室温超伝導への道 量子...ttf・tcnqでのcdw伝導の確認 1977...
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outline・ 超伝(電)導が夢を抱かせる社会情勢の認識(10/5)
・ 超伝導発見の歴史(10/5)
・ 超伝導の未来(エネルギー問題, 世界的ナットワーク構築<超伝導 未来( ネルギ 問題, 世界的ナットワ ク構築<電力, 物流>)(10/26)
・ 超伝導のしくみ(基本概念)(10/19)
・ 実用化段階の超伝導体(酸化物高温超伝導体(11/2, 9),MgB2 (11/16))
・ FET超伝導?(疑惑と最新研究)(11/30)
・ 室温超伝導探索(12/7)
有機超伝導体(12/7), 酸化物高温超伝導体(11/2 , 9 ),フラーレン系, グラファイト系, B-CNT, C/Si系, Co系, Fe系超伝導, ピセン, 高圧力印加、
レーザー冷却BEC
室温超伝導への道
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前川禎通 「高温超伝導の物理」応用物理75(2006)17
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銅酸化物高温超伝導体のペアリング
+-
+-
一般に、超伝導相は反強磁性相に隣接している。
電荷と「「スピンスピン」」
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「パウリの排他律」とは、二個の粒子が同一の量子力学的状態を取る事ができない、というもので、粒子間に相互作用がなくとも働く純粋な量子力学的効果である。
量子力学では、拘束条件きつい電子の運動は、エネルギーが上がる。
hopingが入ることで、t/Uの割合で、エネルギー利得を得る。
「電子が格子上を跳び回るが、同じ格子点上に来れば斥力を受ける。」
cf. BCSタイプは、電子系は格子系の格子振動を交換して相互作用した。
H = Σtij ci,†
scj,s+UΣni,↑ ni,↓i,j,s i
hoping クーロン斥力相互作用これが大きいと絶縁体になる。スピンによらない。
強いて描けば
ファインマンダイアグラム(相互作用する粒子系)
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なぜ、銅酸化物なのか?
条件条件ハバード模型を実現していて、U/tが小さすぎず大きすぎず10の程度
この二つの条件を満たすものは、今のところ銅酸化物しかない。
電子のもつエネルギーt ~ 1eV (104K)
電子機構のTc 104 K → 102 Kフォノン機構のTc 102 K → 101 K
スピン揺らぎを大きくするのは難しい。大きくしすぎると反強磁性相に近づく。
Tc を上げるには?
1 U/tを最適にする。 Ans. 正方格子 5~10
2 銅酸化物以外には? Ans. 銅酸化物がベストだろう。
3 他の格子系は? Ans. 層状構造が必要であろう。
層状構造は、電荷供給層と伝導層が共存できる。
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超伝導コヒーレンス長ξ = hvF/π∆
∆>50meV not SC∆<50meV SC
50meVは2nm相当の超伝導コヒーレンス長(SCの島の大きさ)に相当する。
∆ = 2kBTc
前川禎通 「高温超伝導の物理」応用物理75(2006)17
(SCの島の大きさ)に相当する。温度スケールに換算すると300Kとなる。
→もし, 50meV程度の大きさを持っている部
分をマクロスケールで実現できれば、室温超伝導体を実現したことになる。
超伝導コヒーレンス長 ξ :クーパー対の波動関数の拡がり(クーパー対の半径)
BCS-type SC ξ = 10 – 100 nm
結果、多数のクーパー対が重なり合っている。つまり、クーパー対の波動関数が重なり合っているからこそクーパー対の位相が揃う。1つのクーパー対の拡がりには、およそ1万個から10万個のクーパー対が重なっている。
cuprate-type SC ξ = 2 nm 1つのクーパー対の拡がりには、数個から10個程度のクーパー対しかなく、重なり合うというよりお互いに孤立している感あり。
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island 間距離 5-10 nm
通常、バルクのSCを示さないレベルでも、電気抵抗ゼロ、マイスナー効果を示す。
つまりisland間距離がコヒ レンス長よりはるつまりisland間距離がコヒーレンス長よりはるかに長くても、SCの位相情報は十分長距離まで運べることを示している!
