鉄筋コンクリート造壁付き部材からなる 建築物の強度・剛性...
TRANSCRIPT
前田建設工業、安藤・間、熊谷組、佐藤工業戸田建設、西松建設、フジタ名古屋大学 勅使川原教授、中村助教東京大学地震研 楠准教授共同研究:建築研究所
平成26年度建築基準整備促成補助金事業
鉄筋コンクリート造壁付き部材からなる建築物の強度・剛性・変形能に関する調査
S5 構造スリットを設けない有壁鉄筋コンクリート造
建築物の構造計算の合理化に資する検討
-調査全体概要-
H25年度部分架構実験の結果から、壁付き部材からなる柱、梁接合部の性状が架構全体の挙動に影響を及ぼす
RC造の非耐力壁(開口周比>0.4)が、柱、梁部材に相応の強度、剛性、変形能の影響を及ぼす。
調査の概要
調査の背景
近年、壁付きの柱、梁部材単体の構造性能に関する知見は蓄積されてきているが、架構としての接続部、境界条件による影響を含めた性能の確認が必要
1
調査の目的
(1)開口位置、スパン、階高などをパラメータとする部材実験
(2)部材モデル提案のための検討
①フレーム解析
②FEM解析
(3)既往文献調査
調査の内容
部分架構を想定した部材実験を実施して架構を想定した応力状態における部材の強度、剛性及び変形能に関する検討を行い、成果をとりまとめる。
2
非耐力壁付き柱梁接合部の加力実験
目的
非耐力壁付き接合部の破壊性状と各種パラメータの関係を明らかにする。
写真 既往の架構実験(H25試験体)の柱梁接合部破壊性状
柱梁耐力比 1.0 ~ 1.9 (4水準)
壁厚 50mm,80mm(2水準)
腰壁横筋の定着の有無
袖壁付き柱の配筋
柱反曲点高さ
壁厚100mm 壁厚60mm
検討パラメータ
3
4
1135
250 250250
1135
600
520
250
170
350
80
250
160
80
220
320
320
290 290250 250 250
3600
320
320
220
2400
ロード セル
腰壁端部筋
2-D6
腰壁縦横筋
2-D4@60
加力位置
ロード セル
ピン柱
ピン柱
梁主筋 4-D13
梁あばら筋
2-D6@60
垂壁端部筋
2-D6
垂壁縦横筋
2-D4@60
柱主筋 8-D13
柱帯筋
2-D6@60
袖壁端部筋
2-D6
袖壁縦横筋
2-D4@60
試験体配筋図
試験体No.3S=1:2.5
H25年度比 スパン1.2倍
試験体一覧(全8体)
パラメ ータ : 柱梁耐力比
パラメ ータ :壁厚 t
パラメ ータ :反曲点高さ
t= 80mm
上柱・ ・ 1800mm下柱・ ・ 600mmt= 50mm
Mcj
/ Mbj= 1.0 M
cj/ M
bj= 1.3 M
cj/ M
bj= 1.5 M
cj/ M
bj= 1.8
No.1 No.2 No.3 No.4
No.6 No.7 No.5 No.8
パラメ ータ :柱主筋・ 袖壁縦筋
柱主筋D13・ 袖壁縦筋D4
柱主筋D10・ 袖壁縦筋D6
パラメ ータ :横筋定着
定着有り
定着無し
5
開口の位置が
端部に近い
開口の位置が
端部に近い
階高1.5倍
加力方法
正加力時 負加力時
片持ち梁形式の正負交番繰返し載荷
軸力:柱断面の軸力比η=0.10
正負で反曲点高さが異なる
12001800 1800
1200+α
12001800 1800
1200 -α
6
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
- 5/100 - 4/100 - 3/100 - 2/100 - 1/100 0 1/100 2/100 3/100 4/100 5/100
節点
モー
メン
ト(実
/計)[
]
相対変形角[rad]
No.1(R1.0)
No.2(R1.3)
No.3(R1.6)
No.4(R1.9)
(節点モーメントの実験値)/(梁
曲げ降伏時節点モーメントの
計算値) の最大値 No.1:0.98No.2:1.04No.3:1.06No.4:1.08
パラメータ:柱梁耐力比
No.1 No.2 No.3 No.4
柱崩壊 梁崩壊 梁崩壊柱崩壊と梁崩壊の混合
柱梁耐力比が1.0に近い試験体では,柱崩壊型となるのに対し,柱梁耐力比が1.6を超える試験体では梁崩壊型となる
実験結果
7
実験結果 パラメータ:壁厚
No.3(壁厚80mm)
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
- 5/100 - 4/100 - 3/100 - 2/100 - 1/100 0 1/100 2/100 3/100 4/100 5/100
