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第1章 理論編 4 章 理論編 理科における「深い学び」とは? 小学校・中学校・高等学校で 違いはあるの?

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第1章 理論編

4

第1章 理論編

理科における「深い学び」とは?

小学校・中学校・高等学校で

違いはあるの?

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第1章 理論編

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学習指導要領(平成29年3月公示)において、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた

授業改善(アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善)の推進が掲げられています。本県

においても「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)をテーマにした研修・研究

が、当センターや各学校で、積極的に行われています。

そのような中、「主体的・対話的で深い学び」の実現を図る授業づくりに対する先生方の悩みと

して、次のような言葉がよく聞かれます。

実際に「深い学び」の実現を目指すにはどうすればよいか、具体的に見えないという現状が考

えられます。理解の深化を促す「深い学び」は、教科の本質に迫る学びであることから、授業を

質的に高めるには、その成立が欠かせません。

国からは、「主体的・対話的で深い学び」の視点について以下のように示されています。

今後、「深い学び」をこれらの文言から各教科等でいかに具現化していくかが、授業改善を進め

る鍵になるのではないでしょうか。

(1) 理科における「深い学び」

「アクティブ・ラーニング」と言うが、

活動あって学びなしになっていないか・・・

「主体的な学び」「対話的な学び」はイメージできるが、

「深い学び」がイメージしにくい・・・

主体的な学び

学ぶことに興味や関心を持ち,自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら,見通しをもって粘り

強く取り組み,自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという

視点。

対話的な学び

子供同士の協働,教職員や地域の人との対話,先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ,自己の

考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。

深い学び

習得・活用・探究という学びの過程の中で,各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせなが

ら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだし

て解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか

という視点。

※中央教育審議会答申(平成28年12月)より引用。下線、太字は筆者追加

「深い学び」って何だろう?

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当センターでは、児童生徒の「深い学び」の姿を明らかにするべく、平

成29年度から新たに理科という教科からアプローチする研究「理科プロ

ジェクト研究」が始まりました。

「深い学び」を理科で追究することには、大きな意義があります。それ

はなぜか?もう一度、国が示している左のページの「深い学び」の文言を

見てみましょう。

「深い学び」は各教科において「学びの過程」の中で実現

すると書かれています。理科は従来から、探究的な学習の

過程(問題解決の過程)を大切にしてきた教科なのです。中

央教育審議会答申(平成28年12月)でも、「課題の把握(発

見),課題の探究(追究),課題の解決という探究の過程を通

じた学習活動を行い,それぞれの過程において,資質・能力

が育成されるよう指導の改善を図る必要がある」(右図)と

あるように、理科では学習の過程がいかに大切であるかと

いうことが読み取れます。

当センターでも、平成28年度小学校派遣研究(理科)で作成した近江の理科問題解決の6STEP!

「おや?感動!滋賀!!」(下図)を活用して授業改善を進めてきました。

理科で学習の過程に沿って、「深い学び」を追究していくことは、他の教科の授業づくりとも結び

つけることができ、意義のあることなのです。

学びの

過程!

おや?

近江の理科問題解決の6step!

自然への

気付き問題

予想

仮説

実験

観察

結果の

整理

考察

結論

ふり返り

かんがえてみよう

どうなるかよそうしよう

うまくいくかやってみよう

しらべたけっかをまとめよう

がってんわかった!

※滋賀県総合教育センターHPの平成28年度研究成果物よりダウンロード可能です。

小学校理科の学習過程の例

近江の理科問題解決の6STEP!「おや?感動!滋賀!!」

理科で「深い学び」を追究する意義

→資料編 p.49

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ここで、学習指導要領(平成29年3月公示)の小・中学校の理科の教科目標を見てみましょう。

(〔 〕は中学校の語句)

このような資質・能力を育成するための「深い学び」とはどのような学びのことなのでしょう?

また、児童生徒のどのような学びの姿を見取ればよいのでしょうか?

今回の学習指導要領改訂に携わっておられた、本研究の講師である国立教育政策研究所 教育課

程調査官・学力調査官 山中 謙司 先生にお伺いしました。

①~③の視点を、教員が意識して授業を改善することが、児童生徒の「深い学び」につながりま

す。この中でも特に、理科の「見方・考え方」が重要であることがわかります。このことについて

は次頁以降で説明します。

どのような視点で、理科における

児童生徒の「深い学び」の姿を見取ればよいでしょうか?

