経済産業省fintech 研究会 「わが国におけるfintech · 6つの要因 1....

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Copyright MONEY DESIGN Co., Ltd. All Rights Reserved. 経済産業省 FinTech 研究会 「わが国における FinTech の状況」 株式会社お金のデザイン 取締役 COO 北澤 参考2

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Page 1: 経済産業省FinTech 研究会 「わが国におけるFinTech · 6つの要因 1. インフラのスリム化によるコ スト低減 2. 自動化によって高水準の機能

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経済産業省FinTech研究会 「わが国におけるFinTechの状況」

株式会社お金のデザイン 取締役COO 北澤 直

参考2

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弊社の概要

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社名: 株式会社お金のデザイン 設立: 2013年8月1日 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2796号 加入協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 主要な事業内容: オンライン型投資一任運用サービスの提供 取締役: 取締役会長:谷家衛 代表取締役社長:廣瀬朋由 取締役:北澤直 社外取締役: 郷治友孝、藤沢久美、小泉泰郎、田中将太郎 監査役: 島田精一 主要株主: 東京大学エッジキャピタル、みやこキャピタル、イーストベンチャー その他

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FinTechの定義は多義的 ポイントは、その本質をどう捉えるか

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古典的な捉え方 金融産業にソフトウェアの力を及ぼすことで、フロントエンド、ミドル、バックオフィスを再構築して、顧客インターフェイスをリフレッシュする コモディティ化する危険をはらみ、その場合はプラットフォームと大資本をもつ既存の金融機関が最終的に恩恵を受ける(持続的イノベーションの一種)

現在の捉え方 金融産業にソフトウェアの力を及ぼすことで、フロントエンド、ミドル、バックオフィスを再構築して、顧客インターフェイスをリフレッシュするとともに、Market disruptorとして競争優位性を持続させる 既存プレイヤーに吸収されない競争力をもったイノベーション

革新的な捉え方 あらゆる側面において、テクノロジーとソフトウェアを最大限に活用することを本旨とする(シリコンバレースタートアップ型) 既存プレイヤーか新規参入者かを問わず、金融ビジネス全体が経験するパラダイムシフト

原文: Pascal Bouvier, General Partner at Rout 66 Ventures http://f in icul ture.com/def in ing-f intech-the-ul t imate-rorschach-test/

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イノベーションはセグメントをまたぐ

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Wor ld Economic Forum h t tp : / /www3.weforum.org /docs /WEF_The_ fu ture__of_ f inanc ia l_serv ices .pd f

6つの要因 1. インフラのスリム化によるコ

スト低減 2. 自動化によって高水準の機能

が身近なものに 3. 中間業者を排除してコストを

顧客に還元する 4. データが持つ新しい価値 5. ニッチな専門家の集中参入が

Unbundlingを促す 6. コンシューマーから“プロ

シューマー”へ

“それぞれの分野でイノベーションがおきている”ものの、 “実際は分野をまたぐドライバーによって横断的に発生している”

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Paradigm Shiftを起こすのはテクノロジー

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Fintech系スタートアップではエンジニアの比重の高さが顕著 Bettermentでは94人中40%がエンジニア(2015年5月) “We’re hiring more engineers, more product managers, and more investment analysts to build out our advice and optimization tools,”

大手投資銀行もテクノロジー強化へ “FinTechスタートアップの出現によってこれまでのウォールストリートファームが被る損失は、売り上げで4.7兆ドル、利益ベースで4,700億ドルの損失が予想される”(Goldman Sachs)

ゴールドマン・サックス

テクノロジー その他

JPモルガンチェース

テクノロジー その他

9,000

26,000 220,000

30,000

S ou r c e : Go l dm a n S a ch s a n d W a l l S t r e e t P a r a de

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“Unbundling”からの“Personalization”

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資産運用 Wealthfront, Betterment, SigFig, Kapitall, Acorns,

Robinhood, Motif

資産管理 Mint, HelloWallet

決済 PayPal, Square, Payoneer,

Stripe 送金

Azimo, CurrencyFair, Worldremit

保険 Oscar

銀行 Simple

金融情報 Seeking Alpha

融資 Kabbage

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日本におけるFinTechの現状

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日本におけるFinTechの現状

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融資 決済 送金

バックオフィス効率化

金融リサーチ セキュリティ コンスーマーバンキング

銀行インフラ

(297社) (286社) (46社)

(44社) (74社) (59社) (40社)

(88社) (172社)

資産管理 (139社)

決済 (303社)

銀行法 貸金業法

銀行法 貸金業法

資金決済法

金商法

()内はVenture Scanner調べ、各セグメントの世界のプレーヤー数

Leanに始めやすい サービスから、

規制業種セグメントへ

資産運用

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規制業種セグメントの留意点

スタートアップ企業であること

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規制業種であること

人員体制 資金繰り 性質 人為的ミスを防ぐために余剰人員を辞さない

最小限 最低限

分別信託等顧客保護のための資金を潤沢に確保

スピードより正確性 取扱う資金の性質上、ミスはあってはならない

スピードが命 小さい健全なミスは、むしろおかすべき

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日本はFinTech Hubになりえるか?

