世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し -...

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-世界食料需給モデルによる2029年の世界食料需給の見通し- 令和2年3月 農林水産政策研究所 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し

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-世界食料需給モデルによる2029年の世界食料需給の見通し-

令和2年3月農林水産政策研究所

世界の食料需給の動向と中長期的な見通し

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目次Ⅰ.動向編

1.世界の穀物及び大豆の需給動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12.とうもろこしの需要動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23.とうもろこしの生産量変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34.とうもろこしの需給動向と貿易フローの変化:2002年とうもろこし貿易フロー図・・・・・・・・・ 45.とうもろこしの需給動向と貿易フローの変化:2017年とうもろこし貿易フロー図・・・・・・・・・ 56.ブラジルの大豆・とうもろこし生産及び輸出動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67.アルゼンチンの農産物輸出と輸出税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78.大豆の生産量変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89.大豆の需給動向と貿易フローの変化:2002年大豆貿易フロー図・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

10.大豆の需給動向と貿易フローの変化:2017年大豆貿易フロー図・・・・・・・・・・・・・・・・ 1011.米中両国の貿易摩擦の大豆への影響・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1112.小麦需給と貿易動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1213.小麦の需給動向と貿易フローの変化:2002年小麦貿易フロー図・・・・・・・・・・・・・・・・ 1314.小麦の需給動向と貿易フローの変化:2017年小麦貿易フロー図・・・・・・・・・・・・・・・・ 1415.米需給と貿易動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1516.中国:大豆の生産振興とコメ、小麦の最低買付価格抑制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1617.中国におけるアフリカ豚熱(ASF)と豚肉の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1718.ロシア:穀物収穫量は6年連続の1億トン超え、小麦輸出先は徐々に多元化・・・・・・・・・・・ 1819.豪州:干ばつによる米・小麦の生産量・輸出量の減少・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1920.ASEANの小麦輸入と米輸出入・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2021.バイオ燃料の生産動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2122.国際商品価格・穀物及び大豆の価格の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

Ⅱ.見通し編1.世界食料需給モデルによる予測の目的及び前提・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・232.2029年における世界の食料見通し【概要】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 243.世界食料需給モデルの試算の前提に使用した総人口及びGDPの見通し・・・・・・・・・・・・・254.地域別の需給見通し:とうもろこし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・265.地域別の需給見通し:大豆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・276.地域別の需給見通し:小麦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・287.地域別の需給見通し:米・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・298.地域別の需給見通し:肉類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・309.穀物の需給見通し:世界の穀物の消費・生産量の内訳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

10.穀物・畜産物等の需給見通し:世界における各品目の消費増加と食料価格・・・・・・・・・・・・3211.穀物・畜産物等の需給見通し:穀物及び大豆の国際価格見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・33(参考1)OECDーFAO、USDAにおける中期的な世界食料需給見通しの概要 ・・ ・・・・・・・34(参考2)世界食料需給モデルの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

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156 210 270 344 394 444 487 229 329

443 550 584

654 744

194

269

412

473 609

868

1,125

0

46

84

105

171

253

352

236

300

315

340

274

275

286

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

1960 1970 1980 1990 2000 2010 2018

米 小麦

とうもろこし 大豆

その他穀物

29.8

76.3

0

20

40

60

80

100

120

0

5

10

15

20

25

30

穀物等生産量穀物等需要量世界人口(右軸)

○ 世界の穀物及び大豆の需要量は、総人口の伸び率を上回って増加。○ 需要量では、とうもろこし及び大豆の伸びが大きく増加。○ 需要量の増加に対して、生産量も増加。豊凶等による変動はあるが、近年は生産量が

需要量を上回っている。(参考)1970年に比べ、2018年の人口は2.1倍、需要量はそれぞれ小麦が2.3倍、米2.3倍、とうもろこし4.2倍、大豆7.6倍

1 世界の穀物及び大豆の需給動向I.動向編

① 世界の穀物及び大豆の需給と世界人口の動向(億トン) (億人)

② 穀物及び大豆の需要の品目別内訳

資料:USDA PSD Online data

(百万トン)

1(年度)

(年度)資料:USDA PSD Online data, UN World Population Prospects: The 2019 Revision.

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429516

677

182

212

260135

157

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2000 2010 2017

飼料用 食用その他 バイオエタノール用

189 278

384

231

322

368

57

84

109

65

72

86

51

73

97

17

31

47

0

200

400

600

800

1000

1200

2000 2010 2017

○ 2017年度(前後3か年度平均)の世界のとうもろこし需要量は、2000年度(同平均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。

○ 用途別内訳では、 2000年度に比べて、飼料用、バイオエタノール用が増加。2010年度(同平均)に比べると、飼料用・食用等に比してバイオエタノール用の伸びは鈍化。

2 とうもろこしの需要動向

② とうもろこし需要の用途別内訳の動向

資料:USDA PSD Online data及びUSDA Gain Report

(百万トン)

(年度、前後3か年度平均)

① 世界のとうもろこし需要動向の地域別内訳

(百万トン)

資料:USDA PSD Online data (Domestic consumption)(年度、前後3か年度平均)

北米

アジア

中南米

欧州

アフリカ

その他地域

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米国, 33.6%

中国, 23.4%ブラジル, 8.5%

EU, 5.6%

アルゼンチン, 3.7%

ウクライナ, 2.6%

メキシコ, 2.5%

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

0 100 200 300 400

単収(㌧/

ha)

生産量(百万㌧)

○ 世界のとうもろこしの生産は(2017年度(前後3か年度平均))、米国、中国、ブラジルの上位3か国で66%のシェア。生産量は米国が依然トップ。○ 米国、ブラジルでは、主に単収の伸びが生産拡大に寄与。米国の単収はブラジルの約2倍。中国では相対的に収穫面積の増加が寄与。ウクライナ、アルゼンチンでは、 2000年度以降、収穫面積の増加が寄与。単収は各国で差異がある。

3 とうもろこしの生産量変化

② 主要とうもろこし生産国における中期的な生産量の増減要因

資料:USDA PSD Online data

① 世界のとうもろこし生産量・単収と主要国の生産量シェア(2016-18年度平均)

資料:USDA PSD Online data3

基準年

(1989~91年平均)

米国 生産量 100.0 129.7 162.5 188.6収穫面積 100.0 108.4 121.8 122.3単収 100.0 119.7 133.4 154.2

中国 生産量 100.0 115.8 208.5 281.2収穫面積 100.0 109.2 165.7 199.6単収 100.0 106.1 125.8 140.9

ブラジル 生産量 100.0 160.9 222.4 391.3収穫面積 100.0 98.2 104.5 132.5単収 100.0 163.8 212.8 295.3

アルゼンチン 生産量 100.0 196.2 321.9 651.5収穫面積 100.0 140.8 187.5 300.0単収 100.0 139.3 171.7 217.2

ウクライナ 生産量 100.0 69.9 216.6 650.6収穫面積 100.0 84.3 174.6 301.1単収 100.0 82.9 124.1 216.1

世界計 生産量 100.0 123.6 177.5 234.5収穫面積 100.0 105.8 128.6 147.6単収 100.0 116.8 138.0 158.9

