建築・都市環境に関する...
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2015.6.02STAR Japanese Conference 2015
大岡龍三
建築・都市環境に関する数値シミュレーション
東京大学生産技術研究所(IIS)
1
ヒートアイランドの数値解析
2
3
都市気候における様々なスケール
geostrophic wind
suburban area
sea
suburban area urban area
hei
ght
(m)
0
200
300
100
mountain
sea-breeze
⑤ Urban scale (10km~100km)
② Room scale (3m~10m)
outlet
heat island
circulation
④ City block scale (~1km)
heat island circulation
artificial heat release
artificial heat release
③ Building scale (30m~50m)
cross ventilation
latent heat
convection
artificial heat release artificial
heat release
solar radiation ① Human scale (~1m)
solar radiation
inlet
convection
radiation evaporation
respiration
Meteorological
Model
Micro Climate Model
Building Model
Human
Sensation
Model
4
メソスケールモデルの基礎方程式(Mellor-Yamadaモデル レベル2.5)
5
メソスケールモデル適用事例
26
28
30
32
34
36
38
40
℃
32
30
28
26
28
30
32
34
36
38
40
℃
36
34
32
28
30
34
地表面温度の比較
(1) 江戸時代 (2) 現在
1880 年
1932 年 現状
50 km
20 km
10 km
15 km
10 km
15 km
10 km
(a) 観測結果(1985年夏の午後の50日間の平均)
(b) 数値予測結果
6
メソスケールモデルへの都市キャノピーモデルの組み込み
Urban cool spot Urban cool spot
Fresh and
cold air
Fresh air from
mountainTurbulent heat
transfer from ground
Solar
radiation
Heat generated by from the city center
Energy
consumptionHeat sink
Heat sink under ground
wind (1-a) Resistance Force against
Wind
(2-a) Shading Sunshine
by Building (1-b) Increase Turbulence
(2-b) Shading Long Wave
Radiation by Building (2-c) Absorption of Sunshine by Trees
(2-d) Decrease Absorption of
Sunshine on Ground by
Trees
(3-a) Sensible and Latent Heat
on Roof and Wall at Building
メソスケールモデル
都市キャノピーモデル
7
Meso-Scale Model incorporating Urban Canopy model
45
Tokyo bay
50
55
50
45
45
(1) Measurement (2) Conventional (3) With Urban Canopy
Comparison of Ground Surface Temperature (24 July, 13:00)
0
5
10
15
20
25
30
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4
Wind Velosity [m/s]
Heig
ht
[m]
0:00 3:00 6:00 9:00
12:00 15:00 18:00 21:00
0
5
10
15
20
25
30
20 25 30 35 40 45 50
Air Temperature [deg]
Heig
ht
[m]
0:00 3:00 6:00 9:00
12:00 15:00 18:00 21:00
Vertical Profile of Wind
Velocity at Otemachi
Vertical Profile of Air
Temperature at Otemachi
Averaged building height at Otemachi
8
解析結果 (7月24日13時)
風速ベクトルの観測値(1985年夏季50日の平均)
解析結果気温分布:地上2m
気温の観測値(1995年7月24日13時アメダスデータ)
36
35
34
32
33
30
東京湾
練馬府中
さいたま
大手町
辻堂
横浜
(℃)
解析結果風速ベクトル:地上70m
31.7 35.5
33.4
34.1
35.9
29.8
東京湾
さいたま
大手町
辻堂
横浜
府中 練馬
31.7 35.5
33.4
34.1
35.9
29.8
東京湾
さいたま
大手町
辻堂
横浜
府中 練馬
東京湾
31
35
34
33
31
32
東京湾
31
35
34
33
31
32
9
各種ヒートアイランド対策の効果
Effects of Various Countermeasures on Air Temperature (August, 13:00, 1.5m height)
(1) 屋上面高アルベド化 (2) 屋上緑化 (3) 人工排熱無し
(1) 入力条件
Input Data 4地表面、建物壁面被覆状況・対流熱伝達率
・長波放射吸収率・日射反射率(アルベド)
・蒸発効率
・窓面占有率 etc.
(2) 放射 ・伝導・対流
連成シミュレーション
土壌及び壁体内熱伝導計算
放射計算
CFD(対流湿気輸送連成計算)
表面温度
Input Data 1
日時・計算日時 ・日射量
・気象条件 ・雲量 etc.
Input Data 2
場所壁面被覆状況・経度、緯度・方位 etc.