FinTech先進国では行政が積極的にサポート

• NY, LDN, Dublin, Swiss

• シンガポール:MASによるSmart Regulation, Fintech & Innovation Group, FTIG

アジア各国もFinTechを重点課題に

• 香港ではInternet Finance CouncilがFinTechを支援することを表明

• タイのSECは中小企業がクラウドファンディングで資金調達することを認める

• マレーシアでもクラウドファンディングが複数認められている

• フィリピンではGPHがe-pesoを認可

• 韓国では規制が引き続き課題であるものの、今年に入りFinTechが発展するための制度を整備する旨を表明。FSCは銀行がFinTechに出資すること、また、非金融機関がインターネット銀行に出資することを認める

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資産運用サービスにおけるFinTechの現状

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資産運用サービスにおけるFinTech

“ロボアドバイザー”と呼ばれる業態を中心に、資産運用サービスと周辺事業にFinTechによる構造変革がおきている

• スマートフォン、モバイルデバイスに対応している

• UIがシンプルでストレスがない

• 高度なアルゴリズムによって運用がなされる

• 低コスト

• 運用状況が常に一覧できる

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ロボアドバイザーが具備する一般的な特徴

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欧米諸国では新セグメントとして急成長中

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2012 13 14 15 16 17 18 2019

米国オンライン資産運用総額

C o r p o r a t e I n s i g h t , P w C , M y P r i v a t e B a n k i n g

兆円:$1=¥100

既に2兆円を越える運用規模

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200社を越えるプレイヤー

$2.4Bn

運用残高

$1.7Bn

$1Bn+

$17Bn

$70M

各社開示資料

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米国で構造変革をもたらしたのは 行動様式の変容とツールの進化

• 伝統的な資産運用サービスへの不信 ─ 2回のマーケットクラッシュを経験した層は、運用に対し

て高いリターンを求めない

• 顧客の行動様式の変容 ─ いわゆるMillennials世代は9千万人、資産額は2兆ドルを

超える(2018年には7兆ドルを超える予想) ─ 対面販売を無駄と考え、シンプルで透明性が高くよりコ

ストが安い運用手法を好む

• 情報インフラの完備 ─ 通信技術・モバイル・ウェアラブルデバイスの発達

• 運用ツールの進化

─ ETFに代表される、小額投資で分散投資ができる金融商品の出現

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先行する米国では既に次のステージへ

• スタートアップが新しい価値を市場に持ち込む

第1ステージ

第3ステージ • 既存の金融機関の本格参入

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第2ステージ • 資産アドバイザー(RIA)も巻き込んだ業態の多角化

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大手参入の中、 さらにイノベーティブな業態も出現

今後求められるのは、さらなるサービスの拡充

• 遺産設計・相続対策、節税 • 保険商品、不動産など含むトー

タルな資産管理 • データ分析に基くアドバイス

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オープンソース化 • ロボアドバイザー版のMagentoが出現

資産運用をもっと身近なものに

• 毎日の買い物のお釣りで資産運用

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産業構造の変革は、 「顧客本位」のサービスをもたらす

効率性の向上 Efficiency

• 支店窓口に出向いたり、複雑な書面のやり取りする手続を排除

• UIの善し悪しがサービス自体の評価に直結

透明性の向上 Transparency

利益相反状況 の解消 Align of Interest

コストの低減 Cost Reduction

• 常に運用状況を把握できる • 顧客に「見えないコスト」は排除

• 運用報酬以外の報酬を貰わない • 独立・中立な立場で投資対象を選び、自社

商品へのバイアスを排除

• テクノロジーが代替できる機能に人的コストをかけない

• 既存の金融機関もコスト構造を修正する契機に

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ロボアドバイザーは伝統型FinTechなのか?

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• 仮説:ロボアドバイザーは伝統型FinTech? ─ アルゴリズムを用いたETF売買だけでは新規参入による

コモディティ化が進み、資本力・顧客基盤を有する既存の金融機関に取り込まれるのでは?

• さらなるテクノロジーの進化による事業範囲の拡大 ─ 税金プランニング、退職プランニング、ファイナンス全

般を取り扱う ─ アカウントアグリゲーションを前提とした「全体最適」 ─ データの活用

• 汎用性が高い故、他のビジネスへの広がり

─ 他の金融機関とのコラボレーションなど

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ロボアドバイザーから フルラインアップの資産運用サービスまで

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資産運用プラットフォーム

運用情報 サービス

データ分析

CRM ポートフォリオマネジメント

退職プランニング(含む年金コンサ

ル)

フィナンシャル プランニング

タックス プランニング(含む相続)

アカウントアグリゲーション

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今後の展開例: 独自開発とプラットフォームの有効活用

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退職プランを開発 ・退職までの収入・支出を試算して 運用するツールを開発

RIA用サービスを開発 ・FidelityなどのRIAプラットフォームに 提供

401(k)向けのサービスを開発 ・これまでの運用報酬平均144bpsに 対して60bpsの運用報酬 (2.5百万ドル以下)

2010年にサービスを開始した、全米を代表するロボアドバイザー 運用残高は約17億ドル

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今後の展開例: 買収によるサービスの拡充

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2015年2月に買収 ・オンラインサービスのフロントエンドを強化

2015年5月に買収 ・エンド顧客のゴールを設定したフィナンシャ ルプランニングの提供が可能に

2015年8月に買収 ・クラウドベースのデータアナリティクス ・エンド顧客の銀行とカード情報の把握が可 能に

Envestnet, Inc (ENV) 2010年NYSE上場 RIAにウエルスマネジメントサービスツールを提供 これまで20近くのスタートアップと提携または買収してサービスの幅を拡充している