2000年度 2010年度 2018年度

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4 とうもろこしの需給動向と貿易フローの変化:2002年とうもろこし貿易フロー図2002年(前後3か年平均)の輸出量シェアは、米国が60%と圧倒的に高く、次いで中国が13%、アルゼンチンが12%と続く。また、輸入量におけるシェアは、日本が22%を占め、次いで韓国、メキシコ、エジプト等が続く。

注:Global Trade Atlasのデータ(2020.01)で、とうもろこし(HS1005)の輸出上位5か国から、100万トン以上輸出している貿易フローを作図

凡例輸出輸入100~300万トン300万トン以上

(単位:万トン)

メキシコ台湾

日本

マレーシア

オランダ

エジプト

韓国

チリ

アルゼンチン

カナダ

アルジェリア

アメリカ

イギリス

コロンビア

ベネズエラ

スペイン

フランス

中国

459

1431,452

108

376563

575

107

165

358

108210117

184

122

140

注:レイアウトの関係から実際の国の地理上位置とは異なる場合がある。4

インドネシア

111

(USDA PS&D onlineより)

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注:Global Trade Atlasのデータ(2020.01)で、とうもろこし(HS1005)の輸出上位5か国から、100万トン以上輸出している貿易フローを作図

5 とうもろこしの需給動向と貿易フローの変化:2017年とうもろこし貿易フロー図2017年(前後3か年平均)の輸出は、米国が34%で首位もシェアが減少、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナが上位に。輸入量シェアはEUが13%で、次いで日本とメキシコが11%。輸出国だった中国が輸入国に転じて、アジア・中東・北アフリカの輸入が増加。

(単位:万トン)

274176

287

205

444

299

145

147196

496537

1,318

126

248

245

240

126 137252

160

メキシコイラン

モロッコ

サウジアラビア

コロンビア

スペイン

オランダ

台湾

日本

マレーシア

韓国

インドネシア

ベトナム

中国イタリア

カナダ ウクライナ

1,512エジプト

223ペルー

183

283

119100

135

アルジェリア

309

凡例輸出輸入100~300万トン300万トン以上

533

ブラジル

注:レイアウトの関係から実際の国の地理上位置とは異なる場合がある。 5

グアテマラ

アメリカ

100

チリ

アルゼンチン

122

フランス

154

(USDA PS&D onlineより)

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000大豆総生産量(千トン)

大豆(粒)輸出量(千トン)

輸出に占める中国の割合(%-右軸)

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000 とうもろこし総生産量(千トン)

とうもろこし輸出量(千トン)

とうもろこし総生産量に占めるとうもろこし第2作の割合(%-右軸)

6 ブラジルの大豆・とうもろこし生産及び輸出動向○ 大豆は、中国の旺盛な需要に呼応するように生産量を拡大。2005年頃から生産量の4割

以上を輸出。2018年は、米中貿易摩擦の影響から輸出の8割が中国向けとなった。○ とうもろこしは、2011年頃から国内の取引価格が上昇し、ブラジル中西部を中心に大豆

の裏作として播種されるとうもろこし第2作の生産量が急拡大し、現在、輸出余力を得る。○ 大豆・とうもろこしは、生産及び輸出が好調だが、ブラジル国内における輸送インフラの

未整備は引き続き大きな課題として残っている。

6(年)

③ 大豆及びとうもろこしの月次国内取引価格

④ 大豆物流コスト比較(2018年)(年)

ブラジル アルゼンチン 米国生産地 ソヒーゾ コルドバ イリノイ幹線道路 US$88/トン US$16/トン -河川 - - US$20/トン港 サントス ロザリオ ニューオリンズ海運 US$23/トン US$41/トン US$36/トン

目的地 中国輸送コスト合計 US$111/トン US$57/トン US$56/トン

0

20

40

60

80

100

120

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

パラナグア港における大豆取引価格(レアル)カンピーナスにおけるとうもろこし卸売り価格(レアル)

(年)

② とうもろこしの生産及び輸出動向

① 大豆の生産及び輸出動向

資料: ①及び②ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)・ブラジル経済省③サンパウロ大学応用経済研究所(CEPEA-ESALQ/USP)④マトグロッソ州大豆とうもろこし生産者協会(APROSOJA)

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7 アルゼンチンの農産物輸出と輸出税

7

② アルゼンチンの大豆需給及び大豆製品の輸出量

【参考:アルゼンチン輸出税】・輸出税の対象品目や税率は、税収効果や国内需要とのバランス等を考慮して設定されている。例えば、国際競争力が高く国内需要の少ない大豆や大豆製品は、高い税収効果や国内需要の多い作物(小麦等)の生産を増やす観点から、他の品目に比べて税率が高く設定されている。・フェルナンデス新政権は2019年12月、財政赤字の改善のため、穀物や大豆、肉類等の輸出税について引上げを決定。とうもろこし、小麦については、現行の約7%から12%へ、大豆、大豆油かす等については約25%から30%へ引き上げられる(農水省 海外食料需給レポートより)。

0

15

30

45

60

75

0

5

10

15

20

25

トウモロコシ収穫面積 大豆収穫面積トウモロコシ生産量(右軸) 大豆生産量(右軸)

(100万ha) (100万トン)

0

10,000

20,000

30,000トウモロコシ 大豆(1,000 トン)

① アルゼンチンのとうもろこし及び大豆輸出量

③ アルゼンチンのとうもろこし及び大豆生産

資料:USDA PSD Online data

○ とうもろこし生産は、近年、単収の堅調な伸びと収穫面積増により増加し輸出も増加。大豆及び大豆製品であるミールや大豆油の輸出も増加傾向にある。潜在的な輸出余力は大きい。

○ 農産物の生産や輸出に影響を与える輸出税は、マクリ政権初期に撤廃や税率の引下げが行われたが、その後の国内経済の悪化によって再び賦課や引上げられ、2019年12月に誕生したフェルナンデス新政権でさらに強化された。(今後の輸出の動向も不透明に。)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

10

20

30

40

50

60

70

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

生産量(大豆) 輸入量(大豆)輸出量(大豆) 輸出量(大豆ミール)輸出量(大豆油、※右軸)

(100万トン) (1000トン)

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○ 大豆生産量は(2017年度(前後3か年度平均)) 、米国、ブラジルがそれぞれ34%のシェアを占め、アルゼンチンを含めた上位3か国で82%のシェア。○ ブラジル、アルゼンチンでは2000年以降、主に収穫面積の増加が大きく生産量の増加に寄与。単収では、米国、ブラジルに差はほとんどなく、アルゼンチンも約3トンに達している。

8 大豆の生産量変化

アルゼンチン19%

① 世界の大豆生産量・単収と主要国の生産量シェア(2016-18年度平均)

資料:USDA PSD Online data

② 主要大豆生産国における中期的な生産量の増減要因

資料:USDA PSD Online data8

基準年

(1989~91年平均)

米国 生産量 100.0 141.8 171.2 233.6収穫面積 100.0 124.8 132.0 151.9単収 100.0 113.6 129.7 153.8

