紫外線硬化型frpによる木造建築物の耐震性向上に...
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1210920107 石橋 玲於
紫外線硬化型FRPによる木造建築物の耐震性向上に関する研究
-FRPの耐力特性-
建築材料研究室
FRPのガラス繊維の大きさや形、配置によってFRPの耐力特性はどのように変わるのか、それによってどのような材料や用途に適したものがあるのかを検討し木材の耐震性の向上につなげることを目的とする。
繊維直交方向に対しては強度が低いという木質材料の強度的弱点を紫外線硬化型FRP を用いて補強することで,木造建築物の新たな可能性を検討するもの。
研究目的
本試験で扱うFRPシート
1)はさみカッターなどの加工が容易 2)折り曲げ加工が容易 3)穴あけ釘打ちが容易 4)ガラス繊維なので透明であまり目立たない
本試験で取り扱うFRPシートはガラス繊維で構成されており、シートがUV(紫外線)に触れることによって短時間で硬化し、シートに含まれる樹脂により強度を増していくものである。
実験計画・方法
・FRPシートの加工 ・素材引張試験 ・ 屋外曝露試験 ・屋外外曝露試験後の引張試験
G 繊維種類 (G:ガラス) UD 繊維補強材の入っている方向 (UD(ユニダイレクション):単一方向) 1 2 単位面積当たりの繊維量 (12→1200g/m2)
G 繊維種類 (G:ガラス) C 繊維補強材の入っている方向 (C(クロス):直行二方向) 6 単位面積当たりの繊維量 (6→600g/m2)
試験体種類・寸法
JIS7054-1995
GUD 12
GC 6
試験体の種類 GUD12.GC6.GUD12Tと屋外曝露試験のGUD12の試験体は各シートの種類ごとに5体ずつ作成した。
素材引張試験
引張試験結果 試験体A 試験体B 試験体C(GUD12.GC6.GUD12T)の破断形状
試験体A 試験体B 試験体C
素材引張試験
試験結果(平均)
引張試験結果 GUD12.GC6.GUD12Tの荷重-変位グラフ
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
0 5 10 15
荷重
(kN
)
変位(mm)
試験体A GUD12
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
0 5 10 15
荷重
(kN
)
変位(mm)
試験体B GC6
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
0 5 10 15
荷重
(kN
)
変位(mm)
試験体C GUD12T
試験体番号 種別 最大荷重 最大応力度 単位幅あたりの破断耐力 最大荷重時変位 シート・ヤング係数A GUD12 18.01 299.94 0.720 9.31 19960B GC6 2.54 84.80 0.102 4.20 19000C GUD12T 0.97 16.05 0.039 1.78 6.02E+03
kN N/mm2 kN/mm mm N/mm2
従来品 新仕様 従来品 新仕様
繊維の太さ 繊維の数
GC6 従来品と新仕様
繊維の大きさ、数が異なる従来品と新仕様のシートの耐久性を比べる。 従来品と新仕様の違いを示す。
従来品と新型では繊維量と繊維の大きさが主に異なる。 従来品のほうが新仕様よりも最大耐力が大きく、さらに変位も大きくなっている。
繊維素材比較
同じ繊維量で繊維の太さより繊維の数が大きいほうが強度が大きくなることがわかった。
屋外曝露試験
建築実験塔の屋上にGUD12試験体Dの試験体を屋外に置き紫外線によって屋外曝露する前と後では耐力が劣化するかを104日間行いその後引張試験で耐久性を調べた。
屋外曝露試験 屋外曝露試験前
屋外曝露試験後
104日後
屋外曝露試験
試験体A 試験体D
屋外曝露試験
試験結果(平均)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
0 2 4 6 8 10 12
荷重
(kN
)
変位(mm)
試験体A GUD12
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
0 2 4 6 8 10 12
荷重
(kN
)
変位(mm)
試験体D GUD12屋外曝露
試験体記号 種別 最大荷重 最大応力度 単位幅あたりの破断耐力 最大荷重時変位 シート・ヤング係数A GUD12 18.01 299.94 0.720 9.31 19960D GUD12(曝露) 17.7 294.98 0.707 9.17 20407
kN N/mm2 kN/mm mm N/mm2
まとめ
FRPの素材の種類、配置、数によってFRPの素材耐力特性が変わることがわかった。 FRPの種類によって建築のなかで用途によって使いわけることができる素材であることがわかった。木材の弱点である繊維直交方向の体力にもFRPを利用することで補強できることがわかった。長期にわかり使用しても耐久性の劣化はあまりみられなかったので使用用途が増えていくのを期待したい。