みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要...

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Copyright Mizuho Research Institute Ltd. All Rights Reserved. 2015・16年度 内外経済見通し ~世界経済は緩慢な回復、新興国の下振れリスクに警戒 ~ 2015.11.17

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Page 1: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

Copyright Mizuho Research Institute Ltd. All Rights Reserved.

2015・16年度 内外経済見通し

~世界経済は緩慢な回復、新興国の下振れリスクに警戒 ~

2015.11.17

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見通しのポイント

1

○ 新興国・資源国経済の下振れから2015年の世界経済は減速。2016年にかけては日米の拡大

や資源国のマイナス幅の縮小から持ち直すも、新興国の減速が続く中で回復ペースは緩慢

○ 世界的なバランスシート調整は第3局面で、新興国問題を抱える局面

○ 中国の下振れや米利上げの影響による新興国・資源国経済の更なる減速が世界経済にとっ

ての懸念材料。新興国でリスクが高いのは、アルゼンチン、ブラジル、トルコ、ベネズエラ

○ 米国は2015年12月に利上げ開始、その後は緩やかな利上げに。長期金利も緩やかな上昇に

留まる。ただし、新興国・資源国の動向次第で利上げ後ずれも

○ 日本経済は、2015年7~9月期は2四半期連続のマイナス成長となるも、2015年10~12月期以

降、個人消費や輸出の持ち直しから、回復軌道に復する

○ 日本の物価は2015年末にかけてゼロ近傍で推移するも、2016年度後半には1%台前半まで

上昇。日銀は物価の基調を見極めつつ、2016年前半に追加緩和も視野に

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《 構 成 》

2

Ⅰ.全体概要 P 3

Ⅱ.海外経済 P 25

(1)米国経済 P 26

(2)ユーロ圏経済 P 33

(3)アジア経済 P 39

Ⅲ.日本経済 P 48

Ⅳ.金融市場 P 63

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Ⅰ.全体概要

3

~景気回復の足取りは鈍く、新興国に下振れリスク~

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全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク

4

○ 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

+3.2%と前年(2014年:3.5%)から減速。2016年は+3.4%に持ち直すが、資源国でのマイナ

ス幅縮小の影響を除くと、小幅な改善にとどまる

○ 米国は緩やかな拡大基調が続き、FRBは2015年12月から利上げを開始。日本は2四半期連

続でマイナス成長となったが、今後は緩やかな回復軌道に復す。ユーロ圏は緩やかな回復と

低インフレが続き、ECBは2015年12月に追加緩和策を打ち出す

○ 世界のバランスシート調整は、①先進国の民間債務問題、②先進国のソブリン問題、の後の

第3局面として③新興国の債務問題の局面に。その結果、新興国は世界経済に対するけん

引力が乏しい。中国は2015年末にかけて一旦持ち直すものの、2016年以降は再び減速基調

に。その他新興国の回復テンポは弱く、ロシアやブラジルは2年連続マイナス成長に

○ メインシナリオは世界経済の緩やかな回復だが、中国経済の下振れを含め新興国や資源国

経済の悪化が引き起こすシステミックリスクには留意が必要。その場合は、米国の利上げが

先送りとなり、先進国も含めた世界経済全体の減速に波及する可能性。なお、パリ同時テロ

を受けた地政学的リスクの高まりにも警戒が必要

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世界経済は2016年に向けて持ち直すも、回復ペース緩慢

5

【 世界経済見通し総括表 】

(注)予測対象地域計はIMFによる2012年GDPシェア(PPP)により計算。(資料)IMF、各国統計より、みずほ総合研究所作成

○ 予測対象地域計の成長率は、2015年に減速後、2016年にかけて持ち直すも、ブラジル、ロシアを除くと小幅な改善

・ 2015年は、米国や日本を下方修正する一方、ユーロ圏、アジアなどを上方修正し、全体では概ね前回予想並みの減速

・ 2016年は、アジアを小幅上方修正するも、ユーロ圏、日本、ブラジル、ロシアを下方修正し、全体でも下方修正

(前年比、%) (前年比、%) (%ポイント)

暦年 2013年 2014年 2015年 2016年 2015年 2016年 2015年 2016年

(実績) (実績) (予測) (予測)

予測対象地域計 3.3 3.5 3.2 3.4 3.1 3.5 0.1 ▲ 0.1

日米ユーロ圏 0.9 1.5 1.8 1.9 1.8 2.0 - ▲ 0.2

米国 1.5 2.4 2.4 2.5 2.5 2.5 ▲ 0.1 -

ユーロ圏 ▲ 0.2 0.9 1.5 1.4 1.3 1.5 0.2 ▲ 0.1

日本 1.6 ▲ 0.1 0.6 0.9 0.7 1.6 ▲ 0.1 ▲ 0.7

アジア 6.4 6.3 6.2 6.1 6.1 6.0 0.1 0.1

中国 7.7 7.3 7.0 6.7 6.9 6.6 0.1 0.1

NIEs 2.9 3.3 2.0 2.3 2.0 2.4 - ▲ 0.1

ASEAN5 5.1 4.6 4.6 4.4 4.4 4.3 0.2 0.1

インド 6.4 7.1 7.4 7.7 7.4 7.7 - -

オーストラリア 2.0 2.7 2.2 2.5 2.2 2.5 - -

ブラジル 2.7 0.1 ▲ 3.0 ▲ 1.5 ▲ 2.5 ▲ 0.8 ▲ 0.5 ▲ 0.7

ロシア 1.3 0.6 ▲ 4.1 ▲ 0.4 ▲ 4.1 0.1 - ▲ 0.5

日本(年度) 2.1 ▲ 0.9 0.8 1.5 1.1 1.9 ▲ 0.3 ▲ 0.4

原油価格(WTI,$/bbl) 98 93 49 52 51 54 ▲ 2 ▲ 2

(9月予測からの修正幅)(9月予測)

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2013 2014 2015 2016

年度 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

実質GDP 前期比、% 2.1 ▲ 0.9 0.8 1.5 ▲ 0.3 0.3 1.1 ▲ 0.2 ▲ 0.2 0.4 0.1 0.4 0.5 0.5 0.8

前期比年率、% -- -- -- -- ▲ 1.1 1.2 4.6 ▲ 0.7 ▲ 0.8 1.6 0.2 1.6 2.1 2.0 3.2

内需 前期比、% 2.5 ▲ 1.4 0.7 1.4 ▲ 0.3 ▲ 0.0 1.1 0.0 ▲ 0.3 0.3 0.0 0.4 0.5 0.6 1.1

民需 前期比、% 2.3 ▲ 2.1 0.7 1.9 ▲ 0.7 ▲ 0.1 1.5 ▲ 0.2 ▲ 0.5 0.5 0.2 0.4 0.5 0.7 1.3

個人消費 前期比、% 2.5 ▲ 3.1 0.5 1.7 0.2 0.4 0.4 ▲ 0.6 0.5 0.3 0.2 0.2 0.3 0.6 1.8

住宅投資 前期比、% 9.3 ▲ 11.6 2.1 4.0 ▲ 6.8 ▲ 0.7 2.0 2.4 1.9 ▲ 1.8 ▲ 0.9 0.9 4.7 0.6 1.3

設備投資 前期比、% 4.0 0.5 0.6 3.2 0.3 0.0 2.4 ▲ 1.2 ▲ 1.3 1.3 1.5 0.6 0.7 0.7 0.9

在庫投資 前期比寄与度、%Pt ▲ 0.5 0.5 0.0 ▲ 0.2 ▲ 0.5 ▲ 0.3 0.5 0.3 ▲ 0.5 0.1 ▲ 0.1 0.1 ▲ 0.0 0.0 ▲ 0.3

公需 前期比、% 3.2 0.8 0.7 0.2 0.7 0.2 ▲ 0.0 0.8 0.2 ▲ 0.5 ▲ 0.5 0.2 0.4 0.3 0.3

政府消費 前期比、% 1.6 0.4 1.4 1.1 0.3 0.3 0.3 0.6 0.3 0.1 0.1 0.3 0.4 0.4 0.4

公共投資 前期比、% 10.3 2.0 ▲ 1.4 ▲ 3.8 1.7 0.2 ▲ 1.3 2.1 ▲ 0.3 ▲ 2.9 ▲ 3.2 ▲ 0.4 0.1 0.1 0.1

外需 前期比寄与度、%Pt ▲ 0.5 0.6 0.1 ▲ 0.0 0.1 0.3 ▲ 0.0 ▲ 0.2 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.3

輸出 前期比、% 4.4 7.9 1.6 4.3 1.6 2.9 1.9 ▲ 4.3 2.6 1.2 0.9 0.9 1.0 0.9 0.6

輸入 前期比、% 6.7 3.6 0.9 4.1 1.1 0.9 1.9 ▲ 2.8 1.7 0.5 0.8 0.8 0.9 1.5 2.0

名目GDP 前期比、% 1.8 1.6 2.4 2.1 ▲ 0.5 0.7 2.2 0.2 0.0 1.1 ▲ 0.6 1.0 0.7 1.0 0.1

GDPデフレーター 前年比、% ▲ 0.3 2.5 1.5 0.7 2.1 2.3 3.5 1.5 2.0 2.2 0.5 0.7 0.7 0.6 0.6

内需デフレーター 前年比、% 0.4 2.1 0.3 0.9 2.3 2.1 1.5 0.0 0.2 0.4 0.7 0.8 0.8 1.1 1.0

2016 201720152014

日本:依然不透明感が高いが徐々に回復軌道へ

6

(注)網掛けは予測値。(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成

【 日本経済見通し総括表 】

○ 2015年7~9月期が2四半期連続のマイナス成長となるなど、足元の景気は踊り場。今後については、依然不透明感が高い

ものの、堅調な企業業績や雇用情勢に支えられ、緩やかな回復軌道に復する見通し

・ 実質成長率は2015年度が+0.8%(9月予測:+1.1%)、2016年度が+1.5%(9月予測:+1.9%)と予測

――― 2015年度、2016年度ともに下方修正。設備投資・在庫投資の下振れや個人消費(耐久財)の見通し引下げが主因

・ ただし、2014年度後半が高めの伸びをとなった影響を除くと、2015年度の期中成長率は+0.1%と低調

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日本:コアインフレ率は1%台前半まで上昇。基調的インフレ率は緩やかに上昇

7

(注)1.網掛けは予測値。実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。2.経常利益は法人企業統計の全規模・全産業ベース(金融・保険、電気業を除く)。3.完全失業率、新設住宅着工戸数、経常収支の四半期は季節調整値。4.金融関連の指標について、無担保コール翌日物金利は期末値、新発10年国債利回りは月末値の期中平均値、その他は期中平均値。

(資料)内閣府「四半期別GDP速報」、経済産業省「鉱工業指数」、財務省「法人企業統計季報」、総務省「労働力調査」、「消費者物価指数」、国土交通省「建築着工統計調査報告」、日本銀行「国際収支」、「企業物価指数」、「金融経済統計月報」、「外国為替相場」、日本相互証券㈱「主要レート推移」、日本経済新聞、Bloomberg、より、みずほ総合研究所作成

【 日本経済見通し総括表(主要経済指標) 】

2013 2014 2015 2016

年度 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

鉱工業生産 前期比、% 3.2 ▲ 0.4 ▲ 0.7 3.1 ▲ 1.4 0.8 1.5 ▲ 1.4 ▲ 1.2 1.1 0.6 0.8 0.8 1.0 1.3

経常利益 前年比、% 20.9 5.1 14.5 9.0 7.4 12.1 ▲ 1.0 21.0 10.9 9.0 17.0 10.1 9.0 8.0 8.9

名目雇用者報酬 前年比、% 1.0 1.7 1.0 2.0 2.2 1.8 1.4 0.8 1.7 0.6 1.1 1.9 1.5 2.3 2.2

完全失業率 % 3.9 3.5 3.3 3.3 3.6 3.5 3.5 3.3 3.4 3.3 3.3 3.3 3.3 3.3 3.3

新設住宅着工戸数 年率換算、万戸 98.7 88.0 92.3 95.1 86.1 88.0 89.6 95.3 91.5 90.7 91.3 95.4 95.7 96.9 91.9

経常収支 年率換算、兆円 1.5 7.9 16.7 16.1 2.0 10.7 15.5 16.9 14.8 20.8 13.8 19.3 15.5 18.6 10.5

国内企業物価 前年比、% 1.9 2.8 ▲ 2.4 0.6 4.0 2.4 0.5 ▲ 2.2 ▲ 3.6 ▲ 2.5 ▲ 1.1 ▲ 0.1 0.3 1.1 1.2

消費者物価(除く生鮮食品) 前年比、% 0.8 2.8 0.2 1.1 3.2 2.7 2.1 0.1 ▲ 0.1 0.1 0.6 0.6 1.0 1.3 1.3

消費者物価(同上、除く消費税) 前年比、% 0.8 0.8 0.2 1.1 1.2 0.7 0.1 0.0 ▲ 0.1 0.1 0.6 0.6 1.0 1.3 1.3

前年比、% 0.2 0.5 0.7 0.7 0.6 0.4 0.4 0.4 0.8 0.8 0.6 0.6 0.6 0.8 0.7

無担保コール翌日物金利 % 0.04 0.02 0~0.10 0~0.10 0.03 0.07 0.02 0.01 0.01 0~0.10 0~0.10 0~0.10 0~0.10 0~0.10 0~0.10

新発10年国債利回り % 0.69 0.48 0.40 0.55 0.53 0.44 0.34 0.40 0.39 0.35 0.35 0.45 0.55 0.55 0.60

日経平均株価 円 14,424 16,273 19,800 21,500 15,562 16,705 18,175 20,049 19,412 19,200 20,500 21,100 21,400 21,700 21,800

対ドル為替相場 円/ドル 100 110 123 127 104 115 119 121 122 123 126 126 126 127 127

WTI原油先物最期近物 ドル/バレル 99 81 49 54 97 73 49 58 47 43 49 51 53 54 56

2014

消費者物価(除く食料(酒類除く) 及びエネルギー、除く消費税)

2016 20172015

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○ 世界経済は新興国・資源国経済の弱含みから減速傾向

・ 新興国では、合成PMIの50割れが続くなど、減速懸念が根強い状況

――― 新興国の需要の落ち込みが、輸出の伸び悩みを介して世界経済を下押し

【 先進国・新興国の合成PMI 】 【 輸出数量指数の変化 】

(資料) Markitより、みずほ総合研究所作成

①世界経済の現状:新興国のけん引力低下から減速

8

(資料) CPB Netherlands Bureau for Economic Policy and Analysisより、みずほ総合研究所作成

48

50

52

54

56

58

13 14 15

世界 先進国 新興国

(Pt)