節点
モー
メン
ト[k
Nm
]
相対変形角[rad]
No.3(R1.6)
No.5(R1.6 t50)
実験最大モーメントNo.3(R1.6):332kNm(1/104)No.5(R1.6 t50):225kNm(1/145)
No.5(壁厚50mm)
壁厚が薄いほど最大耐力は小さく,それを示す変形角も小さくなることが分かった。
梁崩壊梁崩壊
8
実験結果 パラメータ:横筋定着
No.1(定着有り) No.6(定着無し)
320
320
220
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
- 4/100 - 3/100 - 2/100 - 1/100 0 1/100 2/100 3/100 4/100
節点
モー
メント
[kN
m]
相対変形角[rad ]
No.1(R1.0)
No.6(R1.7 S)
No.1(R1.0)実験最大モーメント:228kNm(1/103)No.6(R1.7 S)実験最大モーメント:201kNm(1/105)
接合部周辺配筋 No.6
-250
-150
-50
50
150
250
- 5/100- 4/100- 3/100- 2/100- 1/1000 1/100 2/100 3/100 4/100 5/100
節点
モー
メン
ト[k
Nm
]
相対変形角[rad]
No.6の履歴特性:スリップ型
-350
-250
-150
-50
50
150
250
350
- 4/100- 3/100- 2/100- 1/100 0 1/100 2/100 3/100 4/100
節点
モー
メン
ト[k
Nm
]
相対変形角[rad]
No.1の履歴特性:紡錘型
梁崩壊梁崩壊
9
10No.3(柱主筋D13,壁端部筋D6) No.8 (柱主筋D6,壁端部筋D10)
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
- 5/100 - 4/100 - 3/100 - 2/100 - 1/100 0 1/100 2/100 3/100 4/100 5/100
節点
モー
メン
ト[k
Nm
]
相対変形角[rad]
No.2(R1.3)
No.7(R1.3 W10)
No.2(R1.3)実験最大モーメント:315kNm(1/105)No.7(R1.3 W10)実験最大モーメント:325kNm(1/104)
実験結果 パラメータ:袖壁付き柱配筋
梁崩壊梁崩壊
袖壁縦筋を太く,柱主筋を細くすることで,梁崩壊型が顕著に見られる
11No.3(上柱反曲点高さ1200mm) No.8 (上柱反曲点高さ1800mm)
実験結果 パラメータ:反曲点高さ
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
- 5/100 - 4/100 - 3/100 - 2/100 - 1/100 0 1/100 2/100 3/100 4/100 5/100
節点
モー
メン
ト[k
Nm
]
相対変形角[rad]
No.3
No.8
No.3実験最大モーメント
No.8実験最大モーメント
実験最大モーメントNo.3:332kNm(1/104)No.8:333kNm(1/65)
梁崩壊 柱崩壊
柱の反曲点を高くすることにより,梁崩壊型が柱崩壊型へと移行する
12
まとめ
非耐力壁付き接合部の破壊性状と各種パラメータの関係を明らかにするための実験を実施し,下記の知見を得た
いずれの試験体も,非耐力壁端部が圧潰することで最大耐力を迎え,耐力低下した。
非耐力壁を含む柱梁耐力比を1.6以上とすることで,明快な梁崩壊型となる
壁厚が薄い場合には,壁の損傷が顕著になり,最大耐力以降の耐力低下が比較的激しくなる。
腰壁・垂壁横筋の定着を切ることで,明快な梁崩壊型となる一方で,部材端部に損傷が集中し,履歴特性がスリップ型となる。
袖壁端部筋を太くすることで,袖壁の損傷を抑制し,明快な梁崩壊型へ誘導することが可能となる。
各層の反曲点高さが高くなることで,柱崩壊型に移行する。
今後の検討課題
鉄筋のひずみや,接合部の変形性状とパラメータの関係について考察する。
非耐力壁の剛域の評価方法について,実験結果を基に考察する。
H25年度 部分架構実験結果の検討 (1)フレーム解析
解析の目的
壁付き架構のフレームモデルによる評価について検討
写真 既往実験(H25)試験体
No.1試験体(R=1/50) No.2試験体(R=1/25)