ブラジル 生産量 100.0 213.9 407.8 633.7収穫面積 100.0 134.8 234.2 349.4単収 100.0 158.7 174.1 181.4

アルゼンチン 生産量 100.0 248.2 437.5 500.0収穫面積 100.0 215.2 378.6 353.8単収 100.0 115.4 115.6 141.3

中国 生産量 100.0 149.4 148.9 154.2収穫面積 100.0 123.4 114.9 111.3単収 100.0 121.1 129.6 138.5

インド 生産量 100.0 228.3 440.4 500.0収穫面積 100.0 217.4 359.9 412.4単収 100.0 105.0 122.4 121.2

世界計 生産量 100.0 165.4 249.1 341.5収穫面積 100.0 135.2 185.3 224.8単収 100.0 122.4 134.4 151.9

2000年度 2010年度 2018年度

米国, 34.0%

ブラジル, 33.7%

アルゼンチン, 14.1%

中国, 4.3%

パラグアイ, 2.8%

インド, 2.9%

カナダ, 2.1%

ウクライナ, 1.2%

ロシア, 1.0%

ウルグアイ, 0.7%

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

0 50 100 150

単収(㌧/

ha)

生産量(百万㌧)

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9 大豆の需給動向と貿易フローの変化:2002年大豆貿易フロー図2002年(前後3か年平均)の輸出量シェアは、米国が48%と高く、次いでブラジルが

32%を占めた。輸入量シェアは、中国が28%、日本とメキシコがそれぞれ約8%を占めた。注:Global Trade Atlasのデータ(2020.01)で、大豆(HS1201)の輸出上位5か国から、100万トン以上輸出している貿易フローを作図

凡例輸出輸入100~300万トン300万トン以上

(単位:万トン)

447

186

114

361 149

330

138

178

131

126

414

141713

453

メキシコ台湾

スペイン

韓国

インドネシア

ブラジル

オランダ

ドイツ中国

日本

アルゼンチン

アメリカ

注:レイアウトの関係から実際の国の地理上位置とは異なる場合がある。9

(USDA PS&D onlineより)

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10 大豆の需給動向と貿易フローの変化:2017年大豆貿易フロー図2017年(前後3か年平均)の輸出量シェアは、ブラジルが上昇し米国の37%を大きく上

回る48%。次いでアルゼンチンが4%。輸入量シェアは、中国が61%と圧倒的な割合を占める一方、メキシコ、日本は3%、2%に低下。

注:Global Trade Atlasのデータ(2020.01)で、大豆(HS1201)の輸出上位5か国から、100万トン以上輸出している貿易フローを作図

凡例輸出輸入100~300万トン300万トン以上

(単位:万トン)

589

5,373

173

127

147184

146

253

413

247

231

242

メキシコ台湾

スペイン

日本

アルゼンチン

インドネシア

オランダ

ドイツ

タイ

中国

注:レイアウトの関係から実際の国の地理上位置とは異なる場合がある。10

イラン

124

ロシア

104ブラジル

エジプト

148108 パキスタン

1062,532

アメリカ

カナダ

パラグアイ

204

(USDA PS&D onlineより)

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0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

(千トン

)中国 EU メキシコ 日本 インドネシア その他

0

20

40

60

80

100

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

ブラジル 米国カナダ アルゼンチンその他

(百万トン)

○ 2018年以降、米中間で追加関税と報復追加関税等を、第1弾から第4弾へ段階的に発動。農産物では特に中国が第1弾で米国産大豆等に25%の追加関税を賦課。 2020年1月15日の米中貿易交渉第1段階合意により、両国は相手国からの輸入品に課す追加関税を一部を初めて引き下げた。

○ 2018年の追加関税が賦課された直後、米国産とブラジル産の大豆価格に大きな差が発生。○ 2018年度の米国大豆の期末在庫量は、生産量の増加に加え、輸出量が回復しきれず大幅に積み上がる。○ 2019年の中国の大豆輸入先国別シェアは、ブラジルが前年の75%から65%にやや低下し、アルゼンチンのシェアが同

2%から10%に上昇。○ 米税関統計では、米国大豆輸出量に占める中国のシェアは2018年の18%から、2019年に43%と大幅に回復。

11 米中両国の貿易摩擦の大豆への影響

④ 米国における大豆主要輸出先国・地域の推移

資料:USDA PS&D Online Data 11

0

50

100

150

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2018

(百万トン)

生産量

需要量

輸出量

期末在庫量

② 米国の大豆需給の推移

資料:USDA, Global Agricultural Trade System (GATS)(2020.02)

① 大豆価格の推移

資料:FAO及びブラジル油種加工業協会(Abiove)及び林瑞穂(2020)

③ 中国における大豆主要輸入先国の推移 資料:Global Trade Atlas

(※追加関税賦課の適用除外措置による)

(年)

(年)(年)

(月)

(Global Trade Atlasより)

Page 14: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

12 小麦需給と貿易動向

○ 2017年度(前後3か年度平均)の世界の小麦生産量は、EUが19%を占め、次いで中国、インド、ロシアとなり、上位4か国で60%のシェア。○ 小麦は、主に単収の伸びにより生産量が増加。特に先進国の収穫面積の伸びは限定的。○ 2000年代以降、伝統的な輸出国に加えて新興のロシア、ウクライナにおける輸出量が増加。○ エジプト等の北アフリカ諸国、インドネシア、フィリピン等の東南アジアで輸入量が増加。

① 世界の小麦生産量・単収と主要国の生産量シェア(2016-18年度平均)

資料:USDA PS&D Online Data

(15,000)

(10,000)

(5,000)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000(千トン)

1970 19902010 2017 年度(前後3ヶ年度平均)

② 国別小麦純輸出量の推移

EU, 19.3%

中国, 17.7%

インド, 12.7%ロシア, 10.2%

米国, 7.2%

カナダ, 4.2%

ウクライナ, 3.5%

パキスタン, 3.4%

オーストラリア, 3.1%

トルコ, 2.5%

アルゼンチン, 2.5%

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

0 50 100 150

単収(㌧/

ha)

生産量(百万㌧)

資料:USDA PS&D Online Data12

Page 15: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

13 小麦の需給動向と貿易フローの変化:2002年小麦貿易フロー図

2002年(前後3か年平均)の輸出量シェアは、米国が25%で最大。豪州、カナダ、アルゼンチン等が続く。輸入量シェアは、エジプト、ブラジル、日本等がそれぞれ約6~8%を占めた。注:Global Trade Atlasのデータ(2020.01)で、小麦(HS1001)の輸出上位5か国から、100万トン以上輸出している貿易フローを作図

244302

153

128

177

269

133 156

118

165209107

218

100 117

118166

150

585

日本

韓国

フィリピン

インドネシア

オランダベルギー

アルジェリア エジプト

イラク

イタリア

イラン

ナイジェリア

アルゼンチン

メキシコ

ブラジル

スペインアメリカ

カナダ

フランス

(単位:万トン)

凡例輸出輸入100~300万トン300万トン以上

オーストラリア

177

注:レイアウトの関係から実際の国の地理上位置とは異なる場合がある。 13

119

(USDA PS&D onlineより)