Input Data 3
市街地・建物形状・建蔽率 ・容積率
・階高 etc.・内部負荷
空調排熱
(3) 熱換気回路網シミュレ-ション
外気温・風速・圧力・日射量
換気量計算
内部負荷計算
熱・換気
回路網計算
換気量
日射量(内部負荷)
(4) 出力
空調負荷計算
屋外風・温熱環境
通風により
冷房負荷削減量
研究目的
10
解析地域東京駅
(1) 大手町:高層街区 (2) 京橋:低層街区
対象地域
解析条件
風速高さ74.6 [m]
夏季
日 7月23日
時刻 15時 8時 10時 12時 14時 16時18時 20時
気温[℃] 31.6 19 22 23 22 21 20 19
風速[m/s] 3.0 1.3 4.1 4.2 2.4 6.7 5.0 5.6
風向 南 北 北 南 南 南 南 南
春季(中間期)5月3日
11
大手町の解析結果(夏季:午後3時)解析ケース
[℃]
[℃]
気温水平分布基本ケース(1-1)
対象領域
風向
空調排熱無(1-0) 屋上高反射(1-2)
道路高反射(1-3) 交通排熱(1-4)
32.96 [℃] 1.51 [m/s]
±0 [℃] ‐0.04 [m/s] ±0 [℃] ‐0.02[m/s]
‐0.10
[℃]
‐0.02[m/
s]
+0.20 [℃] +0.07 [m/s]
平均気温 平均風速
高さ:1.5m
屋上
高反射率
交通排熱
高反射 顕熱 潜熱
1-0 0% 無 0% 0% 0% 空調排熱無
1-1 0% 無 0% 30% 70% 基本
1-2 0% 無 100% 30% 70% 屋上高反射
1-3 100% 無 0% 30% 70% 道路高反射
1-4 0% 有 0% 30% 70% 交通排熱
Case
道路 空調検討事項
12
京橋の解析結果(夏季:午後3時)
解析ケース
32.19 [℃] 1.19 [m/s]
水平気温分布基本ケース(2-1)
空調排熱(2-0) 屋上高反射(2-2)
道路高反射(2-3) 交通排熱(2-4)
対象領域
‐0.20 [℃] ‐0.29 [m/s] +0.01 [℃] ‐0.04 [m/s]
‐0.12 [℃] ‐0.06 [m/s] +0.38 [℃] +0.07 [m/s]
[℃]
[℃]
平均気温 平均風速
屋上
高反射率
交通排熱
高反射 顕熱 潜熱
2-0 0% 無 0% 0% 0% 排熱無
2-1 0% 無 0% 100% 0% 基本ケース
2-2 0% 無 100% 100% 0% 屋上高反射
2-3 100% 無 0% 100% 0% 道路高反射
2-4 0% 有 0% 100% 0% 交通排熱
Case
道路 空調検討事項
風向
高さ:1.5m13
街区風環境を考慮した建物形状の最適化①研究目的と計算手法の概要
Initial population
of design alternatives
All individuals
calculated?
Design variables
Constraints functions
CFD calculation
by Star-CCM+ 8.02
Generate geometry
Convert into mesh file
Impose the B.C.
geometry/mesh generator
CFD solver
Sort population
by ventilation potential
Select individuals
for reproduction
Reproduction
(crossover, mutation)
Convergence criteria
reached?
Optimized
design population
optimizer
Objective functions:
Ventilation potential
No
Yes
Yes
No
・風通しの良い街区設計の導出・デザイナの経験や好みのみによらず工学的アプローチで設計案を導出
研究目的
設計案導出のフローチャート
最適化の焦点
最適化手法
・遺伝的アルゴリズム
操作変数
・建物形状
(建物向き、敷地内の位置)
目的関数
・検査体積の平均運動エネルギー
(KE)
街区風環境を考慮した建物形状の最適化②ケーススタディ
対象領域の状況
対象敷地
ケーススタディ概要
・対象領域:500 m x 500 m の高密度市街地・領域の中央にある敷地(16,712 m2)に大規模ビルを計画している状況を想定
敷地
境界
建物1
建物2
建物3
デザイナによる初期設計案
建物形状のパラメータ化
Cy1
Cx1
building1
Site
bou
ndar
y
θ1
x
y
建物1における形状のパラメータ化
Cx1 Cy1 θ1
1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 1 1 1 0
遺伝的アルゴリズムによる形状操作のためのパラメータの二進化
・パラメータ化された建物形状は遺伝的アルゴリズムによる計算プロセスにより敷地環境に適した設計案へ進化される。
街区風環境を考慮した建物形状の最適化③ケーススタディの結果
最終案の形状
0.90
1.00
1.10
1.20
0 100 200 300
RK
Ean
nu
al
Iterations
building1
building2
building3
Site
bou
ndar
y
: Positive change
-6000 -5950 -5900 -5850 -5800 -5750 -5700 -5650 -5600 -5550 -5500-3.65
-3.645
-3.64
-3.635
-3.63
-3.625
-3.62
-3.615
-3.61
-3.605
-3.6x 10
4
: Negative change
: Buildings and target site計算の進みによる設計案の進化様子(初期案のKEに対する個体のKEの比)
建物配置変化による風環境改善(高さ:1.5 m)
・黒色表示:配置変化により目的関数の値が大きくなる領域・全体的に約52 %を黒色が占有している中で、
黒色が対象敷地周辺に密集していることが確認される。配置変化により風通しが改善されていると判断される。
Large-eddy simulation(LES)による大気境界層の解析
17
・ヒートアイランド現象、大気汚染問題をはじめとする都市環境問題が深刻化している。
・計算機性能の向上によりCFD解析を用いた環境影響評価、対策評価が行われるようになってきている。
大気汚染問題
研究背景・目的
