高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」...

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高齢者福祉施設 における「日本人の食事摂取基準」の 活用方法に関する検討 加藤 勇太 江端みどり 飛松 斎藤 雅文 中島 加園 恵三 横山 徹爾 日本臨床栄養学会雑誌 vol.35 No.1 別刷

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Page 1: 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」 …高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討 (以下「システムモデル」)を実務レベルで構築していくこ

高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の

活用方法に関する検討

加藤 勇太 江端みどり 飛松 聡 斎藤 雅文

中島 啓 加園 恵三 横山 徹爾

日本臨床栄養学会雑誌 vol.35 No.1 別刷

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日本臨床栄養学会雑誌35(1) 】3-29.2013

≪原 著≫

高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討

加藤 勇太】,2) 江端みどり3)

中島 啓3) 加園 恵三3)

飛松 聡4) 斎藤 雅文3)

横山 徹爾5)

要旨 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準(2010年版)」(DRIs-2010)の効果的な活用方法を

探るため,埼玉県下の介護老人福祉施設(施設 A)をモデル施設としてDRIs-2010に準 じた「栄養 ・食事管理

のシステムモデル」を構築することを目的とした DRIs-2010における給食管理を目的とした「活用の基礎

理論」を基に,「システムモデル」を作成 した後,施設 Aのデータを参考としながら「システムモデル」の構

築と評価 ・修正を行った この評価では,施設 Aのサイクル献立の栄養量を計算 し,DRIs-2010と比較 し

食事評価を行った.また,個人の習慣的な摂取量を求め各栄養素の不足確率を算出すると共に,確率法お

よびEARカットポイント法により集団の栄養素不足者の割合を算出した.食事評価においてレチノール

当量 ・vB.・V.B2・V.C・Ca・Mg・Znの予定給与栄養量は,推定平均必要量(EAR)未満となり不足の可能

性が高いと推察された 確率法による栄養素不足者の割合は,レチノール当量 38.9%,V.Bl36.1%,V.B2

22.2%,V.C92.4%,Ca99.9%,Mg81.3%,Zn95.1%と推定された 「システムモデル」を適用すること

で,系統的に詳細な食事評価および個人 ・集団の栄養素摂取量の評価を行うことが可能となり,施設全体

の栄養管理の品質向上が期待できると示唆された.

キーワー ド:日本人の食事摂取基準,栄養 ・食事管理,定量的評価 ,高齢者施設

l.緒 言

今般,厚生労働省より「国民の健康の維持 ・増進を目的

としたエネルギーおよび各栄養素の摂取量の基準」を示 し

た「日本 人の食事 摂取基 準(2010年版)」(以下,DRIs-

2010)りが策定され,2010年4月より適用されている.こ

の食事摂取基準(DietaryReferenceIntakes;DRIs)という概

念は,従来の栄養所要量の概念から脱却 し,確率論的な

考え方に基づき"複数の指標"と"栄養素摂取量の範囲"か

ら成 り立つ国際標準的な概念となっている.

しかしながら,給食施設においてDRIs-2010を適用す

る際,こうした確率論的な考え方に基づ く実践的な活用

方法や栄養 ・食事管理のシステムについては未だ確立さ

れておらず,有効的な研究成果 も乏 しい状況にあるり.

り信州大学医学部附属病院臨床栄養部

2)前 国立保健医療科学院専門課程ⅠⅠ地域保健福祉分野

3)城西大学薬学部医療栄養学科

4)城西大学大学院薬学研究科医療栄養学専攻

5)国立保健医療科学院生涯健康研究部

こうした状況を踏まえ,「日本人の食事摂取基準(2005年

版)」から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」への改定に

おいては,新たに「食事改善(個人 ・集団)」および「給食管

理」を目的とした「活用の基礎理論」が示 され,活用のた

めの基礎的な理論と考え方がまとめられている.さらに

2010年 3月には,「日本人の食事摂取基準活用検討会報

告書」2)が厚生労働省により取 りまとめられ,活用の考え

方とポイントの整理がなされ,給食施設における栄養 ・

食事管理にDRIs-2010を活用していくことが望まれている.

給食施設の中でも特に高齢者福祉施設においては,管

理栄養士が一人配置であることが多いことなど人的 ・物

的経営資源が少ない状況にあ り3),こうした施設で新 し

いDRIs-2010の概念を活か した栄養 ・食事管理が実施さ

れていくことは困難であると推察され,高齢者福祉施設

におけるDRIs-2010の有効的な活用方法について検討 し

ていくことが急務となっている.

これらの背景を踏まえ本研究では,DRIs-2010に示され

た「活用の基礎理論」を基に,高齢者福祉施設における

DRIs-2010の効果的な活用方法を探るため,給食管理に

おける活用方法として「栄養・食事管理のシステムモデル」

- 13-

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高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討

(以下「システムモデル」)を実務 レベルで構築 していくこ

とを目的とする.本研究でいう「システムモデル」とは,

DRIs-2010に準 じて「利用者の身体の状況 ・栄養状態 ・生

活習慣等を把握 し,これらに基づき適切な食事の提供お

よび品質管理を行う」という一連の栄養 ・食事管理を系統

立てた具体的な活用手順例を指す.施設における栄養管

理が適切に実践されるためには,栄養補給方法の一つで

ある提供される食事の評価および計画の質が大きく影響

を与えるため,「システムモデル」が構築されDRIs-2010

の活用手法が明確になれば,施設における栄養管理の品

質向上につながることが期待される.

ll.方 法

1.栄養 ・食事管理のシステムモデルの構築

DRIs-2010における給食管理を目的とした「活用の基礎理

論」1)および「日本人の食事摂取基準活用検討会報告書」2),先行研究4)を基に,高齢者福祉施設における栄養 ・食事管

理の具体的方法や流れを整理するとともに,アメリカ・カ

ナダのDRIsの活用方法5-8)を参考としながらDRIs12010

の活用方法を整理 ・明確化 し,栄養 ・食事管理の「システ

ムモデル」を作成した

さらに,埼玉県下の介護老人福祉施設(入所者90名,

以下「施設A」)を高齢者福祉施設のモデル施設として設定

し,施設 Aから提供されたデータを参考としながら,

「システムモデル」に準 じて実際に栄養 ・食事管理を運用

することで,実務 レベルで「システムモデル」の構築と評

価および修正を行った

介護老人福祉施設における食事計画の立案を行う上でア

セスメントに必要なデータとして,サイクル献立データ,

対象者の栄養ケア ・マネジメントから得 られるデータ

(性 ・年齢 ・身長 ・体重 ・身体活動レベル ・要介護度 ・血

清アルブミン値 ・食事の習慣的な喫食量割合 ・提供されて

いる食事形態 ・低栄養リスク分類,疾病名等)が挙げられ

る これらのデータは,介護老人福祉施設において介護

報酬の栄養マネジメント加算を算定 している場合,一般

的に入手可能なものである.なお,習慣的な喫食量割合

については,介護職員の業務として習慣的な喫食量につ

いて記録 したものであり,栄養マネジメント加算のため

の様式に記録されているものを利用 した.栄養素摂取量

の過不足の指標として血液生化学データが利用可能であ

り,血中ヘモグロビン濃度,血清LDL-コレステロー

ル,総コレステロール,血清アルブミンなどが考えられ

る 本研究では,栄養ケア・マネジメントからデータが利

用可能であり,特に重要と考えられた血清アルブミン値

をアセスメントに用いた.「システムモデル」の構築にお

いて,データは施設 Aにおける平成 22年 3月度のもの

を使用 した

また本研究では,「システムモデル」におけるアセスメ

ン ト部分「1)食事を提供する対象集団の決定と特性の把

握,2)食事摂取量の評価」についてのみ検討を行った.

2.栄養 ・食事管理のシステムモデルの評価

構築 した「システムモデル」に従って,施設 Aから提供

されたデータを用い,アセスメントとして食事評価およ

び個人 ・集団における栄養素摂取量の評価を行った

2.1 食事を提供する対象集団の決定と特性の把握

対象者の年齢階級 ・BM卜 身体活動レベル ・要介護度 ・

血清アルブミン値 ・低栄養リスク分類 ・疾病雁患者の頻

度 ・食事の形態 ・各食種対象者の度数分布とその割合を各

性別ごとに算出すると共に,年齢 ・身長 ・体重 ・BMI・血

清アルブミン値などの連続型変数については算術平均値

および標準偏差,範囲を算出した.エネルギー摂取量の

過不足の評価指標としては,体格指数(BodyMasslndex)

を用いることにより評価 した.

