習熟度別リスニング指導の成果(2) -...

19
4 , 9 , Comprehension) (1) (2) (210) 143

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はじめに

グローバル英語学科における

習熟度別リスニング指導の成果 (2)

上 田 d恒 友住

前回に引き続きグローパル英語学科の習熟度別クラス編制を取り入れた授業体制の中

で,筆者が担当しているオーラルコミュニケーション I 及び II の授業での英語力養成を

目指した指導を行った結果,特に受講生のリスニング力推移の観点から,習熟度別にク

ラスを分けて指導することで英語リスニング力の向上が見られるかどうかを検証する。

今回も前回同様,英語能力判定試験の CASEC を利用して 1 年生及び 2 年生のリスニン

グ力を年 3 回( 4 , 9 , 12 月)測定するだけでなく 3 年生に関しては毎年 12月初旬に

受験する TOEIC のリスニングセクションのスコア結果も採り入れて, 1 年次から 3 年

次へのより長期に渡る変化の過程も併せて考察してみる。

Listening 指導法の概要

「聴解 (Listening Comprehension) J は,日常生活の言語によるコミュニケーションの

40-50% を占め,言語活動の中心といえる。聴解は同じ理解過程である読解同様,単に

意味を受け取る過程ではなく 聞き手の既有知識を援用しながら積極的に意味を構築す

る過程であるとの理解が広がっている。具体的には 言語的に小さい単位(音韻,単語

など)から順に大きい単位(節,文,文章や段落)へと理解を積み重ねていくボトム

アップ処理と,聞き手の持つ一般的な知識(スキーマ)や文脈から予測や推測を手がか

りに理解を進めていくトップダウン処理の 2 つを組み合わせて理解を進めているとする

考え方が一般的である。具体的には聴解の過程を支えるストラテジーを導入し,学習者

が(1)目的を意識して聞く (2)先を予測しながら聞く, (3)聞いて理解したことに反応す

る, (4)理解できなかった部分を推測する, (5)予想や推測の結果を確認する, (6)理解でき

なかったことを聞き返す の 6 つのストラテジーを意識し 自らの理解を確認しながら

聞く (モニター)することが重要である。これらの研究成果から,効果的な指導法の要

件を次のように整理することができる 。

(1) 聴解指導を,プレリスニング,リスニング,ポストリスニングの 3 つの段階に分ける 。

(2) プレリスニングの段階ではトップダウン的な聞き方を支援するため,学習者に対

(210) 143

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人間文化第25号

する動機付けを図り,学習者の既有知識の活用を促し,学習者が能動的に聴解に取

り組めるようにする。

(3) リスニングの段階では,聞く目的を意識させ,ボトムアップとトップダウン双方

の聴解過程を意識した練習を行い,先を予測しながら聞いたり,理解できなかった

部分を推測したり,予測や推測の結果を確認しながら聞くなどの聴解ストラテジー

を学習者に意識させる。

(4) 自らの理解を確認しながら聞くこと(モニター)を促進する。

(5) ポストリスニングの段階では 聞いて理解したことに対して学習者に能動的な何

らかの反応を求め,理解度を確認させる。

“聞く"というリスニングの力をさらに高めるための最適なトレーニングは,英文を

“書き取る"ことである。英語の音声を流し,聞こえてくる英語を書き取る「ディクテー

ション」が筆者の担当するオーラルコミュニケーションの授業でのリスニング活動の中

心になっている。

またリスニングには,多聴と精聴という 2 つの練習法があり,多聴は英語を長時間

シャワーのように浴びて耳を慣らす方法で 上級者向け。精聴は 1 つひとつの音をじっ

くりと理解できるまで聞く方法で,初心者向け。特にリスニング初心者は, この精聴か

ら始めることが効果的で,英語の音を細かく聞き取る最も良い方法が,やはりディク

テーションである。

精聴を行うにあたり,重要なことが 2 つある。 1 つは“使われている単語を知らなけ

れば,理解はできない"ということ 。 つまり,ある程度の語嚢力が必要不可欠である。

そして 2 つめは,正確に単語の発音を知っておかなければいけないということ。正しい

発音を知らなければ, どんな単語を表わしているのか,聞き取って理解することは不可

能である。

具体的にはこの語嚢力の養成と同時に発音も習得させることを目指し,実際の授業で

はアメリカのニュース番組である ~VOA.!Iを教材として利用している。

VOA (Voice of America) は世界中の人々が聞いているアメリカの国営放送である。

インターネットを利用する場合には, http://www.voanews.coml で直接聞くこともできる。

VOA の中に,日本人の英語学習者には最適と思われる Special English (特別英語)とい

う英語による放送がある。語葉数が約 1500語と限られ,スピードも普通の英語の約 3