拡張

景気

縮小

(年)

▲ 8

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

13 14 15

世界

先進国

新興国

アジア

(前年比、%)

(年)

新興国の弱含み

輸出の伸び悩み

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○ 近年は、世界経済の成長に対する寄与の大部分が新興国

・ 中国だけで成長寄与は3割、アジア全体では6割に

――― 中国の減速傾向が世界経済の先行き懸念につながっている面は大きい

【 世界経済成長率の寄与度分解 】 【 OECD景気先行指数(BRICs) 】

(注) NIEsはアジア(新興国)に分類。2015年はIMFの予測値。(資料) IMFより、みずほ総合研究所作成

新興国の世界経済のけん引力はピークアウト

9

(資料) OECDより、みずほ総合研究所作成

▲ 3

▲ 2

▲ 1

0

1

2

3

4

5

6

7

91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15

先進国 その他新興国アジア(除く中国) 中国世界

(%)

(年)

97

98

99

100

101

102

103

104

11 12 13 14 15

中国 ブラジル

インド ロシア

(年)

(長期平均=100)

中国の減速

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2000年代以降の世界的バランスシート調整は第3局面、「新興国の債務問題」へ

10

(資料) みずほ総合研究所作成

【 世界経済のバランスシート調整の3局面概念図 】

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第3局面、新興国リスクの主因はバランスシート調整での過剰債務の調整リスク

11

○ 新興国では2008年以降、急速に民間債務が膨張し、バランスシート調整が生じうる段階に

○ 民間債務残高/GDP比率で、トレンドを超えた国については、バランスシート調整圧力が強まるリスクに要注意

○ デットサービスレシオの平均からの乖離ではロシア、香港などで返済負担が上昇、金利上昇や所得減退に対して脆弱

【 増加する新興国の民間債務 】

(注)新興国は、中国、インド、香港、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ブラジル、ロシア、南アフリカ、トルコの合計。先進国は、米国、ユーロ圏、英国、日本の合計。

(資料) BISより、みずほ総合研究所作成

(注)1.BISのDebt Service Ratio データベースでカバーされる新興国をプロット。2.リスクの高低の閾値はBISによる。3.デットサービスレシオ=(元本返済+利払い)/国民総所得。4.民間債務は、民間非金融部門による全金融機関に対するもの。

(資料)BIS Debt Service Ratio、Credit to the non-financial sectorより、みずほ総合研究所作成

【 新興国の民間債務と債務返済負担 】(2015年3月)

新興国先進国

中国

新興国

(除く中国)

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

220

99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(GDP比、%)

(年)

新興国の

信用拡大

先進国の

債務問題

新興国の

債務問題

先進国の

信用拡大

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

▲ 50 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 50

(デットサービスレシオの平均からの乖離、%PT)

(民間債務残高/GDPのトレンドからの乖離、%PT)

香港

中国

ハンガリー

南ア

ポーランド

インド

香港

ポーランド

チェコ

メキシコインドネシア

マレーシアタイ

トルコ

ブラジル

ロシア

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中国の減速が3つのチャネルを介し新興国・資源国経済に対する不安に波及

12

(資料) みずほ総合研究所作成

【 新興国不安の波及経路 】

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日本

豪州

ドイツ中東欧・旧ソ連

韓国

香港

シンガポール

台湾

タイインドネシア

マレーシアフィリピン

ベトナム

MENA

サブサハラ

ブラジル

先進国

新興国

y = ‐0.0156x ‐ 0.0808

▲ 0.5

▲ 0.4

▲ 0.3

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0.1

▲ 5 0 5 10 15 20 25 30(対中輸出依存度・GDP比、%)

(GDP成長率への影響、%pt)

新興国不安①、成長鈍化のスピルオーバー ~「貿易チャネル」を介して世界に波及

13

○ 中国経済の拡大とともに、世界経済は以前よりも中国の景気動向に影響を受けやすい構造となった

・ 世界経済が貿易を介して受ける影響は、2000年時の3倍(みずほ総合研究所試算)

・ 対中輸出依存度の高い国ほど影響を受けやすく、新興国が受ける影響は米国減速の場合と同程度に拡大(同試算)

(注) 各地域の値は対中輸出の名目GDP比。(資料)IMFより、みずほ総合研究所作成

【 中国の輸入構造(2014年) 】 【 貿易チャネルを介した影響 】

カナダ

英国

フランス

イタリア

スペイン

インド

米国

メキシコ

その他中南米

その他欧州

(注)「GDP成長率への影響」は、中国経済の実質成長率が1%減速した際に、貿易を介して各国の実質成長率に与える潜在的な影響を試算したもの。各国内需の下押しを含む試算値。

(資料)IMF、世界銀行より、みずほ総合研究所作成

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新興国不安②、新興国へのマネー先細り ~「金融チャネル」でのマネー縮小

14

○ 新興国経済の減速とともに、新興国への資金流入も先細りに

・ 直接投資資金の流入は持続しているものの、新興国向けの証券投資は減少傾向

○ 新興国経済では、資金流入の縮小もあり、株安・通貨安トレンド

・ 中国経済に対する先行き懸念が引き起こした今夏の世界的な株安局面では、顕著な株安・通貨安に見舞われた

・ 足元で持ち直しの兆しを見せ始めている新興国株も、先進国株との比較では想定的に小幅な反発にとどまっている

【 新興国への資金流入 】 【 新興国市場の概況 】

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成(注)2015年4~6月期はIIF見込み。同年7~9月期はIIF予測。(資料)IIFより、みずほ総合研究所作成

▲ 400

▲ 300

▲ 200

▲ 100

0

100

200

300

400

500

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

その他

証券投資

直接投資

資金流入

(10億ドル)

(年)

85

90

95

100

105

110

115

12080

85

90

95

100

105

110

115

14/08 14/10 14/12 15/02 15/04 15/06 15/08 15/10

新興国株 (MSCIエマージング株価指数、 左目盛)

名目実効ドルレート (対新興国通貨、 右目盛)

(年/月)

( 2014/8/1=100 ) ( 2014/8/1=100 )

新興国通貨高(ドル安)←

新興国通貨安(ドル高)

流入先細り

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新興国不安③、資源安が長期化 ~「資源チャネル」を介した影響

15

○ 中国を中心とした新興国経済の減速を背景に、商品市況は総じて軟調

・ 原油相場は再び40ドル台に下落。 銅や鉄鉱石の市況も下落基調が続いている

○ 資源安の長期化は、資源国経済の下押し要因に

・ 原油相場は生産調整の進展から一段安は一服すると見られるものの、2016年も50ドル台の安値圏で推移

・ グローバルマネーの有力な源泉のひとつである産油国・資源国の対外投資は、力強さを欠く展開が続く

【 原油相場の予測 】【 中国の景況感と国際商品市況 】

(注)原油はWTI、鉄鉱石は中国の輸入価格、銅はLME3カ月先物。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

鉄鉱石

原油

財新製造業

PMI(右目盛)

40

42

44

46

48

50

52

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

14/7 14/9 14/11 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3

( 2014/7/1=100 )

(年/月)

(%)

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

10 11 12 13 14 15 16 17

WTI ブレント

(ドル/バレル)

(年)

予測期間

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②新興国リスクとは:景気に対する弱気な見方が資金流出リスクに

16

○ 市場では、新興国の景気の弱含みが続くとの見方

・ 景気に対する弱気な見方は、米利上げとともに新興国の資金流出リスクに

・ 多くの国で短期債務を上回る外貨準備があるものの、輸入額も考慮すればドル不足に直面しかねない国も多い

【 新興国景気に対する見方 】

(注)直近の実質GDP成長率(前年比)および2016年の成長率予測(IMF)から景気局面をA(良好)、B(比較的良好)、C(弱含み)、D(弱含みが鮮明)の4段階に評価。

(資料)各国統計、IMF、CEICより、みずほ総合研究所作成

(注)外貨準備の短期債務比、輸入額比および外貨準備の増減をもとにA~Dの4段階に評価。(資料)各国統計、世界銀行、CEICより、みずほ総合研究所作成

【 外貨準備の水準評価 】

GDPシェア 2016年 評価(市場レート) (IMF予測)

ブラジル 3.0 ▲ 2.4 (15/06) ▲ 1.0 Dロシア 2.4 ▲ 4.5 (15/06) ▲ 0.6 Dベネズエラ 0.3 ▲ 2.3 (14/09) ▲ 6.0 Dアルゼンチン 0.7 1.9 (15/06) ▲ 0.7 D台湾 0.7 0.8 (15/06) 2.6 D南アフリカ 0.5 1.6 (15/06) 1.3 D中国 13.4 6.9 (15/09) 6.3 Cインドネシア 1.2 4.7 (15/06) 5.1 Cトルコ 1.0 4.2 (15/06) 2.9 Cマレーシア 0.4 4.9 (15/06) 4.5 C韓国 1.8 2.7 (15/09) 3.2 Cタイ 0.5 2.8 (15/06) 3.2 Cインド 2.7 7.0 (15/06) 7.5 Bメキシコ 1.7 2.2 (15/06) 2.8 Bフィリピン 0.4 5.3 (15/06) 6.3 Bベトナム 0.2 6.0 (14/12) 6.4 B

直近の成長率(前年比)

エジプト

ベネズエラUAE

アルゼンチントルコ

南アフリカ マレーシアチェコ

メキシコ

ポーランド

ルーマニア

インドネシア

チリ

カタール

ナイジェリア

バングラデシュ

韓国タイ

ペルー

コロンビア

カザフスタン

インド

フィリピン

台湾

ブラジル中国

ロシア

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

A評価

B評価

C評価

D評価

(輸入額比、カ月分)

(短期債務比、倍)

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金融緩和できず、財政拡大の余地もない新興国は最も厳しい

17

○ 景気の弱含みに対応して金融緩和に踏み切る新興国があるなか、通貨安やインフレへの対応から利下げできない国も

○ その一方で、財政出動の余地がある国は限定的

・ 特にブラジルなどは、金融政策、財政政策ともに追加発動の余地が乏しく、先行きの不透明感が著しく高まっている

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 新興国の政策金利 】

(利下げしていない主な国)

【 新興国の財政状況 】

(資料)IMFより、みずほ総合研究所作成

ブラジル

インドネシア

南アフリカ

フィリピン

コロンビア

マレーシアペルー

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

11 12 13 14 15

(%)

(年)

中国

ブラジルインド

ロシア

韓国

メキシコ

インドネシアトルコ

サウジアラビア

ナイジェリア

アルゼンチン

イラン

タイ

UAE

コロンビア南アフリカ

マレーシア

香港

エジプト

フィリピン

チリ

パキスタン

カザフスタン

アルジェリア

カタール

ベネズエラチェコ

ペルー

ベトナム

バングラデシュ

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

▲ 25 ▲ 20 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10

(政府債務残高、GDP比%)

(プライマリーバランス、GDP比%)

追加の財政政策

は厳しい状況

財政政策の

余地は限定的財政政策の

余地がある

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▲ 1.8

▲ 1.6

▲ 1.4

▲ 1.2

▲ 1.0

▲ 0.8

▲ 0.6

▲ 0.4

▲ 0.2

0.0

ロシア

シンガポール

香港トルコ

マレーシア

アルゼンチン

フィンランド

タイメキシコ

スウェーデン

インドネシア

イタリア

韓国日本カナダ

ペルー

ドイツ

オーストリア

サウジアラビア

ブラジル

米国フィリピン

オランダ

スイス

チリベルギー

南アフリカ

スペイン

英国インド

フランス

ノルウェー

ニュージーランド

ポーランド

オーストラリア

新興国

先進国

(実質GDPへの影響、%)

中国ショックに脆弱な国にはさらに留意が必要

18

○ 中国の減速は3つのチャネルを介して新興国を中心にその影響が世界に波及

・ 新興国の中には、震源地の中国を上回る影響が予想される国もある

・ 特にロシアなどでは、通貨の一段安と実質GDPの下押しが同時に発生することが予想される

【 中国経済減速(成長率1%弱減速)の各国経済へのインパクト試算 】

<実質GDPへの影響(ショックから1年後)> <中国ショックによる為替と実質GDPへの影響>

(注)中国ショックから1年後の累積の影響。中国ショックの大きさは、中国のGDPに1標準偏差分の負のショックが生じたと想定(中国のGDPが1年後に約0.7%下振れ)。(資料)Smith, L.V. and A. Galesi (2014),”GVAR Toolbox 2.0”(https://sites.google.com/site/gvarmodelling/gvar-toolbox)、L. Gauvin and C. Rebillard(2015)”Towards Recoupling?

