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  • 『台灣日本語文學報 22 號』PDF版 PDF 版は、広く業績を共有するためにインターネットでの検索と個人の閲覧の便に供する目的で公開しています。インターネット、印刷物、その他いかなる形でも、許可なく転

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    431

    有關學好 LARP at SCU 電子語料庫的狀態副詞之考察

    ─針對從初級到中級的作文資料為調查對象─

    盧月珠

    東呉大学日本語文學系副教授

    摘要

    日語的副詞是現代日語的特殊語彙項目之一、不只数量多、且具

    有多義性・用法複雑、因此經常看到錯誤使用和不自然使用。對於母

    語非日語的人而言、明確地了解其意義及用法、是極其困難之事。

    本研究主要是利用「LARP at SCU 作文電子語料庫」的從初級

    到中級程度的学生所寫的作文當作數據資料、以錯誤使用的趨勢和發

    生因素為中心検討・加以考察並弄清楚。最後、学生從初級到中級的

    語言学習階段中、由実際出現錯誤使用之後経過什麼過程、能掌握學

    到手、試做比較・加以考察。

    盼望本調査結果、能提供日語教育教師做参考為目的、日語学習

    者也能知道自己容易錯誤之處、多用心留意。以期在日語学習階段時、

    有所助益。

    關鍵字: 狀態副詞 電子語料庫 錯誤使用 從初級到中級

    作文資料

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    432

    A Study of Adverbs Learning Based on LARP at SCU:Composition Data from Beginning to Intermediate Levels as

    the Object--- Lu, Yueh-Chu

    Associate Professor, Soochow University

    Abstract

    Japanese adverbs, one of the lexically characteristic categories in contemporary Japanese, are frequently used either illegitimately or unidiomatically due not only to their large quantity, but also to the ambiguity as well as discrepancy of the nuances of various usages of the same word. Consequently, gaining a firm grasp of their meanings and uses is extremely difficult for non-native speakers. This study employed “LARP at SCU,” from which compositions written by beginning and intermediate learners were used as the corpus. It examines, analyzes and illuminates the tendencies for the misuse of Japanese adverbs by students. It also assesses the factors that contribute to such mistakes. Moreover, I will compare and examine the processes of how beginning- and intermediate-level learners acquire proficiency after their errors are found in the course of language learning. It is hoped that the findings of the study will be helpful to teachers of Japanese as a second or foreign language. By pointing out the sets of circumstances under which mistakes in conjunction usage frequently occur, the study should also be beneficial to students of this language. Keywords: adverb, LARP at SCU, misuse,

    beginning- and intermediate-level, composition database

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    433

    LARP at SCU における状態副詞の習得についての考察 ―初級から中級までの作文データを調査対象に―

    盧月珠 東呉大学日本語文学系副教授

    要旨

    現代日本語の語彙的特徴項目の一つとされている副詞は、単にそ

    の数量が多いだけでなく、意味の転換、用法のニュアンスの差異な

    どの特質を持っているため、誤用と非用がよく見受けられる。日本

    語を母語としない者にとって、その意味、用法を確実に理解するの

    は至難の業である。 本研究では、「LARP at SCU の作文データベース」を利用して、初・中級レベルの学習者が書いた作文を材料に、誤用の傾向とその

    発生要因を中心に検討、考察し、明らかにする。最後に、学習者が

    初級から中級までの言語習得過程で、実際に誤用が現われた後どう

    いうプロセスを経て身に付けるようになるかを比較し、考察する。 そして本稿の調査結果を、現場の日本語教師の参考に供すること

    を目指す。また日本語学習者にも自分の間違いやすいところに注目

    してもらい、日本語の習得過程において促進できるのではないかと

    思われる。 キーワード:状態副詞 LARPatSCU 誤用 初級から中級まで

    作文データベース

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    434

    LARP at SCU における副詞の習得についての考察

    ―初級から中級までの作文データを調査対象に―

    盧月珠

    東呉大学日本語文学科副教授

    1.はじめに

    副詞は、程度副詞・様態副詞・結果副詞・時間関係副詞・頻度副

    詞の五つ(仁田、2002)、または情態副詞・程度副詞・陳述副詞の三

    つに分けられる(蔡、1987;林、1983)。日本語学習上で重要な学習

    項目の一つに位置づけられ、日本語教育においては副詞の学習項目

    は初級から導入されている。しかし、学習者側にとっても、教える

    側にとっても、習得困難なイメージと負担の多い項目であると言わ

    れている。副詞の類義語は日本語学習者にとってなかなか習得が難

    しいが使い方を間違えると意味が全く変わってしまいことや、誤解

    を生むこともあり、とても大切な副詞の使い方である。さらに副詞

    の類義語(せっかく・わざわざ)について、便宜上陳伯陶(2001)

    の以下の例を借用してみる。(P.926)