ヒートアイランド現象
・環境影響評価、対策評価に一般的に用いられるRANSは市街地風環境評価を行うための十分な予測精度を有していない。
・様々なRANSの乱流モデル開発が行われているにも関わらず、予測精度が十分に向上していない。
高密度市街地(日本建築学会:市街地風環境予測のための
流体数値解析ガイドブック)
CFD解析(RANS) vs 風洞実験(日本建築学会:市街地風環境予測のための
流体数値解析ガイドブック)
研究背景・目的
風洞実験( http://www.takenaka.co.jp/rd/より引用)
研究背景・目的
Large-eddy simulation (LES)( Tominaga et al. (2012)より引用)
風洞実験データベース(Yoshie et al. (2007)など) LESデータベース(Tominaga et al. (2012)など)
長所 ・データの信頼性が高い・乱流統計量の空間分布の取得可能・乱流フラックス輸送方程式に基づく検討可能
短所・乱流統計量の空間分布の取得が困難・乱流フラックス輸送方程式に基づく検討が困難
・Sub-grid scaleモデルが必要・風洞実験との比較による信頼性の検証が必要
解析手法
・解析モデル:上原ら(1997)の風洞実験に基づいて作成・解析対象:5列目都市キャニオン内外の5点のサンプリング点
(UCC,UCW_1,UCW_2,UCL_1,UCL_2)
x3
x2
x1
5H20H
15H
20H
7.5H
Outlet
(Free slip)
InletSky
(Free slip, u3=0)
Urban block model
Ground
(Wall function)
Building
(Wall function)
Wind
Side
(Periodic)
Inlet
(Uniform flow)
Outlet
(Free slip)
Sky
(Free slip, u3=0)
Urban block model
Ground
(Spalding’s law)
Building
(Spalding’s law)
Roughness block20H
100H
20H5H15H
20H
Wind
x3
x1
x2
7.5H
Building model block
H(x1)×H(x2)×H(x3)
H H
Wind
H
0.5H
Wind
H
0.5H
Target urban canopy (5th row)
UCL_2 (x1/H=0.375)
UCL_1 (x1/H=0.25)
UCC (x1/H=0)
UCW_2 (x1/H=-0.375)
UCW_1 (x1/H=-0.25)
UCC (x1/H=0)
UCL_2 (x1/H=0.375)
UCL_1 (x1/H=0.25)
UCW_2 (x1/H=-0.375)
UCW_1 (x1/H=-0.25)
x1
x2
x1
x3
都市街区モデル(サンプリング点)
解析モデル(LES)
解析モデル(標準k-εモデル)
解析結果1:LESデータベースの信頼性
・LESの主流方向平均風速は風洞実験値と良く一致している。・LESの乱流エネルギーは都市キャニオン内外において風洞実験値より小さくなる。・LESのレイノルズストレスは都市キャニオン上端付近において風洞実験値より小さくなる。
・平均風速、乱れ性状ともにRANSよりLESの方が概ね信頼性が高い。
主流方向平均風速(サンプリング点:UCC)
乱流エネルギー(サンプリング点:UCC)
レイノルズストレス(サンプリング点:UCC)
0
0.5
1
1.5
2
-0.5 0 0.5 1
x3/H
<u1>/<u1>(2H)
Exp
LES
k-ε
0
0.5
1
1.5
2
0 0.05 0.1
x3/H
k
Exp
LES
k-ε
0
0.5
1
1.5
2
-0.025 -0.015 -0.005 0.005
x3/H
<u1'u3'>/<u1>(2H)2
Exp
LES
k-ε
解析結果2:LESと標準k-εモデルの比較
0 0.25-0.25
0.25
0.5
0.75
1.0
0-0.5 0.5
x1/H
x3/H
1.0
0x1
x3
0 0.25-0.25
0.25
0.5
0.75
1.0
0-0.5 0.5
x1/H
x3/H
1.0
0x1
x3
平均風速ベクトル(LES)
・LESと標準k-εモデルでは都市キャニオン内の循環渦の中心位置が異なる。・標準k-εモデルはLESと比較して乱れを過小評価する傾向がある。
0 0.25-0.25
0.25
0.5
0.75
1.0
0-0.5 0.5
x1/H
x3/H
0.1
0x1
x3
0 0.25-0.25
0.25
0.5
0.75
1.0
0-0.5 0.5
x1/H
x3/H
0.005
-0.025x1
x3
乱流エネルギー(LES)
x3
0 0.25-0.25
0.25
0.5
0.75
1.0
0-0.5 0.5
x1/H
x3/H
0.1
0x1
x3 x3
0 0.25-0.25
0.25
0.5
0.75
1.0
0-0.5 0.5
x1/H
x3/H
0.005
-0.025x1
x3
レイノルズストレス(LES)
平均風速ベクトル(標準k-εモデル) 乱流エネルギー(標準k-εモデル) レイノルズストレス(標準k-εモデル)
解析結果3:レイノルズストレスの物理機構・モデル化
SGSij
GSijijij
SGSij
GSijijijij
jiεεDΨTTΦPC
t
'u'u
k
jik
ijx
'u'uuC
k
i
kjk
j
kiijx
u'u'u
x
u'u'uP
i
jiij
x
'u
xj
'u'p
k
kjiGSij
x
'u'u'uT
k
ikjjkiSGSij
x
''u''uT
k
jkiikj
ijx
'u'u'p
2
2
k
ji
ijx
'u'uD
k
j
k
iGSij
x
'u
x
'u
2
k
ijk
k
jik
SGSij
x
'u'
x
'u'
移流項 生産項 圧力歪相関項
GS乱流拡散項 SGS乱流拡散項 圧力拡散項
GS散逸項 SGS散逸項分子拡散項
Grid scale(GS)レイノルズストレス<u1’u3’>輸送方程式
・勾配拡散近似の導出過程では移流項、拡散項を無視する局所平衡を仮定する。・都市キャニオン内外において移流項、拡散項が無視できるのかは明らかではない。
0
0.5
1
1.5
2
-0.03 -0.02 -0.01 0 0.01 0.02 0.03
x3/H
Budget of Reynolds stress <u1'u3'>
Conv.
