法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法...

43
■法務研究科 法務専攻 (五十音順) 職階 教員名 領域科目名 研究テーマ又は関心のある法律問題 ページ 講師 教授 非常勤講師 教授 教授 非常勤講師 非常勤講師 教授 非常勤講師 教授 非常勤講師 助教授 教授 非常勤講師 教授 非常勤講師 教授 教授 教授 非常勤講師 非常勤講師 非常勤講師 教授 非常勤講師 教授 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 新  恵里 犯罪被害者と法 被害者学、被害者支援 渥美 東洋 刑事訴訟法 刑事法全般(弁護、捜査とプライヴァシー、 社会安全等) 粟津 光世 現代中国法 中国の渉外仲裁、民事訴訟、強制執行 石井 教文 民事訴訟実務の基礎、 1)個別執行や倒産手続における実体権の 民事法総合演習、 変容に関する問題 民事訴訟法演習Ⅱ等 2)企業倒産時における役員の責任問題 今井  薫 保険法 保険契約法 遠藤太嘉男 刑事法総合演習 事実認定と法理論との交錯 大貫 雅晴 国際取引法 仲裁法、国際仲裁 釜田 佳孝 倒産法、民事法、 倒産法分野、知的財産権法分野、税法分野 エクスターンシップ 川村 哲二 情報法 知的財産権法、IT関連法、消費者関連法、 経済法(独占禁止法、不正競争防止法等) 川本 哲郎 刑事学、精神医療と法 精神障害と犯罪、交通犯罪、法人犯罪 木村 秀一 企業法 行為時株主の原則、社外取締役の独立性 佐藤  誠 商法(会社法) 結合企業におけるコーポレート・ガバナンス 四宮 章夫 倒産法、民事訴訟法、 倒産、支配争奪、事業再編、労働、医療過誤 法曹倫理 下井 隆史 労働法 労働契約法の諸問題、労働条件変更の 法的ルール、労使慣行の法的効力等 下村 正明 民法 安全配慮義務論、瑕疵担保責任論、 占有論、要件事実論 下村 眞美 民事訴訟法 民事手続実務の諸問題(現在は民事執行 手続における当事者の問題を研究中) 鈴木眞理子 刑事訴訟実務の基礎、 刑事法実務全般 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、 医事法、生命倫理と法 先端医療が法に及ぼす影響 高杉  直 国際私法 EUやOASにおける国際私法の地域的統一 竹林 節治 労働法 労使間の労働諸法制に関する法律問題 竹林竜太郎 労働法 労使間の労働諸法制に関する法律問題 田中 彰寿 法曹倫理、民事法、 金融、開発建築紛争、会社経営問題、 エクスターンシップ 行政関係事件 田中  実 ローマ法 近世ローマ法学史 中野貞一郎 民事手続法 民事裁判の過去・現在・未来 187

Upload: others

Post on 20-May-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

■法務研究科 法務専攻 (五十音順)

職階 教員名 領域科目名 研究テーマ又は関心のある法律問題 ページ

講師

教授

非常勤講師

教授

教授

非常勤講師

非常勤講師

教授

非常勤講師

教授

非常勤講師

助教授

教授

非常勤講師

教授

非常勤講師

教授

教授

教授

非常勤講師

非常勤講師

非常勤講師

教授

非常勤講師

教授

189

190

191

192

193

194

195

196

197

198

199

200

201

202

203

204

205

206

207

208

209

210

211

212

213

新  恵里 犯罪被害者と法 被害者学、被害者支援

渥美 東洋 刑事訴訟法 刑事法全般(弁護、捜査とプライヴァシー、

社会安全等)

粟津 光世 現代中国法 中国の渉外仲裁、民事訴訟、強制執行

石井 教文 民事訴訟実務の基礎、 1)個別執行や倒産手続における実体権の

民事法総合演習、 変容に関する問題

民事訴訟法演習Ⅱ等 2)企業倒産時における役員の責任問題

今井  薫 保険法 保険契約法

遠藤太嘉男 刑事法総合演習 事実認定と法理論との交錯

大貫 雅晴 国際取引法 仲裁法、国際仲裁

釜田 佳孝 倒産法、民事法、 倒産法分野、知的財産権法分野、税法分野

エクスターンシップ

川村 哲二 情報法 知的財産権法、IT関連法、消費者関連法、

経済法(独占禁止法、不正競争防止法等)

川本 哲郎 刑事学、精神医療と法 精神障害と犯罪、交通犯罪、法人犯罪

木村 秀一 企業法 行為時株主の原則、社外取締役の独立性

佐藤  誠 商法(会社法) 結合企業におけるコーポレート・ガバナンス

四宮 章夫 倒産法、民事訴訟法、 倒産、支配争奪、事業再編、労働、医療過誤

法曹倫理

下井 隆史 労働法 労働契約法の諸問題、労働条件変更の

法的ルール、労使慣行の法的効力等

下村 正明 民法 安全配慮義務論、瑕疵担保責任論、

占有論、要件事実論

下村 眞美 民事訴訟法 民事手続実務の諸問題(現在は民事執行

手続における当事者の問題を研究中)

鈴木眞理子 刑事訴訟実務の基礎、 刑事法実務全般

刑事模擬裁判、

刑事法演習Ⅱ

t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論

t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

医事法、生命倫理と法 先端医療が法に及ぼす影響

高杉  直 国際私法 EUやOASにおける国際私法の地域的統一

竹林 節治 労働法 労使間の労働諸法制に関する法律問題

竹林竜太郎 労働法 労使間の労働諸法制に関する法律問題

田中 彰寿 法曹倫理、民事法、 金融、開発建築紛争、会社経営問題、

エクスターンシップ 行政関係事件

田中  実 ローマ法 近世ローマ法学史

中野貞一郎 民事手続法 民事裁判の過去・現在・未来

187

法務研究科

Page 2: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

188

■法務研究科 法務専攻 (五十音順)

職階 教員名 領域科目名 研究テーマ又は関心のある法律問題 ページ

教授

非常勤講師

教授

非常勤講師

教授

教授

非常勤講師

非常勤講師

非常勤講師

教授

非常勤講師

教授

教授

教授

教授

教授

214

215

216

217

218

219

220

221

222

223

224

225

226

227

228

229

野々山 宏 民事訴訟法、民事法、 民事訴訟実務における諸問題

消費者法、 民事紛争の新しい解決手段及び制度、

ローヤリング・クリニック 特に団体訴訟制度消費者問題及び消費者法

橋本 皇玄 民事法総合演習Ⅱ 保険事故事件、医療過誤事件、倒産事件、

不動産取引に関わる事件

坂東 俊矢 消費者法・民法 消費者の視点から見た契約法、

21世紀型消費者政策のあり方

福田 修久 民事訴訟実務、 民事訴訟、民事保全、

民事模擬裁判 配偶者暴力に関する保護命令

藤井 正雄 民事訴訟法、 民事訴訟における専門委員制度の運用の実際

民事訴訟実務 非嫡出子相続分及び夫婦別姓問題に関する

立法の動向

藤岡 一郎 刑法、刑事学、少年法 刑法上の責任論と刑事学との学際的課題

加害者化・被害者化回避と規範形成

藤本 眞人 企業会計と法 組織再編と倒産法

本間 義信 民事訴訟法 弁論主義について

松尾 知子 民法 財産法と家族法の交錯

松原 久利 刑法 刑事責任論

水野 正夫 国際租税法 租税法・国際租税法一般

三山 峻司 知的財産法、 情報をキーワードにして、これに関係する様 々

民事訴訟法 な法律の相互関係に絡む法律問題。特に情

報に関する不正競業事案の処理について、

未開拓の法領域に関する実務処理。

村田 博史 民事法 不動産利用に関する法律問題

山田 廣己 企業法・証券取引法 会社法、証券取引・先物取引規制研究

山本 宣之 民法 民法、比較法

由喜門眞治 公法基礎Ⅰ、公法総合Ⅰ、 公正・合理的な行政法システム

公法総合Ⅲ、 環境法

法務研究科

Page 3: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

189

法務研究科

【研究の概要】

現在、日本において犯罪被害者をめぐる問題が、とりあげられてきている。わが国は被

害者の権利に関する後進国と言われて久しいが、警察や検察などの司法現場でも、犯罪被

害者に関する政策や組織づくりの必要性がここ数年で急速に認識され、平成16年には犯罪

被害者等基本法が制定されるなど、状況は大きく変化している。

犯罪被害は、予期せずに被害に遭うという突発性があり、事件直後の衝撃を受けたまま、

事件の処理を被害者や家族で行わなければならないという大きな負担を抱える。また、故

意に他者から攻撃されたという体験によって、心的外傷(トラウマ)を被ったり、医療や

司法機関がつくる二次被害に遭遇したり、周囲の好奇の目や偏見によって、孤立しやすい。

このような犯罪被害者の状況下において、被害者の視点に立った立法、法政策、法の運

用、民間支援機関との連携等を検討することが必要不可欠である。わが国においていかな

る被害者支援システムが構築できるかを検討したい。

【主な論文、著書など】

1)「コミュニティ臨床心理学―共同性の生涯発達」(共著)創元社、平成13年3月

2)「はじめよう、被害者支援」(共著)幹書房、平成13年11月

3)「犯罪被害者支援―アメリカ最前線の支援システム」(単著)径書房、平成12年8月

4)「アメリカ合衆国におけるヘイトクライムの被害者学的考察」日本被害者学会『被害

者学研究』第11号、平成13年3月

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「アメリカにおける学校危機介入」日本トラウマティックストレス学会第3回大会、

平成16年3月

2)「大阪市におけるドメスティック・バイオレンス(DV)の実態と政策の現状―大阪市

立男女共同参画センター相談室の事例及び医療機関の実態調査から―」日本犯罪社会

学会第30回大会、平成15年10月

3)「アメリカ合衆国におけるヘイトクライム規制法の立法をめぐって―ヘイトクライム

を生み出す人種の運動力学」日本犯罪社会学会第27回大会、平成12年10月

【特記事項】

大阪府立高津高等学校卒業。 臨床心理士。 日本犯罪社会学会理事。(社)広島被害者支援

センター理事。 大阪市立男女共同参画センターカウンセラー。

法務研究科 法務専攻 

講師 新 恵里■ 担当する領域科目名:犯罪被害者と法■ 研究テーマ

被害者学、被害者支援■ 取得学位:大阪市立大学 博士(学術)■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 4: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

今日までの研究の対象は、相当広い。今は、犯罪を扱う手続、組織、公・非公式、民間

の連携、協同の仕組みと、具体的な社会連帯を生む各種のツールの開発・発見等を主なテー

マにしている。

弁護権、弁護制度の研究、とりわけ英米については、最初のわが国での研究に着手した。

捜査とプライヴァシーについても、証拠開示についてもわが国で最初に手掛けた。

コミュニティー・ポリーシングについてもわが国で最初に手掛けた。その他広く社会問

題としての犯罪に関心を寄せてきた。

【主な論文、著書など】

1)全訂刑事訴訟法(有斐閣)

2)罪と罰を考える(有斐閣)

3)複雑社会でどう法を活かすか(立花書房)

4)レッスン刑事訴訟法 上・中・下(中央大学出版部)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1957年以来刑事法及び法政策、アメリカ刑事法、刑事犯罪政策、被害者保護法制、組織

犯罪対策法制、政策などの調査、研究、教育に携わって来た。犯罪予防、少年犯罪予防の

戦略と体制についての研究報告。

昨年も英米の性犯罪対策の体制について、警察政策学会のフォーラムで報告。

【特記事項】

数多くの法曹を世に送り出し、優秀な研究者を養成する仕事に従事してきたことに誇り

をもっている。司法研修所で、令状発布に関する教育(裁判官)や警察大学校での警察官

の教育・訓練(幹部)、特別捜査、国際捜査研修(外国人)に従事してきた。

現在日本被害者学会理事長、日本警察政策学会会長

法務研究科 法務専攻 

教授 渥美 東洋■ 担当する領域科目名:刑事訴訟法■ 研究テーマ

刑事法全般(弁護、捜査とプライヴァシー、社会安全等)■ 取得学位:中央大学 法学博士■ 研究分野を表すキーワード:刑事法、犯罪法、法の原理

190

法務研究科

Page 5: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

191

法務研究科

【得意とする分野の概要】

中国の渉外仲裁

日本商事仲裁協会JCAAの仲裁受理件数が年間約20件以下であるのに、中国国際経済貿易仲裁委

員会CIETACは約700件と段違いに多い。中国では、仲裁判断の取消・執行に関する人民法院の

決定実例も多く、これらの議論が活発で、仲裁事例集が刊行され、ホームページでも容易に見るこ

とができる。また国内仲裁委員会は全国に約170もあり、民事紛争における仲裁の利用は日本の

想像をはるかに越える。

仲裁合意の効力、仲裁判断の執行、仲裁判断の取消しは、仲裁法、民事訴訟法、仲裁委員会規則、

ニューヨーク条約などが適用される。

外国仲裁判断と外国判決の承認・執行については、顕著な差異がある。外国仲裁判断については

日中でスムーズに承認・執行がなされているが、外国判決については、1994年に大連市中級人

民法院が日本の判決を不承認としたため、2003年に大阪高裁は中国の判決は日本では効力なし

とした。一方台湾の法院は2003年に東京地裁の判決について台湾での執行を許可した。

【携わった主な訴訟、著書など】

1)宏智公司、臨時株主総会重複事件・国際商事法務2005年12月号

2)日本の判決が台湾で執行許可されたケース・国際商事法務2005年9月号

3)中国婚姻相続関係法令集(日中対訳)2005年アイピーエム

4)人民法院が荷為替信用状の支払停止を命じた例・JCAジャーナル2005年4月号

5)中国の判決は、日本民訴法118条の相互保証の要件を具備するか・私法判例リマークス2005年(上)

