伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption,...

20
97 永噴火で大量に形成された溶岩について検討し,島弧玄 武岩質溶岩の表面形態についての記載とその成因につい ての議論を行うとともに,安永大規模噴火における溶岩 流出のプロセスについても明らかにすることをめざし た。 2 安永噴火の推移 歴史時代噴火の推移は古記録からある程度推定が可能 である。ここでは村山(1979)によってまとめられた「武 江年表」,「大島山火記」,「日本噴火誌」,「震災予防調査 会報告第八十一号」などに書かれた古記録および古記録 にもとづいた記録をもとに,安永噴火の推移を推定し た。 噴火は安永 6 年(1777 年) 7 29 日(旧暦)に始まった。 1 はじめに 日本列島の第四紀火山には玄武岩質のものは少なく, 伊豆大島,三宅島,富士など特定の火山に限られている。 そのため,玄武岩質溶岩の表面形態に関する記載や議論 は,富士火山の青木ヶ原溶岩など一部の例(小幡・海野, 1999;高橋・他,20042005 など)を除きあまりなされ てこなかった。伊豆大島火山最後の大規模噴火は江戸時 代後期の安永噴火(1777 1778 年)であるが(Nakamura, 1964),安永噴火では,現在の三原山火砕丘が形成され るとともに,大量の玄武岩質溶岩が流出し,カルデラの 北東部を埋め尽くして,海岸から海へと流入している (一色,1984 など)。安永噴火の噴出物の総量は約 6.5 トンと推定されている(Nakamura, 1964)。本論では安 御園生 裕介 ・高橋 正樹 ** ・安井 真也 ** The An-ei eruption of Izu-Oshima volcano began in June (the lunar calendar) 1777 A.D. and continued to January 1778 A.D., constructing the Miharayama pyroclastic cone by violent strombolian to sub-plinian eruptions. From March to November 1778 A.D., the mode of eruption changed and nearly aphyric basaltic lavas poured out from the vent situated in the northern and southern foot of the Miharayama pyroclastic cone. The basaltic lava flow erupted from the northern vent is more voluminous than that of the southern one. Firstly, pahoehoe-type lava issued from the northern vent in March and flowed down eastward, which reached to the Nakanosawa valley. In September, the eruption came to be cli- mactic and aa-type lava poured out from the southern vent, which breached the caldera wall and flowed down along the Akasawa valley. Concurrently, voluminous aa-type lavas consisting of many lava lobes effused from the northern vent and spread the caldera floor eastward, which flowed down along the Gomisawa valley and reached to the sea. The issuing lava changed to transitional-type and then pahoehoe-type lava effused. At last, a lava cone consisting of pahoehoe-type was formed around the northern vent. The lava cone comprises more than three lava lobes, where develop various inflation structures such as bulbous toe and tumulus. The change of surface morphology of lava was probably caused by the change of eruption rate; the high rate brought about aa-type lava and low rate produced pahoehoe-type lava. The effusion of lavas from the northern vent continued to at least November 1778A.D.. Keywords : lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface Morphology of the An-ei Basaltic Lava Flow in the Izu-Oshima Volcano Yusuke MISONOU Masaki TAKAHASHI ** and Maya YASUI ** Received September 30, 2006Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3 25 40 Sakurajosui Setagaya ku, Tokyo, 156 8550 Japan ** Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3 25 40 Sakurajosui Setagaya ku, Tokyo, 156 8550 Japan 日本大学大学院総合基礎科学研究科: 156 8550 東京都世田谷区桜上水3 25 40 ** 日本大学文理学部地球システム科学科: 156 8550 東京都世田谷区桜上水3 25 40 日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 No.42 2007pp.97 116 53

Upload: others

Post on 08-Sep-2020

1 views

Category:

Documents


1 download

TRANSCRIPT

Page 1: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─97 ( )