Page 16: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

14 小麦の需給動向と貿易フローの変化:2017年小麦貿易フロー図2017年(前後3か年平均)の輸出量シェアは、ロシアが最大で20%となる一方、米国が15%に低下し、伝統的な輸出国に加えて、ウクライナが上昇。輸入量シェアは、エジプトが7%で最大。日本や韓国がシェアを落とし、インドネシア、トルコ等が上昇。注:Global Trade Atlasのデータ(2019.0)で、小麦(HS1001)の輸出上位5か国から、100万トン以上輸出している貿易フローを作図

287

259106

140

120

177

177 122

237

136

日本

インドネシア

モロッコ

オランダ

ベルギー

ナイジェリア

メキシコ

ベトナム

バングラデシュ

コロンビア

ペルー

イタリア

309368

116

トルコ

107

韓国

148

注:レイアウトの関係から実際の国の地理上位置とは異なる場合がある。14

アラブ首長国連邦

101

凡例輸出輸入100~300万トン300万トン以上

122

ロシア

スーダン 159

(単位:万トン)100

カナダ

260

112 スペイン

102

121アメリカ

108

100

タイ

119116

158

111

226

ウクライナ

インド

中国

台湾

フィリピンエジプト

アルジェリア

418

120

188

フランス

215

210

オーストラリア

(USDA PS&D onlineより)

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15 米需給と貿易動向○ 世界の米生産量は、中国、インドの上位2か国で53%のシェア。アジア中心の品目。○ 輸出量は、インドが2010年代に1,000万トンを超えて、現在、25%のシェア。○ 単収は、主要輸出国のインド、タイ、ベトナムでも差異が大きい。○ ナイジェリア等のサブサハラ・アフリカの輸入量が増加。中国の輸入量は減少傾向。

15

(4,000)

(2,000)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000(1,000トン)

1970 19902010 2017

年度(前後3か年度平均)中国, 30.0%

インド, 22.8%

インドネシア, 7.4%

バングラデシュ, 6.9%

ベトナム, 5.6%

タイ, 4.0%ミャンマー, 2.6%

フィリピン, 2.4%

パキスタン, 1.5%

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

0 50 100 150

単収(㌧/

ha)

生産量(百万㌧)

① 世界の米生産量・単収と主要国の生産量シェア(2016-18年度平均)

➁ 国別米純輸出量の推移

中国, 4%

インド, 25%

インドネシア, 0%

バングラデシュ, 0%

ベトナム, 14%タイ, 22%

ミャンマー, 6%

フィリピン, 0%

パキスタン, 9%

その他, 20%

中国

インド

インドネシア

バングラデシュ

ベトナム

タイ

ミャンマー

フィリピン

パキスタン

30%

23%7%7%6%

4%3%

2% 1%

17%

③ 国別米上位輸出量及び生産量シェア

(2016-18年度平均)

資料:USDA PS&D Online Data

⇐注:「外円」が輸出量シェア「内円」が生産量シェア

Page 18: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年

万トン

その他

いも類

豆類

とうもろこし

小麦

コメ

16 中国:大豆の生産振興とコメ、小麦の最低買付価格抑制

資料:2019年中国統計年鑑

➂近年のコメ,小麦の最低買付価格の推移

①食糧の作目別生産量の推移

(単位:元/500g)

➁とうもろこし及び大豆生産者補助制度【黒竜江省の補助単価】

注1:1ムーは1/15ヘクタール注2:補助の対象は東北3省と内蒙古自治区

注:対象はコメが黒竜江省など11省・区, 小麦が河北省など6省

2017年 2018年とうもろこし 133.46元/ムー 25元/ムー大豆 173.46元/ムー 320元/ムー

早生インディカ

中・晩生インディカ ジャポニカ 白小麦,混合麦,

紅小麦2013年 1.32 1.35 1.50 1.12 2014年 1.35 1.38 1.55 1.18 2015年 1.35 1.38 1.55 1.18 2016年 1.33 1.38 1.55 1.18 2017年 1.30 1.36 1.50 1.18 2018年 1.20 1.26 1.30 1.15

【参考】「農村振興戦略計画2018-2022」の中で、農業構造調整の推進として「耕種業の生産構造を統合的に調整し、水稲、小麦生産を安定化させ、非優位地区のとうもろこしを秩序だって減少させ、大豆生産規模をさらに拡大(趣旨)」する。また、「コメ,小麦の最低買付価格制度を改善し,政策の融通性と弾力性を強めて,合理的に最低買付価格のレベルを調整して,健全な支援・保護政策を早急に構築する(趣旨)」等と述べられている。資料:河原昌一郎(2019)及び菊池由則(2019)

○ 2018年の食糧(コメ、小麦、とうもろこし、豆類、いも類、その他穀類)の総生産量は6億5,789万トンで、2017年に比べ372万トン減少したが、2015年以降、6億5千万トンを超える高い水準を継続。

○ 2018年の主要政策動向では、米中貿易摩擦の影響もあって、とうもろこし及び大豆生産者補助制度において、両作物の生産量第1位・黒竜江省でとうもろこしの補助金額を大幅に引き下げ、一方で大豆の補助金額を大幅に引き上げ。

○ 最低買付価格制度において、初めて小麦の最低買付価格が引き下げられ、コメも大幅引き下げとともに生産者補助を導入。

16

Page 19: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

0

20

40

60

80

0

10

20

30

40

50

602月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

2018 2019 2020

(元/kg)豚肉(左軸) 牛肉(右軸)

初めてのASF発生

○ 中国では2018年8月に、初めてアフリカ豚熱が発生し、その後全国で拡大。○ 豚の殺処分や中小農家の飼育意欲の減退等により、2019年の豚肉生産量は4,255万トンと前年より

1,149万トン減少。一方、豚肉の代替となる畜産物として、牛肉(23万トン)、羊肉(13万トン)、鶏肉等(137万トン)の生産量が増加。

○ 2019年の豚肉の輸入量は211万トンで、前年比92万トン増加するとともに、牛肉の輸入量も166万トンで、同62万トンの増加。

○ 2019年末の豚飼養頭数は、3億1,041万頭で前年より1億1,776万頭の減少。

17

資料:中国海関総署HP-統計月報

➁ 豚肉、牛肉の輸入量

0 50 100 150 200 250

2019年

2018年

2017年

2016年

牛肉 豚肉

(万トン)0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年

牛・羊・鶏肉等豚肉豚肉(左軸) 牛肉(右軸)羊肉(右軸) 鶏肉等(右軸)

(万トン)(万トン)① 肉類生産量

資料:国家統計局HP

資料:農業農村部HP-数据

③ 豚肉、牛肉の卸売価格

17 中国におけるアフリカ豚熱( ASF )と豚肉の動向

【参考】アジアのASF発生状況中国: 168件(22 省、5自治区、4直轄市)香港: 3件ベトナム: 5941件(58省、5直轄市)インドネシア:465件(1州)韓国: 392件(2道、1広域市)フィリピン: 215 件(1都、12州)ラオス: 141件(1都、14県)モンゴル: 11件(6県)ミャンマー: 6件(2州)など(資料:農林水産省, 2020年3月15日現在)