中教審答申や新学習指導要領解説には、以下のように示されています。

① 理科の「見方・考え方」を働かせながら問題解決・探究の過

程を通して学ぶことにより,理科で育成を目指す資質・能

力を獲得するようになっているか

② 様々な知識がつながって,より科学的な概念を形成するこ

とに向かっているか

③ 新たに獲得した資質・能力に基づいた理科の「見方・考え

方」を,次の学習や日常生活などにおける問題発見・解決の

場面で働かせているか

「深い学び」の姿を見取るにはこの三つの視点から授業を見る必要があ

ります。

自然に親しみ〔自然の事物・現象に関わり〕,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,

実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象についての問題を〔自然の事物・現象を〕科学的に

解決〔探究〕するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 自然の事物・現象についての理解を図り〔深め〕,〔科学的に探究するために必要な〕観察,実

験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

(2) 観察,実験などを行い,問題解決の力〔科学的に探究する力〕を養う。

(3) 自然を愛する心情や主体的に〔自然の事物・現象に進んで関わり,〕問題解決〔科学的に探究〕

しようとする態度を養う。

※小・中学校学習指導要領解説理科編(平成29年6月)より引用

国立教育政策研究所

山中謙司 先生

「深い学び」の姿を見取るにはどうすればいいのだろうか?

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第1章 理論編

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前頁で児童生徒の「深い学び」を実現するうえで、理科の「見方・考え方」が重要であると述べ

ました。では、そもそも、「見方・考え方」とは何なのでしょうか?学習指導要領解説総則編(平成

29年6月)では・・・

とあります。今回の学習指導要領改訂の大きな柱になっている、各教科の「見方・考え方」につい

て、わかりやすい例えを紹介します。

このように、同じ事物を見ても、「見方・考え

方」が変われば、違った捉え方ができるという

ことです。では、理科の「見方・考え方」はど

のようなものなのでしょうか?

見方・考え方

各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」は,新しい知識及び技能

を既にもっている知識及び技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり,思考

力,判断力,表現力等を豊かなものとしたり,社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりす

るために重要なものであり,習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて,より質

の高い深い学びにつなげることが重要である。

ペットボトルが数本ならんでいます。このペットボトルを見たときに・・・

社会的な 「見方・考え方」

これらのペットボトルは、使われた後、どのように処理されるのだろうか。

数学的な 「見方・考え方」

これらのペットボトルに入る水の量はどのくらいの差があるだろうか。

造形的な 「見方・考え方」

これらのペットボトルを使って、 どのような作品がつくれるだろうか。 ペットボトル

(2) 理科の「見方・考え方」を働かせる

※下線、太字は筆者追加

学びの深まりは理科の「見方・考え方」が鍵!!

理科の 「見方・考え方」

社会科の ある単元では・・・

図画工作科の ある単元では・・・

算数科の ある単元では・・・

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第1章 理論編

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理科の「見方・考え方」は、領域ごとに以下のように示されています。

領域 「見方」

(探究の過程において、自然の事物・現象をどのような視点で捉

えるかということ)

「考え方」

(探究の過程において、どのような考え

方で思考していくかということ)

エネルギー 量的・関係的な視点 ※左記の視点は領域固

有のものではなく、

他の領域でも用いら

れる視点である。

「原因と結果」「部

分と全体」「定性と

定量」などといった

視点もある。

「比較」

「関係付け」

「条件制御」

「多面的に考える」等

粒子 質的・実体的な視点

生命 多様性と共通性の視点

地球 時間的・空間的な視点

さらに、理科の「見方・考え方」を理科の「見方」と「考え方」に分けて、もう少し説明しま

す。

① 「量的・関係的な視点」

② 「質的・実体的な視点」

③ 「多様性と共通性の視点」

乾電池の数を、1個から2個に増やすと、電流の大き

さ(量)がどのように変わるのかな(関係)。また電

球の光の明るさはどうなるのかな。

液体のエタノールをお湯で

温めると、体積が増えた

(質)とき、中の粒子の状

態(実体)はどのようにな

っているのだろう。

チョウの体のつくりは、バッタやカブトムシ

にもあてはまるのかな(共通性)。育ち方を

調べてみると、同じ昆虫でもさなぎになるも

のと、ならないものがあった(多様性)。

理科の「見方」とは?

