所有

者等について、当該建物に対する維持管理状況や今後の活用に関する考え方等を把握・

整理するとともに、本市の空家等の現状や課題などを抽出・分析して計画策定の基礎

資料とするために実施しました。

②調査年度

平成 29 年度

③調査対象

「空家実態調査」の結果、空家と判定した建物の所有者

④調査方法

郵送による配布・回収

⑤回収状況

配布数㋐ 総回収数 有効回収数㋑ 有効回収率㋑/㋐

939 件 490 件 489 件 52.1%

※アンケートは、第1回調査(9月)と第2回調査(12 月)の2回実施しました。

※空家実態調査で空家と判定した 977 件について精査(付属屋 38 件を除外)し、最終的に 939 件

を調査対象としました。

※アンケートは、まず冒頭で「対象建物を使用しているかどうか」を聞き取り、所有者が「使用

していない」と回答した場合に、建物の状態や今後の方針等について聞き取る構成としていま

す。次頁以降の調査結果の概要では、有効回答数 489 件のうち「使用していない」と回答のあ

った空家と判定できる 214 件について、調査結果を掲載しています。

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14

・震災による建物の半壊のため。

・所有者が死亡し、相続人はすべて他所へ住んでいるため。

・資産保有として取得したため。

⑥調査結果の概要

ⅰ 建物を使用しなくなったきっかけについて

建物を使用しなくなったきっかけについては、「別の建物に転居したため」が 26.2%

と最も多く、次いで「使用見込みのないまま相続等で取得したため」が 25.7%、「所有

者が死亡し、相続人が決まっていないため」が 13.6%、「建物を貸していたが、借り手

が転居したため」が 12.6%となっており、所有者等の転居や相続に関する回答が多く

なっています。

<建物を使用しなくなったきっかけ>

ⅱ 建物の維持管理について

建物の維持管理の状況については、「自分や家族がしている」が 60.3%となっていま

す。一方で、「維持管理はしていない」との回答も 24.3%と2割以上を占めています。

<建物の維持管理の状況>

60.3 3.3

1.4 0.5

1.9 3.7 24.3

0.5

4.2

(214)

(%)

自分や家族

がして

いる

親戚・知人

に無償で

頼んでいる

親戚・知人

に有償で

頼んでいる

建物がある

地域の

町内会や団

体に

お願いして

いる

民間事業者

に委託

している

その他

維持管理は

して

いない

わからない

無回答

※「その他」と回答した具体例

n=(214)

別の建物に転居したため

使用見込みのないまま相続等で取得したため

所有者が死亡し、相続人が決まっていないため

建物を貸していたが、借り手が転居した

ため

施設入所や長期入院のため

転勤・海外赴任等で長期不在のため

その他

わからない

無回答

26.2

25.7

13.6

12.6

11.2

0.9

22.9

1.9

2.3

0 5 10 15 20 25 30(%)

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15

建物の維持管理を行っている場合の頻度については、「1年に数回程度」が 41.4%と

最も多くなっています。

《月1回以上》で管理を行っている割合が 35.5%である一方で、《月1回未満》で管

理を行っている割合が 57.2%と6割弱を占め、維持管理が不十分と思われる建物が多

くなっています。

<建物の維持管理を行う頻度>

建物の維持管理で困っていることについては、「維持管理に関する身体的・精神的負

担が大きい」が 36.8%と最も多く、次いで「建物の老朽化、劣化が著しい」が 34.2%、

「現地に通うのが大変(遠い、行く時間がないなど)」が 32.9%、「維持管理に関する

経済的負担が大きい」が 32.2%となっています。

<建物の維持管理で困っていること>

n=(152)

維持管理に関する身体的・精神的負担が大きい

建物の老朽化、劣化が著しい

現地に通うのが大変(遠い、行く時間がないなど)

維持管理に関する経済的負担が大きい

景観的に建物の周囲から目立つ

維持管理をお願いする人がいない

その他

特にない

無回答

36.8

34.2

32.9

32.2

9.9

9.9

4.6

20.4

3.3

0 10 20 30 40(%)

7.9 27.6 41.4 12.5 3.3 4.6

2.6

(152)

(%)

1週間に

1回程度

1ヵ

月に

1回程度

1年に数

回程度

1年に1

回程度

数年に1

回程度

わからな

無回答

月1回以上計

35.5%

月1回未満計

57.2%

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16

ⅲ 建物の今後の方針について

建物の今後の方針については、「解体したい」「売却したい」がともに4割以上と多

く、次いで「借家、貸店舗・事務所等として貸したい」が 15.4%、「空家として、維持

管理を続けたい」が 13.6%、「市の施策に活用してもらいたい」が 11.2%となってい

ます。

<建物の今後の方針>

建物の所有や売却等に関して必要な支援については、「解体に関する経済的支援」が

36.9%と最も多く、次いで「売却に関する相談・業者の紹介」が 27.1%、「解体に関す

る相談・業者の紹介」が 22.4%と、解体や売却の支援に関する回答が多くなっていま

す。

<建物の所有や売却等に関して必要な支援>

n=(214)

