december 2018 - kinokonet.comŒ蕈(平成30年12月号).pdf ·...

25
- 1 - December December 平成30年 平成30年 (第64巻 第12号 通巻759号) (第64巻 第12号 通巻759号) 12月号 12月号 2018 2018 ISSN 2189-9827 ISSN 2189-9827 き ん じ ん 海岸のクロマツ林に発生したマツバハリタケ Bankera fuligineoalba、鳥取市 目  次 表紙のきのこに寄せて マツバハリタケ(松葉針茸)……………………原木シイタケの新品種「菌興N115号」の特性 について …………………………………………… 国内における菌床製造の情勢と一般財団法人 日本きのこセンター菌蕈研究所の取り組み きのこレシピ… その27:乾シイタケのステーキ …………… 10~12月の原木シイタケ栽培管理 …………… 10 市    況 12月号 全農乾シイタケ情報 …………………… 20 生シイタケの市況動向 …………………………… 23 各地のきのこだより ………………………………………………………… 24

Upload: others

Post on 10-Sep-2019

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

- 1 -

DecemberDecember平成30年平成30年

(第64巻 第12号 通巻759号)(第64巻 第12号 通巻759号)

12月号12月号

20182018

ISSN 2189-9827ISSN 2189-9827

き ん じ ん

海岸のクロマツ林に発生したマツバハリタケ Bankera fuligineoalba、鳥取市

目  次表紙のきのこに寄せて… マツバハリタケ(松葉針茸)………………………2研 究 開 発… 原木シイタケの新品種「菌興N115号」の特性

      … について… ……………………………………………3      … 国内における菌床製造の情勢と一般財団法人      … 日本きのこセンター菌蕈研究所の取り組み……6きのこレシピ… その27:乾シイタケのステーキ… ………………9栽 培 技 術… 10~12月の原木シイタケ栽培管理… ……………10市    況… 12月号…全農乾シイタケ情報… ……………………20      … 生シイタケの市況動向………………………………23各地のきのこだより… ……………………………………………………………24

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 2 -

 里山や海岸あるいは公園等の松林にはそれら樹木と関係するきのこが沢山発生します。マツタ

ケやショウロ、アミタケをはじめとする菌根性きのこや、埋もれた松毬から出てくるマツカサキ

ノコモドキ、ニセマツカサシメジ、傘の裏が針状のマツカサタケなどがあります。

 里の紅葉も最盛期を迎える頃、マツバハリタケ[Bankera fuligineoalba (J.C. Schmidt)

Coker & Beers](図1)がアカマツやクロマツ林に発生します。傘の色が松葉と同じ様な色で

すので慣れるまでは見つけにくいですが、マツの周りを丹念に探してみましょう。このきのこの

傘の裏は針状になっていて、一見カノシタの様にも見えますが、きのこの色が赤茶色ですし、独

特の芳香臭がします。傘表面や針の間、柄の肉に取り込まれている松葉や砂粒を丁寧に取り除い

てから、刻んで炊き込み御飯にすると良いでしょう(図2)。マツバハリタケ特有の香りが楽し

めます。

(菌蕈研究所 主任研究員)

表紙のきのこに寄せてマツバハリタケ(松葉針茸)■ 牛島秀爾

図1.マツバハリタケ。左:きのこの裏面、右:きのこの表面。

図2.マツバハリタケの炊き込み御飯。濃い味付けでもきのこの香りは強い。

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 3 -

 菌興115号は味、食感に優れ、上品な香りとボリューム感のある外観を特徴とし、生シイタ

ケとしても、乾シイタケとしても、見ても食べても他品種との区別性を発揮することから、ブラ

ンドシイタケの原木栽培に適した品種です。菌蕈研究所ではブランド力をさらに強化した菌興

115号の後継品種育成の取り組みを進めてきましたが、2018年11月、菌興115号よりも収

量性に優れた新品種・菌興N115号を品種登録申請しましたので、本稿において、その特性を

紹介します。

極厚肉の丸山型のきのこ

 新品種・菌興N115号のきのこは、菌興115号と同様に傘は円形、丸山型、褐色で、傘肉は

極めて厚く、これまで菌興115号を用いて原木栽培されてきた生シイタケブランド規格品(の

とてまり、鳥取茸王など)の生産にも適しています。また、筆者の印象では、菌興N115号の

きのこは、菌興115号よりも丸みが強く、傘肉の厚さも厚いように思います。この丸みが強く

極厚肉の特性は大型のきのこだけでなく、小さめのきのこにもあてはまり、非常に区別性の高い

特徴と言えます(図1)。

 ただ、前述のように菌興115号よりも収量性に優れている一方で、子実体発生数が多くなる

と、きのこが小さくなるので、今後、ブランド規格品の生産に適した原木1本あたりの植菌数を

検討する必要があると考えます。また、傘肉が極厚であるために肉質はやや柔らかく、水分含量

が高すぎると食感が損なわれることが心配されますので、日和子採取を心掛けてください。

研究開発原木シイタケの新品種「菌興N115号」の特性について■ 寺島和寿

図1.菌興N115号のきのこ

高い収量性

 新品種・菌興N115号と菌興115号のほだ木齢毎の乾重収量(原木1本あたり)を図2(成型

種菌)と図3(駒種菌)に示しました。本収量調査ではコナラ原木を用いて、林内で通常管理の

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 4 -

下で栽培を行っています。本調査結果から成型種菌および駒種菌のどちらを用いた場合でも、菌

興N115号のほうが菌興115号よりも収量性が優れていることがわかります(菌興N115号4

年間乾重収量の菌興115号対比:成型種菌15.8%増、駒種菌23.4%増)。

図2.菌興N115号と菌興115号の収量性の比較(成型種菌、乾重収量/原木1本) *1 2000~2015年植菌(2007~2009年は除く)、2017年春期までの収量データ。 *2 原木10本で調査。成型種菌は原木1本当たり42個。 *3 *: 5%有意(t検定:対応あり)

