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1 ページ 2018 2 16 専門演習Ⅰ 履修ガイダンス 1. 専門演習Ⅰの概要 専門演習Ⅰ(3 回生配当・4 単位)は、木曜 3 コースに開講される演習科目です。必修科目 ですので全員忘れず履修してください。 各学生は、教員が 1 名または 2 名で担当するゼミのいずれかひとつに所属し、1 年間の学習 を通じて専門演習Ⅱと卒業論文の土台となる専門的な知識とスキルを身につけること目ざし ます。 来年度は以下の 11 のゼミが開講される予定です。 ただし、朝田ゼミは研究専念期間の関係で 2019 年度は非開講となる予定であり、4回生 時は別のゼミに移籍することになります。 ◇ 2018 年度 「専門演習Ⅰ」 開講一覧 履修 コース ゼミ名称 担当教員 備考 社会福祉 コース 福祉の理論・歴史・政策 上掛 ソーシャルワークの方法 中村 メンタルヘルスとソーシャルワ ーク実践 山野 生活を捉える/支援する 中根 子ども・家族のかかえる諸課題と 支援 山口 人間形成 コース 福祉社会とコミュニティ 野田 福祉社会と社会的排除 朝田 2019 年度の 4回生ゼミは 非開講 福祉社会と学校教育 吉岡・長谷川 子どもの発達と福祉 服部 福祉社会と社会教育 田所 福祉社会と心理 石田・森下

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2018 年 2 月 16 日

専門演習Ⅰ 履修ガイダンス

1. 専門演習Ⅰの概要

専門演習Ⅰ(3 回生配当・4 単位)は、木曜 3 コースに開講される演習科目です。必修科目

ですので全員忘れず履修してください。

各学生は、教員が 1 名または 2 名で担当するゼミのいずれかひとつに所属し、1 年間の学習

を通じて専門演習Ⅱと卒業論文の土台となる専門的な知識とスキルを身につけること目ざし

ます。

来年度は以下の 11 のゼミが開講される予定です。

※ ただし、朝田ゼミは研究専念期間の関係で 2019 年度は非開講となる予定であり、4回生

時は別のゼミに移籍することになります。

◇ 2018 年度 「専門演習Ⅰ」 開講一覧

履修

コース ゼミ名称 担当教員 備考

社会福祉

コース

福祉の理論・歴史・政策 上掛

ソーシャルワークの方法 中村

メンタルヘルスとソーシャルワ

ーク実践 山野

生活を捉える/支援する 中根

子ども・家族のかかえる諸課題と

支援 山口

人間形成

コース

福祉社会とコミュニティ 野田

福祉社会と社会的排除 朝田

2019 年度の

4回生ゼミは

非開講

福祉社会と学校教育 吉岡・長谷川

子どもの発達と福祉 服部

福祉社会と社会教育 田所

福祉社会と心理 石田・森下

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2 ページ 2. 専門演習Ⅰの配属

各学生がいずれのゼミに所属するかは、希望調査をもとに学部の定員調整を経て決定されま

す。大まかな手続きは以下の通りです。

① 学生の希望調査

このガイダンスでの説明と 4 ページ以降のゼミの紹介文の内容をよく確認したうえで、

Google フォームで所属希望を回答して下さい(3 月 2 日(金) 23:59 締切)。締切期日の後で

希望を出されてもその通りにならない場合がありますので、遅れないよう注意しましょう。

手順は以下の通りです。

a. 希望調査用の回答入力ページにアクセスしてください。府大 HP の「福祉社会学科 2018

年度専門演習 1 配属希望調査について」のページ内のリンクからアクセスすること。PC

とスマートフォン、どちらでも可能です。

b. 氏名、学籍番号と連絡用メールアドレスを記入したうえで、第 1 希望から第 3 希望まで

のゼミをひとつずつ選択して下さい。最後に送信(submit)ボタンを押せば回答完了で

す(送信ボタンを押さないと完了になりません!)