永噴火で大量に形成された溶岩について検討し,島弧玄

武岩質溶岩の表面形態についての記載とその成因につい

ての議論を行うとともに,安永大規模噴火における溶岩

流出のプロセスについても明らかにすることをめざし

た。

2 安永噴火の推移

歴史時代噴火の推移は古記録からある程度推定が可能

である。ここでは村山(1979)によってまとめられた「武

江年表」,「大島山火記」,「日本噴火誌」,「震災予防調査

会報告第八十一号」などに書かれた古記録および古記録

にもとづいた記録をもとに,安永噴火の推移を推定し

た。

噴火は安永6年(1777年)7月29日(旧暦)に始まった。

1 はじめに

日本列島の第四紀火山には玄武岩質のものは少なく,

伊豆大島,三宅島,富士など特定の火山に限られている。

そのため,玄武岩質溶岩の表面形態に関する記載や議論

は,富士火山の青木ヶ原溶岩など一部の例(小幡・海野,

1999;高橋・他,2004・2005など)を除きあまりなされ

てこなかった。伊豆大島火山最後の大規模噴火は江戸時

代後期の安永噴火(1777-1778年)であるが(Nakamura,

1964),安永噴火では,現在の三原山火砕丘が形成され

るとともに,大量の玄武岩質溶岩が流出し,カルデラの

北東部を埋め尽くして,海岸から海へと流入している

(一色,1984など)。安永噴火の噴出物の総量は約6.5億

トンと推定されている(Nakamura, 1964)。本論では安

御園生 裕介* ・高橋 正樹** ・安井 真也**

The An-ei eruption of Izu-Oshima volcano began in June (the lunar calendar) 1777 A.D. and continued to January 1778 A.D., constructing the Miharayama pyroclastic cone by violent strombolian to sub-plinian eruptions. From March to November 1778 A.D., the mode of eruption changed and nearly aphyric basaltic lavas poured out from the vent situated in the northern and southern foot of the Miharayama pyroclastic cone. The basaltic lava flow erupted from the northern vent is more voluminous than that of the southern one. Firstly, pahoehoe-type lava issued from the northern vent in March and flowed down eastward, which reached to the Nakanosawa valley. In September, the eruption came to be cli-mactic and aa-type lava poured out from the southern vent, which breached the caldera wall and flowed down along the Akasawa valley. Concurrently, voluminous aa-type lavas consisting of many lava lobes effused from the northern vent and spread the caldera floor eastward, which flowed down along the Gomisawa valley and reached to the sea. The issuing lava changed to transitional-type and then pahoehoe-type lava effused. At last, a lava cone consisting of pahoehoe-type was formed around the northern vent. The lava cone comprises more than three lava lobes, where develop various inflation structures such as bulbous toe and tumulus. The change of surface morphology of lava was probably caused by the change of eruption rate; the high rate brought about aa-type lava and low rate produced pahoehoe-type lava. The effusion of lavas from the northern vent continued to at least November 1778A.D..

Keywords : lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

Surface Morphology of the An-ei Basaltic Lava Flow in the Izu-Oshima Volcano

Yusuke MISONOU*, Masaki TAKAHASHI**and Maya YASUI**

(Received September 30, 2006)

* Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan

** Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan

* 日本大学大学院総合基礎科学研究科 : 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 ** 日本大学文理学部地球システム科学科 : 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要

No.42 (2007) pp.97-116

53

Page 2: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─98( )

噴火は噴火音や地震をともない,スコリアや火山毛を大

量に噴出降下させ,安永7年1月下旬まで6ヶ月あまり

も断続的に続き,その結果現在の三原山火砕丘が形成さ

れた。

安永7年(1778年)3月22日に,北東の中の沢に溶岩

が流出したことが確認された。おそらく,若干の休止期

をおいて,3月に入ってから三原山火砕丘北麓からの溶

岩の流出が始まったものと考えられる。溶岩の流出は4

月でいったん収まり,8月上旬までは噴煙はみられるも

ののやや静穏な状態が続いたらしい。

8月下旬には噴火は再び激しさを増し,9月18日には

激しい噴火が起こり,三原山火砕丘南麓から溶岩が流出

して,カルデラ壁を越えて赤あかさわ

沢を流下した。9月27日に

は,三原山火砕丘北麓から噴出し北東部に流出した溶岩

が,泉せ ん づ

津東方6kmにあるゴミ沢を流下して海に流入し,

溶岩の先端部は海岸から110mほど海側へ突き出した。

ゴミ沢方面への溶岩の流出は,その後11月下旬まで1ヶ

月以上も続いた。

3 安永溶岩の分布

安永溶岩は,三原山火砕丘の北麓と南麓から流出して

いる(図1)。北麓の噴出口付近には,東西約0.7km,南

北約0.8km,比高約70mの緩やかな傾斜面を持つ楯状

溶岩丘が形成されている。溶岩丘に覆われて多数の溶岩

ローブからなる溶岩流が,カルデラ北東部を埋めさら

に,中の沢方面やゴミ沢方面に流下している。このうち,

ゴミ沢方面に流下した溶岩の規模が最も大きく,伊豆大

島火山の北東斜面を流れ下り,動物公園付近で海に流入

している。北麓噴出溶岩の規模は,最大幅約1.8km,最

大長約5.5kmあまりである。一方,南麓から流出した溶

岩は,カルデラ南部の一部を埋め,カルデラ縁を越えて,

赤沢に沿って南西方向に流下しており,その最大幅は約

0.5km,最大到達距離は噴出口から約2kmである。

4 溶岩丘の表面形態

溶岩丘は3~4枚以上の厚い溶岩ローブからなり,溶

岩ローブ上には大小の凹凸地形が多数発達している

(図2)。各溶岩ローブの長さは0.5km程度,幅は0.1~

0.2km程度,そして比高は数10m程度である。溶岩丘

の傾斜角は4~6度と緩やかであり,全体としては盾状

の形態を示す(図3)。

ごく一部を除きすべて表面の平滑なパホイホイ型溶岩

からなるが,以下に述べるような様々な表面形態や溶岩

地形がみられる(図4)。

(1)表面が平坦なパホイホイ・トウ(flat pahoehoe

toe)