図3.菌興N115号と菌興115号の収量性の比較(駒種菌、乾重収量/原木1本) *1 2000~2015年植菌(2003、2007~2009年は除く)、2017年春期までの収量データ。 *2 原木10本あるいは20本で調査。駒種菌は原木1本当たり42あるいは48個。 *3 **: 1%有意(t検定:対応あり)

250

200

150

100

50

0

(g)

1年目 2年目 3年目 4年目 4年間

N115115

発生季節

 上記収量調査試験における月別発生量(成型種菌、乾重収量/原木1本、4年間平均)を図4

に示しました。この図が示すように、菌興N115号の発生時期は菌興115号とほぼ同じである

ことがわかります。コナラ原木で成型種菌を用いた場合、1年目の秋率は22.4%、4年間では

150

100

50

0

(g)

1年目 2年目 3年目 4年目 4年間

N115

115

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 5 -

9.6%、駒種菌を用いた場合は、2年目の秋率は6.1%、4年間では4.5%であり、菌興115号

と同程度の結果でした。

 本稿では、コナラ原木を使用した場合の新品種・菌興N115号の栽培特性を紹介しました。

今後は、樹種(クヌギ、ミズナラなど)適性、植菌数と収量および子実体の大きさとの関係、食

味と栽培方法(袋掛け、ビニール被覆、ハウス栽培など)や収穫季節との関係等を、栽培試験や

現地調査により明らかにし、ブランド品種に値するきのこの増産を実現することで、良質な原木

シイタケを消費者に届けていきたいと考えています。

「菌興N115号の特性(まとめ)」

形態的特徴

1. 厚肉・美味でブランド化に適した品種

2. きのこは円形、丸山型で傘色は褐色。傘肉は極めて厚い。

3. 柄は太く、基部はやや膨らむことがある。

栽培特性

1.形成および駒種菌のどちらでも、菌興115号より4年間収量が多い(コナラ原木)。

2.形成種菌を多孔植菌すると、植菌年の晩秋から発生し、1年ほだ木で最も収量が多い。駒種

菌では2年ほだ木が最盛期。

3.露地栽培のほか、ハウス栽培にも適する。

4.秋率はコナラ原木形成種菌の1年ほだ木で20%程度、駒種菌2年ほだ木で5~10%程度。

5.ほだ木作りは菌興115号に準ずる。

6.晩秋、ほだ場の最低温度が8℃以下になると自然発生が始まり、5℃以下になると発生量が

増加する。冬から春は、ほだ場の最高気温が10~13℃の日が続くと本格的に発生する。

(菌蕈研究所 上席主任研究員)

図4.菌興N115号と菌興115号の月別発生量の比較(成型種菌、乾重収量/原木1本)

140

120

100

80

60

40

20

0

(g)

10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月

N115115

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 6 -

 皆さんが普段、食べられている菌床栽培のきのこがどのように作られているかご存知でしょう

か。一般に菌床は樹木の鋸屑を用いた基材と米ヌカや小麦ヌカ(フスマ)などを用いた栄養材を

混合し、水を添加後、耐熱性のある袋やボトルに詰めて滅菌することで完成します(図1)。し

かし、この基材や栄養材は生産者によって様々な材料を用いて独自の配合で行われており、企業

秘密の場合が多いようです。そのため、何が使われているか消費者の皆さんは疑問に、また不明

瞭に感じておられるかも知れません。そこで、この記事では国内における菌床製造の実状と我々

(一財)日本きのこセンター菌蕈研究所の取り組みについてご紹介したいと思います。

 皆さんは国内産として販売されている菌床きのこをスーパーなどで目にされていると思いま

す。しかし、これらきのこの栽培に用いる菌床には輸入された原材料を元に製造された基材・栄

養材が使われているケースが多いことをご存知でしょうか。野菜をはじめとする農産物では原産

地表示に国内産地の表記があれば日本国内の畑で栽培されたということが明らかであり、皆さん

もそのようにお考えになると思います。しかし、特用林産物であるきのこ類では「生鮮食品品質

表示基準」(農林水産省告示第126号)によって国内産と外国産を,また、シイタケにおいての

み「しいたけ品質表示基準」(農林水産省告示第908 号)によって栽培方法の表示義務があり

ます。これによって菌床栽培と原木栽培の区別を明確にしていますが、菌床に用いられる原材料

の出自についての表記の義務は法令上ありません。そのため、国内産地の表記があるにもかかわ

らず菌床の配合の大部分を占めているトウモロコシや大豆、小麦などを由来とする原材料は外国

産ということが一般化しています。

 最近では、輸入食材のリスクが

取り沙汰される中にあって、消費

者の食に対する国産志向が高まっ

ていることから、一部の小売業者

では取引の際、栽培環境とともに

菌床の組成について確認すること

や外食産業では国内産の基材・栄

養材を用いて生産されたきのこを

積極的に利用するようになってき

ています。

 さて、当研究所ではこれまでき

のこ栽培を通して中山間地農林業

の振興を図ってきましたが、昨今

研究開発国内における菌床製造の情勢と一般財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所の取り組み■ 奥田康仁