    ~行ったのに留守 だった

    ~の努 力が無 になる

    ~来た かいが あった。

    ~ご自 愛下 さい

    ~回り 道を する

    せっかく ○ ○ ━ ○ ━ わざわざ ○ ━ ○ ━ ○ さらに、副詞の類義語について、モダリデイを示す例を借用する。

    山田 (1999) (P222)「だろう」・「はず」と共起する。

    A、学業を続けるには、奨学金が必要だろう。

    B、学業を続けるには、ひょっとしたら奨学金が必要だろう。

    C、学業を続けるには、ことによると奨学金が必要だろう。

    D、学業を続けるには、たぶん奨学金が必要だろう。

    E、学業を続けるには、おそらく奨学金が必要だろう。

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    435

    F、学業を続けるには、きっと奨学金が必要だろう。

    G、学業を続けるには、ぜったいに奨学金が必要だろう。

    H、学業を続けるには、どうしても奨学金が必要だろう。

    I、彼は今頃はもう向こうに着いているはずだ。

    J、きっと彼は今頃はもう向こうに着いているはずだ。

    K、おそらく彼は今頃はもう向こうに着いているはずだ。

    L、たぶん彼は今頃はもう向こうに着いているはずだ。

    M、ぜったい彼は今頃はもう向こうに着いているはずだ。

    本稿は台湾の日本語学習者における副詞表現の使用状況と習得順

    序を明らかにすることを目的とし、第二言語習得研究の方法論を基

    に、展開することとした。なお、副詞の働きを持つ形容動詞(大変・

    一所懸命・いろいろ・本当・・・など)は今後の課題にしたい。

    本研究では、台湾人日本語学習者作文データを中心に分析を行っ

    た。そこから得られた結果が台湾での日本語教育に役立つことを期

    待している。

    2.調査対象及び作文テーマ

    本調査は 2003 年 9 月に東呉大学日本語文学科に入学した一年生計

    37 名の学生を対象に行った。本調査に使用されたデータは、初級か

    ら中級のJFL台湾人学習者を対象とした LARPat SCU1の作文によ

    るものである。2004 年 3 月 17 日~2007 年 1 月 7 日まで(6 学期)

    の 30 回の作文による縦断研究を行った。夏休みと冬休みの期間中は

    1 LARP at SCU は、「Language Acquisition Research Project at Soochow

    University の略である。LARP at SCU は、台湾における第二言語としての日本

    語習得研究のために、東呉大学の陳淑娟教授を中心に、東呉大学日本語学科の

    台湾人・日本人教師及び大学院生 35 名によって、構成された日本語学習特の共

    同研究のプロジェクトである。対象は、2003 年 9 月に東呉大学日本語学科に入

    学した一年生、37 名で、2004 年3月から四年間のデータを収集し、作文・発話

    データベースを作成することを目的としている。2007 年 2 月現在、すでに 3 年

    分 30 回のデータ収集済みである。

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    観察していない。

    データは被験者が辞書を使わずに書いた第一稿の作文原稿のみで

    ある。オリジナルの表現を分析対象にするため、指導者がフィード

    バックした後、被験者により修正した第二稿の作文及びインタビュ

    ーのデータを合わせて分析・検討することはしなかった。時間の制

    限で被験者 1 名の作文を採集し縦断分析した。今回調査対象として

    選んだ 37 名中 28 番の学生は第一学年から第四学年まで継続して日

    本語を学習していた生徒である。よってこの学生の結果は日本語学

    習過程の極めて代表的なパターンであると考えられる。もちろん、

    今後は対象学生数を増やし、さらに詳しく分析しょうと考えている。

    表 1 学習者の言語背景 【被験者番号28番】 年齢 19歳 母語 中国語・台湾語

    学習開始時期 大学一年生 家庭内話者 なし

    日本語学習のきっかけ 日本の漫画 授業外での日本語使用 あまり使用しない

    日本語環境 ある 表2 第 1 回から第 30 回までのテーマ及び日付は次の通りである。

    学 期 回数 作文テーマ 実施日程

    (1) 「私の一日」 2004・3・17(2) 「春休み」 2004・4・14(3) 「私の部屋」 2004・5・5(4) 「私の夢」 2004・6・2

    一年生第二学期

    (5) 「高校生活」 2004・6・21(6) 「忘れられないできごと」 2004・9・22(7) 「十年後の私」 2004・10・

    27 (8) 「もし一千万元当たったら」 2004・11・

    24 (9) 「大学生活に期待すること」 2004・12・8

    二年生第一学期

    (10) 「私と日本語の出会い」 2005・1・5(11) 「お正月」 2005・3・2

    (12) 「携帯電話」 2005・4・6

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    437

    (13) 「母の日」 2005・5・4(14) 「友情」 2005・5・25

    二年生第二学期

    (15) 「流行」 2005・6・8(16) 「夏休み」 2005・9・28(17) 「私の愛用品」 2005・10・

    19 (18) 「旅する」 2005・11・

    23 (19) 「選挙」 2005・12・

    14

    三年生第一学期

    (20) 「2006 年を迎えて」 2005・11・23

    (21) 「最近の出来事から」 2006・3・1(22) 「スポーツ」 2006・3・29(23) 「町(街)」 2006・4・26(24) 「私の愛読書」 2006・5・24