Assessing the Global Impact of a Chinese Hard Landing through Trade and Commodity Price Channels”などより、みずほ総合研究所作成

中国を上回る悪影響

ブラジル

インドネシア

マレーシア

メキシコ

ロシア

シンガポールトルコ

▲ 2.0

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

▲ 5 ▲ 4 ▲ 3 ▲ 2 ▲ 1 0 1 2 3

(実質実効為替レートへの影響、%)

(実質GDPへの影響、%)

為替レートの下落がGDPの下押しを緩和

通貨安が進む中でも景気下押し圧力が大きい国

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新興国でリスク度が高い、アルゼンチン、ブラジル、トルコ、ベネズエラ

19

○ 新興国全体の下振れリスクが残存するとともに、一部の国では相対的にリスク度合いが高い

・ 資金流出による外貨繰り問題や、債務負担増による信用不安などを契機としたリスク度合いが高いのは、アルゼンチン、ブラジル、トルコ、ベネズエラ。次いで、インドネシア、ロシア、南アフリカ、マレーシア、ベトナム

・ 一方、中国については、以前に比べて注意が必要なものの、新興国の中ではリスク度は相対的に低い

――― 経常黒字、潤沢な外貨準備、政治的安定性、物価安定、金融財政政策の余地が中国の相対的なアドバンテージ

【 新興国リスクの総合評価 】

(注)各要素の評価をもとに総合評価。各要素、総合評価ともに評価は、A(良好)、B(比較的良好)、C(弱含み・懸念あり)、D(著しい弱含み・顕著な懸念あり)の4段階。(資料)各国統計、IMF、世界銀行、CEICより、みずほ総合研究所作成

総合評価 景気判断 インフレ率 経常収支 外貨準備 政治・ 債務負担 政策余地 中国減速

(市場レート) (PPPベース) 国内情勢 の影響

ブラジル D 3.0 3.0 D C D B C C D C

トルコ D 1.0 1.4 C C D D C C B D

アルゼンチン D 0.7 0.9 D D B D C - C D

ベネズエラ D 0.3 0.5 D D C D D - C -

インドネシア C 1.2 2.5 C C C C C B C D

ロシア C 2.4 3.3 D D A B B C B D

南アフリカ C 0.5 0.7 D A D D B A C C

マレーシア C 0.4 0.7 C A A D C B C D

ベトナム C 0.2 0.5 B B C D B - C -

メキシコ B 1.7 2.0 B A C B B B C D

タイ B 0.5 1.0 C B A B C B B D

中国 B 13.4 16.6 C B A B B C B -

台湾 B 0.7 1.0 D B A A C - B -

韓国 B 1.8 1.6 C B A A B B B C

フィリピン B 0.4 0.6 B B A B B - B C

インド B 2.7 6.8 B A B A B A C B

GDPシェア(2014年)

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○ FRBは雇用・物価の両面とも緩やかな改善が続くとの予想の下、利上げ開始のタイミングを見極めてきた

・ 2015年9月見通しでは、失業率見通しが一段と改善。一方、物価見通しはドル高、原油安の影響により目標達成が後ずれ

――― コア・インフレ率がFRBの目標である2%に達する時期は、2017年から2018年に1年後ずれ

(注)コア・インフレ率は個人消費支出デフレーター。見通しは、FOMC参加者の見通しの中央値。

(資料) 米国労働省、米国商務省、FRBより、みずほ総合研究所作成

③米国経済・金融政策:FRBは2015年12月から利上げ開始。緩やかなペースに

20

【 FOMC参加者の経済見通し 】

失業率 コア・インフレ率

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

2014 15 16 17 18

(%)

実績

2015年6月見通し

2015年9月見通し

(年・月)

改善

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2014 15 16 17 18

(前年比%)

実績

2015年6月見通し

2015年9月見通し

(年・月)

【インフレ目標2%】

後ずれ

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○ ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁らによれば短期実質均衡金利はゼロ近傍。FRBは長期水準も従来比低下と想定

・ 短期の実質均衡金利は足元ゼロ。インフレ期待を2%とすると、中立的な名目金利は2%

・ FOMC参加者の長期水準(長期の中立的名目金利)の予想値は、4.25%(2012年1月)から3.5%(2015年9月)に低下

――― インフレ期待を差し引くと長期実質均衡金利は2.25%から1.5%に低下

(注)インフレ期待を2%とすると、実質均衡金利に2%を足した水準が短期的にみた中立的政策金利の水準に等しい。

(資料) サンフランシスコ連銀より、みずほ総合研究所作成

短期の実質均衡金利はゼロ近傍。長期の実質均衡金利は1.5%(従来2%超)に低下

21

【 実質均衡金利(短期の中立的実質金利) 】 【 FOMC参加者によるFF金利の長期水準 】

(注)Longer-runの政策金利見通しの中央値をプロット。(資料) FRBより、みずほ総合研究所作成

3.00

3.50

4.00

4.50

5.00

5.50

1 4 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12

2012 2013 2014 2015

(%)

(年・月)

前回の利上げ最終局面(2005Q4~2007Q2)におけるFF金利のレンジ

※FF金利の長期水準=長期実質均衡金利+インフレ期待

▲1

0

1

2

3

4

5

6

7

1960 70 80 90 2000 10 20

(%)

(年)

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○ FRBは「早め(2015年12月)に利上げを開始、ゆっくり上げる」と予想。2016年末のFF金利レンジの上限は1.50%に

・ 中立金利の低下とU6ベースの労働スラックを取り入れた場合、利上げ時期は2016Q1で、同年末のFF金利は2%超

・ しかし、この場合でも利上げペースは速く、長期金利急上昇等、行き過ぎた引き締めのリスクあり

・ FRBはより慎重な姿勢をとるとみられ、2015年12月の利上げ開始と2016年は4回の緩慢な利上げを進めると予想

(資料) みずほ総合研究所作成

早めの利上げ開始と緩慢な利上げにより、FRBは行き過ぎた引き締めのリスクを回避

22

【 FF金利の見通し 】【 労働スラック 】

(注)U6とは、不本意なパートタイマーやディスカレジッドワーカーなどを失業者とみなした、最も広義の失業率。労働スラックは失業率と自然失業率との差。

(資料) FRB、CBO、米国労働省より、みずほ総合研究所作成

▲2

0

2

4

6

8

10

1996 2000 05 10 15 16 17

(%Pt)

(年)

U6

失業率

予測期間

▲2

▲1

0

1

2

3

4

5

2014 2015 2016 2017

(%)

(年・四半期)

早め

ゆっくり

従来型の政策反応関数

中立金利の低下と、

U6ベースの労働スラックを

取り入れた政策反応関数

FF金利の予想パス

(階段グラフ)

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▲1.50

▲1.00

▲0.50

0.00

0.50

1.00

2008/7/1 2009/1/1

(平均ゼロ、標準偏差1)

(年/月/日)

リーマン・ショック時

○ 国際金融市場の不安定化が生じれば、タイミングと大きさ次第では、利上げを遅らせる十分な理由に

・ 2015年夏のショックは、リーマン・ショック時の半分程度の大きさ。2015年9月FOMCでは、利上げ見送りの背景に

・ ただしショックの持続性は乏しく、足元では投資家は前向き姿勢に変化している模様

新興国・資源国の動向とFRBの金融政策:①金融市場の不安定化は利上げを足止め

23

(注)米国長期金利(米国債10年利回り)、世界株価指数(MSCIオール・カントリー・インデックス、除く米国)、新興国通貨の対ドルレート(FRB名目実効レート)の日次変動から、構造VARという手法を用いて抽出。グラフは20サンプル・後方移動平均値をプロットしたもの。なお、AA格CPレート(金融、3カ月物)と米短期国債利回り(3カ月物)の差を外生的なシステミック・ショックとして計算に加えているため、グラフのショックはシステミック・ショック以外のショックを表す。

(資料) みずほ総合研究所作成

プラス=リスクオン

マイナス=リスクオフ

【 国際金融市場における投資家のリスク許容度指数 】

▲0.90

▲0.60

▲0.30

0.00

0.30

0.60

2014/10/1 2015/4/1 2015/10/1

(平均ゼロ、標準偏差1)

(年/月/日)

2014年10月以降

2015年夏のショック

前向きに改善

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○ 新興国・資源国の減速はドル高や資源安(エネルギー安)を通じてコア・インフレ率を下押しし、利上げの後ずれ要因に

・ フィリップスカーブを推計すると、為替レートとエネルギー価格の影響は有意にコア・インフレ率に影響

――― 2015年には輸入物価とエネルギー物価の低下によりコア・インフレ率が0.3%Pt押し下げられた模様

②ドル高や資源安によるインフレ率の下振れも、利上げの後ずれ要因に

24

(注)インフレ率の推計値と、各変動要因について1999Q4時点で固定した場合のインフレ率を比較したもの。推計式にはインフレ率のラグ項を含み、各変動要因の寄与度はラグ項を通じた分を含む。2015年はQ3までの値を年率換算。

(資料) みずほ総合研究所作成

【 コア・インフレ率の変動要因とその影響 】

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(前年比%)

(年)

労働スラックを固定

インフレ期待を固定

コア・インフレ率の推計値

(フィリップスカーブによる)

●は輸入物価を固定

◇はエネルギー価格を固定

▲1.0

▲0.8

▲0.6

▲0.4

▲0.2

0.0

0.2

0.4

2008 09 10 11 12 13 14 15

(%Pt)

<累積寄与度>

インフレ期待

労働スラック

輸入物価

エネルギー

価格

(年)

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Ⅱ.海外経済

25

~米欧は緩やかに拡大、中国は減速基調~

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(1)米国経済 ~緩やかな景気拡大が持続する下で、利上げ開始

26

○ 2015年7~9月期のGDP成長率は、在庫投資の縮小を主因に4~6月期から減速したが、内需

は堅調さを維持

○ 先行きについては、原油安やドル高、海外経済減速による輸出や設備投資への下押し圧力

が残存するとみられるが、雇用・所得の改善に加えて、ガソリン価格が低水準で推移すること

は個人消費を押し上げ

○ 今後も家計部門がけん引する景気拡大が続き、2015年の成長率は前年比+2.4%、2016年

は同+2.5%

○ 米議会は2017年3月までの債務上限の適用停止と2016・2017会計年度予算の増額などを盛

り込んだ法案を可決。裁量的支出が今後2年間で約800億ドル引き上げられる計画

○ コア・インフレ率は低位ながらも安定推移。FRBは10年ぶりの利上げを開始。ドルや長期金利

の急騰を回避すべく、利上げテンポは極めて緩やかなものに留まる見込み

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【 米国経済見通し総括表 】

(注)網掛けは予測値。(資料)米国商務省、米国労働省より、みずほ総合研究所作成

米国:米国経済は2015、2016年と家計部門を中心に拡大基調

27

○ 2015年の成長率を前年比+2.5%から+2.4%に下方修正。2016年の成長率は+2.5%と変わらず

・ 2015年下方修正の理由は、9月見通し以降発表となった2015年7~9月期(速報)によるもの

・ リスク要因は原油安による悪影響の広がりと海外経済の調整深刻化や金融市場の動揺

2013 2014 2015 2016 2015 2016

暦年 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12

実質GDP 前期比年率、% 1.5 2.4 2.4 2.5 0.6 3.9 1.5 2.2 2.9 2.6 2.7 2.7

個人消費 前期比年率、% 1.7 2.7 3.2 2.7 1.8 3.6 3.2 2.8 2.7 2.4 2.3 2.3

住宅投資 前期比年率、% 9.5 1.8 8.3 6.0 10.1 9.3 6.1 6.0 4.0 6.5 7.0 6.5

設備投資 前期比年率、% 3.0 6.2 3.0 3.5 1.6 4.1 2.1 2.0 3.2 4.4 4.9 5.1

在庫投資 前期比年率寄与度、%Pt 0.1 0.1 ▲ 0.1 0.0 0.9 0.0 ▲ 1.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

政府支出 前期比年率、% ▲ 2.9 ▲ 0.6 0.8 3.0 ▲ 0.1 2.6 1.7 2.0 6.1 2.0 2.0 2.3

純輸出 前期比年率寄与度、%Pt 0.3 0.4 ▲ 0.6 ▲ 0.3 ▲ 1.1 0.6 0.1 ▲ 0.6 ▲ 0.6 ▲ 0.2 ▲ 0.1 ▲ 0.1

輸出 前期比年率、% 2.8 3.4 1.5 3.0 ▲ 6.0 5.1 1.9 1.0 2.4 3.9 4.7 4.8

輸入 前期比年率、% 1.1 3.8 5.2 4.4 7.1 3.0 1.8 4.4 5.7 4.6 4.6 4.7

失業率 % 7.4 6.2 5.3 5.0 5.6 5.4 5.2 5.1 5.0 5.0 4.9 4.9

非農業部門雇用者数 1か月当たり、千人 199 260 201 216 195 231 171 208 201 206 225 230

個人消費支出デフレーター 前年比、% 1.4 1.4 0.3 1.9 0.2 0.3 0.3 0.6 1.7 1.7 2.0 2.1

食品・エネルギーを除くコア 前年比、% 1.5 1.5 1.3 1.6 1.3 1.3 1.3 1.4 1.5 1.6 1.6 1.7

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【 実質GDP成長率 】 【 ISM製造業指数 】

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

米国:7~9月期GDP成長率は減速も、内需は堅調

28

○ 7~9月期実質GDP成長率は前期比年率+1.5%と、4~6月期(+3.9%)から大きく減速

・ 在庫投資の縮小が成長率押し下げの主因。輸出の伸び悩みで、外需寄与度は小幅マイナス

――― 10月の製造業ISM指数をみると、在庫と雇用が分岐点となる50の水準を下回る一方で、新規受注、生産は低下

傾向に歯止め

・ 個人消費を中心に民間最終需要は堅調な伸びを示しており、海外経済減速のもとでも、 内需は底堅さを維持

1.1

3.0

3.8

▲ 0.9

4.64.3

2.10.6

3.9

1.5

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

4~6 7~9 10~

12

1~3 4~6 7~9 10~

12

1~3 4~6 7~9

2013 2014 2015

純輸出 政府支出 在庫投資

設備投資 住宅投資 個人消費

実質GDP

(年/四半期)

(前期比年率、%)

-2.0

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

48

50

52

54

56

58

2014/10 2015/1 2015/4 2015/7 2015/10

新規受注

生産

雇用

入荷遅延

在庫

総合指数

(年/月)(資料)米サプライマネジメント協会より、みずほ総合研究所作成

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○ 家計はガソリン価格下落等に伴うエネルギー支出減少分を、他の支出に振り向けている様子

・ 昨年10月以降の累積では、エネルギー支出減少分の約70%を支出

【 エネルギー価格下落下での名目個人消費の動き

(左)エネルギー支出、(右)非エネルギー支出 】

【 左図表の非エネルギー支出(①、②)の試算方法 】

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

米国:原油安による家計への恩恵は2015年5~6月頃から顕在化

29

(注)非エネルギー支出/可処分所得が上昇するケース(①)は、エネルギー支出/可処分所得の低下分を100%上乗せして試算。一方、非エネルギー支出/可処分所得が変わらないケース(②)は、エネルギー支出/可処分所得が低下しても、非エネルギー支出/可処分所得が昨年夏場から横ばいで推移するとの前提で試算。いずれのケースも、可処分所得が増加した分は非エネルギー支出が増加するとしている。

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

上昇 変化なし

増加 変化なし

影響の方向

下落

減少

低下

ガソリン価格

エネルギー支出

エネルギー支出/可処分所得

非エネルギー支出/可処分所得

非エネルギー支出

原油安の

恩恵100%

(①)

原油安の

恩恵ゼロ

(②)

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 9

2014 2015

エネルギー支出

減少

(兆ドル)

(年/月)

11.0

11.1

11.2

11.3

11.4

11.5

11.6

11.7

11.8

11.9

12.0

4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9

2014 2015

原油安の恩恵ゼロ(②)

原油安の恩恵

顕在化

原油安の

恩恵100%(①)

実績

(兆ドル)

(年/月)

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○ 原油安効果に加え、住宅価格の持ち直しも個人消費の下支え要因

・ 7~9月期は、株価急落による逆資産効果が生じる一方で、ガソリン価格下落による実質購買力増加の影響と住宅価格

上昇による資産効果が働き、ネットで個人消費を0.25%ポイント押し上げ

・ 消費者のマインドは引き続き高い水準

【 ガソリン価格下落、株価下落、住宅価格上昇による

個人消費への影響(7~9月累積) 】【 消費者マインド 】

(注)1.試算の前提となる価格変化率は7~9月までの累積変化率。ガソリン価格:▲15.6%Pt、株価:▲7.4%Pt、住宅価格:+0.8%Pt。

2.下記の推計式の結果を用いて試算。推計期間は2000Q1~2015Q3。

(注)カッコ内は標準誤差。***、**、*はそれぞれ有意水準1%、5%、10%で有意であることを示す。(資料)米国商務省、米エネルギー省、S&Pなどより、みずほ総合研究所作成