解体したい

売却したい

借家、貸店舗・事務所等として貸したい

空家として、維持管理を続けたい

市のコミュニティ施策、福祉施策、住宅

対策等の施策に活用してもらいたい

住居、店舗、倉庫・物置等として自分・関係者で使用したい

譲渡・寄付したい

その他

わからない

無回答

43.0

41.6

15.4

13.6

11.2

9.8

8.9

6.5

11.7

2.8

0 10 20 30 40 50(%)

n=(214)

解体に関する経済的支援

売却に関する相談・業者の紹介

解体に関する相談・業者の紹介

空家バンク等への登録・公開

修繕に関する経済的支援

賃貸に関する相談・業者の紹介

空家管理サービスの提供

修繕に関する相談・業者の紹介

その他

特に支援はいらない

無回答

36.9

27.1

22.4

17.8

9.8

9.3

5.6

5.1

3.7

15.0

14.5

0 10 20 30 40(%)

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17

(5)本市で取り扱う「空家」

前述したとおり、空家実態調査(現地調査)の結果、空家と判定した建物から、付属

屋を除外した 939 件に対して、所有者意向調査(アンケート調査)を実施しました。

この結果、「解体済である」、「住居その他いずれかの用途で使用している」と回答した

256 件を除外した 683 件について、「空家」として取り扱うこととします。

<本市で取り扱う空家数>

配布数㋐ 有効

回収数

うち、「解体済である」、「住居その他いずれ

かの用途で使用している」との

回答数㋑

空家数

㋐-㋑

939 件 489 件 256 件 683 件

<空家確定までのフロー>

平成 28 年度空家候補

2,192 件

平成 29 年度空家候補

532 件

平成 28 年度空家と判定

705 件 平成 29 年度空家と判定

272 件

空家

683 件

空家実態調査(現地調査)

※アンケート調査結果から

「解体済である」

「住居、別荘、店舗・作業所、倉庫・物置、貸家、その他、

いずれかの用途で使用している」

と回答されたものを除外

空家所有者意向調査(アンケート調査)実施

939 件

空家と判定した合計 977 件から

付属屋 38 件を除外

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18

(6)空家率の算出

前頁で取り決めた空家 683 件を用いて空家率を算出したところ、約 2.6%となりま

した。

また、本市で行った調査では建築物単位で空家か否かを判断しており、住戸単位で

判断している住宅・土地統計調査の結果と単純比較ができないため、住宅・土地統計

調査の空家率に近い方法による算出も行いました。

その算出方法による空家率は約 6.7%であり、平成 25 年住宅・土地統計調査時点(空

家率 8.1%)よりも若干低くなりました。

■空家率■

空家(683 件)/家屋マスタの件数(全建物数(全用途))(25,904 件)

=約 2.6%

〈参考〉

住宅・土地統計調査に基づく推計

(空家(住宅)(590 件※1)+長屋建・共同住宅等の空家数(1,100 件)※2)/家屋マスタの件数

(全ての住宅)(25,256 件)

=約 6.7%

※1:本市で取り決めた空家(683 件)から住宅以外(93 件)を外した件数

※2:「平成 25 年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)の空家数を使用

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3 空家等に関する課題

(1)空家等の発生メカニズム

「自治体の空き家対策に関する調査研究報告書」(東京市町村自治調査会)によれば、

空家等が発生するメカニズムは主に以下のようなことが原因とされています。

■住宅の需給バランスの不均衡■

・住宅ストックの増加

・中古住宅流通市場が不十分

■個別の住宅の空き家化■

・相続人の不在、相続放棄

・相続による権利関係の複雑化

■不適正管理空き家の老朽化■

・空き家を処分することに対する抵抗感

・空き家の管理責任者意識の希薄化

・維持管理についての時間的・費用的負担

・除却費用の負担

・除却により「住宅用地に係る固定資産税課税標準の特例措置」が受けられなくなることによる、

固定資産税の負担増

・急傾斜地や狭小地での立地等、地勢的な悪条件による利用価値の低減

・建築基準法第 43 条の接道規制(住宅は幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない)

による立て替えの制約

出典:「自治体の空き家対策に関する調査研究報告書」(公益財団法人 東京市町村自治調査会)