分の 2 の 100.-..... 120語程度と遅い。 VOA放送の Special English によるニュース番組をディ

クテーション・プログラムとしてうまく利用することで, リスニング能力の向上が期待

できる 。 ディクテーションの優れているところは どの能力レベルにも適応できるプロ

グラムであり,学習方法が単純であるために,英語能力が低くてもある程度の時間をか

ければそれなりの成果が挙げられるということである。英語能力が高ければ,さらに

もっと効率よく, しかもはるかに正確にディクテーションの作業を進めることができ

144 (209)

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グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

る。しかし,英語能力が低くてもまったくディクテーションという作業ができないわけ

ではない。効率は悪いが作業はできるということであり,例えば同じ単語を何度も聞け

ば,聞いた単語のいくつかは正しくディクテーションをすることはできる 。 授業では辞

書を使うことも許可されているので,スペリングも正しく書けるかもしれない。これら

はいずれも正答率に寄与する 。 英語能力の高い受講者は l 回さっと聞いただけで 5 ,

6 語ぐらいは軽く記憶でき,一気にディクテーションすることができる 。 ディクテー

ションとは,単に物理音としての言語音を聞いて書き取る作業ではなく,絶えず言語音

と意味とを対比させながら英語を書き取る作業であるからである 。 この作業を正確にで

きる人は Listening スコアが高く,正確度が低い場合には Listening スコアが低くなるの

は当然である。

授業ではいきなりディクテーション作業に入るのではなく,先ずスクリプトを参照し

語嚢の確認をしながら,一度最初から最後までニュース英語を通して聴くことで,概要

を把握することを試みる 。 その後スクリフトを見ずに, 耳からの音声情報だけでディク

テーションを行い,聞き取った内容をスクリプトと照合して正しく書き取れたかどうか

を確認する作業を行う。ニュースの内容を理解することは勿論のこと,正確に聞き取れ

るまで何度も繰り返し練習することで,語嚢及びその発音を確実に習得させることがポ

イントになる 。

なお,基本的なリスニング指導法は 1 , 2 年生とも共通しており,習熟度クラスのレ

ベルに応じて教材の難易度を変えたものを使い分けることで受講生の能力に沿った授業

を展開することが可能となっている。

調査研究対象

リスニング力の変化を観察・分析するためにオーラルコミュニケーション I 及び II の授

業でリスニング能力向上を目指し指導した結果を研究対象として 下記の 2 学年分の学

生データをそれぞれ集計,分析する。 データ は後述する CASEC の試験結果を使用する 。

(1) グローパル英語学科平成20年度入学生( 2 年生)の2009年 4 月, 2009年 9 月,

2009年 12月に実施した CASEC 試験の結果。

(2) グローパル英語学科平成21年度入学生( 1 年生)の 2009年 4 月 , 2009年 9 月,

2009年 12 月に実施した CASEC 試験の結果。

さらに今回は上記の 2 つに加えて平成 19年度入学生( 3 年生)が年一度過去 3 回受

験した TOEIC のリスニングセクションのスコア結果を利用して 3 年間の英語リスニン

グカの推移も考察対象として加える 。

CASEC(I)の概要

学習の成果を見るためのデータ分析用に使用する英語試験として 客観的な英語能力

(208) 145

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人間文化第25号

を測定するために側教育測定研究所が実施している CASEC (Computer Assessment

System for English Communication) という英語コミュニケーション能力判定テストを用

いた。 CASEC は,個人の能力に合わせてテスト問題を変化させていく,適応型のテス

トシステムで,短時間で正確な測定が可能となっている。試験時間の平均は約30'"'"'40

分で,テスト自体は 4 つのセクション (Section1 '"'"'Section4) から構成され, Section1 は

「語嚢の知識j , Section2は「表現の知識j , Section3 は「リスニング、で、の大意把握能力 j ,

Section4 は「具体情報の聞き取り能力」を測定するものである。各セクションの配点は

250点で,コンビュータを利用してオンラインで受験するため,その場で採点,テスト

終了後すぐにスコアが表示される。なお,今回の調査分析はリスニング力の推移を観察

することを目的としているので,試験後半のリスニングに関連した Section3 と 4 のスコ

ア結果だけを基に検証を進めることとする。

データ集計・分析

本調査研究の学習効果の有無の検証には,上でも述べたように英語のリスニング作業

を伴う CASEC の Section3 (Listening Comprehension) (2) と Section4 (Dictation) (3) の試験