表面が平坦かつ平滑で扁平な袋型をしているパホイホ

54

0 2000m

10km0

溶岩丘

溶岩流

スコリア丘

火口

カルデラ壁

赤沢

中の沢

ゴミ沢

伊東o

三原山

横浜

東京

伊豆大島

図 1 伊豆大島火山における安永溶岩の分布

図 2 溶岩丘の地形と溶岩ローブの分布。灰色部は最上位のローブ地形が明瞭な溶岩ローブを示す。少なくとも 3~4枚以上の溶岩ローブが認められる。1986年噴火以前の地形図にもとづいている。

Page 3: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─99 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

イ型溶岩のトウである(写真1・2)。パホイホイ型溶岩

がゆっくりと前進する際に,前進するフロントに表面が

冷却されて薄い皮殻が形成されたものである。幅は1m

程度,厚さは30cmほどのものが多い。溶岩丘の末端部

の平坦な場所や,溶岩丘の斜面でもやや平坦な場所に発

達する傾向がある。

(2)縄状パホイホイ型溶岩(ropy pahoehoe lava)

パホイホイ溶岩表面の冷却によってできた薄い皮殻に

力が加わり縄状に皺がよることで形成されたものである

(写真3・4)。パホイホイ溶岩の表面に特徴的に発達す

るが,表面が平坦なものは,溶岩丘の末端部の平坦な場

所や,溶岩丘の斜面でもやや平坦な場所にみられる。ま

た,テュムラスの表面や,後述するバルーン状パホイホ

イ・トウやホルニト,あるいはテュムラスから流出した

搾り出し溶岩の表面にも認められる(写真10・15・16・

17)。これらは,溶岩丘の斜面を構成する溶岩ローブの

表面に発達する。

(3)成層したスポンジ状(S-type)パホイホイ型溶岩

(spongy pahoehoe lava)

気泡が発達しスポンジ状になったパホイホイ型溶岩で

ある(Wilmoth and Walker, 1993)。1枚の厚さは数10cm

以下と薄く,複数枚が重なって層状を呈する(写真5)。

溶岩チューブを通らず,地表を流れたパホイホイ型溶岩

に特徴的にみられることが多い。

(4)内臓状パホイホイ型溶岩(entrails pahoehoe lava)

チューブ状の細長く垂れ下がった構造を示すパホイホ

イ型溶岩である(写真6・7)(Wentworth and Macdon-

ald, 1955)。内臓のようにみえることからこの名前があ

る。チューブの伸長方向は溶岩の流動方向を示す。溶岩

丘斜面の溶岩ローブ上に発達したホルニトや溶岩小丘の

表面でみられる。

(5)バルーン状パホイホイ・トウ(balbous pahoehoe

toe)

風船のように膨らんだ直径30~50cm程度の球形型な

いしは楕円体型を呈するパホイホイ・トウである(写真

8)。単独で産することもあるが,複数のものが癒着して

集合体を形成している場合が多い(写真9)。バルーン状

パホイホイ・トウは溶岩丘の傾斜地に発達し,平坦な地

形の場所にはほとんどみられない。

(6)ホルニト(hornito)

固化した溶岩下の溶岩チューブから供給された未固結

溶岩が固化した表面から漏れ出してスパターとなって噴

出し,噴出口の周りに堆積して搭状の塚となったもので

ある。塔の頂部から流出した溶岩が塔の外壁を構成して

いる場合もある(写真11)。

(7)テュムラス(tumulus)

パホイホイ型溶岩の内部に蓄積された溶岩が膨張し,

固化した表面を押し上げたものであり,塚(テュムラス)

状の形態を呈することからこの名前がある(写真12・

13・14)。テュムラスの規模や斜面の傾斜は様々であり,

長径数mから10数mのものまである。テュムラスは溶

岩ローブ上の傾斜地に集中している傾向がある(図4)。

(8)搾り出し溶岩(squeezed-out lava)

バルーン状パホイホイ・トウ(写真16)やテュムラス

(写真15・17),ホルニト(写真10)などから2次的に流

出した溶岩である。

(9)縞状構造(banded structure)

テュムラスの断面などにみられる構造である(Hon et

al., 1994)。発泡のよい部分と発泡が悪く緻密な部分とが

対をなして繰り返し互層を形成している(写真19・20)。

1枚の縞の厚さは1~2cm程度である。ハワイ島などで

みられる縞状構造は,溶岩膨張が生み出した引張力に

よって固化した溶岩が段階的に破壊され割れ目が形成さ

れてテュムラスが発達していく過程を反映している。溶

岩丘でみられる縞状構造も同一の成因をもつ可能性があ

る。

(10)溶岩小丘(lava rise)