※ 希望ゼミは必ず 3 つ選択し、またそれぞれ異なるものを選択してください。

※ 調査期間内に複数の回答をされた場合は、最新の回答を採用します。

希望調査回答入力ページ

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3 ページ ② 配属の調整と決定

希望調査の結果をもとに、以下の要領で配属を決定します。

a. まず、各学生の第 1 希望にしたがって、各ゼミに振り分けをします。

b. 定員(原則として、教員 1 名の場合学生 8 名、教員 2 名の場合学生 16 名)を超過しない

ゼミについては、所属学生が決定となります。

c. 定員を超過したゼミについては、選考を行います。3 月中旬頃に担当教員から、連絡用メ

ールアドレス宛に連絡が届きますので、指示に従ってください。選考方法は、個別面接や

希望者同士の話し合い、単位の履修状況等、教員によって異なります。

選考を経て、所属学生が決定となります。

d. c の選考に漏れた学生は、第 2 希望のゼミに配属となります。ただし、第 2 希望のゼミ

で定員超過が起きる場合は、第 3 希望のゼミに配属となります(そこでも超過した場合

は個別に対応します)。

e. 4 月の在学生ガイダンスで配属を通知します。4 月以降に、編・転入学生の加入で人数

が変動する場合がありますが、そこで 8 名を超えても基本的にそのままの配属でゼミを

おこないます。

※ やむを得ない場合を除き、希望調査に未回答の学生が、人数を超過したゼミに後から加

入することはできませんので、忘れず期間内に回答をして下さい。

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4 ページ 3. 専門演習Ⅰのゼミ紹介

★社会福祉コース

【ゼミ名】福祉の理論・歴史・政策 【担当教員】上掛利博

このゼミでは、くらしの変化や社会の仕組みと人間の幸福(=福祉)の関係について幅広く取り上

げます。現実の福祉の制度や政策がどのようになっているかを解明し、よりよい社会を目指して「み

んなが幸せになる福祉」のあり方について検討します。

「老人」福祉の分野はもとより、「貧困」問題、「家族」政策、「女性」の地位、「北欧」の福祉

社会などの外国研究、日本のユニークな福祉実践の調査、協同組合や NPO と福祉・医療、福祉文化

(ex.映画、文学)に関すること、福祉の思想(理論、歴史)など、具体的な内容については、ゼミ

生一人ひとりの問題関心に合わせて対応しますので、自由です。

3 回生の間に、自分の頭で考えて自由に問題意識を深め、4回生の卒業研究で取り組みたいテーマ

が見つかるようにアドバイスします。なお、幅の広い「多様な視点」や、型にはまらない「柔軟な

発想」は、福祉の分野はもちろんですが、今日いろいろな仕事で共通して求められている能力です。

この自由なセンス(能力)が身につくように支援します。

また、私が担当している大学院のゼミの社会人院生(元保育園園長、福祉施設長、他大学教員など)