    三年生第二学期

    (25) 「最後の夏休み」 2006・6・14(26) 「台湾のデモについて」 2006・9・27(27) 「ゴミ問題」 2006・10・

    18 (28) 「台湾の外食文化」 2006・11・

    22 (29) 「台湾のコーヒー文化」 2006・12・

    13

    四年生第一学期

    (30) 「台湾の野良犬」 2007・1・7

    原文の一例を((2)「春休み」2004・4・14)は以下の通りである

    (下線は副詞を示している)。

    春休みは九日間でした。ちょっと短かったよ。でも、とても面白

    かった。土曜日と日曜日、私はアルバート(アルバイト)をしまし

    た。人が大勢いましたから、とても大変でした。月曜日、姉と一緒

    に英語の映画を見に行きました。

    私たちは映画をみたり、お菓子を食べたりしました。映画の名前は

    十二生笑でした。この映画はとても面白くて温かかった。火曜日と

    木曜日、私はどこへも行きませんでした。家で小説を読んでテレビ

    を見て音楽を聞きました。木曜日、私は友達と一緒に九份へいきま

    した。それは私の始で九份へいきました。天気は良っかったではあ

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    りませんが、九份の景色はほとんど美しかった。でも、私たちはカ

    メラを持ちではありませんでしたから、写真を撮りませんでした。

    残念でした。九份の芋圓はおいしくて有名でした。私たちは芋圓を

    買いました。春休みは楽しかったです。

    3.回数ごとに表れた副詞を含む文の例を以下に示す。本稿は副詞

    の誤用だけではなく、正用も取り上げ考察することにした。副詞の

    誤用例が✱を付け、イタリック体で修正した文を下に示した。

    (1)「私の一日」2004・3・17

    例文 A 私は流行歌が一番好きです。

    (2)「春休み」2004・4・14

    例文 A 春休みは九日間でした。ちょっと短かったよ。

    B でも、とても面白かった。

    C 人が大勢いましたから、とても大変でした。

    D この映画はとても面白くて温かかった、

    E 九份の景色はほとんど美しかった。

    九份の景色は全部美しかった

    (3)「私の部屋」2004・5・5

    例文 A ・・・とてもかわいですよ。

    B 私も部屋でときどき音楽を聞いて、・・・

    C 私の部屋は私の一番好きなところです。

    (4)「私の夢」2004・6・2

    例文 A ・・・父と私、弟と妹は一度も行ったことがありません。

    B その中で、日本は私の一番行きたい国家です。

    C 私は日本の神社はとても興味があります。

    D 春になると、桜はとても美しいそうです。

    E ・・とてもいい国家ですよ。

    F 私は父が早く定年してほしいです。

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    G 私は早く日本語と英語が上手になります。

    H とても難しく完成するが、私は一生懸命に完成します。

    I ・・ そして、たくさんお金があったら私たちは行くます。

    (5)「高校生活」2004・6・21

    例文 A 高校生活はとても楽しかったが大変でした。

    B ・・午後九時まで勉強していました。とても大変でした。

    C ・・・学校で練習しました。とても面白かった。

    D 今私たちはいつもみませんが、コンピューターで毎日連

    絡します。

    E 高校生活は私の一番忘れられない時代ですよ。

    (6)「忘れられないできごと」2004・9・22

    例文 A とても大変だと思いました。

    B そのとき全部忘れました。

    C それは私の一番忘れられない事でした。

    (7)「十年後の私」2004・10・27

    例文 A 十年後、私はもう会社員になった。

    B 小説はとても面白くて温かいのだ。

    (8)「もし一千万元当ったら」2004・11・24

    例文 A もし一千万元あたったら、もちろんとてもうれしいです。

    B 私は日本へ一番行きたいから、まず日本へいきます。

    C スキーはまだできません。

    D とてもゆうゆうとします

    E もし、一千万元があたったら、とてもうれしいです。

    (9)「大学生活に期待すること」2004・12・8

    例文 A 日本語の勉強は得意になることは一番大切だ。

    B 今だんだん得意になっている。

    (10)「私と日本語の出会い」2005・1・5

    例文 A 先生は女の人で、とてもかわいくて面白い人です。

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    B 私は日本語を見ることと聞くことがあるましたが、全然