結果を使用し考察する。 Section3 は問題はリスニング形式で出題され,解答は 4 肢択一

形式である。なお問あたりの解答制限時間は 60秒で,問題数は 15問(配点: 250

点)である。 Section4 は同じくリスニング形式で出題され,解答形式はディクテーショ

ン(書き取り)となっている。問題数は 10問で, 1 問あたりの解答制限時間 120秒(配

点: 250点)である。

先ず平成20年度入学生の 3 回の CASEC の試験結果に基づく Section3 と Section4 を並

べた統計データを順に表 1 から表 3 (その下に Section3 と Section4 の得点頻度を表した

ヒストグラムを付加)に示す。

表 1 (2009年 4 月1H20年生)

Section3 Section4

平均 142.4375 平均 128.4821429

標準誤差 2.366574034 標準誤差 1.96260824 中央値(メジアン) 143.5 中央値(メジアン) 131 最頻値(モード) 150 最頻値(モード) 139 標準偏差 25.04546541 標準偏差 20.7702933 分散 627.2753378 分散 431.4050837

尖度 0.031948823 尖度 0.256197346

査度 -0.095632144 査度 -0.316079083 範囲 120 範囲 112 最小 78 最小 66 最大 198 最大 178 合計 15953 合計 14390 標本数 112 標本数 112 信頼区間 (95.0% ) 4.689524289 信頼区間 (95.0%) 3.889039125

146 (207)

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グロ ーパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

25

20

頻度 15

10

11.11.11111111 -頻度。

CD CND C寸 C、0コ <0DC CCーDD CNーコ C寸ー C、ー。D C。-cD ζcN D p CNN D 勺己Q侵〉ど

データ区間告示

図 1-1 Section3 (Aprill09 2 年生)

30

25

20

震 1510

1111111... -頻度。

。 。刊 。でT 。、c 。oc 。Oー 。Fー4 。寸ー 。、ー。 。。-C 。CND 。FN4 勺出Q 誕

データ区間手百

図 1-2 Section4 (Aprill09 2 年生)

表 2 (2009年 9 月 1H20年生)

Section3 Section4

平均 151.8495575 平均 138.699115

標準誤差 2.213523729 標準誤差 1.810817202

中央値(メジアン) 150 中央値(メジアン) 142

最頻値(モード) 166 最頻値(モード) 146

標準偏差 23.53008 標準偏差 19.24925089

分散 553.664665 分散

尖度 0.821056462 尖度 0.495755498

歪度 -0.083113646 歪度 -0.071246209

範囲 137 範囲 115

最小 79 最小 87

最大 216 最大 202

合計 17159 合計 15673

標本数 113 標本数 113 信頼区間 (95.0%) 4.3858り391 巨額同 (95.0%) 3.587902052

(206) 147

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人間文化第25号

25

20

頻度 15

10

..111111.._1 -頻度。

CD C「24 0寸 4UD D COD C CCーPD CFーD4 C寸ー<:、ー。D C。-。D C。ND C刊ND 勺合Q使イ

データ区間対

図 2-1 Section3 (Septl09 2 年生)

25

20

頻度 15

10

置 .111111. 信頻度

CD CFP A C寸<:、。D ∞o <:。ーD CNー c寸ー:> c、ー。 c∞-D C。ND C刊ND 勺dQ唱〉さイ

データ区間告示

図2-2 Section4 (Septl09 2 年生)

表 3 (2009年 12 月 1H20年生)

Section3 Section4

平均 159.25 平均 139.4732143

標準誤差 1.686854886 標準誤差 1.930665951

中央値(メジアン) 157 中央値(メジアン) 140.5

最頻値(モード) 161 最頻値(モード) 137

標準偏差 17.85199411 標準偏差 20.43224788 分散 318.6936937 分散 417.4767535

尖度 0.513843499 尖度 0.569471467

歪度 0.31518423 歪度 -0.657213848

範囲 92 範囲 100

最小 122 最小 80

最大 214 最大 180

合計 17836 合計 15621 標本数 112 標本数 112 信頼区間 (95.0%) 3.342615463 信頼区間 (95.0%) 3.825743348

148 (205)

