育成したい資質・能力をふまえた授業づくりと評価-1-総 論 研究主題...

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-1- 研究主題 育成したい資質・能力をふまえた授業づくりと評価 1.はじめに 1-1.研究主題設定の理由(なぜ,資質・能力なのか) 平成27年8月20日「文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 教育 課程企画特別部会において,「教育課程企画特別部会 論点整理」(以下,「論点整理」)が 示され,育成すべき資質・能力について次のように述べられている。 これからの子供たちには,社会の加速度的な変化の中でも,社会的・職業的に自立し た人間として,伝統や文化に立脚し,高い志と意欲を持って,蓄積された知識を礎とし ながら,膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し,自ら問いを立ててその解決を目 指し,他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことが求められる。学校の場に おいては,子供たち一人一人の可能性を伸ばし,新しい時代に求められる資質・能力を 確実に育成していくことや,そのために求められる学校の在り方を不断に探究する文化 を形成していくことが,より一層重要になる。 新しい時代に求められる育成すべき資質・能力を育むためには,学びの量とともに,質 や深まりが重要であり,子供たちが「どのように学ぶか」についても光を当てる必要があ るとの認識のもと,「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アク ティブ・ラーニング」)」が重要であると述べている。 また,育成すべき資質・能力について,学校教育法第30条第2項が定める「学力の三要 素」の考え方と大きく共通しているとし,次のような三つの柱に整理している(資料1)。 (ⅰ)「何を知っているか,何ができるか(個別の知識・技能)」 (ⅱ)「知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」 (ⅲ)「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びに向かう力,人 間 性等)」 資料1 「論点整理」における資質・能力の「三つの柱」 こうした資質・能力について,学習指導要領を踏まえつつ,生徒に身に付けさせたい資 質・能力のより具体的な姿を明らかにするとともに,それらの資質・能力と各学校の学校 教育目標とのつながりを図り,各学校が編成する教育課程に反映させていくことが期待さ れている。

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Page 1: 育成したい資質・能力をふまえた授業づくりと評価-1-総 論 研究主題 育成したい資質・能力をふまえた授業づくりと評価 1.はじめに

- 1 -

総 論

研究主題

育成したい資質・能力をふまえた授業づくりと評価

1.はじめに

1-1.研究主題設定の理由(なぜ,資質・能力なのか)

平成27年8月20日「文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 教育

課程企画特別部会において,「教育課程企画特別部会 論点整理」(以下,「論点整理」)が

示され,育成すべき資質・能力について次のように述べられている。

これからの子供たちには,社会の加速度的な変化の中でも,社会的・職業的に自立し

た人間として,伝統や文化に立脚し,高い志と意欲を持って,蓄積された知識を礎とし

ながら,膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し,自ら問いを立ててその解決を目

指し,他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことが求められる。学校の場に

おいては,子供たち一人一人の可能性を伸ばし,新しい時代に求められる資質・能力を

確実に育成していくことや,そのために求められる学校の在り方を不断に探究する文化

を形成していくことが,より一層重要になる。

新しい時代に求められる育成すべき資質・能力を育むためには,学びの量とともに,質

や深まりが重要であり,子供たちが「どのように学ぶか」についても光を当てる必要があ

るとの認識のもと,「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アク

ティブ・ラーニング」)」が重要であると述べている。

また,育成すべき資質・能力について,学校教育法第30条第2項が定める「学力の三要

素」の考え方と大きく共通しているとし,次のような三つの柱に整理している(資料1)。

(ⅰ)「何を知っているか,何ができるか(個別の知識・技能)」

(ⅱ)「知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)」

(ⅲ)「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びに向かう力,人

間性等)」

資料1 「論点整理」における資質・能力の「三つの柱」

こうした資質・能力について,学習指導要領を踏まえつつ,生徒に身に付けさせたい資

質・能力のより具体的な姿を明らかにするとともに,それらの資質・能力と各学校の学校

教育目標とのつながりを図り,各学校が編成する教育課程に反映させていくことが期待さ

れている。

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3年間を通して育成したい生徒の資質・能力を考えるとき,学校教育目標と照らし合わ