    分かりませんでした。

    C 今、少し分かります。

    D 日本語の勉強はとても難しいと思います。

    E 始めは、日本語がちょっと嫌いでしたが、今好きです。

    F まだいろいろなことを習うこともあります。

    (11)「お正月」2005・3・2

    例文 A ・・・作り方はとても難しいから、私は全然作れない。

    B 台所が一番汚い所だ。

    C 子供たち一番楽しいことは大人からお年玉をもらった。

    D たくさんお金がもらうから、自分の好きなものは買えた。

    E 私にとってお正月一番楽しいことは長い休み日だ。

    (12)「携帯電話」2005・4・6

    例文 A この間、携帯電話はまだ珍しいものだった。

    B 買える人がだんだん多くなった。

    C でも、一番重要な原因は携帯電話がとても便利な物だ。

    D ・・・あなたは、どこにいるか、すぐ連絡している。

    E 今、何時か、携帯を見て、すぐ知る。

    F ・・メッセージ利用して、相手にすぐ知らせる。

    G 私はよく携帯を利用する。

    H 携帯はとても便利だから、いつか携帯が持たない時、・・

    (13)「母の日」2005・5・4

    例文 A カードの内容はいつも話しにくい言葉が書いていた。

    B 「母は私の一番好きな人だ」や・・・

    C 簡単な言葉けれども、私はあまり話さない。

    D 今度の母の日、姉はもう仕事をし始めているから、ちょ

    っと高いものを買える。

    E 一番重要なのは私たちの心だ。

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    F ずっと私に世話をしてくれていて、どんな疲れても続け

    ている。

    G 私の母は本当に世界一番偉い人だ。

    H 私はあまり母に感謝する言葉が言わない。

    (14)「友情」2005・5・25

    例文 A 私にとって、家族以外の人の中に一番重要な人は友達だ。

    B たまに、友達は家族よりもっと大切だと思う時もある。

    C 両親の言葉は全然聞きたくない場合が多い。

    D その時の友達は大切で、仲も一番よくなる。

    E 私は一番仲がいい友達が中学校のだ。

    F 先生は「S さんはいる所が R さんがいない、ちょっとお

    かしい」と私たちに言った。

    G ・・・暇な日や誕生日の時、いつもお茶を飲んだりする。

    H 毎週、会うことはできなくて、仲はもっとよくなる。

    I 自分でこんなことをうける時、すぐ私の気持ちが分かった。

    (15)「流行」2005・6・8

    例文 A 台湾には、この間、カチャポをする人が大勢いる。

    B 流行はいいことのわけではなくて、悪いこともいろいろ

    ある。

    (16)「夏休み」2005・9・28

    例文 A でも、少しうれしいことがあった。

    B 学校が遠いから、寮に住んでいて、あまり家に帰らない。

    C 私たちだんだん大人になっていくから、そのような場合

    が少ない。

    D 知らず知らずのうちに、時間が流した。

    F でも私にとってとても感動する休みだ。

    (17)「私の愛用品」2005・10・19

    例文A 最首?初、クラブの人はまだ知らないから、あまり彼らと

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    テニスをしない。

    B でも、クラブの先輩たちは私のことをとても世話になって

    くれていて、退出しなかった。

    (18)「旅する」2005・11・23

    例文A ・・・のんびりに旅したいと思っている一年間に一生懸

    のんびりと

    命に仕事をするサラリーマンがたくさんあるだろう。

    B 現在、多くのひとはもっといい生活を追うために、・・・

    C もし、本当に行けば、楽しめることだ。

    D さらに、旅するのは楽しめることではなくて、たくさんの

    ことを知って、いろいろな人にあうこともいい経験だと思

    う。

    E 忙しい社会に勤める人はもし暇があれば、・・・

    F のんびりに旅行した後、仕事がもっと良くするかもしれ

    のんびりと・・・・。ないと私はいつも考える。

    (19)「選挙」2005・12・14

    例文A 宣伝車はいっぱいあって、朝「二番の候補者○○○さんは

    真面目に働いて、・・・・・」このようの宣伝がたくさんあ

    る。

    B だから、選挙に関して、台湾人はもっと頑張るはずだと思

    (20)「2006 年を迎えて」2005・11・23

    例文A 時間はとても急いて流れた。(急いで)

