明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書 ·...

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明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書 平成 平成 平成 平成 26 26 26 26 年 2 月 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会

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明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会報告書

平成平成平成平成 26262626 年年年年 2222 月月月月

明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会

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まえがき

近年の国内流通の現状は、大きく変化している。

消費者の食料品購入先は、中小規模の小売店の割合が大幅に減少し、その相

応分、多くの品数が揃い、極めて利便性の高い量販店に移行している。その量

販店は、さらに独自の流通経路を創設し、市場外流通の割合を増加させている。

市場内の流通においても、セリの割合は落ち、卸売業者が買受業者と数量、

価格を直接取引する相対取引が増加するなど、総じて、昭和 50年前後、卸売

市場が全国に展開した頃とは大きく事情が変わった。

一方で、わたしたちの日々の暮らしに欠かせない生鮮食料品の適正な価格形

成、安定した集荷と供給、安全安心の品質確保といった卸売市場本来の役割は、

重要性が高まってくると予想される。

また、卸売市場による経済活動、雇用が地域経済に与える貢献度も、地方自

治が声高に叫ばれる近年にあっては重要な要素と言える。

明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会では、視察、懇談会を含めた、計

6回の会議を通し、様々な角度から、明石市公設地方卸売市場のおかれた現状

を分析し、その将来のあり方を検討した。

当該卸売市場においても、取り巻く環境、社会的意義、地域経済の担い手の

一つという点では、それぞれ前述のとおりである。取扱量、取扱高の減少とい

う厳しい現状だが、明石市民の健全な暮らしのため、今後ますますのまち発展

のため、当該卸売市場を活性化させ、存続させることが非常に重要である、と

いう結論に至った。

とりわけ、明石市は 16km にわたって海に面しており、明石鯛や明石ダコ

に代表される全国に誇れる水産物を有している。一方山手に向かってはなだら

かな丘陵地となっており、軟弱野菜に代表される豊富な青果物が収穫される。

また、神戸、姫路の中間に位置する交通の結節点にあり、大阪、神戸という

大消費地の圏内という利点がある。

これら水産業、農業を抱える地にある産地市場であること、一方で大消費地

に位置する消費地市場であるということの明石独自の強みを生かせば、活性化

は十分果たし得るものである。

具現化する基本方針として、①卸売市場本来の基本事業に努めるとともに、

規模や特性、強みを生かし、生鮮食料品の流通を担う重要な拠点として、活性

化し、発展を目指すこと、②活性化を進め、一層の発展を図るため、基本的事

業にとどまらず、明石独自の特徴的な事業展開、取り組みを進めること、③当

該卸売市場の効果的、効率的な運営の手法を十分に検討すること、④厳しい現

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状に危機感をもち、市場関係者自らの問題と意識し、スピード感をもって取り

組みを進めること、の 4点を提言する。

この報告が、明石市公設地方卸売市場の活性化、発展につながり、ひいては

明石発展の一助となれば幸いである。

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目 次

第 1章 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の趣旨 ………..1

1 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会設置の背景 ………………...1

2 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の性格 ……………………...1

第 2章 明石市公設地方卸売市場の現状と課題 …………………….....2

1 明石市公設地方卸売市場の現状 …………………………………………...2

(1) 明石市公設地方卸売市場の現状 ………………………………………....2

(2) 明石市公設地方卸売市場の明石市への貢献度 …………………………2

(3) 明石市公設地方卸売市場の特色 …………………………………………3

ア 消費地市場と産地市場 ………………………………………………….3

イ 活魚と軟弱野菜の集荷販売 …………………………………………….3

(4) 国の卸売市場に関する考え ………………………………………………3

(5) 兵庫県の明石市公設地方卸売市場に関する考え ………………………4

(6) 明石市長期総合計画(第 5次 平成 24年度~33年度) ……………4

2 明石市公設地方卸売市場の課題 ………………………………………......4

(1) 流通形態の変化への対応 …………………………………………….......4

(2) 生産構造の変化への対応 ………………………………………….……...5

ア 明石近海鮮魚の集荷力の課題 ………………………………………….5

イ 兵庫県産の青果物の課題 ……………………………………………….5

ウ 食料供給量の課題 ……………………………………………………….6

(3) 変化する社会動向への対応 ………………………………………….......6

ア 消費者の高齢化、単身化 ……………………………………………….6

イ 低成長経済の現状と国の方針 ………………………………………….7

(4) 衛生・品質管理高度化に対する対応 ……………………………….......7

ア 衛生・品質管理高度化に対する考え方 ……………………………….7

イ コールドチェーンシステムの整備 …………………………………….7

第 3章 明石市公設地方卸売市場の将来に向けての基本方針 …...8

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第 4章 基本方針に基づく取り組み ……………………………………11

1 流通機能の強化 …………………………………………………………….11

(1) 集荷機能の強化 …………………………………………………………..11

(2) 販売機能の強化 …………………………………………………………..11

(3) 水産物産地としての役割の再編 ………………………………………..11

2 ブランド力の強化、新たなブランド化 ………………………………….12

3 コンプライアンスの取り組み …………………………………………….13

4 給食への食材提供事業 …………………………………………………….13

5 観光スポット化 …………………………………………………………….13

(1) 新鮮食材の飲食店の展開 ………………………………………………..13

(2) 市場開放の実施 …………………………………………………………..14

(3) 食育活動の推進 …………………………………………………………..14

(4) おもてなしの体制づくり ………………………………………………..14

(5) 連携した観光コースの設定 ……………………………………………..14

6 卸売市場内の意識改革 …………………………………………………….14

7 公益機能への取り組み …………………………………………………….15

8 施設の整備 ………………………………………………………………….15

(1) コールドチェーン化の取り組み ………………………………………..15

(2) エコロジー化の取り組み ………………………………………………..16

第 5章 基本方針に基づく推進体制 ..................................................17

1 明石市公設地方卸売市場の運営体制 …………………………………….17

(1) 特別会計の現状維持 ……………………………………………………..17

(2) 地方公営企業 ……………………………………………………………..17

(3) 指定管理者制度 …………………………………………………………..18

(4) 民営化 ……………………………………………………………………..18

2 関係者の役割 …………………………………………………………….....19

(1) 卸売業者 …………………………………………………………………..19

(2) 仲卸業者 ………………………………………………………………......19

(3) 関連事業者 ………………………………………………………………..19

(4) 運営協議会・現場取引委員会 …………………………………………..20

(5) 市 …………………………………………………………………………..20

あとがき ………………………………………………………………………....22

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資料編

1 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会 審議の記録 ………….…23

(1) 審議の体制 ………………………………………………………………..23

(2) 委員名簿 …………………………………………………………………..23

(3) 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会設置要綱 ………………..23

(4) 審議の手順 ………………………………………………………………..24

(5) 審議の期間 ………………………………………………………………..25

(6) 審議の過程 ………………………………………………………………..25

2 明石市公設地方卸売市場を取り巻く環境 ……………………………….25

(1) 自然条件 …………………………………………………………………..25

(2) 交通 ………………………………………………………………………..26

(3) まちの特徴 ………………………………………………………………..26

(4) 水産資源 …………………………………………………………………..27

(5) 農産資源 …………………………………………………………………..27

3 明石市公設地方卸売市場の概況 ………………………………………...,27

(1)沿革

(2)施設

(3)開設者及び管理機構

(4)使用料

(5)業務の概要

(6)流通機構

(7)市場買出人調査

(8)取扱高の推移

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第第第第 1111 章章章章 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の趣旨明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の趣旨明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の趣旨明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の趣旨