2.2 食事評価(献立提供レベル)における解析方法

食事評価においては,施設 Aから提供された28日間

のサイクル献立データ(常食 1800kcal食,常食 1680kcal

食,常食 1440kcal食,全粥食 1320kcal食,全粥食 1240

kcal食,計 5食種)の予定給与栄養量 と対象者のDRIs-

2010各指標の数値とを比較 し,提供されている食事の質

について評価を行った この際 28日間のサイクル献立の

データは,「五訂増補 日本食品標準成分表」9,10)に準拠 し

たMicrosoftExcel上の追加アドインソフトである「エクセ

ル栄養君 ver.5.0(建吊社)」】1)により栄養価を計算 し,令

栄養素ごとに28日間の予定給与栄養量の平均値を求め

た.ここでいうサイクル献立とは,施設において繰 り返

し提供 されるパターン化 された献立メニューを指すた

め,28日間の予定給与栄養量の平均値は習慣的な予定給

与栄養量であるとみなした また,DRIs-2010と「五訂増

補 日本食品標準成分表」との整合性を保つため,ナイア

シン当量は食品中に含 まれるナイアシン量 とトリプ ト

ファンに由来し体内で変換されるナイアシンの量(予定給

与たんぱく質量(g)÷6で計算)を加算 したものをナイアシ

ン当量の予定給与栄養量とした.エネルギー当たりで策

定されている栄養素(ビタミンB.,ビタミンB2,ナイア

シン),エネルギーに対する比率で策定されている栄養素

(炭水化物,脂質,飽和脂肪酸,∩-6系脂肪酸),たんぱ

く質に対する重量当たりで策定されている栄養素(ビタミ

ンB6)については,献立から算出された予定給与エネル

ギー量および予定給与たんぱく質量に対するDRIs-2010

各指標の数値を算出し,各栄養素の予定給与栄養量につ

いて定性的評価(qLlalitativeApproachForAssessment)およ

び定量的評価(QuantitativeAppl・OaChforAssess111ent)を行っ

この評価 とは,各栄養素の習慣的な予定給与栄養量と

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日本臨床栄養学会雑誌 第35巻 第 l号 2013

DRIs-2010の各指標(推定平均必要量(EAR)・推奨量

(RDA)・目安量(AI)・目標量(DG)・耐容上限量(UL))の

基準値を比較 し,EAR・RDA・AIが策定されている栄養

素については栄養素摂取不足に対するリスクについて,

DGが策定されている栄養素については当該生活習慣病

発症のリスクについて,ULが策定されている栄養素に

ついては過剰摂取によって健康障害が生 じるリスクにつ

いて評価するものである

また,ここでいう定性的評価 とは,各栄養素の予定給

与栄養量とDRIs-2010各指標の基準値を比較 し,基準値

以上もしくは基準値未満かどうかについて判定を行うも

のである AI,DG,ULが策定されているものについて

走性的評価を行った.

定量的評価とは,EARが策定されている栄養素につい

て,必要量の分布が正規分布であるという仮定の下,式

(りからZ-スコアを算出し,得 られたZ-スコアから式

(2)を用いて上側累積確率を求め,「不足確率p」を算出し

て栄養素摂取不足に対するリスクについて評価を行うも

のである.ここでいうZ-スコアとは,標準化された栄

養素必要量の分布上におけるEARからの距離を意味 して

いる

Z=# -N(0,1)・Ur

Z●Z-スコア

/t 習慣的な予定給与栄養量

EAR:推定平均必要量

oT, 必要量の標準偏差(変動係数×EAR)

P=1-◎(Z).

式(1)

式(2)

p:不足確率

¢(A):標準正規分布の累積密度関数

Z:式(1)より求められたZ-スコア

2.3 個人の栄養素摂取量の評価における解析方法

対象者個人の栄養素摂取量の評価においては,献立

データから得 られた主食 ・副食別の予定給与栄養量の

平均値に各対象者個人の習慣的な喫食量割合(主食 ・副食

別.10段階評価)を乗 じて,習慣的な栄養素摂取量の推

定値とした なお,施設 Aにおいて経管 ・経腸栄養法な

どの栄養療法が施されている対象者はおらず,対象者全

員が経口摂取により食事を摂取 していたため,施設で提

供されている食事の栄養量から各対象者個人の栄養素摂

取量を推定 ・評価できると考えられた

また,エネルギー当たりで策定されている栄養素(ビタ

ミンB.,ビタミンB2,ナイアシン)については,各栄養素

の摂取量を各対象者個人の標準体重(kg)に基礎代謝基準

値(kcal/kg体重/日)および身体活動レベル(PAL)を乗 じて

求めた「推定エネルギー必要量(EER)(kca)/日)」で除し,

EER loo°kcal当たりの摂取量に変換して評価を行った.

さらに,エネルギーに対する比率で策定されている栄養

莱(炭水化物,脂質,飽和脂肪酸,n-6系脂肪酸)は,

エネルギー摂取量に対する比率(%E)に変換 した また,

体重当たりで策定されている栄養素のたんぱく質 ・レチ

ノール当量 ・マグネシウムについても各栄養素の摂取量

を各対象者個人の標準体重(kg)で除し,標準体重 1kg当

たりの摂取量に変換 して評価を行った.たんぱく質 1g

当たりで策定されているビタミンB6については,ビタミン

B6の摂取量を各対象者個人の標準体重(kg)に体重当たり

のたんぱく質RDA(g/kg体重/日)を乗 じて求めた「たん

ぱく質RDA(g/日)」で除し,たんぱく質RDA lgに対す

るビタミンB6摂取量に変換した後に評価 した.

体重としては標準体重(身長(m)2×22)のほかに現体重

を利用することも考えられる しかし,高齢者福祉施設

においては低体重の者が多い傾向にあり.低体重者の硯

体重を利用することによって栄養素摂取不足のリスクを

過小評価 してしまう可能性があると考えられたため,本

研究では標準体重を用いた

評価は,食事評価と同様にA卜 DGが策定されている

栄養素については走性的評価を行い,EARが策定されて

いる栄養素については定量的評価を行った この定量的

評価の際は,式(1)の〝を各対象者個人の習慣的な栄養素

摂取量に置き換えZ-スコアを算出し,得られたZ一スコ

アから式(2)を用いて上側累積確率を求め,「不足確率p」として栄養素摂取不足に対するリスクについて定量的評

価を行った.これらの評価は,各対象者ごと全栄養素に

ついて行い,表計算ソフトMicI・OSOftExcel2010にてデー

タベース化,一覧化 した.

2.4 集団の栄養素摂取量評価における解析方法

集団の栄養素摂取量の評価においては,各対象者個人

の栄養素摂取量の評佃結果を用い,EARが策定されてい

る栄養素については「確率法(probabilitymethod)」5-8)によ

り,施設 Aにおける「不足者の人数 ・割合」を算出した

この確率法とは,当該集団に属する各対象者個人の習慣

的な摂取量から各栄養素の不足確率を計算 し,それを全

員について平均化 して,集団全体での不足者の割合を推

定する方法である 具体的な手順としては,各対象者個

人の栄養素摂取量の定量的評価結果で得られた「不足確率

p」を用い,これを合計 したものが施設における各栄養素

の不足者数xの期待値 E(x)(式(3)参照),これを全対象

者の人数で除したものが各栄養素不足者の割合である.

E(x)=∑p.I・・・ ・式(3)rtlE(x)・不足者数xの期待値

ー 15-

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高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討

∫:対象者

刀.全対象者数

p,●各対象者個人 iの不足確率

また簡便な方法として,各栄養素の集団の摂取量分布

とDRIs-2010のEARを比較 し,EAR未満の者の人数 ・

割合から不足者の人数 ・割合を推定する「EARカットポ

イント法(EARcut-pointme山od)」5-8)も用い,確率法および

EARカットポイント法による「不足者の人数 ・割合」の

評価結果について比較を行った EARカットポイント法

を用いて不足者の人数 ・割合を正 しく評価するために

は,必要量のバラツキよりも摂取量のバラツキが大きい

ことが条件であるため,必要量の変動係数(cv.)と摂取

量の変動係数(cvb)を比較 した

AIが策定されている栄養素については,栄養素摂取量

の中央値 とAIの基準値 を比較 し,評価 を行 った. ま

た,DGが策定されている栄養素については,「栄養学的

リスク保有者」として施設 AにおけるDGを逸脱する者

の人数 ・割合を算出した.