    B たくさんの人は新しい一年を迎えるために、・・・

    C でも、私は全然行きたくなかった。

    D きれいな花火を見て、とても楽しかったが、・・・

    E もちろん、こん学期の授業は全部パスできるように祈って

    いる。

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    443

    F 私たちは新しい期待があるのに去年の期待は全然忘れてし

    まった。

    G ・・人々は去年の期待が実現したことはもっと重要だ。

    (21)「最近の出来事から」2006・3・1

    例文A ・・・肝がんで亡くなったことは全然思わない。

    B そうしないと、最後はただ悔しいと感じる。

    C とくに、お金持ちになりたいために、・

    D お金がいっぱいあるが、健康な体で使わない。

    (22)「スポーツ」2006・3・29

    例文A スポーツと言えば,私はすぐ思い出すのはもちろん一番好

    きなテニスだ。

    B ・・・実はテニスのことはあまりしらない。

    C ・・・だんだん知って、趣味もあってなる。

    D 今、一番好きなスポーツはテニスだ。

    E 時々ほかの大学の学生と試合をする。

    F 好きだけで、よくしてほうがいいと私はそう考えている。

    (23)「町(街)」2006・4・26

    例文A 「街」とういと、私がすぐ思い出すのは私が住んでいる所

    の・・・

    B ・・・朝になったら、とてもにぎやかになる。

    C 特に旧暦の毎月の一日と十五日と休みだ。

    D 人がいっぱいあって、・・・

    E ・・・「五十元、やすい、とてもやすい」など言う。

    F ・・・財布にお金をたくさん入れて、うれしく帰った。

    G この街は台北や淡水などの街ほど、きれいな店がないが、

    H ・・・この街がよく思い出すと思う。

    (24)「私の愛読書」2006・5・24

    例文A 大学に入って以来、私はあまり本を読まない。

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    444

    B ・・・人に知らせたいことがいっぱいある。

    C 台湾の新聞で一番いい版面だと思う。

    D 読んだ文章の中に、一番印象深いのは・・・。

    E この作者はある日、人がたくさんあるバスを(に)乗って

    いた。

    F この若者はばあさんを見たが、全然立てあがりたくないみ

    たいだった。

    (25)「最後の夏休み」2006・6・14

    例文A 小学校から今、私はもう 14 年の夏休みを過ごした。

    B 特に、夏休みは、学生の一番楽しい日々だ。

    C ・・・私はよく暮らしたいと思う

    D ・・・私の最後の卒業旅行として、よく遊ぶ。

    E でも、すっかり分からない。

    F ・・・どんな社会(会社)なのかはまだかんがえている。

    G ・・・日本語がまだまだだと考えて、・・・

    H だから、まだ決めていない。

    I ・・・私にとって、とても大切だ。

    J 今までの生活を思い出したり、未来のことを考えたりして、

    よく充実してくらしてほしいと思っている。

    (26)「台湾のデモについて」2006・9・27

    例文A ・・・特に、赤い服だ。

    B ・・・赤と言ったら、すぐ「倒扁」と思い浮かす。

    C 台湾のデモはこのような結果にならないように、台湾人は

    今度、よく考える必要があるのだ。

    (27)「ゴミ問題」2006・10・18

    例文A これは大変多くの量だ。

    B ・・・ゴミ処(處)理の問題はもと(もっと)大変だ。

    C ・・・の住民の思いを全然考えなかった。

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    445

    D ・・・大部分のゴミは資源になれる。

    E ・・いい芸術家になるそうだ。とてもいい。

    F 台湾でリサイクルはよく実行しないと思う。

    あまり実行されていないと思う

    G こうすればゴミ問題はだんだんよくなると思う

    (28)「台湾の外食文化」2006・11・22

    例文A ・・・誰も早く家を出て、遅く帰る。

    B ・・・と思う人が大勢いるから、・・・

    C ・・・とても気がついている。

    (29)「台湾のコーヒー文化」2006・12・13

    例文A コーヒーショップがだんだん多くなるにつれ、・・・

    B ・・・私はいつもコーヒーを選んだ。

    C ・・・に植えるコーヒー豆がとても有名で。・・・

    D 実は、台湾でインスタントコーヒーは普通だ。

    E ・・・便利にうまいコーヒーを飲むのは一番大切だ。

    F ・・・いいコーヒーを飲むことができて、とてもよい。

    G ・・・・・コーヒーを飲んで、とてものんびりだ。

    ・・・・・・・・・・・・・・のんびりできる。

    H 心臓や皮膚など悪い人にあまり飲まなかった方がいい。

    (30)「台湾の野良犬」2007・1・7

    例文A 私は大部分の野良犬が嫌だ。

    多くの

    B だから、私はもっと野良犬が嫌だ。

    C ・・・私はどうしても理解できない。

    D ・・・野良犬がだんだん多くなる。

    E ・・・そんな野良犬を作る人がもっと嫌だ

    F ・・・すぐ解決するはずだ。

    以上副詞の誤用について、具体的には以下の如くである。

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    (下線は誤りの箇所)

    ほとんど(全部)。のんびりに(のんびりと)。よく(あまり)

    大部分(多くの)。

    4.調査結果

    以下の表 3 で(被験者 28 番)第 1 回から 30 回テーマ毎に表れた

    副詞の項目の使用回数をローマ数字で表した。原文のままである。

    表 3-1 調 査 の 記 録 表 一 年 生 第 二 学

    期 二 年 生 第 一学 期副詞の項目

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 一番 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ

    ちょっと Ⅰ Ⅰ とても Ⅲ Ⅳ Ⅲ Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅱ

    ほどんど Ⅰ ときどき Ⅰ

    早く Ⅱ たくさん Ⅰ 一度も Ⅰ いつも Ⅰ 全部 Ⅰ もう Ⅰ

    もちろん Ⅰ まず Ⅰ 全然 Ⅰ

    だんだん Ⅰ 少し Ⅰ まだ Ⅰ

    表 3-2 調 査 の 記 録 表 二 年 生 第 二学

    期 三 年 生 第 一学

    期 副詞の項目

    ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳ とても Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅱ 全然 Ⅰ Ⅰ Ⅱ 一番 Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅲ

    たくさん Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ まだ Ⅰ Ⅰ

    だんだん Ⅰ すぐ Ⅲ Ⅰ

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    よく Ⅰ いつも Ⅰ Ⅰ Ⅰ あまり Ⅱ Ⅰ もう Ⅰ

    ちょっと Ⅰ Ⅰ ずっと Ⅰ たまに Ⅰ もっと Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ 全部 Ⅰ 大勢 Ⅰ

    いろいろ Ⅰ 少し Ⅰ

    だんだん Ⅰ しらずしら

    ず Ⅰ のんびりと Ⅱ

    もし Ⅱ さらに Ⅰ

    いっぱい Ⅰ 表 3-3 調 査 の 記 録 表 三 年 生 第 二学 期 四 年 生 第 一学 期

    副詞の項目 ( 21)

    ( 22)

    ( 23) ( 24) ( 25) ( 26) ( 27) ( 28) ( 29) ( 30)

    全然 Ⅰ Ⅰ Ⅰ 特に Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ

    いっぱい Ⅰ Ⅰ Ⅰ すぐ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ 実は Ⅰ Ⅰ

    だんだん Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ 一番 Ⅰ Ⅱ Ⅰ Ⅰ 時々 Ⅰ よく Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅰ

    とても Ⅱ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅲ たくさん Ⅰ Ⅰ あまり Ⅰ Ⅰ もう Ⅰ

    すっかり Ⅰ まだ Ⅱ

    今まで Ⅰ まだまだ Ⅰ

    今度 Ⅰ もっと Ⅰ Ⅱ 大部分 Ⅰ Ⅰ いつも Ⅰ

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    のんびり Ⅰ どうして

    も Ⅰ 早く Ⅰ 大勢 Ⅰ

    5.分析と考察

    本研究では(蔡、1987;林、1983)に基づき、副詞を状態副詞・

    程度副詞・陳述副詞の 3 つに分類する。

    情態副詞――定義は用言の動詞を修飾すること。

    だんだん・はっきり・ゆっくり・擬声語・擬態語・・など。

    程度副詞――定義は用言の形容詞・形容動詞・副詞を修飾すること。

    すこし・とても・ずっと・(1)大変・ちょっと・もっと・あまり・

    一番・たくさん・よく・全然・時々・・・・など。

    陳述副詞――定義は文全体を修飾する。即ち、文の述語にたいして、

    一種の約束あるいは文末との一種固定した呼応関係がある。

    例えば:もし・きっと・もう・・・など。

    次の表 4 に示すように(1)~(30)回の文でもっとも多い副詞は

    「とても」、二番目は「一番」、三番目は・「もっと」・「すぐ」、五位

    は「たくさん」「全然」「よく」、八位は「だんだん」、九位は「まだ」・

    「いつも」・「あまり」である。なぜ「とても」がもっとも多く使わ

    れるのだろうか。それは母国語の影響だと考えられる。中国語では

    「很」という言葉がよく使われ、それが日本語訳の「とても」と対

    応していると思われる。

    表4 (1)~(30)回の文で副詞の使用頻度順位

    副詞の項目 副詞の分類

    (1)~

    (10)

    (11) ~

    (20)

    (21)~

    (30)

    合 計

    ①~(30) 使用頻

    使用頻度

    順位

    1 とても 程度副詞 17 7 8 32 一位 2 一番 程度副詞 7 10 5 22 二位

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    3 たくさん 程度副詞 1 5 2 8 五位 4 全然 程度副詞 1 4 3 8 五位 5 だんだん 情態副詞 1 1 4 6 八位 6 まだ 情態副詞 1 2 2 5 九位 7 いつも 程度副詞 1 3 1 5 九位 8 ちょっと 程度副詞 2 2 0 4 9 もう 陳述副詞 1 1 1 3

    10 早く 程度副詞 2 0 1 3 11 全部 程度副詞 1 1 0 2 12 少し 程度副詞 1 1 0 2 13 時々 程度副詞 1 0 1 2 14 ほとんど 程度副詞 1 0 0 1 15 一度も 程度副詞 1 0 0 1 16 もちろん 陳述副詞 1 0 0 1 17 まず 陳述副詞 1 0 0 1 18 もっと 程度副詞 0 6 3 9 三位 19 すぐ 情態副詞 0 5 4 9 三位 20 よく 程度副詞 0 1 7 8 五位 21 あまり 程度副詞 0 3 2 5 九位 22 いっぱい 程度副詞 0 1 3 4 23 のんびり 情態副詞 0 2 1 3 24 もし 陳述副詞 0 2 0 2 24 大勢 程度副詞 0 1 1 2 26 たまに 程度副詞 0 1 0 1 27 ずっと 程度副詞 0 1 0 1 28 しらずしらず 情態副詞 0 1 0 1 29 さらに 程度副詞 0 1 0 1 30 大部分 程度副詞 0 0 2 2 31 実は 陳述副詞 0 0 2 2 32 すっかり 情態副詞 0 0 1 1 33 今まで 情態副詞 0 0 1 1 34 まだまだ 情態副詞 0 0 1 1 35 どうしても 情態副詞 0 0 1 1