1111 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会設置の背景設置の背景設置の背景設置の背景

明石市公設地方卸売市場は、昭和 52年に開場し、当時の人口増加、上昇傾

向の経済情勢にあって、生鮮食料品を供給する市民の台所として成長してきた

ところである。

しかしながら、開場後 35年以上を経過し、流通形態や生産構造の変化など

があり、取扱高は最盛期の 3分の 1以下にまで減少している。

加えて、市の厳しい財政状況において、運営に多額の経費がかかることや、

老朽化に伴う多額の施設整備経費がかかることなどもあり、将来の有り方につ

いて、廃止も含めた検討が必要になってきた。

このため、農産物流通、水産物流通、経営戦略の専門的観点から分析、議論

を行い、今後の方向性について提言を試みたものである。

2222 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会の性格性格性格性格

明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会は、明石市公設地方卸売市場の置

かれた現状を分析し、必要性や流通システムとしての機能の基本的な部分で、

その将来の可能性を探る試みであった。

流通業界の極めて専門性の高い分野であるため、明石市公設地方卸売市場あ

り方検討委員会は、専門分野の学識経験者のみで構成した。

関連施設の視察は複数回に及び実施し、関係者との懇談は 50 人を超えた。

実態を正確に把握し、専門的観点から、第三者的視点をもって議論を積み重ね

たものである。

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第第第第 2222 章章章章 明石市公設地方卸売市場の現状と課題明石市公設地方卸売市場の現状と課題明石市公設地方卸売市場の現状と課題明石市公設地方卸売市場の現状と課題

1111 明石市公設地方卸売市場の現状明石市公設地方卸売市場の現状明石市公設地方卸売市場の現状明石市公設地方卸売市場の現状

(1) 明石市公設地方卸売市場の現状

明石市公設地方卸売市場は、昭和 52年の開場以来、順調に取扱量、取扱高

を増やし、平成 2 年度には、水産物、青果物の取扱高合計で 450 億円を超え

最盛期を迎えた。

しかし、流通形態が多様化し、全国的に卸売市場が苦戦する中、明石市公設

地方卸売市場も同様に、取扱量、取扱高ともに下降を続けている。平成 24年

度の水産物、青果物の取扱量合計 40,014t、取扱高合計 133億円となり、取扱

高は最盛期の 3分の 1となった。関連事業者の取扱高 88億円を加えてようや

く 200 億円を超えるといった現状である。それに伴い、場内業者数は、最盛

期 96業者であったが、現在 60業者まで減少している。

一方、明石市公設地方卸売市場は開場以来 36年を経ており、老朽化が著し

くなっており、ハード面の整備という大きな負担が残っているのが現状である。

(2) 明石市公設地方卸売市場の明石市への貢献度

明石市公設地方卸売市場は、明石市民をはじめとする近隣の人々に年間

40,000tを超える水産物、青果物を供給し、その食生活を支えてきた。卸売市

場が本来担うべき社会的意義を開場以来しっかりと果たしてきたといえる。

また、明石市公設地方卸売市場は、全国公設地方卸売市場協議会加盟の全国

75 市場中、県下では、加古川、尼崎とともに 3 市場しかない公設地方卸売市

場の一つであり、神戸市公設中央卸売市場、姫路市公設中央卸売市場とともに

県下周辺の生鮮食料品流通を支える役割の大きさから考えても、明石市に明石

市公設地方卸売市場が設置されている意義は大きい。商業統計調査(平成 19

年)によると、平成 18年度飲食料品卸売業の商品販売額 578億円に対し、同

年度の卸売業者と仲卸業者の取扱高・売上高の合計が 362 億円と、市内の飲

食料品卸売業商品販売額の 60%を占めている。また、平成 13年度よりも卸売

業者と仲卸業者の比率が高くなっている。

さらに、明石市公設地方卸売市場には、卸業者、仲卸業者、関連事業者等

60の業者があり、その雇用は 800人を超える。以上の事から明石市への貢献

度は大きいものがある。

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(3) 明石市公設地方卸売市場の特色

ア 消費地市場と産地市場

明石市公設地方卸売市場は、日本国内外から生鮮食料品を多種にわたって集

荷し、安定的かつ円滑な流通を確保している。供給範囲は、明石市及び近隣市

町であり、大量の消費を支える消費地市場としての役割を担っている。

一方で、鮮度が重視される明石近海の水産物や近郊農地の青果物は、収穫(漁

獲)したその日のうちに消費者の手元に届くよう集荷販売しており、産地市場

としての役割も担っている。

そのため、消費地市場、産地市場 2つの機能を担う特色を持っている。

イ 活魚と軟弱野菜の集荷販売

魚の町“明石”の顔は新鮮な活魚である。明石沿岸は良い漁場であり、昔か

ら有名な明石鯛や明石ダコを筆頭にカレイ、ヒラメ、サバなど様々な水産物が

水揚げされる。また、明石市内及び神戸市西区で生育される新鮮で良質な軟弱

野菜やイチゴ、スイートコーンなど高付加価値の青果物も収穫される。その全

国に誇れる地元の生鮮食料品が前述のとおり明石市公設地方卸売市場では集

荷販売されている。

これらの取引は早朝よりの朝市に加え、水産物は昼市、軟弱野菜を中心とし

た野菜は、夕市で取引されている。鮮度を落とさず、付加価値維持のための販

売方法を採用しており、明石ならではの強みと特色を十分に活かしている。

(4) 国の卸売市場に関する考え

国の卸売市場整備基本方針(平成 22年 10月 26日策定 農林水産省)では、

卸売市場については、我が国の生鮮食料品等の流通の基幹的インフラとして、

生鮮食料品等の円滑かつ安定的な流通を確保する拠点として位置づけられて

いる。

しかしながら、少子高齢化等の社会構造の変化、農水産物の生産構造の脆弱

化、食料消費・小売形態の変化や消費者ニーズの多様化、食の安全や環境問題

をはじめとする社会的要請の高まり等の情勢変化が見られるとともに、卸売市

場経由率の低下や取扱数量の減少等の状況にあり、現状では、卸売業者や仲卸

業者の経営は非常に厳しいものとみなされている。

こうした中にあって、卸売市場は、情勢の変化を的確に捉え、卸売市場の位

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置付けや役割、機能強化の方向、施設整備や運営のあり方等、その将来方向を

検討し、実行に移す体制の構築が必要であるとしている。

(5) 兵庫県の明石市公設地方卸売市場に関する考え

兵庫県卸売市場整備計画(第 10 次 平成 24 年 3 月)では、生鮮食料品等

の安定的かつ円滑な県内流通確保を考慮しつつ、また各卸売市場開設者の持つ

基本方針を第一とした上で、県下一円の流通圏の中、中央卸売市場の配置と、

それを補完する地方卸売市場の配置を行い、県外産地からの広域集荷を行う卸

売市場、地場産地からの域内集荷を行う卸売市場、その両方を行える卸売市場

の調和を図り、安定的、効率的な供給体制の維持を目指すとしている。

その中で、明石市公設地方卸売市場は、広域集荷、域内集荷、双方に強みを

持つ卸売市場として、「地域拠点市場」と位置付けられている。

(6) 明石市長期総合計画(第 5次 平成 24年度~33年度)