※小・中学校学習指導要領解説理科編(平成29年6月)をもとに作成

理科の「見方・考え方」の例

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第1章 理論編

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④ 「時間的・空間的な視点」

⑤ 「原因と結果の視点」

⑥ 「定性と定量の視点」

⑦ 「部分と全体の視点」

金星の満ち欠けは、日数(時間)が経つと、

どのように変わるのだろうか?地球、金星、

太陽の位置関係(空間)から考えると・・・

液体の性質をリトマス紙で調べたら、酸性

ということは分かった(定性)けれど、酸

の強さはどの程度なのだろうか。pH試験

紙(定量)で具体的に調べてみよう。

根から吸った水は植物の体をどのように通ってい

るのだろうか(全体)。根、茎、葉の断面(部分)

を調べてみよう。

火山岩と深成岩では結晶の様子

(結果)が違うのはなぜだろう

(原因)。ミョウバンが結晶にな

る様子で確かめてみよう。

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第1章 理論編

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理科の学習の中で、理科の「見方」を働かせることが大切であることは、どの校種においても

変わりはありませんが、学校段階による違いは示されています(中央教育審議会答申)。

領 域

エネルギー 粒子 生命 地球

「見方」 自然の事物・現象

を主として量的・

関係的な視点で捉

える

自然の事物・現象

を主として質的・

実体的な視点で捉

える

生命に関する自然

の事物・現象を主

として多様性と共

通性の視点で捉え

地球や宇宙に関す

る自然の事物・現

象を主として時間

的・空間的な視点

で捉える

学校段階の違い(内容の階層性の広がり)

小学校 「見える(可視)

レベル」

「物レベル」 「個体~生態系レ

ベル」

「身のまわり(見

える)レベル」

中学校 「見える(可視)~

見えない(不可視)

レベル」

「物~物質レベ

ル」

「細胞~個体~生

態系レベル」

「身のまわり(見

える)~地球(地球

周辺)レベル」

高等学校 「見える(可視)~

見えない(不可視)

レベル」

「物質レベル」(マ

クロとミクロの視

点)

「分子~細胞~個

体~生態系レベ

ル」

「身のまわり(見

える)~地球(地球

周辺)~宇宙レベ

ル」

※高等学校では、事

象をより包括的・

高次的に捉える

※中学校から実体は

あるが見えない

(不可視)レベルの

原子、分子レベル

で事象を捉える

※高等学校では、事

象をより包括的・

高次的に捉える

※「分子~細胞~個

体~生態系レベ

ル」の階層性があ

り、小・中・高と上

がるにつれて扱う

階層が広がる

※「身のまわり~地

球~宇宙レベル」

の階層性があり、

小・中・高と上がる

につれて扱う階層

が広がる

各学校段階において、どのレベルで理科の「見方」を働かせればよいかを意識することで、ねら

いに迫る「深い学び」を実現する理科の授業づくりにつながります。

理科の「見方」の校種による違い

理科の「見方」学校段階による違い

※いずれも中央教育審議会答申(平成28年12月)をもとに作成。太字は筆者追加。

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第1章 理論編

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※①~④は小学校学習指導要領解説理科編(平成29年6月)より引用、下線は筆者追加

① 「比較する」

② 「関係付ける」

③ 「条件を制御する」

水の温度を上げるにつれて、どんど

んホウ酸のとける量が増えていっ

たよ。ホウ酸が水にとける量と水温

は関係があるのかな。

「比較する」とは,複数の自然の事物・現象を対応させ比べることである。比較には,同時に複数の自

然の事物・現象を比べたり,ある自然の事物・現象の変化を時間的な前後の関係で比べたりすることなど

がある。具体的には,問題を見いだす際に,自然の事物・現象を比較し,差異点や共通点を明らかにする

ことなどが考えられる。

「関係付ける」とは,自然の事物・現象を様々な視点から結び付けることである。「関係付け」には,変

化とそれに関わる要因を結び付けたり,既習の内容や生活経験と結び付けたりすることなどがある。具体

的には,解決したい問題についての予想や仮説を発想する際に,自然の事物・現象と既習の内容や生活経

験とを関係付けたり,自然の事物・現象の変化とそれに関わる要因を関係付けたりすることが考えられる。

「条件を制御する」とは,自然の事物・現象に影響を与えると考えられる要因について,どの要因が影

響を与えるかを調べる際に,変化させる要因と変化させない要因を区別するということである。具体的

には,解決したい問題について,解決の方法を発想する際に,制御すべき要因と制御しない要因を区別し

ながら計画的に観察,実験などを行うことが考えられる。

異なる時刻に観察したオリオン座の様子を比

べると、東の空からのぼり、南の空を通り、西

の空へしずんでいった。なぜこのようなことが

起こるのだろう。

植物が成長するのに、肥料が

必要かどうか、片方は肥料を

与えて、もう片方は与えず、

その他の条件は一緒にして実

験すると調べられるね!

理科の「考え方」とは?