との交流も行っており、貴重な話を聞くことができます。加えて、希望者には、毎年 3 月に府大に

来るノルウェー人の学生さんたちと知り合う機会もあります(今年度が最後になる予定)。

◆4 月からゼミで取り上げてみたいテキスト

①三瓶恵子『女も男も生きやすい国、スウェーデン』岩波ジュニア新書、2017 年

②神野直彦『「人間国家」への改革~参加保障型の福祉社会をつくる』NHKブックス、2015 年

③内田義彦『社会認識の歩み』岩波新書、1983 年

④松本伊知朗編『「子どもの貧困」を問い直す』法律文化社、2017 年

【4 回生での卒業論文について・実例等】

1)老人の役割と老人像の変化からみる敬老思想~日本は老人を大切にする社会なのか

2)労働市場と新自由主義~労働形態の多様化と自己責任論を中心に

3)「ワーク・ファミリー・バランス」実現への課題~女性と男性の労働と家庭生活

4)福祉を実質化するスローライフ

5)労働が作り出す二つの価値に関する考察~ワーク・ライフ・バランスと余暇時間

6)高齢者ケアにおける「ふるさと」の役割~介護施設のなかの方言と郷土料理

7)町内会における住民同士のつながりと外部との連携

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【ゼミ名】ソーシャルワークの方法 【担当教員】中村佐織

本年度のゼミでは、ソーシャルワーカーが専門職としての支援方法や専門職倫理について、多面的

に考えてみたいと思います。そこで、前期は、まず今日的な社会福祉の問題(例えば、子どもの貧

困、孤立死、生活困窮など)を深く理解し、その支援方法を考えていきます。後期は、ソーシャル

ワーカーとしての専門職倫理・価値について、多様な素材(文献、雑誌、マンガ、DVD、映画、支

援者の話や訪問)を用いて学び、最終的には、オリジナルな演習教材の作成を試みたいと思います。

そこで、1人1人の積極的参加はもちろん、サブグループを作り、そこで主体的に活動していくこ

とを期待しています。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

・認知症高齢者のレクリエーションプログラムの検討

・特別養護老人ホームにおける利用者の意思尊重支援の意義~介護職員へのヒアリング調査から~

・知的障害者のグループホームにおけるソーシャルワークの特徴~乙訓ひまわり園のグループホー

ムにおける地域生活支援の調査から~

・介護老人保健施設における在宅復帰アセスメントの重要性~在宅復帰支援事例分析から~

・介護支援専門員の支援におけるストレングス視点の必要性~居宅介護支援事業所 A における支援

事例の分析から~

・初期支援としての認知症カフェの機能~社会福祉法人同和園の認知症カフェの実践の検討から~

・発達障害児受容に関する親支援への一考察~親の障害受容プロセスに着目して~

・急性期病院の医療ソーシャルワーカー固有の支援方法に関する一考察~A さんの事例から~

・エコロジカル視点からみた大津方式による発達障害児支援~発達障害児に対する支援者へのヒア

リング調査から~高齢者に対する災害支援についての一考察 ~社会福祉協議会における防災支

援システムの検討~

・地域包括支援センターにおける民生委員の活用の意義~要支援者の発見事例の分析から~

・医療ソーシャルワーカーの新たな可能性についての一考察~医療安全対策委員会への関わりから

・特別養護老人ホ~ムにおける介護職員のコミュニケーションに関する考察~コミュニケ~ション

スキルの向上に向けて~

・医療ソーシャルワーカーにおけるインフォームド・コンセントの意義~医療ソーシャルワーカー

のヒアリング調査分析をふまえて~

・生活困窮者の自立支援に関する一考察~「生活困窮者自立促進支援モデル事業」の分析から~

・ボランティアコーディネーターによるボランティア団体への調整機能の意義~グループワークの

技術を活用して~

・貧困家庭の子どもの高校進学に対する学習支援~ストレングス視点からの支援の必要性~

・母子家庭等就業・自立支援センターにおける就労支援の意義~京都府ひとり親家庭自立支援セン

ターの支援の分析から~

・ふれあい・いきいきサロンの活用の検討~京都市における高齢者サロンの事例から~

・地域包括支援センターにおける三職種連携の意義~センター職員へのヒアリング調査より~

・認知症高齢者の家族介護者への支援に関する研究~介護支援専門員の支援に着目して~

・非行防止活動におけるストレングス視点の意識化の必要性~京都 BBS 連盟 A 会の調査から~

・精神障害者の居住支援におけるアセスメントの重要性~地域移行支援事例の分析から~

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【ゼミ名】メンタルヘルスとソーシャルワーク実践 【担当教員】山野尚美

「人間の尊厳」「社会正義」「スティグマ」をキーワードに、現代社会におけるメンタルヘルス関

連問題と支援のあり方について、相談・支援の現場の実状と背景を踏まえながら理解を深めます。

とりわけ現時点では法制度の整備が十分ではない問題や、司法と医療の狭間に置かれた問題を中心

に、幅広く取り上げられたらと思います。

ここでは、ゼミの大きな枠組みについてはお示ししていますが、具体的内容については、受講生同

士の合議によって自由に選択、決定して頂くことになります。積極的かつ主体的な態度を期待して

います。

3 回生では、毎週の文献講読とディスカッションが中心となりますが、文献の選択や進め方等につ

いては、受講生の合議を踏まえて決定します。

また、その年度の受講生の関心に応じて、次のような活動も行っています。

(過去にゼミで行った活動の例)

〇裁判傍聴(京都地裁)

〇刑事施設見学(京都刑務所・笠松(女子)刑務所、京都拘置所)

〇更生保護施設見学(更生保護施設 盟親)

〇薬物依存者のリハビリ施設見学(京都ダルク)

〇精神障害者を対象とする就労継続支援事業所等見学(みつわ会、サニーデイ)

〇施設等のイベントサポート(更生保護施設 盟親のクリスマス会・もちつき・七夕会、

京都ダルクフォーラム)