明石市のすべての行政計画の最上位に位置づけられる明石市長期総合計画

(第 5次 平成 24年度~33年度)では、「食・海・時を暮らしに生かす」と

した戦略の展開において、「食のブランド力を高める」こと、「明石の食材を生

かし、食の豊かさを楽しむ機会を充実させる」ことが主な施策として位置づけ

られている。

また、「地域産業を元気にする」とした戦略の展開では、「地産地消と地産他

消」による消費拡大を進める」ことも主な施策に位置づけられている。

これらの推進にあたって、卸売市場の担う役割は大きいものと言える。

2222 明石市公設地方卸売市場の課題明石市公設地方卸売市場の課題明石市公設地方卸売市場の課題明石市公設地方卸売市場の課題

(1) 流通形態の変化への対応

兵庫県卸売市場整備計画(第 10 次 平成 24 年 3 月)によると、食料品小

売業の形態別の販売額をみると、比較的新しい形態であるコンビニエンススト

アやインターネット取引などで販売額が増加している。

一方で、食料品小売店の数は全国的に減少しているが、店舗当たりの売場面

積は拡大する傾向にある。特に食料品専門店、食料品中心店等の比較的小規模

な店舗の減少率が大きくなっている。売場面積については、食料品量販店で拡

大傾向が認められ、食料品小売店の大型化が進んでいることが推測される。

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食料品小売業は、国産青果物の約 8 割、輸入青果物の約 6 割を卸売市場か

ら仕入れており、量販店等における販売方法を見ると、仕入後、店別仕分けや

カット、小分け包装等を行い店頭に並べるケースも多く、コストや手間を考慮

すると加工調整等の機能を外部に求めるニーズは高まっていると考えられる。

こうした背景を基に、卸売市場関係者は互いに協力して、量販店等のニーズ

に的確に対応した加工調整処理体制に取組むとともに、量販店との間で取引契

約を締結し、つながりの強化をしていく必要がある。また、地元小規模量販店

及び中小小売業者との連携やサポートが今後必要となってくる。

(2) 生産構造の変化への対応

ア 明石近海鮮魚の集荷力の課題

漁業就業人口の高齢化、担い手不足等全国的な課題があり、明石市において

も同様で漁獲量の減少が懸念される。兵庫県農林水産統計年報によると、県内

漁獲量は、2003年の 82,025tから 60,458tとなり、約 25%減少している。

また、明石市では、昭和 29年より始められたノリ養殖が盛んなため、ノリ

養殖時期である秋から春先にかけて、沿岸漁業に従事する漁業者の減少により

明石近海で漁獲される水産物が減少する傾向がある。

さらに、産地での出荷先の選別により明石近海での漁獲量に占める明石市公

設地方卸売市場の経由率が減少しており、特色ある明石近海の鮮魚の取扱いが

減少している。「魚のまち 明石」の卸売市場として、長期的かつ安定した取

引を実現することが必要となってくる。

イ 兵庫県産の青果物の集荷力の課題

明石市公設地方卸売市場の野菜取扱量が 20年前から約 20,000t減っている

が、この内、兵庫県産が約 15,000t減っている。

比率から考えると、これまで強みであった兵庫県産ものが弱体化していると

推測される。

兵庫県内の農業就業人口の減少による収穫量の減少や、産地の大型化及び出

荷の選別により、水産物同様に集荷力が弱まっている事が要因に挙げられる。

そのため、生産者と消費者をつなぐ卸売市場では、県内産地に対する消費者

ニーズを反映した品目や品種などの栽培提案や指導、あるいは産地開拓を通じ

て産地育成とブランド化の支援に積極的に取り組む必要性がある。

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ウ 食料供給量の課題

平成 23年度の中央卸売市場再編基準の算定ルールによると、開設区域内に

おける需要量として、人口一人当たり青果物 0.1241t、水産物 0.0487tとなっ

ている。明石市の人口約 29 万人を支えるためには、青果物 35,989t、水産物

14,123tが必要となってくる。対象の明石市公設地方卸売市場の取扱高は、青

果物 33,438t、水産物 12,466tとなっているため、明石市に対する需要を下回

る取扱高となっている。

供給量の不足、あるいは需要ニーズの減退などが懸念され対応する必要があ

る。

(3) 変化する社会動向への対応

卸売市場の流通活動が大きく影響を受ける消費者の動向や、経済の動向の変

化について指摘しておく。

ア 消費者の高齢化、単身化

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成 24年 1月推計)」

によると、日本の総人口は 2010年の 1億 2,806万人をピークに半世紀以上に

わたって減少を続け、同時に生産年齢人口(15 歳~64 歳)の減少、65 歳以

上人口の上昇を示すとされている。

この 10 年間の推計値を見てみると、2015 年で総人口 1 億 2,660 万人、生

産年齢人口 7,682万人、65歳以上人口 3,395万人で、生産年齢人口割合 60.7%、

高齢化率 26.8%である。4人に 1人が高齢者ということになる。

2025年の総人口は 1億 2,066万人、生産年齢人口 7,085万人、65歳以上人

口 3,657 万人、生産年齢人口割合は 58.7%、高齢化率は 30.3%。わずか 10

年で 3人に 1人が高齢者という状況になる。

一方で、同研究所の「日本の世帯数の将来推計(平成 20 年 3 月推計)」に

よると、兵庫県を含む大都市圏の2015年の総世帯数は2,732万6,000世帯で、

このうち単身世帯が 941万 7,000世帯、2人以上の複数世帯が 1,790万 9,000

世帯であるのに対し、10年後の 2025年には、総世帯数 2,731万 5,000世帯、

単身世帯が 1,026万 3,000世帯、複数世帯が 1,705万 2,000世帯と、単身世帯

が増加する。

つまり、消費者は、この 10年間で高齢化、単身化が急速に進むと推計され

るため、卸売市場として消費者ニーズに対応していく必要がある。

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イ 低成長経済の現状と国の方針

「経済財政運営と改革の基本方針について(平成 25年6月 14日閣議決定)」

によると、1990年代初頭のバブル崩壊を節目に、日本経済は現在に至る約 20

年間、経済の低成長期にあるとされている。実質国内総生産成長率は 0.8%、

名目国内総生産成長率は 0.2%減、実質国民総所得は 0.6%と低い水準にとど

まり、加えてデフレの進行により、多くの国民が生活の豊かさを実感できなく

なったとされている。

一方、企業側においても、長期にわたる景気低迷とデフレが、設備、研究開

発、人材などへの投資意欲、また新規事業、起業への意欲を委縮させ、実態経

済の抑制が一層定着することとなったとされている。

こうした実態を踏まえて、国は、デフレ脱却と「再生の 10 年」に向けて、

「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の

3 本の矢と言われる基本戦略を強力に推進、これによりこの 10 年間で、雇用

と所得を増加させ、経済の再生と財政健全化の好循環を実現するとしている。

(4) 衛生・品質管理高度化に対する対応

ア 衛生・品質管理高度化に対する考え方

市民に「安心」を提供するためには、生鮮食料品流通において、安全性が確

保され、品質が保持されることが必要となってくる。

そのため、卸売市場内事業者は、それぞれがコンプライアンスの意識を強く

持ち、衛生管理と品質管理に万全の注意を払う必要がある。

それぞれが取組むべき項目を明確にしたマニュアルを作成のうえ、市場内事

業者を対象とした研修を実施するなどし、卸売市場内事業者及びその構成員一

人一人の理解醸成と意識向上に向けて取組む必要がある。

イ コールドチェーンシステムの整備

生産者(出荷者)の段階で安全・安心が確保された農水産物の品質を保った

まま市民に届けるため、結節点となる卸売市場において、コールドチェーンが

確実につながっていることが必要である。

鮮度管理ができるよう予冷品や在庫品の保管場所や低温卸売場の整備を進

めるなどコールドチェーンシステムの確立が必要となってくる。

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第第第第 3333 章章章章 明石市明石市明石市明石市公設地方卸売市場の将来に向けての基本方針公設地方卸売市場の将来に向けての基本方針公設地方卸売市場の将来に向けての基本方針公設地方卸売市場の将来に向けての基本方針