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グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

nuζJAυqJAUZJAU

今3

司,hqJU--11

頻度

-頻度

。円

。 o cコ o 0 0 0 0 0 0 0 世〉ぜ寸 、。 ∞ 。("'斗 寸 、。 ∞ 。<'lヤ建

ーーーー<'l <'l 8'

手、データ区間

図 3-1 Section3 (Dec/09 2 年生)

AUN3nUF3nv

弓dAU

3

2

2

1

1

頻度

m 頻度

。円

。 。u­

。寸【

。N­

ooュ。∞

。ゅ

。寸

データ区間

出噌Q録

。NN

。。刊

。∞

図 3-2 Section4 (Dec/09 2 年生)

続いて平成21年度入学生の 3 回の CASEC の試験結果に基づく統計データを同じよう

に順に表 4 から表 6 (その下に Section3 と Section4 の得点頻度を表したヒストグラムを

付加)に示す。

表 4 (2009年 4 月 1H21 年生)

Section3 Section4

平均 129.6153846 平均 114.8461538

標準誤差 2.608718574 標準誤差 1.97175831 中央値(メジアン) 126 中央値(メジアン) 112

最頻値(モード) 119 最頻値(モード) 112

標準偏差 29.74396809 標準偏差 22.48150369

分散 884.7036374 分散 505.4180083

尖度 0.464869004 尖度 -0.214685721

歪度 0.018147703 査度 -0.204155855

範囲 170 範囲最小 49 最小 46

最大 219 最大 161

合計 16850 合計 14930

標本数 130 標本数 130 信頼区間 (95.0%) 5.161413519 信頼区間 (95.0%) 3.901172055

(204) 149

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30

25

20

震 1510

I I I I I I I I I I I _ - 頻度

CD C「D4 でCTコ C可EP COC D CCーD〉 C「ーD4 CでーTD C、ーοD Co-c P CcN DD CFN コA 勺ーQ信メ号

データ区間手ぷ

図 4-1 Section3 (April/09 1 年生)

35

30

25

頻度 20 15

10

.1111.11 際 頻度

CD CN2 0寸 0。 ∞o 0。ー 0Fー4 C寸ー c泡ーP OO-D CON CFN D4 。bQ番号イ

データ区間告示

図 4-2 Section4 (April/09 1 年生)

表 5 (2009年 9 月 1H21 年生)

Section3 Section4

平均 131.992 平均 121.208

標準誤差 2.784368719 標準誤差 2.380737105 中央値(メジアン) 132 中央値(メジアン) 124 最頻値(モード) 123 最頻値(モード) 145 標準偏差 31.13018865 標準偏差 26.61745001 分散 969.0886452 分散 708.4886452 尖度 2.253226236 尖度 5.338063908 歪度 -0.796059895 歪度 -1.475439809 範囲 192 範囲 179 最小 0 最小 。

最大 192 最大 179 合計 16499 合計 15151 標本数 125 標本数 125

げ言頼区間 (95 .0%) 5.511045571 信頼区間 (95 .0%) 4.712145554

150 (203)

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グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

ハU

戸、dAUζJ

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度AUζJAU

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-頻度

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データ区間

出端QMm

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O寸【

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ooュ。∞

図 5-1 Section3 (Septl09 1 年生)

25

-頻度

20

頻 15

度 10

5

。N

。 写 3528 Fミミ23 2 8 R 誕ーーーー N N Q

告示データ区間

図 5-2 Section4 (Septl09 1 年生)

表 6 (2009年 12 月圧I2 1 年生)

Section3 Section4

平均 138.5087719 平均 122.8596491

標準誤差 2.459207502 標準誤差 2.102293097

中央値(メジアン) 142 中央値(メジアン) 123

最頻値(モード) 151 最頻値(モード) 111

標準偏差 26.25715094 標準偏差 22.44634791

分散 689.4379755 分散 503.8385344

尖度 0.481787879 尖度 0.363663252

歪度 -0.579187135 歪度 -0.498572942

範囲 141 範囲 125

最小 53 最小 45

最大 194 最大 170

合計 15790 合計 14006

標本数 114 標本数 114

信頼区間 (95.0%) 4.872133448 信頼区間 (95.0%) 4.165021661

(202) 151

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人間文化第25号

25

20

頻度 15

10

111111111. - 頻度。

CD CFDA C守 C、0D C9C コ CCーD〉 CFー4〉 CでーDr C、ー0D C0-CD CCN D D CPN 4D 与eQ高是ィ

データ区間告示

図 6-1 Section3 (Dec/09 1 年生)