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(2)本市における空家等に関する課題

所有者意向調査の結果から、本市における空家等に関する課題を以下の通り整理し

ました。

①空家等の予防・抑制に関する取り組みの推進

建物を使用しなくなったきっかけとして、

ⅰ「別の建物に転居したため」が最も多く、次いで

ⅱ「使用見込みのないまま相続等で取得したため」

ⅲ「所有者が死亡し、相続人が決まっていないため」

ⅳ「建物を貸していたが、借り手が転居したため」となっております。

以上から、所有者等の転居や、相続がうまくいかなかったことが空家となった原因

であるとみられます。

現存する空家等への対応とともに、これ以上新しい空家等を増やさないことも重要

であることから、所有者等が住宅に居住している段階から適切な維持管理等を促した

り、所有者等が円滑に相続手続きを進めるための支援の検討など、建物の予防・抑制

における対策を講じていくことが求められます。

②空家等の適正管理の促進、管理不全の空家等への対策

建物の維持管理を行う頻度として、

ⅰ「月1回未満の頻度で維持管理を行っている場合」が 57.2%、

ⅱ「維持管理はしていない」との回答が 24.3%みられ、

維持管理が不十分と思われる建物が多くなっています。

建物の維持管理が十分でないことで、建物の老朽化を招き、周辺の生活環境に悪影

響を及ぼすことが懸念されます。

空家等の適切な管理は当該空家等の所有者等の責任において行われることが原則で

あることから、所有者等の管理意識の啓発を行っていくとともに、管理不全の空家等

については、行政として法に基づいた適切な措置を講じていくことが求められます。

一方で、建物の維持管理で困っていることとして、

ⅰ「身体的・精神的負担が大きい」

ⅱ「建物の老朽化、劣化が著しい」

ⅲ「現地に通うのが大変」

ⅳ「経済的負担が大きい」

などの回答が多くなっており、身体的・精神的・経済的事情等の様々な理由から管

理責任を全うできない場合が多くあると考えられます。

庁内関係部署や関係機関等との連携のもと、相談体制の整備や情報提供等、適切な

管理の後押しになるような支援等を検討していくことが必要です。

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③空家等の売却・解体・利活用の促進

建物を今後どのようにしたいかについては、

ⅰ「解体したい」(43.0%)、

ⅱ「売却したい」(41.6%)、

ⅲ「借家、貸店舗、事務所等として貸したい」(15.4%)

ⅳ「空家として、維持管理を続けたい」(13.6%)