2.5 個人および集団を組み合わせた解析方法

EARが策定されている栄養素については,個人および

集団の解析結果を組み合わせ,その後の食事計画の立案

に向けた優先順位について検討 した 確率法による集団

の不足者の割合が多い順に栄養素を並べ替えると共に

式(4)を用いて各対象者個人ごとにEARが策定されてい

る 15種類の各栄養素jの「不足確率 p,」を合計 して,不足

する栄養素の数yの期待値 E(y)を算出し,降順に各対象

者を並べ替えた 2つの並べ替えにより,不足の可能性

がより高い栄養素および対象者を優先順位づけた.15

Eb)-∑p,・ ・ ・ - A・式(4)J=lEb) 各対象者の不足する栄養素の数yの期待値

p, :各栄養素jの不足確率

3.統計解析

統計解析には,MicrosoftExcel2010(Microsoft社)を用

いた.

4.倫理的配慮

本研究の実施に際 し,国立保健医療科学院研究倫理審

査委員会の研究倫理審査および承認を得て(承認番号 ・

NIPH-IBRA#10018),対象者の権利保護に努めた

川.結 果

1.栄養 ・食事管理のシステムモデルの構築

施設 Aから提供されたデータを参考としながら,構築

した「システムモデル」を表 1に示す.

2.栄養 ・食事管理のシステムモデルの評価

構築 した「システムモデル」に基づき,施設 Aのデータ

を用いたアセスメント結果を以下に示す.

2.1 食事を提供する対象集団の決定と特性の把握

「システムモデル」に準 じ,対象者の年齢階級 ・BM卜身

体活動レベル ・要介護度 ・血清アルブミン値 ・低栄養リス

ク分類 ・疾病雁患者の頻度 ・食事の形態 ・各食種の対象者

の度数分布とその割合を各性別ごとに算出し,年齢 ・身

長 ・体重 ・BMI・血清アルブミン値については算術平均値

および標準偏差,範囲を算出したものを表2に示す 施

設 Aにおいて,月経のある者はいなかったため,鉄の

DRIs-2010は「月経なし」の基準値を用いた

2.2 食事評価(献立提供 レベル)

施設 Aにおける28日間サイクル献立データから求め

られた各食種の予定給与エネルギー量およびpFC比(た

んぱく質 :脂質 :炭水化物エネルギー比)は,常食 1800

kca】食から順に 1820kcal/日(13.7.18.5.67.8),常食 1680

kcal食は 1680kcal/日(14.3●19.8●65.9),常食 1440kcal

食は 1440kcal/日(15.4.22,4.62,2)であり,全粥食 1320

kcal食は 1328kcal/日(16.1●23.6・60.3),全粥食 1240kcal

食は 1237kcal/日(16.7・24.8 58.5)であった.

また,献立の 1日当たりの予定給与栄養量と対象者の

DRIs-2010各指標の数値を比較 ・評価 した結果,望ましい

摂取量の範囲(RDA以上もしくはAI以上,DG(下限)以

上,DG(下限)未満)に満たなかった栄養素のうち,EAR

が策定されている栄養素について定量的に評価 したもの

を表 3に,AトDGが策定されている栄養素について定性

的に評価 したものを表4-5に示す.また,定性的な評価

結果は各食種ごとに異なったものの,最 も低い評価結果

によって整理すると,EAR未満のものはレチノール当

量 ・ビタミンB】・ビタミンB2・ビタミンC・カルシウム ・

マグネシウム・亜鉛,EAR以上RDA未満のものは,たん

ぱく質 ・ビタミンB6・鉄,AI未満のものはn-6系脂肪酸 ・

α-トコフェロール ・パントテン酸 ・カリウム ・リン ・マ

ンガン,DG(下限)未満のものはn-3系脂肪酸 ・食物繊維

総量,DG(上限)以上のものは食塩相当量であり,DRIs-

2010各指標の数値の望ましい範囲に達しない栄養素が見

られた なお,本研究の食事評価において各栄養素の予

定給与栄養量がULの基準値を超えることはなかった.

2.3 栄養素摂取量の評価(集団レベル)

各対象者個人の栄養素摂取量をDRIs-2010各指標の数

値と比較することにより,食事評価と同様に走性的評価

および定量的評価を各対象者個人ごとに行い,結果を

データベース化,一覧化 し,以下の分析に用いた.

個人レベルの栄養素摂取量の評価結果を用い,栄養素

不足者の人数 ・割合を算出したものを表6に示す.DRIs

の確率論の考え方に基づ くと,表6に示すとおり,施設

- 16-

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日本臨床栄養学会雑誌 第35巻 第 1号 2013

表 1 構築 した「栄養 ・食事管理のシステムモデル」

作業手順基本事項(DRls-2010活用の基礎理論) 手順例

Assessment 1)食事を提供する対象集 (丑対象者の性 .年齢階級 .身体特性(体重,身長,BMⅠ).

身体活動団の決定と特性の把握 レベル .要介護度 .血液生化学データ .低栄養リスク

分類 .疾病雁患者の頻度 .食事の形態 .各食種対象者の分布を

把握または推定2)食事摂取量の評価 食事

(献立提供)レベルP一an (参サイクル献立の栄養価を計算し,各栄養

素ごとに予定給与栄養量

の平均値を求める③想定される対象者のDRⅠ5-

2010各指標の数値を算出Do ④食事

評価(献立提供量における評価)Check 想定される対象者のDRⅠS-201

0各指標の数値と予定給与栄養量を比較評価.走性的評価と共に方程式を

用いて定量的に評価.個人レベル

Plan (9個人の栄養素摂取量算出主食 .副食別の予

定給与栄養量に各対象者個人の習慣的な

主食 .副食の喫食量割合を乗 じて算出.⑥ DRls-2010から各対象者個人の各指標の数値を算出

Do (う各対象者個人の栄養素摂取量の評価Check 対象者各個人のDRⅠS-2010各指標の数値と栄養素摂取量を比較評

価.走

性的評価と共に方程式を用いて定量的に評価.集団レベルDo

(砂対象集団の栄養素摂取量の分布からリスク者の割合等を算出.評価Check EARが策定されている栄養素については,EARカットポイント法

又は確率法により不足者の人数 .割合を推定.AⅠが策定されている

栄養素については,摂取量の中央値とAⅠを比較 .評価.DGが

策定されている栄養素については,DGを逸脱する者(栄養学的リ

スク保有者)の人数 .割合を推定.ULが策定されている栄養素に

ついては,ULを上回る者の人数.割合を算出し

,過剰摂取によって健康障害が生じるリスクを有する者の人数 .割合を

推定.個人レベル及び集団レベルの組み合わせDo ⑨介入の優先順

位づけCheck EARが策定されている栄養素については,

個人レベルの結果から,各対象者個人における各栄養素の不足確率

を合計し,不足する栄養素の数の期待値を推定し,ハイリスク者

を優先順位づけする,また,集団レベルの結果から,改善すべき栄養素の優

先順位づけを行う.Plan 3)食事計画の決定 Plalt (D給与エ

ネルギー量及び食種の決定推定エネルギー必要量の範囲から算出,±200 kcat程度ごとの設定が目安

②給与栄養目標量の設定(望

ましい範囲を設定)③食品群別荷

重平均成分表の作成④食品構成の設定

⑤献立作成基準の設定(む主食 .主菜たんぱく

質源の設定4)予定献立の作成 Do (むメニ

ューの決定Che

ckAction ⑧献立作成及び栄養価計算(勤予定献立

の食事評価(予定給与栄養量の評価)⑲予定献立の修正D

o 5)品質管理 .食事の提供 品質管理の下で調製された食事の提供Check 6)食事摂取量の把撞 対象者の摂取した食事量を把

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高齢者福祉施設における「日本人の食事搾取基準」の活用方法に関する検討

表 2 対象者の特性

男性(n=18) 女性(n=72) 全体(∩-90)

年齢(読)平均値 ±sD範囲

60歳代

70歳代

80歳代

90歳代

身長(cm)

平均値 ±sD範囲

体重(kg)平均値 ±sD範囲

BMI(kg/m2)

平均値 ±sD範囲

やせ(~18.4)

ふつう(18.5-24.9)

肥満(25.0-)

身体活動 レベル(PAL)

1.2(ベ ッド上安静)

13(ベ ッド外活動)

1.4(リハビリ施行中)