25

20

頻度 15

10

11111111.1 - 頻度。

。 Fミ 写 宅 富 Sー Fー3 写ー S ー E - s N aNg報官語

データ 区間

図6-2 Section4 (Dec/09 1 年生)

上掲した以上の統計数値データを概観すると,平成20年度生 21年度生ともに

Section3 , Section4 の両方の平均点が試験を追うごとに伸びていることが判る。試験毎

のヒストグラムのピークの山も右側(高得点、側)に推移していることからスコアが上昇

していることが見て取れる。特に平成20年度生は 4 月から 9 月にかけての,伸びが顕

著である (4)。より明確に示すために,先ず平成20年度入学生が受けた 3 回の CASEC 試

験に於ける Section3 (Listening Comprehension) と Section4 (Dictation) の平均点のみを

抜き出し,その推移をそれぞれ折れ線グラフで表したものを示す。

152 (201)

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180

160

140

平 120

均 100

点 8060

40

20

0

グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

April/09 SeptJ09 Dec/09

図 7 H20年生平均点推移

一令- Section3 吋陸自 Section4

続いて同様に平成21年度入学生が受けた 3 回の CASEC 試験に於ける Section3

(Listening Comprehension) と Section4 (Dictation) のそれぞれの平均点の推移を折れ線

グラフにしたものを示す。

160

140

120

平 100

Z80

60

40

20

0

April/09 Sept/09 Dec/09

図 8 H21年生平均点推移

由争目 Section3

4骨 Section4

調査研究対象として同じ学生たちにオーラルコミュニケーションの授業を一定期間受

講させ,スコアの評価基準が一定している CASEC という同一の客観試験を受験させた

結果の全体平均点が,着実に上昇しているということは,授業でのリスニング指導の効

果があったことを示していると思われる。

次に平均点に統計的な有意差があるかどうかを t 検定(対応のある場合の平均値の差

の検定)を用いて確認した。なお,念のために t 検定を行う前に t 検定対象の 2 標本

(データの統計分析には最初と最後の試験を使用)が等分散を成しているかどうかを F

検定を使って調べておいた。その結果を H20年度生の Section3 から順次下に示す(表 7

から表 10) 。検定の有意水準はすべて 1 % (pく O訓)に設定した。

(200) 153

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人間文化第25号

表 7 (H20年度生 Section3)

Section3 April December

平均 142.7102804 151.6728972

分散 636.830365 571.6561453

観測数 107 107

自由度 106 106

観測された分散比 1.11400948

P(F壬O 片側 0.289671829

F 境界値片側 1.576033115

表 8 (H20年度生 Section4)

Section4 April December

平均 127.9345794 139.1214953

分散 400.0428496 429.881326

観測数 107 107

自由度 106 106

観測された分散比 0.930589038

P(F壬O 片側 0.355911455

F 境界値片側 0.634504434

表 9 (H21 年度生 Section3)

Section3 April December

平均 128.1327434 139.2654867

分散 799.437579 629.7324589

観測数 113 113

自由度 112 112

観測された分散比 1.269487649

P(F話。片側 0.1 04137668

F 境界値片側 1.556439953

表 10 (H21 年度生 Section4)

Section4 April December

平均 113.7876106 122.7345133

分散 463.1866308 506.5360303

観測数 113 113

自由度 112 112

観測された分散比 0.914419909

P(F話。片側 0.318366219

F 境界値片側 0.64249186

表 7 から表 10 までの統計結果に於けるそれぞれの分散比の値が F 境界値より小さい

ことからすべての 2 標本がおいて等分散を成していることが確認できた (5) 。 そこで次に

t 検定を行うにあたり帰無仮説及び対立仮説を下記のように設定し 有意水準 1 %(6) で

仮説平均の差異を 0 (7) として検定した。

帰無仮説 HO: � 2 標本の平均の差は仮説平均の差異に等しい」

対立仮説 H1 : � 2 標本の平均の差は仮説平均の差異に等しくない」

154 (199)

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グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

処理上,データの統計分析には最初と最後の試験,つまり 2009年 4 月と 2009年 12月の

両方の試験を受けた学生のみを対象として平成20年度生及び平成21 年度生ともに計算

した。結果を下の表に示す(表 11 から表 14) 。

表 11 (H20年度生 Section3) (8)

Section3 April December

平均 142.7102804 158.8224299 分散 636.830365 311.0908129

観測数 107 107

ピアソン相関 0.613252832

仮説平均との差異 。

自由度 106

t -8.312449356 P(T壬t) 片側 1.70074E-13

t 境界値片側 2.36204255

P(T壬1)両側 3.40149E-13

t 境界値両側 2.623008403

表 12 (H20年度生 Section4)

