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財政制度等審議会 財政投融資分科会 説明資料 産業投資の管理運営に係る検討状況 (31年度編成における対応事項について) 平成30年12月19日 財務省理財局 資料1

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財政制度等審議会 財政投融資分科会

説明資料

産業投資の管理運営に係る検討状況

(31年度編成における対応事項について)

平成30年12月19日

財 務 省 理 財 局

資料1

Page 2: 財政制度等審議会財政投融資分科会 説明資料 産業 …...財政制度等審議会財政投融資分科会 説明資料 産業投資の管理運営に係る検討状況

<目 次>

1.既往出資のレビュー

2.産投出資に係る機関との取決め

3.官民ファンドの効率化等に向けた対応のフォローアップ

4.産業投資の予算・執行管理について

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1-1.既往出資のレビュー

本年6月の財投分科会において、「既往出資についてのレビューを実施し、31年度計画にできる限り反映すること」とされたところ。

○ 31年度編成過程において既往出資のレビューを行い、(株)日本政策金融公庫及び(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構について、31年度計画に反映。

○ 来年度以降においても、引き続き、既往出資のレビューを実施し、活用等についての検討を行い、財投計画に適切に反映していくこととする。

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1-2.既往出資のレビュー((株)日本政策金融公庫)

(株)日本政策金融公庫における中小企業等向けの資本性劣後ローンについては、期限前弁済による回収金の取扱いが整理されていなかった(国民:2億円、中小:140億円)。31年度より、当該回収金を新規案件の貸付原資として活用することとし、同額分を減額。

資本性劣後ローンの概要

産投

日本政策金融公庫

中小企業・小規模事業者

資本性劣後ローン

出資

・ 新規事業や企業再建等に取り組む中小企業等の財務体質強化のために供給する資本性資金。・ 元本の期限一括償還、無担保・無保証人、業績連動型金利等を条件として、金融検査上、資本とみなせる劣後

ローンであり、これを呼び水として、民間金融機関がシニアローンを提供。

期限前弁済による回収金

区 分期限前弁済による回収金(30上期までの合計額)

国民一般向け業務 2億円

中小企業者向け業務 140億円

期限前弁済による回収金の取扱いが整理されていなかった。

31年度計画(案)

期限前弁済による回収金を新規案件の貸付原資として活用することとし、同額分を減額。

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1-3.既往出資のレビュー((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC))

○ JOGMECは、石炭・金属鉱物・地熱の3分野の開発段階における事業に対して債務保証による支援を実施しており、保証履行に備えるため産投出資を活用。

○ 現在、①石炭・金属鉱物の2分野と②地熱分野の債務保証について、それぞれ履行原資(基金)を積み立てているが、3分野の債務保証の履行原資を一体として確保することで、追加的に必要な基金積立額35億円を抑制することができる。これにより、31年度計画において追加出資を行わないこととする。

JOGMEC

出資

債務保証料

追加の積立をせずに、当面の債務保証案件に対応可能となるため、追加出資を行わないこととする。

産投

金融機関 民間企業

融資

地熱【基金積立額】

121億円

31年度より、3分野の債務保証の履行原資を一体として確保することで、追加的に必要な基金積立額35億円を抑制。

債務保証

石炭・金属鉱物【基金積立額】

405億円

31年度計画(案)

※基金積立額:30年11月末時点

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2.産投出資に係る機関との取決め

これまでの財投分科会において、産投出資に際しては、機関の機動性・裁量的自由度等を確保しつつ、出資者(産投)としてのガバナンス等を担保するため、機関との間で事前に取決めを行っておくことが議論されたところ(DBJ、鉄道・運輸機構)。

こうした議論を踏まえ、両機関(DBJ、鉄道・運輸機構)については、 30年度末までに、機関との間で上記の取決めを行う、 当該取決めに基づき、機関は必要に応じて31年度産投出資の払込申請を行い、産投

からの出資を受ける、 当該取決めの内容については、31年度財投分科会において速やかに報告し、適切に

フォローアップを行う、こととしてはどうか。

【取決め事項の例】・投資期間・投資額・収益目標・収支見込額・エグジットの基本的考え方

・モニタリング・レポーティングの方法等・出資実行条件・不用資産の返還等

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3-1.官民ファンドの効率化等に向けた対応のフォローアップ

本年6月の財投分科会において、「官民ファンドについて、各機関及び主務省が連携・統合等を含めた効率化等に向け、適切に対応しているかフォローアップすること」とされたところ。

○ 31年度編成過程等において、CJ機構、A-FIVE、JOIN、JICTの4ファンドについて、現状を確認の上、今後の更なる取組の実施を求めたところ。

○ 各官民ファンド及び監督官庁は累積損失解消のための数値目標・計画を策定し、31年4月までに公表する。また、当該目標・計画と実績との乖離を検証し、乖離が認められる場合には、31年度央又は32年5月までに改善目標・計画を策定・公表する。

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3-2.新経済・財政再生計画 改革工程表2018(案)

