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催眠・鎮静・鎮痛薬 1. 鎮静・催眠薬 2. 鎮痛薬 i. 麻薬性鎮痛薬 ii. 解熱性鎮痛薬

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Page 1: 催眠・鎮静・鎮痛薬 - Gunma Universityneuro.dept.med.gunma-u.ac.jp/museum/gakubu/PDF/pain.pdf1. 膜7回貫通型受容体= G蛋白共役型受容体 2. μ、κ、δの3つのサブタイプが確認

催眠・鎮静・鎮痛薬

1. 鎮静・催眠薬

2. 鎮痛薬

i. 麻薬性鎮痛薬

ii. 解熱性鎮痛薬

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鎮静・催眠薬

• 鎮静・催眠薬は正常の睡眠と似た中枢神経抑制状態を起こす薬である。

作用としては GABA神経系の増強

二種類に大別できる •Barbiturate系薬•Benzodiazepine系薬

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Barbiturate系薬

• 作用時間– 超短時間 thiopental 麻酔導入薬

– 短時間 hexobarbital– 中間型 pentobarbital– 長時間型 phenobarbital 抗てんかん薬

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Barbiturate系薬

• 作用機序

GABAA受容体に作用してGABAの作用を増強してClチャネルの開口時間を延長する。

薬物依存や薬物相互作用などの問題で最近あまり使われなくなった。

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Benzodiazepine系薬

GABAA受容体に作用してGABAの作用を増強してClチャネ

ルの開口頻度を増加させる。

Benzpdiazepine 受容体は中枢にしか存在しない

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Benzodiazepine系薬の作用

1. 抗不安作用 少量

2. 鎮静作用 中程度

3. 睡眠作用 大量

4. 抗けいれん作用

5. 骨格筋弛緩作用

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Bensodiazepine受容体

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臨床応用

• 薬理作用にはあまり差がない

• 薬物動態には差がある。

生体が薬に及ぼす作用

薬が生物系に及ぼす作用

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基本薬

• flurazepam 長時間型

• triazolam 短時間型

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鎮痛鎮痛薬薬

(広義)(広義)

痛覚が発生するまでの経路の痛覚が発生するまでの経路の

どこかを遮断するどこかを遮断する薬物薬物

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鎮痛鎮痛薬薬

(広義)(広義)

痛覚が発生するまでの経路の痛覚が発生するまでの経路の

どこかを遮断するどこかを遮断する薬物薬物

(狭義)(狭義)

オピオイド(オピオイド( ))

と解熱鎮痛剤と解熱鎮痛剤

麻薬およびその類似物質麻薬およびその類似物質

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鎮痛薬

• 麻薬性鎮痛薬(中枢性鎮痛薬)

• 解熱性鎮痛薬(末梢性鎮痛薬)

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麻薬性鎮痛薬と麻薬性鎮痛薬とその拮抗薬その拮抗薬

OpioidOpioid analgesics and antagonistsanalgesics and antagonists

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1. 膜7回貫通型受容体 = G蛋白共役型受容体

2. μ、κ、δの3つのサブタイプが確認

3. オピオイドμ受容体が強力鎮痛発現には重要

オピオイド受容体

受容体以降の細胞内情報伝達機構

1. G蛋白を介したアデニル酸シクラーゼ活性の抑制

2. Kチャンネルの開口促進

3. Caチャンネルの開口抑制

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オピオイド受容体オピオイド受容体

μ

κ

δ

;脊髄,脳幹,視床;脊髄,脳幹,視床(鎮痛,快感,呼吸抑制)(鎮痛,快感,呼吸抑制)

;大脳皮質深部,脊髄;大脳皮質深部,脊髄(鎮痛,縮瞳,鎮静)(鎮痛,縮瞳,鎮静)

;大脳辺縁系,脊髄;大脳辺縁系,脊髄(感情)(感情)

endomorphineendomorphine, , ββ--endorphinendorphinMetMet--encephalinencephalin

dynorphindynorphin

LeuLeu--encephalinencephalin

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❶アゴニスト❶アゴニストオピオイド受容体に作用オピオイド受容体に作用