図1.耐熱袋に詰めてブロック状に成形した菌床

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 7 -

の菌床きのこ栽培に関するこのよ

うな情勢の中、できるだけ菌床き

のこには国内産の原材料を用いる

ことをモットーとしています。例

えば、エリンギ栽培における基材

が占める割合は容量比で7~8割

を占めますが、国内の多くの生産

者ではトウモロコシの芯(コーン

コブ)が使われる傾向にありま

す。しかしこれは明らかに外国産

です。また、「森林原野を起源と

する生産物のうち一般の木材を除

くもの(林野庁ホームページ)」

とされている特用林産物としての

体をなしていないことにもなりま

す。

 ご存知のとおり、日本には多く

の山林があり、それを地域資源と

して活かすことは非常に大事で

す。そのため、当センターでは国

内産のスギの鋸屑(図2)を用い

てエリンギの栽培を行っています

(図3)。また最近の研究では、

従来使用されている外国産栄養材

であるフスマの代替として国内産

規格外小麦を利用した全粒粉(図

4)が食の安心に寄与するだけで

なく収量向上にも有効であること

を明らかにしました。フスマは菌

床栽培に頻繁に利用されています

が、その原料である小麦は国内産

と外国産の区別なく混合・精製さ

れるため、国内産小麦のみを由来

とするフスマを入手することは難

しくなっています。しかし、規格

外小麦は国内産地で選別された時

図3.スギ鋸屑を用いて栽培したエリンギ

図4.国内産の規格外小麦を用いた全粒粉

図2.当センターが推奨するスギ鋸屑

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 8 -

点で発生することから外国産が混入

することなく確実に入手できます。

また、飼料としての利用実績があ

り、品質上の問題もありません。こ

れらのことから、当センターが推奨

するエリンギ「プレミアムエリンギ

濃丸」(図3、5)の菌床では国産

原材料比率が85%を上回っていま

す。この比率は基材や栄養材に外国

産原材料を用いている栽培ではお

およそ20%程度と予想されますの

で、いかに高い数値かお分かりにな

るかと思います。

 このように国内にある材料を着実

に使用した菌床で栽培したきのこを

皆さんに選んでいただくことは、単

に食の安心の享受としてだけでな

く、皆さん自身が里山のような日本

の原風景を維持・保全することにも

寄与していることになります。

(菌蕈研究所 主任研究員)図5.プレミアムエリンギ濃丸

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 9 -

●作り方                                       

(1)乾シイタケはサッと水洗いし、昆布を入れた水の中で半日程度戻す。

(2)すまし汁程度に薄めた麺つゆと(1)のシイタケ、昆布を鍋に入れ、火にかける。

沸騰したら弱火で10分くらい煮る。

(3)(2)のシイタケに、塩こしょうをふり、小麦粉をまぶす。

(4)フライパンを熱して油をひき、ふたをして弱火で(3)を両面じっくり焼く。

(5)焼き上がったら皿に盛り付け、大根おろしにポン酢で味つけをしたソースをかける。                                           

2018年は乾シイタケのレシピをご紹介しました!

★「こんな食べ方もあるよ!」というご提案もお待ちしております♪

情報の宛先は、下記までお願いします。

一般財団法人日本きのこセンター http://www.kinokonet.com/

                                           

(知財活用部門)

乾シイタケ…………………………大2枚昆布…………………………………5cm麺つゆ………………………………適宜塩こしょう…………………………適宜つけあわせ野菜……………………お好みの量

小麦粉…………………………適宜油………………………………適宜大根おろし……………………適宜ポン酢…………………………好みの量

●材料(2人分)                                   