Prod.
Pre-S.
Diff.
Diss.
Resi.
解析結果3:レイノルズストレスの物理機構・モデル化
・都市キャニオン内においてはレイノルズストレス<u1’u3’>輸送方程式の拡散項は生産項、圧力歪相関項と同程度の大きさとなる。
・上空においてはレイノルズストレス<u1’u3’>輸送方程式の移流項、拡散項は無視できるほど小さく、生産項、圧力歪相関項が概ね釣り合う。
・都市キャニオン内においては拡散項が大きくなるため、拡散項の非局所的な効果を無視する勾配拡散近似は物理的に妥当ではない。
各サンプリング点での平均値
Conv.:移流項(Cij)Prod.:生産項(Pij)Pre-S.:圧力歪相関項(Φij)Diff.:拡散項(Tij
GS+TijSGS+Ψij+Dij)
Diss.:散逸項(εijGS+εij
SGS)Resi.:残差
Building model block
H(x1)×H(x2)×H(x3)
H H
Wind
H
0.5H
Wind
H
0.5H
Target urban canopy (5th row)
UCL_2 (x1/H=0.375)
UCL_1 (x1/H=0.25)
UCC (x1/H=0)
UCW_2 (x1/H=-0.375)
UCW_1 (x1/H=-0.25)
UCC (x1/H=0)
UCL_2 (x1/H=0.375)
UCL_1 (x1/H=0.25)
UCW_2 (x1/H=-0.375)
UCW_1 (x1/H=-0.25)
x1
x2
x1
x3
都市街区モデル(サンプリング点)
室内環境解析チルドビームの室内温熱環境形成効果
26
南
北
基準執務室において各熱源による人体近傍でのCRIの解析
室内環境寄与率CRIとは、吹出し口、吸込み口、及び
室内の各熱源などの室内の「流れの要素」の原因となる因子が、室内の温熱環境形成に対してどのような影響力を持っているかを評価する指標として考案されている。
𝐶𝑅𝐼𝑚 𝑥𝑖 =∆𝜃𝑚(𝑥𝑖)
∆𝜃𝑚,0=𝜃𝑚(𝑥𝑖) − 𝜃𝑛𝜃𝑚,0 −𝜃𝑛
=𝜃𝑚(𝑥𝑖) − 𝜃𝑛
𝑄𝑚𝐶𝑝ρ𝐹
ここに、
θn:基準温度(neutral temperature)[K]
θm,0:着目する室温が基準温度θnである室に温冷熱源Qm[W]が供給(排出)された時の一様拡散温度[K]
∆θm,0 =θm,0-θn:一様拡散温度基準温度θm,0のθnからの温度上昇(下降) [K]
θm(xi):着目する熱源でqm[W/m3]の熱量の発生がある際の、CFD解析で得られた位置(xi)における定常温度[K]
∆θm(xi) =θm(xi)-θn:室内の位置(xi)におけるθm(xi)の基準温度からの温度上昇(下降)[K]
F:室への供給風量[m3/s]
𝑄𝑚 = 𝑉𝑞𝑚𝑑𝑉:熱源mの室内積分発生熱量[W]
解析モデル:室内に84人が一様に分布して座席している状態とし、
人数に対応するデスクトップPCとノートPCを各42台で設置した。また、天井に128台の照明器具と32台のCBを、北ペリメーターゾーンの天井に8台のドライFCU(ペリメーターの冷房負荷用)を、デスクに42枚の放射パーティションを設置した。
解析設定
CFDコード STAR-CCM+ v10.02
乱流モデル Realizable k-εモデル
メッシュ分割 非構造格子、約255.6万
壁面境界条件温度・気流:ブレンド型壁法則(定数E=9.0, Kappa=0.42)放射率:内壁面・機器類0.9, 人体0.95
流入・流出境界アクティブチルドビーム:吹出は一次空気量(78.75[m3/h])×4, 吸込は一次空気量×3ドライFCU:吹出・吸込510m3/(h・台) Desktop PC:吹出・吸込9.36m3/(h・台)Note PC:吹出・吸込 2.17m3/(h・台)
各熱源境界条件
アクティブチルドビーム吹出し空気温度[℃] 23.87
ドライFCU吹出し空気温度[℃] 23.65
PC吹出し空気温度(液冷熱回収ユニットで処理した)[℃] 21.00
人体表面熱流束[W/ m2] 45.00
照明表面熱流束[W/ m2] 38.70
放射パネル表面熱流束[W/ m2] -17.76
東壁面[W/ m2] 12.56
北壁面[W/ m2] 10.13
南壁面[W/ m2] 4.28
西壁面[W/ m2] 10.99
窓面[W/ m2] 16.60
①チルドビームはドライFCUとPCよりCRI値が大きいので、チルドビームは室内の温熱性状に大きく影響した。
②ドライFCUは北天井に設置されているので、チルドビームとドライFCUのCRI分布により、チルドビームは南壁(内壁)での区域を大きく影響しているが、ドライFCUは逆に北壁(窓)の方を大きく影響している。
③PCの吹出し口による平均CRIが相対的に最小であるが、人体近傍の局部での温熱性状への影響が小さくない。