〇就労支援事業所の利用者と一緒に半木祭で出店

4 回生では、精神保健福祉援助実習および国家試験の準備と並行しながら、卒論執筆に取り組むこ

とになりますので、3 回生の段階で 2 年間のタイムスケジュールを受講生が立案・決定します。

毎年、受講生は互いに助け合いながら、「実習→卒論→国試」を上手く乗り切っています。

【重要!】

〇 テーマについての関心があれば、精神保健福祉士取得を希望されていなくても選択可能ですが、

3 回生後期以降のスケジュールが、実習、国試に配慮した形になることを予めご了承ください。

〇 精神保健福祉士取得希望者は、このゼミの選択が必須というわけではありません。

〇 PSW 卒後教育プロジェクトへの参加等による、卒業生との積極的な交流を期待しています。

*卒後教育プロジェクトについては、京都府大のホームページの検索欄に「精神保健福祉士」と入力すると、

過去の実施内容を読むことができます。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

「犯罪加害者の家族を取り巻く社会状況と困難 〜新たな支援の構築に向けて〜」

「自死遺族支援における当事者の語りの意義」

「女性受刑者の再犯防止・社会復帰支援 〜女性固有のニーズに注目して〜」

「本人の同意によらない医療 〜強制入院の許容の背景と人権侵害防止措置を中心に〜」

「アルコール依存症の回復支援の現状と課題 〜啓発の視点から〜」

「大学生の自殺とメンタルヘルス管理体制〜大学に期待される自殺予防対策とは〜」

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【ゼミ名】生活を捉える/支援する 【担当教員】中根成寿

2018 年度の中根ゼミは「生活を捉える」と「生活を支援する」ことの二つをテーマにしようと思

います。

私たちの社会は、労働力を市場で「売却」すること(=はたらくこと)で生きるための手段である

お金を得ることが基本原則となっています。でも、労働力を市場で売却することができない人たち

(=はたらくことができない/できなくさせられている)がいます。「老い」「病い」「子ども」

(誰でも経験する避けられない依存状態)はもちろん、「二次的依存」と呼ばれる「誰かのケアか

ら離れられない人」もはたらくことが難しいです。

「避けられない依存」と「二次的依存」は、はたらく人に頼るか、社会保障制度がないと生存が

困難となり、人や制度に依存的となり、プライバシーの剥奪や暴力的な取り扱いに苦しむこともあ

ります。家族の中での暴力/虐待は過剰な依存とその分散方法の少なさから起こります。

以上の視点から、社会と家族の関係や支援の方法を考えます。男性であること、女性であること、

ケアする/されることを制度、規範、感情などの視点から考えていきます。

前期は文献の講読を基盤に、フィールドワーク(これまでは就労継続支援 B 型のレストラン、ネ

ットカフェ、泊まれる本屋、裁判傍聴などに行ったりしました)を実施する予定です。後期は、卒

論で学びたいテーマを各人で深めていくことになります。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

知的障害児・者のきょうだいの経験に関する社会学的考察-家族規範とジェンダーの視点から

『軽度身体障害者』とは誰か-アイデンティティと能力主義の狭間で

ひとり親問題とは何か-Cash・Care・Work から見えてくる現代社会の限界-

私たちは誰を知的障害者と呼ぶのか-知的障害者の「定義」をめぐって-

自立生活における無償介助者の経験する「逃げられなさ」について

「知的障害」とは何か~日常生活における“知的障害っぽさ”を発見する

『第二次臨調を中心とした福祉見直しをきっかけとする、家庭奉仕員制度を巡る政策転換に関する

一考察―労働実態調査を中心に―』

『母娘関係における家父長制の影響—高学歴女性の娘の語りから』

「発達障害者」はどのように「診断」と出会うのか-「早期発見」されなかった当事者へのインタ

ビューから

ケアの共同化による依存の脱私事化の可能性~コーポラティブハウス住民への調査から

共働き夫婦における育児・家事分担をめぐる男性の葛藤からみた「イクメン」の再検討

働きながら子育てすることにおける罪悪感の形成プロセス―働く母親の語りから―

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8 ページ

【ゼミ名】子ども・家族のかかえる諸課題と支援 【担当教員】山口敬子

子どもが育つ家庭の中には、貧困や虐待、子育て不安、ドメスティック・バイオレンス(DV)、

離婚など、様々な課題を抱えるケースが増えており、子育て支援や虐待防止、虐待対応の必要

性が高まっています。

こうした状況をふまえて、ゼミでは、現代社会における子どもや家族をめぐる諸問題、特に、

支援を必要とする子ども・家族について理解を深めていきたいと思います。

前期は、文献を輪読し、発表やディスカッション、論評を重ねながら、子ども家庭福祉や社

会的養護の諸課題について理解を深めていきたいと思います。具体的には、児童養護施設等の

施設養護のもとにいる子どものケアをめぐる課題、里親・養子縁組を含む非血縁の「家庭」へ

の支援の課題、子どもと家族にかかわる多様な専門職に求められる支援について問いを立て、

考えていきます。また、国内外の資料や実践事例を通し、親子分離や多様な喪失・困難を体験

している子どもの権利保障・自立支援のあり方についても理解を深めていく予定です。

後期は、文献や客観的資料を学生自身が収集し、内容を理解したうえで発表やディスカッシ

ョンを行います。そうしたプロセスから、自分の意見を他者に伝える力を磨くとともに、関心

やこだわりを明確にし、卒業論文のテーマ設定につなげていきます。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