❷アンタゴニスト❷アンタゴニストアゴニストのオピオイド受容体に拮抗アゴニストのオピオイド受容体に拮抗

❸アゴニスト・アンタゴニスト❸アゴニスト・アンタゴニスト単独ではアゴニスト様作用を示すが,アゴニストには拮抗単独ではアゴニスト様作用を示すが,アゴニストには拮抗

❹部分的アゴニスト❹部分的アゴニスト特定のオピオイド受容体にのみ作用するアゴニスト特定のオピオイド受容体にのみ作用するアゴニスト

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モルヒネ(モルヒネ( morphine morphine )) 臨床応用;鎮痛薬臨床応用;鎮痛薬

μ

κ

;;AgAg

;;AgAg>>

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副作用副作用

11.呼吸抑制.呼吸抑制22.混乱.混乱

33.便秘.便秘44.悪心・嘔吐.悪心・嘔吐55.依存形成.依存形成

66.眠気.眠気77.不安定感.不安定感88.排尿障害.排尿障害99.かゆみ.かゆみ

1010.発汗.発汗1111.口渇.口渇1212.ミオクローヌス.ミオクローヌス1313.モルヒネ不耐性.モルヒネ不耐性

緊急対応緊急対応

未然対応未然対応

その他その他

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11.呼吸抑制.呼吸抑制

急激な血中濃度の上昇や急激な血中濃度の上昇や痛みに比べ,多量投与した場合痛みに比べ,多量投与した場合

(緊急対応)(緊急対応) 拮抗剤のナロキソン投与拮抗剤のナロキソン投与

μ

橋・延髄の呼吸中枢に働き,橋・延髄の呼吸中枢に働き,COCO22に対する感受性を低下させるに対する感受性を低下させる

ために呼吸を抑制するために呼吸を抑制する

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コデインコデイン (( codeine codeine )) モルヒネより作用が弱いモルヒネより作用が弱い臨床応用;鎮咳薬臨床応用;鎮咳薬

BBB通過後にメチル基が水酸化

↓モルヒネ + ノルアセチルモルヒネ

ヘロイン (heroin)

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μμ・・κκ・・δδ受容体に拮抗受容体に拮抗

ナロキソンナロキソン (( naloxonenaloxone ))

μ

κ

;;AntAnt

;;AntAnt

δ;;AntAnt

>>

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臨床応用臨床応用

急性モルヒネ中毒急性モルヒネ中毒(昏睡,縮瞳,呼吸抑制)の治療(昏睡,縮瞳,呼吸抑制)の治療

依存形成の診断依存形成の診断モルヒネ(10 mg/kg,s.c.)を1日2回,5日間連続投与した野生型マウスにナロキソン(5 mg/kg,i.p.)を投与すると,退

薬症候(身体依存)が顕著に発現し,視床・視床下部におけるcyclic AMP(cAMP)含量はコントロールマウスに比べ有意に増加していた

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(麻薬拮抗性鎮痛薬)(麻薬拮抗性鎮痛薬)単独ではモルヒネ様の作用を示すが,単独ではモルヒネ様の作用を示すが,

モルヒネには拮抗するモルヒネには拮抗する

ペンタゾシンペンタゾシン

麻麻

薬薬

非非

指指

定定

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ペンタゾシンペンタゾシン (( pentazocinepentazocine ))

μ

κ

;;AntAnt

;;AgAg

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臨床応用臨床応用

麻薬には指定されておらず,麻薬には指定されておらず,鎮痛剤としてよく用いられる鎮痛剤としてよく用いられる

問題点・注意点問題点・注意点

依存を起こさないことを期待して依存を起こさないことを期待して開発された薬だが,依存を起こす開発された薬だが,依存を起こす

モルヒネとは併用しないモルヒネとは併用しない