Section4 April December

平均 127.9345794 139.1214953

分散 400.0428496 429.881326

観測数 107 107

ピアソン相関 0.617228546

仮説平均との差異 。

自由度 106

-6.489138085

P(T壬t) 片側 1.41626E-09

t 境界値片側 2.36204255 P(T壬t) 両側 2.83252E-09

t 境界値両側 2.623008403

表 13 (H21 年度生 Section3)

Section3 April December

平均 128.1327434 139.2654867

分散 799.437579 629.7324589

観測数 113 113

ピアソン相関 0.630549057

仮説平均との差異 。

自由度 112

-5.119348475

P(T~t) 片側 6.42364E-07

t 境界値片側 2.36010396 P(T壬t) 両側 1.28473E-06

t 境界値両側 2.620440064

(198) 155

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人間文化第25号

表 14 (H2 1 年度生 Section4)

Section4 April December

平均 113.7876106 122.7345133 分散 463.1866308 506.5360303 観測数 113 113 ピアソン相関 0.494369368 仮説平均との差異 。

自由度 112 t -4.292984646 P(T~t) 片側 1.88227E--D5

t 境界値片側 2.36010396 P(T~t) 両側 3 .76453Eー05

t 境界値両側 2.620440064

有意水準 1 % (p<O.ol)で t 検定した結果, t 値の絶対値が t 境界値(片側,両側)

よりも大きいことが 表 11 から表 14 までに示した 4 つの検定結果すべてにあてはまる。

従って帰無仮説は H20年度生, H21 年度生の Section3及び、 Section4すべてにおいて棄却

される (9) 。 つまり,平均点には有意差があることが統計的にも証明されたことで,実際

の各試験結果の平均点の上昇が授業でのリスニング指導に よ ってもたらされた可能性が

あることが明らかになった。

今回の CASEC を使ったすべての試験結果に於いて Section3 の平均点が Section4 の平

均点を 10点から 20点程上回っていることに関しての私見であるが,解答形式に起因し

ているものと思われる。 Section3 の í 4 肢択一形式」に対して, Section4 の 「書き取り」

は難易度が高いと言わざるを得ない。実際,参考データとして CASEC の過去の受験生

の平均点データ (2001 年 1 月から 2007年 2 月迄の約40万人の受験者を対象) (10) でも

Section3 の平均点は Section4 より約20点程高くなっている。それでも今回の調査対象と

なった学生達の Section4の平均点は大学生を対象とした CASEC 試験の一般平均点

(108.4点)よりもかなり高いことから,普段の授業で、のデ、イクテーション指導の成果が

ここにも現れているのではないかと思われる。

続いて平成 19年度入学生が毎年 12月に受験した 3 回の TOEIC 試験のリスニングセク

ションのスコアを用いて考察する 。 先ず 3 回の試験結果の統計データ(表 15) 及びそ

の得点頻度のヒストグラム(図 9 から図 11) を示す。 なお 調査対象としては 3 回の

試験全てを受験した学生 109名のみを抽出してデータ処理を行った。

156 (197)

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田)

Listening07 Listening08 Listening09

平均 227.7522936 平均 265.5045872 平均 273.4862385

標準誤差 4.546866903 標準誤差 5.604756 標準誤差 6.350660544

中央値(メ ジアン) 220 中央値(メジアン) 260 中央値(メ ジアン) 260 最頻値(モード) 220 最頻値(モード) 230 最頻値(モード) 220 標準偏差 47.47068412 標準偏差 58.51537054 標準偏差 66.30284261

分散 2253.465851 分散 3424.04859 分散 4396.066938

尖度 3.669978471 尖度 一0.09285622 尖度 0.154456701 歪度 1.141921454 歪度 0.229727739 歪度 0.689090965 範囲 320 範囲 320 範囲 310 最小 130 最小 120 最小 150 最大 450 最大 440 最大 460 合計 24825 合計 28940 合計 29810 標本数 109 標本数 109 標本数 109 信頼区間 (95 .0%) 9.012678739 信頼区間 (95.0%) 11.10959839 信頼区間 (95.0%) 12.58811 056

グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上

表 15

刻頻度

一知級

00

一刈斗

fO

LA

品T

EBt

ウ血

圃・・司,

h

llEL

O

圃・・・・・

ny

--aEJq-

EBEBEE--too

--Ea--zJ司,h

lEBilli--EL

r

o

圃・・・・・・・・・・・・・・・・司,h

E''EEEEEEEEEEEEE

」司・

4

睡EEEE--LA『

圃・・・・・・・・ny

L

今,,B

/O

LA

ハUAUAUAUAUAU

P3A

『今3

司42

頻度

データ区間

m 頻度

Listening 2007

←hM級

-A

圃-----

4

1BEE-Et

2

BEEBEEEEBBBEEBLAU

----------------A『

.... ,gSE

・E

・-EEE

・』吋ム

-Eta

図 9

寸11111

」11111411111

AUAυ

ハUAU

今、u

司L'i

頻度

データ区間

-頻度

Listening 2008

医初級

-

2

ny

一司ム

A『

・・1thxo

圃・・・

ny

saga

」句、

u

-EEBEE-EL巧/

圃・・・・・・・ζり

SEla--

』句、“

-EEtro

--・今

3

EEE

」弓

3

6tBBEEtBBESEtLF

、d

圃・・・・・・・・・・・・・・AU

t--EI---EE

J1u

EEEEEEEE・E・-ELA

・・・・・・・・・・・・・・・圃司

I

-EE

・E

-EE---aJ今,h

-

E

B

i

l

l

i

-

-

I

3

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・圃

a斗

aEaEZEE-z''EE'sagaJ44

・・・・L

今ム

・・・・・・・圃咽ai

--E

2

'E・E・-』・・・

A

・・・・

00

a41414a-EEA

ハυ

F「M

-a'A

図 10

-Illi--→llli--

→I

l

l111

A

U

A

U

A

U

A

U

今3

今ゐ

'I

頻度

(196) 157

データ区間

Listening 2009 図 11

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人間文化第25号

さらにそれぞれの平均点の推移を折れ線グラフ(図 12) にしたものを下記に示す。

300 ... ‘ v

..---~..., ..-----250

200 平

安 m-+開平均点

100

50

2007 2008 2009

図 12 平均点

TOEIC という同一の客観試験を 3 回受験し, リスニングセクションのスコアの全体

平均点が,年を追う毎に上昇していることから調査対象の学生の英語リスニング力が伸

びていることがわかる。特に 2007年から 2008年にかけての伸び率が顕著であるのは 1

年次及び 2 年次に週 2 回行っている Oral Communication 1, II の授業で集中的にリスニン

グ指導を行っている効果が出ているのではないかと思われる。なお 2 年次から 3 年次

にかけては伸び率がかなり小さいので,念のため平均点に統計的な有意差があるかどう

かを t 検定(対応のある場合の平均値の差の検定)を用いて確認した。上述の CASEC

のデータ処理の場合同様に t 検定を行う前に検定対象の 2 標本が等分散を成しているか

どうかを F 検定を使って調べておいた。その結果を順次下に示す(表 16 と表 17) 。検定

の有意水準はすべて 1 % (p<O.ol)に設定した。

表 16

Listening07 Listening08

平均 227.7522936 265.5045872

分散 2253.465851 3424.04859

観測数 109 109

自由度 108 108

観測された分散比 0.658129052 p(p;至。片側 0.015347926

F 境界値片側 0.637230465

表 17

Listening08 Listening09

平均 265.5045872 273.4862385

分散 3424.04859 4396.066938

観測数 109 109

自由度 108 108

観測された分散比 0.778889093

p(p 三五 O 片側 0.097872208

F 境界値片側 0.637230465

158 (195)

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クやローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

表 16及び表 17 ともに P(F話。の値が有意水準0.01 より大きいことからも t 検定を適応

することが正当であることが確認できた。そこで次に t検定を行うにあたり帰無仮説及

び対立仮説を下記のように設定し,有意水準 1 %で仮説平均の差異を O として検定し

た。

帰無仮説 HO: r 2 標本の平均の差は仮説平均の差異に等しい」

対立仮説 H1 : r 2 標本の平均の差は仮説平均の差異に等しくない」

結果を下の表に示す(表 18 と表 19) 。

表 18

Listening07 Listening08

平均 227.7522936 265.5045872

分散 2253.465851 3424.04859

観測数 109 109

プールされた分散 2838.757221

仮説平均との差異 。

自由度 216

t -5.230912637

P(T壬t) 片側 1.98991E-07

t 境界値片側 2.343735344

P(T壬t) 両側 3.9798IE-07

t 境界値両側 2.59878165

表 19

Listening08 Listening09

平均 265.5045872 273.4862385

分散 3424.04859 4396.066938

観測数 109 109

プールされた分散 3910.057764

仮説平均との差異 。

自由度 216

t -0.942322192

P(T壬t) 片側 0.173540221

t 境界値片側 2.343735344

P(T副)両側 0.347080442

t 境界値両側 2.59878165

有意水準 1 % (p< O .ol)で t 検定した結果, t 値の絶対値が t 境界値(片側,両側)