6)中国における懲罰的賠償・中国法令2005年2月号

7)最高人民法院の渉外仲裁に対する司法解釈草案・JCAジャーナル2004年4月号

8)遂条解説・中国契約法の実務(共著)・2004年中央経済社

9)中国農村土地請負法の諸問題(上)(下)・中国法令2003年3.4月号

10)三菱パジェロPL逆転敗訴・国際商事法務2001年6月号

11)日中台の判決、仲裁判断の相互承認と執行の現況・国際商事法務1998年11月号

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)(財)日弁連法務研究財団・研究事業「中国会社コーポレートガヴァナンス」研究員

2)現代アジア法研究会会員

【特記事項】

大阪簡易裁判所民事調停委員。大阪弁護士会紛議調停委員、資格審査委員。

出身高校・京都府立洛東高校

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 粟津 光世■ 担当する領域科目名:現代中国法■ 関心のある法律問題

中国の渉外仲裁、民事訴訟、強制執行■ 最終学歴:京都大学 法学部■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 6: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】実務家として従事している分野は、企業から依頼される相談・訴訟事件の対応と倒産処

理がメインです。訴訟事件では商事事件が多数を占めますが、製造物責任訴訟など特殊な損害賠償事件にも関与しています。

【携わった主な訴訟、著書など】(携わった主な訴訟等)06年 有料老人ホームの会社更生事件(更生管財人として関与)05年 総合建設業の民事再生事件(監督委員として関与)03年 給食サービス会社の民事再生事件(監督委員として関与)02年 物流会社の会社更生事件(更生管財人として関与)96年 旧住専の大口融資先の倒産事件(破産管財人として関与)96年 総合商社の株主総会決議取消請求事件(被告代理人として関与。判例時報1658号180頁)95年 花博ウォーターライド事故損害賠償事件(被告代理人として関与。判例時報1555号65頁)91年 包括根保証に関する履行請求事件(裁判官として関与。判例タイムズ794号136頁,金

融・商事判例964号28頁)88年 無認可保育所乳幼児死亡事故損害賠償請求事件(裁判官として関与。判例時報1302号

133頁)218頁86年 国道43号線公害訴訟第1審判決(裁判官として関与。判例時報1203号1頁)(主な著作)05年 「論点解説新破産法上・下」共著(金融財政事情研究会)04年 「更生計画認可後の計画変更」(判例タイムズ「新会社更生法の理論と実務」所収)04年 「京神倉庫の更生事件について」共著(商事法務研究会「再生・再編事例集」所収)03年 「一問一答改正会社更生法の実務」(共著)02年 「注釈民事再生法」共著(金融財政事情研究会)00年 「一問一答民事再生の実務」(共著)96年 「取締役に対する倒産責任の追及と会社更生法72条」共著(NBL)

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】01年 「シンポジウム・民事再生手続の運用はどうあるべきか-施行後1年間の実績をふ

まえて」において監督委員から見た運用の実情を報告(別冊NBL65号所収)05年 経済産業省平成17年度「事業再生に資する人材育成(事業再生人材育成プログラム

導入促進事業)」での神戸大学「事業再生担当実務家養成講座」における講師

【特記事項】なし

法務研究科 法務専攻 

教授 石井 教文■ 担当する領域科目名:民事訴訟実務の基礎、民事法総合演習、

民事訴訟法演習Ⅱ等■ 関心のある法律問題

1)個別執行や倒産手続における実体権の変容に関する問題2)企業倒産時における役員の責任問題

■ 最終学歴:中央大学 法学部法律学科■ 研究室電話番号:

192

法務研究科

Page 7: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

193

法務研究科

【研究の概要】

保険契約は、中世末期のヨーロッパにおける商業の復活の時代に起源をもつ古い契約で

あり、また射倖契約という特殊な契約であります。ところが、19世紀以来の自己責任原則

にもとづく市場経済の進展の中で異常なほどの発展を見て今日に至りました。しかし、反

面では原則的な法原理を社会的需要のゆえに踏み破ってきた側面は否定できません。わが

国は、ヨーロッパでは14世紀頃に消滅した互酬制(「中元」「歳暮」はその一例)が、現代

にも残っていたために保険制度が近代までまったく発展しなかったという意味では特殊な

国でありました(チェンバレン『日本事物誌』)。その日本がヨーロッパ法を包括的に継受

したこともあって、法適用の限界に対して、効果重視の観点から比較的大胆であったとい

えます。その結果、そこから出てくる各種の問題は、制度の外形では差異は小さくとも、

内容の点で欧米の諸国と著しく乖離することになりました。そこで、この根本問題をもう

いちど愚直に問い直すとともに、社会・保険制度の思想史とでもいうものにこの際チャレ

ンジして行きたいと考えています。

【主な論文、著書など】

1)『レクチャー保険法(第2版)』(岡田豊基・梅津昭彦教授と共著)法律文化社(2005年)

2)『保険契約における企業説の法理―イタリア保険学説の研究―』千倉書房(2005年)

3)『フランス保険法典Ⅰ』(武智芳政教授と共監訳)生命保険文化研究所(1998年)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)韓国保険学会大会(於:ソウル)報告「保険の本質について」(2000年)

2)独日法律家協会(DJJV)(ドイツ・ハンブルク)報告「日本における保険監督」(1990年)

3)日本私法学会(於:中央大学)報告「傷害保険の法的性質」(1980年)

【特記事項】

日本海法学会より小町谷賞奨励賞(1978年)

日本保険学会評議員(1996年~2000年)、同理事(2000年~現在まで)、日本リスク研究

学会理事(1998年~2000年)、Board of Governor, Asia-Pacific Risk & Insurance

Association(2002年~2004年)、明石市情報公開審査委員会委員(2002年~現在まで)、

財団法人・生命保険文化センター学術審査委員(2002年~現在まで)

法務研究科 法務専攻 

教授 今井 薫■ 担当する領域科目名:保険法■ 研究テーマ

保険契約法■ 取得学位:神戸大学 法学博士■ 研究分野を表すキーワード:保険料不可分の原則、請求権代位、他

人の計算による保険と他人のためにする保険

■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 8: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

194

法務研究科

【得意とする分野の概要】

ほぼ30年間に渡って検事の現場を経験してきました。一線検事として約20年、決済官と

して約10年の経験があり、実定法の刑法が現実の生の事件の際にどのように解釈され適用

されていくのかの実際を行ってきたわけです。現場の仕事に際しては、日々時間との戦い

の中で証拠を収集し、どのような事実があったかの見極めをし、起訴・不起訴の決断をし

ていかなければならず、必ずしも全ての場合に、理論的なものを意識して行ってきたとは

いえないのですが、経験に裏打ちされた勘のようなもので決断をする場面があったとして

も、それも刑法の基本的な解釈につながる何らかの理論的な裏づけがあるはずだと思うわ

けです。そのような意味で、実務を行ってきたことを振り返りつつ、どのような法理がそ

の背景にあるのかを分かりやすく説明していけたら、それは法曹実務を目指す学部学生に

とっても有益なものと思われます。実務と教育機関との架橋を目指し努力したいと思って

います。

【携わった主な訴訟、著書など】

多数の事件処理、訴訟行為を行っていますが、目撃証言の価値判断を誤った結果無罪とした

交通事故の一審判決を控訴審で覆した控訴趣意書作成を担当し、この件は判例時報854号に、

死刑を回避した3人殺害の保険金殺人事件について控訴審で死刑判決となった控訴趣意書を担

当し、この件は判例タイムズ1064号にそれぞれ登載されています。以上公刊の法律関係図書で

私の名前が出たものを挙げましたが、そのほかにいわゆる学術論文を書いたことはなく、その

ような分野での実績はありません。

【教員の活動記録】

検事現役時代には、司法警察職員を対象とした各種研修や警察学校への講師依頼で多数

講義を行なっていますが、いわゆる教育機関での教育歴はありません。

【特記事項】

今は公証人を本職としていますが、行なっている内容は、刑法・刑事訴訟法とはほとんど接点がな

く、今更ながら同じ法曹といってもいろいろな分野があるものだと実感しているところです。しかし、

人から話を聞き出し、それを法律上意味ある文章にまとめるということや、事実実験の結果を適切に

表現するということなどはやはり検事としての実践を経て培ってきた能力が発揮される場面であり、

それが法曹としての重要な資質の一つであるということもあらためて実感しているところです。

出身は仙台で、京都で実務修習をしたのが故郷を離れた最初でしたが、すっかり京都が気に入り、

今は京都産業大学の近くに住んでいます。嗜好は嗜む程度の珈琲、酒。趣味は、モーツァルトで、死

ぬまでには、法曹界のケッフェルといわれるまでになるよう努力するつもりです。

法務研究科 法務専攻

非常勤講師 遠藤 太嘉男■ 担当する領域科目名:刑事法総合演習

■ 関心ある法律問題:事実認定と法理論との交錯

■ 最終学歴:東北大学法学部

Page 9: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】国際取引法は主に企業の渉外的経済活動に関係する法律、契約、紛争処理、他広い分野におよぶ。

関連する分野としては、渉外的私法関係に適用すべき私法を指定する法則である国際私法、渉外事件についていずれの国の裁判所がその事件を審理すべき管轄権を有するか、外国判決が内国でどのような効力をもち、執行されるか、また国際仲裁の問題等を扱う国際民事訴訟法がある。得意とする分野は国際取引契約法務と国際仲裁、ADR(裁判外紛争解決手段)である。国際取引

契約法務では、契約交渉、契約書作成、紛争処理に必要とされる様々な知識と経験が必要とされる。具体的には、契約交渉、契約書作成においては、契約関係法、独占禁止法、通商法、製造物責任法、知的所有権法等の比較法的研究、国際条約、レックスメルカトリア(商人法)の研究が、また紛争処理においては紛争処理交渉、紛争処理手段に必要とされる、交渉術、国際仲裁、ADR、訴訟における諸問題として、訴状の外国送達、国際裁判管轄権、外国判決の承認と執行に関する法律、条約等の研究の分野である。

【携わった主な訴訟、著書など】1)共著「国際ビジネス問題の研究」(「グローバル時代の日本におけるADRの現状と改革」分担執筆)関西大学政治・経済研究所 平成17年3月刊行

2)共著「国際商取引とリスクマネジメント」(「紛争の解決とリスクマネジメント」分担執筆) 同文舘出版 平成16年6月刊行

3)共著「国際ビジネス問題の研究」(「国際商事紛争とADR」分担執筆)関西大学政治・経済研究所平成15年3月刊行

4)単著「国際ライセンスビジネスの実務」(知財の基礎から契約交渉から契約書作成まで全251ページ)同文舘出版 平成13年12月刊行

5)共著「判例ライセンス法」(「仲裁人選定の訴えにおける審判」分担執筆)発明協会 平成12年1月刊行6)単著「国際契約―事例と対策―」(国際契約の諸問題を事例を交えて解説 全153ぺージ)大阪商工会議所 昭和63年刊行

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)「中国の渉外仲裁制度の発展と現代的諸問題」国際商取引学会 平成16年10月2)「新仲裁法の成立と国際商事仲裁」財団法人貿易奨励会研究会 平成15年11月3)「海外技術移転におけるノウハウの秘密漏洩リスクと対策」日本貿易学会 平成15年6月4)「国際商事仲裁の新展開」国際商取引学会 平成14年11月5)「国際商事紛争とADR」関西大学経済・政治研究所 平成13年11月6)「技術移転の対価問題―東アジア諸国の技術導入規制とTRIPS―」日本貿易学会 平成11年6月7)「仲裁契約の諸問題」 日本貿易学会 平成10年6月

【特記事項】大阪市、他東京、名古屋、大阪、高松、福岡等、各地の商工会議所、ジェトロが開催する国際商

取引契約関係の講演、ニューヨーク、中国での“International Arbitration”の講演。日本仲裁人協会評議員、ICC国際仲裁裁判所仲裁研究委員、KL Regional Center for Arbitration 国際仲裁人、国際商取引学会理事。LAWASIA メンバー近畿経済産業局「中国ビジネス支援施策アドバイザリーボード」委員大阪市・大阪経済振興センター 中国ビジネス専門アドバイザー大阪商工会議所 国際ビジネス委員会 委員

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 大貫 雅晴■ 担当する領域科目名:国際取引法■ 関心のある法律問題

仲裁法、国際仲裁■ 最終学歴:関西大学 商学部■ e-mail:

195

法務研究科

Page 10: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

196

法務研究科

【得意とする分野の概要】倒産法分野,知的財産権法分野

【携わった主な訴訟、著書など】〔主な事件〕1)破産者大福商事株式会社破産管財人2)再生会社丸松興産株式会社(アートレイクゴルフ倶楽部)監督委員3)清算会社株式会社土井添工務店検査役4)更生会社末野興産株式会社構更生管財人代理5)大阪地下鉄コマーシャル事件上告代理人(最高裁昭和63年12月20日第3小法廷判決 商業宣伝放送差止等請求事件/判例時報1302号94頁)(地下鉄内の商業宣伝放送と表現の自由)

〔著書〕1)「新版 1問1答民事再生の実務」(共著)(安木健外編/経済法令研究会)(2006.2)2)「新版 1問1答 破産法大改正の実務」(共著)(安木健外編/経済法令研究会)(2005.1)〔改正破産法の実務用説明書〕