溶岩丘を構成する溶岩ローブ上に形成された局所的な

高まりである(写真21)。溶岩膨張によって形成された

可能性が高い(Walker, 1991)。

55

600

500

0

高さ(m)

750500250

距離(m)

600

500

0

高さ(m)

750500250

距離(m)

A A'

B B'

図 3 溶岩丘の断面図。A-A’,B-B’の位置は図2に示す

Page 4: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─100( )

(11) 遷移型(ペースト状パホイホイ型)溶岩

(transitional-type lava;pasty pahoehoe lava)

溶岩丘を構成する溶岩のほとんどは表面の平滑なパホ

イホイ型溶岩であるが,一部には遷移型のペースト状パ

ホイホイ型溶岩(Rowland and Walker, 1987)がみられる

(写真18)。ペースト状パホイホイ型溶岩は,表面が練

り歯磨きをこねたような構造を呈しており,典型的なパ

ホイホイ型溶岩とアア型溶岩の中間的な性質を示す。

5 北東側溶岩流の表面形態

溶岩丘の形成された三原山火砕丘北麓付近からは,多

数の溶岩ローブからなる溶岩流がカルデラ内を北東方向

に流下している。溶岩流を構成する各溶岩ローブは,比

高数mで幅数10mのものが多い。以下にその表面形態

について述べる。また,異なる表面形態を有する溶岩

ローブの分布を図5に示す。溶岩流の途中にみられる空

白部は,1950~1951年溶岩および1986年噴出物によっ

て覆われていて,安永溶岩の詳細分布が不明な領域であ

る。

(1)パホイホイ型溶岩(pahoehoe lava)

表面は平滑で,細かい気泡がみられることが多い。し

ばしば縄状溶岩に移化する。先端部には袋状のトウが発

達する。厚さは1~2m程度のものが多く,断面でみると,

表面から30cmほどはつぶれて伸ばされた気泡の発達が

よく,表面から10cmほどには垂直な冷却節理がみられ

る(写真31)。中心部には厚さ1mほどの緻密な部分が

みられる。この中心部と上位の気泡発達部と下位の緻密

部との境界は比較的明瞭であり,こうした中心部は,後

から溶岩膨張にともなって侵入定置した溶岩が固化した

ものと考えられる(写真30)。

(2)遷移型溶岩(ペースト状パホイホイ型溶岩)

  (transitional-type lava;pasty pahoehoe lava)

パホイホイ型溶岩の表面にやや凹凸が発達するように

なると(写真22),やがて練り歯磨きをこねたような明

瞭な突起が目立つようになる(写真23)。突起の発達が

著しくなり(写真24),個々の突起がちぎれて独立する

ようになるとアア型溶岩となる(写真25)。こうしたパ

ホイホイ型溶岩とアア型溶岩の中間の表面形態を示す溶

岩を,遷移型あるいはペースト状パホイホイ型溶岩とよ

ぶ。

(3)スラブ状溶岩(slabby lava)

パホイホイ型溶岩や遷移型溶岩の表層部が破壊され板

状のブロック(スラブ)の集合体となった溶岩を,スラ

56

図 4 溶岩丘にみられる様々なタイプの溶岩膨張構造。南部の2枚の溶岩ローブについてのみ示してある。北部の溶岩ローブは,現在ではそのほとんどが1950~1951年噴出物および1986年噴出物によって覆われてしまっている。1:平坦な形態をもつパホイホイ・トウ;2:バルーン状トウ;3:テュムラス;4:バルーン状トウをともなうテュムラス;5:バルーン状トウをともなうホルニト;6:バルーン状トウをともなうホルニトを有する溶岩小丘。

Page 5: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─101 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

ブ状溶岩という(写真26・27)。

(4)カリフラワー・アア型溶岩(cauliflower aa lava)

表面が発泡したクリンカー状のこぶし大岩塊の集合体

からなるアア型溶岩で,カリフラワーに似ていることか

らこの名称がついている(Kilburn, 1990)(写真25・32)。

厚さは数m以内のものが多く,断面では,表面のクリ

ンカー状岩塊の集合体が中心部を構成する柱状節理の発

達した緻密な部分に漸移し,緻密部は下位のクリンカー

状岩塊と比較的明瞭な境界をもって接している(写真

33・34)。こうした構造は,表面が発泡し破砕されなが

ら前進する溶岩の先頭部で表面のクリンカー状岩塊が崩

壊し,溶岩の下に敷かれることによって形成される。

(5)ラブリー・アア型溶岩(rubbly aa lava)

表面が丸味を帯びた長径数10cm程度のやや発泡した

大型の岩塊の集合体からなるアア型溶岩である(Kil-

burn, 1990)(写真28)。

(6)ブロック状アア型溶岩(blocky aa lava)