ⅴ「市の施策に活用してもらいたい」(11.2%)の順となっています。

また、今後必要な支援についても、「解体に関する経済的支援」「売却に関する相談・

業者の紹介」「解体に関する相談・業者の紹介」などが多くなっていることから、経済

的負担の軽減策や相談体制・情報提供体制の構築等により、空家等の売却・解体・利活

用を促進していくことが求められます。

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第3章 空家等に対する基本方針・基本目標 1 基本方針

第2章で示した課題等を踏まえ、本市における空家等対策の基本方針を次の通り定

めます。

■基本方針1■

空家等の適切な管理は所有者等の責務であることを基本とし、

行政・地域・事業者等の連携により、総合的な空家等対策に取り組みま

す。

■基本方針2■

空家等の対策を推進し、環境にやさしく快適に暮らせるまちづくりを

目指します。

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23

2 基本目標

基本方針を踏まえ、基本目標を次の通り定めます。

基本目標1:空家等の予防・抑制 住宅の適切な維持管理の促進や、空家化のリスク・問題点等の啓発、住宅の相続手

続き等に関する対策に取り組み、空家等の予防・抑制に努めます。

基本目標2:空家等の適正管理の促進 空家等の適切な管理は当該空家等の所有者の責任において行われるべきものである

という前提のもと、空家等の所有者等の管理意識の醸成に努めるとともに、庁内関係

部署との連携により、所有者等や市民にとって利用しやすい通報・相談体制の整備に

努めます。

基本目標3:管理不全の空家等への対策 管理不全の空家等について、所有者等への適正管理依頼や情報提供等を行い、速や

かな改善に努めます。

また、特定空家等の措置が必要となった場合は、特措法、国指針、国ガイドライン等

に基づき、適切に対応します。

基本目標4:空家等及び跡地の利活用の促進 空家等の再利用については、今後、売却・賃貸を希望する所有者と利用希望者との

マッチング等の施策を検討します。

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24

3 体系図

<基本方針> <基本目標>

■基本方針1■

空家等の適切な管理は所有

者等の責務であることを基

本とし、行政・地域・事業

者等の連携により、総合的

な空家等対策に取り組みま

す。

■基本方針2■

空家等の対策を推進し、

環境にやさしく快適に暮ら

せるまちづくりを目指しま

す。

1 空家等の予防・抑制

⑴空家等の予防・抑制に関する意識啓発

⑵空家等の相続に関する対策

2 空家等の適正管理の促進

⑴所有者等の管理意識の啓発

⑵通報・相談体制の整備

3 管理不全の空家等への対策

⑴空家等に関する現状把握

⑵管理不全の空家等への対応

⑶特定空家等に対する措置

⑷他法令による措置

4 空家等及び跡地の利活用の促進

⑴地域における空家等及び跡地の利活用

⑵空家等に関する支援事業の活用促進

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第4章 空家等対策に関する施策 1 空家等の予防・抑制

(1)空家等の予防・抑制に関する意識啓発

空家等は、長年放置され老朽化が進行するほど、除却等に関する費用が増加し、所

有者等の特定が困難になることから、所有者等が住宅に居住している段階から住宅の

適切な維持管理による住宅の品質保持を促し、また空家化した場合でもスムーズに市

場への流通が可能となるように努めます。

また、空家化のリスクや問題点等に関して市民への意識啓発を行い、市全体での空

家等の予防・抑制に取り組みます。

さらに、市のふるさと納税の返礼品である「空き家見守りサービス」の周知を図り、

市外に所有者等がいる空家等について定期的に状況確認を行うように努めます。

(2)空家等の相続に関する対策

建物の所有者等の死後、「相続人がいない」、「相続人が複数」、あるいは「相続人が相

続を放棄する」など、相続の手続きが円滑に行われないことで、維持管理の不適切化

や所有者意識の希薄化、意思決定の複雑化等を招き、空家化進行の要因となります。

今後、高齢化に伴う単独世帯の高齢者増により、上記のような状況はますます増え

ていくものと考えられます。

このような状況を踏まえ、建物の所有者等に対して相続に関しての啓発を行ったり、

相続に関する相談ができる場を設けるなど、建物の相続が適切に行われるように努め

ます。

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26

2 空家等の適正管理の促進

(1)所有者等の管理意識の啓発

特措法第3条で定められているとおり、空家等の適切な管理は当該空家等の所有者

の責任において行われるべきものであることから、市広報、市ホームページ等を通じ

て、空家等の適正管理に関する周知・啓発を行い、所有者等の管理意識の醸成に努め

ます。

(2)通報・相談体制の整備

空家等における問題は、地域の防災、衛生、景観など多岐にわたる側面を有してい

ます。このため、空家等に関する総合相談窓口を建築住宅課に一元化し、相談内容に

応じて庁内関係部署と情報共有・連携調整を図るなど、所有者等や市民にとって利用

しやすい通報・相談体制の整備に努めます。

<通報・相談体制>

■特措法第3条■

空家等の所有者又は管理者は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適

切な管理に努めるものとする。

相談

所有者等・市民

通報

総合相談窓口

(建築住宅課)

情報共有 連携調整

■庁内関係部署■

生活課・税務課・環境課・商工労政課・道路河川課・

都市整備課・上下水道部

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3 管理不全の空家等への対策

(1)空家等に関する現状把握

平成 28 年度及び 29 年度に実施した空家実態調査(第2章参照)において整備した

データベースにより、市内の空家等の状況把握に努めながら、空家等対策に関する対

策を検討するための基礎資料として活用します。

また、市内全域における空家等調査を適宜実施しながら、当該データベースの充実

を図り、空家等の施策検討においてより効果的な情報源となるように努めます。

(2)管理不全の空家等への対応

管理不全の空家等が放置された場合、地域における安全性の低下、公衆衛生の悪化、

景観の阻害等、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼす可能性があることから、管

理不全の空家等の所有者等に対して情報提供、助言、必要な援助等の適切な働きかけ

を実施し、速やかな改善を促すように努めます。

具体的には、空家実態調査や市民からの通報・情報提供等により管理不全な空家等

を確認した場合、特措法第 12 条に基づき所有者等への適正管理依頼を行いながら、必

要に応じて情報提供や助言等を行い、所有者等自身による改善を求めます。

所有者等に適正管理依頼を行ったにもかかわらず、適切な改善がなされない場合は、

適正管理依頼を継続しながら、市が関与すべき事案かどうかを検討します。

関与すべきと判断した場合は、どのような根拠に基づき、どのような措置を講ずべ

きかを検討して、特定空家等の措置やその他関係法令等による措置など、適切な措置

を実施します。

また、対応が困難となっている不良空家等については、所有者意向調査結果により、

解体希望が多かったことから、解体支援についての施策を検討します。

■特措法第 12 条■

市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報

の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。

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(3)特定空家等に対する措置

①特定空家等に該当するか否かの判断

管理不全の空家等のうち、市が関与すべき事案であると判断した場合は、国ガイド

ラインを基に、建物の状態や周辺環境に及ぼす影響等を総合的に確認し、特措法に基

づく特定空家等に該当するかを判断します。

なお、特定空家等は、特措法第2条第2項のとおり、以下の状態にあると認められ

る空家等と定義されています。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

上記の判断により、特定空家等の措置が必要となった場合は、特措法、国指針、国ガ

イドライン等に基づき、適切に対応します。

②措置の流れ(P36 対応フロー参照)