米国:夏場の株価急落による逆資産効果は、原油安効果と住宅価格上昇効果で相殺

30

(資料) コンファレンスボード、ミシガン大より、みずほ総合研究所作成

0.12915 (0.043) ***

0.033612 (0.013) **

0.038299 (0.017) **

-0.002422 (0.001) **

0.004549 (0.001) ***

dlog(代替的失業率)

定数項

dlog(実質可処分所得(-1))

dlog(実質純住宅資産)

dlog(実質純金融資産)

adj.R2 0.510     S.E. 0.466

70

75

80

85

90

95

100

105

2013/10 14/01 14/04 14/07 14/10 15/01 15/04 15/07 15/10

コンファレンスボード

消費者信頼感指数

ミシガン大学

消費者信頼感指数

(年/月)

0.20

0.23

▲ 0.18

▲ 0.3

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

ガソリン価格下落による

実質購買力増加の影響

実質株価下落による

逆資産効果

(%Pt)

実質住宅価格上昇による

資産効果

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【 地域別の財輸出金額 】 【 設備投資関連指標 】

(注)カッコの中は2014年の輸出ウェイト。(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

米国:輸出、設備投資は低調

31

○ ドル高、新興国・資源国の景気減速は、輸出の下押し要因。企業は設備投資に対してやや慎重姿勢

・ 実質財輸出は足元で持ち直しの動き。しかし、名目ベースでは悪化が続く

――― 中国以外のアジア向けやEU向けが落ち込んでいるほか、輸出ウェイトが大きいカナダや中南米向けが停滞

・ 設備投資の先行指標であるコア資本財受注(国防・航空機を除く)は弱含みの状況で、機械関連投資の回復の鈍さを

示唆。建設支出も頭打ち

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

▲ 7.0

▲ 6.0

▲ 5.0

▲ 4.0

▲ 3.0

▲ 2.0

▲ 1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

14/01 14/03 14/05 14/07 14/09 14/11 15/01 15/03 15/05 15/07 15/09

その他(16%)

EU(17%)

他のアジア主要国・地域(14%)

中国(8%)

カナダ・中南米(45%)

名目計

実質計

(3カ月移動平均、3カ月前比%)

(年/月)

90

95

100

105

110

115

120

94

96

98

100

102

104

106

14/01 14/04 14/07 14/10 15/01 15/04 15/07 15/10

(2014年平均=100) (2014年平均=100)

(年/月)

企業建設支出

(右目盛)

コア資本財

新規受注

コア資本財出荷

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32

【 連邦政府債務残高と上限 】

米国:債務上限引き上げを巡る問題が解決、財政運営に関する不透明感は後退

(資料)米国財務省より、みずほ総合研究所作成

【 連邦政府の裁量的支出見通しの変化 】

(注)会計年度は前年10月に始まり、当年9月に終了。BBA(Bipartisan Budget Act of 2015、2015/11/2成立)では債務上限の適用免除期間の延長と、2016・17年度の予算権限(Budget Authority)が規定されている。実際の支出(Outlays)に引き直すと2021年度まで修正。

(資料)CBOより、みずほ総合研究所作成

○ 債務上限は2017年3月まで停止され、2016・2017年度の予算枠組みが決定

・ 連邦政府の裁量的支出は今後2年間で約800億ドル引き上げられる計画

13

14

15

16

17

18

19

20

2011 12 13 14 15 16 17

(兆ドル)

法定債務上限

法定上限免除期間

連邦政府債務残高

(年)

1.12

1.14

1.16

1.18

1.20

1.22

1.24

1.26

2014 15 16 17 18 19 20

実績とCBO見通し(2015/8)

(兆ドル)

CBO見通し+BBA(2015/11)

(年度)

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(2)ユーロ圏経済 ~ 低成長と低インフレが続く

33

○ 2015年・16年のユーロ圏の実質GDP成長率は、各+1.5%、+1.4%と緩やかな景気回復が

続く見通し。両年とも個人消費が景気回復の中心になるだろう

○ 2015年の成長率は加速。原油価格下落や財政緊縮の縮小により、個人消費の回復基調が

強まり、成長率を押し上げ。2016年の成長率は減速。新興国景気の弱さから、輸出の回復

が緩慢なペースに止まるとみられる中、設備投資も力強さを欠くと予想される。一方、雇用・

所得改善を背景に個人消費は持ち直しが続き、景気回復をけん引。先行きに対する不透明

感が残存する中、企業の雇用マインドの悪化に繋がることが最大のリスク

○ 2015・16年のユーロ圏インフレ率は、各+0.1%、+1.0%と低インフレが継続する見通し。

原油価格下落による下押し圧力が和らぐものの、景気の基調の弱さを背景に、値上げに対

する企業の慎重姿勢は根強く、インフレ率は緩慢な上昇に止まるとみられる

○ 2015年後半のインフレ率は、ECBが想定する物価見通しから明確に下振れており、

12月の政策理事会において、ECBは追加緩和策を打ち出すと予想する

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【 ユーロ圏経済見通し総括表 】

(注) 網掛けは予測値。(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成

ユーロ圏:輸出回復の遅れなどから2016年にかけて成長率は減速

34

○ ユーロ圏実質GDP成長率は、2015年に+1.5%、2016年に+1.4%と予測

・ 2015年は前回見通し(+1.3%)から上方修正となるが、Q1、Q2の遡及改訂の影響。Q3、Q4の成長率は下方修正

・ 2016年は前回見通し(+1.5%)から下方修正。輸出の回復ペースを従来よりも慎重化

・ インフレ率は見通し期間を通じて、低水準での推移に止まる見込み

・ なお、フランスで発生した同時多発テロが実体経済に及ぼしうる負の影響については注視が必要

2013 2014 2015 2016

暦年 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12

実質GDP 前期比、% ▲ 0.2 0.9 1.5 1.4 0.2 0.1 0.3 0.4 0.5 0.4 0.3 0.3 0.3 0.4 0.4 0.4

内需 前期比、% ▲ 0.6 0.9 1.5 1.3 0.3 0.1 0.3 0.4 0.7 0.0 0.4 0.4 0.3 0.3 0.4 0.4

個人消費 前期比、% ▲ 0.6 0.9 1.8 1.5 0.1 0.2 0.5 0.6 0.5 0.4 0.5 0.4 0.3 0.3 0.3 0.4

総固定資本形成 前期比、% ▲ 2.6 1.3 1.7 1.3 0.4 ▲ 0.5 0.3 0.6 1.4 ▲ 0.5 0.3 0.3 0.4 0.4 0.5 0.5

政府消費 前期比、% 0.2 0.8 1.2 0.8 0.3 0.2 0.2 0.2 0.6 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2

在庫投資 前期比寄与度、%Pt 0.2 ▲ 0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.0 0.1 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.1 0.0 ▲ 0.1 0.0 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0 0.0 ▲ 0.0

外需 前期比寄与度、%Pt 0.4 ▲ 0.0 0.0 0.1 ▲ 0.1 0.0 ▲ 0.0 0.0 ▲ 0.2 0.3 ▲ 0.1 ▲ 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0

輸出 前期比、% 2.2 3.9 4.6 4.1 0.6 1.2 1.5 0.9 1.0 1.6 0.6 0.9 1.0 1.1 1.1 1.2

輸入 前期比、% 1.4 4.2 4.9 4.2 0.9 1.2 1.7 0.9 1.5 1.0 0.9 1.0 1.0 1.1 1.2 1.2

消費者物価指数 前年比、% 1.4 0.4 0.1 1.0 0.6 0.6 0.4 0.2 ▲ 0.3 0.2 0.1 0.3 1.1 0.9 1.0 1.2

食品・エネルギーを除くコア前年比、% 1.1 0.8 0.8 1.2 0.8 0.8 0.8 0.7 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.1 1.2 1.2

20162014 2015

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【 ユーロ圏・主要国のGDP成長率 】

(資料) Eurostat、各国統計局より、みずほ総合研究所作成

ユーロ圏:7~9月期の成長率は前期から小幅鈍化

35

○ ユーロ圏GDP成長率は前期比+0.3%と僅かながら鈍化。輸出の低調さが鈍化の背景にあるとみられる

・ 主要国の7~9月期のGDP成長率は全般に減速したが、消費の持ち直しが下支えとなって失速を回避

・ 10月以降も、ユーロ圏・主要国の景気回復の動き自体は崩れていない模様

【 ユーロ圏・主要国の合成PMI 】

(注) 50が好況・不況の境目の目安。イタリア・スペインは、それぞれのPMIの加重平均。(資料) Markitより、みずほ総合研究所作成

46

48

50

52

54

56

58

2013/10 14/10 15/10

ユーロ圏 ドイツ

フランス イタリア・スペイン

(Pt)

拡張↑

景気

↓縮小

(年/月)

10月も総じて50超

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3

2013 2014 2015

ユーロ圏 ドイツ フランス

イタリア スペイン

(前期比、%)

(年/四半期)

全般に減速したが失速は回避

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0.00

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

0.09

0.10

ユーロ圏

ドイツ

フランス

イタリア

スペイン

ユーロ圏

ドイツ

フランス

イタリア

スペイン

ユーロ圏

ドイツ

フランス

イタリア

スペイン

新興国の減速の影響 中国の減速の影響 米英の減速の影響

うち、固定投資の1%減少による影響

うち、個人消費の1%減少による影響

内需が1%減少した場合のユーロ圏・各国GDP減少幅

(ユーロ圏・各国GDPの減少幅、%)

ドイツへの影響が最大

【 新興国の景気減速が輸出を通じてユーロ圏・主要国GDPに与える影響 】

(注) 新興国、米英、中国の内需が1%減少した場合のユーロ圏・主要4カ国の輸出への影響度を求め、それにGDPに占める輸出の割合を乗じて、GDPへの影響を試算した。新興国は、連関表が取得可能な9カ国(中国を含む)。

(資料) Timmer, M.P. et al.(2015) “An Illustrated User Guide to the World Input-Output Database: the Case of Global Automotive Production”より、みずほ総合研究所作成

ユーロ圏:新興国の景気減速は輸出を通じ、ユーロ圏の成長率を押し下げ

36

○ 新興国が内需中心に1%減速し、ユーロ圏輸出のみが減少した場合、ユーロ圏GDPは0.1%弱押し下げられる

・ 輸出の弱さが設備投資などに波及すれば、ユーロ圏GDPに対する影響は更に強まる

――― ユーロ圏主要国の中では、新興国向け輸出比率の高いドイツへの影響が相対的に大

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▲ 4.0

▲ 3.5

▲ 3.0

▲ 2.5

▲ 2.0

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

▲ 0.8

▲ 0.6

▲ 0.4

▲ 0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

2014/10 15/1 15/4 15/7 15/10

ユーロ圏インフレ率

コアインフレ率(エネルギー・食品等を除く)

エネルギー・食品等(右目盛)

(前年比、%) (前年比、%)

(年/月)

インフレ率はゼロ近傍が続く

【 ユーロ圏コア・インフレ率の構成品目の分布 】

(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成

ユーロ圏:企業の慎重姿勢を背景に低インフレが続く見通し

37

○ 2016年末になってもユーロ圏インフレ率は1%強の水準に止まるとみられる

・ 原油価格下落に加え、ユーロ安による押し上げ効果の弱まりを背景に、足元のインフレ率はゼロ近傍

・ 低成長を背景に企業は値上げに対して慎重姿勢を維持するとみられ、インフレ率の明確な加速は見込み難い

(注) コア・インフレ率(食料・エネルギーを除く)の構成品目ごとに前年比上昇率を計算し、相対度数分布を作成。(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成

【 ユーロ圏インフレ率 】

0.00

0.02

0.04

0.06

0.08

0.10

0.12

0.14

0.16

0.18

0.20

20

19

18

17

16

15

14

13

12

11

10

9

8

7

6

5

4

3

2

1

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

2002~07年平均 2015年(相対度数)

(前年比上昇率、%)

最も発生頻度が

高いのは2.0~2.5%

最も発生頻度が

高いのは1.0~1.5%

ゼロ近傍の上昇率が

発生する頻度が上昇

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○ コアインフレ率の下振れなどにより、ECBは12月3日の次回政策理事会で追加緩和を発表する公算大

・ QE2は、規模の拡大、ガイダンス強化、預金金利引き下げの組み合わせたプログラムを予想

――― 購入金額(600億ユーロ/月)を800億ユーロ/月へ増額のうえ、声明文の変更を通じて、プログラム期間を半年間

延長すると予想。同時に、預金ファシリティ金利は、現在の▲0.2%から▲0.3%へと引き下げ

・ QEを半年間(2017年3月まで)延長した場合、QEプログラム総額は約2兆ユーロとなり、米英と遜色のない水準へ

【 ユーロ圏のコアインフレ率とECB資産残高の見通し】 【 各国QE購入債券の名目GDP比 】

ECBは12月に追加緩和実施の公算大

38

(注)日米英は、2016年末時点。ユーロ圏は2016年9月末時点。(資料)各国中銀等より、みずほ総合研究所作成

(資料)ECB、Eurostatより、みずほ総合研究所作成

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

2011 12 13 14 15 16 17 18 19

ECB資産残高(800億ユーロ/月、

2017年3月まで)コアCPI(前年比、右目盛)

テーパリング

開始

(兆ユーロ)

(見通し)

(年)

テーパリング

に向けた

地ならし開始

(前年比、%)

(8月見通し)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

米国 英国 日本 ユーロ圏

(名目GDP比、%)

QE購入額を毎月

800億ユーロに拡

大し、2017年3月

まで実施した場合

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(3)アジア経済 ~先行きは持ち直すものの、自律的景気回復力は脆弱

39

○ 中国経済は足元で小幅な減速にとどまる。一旦持ち直すも、再び緩やかに減速する見通し

・ 2015年7~9月期の成長率は+6.9%と前期(同+7.0%)から小幅な減速にとどまる

――― 製造業・不動産開発投資の減速が下押し要因となるも、インフラ投資が高水準の伸びを維持し、投資の減速テンポが緩やかに。消費も幾分加速し、景気を下支え

・ 2015年10~12月期にはインフラ投資の加速などにより一旦持ち直しの動きが明確に。 ただし、資本ストック調整が続くため、2016年には緩やかな減速傾向に復する