前章で指摘した、明石市公設地方卸売市場の現状や課題を踏まえて、将来に

向けての基本方針を提言します。

また、その内容については、消費者のみなさまの生活の根幹にある「食」が

楽しくあるために、新鮮で安全安心の食材を豊富に提供する使命を担うものと

して、

「明石市公設地方卸売市場は、新鮮、安全、

豊かな食材で楽しい食卓をお贈りします」

をコンセプトとします。このコンセプトのもと、新鮮、安全、豊かな食材を

提供する事を基本業務として行う。また給食食材提供事業や観光事業の付加機

能業務として、多角的に消費者のみなさまにお届けすることを目指すものです。

1111 明石市公設地方卸売市場明石市公設地方卸売市場明石市公設地方卸売市場明石市公設地方卸売市場は、卸売市場本来の基本事業に努めるとともに、は、卸売市場本来の基本事業に努めるとともに、は、卸売市場本来の基本事業に努めるとともに、は、卸売市場本来の基本事業に努めるとともに、

明石ならではの明石ならではの明石ならではの明石ならではの特性、強みを生かし、特性、強みを生かし、特性、強みを生かし、特性、強みを生かし、生鮮食料品生鮮食料品生鮮食料品生鮮食料品流通流通流通流通を担う重要な拠点としを担う重要な拠点としを担う重要な拠点としを担う重要な拠点とし

てててて、活性化しつつ、、活性化しつつ、、活性化しつつ、、活性化しつつ、発展をめざすこと発展をめざすこと発展をめざすこと発展をめざすこと。。。。

卸売市場は、生鮮食料品を適切な場所に適切な時期に適切な量を供給する拠

点であり、電気、ガス、水道などと同様、市民の生活インフラを支える担い手

である。

また、同時に商業・流通業として、地域に密着した産業振興の重要な拠点で

ある。今後、全国的な人口減少により、地域の活力が失われていく中、売上高、

消費、雇用など、地域の産業振興を支える基軸の一つとして位置づけられるも

のである。

さらに、卸売市場の発展は、近隣生産地の農林水産業や商業・流通業の振興

として寄与し、地域全体の活性化に大きく貢献するものである。

明石市公設地方卸売市場も、神戸市西部、加古川市など周辺地域の住民生活

を支える拠点であり、安全安心な生鮮食料品の安定供給と、その価格安定を図

るという卸売市場の本分を担っている。

さらに、全国公設地方卸売市場取扱高として、全国第 10位、西日本では第

2 位であり、市内の飲食料品卸売業として約 60%を占め、800 人を抱える雇

用や、水産業や小売業との関連も含め、明石の産業振興を担う重要な施設とい

える。これらのことから兵庫県下における「地域拠点市場」としても位置付け

られているところである。

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明石市公設地方卸売市場の特色として、明石鯛、明石ダコに代表される水産

物、軟弱野菜やイチゴ、スイートコーンといった青果物など鮮度が良く、付加

価値の高い地元生鮮食料品を集荷していること、一方で、周辺に神戸、大阪な

どの大消費地を抱えていることなどが挙げられ、産地市場、消費地市場の両面

の役割を担っているという強みがあることを指摘できる。

以上から、明石市公設地方卸売市場は、県下において、明石市とその周辺の

広域住民の生活インフラを支えること、明石市の産業振興の担い手であること

という卸売市場本来の基本事業に努めるとともに、ブランド力を持つ、水産物、

青果物の産地市場といった明石ならではの特色、強みを生かし、生鮮食料品流

通の重要拠点として、今後、様々な取り組みのもと、活性化しつつ、持続、一

層の発展をめざすべきである。

2222 基本事業基本事業基本事業基本事業の活性化の活性化の活性化の活性化を進めを進めを進めを進め、一層の発展を図る、一層の発展を図る、一層の発展を図る、一層の発展を図るためためためため、基本、基本、基本、基本事業にとどまらず事業にとどまらず事業にとどまらず事業にとどまらず、、、、

市場としては付加的な機能の拡充を図り、市場としては付加的な機能の拡充を図り、市場としては付加的な機能の拡充を図り、市場としては付加的な機能の拡充を図り、明石ならではの明石ならではの明石ならではの明石ならではの特色ある特色ある特色ある特色ある事業展開、事業展開、事業展開、事業展開、

取り組みを進めること取り組みを進めること取り組みを進めること取り組みを進めること。。。。

今後、1に示した市場としての基本業務の活性化に加え、市場としては、付

加的な機能の拡充を図り、明石ならではの特色ある事業展開、取り組みを進め

る。

具体的には、給食への食材提供機能、観光拠点機能を付加し、それに伴う各

種の事業展開、取り組みを進めるべきである。その事業展開、取り組みにあた

っては、他の市場とは一線を画し、明石市公設地方卸売市場の強みや特色を生

かした明石ならではの手法を用いるべきである。

事業展開、取り組み策の具体的な項目としては、給食食材提供事業や観光事

業などの新規事業への取り組み、水産物や青果物における明石市としてのアイ

デンティティー構築を含めた抜本的なブランド化の取り組みを進めるべきで

ある。

3333 明石市公設地方卸売市場の効果的、効率的な運営の手法を十分に検討する明石市公設地方卸売市場の効果的、効率的な運営の手法を十分に検討する明石市公設地方卸売市場の効果的、効率的な運営の手法を十分に検討する明石市公設地方卸売市場の効果的、効率的な運営の手法を十分に検討する

ことことことこと

大型量販店の進出と中小小売業者の減少など食料品小売業の形態の変化、卸

売市場を通さない生鮮食料品の流通、生産者の減少、食料消費や消費ニーズの

変化などにより、卸売市場の運営は全国的にも非常に厳しい状況にある。

無駄な経費を節減し、今後の将来の在り方を見極めた効果的で、効率的な運

営の手法を十分に検討するべきである。

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また、これらの取り組みを支える項目として、耐震化など施設の整備、市場

内関係者の意識向上、災害時などの安全体制づくりなどの取り組みも進めるべ

きである。

加えて、1、2 の内容の達成をめざし、卸売業者、仲卸業者、関連事業者、

市などの関係者の役割の明確化、連携、体制の強化を図るべきである。

4444 厳しい現状に危機感をもち厳しい現状に危機感をもち厳しい現状に危機感をもち厳しい現状に危機感をもち、、、、市場関係者市場関係者市場関係者市場関係者自ら自ら自ら自らのののの問題問題問題問題と意識し、スピード感と意識し、スピード感と意識し、スピード感と意識し、スピード感

をもって取り組みを進めるをもって取り組みを進めるをもって取り組みを進めるをもって取り組みを進めることことことこと

1、2、3 の内容については、5 年、10 年といった期間で実施するのではな

く、2年、3年といった短期間で取り組みを進めるべきで、スピード感を持つ

ことが重要である。

明石市公設地方卸売市場については、平成 2年度の取扱高最盛期を境に、急

激な取扱量、取扱高の減少が見られる。特色や強みを持ち、活性化、発展の糸

口はあるものの、現状のままでは、ますます縮小し、近い将来に卸売市場とし

ての役割、機能を果たせなくなり、存続が危ぶまれることも考えられる。

直接的には、場内事業者の倒産や失業を出し、明石市とその周辺広域の住

民の生活インフラを失うことになる。

また、その影響は、密接に関係する農水産業や商業・流通業の衰退にもつな

がる。市の産業力の低下は、自治体の力をも縮小させるものと考えられる。

卸売業者、仲卸業者、関連事業者など関係する事業者、市などの行政など市

場に関係するすべての者が、厳しい現状、厳しい将来という現実を正しく認識

し、自らの問題として危機感を持ち、緊急に取り組みを進めるべきである。

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第第第第 4444 章章章章 基本方針に基づく取り組み基本方針に基づく取り組み基本方針に基づく取り組み基本方針に基づく取り組み