3)「1問1答 改正会社更生法」(共著)(四宮章夫外編/経済法令研究会)(2003.4)〔改正会社更生法の実務用説明書〕

4)「ロースクール見聞記」(産大法学35巻第3/4号)(2003.2)(米国ロースクールの調査報告)5)「注釈民事再生法(新版)」(共著)(伊藤眞外編著/金融財政事情研究会)(2002.6)(改正された民事再生法の注釈書)

6)「Q&A民事再生の実務」(共著)(民事再生実務研究会編/新日本法規)(2001.6)(民事再生法の実務的説明書)

7)「1問1答 個人債務者再生の実務」(共著)(安木健外著/経済法令研究会)(2001.2)(個人再生手続の実務的説明書)

8)「注釈民事再生法」(共著)(伊藤眞外編著/経済法令研究会)(2000.11)(民事再生法の注釈書)9)「1問1答民事再生の実務」(共著)(安木健外著/金融財政事情研究会)(2000.3)(民事再生法の実務的説明書)

10)「倒産法実務辞典」(共著)(編集代表高木新二郎外/経済法令研究会)(1999.4)(倒産手続の実務用辞典)11)「倒産処理と継続的給付契約」(今中利昭還暦記念論文集/民事法研究会)(1995.9)(継続的給付契約の

倒産処理における影響についての研究)12)「解説実務書式体系」(30巻)「倒産編/倒産 清算 再建」(共著)(北川善太郎外監修/三省堂)

(1995.1)(倒産手続における実務書式の紹介と説明)13)「破産宣告と担保権」(シリーズ・倒産処理手続/債権管理№61/社団法人民事法情報センター)(1992.4)

(担保権の破産手続上の処遇についての説明)14)「広告活動における商標権トラブルについて」(「民事特別法の諸問題」(第3巻)関西法律特許事務所開

設25周年記念論文集)(1990.6)(広告活動におけるノベルティに用いられた標章の商標権侵害についての考察)

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)日本弁護士連合会・大阪弁護士会会員2)日本弁理士会会員3)日本民事訴訟法学会会員4)日本知的財産仲裁センター調停・仲裁人候補

法務研究科 法務専攻 

教授 釜田 佳孝■ 担当する領域科目名:倒産法、民事法、エクスターンシップ■ 関心のある法律問題

倒産法分野、知的財産権法分野、税法分野■ 最終学歴:京都産業大学 法学部■ e-mail:

Page 11: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】昭和60年より弁護士として、民事法律実務一般に従事。全国的に高齢者を中心とした多数の被害者を産み出した豊田商事事件の被害者救済弁護

団に参加し、その後提起した国家賠償請求訴訟にも関与した。この他、最近ではココ山岡事件弁護団に参加するなど、各種の消費者問題についての活動を続けてきた。また、大阪弁護士会消費者保護委員会、日本弁護士会消費者問題対策委員会にも所属して弁護士会としての消費者問題活動に関与してきた。消費者、中小事業者保護の見地からの独占禁止法、不正競争防止法に興味を持ち、大企

業による出荷停止行為に対する訴訟や、消費者サイドからの公正取引委員会への申告手続などにも関与してきた。IT関係法についてもユーザーの視点から電子商取引の法律問題、インターネットの諸

問題、個人情報保護の問題に関心を持って、上記の弁護士会活動や弁護士有志による研究会活動で調査研究活動を続けている。

【携わった主な訴訟、著書など】1)最新不正競争関係判例と実務(第2版)(共著)、平成15年、民事法研究会、不正競争防止法関連の新しい判例の紹介と概説

2)ココ山岡事件、平成12年和解成立、平成9年に破綻した若者対象の全国的な宝石販売クレジットの大規模被害事件

3)豊田商事国家賠償訴訟事件、平成14年最高裁判決、昭和60年に破綻した主に老人らを対象とした未曾有の詐欺商法事件についての国家賠償請求事件

4)ヤフー個人情報漏洩事件訴訟原告弁護団(団長)

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)NPO法人「消費者ネット関西」理事2)情報ネットワーク法学会会員3)電子商取引問題研究会(大阪弁護士会有志)会員4)独占禁止法公正取引研究会(大阪弁護士会有志)代表5)平成15年度大阪弁護士会消費者保護委員会委員長

【特記事項】音楽用カセットテープに僅かなデータを保存していたパソコンの出始めが、私の大学生

時代です。大量高速通信や大容量メモリーを何処でも誰でも利用できるIT時代が20年先に訪れるとは夢にも思いませんでした。街で皆がメールを送り合う光景は予想もできませんでした。電子商取引も同様ですね。情報法の分野の動きは速く、今日勉強したことは数年後にはあまり役に立たないかもし

れない。しかし、だからこそ、個々の人間の生活や社会のあり方を見据えた基本的な法律的能力が必要になります。現時点での緊急課題である個人情報保護法の企業対応についても、実務家のセンスが問われることでしょう。他の法分野でも全く同じ事だと思います。私はそのような視点から、皆さんと学び合って行きたいと思っています。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 川村 哲二■ 担当する領域科目名:情報法■ 関心のある法律問題

知的財産権法、IT関連法、消費者関連法、経済法(独占禁止法、不正競争防止法等)

■ 最終学歴:大阪大学 法学部■ e-mail:

197

法務研究科

Page 12: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

精神障害と犯罪では、犯罪を犯した精神障害者に対してどのような処遇が適切かを検討

している。2003年には心神喪失者等医療観察法が成立し、この分野では大きな進展が

見られたので、引き続き今後の課題を考えていきたい。

交通犯罪に関しては、ここでも犯罪者の処遇を中心に検討している。2001年の刑法

一部改正によって危険運転致死傷罪が設けられることになり、この分野でも改革が進行中

であり、交通犯罪に対する刑事政策全般を見据えて、考察を続ける予定である。

法人犯罪では、フランスの1992年刑法改正において法人処罰が認められることにな

ったので、それを参照しながら、我が国における法人処罰の在り方を検討してきたが、今

後も法人に対する刑事制裁を中心として、検討を続けたい。また同時に、組織犯罪も考察

の対象としている。

【主な論文、著書など】

1)「精神医療と犯罪者処遇」(成文堂、2002年)

2)「措置入院制度の現状と問題点」刑法雑誌42巻2号(2003年)

3)「強制システムのこれから」ジュリスト増刊「精神医療と心神喪失者等医療観察法」

(2004年)

4)「罰金刑の執行について」犯罪と非行143号(2005年)

5)「交通犯罪の被害者」被害者学研究15号(2005年)

6)「交通犯罪者の処遇」刑法雑誌44巻3号(2005年)j229

7)「性犯罪者の処遇」法学新報112巻1・2号(2005年)

8)「法人に対する制裁」刑法雑誌41巻1号(2001年)

9)「組織犯罪の概念」西原春夫編「共犯理論と組織犯罪」(2003年)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「交通犯罪者の処遇」日本刑法学会第82回大会(2004年5月)

2)「措置入院制度の現状と問題点」日本刑法学会第80回大会(2002年5月)

3)「精神医療の地域化と犯罪抑止―刑法学者の立場から」法と精神医療学会第18回大会

(2003年3月)

4)国会参考人(参議院内閣委員会)(2001年4月)「犯罪被害者等給付金支給法の一

部を改正する法律案」について

5)国会参考人(参議院法務委員会)(2001年11月)「刑法の一部を改正する法律案

(危険運転致死傷罪の新設等)」について

6)国会参考人(衆議院法務委員会厚生労働委員会連合審査会)(2002年7月)「心神喪

失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」について

法務研究科 法務専攻 

教授 川本 哲郎■ 担当する領域科目名:刑事学、精神医療と法■ 研究テーマ

精神障害と犯罪、交通犯罪、法人犯罪■ 取得学位:同志社大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:精神障害、交通犯罪、罰金刑、被害者学■ 研究室電話番号:■ e-mail:

198

法務研究科

Page 13: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

1)アメリカの代表訴訟制度において採用されている行為時株主の原則は濫訴抑制方法の

ひとつと考えられる。日本においては平成5年までの代表訴訟の提訴件数は数えるほ

どしかなかったが、同年の代表訴訟制度改正により一気に提訴件数が増大し、種々の

問題を生じた。このため、平成13年に再び制度改正が行われたが、行為時株主の原則

の導入は見送られることになった。しかし、アメリカ同様、同原則の採用が必要と考

えられ、同原則について研究を進めている。

2)アメリカ型コーポレート・ガバナンスの実効性を確保するには、社外取締役の独立性

の強化が必要不可欠である。そのため、アメリカでは独立性の要件が詳細に構築され、

一見、独立性が確保されている感があった。しかし、エンロン事件にみられるごとく、

それがまったくの幻想に終わるケースも現れるにいたった。その後改革も行われたが、

アメリカ的方向性における改革の積み重ねが所期の効果を生じるかには疑問があり、

他の方向性による独立性の確保の方法を探っている。

【主な論文、著書など】

1)「株主代表訴訟についての改正」(「最新会社法をめぐる理論と実務」(新日本法規)

所収)

2)河本一郎他編「証券取引ハンドブック(第4版)」(ダイヤモンド社)

3)河本一郎他編「新版手形小切手の法律相談」(有斐閣)

【特記事項】

趣味:映画鑑賞、パソコンによるビデオ編集

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 木村 秀一■ 担当する領域科目名:企業法■ 研究テーマ

行為時株主の原則、社外取締役の独立性■ 取得学位:関西大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:法学、私法学、商法、有価証券法

199

法務研究科

Page 14: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】経済社会の中で最も重要な役割を担う株式会社に関して、現在の商法は大部分の規定を

単独独立の会社を理念型として規制している。しかし、実社会において中小規模以上の株式会社の大部分は、株式の保有関係により結合し、企業グループを形成している。このことは、単独独立の企業における会社支配と企業グループにおける会社支配とでは異なる規制が必要な場合があることを意味する。しかしながら、従来の会社法理論は、会社支配の意義を適切に把握できていないため、企業グループに関する統一的な規制が十分にはなされていない。株式会社における資本多数決制度を中核とする会社支配を法的に適切に把握する理論を

構築することで、体系的に結合企業におけるコーポレート・ガバナンスを設計することが私の研究のテーマである。企業の結合状態を正面から法的に把握することで、企業グループにおける経営の効率性向上と会社支配の法的適正性の確保との両立をはかる。

【主な論文、著書など】〈 主要論文 〉1)「支配株式譲渡と株式売却機会の均等ルール―その会社法への内在化の試み」「法政研究」第61巻第1号 pp.107~149

2)結合企業のガバナンス-経営の効率と支配の公正の両立の観点から-「産大法学」第34巻第1・2号 pp.111~171 第34巻第4号 pp.212~303

〈 著書 〉1)『現代ビジネス判例 企業行動の新たなる指針』2003年、法律文化社商法判例編7「資本関係のない『グループ企業』への無担保貸付と取締役の責任―東京都観光汽船株主代表訴訟事件―」(p77~p88)を担当。閉鎖的企業グループにおける相互支援のあり方と取締役の経営判断原則の考え方について新たな視点を指摘した。

2)『プライマリー会社法』2002年、法律文化社第8章企業の結合と再編および第9章中組織変更の箇所を担当。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】2005年、京都府・大学コンソーシアム京都主催の「京都MOT講座」において「新

会社法体制における企業経営と倫理」の講義を担当2004年、京都府・大学コンソーシアム京都主催の「京都MOT講座」において「法

的側面を重視した企業倫理とその確立・浸透法」の講義を担当

【特記事項】http://www.kyoto-su.ac.jp/̃makotos/

法務研究科 法務専攻 

助教授 佐藤 誠■ 担当する領域科目名:商法(会社法)■ 研究テーマ

結合企業におけるコーポレート・ガバナンス■ 取得学位:九州大学 博士(法学)■ 研究分野を表すキーワード:商法、会社法、コーポレート・

ガバナンス、コンプライアンス、企業結合

■ e-mail:

200

法務研究科

Page 15: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】

倒産については、法的倒産手続と、合意ベースの事業再編手続とを問わず、実践および

法律論の両面に亘り、関心を抱き、法曹としての主要活動テーマとしてきました。法制審

議会倒産法部会幹事、最高裁規則制定諮問委員会幹事でもありました。

他面、グリーンメイラーによる企業買収への反撃に成功した事件等を契機として、企業

買収、事業再編等の問題についても、積極的に関与し、最近では、幅広く、倒産処理手続

を活用した企業買収業務に関与しています。

また、倒産、事業再編には、不可避的に労働問題との接点がある関係で、集団的労働紛

争、個別労働紛争を問わず、逐次経験を蓄え、現在大阪労働基準局では、個別労働紛争処

理の促進に関する法律に基づく参与会の構成員となっています。

以上の他に、以前裁判官に任官していたことが契機で、国家賠償訴訟の国側の代理人を

引受けるようになったことから、国立病院の医療過誤訴訟に関与するようになり、現在は、

独立行政法人国立病院機構近畿ブロックの顧問弁護士として、相談、指導、示談交渉、訴

訟受任等の業務も遂行しています。なお、同機構大阪南医療センターの倫理委員会、治験

委員会委員を引受けています。

【携わった主な訴訟、著書など】

1)主な会社更生事件:フェニックス電機㈱、末野興産㈱、㈱アサヒコーポレーション、

中山鋼業㈱、㈱シャロン、マイカル㈱、マイカル九州㈱、世界長㈱その他

2)主な民事再生事件:大興リース㈱、㈱酒井鉄工所、協同組合松江ショッピングプラザ、

㈱万松楼その他

3)その他主な倒産事件:和歌山県土地開発公社特定調停申立代理人、不動信用金庫清算人

4)支配争奪事件:㈱タクマとコスモポリタン㈱との増資差止仮処分事件、増資無効訴訟

5)編著書:1問1答シリーズ・新版民事再生の実務、個人債務者再生の実務、会社更生

の実務、新版破産法大改正の実務(経済法令研究会)、書式シリーズ・商事非訟の実

務、新会社更生の理論・実務と書式、新破産法の理論・実務と書式(民事法研究会)、

企業再生のための法的整理の実務(金融財政事情研究会)