要介護度

要介護 l

要介護 2

要介護 3

要介護 4

要介護 5

血清アルブミン(Ⅰ一一g/dl)平均値 ±sD範囲

~29

30-3.5

3.6-

データなし

低栄養リスク分類

低 リスク

中リスク

高リスク

疾病催患者の頻度

高血圧

糖尿病

食事の形態

常食

常食 ・きざみ

常食 ・極 きざみ

全粥 ・きざみ

全粥 ・極 きざみ

全粥 ・超極 きざみ

全粥 ・ミキサー

全 ミキサ一食

各食種の対象者

常食 1800kcal食

常食 1680kcal食

常食 1440kcal食

全粥食 1320kcal食

全粥食 1240kcal食

776±8.1

60- 91

3 17%

6 33%

8 44%

1 6%

1610±6.2

】495- 1740

43.6±6.3

32.1- 573

16.9±2.5

125- 22.0

13 72%

5 28%

0 0%

1 6%

14 78%

3 17%

%

%

%

%

%

0

1史U4

7

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142.3±6.7

125.0- 156.0

391±74

24.5- 61.3

19.3±3.6

12.5- 292

32 44%

35 49%

5 7%

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55 76%

14 19%

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- 18-

Page 8: 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」 …高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討 (以下「システムモデル」)を実務レベルで構築していくこ

表 3 予定給与栄養量 と定量的な食事評価 (EAR・RDAが策定 されている栄養素)

たんぱく質 レチノール当量 ビタミンB.

食種 対象者 驚 EAR RDA CV z_sc。re不足確率 驚 EAR RDA CV z_sc。,。不足確率 驚 EAR RDA CV z_sc。re不足確率(g/El) (g/日) (g/日) (%) (%) (ugRE/EI)(ugRE/El)(pgRE/日) (%) (%) (mg/El)(mg/日)(mg/日) (0/o) (%)

常食 1800kcal食

男性 50-69(歳) 50 60

女性 750.Et61 漂 三 62・4 三Z …Z

70以上 (歳) 40 50

常食 1680kcal食

男性 50-69(読) 50 60

女性 750.Tt61,漂 ミ 600 三3 ;3

70以上 (歳) 40 50

常食 1440kcal食

男性 50-69(読) 50 60

70以上 (歳) 50 60

女性 50-69(読) 55・6 40 50

70以上 (歳) 40 50

全粥食 1320kcal食

男性 50-69(読)

70以上 (読)

女性 50-69(読)

70以上 (歳)

全粥食 1240kcal食

男性 50-69(読)

70以上 (歳)

女性 50-69(歳)

70以上 (読)

53.5

125

12.5

12.5

1.98 2.4% 600 850 -0.57 71.6%

1.98 2.4% 550 800 -0.17 56.7%

4.48 0.0% 53l・5 500 700 20 032 376%

4.48 00% 450 650 0.91 18.3%

1.60 5.5% 600 850 -0.58 71.8%

160 5.5% 550 800 -0.18 57.00/0

4.00 00% 530・6 500 700 20 0.31 38.0%

4.00 0.0% 450 650 090 18.5%

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500 700 20 0.26 39.9%

450 650 084 20.0%

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018 42.9%

075 226%

0.80 0.82 0.99 10 -0.24 59.6%

077 0.76 0.91 10 013 448%

071 0.65 0.78 10 0.92 17.8%

0.68 0.60 0.72 10 1.33 9.1%

0.66 0.56 067 10 1.79 3.7%

EAR:推定平均必要量,RDA:推奨量,cv 必要量の変動係数(n=28日)

E]斗罫ff米鰍傭船宗。5,%滞

35

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2013

Page 9: 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」 …高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討 (以下「システムモデル」)を実務レベルで構築していくこ

表 3 (続き)

ビタミンB2 ビタミンB6 ビタミンC

食種 対象者 鷲 宮 EAR RDA CV z_S。0..e不足確率 驚 EAR RDA CV z_scot.e不足確率 慧 雷 EAR RDA CV zISC。re不足確 率

(mg/日)(m g/日)(m g/日)(%) (%) (mg/日)(mg/日)(mg/日)(%) (%) (mg/El)(mg/日)(mg/日)(%) (%)

常食 1800kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (読)

女性 50-69(読)

70以上 (読)

常食 1680kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (読)

女性 50-69(歳)

70以上 (歳)

常食 1440kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (歳)

女性 50-69(歳)

70以上 (読)

全粥食 1320kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (歳)

女性 50-69(歳)

70以上 (歳)

全粥食 1240kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (読)

女性 50-69(歳)

70以上 (歳)

0.89 0.91 1.10 LO 10.22 58.7% 1.27 Ll9 1.44 10 0.67 25.1% 7 7.3

0.89 0.84 1.01 10 0.60 27.6% 1.23 1.15 1.39 10 0.70 243% 773

087 072 087 10 2.08 1.9% 1.13 1.06 1.28 10 066 255% 770

084 0.67 0.80 10 2.54 0.6% 1.09 1.02 1.23 10 0.69 24.6% 768

0.84 0.62 0.75 10 355 0.00/0 105 0.99 l.19 10 0.6) 27.20/0 77.6

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-0.87 80.8%

10.87 80.8%

EAR:推定平均必要量,RDA:推奨量,cv 必要量の変動係数 (n=28日)

些事嘩義斧罫fhRJLL;jSLJか

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Page 10: 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」 …高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討 (以下「システムモデル」)を実務レベルで構築していくこ

表 3 (続き)

カルシウム マグネシウム 鉄 亜鉛

E]斗罫対米淋

傭妙

。B,i

瀬35

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食種 対象者 驚 EA- A CV z-score不足確率 篭 誓 EAR WA CV zISCOre不足確率 驚 EAR WA CV z-score不足確率 驚 EAR WA CV z-score不足確率

(mg/日)(mgI日)(nlg/日)(%) (%) (mg/El)(mg/a)(mg/H)(%) (%) (mg/El)(mgl日)(mg/日)(%) (%) (mg/日)(mgJd)(m押)(%) (%)

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男性 50-69(歳)

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女性 50-69(読)

70以上 (歳)

常食 1680kcal食

男性 50-69(読)

70以上 (歳)

女性 50-69(読)

70以上 (読)

常食 1440kcal食

男性 50-69(読)

70以上 (歳)

女性 50-69(読)

70以上 (歳)

全粥食 1320kcal食

男性 50-69(読)

70以上 (歳)

女性 50-69(読)

70以上 (読)

全粥食 1240kcal食

男性 50-69(読)

70以上 (読)

女性 50-69(歳)

70以上 (歳)

(n=28日)EAR:推定平均必要量,RDA 推奨量,cv.必要量の変動係数

Page 11: 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」 …高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討 (以下「システムモデル」)を実務レベルで構築していくこ

表 4 予定給与栄養量と定性的な食事評価(AIが策定さjlている栄養素)

α-トコフェロール パ ン トテン酸 リン マンガン

食種 対象者

警 冨 (mg;I。, 慧 勺 警 冨 (m;Ⅰ。, 票 勺 警 冨 (m;Ⅰ。) 慧 勺 慧 (mgA/Ⅰ。) 慧 勺

常食 1800kcal食

男性 50-69(読) 7.0 △

70以上 (読) 7.0 △

女性 50-69(読) 5・5 6.5 △

70以上 (歳) 6.5 △

常食 1680kcal食

男性 50-69(歳) 70 △

70以上 (歳) 70 △

女性 50-69(歳) 5・5 65 △

70以上 (読) 65 △

常食 1440kcal食

男性 50-69(歳) 7 0 △

70以上 (読) 7.0 △

女性 50-69(読) 54 6.5 △

70以上 (読) 6.5 △

全粥食 1320kcal食

男性 50-69(歳) 7 0 △

70以上 (歳) 7.0 △

女性 50-69(歳) 53 6 5 △

70以上 (歳) 65 △

全粥食 1240kcal食

男性 50-69(歳) 7 0 △

70以上 (歳) 7.0 △

女性 50-69(読) 53 6.5 △

70以上 (読) 6.5 △

5.92

5.66

5.20

4.88

470

6 △

6 △

5 05 0

6 △

6 △

5 0

5 0

6 △

6 △

5 0

5 0

9315

894.2

1000 △

1000 △

900 0

900 0

1000 △

1000 △

900 △

900 △

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0ノ∩フ

300200

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

∩フ0ノ

0

0

9

9

3.18

2.87

コ.lb

I.qIl

4.0 △

4 0 △

3.5 △

3.5 △

4.0

4.0

3.5

3.5

0

0

5

5

4

4

3

3

0

0

5

5

4

4

3

3

4.0 △

4.0 △

35 △

3 5 △

AI:目安量,DG.目標量定性的評価 〇一AI以上,△ AI未満

(n=28日)