検討対象:既往実験(H25)壁付き架構試験体・No.1試験体(t=100、ダブル配筋)・No.2試験体(t= 60、シングル配筋)
崩壊系:2階の層崩壊 崩壊系:全体崩壊
13
1,5
00
750
1,6
62
.5
3,5003,500
解析条件
解析ソフト:市販RESP-F3、 解析条件:2次元・非線形増分解析・柱、梁部材を線材に置換・接合部は剛域とし、せん断変形を考慮しない・ドア開口両側の方立て壁は同断面の柱部材としてモデル化・非耐力壁は断面性能、復元力特性、危険断面位置、剛域長さに考慮・壁付き部材の復元力特性:2007年版 構造関係技術基準解説書
図 フレームモデル
危険断面位置:壁端部位置
剛域長さ:危険断面位置から部材せい
の1/4、接合部側に入った位置
14
解析モデルと危険断面位置,剛域長さの設定
No.1試験体 No.2試験体
モデル-1:架構の初期状態を想定
モデル-1A:架構の終局状態を想定→2階柱脚:梁フェイス位置
モデル-2:架構の初期状態を想定
モデル-2A:架構の終局状態を想定→1,2階柱脚:梁フェイス位置
15
(×10-3 rad)
(kN
)
全体変形角
層せ
ん断
力
0 5 10 15 20
500
1000
1500
(×10-3 rad)全体変形角
0 10 20 30 40
荷重ー変形関係
図 荷重-変形角関係の比較
・いずれの解析モデルも大梁端部、方立て壁端部すべてに降伏ヒンジが発生した。
・終局状態を想定したモデル(1A、2A)は、初期状態を想定したモデル(1、2)に対して架構の耐力が下回った。
・モデル-1Aは1/100、モデル-2Aは1/200まで実験結果と比較して架構の耐力を安全側に評価した。
・壁のないラーメン架構を想定した解析モデルは、No.2試験体の終局時の架構の耐力と概ね一致した。
No.1試験体
モデル-1
モデル-1A
No.2試験体
モデル-2A
モデル-2
ラーメン架構モデル
16
架構の剛性
・モデル-1、1Aの1/2000での等価剛性は、実験結果に対する割合が1.15を上回る評価となり、1/1000では1.08,0.95と実験結果に近い数値となった。
・モデル-2では1/2000、1/1000ともに実験結果に対する割合が1.26を超える評価となったが、モデル-2Aでは概ね実験結果に相当する計算値となった。
表 架構の等価剛性
試験体名
モデル名
No.1試験体 10.055 8.084
モデル-1 12.260 (1.25) 8.704 (1.08)
モデル-1A 11.537 (1.15) 7.677 (0.95)
No.2試験体 7.666 5.339
モデル-2 9.568 (1.26) 6.844 (1.28)
モデル-2A 7.811 (1.02) 5.639 (1.06)※実験結果は正加力時と負加力時の平均値を表す
※( )内数値は実験結果との比率を表す
等価剛性(×105 kN/rad)
R=1/2000 R=1/1000
17
層の変形割合
図 各階の層間変位割合の比較
(×10-3 rad)全体変形角
δ1/(δ
1+δ
2)
0 5 10 15 20
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
(×10-3 rad)全体変形角
δ1/(δ
1+δ
2)
δ2/(δ
1+δ
2)
0 10 20 30 40
No.1試験体
モデル-1
モデル-1A
No.2試験体
モデル-2A
モデル-2
・2階の層崩壊を生じたNo.1試験体ついて、架構の初期状態を想定したモ
デル-1では、1/200以降において2階の層間変位を過少に評価した。
・終局状態を想定したモデル-1Aでは、1/100までは1階の層間変位が過少
評価となったが、1/100以降において概ね一致する結果となった。
・全体崩壊を生じたNo.2試験体について、モデル-2、2Aともに概ね実験
結果を近似する評価となった。
18
フレーム解析のまとめ
部分架構実験の試験体2体について、架構の初期状態、終局状態を想定したフレームモデルを設定し、2次元非線形増分解析を実施した結果を以下にまとめる。
1.架構の耐力は、架構の終局状態を想定したモデルの方が、初期状態のモデルよりも低く評価された。また、壁厚により架構の耐力評価に差異が生じた。
2.全体崩壊を生じたNo.2試験体では、最大耐力以降の架構の耐力低下が顕著に見られた。
3.架構の剛性は、解析モデルの方が実験結果の等価剛性よりも高く評価される傾向が見られた。
19