特定空家等の所有者等に対しては、特措法第 14 条に基づく助言または指導(特措法

第 14 条第1項)、勧告(特措法第 14 条第2項)、命令(特措法第 14 条第3項)、代執

行(特措法第 14 条第9項、第 10 項)の手続きを、順を追って行っていきます。特措

法第 14 条に基づく措置の実施にあたっては、必要に応じて特措法第9条第2項に規定

されている立入調査の実施も検討します。

なお、これらの措置については、強い公権力の行使を伴う行為が含まれることから、

慎重な対応に努めます。

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29

③立入調査

市町村長は、特措法第 14 条第1項から第3項に規定される助言・指導、勧告、命令

の施行に必要な限度において、空家等と認められる場所への立入調査をすることがで

きるとされています(特措法第9条第2項)。この立入調査は、外観目視による調査で

は足りず、敷地内及び建物内に立ち入って詳細な状況を確認する必要がある場合に実

施します。

なお、立入調査結果が、必ずしも特措法第 14 条第1項から第3項までの規定による

措置に結びつかなくとも、特定空家等に該当する可能性があると認められるか否か、

当該空家等に対する措置を講ずる必要があるか否か、あるとすればどのような内容の

措置を講ずべきか等を確かめようとする場合においても実施できることとします。

また、立入調査は必要最小限度の範囲で行われるべきものであり、当該空家等の敷

地内に立ち入らずとも目的を達成し得る場合には、立入調査を実施しません。

④助言又は指導

特定空家等の所有者等に対し、まずは自らの意思による改善を促すため、特定空家

等について必要な措置を取るよう助言・指導等の行政指導を行います(特措法第 14 条

第1項)。

助言・指導にあたっては、次の事項を示すこととします。

・当該助言又は指導の内容及びその事由

・当該助言又は指導の責任者

・助言又は指導に係る措置を実施した場合は、遅滞なく当該助言又は指導の責任者に報告す

ること

・助言又は指導をしたにも関わらず、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認められる

ときは、市町村長は勧告を行う可能性があること

・市町村長が勧告をした場合は、地方税法の規定に基づき、当該特定空家等に係る敷地につ

いて固定資産税等のいわゆる住宅用地特例の対象から除外されることとなること

なお、特定空家等の所有者等が、当該空家等の状況を把握していない可能性がある

こと等を考慮し、どの建物が助言・指導等の対象となっているか、当該建物が現在ど

のような状態にあるか、周辺環境にどのような悪影響をもたらしているか等について

もあわせて示すこととします。

■特措法第9条第2項■

市町村長は、第十四条第一項から第三項までの規定の施行に必要な限度において、当該

職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。

■特措法第 14 条第1項■

市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木

竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるよう助言又は指導をす

ることができる。

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30

⑤勧告

特措法第 14 条第1項における助言又は指導をした場合において、なお当該「特定空

家等」の状態が改善されないと認めるときは、当該「特定空家等」の所有者等に対し、

相当の猶予期限を付けて、必要な措置をとることを勧告します(特措法第 14 条第2

項)。

なお、住宅やアパート等の敷地として利用されている土地(住宅用地)については

特例措置により固定資産税等が軽減されていますが、上記の勧告を行った場合は地方

税法第 349 条の3の2第1項等の規定に基づき、当該「特定空家等」に係る敷地につ

いて固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されることから、勧告にあたっては

税務課との連携を密にしながら対応を行います。

勧告にあたっては、次の事項を示すこととします。

・当該勧告に係る措置の内容及びその事由

・当該助言又は指導の責任者

・勧告に係る措置を実施した場合は、遅滞なく当該勧告の責任者に報告すべきであること

・正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合、市町村長は命令を行う可能性

があること

・地方税法の規定に基づき、当該特定空家等に係る敷地について固定資産税等のいわゆる住

宅用地特例の対象から除外されること

■特措法第 14 条第2項■

市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の

状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限

を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置

をとることを勧告することができる。

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31

⑥命令

ⅰ 命令の通知

特措法第 14 条第2項に規定する勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に

係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対

し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命令する行政処分を

行います(特措法第 14 条第3項)。

命令にあたっては、措置を命じようとする者又はその代理人に対し、あらかじめ命

じようとする措置の内容及びその事由、意見書の提出先・提出期限を記載した通知書

を交付します(特措法第 14 条第4項)。

通知書には、当該通知書の交付を受けた日から5日以内に、市長に対し、意見書の

提出に代えて公開による意見の聴取を行うことが請求できることについても併記しま

す(特措法第 14 条第5項)。なお、意見聴取の請求がなく当該期間を経過した場合に

は、意見書の提出期限の経過をもって、直ちに特措法第 14 条第3項に基づく命令をす

ることとします。

■特措法第 14 条第3項■

市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置

をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限

を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

■特措法第 14 条第4項■

市町村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じよう

とする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を

記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に

有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

■特措法第 14 条第5項■

前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から五日以内に、市町村長に対

し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

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32

前頁における市長に対する意見の聴取の請求があった場合は、当該措置を命じよう

とする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行います(特措法

第 14 条第6項)。その際、当該措置を命じようとする者又はその代理人に対し、意見

聴取の期日の3日前までに、「命じようとする措置」及び「意見の聴取の期日及び場所」

を通知するとともに、これを公告します(特措法第 14 条第7項)。

措置を命じようとする者又はその代理人は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、

かつ、自己に有利な証拠を提出することができます(特措法第 14 条第8項)。