(2020年3月15日現在 168件)

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18 ロシア:穀物収穫量は6年連続の1億トン超え、小麦輸出先は徐々に多元化〇 穀物収穫量は、2019年1億2,067万トン(暫定値)で前年を上回り、2014年以来6年連続の1億トン

超え。〇 穀物輸出量は、2018/19年度4,350万トン(うち小麦3,534万トン:世界第1位)。2019/20年度7

月~12月は2,532万トン(うち小麦2,122万トン)。 USDAは、2019/20年度の小麦輸出量を3,400万トン(3年連続世界1位)と予想。

〇 小麦の主要輸出先は、中東・北アフリカ地域。総輸出量増加の中で、徐々に同地域のシェア(2019/20年度(7月~12月)53%)が低下し、サブサハラ・アフリカ(同18%)やアジア(同15%)のシェアが上昇。

〇 「2035年までの穀物部門発展戦略」を公表(2019年8月)。2035年の穀物輸出量を39.7~63.6百万トンと見込む。

① ロシアの穀物生産・輸出動向➁ 近年のロシア小麦輸出の地域別動向

18

2017/18年度 2018/19年度 2019/20年度(2019年12月まで)

数量(万トン) 構成比(%) 数量 構成比 数量 構成比

収穫量

穀物計 13,554 100.0 11,325 100.0 12,067 100.0

小麦 8,600 63.5 7,214 63.7 7,433 61.6

大麦 2,063 15.2 1,699 15.0 2,046 17.0

とうもろこし 1,321 9.7 1,142 10.1 1,393 11.5

輸出量

穀物計 5,319 100.0 4,350 100.0 2,532 100.0

小麦 4,096 77.0 3,534 81.2 2,122 83.8

大麦 589 11.1 468 10.8 234 9.3

とうもろこし 590 11.1 278 6.4 160 6.3

資料:収穫量はロシア連邦統計庁,輸出量はロシア連邦税関庁注.収穫量は暦年(2019年は暫定値),輸出量は農業年度(各年7月~翌年6月)

(暦年,単位:百万トン)シナリオ 2018年 2025年 2030年 2035年

収穫量楽観 113.3 141.9 145.5 150.3 基本 113.3 116.7 124.3 140.0 悲観 113.3 114.0 121.3 125.4

輸出量楽観 54.9 59.9 59.9 63.6 基本 54.9 34.4 39.4 55.9 悲観 54.9 33.0 37.8 39.7

③ 2035年までの穀物部門発展戦略(抜粋)0

10

20

30

40

50

60

70

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

単位:%

単位:百万トン 旧ソ連

南北アメリカ

ヨーロッパ

アジア

サブサハラ・アフリカ北アフリカ

中東

中東・北アフリカ割合(右軸)サブサハラ割合(右軸)アジア割合(右軸)資料:ロシア連邦税関庁

(年度)

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○ 干ばつによる大幅減産の影響から、米の輸出量が2018年度に10万トン(前年の4割)まで減少。2019年度は2万トンまで減少すると見込まれる。

○ 小麦の輸出量も同様にで、2018年度に901万トンまで減少(前年比▲35%)。2019年度はさらに低く820万トンと見込まれる。

○ 豪州では干ばつがしばしば発生するが、2019年後半の状況は深刻で、東部・南東部をはじめとして広範な地域が観測史上最小の降水量となった。

19 豪州:干ばつによる米・小麦の生産量・輸出量の減少

19

① 豪州の降水量不足の状況(2019年7-12月)② 豪州の米生産量及び輸出量

資料:Bureau of Meteorology Australia (2019.12)

資料:USDA PSD Online data

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

生産量 輸出量

(千トン)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

生産量 輸出量(千トン)

③ 豪州の小麦生産量及び輸出量

(USDA PS&D onlineより)

*深刻な不足(記録史上下から10%)

*激しい不足(記録史上下から5%)

*1900年以降で最小

Page 22: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

20 ASEANの小麦輸入と米輸出入

20

② ASEAN諸国の米の輸出入量資料:USDA PSD Online data

① ASEAN諸国の小麦の輸入量

0.0 2.5 5.0 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0 22.5 25.0

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2016

2018

タイベトナムミャンマーその他

(百万トン) 0.0 2.5 5.0 7.5

フィリピンマレーシアインドネシアその他

(百万トン)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

インドネシア フィリピンベトナム タイその他

(千トン)

○ ASEANの小麦輸入量が急激に増加し、2017年(前後3年平均)には2,740万トンまで拡大。○ 特に、インドネシアの輸入量は2015年以降、1,000万トンを超え、世界の輸入量シェアの6%程度まで上昇。フィリピンは600万トンを超え、ベトナム、タイは300~500万トンの輸入量。

○ ASEAN地域は米の純輸出地域であるが、米の輸入量も多い。フィリピン、マレーシア、インドネシアは米の輸入国であり、ASEAN全体の輸入量は400~700万トンで推移。ASEAN域内の輸入量の8割程度がASEAN域内の輸出国からとなる。

輸出量輸入量 (年)

Page 23: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

21

○ 世界のバイオ燃料(バイオエタノール・バイオディーゼル)の生産量は、バイオ燃料政策次第の側面はあるが、引き続き増加している。

○ ただし、増加率は低下傾向にあり、特に、バイオエタノールの伸びは鈍化している。

21 バイオ燃料の生産動向

-5.0%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

米国ブラジル中国EUその他世界計増加率(右目盛)

(万キロリットル)

(年)

➀ 世界のバイオエタノール生産量と増加率 ➁世界のバイオディーゼル生産量と増加率

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

EU米国アルゼンチンブラジルインドネシアその他世界計増加率(右目盛)

(万キロリットル)

(年)資料:F.O. Licht World Ethanol & Biofuels Report (2019.11)資料:F.O. Licht World Ethanol & Biofuels Report (2019.11)

Page 24: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1980

1982

1983

1985

1987

1989

1990

1992

1994

1996

1997

1999

2001

2003

2004

2006

2008

2010

2011

2013

2015

2017

2018

とうもろこし 米

大豆 小麦

(㌦/㌧)

22

○ 食料、金属・鉱物の価格は、高騰した2007-08年及び2010-12年に比べて低い水準で、世界経済の減速感からエネルギー価格も相対的に低い。

○ 国際市場における穀物及び大豆の価格は、2012年以降、下落基調で、相対的に低く推移しているが、2006年以前よりは高い水準。

○ 穀物等の国際市場では、 2007-08年以降、中国をはじめとした新興国・途上国が輸出入市場で台頭し、バイオ燃料や食用・飼料用の追加的な需要により、需給構造は大きく変化。

22 国際商品価格・穀物及び大豆の価格の推移

➀ 国際商品価格の月次推移 ➁国際穀物及び大豆価格の月次推移

(資料)World Bank Commodities Price Data (2020.01) より作成(注)食料は、穀物、植物油、肉類、砂糖、バナナ、オレンジ、エビ、フィッ