執筆畔前葉宗。dLC;汝ナ1か「El瀕>o)妙

壊満男糎儀」a)諒FP)7.群小〓霊ヰか

幕別]

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表 5 予定給与栄養量と走性的な食事評価(AI・DGが策定されている栄養素)

n-6系脂肪酸 n-3系脂肪酸 食物繊維 カリウム 食塩相当量

予定給与 DG ⊥..… 予定給与

票 勺 譜 譜 慧 勺 怒 吾',(mgT。,票 勺

AT 華聖 勺(千品)華聖 勺 J嘉表音 (主義)声望 勺

(.(nT:/Si,,慧 勺 驚 ((gl語 間

Ej斗罫対米

柳瀬妙高郡

35膝

)亜

2013

食種 対象者 驚 。g:呂)慧 盟 慧 勺 驚 (TDFR,(g/日)(g/日)

90 △

9.0 △

7.5 △

7.5 △

079

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

n7

3

3

3

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0

0

0

0

0

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0

5

5

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0

2

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2

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52

9

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7

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4

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8

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2

2

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0

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5

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7

7

5′hUQノ

0

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0

0

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3

3

3

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0

0

0

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0

0

0

0

5

5

0

0

2

つんつん2

72つム2

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7

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1

▲-

1

53日H

4

2

8

2

2

2

-

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0

0

5

5

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7

7

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0

0

0

0

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0

0

0

0

0

0

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3

3

3

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0

0

0

0

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0

0

0

5

5

0

0

2

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.4つム50つん

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7

7

・-

I

-

-

∩フ2

0

0

5

5

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7

7

55∩7

0

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0

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0

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0

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0

0

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3

3

3

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0

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0

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0

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0

0

0

0

5

5

0

0

2

つんつん2

5700つん

9

n77

7

22

9.0 △

9.0 △

7.5 △

75 △

(uノ4∩フ

qi

i

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

Oノ

3

3

3

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0

0

0

0

0

0

0

0

5

5

0

0

2

2

2

2

00′n)80ノ

4

2

8

2

2

2

L

55

4

2

8

2

2

2

1

45

2.4 △ 19 △

2.2 △ 19 △12.2

2.1 ∠ゝ 17 △

1.8 △ 17 ∠ゝ

常食 1800kcal食

男性 50-69(読) 10 △

70以上 (歳) 8 △

女性 50-69(歳) 609 8 △

70以上 (歳) 7 △

q人U8

0

o08

7

「′0ノ5

△(リノ5

0

8

007

375

△74

0

00007

00′hV5

常食 1680kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (歳)

女性 50-69(歳)

70以上 (歳)

常食 1440kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (歳)

女性 50-69(読)

70以上 (読)

全粥食 1320kcal食

男性 50-69(歳)

70以上 (読)

女性 50-69(歳)

70以上 (歳)

全粥食 1240kcal食

男性 50-69(歳) 10 △

女性 750.慧 霊; 554 … ≡ 1317 -20・72 1・54

70以上 (歳) 7 △

(Il=28日)AJ目安量,DG:目標量定性的評価 O AI以上またはDG(下限)以上,DG(上限)未満,△ AI未満またはDG(下限)未満,DG(上限)以上

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高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討

表6 施設Aにおける各栄養素の不足者数と不足者割合(EARが策定されている栄養素)

全体(n=90)

cvr(%) cvb(%)栄養素 EARカットポイント法 確率法

カットオフ値(EAR)I(人) (%) (人) (%)

たんぱく質 (g化g体重/日)

レチノール当量 (LLgRE/kg体重/日)

ビタミンB1 (mg/1000kcal/日)

ビタミンB2 (mg/1000kcal/日)

ナイアシン当量 (mgNE/1000kcal/日)

ビタミンB6 (mg/gたんぱく質/日)

ビタミンB■2 (mg/日)

葉酸 (mg/日)

ビタミンC (mg/日)

ナトリウム (mg/日)

カルシウム (mg/日)

マグネシウム (mg/kg体重/日)

秩(月経なし) (mg/日)

亜鉛 (mg/日)

鋼 (mg/日)

12.5% 】6.9%<0.72(50-69)

く085(70-)

20.0% 169% <93

10.0% 16.6% <0.45

100% 16.8% <0.50

100% 16.6% <4.8

10.0% 16.7% <0.019

10.0% L3.8% <2.0

10.0% 14.1% <200

100% 13.8% <85

10.0% 137% <600

14 15.6% 16.0 17.8%

30 33.3%

31 34.4%

17 18.9%

0 0.0%

36 40.0%

0 00%

33 367%

90 100.0%

0 0.0%

<500(F70-)

0.0% 13.8% <550(F50169) 90 10000/o

<600(M)

%

%

%

%

%

%

%

%

%

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0

1

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0

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0

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0

3

3

2

3

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qノ

1

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0ノ

0

つん

0

5

1

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2

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0

5

0

4

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0

3

3

1

3

つ上

中U

%0ノ

∩7nフ∩7∩78

100% 16.90/o <4.5 77 85.60/0 73.i /03900

<50(F70-)

10.0% 151% <55(F50169) 12 133% 16.5 18.30/o

<60(M)

10.0% 17.3%

1500/0 18.40/o

<7(F70-)

<8(F50-69)

<9(M70-)

<10(M50-69)

<0.5(F70-)

<0.6(F50-69)

<06(Mワo-)

<0.7(M50-69)

86 956% 85.6 951%

4 4.4% 45 5.0%

*数字はカットオフ値として用いたEAR基準値を示す.括弧内の数字は年齢階級,M は男催,Fは女性を示すCVr:必要量の変動係数,cvb:摂取量の変動係数,EAR:推定平均必要量

Aにおいて栄養素の不足する者が多 く存在すると推定さ

れた また,レチノール当量以外の栄養素については,

摂取量の変動係数(cv b)が必要量の変動係数(cv.)よりも

大きく,EARカットポイント法が成 り立つ条件の一つで

ある「摂取量の分布のバラツキが必要量の分布のバラツキ

よりも大きいこと」を満たしていた.また,AIが策定さ

れている栄養素について評価 したものを表 7に示す.AI

の基準値は各性 ・年齢階級により異なるため層別解析を

基本とし,摂取量の中央値およびパーセンタイル値が要

約統計量として成 り立つためには対象者人数が多 くなけ

ればならないため,施設Aにおいて対象者人数の多い70

歳以上の男性および女性についての結果を示 した AIが

策定されている栄養素のうち,ビタミンK ・ビタミンD

を除く6種類の栄養素については,摂取量の中央値(50%

タイル値)が Alを下回っており,栄養素が不足していると

判断することはできないが,少なくとも栄養素が必要量

を満たしていることを保証できないと推察された.また,

栄養学的リスク保有者の人数 ・割合を算出したものにつ

いて表 8に示す.

- 24-

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日本臨床栄養学会雑誌 第35巻 第 1号 2013

表 7 施設 Aにおける各栄養素摂取量の分布(AIが策定されている栄養素)

パーセンタイル栄養素 AI

25% 50% 75%平均値 標準偏差 評価結果*

男性(70歳以上)(∩-15)

∩-6系脂肪酸 (g/日)

ビタミンD (pg/日)

ビタミンE (mg/日)

ビタミンK (mg/日)

パントテン酸 (mg/日)

カリウム (mg/日)

リン (mg/日)

マンガン (mg/日)

女性(70歳以上)(n=69)

∩-6系脂肪酸 (g/日)

ビタミンD (LLg/日)

ビタミンE (mg/日)

ビタミンK (mg/日)

パントテン酸 (mg/日)

カリウム (mg/日)

リン (mg/日)

マンガン (mg/日)