表面がやや平滑な面を持った多面体岩塊の集合体から

なる溶岩である(写真29)。

6 北東側溶岩流における異なる表面形態を有する

溶岩ローブの噴出順序

北東側溶岩流において最初に流出したのはパホイホイ

型溶岩で,カルデラ内では推定噴出口から少なくとも

3km程度まで分布しているのが確認される(図5)。また

中の沢,蜂の尻方面に流下した溶岩も基本的にパホイホ

イ型である。

パホイホイ型溶岩を覆って主としてアア型からなる溶

岩が流出し,この溶岩はゴミ沢を流下し海岸まで到達し

57

1km

1

11

10

9

8

7

6

5432

図 5 異なる表面形態を有する溶岩の分布。溶岩流には溶岩ローブの分布を示してある。1:パホイホイ型溶岩が確認された露頭;2:パホイホイ型溶岩および遷移型溶岩が確認された露頭;3:遷移型溶岩が確認された露頭;4:遷移型溶岩およびアア型溶岩が確認された露頭;5:アア型溶岩が確認された露頭;6:パホイホイ型が卓越する溶岩ローブ;7:遷移型が卓越する溶岩ローブ;8:アア型が卓越する溶岩ローブ;9:カルデラ壁;10:火口;11:三原山火砕丘。

Page 6: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─102( )

て海に流入している。次に噴出したのが主として遷移型

からなる溶岩で,推定噴出口から3kmほど流下してい

る。溶岩丘山麓ではアア型~遷移型の溶岩が後から流出

したパホイホイ型溶岩に直接覆われているので,アア型

や遷移型の溶岩は流下途中でパホイホイ型溶岩から変化

したものではなく,最初からアア型あるいは遷移型とし

て噴出したものである可能性が高い。

最後に再びパホイホイ型溶岩が流出し,遷移型溶岩や

アア型溶岩を覆った。このパホイホイ型溶岩も推定噴出

口から最大3kmほど流下している。溶岩丘を形成した

パホイホイ型溶岩は,このパホイホイ型溶岩とほぼ同時

期に噴出したものと考えられる。

推定噴出口から2~3km程度離れた地点では,パホ

イホイ型溶岩ではスラブ状溶岩(写真26)が,遷移型溶

岩ではスラブ状ないしはラブリー状溶岩(写真27)が,

またアア溶岩ではラブリー状溶岩(写真28)が,それぞ

れ発達する(図6)。これに対して,推定噴出口から4km

以上離れた伊豆大島火山海岸沿いの急斜面から海岸付近

では,カリフラワー・アア溶岩が主体である(写真33)。

7 南西側溶岩流(赤沢溶岩)の表面形態

三原山火砕丘南麓火口から噴出し赤沢を流下した南西

側溶岩流は基本的にアア型溶岩からなり,一部にパホイ

ホイ型や遷移型をともなう(写真35・36)。厚さはカル

デラ壁付近で厚く約 5mほどある(写真37)。

8 溶岩の全岩主化学組成

蛍光 X線分析装置(XRF)によって分析した,安永溶

岩の異なる表面形態を有する溶岩の代表的な全岩化学組

成値を表 1に示す。各溶岩タイプの全岩SiO2量は

53wt.%程度とほぼ同じであり,他の成分についても同

様である。すなわち,異なる表面形態の成因は全岩主化

学組成の違いではないことが明らかである。したがっ

て,異なる表面形態をもたらした原因としては,(1) 噴

出時の温度の違い,(2) 流下中の温度低下による石基の

結晶度の増大,(3) 斜面地形の存在による変形速度の増

大,(4) 噴出率の違い,などが考えられる(Peterson

and Tilling, 1980; Rowland and Walker, 1990; Cashman et

58

図 6 スラブ状溶岩,ラブリー状溶岩およびブロック状溶岩の分布。1:スラブ状溶岩の卓越する溶岩ローブ;2:スラブ状およびラブリー状溶岩の卓越する溶岩ローブ;3:ラブリー状およびブロック状溶岩の卓越する溶岩ローブ;4:パホイホイ型溶岩の確認された露頭;5:パホイホイ型~遷移型が確認された露頭;6:遷移型が確認された露頭;7:遷移型~アア型が確認された露頭;8:アア型が確認された露頭。