1111 流通機能の強化流通機能の強化流通機能の強化流通機能の強化

(1) 集荷機能の強化

明石市公設地方卸売市場の水産物取引では、近海の活魚や昼市が特徴とさ

れ、その強みを強化しつつ、一方で、国内外から集められる水産物の集荷力を

高め、付加価値の高い明石近海の鮮魚を目玉に、品種も数量も豊富なマーケッ

トとして、買受人から見た魅力の向上を図る必要がある。

また、青果物も夕市や軟弱野菜といった特色を一層強化しつつ、同様に国

内外から集められる青果物の集荷力を高め、品種も数量も豊富なマーケットと

して、買受人から見た魅力の向上を図る必要がある。

また、多種多様にわたる生鮮食料品に関し、多品種少量流通策など、効果

的・効率的、戦略的な流通策の検討が必要である。

(2) 販売機能の強化

現在、明石市公設地方卸売市場では、販売先に、ジャストインタイム型の販

売方法をとっているが、今後、消費ニーズを見極め、バンドリング型のシステ

ム化、運用によって戦略的に取引するなどして、多種多様のニーズに対応する

必要がある。

また、場内事業者は、地域における小売の動向、飲食店の稼働率などを分析

し、特定の業態にターゲットを絞った集荷、販売を行うなど、取引先の選択と

集中も一つの手法として調査、検討するべきである。その際、他の競争相手と

の差異的優位がどこにあるのか、自社のポジショニングを見極めることが、最

も重要となる。

※ジャストインタイム型・・・必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給すること。

※バンドリング型・・・・・・複数の商品、サービスをまとめて一つの商品として販

売すること。

(3) 水産物産地市場としての役割の再編

水産物産地市場は、漁業協同組合が水揚げ港に開設しているもので、明石市

では、明石浦、林崎の二つの漁業協同組合が共販事業を行っている。

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明石市公設地方卸売市場で行われる取引と合わせ、明石の近海ものはブラン

ド力も強く、取引でもニーズが高いが、それぞれが、個別に行っているため、

魚種、数量ともに限りがある。

卸売市場と市内全域の漁業協同組合が強固に連携することで、マーケットを

拡大、魚種、数量の増大を図ることで、より多くの買受人を集め、明石全体と

しての取扱量、取扱高を増やし、明石の水産業の発展に努めることを模索する

こと。

その効果は、結果的に明石市公設地方卸売市場の取扱量、取扱高の増大につ

ながるとともに、供給元となる地元水産業者の将来的な持続性にもつながる。

2222 ブランド力の強化、新たなブランド化ブランド力の強化、新たなブランド化ブランド力の強化、新たなブランド化ブランド力の強化、新たなブランド化

ブランド力は、それを高めることで、高い価値を付加し、全国からのニーズ

を高め、出荷量、出荷高を高め、同時に商業・流通業における取扱量、取扱高

を高めることをめざすものである。

この実現により、生産から小売まで商品流通に関連するすべてにおいて、一

層の飛躍、発展が可能となる。

しかし、全国において、同様の考え方から各種のブランド品と称される食材

が売り込まれており、しのぎを削っている現状である。このような中で他を抑

え、特にブランド化を果たすためには、ゆるぎないアイデンティティーや戦略

に基づいて、現状で取り組まれているブランド力強化の取り組みを取捨選択、

整理統合し、尖鋭化させていくことが重要である。

明石においては、特に明石鯛、明石ダコ、軟弱野菜やイチゴ、スイートコー

ンなど全国に誇れる地元生鮮食料品があるが、これらの一層のブランド力の強

化、また新たな食材のブランド化に関し、大局的な見地のもと、尖鋭化させた

取り組みを市で推進し、その管理のもと、生産段階、流通段階、小売段階ごと

の役割分担を行っていくべきである。

明石市公設地方卸売市場では、集荷や販売、また、水産物の昼市や軟弱野菜

などの夕市など、明石ならではのセリも併せて、卸売市場として取組むべき内

容を、卸売業者、仲卸業者が一体となり、運営協議会などで戦略的に検討、市

や漁業協同組合、農業協同組合、また小売店、商店街などとも連携し、実施し

ていくことが必要である。

その成果は、明石の生鮮食料品のブランド力強化、新たなブランド化にとど

まらず、明石市公設地方卸売市場の特色を一層強化することとなり、卸売市場

そのもののブランド化を果たし、取扱量、取扱高の向上へとつなげることがで

きる。

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3333 コンプライアンスの取り組みコンプライアンスの取り組みコンプライアンスの取り組みコンプライアンスの取り組み