シュミールを含む。鉄鋼・非鉄金属は、鉄鉱石、銅、アルミニウム、すず、ニッケル、銅、亜鉛、鉛を含む。エネルギーは、原油、天然ガス、石炭を含む。

(資料)World Bank Commodity Price Data (2020.01)より作成。(注)とうもろこしはU.S. No.2 Yellow, FOB Gulf ports, price、米は5 percent broken, white rice, milled Bangkok, 大豆はU.S. soybeans, cifRotterdam, 小麦はNo.1 Hard Red Winter, ordinary protein, US Gulf portsの価格。

(年)(年)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1980

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2016

2018

エネルギー食料金属・鉱物

(指数:2010=100)

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◎単位面積当たり収量(単収)の増加(1頭(羽)当たりの飼育頭(羽)数の増加)◎収穫面積(飼育頭(羽)数)の動向

◎主に新興国・途上国における総人口の増加(国連の人口予測「World Population Prospects: the 2019 Revision」に基づき、世界人口及び各国・地域を推計)

◎世界経済は先進国だけでなく途上国を含めてより減速感がやや強まる成長となるが、新興経済国・途上国の経済成長は相対的に高い見通し(実質GDPは世界銀行の「World Development Indicators」、実質経済成長率の見通しはIMFの「World Economic Outlook 2019」に基づき、世界人口及び各国・地域を推計)

◎所得の向上に伴う畜産物・飼料穀物等の需要の増加◎バイオ燃料(バイオエタノール・バイオディーゼル)原料向けの農産物需要による底堅い下支え

需要

供給価格を媒介として各品目の需要と供給を世界全体で毎年一致させる需給分析モデル

○ 「世界食料需給モデル」による世界の食料供給と需要の予測は、農産物輸入国である立場から、独自の将来の食料需給を自然体で見通し、我が国における食料の安定供給に資することを目的。

○ 予測は、収穫面積(延べ面積)の変動に特段の制約がなく、現行の単収の伸びが継続し、各国の政策が現状を維持し、平年並みの天候となることを前提。

Ⅱ. 見通し編1 世界食料需給モデルによる予測の目的及び前提

23

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2 2029年における世界の食料見通し【概要】

○ 世界経済は2018年頃から減速感が強まり、2020年に回復基調に入ると目されていたところで、新型コロナウイルスの発生等による世界的な不透明感がさらに強まっている。今後は、インド、南・東南アジア等の新興国・途上国において比較的高い経済成長率が維持されるとみられるが、先進国における経済成長はまちまちであり多くの国で鈍化する傾向が見られ、途上国においても中国等の新興国を含めてこれまでに比べて成長がやや鈍化するとみられることから、中期的に世界経済はより緩やかな成長となる見込みである。○ 世界の穀物等の需要の伸びは、新興国・途上国の一部で追加的な需要の伸びが緩やかとなることから、やや鈍化する傾向を強める一方で、アジア・アフリカ等の総人口の継続的な増加、緩やかな所得水準の向上等に伴う新興国・途上国を中心とした食用・飼料用需要の増加は続き、穀物等の需要はこれまでの伸びに比べて緩やかで継続して増加する見通し。○ 世界の穀物等の供給では、穀物等の収穫面積の伸びがほぼ横ばいとなる一方で、穀物等の生産量は主に単収の上昇によって増加する見込み。○ 世界の穀物等の需要量と供給量の増加はほぼ拮抗しつつも、穀物等の国際価格は、やや弱含みの傾向を強めつつほぼ横ばいの推移となる見通し。

24

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3 世界食料需給モデルの試算の前提に使用した総人口及びGDPの見通し○ 総人口は、アジア・アフリカなどの途上国を中心に、成長率が鈍化つつも増加は継続。○ 世界経済は、減速感がやや強まり、中期的により緩やかに成長。一人当たりGDPも緩や

かに増加。○ 各国・地域の経済成長は、先進国や一部の新興国で減速感が強まり緩慢となる一方、新

興国・途上国の経済成長は先進国より相対的に高くなる見通し。

② 主要国の経済成長率の推移と見通し

資料:世界銀行「World Development Indicators」、国連「World Population Prospects:The 2019 Revision」、IMF「World Economic Outlook 2019」 の見通しから試算。注:2019年まで実績値で、2020年以降は推計値及び予測値。1人当たり実質GDPは2010年基準。

① 世界の総人口及び一人当たり実質GDPの推移

25

(単位:%)2006-2010年

平均

2011-2015年

平均

2016-2018年

平均2019年 2020年

2021-2029年

平均中国 11.3 7.9 6.7 6.1 5.8 5.7インド 8.3 6.8 7.4 6.1 7 7.4日本 0.2 1 1.1 0.9 0.7 0.6ブラジル 4.5 1.2 -0.4 0.9 2 2.3ロシア 3.7 1.8 1.4 1.2 1.9 2米国 0.9 2.2 2.3 2.4 2.1 1.6EU 1.1 1.2 2.3 1.5 1.6 1.6

12.0 12.6 12.8

53.1 62.5

71.6

$8,918$10,650

$13,249

-10,000

-7,500

-5,000

-2,500

0

2,500

5,000

7,500

10,000

12,500

15,000

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

2004-06年 2016-18年 2029年

65.1億人

84.3億人

75.1億人(10.0億人増)

(1,732ドル増)(2,599ドル増)

(9.2億人増)

(ドル/人)1人当たり実質GDP (右目盛り)

途上国

先進国

人口 (左目盛り)(億人)

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4 地域別の需給見通し:とうもろこし

○ 生産量及び消費量は、すべての地域で増加傾向を示し、飼料用消費量は今後も拡大。○ 世界全体で飼料用消費量は総消費量の75%程度。アフリカは食用消費量が6割超を占める。○ とうもろこしの国際市場は、アジア・アフリカにおける純輸入量の追加的な増加を、北

米・中南米による純輸出量の増加がまかなう。○ 純輸出量は、米国においてバイオエタノール向けとうもろこし需要量の伸びが抑えられる

ことから増加。中南米のブラジル・アルゼンチン、欧州のウクライナでも純輸出量は増加。

① とうもろこしの地域別生産量及び消費量の見通し消費量生産量 (百万トン)

② とうもろこしの地域別貿易量(純輸出入量) の見通し純輸出量純輸入量 (百万トン)

26

292.3

96.4

0.5

186.2

5.9

83.0

47.0

388.0

178.7

0.6

339.0

7.3

115.3

79.7

408.9

220.2

0.7

396.7

9.3

138.1

92.5

0200400600

240.0

96.9

0.5

215.9

13.9

82.7

57.4

326.2

154.5

0.7

389.9

28.3

104.1

99.1

340.9

183.3

0.7

456.3

35.2

118.3

129.1

0 200 400 600

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

0.0

0.02

27.2

8.4

1.4

10.7

49.8

21.0

19.9

61.1

26.0

36.7

020406080

49.3 56.9

22.9

0.00

11.0

67.3

36.7

0.01

19.7

0 20 40 60 80

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

2029年2016-18年2004-06年

2029年2016-18年2004-06年

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5 地域別の需給見通し:大豆○ 生産量が中南米・北米で拡大する一方、消費量はアジア・中南米を中心に拡大。○ 搾油後、大豆は主に食用の大豆油と飼料用の大豆ミールとして消費される。一部の大豆油