○ 中国を除くアジア経済の足元の回復テンポは弱く、先行きも大幅加速は期待しにくい

・ 2015年7~9月期の景気は、総じてみれば底打ち

――― ただし、輸出が低水準で推移、輸出依存度の高い国の景気回復テンポは弱い

・ 先行きの景気は、2015年末にかけていったん持ち直すものの、その後テンポは弱まる

――― 2015年末にかけて、輸出がいったん持ち直すと予想。しかし、2016年初以降、中国の景気減速などから、輸出が再び減速して景気回復の重石に

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アジア:緩やかな成長を維持も、伸び率はやや低下へ

40

【 アジア経済見通し総括表 】

○ アジア経済は、+6%台の経済成長が続くものの、2014年と比べて伸び率はやや低下

・ 中国は、2015年は政策発動などから+7%近傍の成長率を維持も、2016年の成長率は前年からやや減速

・ 輸出依存度の高いNIEsは、主要輸出先の景気回復力の弱さなどから、+3%以下の成長率にとどまる

・ ASEAN5は、インドネシア、マレーシアの景気拡大テンポが緩やかにとどまることなどから、+5%以下の成長率にとどまる

・ インドは、原油価格下落や金融緩和などにより、成長率は緩やかな拡大に向かう

(注)1.実質GDP成長率(前年比)。2.平均値はIMFによる2012年GDPシェア(購買力平価ベース)

により計算。3.網掛けは予測値。網掛けなしは実績値。4.インドの伸び率は、2012年以前はIMF、2013年以降はインド

統計計画実行省の値。(資料)各国統計、CEIC Dataより、みずほ総合研究所

(単位:%)

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年

(実績) (実績) (実績) (実績) (予測) (予測)

7.4 6.3 6.4 6.3 6.2 6.1

中国 9.5 7.7 7.7 7.3 7.0 6.7

NIEs 4.1 2.3 2.9 3.3 2.0 2.3

韓 国 3.7 2.3 2.9 3.3 2.6 2.9

台 湾 3.8 2.1 2.2 3.8 0.8 1.6

香 港 4.8 1.7 3.1 2.5 2.3 1.9

シンガポール 6.2 3.4 4.4 2.9 1.8 2.3

ASEAN5 4.7 6.2 5.1 4.6 4.6 4.4

インドネシア 6.2 6.0 5.6 5.0 4.7 4.8

タ イ 0.8 7.3 2.8 0.9 2.4 2.2

マレーシア 5.3 5.5 4.7 6.0 4.7 3.6

フィリピン 3.7 6.7 7.1 6.1 5.6 6.0

ベトナム 6.2 5.2 5.4 6.0 6.7 5.7

インド(2011年度基準) 6.6 5.1 6.4 7.1 7.4 7.7

アジア

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○ 7~9月期の実質GDP成長率は前年比+6.9%と、前期(同+7.0%)から小幅減速

・ 投資は、製造業投資や不動産開発投資を中心に減速するも、想定よりも加速したインフラ投資が全体を下支え

・ 輸出は、米国など主要輸出先の景気減速や、資源国経済の弱含みなどによりマイナス幅が拡大

・ 一方、消費は所得の安定的な伸びや住宅関連材の販売持ち直しなどにより幾分加速

○ 10月単月の主要指標は、鉱業・素材部門の生産や輸出が弱含みを示すも、小売や第3次産業の投資は持ち直し

・ PMIも、製造業が景気拡大・縮小の分岐点である50を下回って推移する一方、非製造業は50以上で堅調に推移

【 実質GDP成長率と主要経済指標 】 【 月次主要経済指標 】

(注)1.社会消費品小売総額は小売物価指数、固定資産投資は 固定資産価格指数で実質化(みずほ総合研究所推計値)。輸出は名目ドルベース。

2. 2013年1~3月期の輸出は虚偽報告による水増しの可能性大。

(資料) 中国国家統計局、海関総署より、みずほ総合研究所作成

中国:7~9月期成長率は前期から小幅な減速

41

(注) 1. 1、2月は1~2月累計の前年同期比。2. 固定資産投資は年初来累計を単月に変換。3. 工業生産は実質値。社会消費品小売総額、 固定資産投資は名目値。4. 輸出は名目米ドル建て。

(資料)中国国家統計局、海関総署より、みずほ総合研究所作成

▲ 30

▲ 15

0

15

30

45

60

75

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

12/01 13/01 14/01 15/01

工業生産(左目盛)社会消費品小売総額(左目盛)固定資産投資(左目盛)輸出(右目盛)

(前年比、%)

(年/月)

(前年比、%)

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

2012 13 14 15

実質GDP成長率(右目盛)固定資産投資(左目盛)社会消費品小売総額(左目盛)輸出(左目盛)

(前年比、%) (前年比、%)

(年)

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○ 2015年10~12月期には、インフラ投資の加速などにより、一旦持ち直しの動きが明確になる見通し

・ 7~9月期も政府がてこ入れを強化したインフラ投資が高水準の伸びを維持し、投資全体の減速テンポが緩やかに

・ インフラ投資向けの資金調達支援策も順調に進展している模様。地方債発行額も堅調に推移

○ ただし、資本ストック調整による投資の伸び鈍化が続くことなどから、2016年の景気は再び緩やかに減速

・ 2014年末時点で製造業の資本ストックは期待成長率+8%程度に相当する規模で、実際の成長率対比で過剰

○ 2015年の成長率は前年比+7.0%、2016年は同+6.7%と予測。足元の小幅上振れを反映し、9月予測から上方修正

【 業種別固定資産投資の伸び率 】 【 製造業資本ストック循環図 】

中国:インフラ投資加速により一旦持ち直すも、その後、減速傾向に復する

42

(注)1.1995年を基点としてベンチマークイヤー法により推計(除却率は17%と仮定)。2.双曲線は、2006年~2013年の資本係数の平均伸び率により推計。

(資料) 中国国家統計局「第3回工業センサス(1995年実施)」、中国国家統計局より、みずほ総合研究所作成

(注)1.インフラは、交通運輸・倉庫・郵政、電力・ガス・水道、水利・環境・公共施設管理の3業種の合計。2.固定資産価格指数により実質化(みずほ総合研究所推計値)。

(資料)中国国家統計局、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成

0

5

10

15

20

25

12 13 14 15

その他 不動産

製造業 インフラ

全体

(前年比、%)

(年)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

28 29 30 31 32 33 34 35

(設備投資額の対前年比伸び、%)

期待成長率ライン

〔20%〕

〔15%〕

〔10%〕

2014

2005

2009

2012

〔7%〕

(前年の資本ストックに対する設備投資額の比率、%)

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○ 2016年、政府は+6%台後半の成長達成を目指し、金融・財政政策の実施により減速ペースを緩やかなものに

・ 中国人民銀行は、2014年11月以降、貸出・預金基準金利を6回、預金準備率を5回引き下げ。追加金融緩和の可能性あり

・ ただし、貸出需要は製造業を中心に弱含みが続いており、金融緩和による投資誘発効果は今後も限定的な模様

・ 財政支出への依存度を高めることで、減速ペースを緩やかなものにとどめる

――― 7~9月期の財政支出の伸びはインフラ関連を中心に加速。来年も財政赤字拡大に

【 貸出需要指数 】 【 財政支出 】

(注) 全国3,100行の銀行へのアンケート調査。50を上回ると需要拡大、下回ると需要縮小を示す。

(資料) 中国人民銀行より、みずほ総合研究所作成

中国:金融・財政政策の実施で、減速ペースを緩やかなものにとどめる

43

(資料) 財政部より、みずほ総合研究所作成

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2009 10 11 12 13 14 15

貸出需要製造業非製造業

(年)

需要

拡大

需要

縮小

▲ 5

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2012 13 14 15

(前年比、%)

(年)

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○ 今後、輸出は回復基調をたどるもそのペースは緩やかなものにとどまる見通し

・ 7~9月期の輸出の伸びは金額・数量ともに前期からマイナス幅拡大。一方、輸入は数量ベースで回復傾向を示す

・ 先進国経済の景気回復の遅れ、資源国経済の不振、IT製品需要の一時的な落ち込みなどが今後の輸出の重石に

○ 雇用・所得の底堅さが消費の下支えとなる見込み。消費全体としては、緩やかな減速にとどまる見通し

・ 足元の消費は底堅く推移。住宅関連財や自動車の販売などが持ち直し。実質可処分所得の伸び加速も消費堅調の要因

・ 投資財セクター等の減速に伴い一部業種で雇用悪化の恐れはあるも、非製造業を中心にタイトな労働需給が続く見込み

【 実質輸出入見通し 】

中国:輸出は回復基調をたどるもペースは緩慢。消費は良好な雇用・所得が下支えに

44

(注) 2004年の各月の名目輸出額・輸入額(人民元建)を基準とし、輸出数量・輸入数量指数の伸び率を掛け合わせることで実質値を推計。

(資料) 中国海関総署より、みずほ総合研究所作成

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

2012 13 14 15 16

実質輸出 実質輸入

(前年比、%)

(年)

予測

【 一定規模以上小売・卸売業販売額 】

(注)1. 一定規模以上小売・卸売業とは、本業の年間売上高2,000万元以上の卸売業、500万元以上の小売業を指す。

2. 住宅関連財=建材、家具、家電。その他=医薬品、日用品、文房具、化粧品、その他サービス。

3. 小売物価指数で実質化。(資料)中国国家統計局より、みずほ総合研究所作成

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

14

13 14 15

その他 住宅関連財 自動車

石油関連製品 通信機器 衣類

食品 全体

(前年比、%)

(年)

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○ 10月29日に五中全会が閉幕し、2016~2020年までの中期政策大綱である第13次五カ年計画の草案を採択。「小康(ある程度豊かな)社会の全面的完成」に向けた政策の方針と大枠が明らかに

○ 中高速の経済成長を維持し、2020年に向けてGDP及び1人当たり所得を2010年対比で倍増させるとの目標を堅持

・ 習近平総書記は、同目標達成のためには年平均+6.5%以上の成長が必要と会議終了後に明言

○ 政策の柱は、「創新(イノベーション)」「協調」「緑色(グリーン)」「開放」「共享(分かち合い)」の5項目。持続可能な経済発展のため、イノベーションの活性化、所得格差・貧困問題の解消、省エネ・省資源・環境対策の強化に本腰を入れる方針

【 第13次五カ年計画草案の概要 】

(資料) 「中共中央关于制定国民经济和社会发展第十三个五年规划的建议」(『新华网』2015年11月3日)より、みずほ総合研究所作成

中国:五中全会で2016~2020年の年平均成長率の下限を+6.5%に設定

45

政策目標

政策の柱

○小康社会の全面的完成⇒ 2020年に2010年対比GDP倍増、農村の貧困根絶、資源利用の規制強化など

①創新(イノベーション)

②協調

③緑色(グリーン)

④開放

⑤共享(分かち合い)

⇒イノベーション活性化、産業高度化・新産業育成 (「中国製造2025」「イ

ンターネット+」等)、地域開発、制度改革など

⇒都市・農村間の協調的発展、経済と国防の融合的発展など

⇒低炭素化の促進、資源利用や汚染物質の排出の規制強化など

⇒ サービス業の参入規制や資本取引規制の緩和、新シルクロード構想の推進、国際ルール策定への参画など

⇒ 貧困削減、格差縮小、1人っ子政策撤廃、社会保障制度改革など

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76

81

86

91

96

101

106

111

116

121

13/01 13/05 13/09 14/01 14/05 14/09 15/01 15/05 15/09

米国向け 欧州向け

ASEAN向け 日本向け

中国向け その他新興国向け

(年/月)

(2013/01=100)

○ 2015年7~9月期の中国を除くアジアの景気は、底打ちの兆し

・ 実質GDP成長率は、韓国など前期から加速した国が多いが、台湾、シンガポールなど回復力が弱い国も

○ 成長率が加速した国では、主に政策効果などから内需が持ち直し。一方。輸出は、底打ちしつつも低水準が続く

・ NIEsの輸出額をみると、これまで増加傾向が続いていた米国向けが一服、他国・地域向けも底ばい状態

【 実質GDP成長率 】 【 NIEsの名目輸出指数(米ドル建て) 】

中国を除くアジア:7~9月期の景気は底打ちの兆しも、モメンタムは弱い

46

(資料)各国統計、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成

(注)1. 季節調整値の後方3カ月移動平均値。

2. その他新興国はインド、ブラジル、南アフリカ、ロシア、トルコの合計。

(資料)CPB、各国統計、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成

(前期比年率、%)

1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9

韓国 4.4 2.0 3.2 1.1 3.3 1.3 5.0

台湾 1.7 2.9 6.1 1.9 2.3 ▲ 6.6 0.2

香港 2.6 ▲ 0.0 5.9 1.0 3.0 1.7 3.5

シンガポール 1.8 ▲ 0.5 2.6 4.9 3.3 ▲ 2.5 0.1

タイ ▲ 2.9 2.6 3.7 4.7 1.4 1.4 4.0

マレーシア 5.5 6.7 3.3 7.3 4.7 4.5 2.6

フィリピン 7.4 7.1 2.1 10.2 1.6 7.6 N.A.

(前年比、%)

インドネシア 5.1 5.0 4.9 5.0 4.7 4.7 4.7

ベトナム 5.1 5.3 6.1 7.0 6.1 6.5 6.8

インド 6.7 6.7 8.4 6.6 7.5 7.0 N.A.

20152014

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○ 8月以降、アジア諸国・地域では、景気下支えのための金融緩和、財政出動などの政策実施が増加

・ 米利上げ開始時期が遅れる見込みが高まって、通貨下落などのリスク懸念がいったん低下したことなどが背景

・ 世界的な需要の弱さなどから輸出回復への不透明感が高まる中、内需の下支えにより景気腰折れを避けることが目的

○ ただし、どの国の政策も大型の景気刺激策とは言えず、成長率を大幅に加速させる期待は小さい

・ 米利上げの方向性自体が不変であるなど、金融市場の不安定化リスクは残存、政策余地を残す意図もあるとみられる

中国を除くアジア:金融・財政政策の実施が増加も、景気の大幅加速は困難

47

【 アジア諸国・地域の金融・財政など景気対策動向 】

(資料)各種資料により、みずほ総合研究所作成

国名 内容 評価 先行き

韓国 補正予算の実施

・個人消費など景気を一定程度下支え・2009年以降の補正予算としては最小の規模

・2016年予算案の歳出額は前年からほぼ横ばい、景気刺激色は強まらず

台湾 利下げ、消費活性化策など

・小幅な利下げゆえ、景気浮揚効果は限定的・消費活性化措置のGDP創出効果は限定的

・2016年の公共投資の予算額伸び率は前年比+13.1%だが、規模は小さく、大きな効果は期待薄

シンガポール

金融緩和策の実施

・名目実効為替レートの上昇ペース緩和という微調整の範囲内。景気浮揚効果は小さい

・MASはインフレ率上昇を予想しており、金融政策は据え置きへ

インドネシア

一連の景気対策パッケージ

・規制緩和など中長期的な構造改革につながるものが多く短期の景気への影響は限定的

・財政支出は、少しずつ進展の兆しはみられるも劇的な加速は見込みにくく、景気刺激色は強まらず

タイ 資金流出促進策、景気対策

・投資奨励策やバーツ安誘導を実施も、低稼働率から効果は限定的

・家計債務の重石があることなどから追加利下げの効果は限定的、政治情勢の不透明性などもあり、財政政策の効果も限定的

マレーシア

株価支援・景気対策

・目玉は株価対策で、それ以外の項目への支出額は小さい

・低所得者層への配慮もあるが、基本的には緊縮姿勢が続いている

ベトナム 通貨切り下げ ・実質実効ベースでみた通貨高を完全に是正するほどの切り下げではない

・過度の通貨下落を避けるべく、通貨安定措置も実施中、通貨安志向がさらに強まっているわけではない

インド 利下げ、予算前倒し

・低稼働率のため、効果は限定的 ・政府の赤字削減姿勢は変化なし・中銀も、当面の金利据え置きを示唆

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Ⅲ.日本経済

48

~調整圧力残存も、緩やかに持ち直し~

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49

日本経済 ~依然不透明感は高いが、徐々に持ち直し。コアインフレ率は1%台前半に

○ 2015年7~9月期が2四半期連続のマイナス成長、足元の景気は踊り場。在庫投資が大幅な

マイナスとなったほか、設備投資も慎重姿勢が強まる動き。個人消費や輸出は持ち直したも

のの、力強さに欠ける

○ 2015年10~12月期以降の景気は、堅調な企業業績や雇用情勢が支えとなり、緩やかな回復

軌道に復する見通し。2015年度成長率は+0.8%と予測(2014年度後半が高めの伸びとなっ

た影響を除くと、2015年度の期中成長率は+0.1%とほぼゼロ)

○ 2016年度は後半にかけ消費増税(2017年4月)前の駆け込み需要顕在化。個人消費や住宅

投資の伸びが高まることで、2016年度の成長率は+1.5%と高めの成長を予測

○ 原油価格の下落の影響で、コアCPI前年比は2015年末にかけてゼロ近傍で推移。その後は、

基調的なインフレ率が緩やかな上昇傾向を維持するとともに、エネルギー価格の上昇幅が再

び拡大し、予測期間後半には1%台前半の伸びに。もっとも、「2016年度後半頃」に2%程度

に達するとの日銀見通しからは下振れ

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▲ 5

▲ 4

▲ 3

▲ 2

▲ 1

0

1

2

3

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3

2013 2014 2015

(前期比、%)

家計

(消費+住宅)

公的需要

外需

民間在庫投資

民間設備投資

実質GDP

成長率

(期)

(年)

○ 7~9月期は2四半期連続のマイナス成長。在庫投資が大幅なマイナス寄与となったほか、設備投資も慎重化。個人消費や

輸出は持ち直したものの、4~6月期の落ち込みを取り戻すには至らず

○ 鉱工業生産は、過去の後退局面と比較すれば、底堅い動きを維持

・ 出荷の動きをみると、輸出向けは2012年の軽微な後退期並みの落ち込みを記録したが、国内向けが相対的に堅調

――― 内需が力強さに欠けるものの、腰折れしたわけではないことや、インバウンド消費が増加していることなどが要因

【 鉱工業生産(過去の後退局面との比較) 】

日本:2期連続のマイナス成長と、足元は踊り場。ただし、景気腰折れは回避

50

(注)1. 中心3カ月移動平均。2. 2012年は、エコカー補助金の反動や欧州債務危機等による海外経済減速により、

日本が軽微な景気後退に陥った時期。2000年~2001年は、ITバブル崩壊後の景気後退期。

(資料) 経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成

【 実質GDP成長率の寄与度分解 】

82

84

86

88

90

92

94

96

98

100

102

104

106

▲12 ▲10 ▲8 ▲6 ▲4 ▲2 山 +2 +4 +6 +8 +10 +12

2015年1月前後

2012年3月前後

2000年11月前後

(山=100)

足元は底堅い動き

(月)

(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成

Page 52: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

○ 2015年度は、円安・原油安等の追い風があった割には低い成長率にとどまる。海外経済の減速から輸出が低迷し、

設備投資も慎重化。天候不順や耐久財のストック調整などから、個人消費の回復も緩慢

・ 先行きは緩やかな回復を見込むも、①新興国減速の影響、②在庫調整圧力の残存、③設備投資の様子見姿勢、 ④個人

消費の回復力、 ⑤春闘での賃上げ動向などの点について、不透明感が依然高い

○ 2016年度は、堅調な企業収益に支えられて更新投資等が再び顕在化。後半にかけて駆け込み需要も押し上げに寄与

○ コアインフレ率は2015年末にかけてゼロ近傍。その後はエネルギーがプラスに転じ、物価の基調も高まることで1%台前半に

【 実質GDP成長率の見通し 】 【 消費者物価指数の見通し 】

(資料) 内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成

日本:依然不透明感は高いが、緩やかな回復軌道に復する見込み

51

(注) 内訳は消費税を除くベース。米国基準コアCPIは、食料(酒類を除く)・エネルギーを除く総合。日銀型コアCPIは、生鮮食品・エネルギーを除く総合。

(資料) 総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成

▲ 2.0

▲ 1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

2010 11 12 13 14 15 16 17

エネルギー

食料(酒類・生鮮食品除く)

米国基準コアCPI

(前年比、%)

コアCPI(消費増税の影響を除く)

予測

(年)

コアCPI

(消費増税の影響を含む)

日銀型コアCPI

3.5

0.4

1.0

2.1

▲ 0.9

0.8

1.5

▲ 3

▲ 2

▲ 1

0

1

2

3

4

2010 11 12 13 14 15 16

(前年比、%)

家計

(消費+住宅)

公的需要

外需

民間在庫投資

民間設備投資

実質GDP

成長率

予測

(年度)

Page 53: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

○ 政府の賃上げ要請もあり、2016年の春季賃上げ率は2.50%と、前年を上回る

・ 2016年の賃上げにとって、2015年のインフレ率・成長率の低迷はマイナス要因。一方、企業業績の好調さや人手不足感の

高まりはプラス材料。企業の緩やかなインフレ期待が維持される中で、政府の賃上げ要請もあり、賃上げ率は上昇を予測

○ もっとも、賃上げ率と物価の長期的な関係からみると、2016年の賃上げ率は2%の物価目標と整合的な水準には届かず

・ 物価目標(2%インフレ)の安定的な達成には、4~5%の春季賃上げ率(定昇含むベース)が必要

――― 諮問会議においても、600兆円の名目GDP達成には、年間3%程度のベースアップが必要と指摘(11/4議事要旨)

【 春季賃上げ率(主要企業と中小企業) 】 【 春季賃上げ率と物価上昇率 】

日本:春季賃上げ率は2015年を上回る。ただし、物価目標の達成には依然不十分

52

(注)中小企業は「賃上げ引き上げ等に関する実態調査」の100~299人規模。ただし、2015年は未公表のため、連合や経団連の調査により延長。

(資料)厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」、「賃金引上げ等に関する実態調査」などより、みずほ総合研究所作成

(注)2015年度および2016年度のコアCPI前年比、2016年度の春季賃上げ率は、みずほ総合研究所による予測値。

(資料)総務省、厚生労働省より、みずほ総合研究所作成

y = 0.9934x - 2.2948

R² = 0.7918

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

0 2 4 6 8 10

(コアCPI前年比、%)

(春季賃上げ率、%)

2016年度

2015年度

0

1

2

3

4

5

6

7

8

1980 85 90 95 2000 05 10 15

主要企業 中小企業

(賃上げ率、%)

2016年の賃上げは

2.50%程度と予測

(主要企業)

中小企業への

波及に遅れ

(年)

Page 54: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

○ 2015年度の税収の上振れ分、2014年度の決算剰余金、2015年度当初予算における歳出の減額により、国債の追加発行

をせず4.5兆円程度の財源は確保可能(※2015年度補正予算について、本見通しの予測値には織り込まず)

・ 補正予算の内容は、低所得者対策、TPP大筋合意による農林水産業対策、地方創生等の内容となる可能性

・ 4.5兆円程度の補正予算なら、2016年度のGDPを約+0.3%程度押し上げ(16年度以降の累計は+0.6%)と試算

――― 補正予算の内容として、公共投資等の比率が2014年度補正予算と同程度になった場合の試算

○ 税収の増加に伴いPBは縮小傾向、2007年度以来の低水準へ

【 各年度の当初予算・決算時の税収 】 【 一般会計における各年度のPBの推移 】

日本: 2015年度補正予算~国債の追加発行なしで、4.5兆円程度の財源は確保可能

53

(注)2015・16年度のプライマリーバランスについては、みずほ総合研究所による予測値。(資料) 財務省より、みずほ総合研究所作成

税収の上振れ分1.1兆円(注1)

決算剰余金1.6兆円(注2)

歳出削減1.8兆円(注3)

合計:4.5兆円前後

補正予算の規模

(注)1.15年度の税収の上振れについては、みずほ総合研究所による予測値。2.財政法第6条の規定(純剰余金の2分の1以上を国債償還財源に充当)の適用を外す

特例法を制定して、全額補正予算に充当する場合の金額。3.2014年度の補正予算での既定経費の減額と同程度を想定。

(資料) 財務省より、みずほ総合研究所作成

▲ 35

▲ 30

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

1980 85 90 95 2000 05 10 15

(兆円)

(年度)

予測値

30

35

40

45

50

55

60

2010 11 12 13 14 15

決算時税収

当初予算税収

(兆円)

54.0

50.0

55.6(予測)

54.5

(年度)

Page 55: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

54

日本:日銀は物価の基調を見極めつつ、2016年前半に追加緩和を行う可能性

【 展望レポート(2015年10月) 】

○ 日銀は10月30日の金融政策決定会合で金融政策を据え置き。展望レポートでは2015・2016年度の成長率・物価見通しを

下方修正し、物価目標達成時期を2016年度後半に後倒し。ただし、成長率・物価見通しは下振れリスクが大きいと評価

○ 物価の基調を見極めつつ、2016年前半に追加緩和を行うと予想

・ 消費者物価(除く食料及びエネルギー)の上昇ペースは円安の影響のはく落から徐々に鈍化すると予想。春先の賃金交渉

などを睨み、日銀は追加緩和を行うと予想

・ 米利上げにより円安が進展する場合、当面様子見し、年後半の消費増税判断などを睨み追加緩和を判断する可能性も

【 政策委員の物価見通し(展望レポート) 】

(資料)日本銀行より、みずほ総合研究所作成

2015年度 2016年度 2017年度

上振れリスク大 0 1 0

上下にバランス 5 6 4

下振れリスク大 4 2 5

上振れリスク大 0 1 0

上下にバランス 6 4 4

下振れリスク大 3 4 5

実質GDP

消費者物価指数

(注)表中の数字は最も蓋然性が高いと考える政策委員の人数。(資料)日本銀行より、みずほ総合研究所作成

(対前年度比:%)

 2015年度 +0.8~+1.4

(+1.2) 7月時点の見通し +1.5~+1.9

(+1.7) 2016年度 +1.2~+1.6

(+1.4) 7月時点の見通し +1.5~+1.7

(+1.5) 2017年度 +0.1~+0.5 +2.5~+3.4 +1.2~+2.1

(+0.3) (+3.1) (+1.8) 7月時点の見通し +0.1~+0.5 +2.7~+3.4 +1.4~+2.1

(+0.2) (+3.1) (+1.8)

+1.2~+2.1(+1.9)

実質GDP消費者物価指数(除く生鮮食品)

消費税率引き上げの影響を除くケース

+0.0~+0.4(+0.1)

+0.3~+1.0(+0.7)

+0.8~+1.5(+1.4)

Page 56: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

日本:日本経済を巡る4つの謎に迫る

55

【 日本経済の論点(次頁以降)一覧 】

論点 内容

論点①なぜ日本の輸出へのダメージが大きいのか

・日本の輸出は、中国減速の影響を受けやすい構造・中国減速による日本への波及は、間接的影響が大きい

論点②企業業績は良いのになぜ設備投資は伸びないのか

・増加したキャッシュは、株式などGDPに計上されない投資に充てられている・2016年度は、堅調な企業業績に支えられ、更新投資等が再び顕在化する

論点③実質雇用者報酬が改善してもなぜ個人消費は回復しないのか

・耐久財のストック調整が生じている・家計調査のサンプルバイアスによる下押しも無視できず

論点④トリプルメリットによるGDPの押し上げ効果は、なぜ十分にみられないのか

・貿易収支や企業業績は大幅に改善。インバウンド消費も大幅増・一方、10兆円超の業績改善にもかかわらず、設備投資が十分に増加していない

Page 57: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

17% 17%28%

22% 19%16%

61%

64%

56%

▲ 9

▲ 6

▲ 3

0

3

6

0

20

40

60

80

100

日本 米国 欧州

中間財・素材 資本財 消費財 輸出数量の変化(右目盛)(%Pt)(%)

○ 輸出低迷が継続。アジアを中心とした世界的な生産、投資の減速が輸出伸び悩みの原因

・ 2015年にみられた世界生産の減速は、海外成長率の低下幅に比べても大きい。世界的に、サービスセクターは堅調だが、

製造業は中国や資源国減速の影響などが大きく顕れた模様

・ 日本は中間財や資本財の輸出比率が高いため、世界的な生産・投資の減速の影響を受けやすいとみられる

――― Global VARの分析においても、日本の輸出は影響を受けやすいとの結果(次頁)

【 日本の輸出相手国の成長率・生産 】

論点①外需:日本の輸出は、中国減速の影響が大きく出やすい構造

56

(注)1.海外成長率は米国・EU・NIEs・ASEAN5を日本の輸出ウェイト(2010年)で合成。2015・2016年はIMF予測ベース。

2.世界生産は、米国・ユーロ圏・アジア新興国の生産を日本の輸出ウェイト(2010年)で合成。3.生産指数の2015年は、2015年1月~8月平均値。

(資料)IMF、CPB(オランダ経済政策分析局)、財務省より、みずほ総合研究所作成

【 日米欧の輸出品目構成と足元の輸出数量の伸び 】

(注)1.輸出品目の割合は2013年実績。2.輸出数量の変化は、2014年12月と2015年8月の数量指数の差。

(資料)RIETI「RIETI-TID 2013」、CPB(オランダ経済政策分析局)より、みずほ総合研究所作成

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

14

0

1

2

3

4

5

6

7

1992 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 12 14

海外成長率

世界生産(右目盛)

(前年比、%) (前年比、%)

(年)

Page 58: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

▲ 4.0

▲ 3.5

▲ 3.0

▲ 2.5

▲ 2.0

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

日本中国インドネシア

フィリピン

香港米国シンガポール

マレーシア

タイイタリア

ドイツ

韓国オーストリア

スペイン

ベルギー

ブラジル

英国カナダ

フランス

ロシア

(実質輸出への影響、%)

○ モデル(Global VAR)によるシミュレーションでは、中国減速による日本経済への影響は、間接的影響が大きい

・ 中国減速に伴う中国以外のアジアや欧米の景気下振れも、日本の輸出の下押しに

――― なお、グラフには示していないが、輸出からラグを持って、設備投資にも波及。一方、資源安による下支え効果も

【 中国減速による波及効果試算(Global VAR)】

論点①外需:中国減速は、第3国向け輸出の下押しなどを通じた間接的影響が大

57

(注)1.中国ショックの大きさは、中国のGDPに1標準偏差分の負のショックが生じたと想定(中国のGDPがショックから1年後に約0.7%下振れ)。2. 海外GDPへの影響は、日本からの輸出金額をウェイトとして、各国GDPへの影響を加重平均したもの。

(資料)Smith, L.V. and A. Galesi (2014),”GVAR Toolbox 2.0”(https://sites.google.com/site/gvarmodelling/gvar-toolbox)、L. Gauvin and C. Rebillard(2015)”Towards Recoupling? Assessing the Global Impact of a Chinese Hard Landing through Trade and Commodity Price Channels”などより、みずほ総合研究所作成

<主要国の実質輸出への影響(ショックから1年後)> <海外GDPと日本の輸出への影響(累計)>

▲ 3.5

▲ 3.0

▲ 2.5

▲ 2.0

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

▲ 0.9

▲ 0.8

▲ 0.7

▲ 0.6

▲ 0.5

▲ 0.4

▲ 0.3

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

中国の寄与

アジア(中国除く)の寄与

米国の寄与

欧州の寄与

その他の寄与

海外GDPへの影響

日本の輸出

への影響

(右目盛)

(海外GDPへの影響、%) (日本の輸出への影響、%)

(中国ショックからの経過期間、四半期)

Page 59: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

0

10

20

30

40

50

60

0

100

200

300

400

500

600

1980 85 90 95 2000 05 10

株式有形固定資産(除く土地)有形固定資産+株式(有形固定資産+株式)/投下資本(右目盛)

(兆円) (%)

(年度)▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(兆円)

新設設備投資

投融資資金

その他設備資金

手元流動性

その他短期資金

資金需要合計

○ 企業収益の改善によるキャッシュの増加を、投融資資金(特に株式)に回す動きが継続

・海外出資やM&Aなどの動きから投融資資金が増加。ただし、投融資資金は原則としてGDPに計上されず

論点②設備:GDPに計上されない形の投資が増加している可能性

58

(注) 1.後方4四半期移動平均値。全規模・全産業(金融・保険は除く)ベース。2.その他設備資金は、設備資金需要全体(有形固定資産の増減+減価償却費)から

新設設備投資を引いたもの(土地の増減+土地以外の譲受振替等-土地以外の売却滅失振替等に当たる。例えば、中古品の購入がプラス、売却がマイナスとして表れる)。投融資資金は無形固定資産資金や投資その他の資産資金(株式、貸付金など)、繰延資産。その他短期資金は在庫投資や企業間信用など。

(資料) 財務省「法人企業統計」より、みずほ総合研究所作成

【 企業の資金需要の推移(後方4四半期移動平均) 】 【 企業の保有資産(有形固定資産・株式) 】

(注)1.対象企業は、全規模・全産業(金融・保険は除く)ベース。2.株式は固定資産として計上している株式。3.投下資本は、純資産、短期借入金、長期借入金の合計。

(資料)財務省「法人企業統計」より、みずほ総合研究所作成

株式(関係会社株式など)への投資が増加傾向

Page 60: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

○ 設備投資は足元では様子見姿勢が強まる動き。もっとも、堅調な業績に支えられ、徐々に回復に向かう見通し

・ 機械受注の弱い動きが続くなど、海外景気の減速などから足元の設備投資には様子見の傾向がみられる

・ ただし、企業業績は堅調なことから、老朽化設備の更新投資等が再び顕在化すると予想

――― 足元の輸出低迷による経常利益の下押し幅は、4~6兆円程度と試算。無視できない大きさだが、円安・原油安(10

兆円超の収益改善効果)によってカバー可能な範囲内

【 輸出低迷が継続した場合の経常利益への影響(試算) 】

論点②設備:設備投資は様子見姿勢だが、堅調な業績に支えられ徐々に回復

59

(注) 1.輸出数量指数はみずほ総合研究所による季節調整値。2.全規模・全産業(金融・保険業を除く)・季報ベースの経常利益。3.輸出数量指数の変化に対する経常利益の影響は、みずほ総合研究所のマクロモデルによるシミュレーション。

(資料)財務省「貿易統計」、「法人企業統計」などより、みずほ総合研究所作成

【 機械受注と民間企業設備投資の推移 】

(注)1.機械受注、設備投資ともに後方2四半期移動平均の前期比。2.2015年10~12月期以降の設備投資は、みずほ総合研究所による予測値。

(資料)内閣府「機械受注統計調査報告」、「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成

輸出数量

の変化

経常利益

への影響

ケース①:▲3.9% ▲4兆円

ケース②:▲5.9% ▲6兆円

(ご参考)

14年度経常利益66兆円

80

85

90

95

100

2014 15 16

(2010年=100)

(年)

14年度平均

輸出数量指数

②2015年度の減少傾向が

継続した場合

①2015年7~9月期の

水準が継続した場合

15年度平均①

15年度平均②

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

▲ 16

▲ 14

▲ 12

▲ 10

▲ 8

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

14

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

機械受注(船舶、電力除く民需)

設備投資(GDPベース、右目盛)

(前期比、%) (前期比、%)

(年)

予測

Page 61: みずほ総合研究所 - 2015・16年度 内外経済見通し...全体概要 ~世界経済回復は緩慢、新興国に下振れリスク 4 2015年の世界経済成長率(みずほ総合研究所予測対象の国・地域加重平均ベース)は、

○ 雇用者所得の増加にもかかわらず、消費税率引き上げ後の個人消費は低迷。中でも、耐久財消費の弱含みが顕著

○ 耐久財消費は累次の購入支援策による需要の先食いが影響している可能性

・ 実質耐久財ストックは2009年以降、情報通信機器を中心に急拡大。足元ではGDP比4割強の水準

・ リーマン・ショック後、政府は累次の購入支援策を実施。昨年の消費税率引き上げ直前の駆け込み等と相まって、耐久財

需要は数年にわたって先食いが促されていた状況

論点③個人消費:個人消費低迷の要因の一つに、耐久財のストック調整

60

【 形態別実質消費 】

(資料) 内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成

【 実質耐久財ストックの推移 】

(注)1. 実質ベース。2. 2014・2015年はトレンドを先延ばしした減耗率と耐久財支出の実績値(2015年は1-9月の季節調整値)を元にストックを算出。

(資料) 内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成

15

20

25

30

35

40

45

94 98 02 06 10 14

(耐久財ストック/GDP、%)

(年)

1994-2008年のトレンド

▲2

0

2

4

6

8

10

95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15

その他情報・通信機器個人輸送機器家庭用器具

(前年比、%)

(年)

85

90

95

100

105

110

115

13/09 13/12 14/03 14/06 14/09 14/12 15/03 15/06 15/09

耐久財

半耐久財

非耐久財

サービス

(2013Q3=100)

(年/四半期)

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94

95

96

97

98

99

100

101

102

103

104

2012 13 14 15

消費総合指数(供給側と需要側の合成)

家計調査ベース(需要側)

(2013年=100)

(年)

○ ストック循環図上も、購入支援策の導入後は不自然な動き

・ 2009年頃までは90年代後半以降の循環に沿って推移していたが、2010年以降は調整局面入りすることなく回復局面に移行

・ 足元では調整色が強まっている模様。購入支援策がなかった場合と比べ、ストック調整は時間がかかる公算大

○ なお、家計調査のバイアスによって、GDPベースの個人消費が弱めに出ている可能性も

・ 諮問会議では、高齢者など特定層への回収サンプルの偏りが指摘されている。毎月1/6がサンプル替えされる点も問題

○ 消費税率再引き上げによる駆け込み需要は、2017年初の消費を2%程度押し上げる見込み(2016年度ベースで+0.5%)

【 耐久財消費とストック 】

論点③個人消費:家計調査バイアスによって、個人消費が弱めに出ている可能性も

61

【 消費総合指数と家計調査ベースの実質消費

(世帯数調整後) 】

(注)家計調査ベースの値は、実質金額指数(除く住居等)を基に、世帯数の伸びを調整したもの。(資料) 内閣府「消費総合指数」、総務省「家計調査」などより、みずほ総合研究所作成

(注) 2014・2015年はトレンドを先延ばしした減耗率と耐久財支出の実績値(2015年は1-9月の季節調整値)を元にストックを算出。

(資料) 内閣府「国民経済計算」より、みずほ総合研究所作成

家計調査が低めの結果0

1

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8

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▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 20 25

(耐久財ストック・前年比、%)

2001年1998年

(耐久財消費・前年比、%)

2010年

2009年

2011年

2013年2014年

2015年

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実績年初時点の

予測値

効果が表れている指標

主に円安 インバウンド消費 約1.4兆円 (1~9月) 約2.3兆円 (1~9月) +0.9兆円 - ‐

貿易収支 ▲12兆円 ▲4兆円 +7.4兆円 +9.0兆円 +7兆円

エネルギー価格(CPI)

125.1 113.7 ▲9.2% ▲9.7% ‐

設備投資計画(大企業、前年比)

+7.4% (6月調査) +10.9% (9月調査) ‐

経常利益 62.0兆円 77.0兆円 (4~6月期) +15兆円 +12兆円 +11兆円

実質GDI 502.2兆円 512.5兆円 (7~9月期) +10.3兆円 +16.4兆円 -効果が十分に表れていない指標

主に円安 実質輸出 88.9兆円 93.1兆円 +4.1兆円 +7.0兆円 +1.3兆円

個人消費 305.9兆円 308.9兆円 +3.0兆円 +6.9兆円 +0.7兆円

設備投資(実績) 71.2兆円 71.3兆円 +0.1兆円 +2.3兆円 +3.2兆円

実質GDP 524.5兆円 528.7兆円 +0.8兆円 +11.3兆円 +4.9兆円

(4~6月期)主に原油安

両方

円安・原油安前(2014年)

足元(2015年)

主に原油安 (4~6月期) (7~9月期)

(7~9月期)

トリプルメリット効果の試算値

両方

-

(4~6月期)

変化幅

(注)1.各経済指標の値は、原則として季節調整済み・年率換算値(エネルギー価格と設備投資計画を除く)。2.年初時点の予測値は、2015年2月17日時点のもの。3.トリプルメリット効果の試算値は、約1割の円安、約1割の株高、約4割の原油安による各経済指標への影響を、みずほ総研マクロモデル等により試算したもの

(2015年2月17日公表の経済見通し資料P14と同様)。(資料) 各種資料より、みずほ総合研究所作成

○ トリプルメリット(①2014年10月末の追加金融緩和に伴う円安・株高、②2014年度補正予算での経済対策、③原油安)に

より、貿易収支や経常利益は大幅に改善

・ 2014年4~6月期に比べて、足元の貿易収支は7兆円強改善、経常利益は約15兆円増加

○ 一方、輸出や個人消費、設備投資の押し上げ効果は十分に表れず

・ 特に、10兆円超の業績改善にもかかわらず、設備投資が十分に増加していない点が問題

(※)各項目の下振れ要因の分析は論点①~③参照

論点④トリプルメリット:企業業績は改善するが設備投資の押し上げにつながらず

62

【 トリプルメリットの効果が表れている指標・十分に表れていない指標 】

論点①、③で分析

論点②で分析

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Ⅳ.金融市場

63

~米利上げ後も、日欧金融緩和から金利上昇は緩やか~

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金融市場 ~米利上げ後も、日欧金融緩和から緩やかな長期金利上昇を予想

64

○ 金融市場では中国・新興国経済減速への懸念が残存。米国では2015年12月の利上げ開始

を予想。ただし、海外経済の動向次第では先送り。また、日銀、ECBの追加緩和への思惑か

ら振れ易い展開になると予想

○ 日銀は物価の基調の改善ペース鈍化から追加緩和を実施すると予想。ドル円相場は金融政

策の方向感の違いから円安地合いが持続。ただし、ドル高進展への警戒感から円安進行の

ペースは限定的。日本株は企業業績の改善傾向を背景に底堅さを維持

○ 国内長期金利は、日銀の国債購入や税収増を背景とした国債発行額の減少などで、需給両

面から上昇が抑制された展開。その後は、株高・米金利上昇が進展していく中、徐々に国内

金利にも上昇圧力。海外金利の変動や日銀の出口戦略への思惑などからボラティリティが高

まる局面も

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65

金融市場:2016年度後半に、ドル円は120円台後半、日経平均は21,000円台後半

【 金融市場の予測(2015年11月) 】

(注) 網掛けは予測値。予測値は期中平均。但し、無担保コールO/N、FFレート、ECB主要政策金利は期末値。ユーロ円TIBORは360日ベース。スワップ5年は6カ月LIBORに対する固定金利払。為替相場はニューヨーク終値ベース。

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成

2014 2015 2016 2017

年度 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

日本

無担保コールO/N (末値、%) 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1 0~0.1

ユーロ円TIBOR (3か月、%) 0.20 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17 0.17

金利スワップ (5年、%) 0.26 0.23 0.25 0.24 0.27 0.23 0.20 0.20 0.25 0.25 0.25 0.30

新発国債 (10年、%) 0.48 0.40 0.55 0.34 0.40 0.39 0.35 0.35 0.45 0.55 0.55 0.60

日経平均株価 (円) 16,273 19,800 21,500 18,175 20,049 19,412 19,200 20,500 21,100 21,400 21,700 21,800

米国

FFレート (末値、%) 0~0.25 0.50~0.75 1.50~1.75 0~0.25 0~0.25 0~0.25 0.25~0.50 0.50~0.75 0.75~1.00 1.00~1.25 1.25~1.50 1.50~1.75

新発国債 (10年、%) 2.33 2.25 2.65 1.96 2.16 2.21 2.30 2.40 2.50 2.60 2.70 2.80

ダウ平均株価 (ドル) 17,183 17,600 18,400 17,806 18,007 17,066 17,500 17,800 18,000 18,200 18,500 18,800

ユーロ圏

ECB主要政策金利 (末値、%) 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05

ドイツ国債 (10年、%) 0.90 0.60 0.60 0.35 0.53 0.70 0.60 0.50 0.50 0.60 0.60 0.70

為替

ドル・円 (円/ドル) 110 123 127 119 121 122 123 126 126 126 127 127

ユーロ・ドル (ドル/ユーロ) 1.27 1.09 1.03 1.13 1.11 1.11 1.07 1.05 1.04 1.03 1.03 1.03

WTI原油先物価格 (ドル/バレル) 81 49 54 49 58 47 43 49 51 53 54 56

20162015

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66

金融市場:中国・新興国経済への警戒は残存。マネーフロー変化に留意

○ 中国、新興国経済下振れ懸念の高まりから、VIX指数は急上昇するも足元では低下。ただし警戒感は残存

○ 原油安や通貨安に対応した介入により中東諸国やアジアの外貨準備が減少。国際金融市場でのマネーフローの変化が、

金融市場の不安定性を高める可能性に留意が必要

【 外貨準備残高の推移】【 VIX指数 】

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成(注)VIX指数はS&P500のオプション・インプライド・ボラティリティ指標。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

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10 11 12 13 14 15

ギリシャ・ショック 欧州問題深刻化(ギリシャ二次支援)

米国債格下げ

欧州問題深刻化(ギリシャ総選挙・

スペイン支援)

米財政の

崖懸念

新興国不安

米量的緩和終了

(年)

ギリシャ政局不安

中国株急落

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10 11 12 13 14 15

ロシア(左目盛)

サウジアラビア( 〃 )

ノルウェー(右目盛)

UAE( 〃 )

(10億ドル)(10億ドル)

(年)

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日米株式市場:企業業績改善に沿った上昇へ。日・欧の金融緩和政策が下支え

67

【 日経平均とダウ平均の推移 】 【 日米の予想PERと予想EPSの推移 】

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成(注)日本はTOPIX、米国はS&P500指数の12ヵ月先予想利益ベースのPERとEPS。(資料)I/B/E/Sより、みずほ総合研究所作成

○ 日・欧の緩和的な金融政策と企業業績の拡大基調を背景に緩やかな上昇が継続すると予想

・ 米国の利上げを控える中、中国の景気減速懸念の高まりをきっかけとした世界同時株安から、日・米・欧を中心に株価は一部取戻しへ。調整を経ながら米国の利上げについては徐々に織り込みつつある状況

・ 利上げ前後3カ月程度は株価の停滞が見込まれるが、企業業績は改善傾向が予想されており、業績改善に沿った上昇へ

――― 日米ともに割高感は一部後退。目先の上値の重さにより、PERが低下すればその後の上昇余地に

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10/1 10/7 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7

予想PER(日本)

予想PER(米国)

予想EPS(日本、右目盛)

予想EPS(米国、右目盛)

(倍) (円、ドル)

(年/月)

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

22,000

14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10

日経平均

ダウ平均

(円、ドル)

(年/月)

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1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 20年 30年 40年

スイス -0.93 -1.00 -1.08 -1.05 -0.93 -0.82 -0.66 -0.56 -0.39 -0.28 -0.21 -0.14 -0.04 0.05 0.15 0.32 0.62 0.72

ドイツ -0.37 -0.36 -0.31 -0.22 -0.08 0.01 0.13 0.28 0.45 0.61 0.67 0.72 0.78 0.84 0.90 1.19 1.46

デンマーク 0.05 -0.53 -0.26 0.02 0.30 0.31 0.44 0.57 0.74 0.91 0.94 0.97 1.00 1.03 1.06 1.21 1.50

スウェーデン -0.48 -0.40 -0.28 -0.17 0.20 0.34 0.49 0.73 0.83 0.93 1.01 1.09 1.16 1.24 1.32 1.71

フィンランド -0.35 -0.33 -0.24 -0.15 0.02 0.08 0.32 0.44 0.62 0.85 0.94 1.03 1.12 1.22 1.31 1.38 1.53

オランダ -0.31 -0.34 -0.27 -0.17 -0.05 0.08 0.24 0.42 0.59 0.77 0.81 0.84 0.88 0.92 0.96 1.39 1.60

オーストリア -0.29 -0.29 -0.25 -0.14 -0.04 0.14 0.34 0.51 0.69 0.87 0.90 0.93 0.95 0.98 1.01 1.24 1.72

フランス -0.29 -0.29 -0.21 -0.08 0.08 0.20 0.37 0.52 0.74 0.92 1.03 1.14 1.26 1.37 1.48 1.61 1.94

アイルランド -0.18 -0.19 -0.10 0.07 0.26 0.50 0.75 0.97 1.14 1.15 1.26 1.37 1.49 1.60 1.72 1.90 2.28

日本 0.00 0.01 0.01 0.02 0.04 0.05 0.10 0.16 0.23 0.30 0.37 0.44 0.51 0.58 0.65 1.08 1.39 1.54

イタリア -0.03 0.03 0.14 0.28 0.48 0.72 1.06 1.19 1.47 1.61 1.71 1.80 1.90 2.00 2.09 2.39 2.77

スペイン -0.04 0.03 0.20 0.43 0.68 1.04 1.31 1.49 1.72 1.84 1.96 2.08 2.20 2.32 2.44 2.64 3.06

ノルウェー 0.60 0.68 0.74 0.80 0.98 1.15 1.31 1.47 1.56 1.65

英国 0.52 0.70 0.89 1.12 1.36 1.48 1.68 1.81 1.92 2.01 2.07 2.14 2.20 2.27 2.33 2.54 2.69 2.56

カナダ 0.54 0.65 0.70 0.82 0.99 1.11 1.30 1.48 1.60 1.70 1.77 1.83 1.90 1.97 2.04 2.38 2.39

米国 0.51 0.87 1.23 1.47 1.71 1.90 2.08 2.16 2.23 2.31 2.35 2.39 2.43 2.47 2.51 2.70 3.09

ポルトガル 0.03 0.19 0.51 1.05 1.52 1.83 2.14 2.46 2.28 2.78 2.90 3.01 3.13 3.24 3.36 3.68 3.89

中国 2.66 2.74 2.90 3.02 3.16 3.17 3.17 3.18 3.18 3.18 3.22 3.26 3.29 3.33 3.37

トルコ 10.14 10.00 9.94 9.92 9.91 9.85 9.80 9.77 9.78 9.62

インド 7.25 7.34 7.46 7.61 7.74 7.79 7.86 7.71 7.70 7.68 7.90 7.95 7.94 7.94 7.93 7.92 7.90

ロシア 10.30 10.35 10.07 9.94 9.80 9.77 9.74 9.71 9.68 9.65 9.64 9.63 9.62 9.61 9.60 9.58ギリシャ 6.78 6.90 7.02 7.07 7.11 7.16 7.21 7.25 7.30 7.33 7.36 7.39 7.42 7.46 7.59

 0%未満 0%以上0.5%未満 0.5%以上1.0%未満 1.0%超

グローバル金利:世界の金利は総じて低位、一部で金利水没も常態化

68

【 世界の金利水没マップ 】

(注)2015年11月12日の値。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

○ 世界的な低金利環境下で相対的に金利の高い債券に資金が流入しやすい状況

・ 主要先進国の長期債で2%を超えるのは米国と英国のみ(米国は世界の「金利水没」のなかでの「浮き輪」で資金流入も)

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米金利:利上げのなかでも上昇は緩やか

69

○ 米10年国債利回りは、利上げのなかでも上昇は穏やか・ FRBの利上げペースは緩やかなものに止まる公算が大きく、長期金利も緩やかな上昇に

・ 2015年以降は、ベルギーを中心としたユーロ圏の米国債売却を、その他地域からの米国債購入が補う構図に

【 米2年・10年国債利回りの推移 】 【 海外投資家の米国債保有額(2014年1月比) 】

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

(注)ユーロ圏は、ベルギー、ルクセンブルク、アイルランド、フランス、ドイツの合計。ベルギー、ルクセンブルクはユーロ圏外の投資家の債券保有(カストディ)を実施していることから、ユーロ圏経由での世界の投資家の米国債購入額とみることも出来る。2014年1月以降の増減額の累積値。

(資料)米財務省、中国人民銀行、Bloombergより、みずほ総合研究所作成

0.3

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1.9

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15/05 15/06 15/07 15/08 15/09 15/10 15/11

米10年国債利回り

米2年国債利回り(右目盛)

(年/月)

(%) (%)

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▲ 100

0

100

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500

14/1 3 5 7 9 11 15/1 3 5 7 9

その他地域 原油輸出国 ユーロ圏 中国 (%)(2014/1からの変化額、10億ドル)

(年/月)

米10年債利回り(右目盛)

世界計

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○ ユーロ圏国債利回りは、低位推移の継続を予想

・ ECBによる追加緩和が見込まれる中で、ドイツを中心としたユーロ圏各国の長期金利は上昇しづらい

――― 周辺国の10年国債利回りは7月以降に低下。スペイン総選挙(12/20)後の政治情勢不安定化のリスクは残る

ものの、影響は限定的

・米長期金利上昇は、ユーロ圏長期金利にも一定の上昇圧力を与える公算大

――― 米独国債間の連動性は残るが、欧米の金融政策の方向性の違いにより、徐々に感応度は低下

欧州金利:ECBの追加緩和により低位推移

70

(注)推計期間は2015年1月1日~11月10日。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 ユーロ圏主要国の10年国債利回りの推移 】 【米独10年国債利回りの相関 】

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

15/01 15/03 15/05 15/07 15/09 15/11

ドイツ フランス

イタリア スペイン

(%)

(年/月)

y = 1.0064x - 1.594

R² = 0.6539

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7

米10年国債利回り (%)

11月10日(直近)

年国債利回り

(%)

10

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71

○ 10年国債利回りは日銀の国債買入れが金利上昇を抑制する展開が続く

・ 日銀保有国債の2016年償還額は30兆円台後半に。国債保有増加額80兆円と合わせ月平均買入れ額は10兆円規模に

○税収増や借換債の発行減から国債発行額は減少する見通し。供給面での金利上昇圧力は低下

・ 国債発行計画では発行年限の長期化が進められる見込み

円金利:需給両面から金利上昇が抑制された展開が続く

【 日銀の国債買い入れ動向 】 【 国債発行総額の推移と予想 】

(注)新規財源債、借換債は財務省試算(経済成長1.5%ケース)。(資料)財務省より、みずほ総合研究所作成

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

2008 09 10 11 12 13 14 15

(年、兆円)

(年)

買入れ国債の平均年限(年)

毎月の国債買入れ額(兆円)

(資料)日本銀行等より、みずほ総合研究所作成

0

20

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2008 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

財投債

借換債

新規財源債

(年度)

補正後当初

予想(兆円)

(建設・特例国債)

年金特例国債・

復興債

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為替市場:金融政策の方向感の違いからドル高も、上値は限定的に

○ 日欧と米国の金融政策の方向感の違いから円、ユーロ共にドル高地合いに

・ 米利上げ及び日銀の追加緩和期待から、円安ドル高が進展

・ 欧州においても、ECBの追加緩和がユーロ売り材料に

○ 一方でドルの上値は限定的となる見通し

・ ドルの実質実効為替レート(対主要通貨)は歴史的に見て既に高値圏

・ 更なる急速なドル高進展への警戒感から、ドルの上値は限定的であり、緩やかな円安、ユーロ安に留まる見通し

【 ドル円相場、ユーロドル相場の見通し 】

(注)主要通貨は主として先進国通貨を指す。(資料)FRBより、みずほ総合研究所作成

【 ドルの実質実効為替レート(対主要通貨) 】

(注)2015年11月以降はみずほ総合研究所予想。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

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0.70

0.80

0.90

1.00

1.10

1.20

1.30

1.40

1.50

1.60

70

80

90

100

110

120

130

140

01/1 03/1 05/1 07/1 09/1 11/1 13/1 15/1 17/1

ドル円相場

ユーロドル相場(右目盛)

(円/ ドル) (ドル/ユーロ)

見通し

(年/月)

85/3

131.6

02/3

115.6

15/10

103.2

60

70

80

90

100

110

120

130

140

73/01 79/01 85/01 91/01 97/01 03/01 09/01 15/01

(73/3 = 100)

(年/月)

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(ご参考)主要国の政治日程

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米国 11月 大統領選挙

12月 スペイン議会選挙 年内 アイルランド議会選挙 3月 オランダ議会選挙

4月~5月 フランス大統領選挙

6月 フランス議会選挙

9月 ドイツ議会選挙

日本 夏 参議院選挙 4月 消費増税

年末 ASEAN経済共同体(AEC)発足 1月 台湾総統・議会選挙 年内 香港行政長官選挙

年末 アジアインフラ投資銀行(AIIB)発足 2月頃 ミャンマー大統領選出 12月頃 韓国大統領選挙

3月頃 中国全人代(第13次五カ年計画採択予定) 秋 第19期中国共産党大会

4月 韓国議会選挙

5月 フィリピン大統領・議会選挙

9月頃 オーストラリア上院下院選挙

秋 中国6中全会

年内 ベトナム共産党大会

年内 インド上院選挙

年内 香港議会選挙

11月 アルゼンチン大統領選挙(決戦投票) 8月 ブラジルオリンピック開催

12月 ベネズエラ議会選挙 9月 ロシア下院選挙

2015年 2016年 2017年

欧州

その他

アジア

(資料) みずほ総合研究所作成

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【経済予測チーム】武内浩二 (全体総括) 03-3591-1244 [email protected]小林公司 (新興国) 03-3591-1379 [email protected]

・米国/欧州経済小野 亮 (総括) 03-3591-1219 [email protected]風間春香 (米国) 03-3591-1418 [email protected]吉田健一郎 (欧州) 03-3591-1265 [email protected]松本 惇 (欧州) 03-3591-1199 [email protected]

・アジア経済宮嶋貴之 (総括) 03-3591-1434 [email protected]玉井芳野 (中国) 03-3591-1367 [email protected]

・日本経済徳田秀信 (総括) 03-3591-1298 [email protected]小西祐輔 (企業) 03-3591-1294 [email protected]坂中弥生 (外需) 03-3591-1242 [email protected]市川雄介 (個人消費) 03-3591-1289 [email protected]多田出健太 (住宅・物価) 03-3591-1283 [email protected]松浦大将 (雇用・賃金) 03-3591-1435 [email protected]川口 亮 (政府) 03-3591-1243 [email protected]

・新興国経済、原油価格井上 淳 03-3591-1197 [email protected]

・金融市場野口雄裕 (国内金利) 03-3591-1249 [email protected]有田賢太郎 (為替) 03-3591-1419 [email protected]大塚理恵子 (内外株式) 03-3591-1420 [email protected]