せて本校の生徒の目指す姿を教員で共有することは必要不可欠である。

また,「論点整理」でも,学習指導要領の理念を実現するために必要な方策として,次

の様に述べている。

各学校には,学習指導要領等を受け止めつつ,子供たちの姿や地域の実情等を踏まえ

て,各学校が設定する教育目標を実現するために,学習指導要領等に基づきどのような

教育課程を編成し,どのように実施・評価し改善していくのかという「カリキュラム・

マネジメント」の確立が求められる。

2.本校で育成したい[資質・能力]について

2-1.本校の研究過程

本校では昨年度「育成したい資質・能力をふまえた授業づくり」を研究主題に掲げ,「学

習指導要領」,「学校教育目標と生徒会スローガン(図1)」を基に,各教科で育成したい

生徒の資質・能力を「目の前の生徒の現状」を観察し,分析することによってとらえ,そ

れらを育成するための学習方法や単元・題材づくりを工夫してきた。

また,今年度は教科の視点に加えて教科横断的な視点でも資質・能力をとらえた。教科

横断的な資質・能力を育成するためには,それぞれの教師の「このような生徒を育てたい」

という思いを出発点とし,本校で育成したい資質・能力(以下,[資質・能力])として

整理,学校全体で共有することが必要と考えた。

図1 本校学校教育目標と生徒会スローガン

※ 「夢 ふくらませ」,「心 温かく」,「力 合わせる」は,本校学校教育目標を生徒会

スローガンとして表したもの

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[資質・能力]を全教員で共有するため,教員一人ひとりが見た本校の生徒の課題,身に

付けさせたい力(教師の願い),それらの力を伸ばしていくための方策についての検討会

を行った。そして検討内容を整理し,次のような4つの[資質・能力]を設定した(表1)。

表1 本校で設定した4つの[資質・能力]

教員全体での検討会における意見本校で設定した

○ 教員が考える生徒の課題4つの[資質・能力]

■ 生徒に身に付けさせたい力

(教師の願い)

○意欲的に問題の解決に取り組むこと,自分で新たな課

題を見つけたり,様々な問題を計画的に取り組んだり

する力に課題がある。 [自律的に行動する力]

■生徒自ら「何が重要か」を考え,主体的に判断し,行

動できる力を付けてほしい。

○話し合いには積極的に参加しているが,話し手の意図

を汲みながら聞いたり,聞き手を意識して話したりす

ることに課題がある。 [人間関係を形成する力]

■学習のプロセスにおける話し方や聴き方,話し合い方

を伸ばしてほしい。

○すぐに答えを求めたがることや,問題の文脈から何を

どのように解決をするかについて計画できないといっ[問題をとらえ,自分なり

たことに課題がある。に解決しようとする力]

■問題の解決に向かって,自分なりに試行錯誤できるよ

うになってほしい。

■学習したことを振り返って整理したり,新たな学習に[自分を客観的かつ

生かしたりしようとする力,自己評価できる力を付け適切に見つめる力]

てほしい。

本校で設定した4つの[資質・能力]の具体的な内容について,次のようにまとめた。

¡ [自律的に行動する力]

社会や世界と主体的に関わり学びに向かう人間に育つよう,誰かに指示されなくても,

自己の感情や行動を統制し,自ら考えて行動できる力。自分の生き方を考え設計する力。

¡ [人間関係を形成する力]

対話や議論を通じて他者と効果的なコミュニケーションをとり,よりよい人間関係を形

成するために,相手の考えを理解したり広げたりすることで協働して問題解決に向かう力。

また,コミュニケーションをとる際,相手意識を持って自分の考えを他者に伝えられる

力や,他者の考えに傾聴し,自己の学びに結びつける力。

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¡ [問題をとらえ,自分なりに解決しようとする力]

自ら問題を発見し,どのように解決したら良いか試行錯誤し,諦めずに解決を目指す力。

考えを練り直し,何が大切かを判断することや,解決方法を探索して計画できる力。

¡ [自分を客観的かつ適切に見つめる力]

自らの学習活動を振り返って次の学びにつなげる力。つまり,現在の自分自身をモニタ

リングし,今後の学習計画を効果的に修正,調整できる力。

このように,本校では今年度上記の4つの[資質・能力]を重点的に育成することとした。

なお,[資質・能力]と本校学校教育目標(図1)とを照らし合わせて関連付けを図ると,

表2となる。

表2 [資質・能力]と本校の学校教育目標の関連

本校で設定した4つの[資質・能力](表1より) 学校教育目標(図1より)

[自律的に行動する力] 【夢】【力】の実現

[人間関係を形成する力] 【心】の実現

[問題をとらえ,自分なりに解決しようとする力] 【力】の実現

[自分を客観的かつ適切に見つめる力] 【夢】の実現

3.具体的な実践について

3-1.各教科における授業づくりについて

表2のように,[資質・能力]を育成することで学校教育目標の実現を目指すという共通

理解のもと,各教科では,教科の目標に照らして[資質・能力]について表3のように具体

化した。これら4つの[資質・能力]の具体を育成すべく,学習方法や単元・題材づくりの

工夫を行っている。これに加え,これまで実践を重ねてきている言語活動の充実等を意識

した学習が「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・

ラーニング」)」に向かうと考え,実践をしていく。

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表3-1 [資質・能力]育成についての各教科のとらえ

[自律的に行動する力] [人間関係を形成する力][問題をとらえ,自分なりに [自分を客観的かつ適切に

解決しようとする力] 見つめる力]