■特措法第 14 条第6項■

市町村長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第三項の措置

を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければな

らない。

■特措法第 14 条第7項■

市町村長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第三項の規定によって

命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の三日前までに、前項に規定

する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

■特措法第 14 条第8項■

第六項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠

を提出することができる。

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33

ⅱ 命令の実施

以下に該当する場合、法第 14 条第3項の規定に基づき、当該措置を命令することが

できることとします。

・事前の通知に示した意見書の提出期限までに意見書の提出がなかった場合

・事前の通知書の交付を受けた日から5日以内に意見聴取の請求がなかった場合

(意見聴取の請求があった場合において請求した者が出頭しなかった場合を含む)

・意見書の提出又は意見聴取を経てもなお当該命令措置が不当でないと認められた場合

なお、市長は、法第 14 条第3項の規定による命令をした場合は、第三者に不測の損

害を与えることを未然に防止する観点から、標識の設置をするとともに、広報やホー

ムページ等により同項の規定による命令が出ている旨を公示します(特措法第 14 条第

11 項)。標識は、命令に係る特定空家等に設置することとします(法第 14 条第 12 項)。

■特措法第 14 条第 11 項■

市町村長は、第三項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土交通

省令・総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

■特措法第 14 条第 12 項■

前項の標識は、第三項の規定による命令に係る特定空家等に設置することができる。この場

合においては、当該特定空家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならな

い。

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⑦行政代執行

特措法第 14 条第3項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命

ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても

同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、

市が所有者等に代わり措置を執行します(特措法第 14 条第9項)。なお、代執行は、

以下の要件を満たす場合に行います。

・他人が代わってすることのできる義務(代替的作為義務)に限られること

・当該特定空家等による周辺の生活環境等の保全を図るという規制目的を達成するために必

要かつ合理的な範囲内のものとしなければならないこと

また、特措法第 14 条第3項に基づき必要な措置を命じようとする場合において、措

置を命ぜられるべき者を確知できないときは、略式代執行により措置を実施します(特

措法第 14 条第 10 項)。略式代執行は、以下の要件を満たす場合に行います。

・過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないこと

・その措置が、他人が代わってすることができる作為義務(代替的作為義務)であること

略式代執行を行う場合は、相当の期限を定め、あらかじめ以下を公示します。

・当該措置を行うべき旨

・その期限までに当該措置を行わないときは、市町村長又はその措置を命じた者若しくは委任

した者がその措置を行うべき旨

代執行に要した一切の費用は、所有者等から徴収します。

ただし、略式代執行は、行政代執行法の規定によらないものであり、代執行に要し

た費用を強制徴収することはできません。所有者等が後で判明したときは、その者か

ら代執行に要した費用を徴収することができますが、所有者等が任意に費用支払をし

ない場合は民事訴訟を提起し、裁判所による給付判決を債務名義として民事執行法に

基づく強制執行に訴えることとなります。

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■特措法第 14 条第9項■

市町村長は、第三項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられ

た者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに

完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行

為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

■特措法第 14 条第 10 項■

第三項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命

ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第一項の助言若しくは指導又は第

二項の勧告が行われるべき者を確知することができないため第三項に定める手続により命令を

行うことができないときを含む。)は、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行

い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の

期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村

長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければな

らない。

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⑧管理不全の空家・特定空家等への対応フロー

管理不全の空家等の把握

(空家実態調査結果、市民からの通報・情報提供等)

所有者等への適正管理依頼、必要に応じて

情報提供・助言等の実施(特措法第 12 条)

適正管理がなされない場合

現地調査(外観調査)

立入調査等(特措法第 9 条第2項)

特定空家等の判定(特措法第 14 条)

解体の促進 (解体支援等の検討)

所有者が確知できない場合

代執行

(特措法第 14 条第9項)

特定空家等に対する措置

行政代執行法による対応

助言又は指導

(特措法第 14 条第1項)

勧告

(特措法第 14 条第2項)

略式代執行

(特措法第 14 条第 10 項)

命令

(特措法第 14 条第3項)

固定資産税等の

住宅用地特例の対象から除外

意見聴取等

(特措法第 14 条第4~8項)

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(4)他法令による措置

管理不全の空家等のうち、市が関与すべき事案であると判断した場合、特措法によ

る対応のほか、建築基準法、消防法、道路法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等、

他法令による措置が考えられることから、当該空家等の悪影響の程度、切迫性等を総

合的に判断し、措置の内容を選択します。また、当該空家等の状態によっては、複数の

諸制度の組み合わせによる措置も検討し、適切な対応に努めます。

<空家等への対応が考えられる主な他法令>

法令 措置の概要

建築基準法

(第 10 条)

・損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれ

ば著しく保安上危険または著しく衛生上有害となる

おそれがある場合は、当該建築物・敷地の所有者等

に対して、当該建築物の除却、移転、改築、増築、

修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上ま

たは衛生上必要な措置をとることを勧告することが

できる。

消防法

(第3条)