きのこレシピその27:乾シイタケのステーキ■ 岡崎萌生

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 10 -

乾シイタケ栽培 今年の夏は、梅雨時期の終わりに豪雨災害、梅雨明けからは猛暑日が続き、台風災害、北海道

地震など、多くの災害が相次ぎました。被害を受けられた方々に心よりお見舞い申しあげます。

 10~12月は、乾シイタケ作業にとって、最も重要な時期を迎えます。原木伐採・玉切り作業

と発生ほだ木については原基形成管理、ほだ起こしなど適期作業が求められます。

1.原基形成の条件

(1)温度

 原基が順調に形成される温度帯は品種にかかわらず15~25℃(9月中旬~10月上旬)です。

早い時期や高温時にできた原基は自己消化をすることがあります。このように自己消化を繰り返

しながらこの温度帯で春子までの原基を作ります。

(2)水分

 ほだ木の含水率(湿量基準)は概ね35~65%の範囲で、32%以下では原基形成は困難とな

ります。栽培現場では含水率を測ることはできないが、軽いほだ木(特に古ほだ木)ほど水分含

量が少ないと判断し、水分を多く与えるのが原則です(図1)。

栽培技術10~12月の原木シイタケ栽培管理

図1.古ほだ木のほだ倒し

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 11 -

(3)光照射

 原基形成には微弱ながら光が必要です。外樹皮を透過して光がシイタケ菌糸体に届かなければ

なりません。外樹皮厚が1㎜以上を超えると原基の数は非常に少なくなります。採取跡の少ない

厚皮の古ほだ木はナタ目やクギ目入れることで光照射の対策とします。

 形成菌2年ほだ木は昨年12月から発生しており、材中水分が駒菌に比較して少なくなってい

ます。また、植菌孔の少なくなっているほだ木は樹皮からの発生を促進する必要がありますので、

ほだ回しや天地返しを行いシイタケ菌糸に活力を与えるとともに、散水を行いほだ木に十分量の

水分を与えます。最初は5~12時間の散水でほだ木の樹皮の軟化を促進させ、最高気温が低下

し始めた頃、本格的に週24時間程度の散水を、1週間おきに3回程度行います。散水は降雨前が

望ましいが、降雨が少ない場合は降雨後の追加散水も行います。

2.ほだ場の整備とほだ起こし

(1)ほだ場の整備

 ほだ場は「きのこ作りの場所」です。そのため、良好なほだ場の環境は3乾、7湿と言われ、

日当たりのよい傾斜面(南、東南)で風が強くないところ(変形、乾燥を防ぐ)、そして湿度が

保てるところ(きのこが成長しやすいところ)が適しています。風が強いほだ場では防風垣の設

置を行いましょう(風を防ぐと同時に温度をあげる効果がある)。また、日当たりが悪いほだ場

の場合は、間伐や枝打ちを実施して明るいほだ場に整備します(図2)。

(2)ほだ起こし(2年起こし)

 ほだ木の2年起こしは、発生操作を兼ねるので品種の発生温度特性に合わせ、発生に必要な最

低気温が安定した後、ほだ起こしの操作を行いましょう(次頁参照)。

図2.手入れの行き届いた明るいほだ場

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 12 -

品  種 発生温度特性 ほだ起こし時の温度目安

菌興324、327号 中 温 性 14℃以下に安定したころ

菌興240号 中低温性 10℃以下に安定したころ

菌興115、118、193、141、169、170号 低中温性   8℃以下に安定したころ

「ほだ起こし以外のきのこの発生を促進するための操作」

*しけ打ち:降雨の時、木口面や樹皮面を木槌や草刈り機のヒモカッターでたたくことによる刺

激。

*天地返し:ほだ木の上下を返すことによる刺激。

*ほだ倒し:一時的にほだ木を地面に倒し、芽が発生してきたら起こすこと。

「ほだ起こし後のきのこの成長を促進するための管理」

*ビニール被覆:きのこの発生したほだ木をビニールで覆うことで保温・保湿を図り、きのこの

成長に好都合な状態にします(図3)。

図3.ビニール被覆

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 13 -

*袋かけ:保温・保湿が可能、大型のシイタケ作りには必要(図4)。

*拾い込み:きのこの発生したほだ木をハウスに搬入すること。

3.原木の伐採

 原木の伐採前には作業を安全に効率良く行うため、原木林の下刈りやつる類のからまりを取り

除くなどの事前整備を行うようにしましょう(図5)。

図5.下刈りの行き届いた原木林

図4.菌興115号形成菌1年ほだ木のきのこの袋掛けと収穫の様子

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 14 -

 また、樹種によって伐採の適期が異なり、最も適した時期に伐採した原木はきのこの発生も良

好になるので、下表を参考に適期伐採に努めましょう。

樹 種伐採時期 クヌギ コナラ ミズナラ シイ

カシ類 シデ類

黄葉初期~3分黄葉(10月中旬~10月下旬) ◎ ◎ ◎ ◎

4分黄葉~7分黄葉(11月上旬~11月中旬) ○ ◎

厳寒期(1月~2月上旬) ○ ◎

春期(2月下旬~3月中旬) ○ ○

春期(2月下旬~3月中旬) ○ ○

◎・・・最適期  ○ ・・・適期

 そして、最適期に伐採する理由とメリットは以下のとおりです。

(1)シイタケ菌に必要な貯蔵養分が原木内に最多となります。

(2)樹皮がはがれにくくなります。

(3)枝葉によって材内の水分を抜くことができます。

(4)樹液の流動が停止する時期。

(5)葉が落ちにくいため、伐採跡地の伏せ込み場での笠木が確保できます。

(6)カシ・シイ類は樹皮が乾燥しやすいため厳寒期が最適期となります。

 また、伐採した原木は引き続いて葉枯し処理(図6)を行うことによって、植菌後菌糸の初期

図6.原木伐採、葉枯らしの様子

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 15 -

活着と成長が良好となりますので、下表を参考に必ず葉枯し処理を実行しましょう。

樹  種 区 別 樹  齢 葉枯し日数

ク  ヌ  ギ 若 木

老 木

10~18年生

20年以上

20~30日位

40~50日位

コ  ナ  ラ

ミ ズ ナ ラ

若 木

老 木

20~25年生

35年生以上

20~30日位

20~50日位

4.玉切り・集材

 葉枯し原木の玉切り後は速やかに集材を行い、植菌するまでの間に直射日光を当てないよう注

意します。直射日光に当たり続けると樹皮表面が過乾燥となり、クロコブタケはもとよりシトネ

タケ、ニマイガワ菌などの害菌発生につながります(特にクヌギ)。集材後に笠木もしくは遮光

ネットで被覆し、樹皮表面の乾燥防止に努めます。

5.乾燥機点検

 きのこの本格発生が始まる前に慌てることのないように乾燥機の点検を行い不備がないように

して下さい。シイタケは食品です。乾燥機の庫内(特に床下)の異物・ほこりなど取り除き清掃

の実施をお願いします。

「乾燥機の点検ポイント」

(1)温度計・ハイリミットの線に損傷がないか、きちんと固定されているか確認をして下さい。

(配線をネズミ等にかじられて断線している場合があります)