【特記事項】

徳島城南高等学校S42卒業

趣味:化石拾い

尊敬する人物:緒方洪庵他

法務研究科 法務専攻 

教授 四宮 章夫■ 担当する領域科目名:倒産法、民事訴訟法、法曹倫理■ 関心のある法律問題

倒産、支配争奪、事業再編、労働、医療過誤■ 最終学歴:京都大学 法学部■ 研究室電話番号:■ e-mail:

201

法務研究科

Page 16: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

これまでに行ってきた研究から、2,3の主要なものをあげれば以下のようになる。

1)民法が定める労務供給型契約である雇用・請負・委任と労働契約とは、いかなる関係

に立つものと解されるべきか。そのことを、労働法の適用対象という問題の解決にど

のように関連させていくべきか。

2)就労請求権ないし労働受領義務は労働契約の内容をなす権利義務であるのか。すなわ

ち、使用者が労働者の労務給付を受領しない場合を債務不履行と見ることはできるの

か。判例通説では否定的に解されているが、肯定的に答えるにはいかなる論理をもっ

てすればよいのか。

3)労働関係における慣行ないし慣習は、どのような要件をみたすことによって、いかな

る法的効果を持ちうるのか。その解消にかかわりつつ生じる労使間の紛争を適切に解

決する方法として、どのようなものが考えられるか。

【主な論文、著書など】

1)『労働法〔第3版〕』、2003年、有斐閣

2)「労働関係における慣習ないし慣行の法的効力」、2003年、同志社法学54巻3号

3)『労働基準法〔第3版〕』、2001年、有斐閣

4)「1999年労基法改正の意義と問題点」、1999年、ジュリスト1153号

5)「JR不採用事件について-労委命令・裁判例の見解に関する整理と検討」、1998年、

日本労働協会雑誌461号

6)『労使関係法』、1995年、有斐閣

7)「労働協約の規範的効力の限界-有利性の原則、協約自治の限界等の問題に関する

若干の考察」、1990年、甲南法学30巻3・4号

8)「派遣労働の法律関係」、1987年、ジュリスト894号

9)『労働契約法の理論』、1985年、有斐閣

10)『労働法再入門』(保原喜志夫、山口浩一郎と共著)、1977年、有斐閣

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

学会報告として以下のものがある。

1)「使用者の労働受領義務」、1969年5月、日本労働法学会

2)「整理解雇の法律問題-判例の分析・検討を中心に-」、1979年10月、日本労働法学会

3)「パートタイム労働者の法的保護」、1985年5月、日本労働法学会

【特記事項】

現在、厚生労働省・兵庫労働局の紛争調整委員をしている。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 下井 隆史■ 担当する領域科目名:労働法■ 研究テーマ

労働契約法の諸問題、労働条件変更の法的ルール、労使慣行の法的効力等

■ 取得学位:神戸大学 博士(法学)■ 研究分野を表すキーワード:労働法、労働契約法、労働慣行論、

個別労働紛争解決システム■ e-mail:

202

法務研究科

Page 17: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究概要】

1)安全配慮義務論は、債務不履行と不法行為の境界領域に関する研究。

2)瑕疵担保論は、伝統的な法定責任説をどこまで維持できるかに関心あり。

3)占有論は、師(故・田中整爾・阪大名誉教授)の客観説を堅持発展させるのが課題。

4)要件事実論は、これについて法科大学院教育のスタンダードをどのように形成すれば

よいかが課題。

【主な論文、著書など】

1)プリメール民法4(平成15年第2版、法律文化社)

労務提供型契約、その他の契約、事務管理、不当利得を執筆。

2)新版民法の基礎(平成14年第4版、法律文化社)

物権法を執筆。

3)現代民法4(平成13年補訂版、八千代出版)

寄託・組合を執筆。

4)物権法(平成10年第2版、法律文化社)

物権変動・所有権を中心に執筆。

5)契約法(平成6年改訂、法律文化社)

委任・寄託・消費貸借を執筆。

6)債権各論(平成4年、青林書院)

契約の効力・解除を執筆。

【特記事項】

趣味はフルート(誰にも聴かせない)と鉄道唱歌と愛娘

法務研究科 法務専攻 

教授 下村 正明■ 担当する領域科目名:民法■ 研究テーマ

安全配慮義務論、瑕疵担保責任論、占有論、要件事実論■ 取得学位:大阪大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:債権法

203

法務研究科

Page 18: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

私人どうしの紛争であっても、その終局的解決には、国家の力を用いて権利を強制的に

実現することが必要となる。そのためには、まず、訴訟手続によって権利を確定した上で、

これに続いて民事執行手続を履践することになる。現在は、紛争当事者以外の者が民事執

行手続の当事者となることが認められるかについて、法解釈論及び立法論の両面から研究

している。訴訟手続については、「第三者の訴訟担当」として、以前から繰り返し議論が

行われ、理論が深まっている。しかし、執行手続については、株主代表訴訟で勝訴した株

主が、そのまま「当事者」として強制執行手続を行うことができるのかという問題が提起

され、この点に限定した議論がみられるようになったばかりである。そこで、株主代表訴

訟だけでなく、「第三者の執行担当」一般についての理論を構築すべく研究している。

今後は、現在の研究をさらに発展させることはもとより、民事手続さらには司法制度に

ついて、多角的に実務を検証し、その結果に基づく提言をして行きたい。

【主な論文、著書など】

1)2005年6月  共著『新現代民事訴訟法入門』(法律文化社)

2)2004年2月  司法判例リマークス28号(日本評論社)「同一被保全債権に基

づく追加の仮差押命令申立ての可否」

3)2003年12月 民事訴訟法判例百選〔第三版〕(有斐閣)「人事訴訟における訴訟

能力と特別代理人選任の可否」

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)2006年2月 民事訴訟法学会関西支部研究会 報告

2)2004年5月 民事訴訟法学会 個別報告 「『第三者の執行担当』に関する基礎

理論の試み」

【特記事項】

出身高校は、兵庫県立兵庫高等学校。大学教員になる前に、裁判官を9年、訟務検事を

4年経験している。学生には、大学がいかに恵まれたところであるかを伝えたい。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 下村 眞美■ 担当する領域科目名:民事訴訟法■ 研究テーマ

民事手続実務の諸問題(現在は民事執行手続における当事者の問題を研究中)

■ 取得学位:大阪大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:法律学、民事法、民事手続法、

民事訴訟法、民事執行法

204

法務研究科

Page 19: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】

私は現職の検察官です。平成4年に検事に任官し、丸14年になります。その間、刑

事・交通等の事件捜査や公判立会はもちろん、多数の司法修習生の指導にも携わってきま

した。当初は複雑困難に見える事件も、ひとつひとつ丹念に捜査を尽くしてゆけば、必ず

解決の糸口は見えるものです。それまでバラバラに見えていた各事象が、あるできごとを

契機としてひとつに繋がり、霧が晴れるように事実が明らかになったときの達成感は、こ

とばでは表せません。いま、裁判の迅速化のための諸制度や裁判員制度の導入など、刑事

司法は大きな改革期を迎えています。これら新しい諸制度が実りあるものとなるように、

そして、そこに自分も参画できるように、さらに研鑽を深めていきたいと思っています。

【携わった主な訴訟、著書など】

大阪地検を振り出しに、名古屋地検、大津地検、神戸地検(伊丹支部長)、京都地検な

ど、各地の検察庁で、捜査(通算約11年間)・公判(通算約7年間)に従事してきまし

た。その間に取り扱った事件は、捜査・公判ともに数千件に上ります。一見似たように見

える事件にも、それぞれ違った顔があり、それぞれの当事者の思いが込められています。

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

学会等での発表の経験はありませんが、警察官や消防士等に対する研修会、小学生から

大学生まで様々な年代の学生に対する特別授業、一般市民対象の講演会などの講師として、

刑事司法や検察官の職務等についての講義を多数回行いました。

司法修習生の実務修習の指導は、通算約4年間担当し、送り出した法曹は約280名に

なります。

【特記事項】

私は、文学部仏文学科に入学した後、4年進学時に法学部に転学部しました。卒業後は、

2年4か月間、裁判所事務官として勤めましたが、自らが最終判断を行う法律家になるこ

とを夢見て、司法試験を受験し、紆余曲折を経て検察官になりました。回り道のようです

が、その経験があって現在の自分がいると思っています。

法務研究科 法務専攻 

教授 鈴木 眞理子■ 担当する領域科目名:刑事訴訟実務の基礎、刑事模擬裁判、

刑事法演習Ⅱ■ 関心のある法律問題

刑事法実務全般■ 最終学歴:上智大学 法学部■ 研究室電話番号:■ e-mail:

205

法務研究科

Page 20: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

法務研究科

【研究の概要】

基本的人権の基礎理論をテーマに、人権とは何か、人権を有する個人とはどのようなも

のか、といったことを考えてきました。憲法上の論点としては、主として自己決定権やプ

ライバシー権、あるいは法の下の平等などの問題に、アメリカの憲法論をも参照しながら、

取り組んできました。具体的には、安楽死・尊厳死や人工妊娠中絶などのいわゆる生命倫

理に関する問題に憲法的な観点からアプローチしてみました。その延長で、医療制度全般

について憲法論として分析を加えています。健康保険制度や医療における情報公開・個人

情報保護にも関心を持っています。また、障害を持つ人の人権問題や家族をめぐる憲法問

題についても研究を進めてきました。それとともに、法とは何か、憲法とは何か、といっ

たさらに根源的な問題にも関心を持つようになっています。「新しい権利」が生成する過

程・構造の分析もしたいと思っています。さらに、アメリカについての固定観念にとらわ

れることなくアメリカ憲法の特徴を多角的に捉え、日本の憲法をめぐる状況と比較するこ

とも重要だと考えています。

【主な論文、著書など】

1)『憲法Cases and Materials人権【基礎編】』、『同【展開編】』(共著)(有斐閣、2005年)

法科大学院の授業用の教材として、判例を抜粋し、コメントや質問を付して編集した

もの

2)『目で見る憲法【第2版】』(共著)(有斐閣、2003年)

初学者のために写真・図表などを多用し簡潔な解説も付した日本国憲法の解説書

3)『医事法』(共著)(有斐閣、2000年)

医事法の概説書。t井は「医療受給権の保障」と「医療と憲法問題」を執筆。

【特記事項】

法科大学院(法務研究科)は、「理論と実務の架橋」の役割を担うとされています。民

法や刑法の場合と較べて憲法の分野では特に難しい課題ですが、私自身は、近年、地方公

共団体の情報公開や個人情報保護の審査会・審議会の委員を務めるなかで実務の一端に触

れ、大いに触発されました。公法の領域に通じた法律実務家の養成にお役に立てれば、と

思います。

法務研究科 法務専攻 

教授 h井 裕之■ 担当する領域科目名:憲法■ 研究テーマ

基本的人権の基礎理論■ 取得学位:京都大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:人権論、幸福追求権、法の下の平等■ e-mail:

206

Page 21: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】私の専門分野は、大学の講義名でいうと民事法、特に債権各論の中心的部分である契約

法と不法行為法です。また、民法とあわせて、医師の責任や先端医療の法的規制などの法律問題を扱う「医事法」という分野も専門に研究しています。民事法では、契約関係における付随義務論を主たるテーマにしています。

【主な論文、著書など】1)『KEYWORD民法』〔共著〕(1995年 法律文化社)2)「ステップ方式」による不動産取引勧誘行為」消費者取引判例百選(1995年)3)「非配偶者間の体外受精における配偶子提供契約の問題点」法律のひろば51巻9号(1998年)

4)「“Berufshaftung in Japan”(日本における専門家責任)」フライブルク大学法学部紀要“Recht in Japan”11号(1998年)

5)「民事上の詐欺の違法性に関する一考察」『石田古稀記念論文集』所収(成文堂、2000年)

6)「レクチャー消費者法(第2版)」〔共著〕(2001年、法律文化社)7)「日本における生殖補助医療の現状と法的対応」 『遺伝子工学時代における生命倫理と法』 所収(本評論社、2003年)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】昭和63年5月 昭和63年度比較法学会大陸法部会「ドイツにおける診療契約論の展開」報告平成2年10月 平成2年度私法学会第一部会「契約の効力の時間的延長に関する一考察」

報告9年12月 平成9年度日本医事法学会個別報告「医療水準の意義と機能」

(立命館大学政策科学部の山本隆司教授との共同報告)11年6月 国際消費者法学会日本フォーラムシンポジウム「契約締結過程の適正化と消費

者契約法(仮称)」「不当勧誘に対する法的救済-要件論から」報告14年9月 日独共同シンポジウム「遺伝子工学の時代における法と倫理」(9月13日~15日

に龍谷大学で開催)「日本における生殖補助医療の現状と法的対応」を報告11月 国際シンポジウム「科学技術と法モデルの形成」(Neue Technologien und Bau von

Rechtsmodellen―Zukunftsbild des Rechts―(11月29日~12月1日,国際高等研究所で開催)セクション1「医と法」において、“Rechtliche Implikationen vonFortpflanzungsmedizin und Gentechnologie in Theorie und Praxis”(日本における先端医療と法)をドイツ語にて報告