よりも大きいのは,表 18 に示した 2007年の結果と 2008年の結果を対象に検定したもの

のみであった。従って帰無仮説は 2007年から 2008年の結果においては棄却される 。 つ

まり,平均点に有意差があることが統計的に証明された。 一方,表 19 に示した 2008年

の結果と 2009年の結果を対象に検定したものでは帰無仮説は棄却できず,平均点に有

意差があることが統計的に証明できなかっ た。言い換えれば 1 年次から 2 年次への実際

の平均点の伸びは意味がある一方, 2 年次から 3 年次にかけての平均点の差(約 8 点上

昇)には意味がなく, 3 年次ではリスニング力が伸びてない可能性が高い。 これは l 年

(194) 159

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人間文化第25号

次 2 年次と違って 3 年次には週 2 回行われている Oral Communication の授業がなく,

リスニング力強化に繋がる英語指導が十分ではない可能性があることがその一因かもし

れない。

まとめとして

習熟度別にクラスを分けて受講生の英語力に合った指導をすることが,特に「リスニ

ングの技能の向上に効果があるか」という問いに対して,前回の検証に引き続き今回も

CASEC 試験のスコア結果を用いて習熟度別クラスの「授業効果」を実際の具体的な

データを基に肯定的に示すことができた。また一方でリスニング技能に特化した指導を

特に行っていない 3 年次では英語のリスニング力が伸びていないことも TOEIC のリス

ニングセクションのスコア結果の分析・考察で明らかになった。やはり継続的に何らか

の形でリスニング指導を明示的に行う必要性があることも判明した。 英語の客観試験を

用いて授業での指導効果を確認するのは時間と労力を要する作業ではあるが,今後も指

導効果を見ながら,授業改善につながるよう調査分析を続けていく予定である 。

( 1) CASEC の詳細については次の URL を参照: http://casec.evidus.com/

( 2 ) 日常生活・学校生活・ビジネスの場などに密着したシチュエーションの会話やニュー

ス・機内放送などを聞き,その内容の大意を理解する能力を測定。

( 3 ) 日常生活・学校生活・ビジネスの場などに密着したシチュエーションの会話などの多い

情報の中から, コミュニケーションをはかる為の,または,内容理解のキーポイントとなる

具体情報を聞き取る能力を測定。

(4) 2 回目から 3 回目の伸びが特に著しいのはその聞に実施した海外語学研修が要因になっ

ているかもしれないので この件は稿を替えて後日改めて論じる。

( 5) P (F話。の値が有意水準0.01 より大きいことからも t 検定を適応することが正当である

ことが分かる。

( 6 ) つまり,あることを 1%の有意水準(言い換えると, 1 %の危険率)で言えるというこ

とは, 99% の確信で言えるということである。

(7) 差異を 0 とすると帰無仮説は 「平均値の差がない」ということになる。

( 8 ) 表中の 3 .4E-13 は 3.4の小数点を左に 13桁ずらした数値を表す。

( 9 ) 帰無仮説を棄却するには,設定した有意水準である 0.01(=1%) よりも例えば片側検定

の P(T~t) の値である 3.1 6063E-10 のほうが小さいことを理由にすることも可能。

(10) 受験生全体の平均点は Section3 が 120.8 点, Section4が99.5 点である。

参考文献

岡秀夫 2000. r リスニ ング教材のレベルをどう設定するかJ IF英語教育.Jl 10 月号, p. 16. 大修

館書店

160 (193)

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グローパル英語学科における習熟度別リスニング指導の成果 (2) (上 田)

小池生夫監修 1994. If'第二言語習得に基づく最新の英語教育』大修館書店

久保野雅史 1998 . rディクテーションの効用一一リスニング指導再検討J If' STEP'98英語情報』

4, pp. 31-33 . 財団法人日本英語検定協会

武井昭江 2002. If'英語リスニング論一一聞く力と指導を科学する』桐原書店

渡辺浩行 1994. If'リスニングの指導』研究社

Weir, C. J. 1990. Communicative language tesing. Hertfordshire, UK: Prentice Hall International Ltd.

(192) 161