出典:平成30年12月19日 第24回 経済・財政一体改革推進委員会資料

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3-3.官民ファンドの効率化等に向けた対応のフォローアップ

機関名 フォローアップ

CJ機構

CJ機構は、以下の新たな取組みにより、収益構造の改善を進めることとしている。

〔投資方針の見直し〕①キャッシュフロー投資重視 ②現地パートナー重視③グローバルシナジー重視 ④投資手法の多様化⑤ポートフォリオ最適化

〔投資態勢及びプロセスの見直し〕○自ら案件組成ができる投資人材の採用や、経営幹部による案件発掘など、態勢の強化。

○候補案件の発掘や投資案件について、定期的(毎週)に各担当者から進捗状況を経営幹部に報告する業務プロセスを新たに構築。

○上記の新たな投資方針の明確化等による訴求力の強化。

A-FIVE

A-FIVEは、案件組成の強化を通じた投資実績額の積上げとともに、収益性の確保も重要であり、以下のような取組みを求めた。

【取組みの例】○地銀をはじめ関係機関との意見交換を通じ、小規模案件が多数であることを前提とした、コストに見合った案件組成のための連携強化。

(参考1)サブファンド出資の手続きの迅速化等を検討。(参考2)農水省及び機構による地銀との意見交換の実施状況・30年11月7日全国地方銀行協会の理事・監事行の役員クラスほか・30年11月8日第二地方銀行協会の理事・監事行の役員クラスほか

○投資判断プロセスやモニタリングのあり方について検証し、案件採択時における事業計画等の精査や、モニタリング時における業況判定・経営支援をより適切に行えるよう改善。

機関名 フォローアップ

JOIN

JOINは、支援対象事業に特有のリスクが存在するため、以下のような取組みを求めた。

【取組みの例】○主務省が海外案件の把握、相手国政府との交渉等を行うとともに、海外案件に専門性を持つ他機関と連携して投資案件組成を強化。

○海外におけるインフラ案件の把握等のため、主務省において、関係部署との連携を強化。

○収益性の確保が図られるよう、事業が有するリスクを勘案しつつ案件組成に取り組む。

○投資回収に長期間を要するため、出資事業の進捗状況などのモニタリングを徹底。

JICT

JICTは、支援対象事業に特有のリスクが存在するため、以下のような取組みを求めた。

【取組みの例】○主務省が海外案件の把握、相手国政府との交渉等を行うとともに、海外案件に専門性を持つ他機関と連携して投資案件組成を強化。

○海外におけるインフラ案件の把握等のため、主務省において、関係部署との連携を強化。

○収益性の確保が図られるよう、事業が有するリスクを勘案しつつ案件組成に取り組む。

○29年度は過去に実行した融資から一定の収入を得ているものの、出資の減損処理により多額の損失を計上。今後は出資の毀損を生じさせないよう、出資した事業の進捗状況などのモニタリングを徹底し、リスク管理態勢を強化。

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4.産業投資予備費について

「産業投資の管理運営について」(財政制度等審議会財投分科会(30年6月22日))

対応(案)

○ 財政制度等審議会財投分科会の指摘を踏まえ、政策的に必要な投資案件が発生した場合に対応できる

よう、31年度予算において産業投資予備費(700億円)を計上する。

○ 産業投資予備費を使用する際は、財政投融資計画の変更が必要であり、予め、財政制度等審議会財投

分科会の審議を経る(長期運用法第5条)。(注) 従来の予備費と同様、当初の財政投融資計画には計上しない。

○ 産業投資予備費の使用は、産業投資出資が現存する機関に対する追加出資に限ることとする。

○ (リスクマネーの供給を行う産業投資においては、歳出は政策的必要性で決まる一方、歳入は投資収

益等に依っているため)投資の所要額と財源としての投資収益等が一致しない場合があることから、産

業投資の予算・執行管理についても検討すべきではないか。

予備費について

○ 予備費は、予見し難い予算の不足に充てるため歳入歳出予算に計上することができる(財政法第24条)。

○ 予備費の使用にあたっては、閣議決定と国会の事後承認が必要(同法第35・36条)。

○ 財政投融資特別会計投資勘定においては、従来から予備費を計上(30年度:1億円)。

※ 財政投融資特別会計投資勘定の31年度当初予算において、一般会計繰入4,321億円を計上。

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財政制度等審議会 財政投融資分科会

説明資料

預託金利・貸付金利を巡る現状と課題

平成30年12月19日

財 務 省 理 財 局

資料2

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<目 次>

1.最近の国債流通利回りの動き

2.預託金利・貸付金利の水準(平成30年12月12日以降適用)

3.財政融資資金預託金の状況

4.マチュリティ・ギャップ

5.論点及び見直しの方向性

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1.最近の国債流通利回りの動き

預託⾦利・貸付⾦利は国債流通利回りに基づき算出しているところ、近年の低⾦利環境の影響により、基準となる国債流通利回りが低下(短期ではマイナスとなる状態が継続)。

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

0 5 10 15 20 25 30 35 40

(%)

(年)

国債のイールドカーブ(平成29年度末時点)