Page 7: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─103 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

al., 1999; Kauahikaua et al., 2003; Hon et al., 2003など)。

このうち,(2)は流下途中におけるパホイホイ型からア

ア型への変化はみられず,噴出時から溶岩表面形態に差

があったらしいこと,(3)は急斜面でアア型へと変化す

るわけではないこと,などから否定される。全岩主化学

組成に違いがみられないことから(1)も考えにくい。

以上のように,異なる表面形態を有する溶岩の全岩化学

組成に違いがみられないことから,異なる表面形態をも

たらした要因のうち最も可能性が高いのは(4)の噴出

率の違いであると考えられる。

9 議 論

(1)溶岩丘の成因

溶岩丘は4~6度程度の緩斜面からなり,3~4枚ほど

の溶岩ローブから構成される。溶岩ローブの表面には大

小の凹凸地形が発達し,バルーン状トウやテュムラス,

溶岩小丘などの,様々なサイズの溶岩膨張(lava infla-

tion)を反映した構造が発達している。これらの溶岩ロー

ブや,その集合体である溶岩丘は,溶岩膨張により形成

されたものである可能性が高い。

(2)溶岩の噴出プロセス

伊豆大島火山安永溶岩の噴出プロセスは,以下のよう

なものであったと推定される。

安永6年7月から翌安永7年1月まで6ヶ月あまり続い

た噴火によって三原山火砕丘が形成された後,安永7年

3月頃から三原山火砕丘北麓から溶岩の流出が始まり,

パホイホイ溶岩が北東部の中の沢や蜂の尻方面にまで到

達した。一時小康状態となった後,8月下旬から再び噴

火が激しさを増し,9月18日には激しい噴火により,三

原山火砕丘南麓からカリフラワー・アア溶岩を主体とす

る溶岩が流出し,カルデラ壁を越えて,南西の赤沢を流

下した。9月27日には,三原山火砕丘北麓から流出した

アア溶岩がゴミ沢を流下し,斜面を下って現在の動物公

園付近で海岸に到達し,海に流入して110mほど海を埋

め立てた。やがて噴出する溶岩は遷移型に変化し,最後

にパホイホイ型が流出した。これらの溶岩は,推定噴出

口から3kmほどのところで停止しており,海岸までは

到達しなかった。噴出口から離れた場所のパホイホイ型

溶岩や遷移型溶岩では,スラブ状溶岩が卓越している。

最後のパホイホイ型溶岩の流出にともなって,噴出口付

近に溶岩膨張によって盾状のパホイホイ溶岩丘が形成さ

れた。

溶岩はすべてSiO2が53wt.%のほぼ同一化学組成の玄

武岩であり,溶岩の表面形態は全岩化学組成とは無関係

である。また,パホイホイ型溶岩が途中でアア型溶岩に

変化した証拠も認められず,遷移型~アア型溶岩が噴出

口近くからすでにみられることを考慮すると,中間型溶

岩やアア型溶岩が最初からこうした表面形態の溶岩とし

て流出した可能性が高い。すなわち,全岩化学組成のと

ころで結論づけたように,パホイホイ型とアア型の違い

は噴出率の違いに原因するものと思われる。これが事実

であるとすると,三原山火砕丘の南北両噴出口からアア

型溶岩が噴出し一部は海岸にまで到達した安永7年9月

の噴火は,噴出率の高い激しくて規模の大きな噴火で

あったことが考えられる。これに対してパホイホイ型溶

岩が卓越する安永7年3月の噴火は噴出率が低い比較的

穏やかなものであった可能性が強い。また,三原山火砕

丘北麓からの安永7年9月以降の噴火は,最初に噴出率

の高い噴火が起きてアア型溶岩が流出し,その後噴出率

が低下するとともに遷移型からパホイホイ型へと変化し

ていったものと考えられる。最後には溶岩の穏やかな流

出によって溶岩膨張の卓越する噴火となり,噴出口付近

にパホイホイ溶岩丘が形成されて,一連の溶岩噴出活動

は終了したものと推定される。

10 まとめ

(1) 伊豆大島火山安永溶岩は,三原山北麓噴出口付近の

溶岩丘,北東側溶岩流,南側溶岩流からなる。この

うち,北東側溶岩流の一部は海岸にまで到達し海に

流入しており,南側溶岩流はカルデラ壁を越えてい

る。

(2) 緩やかな傾斜をもつ盾状溶岩丘は複数の溶岩ローブ

から構成され,パホイホイ型溶岩からなる。溶岩丘

にはバルーン状トウ,テュムラス,溶岩小丘などの

59

表1 安永溶岩の異なる表面形態を有する溶岩の全岩主化学組成(無水100%に再計算)。1:溶岩丘を形成するパホイホイ型溶岩;2:パホイホイ型溶岩流;3:遷移型溶岩流;4:アア型溶岩流。

1 2 3 4

SiO2 53.30 53.36 53.28 53.30

TiO2 1.30 1.30 1.28 1.30

Al2O3 14.06 13.94 14.05 14.09

FeO* 14.18 14.20 14.23 14.08

MnO 0.23 0.23 0.23 0.23

MgO 4.73 4.73 4.71 4.77

CaO 9.59 9.57 9.54 9.62

Na2O 2.06 2.10 2.11 2.06

K2O 0.44 0.47 0.46 0.45

P2O5 0.10 0.10 0.11 0.10

Page 8: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─104( )