6

500

000

4・0

つん

l

6・00

5・7

5・5

194

5・74

2134

905

2・97

5・97

5・7

5・5

194

5・66

2123

894

2・87

5・68

5・7

5・3

161

4・88

2008

794

2・16

5・68

5・7

5・3

161

4・88

2008

794

2・16

4・78

4・8

4・5

137

4・09

1696

666

1・78

4・43

4・5

4・2

128

3・76

1581

614

1・59

4・07

4・2

3・9

118

3・44

1456

563

1・44

5・87

5・7

5・4

194

5・47

2095

868

2・79

5・68

5・7

5・3

161

4・90

2008

794

2・20

5・-8

5・7

5・3

1-1

4・-8

2008

7-〝

5・04

5・1

4・8

145

4・34

1786

707

1・93

4・54

4・6

4・3

129

3・90

1606

635

1・73

4・18

4・0

3・8

129

3・77

1486

616

1・56

3・98

4・0

3・7

114

3・42

1405

556

1・53

7

5・5

6・5

65

5

2000

900

3・5

530 ± 0.76

5.3 ± 0.7

5.0 ± 0.7

156 ± 27

466 ± 081

1880 ± 270

753 ± 123

213 ± 0.52

4.97 ± 0.69

50 ± 07

4.7 ± 0.6

146 ± 23

4.32 ± 0.64

1762 ± 247

700 ± 101

1.93 ± 0.37

AI:目安量*評価(AIと摂取量の中央値(50%タイル億)を比較)O AI≦摂取量の中央値,△ .AI>摂取量の中央値

2.4 個人および集団を組み合わせた評価

並べ替えの結果,一覧化 したものを表 9に示す 不足

者が多い栄養素の順はカルシウム,亜鉛, ビタミンC,

マグネシウム,ビタミンB6, レチノール当量,ビタミン

B.,葉酸,ビタミンB2,秩,たんぱ く質,鍋,ビタミン

B.2,ナイアシン当量,ナ トリウムとなった.また,EAR

が策定されている栄養素 15種類の中で,各対象者の不足

する栄養素の数の期待値は,平均で 5.73種類(範囲 2.35-

11.72)と推測された.

lV.考 察

1.日本人の食事摂取基準の活用方法について

DRIsの活用理論 と活用方法については,欧米諸国でも

数多 くの議論がなされているが,統一 した理論や活用方

法は未だ確立 されていない現状にあ り1),給食管理分野

においては対象集団を「個人」として取 り扱 うのか,それ

とも「集団」として取 り扱 うのかについては,特に議論が

なされてきた 本研究における「システムモデル」では,

DRIs-2010の「給食管理」を目的とした活用の基礎理論に

基づ き,施設における対象者を「個人」として扱いなが ら

「集団」としても扱い,アセスメン トを行った.このこと

で,個人は特定できないものの,個人の栄養素摂取不足

のリスクの集積 として,集団内における各栄養素不足者

の人数や割合を推定 し,明確化することができた.これ

は,施設 としての食事改善を行 う根拠 となり得るので,

「集団」としてのアセスメン トも行 うことが有用であると

考えられる また,「個人」としての評価を行 うことによ

り,ハイリスク者を特定することができた 単に「個人」

または「集団」としてだけではなく,「個人」と「集団」とい

う2つの観点でアセスメン トを行 うことによって,ポ

- 25-

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高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討

表8 施設Aにおける栄養学的リスク保有者の人数と割合(DGが策定されている栄養素)

全体(n=90)

カットオフ値(DG)I(人) (%)

脂質 (%E)

飽和脂肪酸 (%E)

∩-6系脂肪酸 (%E)

∩-3系脂肪酸 (g/日)

コレステロール (■mg/日)

炭水化物 (%E)

食物繊維 (g/日)

食塩相当量 (g/日)

<20 13 144%

25≦ 18 200%

<4.5 0.0%

7.0≦ 18 20.0%

10≦ 0 0.0%

<2.4(M50-69)

<22(Mワo-)

<2.1(F50-69)

<18(F70-)

700≦(M)

600≦(F)

90 1000%

0 0.0%

<50 0 0.0%

70≦ 0 0.0%

<19(M)

<17(F)

9.0≦(M)

75≦(F)

90 100.0%

75 83.3%

<3000(M)

カリウム (mg/日) <3000(F50-69) 90 100.0%

<2900(F70一)

*数字はカットオフ値として用いたDG基準値を示す括弧内の数字は年齢階級,Mは男催,Fは女性を示すDG:目標量

ピュレーションアプローチとハイリスクアプローチを同

時に行うことが可能になると考えられる 特に,こうし

た 1日に3食を提供 し,対象者の全ての栄養管理を担う

給食施設においては,栄養状態の改善のための計画とし

ては,ポピュレーションアプローチとして食事の品質を

向上させ,ハイリスクアプローチとして対象者の食事喫

食量の向上を図る工夫を行うこと等が介入例として考え

られる このように2つの観点でアプローチを行うこと

で,より有効的かつ効果的に栄養管理を行 うことが可能

になると示唆される.

2.食事評価(献立提供レベル)について

本研究における「システムモデル」では,まずは献立提

供 レベルにおける予定給与栄養量について食事評価 を

行った結果,献立提供 レベルにおいても不足の可能性が

高い栄養素が見られた.このことは,施設における栄養

素摂取不足が,食事の喫食量が少ないことによるもので

あるか,それとも提供されている食事そのものに課題が

あるのかについて明確にするために大変重要なステップ

であると考えられる.給食施設においては,提供されて

いる給食が「個人」としての適正 レベル(DRIsの範囲とし

ては,RDA以上 もしくはAI以上,DG(下限)以上,DG

(上限)未満,UL未満を目指 した献立)であることが望ま

しいので,最終的な個人および集団の栄養素摂取量の評

価以前に,提供されている食事の質についても評価 して

いくことが必要と考えられる

3.集団の栄養素摂取量の評価方法について

集団の栄養素摂取量の評価方法として,EAR・RDAが

策定されている栄養素についてはEARカットポイント法

および確率法により集団における栄養素不足者の割合を

算出した.確率法が成 り立つためには,1)習慣的な摂取

量と必要量が無相関であること,2)栄養素必要量の分布

が明らかであることが条件である.さらに,EARカット

ポイント法が成 り立つためには確率法の条件に加えて,

3)必要量が正規分布であること,4)摂取量の分布のバラ

ツキが必要量の分布のバラツキよりも大きいことが条件

である.本研究では,レチノール当量以外の栄養素につ

いてはEARカットポイント法が成 り立つための「摂取量

の分布のバラツキが必要量の分布のバラツキよりも大き

いこと」という条件を満たしていたが,葉酸および鉄,ど

タミンCの不足者割合の推定値は確率法との間に5%ポ

イント以上の乗雑が見られ,EARカットポイントを用い

て評価を行う場合に留意する必要があると推察された

これは,摂取量の分布が正規分布ではなかったことによ

るものと思われる

またAIは,EAR・RDAを策定できるだけの十分な科学

的根拠が得 られない場合に限り策定されており,その策

定根拠としては日本人の代表的な栄養素摂取量の分布が

得られる場合は,その分布の中央値が用いられている.

AIを用いた集団の栄養素摂取量の評イ酎こおいては,

DRIs-20101)には「AIを下回る者の割合を算出する」と記載

されているが,「日本人の食事摂取基準活用検討会報告

書」2)には「摂取量の中央値とAIを比較する」,アメリカ ・

カナダのDRIs7,8)には「AIをEARのようにカットポイン

トとして用いるべきではない」と記載されており,使用方

法には一部相違が見られる.本研究では,AIの策定根拠

として摂取量の中央値が用いられていることを重視 し,

AIと摂取量の中央値を比較し評価を行った.また,AIを

用いる場合には,アセスメントを行う集団における習慣

的な摂取量のバラツキとAIを定めるために用いられた集

団における摂取量のバラツキが近いことが必要である.