有機超伝導
「分子」とは 種々の機能の集積が可能な究極のナノ構造体である「分子」とは、種々の機能の集積が可能な究極のナノ構造体である。小林速男先生 日本物理学会誌2001年3月号
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フタロシアニン
有機色素と金属(M)の化合物
青・緑色の顔料(新幹線の青が有名)やコピー機用の静電気発生体、大容量光ディスク(CD-R)用色素として既に実用化されていて、生活に大変密着した物質 さらに癌のレ ザ 治療 非線型光学材料(光通信等に用いられる)
有機化合物の一例
た物質。さらに癌のレーザー治療、非線型光学材料(光通信等に用いられる)等、さまざまな分野での応用が期待されているスーパーマン的な化合物。
年代 有機超伝導体(分子性超伝導体) 有機金属 超伝導全般
1911 超伝導の発見
1933 Meissner効果の発見
1935 Londonの理論
1950 生体物質での超伝導の可能性を指摘 (London) Ginzburg-Landau理論
1954 ぺリレン・Brでの金属伝導の発見
1957 (1955 Peierls Peierls不安定性) BCS理論, Abriksov理論
1962 Josephson理論
1964 LittleLittle モデルの提案モデルの提案, Ginzburgモデルの提案1964 Little Little モデルの提案モデルの提案, Ginzburgモデルの提案
1973 TTF・TCNQでの巨大電気伝導率の発見
1975 ポリチアジル(SN)(SN)xxでの<無機高分子>超伝導の発見
1976 TTF・TCNQでのPeierls超格子の発見
TTF・TCNQでのCDW伝導の確認
1977 ポリアセチレンを初めとする高分子金属高分子金属の出現
1980 圧力下(TMTSF)2PF6での超伝導発見 [Tc = 0.9 K, P = 1.2 GPa] TMTSF塩での金属伝導の発見
1981 常圧(TMTSF)2ClO4での超伝導発見 [Tc = 1.4 K]
1982 TMTSF塩でのSDW発見 重い電子系での超伝導発見
1983 圧力下(BEDT-TTF)2ReO4での超伝導発見[Tc = 2 K, P = 0.4 GPa]
第一世代
第二世代
「1D性顕著」
0.28K
1984 (BEDT-TTF)2I3での超伝導発見[Tc = 1.4 K] 磁場誘起SDWの理論
1985 圧力下(BEDT-TTF)2I3で(急冷で)8Kの超伝導発見
1986 DCNQI塩での金属伝導の発見 銅酸化物高温超伝導体の発見
1987 Dmit塩での超伝導の発見
1988 DMET塩での超伝導発見, MDT-TTF塩での超伝導発見,
(BEDT-TTF)2Cu(NCS)2で10.4Kの超伝導発見
1990 (BEDT-TTF)2Cu(N(CN)2)Clで13.2Kの超伝導発見
1991 アルカリ金属ドープC60での超伝導発見
2001 磁場誘起超伝導(磁性分子伝導系) (2002)単一分子性金属 (2001) MgB2
「2D性顕著」
max.33K
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分子性超伝導体
TMTSFとBEDT-TTFの合成分子TMTSFとBEDT TTFの合成分子
Tc = 0.28 K at P = 0Max, 0.54 K
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有機超伝導の発端となった「エキシトンモデル」とは、
1964 Littleはフォノンに代えて励起子を介した電子対形成による高温超電導体の可能性について言及言及。
問題点1. 一次元系での揺らぎの効果を過小評価
有限温度ではLROが生じにくい。現実: LROなしでSCは起こらない。
2.低次元不安定性(パイエルス転移)による金属-絶縁体転移が起こり易い
3.高分子中の電子間斥力を過小評価
現実物質は今日に至っても実現されていない。
Little自身の詳細な解析に寄れば、電子-エキシトン結合によって引力が生じるためには、電子は側鎖分子から十分に離れていなければならない。なぜならば、側鎖分子のそばの電子とエキシトンが結合すると、エキシトン形成に必要なクーロン引力そのものが遮蔽されてしまうから。しかし、電子が離れていれば当然結合は弱い
Littleの励起子機構
格子振動の代わりに電気分極による電子間引力を媒介とする
電子とホールの生成と見なすことができる→励起子(エキシトン)
δ+ δ−
エキシトンを介するエネルギー~数eVcf フォノンSCはデバイエネルギー程度の
エネルギーカットオフがある。→室温超伝導の期待
e-
金属鎖 分極率の大きな有機分子側鎖
金属鎖上の電子はクーロン相互作用によって側鎖分子を分極させ、この分極をもう一つの電子が感じ、実効的な引力を与える。
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*Ginzburgは二次元電子系を誘電体の層にはり合わせた層状構造においてエキシトン媒介の超伝導の可能性を議論した。
分子性結晶―有機分子で金属を!
(TMTSF)2PF6
福山先生PPT
Se
Se
Se
Se
CH3
CH3
H3C
H3C
PF6 −
TMTSF 提供:加藤礼三氏妹尾仁嗣氏
最初の有機超伝導体
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ベチガード塩 DX
平面ドナー分子(D) : 無機アニオン(X-) = 2 : 1DX
DX
DX有機伝導系における電気伝導の機構
HOMOバンドDのHOMOが分子間で重なり合って伝導バンドを形成DX DX DXDX
DXキャリアを供給するドーパントは伝導部と空間的に離れたところに存在していて、キャリアの供給と運動が空間的に分離されている
二つのD分子あたり一つの電子がHOMOバンドからXに引き抜かれる。
バンド内にキャリア(ホール)が発生し、金属状態となる。
HOMO
SOMO
LUMO
LUMO: lowest unoccupied molecular orbital SOMO: single occupied molecular orbital HOMO: highest occupied molecular orbital
パイエルス転移
温度Tで加えられた波数Qの摂動ポテンシャルに対する一次元電子系の密度応答関数は、Q 2k T 0 とともに対数的に発散するQ→2kF, T→0 とともに対数的に発散する。
つまり、無限小のポテンシャルに対して、有限の密度応答をする。
その結果、 Q=2kFの電子密度波が発生する。「パイエルス不安定性」
電荷密度波(CDW)と呼ばれる電子の集団状態が現れ、一次元電気伝導体に特徴的なパイエルス転移(金属-絶縁体相転移)が生じる(金属 絶縁体相転移)が生じる。
実際には格子イオンが電子に対するポテンシャル源となる。
有機超伝導:クーロン斥力大、ホッピング小→非BCS, 構造の異方性を反映してp-wave or d-wave
電子格子相互作用が強すぎると格子がゆがみ、パイエルス転移を起こす。