第3種郵便物認可 国交正常化 周年 中国特集 中国シルクロード観 … ·...

1
中国シルクロード観光年 西 西 省都西安に二つの世界遺産 兵馬俑と交易路関連史跡 広大な領域に 数えきれぬ旧跡 「シルクロード」 第2887号 便2017年(平成29年)4月8日(土曜日) 西 沿 西 武士俑約6千体が出土した世界遺産の兵馬俑坑 世界遺産の一つ、高さ㍍の大雁塔(中央奥) 西 西 西 西 西 西 西 西 西 西 西 西 西 西 砂漠の中をラクダで散策できる敦煌の鳴砂山 高さ. ㍍の仏像を保存する莫高窟の第窟 世界遺産を構成する史跡、高昌故城 クズルガハ烽火台 西 沿 貿 西 西 西 西 使 姿 西 西 西 月牙泉(敦煌) 嘉峪関の関所からさらに 西へ続く長城跡 マルコポーロや玄奘三蔵で知られる 西安から西へ向かう交易路

Upload: others

Post on 06-Sep-2019

10 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

国交正常化周年 中国特集

中国シルクロード観光年陜西省

西域への起点「西安」、辺境の要塞「敦煌」

省都西安に二つの世界遺産兵馬俑と交易路関連史跡

甘粛省

新疆ウイグル自治区

広大な領域に数えきれぬ旧跡

石窟芸術の宝庫、砂漠の中の奇観

中国国家観光局駐日本代表処

「シルクロード」

(4)第2887号 第3種郵便物認可 2017年(平成29年)4月8日(土曜日)

 今年2017年は日本と中国の国交正常化周年。

両国で多くの記念事業が予定されている。中国ではさ

らに、今年を昨年、一昨年に続き「中国シルクロード

観光年」に制定。古くから東西文化の交流に重要な役

割を果たしてきたシルクロードと、その沿道の観光資

源を広くアピールする。「西安」「敦煌」をはじめ、

シルクロード3省・自治区の主な観光魅力を紹介する。

武士俑約6千体が出土した世界遺産の兵馬俑坑

世界遺産の一つ、高さ㍍の大雁塔(中央奥)