現在、明石市公設地方卸売市場では、残留農薬検査 200 種、添加物残留検

査、微生物検査など自主的な検査を実施し、品質の安全安心に積極的に取り組

んでいる。

また、兵庫県が策定した卸売市場品質管理高度化指針(平成 19年 3月)の

卸売会社、仲卸会社等への周知を図っており、品質の安全安心の取り組みを進

めている。

これらを一層強力に進め、衛生面のみならず、危機管理や法令、制度、手続

きの順守の徹底といったコンプライアンスの意識醸成が必要である。

自主的な研修会の実施や、他の研修会への参加など機会を捉え、知識や情報

の集積、またそれらを通じての意識づけが重要であると考える。

4444 給食給食給食給食へへへへのののの食材食材食材食材提供事業提供事業提供事業提供事業

学校をはじめ病院や福祉施設などの給食へ食材を提供する事業に参入する。

青少年の健全育成や健康の維持増進に欠かせない新鮮で安全な食材の提供

は、全国からの大量集荷や、衛生検査の徹底、職人の目利きによる品質管理な

ど、卸売市場だからこそ安全、安心、安定的に実施できる事業である。

また、魚や軟弱野菜といった地元ならではのブランド、強みを生かした、地

産地消の提供や、地元の食文化の提供など特色ある給食に寄与できるものであ

る。

5555 観光スポット化観光スポット化観光スポット化観光スポット化

東京築地市場に代表されるように、近年、卸売市場でその地ならではの新鮮

な食材を魅力とした観光ニーズの高まりがある。

明石市公設地方卸売市場においても、水産物、青果物ともに全国に誇れる食

材があり、飲食店舗を増やし、市場開放を行い生鮮食料品の魅了をアピールす

るなど、飲食、購買の魅力ある観光スポットとして観光客を引き付ける観光機

能施設の整備が必要である。

(1) 新鮮食材の飲食店の展開

海鮮丼など、明石市公設地方卸売市場ならではの、地元の新鮮な魚や全国か

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ら集荷された新鮮で美味な食材を使った飲食店を展開する。

(2) 市場開放の実施

明石市公設地方卸売市場のブランド発信の位置付けのもと、観光客に新鮮、

上質な生鮮食料品の販売を行う。

同時に場内の関連小売店舗の魅力アップ、または人気店舗の誘致を行い、シ

ョッピングモールとしての魅力を向上させる。

(3) 食育活動の推進

現在、明石市公設地方卸売市場場内に設置されている「おさかな普及協議会」

では、定期的にコミュニティセンター等で魚食普及の料理教室を開催している

が、そのほかでも兵庫県漁業協同組合連合会の主催する料理教室など、市内各

所で魚食普及につながる料理教室が開催されている。これらの催しと連携し、

水産物のみならず、農産物をもあわせて、料理教室やテーマ付けした料理コン

テストの開催など、生鮮食料品をアピールするイベントを行う。

以上の事を行い、食育活動を推進させる。

(4) おもてなしの体制づくり

観光客誘致のためには、そのニーズにあったおもてなしが必要である。案内

板の整備や各店舗の対応マニュアルの整備、関係事業者に対する研修会の開催

など、観光客対応の準備が必要である。

(5) 連携した観光コースの設定

明石市公設地方卸売市場単独では、観光客誘致の動機としては不十分と考え

られる。天文科学館、明石焼など明石の魅力ある観光要素との連携や、神戸、

姫路など近隣の観光都市との連携など、観光の動機になりうる魅力あるコース

づくりをする必要がある。

これらは、各関係者と連携して、各要素単位での観光化の推進とあわせて、

旅行会社などとも連携した総合的な推進が必要である。

6666 卸売市場内の意識改革卸売市場内の意識改革卸売市場内の意識改革卸売市場内の意識改革

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最も必要なことは、自分たちが事業の主体であるという自覚を持つことであ

る。他人事ではなく自分事として、将来的な展望を持ち、戦略をたて、実行し

ていくという意識、そして卸売業者、仲卸業者、関連事業者が一丸になって市

場関係者全員が同じ目標をめざすという連帯感を醸成する必要がある。基本的

には運営協議会など、場内関係者で構成される組織などを通じて進めていくこ

とが合理的と考えられる。その際には、運営協議会は市場全体の代表的な共同

体意思決定組織となり、市場全体の統治、意思決定等の透明性確保、そしてメ

ンバーへの説明責任を果たすことは当然のことである。

7777 公益機能への取り組み公益機能への取り組み公益機能への取り組み公益機能への取り組み

明石市公設地方卸売市場は、開設以来 36年が経過しており、施設の老朽化

が進んでいる。

平成 25年度、26年度において電気設備の整備が実施され、冷蔵庫の更新、

増設などにより増大する電力需要への対応、老朽化している配線設備の見直し

などにより事業への支障がでないよう対応がなされたところである。

しかし、建屋そのものに関しては、老朽化が進んでおり、災害時における関

係者の安全確保のためにも、耐震化等の施設整備への留意も必要である。

西日本、四国で死者 32万人、全壊・消失家屋 238万棟、神戸、明石周辺に

おいても死者 5,800人、倒壊家屋 54,000棟ともいわれる南海トラフ地震の発

生が危惧されているところでもあり、一時的被災者を収容する避難所としての

機能を持たせることも、災害救助の自衛隊や、ライフライン復旧の各会社、団

体等の臨時駐屯基地としての役割を果たすことも大規模な公共施設の役割と

して重要である。

しかし、最も重要なことは、災害後の食糧流通の確保、復旧である。一時的

な非常食のあとに、迅速に生鮮食料品をはじめとする食糧流通を再開すること

は、公的流通拠点としての卸売市場の急務になると考えられる。

市内のみならず、被災地域の食糧流通の拠点となり、災害復興促進の足掛か

りを担う施設として、災害に対応した施設整備や、災害時の施設の運用方法の

検討が必要である。

8888 施設の整備施設の整備施設の整備施設の整備

(1) コールドチェーン化の取り組み

新鮮な生鮮食料品を消費者に届けるため、その流通の基点となる卸売市場に

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おいて、より品質劣化を抑えるために、常に一定の温度を保つコールドチェー

ンの確立が求められる。

現在、明石市公設地方卸売市場においては、平成 16年度に青果物の低温卸

売市場を整備し、コールドチェーン化の確立に取り組んでいる。

今後は、水産物においてもコールドチェーン化の確立が求められるところで

あり、施設整備の検討が必要である。

(2) エコロジー化の取り組み

地球環境的視点から将来に向けて太陽光発電等の自然エネルギーによるエ

コロジー化への取り組みの研究も進める必要がある。

また、屋上緑化、節電、リデュース、リユース、リサイクルなど、環境負荷

軽減の取り組みも一層進めるべきである。

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第第第第 5555 章章章章 基本方針に基づく推進体制基本方針に基づく推進体制基本方針に基づく推進体制基本方針に基づく推進体制