「家庭訪問型子育て支援の重要性~家庭訪問支援員に対するインタビュー調査から~」

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9 ページ ★人間形成コース

【ゼミ名】福祉社会とコミュニティ 【担当教員】野田浩資

【ゼミの目標】

現代社会の変化・変動を捉え、地域社会のさまざまな課題に応えるため、「社会学の考え方」と「社

会調査の方法」を学び、地域社会の現場から「社会調査のプロセス」を身につけることを目標とし

ます。地域社会の多様な課題をテーマとする調査に共同で取り組み、まちづくり・地域活性化、伝

統文化・伝統産業の継承、住民参加による福祉・教育活動など、地域住民の主体的活動による地域

社会形成について一緒に考えていきます。文献調査から出発し、調査を企画・設計し、地域の住民・

NPO、行政担当者などへのインタビューやフィールドワークを行い、レポート・報告書にまとめ

るまでの「社会調査のプロセス」を、アクティブラーニングによって実践的に学びます。

「社会調査士」資格の対応科目ですが、資格取得を目的としない受講生も歓迎です。

【ゼミの進め方・スケジュール】

前期は、(1)社会調査方法論、地域社会学・コミュニティ論などのテキスト講読を進めながら、

(2)現地(西陣方面を予定)で予備的調査(町歩き、地域イベントへの参加、区役所ヒアリング

など)を体験し、各自の問題関心を深め、調査テーマを設定していきます。

後期は、各自の調査テーマに応じて、調査を企画し、インタビュー調査やフィールドワーク、アン

ケート調査などを実施し、調査レポートの作成に取り組みます。

【テキスト】

取り上げるテキストは、受講生と相談して決めます。これまでの例は以下の通りです。舩橋晴俊『社

会学をいかに学ぶか』弘文堂、鳥越皓之『サザエさん的コミュニティの法則』(NHK生活人白書)、

金子勇『「地方創生と消滅」の社会学』(ミネルヴァ書房)、鰺坂・小松編『京都の「まち」の社

会学』(世界思想社)、仏教大学西陣地域研究会『変容する西陣の暮らしと町』(法律文化社)など。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