4.架構の最大耐力が実験値よりも低く評価されたこと,および層の変形割合について実験値に近似する結果が得られたことから、実設計では終局状態を想定したフレームモデルの設定が望ましい。
架構の終局状態については今後推定方法を検討し、壁付き部材接合部の要素実験等を基に検証する必要がある。
今後の検討課題
20
目的
2層2スパン架構実験のFEM解析による再現性の確認
非耐力壁付き架構の危険断面位置についての検討
No.1 No.2 No.3
No.4 No.5 No.6
360kN 360kN720kN
X
Y
2層2スパン架構試験体(H25) FEM解析モデル
H25年度 部分架構実験結果の検討 (2)FEM解析
21
εεcr
σt
σ[N/mm2]
εm
σm
0.001Es
Es
σy
ε
σ[N/mm2]
応力ひずみ関係
(ⅰ)コンンクリート (ⅱ)鉄筋
圧縮側 引張側
モデル図
σm=0.6-σt/180
εm=0.0016-0.024・Pw
No.1 No.2 No.3
No.4 No.5 No.6
360kN 360kN720kN
Bi-linearモデル
加力方向
・せん断補強筋,壁筋:埋め込み鉄筋
・コンクリートと鉄筋の付着:完全付着
・スタブ最下面:完全固定
・コンクリート:四辺形要素
・柱梁主筋,開口補強筋:線材要素
ヤング係数を0.80倍とした。
X
Y
σ[N/mm2]
ε
σB修正Ahmadモデル
εc(=2300~2400μ)
材料特性は材料試験値を用いた
解析モデル
22
モデル図
No.1 No.2 No.3
No.4 No.5 No.6
360kN 360kN720kN
加力方向
・中央点(黄色点)のX方向に強制変位を与える。
・黄色四角に囲まれたその他の点は,中央点と等距離を保つ様に変位を追従させる。
X
Y
・外柱:中柱=1:2の割合で水平力が作用するよう、強制変位量を決め,各柱に与える。
・軸力:柱コンクリート最上面に等分布荷重
外柱=360kN 中柱=720kN
・水平力:柱に強制変位を与えて載荷
・変位計測点:実験と同様,右図に示す6箇所
・1層変形=No.1~No.3の平均値
・2層変形=No.4~No.6の平均値
・全体変形角を3階梁芯位置の水平変位をスタブ天端からの高さで除した値とし,変位制御による一方向載荷
詳細は資料下部
強制変位作用位置の詳細
変更点
解析モデル
23
壁厚100mm試験体
壁厚60mm試験体
0 2 4 60
500
1000
1500
せん
断力
[kN
]
全体変形角[1/1000 rad]
包絡線(実験)
解析結果
実験最大耐力:1605kN
解析最大耐力:1560kN
0 2 4 60
500
1000
1500
せん
断力
[kN
]
2層層間変形角[1/1000 rad]
包絡線(実験)
解析結果
0 2 4 60
500
1000
1500
せん
断力
[kN
]
1層層間変形角[1/1000 rad]
包絡線(実験)
解析結果
0 2 4 60
500
1000
1500
せん
断力
[kN
]
全体変形角[1/1000 rad]
包絡線(実験)
解析結果
解析最大耐力:1016kN
実験最大耐力:1009kN
0 2 4 6 80
500
1000
1500
せん
断力
[kN
]
2層層間変形角[1/1000 rad]
包絡線(実験)
解析結果
0 2 4 60
500
1000
1500
せん
断力
[kN
]1層層間変形角[1/1000 rad]
包絡線(実験)
解析結果
加力方向
3階腰壁・2階袖壁・腰壁隅部でコンクリート圧壊
3階腰壁・2階腰壁・1階袖壁・腰壁隅部でコンクリート圧壊
荷重変形関係の比較
初期剛性や最大耐力は再現されたが,ひび割れ後の剛性低下は再現されなかった
24
ひび割れ図(作用水平力1300kN)
FEM解析 実験
ひび割れ図(最大耐力時)
FEM解析 実験
破壊性状の比較(No.1試験体,t=100mm)
25
−2500 0 2500−1000
0
1000
2000
中柱芯からの距離 [mm]
ひずみ
[μ]
−2500 0 2500−1000
0
1000
2000
中柱芯からの距離 [mm]
ひずみ
[μ]
−2500 0 2500−1000
0
1000
2000
中柱芯からの距離 [mm]
ひずみ
[μ]
−2500 0 2500−1000
0
1000
2000
中柱芯からの距離 [mm]
ひずみ
[μ]
1000[kN]1300[kN]最大耐力
1000[kN]
1300[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