    以上の表 4 を見ると、一年生下学期~二年生上学期((1)~(10)

    の作文に使用された副詞の数は 17 項目、二年生下学期~三年生上学

    期(11)~(20)では 29 項目、三年生下学期~四年生上学期(21)

    ~(30)では 35 項目である。使用される副詞の数が徐々に増加する

    傾向が見られる。全体的に作文に使用した副詞の数はまだ少ない。

    尚、擬声語・擬態語が作文に使われていないことが分かった。また、

    授業中の教師の発話や教科書提示順序が学習者の習得順序に影響を

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    与えていることは言うまでもない。その対策として、筆者は学習者

    指定された文型項目を作文に取り入れるよう指導している。例えば、

    第 30 回の課題「台湾の野良犬」の指定項目は「ワンワン」という

    犬のほえる声を表す語である。

    調査期間:被験者が授業で使用された教材は担当教師により異な

    る。自主的に作成したプリントが使われる一方、台湾で市販された

    関係教材も使用される。市販教材は以下の通りである。

    『進学日本語初級ⅠⅡ』(国際学友会出版・大新書局印刷)、『新

    文化日本語初級 1・2』(文化外国語専門学校出版・大新書局印

    刷)、『輕鬆聽日語』(文化外国語専門学校出版・大新書局印刷)、

    『日語総合読本―初級から中級へー』(階梯公司)、『中級から学

    ぶ日本語』(研究社出版・宇田出版印刷)、『基礎・日語語法』(文

    笙書局)、『日本語作文ⅠⅡ』(専門教育出版・鴻儒堂印刷)、『大

    家寫作文』(スリーエーネットワーク・大新書局印刷)、『たのし

    い日本語作文教室ⅠⅡ』大新書局印刷)、『日本歴史』鴻儒堂出

    版)、『新しい社会地理』(東京書籍)。・・・

    6.習得順序の推測及び習得順序についての仮説

    表 4 網掛けした部分に示すように学習順序から見ると第一段階で

    は程度副詞が習得し易いと思われる。そのつぎに情態副詞と陳述副

    詞どちらが習得しやすいか、ということについてははっきりしない

    ので、今後の課題になると思う。

    本研究は LARPat SCU 資料をもとに考察したものだが、LARP か

    らの作文資料と彼らが使用した教科書上にある副詞を比較してみる

    と、作文資料の副詞は教科書上の副詞のごく一部しか使用されてい

    ないということが分かる。以下四角で囲んだ副詞は被験者 28 番が実

    際に使用した副詞である。

    一回目から五回目まで(一年生第二学期まで)期間内被験者が使

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    451

    用した教科書にある副詞は以下の通りである。

    進学日本語Ⅰ・Ⅱ 会話文・読み文の副詞について

    (国際学友会日本語学校出版、大新書局印刷 2002)

    会話文 読み文

    第一課 ―― ――

    第二課 少し とても

    第三課 おおぜい いつも

    たくさん

    第四課 どう・どうぞ ――――

    もうすぐ

    第五課 どのくらい すぐ・ときどき

    第六課 いっしょに ちょっと

    いつも・ときどき

    とても・よく

    第七課 ―― ぜんぶ・ もう

    第八課 すぐ ・たいてい いちばん

    ちょうど・どうやって すぐ

    第九課 いちばん つぎに・ ひとつも

    もちろん

    第十課 ずっと きゅうに

    ぜんぶ どうか・いまでも

    いっしょけんめいに

    第十一課 たぶん・また たちまち・とつぜん

    ちょっと

    第十二課 まだ・ もう ゆっくり・すべて

    第十三課 いちども ・とくに もっと

    どうして・これから

    第十四課 よく・さっき だんだん・ぜんぜん

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    452

    かならず もう

    第十五課 つぎに しっかり

    第十六課 いろいろ・べつに たとえば・ まず

    きっと

    第十七課 ずいぶん・ぜひ こう・ ずっと

    はじめて どうしても・じつは

    第十八課 いっしょに・そんなに そのまま・どんどん

    第十九課 きゅうに・こんなに あんがい‘それぞれ

    しっかり・ ゆっくり かなり

    もし・もっと

    第二十課 ぜんぜん じょじょに・ただ

    第二十一課 さっそく・とつぜん ――――

    じつは

    しばらく・ちゃんと

    第二十二課 きっと しだいに・今まで

    同じように

    新文化日本語初級 1・2 の副詞について

    (文化外国語専門学校出版、大新書局印刷 2003)