4回生では、主に社会調査に基づいたテーマで卒業論文に取り組んでもらっていますが、社会学

理論・学説史のテーマでも指導しています。

「中心市街地における商業コミュニティの重要性-京都市と長浜市を事例として」

「西陣に集まる職人たち」

「長時間労働と国民性の関連」

「地域コミュニティと人見知り」

「NIMBY施設が地域住民に受け入れられるために必要な条件」

「町家保全活動の比較-町家への想い」

「都市農村交流による地域活性化の研究」

「里親委託推進に関する地域での実践」

「特別養子縁組について考える」

「認知症カフェの内側-オレンジカフェ今出川の事例から」

「現代日本の社会関係資本に関する考察」

「再帰的近代とソーシャル・ネットワーキング・サービス」

「現代若者の就労問題-コミュ力があれば就職できるのか」

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【ゼミ名】福祉社会と社会的排除 【担当教員】朝田佳尚

本ゼミでは、現代の社会的排除と包摂の社会学を主に下記の3つの観点から扱います。

①社会病理学:自殺、非行などの発生の機制、更生保護の制度や実務、犯罪社会学(犯罪[者]の事

例分析・厳罰化の分析など)、貧困や社会的排除に関わるマイノリティ研究

②地域福祉論:福祉コミュニティづくり・地域づくりの事例分析、NPO や地域福祉施設などの実

践や制度、地域福祉論や福祉主体の理論研究

③文化社会学:日常世界や社会関係を規定する社会構造・社会変動の分析、文化現象についてのエ

スノグラフィー・言説分析・構築主義、文化に関する社会学の理論研究

本ゼミでは3回生の1年間で、「ひとつの研究課題をもち解答を得るためにはどのような作業が必

要か」を体験してもらいます。そのために、自分で何かしらの課題を作ってもらいます。上記の3

つの観点に関連する社会的な課題を考えたい場合は、ぜひそれを追求してください。同時に、うま

く言葉にならないが日常生活で「なぜかこれが気になる」、「なんでこうなんだろう」というもの

を省察してもらってもかまいません。その意味で、上記の3つの観点はあくまで目安です。「社会

病理学に合わせる」ことなく、「個人的だが普遍的な」課題を設定してください。

前期は自らの研究課題を設定し、それに関連する文献の講読と研究発表を行います。後期は講読を

進めるとともに、予備的な調査にもとづいたレポートを作成してもらい、卒論に向けた足がかりを

つくる予定です。適宜、地域調査や更生保護の現場見学なども実施します。

ゼミは講読と議論を中心的な内容とします。3回生レポート作成にあたっても、研究課題に関わる

書籍や資料の読解は必須です。ゼミ内でも講読の時間をもうけますが、個人研究を進めるために、

別途書籍や論文の読解を相当程度してもらうことになります。

また、ゼミ参加者の「気になっていること」が社会的には連続性があることを経験してもらうため

にも、ゼミでは議論への積極的な参加をお願いしています。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

・初発型非行に見る規範意識論の再考

・少年院での矯正教育の現状と課題について

・就職活動失敗による若者の自殺と若者の在り方

・日本社会における「見えにくい宗教差別」とはどのようなものか―天理教に関わるメディア分析

・日本の子どもや若者の自尊感情はなぜ低いのか

・バリアフリー観光の課題と展望

・中山間地域の交通弱者に対するコミュニティバスによる支援について

・安心して徘徊できるまちづくりとは

・人が人を支援すること ―金銭取引を伴う性交渉を行う知的障害女性の考察から―

・奥山由之の写真はなぜ人々を惹きつけるのか

・「女子力」の意味から見える社会変動

・「自己コントロール社会」における「ほんとうの自分」の問題と〈ほんとうの自分〉の可能性

・現代社会の「弱者」への対応を再考する ―24 時間テレビの分析より―

・現代日本における葬送儀礼の役割

・現代日本における欲望のゆくえ ―三億円事件の表象分析から―

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【ゼミ名】福祉社会と学校教育 【担当教員】吉岡真佐樹・長谷川豊