国語 単元名や単元構想 相手意識・目的意 目指すべきゴール 学んだことや次へ

を工夫することで, 識をもって言語活 は何か,課題解決 生かしたいこと,

生徒が学習に対す 動に取り組み,他 に向けてやるべき 課題として残った

る意欲と見通しを 者と協働的な学習 ことや活用すべき ことを自覚的にと

持ち,資料や既習 を行うことで,考 資料は何かなどを, らえる振り返りを

事項を活用しなが えを修正・深化・ 試行錯誤する学習 行う。

ら主体的に取り組 統合させたり,よ を行う。

む学習を行う。 り良いものに磨き

上げたりする経験

をする。

社会 学習対象に対して 他者の意見を参考 資料を適切に選択 何ができる,でき

自ら追究していく にする場面を設定 することや,論理 ないかを確認する

場面を計画的に設 し,自分の意見を 的に思考すること 場面を設定したり,

定し,各分野の学 再構成させたり, に重点を置いた学 自分の学力につい

習を通して,民主 協働的に解決して 習指導を計画的に て変容を感じるこ

的な国家,社会に いく学習課題を提 行う。 とができる学習活

関わることを意識 示したりする活動 動を計画的に行う。

することができる を計画的に行う。

学習指導をする。

数学 右の[資質・能力] 他者に対して自分 問題解決に向けて 既存の知識や技能

を育てることで, の考えを数学的な 何を問われている を用いて,効果的

主体的な学びの過 根拠をもって説明 か発見し,試行錯 な解決方法を見出

程を生徒一人ひと しながら,協調的 誤しながら解決で し,「過去に学んだ

りが実現できるよ 対話や議論をする きるような問題設 ことが今の問題解

うになり,[自律的 学習活動を行う。 定と学習活動を行 決につながった」

に行動する力]が育 う。 と実感させる活動

っていることにつ を行う。

ながる。

理科 学習課題の解決に グループで話し合 提示された学習課 自らの学習を振り

向けて,主体的・ いながら,協力し 題を,自身が解決 返ることにより,

自律的に学習に取 て課題の解決に取 すべき問題として 学習の成果と次の

り組む。 り組む。 捉え,課題を解決 学習で自分が取り

するための見通し 組むべき課題を見

を持つ。 いだす。

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表3-2 [資質・能力]育成についての各教科のとらえ

[自律的に行動する力] [人間関係を形成する力][問題をとらえ,自分なりに [自分を客観的かつ適切に

解決しようとする力] 見つめる力]