人体近傍(0.2m)でのCRI解析結果
チルドビームのCRI結果
ドライFCUのCRI結果
PCの吹出し口のCRI結果
室内環境解析室内発熱機器の発熱量予測
30
発熱機器の放熱性状の把握
測定からは機器周辺の環境変化が生じ、正しい発熱量や放射成分・対流成分を分けて確認が困難。そのため対流・放射連成解析を用いて機器の放熱特性を検討し、機器発熱モデルとして活用する。
解析目的
2.7m
2.7m
2.7m
機器単体
吸込み口
吹出し口‐ 温度:測定値(約26℃)‐ 風速:0.04m/s
乱流モデル
低Re数型k-εモデル(Abe-Kondoh-Nagano Model)
計算格子
Trimmed Mesh
(LED灯:2,930,000個、
ノートパソコン:2,910,000個、
デスクトップパソコン:2,930,000個)
浮力 Boussinesq近似
流入境界
「部屋の吹出口」
・供給風速:0.4m/s・送風温度:約26℃
「機器の排気口」
1)ノートパソコン
・吹出風量:7.52m3/h・吹出温度:36.8℃
2)デスクトップパソコン
・吹出風量:2.17m3/h・吹出温度:49.5℃
放射計算Surface to Surface Radiation Model
壁面、天井面、床面の放射率:1.0
機器表面の放射率:0.9
検討モデル 境界条件
発熱機器の放熱性状の把握
測定データを用いた発熱条件
測定温度(放射カメラ) 表面温度条件
37
35
33
31
29
27
[℃]
39
37
35
33
31
29
27
[℃]
37
35
33
31
29
27
[℃]
LED灯
ノート
パソコン
デスクトップ
パソコン
1) 表面からの発熱性状の結果
対流伝達熱量(W) 放射伝達熱量(W)
2.5
1.9
側面
4.5
9.1
下部麺 1.6
1.0
背面
2.1
1.6
液晶背面
9.3
6.8
液晶前面
6.2
7.7
本体側面
0.6
0.4
本体前面
0.7
0.5
本体背面
2.1
2.7
下部面
1.7
3.5
上部面
2) 総発熱量(投入電力)とシミュレーション結果の比較
0 20 40 60 80 100 120
投入電力[W]
表面からの発熱
量[W]
排気口からの発
熱量[W]
隙間換気による
発熱量[W]
LED 灯
ノートパソコン
デスクトップパソコン
※ 機器表面にある隙間からの風量や温度を判断することは非常に困難
⇒ 総発熱量と解析結果の差を隙間換気として推定する。
解析分析による放熱性状の結果
1) 表面からの発熱条件
2) ファンからの発熱条件
ファンからの吹出し風量
ファンからの吹出し温度
流量入口
大気汚染のメソスケール解析
・関東地方におけるオゾン濃度と気象条件の関連分析
33
関東地方におけるオゾン濃度と気象条件の関連分析
ANALYSIS OF INFLUENCE OF METEOROLOGICAL CONDITIONS
ON SUMMER OZONE LEVELS OVER CENTRAL KANTO AREA
Background
Both NOx and NMHCs emission are decreasing, but ground O3
concentration is increasing.It is believed that is due to increase of trans-boundary from East
Asia, particularly in spring (Ohara, 2007). However, in summer, it is not clear yet how steady the increasing trend is.
0
10
20
30
40
50
60
70
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05
Year
Ozo
ne a
nd N
Ox
(ppb
)
0
100
200
300
400
500
NM
HC
(pp
bC)
Ozone
NOx
NMHC
Maximum ozone
y = 1.0358x + 40.682
R2 = 0.4742
20
30
40
50
60
70
80
1985
1987
1989
1991
1993
1995
1997
1999
2001
2003
2005
Years
O3 c
oncentr
ation (
ppb)
34
Description of a numerical model
MM5 modelThe Fifth-Generation NCAR / Penn
State Mesoscale ModelCalculating
wind, temperature, pressure, etc.