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第1章 理論編

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④ 「多面的に考える」

これらの理科の「考え方」を用いて、発達段階によってどのように思考力・判断力・表現力等(問

題解決の力、科学的に探究する力)を育成していくかが大切になってきます。これらについての目

安が、小・中学校学習指導要領解説(平成29年6月)では次のように整理されています。

【小学校】

資質・

能力 学年 エネルギー 粒子 生命 地球

思考力・判断力・表現力等

第3学年

第4学年

第5学年

第6学年

「多面的に考える」とは,自然の事物・現象を複数の側面から考えることである。具体的には,問題解

決を行う際に,解決したい問題について互いの予想や仮説を尊重しながら追究したり,観察,実験などの

結果を基に,予想や仮説,観察,実験などの方法を振り返り,再検討をしたり,複数の観察,実験などか

ら得た結果を基に考察したりすることなど考えられる。

缶の上の方に穴をあけるとわ

りばしが燃えにくかった。下

の方に穴をあけてみるとどう

なるかな?

(比較しながら調べる活動を通して)

自然の事物・現象について追究する中で,差異点や共通点を基に,問題を

見いだし,表現すること。

(関係付けて調べる活動を通して)

自然の事物・現象について追究する中で,既習の内容や生活経験を基に,

根拠のある予想や仮説を発想し,表現すること。

(条件を制御しながら調べる活動を通して)

自然の事物・現象について追究する中で,予想や仮説を基に,解決の方法

を発想し,表現すること。

(多面的に調べる活動を通して)

自然の事物・現象について追究する中で,より妥当な考えをつくりだし,

表現すること。

思考力・判断力・表現力等に関する学習指導要領の主な記載(小学校)

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第1章 理論編

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【中学校】

資質・

能力 学年 エネルギー 粒子 生命 地球

思考力・判断力・表現力等

第1学年

第2学年

第3学年

理科ならではの「見方・考え方」を子どもたちが働か

せられるような場面を、単元や1時間の授業の中でいか

につくるかが重要です。また、身に付けた理科の「見

方・考え方」が別の場面で生かされるように単元を構想

する必要があります。それらを積み重ねていくことで、

子どもたちが「深い学び」を実現する授業につながりま

す。

問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,【規則性,関係性,

共通点や相違点,分類するための観点や基準】を見いだして表現するこ

と。

見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果

を分析して解釈し,【規則性や関係性】を見いだして表現すること。

見通しをもって観察,実験などを

行い,その結果を分析して解釈す

るとともに,自然環境の保全と科

学技術の利用の在り方について,

科学的に考察して判断すること。

見通しをもって観察,実験などを行い,その結果(や資料)を分析して解釈

し,【特徴,規則性,関係性】を見いだし表現すること。また,探究の過程を

振り返ること。

観察,実験などを行い,自然環境

の保全と科学技術の利用の在り方

について,科学的に考察して判断

すること。

※いずれも小・中学校学習指導要領解説理科編(平成29年6月)をもとに作成

思考力・判断力・表現力等に関する学習指導要領の主な記載(中学校)

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第1章 理論編

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理科の学習において、児童生徒の「深い学び」を実現するに

は、理科の「見方・考え方」を働かせる以外に、「様々な知識が

つながって,より科学的な概念を形成」できるようにすること

も大切です。そのためには、児童生徒が理科の学習の中で、単元

を通して思考をつなぎながら学ぶことが必要です。学習指導要

領(平成29年3月公示)でも、「指導計画の作成と内容の取扱

い」の項で以下のように述べられています。

子どもたちが、単元を見通して思考をつなぎながら学ぶ

ためには、まずは教員が単元を見通して授業を構想するこ

とが不可欠です。

当センターでは、平成28年度小学校派遣研究(理科)

で、教員が単元を見通して授業を構想するためのツール

「単元イメージシート」(右図)を開発しました(使い方

は研修編p.21に掲載しています)。この単元イメージシー

トを使って、教員が予め

単元の導入のあり方、各

時間のつながり、子ども

たちの反応等を想定して

おくことで、思考がつな

がる授業を展開すること

ができます(右図が実際

に作成された単元イメー

ジシートです)。

(3) 単元を通して思考をつなぎながら学ぶ

(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童

〔生徒〕の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理科の学習過程の

特質を踏まえ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどの,問

題を科学的に解決しようと〔探究〕する学習活動の充実を図ること。(〔 〕は中学校の語句)

※下線は筆者追加

単元の

見通しが

大切!

単元イメージシート

作成された単元イメージシート

→資料編 p.50