たとえ,AIと摂取量の中央値が一致 していたとしても,

摂取量のバラツキが大きく異なれば正 しい評イ剛二は至ら

ないため,AIを用いて集団の栄養素摂取量の評価を行う

際は,バラツキについても併せて評価 していく必要がある

と考えられる しかしながら,DRIs-2010においてAIが

算定されている栄養素の多 くは国民健康 ・栄養調査の

結果を根拠 として策定 されてお り,現行の国民健康 ・

- 26-

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表 9 施設 Aにおける各栄養素の不足者割合と各対象者個人の栄養素不足確率の一覧表(EARが策定されている栄養素)

E]林野Jf瀬柳瀬

輪業誹

35

潜二

心・

2

0

]3

1不足する栄杏葉の数の期待伯が高い順に並べ番え

基本的情報 食事に関する情報 各栄養素の不足確率(%) 不足する栄養素の数の期待

値"NA.苧 性別 諾 1.7*:#7 (5.5 1(Sk票 (cBmrAIg, 喫食量割合食種 (%)主食 副食 ca zn v.c Mg V.B6 V.A V-BL 葉酸 V.B2 Fe た禦 cu v.B.2+憲

ン Na只62 女 95 中 137.0 39_0 20.8 全粥食.1320kcaI食 50% 50% 100% 100% 100% 100% lOO% 94% 100% 100% 99% 100% 97% 81% 1% 0%

0% ll,7287 女 84 高 】36.0 28.4 15.3 全粥食.l320kcaI食 50% 50% 100% 100% 100% )00% 100% 94% 100% LOO% 99% lOO% 97% 81%

)% 0% 0% ll,714 男 80 中 】49.5 49,2 22,0 全粥食.1320kcat食 60% 60% 100% 100% lOO% 100% 100% 94% 100% 99% 100% 100% 97

% 81% 0% 0% 0% ll.71】 男 86 中 158,0 37.8 15.1 全粥食 .1320kcal食 60% 80% 100% LOO% 100% 100% 99% 83% 99% 64% 92% 9

2% 86% 38% 0% 0% 0% 10.5473 女 85 中 155.0 50.2 20.9 全粥食.1320kca1食 70% 70% 100% 100% 100% 100% lOO% 90% 99% 90

% 95% 68% 9l% 7% 0% 0% 0% lO.4ll5 男 82 中 L60.0 47,3 )8_5 全粥食.l320kcal食 80% 80% 100% LOO% lOO% )00% 99% 84% )00

% 52% 98% 82% 80% 15% 0% 0% 0% 10.09l2 男 66 中 163,0 43.5 16,4 全粥食.1320kcal食 80% 80% 100% lOO% lOO% )00% 90% 87

% 100% 52% 96% 82% 45% 52% 0% 0% 0% 10.0413 男 83 中 158.0 41.3 16.5 全粥食.1320kca]食 80% 80% 100% 100% 100% )00

% 98% 81% 98% 52% 88% 82% 75% 15% 0% 0% 0% 9,8935 女 80 中 147.5 35,0 16,1 全粥食.1320kcal食 70% 70% lOO% 100% lO

O% )00% 98% 8L% 85% 90% 53% 68% 74% 7% 0% 0% 0% 9.5852 女 89 中 147.0 40.6 18.8 常食L1440kcaI食 70% 70% )00% 10

0% 100% lOO% 96% 80% 91% 85% 70% 50% 61% 1% 0% 0% 0% 9,3446 女 85 中 150.0 30.0 13_3 常食.1680kca]食 70% 70% lO

O% lOO% 100% 100% 92% 83% 85% 77% 75% 21% 50% 0% 0% 0% 0% 8.8379 女 66 低 l56,0 49,4 20.3 全粥食.l320kcal食 80% 80%

lOO% 100% 100% )00% 68% 78% 94% 52% 74% 54% 19% 15% 0% 0% 0% 8_5220 女 96 低 145.3 49.2 23.3 常食.1680kcaL食 70

% 70% 100% 100% 100% 100% 80% 76% 86% 77% 77% 21% 30% 0% 0% 0% 0% 8.4763 女 78 中 150.0 37,2 16_5 全粥食.)320kca

L食 70% 80% lOO% 100% 100% 100% 93% 68% 87% 58% 49% 28% 54% 2% 0% 0% 0% 8.3985 * 90 * )50,0 38.3 17.0 全粥食.】24

0kcal食 80% 80% 100% 100% 100% )00% 94% 67% 87% 57% 47% 29% 54% 2% 0% 0% 0% 8_3714 男 81 中 】74.0 46.8 15.4 全粥

食.】320kcaL食 loo% 100% 100% )00% 83% 100% 97% 78% 97% )% 83% 9% 67% 0% 0% 0% 0% 8.l45 男 7】 中 160.0 32.1 12_5

全粥食.)320kcal食 80% 90% lOO% lOO% 97% 100% 94% 70% 79% l5% 36% 52% 57% 5% 0% 0% 0% 8.0429 女 84 中 150.0 38,8 】

7.2 全粥食.1320kcal食 80% 80% 100% lOO% 100% ]00% 90% 67% 80% 52% 44% 19% 44% 0% 0% 0% 0% 7.96】6 男 66 中 162.0 4

0.3 15.4 全粥食.1320kcal食 90% 90% 100% 100% 97% LOO% 52% 73% 93% 12% 72% 42% 10% 22% 0% 0% 0% 7_7282 女 89 中 1

51.0 36.2 15.9 全粥食.1320kcal食 100% 80% 100% 99% 100% 100% 83% 67% 68% 40% 41% 7% 30% 0% 0% 0% 0% 7,3581 女 72 中 】25.0 24.5 15.7 #&.1680kcaLk 60% 60% 100% 100% 100% 93% 28% 51% 40% 98% 27% 77% 3% 2% 0% 0% 0% 7.19

25 女 87 高 148.5 27.5 12.5 全粥食.1320kcal食 80% 80% 100% lOO% 100% lOO% 86% 64% 44% 52% ll% 19% 38% 0% 0% 0% 0% 7.

1323 女 78 高 148.0 29_2 13.3 全粥食.1320kcal食 80% 80% 100% 100% 100% lOO% 85% 63% 44% 52% ll% 19% 36% 0% 0% 0% 0

% 7.0927 女 92 中 】45.0 36.2 】7,2 全粥食 .1320kcal食 80% 80% 100% lOO% 100% 99% 75% 55% 60% 52% 2]% 19% 24% 0% 0

% 0% 0% 7.0680 女 88 中 】45.0 43,2 20.5 全粥食.1320kcal食 80% 80% 100% ]00% 100% 99% 75% 55% 60% 52% 21% l9% 2

4% 0% 0% 0% 0% 7.0610 男 87 中 l60.0 37.2 )4.5 全粥食.1320kcal食 lOO% 100% 100% lOO% 83% 99% 66% 50% 84% 1% 5

I% 9% 17% 0% 0% 0% 0% 6_5932 * 90 * )40,0 28.l l4.3 全粥食.1240kcal食 80% 80% LOO% 100% 100% 98% 60

% 41% 43% 57% 6% 29% 14% 2% 0% 0% 0% 6.517一 女 82 低 147,5 51.7 23.8 常食L1680kcal食 100% 100% 99% 36

% 82% 4l% 0% L7% 1% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 2.7784 女 80 低 147.0 42.2 19,5 #&.1680kca)A lOO% 100%

99% 36% 82% 38% 0% 16% 1% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 2.7222 女 8) 低 L43_0 39,5 193 常食,l680kcal食 100% 1

00% 99% 36% 82% 19% 0% 9% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 2.4569 女 82 低 141.0 49.8 25_0 常食 .1680k

ca一食 100% 100% 99% 36% 82% 11% 0% 6% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 2.35確率法による栄蕃素不足者数(人) 89.9 85.6 83,1 73.1 35.2 35.1 32.5 24.5 19,9 1

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高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討

栄養調査は 1日のみの食事調査により実施されているた

め個人内変動が考慮されておらず長期間の「習慣的な摂取

量」の分布については把握されていない.そのため,AI

を用いて集団の栄養素摂取量の評価を行う際に,AIの策

定根拠となった集団の摂取量のバラツキとアセスメント

を行う集団の習慣的な摂取量のバラツキについて比較 ・

評価することは現在のところ難しい状況にある.

また本研究において,献立提供レベルにおける食事評

価を行ったところ予定給与栄養量がULを超えることが

なかったため,集団の栄養素摂取量の評価において,過

剰摂取による健康障害が生 じる者の割合を推定 した結果

は示 していない.しかしながら,栄養素を強化 した食品

(強化食品)などを使用する場合には,ULを超えること

もあると推察され,栄養素賃取不足のリスク評価に加え

て,栄養素の過剰摂取によって健康障害が生 じるリスク

についても併せて評価を行っていくことが必要と考えら

れる

4.栄養素不足の可能性と評価

施設Aにおける栄養素不足者の割合を推定したところ,

ビタミンC・カルシウム ・亜鉛 ・マグネシウムでは80%

以上の者が不足という結果であった Lengyelら-2)の長

期入所高齢者施設の栄養素不足者の割合を確率法により

評価 した研究では,70%以上の者が葉酸 ・マグネシウム ・

亜鉛 ・ビタミンE・ビタミンB6などの栄養素が不足 して

いたと報告 しており,本研究結果と同様に高度な栄養素

不足が認められていた しかしながら-本邦においてこ

の分野に関する知見は乏しく.今後さらに他の施設にお

いても調査 していく必要があると考えられる

先行研究4)においては,医療施設における「日本人の食

事摂取基準2005年版」に準 じたモデル献立を作成 し食事

評価を行ったが,複数回の補正を行ったモデル献立にお

いても,望ましい範囲に達 しない栄養素が数多 く見られ

た このことから通常の食品のみを用いた場合は,全て

の栄養素においてDRIs-2010で示されている望ましい範

囲に収めることは困難が予想される.しかしながら,ま

ずはリスク管理として全ての栄養素について評価 しその

リスクの存在と程度を明らかにすることが重要ではない

かと考えられる.また,通常の食品の利用だけでは困難

な場合には,強化食品などの利用も今後検討 していくが

必要がある.