1000[kN]1300[kN]最大耐力
1000[kN]
1300[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
600[kN]800[kN]最大耐力
600[kN]
800[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
600[kN]800[kN]最大耐力
600[kN]
800[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
2階梁・上端筋
壁厚100mm試験体(No.1) 壁厚60mm試験体(No.2)
2階梁・上端筋
2階梁・下端筋 2階梁・下端筋
袖壁端部付近で大きな値を取る
梁主筋のひずみ分布の比較
袖壁端部位置でひずみが大きくなる等ひずみ分布の傾向を再現することができた。
26
−1000 0 1000 20000
1000
2000
3000
ひずみ[μ]
柱脚か
らの高
さ[m
m]
600[kN]
800[kN]
最大耐力
600[kN]
800[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
−1000 0 1000 20000
1000
2000
3000
ひずみ[μ]
柱脚か
らの高
さ[m
m]
1000[kN]
1300[kN]
最大耐力
1000[kN]
1300[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
−1000 0 1000 20000
1000
2000
3000
ひずみ [μ]
柱脚か
らの
高さ
[mm
]
−1000 0 1000 20000
1000
2000
3000
ひずみ [μ]
柱脚か
らの
高さ
[mm
]
1000[kN]1300[kN]最大耐力
1000[kN]
1300[kN]最大耐力
[解析]
[実験]600[kN]800[kN]最大耐力
600[kN]
800[kN]最大耐力
[解析]
[実験]
加力方向袖壁圧縮柱・引張主筋 袖壁圧縮柱・引張主筋
袖壁圧縮柱・圧縮主筋 袖壁圧縮柱・圧縮主筋
壁厚100mm試験体(No.1) 壁厚60mm試験体(No.2)
腰壁高さ付近で大きな値を取る
腰壁高さ付近で大きな値を取る
柱主筋のひずみ分布の比較
特に柱脚部での主筋ひずみを再現できた。
27
−100 0 100 200 300 400 5000
1000
2000
3000
モーメント[kN・m]
柱脚
からの
高さ
[mm
]
600[kN]
800[kN]最大耐力
−100 0 100 200 300 400 5000
1000
2000
3000
モーメント[kN・m]
柱脚
からの
高さ
[mm
]
1000[kN]
1300[kN]最大耐力
加力方向
壁厚100mm試験体(No.1) 壁厚60mm試験体(No.2)
実験時最終破壊状況 実験時最終破壊状況
腰壁高さ中央位置に移動
柱脚位置に移動
中柱のモーメント分布と危険断面位置
危険断面位置(モーメントの最大となる点)が,壁厚が異なることで変動することが確認された。
柱の反曲点位置が柱頭側に偏っていることが要因と考えられる。
28
29
まとめ
2層2スパン架構試験体の非線形FEM解析を実施し,解析による再現性を確認するとともに,危険断面位置と壁厚の関係について検討した。
初期剛性や最大耐力,ひび割れ性状を再現することができたが,ひび割れ発生後の架構の剛性低下を再現することが出来なかった。
柱・梁主筋の歪分布を再現することができ,主筋の連続的なひずみ分布を取得できた。
中柱のモーメント分布から,壁厚が異なることで危険断面位置が異なることが再現されることが確認された。また,柱の反曲点が柱頭側に偏っていることも確認された。
今後の検討課題
剛性低下を再現するため,付着ーすべり特性の導入,材料特性の修正を試みる。
壁厚等のパラメータと危険断面位置の関係について,解析的にパラメトリックに検討する。
目的
腰壁・垂れ壁付き梁部材、もしくは袖壁付き柱部材に関する構造実験の知見を収集し、部材の挙動、剛性・耐力評価に資する資料を収集した。
文献調査
【収集項目】① 弾性剛性② 曲げひび割れ発生荷重③ 曲げひび割れ発生時変形角④ 柱or梁部材せん断ひび割れ発生荷重⑤ 柱or梁部材せん断ひび割れ発生時変形角⑥ 二次壁せん断ひび割れ発生荷重⑦ 二次壁せん断ひび割れ発生時変形角⑧ 曲げ耐力⑨ 曲げ耐力時変形角⑩ せん断耐力⑪ せん断耐力時変形角