はバイオディーゼルとしても消費される。○ 純輸入量はアジア及び欧州で増加し、純輸出量は中南米及び北米で増加。○ 大豆の国際市場は、 中国・東南アジア諸国等の純輸入量の増加を、ブラジルが牽引する

中南米及び米国が牽引する北米の純輸出量の増加でまかなう。欧州のウクライナも純輸出量が増加。① 大豆の地域別生産量及び消費量の見通し

消費量生産量 (百万トン)

② 大豆の地域別貿易量(純輸出入量) の見通し純輸出量純輸入量 (百万トン)

88.4

106.4

0.05

25.1

0.2

2.9

1.2

127.4

183.2

0.04

27.8

0.3

10.9

3.0

143.0

218.9

0.05

35.0

0.3

13.4

3.2

0100200300

54.6

73.0

0.1

63.9

3.4

17.7

2.6

61.4

106.9

0.04

139.5

6.5

25.8

6.7

77.7

126.3

0.04

164.8

6.9

31.3

7.1

0 100 200 300

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

38.6

3.2

14.8

1.471

108.2

6.3

14.8

3.7

129.8

6.5

17.9

3.9

050100150

29.5

29.6

0.0

58.2

74.9

0.002

65.3

92.8

0.003

0 50 100 150

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

2029年2016-18年2004-06年

272029年2016-18年2004-06年

Page 30: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

7.6

27.7

7.8

29.2

9.6

50.7

17.8

50.7

9.8

58.9

23.7

66.2

020406080100

41.0

12.7

20.3

44.2

14.4

70.7

48.7

17.1

93.4

0 20 40 60 80 100

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

80.3

25.9

19.6

218.9

42.7

204.2

22.3

85.1

31.3

23.8

288.5

39.7

255.4

25.9

91.8

37.3

27.3

341.9

49.5

295.0

34.5

0100200300400

39.8

33.4

7.3

248.4

50.6

182.8

50.3

40.3

40.7

9.0

329.5

59.5

186.3

77.2

43.0

47.1

10.2

73.2

201.5

100.7

0 100 200 300 400

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

6 地域別の需給見通し:小麦○ 世界の生産量及び消費量は、アジアと欧州で約7割を占める。伝統的な生産国に加えて、

ロシア・ウクライナ等の新興の生産国が台頭。東南アジアを中心にアジアでの消費が拡大。○ 消費量は主に食用だが、飼料用は総消費量の20%程度。○ アフリカ、アジア、中東では、相対的に少ない生産量に対して消費量が大きく、消費量は

さら増加が見込まれ、純輸入量が増加。また、純輸出量は欧州、北米、オセアニアで増加。

① 小麦の地域別生産量及び消費量の見通し ② 小麦の地域別貿易量(純輸出入量) の見通し

消費量生産量 (百万トン) 純輸出量純輸入量 (百万トン)

282029年2016-18年2004-06年

2029年2016-18年2004-06年

Page 31: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

6.9

16.5

0.4

371.7

2.3

2.3

13.1

6.6

18.3

0.4

441.9

2.6

2.7

21.8

7.4

22.3

0.4

505.3

3.1

3.0

28.8

0200400600

4.3

18.1

0.4

358.1

7.2

3.8

20.3

4.8

19.8

0.4

409.6

9.7

5.0

38.0

5.3

23.0

0.5

469.9

11.8

5.3

53.5

0 200 400 600

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

1.4

5.1

1.5

6.9

1.5

0.08

7.1

2.2

16.3

0.7

0.1

8.7

2.2

24.7

0102030

2.5

0.02

15.4

1.8

25.4

2.1

34.3

0 10 20 30 40

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

7 地域別の需給見通し:米○ 世界の生産量及び消費量は、アジアが8割以上を占め、アジア中心の市場で今後も拡大。○ 米の消費量のほとんどが食用。○ 消費量は、特に、相対的に高い人口の伸び率が見込まれるアフリカ及び中東で、増加。○ 純輸入量は、特にサブサハラ・アフリカ及び中東地域で拡大し、純輸出量はアジアのインド、

タイ、ベトナムに加えて、ミャンマー、カンボジア等で増加。北米は微増にとどまる。

① 米の地域別生産量及び消費量の見通し

消費量生産量 (百万トン)

2029年2016-18年2004-06年

② 米の地域別貿易量(純輸出入量) の見通し

純輸出量純輸入量 (百万トン)

2029年2016-18年2004-06年

29

Page 32: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

3.6

1.5

2.6

1.1

9.7

3.2

2.4

18.2

4.1

3.5

05101520

3.0

4.8

2.5

5.8

4.4

2.5

2.5

8.1

8.6

3.0

6.1

0 5 10 15 20

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

40.9

36.7

5.1

86.9

4.9

46.2

5.2

46.9

46.3

5.9

117.0

7.0

58.0

8.4

52.5

57.1

6.9

143.9

9.4

65.1

10.6

050100150200

37.9

31.9

2.6

90.5

6.4

48.9

6.3

41.1

41.9

3.4

126.7

10.2

55.5

10.8

44.3

48.5

3.9

162.1

13.5

59.1

14.2

0 50 100 150 200

アジア

中東

欧州

アフリカ

オセアニア

中南米

北米

8 地域別の需給見通し:肉類○ 生産量及び消費量は、鶏肉の伸びが最も高く、世界で鶏肉の需給が拡大。豚肉はアジアを

中心に消費の伸びが上昇。一方、牛肉の伸びはこれらに比べて低い。○ 肉類の純輸入量は、中東・アフリカ・アジアにおいて増加するが、特に所得向上に伴って

アジアの増加が大きい。サブサハラ・アフリカの消費規模はまだまだ少なく限定的。○ 肉類の国際市場は、これら地域の純輸入量の増加を、ブラジル等の中南米及び米国等の北

米を中心とする純輸出量の増加でまかなう。

① 肉類の地域別生産量及び消費量の見通し ② 肉類の地域別貿易量(純輸出入量) の見通し

消費量生産量 (百万トン) 純輸出量純輸入量 (百万トン)

2029年2016-18年2004-06年

2029年2016-18年2004-06年

30

Page 33: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

3.0

3.7 4.3

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

7.5

8.0

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

収穫面積(億ha)

単収(トン/ha)

② 穀物の生産量、単収、収穫面積(世界合計)

9 穀物の需給見通し:世界の穀物の消費・生産量の内訳○ 穀物消費量は、新興国及び途上国を中心として、所得の向上を背景に肉類消費量の増加

に伴った飼料用需要の増加と、伸び率が鈍化しつつも総人口の増加に伴う食用消費の増加によって増加する。

○ 穀物生産量は、収穫面積が横ばいに近いやや減少と見込まれる中で、単収の伸びはこれまでに比べて鈍化するものの、単収の増加が寄与して、増加する。

(注)数字は単収(トン/ha)、円の大きさが生産量。

2004-06年

2016-18年 2029年

31

161 169

1,246 1,472

1,704

732

960

1,145

34.4

38.6 41.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

0

1,000

2,000

3,000

4,000

2004-06年 2016-18年 2029年

(4.2kg増)(2.4kg増)