5.個人と集団を組み合わせた評価について

本研究における「システムモデル」では,EARが策定さ

れている栄養素について,個人と集団の解析結果を組み

合わせ,栄養素および対象者の優先順位付けを試験的に

行った このことによって,より有効的に個人および集

団の評価結果を利用することが可能と考えられる 特

に,栄養素不足の確率が高い対象者は,複数の栄養素に

ついて多重にリスクを抱えるハイリスク者であり,これ

を量的に評価することができたと考えられる.ただし,

この解析方法では栄養素の重要度に重みづけが考慮され

ていない息 さらにA卜 DGが策定されている栄養素に

ついての評価結果およびエネルギー摂取量を反映する体

格評価の結果が反映されていないため,本解析方法につ

いては今後詳細に検討していく必要がある.また,DRIs-

2010を用いた食事調査の結果だけではなく身体状況,臨

床症状や臨床検査などを組み合わせて総合的にアセスメ

ントし,介入 していく必要があると考えられる.特に低

体重者などリスクの高い者においては,対象者個々のア

セスメントと継時的なモニタリングを実施 し,個別の栄

養管理を併せて行っていくことが重要と考えられる.

6.本研究の限界と今後の横討課題

本研究における「システムモデル」の評価では,特定の

施設におけるデータのみを用いており,その結果を一般化

することを目的としていない.しかしながら本研究では,

汎用計算ソフトのみで電子システムを構築すると共に,

献立データおよび標準化された栄養ケア ・マネジメント

から得られるデータのみを使用 しており,他の施設にお

いても適用可能な「システムモデル」を提供 した 本「シス

テムモデル」は既存データを用いて検討 したため,人的 ・

物的経営資源が少ない高齢者福祉施設においても,比較

的簡便に詳細なアセスメントを行うことが可能となるの

ではないかと推察された.

また今回は,一般的に入手可能なデータを用い,献立

により求められた予定給与栄養量に習慣的な喫食量割合

を乗 じて.個人の栄養素摂取量の推定を行ったが,本方

法についての信頼性や安当性については検討 していない

ため,今後の検討課題である

そして,今回はアセスメント段階における「システムモ

デル」評価を行ったが,今後は食事計画および食事提供段

階における「システムモデル」の評価と再構築を行うと共

に,「システムモデル」の安当性や「システムモデル」を適

用することによる栄養管理への効果などのアウトカムつ

いても検証 していく必要がある

さらに,本研究で構築 した「システムモデル」を効果的

かつ簡易的に用いることができる電算化ソフトの開発と

整備により,現場で更なる活用が期待できると考えられ

る.

高齢者福祉施設においてDRIs-2010を積極的に活用 し

ていくことで,栄養管理の品質の向上が図られるものと

示唆された

文 献

1)「日本人の食事摂取基準」策定検討会 「日本人の食事摂

取基準」策定検討会報告書,厚生労働省,東京,1-306

- 28-

Page 18: 高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」 …高齢者福祉施設における「日本人の食事摂取基準」の活用方法に関する検討 (以下「システムモデル」)を実務レベルで構築していくこ

日本臨床栄養学会雑誌 第35巻 第 1号 20】3

(2009)

2)「日本^の食事摂取基準」活用検討会 「日本人の食事搾取基準」活用検討会報告書,厚生労働省,東京,

1-41(2010)

3)日本栄養士会 ・平成 18年度「管理栄養士 ・栄養士の業務量調査」報告,栄養日本,50(8):25(2007)

4)加藤勇大 江端みどり,村木悦子.角田仲代,加園恵三 医療施設における「日本人の食事摂取基準」に基づ

く栄養管理システムの検討. 日臨栄会誌,31:57-67

(2010)

5)FoodandNutrltionBoard,InstltuteOfMedicineofThe

NatlOnalAcademies:DietaryRefel-enCeIntakes:

ApplicatjonsinDjetal.yAssessment,Natl.AcademyPr.

washington.DC,1-287(2000)6)FoodandNutritionBoard,InstituteofMedicineofThe

NationalAcademies:DietaryReferenceIntakes.

AppllCationslnDletaryPlann川g,Natl.Academy,Pl..

washington.DC,ト237(2003)

7)FoodandNutril10nBoard,InstituteofMedlCineofThe

NationalAcademies▲DietaryReferenceIntakes:The

EssentlalGu】detoNutLllentRequirements,Natl.AcademyPr

washington.DC,1-543(2006)8)田中平三 徳留信寛,監訳 -よくわかる食事摂取基

準 DRIエッセンシャルガイド.医歯薬出版,東京,1-119(2010)

9)文部科学省 科学技術 ・学術審議会 資源調査分科会報

告 :五訂増補 日本食品標準成分表,国立印刷局,東

京,1-508(2005)

10)文部科学省 科学技術 ・学術審議会 資源調査分科会報

告 五言丁増補日本食品標準成分表 脂肪酸組成表編,国

立印刷局,東京,ト32】(2005)

ll)吉村幸雄 ・エクセル栄養君ver.5.0,建吊社,東京,ト113(2009)

12)Lengye)CO,WhitingSJ,ZelloGA=Nutrientinadequacies

amongelderlyresidentsoflong-teL.mCarefacilities.CanJ

DL'etPractRes,69:82-88(2008)

ExaminationabouttheApplicationMethodorDietaryReferenceIntakesfor

JapaneseinElderlyCareFacilities

YutaKATO】,2),MidoriEBATA3),satoshiTO】∋IMATSU4),MasafumiSA打OS),

KeiNAKAJIMA3),KeizoKASONO3),TetsujiYOKOYAMA5)

1)DivisionofClinlCaINutrition,ShinshLlUniversityHospltaI

2)ThePostGraduatePublicHealthPrograminComnlunityHealthCare,NatlOnallnstltuteOfPublicHealth

3)DepartmentofCIInicalDieteticsandHumanNutrition,FacultyofPharmaceuticalSclenCeS,JosaiUniverslty

4)ClinicalDieteticsandHumanNutrltlOn,JosaiUniversityGraduateSchoolofPharmaceuticalSciences

5)DepartmentofHealthPromotion,NationalInstituteofPublicHealth

TheaimofthisstudylStOdevelopasystem nlOdelfordietaryma】1agemelltilleldeHycarefacllitiesbasedon

DietaryReferenceIntakesforJapanese,2010(DRIs12010).Thefl'ameWOrkofthesystemmodelwasconstructed

accordingtothebaslCtheoryofapplicationinDRIs-2010,andthenthesystemmodelwasdevelopeduslngthedatain

anelderlycarefacillty・AndtheprobabllItyOfnutritionaldeficiencywascalculatedfromtheindividualhabltUalintake

ofnutrients,inadditlOn,theproportionofthenutrientdeficiencylntheg1-0uPWasalsocalculatedfromtheprobabillty

methodandtheEARcuトpolntmethod・TheselleSultsrevealedthatsuppliednutritionlevelsofretinolequlValent,

V・Bl,V・B2,V・C,Ca,MgandZnwerelessthanEAR・ThustheremaybethedeflCiencyofthesenutrlentS.The

prevalenceofdeficiencyofthesenulL'ientswere38.9%,36.1%,22.2%,92A%,99.9%,81.3% and95.1%,

respectively・ItwlllbepossibletoevaluatesystematlCandprecISenutrlt】Onalstatesofindividualandgroupusingthe

systemmodelbasedonDRIs-2010・ThesystemmodelmaylmprOVethequalityofnutrit】ollalmanagementinelderly

careFacilities.

Keywords: dietaryrefel'enCeIntakesforJapanese,null-itionalmanagement,quantitativeapproachforassessment,

elderlycarefacllities

- 29-