1111 明石市公設地方卸売市場の運営体制明石市公設地方卸売市場の運営体制明石市公設地方卸売市場の運営体制明石市公設地方卸売市場の運営体制

国の卸売市場整備基本方針(平成 22 年 10 月 26 日 農林水産省)では、卸

売市場の運営に関し、生産者、実需者のニーズに的確に対応し、卸売市場で取

り扱う生鮮食料品等の品質管理の向上や加工処理等の機能強化、さらには環境

問題への積極的な取り組みを行うこととした上で、施設管理に関しては、民間

委託の推進や指定管理者制度の活用について検討することとされている。

明石市においても、卸売市場の社会的な位置付けを考慮しつつ、より効率的、

効果的、安定的な運営を行うために、次の手法の検討が必要であると考える。

(1) 特別会計による現状維持

地方卸売市場事業特別会計としての現状は、卸売市場長以下、市の職 13 名

(非正規含む)によって管理、運営されている。産業振興部内に設置されてお

り、管理が主となり、経営の自由度はない。

効率的な運営で、経費を削減、市の負担を軽減するとともに、新たな事業展

開を図るなど活性化を図るためには、現状の組織よりは、抜本的な見直しを図

った方が効果的であると考える。

(2) 地方公営企業

地方公営企業は、水道、電気、ガス、交通、病院などの地方公営企業法の適

用を受ける事業を行う企業で、地方自治体が経営し、独立採算性を採る制度で

ある。

事業管理者が経営者として、人事、予算等の権限を付与されて運営するため、

自立した経営が可能となる。長期的な視野、計画のもとで合理的、安定的な運

営を行うことができる。

また、公的施設としての社会的信用度も高い。卸売市場など、地方公営企業

法の適用外の施設でも任意適用事業として、制度の導入は可能である。

課題としては、地方自治体による運営であるので、民間手法を用いた劇的な

改革が期待薄となることである。

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(3) 指定管理者制度

指定管理者制度は、地方自治体が管理していた施設の運営を、株式会社、財

団法人、NPO法人などの団体に代行させる制度である。

管理者は、地方自治体からの管理料を受けつつ、自治体との取り決めの範囲

の中で利益を得ることも可能である。独自の手法を用い、弾力性、柔軟性に富

んだ施設運営が促進され、市場関係者の利便性やサービスの向上が期待される。

そのため、管理者や市場関係者の収益が向上する可能性もあり、市場が活性化

するには適した手法と言える。

また、管理運営経費の削減が推進されるので、施設を所有する地方自治体の

負担は、軽減されることとなる。

指定管理を運用した施設は、地方自治体の管理であることに変わりなく、公

的機関としての信用度が担保されることもメリットと言える。

これらの利点を有するため、全国地方卸売市場連絡協議会加盟の 73の地方

卸売市場のうち、すでに 13市場が指定管理者制度に移行済みで、導入予定が

3市場、13市場が検討中とのデータもある。

課題としては、指定期間が 3~5年と限られるため、人材育成や事業の周到

な計画、準備などが不十分となる場合や、開設者と管理者の機能分担を明確に

していなければ、かえって効果的な運営ができなくなる場合があるので、長期

的な視野、けいかくの担保を十分に検討するべきである。

また、卸売市場といった流通業の特殊な業界の施設である場合は、管理者に

は、その業界に精通した専門性を有しておくことも重要と考えらえる。

(4) 民営化

民営化は、地方自治体などが所有していた施設などが、株式会社など民間企

業に改変されたり、民間企業に売却されたりすることを言う。

民間企業は、同一業界内での競争でしのぎを削り、利益を追求し、そのマー

ケットの環境に適応することを迫られることになる。この競争原理を導入する

ことで、必然的に効果的で、合理的な運営が推進される。サービスの向上とコ

ストの削減がめざましく進む利点がある。自治体としての財政負担は無くなる。

一方で、利益追求に偏るあまり、安全性に対する配慮がおろそかになり、事

故につながったり、偽装などの犯罪に関係してしまう危険性にも留意する必要

がある。該当する施設の存在意義が経営陣の中で希薄になることも考えられる

し、安定性の担保についても考慮しておかなければならない。その危険性も想

定し、これまで、地方自治体が管理、運営してきた意義を十二分に踏まえた、

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民営化後のその施設のあり方も見据えておく必要がある。

加えて、電気設備工事や耐震化工事といった大型施設整備などには、多額の

予算が必要となるため、運営会社の資金力が問われる。

また、生鮮食料品を扱う運営会社としての社会的信用度も問われる。

2222 関係関係関係関係者の役割者の役割者の役割者の役割

(1) 卸売業者

卸売業者は、消費者ニーズを十分に認識した上で、明石市公設地方卸売市場

の特性や強みを勘案し、取引のもととなる広域、域内の生鮮食料品の多種、大

量の集荷に努めること。

運営協議会や現場取引委員会などに寄与し、明石市公設地方卸売市場全体の

利益を考え、仲卸業者と一体となり戦略的、戦術的な取引を進めるとともに、

関係者と連携を強化し、明石市公設地方卸売市場の活性化、発展に取り組むこ

と。

(2) 仲卸業者

仲卸業者は、小売業者の窓口として、消費者ニーズを十分に認識した上で、

明石市公設地方卸売市場の特色や強みを勘案し、生鮮食料品の多種、大量の流

通について卸売業者、小売業者との調整、商取引に努めること。

運営協議会や現場取引委員会などに寄与し、明石市公設地方卸売市場全体の

利益を考え、卸売業者と一体となり戦略的、戦術的な取引をすすめるとともに、

関係者と連携を強化し、明石市公設地方卸売市場の活性化、発展に取り組むこ

と。

とりわけ卸売市場の中心的存在として、取り組みに積極的に努めること。

(3) 関連事業者

関連事業者は、場内を訪れる小売業者に対して、生鮮食料品流通の補完的な

食材、物品の流通に関し、消費者ニーズを十分に認識した上で、明石市公設地

方卸売市場の特性や強みを勘案し、商取引に努めること。

明石市公設地方卸売市場全体の利益を考え、卸売業者、仲卸業者と強固に連

携し、戦略的、戦術的な取引を進めるとともに、関係者と連携を強化し、明石

市公設地方卸売市場の活性化、発展に取り組むこと。

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(4) 運営協議会・現場取引委員会

場内事業者及び市場関係者で構成する運営協議会は、関係者の意識を向上さ

せ、また、組織の見直しや連携を強化させることによって、明石市公設地方卸

売市場がその運営上抱える様々な課題解決に取り組むこと。

とりわけ、水産卸売業者と水産仲卸業者の間にある休市問題について、その

課題解決を図り、効率的な運営を図る必要がある。

また、活性化策の推進にあたり、その中心的な担い手として、戦略、戦術の

検討や取り組みの推進を行うこと。

さらに、積極的に事業者間の調整役を担い、連携の強化に努めるとともに、

市や、外部の関係団体との連携策や連携の仕組みづくりに努めること。

将来にわたる持続性や発展性の見地から、流通や経営、事務管理、接客など

の研修業務にも力を入れ、人材開発、人材育成を促進し、場内業者の成長、強

化を図ること。

水産物部、青果部に設置されている現場取引委員会では、取引に関して産地

から寄せられる市場動向の情報交換、卸売業者、仲卸業者間にある事務的な打

ち合わせが主な内容となっているが、今後は、卸売業者、仲卸業者が共同して、

より効果的な取引が行えるような戦略、戦術の検討も委員会の議事内容とする

こと。

市場の戦略や意思決定の最高機関としての自覚を持って、役割を果たすこと

を特に望む。

(5) 市

市は開設者として、卸売市場のより一層効率的、効果的、安定的な運営管理

に努めること。また、明石市公設地方卸売市場の特色や強み、また社会全般の

消費動向なども俯瞰し、円滑な事業推進に努めること。

また、卸売業者、仲卸業者、関連事業者をはじめ、運営協議会や現場取引委

員会を支援し、運営や連携のサポートを効果的に、確実に努めること。

将来にわたる持続性や発展性の見地から、市としても、流通や経営、事務管

理、接客などの研修業務などにも力を入れ、人材開発、人材育成を促進し、場

内業者の成長、強化を図ること。

さらに、漁業協同組合、農業協同組合など、関係する団体と密接に連携し、

卸売市場のみならず、関連するすべての業者、団体の利益に寄与するよう努め

ること。

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一方で大局的な見地から、明石市公設地方卸売市場について、住民インフラ

としての存在意義を踏まえつつ、また商業・流通業の拠点としての活性化・発

展に努め、農水産業、商業、流通業、観光業などと一体となった明石の産業振

興の推進に努めること。

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あとがきあとがきあとがきあとがき

明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会では,明石市公設地方卸売市場を

めぐる情勢の変化と取扱高等の動向を踏まえて,本市場の今後のあり方につい

て,専門的観点から客観的に検討を行ってきた。その結果,本市場の特色を活

かして,本来事業の活性化や新たな付加的機能の拡充などの取り組みを進める

ことにより,活性化,一層の発展が可能であるとの結論に達した。

今日,卸売市場をめぐる情勢はめまぐるしく変化をしており,そのもとで経

営戦略的視点を持った取り組みが必要となっている。したがって,本市場にお

いても,関係者が連携し,一体となって主体的に取り組みを行うことなしには,

活性化,一層の発展は望み得ない。とりわけ,卸売市場の主役とも言える卸売

業者,仲卸業者は,取扱高が大きく減少している現状に危機感を持ち,活性化,

一層の発展をめざして経営戦略を明確にし,スピード感を持った取り組みに努

めるとともに,本市場全体の将来展望を描き,実現するために強いリーダーシ

ップを発揮する必要がある。

本委員会の直接の任務は,本報告書をまとめ,市に報告,提言を行うことに

なるが,前述の意味において,卸売業者,仲卸業者をはじめ市場関係者にこそ,

本報告書を熟読し,主旨を理解して,ただちに取り組みを進められることを強

く望むものである。

なお,本報告書は,平成 25 年度末を期限として明石市,明石市議会に報告

するとともに,公において内容を公表する。明石市においては,その内容を十

分に精査し,本市場の今後のあり方について方針を決定することが望まれる。

また,本報告書の提言は,基本方針を中心とする今後の取り組みの基本的な

事項をまとめたものであり,活性化に向けては,中期計画,アクションプラン

など具体的な指針と行動計画の策定を行うことが望ましい。

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資料編資料編資料編資料編

1111 明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会 審議の記録審議の記録審議の記録審議の記録