19.8億トン

25.9億トン

30.2億トン

(6.1億トン増)

(4.3億トン増)

(31%増)

(18%増)(16%増)

(19%増)

(kg/人/年)

穀物需要量(左目盛り)

1人当たり年間肉類需要量(右目盛り)

食用等

飼料用

(5%増)

(百万トン)

バイオエタノール原料用

① 用途別穀物消費量と1人当たり年間肉類消費量(世界合計) 世界合計

2004-06年 (I)

2016-18年 (II)

2029年(III)

増加率(II)/(I)

増加率(III)/(II)

収穫面積(億ha) 6.6 7.0 7.0 7.0% -0.6%単収(トン/ha) 3.0 3.7 4.3 22.4% 16.6%

生産量(百万トン) 1,992 2,609 3,023 31.0% 15.9%

Page 34: 世界の食料需給の動向と 中長期的な見通し - maff.go.jp...均)に比べて90%増加。地域別では、アジアの需要量が103%増加。 用途別内訳では、

100

120

140

160

180

200

220

2004-06年 2016-18年 2029年

肉類小麦

バター植物油

指数(2004-06年=100)

とうもろこし

① 主要品目の世界の総消費量の変化 ② 各品目の実質価格の増減率に差異

10 穀物・畜産物等の需給見通し:世界における各品目の消費増加と食料価格○ 所得の向上等による消費量の増加率は品目によって異なり、食用穀物や肉類の伸びは堅調

である一方、経済成長の減速やバイオ燃料の伸びの鈍化等によって植物油やとうもろこしの伸びは鈍化する傾向。

○ 各品目の実質価格の上昇率は、食の嗜好の変化や加工度の違い等によって異なる。

(単位:ドル/t(耕種作物)、ドル/100kg(畜産物))

32

増減率(%)

小麦 158 158 -0.1とうもろこし 159 160 0.4米 397 396 -0.3その他穀物 101 101 -0.2大豆 355 362 2.0植物油 724 802 10.8牛肉 407 413 1.6豚肉 142 146 3.3鶏肉 271 283 4.4バター 450 529 17.5脱脂粉乳 211 253 20.0チーズ 381 394 3.3

品  目基準年

(2016-18年)の価格

実質価格2029年(目標年)

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注 2019年までが実績値で、2020年から2029年までは需給データによる予測値。小麦、とうもろこし、大豆の名目価格は米国の消費者物価指数(CPI)、米の名目価格はタイのCPIを用いて算定している。

11 穀物・畜産物等の需給見通し:穀物及び大豆の国際価格見通し

○ 穀物及び大豆の国際価格は、実質価格ベースで、弱含みつつほぼ横ばいで推移する。○ 消費者物価指数を勘案したこれらの名目価格は、やや上昇する見込み。(これら国際価格の推移に対して我が国国内の円貨ベースの輸入価格は、為替の影響によって変化)

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0

100

200

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2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 2023 2025 2027 2029

大豆(名目価格)

とうもろこし(名目価格)

小麦(名目価格)

米(名目価格)

(単位:ドル/トン)

予測

(年)

大豆(実質価格)

米(実質価格)小麦(実質価格)

とうもろこし(実質価格)

(-実線:名目価格、…点線:実質価格)

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○ 中長期的な世界食料需給見通しに関しては、各機関が公表しているが、目的の違いにより、それぞれ輸出国の立場、各国の農業政策の影響への強い関心等が反映されている。

○ 我が国の「世界食料需給モデル」では、国際機関や食料輸出国の予測だけに依存することなく、食料の輸入国の立場から分析を行うという視点に立ち、日本と同様に食料輸入国であるアジア各国の需給分析も強化して、我が国独自の将来の食料需給を自然体で見通し、世界の食料事情の変化に対応した新たな食料戦略の検討等に活用されている。

(参考1)OECD-FAO、USDAにおける中期的な世界食料需給見通しの概要】

機関名 公表資料名(公表年月) 見通しの目的 見通しの概要

経済協力開発機構(OECD)

及び国連食糧農業機関

(FAO)

OECD-FAO Agricultural

Outlook 2019-2028

(2019年7月)

各国の農業政策が世界の農産物需給に与える影響について分析することを目的として中期的な世界食料需給見通しを実施

農産物と食品への世界的な需要の伸びが弱含む一方で、生産性の伸びは引き続き堅調に上昇するため、主な農産物の価格は今後10年間も低い状態が続く見込み

米国農務省(USDA)

USDA Agricultural Projections to

2029 (2020年2月)

米国の農業政策に要するコストを予測するとともに、米国の中期的農産物貿易動向を予測するために、米国農産物市場を中心に中期的な食料需給見通しを実施

2029年においても米国は大豆・とうもろこしの輸出量は堅調に増加し、米国農業は世界農産物市場において引き続き競争力を有する見通し

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(参考2)世界食料需給モデルの概要1 対象品目(合計20品目)

① 耕種作物6品目(小麦、とうもろこし、米、その他穀物、大豆、その他油糧種子)② 食肉・鶏卵5品目(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、鶏卵)③ 耕種作物の加工品4品目(大豆ミール、その他のオイルミール、大豆油、その他の植物油)④ 生乳・乳製品5品目(生乳、バター、脱脂粉乳、チーズ、全脂粉乳)

2 目標年次、基準年次、比較年次① 目標年次:2028年(現在から10年後)② 基準年次:2015~2017年の3年平均③ 比較年次:2003~2005年の3年平均

3 予測項目品目別・地域別の消費量、生産量、純輸出入量及び品目別国際参照価格(実質・名目)

4 対象範囲及び地域分類① 対象範囲:世界全体(すべての国)② 地域分類:

ⅰ 予測に用いるデータの地域分類は、地理的基準により8地域区分に分類した。(小分類として31か国・地域に分類)

ⅱ 品目毎の需給予測は、基本的にこの8地域区分により示した。なお、各種パラメータ等について精度を向上させたことから、この8地域区分に加え参考値として品目毎に主要な生産・消費国の需給予測の結果も併せて示した。

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(参考2:続き)世界食料需給モデルの国・地域分類○ 世界全体を対象範囲として、予測に用いるデータの地域分類は、地理的基準により8地域区分

○ 小分類として31か国・地域○ モデルは世界全体としての食料需給の基調を予測するため、国別での予測は行わず、8地域区分の予測値を示す

○ 各品目の主要生産・消費国のみを参考値として追記

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地域区分 小分類(国名・地域名)

北米 米国、カナダ中南米 アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、その他中南米

オセアニア 豪州、ニュージーランド

アジア

日本、中国、韓国、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、インド、パキスタン、バングラデシュ、台湾、その他アジア(中央アジア含む)

中東 中東

欧州EU(28か国)、ロシア、ウクライナ、その他ヨーロッパ

アフリカ南アフリカ共和国、ナイジェリア、北アフリカ、その他アフリカ(サブサハラ・アフリカ)

その他世界 その他世界合計 31か国・地域