テーマ:現代社会における学校教育のあり方を探る―子ども・青年の成長と自立をめぐってー

このゼミでは、現代社会における学校と教育のあり方、子ども・青年の成長と自立のあり方につ

いて考えます。

今日の日本では、「子どもの貧困」が象徴するように、経済的な格差の拡大が教育の格差の問題

となって顕在化しています。高額な大学の学費は青年の未来に大きな影を落としています。不登校

と学習権保障の問題、私学助成問題など、日本社会には数多くの教育の自由と平等をめぐる問題が

存在します。

また学校ではいま、脱「ゆとり」を掲げるとともに、新たな「学力競争」が展開されています。

新学習指導要領は、小学校での英語、道徳の「特別の教科」化、高校での「地理総合」「歴史総合」

「公共」の必修などを定めています。この改訂は、日本の教育をどのように変えて行くのでしょう

か。

このゼミでは、受講生の皆さんの具体的な興味や関心を出発点に、①現代社会と学校をめぐる諸

問題(格差・貧困と教育、学力・能力・発達・障害など)、②子ども・青年の発達と自立、「学校

から社会への移行」、職業選択と職業教育などをテーマに、議論し探究します。加えて、卒業論文

作成を展望しつつ学習・研究を進めます。

関係文献(例えば『リーディングス 日本の教育と社会』シリーズや教育関連雑誌論文など)を

手がかりに議論を進め、また学校見学や地域調査なども積極的に行う予定です。

【4回生での卒業論文について・実例等】

◆学力向上プランにおける教育委員会と学校現場との連携~〇〇市教育委員会の事例から~

◆不登校児童・生徒に対する支援のあり方~フリースクール新法をめぐって~

◆給付型奨学金制度導入に関する一考察~給付対象者・給付額を手がかりに~

◆高等学校における私的負担の学校間格差~〇〇市・△△地域の公私比較から~

◆大学等へ進学する児童養護施設児童の経済的支援に関する現状と課題

◆就学援助制度における地域格差の現状と課題

◆総合型地域スポーツクラブの発展と課題~〇〇府の2つのクラブを例に~

◆生徒の目線から見た道徳教育の現状と課題~実りある道徳の授業をつくるために~

◆○○人気質と「おもてなし」文化~〇〇的ホスピタリティはいかに生まれたか

◆高等学校における「死に関する教育」の必要性と可能性~安楽死・尊厳死の授業の試み~

◆日本における新卒一括採用制度の成立・展開と課題

◆地方自治体における市民アイデンティティの醸成・強化とその方策

◆東井義雄の「いのち」の教育思想~子どもの命をみがく教育実践を通して~

◆戦後高等教育政策から考える高等教育再編~大学設置基準大綱化に伴う大学の量的拡大の批

判的検討~

◆高校多様化に対する批判的検討~準義務教育としての高校教育の方向性を考える~

◆教育における「個性化」路線批判~教育と社会的不平等の現代的展開~

◆子どもの貧困対策におけるスクールソーシャルワーカーの役割と課題

◆若者の就労支援と地域若者サポートステーションの課題

◆聴覚障害児教育の方法論 ~口話法・手話法の歴史と今後の教育方法のあり方をめぐって~

◆日本における英語教育の課題 ~「グローバル教育」と英語教育の齟齬をめぐって~

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【ゼミ名】子どもの発達と福祉 【担当教員】服部敬子

超少子化時代といわれる昨今、子育て上の困難さを抱える親子の増加、保育所に入れない待機児

童の増加と「保活戦争」(入れる保育所を探す活動の過酷な状況)、規制緩和による「保育の質」

の低下など、乳幼児の福祉をめぐって検討すべき課題が山積しています。安心して遊ばせることが

できる場所や子ども仲間の減少、経済的な格差の増大など、子育て環境が貧困化している現代社会

においては、「発達早期からの質のよい(集団的な)保育がすべての子どもに必要」との考え方が

国際的に認められるようになっています。

本ゼミでは発達心理学の知見をもとに、「子どもの発達保障」という観点から「保育の質」、及

び「特別なニーズをもつ子どもの保育」について考えます。共通文献として、次の3冊を予定して

います。(購入できない場合や絶版本は、コピーまたは貸し出します)

1.秋田喜代美ほか『あらゆる学問は保育につながる:発達保育実践政策学の挑戦』

(東京大学出版会、2016 年)

2.ブレイディみかこ『This is JAPAN:英国保育士が見た日本』(太田出版、2016 年)

3.清水民子ほか編『保育実践と発達研究が出会うとき』(かもがわ出版、2006 年)※貸出

これらの本について、報告担当者を決めて議論します。また、「子ども・子育て新制度」移行期

の課題を抱える学童保育や小規模保育事業でのフィールドワークを予定しています。

後期には各自が選んだ文献を発表し、批判的に検討する議論を通してそれぞれの問題関心を多角

的に深め、卒業研究のテーマ設定へとつなげていきます。これまで本ゼミで取り組まれた卒業研究

のテーマは多岐にわたりますが、まとめると次のような内容です。参考にしてください。

【4 回生での卒業論文について:内容の分類】

・子どもの発達的特徴や指導方法について(遊び、友達関係、描画、ことば、運動面、想像力

絵本の理解、偏食、くせ、動機付けなど)

・特別なニーズがある子どもの発達と指導・支援方法について(事例研究、保護者支援、保育

実践の分析、児童養護施設の子どものニーズ調査、放課後の過ごし方、病弱児教育、薬物治

療の実際など)

・子育て支援の制度、方法について(行政機関、保育所、子育てサークルなど)

・子どもの発達を支援する専門職、施設について

(保育士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、学童保育、療育施設、夜間保育)

・子育てのしかたと親子関係(関わり方のタイプ)と社会性との関連、叱り方の実態

・父親の育児参加と母親のストレス、育児不安との関連

・きょうだい関係(出生順位と社会的特性、障がいがある場合)