・消防長、消防署長その他の消防吏員は、屋外におい

て火災の予防に危険であると認める物件や消火、避

難その他の消防の活動に支障になると認める物件の

所有者等に対して、危険物や放置された燃焼のおそ

れのある物件の除去その他の処理を命ずることがで

きる。

道路法

(第 43 条、第 44 条)

・何人も道路に関して、損傷、汚損、土石や竹木等の

物件のたい積、その他道路の構造や交通に支障を及

ぼすおそれのある行為をしてはならない。

・道路管理者は、条例で指定された沿道区域におい

て、交通に危険を及ぼすおそれのある行為を防止す

るため必要な措置を講ずべきことを命ずることがで

きる。

廃棄物の処理及び清掃

に関する法律

(第 19 条)

・一般廃棄物処理基準に適合しない一般廃棄物の収

集、運搬または処分が行われた場合において、生活

環境の保全上支障が生じる場合に、市町村長はその

支障の除去や発生の防止のために必要な措置を講ず

べきことを命ずることができる。当該命令に係る措

置を講じないときは、自ら当該支障の除去等の措置

を講じることができる。

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4 空家等及び跡地の利活用の促進

(1)地域における空家等及び跡地の利活用

再利用が可能な空家等については、今後、売却・賃貸を希望する所有者と利用希望

者とのマッチング等の施策を検討し、空家等の市場流通を促進します。

また、空家等及び除却後の跡地については、市場流通の促進に努めることと併せて、

それぞれの地域に合わせて利活用するための検討も進めます。

(2)空家等に関する支援事業の活用促進

国の「空き家再生等推進事業」や県の「福島県空き家・ふるさと復興支援事業」、そ

の他の補助金等を積極的に活用し、空家等の利活用・除却について促進します。

<空家等対策に関連した主な支援事業>

事業名 事業の概要

空き家再生等推進事業 居住環境の整備改善を図るため、不良住宅、空き家住

宅、空き建築物の除却、空き家住宅、空き建築物の活

用等に対し支援を行うもの。

福島県空き家・ふるさと

復興支援事業

東日本大震災・原子力災害により被災または避難して

いる方の住宅再建や、県外からの定住等を促進するた

め、空き家を改修して居住する方に対し、改修費用の

一部を補助するもの。

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第5章 空家等対策の推進 1 空家等対策の実施体制

空家等対策における庁内の組織体制と役割は、以下の通りです。

空家等対策は防災、衛生、景観など多岐にわたることから、庁内の関係部署と連携

した取り組みを推進します。また、庁内だけでなく、地域の町内会等や不動産・建築関

係団体、金融機関、警察・消防、法律関係団体等の関係機関等との連携を強化し、地域

社会全体での空家等対策に取り組みます。

<庁内組織体制と役割>

所管課 役割

建築住宅課

・空家等の総合的な対応

・空家等の調査

・空家等の解体支援

・空家等の適切な管理の促進

・空家等への措置の実施

・空家等及び跡地の利活用の促進

・空家等に関するデータベースの整備

生活課 ・消防・防災に関する対策

税務課 ・固定資産税等の住宅用地特例に関する対応

環境課 ・ゴミ、異臭等への対応(道路に掛かるものを除く)

・不法投棄・廃棄物処理に関する対策

商工労政課 ・中心市街地に関する空家等の利活用の促進

道路河川課 ・道路の安全に関する対策

都市整備課 ・景観等に関する対策

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2 計画の推進と見直し

空家等対策は中長期的な視点による取り組みが重要となります。このため、本計画

は、「計画(Plan)」、「実行(Do)」、「評価(Check)」、「改善(Act)」を循環させながら、

法令や国の制度改正、市内の状況や社会情勢等の変化も勘案し、計画達成状況の点検・

評価を行い、必要に応じて見直しを行っていきます。

<PDCAサイクルにおける計画管理>

・空家等対策計画

・実施体制の整備

計画(Plan)

・点検・評価の結果を踏まえた

空家等対策計画の見直し

・計画の内容を踏まえた空家等対策

の実施

・計画達成状況の点検・評価

実行(Do)

評価(Check)

改善(Act)

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資料 1 空家等対策の推進に関する特別措置法

第一条 この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住

民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産

を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するた

め、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第

十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施

策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ

計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居

住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土

地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理する

ものを除く。

2 この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険

となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が

行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全

を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

(空家等の所有者等の責務)

第三条 空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪

影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。

(市町村の責務)

第四条 市町村は、第六条第一項に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家

等に関する対策の実施その他の空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めるも

のとする。

(基本指針)

第五条 国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施す

るための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

2 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 空家等に関する施策の実施に関する基本的な事項

二 次条第一項に規定する空家等対策計画に関する事項

三 その他空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項

3 国土交通大臣及び総務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、

あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとする。

4 国土交通大臣及び総務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞な

く、これを公表しなければならない。

(空家等対策計画)