15年10月 京都産業大学・JASRAC共催「知的財産権特別公開講座」総合コーディネーター15年10月 京都産業大学市民講座にて「消費者契約の現状と問題点」講演

【特記事項】

研究・教育用のホームページです。

http://www.kyoto-su.ac.jp/̃takasima/index-j.html

法務研究科 法務専攻 

教授 h嶌 英弘■ 担当する領域科目名:民法、法情報学、医事法、生命倫理と法■ 研究テーマ

契約法における債務構造論の研究、先端医療が法に及ぼす影響■ 取得学位:同志社大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:民法、契約、不法行為、医事法■ 研究室電話番号:■ e-mail:

207

法務研究科

Page 22: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

法務研究科

208

【研究の概要】

国際結婚や国際取引など、日本だけでなく外国にも関連する事案(渉外事案)では、常に日本の

法律が適用されるとは限りません。日本の裁判所が外国の法律を適用することもあります。どの国

の法律が適用されるのかの基準、つまり渉外事案に適用されるべき国家法を決定する法が「国際私

法」です。

渉外事案の法規律の方法としては、国際私法の他に、予め国際的に統一した私法を作成して直接

に適用する方法(統一私法)もあり得ます。特に予見可能性が重視される国際取引に関連する分野

で、一定の統一私法が既に存在します。これらは、「国際取引法」の主要な研究対象とされています。

さらに、渉外事案については、常に日本の裁判所で裁判が行われるとは限りません。手続法上も

特別な問題が生じます。これらは「国際民事手続法」の研究対象です。

以上の「国際私法、国際取引法および国際民事手続法」(=最広義の国際私法)が、私の主たる研

究分野です。

【主な論文、著書など】

・櫻田嘉章=道垣内正人編『ロースクール国際私法・国際民事手続法』(有斐閣,2005年)

・「ヨーロッパ共同体の契約外債務の準拠法に関する規則(ローマⅡ)案について―不法行為

の準拠法に関する立法論的検討―」『国際法外交雑誌』103巻3号(2004年11月)1頁-31頁

・「米国の国際私法の現状と課題―製造物責任の準拠法問題を中心に―」『国際私法年報』5号

(2004年2月)21頁-62頁

・「電子取引と国際民事紛争解決制度―欧州の動向を参考にした制度論的提言―」『国際商取引

学会年報』5号(2003年9月)46頁-62頁

・「国際開発契約と国際私法―安定化条項の有効性と非国家法の準拠法適格性―」『阪大法学』

52巻3=4号(2002年11月)1007頁-1034頁

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

・「米国ジョージア州港湾局を被告とする訴えに制限免除主義を採用した事例」渉外判例研究会

(2006年1月14日、学習院大学)

・「International Civil Litigation in Japanese Courts」ブラジル・日本シンポジウム(2005年10月

14日、リオ・グランデ・ド・ソル連邦大学)

・「EUの新ブリュッセルⅡ規則(2003年)について」関西国際私法研究会(2004年12月18日大阪大学)

【特記事項】

家庭裁判所で調停委員として主に渉外事件を担当しています。趣味は、ギター演奏(ハ

ードロックからナツメロまで)。

法務研究科 法務専攻

非常勤講師 高杉 直■ 担当する領域科目名:国際私法

■ 研究テーマEUやOASにおける国際私法の地域的統一

■ 取得学位:大阪大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:法学、国際私法、国際民事手続法、

国際取引法■ e-mail:

Page 23: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

209

【得意とする分野の概要】

戦後から現在に至るまで、我が国の経済・産業構造の変革の中で、労働諸法制は極めて

専門的にして高度なものとして変遷してきた。それにつれ、学説・判例の多様な変化が見

られ、一旦労働紛争が生じるや、使用者の立場からみても、労働者の立場からみても、実

務に根差した労働法の理解能力、運用能力及び労働紛争の処理能力なくしては専門家(法

曹、特に弁護士)としての役割を果たすことはできない。

労働法の解釈・運用にあたっては、常に使用者側の利益・権利と労働者側の利益・権利

の比較考量が求められ、結果として広く国民の納得しうるバランスのとれた結論を専門家

としては導き出さなければならない。

しかも、紛争の当時者(弁護士にとっては相談者・依頼者)は、自らの利益なり権利を

主張するに急で、その中で弁護士としては、依頼者の利益・権利を擁護しつつ、法律に則

った(法律の世界)かつ広く国民の納得する結論(道理の世界)を導きださなければなら

ないところにこの分野の難しさがあり、他方、専門家としてのやりがいも存する。

【携わった主な訴訟、著書など】

1)大阪空港事業(関西航業)事件  平成15年1月30日判決

閉鎖・解散した下請会社につき事業委託会社の法人格は否認された。

2)大阪証券取引所・仲立証券事件  平成14年2月27日判決

大阪証券取引所は株式媒介を行う仲立証券組合員の使用者にあたらないとした。

3)大阪証券取引所・仲立証券事件  平成13年7月19日命令

解散した仲立証券につき大阪証券取引所の不当労働行為は否認された。

4)三和銀行事件  平成12年4月17日判決

従業員の会社告発書籍の出版に対する戒告処分が無効とされた。

【特記事項】

弁護士一筋で46年。今後は後進の育成・指導に力を尽したい。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 竹林 節治■ 担当する領域科目名:労働法■ 関心のある法律問題

労使間の労働諸法制に関する法律問題■ 最終学歴:京都大学 法学部

法務研究科

Page 24: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

法務研究科

210

【得意とする分野の概要】

労働諸法制については、学説・判例の多様な変遷が見られるが、現実に労働紛争が生じ

ると、使用者、労働者いずれの立場からみても、実務に根差した労働法の理解能力、運用

能力及び労働紛争の処理能力なくしては法曹、特に弁護士としての役割を果たすことはで

きない。

労働法の解釈・運用にあたっては、常に使用者側、労働者側双方の利益・権利の比較考

量が求められ、結果として広く国民の納得しうるバランスのとれた結論を法曹、特に弁護

士としては導き出さなければならない。しかも、紛争当事者は、自らの利益なり権利を一

方的に主張するため、その中で法曹、特に弁護士としては、当事者の利益・権利を擁護し

つつ、法律に則ったかつ合理的な結論を導きださなければならないところにこの分野特有

の難しさがあり、他方、法曹、特に弁護士としての達成感も存する。

【携わった主な訴訟、著書など】

【訴訟】

1)阪急電鉄株式会社(地位確認等請求事件) 和解成立

運転士の配置転換について争われている

2)双日株式会社(解雇無効確認等請求事件) 和解成立

懲戒解雇事由について争われている

3)阪神高速道路公団(民特労・損害賠償請求事件) 和解成立

過労死について争われている

4)株式会社神戸製鋼所(損害賠償請求事件) 和解成立

男女差別・コース別雇用管理について争われている

5)全日本空輸・大阪空港事業事件  平成14年7月3日命令

会社は下請会社の組合員の使用者にあたらないとして再審査申立が棄却された

6)住友生命保険(既婚者女性差別)事件  平成13年6月27日判決

既婚女性に対する昇給・昇格差別は違法とした

【著書】

1)労基法等改正解説本 共著 平成15年12月 三省堂

2)改正労働法と実務対応の実際 単著 平成15年11月 労働開発研究会

3)労働協約による労働条件の不利益変更 単著 平成14年4月 産労総合研究所「労

務事情」

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

関西経営者協会その他各種団体における講演、経営法曹会議会員

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 竹林 竜太郎■ 担当する領域科目名:労働法■ 関心のある法律問題

労使間の労働諸法制に関する法律問題■ 最終学歴:京都大学 法学部

Page 25: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

211

【得意とする分野の概要】

銀行関係をはじめ金融関係、公共団体関係、建築紛争関係、倒産処理、土地問題など

【携わった主な訴訟、著書など】

1)損害賠償請求事件 大阪高等裁判所判決(昭和52年(ネ)第1837号)外国人と

日本人が関与した平家物語の英訳作業において、原典を理解する能力のない右外国人

が右物語の英訳文の約半分について校訂、ぎこちなさの除去等の作業をした場合につ

き、右外国人は「英訳平家物語」の共同著作権を有するとした事例  

無体財産権関係民事・行政裁判例集12巻1号266頁

2)法人税更正処分取消請求事件 最高裁判所第3小法廷(昭和57年(行ツ)第62号)

青色申告書による法人税の申告についてした更正処分の取消訴訟において課税庁が更

正の理由と異なる事実を主張することができるとされた事例 

最高裁判所民事判例集35巻5号901頁

3)否認権行使請求事件 京都地方裁判所判決(昭和55年(ワ)第1057号)会社更

正手続開始の申立ての11日前に取引銀行にした割引手形の買戻しおよび買戻債務の

弁済が管財人よる否認権行使の対象になるとされた事例

判例時報1059号143頁、金融法務事情1047号47頁

4)会社更生法管財人事件 (京都地方裁判所昭和60年(ミ)第1号)(更正会社サン

ワールド)

5)名誉毀損、損害賠償請求事件

京都地方裁判所判決(平成13年(ワ)第1269号)自民党の元幹事長で衆議院議員

が、雑誌に市営地下鉄の建設工事に関し利得を得た旨の記事を掲載され名誉を毀損され

たとして、編集兼発行人及び発刊会社に対して求めた損害賠償請求が認容された事例

判例時報1799号135頁 

6)執行停止申立事件 

大阪地方裁判所決定(平成14年(行ク)第37号)近畿整備局長(国土交通省)の

なした建築確認会社に対する業務停止処分の執行停止決定がなされた事例

【特記事項】

私の主催する法律事務所で、京都産業大学の出身者を中心とする司法試験受験団体を主

催してきました。現在では、その主力は大学院へ移りその合格者がチュターとして頑張っ

てくれています。

他方、平成17年度京都弁護士会の会長をいたしましたが、弁護士業務などについて制度

論、業務改革論として検討するべき多くの事柄をかんじました。法曹倫理でそうした弁護

士論を議論したいと思います。

法務研究科 法務専攻 

教授 田中 彰寿■ 担当する領域科目名:法曹倫理、民事法、エクスターンシップ■ 関心のある法律問題

金融、開発建築紛争、会社経営問題、行政関係事件■ 最終学歴:金沢大学 法文学部法学科■ 研究室電話番号:■ e-mail:

法務研究科

Page 26: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

法務研究科

212

【研究の概要】

古代ローマ法、およびその集大成である6世紀に編纂された『ローマ法大全』に収録さ

れた法文が、12世紀以降、西欧でいかに解釈され、いかに利用されてきたかを研究してい

ます。とりわけ、15世紀ルネサンスの時代に始まり16世紀に盛期をむかえる人文主義法学

(復古学派)の代表的な学者たち(アルチャート、キュジャース、ドノー、ファーヴルな

ど)のローマ法解釈学の作品を理解することが主な研究課題です。その際、ローマ法文が

提示している具体的で難解な法律問題に対する学者たちの取り組みを丹念にフォローする

ようにしています。研究にあたっては、古代ローマ法はもちろん、比較対照のために、中

世ローマ法学の議論を参照することもしばしばです。19世紀や現代のローマ法学の議論を

参考にすることもあります。この研究を通じて、大陸法学を支える基盤を探求し、今日の

法制度や法的な議論で用いられる論拠や立論を再検討する視座を得ることを目的としてい

ます。

【主な論文、著書など】

1)「カルロ・シゴニオ『民事裁判について』覚書 ―一六世紀人文主義者によるローマ

民事裁判素描―」『法政研究』(九州大学)第70巻第4号(2004年2月)

2)「一五世紀普通法学の法解釈方法論の一端―コンスタンティヌス・ロゲリウス『法解

釈論』覚書―」金山直樹編『法における歴史と解釈』(法政大学出版局)(2003年3月)

3)「人文主義法学のローマ法文解釈と市場原理」加藤哲美編『市場の法文化』(国際書

院)所収(2003年2月)

4)Bemerkungen zu J. G. Heineccius (1681-1741) als Privatrechtsdogmatiker, in:

Miscellanea Domenico Maffei dicata, Vol. 3, Keip Verlag, 所収(1995)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)学会発表 人文主義法学のローマ法文解釈と市場原理:法文化学会第4回研究大会

(一橋大学)2001年11月

2)学術講演 Humanistische Textkritik und juristische Dogmatik im 16. und

17. Jahrhundert in: Institut fuer Neuere Privatrechtsgeschichte der

Universitaet zu Koeln, Koeln, Germany, 2000年11月

【特記事項】

趣味はありませんが、古代ローマがかつて支配した地域を旅行することと、日本やヨー

ロッパの友人と食事や散歩をしながらお喋りをするのが好きです。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 田中 実■ 担当する領域科目名:ローマ法■ 研究テーマ