・大学生の学習意欲や進路決定に関わる要因の検討

・発達障害がある学生に対する支援方法

・小学生の遊び・遊び場、友人関係

そのほか、左利きとユニバーサルデザイン、音楽教育の変遷、公園の特徴と使用状況など。

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【ゼミ名】福祉社会と社会教育 【担当教員】田所祐史

社会教育の歴史や現状について、理論や実践報告等の文献講読を中心にして学びあいます。

前期は、小林繁ほか『生涯学習概論』(エイデル研究所、2014 年)などの社会教育学関係の入門

書を基本テキストとし、適宜、宮原誠一、小川利夫ほかの論文や史資料をまじえて講読する予定で

す。

後期は、公民館をはじめとする社会教育機関・施設の歴史や現状を扱うか、または、参加者の興

味関心に応じて内容を決めていきます。「生涯学習論」の講義内容や、各自の問題関心・課題意識、

学習の中で、興味を抱いたテーマがあれば取り上げます。また、卒業論文のテーマを検討し、構想

を報告する機会を設け、卒業論文作成への下準備も後期に進めます。

田所ゼミは、卒業論文提出者が昨年度初めて出た歴史の浅いゼミです。2016 年度の専門演習Ⅰ(3

回生ゼミ)には 2 名、2017 年度には 3 名が参加しました。ゼミ生には、年報発行に向けてのレポー

トの作成を求めます。2018 年度は、3・4 回生・院生ほかとの合同開催回や、合宿、日帰り見学会な

どの機会も設ける予定です(2017 年度は 11 月に奈良市月ヶ瀬で 1 泊 2 日の合宿を行いました)。

ゼミの歴史や伝統を、みなさんと一緒にこれから創造していきましょう。

卒業論文のテーマは、下欄の例のほかにも設定可能です。みなさんが 1 回生のときに「生涯学習

論」で学んだように、社会教育が扱う領域は多岐にわたり、対象とする学習主体も子どもから高齢

者まで幅広いです。どんなテーマに取り組むにせよ、人と人とがつながりあい、高めあう営みや条

件を、社会教育や教育福祉の観点から探究することになるでしょう。

「現代社会と社会教育」「社会教育計画論」をはじめ、教育学や隣接領域の講義等を 3 回生のう

ちに積極的に履修してください。「社会教育計画論」は隔年開講で、次の開講は 2019 年度の予定で

す。

本ゼミは、専門的教育職員たる社会教育主事任用資格取得の必修科目です(実習はありません)。

なお、2020 年度から養成制度が一部変わります。資格取得を目的としない参加も歓迎します。ほか

の養成課程を履修しつつ所属することも可能です(例えば、社会福祉士受験資格取得を目指しなが

ら田所ゼミに所属する例が 2015 年度以降 3 件あります)。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

・2017 年度 「地域若者サポートステーションにおける就労支援の現状と課題」

「ボーイスカウトが影響を与えた宗教系少年団体に関する歴史的考察」

「自転車の交通安全教育の向上についての考察」

・2016 年度 「高齢者の社会教育実践の現状と課題」

・2015 年度 専門演習Ⅱ履修希望者なし

・2013~14 年度 ゼミ未開設

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【ゼミ名】福祉社会と心理 【担当教員】石田正浩・森下正修

2回生までに、心理学の中に実にさまざまな研究テーマがあることがわかってきたことと思いま

す。3回生ゼミでは、自身の関心を心理学の実験や調査で具体的に調べるための基礎を学んでくだ

さい。

前期のゼミでは、心理学の歴史の中で重要かつ興味深い研究をコンパクトに紹介した英語の書籍

を取り上げます。心理学が普遍的な人間理解をめざす以上、世界中の優れた研究の成果を英語で読

むことは避けて通れません。わからない部分はわからないなりにレジュメにまとめてもらって、各

自発表をし、議論を行います。

後期のゼミは、卒論に向けての準備も兼ねた内容になります。後期の前半は、各自が自分の関心

にそって研究論文を探して発表をおこないます。先行研究の検索の仕方や、先行研究から疑問点や

不明な点を見つけて自身の研究テーマにするような論文の読み方を指導します。

後期の後半は、数名ずつのグループに分かれ、先に読んだ研究論文をもとに自分たちの研究テー

マを設定して実験・調査をしてもらいます。質問紙や課題を考えたり、データを分析したりといっ

た過程を体験して、卒業論文の執筆に役立ててもらおうと思います。

【4 回生での卒業論文について・実例等】

質問紙による調査系の研究と、集団や個別でおこなう実験系の研究とがあり、これまでは前者が

多いです。テーマ的には、社会、性格、感情、認知心理学などが中心となっています。

・日本人的性格と面識条件による遠慮行動のちがいについて

・時間と共に変容する集団の同調特性について

・援助行動の性差と平等主義的性役割態度の関係について

・ユーモア行動における性差

・ストレス対処方略としてのユーモア ~個人志向性・社会志向性、賞賛獲得欲求、笑いへの態度

との関連~

・羞恥場面における同行者との心理的距離、同行者の性格特性が羞恥感情に及ぼす影響

・制御焦点と精神的健康の関連

・大学生の一人でいられる能力と友人づきあい、独自性欲求との関連

・きょうだい構成・きょうだい地位と単独行動の関連性の検討 ~友達とのつきあい方と独自性欲

求の媒介効果の検討~

・日本人大学生における社会的手抜きの生起および消去に関する研究 ~課題誘因、社会的補償、

ケーラー効果による検討~

・「中二病」がその人の「今」に与える影響 ~中二病的記憶と青年期の発達上の危機的状態、妄

想傾向との関係に関する考察~

・ネット・クチコミの掲載場面が受け手に及ぼす影響

・募金広告の描写が援助対象者への寄付行動に及ぼす影響について

・キャラクターを使用した商品パッケージと購買意欲について ~コミカルキャラクター、萌えキ

ャラクターに関する検討~

・泣くことによる感情の変化および泣き行動の個人差について

・ポジティブ語とネガティブ語を用いた言語課題遂行時の聴取音楽の影響 ~気分一致効果と状態

依存効果による検討~

・左利き者の「器用さ」イメージの妥当性と左右認識困難について

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