CMAQ model (EPA, USA)The Community Multi-scale Air Quality modeling
EMISSION DATA (2000)Prepared by Central Research Institute of
Electric Power Industry, Tokyo, JapanIncluding
CO2, NOX, VOC, SO2, NH3, etc.
transport chemistry
depositionscloud,
precipitation
aerosols
Species O3 NO NO2 ALD FORM ETH OLE TOL XYL ISO PAR
ICs 28 2.0 4.0 1.8 2.2 1.4 1.6 14.4 0.6 0.5 74.3
BCs
N 28 2.0 4.0 1.8 2.2 1.4 1.6 14.4 0.6 0.5 74.3
E 25 2.0 4.0 1.8 2.2 1.4 1.6 14.4 0.6 0.5 74.3
W 28 2.0 4.0 2.0 2.4 3.2 4.2 11.4 0.7 0.5 82.7
S Default (USA)
Initial andboundary conditions
Analysis area and configuration
Hour emission data at 14:00 JST (mole/s/grid)
Air quality concentration O3, NOx, CO..
NCAR Met. Data: T, U, P, RH, SST, Topography , Land Use, etc.
FDDA
JCAP
Table 1: Analysis size domains and grid
resolution
Size
(X[km] x
Y[km])
Grid
number
resolution
(km)
D1 450x540 51x61x23 9
D2 216x261 73x88x23 3
D3 99x120 100x121x2
3
1
Chemical/physical processes: MM5/CMAQ Default
35
Nerima
18
22
26
30
34
38
8/4 8/5 8/6
Local Time (JST)
Tem
pera
ture
(℃
)
Nerima
0
30
60
90
120
150
8/4 8/5 8/6Local Time (JST)
Ozone (
ppb)
Variables Mean Bias Mean Error Root Mean
Squared Error
Correlation
Coefficient
Wind speed (m.s-1) 0.8 0.9 1.0 0.6
Wind direction
(degree)-6.0 35.6 56.2 0.6
Temperature (oC) 1.6 1.7 1.9 0.9
Ozone (ppb) 4.7 13.8 17.0 0.9
Nerima
0
2
4
6
8
10
8/4 8/5 8/6
Local Time (JST)
Win
d S
peed (
m/s))
Nerima
0
90
180
270
360
450
8/4 8/5 8/6
Local Time (JST)
Win
d D
irection (
degr
ee)
Model evaluation (for Nerima, Tokyo)
Statistical measures
36
局地気象
・都市の存在は降雨に影響するか
37
都市の存在は降雨に影響するか
• 東京における降雨– 暖候期の午後に短時間降水が増加傾向(Fujibe et al,2009)
• 都市の多くは浸水想定区域– 近年、集中豪雨による水害が頻発– 都市は内水氾濫が起き易い
• 都市の存在は降雨に影響するか– 高橋日出男(2010、成山堂)
• 大気下層の高温に伴う安定度減少と下層収束• 都市における空気力学的な粗度の増加による地上風の収束• 都市から生じるエアロゾルによる凝結核としての働き
– 藤部文昭(2012、朝倉書店)• ヒートアイランド循環に伴う下層収束による水蒸気汲み上げ• 地上付近の高温に伴う熱対流による混合層上部の加湿
38
研究の手法:数値計算
• メソスケール気象モデル MM5– ペンシルヴェニア州立大学/米国大気研究センター(NCAR)– 地表面境界条件の改良、人工排熱の導入 [川本、大岡(200
8)]
• 計算格子の解像度– 水平解像度: 3km(領域1)、 1km(領域2)– 鉛直解像度:地表面近傍40m
計算領域の例
積雲パラメタリゼーション 使用しない
境界層スキーム MRF
雲微物理スキーム Goddard微物理
放射スキーム 雲放射を考慮
地表面スキーム 5層土壌モデル
物理スキームオプションの例輪島
伊良湖
東京
第2領域
第1領域
150
1000
勝浦
館野
小名浜
150
150
39
数値計算モデルの改良• 改良版MM5について [川本、大岡(2008)]
– 地表面パラメータ(アルベド、粗度長など)• 改良前:格子内で最も卓越する土地利用で、その格子の
地表面パラメータを代表させる• 改良後:格子内での土地利用の割合に応じて加重平均した
地表面パラメータを与える
– 人工排熱の導入• 東京都のエネルギー消費関連資料に基づいた毎時データ(産総研)
• 全て顕熱とし、顕熱輸送式の地表面近傍の格子点に生産項として導入
ah14
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
改良前の粗度長 改良後の粗度長 人工排熱分布(14時) 40
数値計算による短時間強雨の事例再現