近世ローマ法学史■ 取得学位:関西学院大学 修士(法学)■ 研究分野を表すキーワード:法学史、西洋法史、ローマ法、人文主義

Page 27: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

213

【得意とする分野の概要】

民事訴訟法・民事執行法・裁判法が主な分野である。

人間社会のあるところ、常に必ず紛争があり、生じてくる紛争の解決は、その社会にと

って必然の課題である。現代社会では、国の裁判所を中心とする裁判の制度が設けられて

おり、裁判所の機構等は、憲法や裁判所法等によって定められている。裁判所は、紛争の

当事者が持ち出してくる事件について裁判所が民法・商法等の法律を適用して裁判をする

が、その手続についても民事訴訟法が定められている。審理の手続を経て判決がなされて

も、任意の履行がなければ、国の権力を用いて強制的に権利の実現を図る必要があり、民

事執行法の規定する手続によらなければならない。これらの手続に関する理論的・実務的

な問題を検討し解決していく必要がある。また、最近においては、裁判所の裁判によらな

いで紛争の解決を図ろうとする動きも盛んになっており、多くの組織や機関が活動してい

る。紛争解決の多様な仕組みを知り、総合的に考察を進めなければならない。倒産処理と

の関連も、重要である。

【携わった主な訴訟、著書など】

土地明渡訴訟、団体代表者地位確認訴訟、執行関係訴訟、破産否認訴訟などに訴訟代理

人として携わった。

著書:最近に単著として刊行されたもの

1)民事執行法〔増補新訂5版〕、2006年、青林書院

民事執行法の全般について判例・学説を網羅し詳細に概説

2)民事裁判入門〔第2版補訂版〕、2005年、有斐閣

民事裁判およびその周辺領域を初学者向きに解説

3)民事訴訟法の論点Ⅰ・Ⅱ、1994年・2001年、判例タイムズ社

民事訴訟法の領域で学説・判例の錯綜する論点を取り上げ詳細に検討

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

多年、民事訴訟法学会の理事(1980年5月から3年間は理事長)として活動し、国

際手続法学会の理事(1981年10月から3年間)もつとめ、法制審議会では、

1970年から1998年まで、多くの手続関係立法に参画した。

【特記事項】

学生時代には、大学の法律相談所員として活動し、教員となってからは、学生の法律相

談を指導した。

法務研究科 法務専攻 

教授 中野 貞一郎■ 担当する領域科目名:民事手続法■ 関心のある法律問題

民事裁判の過去・現在・未来■ 最終学歴:東京大学 法学部法律学科■ 研究室電話番号:

法務研究科

Page 28: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

法務研究科

214

【得意とする分野の概要】1)昭和57年4月に弁護士登録をし、紛争解決実務や民事・刑事の訴訟実務に従事してきた。この経験を踏まえて、紛争解決の実務における民事実体法と民事手続法の総合的な運用、刑事訴訟実務における刑事法と刑事手続法の実情に関心を持っている。

2)弁護士登録当時から、豊田商事事件、霊感商法事件などの大型消費者被害事件に携わり、以来、消費者事件に関する訴訟事件やいくつかの消費者法の改正や新法の制定など消費者問題に消費者の立場から関与している。そのことから、消費者問題及び消費法制の研究、制度や法規の改善提言などの取り組みをライフワークとしている。最近は、特に消費者契約法の運用とその改定、及び消費者団体訴訟制度の創設と運用に向けた研究と提言に取り組んでいる。

【携わった主な訴訟、著書など】1)原状回復条項無効事件京都地裁平成16年3月16日   大阪高裁平成16年12月17日建物賃貸借契約における過度な原状回復条項が消費者契約法10条により無効とされたリーディングケース判決

2)中古車売買契約キャンセル料無効事件大阪地裁平成14年7月19日消費者契約法9条の解釈のリーディングケースとなった事件

3)日興証券損失補填株主代表訴訟差戻事件最高裁平成12年10月10日   東京高裁平成11年2月23日取締役が行った損失補填行為が法令違反となり会社に対する損害賠償の対象となるかが争われた事件

主な著書(いずれも共著)1)消費者法講義  平成16年  日本評論社2)コンメンタール消費者契約法  平成13年  商事法務研究会消費者契約法の裁判における活用を念頭に置いたコンメンタール

3)Q&A消費者契約法   平成12年    ぎょうせい消費生活相談員や消費者を念頭に置いた消費者契約法の実務用解説書

4)訴える側の株主代表訴訟  平成6年   民事法研究会株主代表訴訟の経験を踏まえ、実践的な検討を加えた株主代表訴訟制度の解説書

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】平成14年6月22日 日本金融法学会東北地区部会 報告シンポジウムテーマ 「消費者契約法・金融商品サービス法の運用と課題」報告テーマ     「消費者の立場からみた運用上の問題点と課題」

【特記事項】出身は名古屋です。大学入学のときに京都に来て、以来京都が気に入って今日に至っています。弁護士は、社会の中に自分の問題意識をストレートにぶつけられるので、やりがいがあり、おもしろみのある仕事です。大学院でもそのおもしろみとそのための力をぜひ学びとってください。

法務研究科 法務専攻 

教授 野々山 宏■ 担当する領域科目名:民事訴訟法、民事法、消費者法、

ローヤリング・クリニック■ 関心のある法律問題

民事訴訟実務における諸問題民事紛争の新しい解決手段及び制度、特に団体訴訟制度消費者問題及び消費者法

■ 最終学歴:京都大学 法学部■ 研究室電話番号:

Page 29: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

215

法務研究科

【得意とする分野の概要】

交通事故、学校事故、医療事故など賠償責任保険に関わる事件

当職の事務所が京都府宅地建物取引業協会の顧問をしている関係上、不動産に関わる事件

破産事件(特に、管財事件)、民事再生申立事件等の倒産事件

【携わった主な訴訟、著書など】

・交通事故に関する損害賠償請求事件では、後縦靱帯骨化症、RSA(反射性交感神経ジス

トロフィー)、心因性疼痛、脊椎に関する椎間板変性、胸椎くも膜膿胞などの各体質的、

心因的訴因に関する素因減額を争点とする訴訟事件

・学校や保育園内での死亡や後遺障害に関する損害賠償請求事件では、学校などの過失認

定、子供側の過失相殺等を争点とする事件

・出会い系サイトに絡んだ不当請求や賠償請求自体は正当であっても不相応な高額請求に

対する債務不存在確認請求事件 

・自閉症児に対する雇用関係存在確認請求事件

・訴訟外では、古くは、豊田商事事件、統一教会の霊感商法事件等、

・医療法人とM&Aに関する事件

・著書は、広告の法理(民事法研究会)、新版 判例 貸金業規制法(法律文化社)

【教員の活動記録】

1)研究会など

京都府宅地建物取引業協会の本部研修に関する講演、及び同協会支部における各研修に

関する講義、東京海上日動火災の各研究会の講師

企業危機研究会、京都中小企業互助協会等で税理士、司法書士を交えての研究会

2)その他の活動

下記特記事項に関わる活動等

【特記事項】

平成13年、京都弁護士会副会長として、京都の各大学(本学含む)のロースクール設立に

関する協議に参加、平成14年迄、本学法職課程の外部講師、その他、京都府市民教室委員

会の委員長として、少人数制の法律カルチャーセンターを開設し、府市民と弁護士との敷

居を取り除く活動に寄与した。仲裁センター運営委員会副委員長としてADRのシンポを

開催してその活動を広めた。

現在は、京都弁護士会法律相談センター運営委員会委員長として、府市民がいつでも、ど

こでも、だれでもが気軽に法律相談を受けることができるよう活動をしている。

法務研究科 法務専攻

非常勤講師 橋本 皇玄■ 担当する領域科目名:民事法総合演習Ⅱ■ 関心のある法律問題:保険事故事件、医療過誤事件、倒産事件、

不動産取引に関わる事件■ 最終学歴:京都産業大学 法学部■ e-mail:

Page 30: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

216

法務研究科

【研究の概要】例えば、民法で「人」といえば、そこには自然人と法人という2種類の人が想定されて

いる。そして、人は法的には「対応平等な権利主体」であると考えられている。その基本的な考え方が全く正しいとしても、果たして現実の取引社会で人は平等たり得ているだろうか。2001年4月に施行された消費者契約法の目的規定では、事業者と消費者との間には「情報の質、量ならびに交渉力に格差がある」とされている。今、消費者をめぐる法と政策は大きな変革期にある。国民生活審議会が2003年5月に公表した「21世紀型消費者政策の在り方について」と題する文書では、消費者は保護される主体から権利主体へと変化することが言われている。もっとも、情報の質や量について格差があるままでは、いくら権利を付与されても、それは「絵に描いた餅」になりかねない。市場の当事者として消費者が正当に権利を行使できるための法的、制度的環境整備は、私たちの社会が21世紀にふさわしいものになるための焦眉の急の課題でもある。私の仕事は、その課題を民事法を基盤に整理するとともに、分かりやすい言葉で語りかけ、消費者とともに考えることに他ならない。

【主な論文、著書など】1)「消費者団体訴訟が問いかけるもの―国民生活審議会「最終報告書」を読む」消費者情報365号(2005年10月)

2)「21世紀型消費者政策が考える企業と消費者の関係―消費者の信頼確保のために企業が果たすべき責務」委刊家計経済研究65号(2005年1月)

3)「消費者トラブルの未然防止に向けた消費者法の課題」国民生活34巻2号(2004年2月)国民生活センター、消費者被害を未然防止するための法制度を提案

4)日本弁護士連合会消費者問題対策委員会『企業倫理を問う PartⅡ -この10年企業は変わったか』(2004年2月)、2003年度日弁連夏期消費者セミナー報告書

5)「連載 坂東です!」月刊消費者521号~532号(2003年1月~12月)(財)消費者協会、その時々の消費者問題に関して解説を加えた1年間の連載

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)「Consumer Credit and its Legislations in Japan」(Asian Conference on Consumer

Protection, Competition Policy and Law, 28 Feb - 1 Mar 2003, Kuala LumpurMalaysia)

2)「Competition Policy and Consumer in Japan 」(Asian Study on Competition Policy,5 Mar 2004, Kyoto Japan)

3)「Workshop, the Aspect for Comprehensive Consumer Credit Law」(Asian Conference on the Regulation of Consumer Credit, 29-30 Mar 2004, SelangorDarul Ehsan Malaysia)

【特記事項】内閣府国民生活審議会消費者政策部会消費者団体訴訟検討委員会委員京都府消費生活審議会委員消費者支援機構関西(KC’s)常任理事NPO消費者ネット関西副理事長

法務研究科 法務専攻 

教授 坂東 俊矢■ 担当する領域科目名:消費者法・民法■ 研究テーマ

消費者の視点から見た契約法、21世紀型消費者政策のあり方■ 取得学位:龍谷大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:民法、消費者法、消費者政策■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 31: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

217

法務研究科

【得意とする分野の概要】

今まで、担当事件としては、民事以外もひと通り経験しましたが、民事訴訟事件の経験が

長いです。これを基に、民事訴訟の実務について幅広くお話ししたいと思います。特に、実

務から見た要件事実論について関心を持っています。要件事実論というと、精緻で難解とい

うイメージが先行しがちですが、実務では、そんなに難しい話になることは滅多にありませ

ん。とはいっても、民事訴訟では、訴訟物を把握し、主張を整理することが、裁判官にとっ

てはもちろん、訴訟の当事者(代理人)にとっても大事なことです。いろいろな事件類型を

基に、要件事実論について検討し、理論と実務との架橋を目指したいと思います。

【携わった主な訴訟、著書など】

(訴訟)

広島地裁平成7年3月28日判決(判例地方自治145号77頁)

弁護士と身柄拘束中の被疑者との接見の妨害の有無について判断

広島地裁平成7年3月31日判決(判例地方自治140号82頁)

換地処分に伴う清算金決定処分の違法性について判断

和歌山地裁平成8年4月17日判決(判例タイムズ933号159頁)

宗教団体の信者から宗教団体への土地の贈与の有無について判断

高松地裁観音寺支部平成14年12月26日判決(地元の新聞にのみ掲載)

工業団地の分譲方法の違法性について判断

(著書)

平成16年11月1日号判例タイムズ(1157号12頁)所収

東京地裁及び大阪地裁における平成16年改正DV防止法に基づく保護命令手続の

運用

東京地裁民事第9部鬼澤友直判事との共著

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

民事訴訟法学会関西支部研究会平成16年11月報告

「配偶者暴力の被害者に対する保護命令申立事件処理の実情」

【特記事項】

岡山県出身

任地としては、広島地裁、和歌山地家裁、東京地裁(裁判所書記官研修所)、高松地家

裁丸亀・観音寺支部、大阪(現在)と渡り歩いてきました。担当事件も、民事訴訟事件、

民事執行事件、民事保全事件、倒産事件のほか、刑事事件、家事事件、少年事件もひと通

り経験しました。平均的な裁判官ではないかと思います。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 福田 修久■ 担当する領域科目名:民事訴訟実務、民事模擬裁判■ 関心のある法律問題

民事訴訟、民事保全、配偶者暴力に関する保護命令■ 最終学歴:早稲田大学 法学部■ 研究室電話番号:

Page 32: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】

私は裁判官出身である。約45年間にわたり主に民事裁判官として務めてきたが、裁判

官の仕事は、市井に起こる通常の事件から、執行・倒産・行政・労働・知的財産等に至る

まで、幅広い法律分野にまたがり、特定の領域に限定されるものではない。しかし、その

中で私が多少突っ込んで勉強したものといえば、民事保全法の分野がある。民事保全法は、

もとは明治23年制定の旧民事訴訟法の一部を占めてきたものであり、将来の本執行を保

全するための手続を定めているが、民事執行法制定を中間項にして、平成元年に保全命令

の発令から執行までを通した単行法として成立した。私は、法務省民事局長として、法制

審議会を経て国会の審議に至る立法手続の場面で直接に関わりを持ってきたのであり、こ

の法律がその後実務に定着する過程にも関心を寄せている。ほかにもう一つ挙げるとすれ

ば、いくつもの大型の会社更生事件を処理した経験から、会社更生法の解釈運用にも興味

を持ってきた。この法律は、破産法と会社法の接点にある複雑難解な法律であるが、平成

14年に全面改正が行われたので、改めて勉強し直す必要に迫られている。

【携わった主な訴訟、著書など】

1)愛媛玉串料訴訟大法廷判決(平成9年)

県の公金による靖国神社等への玉串料奉納を憲法20条3項、89条違反としたもの。

2)三井鉱山株主代表訴訟第一審判決(昭和61年)