平成29年度末

(参考)平成28年度末

(参考)平成27年度末

(出所)日本相互証券株式会社

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2.預託金利・貸付金利の水準(平成30年12月12日以降適用)

(注1)平成30年12月12日以降の適用金利(注2)財政融資資金法施行令(平成12年6月23日政令第360号)第1条において、期限前払戻の預託金に対して付する利子の利率は、年0.01%を下回らないこととされており、

これが預託金利・貸付金利の実質的な下限利率となっている。

基準となる国債流通利回りの低下により、預託⾦利・貸付⾦利は短期年限の広い範囲の利率が下限(0.01%)で同率となり、預託者が流動性リスクの低い短期預託を⾏う誘因の⼀つとなっている。

財政融資資⾦は原則として⻑期の貸付であり、短期預託に対応する短期運⽤先がないことから、逆ざやとなりやすい構造となっている(現在、⽇銀指定預⾦⾦利は無利息)。

①国債利回り ②現行預託金利 ③現行貸付金利(満期一括)

年限 利回り 預託期間 利率 貸付期間 利率

1月以上 3月未満

0.01%

3月短国 -0.211% 3月以上 6月未満6月短国 -0.175% 6月以上 1年未満1年短国 -0.147% 1年以上 2年未満2年債 -0.140% 2年以上 3年未満

3年以上 4年未満4年以上 5年未満

5年債 -0.121% 5年以上 6年未満 5年

0.01%6年以上 7年未満 5年超 6年以内7年以上 8年未満 6年超 7年以内8年以上 9年未満 7年超 8年以内9年以上 10年未満 0.02% 8年超 9年以内 0.02%

10年債 0.074% 10年以上 11年未満0.1%

9年超 10年以内 0.08%11年以上 12年未満 10年超 11年以内

0.2%12年以上 13年未満

0.2%11年超 12年以内

13年以上 14年未満 12年超 13年以内0.3%

14年以上 15年未満0.3%

13年超 14年以内15年以上 16年未満 14年超 15年以内

0.4%16年以上 17年未満

0.4%15年超 16年以内

17年以上 18年未満 16年超 17年以内0.5%

18年以上 19年未満0.5%

17年超 18年以内19年以上 20年未満 18年超 19年以内

0.6%20年債 0.583% 20年以上 21年未満 0.6% 19年超 20年以内

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3.財政融資資金預託金の状況

平成24年度末 平成26年度末 平成29年度末

預託金

うち5年未満()内は割合

21.6兆円(47.9%) 22.4兆円(54.4%) 18.8兆円(59.0%)

残高計 45.4兆円 41.2兆円 31.8兆円

(参考)貸付金(5年以内) 18.6兆円 17.8兆円 10.6兆円

短期年限の預託⾦利が下限(0.01%)まで低下する⼀⽅、短期年限の預託⾦残⾼の割合は増加。 これに対し、貸付⾦の⼤半は期間5年以上での⻑期貸付であるため、財政融資資⾦全体として、マチュリティ・ギャップ(負債ギャップ)を発⽣させる要因の1つとなっている。

47.9% 48.3%54.4% 53.7%

59.8% 59.0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

H24.4 H24.10 H25.4 H25.10 H26.4 H26.10 H27.4 H27.10 H28.4 H28.10 H29.4 H29.10 H30.4 H30.100.0%

0.1%

0.2%

0.3%

0.4%預託金残高(5年未満の割合) 預託金残高(5年以上の割合) 預託金利(5年以上6年未満)

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4.マチュリティ・ギャップ

マチュリティ・ギャップがある場合、資産の再運⽤と再調達の時期にズレがあるため、⾦利変動リスクが⽣じることから、ギャップの拡⼤を抑制する必要。

年度

(貸付金の回収など)

(財投債・預託金の償還など)

マチュリティ・ギャップ(負債ギャップ)

債務超過分について再調達

調達金利が上昇すると逆ざやが生じる可能性

マチュリティ・ギャップ(資産ギャップ)

回収超過分について再運用

運用金利が低下すると逆ざやが生じる可能性

※マチュリティ・ラダーのイメージ図

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5.論点及び見直しの方向性

論点

⼀部国債の利回りがゼロ⼜はマイナスとなる超低⾦利環境が⻑期化する中、現⾏の預託⾦利・貸付⾦利の下限をさらに引き下げることが必要ではないか。

下限利率を⼀律に適⽤するのではなく、預託者に⾦利の状況に応じた適切な預託期間の設定を促すよう、⾦利設定⽅法を⾒直してはどうか。

財投機関による適切な借⼊額の設定を促すために、預貸同率⾦利とならないよう端数処理⽅法を⾒直してはどうか。

預託⾦利 貸付⾦利

下限利率

下限利率を0.001%とする(現⾏は0.01%)

端数処理前で0.01%未満となる年限についても、国債イールドカーブに基づいた⾦利差を設定※端数処理前で0.01%以上となる年限は現⾏どおり

端数処理 表⽰桁数未満を原則切り捨て 表⽰桁数未満を原則切り上げ

⾒直しの⽅向性

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