(2)オイルホースの亀裂やオイル漏れがないか確認を行ってください。(古いパイプ類は破損

している場合があります)

(3) 煙突の状態の確認を行ってください。(台風などの強風で煙突が外れている場合があります)

(4)電源が入っているか確認してください。(ブレーカーやコンセントプラグが入っているか

を確認してください)

(5) しばらくの空運転をして、乾燥機が正常に作動するか確認をしてください。(温度計の指

針、バーナーの点火、全自動の場合はダンパーの確認をして下さい)

(九州本部・大分事務所 東村忠幸)

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 16 -

生シイタケ栽培 今年は梅雨明けが全国的に早く、その後は近年にない猛暑となり、各地で40℃を超える最高

気温を記録しました。梅雨明け後の8月は降雨が少なく平年に比べ降水量数パーセントの地域も

ありました。そのため、梅雨明け後の発生は発生芽数の減少や生長が途中で止まったりするなど

の障害が起こり、発生量の減少から一時浸水をストップした生産者も多かったのも今年の特徴で

す。

 9月に入っても猛暑の影響が残り、発生量が回復したのは気温が平年並みになった9月中旬以

降となりました。

1.夏菌の発生操作(菌興537号、697号、702号、706号)

[夏菌の発生操作~最低気温が15℃前後の時期の使用方法]

 最低気温が15℃以上、日中でも20~25℃前後ある頃は夏菌の発生に最も適した時期です。

台風や秋雨などの降雨をしっかり吸水し、原基が充実したほだ木については発生量を確認しなが

ら操作を進めましょう(発生過多防止)。

○浸水時間:2年ほだ木は半日(12時間)程度、3年ほだ木については20時間程度の浸水が目

安となりますが、ハウス環境(乾湿)や外気温、降雨の状況を見ながら浸水時間の長短の調整

を行いましょう。

○芽出し:特に必要なし。浸水後即展開します。

○生長:夏期仕様のハウス(外張りに黒いシェード)の場合は、日中の気温低下で水分の多いき

のことなることがあります。地域によって

はシェードを外張りから内張りにし、ハウ

ス温度を確保する必要があります(暖かい

産地は夏期仕様のまま発生させる)。きの

このボリューム感を増すためには日中と夜

間の温度格差を付けると良いでしょう。

○休養:休養場所は今後1か月の温度管理を

考えて選定します。最低気温が15℃以上

ある場合は屋外でも休養は可能ですが、ハ

ウス内休養へ切り替えられる準備は必要で

す。散水は週2~3回程度濡れる位の散水

を実施(ほだ木の高さ、組み方でも異なる

が30分~1時間程度)。浸水効果を上げる

ため、使用1週間前から散水を止めてほだ

木を乾かします。

菌興697号2年ほだ木の発生

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 17 -

[夏菌の発生操作~最低気温が10℃以下の時期の使用方法]

○浸水時間:浸水時間は12~20時間程度。冬期は時間と合わせ水温に注意する(地下水の15

℃前後がベスト)。10℃以下では水温を上げる工夫を行いましょう(例:ハウス内に水槽を運

び込み溜め水にする)。

○芽出し:気温の低下に伴いハウス内(芽出し室)での被覆芽出しを実施します。被覆内温度は

20℃前後の温度を確保する。

○生長:15~25℃前後を確保する。日中の温度は多少上昇しても問題ありませんが、夜間温度

の低下に注意し、最低気温10℃以上を保つ。気温が連続して下がり始めたら暖房を使用します。

○休養:休養は温度の取れる場所でほだ木を

寄せて(棒積み、縦積み等)行う。温度は

15~25℃を保つようにし、場所によって

は被覆を行って温度低下を防ぐ。休養は約

30日を目安に計画的に使用しましょう。

○冬越し:温度確保が難しくなれば今シーズ

ンの終了となります。その場合、ほだ木内

に水分を多く含んだ状態で屋外に出して凍

結すると「ザラほだ」となり次年度使用で

きなくなります。日当たりの良い屋外やハ

ウス内で材内部の水分を抜き、軽くなった

ことを確認した後冬越しを行います。降雪

のある場所は青シート等で被覆を行い雪水

が直接当たらないように管理を行います。

[菌興702号(形成菌)の1年ほだ木の発生]

 菌興702号を植菌年に使用する場合、ハッポー栓下の種菌状態を確認します。9月の降雨で種

菌上部には原基が確認できると思われますが、ハッポー栓が種菌から剥がれ難いほど種菌が乾い

ていれば使用は時期を遅らせるか翌年に回します。

 きのこが発生する種菌の状態は種菌部に水分を持ち、指でつまむと粘りのあるガム状となって

いることが重要です。

 事前管理として屋外ではビニール被覆を行ったり、使用1か月前からハウス等暖かい場所へ移

動させ、極端な低温をあてないように管理しましょう。

 使用にあたっては、短い時間の浸水を心掛けましょう(3~6時間程度)。ほだ木が傷みやすく

なるため発生量が少ない場合でもダブル浸水(使用後即浸水を行う連続使用)は行わないように

します。

夏菌のほだ寄せ・冬囲い

ブルーシートを肩から10㎝下げる

側面は開けておく

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 18 -

2.低温菌の浸水発生(菌興115号、118号、141号)