音楽 生徒が自己のイメー 知覚・感受したこと

ジや思いを伝え合っ をもとに,要素の働

たり,他者の意図に かせ方を試行錯誤し

共感したりできるよ て曲にふさわしい表

うにするなど,コミ 現の方法を見出した

ュニケーションを図 り,他者に根拠をも

る指導を工夫する。 って自分の考えを述

べたりする学習活動

を行う。

美術 「自分自身の課題をモニターし,問題を

見付ける力」「学習課題を遂行するプロセ

スをデザインする力」に対してより効果

的な学習課題を設定し,振り返る学習活

動等を用いながら,創造活動全体を通し

て総合的に育成する。

保健体育 「自ら運動に親しも 「集団的活動や表現 「道筋を立てて練習や作戦を考えること

うとする」「公正に を通じてコミュニケ や改善の方法などを(互いに話し合う活

取り組む」「互いに ーション能力を育成 動を通じて)論理的思考を育む」・自分自

協力する」「自己の させる」を高める学 身の課題をモニタリングし問題をみつけ

責任を果たす,参画 習指導の工夫。協働 る力・効果的な学習方法を自分自身で決

する」などを高める 学習の推進。 める(コントロールできる)力を高める

学習指導の工夫。 学習指導やワークシートの工夫。

技術・家庭 生活や技術に関する 生活上の問題を対話 生活上の問題から解 生徒自身の生活の課

態度を醸成し,より や議論などで,相手 決すべき課題を見付 題について,学んだ

豊かな生活の創造と 意識を持って自分の け,これを計画的に ことや過去に解決し

自己実現を目指そう 考えを伝え,解決に 解決しようとする姿 た経験をもとに,解

とする姿や実生活で 向かう姿に育てるた に育てるための学習 決しようとする姿に

活用できる基礎的・ めの学習指導をす 指導をする。 育てるための学習指

基本的な知識・技能 る。 導をする。

を,進んで習得しよ

うとする姿に育てる

学習指導をする。

英語 主体的に学習する力 目標に向かって協力 分からない表現を, タスク後の振り返

や意欲をはぐくむた して行う協働的な学 先生に確認したり, り,観点別学習通知

め,ほめること,認 習活動や,気持ちや 辞書を使って表現の 票を活用した自分に

めること,目標を立 考えをやりとりする 確認や改善をさせた 適した学習方法の選

てさせ向上心をもた 共同的な学習活動を りする学習活動や, 択,自分の活動して

せることを,授業づ 行う。 表現したい内容を考 いる様子を映像で見

くりで意識的に行 える学習活動を行 るなどの学習活動を

う。 う。 行う。

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3-2.学習評価について

「論点整理」では,学習評価の在り方について次のように述べている。

学習評価については,子供の学びの評価に留まらず,「カリキュラム・マネジメント」

の中で,学習・指導方法や教育課程の評価と結び付け,子供たちの学びに関わる学習評

価の改善を,教育課程や学習・指導方法の改善に発展・展開させ,授業改善及び組織運

営の改善に向けた学校教育全体のサイクルに位置付けていくことが必要である。

本校では,学習評価について,以下の①,②のように考え,実践をしている。

① 各教科の評価

各教科において,各観点における評価規準が実現できているか,「指導に生かす評価」

として学習・指導方法の改善に生かし,育った力を「記録に残す評価」として教師と子

供がともに実現状況を把握するようにしている。そのために,「子供たちにどういった

力が付いたか,今後どのような力を付ければ良いか」という学習の成果について「観点

別学習状況通知票(P9・資料2)」を学期ごとに教科担任から直接生徒に配付し,今後

の学習について助言を行っている。

② 本校で育成したい[資質・能力]の評価

本校の教育活動全体を通して育成したい[資質・能力]の評価については,学校評価を

通して行う。教員による教科・領域間の情報交換や,生徒・保護者との教育相談,生徒

・保護者アンケート,全国学力学習状況調査の生徒質問紙調査等を通してデータを収集

し,[資質・能力]について分析・総合・評価を行う。

この結果を次年度の本校教育課程の改善に生かすとともに,各教科・領域等の年間指

導計画等に反映させる。

4.今後の展望

「論点整理」では,資質・能力と各教科等との関連について,次のように述べている。

資質・能力と各教科の関係を踏まえれば,学習指導要領の全体構造を検討するに当た

っては,教育課程全体でどのような資質・能力を育成していくのかという観点から,各

教科等の在り方や,各教科において育成する資質・能力を明確化し,この力はこの教科

においてこそ身に付くのだといった,各教科等を学ぶ本質的な意義を捉え直していくこ

とが重要である。そして,各教科等で育成される資質・能力の間の関連付けや内容の体

系化を図り,資質・能力の全体像を整理していくことが同じく重要であり,教育課程の

全体構造と各教科等を往還的に整理していく必要がある。

※ ゴシックは引用者

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今後は本校で育成したい4つの[資質・能力]及び各教科固有の資質・能力について「論

点整理」における三つの柱(資料1)を基に図2のようなイメージで整理しながら,育成

を目指す必要があると考える。また,[資質・能力]育成のための「課題の発見・解決に向

けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)」を踏まえた実践を

重ねていきたい。

学校教育目標「論点整理」における

[資質・能力]との関連

「資質・能力の

三つの柱」との関連

[自律的に 【夢】【力】の 情意,態度等に

行動する力] 実現 関わるもの

(どのように社会・

[人間関係を形成 【心】の実現 世界と関わりより

する力] よい人生を送るか)

[問題をとらえ, 教科等の本質に根ざ

自分なりに解決 【力】の実現 した見方や考え方等

しようとする力] (知っていること・できることを

どう使うか)

[自分を客観的 【夢】の実現 個別の知識や技能

かつ適切に (何を知っているか,

見つめる力] 何ができるか)

図2 今後の研究に向けて,[資質・能力]と学校教育目標との整理のイメージ

5.引用文献・参考文献

引用文献 1)文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 教育課程企画

特別部会,「教育課程企画特別部会 論点整理」,2015

参考文献 ◆昨年度web公開「本校の研究について」2014,

◆文部科学省中央教育審議会「初等中等教育における教育課程の基準等の在り

方について(諮問)」,2014

◆国立教育政策研究所教育課程研究センター「教育課程の編成に関する基礎的

研究 報告書5 社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の

基本原理」,2013

◆文部科学省「中学校学習指導要領」,2008

この間の関連について,今後検討・

実践を重ねていく。

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資料2 観点別学習状況通知票の例(英語科)

勉強方法の一覧が示されている。生

徒は自分が「こんな学習をしよう」

と思うものにチェックをつけ、教員

と今後の学習課題や適切な学習方法

について相談を行う。