(1) 審議の体制

農産流通、水産流通、経営学のそれぞれを専門とする学識経験者で構成 す

る「明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会」を設置し、明石市公設地方卸

売市場の将来的なあり方について検討、審議を行う。

検討、審議の結果を市に提言する。

(2 )委員名簿

委員は、流通学・経営学の高度で専門的知識を有し、県・他市の関連する委

員会・検討会等の委員として豊富な経験と見識を持つ学識経験者 3 名。

氏名 所属 職名 専門

小野 雅之

(会長)

神戸大学大学院農学研

究科教授

兵庫県農林水産政策審議会市場流

通部会長

農 産 物

流通論

榎 彰徳 前大阪いずみ市民生活

協同組合理事会議長

元近畿大学農学部水産

学科准教授

兵庫県農林水産政策審議会委員 漁 業 経

済学

西村 順二 甲南大学副学長

甲南大学経営学部経営

学科教授

西宮市卸売市場整備検討委員会

神戸市大規模小売店舗立地法審議

会委員

商学、流

通機構

(3) あり方検討委員会設置要綱

明石市公設地方卸売市場あり方検討委員会設置要綱

(設置)

第 1 条 明石市公設地方卸売市場の今後のあり方に関する将来展望及びそ

の実現のための計画の策定に必要な調査及び検討を行うため、明石市地方卸

売市場あり方検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

(所掌事務)

第 2条 委員会は、次に掲げる事項を調査及び検討し、市長に報告するもの

とする。

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(1) 明石市公設地方卸売市場の将来展望に関すること。

(2) 計画に盛り込むべき項目及び内容に関すること。

(組織)

第 3条 委員会は、委員 3名以内をもって組織する。

2 委員は、学識経験を有する者のうちから、市長が委嘱する。

(任期)

第 4条 委員の任期は、第 2条に規定する事務が終了するまでとする。

(会長)

第 5条 委員会に会長を置き、委員の互選によって定める。

2 会長は、委員会を代表し、会務を総理する。

3 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を

代理する。

(会議)

第 6条 委員会は、会長が招集し、その議長となる。

2 会長は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求め、意見を聴く

ことができる。

(庶務)

第 7条 委員会の庶務は、産業振興部卸売市場において処理する。

(委任)

第 8 条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、

会長が委員会に諮って定める。

附 則(平成25年1月23日制定)

(施行期日)

1 この要綱は、制定の日から施行する。

(招集の特例)

2 この要綱の施行の日以後最初に開かれる委員会の会議は、第6条第1項

の規定にかかわらず、市長が招集する。

(4) 審議の手順

ア 明石市公設地方卸売市場の位置づけ、役割を明確化する。

イ 活性化の方向性・基本施策を検討する。

ウ 体制のあり方、運営の仕方を検討する。

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エ 活性化推進の役割分担、関係団体等との連携を検討する。

(5) 審議の期間

このあり方検討委員会の審議期間は、平成 25年度中の取りまとめをめざし

たものである。当初、概ね 5回の開催を考えていたが、審議の内容、経過によ

り回数を増やすなど流動的な対応を行った。

(6) 審議の過程

第 1回 明石市公設地方卸売市場視察

(平成 25年 3月 7日)

第 2回 明石市公設地方卸売市場分場の視察と

審議(市場の位置づけ、役割の審議等)

(平成 25年 5月 31日)

第 3回 明石市公設地方卸売市場内業者との懇談

審議(市場の現状分析等)

(平成 25年 7月 12日)

第 4回 報告書素案審議

報告書素案審議(基本方針等)

(平成 25年 8月 30日)

第 5回 報告書素案審議

報告書素案審議(現状・課題等)

(平成 25年 11月 1日)

第 6回 報告書素案審議

報告書素案審議(総括)

(平成 25年 12月 26日)

2222 明石市公設地方卸売市場を取り巻く環境明石市公設地方卸売市場を取り巻く環境明石市公設地方卸売市場を取り巻く環境明石市公設地方卸売市場を取り巻く環境

(1) 自然条件

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明石市は、明石海峡に面する東西約 16km、南北約 5km、総面積約 49k㎡、

標高 90mを最高位とするなだらかな地勢である。四季を通じて温暖な気候で

ある。

(2) 交通

明石は、国道・県道等の道路、鉄道によって大阪、神戸などの近畿大都市圏、

姫路などの播磨臨海地域、三木、小野など播磨北部地域などを結ぶ交通の要衝

となっている。

とりわけ鉄道では、JR 明石駅は 1 日に 13 万人の乗降客数で、県下で、三

ノ宮、神戸に次ぐ 3位の多さを誇る。西明石には山陽新幹線の駅も設置されて

いる。

ジェノバライン、明石淡路フェリーなどにより、淡路との交通結節点として

の機能も高かったが、1998 年、明石海峡大橋の開通によりトラック、乗用車

などの車両は、大橋を利用し、明石を大きく迂回することとなり、明石淡路フ

ェリーは航路廃止に追い込まれ、明石の中心市街地商店街のにぎわいにも影響

がでているものと考えられる。

鉄道/JR山陽本線(三宮=明石は約 15分、明石=大阪は約 50分)

山陽新幹線(西明石駅)、山陽電鉄

道路/国道2号、250号、175号、県道 718号線、第二神明道路ほか

航路/淡路ジェノバライン(明石=岩屋は約 13分)

(3) まちの特徴

中心市街地を含む東部、西明石、大久保、魚住、二見の各地域に分類できる。

いずれも長い海岸線に面し、それぞれに漁業基地がある。

東部は、古くから宅地化の進んだまちだが、とりわけ中心市街地は、旧明石

城の城下町に端を発した古い歴史をもち、乗降客数の多い明石駅や、魚の棚を

はじめとする商店街、市役所などの官庁が密集する明石の中心地である。

一方で中心市街地の東部朝霧には昭和 40年代に開発された大型の明舞団地

が立地するが、近年は高齢化が進んでいる。

西明石は、新幹線の停車駅があり、中心市街地には及ばないものの駅を中心

に大きな商業ゾーンを形成している。広く住宅街が広がる地域でもある。卸売

市場はこの西明石駅の西に徒歩 10分の距離に立地する。

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大久保は、JR大久保駅を中心に大規模な大型マンション群が開発され、そ

れに伴う商業ゾーンも広がりを見せている。北東部には昭和 40年代に開発さ

れた高丘団地が立地する。また北西部から神戸市西区岩岡にかけて広く田畑が

広がる。

魚住は JR魚住駅を中心に新興住宅街が開発され、比較的新しい入居者の多

い地域である。一方で大きく田畑も広がる。

二見は山陽電鉄東二見駅周辺の商店街、比較的新しい山陽電鉄西二見駅に隣

接する大型スーパーが商業ゾーンと言える。マンション開発、新興住宅開発も

進む。大きな工業団地としての人工島をもち、大小約 400の工場が立地する。

(4) 水産資源

明石鯛、明石ダコ、アナゴ、イカナゴ、明石ノリ、その他四季折々の豊富な

水産資源に恵まれている。

(5) 農産資源

キャベツ、軟弱野菜、イチゴ、スイートコーンなど、質、量ともに全国に自

慢できる豊富な農産資源に恵まれている。

3333 明石市公設地方卸売市場の概況明石市公設地方卸売市場の概況明石市公設地方卸売市場の概況明石市公設地方卸売市場の概況

(1) 沿革

(2) 施設

(3) 開設者及び管理機構

(4) 使用料

(5) 業務の概要

(6) 流通機構

(7) 市場買出人調査

(8) 取扱高の推移

※いずれも「市場概要 25年度版」から抜粋