 中国のほぼ中央に位置す

る陝西省。その省都であり、

最大都市の西安(旧名・長

安)は、秦、漢、唐など

王朝の都、アテネ、ローマ、

カイロとともに世界四大古

都の一つとして知られ、遠

く西域へとつながるシルク

ロードの東の起点となって

いる。

 ここ西安には二つの世界

遺産がある。一つが「秦の

始皇帝陵と兵馬俑坑」、も

う一つが「シルクロード・

長安・天山回廊の交易路網」

だ。前者は1987年、後

者は2014年に、ともに

世界文化遺産に登録され

た。

 兵馬俑は1974年、農

民が井戸を掘削していたと

ころ、偶然発見したという

「世紀の考古学における

最大の発見」。秦の始皇帝

が絶大な権力を誇示するた

め、兵や馬の塑像を焼成し、

その陵を守らせたといわれ

る。

 展示する博物館は総面積

1万4263平方㍍。出土

した武士俑だけでも約6千

体。ほかに、陶俑陶馬約8

千点、青銅器約4万点が発

見されている。

 秦の始皇帝陵は内城の周

囲が2525・4㍍、外城

の周囲が6294㍍という

スケールの大きな陵墓だ。

大きな土の山で、陵の周辺

では兵馬俑坑が発見されて

いるのみで、いまだ発掘さ

れていない陪葬坑が多くあ

るという。

 一方、シルクロードの世

界遺産は、西安から天山回

廊を経て中央アジア(カザ

フスタン、キルギス)に至

る範囲の史跡カ所。この

うち中国国内はカ所、陝

西省は7カ所、西安は5カ

所が登録されている。

 西安市内にあるのは大雁

塔、小雁塔、唐長安城大明

宮遺跡、漢長安城未央宮遺

跡、興教寺。この中の大雁

塔は大慈恩寺内にある高さ

㍍の7層の塔で、唐の高

僧・玄奘(三蔵法師)が天

竺(インド)から仏教経典

を国内に持ち帰り、翻訳、

保管した場所とされる。塔

は観光客が登ることもでき

る。

 陝西省内の登録史跡はほ

かに、張騫墓(漢中市)、

彬県大仏寺石窟(咸陽市)。

 西安市内の観光地はほか

に、中国の古代城壁で、最

も保存状態のよい西安古城

壁、中国で最も多い、漢の

時代からの石碑3千点余を

収蔵、展示した西安碑林博

物館など。

西安市内の五つのシルクロ

ード世界遺産の一つ、小雁

塔西安古城壁。中国の古代城

壁で最も保存状態がよいと

いう

砂漠の中をラクダで散策できる敦煌の鳴砂山

高さ.㍍の仏像を保存する莫高窟の第窟

世界遺産を構成する史跡、高昌故城

クズルガハ烽火台

 新疆ウイグル自治区は中

国の西北部にあり、カザフ

スタン、キルギス、タジキ

スタンなど八つの国と国境

を接する。面積約166万

平方㌔。中国の国土の約6

分の1と、広大な領域を占

める。アルタイ、天山、ク

ンルンの三つの山脈が自治

区を横切り、ジュンガル、

タリムの二つの盆地が間に

はさまる形は新疆の「疆」

の字の右半分のようだとい

われる。漢、ウイグル、モ

ンゴル、カザフなど、の

民族が住む多民族地域でも

ある。

 古代シルクロードは南、

中、北と三つのルートに分

かれて自治区内を通り抜

け、沿道には数えきれない

ほどの旧跡がある。

 区都のウルムチは天山の

北麓にある新疆の最大都

市。交通の要衝であり、古

代シルクロード上の重要都

市でもあった。郊外には第

3氷河期の頃に形成され、

400万年の歴史を持つと

いう天山一号氷河、氷と雪、森林と草、珍しい石、放牧

エリアなどで構成する南山

風景区などの名所がある。

 カシュガルはシルクロー

ドの南ルートと北ルートの

接点に位置する新疆南部の

政治、経済の中心。イスラ

ム教の古代建築物で中国最

大のモスク、アイティガル

モスク、新疆最大の農村貿

易集散地、大バザールなど

の見どころがある。

 トルファンはシルクロー

ド上の著名な観光都市。新

疆東部の山間盆地にあり、

真夏の気温は度以上とな

ることから「火洲」とも呼

ばれる。僧の玄奘(三蔵法

師)が経典を得るため西に

向かう途中、仏教の講義を

したという高昌国の城郭都

市、高昌故城と、戦国の末

期から元代の旧都市の遺

跡、交河故城はシルクロー

ドの世界遺産を構成する史

跡だ。

 クチャは天山の南麓にあ

り、新疆最大の烽火台跡、

クズルガハ烽火台や、キジ

ル石窟、スバシ仏寺遺跡と

いった世界遺産を構成する

三つの史跡がある。

 自治区の世界遺産史跡は

ほかに北庭故城遺跡(ジム

サル県)。合計六つの世界

遺産構成史跡がある。

 甘粛省は中国北西部の内

陸、東西の長さ1600㌔、

広さ万平方㍍という広大

な領域で、長江、黄河とい

う中国の二大河川の流域が

接近する場所に位置する。

 省都の蘭州はシルクロー

ドの一つ河西回廊の入り口

に当たる。ここから武威、

張掖、嘉峪関、そして敦煌

へと、約1千㌔に及ぶ道が

つながる。

 武威は中国国家観光局の

ロゴマークに使われている

「銅奔馬」が出土した場所

だ。1969年、雷神をま

つる廟で農民が井戸を掘っ

たところ、後漢時代の将軍

の墓が発見された。墓室か

ら231点の埋葬品が出

土。その一つが高さ・5

㌢の銅製の馬の像、銅奔馬

だった。疾走する馬の姿の

芸術的価値、造形技術の高

さが世界の考古学者から評

判となった。

 張掖にはチンギスハンの

孫、フビライハンが生まれ

た大仏寺がある。保存され

ている涅槃臥仏は全長・

5㍍と、世界最大。郊外に

は赤や茶色の地層が何層も

重なる岩山の奇観、丹霞地

質公園がある。

 嘉峪関は長さ約6千㌔に

及ぶ万里の長城の西端「嘉

峪関」をそのまま市の名前

にした。明の時代に建てら

れた城壁や、遠く長安まで

のろしを上げ、時の政府に

情報を伝達したという長城

第一墩がある。

 敦煌は酒泉市の管轄にあ

る県級市。シルクロードは

ここから天山北路、天山南

路、西域南道の三つの道に

分かれる。

 甘粛省観光のハイライト

が敦煌の莫高窟だ。大小4

94の洞窟に、4世紀から

世紀にかけての貴重な仏

像や壁画が多く保存されて

いる。1987年、世界文

化遺産に登録された。最も

有名な第窟は、莫高窟で

最大の高さ・5㍍の仏像

を保存。世界で3番目の大

きさという。第窟では4

世紀からの文物約5万点が

発見され、世紀の大発見

と世界を震撼させた。

 東西㌔、南北㌔に及

ぶ砂山、鳴砂山では、砂漠

の中をラクダで散策した

り、砂山をそりで滑降する

などの遊びが楽しめる。砂

漠の中には3千年以上も枯

れずに水をたたえる三日月

型の池、月牙泉がある。

 省内のシルクロード関連

世界遺産はほかに、麦積山

石窟(天水)、炳霊寺石窟

(蘭州)、鎖陽城遺跡と墓

群(酒泉)、玉門関・河倉

城遺跡(敦煌)、懸泉置遺

跡(敦煌)。

月牙泉(敦煌)

嘉峪関の関所からさらに西へ続く長城跡

マルコポーロや玄奘三蔵で知られる西安から西へ向かう交易路