第六条 市町村は、その区域内で空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、

基本指針に即して、空家等に関する対策についての計画(以下「空家等対策計画」とい

う。)を定めることができる。

2 空家等対策計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

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一 空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等

に関する対策に関する基本的な方針

二 計画期間

三 空家等の調査に関する事項

四 所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項

五 空家等及び除却した空家等に係る跡地(以下「空家等の跡地」という。)の活用の促

進に関する事項

六 特定空家等に対する措置(第十四条第一項の規定による助言若しくは指導、同条第

二項の規定による勧告、同条第三項の規定による命令又は同条第九項若しくは第十項

の規定による代執行をいう。以下同じ。)その他の特定空家等への対処に関する事項

七 住民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項

八 空家等に関する対策の実施体制に関する事項

九 その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項

3 市町村は、空家等対策計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公

表しなければならない。

4 市町村は、都道府県知事に対し、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関し、

情報の提供、技術的な助言その他必要な援助を求めることができる。

(協議会)

第七条 市町村は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行うための

協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のほか、地域住民、市町村の

議会の議員、法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験者その他の市町村長

が必要と認める者をもって構成する。

3 前二項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

(都道府県による援助)

第八条 都道府県知事は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施その他空家等に関し

この法律に基づき市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の提供及び技

術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならな

い。

(立入調査等)

第九条 市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等

を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うこ

とができる。

2 市町村長は、第十四条第一項から第三項までの規定の施行に必要な限度において、当

該職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせること

ができる。

3 市町村長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場

所に立ち入らせようとするときは、その五日前までに、当該空家等の所有者等にその旨

を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であると

きは、この限りでない。

4 第二項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、その身分を示

す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

5 第二項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈して

はならない。

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(空家等の所有者等に関する情報の利用等)

第十条 市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情

報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行の

ために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のた

めに内部で利用することができる。

2 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもの

のうち特別区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用

する目的で都が保有する情報であって、特別区の区域内にある空家等の所有者等に関す

るものについて、当該特別区の区長から提供を求められたときは、この法律の施行のた

めに必要な限度において、速やかに当該情報の提供を行うものとする。

3 前項に定めるもののほか、市町村長は、この法律の施行のために必要があるときは、

関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な

情報の提供を求めることができる。

(空家等に関するデータベースの整備等)

第十一条 市町村は、空家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又

は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよ

う適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第十三条までにおいて同じ。)に関

するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置

を講ずるよう努めるものとする。

(所有者等による空家等の適切な管理の促進)

第十二条 市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に

対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。

(空家等及び空家等の跡地の活用等)

第十三条 市町村は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う

者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提

供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。

(特定空家等に対する措置)

第十四条 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修

繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置

すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるお

それのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)

をとるよう助言又は指導をすることができる。

2 市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家

等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の

猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るため

に必要な措置をとることを勧告することができる。

3 市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る

措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相

当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

4 市町村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を

命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先

及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理

人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

5 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から五日以内に、市町村長に

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44

対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

6 市町村長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第三項の

措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わ

なければならない。

7 市町村長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第三項の規定によ

って命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の三日前までに、前

項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

8 第六項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な

証拠を提出することができる。

9 市町村長は、第三項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜ

られた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項

の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三

号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれを

させることができる。

10 第三項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措

置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第一項の助言若し

くは指導又は第二項の勧告が行われるべき者を確知することができないため第三項に定

める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、市町村長は、その者の負担

において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせること

ができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその

期限までにその措置を行わないときは、市町村長又はその命じた者若しくは委任した者

がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

11 市町村長は、第三項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土

交通省令・総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

12 前項の標識は、第三項の規定による命令に係る特定空家等に設置することができる。

この場合においては、当該特定空家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げ

てはならない。

13 第三項の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章

(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

14 国土交通大臣及び総務大臣は、特定空家等に対する措置に関し、その適切な実施を図

るために必要な指針を定めることができる。

15 前各項に定めるもののほか、特定空家等に対する措置に関し必要な事項は、国土交通

省令・総務省令で定める。

(財政上の措置及び税制上の措置等)

第十五条 国及び都道府県は、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策

の適切かつ円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に対する

補助、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする。

2 国及び地方公共団体は、前項に定めるもののほか、市町村が行う空家等対策計画に基

づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その

他の措置を講ずるものとする。

(過料)

第十六条 第十四条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の

過料に処する。

2 第九条第二項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下

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の過料に処する。

附 則

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日か

ら施行する。ただし、第九条第二項から第五項まで、第十四条及び第十六条の規定は、

公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(検討)

2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘

案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基

づいて所要の措置を講ずるものとする。

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須賀川市空家等対策計画

【第一次】

平成 30 年 3 月(第1版)

須賀川市 建設部 建築住宅課

〒962-8601 福島県須賀川市八幡町 135 番地

TEL:0248-88-9151