    第一課~第五課――――――--

    第六課 ぜんぜん・あまり・いつも

    第七課 いくら ・ すぐ

    第八課 すこし・たくさん・ちょっと・とても

    どう・どのぐらい

    第九課 よく・ まず

    第十課 もうすぐ・ ぜんぶ

    第十一課 はっきり・ まだ・もう

    第十二課 しょうしょう・ はじめに

    第十三課 ほんとうに・ ゆっくり

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    第十四課 ―――――

    第十五課 だいたい・ ずっと・いちばん

    第十六課 はじめて・ だんだん

    第十七課 たぶん・また

    第十八課 しっかり・また・とくに・ じつは

    7.考察のまとめ

    馮 (1999)が述べたように、『日本語学習における母語の影響』

    のような特徴を持った誤用が調査結果からも見られた。また、訳語

    の適用範囲が日本語と中国語で異なる場合には、その違いを学習者

    側に印象付けることが重要であると思われる。副詞の誤用について

    は、すぐに訂正をするのではなく、学習者が誤用をした理由を尋ね、

    つまり教師が暗示的フィードバックを与えて、自己訂正する力をつ

    けさせる事も正解への近道となると思われる。しかし、学習側が気

    付いていない項目があれば、教育者側としては第2言語と母語との

    差異を明示することが大変必要であると思われる。

    今回の調査で誤用が多かった副詞の中に、日本語教育の現場で、

    学生たちから直接質問を受けた類似表現がよくある。類似表現の意

    味相違の要因はさまざまで、文法接続などの形態的相違か、主観的

    表現か客観的表現か、文章語か口語か等、複雑多岐である。この曖

    昧な類似語の相違点をどう分析するか学習者側も教師側も重視すべ

    きである。

    分析結果の表を見てみると、程度副詞が最も多く、陳述副詞はと

    ても少ない。この点について、教師側も学習側も重視すべきであろ

    う。

    なお、今回の実例から情態副詞の擬声語・擬態語が作文に使われ

    ていないことが分かった。この点について、被験者に聞いたところ、

    授業で、学習したが、先生がテストをしなかったため、自信がなく

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    て、自由に駆使できないからだという回答があった。これは、今後

    教える側と学習者側の課題であると思われる。学習者の好奇心を高

    めたり、興味を引くためには、どのような工夫ができるか。筆者は

    レアリア2・生教材を使うことによって、早くから容易に理解させ記

    憶させることができるのではないかと考える。

    作文の学習は学習するものにとっても指導するものにとって、決

    して短時間のうちにマスターできるものではない。書き手の表現意

    図を軸に、文章機能の観点から構成されており、表現技術を効率よ

    く身につければ、学習者に役立つであろう。

    参考文献:50 音順

    関口要・堀伸一朗・黄淑妙(2005 年 4 月)「台湾人日本語学習者作文デー

    タベースを利用した誤用分析~副詞の使用とその誤用傾向につ

    いて~」日語教学国際会議 PP.137 東呉大学日本語文学系

    長友和彦(2004)「第二言語習得と教師の役割:学習者の日本語習得過程

    に教師はどのように関われるか?」『台湾日本語文学報』第 19

    号 PP.77~94 台湾日本語文学会

    副島 勉(2001)『類義語100問』鴻儒堂

    仁田義雄(2002)『副詞的表現の諸相』くろしお出版

    水谷信子(1997)「作文教育」『日本語教育94号展望』日本語教育学会

    水野義道(1999)第3号書評:馮 富榮著『日本語学習における母語の影

    響―中国人を対象として』『 第二言語としての日本語の習得

    研究』

    2 レアリア:ことばの教育の現場では、教育の補助として使われる「本当の物」

    {教育のためにわざわざ作られたものではないもの}を「レアリア」

    “realia”と呼ぶ。例えば、鈴や小さい鐘などを鳴らし、その音聞か

    せたうえで、それをちりんちりんとという言葉で教える。訳文:(風鈴

    叮叮噹噹・叮鈴叮鈴地響著)。

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    山田小枝(1990)『モダリテイ』同学社 PP.222

    吉田妙子(1999)「副詞「もう」が呼び起こす情意性―中国語話者の「も

    う」の使用に於ける母語干渉―」『日本語教育 101 号』日本語教

    育学会

    洪昭鳳(2002)台湾で使われた教科書における形容動詞の実態と指導に

    ついてー語彙調査と作文を中心にするー 中日文化第 21 号

    中国文化大学日本研究所 日本語文学系

    蔡茂豐(1987)『現代日語文的口語文法』大新書局

    陳淑娟(2006)「作文における語彙習得についての一考察~使用語数と語

    類の変化を中心に~」『東呉日語教育学報29』

    馮 富榮(1999)『日本語学習における母語の影響―中国人を対象として』

    風間書房

    林錦川(1983)『日語副詞的句型及修飾法』文笙書局

    余河青(2002)「日本語の否定構文―否定副詞について」中日文化第 21

    号中国文化大学日本研究所 日本語文学系

    葉淑華(2006)「ネットコースのデザインと実践をみるー「日本語作文」

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    PP.227~241

    字典:

    陳伯陶(2001)『新時代日漢辭典』PP.926

    修士論文:

    山本紀代(2006)『~台湾人日本語学習者における連帯修飾構造の縦断習

    得研究―「ノ」を中心に~』

    羅文媛(2006)『日本語条件表現の習得に関する縦断研究~初級後半から

    中級前半までの台湾人日本語の作文データを基にして』