 低温性の菌興菌は最低気温が10℃を下回ってくると自然子の発生が始まります。近年晩秋か

ら初冬は最低気温が安定せず日々上下するため浸水発生時期を見極めることが難しくなってきて

います。使用にあたっては浸水後1週間程度先までの天気図を参考にして作業計画を決めましょ

う。気温低下の条件はシベリア寒気団の南下か放射冷却による朝方の冷え込み等を参考にします。

 気温の安定しない時期は自然子の拾い込みや林内での被覆できのこを採取し、年末に向かって

気温低下を待って浸水する方法も、発生を安定させる一つと言えます。

[低温菌の浸水方法]

○浸水:最低気温5℃以下が安定してから行います。

 形成・オガ菌1年ほだ木・・・・・6~12時間

 形成・オガ菌2年ほだ木以降・・・24時間程度

 駒菌2年ほだ木・・・・・・・・・12~24時間

 駒菌3年ほだ木以降・・・・・・・24時間~

○水切り兼芽出し:林内(雨よけ実施の条件)や無加温ハウス内では浸水後即展開を行っても、

発生場所の日中と夜間の温度格差により自然に水切りと芽出し作業ができます。ハウス内温度

は日中15~20℃程度、夜間は0℃近くまで落ち込んでも良。ビニールハウスの場合夜間温度

を下げる目的で側面を解放して冷気をハウス内に入れる。しかし、風で乾く場所は側面にシェ

ードを張るか、ほだ木に直接掛け過乾燥を防ぎます。

○生長中の温度:日中は20℃程度に留める。特に115号については日中18℃以上が続くと足

が長くなる特性があるため、晴天時は日中温度に注意を払いましょう。夜間は5℃前後まで下

がってもOK。ただし、極力凍結は避けるようにしましょう。

   菌興702号冬期間の休養風景(広島県)。逆さ吊り散水ノズルにより定期的に散水を実施。   温度はほだ木の下(地中)に煙突が通る「オンドル式」にて暖房

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 19 -

○休養:採取後約20~30日の休養を取ります(凍結が続かない場所)。降雪地域は雪水を防ぐ

ため青シートやシェードを掛けて休養を行います。

(鳥取事務所三次支所 影井和男)

低温性菌興115号の浸水発生風景

全国の向こう3カ月気象予報(平成30年11月21日、気象庁発表)

12月 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪または雨の日が多いでしょう。東日本日本

海側では、平年に比べ曇りや雨または雪の日が少ないでしょう。西日本日本海側では、平年と同

様に曇りや雨または雪の日が多いでしょう。北・東・西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの

日が多いでしょう。気温は、東・西日本で平年並または高い確率ともに40%です。降水量は、

東日本日本海側で平年並または少ない確率ともに40%です。

1月 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多いでしょう。東・西日本日本海側で

は、平年に比べ曇りや雪または雨の日が少ないでしょう。北・東・西日本太平洋側では、平年と

同様に晴れの日が多いでしょう。気温は、東日本で平年並または高い確率ともに40%、西日本

で高い確率50%です。降水量は、東日本日本海側で平年並または少ない確率ともに40%です。

2月 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多いでしょう。東・西日本日本海側で

は、平年に比べ曇りや雪または雨の日が少ないでしょう。北・東・西日本太平洋側では、平年と

同様に晴れの日が多いでしょう。気温は、東日本で平年並または高い確率ともに40%、西日本

で高い確率50%です。降水量は、東日本日本海側で平年並または少ない確率ともに40%です。

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 20 -

市 況12月号 全農乾シイタケ情報■ 全農椎茸事業所

1.平成31年販売見通しについて

 今年も師走となり、量販店の売り場を中心に乾シイタケ販売の最盛期を迎えております。年越

しを迎えるにあたり、今年の販売を振り返りますと年初から弱含みでのスタートとなりました。

新春子の展開とともに相場を戻したものの、夏場から再び弱含みでの展開となりました。末端売

価の上昇で荷動きが鈍化し商社在庫は多い状況ですが、現在までは末端売価を下げるまでにはな

っていないため、供給数量(商社在庫含む)が需要数量を上回りこのような相場展開になりまし

た。この年末に向けては一部で価格を下げての売り込みが見られ、最需要期での荷動きの回復を

期待しています。

 生産量は減少傾向ですが、安定出荷により売り場を確保していくことが安定価格での販売につ

ながりますので、生産の維持をお願いします。

 当事業所としても、より安定した価格での販売につなげられるよう引き続き努力してまいる所

存でございますので、来年につきましても皆様からの安定的なご出品をお願いして、年末の挨拶

に代えさせていただきます。良いお年をお迎えください!