30
調査範囲
1969年~2014年 AIJ大会学術講演梗概集、支部研究報告、構造系論文集に発表された論文で222編から、下記条件に合う104試験体
【除外した試験体】・壁厚さが部材幅の1/5以下(技術基準の仕様規定は1/4以上)・壁長さが部材せいの2倍以上(技術基準の仕様規定は2倍以下)・壁の縦横いずれかのせん断補強筋比が0.2%以下
(技術基準の仕様規定は0.25%以上)・主筋が丸鋼・直交壁付き・壁に特殊な補強を施したもの(ただし、壁先端に補強筋、壁先端に拘束筋はDBに加える。)
・壁にスリット(部分スリットを含む)があるもの・13.5N以下の低強度コンクリート
31
0
500000
1000000
1500000
0 500000 1000000 1500000
弾性剛性
Ke1(応力度法)
0
500000
1000000
1500000
0 500000 1000000 1500000
弾性剛性
Ke2(エネルギー法)
0
100
200
300
400
0 100 200 300 400
曲げ
ひび
割れ
荷重
Qmc1
0
100
200
300
400
0 100 200 300 400
曲げ
ひび
割れ
荷重
Qmc2
32
弾性剛性(応力度法) 弾性剛性(エネルギー法)
曲げひび割れ荷重(技術基準) 曲げひび割れ荷重(軸力考慮)
33
せん断ひび割れ荷重(技術基準) せん断ひび割れ荷重(荒川min式)
曲げ終局強度(柱技術基準) 曲げ終局強度(梁技術基準)
0
100
200
300
400
0 100 200 300 400
壁せん断ひび
割れ荷重
Qsc
0
100
200
300
400
0 100 200 300 400
壁せん断ひび
割れ荷重
Qsc
0
100
200
300
400
500
600
700
0 100 200 300 400 500 600 700
Qexp(M
)
Qmu1
0
50
100
150
0 50 100 150
Qexp(M
)
Qmu2
34
せん断終局強度(技術基準) せん断終局強度(RC診断)
0
200
400
600
800
1000
0 200 400 600 800 1000
Qexp(S)
Qsu(技術基準)
0
200
400
600
800
1000
0 200 400 600 800 1000
Qexp(S)
Qsu(RC診断)
0
200
400
600
800
1000
0 200 400 600 800 1000
Qexp(S)
Qsu(RC診断)
せん断終局強度(分割累加式)
0
0.0001
0.0002
0.0003
0.0000 0.0001 0.0002 0.0003
R部
材曲
げひ
び割
れ発
生
計算値
0
0.001
0.002
0.003
0.004
0.005
0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005
R壁
せん
断ひ
び割
れ
計算値
0.000
0.002
0.004
0.006
0.008
0.010
0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010R部
材せ
ん断
ひび
割れ
計算値
曲げひび割れ時変形角 部材せん断ひび割れ時変形角 壁せん断ひび割れ時変形角
0
0.001
0.002
0.003
0 0.001 0.002 0.003
R壁筋降伏
計算値
0
0.002
0.004
0.006
0.008
0.01
0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01
R壁圧壊
計算値
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0 0.005 0.01 0.015 0.02
部材
主筋
降伏
計算値
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025
せん
断破
壊
計算値
35
曲げ破壊時変形角(壁筋降伏) 曲げ破壊変形角(壁圧壊)
部材主筋降伏時変形角 せん断破壊時変形角
36
文献調査のまとめ
既往の文献を収集、実験データを整理し、既往の評価式と比較した。
弾性剛性、曲げひび割れ発生荷重、せん断ひび割れ発生荷重は、実験値が既往式に対して低くなる。
曲げ終局強度はバラつきが大きい
せん断終局強度は比較的精度よく評価できた
各損傷時の変形角は試験体ごとのバラつきが非常に大きく有意な傾向性は確認できなかった。