• 2005年8月15日– 寒気を伴った低気圧が通過し、東京都23区西部を中心に大雨
• アメダス練馬で降雨量58mm/1時間• 中野区、杉並区、練馬区では床上・床下浸水
• 数値計算よる再現– 計算結果では降雨域が20km程度東にずれているが、– 局所的かつ短時間に降雨が集中する様子を再現
観測(解析雨量)
0 40 80km 0 40 80km
降雨量 1 10 20 40 mm 降雨量 1 10 20 40 mm
計算
(東京管区気象台発表資料より抜粋)1時間積算降雨量(8月15日20:30~21:30)地上天気図
雨量の極大
雨量の極大
41
積乱雲に取り込まれた水蒸気のソース
• 積乱雲に取り込まれた空気塊のソース– 短時間強雨をもたらした積乱雲の高度5kmを始点として後方流跡線を算定– 海上からの空気塊が48%(南風、北東風)、元々陸上にあったグループが37%
• 水蒸気の起源– 大部分は海から吹き込む風によって海上から陸上に輸送される– 陸上の空気塊に含まれる水蒸気は、陸面から供給されたものも含まれる
• 市街地の潜熱フラックスの観測例 : 200~300W/m2 (銀座)
0 40 80km
降雨量 1 10 20 40 mm
雨量の極大
後方流跡線、および各グループの割合(空気塊の移動時間5時間)
南風グループ(33%)
停留グループ(37%)
北西風グループ(15%) 北東風グループ(15%)
42
局地循環による水蒸気輸送• 夏季の静穏日
– 午後には広域的な海風になることが多い
• 平野部– 海風先頭の上空に水蒸気が蓄積(上昇気流の到達高度は1.8km)– 海風先頭における地上付近では水蒸気減少
• 山岳域– 谷風循環により水蒸気が大量に山岳上空に輸送されている
A-B断面における水蒸気混合比の分布、およびA-B断面に投影した風速ベクトル
東京湾 都県境 熊谷 前橋房総半島 谷川連峰
-0.5
-1-0.5
-0.5-1
14時における地上風速ベクトル43
未来の建築設計
・GCMを活用した近未来標準気象データ作成に関する研究
44
1.研究背景・目的・手法 45
■研究背景
■研究目的
しかし現在、気候変動が進行している
建築設計では、建築熱負荷計算により省エネ性や居住性が評価されます建築熱負荷計算では気象データが使用される
既存の気象データは過去と現在の観測値に基づくため、過去と現在の気候に適応した建築が設計されている
将来の気候において快適な居住性を維持(適応策)し、
建築のライフサイクルにわたる省エネ(緩和策)を実現するには
現在と将来の気候に適した建築設計が必要
建築熱負荷計算のための将来気象データの作成
1.研究背景・目的・手法 46
■研究手法
局所性と気候変動の両方を反映した気象データを作成
□全球気候モデル (GCM: Global Climate Model)
全球気候モデルとは、地球全体を解析領域とし、
全球スケールの気候変動の予測が可能な気候モデル
建築熱負荷計算ではより高解像度な(局所性を有する) 気象データが要求
領域気象モデルは、初期値・境界値を与えることで、
解析領域内の気象を詳細に再現する気象モデル
□領域気候モデル (RCM: Regional Climate Model)
MIROC4h東大大気海洋研究所
木本研よりご提供
WRF
2種類の気候モデル(GCMとRCM)を活用し、将来気象データを作成する
将来の気候が予測される
高解像度な解析により局所性を考慮することができる
力学的ダウンスケーリング(RCMによる空間詳細化)
Weather Research and Forecasting Model
2.GCMの力学的ダウンスケーリング 47
■力学的ダウンスケーリングの解析条件
・最大の領域(低い解像度)は日本全土を覆い、
・最小の領域(高い解像度)は東京都を中心
(最小の水平格子間隔は約2km)
(気温、比湿、風速、海面更正気圧、表面温度、海面温度)
□解析領域東京都大手町
(北緯35.69,東経139.76)
・現在の解析は2001-2010年(10年間)を対象
(1981年の観測値を初期値とし2010年まで予測したMIROC4h気象データを使用)
・近未来の解析は2026-2035年(10年間)を対象
(2006年の観測値を初期値とし2035年まで予測したMIROC4h気象データを使用)
・各年度の夏季8月の1ヶ月間を対象 (助走計算期間は2週間)
□初期値・境界値
・第1領域ではMIROC4hにより予測された気象データ
・第2,3,4領域では親領域の解析結果を初期値・境界値として使用(One-Way ネスティング)
□解析期間
□数値モデル WRFARW version3.4
図 解析領域
・4段階のネスティング
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
気温
[℃]
時刻[h]
Otemachi (MIROC4h+WRF) Otemachi (OBS)
Tateno (MIROC4h+WRF) Tateno (OBS)
Kumagaya (MIROC4h+WRF) Kumagaya (OBS)
2.GCMの力学的ダウンスケーリング 48
■領域気候モデルで再現される局所性 (日変化)
図 大手町、館野、熊谷の現在(2001-2010年)の10年間平均したの8月の地上高2m気温の日変化
表 3都市の現在(2001-2010年)の8月の地上高2m気温の日較差(OBSとの比較)
大手町 [℃] 館野 [℃] 熊谷 [℃]
OBS 4.74 6.66 7.20
MIROC4h+WRF 5.13 (+0.39) 7.00 (+0.34) 7.89 (+0.69)
日較差、日最高気温を記録する時間といった各都市における気候が再現
0
2
4
6
8
10
12
14
16
