敗症で来院し 、慢性リチウム中毒による 遷延性腎性崩症を合併...
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敗⾎血症で来院し、慢性リチウム中毒による遷延性腎性尿尿崩症を合併していた 1症例例
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【症例例】58歳、男性【主訴】発熱、⾎血圧低下【現病歴】 精神科通院中であり、炭酸リチウムなどの抗精神病薬を⻑⾧長期間内服し ていた。4ヶ⽉月前より⾷食思不不振あり、精査されたが器質的疾患なく経過 観察されていた。その頃から多尿尿及び失禁がみられた。 3週間前より 徐々に歩⾏行行困難となったため内服薬調整⽬目的で、通院中の精神科病院に ⼊入院となった。 ⼊入院後、⾷食欲低下と著明な体重減少を認めたため、経管栄養を開始。 当院受診の数⽇日前より腹部膨満、嘔吐が出現。 その後、意識識混濁、 40℃の発熱、⾎血圧低下を認めたため、当院救急搬送となった。
【既往歴】#統合失調症疑い #精神発達遅滞 #腸閉塞塞(詳細不不明)
【内服薬】①フマル酸クエチアピン 100mg/4 ②炭酸リチウム 600mg/3 ③リスペリドン 1mg/1 ④トリアゾラム 0.25mg/1
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【来院時⾝身体所⾒見見】 ⾎血圧 85/50mmHg ⼼心拍数 74/分 呼吸数 24/分 体温 38.1℃ SpO2 98%(室内気) 瞳孔:両側2.5mm、対光反射両側乏しい ⼝口:⼝口腔内乾燥あり 頚部:項部硬直あり、頚部リンパ節腫脹なし、甲状腺腫⼤大なし ⼼心⾳音:整、雑⾳音なし 呼吸⾳音:蓄痰⾳音著明 腹部:軽度度膨隆・軟、腸蠕動⾳音低下 四肢:浮腫なし、末梢冷冷感なし 直腸診:便便潜⾎血陰性、肛⾨門括約筋トーヌス減弱なし
神経学的所⾒見見: 意識識;GCS 12点 (E4V3M5) 亜昏迷状態 脳神経所⾒見見;顔⾯面⿇麻痺なし、その他指⽰示に従えず 徒⼿手筋⼒力力テスト;4以上、左右差なし 感覚;疼痛刺刺激で左右差なし 深部腱反射;上腕⼆二頭筋反射3+/3+、腕橈⾻骨筋反射3+/3+ 膝蓋腱反射3+/3+、アキレス腱反射3+/3+ バビンスキー反射陰性 その他:尿尿道カテーテル留留置あり、希釈尿尿流流出している
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CBC/生化学
WBC 9500 /μl BUN 52 mg/dl
RBC 294万 /μl Cre 2.7 mg/dl
Hb 9.9 g/dl CRP 17.45 mg/dl
Hct 31.7 %
MCV 108 fL Na 159 mEq/L
Plt 22.6 万/μl K 6.1 mEq/L
Cl 129 mEq/L
AST 41 IU/L Ca 9.3 mg/dL
ALT 81 IU/L Mg 4.0 mg/dL
LDH 256 IU/L Li+ 2.29 mEq/L
CPK 166 IU/L TSH 2.488 μU/ml
CK-‐MB 24 IU/L FreeT4 0.55 ng/dL
T-‐Bil 0.5 mg/dl S-‐浸透圧 343mOsm/kgH2O
U-‐浸透圧 253mOsm/kgH2O
尿一般検査/沈渣
pH 8.0
比重 1.006
潜血 (+ー)
蛋白定性 −
糖 −
RBC 1-‐4/HPF
WBC
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左下肺野に浸潤影あり
⼩小腸・⼤大腸ガス著明
⼼心電図:洞洞調律律、ST-‐‑‒T変化なし、QT延⻑⾧長なし
⼊入院時レントゲン胸部 KUB
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253
198 195
231 238
251
226
204
193
205 203
233
150
200
250
300
0
1000
2000
3000
4000
5000
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
尿量
尿浸透圧
ABPC/SBT 6g/day
トリクロルメチアジド 2mg/day
インドメタシン 50mg/day