2.原木椎茸指導員研修会を実施しました

 毎年11月に開催している原木椎茸指導員研修会を今年は11月6日から7日に鳥取市の(一財)

日本きのこセンター・菌蕈研究所にて実施し、全国各地から9名の方々に参加いただきました。

2日間を通じて、種菌の研究から製造、原木シイタケ生産の一連の流れを研修いただけたと思い

ます。参加された受講生の皆さんも、大変熱心に受講されており、今後、それぞれの職場で今回

の研修会で学んだことを活かし、業務に役立てていただきたいと思います。

3.入札状況(品柄・出品数量等)

 全農入札状況:10月24日に一般入札会を開催しました。小葉が多く、加工小・特小厚を中心

に重いものの引き合いが弱いものとなりました。一部、巻きの良い上厚系は、全国的な品薄から

積極的な買いが入りました。次回は12月5日の納会となります。年始には、1月23日の初市も

控えておりますので、ご出品よろしくお願いします。

 産地状況:原木椎茸指導員研修会で、鳥取県鳥取市の(一財)日本きのこセンターの実証ほだ

場を訪問しました。参加したJA担当者の方々の中には日頃の業務でほだ場にあまり行かないと

いう方もおり、散水設備等の説明に熱心に耳を傾けていました。ハウス栽培の視察もあり、様々

な形態の栽培を研修することができました。地元に戻り生産者の方々に優良事例を紹介していた

だき、安定生産に繋げていただきますようお願いいたします。

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 21 -

4.乾シイタケ販売動向・一般情勢

 贈答:お歳暮での乾シイタケの荷動きは安定需要となっています。近年の相場から内容量の

調整が進んでおります。以前は5,000円程度の商品(つぶし系)が良く動きましたが、近年は

3,000円程度の商品(どんこ系)の方が動きが良く、ギフトにおいても引き続き節約志向の動

向となっています。 

 家庭用・小袋:年末の乾シイタケ最大需要期を迎えるにあたり、市中のシイタケ問屋でも袋詰

め等の作業がピークを迎えています。おせち需要に対応することもあり、売れ筋は特用系からど

んこ・小葉系へ移行しています。出来上がりのおせち購入も増えておりますが、家庭での煮物需

要も底堅く、安定的な販売が繰り広げられる見通しです。

 業務・加工用:出来上がりおせち商材向けの販売が増えています。詰める箱の規格に合わせる

必要があるため、問屋さんには今まで以上に細かい規格指定(ミリ単位等)の要請があり、販売

の幅は拡大したものの、選別の手間・経費が増大しております。

 輸出入:9月の輸出量は1.1tと昨年対比75.7%、9月の累計での輸出量は16.1tで昨年対

比105.4%となっています。9月の輸入量は395tで、単価は1,164円でした。輸入量は昨年

対比107.9%で、単価は同95.4%でした。9月の累計での輸入量は3,616tと昨年とほぼ同等

の推移となっております。

5.事業所から

 各地でも収穫祭等のイベントが多く開催され、紅葉も最盛期となり多くの人出が見受けられま

す。

 原木乾シイタケにとっても最大需要期である年末商戦がやってきました。おせち需要は例年ど

おりの盛り上がりを見せる見通しですが、近年は「家庭での調理」から「出来たおせちの購入」

へのシフトが見られ、それに伴い家庭需要から加工需要への移行があるように思われます。また、

一部の家庭ではおせち料理自体を食べない動きも見えてきました。昨今の世帯構成人数の減少が

大きく影響していると見られます。

 我々椎茸事業所も世間情勢の変化に応じて、柔軟な提案ができるよう、また積極的に末端販売

へも関わって行けるよう考えておりますので、来年も引き続きご協力よろしくお願いします。

6.今後の全農椎茸事業所入札日程

 12月:5日(納会)

 1月:23日(初市)

 2月:20日

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 22 -

乾シイタケの輸出実績(平成30年9月、財務省貿易統計より)

乾シイタケの輸入実績(平成30年9月、財務省貿易統計より)

9月 1月~9月

数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

中 国 0 0 0 0 0 0

台 湾 785 5,653 7,201 2,080 7,676 3,690

香 港 61 600 9,836 10,524 69,360 6,591

ベ ト ナ ム 0 0 0 1,079 3,129 2,900

シ ン ガ ポ ー ル 0 0 0 0 0 0

マ レ ー シ ア 0 0 0 75 272 3,627

マ カ オ 0 0 0 0 0 0

サウジアラビア 0 0 0 70 286 4,086

レ バ ノ ン 0 0 0 32 219 6,844

イ ギ リ ス 0 0 0 0 0 0

オ ラ ン ダ 0 0 0 350 2,580 7,371

ベ ル ギ ー 0 0 0 45 403 8,956

フ ラ ン ス 0 0 0 72 316 4,389

ス イ ス 0 0 0 75 225 3,000

ク ロ ア チ ア 0 0 0 98 627 6,398

カ ナ ダ 0 0 0 30 219 7,300

アメリカ合衆国 139 554 3,986 1,263 5,394 4,271

オーストラリア 75 580 7,733 275 1,980 7,200

合  計 1,060 7,387 6,969 16,068 92,686 5,768

前年対比 75.7% 76.9% 101.5% 105.4% 99.5% 94.4%

前年実績 1,400 9,608 6,863 15,251 93,162 6,109

9月 1月~9月

数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

韓 国 0 0 0 1,366 3,096 2,266

中 国 393,845 458,054 1,163 3,609,075 4,350,605 1,205

台 湾 0 0 0 0 0 0

香 港 620 774 1,248 2,500 3,525 1,410

ベ ト ナ ム 1,000 1,428 1,428 3,000 4,264 1,421

合  計 395,465 460,256 1,164 3,615,941 4,361,490 1,206

前年対比 107.9% 102.9% 95.4% 99.9% 99.0% 99.1%

前年実績 366,652 447,233 1,220 3,618,984 4,404,447 1,217

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 23 -

市 況生シイタケの市況動向

大阪市場

 11月上旬の生シイタケ入荷量は前年比110%の77.4t、価格は前年比87%のキロ1,020円

でした。同月中旬の入荷量は前年比103%の68.2t、価格は前年比80%のキロ937円でした。

10月以降、天候の回復により秋冬野菜の生育は良好で大阪本場の11月の22日までの青果物全

体の販売実績は、入荷量23,195t(107%)、価格キロ230円(91%)の数量増の単価安の

中で生シイタケについても昨年を下回る単価となりました。

 12月に入ってもこの傾向が続くと予想され、生シイタケについては下旬に入り徐々に引き合

いが強くなり昨年並みの販売が見込まれます。また、1月以降の販売先の確保のためにも安心・

安全かつ数量の確保をお願いいたします。

(大阪中央卸売市場 大阪中央青果㈱ 蔬菜部 田島範弘)