溶岩膨張を示す構造が発達しており,溶岩膨張に

よって形成されたものと考えられる。

(3) 北東溶岩流は多数の溶岩ローブからなる。溶岩ロー

ブの表面形態は変化に富んでおり,パホイホイ型,

遷移型,カリフラワー・アア型,ラブリー・アア型,

ブロック型,スラブ状溶岩などがみられる。ラブ

リー・アア型,ブロック型,スラブ状遷移型,スラ

ブ状パホイホイ型溶岩は,噴出口から離れた場所で

卓越する。また,海岸にまで到達した溶岩はカリフ

ラワー・アア型溶岩である。

(4) 南西側溶岩流は主としてカリフラワー・アア型溶岩

からなる。

(5) 北麓噴出口から流出した溶岩は,安永7年3月のも

のがパホイホイ型,安永7年9月以降のものがアア

型→遷移型→パホイホイ型と変化している。これ

は,3月の噴火が噴出率の低い穏やかなものであり,

9月の噴火が噴出率の高い激しい噴火から噴出率の

低い穏やかな噴火へと移化していったことを示して

いるものと考えられる。噴出口近傍の溶岩丘は最末

期の噴出率の低い穏やかで溶岩膨張の卓越する噴火

によって形成された。

謝辞

アジア航測の千葉達朗氏からは赤色立体地形写真を提供し

ていただいた。地井三郎講師(日本大学文理学部)には,現

地で直接御教示をいただいた。元日本大学文理学部地球シス

テム科学科学生の林田啓資氏には一部のデータを提供してい

ただいた。東京大学地震研究所中田節也教授には XRF分析装置の使用を許可していただいた。荒牧重雄東京大学名誉教

授には XRF分析のご指導をいただいた。以上の方々に感謝の意を表したい。

60

Cashman, K. V., Thornber, C. and Kaquahikaua, J. (1999): Cooling and crystallization of lava in open channels, and the transition of pahoehoe lava to aa. Bull.Volcanol., 61, 306-323.

Hon, K., Kauahikaua, J., Denlinger, R. and Mackay, K. (1994): Emplacement and inflation of pahoehoe sheet flows: ob-servations and measurements of active lava flows on Kilauea Volcano, Hawaii. Geol. Soc. Amer. Bull., 106, 351-370.

Hon, K., Gansecki, C. and Kauahikaua, J. (2003): The transition from aa to pahoehoe crust on flows emplaced during the PuuOo-Kupaianaha eruption. U. S. Geol. Surv. Prof. Pap., 1676, 89-103.

一色直記(1984):大島地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1図幅),地質調査所,133p.

Kauahikaua, J., Sherrod, D. R., Cashman, K. V., Heliker, C., Hon, K., Mattox, T. N. and Jhonson, J. A. (2003): Hawaiian lava flow dynamics during the PuuOo-Kupaianaha erup-tion: a tale of two decades. U. S. Geol. Surv. Prof. Pap., 1676, 63-87.

Kilburn, C. R. J. (1990): Surfaces of aa flow fields on Mount Etna, Sicily: morphology, rheology, crystallization and scaling phenomena. In: Fink, J. (ed.) Lava flows and domes. Springer, Berlin, pp.263-280.

村山 磐(1979):日本の火山 II,大明堂,276p.Nakamura, K. (1964): Volcano-stratigraphic study Oshima Vol-

cano, Izu. Bull. Earthq. Res. Inst., Univ. Tokyo, 42, 649-728.

小幡涼江・海野 進(1999):富士火山北西山麓本栖湖畔の864年青木ヶ原溶岩の形態について.火山,44,201-216.

引用文献

Peterson, D. W. and Tilling, R.L. (1980): Transition of basaltic lava from pahoehoe to aa, Kilauea Volcano, Hawaii: field observations and key factors. J. Volcanol. Geotherm. Res., 7, 271-293.

Rowland, S. K. and Walker, G. P. L. (1987): Toothpaste lava: characteristics and origin of of a lava structural type tran-sitional between pahoehoe and aa. Bull.Volcanol., 49, 631-641.

Rowland, S. K. and Walker, G. P. L. (1990): Pahoehoe and aa in Hawaii; volumetric flow rate controls the lava structure. Bull. Volcanol., 52, 615-628.

高橋正樹・笠松 舞・松田文彦・杉本直也・籔中公裕・安井

真也・宮地直道・千葉達朗(2004):富士火山青木ヶ原玄武岩質溶岩の表面形態.日本大学文理学部自然研究所

研究紀要,39,175-198.高橋正樹・松田文彦・小見波正修・根本靖彦・安井真也・宮

地直道・千葉達朗(2005):富士火山青木ヶ原玄武岩質溶岩の全岩化学組成-分析値272個の総括-.日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要,40,73-99.

Walker, G. P. L. (1991): Structure by injection of lava under surface crust and origin of tumuli, lava rises, lava pits, and lava-inflation clefts in Hawaii. Bull. Volcanol., 53, 546-558.