⾃自由飲⽔水
mOsm/kg・H2O ml MEPM 1.5g/dayCTX 3g/day
補液
デスモプレシン
day7-‐‑‒day12は漏漏尿尿のため測定は不不正確
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時間(分) 0 30 60 90 120 150 180 210 0 30 60 90 120
体重(kg) 37.8 37.6 37.6 37.4 37.2 37.2 37.2 37.0 37.0 36.8 36.6 36.6 36.6
尿尿量量(ml) 60 60 150 40 220 45
Uosm(mOsm/kg・H2O)
225 200 204 191 181 182 200 192 207 213 212 212
Posm(mOsm/kg・H2O)
299 299 300 299 301 300 299
AVP(pg/ml) 8.1 7.2 3.4 6.7 8.3
Day17 ⽔水制限試験 Day19 AVP負荷試験
→ 診断:リチウム誘発性腎性尿尿崩症
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リチウム誘発性腎性尿尿崩症リチウム塩を、⻑⾧長期服⽤用(約15年年以上)している患者の 12~30%に腎性尿尿崩症が⽣生じる。1) 2)
図:リチウム誘発性腎性尿崩症のメカニズム2)
集合管
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リチウム誘発性腎性尿尿崩症
普段は⼝口渇・多飲によって症状がマスクされているが、飲⽔水の 管理理や保護室への隔離離などをきっかけに脱⽔水および⾼高ナトリウム ⾎血症が⽣生じて、この障害が気づかれることがある。2)
ほとんどの場合リチウム塩の中⽌止で正常に戻る。 中⽌止後⻑⾧長期にわたって症状が遷延することもある。2)
遷延例例には ①ヒドロクロロサイアザイド(2-‐‑‒4mg/kg/day) ②インドメサシン(2mg/kg/day) を使⽤用する。3)
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考察• 4ヶ⽉月前から⾷食思不不振・歩⾏行行困難・多尿尿あり、慢性リチウム 中毒の症状であったと考えられる。
• ⾷食欲低下が進み経管栄養が開始されたことで、事実上の⽔水分 制限となり、⾼高度度脱⽔水によるリチウム中毒が増悪したと思わ れる。
• リチウム中毒に加え敗⾎血症を合併し、全⾝身状態が悪化したものと考えられた。
• 本症例例では、リチウム誘発性腎性尿尿崩症の遷延がみられ、 ⾃自由飲⽔水、サイアザイド系利利尿尿薬・NSAIDsを使⽤用した。
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結語• 発熱・ショックで来院し慢性リチウム中毒と敗⾎血症を合併した 1例例を経験した。
• リチウム中毒は消化器症状、神経・精神症状、循環器症状、 内分泌泌症状など多彩な臨臨床症状を来す。リチウム内服患者が ⾝身体不不調を訴えた場合にはそれによる中毒症状を考える必要 がある。
参考⽂文献 1)Hans Bendz andMattias Aurell, Drug-‐‑‒Induced Diabetes Insipidus Incidence, Prevention and Management,Drug safety 1999 Dec;21(6):449-‐‑‒456 2)宮岡等:精神障害のある救急患者対応マニュアル,医学書院,2007 3)栗栗津緑:腎性尿尿崩症. 腎性尿尿崩症ホルモンと臨臨床 世界の医学社 vol.54 No.5 2006
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参考⽂文献
1)Hans Bendz andMattias Aurell, Drug-‐‑‒Induced Diabetes Insipidus Incidence, Prevention and Management,Drug safety 1999 Dec;21(6):449-‐‑‒4562)宮岡等:精神障害のある救急患者対応マニュアル,医学書院,20073)栗栗津緑:腎性尿尿崩症ホルモンと臨臨床 世界の医学社 vol.54 No.5 2006