生シイタケの輸入実績(平成30年9月、財務省貿易統計より)

その他の生鮮冷蔵きのこの輸入実績(平成30年9月、財務省貿易統計より)

9月 1~9月数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

韓 国 0 0 0 0 0 0中 国 126,371 40,223 318 1,166,368 392,235 336

合  計 126,371 40,223 318 1,166,368 392,235 336前年対比 86.6% 91.2% 105.3% 96.8% 96.4% 99.6%前年実績 145,925 44,112 302 1,205,111 406,766 338

9月 1~9月数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg) 数量 Kg 価額(千円) 単価(円 /Kg)

韓 国 10,698 3,966 371 70,801 20,612 291中 国 360 450 1,250 2,742 7,234 2,638フ ラ ン ス 4,050 18,950 4,679 10,260 32,602 3,178ポ ル ト ガ ル 0 0 0 0 0 0ス ペ イ ン 0 0 0 3,119 13,597 4,359イ タ リ ア 722 2,618 3,626 2,940 11,263 3,831ポ ー ラ ン ド 2,516 5,539 2,202 4,360 9,943 2,281ル ー マ ニ ア 72 455 6,319 4,423 17,365 3,926ブ ル ガ リ ア 0 0 0 329 915 2,781ト ル コ 0 0 0 859 5,500 6,403リ ト ア ニ ア 0 0 0 306 1,015 3,317ベ ラ ル ー シ 434 1,310 3,018 434 1,310 3,018マ ケ ド ニ ア 105 264 2,514 3,100 8,737 2,818カ ナ ダ 0 0 0 102 303 2,971

合  計 18,957 33,552 1,770 103,872 130,609 1,257前年対比 100.1% 83.5% 83.4% 85.9% 96.4% 112.1%前年実績 18,929 40,167 2,122 120,854 135,542 1,122

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 24 -

各地のきのこだよりきのこセンターニュース

平成30年全農原木椎茸生産指導員研修会の開催

 全国農業協同組合連合会主催の平成30年全農原木椎茸生産指導員研修会が、平成30年11月

6~7日の2日間、鳥取市の(一財)日本きのこセンター菌蕈研究所で開催され、鳥取県、島根県、

岡山県、愛媛県、長崎県、熊本県から9人のJA椎茸担当職員が参加しました。

 研修初日は、日本きのこセンター菌蕈研究所の取り組み、シイタケの推奨品種特性、原木シイ

タケ栽培技術、原木シイタケ業界の新しい取り組みなどについての講義研修を受けました。

 主な講義題目は次のとおりです。

 ・シイタケ原木栽培と推奨品種について(菌蕈研究所上席主任研究員 寺島和寿)

 ・原木シイタケ業界の新しい取り組みについて(日本きのこセンター理事 下田秀一)

 翌日は、菌興椎茸協同組合種菌育成場を視察した他、日本きのこセンターの実証栽培ほだ場で

高品質原木シイタケの安定生産のためのビニール被覆栽培や散水栽培技術について現地研修する

とともに、「原木乾シイタケの流通の現状と今後の取り組みについて」と題したJA全農椎茸事業

所萩原啓貴所長の講義を聴講し、全日程を修了しました。

(菌蕈編集室)

研修会に参加した皆さん

菌蕈12月号(第64巻 第12号 759号)

- 25 -

きのこ王国とっとり公開シンポジウムの開催

 (一財)日本きのこセンター・鳥取大学農学部・菌興椎茸協同組合共催、鳥取県後援の「きの

こ王国とっとり公開シンポジウム」が、平成30年11月25日(14:00~16:15)、鳥取市の「と

りぎん文化会館」において開催されました。

 このシンポジウムは、きのこ王国とっとりの実現に向けた、県内における原木シイタケ等きの

この生産振興、研究開発、消費や流通などの取り組みを紹介する目的で行われました。1階の第

一会議室では各々専門的な立場から5題の講演が行われ、来場者は熱心に聴講されていました。

講演会場前のフリースペースでは、きのこの実物やきのこに関連するパネルを展示するととも

に、シイタケ品種の食べ比べ試食会が実施されました。

(菌蕈編集室)

【読者の皆さまへ】

 この一年間、菌蕈をご愛読いただきありがとうございました。来年から、菌蕈は季刊の年4回

の発行となります。今後ともよろしくお願い申しあげます。良いお年をお迎えください。(F.Y.)

菌蕈12月号(第64巻 第 12号 通巻759号) 発行日:平成 30 年 12 月5日 発 行:一般財団法人日本きのこセンター     鳥取県鳥取市富安 1 丁目 84 番地     ☎ 0857-22-6161、http://www.kinokonet.com/ 編 集:菌蕈編集委員会     記事、写真およびデータの無断転載を禁じます。