Wentworth, C. K. and Macdonald, G. A. (1953): Structures and forms of basaltic rocks in Hawaii. U. S. Geol. Surv. Bull., 994, 1-98.

Wilmoth, R. A. and Walker, G. P. L. (1993): P-type and S-type pahoehoe: a study of vesicle distribution patterns in Ha-waiian lava flows. J. Volcanol. Geotherm. Res., 55, 129-142.

Page 9: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─105 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

61

写真 1:平坦な表面をもつパホイホイ・トウ(溶岩丘の末端部)。写真 2:平坦な表面をもつパホイホイ・トウ(溶岩丘の末端部)。写真 3:平坦な表面をもつパホイホイ型溶岩にみられる縄状構造(溶岩丘の末端部)。写真 4:テュムラスの傾動したパホイホイ型溶岩の表面にみられる縄状構造(溶岩丘)。写真 5:複数枚の薄い溶岩からなる層状のスポンジ型(Sタイプ)パホイホイ溶岩(溶岩丘)。多数の気泡の発達によりスポンジ

状にみえる。

写真 6:チューブ状トウからなる内臓型パホイホイ溶岩(溶岩丘)。写真 7:チューブ状トウが発達する内臓型パホイホイ溶岩(溶岩丘)。写真 8:バルーン状パホイホイ・トウ(溶岩丘)。写真 9:バルーン状パホイホイ・トウの集合体(溶岩丘)。写真10:ホルニトから流出した搾り出し溶岩。表面に縄状構造がみられる(溶岩丘)。写真11:表面に内臓型パホイホイ溶岩を有するホルニト(溶岩丘)。写真12:平滑な表面からなる斜面をもつテュムラス(溶岩丘)。写真13:複雑に割れたテュムラス(溶岩丘)。写真14:テュムラス(溶岩丘)。写真15:テュムラスから流出した搾り出し溶岩(溶岩丘)。搾り出し溶岩の表面に縄状構造がみられる。写真16:溶岩膨張によって割れたバルーン状トウから流出した搾り出し溶岩(溶岩丘)。表面に縄状構造が発達する。写真17:テュムラスから流出した搾り出し溶岩(溶岩丘)。写真18:遷移型溶岩(ペースト状パホイホイ)(溶岩丘)。写真19:テュムラスの断面に発達する縞状構造(溶岩丘)。写真20:縞状構造の拡大写真(溶岩丘)。気泡の発達する部分と緻密な部分が縞状構造を呈する。写真21:溶岩丘にみられる溶岩小丘。写真22:表面に凹凸のできた遷移型溶岩(北東側カルデラ内)。写真23:部分的に突起が形成された遷移型溶岩(北東側カルデラ内)。写真24:気泡の発達した突起が多数形成されている遷移型溶岩(北東側カルデラ内)。写真25:気泡の発達した突起が表面から分離して,クリンカー状の小岩塊の集合体となったカリフラワー・アア型溶岩(北東側

カルデラ内)。写真26:スラブ状パホイホイ型溶岩(北東側カルデラ内)。写真27:スラブ状遷移型溶岩(北東側カルデラ内)。写真28:ラブリー・アア型溶岩(北東側カルデラ内)。写真29:ブロック状アア溶岩(北東側カルデラ内)。写真30:パホイホイ型溶岩の断面(北東側カルデラ内)。写真31:パホイホイ型溶岩断面の表層部の拡大。表面近くに弱い柱状節理がみられ,つぶれた気泡が多数発達している。写真32:アア型溶岩の表面(海岸)。写真33:アア型溶岩の断面(海岸)。上部クリンカーは緻密な中心部から漸移するが,下部クリンカーと中心部の境界は比較的

明瞭である。写真34:アア型溶岩の側端部の断面(北東側カルデラ内)。緻密な中心部が周辺のクリンカー部へと漸移している。写真35:南側溶岩流の表面(南側カルデラ内)。クリンカー状小岩塊の集合体からなるアア型溶岩である。写真36:南側溶岩流表面の拡大。アア溶岩からなる。写真37:カルデラ壁を乗り越えて赤沢へ流下した南側溶岩の断面(南側カルデラ壁)。厚さ5mほどで主としてアア型溶岩からな

るが,一部に遷移型やパホイホイ型溶岩を交える。

Page 10: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─106( )62

Page 11: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─107 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

63

Page 12: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─108( )64

Page 13: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─109 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

65

Page 14: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─110( )66

Page 15: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─111 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

67

Page 16: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─112( )68

Page 17: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─113 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

69

Page 18: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─114( )70

Page 19: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

─ ─115 ( )

伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態

71

Page 20: 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態...Keywords: lava, pahoehoe, aa, eruption, Izu-Oshima volcano 伊豆大島火山安永玄武岩質溶岩の表面形態 Surface

御園生 裕介 ・高橋 正樹 ・安井 真也

─ ─116( )72