完全子会社による親会社株式の取得を違法とし、取締役に対する株主代表訴訟を認め

たもの。最高裁で是認された。

3)大東水害訴訟第一審判決(昭和50年)

河川管理の瑕疵を理由とする国家賠償請求を認めたもの。最高裁で破棄された。

4)日照権侵害訴訟第二審判決(昭和42年)

日照妨害を法的利益の侵害とし、不法行為の成立を認めたもの。最高裁で是認された。

【特記事項】

新日本石油(株)の社外監査役として会社法の運用の実際を体験している。

法務研究科 法務専攻 

教授 藤井 正雄■ 担当する領域科目名:民事訴訟法、民事訴訟実務■ 関心のある法律問題

民事訴訟における専門委員制度の運用の実際非嫡出子相続分及び夫婦別姓問題に関する立法の動向

■ 最終学歴:京都大学 法学部■ 研究室電話番号:■ e-mail:

218

法務研究科

Page 33: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

刑法における責任論には多くの課題があるが、現在の私の関心は回顧的責任論から展望

的責任論に重点を移している。わが国においても1990年代に犯罪予防の時代になった

との指摘はあるが、1980年代半ばに犯罪予防につき学界報告で刑事制裁のもつ予防機

能の実効性に多くの解明されていない分野があることを指摘したところである。特に死刑

をはじめとして量刑論争が続いている。その際にも事後的な制裁の有効性の視点に止まら

ず犯罪を発生させない事前的予防の必要性についても一般予防論として論じたところであ

る。ドイツにおける積極的一般予防論の展開が総じて観念論の傾向を示すのに対し、英米

におけるこの種の議論の展開は伝統的に実証的方法による有効性に重きをおいている。こ

の予防実効性に、根拠に基づく予防がもとめられより厳格な有効性が必須となっている。

そこでその具体的な検証を行うために、フィールドワークを含めた研究活動をしている。

【主な論文、著書など】

1)「地域ぐるみの防犯活動の一試行」渥美東洋先生古稀記念論集所収・有斐閣(2006年)

2)「少年法25条の2の意味するもの」同志社法学56巻6号(2005年)

3)「地域社会と犯罪防止」産大法学34巻3号(2000年)

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「生活安全に対する地方の取組みと安全、安心まちづくり」(警察政策学会フォーラ

ム)(2005年)

2)「学校・子どもの安全について」(こども国連環境会議推進協会フォーラム)(2005年)

【特記事項】

1)現在、日本被害者学会理事、法と精神医療学会副理事長などの学会活動

2)現在、京都市生活安全懇話会会長などの社会的活動

3)趣味はラグビー観戦

法務研究科 法務専攻 

教授 藤岡 一郎■ 担当する領域科目名:刑法、刑事学、少年法■ 研究テーマ

刑法上の責任論と刑事学との学際的課題加害者化・被害者化回避と規範形成

■ 最終学歴:同志社大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:犯罪防止、犯罪被害者、規範形成、多機関協働■ 研究室電話番号:■ e-mail:

219

法務研究科

Page 34: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】

企業再生とM&A(合併、買収)に関連する財務面での調査とコンサルティングを主な

業務としています。

企業再生は、最近注目を浴びていますが、公認会計士は、企業の実態を調査し破綻に至

った原因を財務面から把握し、その結果を踏まえて再生スキームや再生計画の策定や財産

評定を行います。これらの業務では、それぞれのスキームや法律面での条件のもとで、将

来のキャッシュフローや損益、財産の価値等を金額によって明らかにすることになります。

これらの結果を受けて、企業や法律家が再生方法の選択やその可否を判断します。

M&Aでは、主に正式契約前の事前調査(デューデリジェンス)と企業価値の評価を主

に行います。事前調査は、財務面を公認会計士、法律面を弁護士が行い、この結果は、買

収条件や買収金額に反映されます。

いずれも会計と法律が両輪となって行っていく分野ですが、これらの業務では、欧米で

は一般的であったものの日本ではほんの数年前まで実践では馴染みの薄かった割引キャッ

シュフロー法のような理論が、現在では実践されています。

【携わった主な訴訟、著書など】

民事再生手続の監督委員や会社更生の管財人の支援業務を数多く歴任

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

M&Aでの退職給付制度の企業価値と会計への影響(2004年3月、退職給付セミナー)

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 藤本 眞人■ 担当する領域科目名:企業会計と法■ 関心のある法律問題

組織再編と倒産法■ 最終学歴:早稲田大学政治経済学部

220

法務研究科

Page 35: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

民事訴訟における事実資料の収集に関する原則である弁論主義について、歴史的成立過

程、具体的適用の変遷等を研究する。この原則は、事実資料収集における裁判所と当事者

の役割分担の問題、あるいは主導権はどちらにあるかの問題である。この問題を考えるこ

とによって、訴訟審理における裁判所のあるべき姿を明らかにし、当事者の主体的活動の

重要性を認識したいと思う。裁判所と当事者の緊張関係は、裁判所に頼らない当事者の積

極的な訴訟活動を結果し、訴訟を生き生きしたものにするであろう。法曹如何にあるべき

かの探求であると思う。

【主な論文、著書など】

1)1995(平成7) .12.10

「宗教団体の内部紛争と民事裁判権」 中野貞一郎先生古希祝賀『判例民事訴訟法の 

理論(上)』(有斐閣)所収 29~55頁

概要:宗教団体の内部紛争においては、裁判所はこれに積極的に介入しないのが望ま

しいとの立場から、判例の動向を分析し、自説を展開した。

2)1996(平成8) .12.10

「占有権に基づく仮処分」 中野貞一郎・原井龍一郎・鈴木正裕編『民事保全法講座 

第三巻』(法律文化社)所収 53頁~72頁

概要:占有権に基づく仮処分に関する判例を分析し、理論的に必ずしも一貫していな

いことを指摘した。

3)2000(平成12).08.25

「釈明権」 佐々木吉男先生追悼論集刊行委員会編『民事紛争の解決と手続』(信山 

社)所収 151~181頁

概要:釈明権の行使は、特に、当事者間の公平を顧慮し、これを破ることのないよう

留意すべきことを主張した。

4)2002(平成14).01.31

「主要事実と間接事実の区別」 鈴木正裕先生古希祝賀『民事訴訟法の史的展開』

(福永有利ほか(編)(有斐閣))所収408~432頁)

概要:主要事実・間接事実の区別は、当事者の守備範囲の確定に不安のないように、

また、当事者にとって不意打ちにならないように、定められるべきことを主張した。

【特記事項】

囲碁が趣味であるが、近年、相手と時間がなくて、うっていない。

近頃、デジカメで花を撮っている。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 本間 義信■ 担当する領域科目名:民事訴訟法■ 研究テーマ

弁論主義について■ 取得学位:大阪大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:民事手続法・民事訴訟法

221

法務研究科

Page 36: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

222

法務研究科

【研究の概要】

財産法と家族法とが交錯する領域に属する問題として、現在、

1)相続と登記(我が国の「相続と登記」をめぐる問題の解決のためには、公的機関の介入に基づく相続

証明書の採用により、相続を契機とする法律関係が登記に正確に公示されることが必要ではないかと

の問題意識から、「ドイツにおける相続証書(Erbschein)の歴史的発展-我が国の「相続と登記」をめ

ぐる問題解決の準備作業として-」法学政治学論究15号189頁(1992)を皮切りに、諸外国における

このような制度を研究する)

2)遺言執行者の任務・権限(我が民法は、遺言執行者の存在を予定するが、条文上その必要性・権限の

範囲は決して明確ではない。遺言の受益者・相続人・第三者の利益衡量、さらには遺言自由の拡大の

方向性も考慮に入れつつ、我が国の遺言執行者制度の現代的意義を探る)に関する比較法的研究に力

を入れている。

今日の家族をめぐる財産関係の基本構造と取引社会において通用するさまざまな法原則との調整は、ど

のように図られるべきなのか。ドイツ・フランス・イギリスを比較法の対象として、研究を進めている。

【主な論文、著書など】

1)「死因贈与契約における受贈者の財産取得への期待とその保護―贈与者の死亡後に現れる問

題を素材として」判例タイムズ1198号76頁(2006)

2)「相続人資格証明制度の諸相―ドイツ/フランス法の対応―」公証法学34号71頁(2004)

3)「ドイツ/フランス法の遺留分」家族〈社会と法〉19号54頁(2003)

4)「遺言執行者による遺言執行」久貴忠彦編『遺言と遺留分第1巻遺言』299頁(日本評論社、2001)

5)「死因贈与と遺言執行者」中川淳先生古稀祝賀論集『新世紀へ向かう家族法』501頁(日本

加除出版、1998)

6)「無能力者の財産管理制度の現状と課題(特集・家族法の憲法的課題)」民商法雑誌111巻

4・5号114頁(1995)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「今期の裁判例」判例タイムズ民法判例研究会(2005. 1)

2)「相続人資格証明制度の諸相」日本公証法学会(2004. 6)

3)「ドイツ民法1433-1436条注釈」ドイツ家族法研究会(2003. 7)

4)「ドイツ/フランス法の遺留分」日本家族〈社会と法〉学会(2002. 11)

【特記事項】

高校・大学、テニスの選手として各地を転戦する。テニスのコーチで大学院の学費を稼ぐ。

千葉県立船橋高等学校出身(インターハイはベスト16)。趣味は料理。

法務研究科 法務専攻

非常勤講師 松尾 知子■ 担当する領域科目名:民法

■ 研究テーマ財産法と家族法の交錯

■ 取得学位:慶應義塾大学 法学修士、パリ第2大学 大学高等免状民法■ 研究分野を表すキーワード:相続と登記、遺言執行、死因贈与

Page 37: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

223

法務研究科

【研究の概要】

犯罪事実の認識がありながら違法性の意識を欠くことを違法性の錯誤といいますが、こ

の違法性の錯誤が刑事責任に及ぼす影響を考えるためには、違法性の意識の可能性が重要

な意味をもってきます。違法性の錯誤のために犯罪の成立が否定されることはあるのでしょ

うか、あるとすれば、それはどのような場合なのでしょうか。これを明らかにするために

は、第1に、故意と違法性の意識の可能性を体系上どのように位置づけるかという理論的

な問題、第2に、現行刑法の解釈としての条文根拠の問題、第3に、犯罪の成否を分ける

ものとしての違法性の意識の可能性判断の基準という実際上の問題を解決する必要があり

ます。責任主義の観点からは、犯罪が成立するためには違法性の意識の可能性が必要とな

りますが、犯罪事実の認識があれば原則として違法性を意識することは可能といえますか

ら、問題は、例外的に違法性の意識の可能性がないのはどのような場合かを明らかにする

ことにあります。この問題を解決するために、同じく責任の問題である責任能力や期待可

能性との関係をも視野に入れて考察を進めています。

【主な論文、著書など】

1)違法性の錯誤と違法性の意識の可能性、2006年、成文堂(予定)

2)判例講義刑法II各論(共著)、2002年、悠々社

3)判例講義刑法I総論 (共著)、2001年、悠々社

4)違法性の意識の可能性、1992年、成文堂

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)日本刑法学会関西部会共同研究「法人処罰論の今日的視点」(2000年)

2)日本刑法学会第73回大会ワークショップ「両罰規定の現状、問題点と展望」(1995年)

3)日本刑法学会第71回大会研究報告「違法性の意識の可能性の判断基準」(1993年)

4)日本刑法学会第70回大会ワークショップ「故意と違法性の意識」(1992年)

【特記事項】

・社団法人京都犯罪被害者支援センター会員

・出身高校:愛知県立千種高等学校

・特技:絵画(特にフェルメールやルドン)なら、時間を忘れて鑑賞できます。

法務研究科 法務専攻 

教授 松原 久利■ 担当する領域科目名:刑法■ 研究テーマ

刑事責任論■ 取得学位:同志社大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:刑法、刑事責任、違法性の錯誤、

違法性の意識の可能性■ 研究室電話番号:■ e-mail:

Page 38: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【得意とする分野の概要】経済のグローバル化に伴い国際課税問題が大きく取り上げられ、企業が海外に進出する

際、国際課税の問題は常に直面せざるを得ない状況である。また、金融取引や組織形態の多様化に伴い国際租税回避の様態が多様化してきていることから、各国においても海外への税金の流出を防止することが現在大きな一つのテーマとなっている。これらの問題意識を前提に、関係国が行う課税権の行使のルールと争点に焦点を当てて、主に租税実体法上の問題を理論的かつ実務的な観点から研究している。二重課税排除に大きな役割を果たす租税条約の論点についても継続的に取り組んでいる。実務においては、主に、近時、日本において執行体制整備が進んでいる移転価格税制に関する税務調査対応、プランニング及び事前確認取得支援等企業グループ内の取引に関する課税問題を取扱っている。関連会社間における取引(国際取引に限らない)の課税問題は租税実体法上の古くて新しい問題であり、無形資産及び役務提供等様々な取引の展開に関わる租税法上の問題を検討している。

【携わった主な訴訟、著書など】1)「無形資産取引と役務提供取引」税務弘報第53巻13号(2005年)。2)朝日監査法人・あずさ監査法人著『最新-会計・税務・経営キーワード』(2003年・共著)。

3)OECD編『所得と財産に対するモデル租税条約(簡略版)』川端康之監訳・分担訳、租税研究協会(2003年)。

4)「多国籍企業のグローバル税務戦略について」租税研究642号(2003年・共著)。5)「タイ・マレーシア移転価格税制と日系企業の対応(前編・後編)」国際税務第22巻10号・11号(2002年・共著)。