8 9 1011121314151617181920212223242526272829303132333435363738
fre
qu
en
cy[%
]
water vapor pressure[hPa]
MIROC4h+WRF(2001-2010)
OBS(2001-2010)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38
fre
qu
en
cy[%
]
temperature[℃]
MIROC4h+WRF(2001-2010)
OBS(2001-2010)
2.GCMの力学的ダウンスケーリング 49
■大手町の現在(2001-2010)の解析結果 (気温,水蒸気圧)
(OBSが観測値、MIROC4h+WRFの解析値)
気温 MIROC4h+WRFとOBSの平均値の差は0.4℃水蒸気圧 MIROC4h+WRFとOBSの平均値の差は1.2hPa
夏季の気温、水蒸気圧の解析結果は観測値をよく再現
気温 水蒸気圧
図 大手町における2001-2010年の8月の気温と水蒸気圧の頻度分布
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2
freq
uen
cy[%
]
atmospheric radiation[MJ/m2]
MIROC4h+WRF(2001-2010)
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
0.1 0.3 0.5 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 2.9 3.1 3.3 3.5 3.7
freq
uen
cy [
%]
solar radiation [MJ/m2]
OBS(2001-2010)
MIROC4h+WRF(2001-2010)
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
Win
d d
ire
ctio
n f
req
ue
ncy
[%]
Wind direction
MIROC4h+WRF(2001-2010)
OBS(2001-2010)
0
5
10
15
20
25
30
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
freq
uen
cy[%
]
wind velocity[m/s]
OBS(2001-2010)
MIROC4h+WRF(2001-2010)
2.GCMの力学的ダウンスケーリング 50
図 大手町における2001-2010年の8月の各気象要素の頻度分布
全天日射量
(OBSが観測値、MIROC4h+WRFの解析値)
大気放射量
■大手町の現在(2001-2010)の解析結果
建築熱負荷計算のための気象データに必要な全ての気象要素が得られる
風速 風向
2.GCMの力学的ダウンスケーリング 51
現在から近未来にかけて気温は1.08℃上昇、水蒸気圧は1.80hPa上昇
気温 水蒸気圧
(現在(2001-2010)の解析値、近未来(2026-2035)の解析値)
■近未来の解析による気候変動の検討 (気温, 水蒸気圧)
図 現在(2001-2010)と近未来(2026-2035)の8月の各気象要素の頻度分布(大手町)
本手法による将来気象データは気候変動を反映
52
■建築熱負荷計算の解析条件
TRNSYS17を使用し、作成した気象データを用いて建築熱負荷計算を実施
□対象とした住宅モデル(大手町)
Hall
Entrance
Bath
Kitchen
Living DiningJapanese
Room
Closet
Bedroom Child RoomA
2F Hall
Child RoomB
□解析期間 夏季8月の1ヶ月間
スケジュールに従い空調する2階建戸建住宅を対象
全般換気 0.5回/h
部屋 空調スケジュール
LDK 6:00–10:00, 12:00–14:00, 16:00–
24:00
主寝室 (就寝23:00-7:00)
子供部屋1 20:00–21:00, 22:00-24:00
子供部屋2 18:00–19:00, 21:00-23:00図 住宅モデル平面図(延べ床面積約120m2 )
表 空調スケジュール
3.近未来気象データを用いた建築熱負荷計算
1階 2階
□空調とスケジュール
設定温度27℃、相対湿度60%
53
■近未来の建築熱負荷計算結果
顕熱負荷は13%増加、潜熱負荷は19%増加、空調負荷(顕熱+潜熱)は14%増加
近未来の標準気象データを使用し、夏季の気候変動が建築熱負荷へ与える影響評価
3.近未来気象データを用いた建築熱負荷計算
気象データ 顕熱負荷[MJ/month]
潜熱負荷[MJ/month]
空調負荷[MJ/month]
WD_Aug
(2001-2010)
2.55×103 6.87×102 3.23×103
WD_Aug
(2026-2035)
2.88×103
(113%)
8.18×102
(119%)
3.70×103
(114%)
表 10年間の平均的な室内熱負荷
気象データ 顕熱負荷[kW]
潜熱負荷[kW]
空調負荷[kW]
WD_Aug
(2001-2010)
3.35 1.12 3.79
WD_Aug
(2026-2035)
3.42
(102%)
1.24
(109%)
4.14
(102%)
表 10年間の最大熱負荷
顕熱負荷は2%増加、潜熱負荷は9%増加、空調負荷(顕熱+潜熱)は2%増加
夏季の気候変動が平均的な空調負荷へ与える影響に対し、最大熱負荷へ与える影響は小さい
今後、年間(12ヶ月間)の将来気象データの作成と気候変動の影響評価を実施
最大熱負荷は上位0.5%(7440の上位37番目)に相当
54
ご静聴ありがとうございました。