6)「1979年UNESCO・WIPO著作権使用料二重課税防止条約」租税研究630号(2002年・共著)。

7)『[徹底解剖]税務コストの減らし方-すぐに役立つ国際税務戦略のノウハウ』中央経済社(2002年・共著)。

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)「多国籍企業のグローバル税務戦略について」(2002年11月20日、日本租税研究協会

にて講演)2)「日本における移転価格課税の最近の動向」(2003年11月6日、KPMGセミナーにて講演)

3)「グループ間取引に関する税務」(2004年3月1日、商事法務研究会内経営法友会にて講演)

【特記事項】実際に企業が国際租税法上のどのような問題に直面し、どのような対応を行っているか

について興味がある方、是非受講してください。

法務研究科 法務専攻 

非常勤講師 水野 正夫■ 担当する領域科目名:国際租税法■ 関心のある法律問題

租税法・国際租税法一般■ 最終学歴:関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了■ e-mail:

224

法務研究科

Page 39: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

225

法務研究科

【得意とする分野の概要】

特許・実用新案・意匠・商標の産業財産権及び著作権・不正競争防止法に関する侵害事

件やこれらに関係する契約や法律相談を多く取り扱っています。また、関連して放送関係

や独占禁止法にかかわる事案を扱うこともあります。

得意と言うよりも、実務を処理していく中で、私自身も興味があり、依頼事件も自然と

増えていく中で、現在では、大半が上記分野に関する案件処理が中心になっています。

最近では、デジタルやネットワークに絡む案件が増えています。職務発明など様々な話

題となる議論が今後も続出し、裁判のスピードも早く、注目すべき新判例も続出し、やり

甲斐のある分野です。興味のある方はおくせず挑戦して欲しいと思います。

【携わった主な訴訟、著書など】

新聞や判例集あるいは評釈の対象となった訴訟事件は、幾つもあります。ここに逐一あ

げることは差し控えさせて頂きます。

最近の著書を1冊だけ挙げておきます。「実務解説・知的財産権訴訟[第2版]」(松村

信夫弁護士との共著・2005年4月法律文化社より発刊)。

【教員の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

京都教育大学・近畿大学・摂南大学・大阪工業大学等で非常勤講師として法学・知的財

産権・経営法学を教えたことがあります。

最近では、アジア・太平洋知的財産権法制研究会員(平成14・15年度 法務省法務

総合研究所国際協力部)としてシンガポールに知的財産法制の実地調査に行ってきました。

また、ここ数年は、特許庁の工業所有権審議会臨時委員として特定侵害訴訟代理業務試験

部会で弁理士の能力担保措置に関するお手伝いをしております。

【特記事項】

「お茶」に少し興味を持って習っておりましたが、一時中断しています。「書」もやって

みたいと思っていますが、時間がとれません。2年ほど前に、やってみたいこと一覧を作

ってみましたが、20以上ありました。「二兎を追いかけるもの」にならないようにとは思

っているのですが。日本画を鑑賞するのも大好きです。事務所の近くには、国立国際美術

館や東洋陶磁美術館があり、散歩をかねて時々出かけます。

法務研究科 法務専攻 

教授 三山 峻司■ 担当する領域科目名:知的財産法、民事訴訟法■ 関心のある法律問題

情報をキーワードにして、これに関係する様々な法律の相互関係に絡む法律問題。特に情報に関する不正競業事案の処理について、未開拓の法領域に関する実務処理。

■ 最終学歴:中央大学 法学部法律学科

Page 40: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】土地や建物といった不動産は、われわれ人間が生活していく上で欠くことの出来ない資

産であるが、その資産は他人から譲り受けることで手に入れることができるほか、他人から借りて利用したり、所有者自身が担保として提供するなどして活用される。そうした不動産の利用は多くの場合契約であるとか相続といった法律に関わる問題に直面する。そうした法律問題は限られた資産である不動産を有効に利用するための方策と密接な関係がある。不動産を所有している者は自分にとって最も価値のある状況での利用を考えることになる。その場合、理解しておかなければならないのは不動産はそれ自体が価値を生み出すのではなく、人間が使用して初めて価値を生み出すということである。したがって、不動産をどのように活かして使用することを考えられるかということを抜きにしては、不動産の価値を評価することはできないことである。そうしたことを十分に考慮に入れて不動産の利用についての法律問題を考察していきたいと考えている。

【主な論文、著書など】1)平成16年「土地家屋調査士の業務と制度」大阪土地家屋調査士会編 平成14年に改正された土地家屋調査士法の逐条解説と調査士の仕事についての研究をまとめた著書。代表編集者として出版したもの。

2)平成15年「抵当権の本質に関する一考察」法学新報第110巻第1・2号(三和一博先生退職記念論文集)中央大学法学会 抵当権に関する判例の理解が最近大きく変化してきている状況に対して疑問を提示した。

3)平成15年「権利の客体としての土地-土地家屋調査士の仕事-」産大法学第36巻第4号京都産業大学法学会 土地境界は実務の上では重要な役割を果たしているが、その判断に関わる土地家屋調査士の仕事の重要性を明らかにした。

4)平成15年「不動産登記法改正に向けて-「不動産登記制度」思いつくまま-」月刊登記情報494号商事法務研究会 不動産登記制度のIT化を前にして法改正に置いて留意すべき点を指摘した。

5)平成13年「抵当権者による土地に対する支配権の内容」現代民法学の理論と実務の交錯(高木多喜男先生古稀記念論文集)成文堂 抵当権が有する物権的支配権の内容について考察したもの。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】1)日本私法学会会員2)日本土地法学会理事3)日本比較法学会会員4)日本家族(社会と法)学会会員5)財団法人日本不動産学会会員

【特記事項】京都生まれの京都育ち法律の勉強は、まず人や社会に対する関心から始まると考えている。

法務研究科 法務専攻 

教授 村田 博史■ 担当する領域科目名:民事法

■ 研究テーマ

不動産利用に関する法律問題

■ 取得学位:同志社大学 法学修士

■ 研究室電話番号:

■ e-mail:

226

法務研究科

Page 41: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

227

法務研究科

【研究の概要】

企業、特に株式会社に関する法律問題を、商法(会社法)、証券取引法や税法を検討し

つつ、多面的に分析・研究している。株式会社の組織や活動、株式会社が発行する株式や

社債についての取引、法人税制度が会社の組織や活動に与える影響等を分析し、生ずる法

律問題の解明を試みている。

【主な論文、著書など】

1)「判例評釈」最高裁昭和40年9月22日第3小法廷判決

『会社判例百選』〈第7版〉71(平成18年4月)

2)「現代の商法 -会社法-」

『現代の法学入門4版』(中央経済社)169~208頁(平成18年4月)

3)「商品先物取引の勧誘 -最近の判例-」

『商品取引所論体系12』(全商連)36頁(平成16年3月)

4)「英国の裁判所と社会福祉 -司法と社会福祉のための覚え書き-」

『21世紀の法・福祉・医療』(中央経済社)331頁(平成14年6月)

5)「判例評釈」東京地裁平成12年4月26日判決

『私法判例リマークス』№23(平成13年7月)

6)「内部者取引と取締役の責任」

『企業の健全性と取締役の責任』438頁(有斐閣)所収(平成9年4月)

7)「米国商品取引所法における詐欺禁止規制」 産大法学30巻3・4号(平成9年2月)

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

京大商法研究会、証券取引法研究会(大証)(昭和54年4月~平成12年12月)、日本私法

学会、経済法学会、商品取引所法研究会(昭和54年4月~平成8年3月)、日本商品先物

取引協会研修委員会委員、財団法人 大学コンソーシアム京都 インターンシップ事業 ビジ

ネスコース実習生ゼミ担当、商品取引所問題研究会(全国商品取引所連合会)会員

【特記事項】

出身高校:新潟県立十日町高等学校

趣味:年一回のスキー旅行および卓球や散歩

法務研究科 法務専攻 

教授 山田 廣己■ 担当する領域科目名:企業法・証券取引法■ 研究テーマ

会社法、証券取引・先物取引規制研究■ 取得学位:金沢大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:会社法、商法、証券取引、金融商品取引■ 研究室電話番号:

Page 42: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

【研究の概要】

債権関係に3人以上が関係する場合の問題、とくに求償や代位のように、ある人がいっ

たん負った負担を、他の人に転嫁できるような制度に関心がある。別の言い方をすれば、

結局、誰が債務を最終的に負担することになるのか、その最終の負担者を決める基準は何

なのか、という問題である。

いまは、その一環として、保証と損害担保契約をとりあげて、債権者、債務者、保証人

(ないし損害担保債務者)の3人の法律関係を、様々な角度から分析している。3人の法

律関係を整理するには、2人ずつの法律関係を別々に分析して足せばよいのではなく、常

にもう1人の利害を視野に入れなければならないので、難しくかつ面白い。

また契約責任や不法行為責任など損害賠償法に関しては、十分に解決できていない各論

的問題がまだまだ多いため、それらについても研究している。他大学の研究者と共同で、

情報ネットワークの発展にともなって新たに生じてきた損害賠償問題を、総合的に研究し

ているが、これにも力を注いでいる。

【主な論文、著書など】

1)「インターネット・オークション運営者の不法行為責任」民商法雑誌133巻4=5号

(2006年、有斐閣)権利侵害の不正な出品についての運営者の責任の比較法的研究

2)『注釈国際統一売買法Ⅰ、Ⅱ』(共著)(2000年、2003年、法律文化社)

国際取引に関する著名な条約「国連動産売買条約(ウィーン売買条約)」の詳細な研究

3)「外国人の人身損害における逸失利益」信州大学法学論集創刊号(2002年)

外国人の逸失利益の算定についての判例と学説の網羅的な検討にもとづく研究

4)「契約の第三者保護効についての最近の議論と展望」『石田喜久夫先生古稀記念論文集』

(2000年、成文堂)契約責任が当事者でない第三者に生じた損害にも及ぶかの研究

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

1)「神戸大学情報ネットワーク法研究会」2003年12月研究報告

「プロバイダの責任~日本(+EU・ドイツ)の状況」

2) 神戸大学民法判例研究会2003年11月判例研究報告

「破産による主たる債務者の法人格消滅と保証人による消滅時効の援用」

(最判平成15年3月14日 民集57巻3号286頁)

法務研究科 法務専攻 

教授 山本 宣之■ 担当する領域科目名:民法■ 研究テーマ

民法、比較法■ 取得学位:同志社大学 法学修士■ 研究分野を表すキーワード:民法、契約、不法行為、損害賠償、保証■ 研究室電話番号:■ e-mail:

228

法務研究科

Page 43: 法務研究科 法務専攻 · 刑事模擬裁判、 刑事法演習Ⅱ t井 裕之 憲法 基本的人権の基礎理論 t嶌 英弘 民法、法情報学、 契約法における債務構造論の研究、

229

法務研究科

【研究の概要】

環境、土地行政における行政法上の諸問題を主要な研究テーマとしている。その際に、実

定法の解釈を行なうのはもちろんであるが、より公正で合理的な行政の法システムを構築す

ることも視点にすえている。具体的には、わが国の損失補償に関する諸問題(例えば規制に

よる収用における補償要否基準の具体化、損失補償の裏返しの問題として開発負担システム

など)、および環境法分野に属する諸問題(例えば、土壌汚染浄化システム、有害物質に係

る情報公開システム、有害物質に係るリスク・アセスメント、嫌忌施設建設におけるリス

ク・コミュニケーションなど)について、アメリカ法も参考にしつつ、研究を進めてきた。

今後も同様な視点から、さらに土地収用法のシステムなどの研究をしていくつもりである。

【主な論文、著書など】

最近の論文をあげておく

1)「事業認定と都市計画事業認可―判断過程合理性審査における考慮要素を中心に」

占部=北村=交告編『解釈法学と政策法学』(勁草書房、平成16年)

わが国の最近の関係判例を、行政裁量に対する判断過程合理性審査における考慮要素

に着目して、分析類型化を試みた。

2)「アメリカにおける収用手続と収用訴訟―ハワイ州とフロリダ州を中心として―」

寺田=平岡=駒林=小早川編『現代の行政紛争 小高剛先生古稀祝賀』(成文堂、平成15年)

アメリカにおける収用手続と収用のための訴訟における司法審査をわが国のそれと比

較検討した。

3) 「アメリカにおける大規模施設立地の計画と収用」『大規模施設の立地計画・収用に

関する法制度』(日本エネルギー法研究所、平成15年)所収

アメリカにおける廃棄物処分場等の大規模施設建設に係る計画体系と収用手続を検討

した。

4)「大規模施設建設事業過程における第三者参加-ハワイ州-」『大規模施設の立地計画・

収用に関する法制度』(日本エネルギー法研究所、平成15年)所収

ハワイ州の廃棄物処分場等の大規模施設建設過程における主として住民参加を検討した。

【教員および院生の活動記録(学会および研究会などでの発表)】

平成16年12月 関西行政法研究会、行政法務研究会

【特記事項】

昭和30年生まれです。広島県立福山誠之館高校、大阪外大(英)、神戸大(法)卒業後、地方公務員(福山市職

員)を経て神戸大学大学院で学び、平成6年から大学教員になりました。マイペースで人生を歩んでいます。

法務研究科 法務専攻 

教授 由喜門 眞治■ 担当する領域科目名:公法基礎Ⅰ、公法総合Ⅰ、公法総合Ⅲ、 環境法■ 研究テーマ

公正・合理的な行政法システム■ 取得学位:法学修士(神戸大学)■ 研究分野を表すキーワード:行政法システム、損失補償、土地収用、

環境リスク■ 研究室電話番号: